JP2014048173A - 乳脂肪含有量の測定法 - Google Patents

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Abstract

【課題】一般性が高くより簡便な食品中の乳脂肪含有量の測定法を提供すること。
【解決手段】食品試料中に含まれる1,2−ジパルミトイル−3−ブチロイル−sn−グリセロール(sn−PPBu)及び1−ブチロイル−2,3−ジパルミトイル−sn−グリセロール(sn−BuPP)をLC−MS/MSにより定量する工程;sn−PPBu及びsn−BuPPの測定値から以下の[式1]により乳脂肪含量を算出する工程;食品試料中の1,3−ジパルミトイル−2−ブチロイル−sn−グリセロール(sn−PBuP)を検出する工程;を順次備えた食品中の乳脂肪含量の測定法。
乳脂肪含量(g/100g)={sn−PPBu測定値(g)+sn−BuPP測定値(g)}/K×100[式1]
(但し、Kは、乳脂肪100g中に含まれるsn−PPBu及びsn−BuPPの含有量)
【選択図】なし

Description

本発明は、食品中の乳脂肪含量の測定法に関し、さらに詳細には、液体クロマトグラフィーとタンデム型質量分析法を組み合わせた方法(LC−MS/MS)により、食品中に含まれる1,2−ジパルミトイル−3−ブチロイル−sn−グリセロール(sn−PPBu)及び1−ブチロイル−2,3−ジパルミトイル−sn−グリセロール(sn−BuPP)を定量し、かかるsn−PPBu及びsn−BuPPの測定値から食品中に含まれる乳脂肪の含有量を算出する方法や、食品中の乳脂肪含量の測定に用いるためのキットに関する。
バター等の乳脂肪は、重要な食用油脂の一つであり、特徴的なフレーバーをもつことから、クッキーやビスケット、パンなどの食品には風味向上のため、乳脂肪が使われている。マーガリンをはじめとする加工油脂製品にも、バターが添加してあるものがある。
このような食品中の乳脂肪含有量は商品価値に影響するため、その含有量を知ることはメーカーや販売者にとって必要かつ重要である。
乳脂肪は、酪酸、カプロン酸などの短鎖脂肪酸が豊富に含まれており、これが他の油脂には無い乳脂肪の特徴である。従来の乳脂肪含有量の測定方法としては、Iverson, J. and Sheppard, A. J. J. of the AOAC 1977年60巻284-288頁に開示されるように、油脂をエステル交換で誘導体化し、酪酸エステルの量をガスクロマトグラフィー(GC)で測定する方法が一般化している。しかし、このような酪酸エステルへと誘導化する方法では、酪酸エステル等の短鎖脂肪酸エステルは揮発性が高く、水に溶けやすいため、誘導体化処理の際に損失してしまい、正確な乳脂肪含有量が求められないことがあるという問題がある。
また、近年では、油脂を誘導体化せず、直接GCに導入する方法が報告されている。Buchgraber, M., Androni, S., and Anklam, E. J. Agric. Food Chem. 2007年55巻3275-3283頁には、酪酸を含有しているトリアシルグリセロール、例えば1−パルミトイル−2−ステアロイル−3−ブチロイル-グリセロール(PSB)を指標とする、乳脂肪含有量の測定方法が開示されている。しかし、PSBを直接GCに導入し乳脂肪含有量を測定する方法においては、トリアシルグリセロールの熱分解を防ぎGCに導入するための特殊な設備が必要である。
この他にも、Kemppinen, A., and Kalo, P. J. Chromatogr. A 2006年1134巻260-283頁には、バター中のトリアシルグリセロールをガスクロマトグラフィーと質量分析とを組み合わせた測定法(GC−MS)で、トリアシルグリセロールの含量を測定する方法が開示されている。しかしながら、このようなGC−MSを用いる方法で、バター中の乳脂肪の総量を決定するには、複数のトリアシルグリセロールの含量を測定する必要があり、正確性に欠けるという問題がある。
また、近年の油脂加工技術の進展から、高度なエステル交換技術により、エステル交換による油脂加工も可能である。しかし、上記のGCを用いる方法では、トリアシルグリセロールの位置異性体を分離することができないため、エステル交換による油脂加工工程の有無を検出することは不可能である。
トリアシルグリセロールの位置異性体を分離して、それぞれの位置異性体の含量を測定する方法としては、GCによる測定とLC−MS/MSによる測定とを組み合わせる方法が、国際公開2008/010543号パンフレット及び特開2009−153425号公報に開示されている。これらに示された方法では、油脂組成物中の各トリアシルグリセロールの含有量をGCで測定した後に、オレイルジパルミトイルグリセロールの各位置異性体、すなわち3−オレイル−1,2−ジパルミトイルグリセロール(PPO)及び2−オレイル−1,3−ジパルミトイルグリセロール(POP)の存在比をLC−MS/MSによる測定で決定し、油脂組成分中のPPO及びPOPの含有量を決定する方法が開示されている。
一方、LC−MS/MSのみを用いることで乳脂肪含有量を測定する方法もKalo, P., Kemppinen, A., Ollilainen, V., and Kuksis, A. Lipids 2004年39巻915-928頁に開示されている。この方法は、順相のカラムを用いた高速液体クロマトグラフィー(HPLC)と電子イオン化法を用いたLC−MS/MSを利用する方法であり、エステル交換反応によって調製した短鎖脂肪酸を含むトリアシルグリセロール混合品から、molar correction factor(MCF)という係数を計算し、これを用いて食品サンプル中の乳脂肪の含有量を定量できるというものである。この方法によると、食品サンプル中の乳脂肪は、抽出後にシリカゲルのフラッシュカラムを用いて4つの画分に分けられ、それらをLC−MS/MSに供し、検出されたそれぞれのピークとMCFを比較することで、各イオンの対応するトリアシルグリセロールの量を決定することで、サンプル中の乳脂肪の含有量を決定している。一方、この方法では合成したトリアシルグリセロール混合品の各種トリアシルグリセロール異性体比をGCによって測定するなど、複雑な操作が必要であり、汎用性に乏しい。
