JP2014048173A - 乳脂肪含有量の測定法 - Google Patents
乳脂肪含有量の測定法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2014048173A JP2014048173A JP2012191837A JP2012191837A JP2014048173A JP 2014048173 A JP2014048173 A JP 2014048173A JP 2012191837 A JP2012191837 A JP 2012191837A JP 2012191837 A JP2012191837 A JP 2012191837A JP 2014048173 A JP2014048173 A JP 2014048173A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- ppbu
- milk fat
- bupp
- fat content
- measuring
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Images
Landscapes
- Other Investigation Or Analysis Of Materials By Electrical Means (AREA)
Abstract
【解決手段】食品試料中に含まれる1,2−ジパルミトイル−3−ブチロイル−sn−グリセロール(sn−PPBu)及び1−ブチロイル−2,3−ジパルミトイル−sn−グリセロール(sn−BuPP)をLC−MS/MSにより定量する工程;sn−PPBu及びsn−BuPPの測定値から以下の[式1]により乳脂肪含量を算出する工程;食品試料中の1,3−ジパルミトイル−2−ブチロイル−sn−グリセロール(sn−PBuP)を検出する工程;を順次備えた食品中の乳脂肪含量の測定法。
乳脂肪含量(g/100g)={sn−PPBu測定値(g)+sn−BuPP測定値(g)}/K×100[式1]
(但し、Kは、乳脂肪100g中に含まれるsn−PPBu及びsn−BuPPの含有量)
【選択図】なし
Description
(1)以下の工程(a)及び(b)を順次備えた、食品中の乳脂肪含量の測定法
(a)食品試料中に含まれるsn−PPBu及びsn−BuPPを定量する工程;
(b)sn−PPBu及びsn−BuPPの測定値から次式1により乳脂肪含量を算出する工程;
乳脂肪含量(g/100g)={sn−PPBu測定値(g)+sn−BuPP測定値(g)}/K×100 [式1]
(但し、Kは、乳脂肪100g中に含まれるsn−PPBu及びsn−BuPPの含有量)
に関し、
(2)工程(a)において、sn−PPBu及びsn−BuPPをLC−MS/MSにより定量することを特徴とする上記(1)記載の食品中の乳脂肪含量の測定法に関し、
(3)工程(a)において、内部標準を用いることを特徴とする(1)又は(2)記載の食品中の乳脂肪含量の測定法に関し、
(4)工程(a)において、食品試料から油脂を単離することなく、食品試料を有機溶剤で直接希釈して、sn−PPBu及びsn−BuPPを定量することを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか記載の食品中の乳脂肪含量の測定法に関し、
(5)さらに、(c)食品試料中のsn−PBuPを検出する工程;を備えたことを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか記載の食品中の乳脂肪含量の測定法に関し、
(6)工程(b)のに前に、C28カラム又はC30カラムを用いた逆相液体クロマトグラフィーにより、sn−PPBu及びsn−BuPPとsn−PBuPとを分離することを特徴とする上記(5)記載の食品中の乳脂肪含量の測定法に関し、
(7)対照としてのsn−PPBuとsn−BuPPとの任意の比の混合物を含む標準溶液を備えたことを特徴とする食品中の乳脂肪含量を測定するためのキットに関し、
(8)sn−PPBuとsn−BuPPとの任意の比の混合物が、1,2−ジパルミトイル−3−ブチロイル−rac−グリセロール(rac−PPBu)であることを特徴とする上記(7)記載の食品中の乳脂肪含量を測定するためのキットに関し、
(9)さらに、sn−PBuPを含む標準溶液を備えたことを特徴とする上記(7)又は(8)記載の食品中の乳脂肪含量を測定するためのキットに関し、
(10)sn−PPBuとsn−BuPPとの任意の比の混合物を含む標準溶液、若しくは、rac−PPBuを含む標準溶液、又はsn−PBuPを含む標準溶液が、内部標準を含む標準溶液であることを特徴とする上記(7)〜(9)のいずれか記載の食品中の乳脂肪含量を測定するためのキットに関する。