国際公開2008/010543号パンフレット 特開2009−153425号公報
Iverson, J. and Sheppard, A. J. J. of the AOAC 1977年60巻284-288頁 Buchgraber, M., Androni, S., and Anklam, E. J. Agric. Food Chem. 2007年55巻3275-3283頁 Kemppinen, A, and Kalo, P. J. Chromatogr. A 2006年1134巻260-283頁 Kalo, P., Kemppinen, A., Ollilainen, V., and Kuksis, A. Lipids 2004年39巻915-928頁
上記に示すように、従来の食品中の乳脂肪含有量の測定方法は、誘導体化を必要とするもの、特別な装置を必要とするもの、多段階の測定法を組み合わせるもの、又は複雑な測定が必要とされる方法である。また、従来の食品中の乳脂肪含有量の測定方法では、乳脂肪含有量を測定する際に、食品からFolch法などによる脂質成分の抽出が必要とされていた。このため、一般性が高くより簡便な乳脂肪含有量の測定法の開発が望まれていた。すなわち、本発明の課題は、一般性が高くより簡便な食品中の乳脂肪含有量の測定法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討し、乳脂肪中のsn−PPBu及びsn−BuPP含量が一定値となるとの知見を得て、sn−PPBu及びsn−BuPPを指標とし、食品中のsn−PPBu及びsn−BuPP含量をLC−MS/MSにより定量して、この定量値から食品中の乳脂肪含有量を算出しうることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は
(1)以下の工程(a)及び(b)を順次備えた、食品中の乳脂肪含量の測定法
(a)食品試料中に含まれるsn−PPBu及びsn−BuPPを定量する工程;
(b)sn−PPBu及びsn−BuPPの測定値から次式1により乳脂肪含量を算出する工程;
乳脂肪含量(g/100g)={sn−PPBu測定値(g)+sn−BuPP測定値(g)}/K×100 [式1]
(但し、Kは、乳脂肪100g中に含まれるsn−PPBu及びsn−BuPPの含有量)
に関し、
(2)工程(a)において、sn−PPBu及びsn−BuPPをLC−MS/MSにより定量することを特徴とする上記(1)記載の食品中の乳脂肪含量の測定法に関し、
(3)工程(a)において、内部標準を用いることを特徴とする(1)又は(2)記載の食品中の乳脂肪含量の測定法に関し、
(4)工程(a)において、食品試料から油脂を単離することなく、食品試料を有機溶剤で直接希釈して、sn−PPBu及びsn−BuPPを定量することを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか記載の食品中の乳脂肪含量の測定法に関し、
(5)さらに、(c)食品試料中のsn−PBuPを検出する工程;を備えたことを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか記載の食品中の乳脂肪含量の測定法に関し、
(6)工程(b)のに前に、C28カラム又はC30カラムを用いた逆相液体クロマトグラフィーにより、sn−PPBu及びsn−BuPPとsn−PBuPとを分離することを特徴とする上記(5)記載の食品中の乳脂肪含量の測定法に関し、
(7)対照としてのsn−PPBuとsn−BuPPとの任意の比の混合物を含む標準溶液を備えたことを特徴とする食品中の乳脂肪含量を測定するためのキットに関し、
(8)sn−PPBuとsn−BuPPとの任意の比の混合物が、1,2−ジパルミトイル−3−ブチロイル−rac−グリセロール(rac−PPBu)であることを特徴とする上記(7)記載の食品中の乳脂肪含量を測定するためのキットに関し、
(9)さらに、sn−PBuPを含む標準溶液を備えたことを特徴とする上記(7)又は(8)記載の食品中の乳脂肪含量を測定するためのキットに関し、
(10)sn−PPBuとsn−BuPPとの任意の比の混合物を含む標準溶液、若しくは、rac−PPBuを含む標準溶液、又はsn−PBuPを含む標準溶液が、内部標準を含む標準溶液であることを特徴とする上記(7)〜(9)のいずれか記載の食品中の乳脂肪含量を測定するためのキットに関する。
従来の食品中に含有される乳脂肪の測定法、例えば、非特許文献1に記載された酪酸ブチルを指標とした乳脂肪含有量の測定法では、定容した食品サンプルに水酸化ナトリウムのn−ブタノール溶液加え、トリフッ化ホウ素−ブタノール試薬を用いて処理し、遠心分離を用いて抽出した酪酸ブチルを再度定容することで試料溶液を調製するといった煩雑な前処理が必要である。また、非特許文献2に示されたトリアシルグリセロールを直接GCに供する方法では、GCのインジェクションのためにコールドオンカラム注入法を用いなければならず、特殊な設備が必要とされる。この他にも、非特許文献4に記載されたLC−MS/MSを利用する、乳脂肪中のトリアシルグリセロール含有量の測定法では、バター中の乳脂肪を、シリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)又はシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーを用いてトリアシルグリセロール成分だけを抽出し、このトリアシルグリセロール成分をLC−MS/MSを用いて分析する方法が示されている。
さらに、従来法での食品中の乳脂肪含有量の測定のためには、Folch法等により食品中の脂質成分を、懸濁、溶出、遠心分離等の操作を行うことで抽出した試料サンプルを用いる等の煩雑な前処理が必要であった。
これに対して、本発明の乳脂肪含量の測定法によると、対象とする乳脂肪を含有する食品等を、必要に応じて粉砕し、定容するという非常に簡便な前処理だけで、食品中の乳脂肪含有量の測定を行うことができる。また、sn−PPBu及びsn−BuPPの量を測定するだけで、食品中の乳脂肪含有量を算出することができる。さらに、sn−PPBu及びsn−BuPPの位置異性体、すなわちsn−PBuPを利用することで、エステル交換による油脂加工工程の有無を定性的に検出することが可能となる。
試料溶液の調製方法の概略を示す図である。方法A−従来法による抽出法、及び方法B−ワンポット抽出法。 実施例1に示したrac−PPBu(r.t. 17.4min)及びsn−PBuP(r.t.15.7min)を含有する標準溶液のクロマトグラムである。 実施例1の方法Aで求めたrac−PPBuの検量線である。 実施例1の方法Bで求めたrac−PPBuの検量線である。
[食品中の乳脂肪含量の測定法]
本発明の食品中の乳脂肪含量の測定法としては、食品試料中に含まれるsn−PPBu及びsn−BuPPを定量する工程(a)と、sn−PPBu及びsn−BuPPの測定値から次式1により乳脂肪含量を算出する工程(b)を順次備えた方法であれば特に制限されず、ここで食品とは、飲料をも含む食品製品、食品素材、食品原料をいい、その形態としては、液体状、固体状、ゲル状、顆粒状、粉末状、タブレット状等を挙げることができる。また、乳脂肪とは、牛等の反芻動物の乳由来の脂質であり、特に牛の乳由来の脂質を好適に例示することができる。乳脂肪は、バターやバターオイルの原材料として用いることができる。
乳脂肪含量(g/100g)={sn−PPBu測定値(g)+sn−BuPP測定値(g)}/K×100 [式1]
式1において、K値は乳脂肪100g中に含まれるsn−PPBu及びsn−BuPPの合計含有量のことであり、別途、乳脂肪原料100g中に含まれるsn−PPBu及びsn−BuPPの合計含有量を本発明の乳脂肪含量の測定法の工程(a)により定量することにより、K値を求めるができる。
K値は、例えば、本明細書中の実施例3においては、3種類のバターオイルについて、試料溶液の調製方法として方法Aを用いたときはK=3.91であり、試料溶液の調製方法として方法Bを用いたときはK=3.99である。また、実施者が独自に求めることも可能であり、特に食品中に含まれる乳脂肪原料が既知である場合は、同じ原料のK値を求めることで、該食品中の乳脂肪の含量を正確に求めることができる。また、乳脂肪原料が未知である場合には、前記の本明細書中の実施例記載の方法で求めたK値を用いることもできる。
工程(a)において食品中のsn−PPBu及びsn−BuPPの定量は、(i)まずsn−PPBuとsn−BuPP任意の割合の混合物を一定量含む標準溶液、好ましくはsn−PPBu:sn−BuPP=1:1であるrac−PPBuを一定量含む標準溶液をLC−MS/MSに供することで検量線を作製し、(ii)定容した食品試料をLC−MS/MSに供し、食品試料中に含まれるsn−PPBu及びsn−BuPPの定量を前記検量線と比較することで行うことができる。
上記(i)の検量線の作成方法としては、通常用いられる、いかなる方法を用いても構わない。例えば、X軸にrac−PPBuの濃度を、Y軸にLC−MS/MSで観測されたrac−PPBuのピーク強度をプロットすることにより、検量線を作成することができる。検出限界と定量限界は、ピーク強度とノイズの比(sn比)から計算することができる。また、この検量線作成には、外部標準法又は内部標準法のどちらを用いても構わないが、内部標準法を用いることが好ましい。
上記(ii)の食品試料中に含まれるsn−PPBu及びsn−BuPPの定量法としては、検量線の作成と同条件で食品試料中に含まれるsn−PPBu及びsn−BuPP含量をLC−MS/MSで測定し、得られたsn−PPBu及びsn−BuPP含量の値を検量線上にプロットすることによって、食品試料中のsn−PPBu及びsn−BuPP含量を決定できる。
(液体クロマトグラフィー)
工程(a)における食品試料中のsn−PPBu及びsn−BuPPの定量方法としては、LC−MS/MS、液体クロマトグラフィーと質量分析法を組み合わせた方法(LC−MS)、ガスクロマトグラフィーと質量分析法を組み合わせた方法(GC−MS)、ガスクロマトグラフィー法(GC)、液体クロマトグラフィー法(LC)、超臨界流体クロマトグラフィー法(SFC)など特に制限されないが、LC−MS/MSが好ましい。かかるLC−MS/MSにおける液体クロマトグラフィー(LC)で用いるカラムとしては、sn−PPBu及びsn−BuPPを他の成分と分離しうるカラム、好ましくはsn−PPBu及びsn−BuPPとsn−PBuPとを分離しうるカラムであれば、順相又は逆相のいずれのカラムを用いることができるが、逆相系のカラムを用いることが好ましい。逆相系のカラムとしては、担体が直鎖の炭化水素基で修飾されたシリカゲルであるカラムが好ましく、炭化水素基の炭素数は8〜32、好ましくは18〜32、より好ましくは28〜30である。カラムのグレードとしては、sn−PPBu及びsn−BuPPを他の成分と分離、好ましくはsn−PPBu及びsn−BuPPとsn−PBuPとを分離できれば、いかなるグレードのカラムを用いても問題なく、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)用のカラムを用いることが好ましい。
なお、sn−PPBuとsn−BuPPは鏡像体(エナンチオマー)の関係にあるため、LCでは同じ挙動を示し、同一のピークとして検出される。同様に、これらは以下のMS/MSにおいても同じ挙動を示す。