本発明の食品中の乳脂肪含量の測定法としては、食品試料中に含まれるsn−PPBu及びsn−BuPPを定量する工程(a)と、sn−PPBu及びsn−BuPPの測定値から次式1により乳脂肪含量を算出する工程(b)を順次備えた方法であれば特に制限されず、ここで食品とは、飲料をも含む食品製品、食品素材、食品原料をいい、その形態としては、液体状、固体状、ゲル状、顆粒状、粉末状、タブレット状等を挙げることができる。また、乳脂肪とは、牛等の反芻動物の乳由来の脂質であり、特に牛の乳由来の脂質を好適に例示することができる。乳脂肪は、バターやバターオイルの原材料として用いることができる。
工程(a)における食品試料中のsn−PPBu及びsn−BuPPの定量方法としては、LC−MS/MS、液体クロマトグラフィーと質量分析法を組み合わせた方法(LC−MS)、ガスクロマトグラフィーと質量分析法を組み合わせた方法(GC−MS)、ガスクロマトグラフィー法(GC)、液体クロマトグラフィー法(LC)、超臨界流体クロマトグラフィー法(SFC)など特に制限されないが、LC−MS/MSが好ましい。かかるLC−MS/MSにおける液体クロマトグラフィー(LC)で用いるカラムとしては、sn−PPBu及びsn−BuPPを他の成分と分離しうるカラム、好ましくはsn−PPBu及びsn−BuPPとsn−PBuPとを分離しうるカラムであれば、順相又は逆相のいずれのカラムを用いることができるが、逆相系のカラムを用いることが好ましい。逆相系のカラムとしては、担体が直鎖の炭化水素基で修飾されたシリカゲルであるカラムが好ましく、炭化水素基の炭素数は8〜32、好ましくは18〜32、より好ましくは28〜30である。カラムのグレードとしては、sn−PPBu及びsn−BuPPを他の成分と分離、好ましくはsn−PPBu及びsn−BuPPとsn−PBuPとを分離できれば、いかなるグレードのカラムを用いても問題なく、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)用のカラムを用いることが好ましい。
工程(a)で用いるタンデム質量分析(MS/MS)におけるイオン化法としては、sn−PPBu及びsn−BuPPのイオンピークが検出できるイオン化法であれば特に制限はなく、例えば、電子イオン化(EI)法、化学イオン化(CI)法、電解脱離(FD)法、エレクトロスプレーイオン化(ESI)法、大気圧化学イオン化(APCI)法等を用いることができ、好ましいイオン化法は、CI法、FD法、ESI法、APCI法、より好ましくはESI法、APCI法、最も好ましくはAPCI法である。
工程(a)において、sn−PPBu及びsn−BuPPの定量を容易にするために、必要に応じて内部標準法を用いることもできる。内部標準法を用いた乳脂肪含有量の測定法としては、sn−PPBuとsn−BuPP任意の割合の混合物、好ましくはそれらの等量混合物であるrac−PPBuを含む標準溶液、及び試料溶液に、同じ内部標準を加えることが好ましい。
工程(a)において、食品試料中からの脂質成分の抽出法としては、脂質成分が十分抽出される限り特に制限されず、例えば、従来型の抽出法(方法A)と、本発明で開発されたワンポット抽出法(方法B)を用いることができる。図1には、本発明の乳脂肪含有量の測定法における、食品試料からの模式的な試料溶液作製法(方法A及び方法B)を示した。
乳脂肪は、酪酸、カプロン酸などの短鎖脂肪酸が豊富に含まれており、これが他の油脂には無い乳脂肪の特徴である。また、乳脂肪には、sn−PPBu及びsn−BuPPが含まれるが、その位置異性体であるsn−PBuPは含まれない。一方、エステル交換による油脂加工工程を経た油脂組成物には、sn−PPBu及びsn−BuPPとsn−PBuPが共に含まれるため、本発明の乳脂肪含量の測定法にsn−PBuPを検出する工程(c)を備えることで、エステル交換による油脂加工工程の有無を定性的に判断することができる。
本発明の食品中の乳脂肪含量を測定するためのキットとしては、sn−PPBuとsn−BuPPの任意の割合の混合物、好ましくはrac−PPBuを含む標準溶液を備えたキットであれば特に制限されないが、さらにsn−PBuPを含むものとすることができる。上記標準溶液にsn−PBuPが含まれる場合、sn−PPBuとsn−BuPPの任意の割合の混合物、好ましくはrac−PPBuとsn−PBuPとの混合比は、モル比で、好ましくは9:1〜1:9、より好ましくは4:6〜6:4、さらに好ましくは等量混合物である。
rac−PPBu、sn−PPBuの合成法としては、例えば次にあげる方法を例示することができるが、これらに限られるものではない。
rac−PPBuを化学的に合成する方法としては、1,2−ジパルミトイル−rac−グリセリンと酪酸とをエステル化する方法や、1,2−ジパルミトイル−rac−グリセリンと酪酸クロリドとを塩基条件下で縮合する方法がある。この他にも、rac−1−モノブチリンとパルミチン酸とをエステル化する方法や、rac−1−モノブチリンとパルミトイルクロリドとを塩基条件下で縮合することでも合成できる。一般的な合成方法としては、不活性ガス雰囲気下において、有機溶媒中に基質を溶解し、脱水剤、縮合剤又は塩基を作用させることで目的のrac−PPBuを合成することができる。ここで、不活性ガスとしては、アルゴンや乾燥した窒素等を用いることができる。使用できる有機溶媒としては、これらに限られないが、ジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド等があげられ、好ましくはジクロロメタンである。脱水剤としては、濃硫酸、パラトルエンスルホン酸等の酸系の脱水剤を用いることができる。縮合剤としてはカルボジイミド系の縮合剤等を用いることができ、必要であれば、ピリジン、4−N,N−ジメチルピリジン、4−ピロリジノピリジン等を用いても良い。塩基としては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、N−メチルモルホリン、ピリジン等の有機塩基を用いることができる。