工程(a)のLCで用いる溶離溶媒は、特に制限されないが、順相のカラムを用いる際には、例えばヘキサン、ヘプタン、酢酸エチル、アセトン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、トルエン、ベンゼン、キシレン、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、ジメチルホルムアミド、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、tert−ブタノール、アセトニトリル、プロピオニトリル等を単独で、またはこれらの混合溶媒として用いることができる。
また、逆相のカラムを用いる際には、溶離溶媒としては、例えば水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、tert−ブタノール、アセトニトリル、プロピオニトリル等を単独で、またはこれらの混合溶媒として用いることができる。また、必要であれば、これらの溶媒に蟻酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸等の有機酸、又はトリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン等の塩基を添加することができる。中でも、溶離溶媒としてはアセトン/アセトニトリルの混合溶媒系が好ましく、その混合比は体積比でアセトン/アセトニトリル−20:1〜2:1、より好ましくは10:1〜3:1、さらに好ましくは8:1〜4:1、最も好ましくは4:1である。
(タンデム質量分析)
工程(a)で用いるタンデム質量分析(MS/MS)におけるイオン化法としては、sn−PPBu及びsn−BuPPのイオンピークが検出できるイオン化法であれば特に制限はなく、例えば、電子イオン化(EI)法、化学イオン化(CI)法、電解脱離(FD)法、エレクトロスプレーイオン化(ESI)法、大気圧化学イオン化(APCI)法等を用いることができ、好ましいイオン化法は、CI法、FD法、ESI法、APCI法、より好ましくはESI法、APCI法、最も好ましくはAPCI法である。
sn−PPBu及びsn−BuPPのイオンピークとしては、m/zがsn−PPBu及びsn−BuPPの分子イオンピークであるM=639として検出される。この他にも、イオン化法によってはアンモニアの付加したイオンピークである[M+NH=656等のピークや、分子イオンピークから酪酸基が脱離したイオンピーク(m/z=551)、分子イオンピークからパルミトイル基が脱離したイオンピーク(m/z=383)、プロトン化イオンピークである[M+H]=640、ナトリウム化イオンピークである[M+Na]=662、分子イオンピークにLCで用いた溶媒の分子量が加算されたイオンピーク等が検出されることがある。これらプロダクトイオンをモニターする手法としては、多重反応モニタリング(MRM)又は選択反応モニタリング(SRM)、好ましくはMRMを挙げることができる。
工程(a)においてLC−MS/MSを用いる利点としては次の点があげられる。食品試料中のsn−PPBu及びsn−BuPPを測定する際に、食品中には様々なトリアシルグリセロールが含まれるため、LCを用いるだけではsn−PPBu及びsn−BuPPを単一のピークとして分離することは困難である。しかし、LC−MS/MSを用いると、食品中のsn−PPBu及びsn−BuPPはLCにおいて他のトリアシルグリセロールと分離され、その後にMS/MSに供されるため、仮にLCで分離した際にsn−PPBu及びsn−BuPPのピークに他の化合物が含まれていたとしても、sn−PPBu及びsn−BuPPの含量を測定することができる。この原理は、以下のようになる。
MS/MSは、質量分析計(MS)が2台直列に配置され、その間に衝突活性化室を持つ装置である。本発明で用いるLC−MS/MSにおいて、LCで分離された各ピークは、まず1台目のMSで試料をイオン化させた後、sn−PPBu及びsn−BuPP由来の特定の質量数のイオンのみを選択し、2台目のMSで検出することができる。このため、仮にLCで分離したsn−PPBu及びsn−BuPPのピークに、他の化合物が含まれていたとしても、この化合物由来のイオンピークは2台目のMS導入される際に選択されない。このことから、LC後にn−PPBu及びsn−BuPPに他の成分が混入していたとしても、MS/MSを用いることで、n−PPBu及びsn−BuPPだけを測定したデータと同じ得ることができる。
(内部標準法)
工程(a)において、sn−PPBu及びsn−BuPPの定量を容易にするために、必要に応じて内部標準法を用いることもできる。内部標準法を用いた乳脂肪含有量の測定法としては、sn−PPBuとsn−BuPP任意の割合の混合物、好ましくはそれらの等量混合物であるrac−PPBuを含む標準溶液、及び試料溶液に、同じ内部標準を加えることが好ましい。
内部標準としては、LC−MS/MSを用いた際にsn−PPBu及びsn−BuPPの定量が行えれば特に制限されず、好ましくは天然の油脂には存在しない奇数の総アシル炭素数を有するトリアシルグリセロールである。内部標準としてのトリアシルグリセロールとしては、市販のトリアシルグリセロールを用いても良いし、用途に応じて調製したものでもよい。調製する際には、その簡便さから、3つのアシル基が全て同じトリアシルグリセロールが好ましく、C、C11、C13、C15のアシル基を有するトリアシルグリセロールがより好ましく、C11、C13のアシル基を有するトリアシルグリセロールがさらに好ましく、C11のアシル基を有するトリアシルグリセロール(トリウンデカノイン)が最も好ましい。一方、偶数鎖脂肪酸からなる総アシル炭素数が偶数であるトリアシルグリセロールは天然に多く含まれるため、これらの内部標準としての使用は避けたほうが良いと考えられるが、これらの使用を禁じるものではない。
(試料の調製)