上記合成方法において、1,2−ジパルミトイル−rac−グリセリン又はrac−1−モノブチリンに代えて、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセリンのエナンチオマーを用いることで、sn−PPBuのエナンチオマーを合成することもできる。
sn−PBuPを合成する方法としては、2−モノブチリンとパルミチン酸とをエステル化する方法や2−モノブチリンとパルミトイルクロリドとを塩基条件下で縮合すること等があげられる。反応条件としては、rac−PPBuを合成する方法と同様の条件を用いることができる。
[実施例]
実施例では、以下に示す分析機器を用いた。
LC−MS/MS
LCシステム:Alliance e2695(Waters Corporation製)
カラム:Sunrise C28, 4.6 mm I.D.×250 mm, 5 μm,(ChromaNik Technologies Inc.製)
UV−可視光検出器:2489 UV Visible Detector(Waters Corporation製)
APCI/MSシステム:Quattro micro API(Waters Corporation製)
解析ソフト:MassLynx Ver. 4.1(Waters Corporation製)
GC
GCシステム:HP6890(Agilent Technologies製)
カラム:CP-WAX 52 CB, 30m x 0.25mm I.D.(Varian製)
検出器:Flame ionization detector (Agilent Technologies製)
等量のrac−PPBuとsn-PBuPを2−プロパノールに溶解し、それぞれの終濃度を250,200,150,100,50,10,および1μg/mLとした、7種類の濃度の標準溶液を調製した。それぞれの標準溶液にはトリウンデカノインを終濃度10μg/mLとなるように添加し、内部標準とした。調製した標準溶液10μLをLC−MS/MSに供した。LCでのrac−PPBuとsn−PBuPの分離は図1に示すとおりであり、それぞれのピークは良好な分離を示した。
MS/MSのイオン化は大気圧化学イオン化(APCI)法で行い、データ収集モードとしては多重反応モニタリング(MRM)を用いた。検出イオンはこれらのアンモニア付加分子イオン、[M+NH4]+=656である。この結果を元に、x軸に標準溶液の濃度を、y軸にrac−PPBu又はsn−PBuPとトリウンデカノインのイオン強度の比をプロットすることで、rac−PPBu及びsn−PBuPの検量線を作成した(図3及び図4)。検出限界と定量限界は、ピーク強度とノイズの比(sn比)から計算され、それぞれsn=3及び10であった。
LC
溶媒:アセトン/アセトニトリル−80:20(v/v)
流速:1mL/分
カラム温度:15℃
MS
イオン源:polarity, APCI positive; corona current, 3.0 μA
イオン源温度:120℃
脱溶媒和温度:450℃
cone gas flow:50L/時間
desolvation gas flow:200L/時間
データ収集モード:多重反応モニタリング(MRM)
アルゴンで置換した容量100mLの四つ口フラスコに1,2−ジパルミトイル−rac−グリセリン(1g)、酪酸(0.17g)、4−ジメチルアミノピリジン(0.24g)、及びジクロロメタン(10mL)を加えた。そこへ、N−エチルジイソプロピルアミン(0.25g)と1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド ハイドロクロライド(0.37g)を加え、−20℃で一晩撹拌を行った。反応溶液を直接濃縮することで得た油状化合物をフラッシュカラムクロマトグラフィーに供することで、無色油状のrac−PPBu(0.8g、収率72%)を得た。
CI−MS:m/z 551(45%),384(100%)
APCI−MS:m/z 656[M+NH4]+
不活性ガス(アルゴン)で置換した容量100mLの四つ口フラスコに1,3−ジパルミチン(1g)、酪酸(0.17g)、4−ジメチルアミノピリジン(0.24g)、及びジクロロメタン(10mL)を加えた。そこへ、N−エチルジイソプロピルアミン(0.25g)と1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド ハイドロクロライド(0.37g)を加え、−20℃で一晩撹拌を行った。反応溶液を直接濃縮することで得た油状化合物をフラッシュカラムクロマトグラフィーに供することで、無色油状のsn−PBuP(0.5g、収率45%)を得た。