工程(a)において、食品試料中からの脂質成分の抽出法としては、脂質成分が十分抽出される限り特に制限されず、例えば、従来型の抽出法(方法A)と、本発明で開発されたワンポット抽出法(方法B)を用いることができる。図1には、本発明の乳脂肪含有量の測定法における、食品試料からの模式的な試料溶液作製法(方法A及び方法B)を示した。
上記方法Aとしては、試料の質量を正確に測定した後に、該試料を有機溶媒で抽出、水系溶媒で洗浄した後に、濃縮し、正確に体積を測定した該濃縮物の溶液とすることで、本発明の乳脂肪含有量の測定に供する試料溶液を得ることができる。
試料からの脂質成分の抽出法としては、脂質成分が減じることがなければいかなる抽出法を用いることができるが、例えばFolchの方法やBligh&Dyerの方法などを用いることができる。抽出溶媒としては、これらに限られないが、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、クロロホルム、ペンタン、ヘキサン、石油エーテル、アセトン、酢酸エチル、ベンゼン、トルエン等を単独で又は混合して用いることができる。中でも、Folchの方法やBligh&Dyerの方法を用いる際には、抽出溶媒としてはクロロホルム/メタノール−2:1(v/v)混合溶媒が用いられる。一方、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等の不揮発性又は高沸点の溶媒の使用は避けたほうが良いと考えられるが、これらの使用を禁じるものではない。
抽出後の溶液は、油相を水系溶媒で洗浄した後に濃縮する。この洗浄操作により、塩や糖などの夾雑物を除くことができる。油相と水相の分離方法としては、分液漏斗を用いる方法や、油相と水相が分離しにくい場合であれば、遠心分離を用いても良い。水洗後の油相は、乾燥剤で脱水した後に濃縮することが好ましく、脱水剤として、無水硫酸ナトリウムや無水硫酸マグネシウム等を用いても良い。抽出溶液の濃縮方法としては、エバポレーターを用いた濃縮や、アルゴンや窒素等の不活性ガスを抽出溶液に吹き付けることで溶媒を揮発させる方法があげられる。
濃縮後の残渣は、測定溶媒に溶解することで試料溶液とすることができる。試料溶液を作製する際には、メスフラスコ等を用いることで溶液の体積を正確に調製する必要がある。この際、用いることのできる溶媒としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、アセトン、アセトニトリル等があげられ、好ましくはエタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、アセトン、より好ましくは2−プロパノール、アセトン、最も好ましくは2−プロパノールである。
上記方法Bとしては、試料の質量を正確に測定した後に、直接LC−MS/MS分析に供する溶媒で抽出することで、LC−MS/MS分析に供する試料溶液を簡便に得ることができる。この際、用いることのできる溶媒としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、アセトン、アセトニトリル等があげられ、好ましくはエタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、アセトン、より好ましくは2−プロパノール、アセトン、最も好ましくは2−プロパノールである。
(乳脂肪の特徴)
乳脂肪は、酪酸、カプロン酸などの短鎖脂肪酸が豊富に含まれており、これが他の油脂には無い乳脂肪の特徴である。また、乳脂肪には、sn−PPBu及びsn−BuPPが含まれるが、その位置異性体であるsn−PBuPは含まれない。一方、エステル交換による油脂加工工程を経た油脂組成物には、sn−PPBu及びsn−BuPPとsn−PBuPが共に含まれるため、本発明の乳脂肪含量の測定法にsn−PBuPを検出する工程(c)を備えることで、エステル交換による油脂加工工程の有無を定性的に判断することができる。
工程(c)における、エステル交換による油脂加工工程の有無の定性的な判断は、上記工程(a)において、sn−PPBuとsn−BuPP任意の割合の混合物、好ましくはrac−PPBuを含む標準溶液に、sn−PBuPを添加し、LCに用いるカラムをC28カラム又はC30カラムを用いた逆相液体クロマトグラフィーとすることで行うことができる。このとき、sn−PPBu及びsn−BuPPとsn−PBuPとは、溶離液をアセトン/アセトニトリル系の混合溶媒としたときに良好な分離を示し、その混合比は体積比でアセトン/アセトニトリル−20:1〜2:1、より好ましくは10:1〜3:1、さらに好ましくは8:1〜4:1、最も好ましくは4:1である。
また、工程(c)においても、工程(a)と同様にsn−PPBu及びsn−BuPPの定量を行うことができ、定量を行う際に内部標準法を用いることもできる。内部標準法を用いる際には、sn−PPBuとsn−BuPP任意の割合の混合物、好ましくはrac−PPBuとsn−PBuPとを含む標準溶液及び試料溶液に、同じ内部標準を加えることが好ましい。
さらに、マーガリン等の植物油脂由来のトリアシルグリセロールはsn−PPBuやsn−BuPPを含まないため、sn−PPBu及びsn−BuPPを指標とする本発明を用いることで、バターとマーガリン等を混合して用いる食品(例えばクッキー、ビスケット、サブレ、パンなど)に含有される乳脂肪の測定する際にも、簡単に食品中の乳脂肪含有量を測定することができる。
[食品中の乳脂肪含量を測定するためのキット]
本発明の食品中の乳脂肪含量を測定するためのキットとしては、sn−PPBuとsn−BuPPの任意の割合の混合物、好ましくはrac−PPBuを含む標準溶液を備えたキットであれば特に制限されないが、さらにsn−PBuPを含むものとすることができる。上記標準溶液にsn−PBuPが含まれる場合、sn−PPBuとsn−BuPPの任意の割合の混合物、好ましくはrac−PPBuとsn−PBuPとの混合比は、モル比で、好ましくは9:1〜1:9、より好ましくは4:6〜6:4、さらに好ましくは等量混合物である。