CI−MS:m/z 551(25%),384(100%)
APCI−MS:m/z 656[M+NH4]+
測定試料として、市販の3種類のバターから、それぞれFolchの方法で脂質を抽出した。まず、バターを蒸留水で9倍(体積比)に希釈し、スクリュー栓付きの試験管中の倍量のクロロホルム/メタノール溶液(体積比2:1)に加えた。この混合液をボルテックスミキサーを用いて激しく混合し、1,500Gで10分間遠心分離を行った。下層を集めた後、室温で窒素気流を用いて濃縮し、脂質の重さを量り、バターオイルとした。このバターオイルを2−プロパノールに溶解し終濃度5mg/mLとなるように試料溶液を調製した。同時に、試料溶液にはトリウンデカノインを終濃度10μg/mLとなるように添加し、内部標準とした。この試料溶液をLC−MS/MSに供し、得られたイオンピークと実施例1の検量線(図3)から、バターオイル中のsn−PPBu及びsn−BuPPの含有量を表1に示すように決定することができた。このとき、rac−PBuPは検出されなかった。
測定試料として、方法Aで用いたバターと同じ市販の3種類のバターを2−プロパノールに溶解し、それぞれ終濃度5mg/mLとなるように試料溶液を調製した。同時に、試料溶液にはトリウンデカノインを終濃度10μg/mLとなるように添加し、内部標準とした。この試料溶液をLC−MS/MSに供し、得られたイオンピークと実施例1の検量線(図4)から、バターオイル中のsn−PPBu及びsn−BuPPの含有量を表1に示すように決定することができた。このとき、rac−PBuPは検出されなかった。
市販のバター15%使用マーガリンのsn−PPBu及びsn−BuPPの含有量を実施例3の方法Aと同条件で測定したところ、概マーガリン抽出油100g中にsn−PPBuは0.58±0.01g含まれることが分かった。これを式1に当てはめたところ、市販のバター15%使用マーガリンの乳脂肪含有量は14.76± 0.26gとなり、このマーガリンには表示の値とほぼ同じ量のバターが含まれていることが分かった。
市販のバター15%使用マーガリンのsn−PPBu含有量を実施例3の方法Bと同条件で測定したところ、概マーガリン抽出油100g中にsn−PPBuは0.59±0.01g含まれることが分かった。これを式1に当てはめたところ、市販のバター15%使用マーガリンの乳脂肪含有量は14.81± 0.19gとなり、このマーガリンには表示の値とほぼ同じ量のバターが含まれていることが分かった。
GC法(酪酸測定法)によるバター中の酪酸含有量の測定
実施例1で用いた市販の3種類のバター100mgを2mLのn−ヘキサンに溶解し、1mLのイソ吉草酸ブチルのn−ヘキサン標準溶液(0.5mg/mL)及び2Mの水酸化カリウムのn−ブタノール溶液加えた。前期溶液をボルテックスミキサーで激しく撹拌した後に蒸留水を加え、3,000Gで10分間遠心分離を行った。n−ヘキサン層を集めた後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、試料溶液を調製した。この試料溶液をGCに供し、バターオイル中の酪酸の含有量を表2に示すように決定することができた。
市販のバターとマーガリンを実施例3の方法Aと同様にFolchの方法で脂質を抽出し、バターオイル(BO)とマーガリンオイル(MO)を調製した。このBOとMOとを重量比(BO:MO)で5:95,20:80,50:50,及び80:20で混合した4種類の試料を、それぞれ2−プロパノールに溶解し終濃度5mg/mLとなるように試料溶液を調製した。同時に、試料溶液にはトリウンデカノインを終濃度10μg/mLとなるように添加し、内部標準とした。この試料溶液をLC−MS/MSに供し、得られたイオンピークと実施例1の検量線(図3)から、各試料溶液中のsn−PPBuの含有量を決定することができた。この結果、各試料中の乳脂肪の含有量を表3に示すように決定することができた。
上記4種類の試料各100mgを2mLのn−ヘキサンに溶解し、1mLのイソ吉草酸ブチルのn−ヘキサン標準溶液(0.5mg/mL)及び2Mの水酸化カリウムのn−ブタノール溶液加えた。前期溶液をボルテックスミキサーで激しく撹拌した後に蒸留水を加え、3,000Gで10分間遠心分離を行った。n−ヘキサン層を集めた後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、試料溶液を調製した。この試料溶液をGCに供し、各試料溶液中の酪産ブチルの含有量を定量することで、各試料中の乳脂肪の含有量を表3に示すように決定することができた。
市販のパッケージにバター3%使用との表示がなされているバタークッキーについて、前記バタークッキー1gを砕き、蒸留水で9倍(体積比)に希釈し、スクリュー栓付きの試験管中の倍量のクロロホルム/メタノール溶液(体積比2:1)に加えた。この混合液をボルテックスミキサーを用いて激しく混合し、1,500Gで10分間遠心分離を行った。下層を集めた後、室温で窒素気流を用いて濃縮し、脂質の重さを量り、バターオイルとした。このバターオイルを2−プロパノールに溶解し終濃度5mg/mLとなるように試料溶液を調製した。同時に、試料溶液にはトリウンデカノインを終濃度10μg/mLとなるように添加し、内部標準とした。この結果、バタークッキー抽出油100g中にはsn−PPBuが0.38±0.02g含まれており、また、実施例3で求めたKA=3.91と式Iからバタークッキー100gの乳脂肪含有量は9.64±0.42gであると求められた。
前記バタークッキー1gを砕き、2−プロパノールで希釈して40mg/mLの試料溶液とした。同時に、試料溶液にはトリウンデカノインを終濃度10μg/mLとなるように添加し、内部標準とした。この試料溶液を0.45μmのメンブレンフィルターで濾過した後にLC−MS/MSに供し、バタークッキー100g中のsn−PPBu含有量が0.39±0.00gであることを確認した。また、実施例3で求めたKB=3.99と式Iからバタークッキー100gの乳脂肪含有量は9.73g±0.10であると求められた。
このように、本発明は食品産業において有用である。
Claims (10)
- 以下の工程(a)及び(b)を順次備えた、食品中の乳脂肪含量の測定法。
(a)食品試料中に含まれる1,2−ジパルミトイル−3−ブチロイル−sn−グリセロール(sn−PPBu)及び1−ブチロイル−2,3−ジパルミトイル−sn−グリセロール(sn−BuPP)を定量する工程;
(b)sn−PPBu及びsn−BuPPの測定値から次式により乳脂肪含量を算出する工程;
乳脂肪含量(g/100g)={sn−PPBu測定値(g)+sn−BuPP測定値(g)}/K×100
(但し、Kは、乳脂肪100g中に含まれるsn−PPBu及びsn−BuPPの含有量) - 工程(a)において、sn−PPBu及びsn−BuPPをLC−MS/MSにより定量することを特徴とする請求項1記載の食品中の乳脂肪含量の測定法。
- 工程(a)において、内部標準を用いることを特徴とする請求項1又は2記載の食品中の乳脂肪含量の測定法。
- 工程(a)において、食品試料から油脂を単離することなく、食品試料を有機溶剤で直接希釈して、sn−PPBu及びsn−BuPPを定量することを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の食品中の乳脂肪含量の測定法。
- さらに、(c)食品試料中の1,3−ジパルミトイル−2−ブチロイル−sn−グリセロール(sn−PBuP)を検出する工程;を備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の食品中の乳脂肪含量の測定法。
- 工程(b)のに前に、C28カラム又はC30カラムを用いた逆相液体クロマトグラフィーにより、sn−PPBu及びsn−BuPPとsn−PBuPとを分離することを特徴とする請求項5記載の食品中の乳脂肪含量の測定法。
- 対照としての1,2−ジパルミトイル−3−ブチロイル−sn−グリセロール(sn−PPBu)と1−ブチロイル−2,3−ジパルミトイル−sn−グリセロール(sn−BuPP)との任意の比の混合物を含む標準溶液を備えたことを特徴とする食品中の乳脂肪含量を測定するためのキット。
- sn−PPBuとsn−BuPPとの任意の比の混合物が、1,2−ジパルミトイル−3−ブチロイル−rac−グリセロール(rac−PPBu)であることを特徴とする請求項7記載の食品中の乳脂肪含量を測定するためのキット。
- 標準溶液が、さらに1,3−ジパルミトイル−2−ブチロイル−sn−グリセロール(sn−PBuP)を含むことを特徴とする請求項7又は8記載の食品中の乳脂肪含量を測定するためのキット。
- sn−PPBuとsn−BuPPとの任意の比の混合物を含む標準溶液、若しくはrac−PPBu標準溶液を含む標準溶液、又はsn−PBuPを含む標準溶液が、内部標準を含む標準溶液であることを特徴とする請求項7〜9のいずれか記載の食品中の乳脂肪含量を測定するためのキット。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012191837A JP5936957B2 (ja) | 2012-08-31 | 2012-08-31 | 乳脂肪含有量の測定法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012191837A JP5936957B2 (ja) | 2012-08-31 | 2012-08-31 | 乳脂肪含有量の測定法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2014048173A true JP2014048173A (ja) | 2014-03-17 |
JP5936957B2 JP5936957B2 (ja) | 2016-06-22 |
Family
ID=50607996