上記sn−PPBuやsn−BuPPやsn−PBuPは、天然由来のものや合成されたものを用いることができ、rac−PPBuは合成されたものを用いることができる。さらに上記標準溶液を、前述した内部標準を含む標準溶液とすることができる。また、本発明のキットには、本発明の食品中の乳脂肪含量の測定法が説明されている添付文書を備えることができる。
(rac−PPBuの合成)
rac−PPBu、sn−PPBuの合成法としては、例えば次にあげる方法を例示することができるが、これらに限られるものではない。
rac−PPBuを化学的に合成する方法としては、1,2−ジパルミトイル−rac−グリセリンと酪酸とをエステル化する方法や、1,2−ジパルミトイル−rac−グリセリンと酪酸クロリドとを塩基条件下で縮合する方法がある。この他にも、rac−1−モノブチリンとパルミチン酸とをエステル化する方法や、rac−1−モノブチリンとパルミトイルクロリドとを塩基条件下で縮合することでも合成できる。一般的な合成方法としては、不活性ガス雰囲気下において、有機溶媒中に基質を溶解し、脱水剤、縮合剤又は塩基を作用させることで目的のrac−PPBuを合成することができる。ここで、不活性ガスとしては、アルゴンや乾燥した窒素等を用いることができる。使用できる有機溶媒としては、これらに限られないが、ジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド等があげられ、好ましくはジクロロメタンである。脱水剤としては、濃硫酸、パラトルエンスルホン酸等の酸系の脱水剤を用いることができる。縮合剤としてはカルボジイミド系の縮合剤等を用いることができ、必要であれば、ピリジン、4−N,N−ジメチルピリジン、4−ピロリジノピリジン等を用いても良い。塩基としては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、N−メチルモルホリン、ピリジン等の有機塩基を用いることができる。
(sn−PPBuの合成)
上記合成方法において、1,2−ジパルミトイル−rac−グリセリン又はrac−1−モノブチリンに代えて、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセリンのエナンチオマーを用いることで、sn−PPBuのエナンチオマーを合成することもできる。
(sn−PBuPの合成)
sn−PBuPを合成する方法としては、2−モノブチリンとパルミチン酸とをエステル化する方法や2−モノブチリンとパルミトイルクロリドとを塩基条件下で縮合すること等があげられる。反応条件としては、rac−PPBuを合成する方法と同様の条件を用いることができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
[実施例]
実施例では、以下に示す分析機器を用いた。
LC−MS/MS
LCシステム:Alliance e2695(Waters Corporation製)
カラム:Sunrise C28, 4.6 mm I.D.×250 mm, 5 μm,(ChromaNik Technologies Inc.製)
UV−可視光検出器:2489 UV Visible Detector(Waters Corporation製)
APCI/MSシステム:Quattro micro API(Waters Corporation製)
解析ソフト:MassLynx Ver. 4.1(Waters Corporation製)
GC
GCシステム:HP6890(Agilent Technologies製)
カラム:CP-WAX 52 CB, 30m x 0.25mm I.D.(Varian製)
検出器:Flame ionization detector (Agilent Technologies製)
検量線の作成
等量のrac−PPBuとsn-PBuPを2−プロパノールに溶解し、それぞれの終濃度を250,200,150,100,50,10,および1μg/mLとした、7種類の濃度の標準溶液を調製した。それぞれの標準溶液にはトリウンデカノインを終濃度10μg/mLとなるように添加し、内部標準とした。調製した標準溶液10μLをLC−MS/MSに供した。LCでのrac−PPBuとsn−PBuPの分離は図1に示すとおりであり、それぞれのピークは良好な分離を示した。
MS/MSのイオン化は大気圧化学イオン化(APCI)法で行い、データ収集モードとしては多重反応モニタリング(MRM)を用いた。検出イオンはこれらのアンモニア付加分子イオン、[M+NH=656である。この結果を元に、x軸に標準溶液の濃度を、y軸にrac−PPBu又はsn−PBuPとトリウンデカノインのイオン強度の比をプロットすることで、rac−PPBu及びsn−PBuPの検量線を作成した(図3及び図4)。検出限界と定量限界は、ピーク強度とノイズの比(sn比)から計算され、それぞれsn=3及び10であった。
検量線作成時のLC−MS/MSの測定は以下の条件で行った。
LC
溶媒:アセトン/アセトニトリル−80:20(v/v)
流速:1mL/分
カラム温度:15℃
MS
イオン源:polarity, APCI positive; corona current, 3.0 μA
イオン源温度:120℃
脱溶媒和温度:450℃
cone gas flow:50L/時間
desolvation gas flow:200L/時間
データ収集モード:多重反応モニタリング(MRM)
rac−PPBuの合成
アルゴンで置換した容量100mLの四つ口フラスコに1,2−ジパルミトイル−rac−グリセリン(1g)、酪酸(0.17g)、4−ジメチルアミノピリジン(0.24g)、及びジクロロメタン(10mL)を加えた。そこへ、N−エチルジイソプロピルアミン(0.25g)と1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド ハイドロクロライド(0.37g)を加え、−20℃で一晩撹拌を行った。反応溶液を直接濃縮することで得た油状化合物をフラッシュカラムクロマトグラフィーに供することで、無色油状のrac−PPBu(0.8g、収率72%)を得た。
CI−MS:m/z 551(45%),384(100%)
APCI−MS:m/z 656[M+NH
PBuPの合成
不活性ガス(アルゴン)で置換した容量100mLの四つ口フラスコに1,3−ジパルミチン(1g)、酪酸(0.17g)、4−ジメチルアミノピリジン(0.24g)、及びジクロロメタン(10mL)を加えた。そこへ、N−エチルジイソプロピルアミン(0.25g)と1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド ハイドロクロライド(0.37g)を加え、−20℃で一晩撹拌を行った。反応溶液を直接濃縮することで得た油状化合物をフラッシュカラムクロマトグラフィーに供することで、無色油状のsn−PBuP(0.5g、収率45%)を得た。
CI−MS:m/z 551(25%),384(100%)
APCI−MS:m/z 656[M+NH
バター中のsn−PPBu含有量の測定
方法A
測定試料として、市販の3種類のバターから、それぞれFolchの方法で脂質を抽出した。まず、バターを蒸留水で9倍(体積比)に希釈し、スクリュー栓付きの試験管中の倍量のクロロホルム/メタノール溶液(体積比2:1)に加えた。この混合液をボルテックスミキサーを用いて激しく混合し、1,500Gで10分間遠心分離を行った。下層を集めた後、室温で窒素気流を用いて濃縮し、脂質の重さを量り、バターオイルとした。このバターオイルを2−プロパノールに溶解し終濃度5mg/mLとなるように試料溶液を調製した。同時に、試料溶液にはトリウンデカノインを終濃度10μg/mLとなるように添加し、内部標準とした。この試料溶液をLC−MS/MSに供し、得られたイオンピークと実施例1の検量線(図3)から、バターオイル中のsn−PPBu及びsn−BuPPの含有量を表1に示すように決定することができた。このとき、rac−PBuPは検出されなかった。
方法B
測定試料として、方法Aで用いたバターと同じ市販の3種類のバターを2−プロパノールに溶解し、それぞれ終濃度5mg/mLとなるように試料溶液を調製した。同時に、試料溶液にはトリウンデカノインを終濃度10μg/mLとなるように添加し、内部標準とした。この試料溶液をLC−MS/MSに供し、得られたイオンピークと実施例1の検量線(図4)から、バターオイル中のsn−PPBu及びsn−BuPPの含有量を表1に示すように決定することができた。このとき、rac−PBuPは検出されなかった。
Figure 2014048173
市販のマーガリン(バター15%使用)の乳脂肪含有量の測定
方法A
市販のバター15%使用マーガリンのsn−PPBu及びsn−BuPPの含有量を実施例3の方法Aと同条件で測定したところ、概マーガリン抽出油100g中にsn−PPBuは0.58±0.01g含まれることが分かった。これを式1に当てはめたところ、市販のバター15%使用マーガリンの乳脂肪含有量は14.76± 0.26gとなり、このマーガリンには表示の値とほぼ同じ量のバターが含まれていることが分かった。
方法B
市販のバター15%使用マーガリンのsn−PPBu含有量を実施例3の方法Bと同条件で測定したところ、概マーガリン抽出油100g中にsn−PPBuは0.59±0.01g含まれることが分かった。これを式1に当てはめたところ、市販のバター15%使用マーガリンの乳脂肪含有量は14.81± 0.19gとなり、このマーガリンには表示の値とほぼ同じ量のバターが含まれていることが分かった。
[参考実験1]
GC法(酪酸測定法)によるバター中の酪酸含有量の測定
実施例1で用いた市販の3種類のバター100mgを2mLのn−ヘキサンに溶解し、1mLのイソ吉草酸ブチルのn−ヘキサン標準溶液(0.5mg/mL)及び2Mの水酸化カリウムのn−ブタノール溶液加えた。前期溶液をボルテックスミキサーで激しく撹拌した後に蒸留水を加え、3,000Gで10分間遠心分離を行った。n−ヘキサン層を集めた後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、試料溶液を調製した。この試料溶液をGCに供し、バターオイル中の酪酸の含有量を表2に示すように決定することができた。
Figure 2014048173
バターオイル(BO)、マーガリンオイル(MO)混合サンプル中の乳脂肪含有量の測定
方法A
市販のバターとマーガリンを実施例3の方法Aと同様にFolchの方法で脂質を抽出し、バターオイル(BO)とマーガリンオイル(MO)を調製した。このBOとMOとを重量比(BO:MO)で5:95,20:80,50:50,及び80:20で混合した4種類の試料を、それぞれ2−プロパノールに溶解し終濃度5mg/mLとなるように試料溶液を調製した。同時に、試料溶液にはトリウンデカノインを終濃度10μg/mLとなるように添加し、内部標準とした。この試料溶液をLC−MS/MSに供し、得られたイオンピークと実施例1の検量線(図3)から、各試料溶液中のsn−PPBuの含有量を決定することができた。この結果、各試料中の乳脂肪の含有量を表3に示すように決定することができた。
GC法(酪酸測定法)
上記4種類の試料各100mgを2mLのn−ヘキサンに溶解し、1mLのイソ吉草酸ブチルのn−ヘキサン標準溶液(0.5mg/mL)及び2Mの水酸化カリウムのn−ブタノール溶液加えた。前期溶液をボルテックスミキサーで激しく撹拌した後に蒸留水を加え、3,000Gで10分間遠心分離を行った。n−ヘキサン層を集めた後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、試料溶液を調製した。この試料溶液をGCに供し、各試料溶液中の酪産ブチルの含有量を定量することで、各試料中の乳脂肪の含有量を表3に示すように決定することができた。
Figure 2014048173
方法A、GC法を用いて求めた、バターオイルとマーガリンオイルとの混合試料中の乳脂肪含有量ほぼ同じ値を示し、それらは混合試料中の乳脂肪量(計算値)ともほぼ一致した。このことから、本手法が食品中の乳脂肪含有量を測定する方法として、極めて有効であるということが分かる。
市販のバタークッキー(バター3%使用)の乳脂肪含有量
方法A
市販のパッケージにバター3%使用との表示がなされているバタークッキーについて、前記バタークッキー1gを砕き、蒸留水で9倍(体積比)に希釈し、スクリュー栓付きの試験管中の倍量のクロロホルム/メタノール溶液(体積比2:1)に加えた。この混合液をボルテックスミキサーを用いて激しく混合し、1,500Gで10分間遠心分離を行った。下層を集めた後、室温で窒素気流を用いて濃縮し、脂質の重さを量り、バターオイルとした。このバターオイルを2−プロパノールに溶解し終濃度5mg/mLとなるように試料溶液を調製した。同時に、試料溶液にはトリウンデカノインを終濃度10μg/mLとなるように添加し、内部標準とした。この結果、バタークッキー抽出油100g中にはsn−PPBuが0.38±0.02g含まれており、また、実施例3で求めたK=3.91と式Iからバタークッキー100gの乳脂肪含有量は9.64±0.42gであると求められた。
方法B
前記バタークッキー1gを砕き、2−プロパノールで希釈して40mg/mLの試料溶液とした。同時に、試料溶液にはトリウンデカノインを終濃度10μg/mLとなるように添加し、内部標準とした。この試料溶液を0.45μmのメンブレンフィルターで濾過した後にLC−MS/MSに供し、バタークッキー100g中のsn−PPBu含有量が0.39±0.00gであることを確認した。また、実施例3で求めたK=3.99と式Iからバタークッキー100gの乳脂肪含有量は9.73g±0.10であると求められた。
方法A、方法Bともにバタークッキー中の乳脂肪含有量はパッケージに記載されている含有量とほぼ同じであり、本手法が食品成分中の乳脂肪料を測定する方法として、適していることがわかる。
本発明の乳脂肪の含量の測定法は、液体クロマトグラフィーとタンデム型質量分析法を組み合わせること(LC−MS/MS)により、食品中に含まれるsn−PPBu及びsn−BuPPを定量し、食品中に含まれる乳脂肪の含量を簡便に測定することができる。このため、従来の食品中の乳脂肪の含量の測定法が煩雑な前処理、誘導体化、又は特別な装置を必要とするもの、多段階の測定法を組み合わせるもの、さらには複雑な測定が必要とされる方法であったことに対して、本発明の乳脂肪の含量の測定法は、乳脂肪を含有する食品等を、必要に応じて粉砕し、定容するという非常に簡便な前処理だけで、食品中の乳脂肪含有量の測定を行うことができるために、作業効率を大幅に向上することができる。
このように、本発明は食品産業において有用である。

Claims (10)

  1. 以下の工程(a)及び(b)を順次備えた、食品中の乳脂肪含量の測定法。
    (a)食品試料中に含まれる1,2−ジパルミトイル−3−ブチロイル−sn−グリセロール(sn−PPBu)及び1−ブチロイル−2,3−ジパルミトイル−sn−グリセロール(sn−BuPP)を定量する工程;
    (b)sn−PPBu及びsn−BuPPの測定値から次式により乳脂肪含量を算出する工程;
    乳脂肪含量(g/100g)={sn−PPBu測定値(g)+sn−BuPP測定値(g)}/K×100
    (但し、Kは、乳脂肪100g中に含まれるsn−PPBu及びsn−BuPPの含有量)
  2. 工程(a)において、sn−PPBu及びsn−BuPPをLC−MS/MSにより定量することを特徴とする請求項1記載の食品中の乳脂肪含量の測定法。
  3. 工程(a)において、内部標準を用いることを特徴とする請求項1又は2記載の食品中の乳脂肪含量の測定法。
  4. 工程(a)において、食品試料から油脂を単離することなく、食品試料を有機溶剤で直接希釈して、sn−PPBu及びsn−BuPPを定量することを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の食品中の乳脂肪含量の測定法。
  5. さらに、(c)食品試料中の1,3−ジパルミトイル−2−ブチロイル−sn−グリセロール(sn−PBuP)を検出する工程;を備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の食品中の乳脂肪含量の測定法。
  6. 工程(b)のに前に、C28カラム又はC30カラムを用いた逆相液体クロマトグラフィーにより、sn−PPBu及びsn−BuPPとsn−PBuPとを分離することを特徴とする請求項5記載の食品中の乳脂肪含量の測定法。
  7. 対照としての1,2−ジパルミトイル−3−ブチロイル−sn−グリセロール(sn−PPBu)と1−ブチロイル−2,3−ジパルミトイル−sn−グリセロール(sn−BuPP)との任意の比の混合物を含む標準溶液を備えたことを特徴とする食品中の乳脂肪含量を測定するためのキット。
  8. sn−PPBuとsn−BuPPとの任意の比の混合物が、1,2−ジパルミトイル−3−ブチロイル−rac−グリセロール(rac−PPBu)であることを特徴とする請求項7記載の食品中の乳脂肪含量を測定するためのキット。
  9. 標準溶液が、さらに1,3−ジパルミトイル−2−ブチロイル−sn−グリセロール(sn−PBuP)を含むことを特徴とする請求項7又は8記載の食品中の乳脂肪含量を測定するためのキット。
  10. sn−PPBuとsn−BuPPとの任意の比の混合物を含む標準溶液、若しくはrac−PPBu標準溶液を含む標準溶液、又はsn−PBuPを含む標準溶液が、内部標準を含む標準溶液であることを特徴とする請求項7〜9のいずれか記載の食品中の乳脂肪含量を測定するためのキット。
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