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2012191837A Expired - Fee Related JP5936957B2 (ja) | 2012-08-31 | 2012-08-31 | 乳脂肪含有量の測定法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5936957B2 (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2017051875A1 (ja) * | 2015-09-24 | 2017-03-30 | 昭和電工株式会社 | 紫外線吸収能を有する化合物またはその塩、およびその製造方法、皮膚外用剤、化粧料 |
JP2019049428A (ja) * | 2017-09-08 | 2019-03-28 | 月島食品工業株式会社 | トリアシルグリセロールの位置異性体及び/又は鏡像異性体を製造する方法 |
JP2019536063A (ja) * | 2016-11-07 | 2019-12-12 | クロマレオント エッセエッレエッレ | 液体クロマトグラフィーにおける新規保持指数システムを用いた未知化合物の同定 |
CN111855480A (zh) * | 2020-08-24 | 2020-10-30 | 浙江养生堂天然药物研究所有限公司 | 一种液态乳中脂肪含量的检测方法 |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009153425A (ja) * | 2007-12-26 | 2009-07-16 | Nisshin Oillio Group Ltd | 油脂組成物 |
-
2012
- 2012-08-31 JP JP2012191837A patent/JP5936957B2/ja not_active Expired - Fee Related
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009153425A (ja) * | 2007-12-26 | 2009-07-16 | Nisshin Oillio Group Ltd | 油脂組成物 |
Non-Patent Citations (1)
Title |
---|
KAZUAKI YOSHINAGA ET AL.: "Simple method for the quantification of milk fat content in foods by LC-APCI-MS/MS using 1,2-dipalmi", JOURNAL OF OLEO SCIENCE, vol. No.32,Vol.3, JPN6016016410, 2013, JP, pages 115 - 121, ISSN: 0003313093 * |
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2017051875A1 (ja) * | 2015-09-24 | 2017-03-30 | 昭和電工株式会社 | 紫外線吸収能を有する化合物またはその塩、およびその製造方法、皮膚外用剤、化粧料 |
JPWO2017051875A1 (ja) * | 2015-09-24 | 2018-07-26 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 | 紫外線吸収能を有する化合物またはその塩、およびその製造方法、皮膚外用剤、化粧料 |
JP2019536063A (ja) * | 2016-11-07 | 2019-12-12 | クロマレオント エッセエッレエッレ | 液体クロマトグラフィーにおける新規保持指数システムを用いた未知化合物の同定 |
JP7169283B2 (ja) | 2016-11-07 | 2022-11-10 | クロマレオント エッセエッレエッレ | 液体クロマトグラフィーにおける新規保持指数システムを用いた未知化合物の同定 |
US11573214B2 (en) | 2016-11-07 | 2023-02-07 | Chromaleont Srl | Identification of unknown compounds by using a novel retention index system in liquid chromatography |
JP2019049428A (ja) * | 2017-09-08 | 2019-03-28 | 月島食品工業株式会社 | トリアシルグリセロールの位置異性体及び/又は鏡像異性体を製造する方法 |
JP6991021B2 (ja) | 2017-09-08 | 2022-01-12 | 月島食品工業株式会社 | トリアシルグリセロールの位置異性体及び/又は鏡像異性体を製造する方法 |
CN111855480A (zh) * | 2020-08-24 | 2020-10-30 | 浙江养生堂天然药物研究所有限公司 | 一种液态乳中脂肪含量的检测方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP5936957B2 (ja) | 2016-06-22 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Ovčačíková et al. | Retention behavior of lipids in reversed-phase ultrahigh-performance liquid chromatography–electrospray ionization mass spectrometry | |
La Nasa et al. | A novel HPLC-ESI-Q-ToF approach for the determination of fatty acids and acylglycerols in food samples | |
Lísa et al. | Lipidomic profiling of biological tissues using off-line two-dimensional high-performance liquid chromatography–mass spectrometry | |
Bollinger et al. | LC/ESI-MS/MS detection of FAs by charge reversal derivatization with more than four orders of magnitude improvement in sensitivity [S] | |
Shen et al. | Determination of vanillin, ethyl vanillin, and coumarin in infant formula by liquid chromatography-quadrupole linear ion trap mass spectrometry | |
Beltrán et al. | Determination of patulin in apple and derived products by UHPLC–MS/MS. Study of matrix effects with atmospheric pressure ionisation sources | |
Mannion et al. | Comparison and validation of 2 analytical methods for the determination of free fatty acids in dairy products by gas chromatography with flame ionization detection | |
JP5936957B2 (ja) | 乳脂肪含有量の測定法 | |
Sanchez-Avila et al. | Fast, sensitive and highly discriminant gas chromatography–mass spectrometry method for profiling analysis of fatty acids in serum | |
WO2020061296A1 (en) | System and method for lipid quantification | |
Hori et al. | High-throughput and sensitive analysis of 3-monochloropropane-1, 2-diol fatty acid esters in edible oils by supercritical fluid chromatography/tandem mass spectrometry | |
Herrera et al. | A method for determining regioisomer abundances of polyunsaturated triacylglycerols in omega-3 enriched fish oils using reversed-phase liquid chromatography and triple-stage mass spectrometry | |
Paroni et al. | Bioactive phytochemicals of tree nuts. Determination of the melatonin and sphingolipid content in almonds and pistachios | |
Saliu et al. | Identification of triacylglycerols in archaelogical organic residues by core–shell reversed phase liquid chromatography coupled to electrospray ionization-quadrupole-time of flight mass spectrometry | |
Palmgrén et al. | Quantitative determination of cholesterol, sitosterol, and sitostanol in cultured Caco-2 cells by liquid chromatography–atmospheric pressure chemical ionization mass spectrometry | |
Papastergiadis et al. | Development of a sensitive and accurate stable isotope dilution assay for the simultaneous determination of free 4-hydroxy-2-(E)-nonenal and 4-hydroxy-2-(E)-hexenal in various food matrices by gas chromatography–mass spectrometry | |
Becalski et al. | Glycidyl fatty acid esters in food by LC-MS/MS: method development | |
Garlito et al. | Identification of very long-chain (> C24) fatty acid methyl esters using gas chromatography coupled to quadrupole/time-of-flight mass spectrometry with atmospheric pressure chemical ionization source | |
Beccaria et al. | Highly informative multiclass profiling of lipids by ultra-high performance liquid chromatography–Low resolution (quadrupole) mass spectrometry by using electrospray ionization and atmospheric pressure chemical ionization interfaces | |
Müller et al. | Improving the resolution of overlapping peaks by heartcut two-dimensional countercurrent chromatography with the same solvent system in both dimensions | |
Müller et al. | Identification of two α-tocodienol isomers in palm oil after countercurrent chromatographic enrichment | |
Zhu et al. | Simultaneous analysis of tocopherols, tocotrienols, phospholipids, γ-oryzanols and β-carotene in rice by ultra-high performance liquid chromatography coupled to a linear ion trap-orbitrap mass spectrometer | |
Englert et al. | Overcoming the equivalent-chain-length rule with pH-zone-refining countercurrent chromatography for the preparative separation of fatty acids | |
EP3783358B1 (en) | Method for analyzing triglyceride, method for separating oil and fat, and method for manufacturing triglyceride | |
JP2019196948A (ja) | トリグリセリドの分析方法、油脂の選別方法、及びトリグリセリドの製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20150804 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20160420 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20160509 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20160511 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5936957 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |