JP2014010053A - 水検出用試薬、および、非プロトン性極性溶媒中の水の濃度を定量的に測定する方法 - Google Patents

水検出用試薬、および、非プロトン性極性溶媒中の水の濃度を定量的に測定する方法 Download PDF

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Abstract

【課題】非プロトン性極性溶媒中の水を容易に検出する水検出試薬、および、それを用いて非プロトン性極性溶媒中の水の濃度を定量的に測定する方法を提供する。
【解決手段】非プロトン性極性溶媒中の水を検出する水検出用試薬は、特定式で表されるオキソポルフィリノーゲン(OxP)からなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、水を検出する水検出用試薬およびそれを用いた水の濃度を測定する方法に関し、より詳細には、非プロトン性極性溶媒中の水を検出する水検出用試薬、および、それを用いた非プロトン性極性溶媒中の水の濃度を定量的に測定する方法に関する。
有機溶媒、特に非プロトン性極性溶媒中の水(HO)の定量分析は重要である。非プロトン性極性溶媒は、アルカリ金属、有機リチウム、グリニャール試薬等の水に対して可燃性の試薬の溶媒として用いられるが、水と容易に混和する。そのため、非プロトン性極性溶媒を可燃性の試薬の溶媒として用いる際には、安全のため、非プロトン性溶媒中に水が混和していないことが必要である。
非プロトン性極性溶媒中に混和した水を検出する方法としてカールフィッシャー法が知られている。カールフィッシャー法は、水と選択的かつ定量的に反応するカールフィッシャー試薬を用いて、電量滴定法または容量滴定法により検出する方法である。カールフィッシャー法によれば、1ppmまでのHO濃度を検出できるが、電量滴定法または容量滴定法のいずれも専用装置を必要とし、汎用性に乏しい。また、用いるカールフィッシャー試薬は、メタノール、ヨウ素、二酸化硫黄等を含む毒性の試薬であり、人体に有害である。
別の非プロトン性極性溶媒中に混和した水を検出する方法として色素分子を用いる方法がある。HO濃度の変化に応答して、色素の蛍光が抑制される、または、色素の蛍光スペクトルが変化する。このような色素分子を用いた場合、約20ppmのHO濃度を検出できる。しかしながら、蛍光スペクトルの分析の精度は、消光剤、光退色、濃度、温度等の種々の因子により影響される。
したがって、毒性がなく、汎用性に優れ、安定かつ簡便に非プロトン性極性溶媒中の水を検出できる試薬があれば、望ましい。また、そのような試薬を用い、非プロトン性極性溶媒中の水の濃度を定量的に測定できる方法があれば、望ましい。
本発明の課題は、非プロトン性極性溶媒中の水を容易に検出する水検出試薬、および、それを用いて非プロトン性極性溶媒中の水の濃度を定量的に測定する方法を提供することである。
本発明による非プロトン性極性溶媒中の水を検出する水検出用試薬は、式(1)で表されるオキソポルフィリノーゲンからなり、

ここで、R1は、水素であり、R2は、水素またはベンジル基を介して結合した有機官能基であり、これにより上記課題を達成する。
前記非プロトン性極性溶媒は、テトラヒドロフラン、ジオキサンおよびジメチルホルムアミドからなる群から選択される有機溶媒であってもよい。
前記有機官能基は、アニオン性有機官能基であってもよい。
前記アニオン性有機官能基は、カルボン酸塩、リン酸塩およびスルホン酸塩からなる群から少なくとも1つ選択される塩を含有してもよい。
前記R2は、式(2)からなる群から選択されるベンジル基を介して結合した有機官能基であってもよい。

本発明による非プロトン性極性溶媒中の水の濃度を測定する方法は、水検出用試薬を前記非プロトン性極性溶媒に加え、被験液を調製するステップであって、前記水検出用試薬は、式(1)で表されるオキソポルフィリノーゲンからなり、

ここで、R1は、水素であり、R2は、水素またはベンジル基を介して結合した有機官能基である、ステップと、前記被験液の吸収スペクトルを測定するステップと、前記吸収スペクトルから水の濃度に影響されない等吸収点の吸光度A1、および、水の濃度に影響される吸収ピークの吸光度A2を読み取るステップと、前記吸光度A1およびA2から比A2/A1を算出するステップと、前記吸光度A1および前記比A2/A1に基づいて前記被験液中の水の濃度を決定するステップとを包含し、これにより上記課題を達成する。
前記決定するステップは、前記水検出用試薬を用いた、前記非プロトン性極性溶媒における水の濃度と、前記吸光度A1と、前記比A2/A1との関係を示す較正図を用いてもよい。
前記決定するステップに先立って、前記水検出用試薬による前記非プロトン性極性溶媒における水の濃度と、前記吸光度A1と、前記比A2/A1との関係を示す較正図を作成するステップを包含してもよい。
前記測定するステップは、10℃〜30℃の温度範囲で行ってもよい。
本発明による非プロトン性極性溶媒中の水を検出する水検出用試薬は、上記
式(1)で表されるオキソポルフィリノーゲン(OxP)からなる。これにより、式(1)で表されるOxPは、非プロトン性極性溶媒中に存在する水と容易に水素結合することにより、非プロトン性極性溶媒中でのOxPの吸収スペクトルを変化させる。このような吸収スペクトルの変化を利用して、非プロトン性極性溶媒中の水分量を判定できる。OxPは、化学変化ならびに光退色をしないので、安定している。また、顕著な毒性は見出されておらず、人体への有害性は報告されていない。さらに、OxPは、再利用可能であるので、環境にやさしい。
また、本発明による水の濃度を決定する方法によれば、上記OxPを含有させた非プロトン性極性溶媒の吸収スペクトルを測定するステップと、水の濃度に影響されない等吸収点の吸光度A1、および、水の濃度に影響される吸収ピークの吸光度A2を読み取るステップと、比A2/A1を算出するステップと、吸光度A1および比A2/A1に基づいて水の濃度を決定するステップとを包含する。吸収スペクトルを測定するだけでよいので、専用装置を必要とせず、汎用性に優れる。また、上記吸光度A1および比A2/A1を求めるだけで、高精度かつ簡便に水の濃度を決定できる。
本発明による水検出用試薬を構成するオキソポルフィリノーゲンを示す模式図 本発明による水検出用試薬の水に対する吸収スペクトルの変化を模式的に示す図 本発明による水検出用試薬を用いて非プロトン性極性溶媒中の水の濃度を測定するステップを示すフローチャート 本発明による水検出用試薬を用いた例示的な較正図を示す図 実施例1によるOxP1を添加したTHF中の水の有無による変化を示す図 実施例1による種々の水の濃度を有するTHF中のOxP1の吸収スペクトルの変化を示す図 実施例1によるOxP1を添加したTHFの滴定実験の結果を示す図 実施例2によるOxP2を添加したTHFの滴定実験の結果を示す図 実施例3によるOxP3を添加したTHFの滴定実験の結果を示す図 実施例4によるOxP4を添加したTHFの滴定実験の結果を示す図 実施例5によるOxP5を添加したTHFの滴定実験の結果を示す図 実施例6によるOxP6を添加したTHFの滴定実験の結果を示す図 比較例7によるOxP7を添加したTHFの滴定実験の結果を示す図 実施例8によるOxP1およびBHTを添加したTHFの滴定実験の結果を示す図 実施例1によるOxP1を添加したTHFの吸収スペクトルの温度依存性を示す図 実施例1によるOxP1を繰り返し使用した場合の吸収スペクトル(A)および吸光度の変化(B)を示す図 実施例1によるOxP1の較正図 実施例および比較例9〜12の種々のOxPを添加した種々の溶媒中の水を検出する様子を示す図
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、同様の構成要素には同様の参照番号を付し、その説明を省略する。
図1は、本発明による水検出用試薬を構成するオキソポルフィリノーゲンを示す模式図である。
本発明による水検出用試薬は、非プロトン性極性溶媒中の水を検出する水検出用試薬であって、式(1)で表されるオキソポルフィリノーゲン(以降では単にOxPと称する)100(図1)からなる。


ここで、R1は、水素であり、R2は、水素またはベンジル基を介して結合した有機官能基である。
非プロトン性極性溶媒は、プロトン供与性を有さない溶媒であれば特に制限されるものではないが、好ましくは、テトラヒドロフラン、ジオキサンおよびジメチルホルムアミドからなる群から選択される溶媒である。これらの溶媒であれば、本発明による水検出用試薬を用いて、確実に混和した水を検出することができる。
R2がベンジル基を介して結合した有機官能基である場合、好ましくは、R2はアニオン性官能基である。R2がアニオン性官能基であれば、水に対するOxP100の感度を上げることができるので、高精度に水を検出できる。
さらに好ましくは、R2は、カルボン酸塩、リン酸塩およびスルホン酸塩からなる群から少なくとも1つ選択されるアニオン性官能基である。これらの官能基であれば、水に対するOxP100の感度を上げることができる。
R2がベンジル基を介して結合した有機官能基である場合、例えば、式(2)からなる群から選択されるベンジル基を介して結合した有機官能基である。これらの有機官能基であれば、OxP100は、水に対する高い感度を有する。式(2)において、アルキル基は、例えば、メチル基であるが、これに限定されない。アルキル基は、n−プロピル基、n−ドデシル基などの直鎖型アルキル基や、2−エチルヘキシル基などの分岐型アルキル基等であってもよく、当業者であれば適宜アルキル基を選択し得る。
本発明による水検出用試薬は上述したようにOxP100からなる。OxP100は、ピロールNH110において1つのHO分子、および、キノイドC=O120、130、140および150において最大4つのHO分子と結合し、水素結合を形成し得る。この水素結合の形成により、非プロトン性極性溶媒中のOxPの吸収スペクトルが変化するので、非プロトン性極性溶媒と混和した水を検出できる。なお、キノイドC=O側に1つでも水素結合が形成されれば、吸収スペクトルは変化するので、微量の水(濃度)であっても検出できる。
次に、本発明の水検出用試薬の吸収スペクトルの変化を説明する。
図2は、本発明による水検出用試薬の水に対する吸収スペクトルの変化を模式的に示す図である。
図2の吸収スペクトル210は、無水非プロトン性極性溶媒中の水検出用試薬の吸収スペクトルであり、吸収スペクトル220は、水と混和した非プロトン性極性溶媒中の水検出用試薬の吸収スペクトルである。
図2に示すように、本発明の水検出用試薬の吸収スペクトルは、水の有無および水の濃度により吸収スペクトルの形状が明瞭に変化する。これは、上述したように、本発明の水検出用試薬を構成するOxP100がHO分子と結合し、水素結合を形成することに起因する。
図2では、ピークP1は、水(水分量)に影響を受けない等吸収点である。ピークP2およびP3の吸光度は、水の濃度に影響を受け、変化している。詳細には、ピークP2の吸光度は、水の存在により低減し、一方、ピークP3の吸光度は、水の存在により増大する。
このような水検出用試薬の吸収スペクトルの吸光度の変化の程度は、非プロトン性極性溶媒中の水の濃度に依存するが、その変化の傾向は変わらない。したがって、これらのピーク強度の変化を利用することによって、非プロトン性極性溶媒中の水の存否だけでなく、水の濃度の定量分析も可能である。また、非プロトン性極性溶媒中の水の濃度が高い場合、これらのピーク強度の変化が極めて顕著になるため、目視にて、非プロトン性極性溶媒が水を含有することを判定できる。
本発明の水検出用試薬を構成するOxPは、顕著な毒性は見出されておらず、人体への有害性は報告されていない。また、化学変化ならびに光退色をしないので、安定して非プロトン性極性溶媒中の水を検出することができる。さらに、OxPは、再利用可能であるので、環境にやさしい。
なお、吸収スペクトルは、紫外可視吸収スペクトルが好ましい。これは、本発明の水検出用試薬を構成するOxPは、紫外可視領域において水の濃度に影響を受ける、および、受けないピークを確実に有するためである。
次に、図2〜図4を参照し、本発明の水検出用試薬を用いて、非プロトン性極性溶媒中の水の濃度を定量的に測定する方法を説明する。
図3は、本発明による水検出用試薬を用いて非プロトン性極性溶媒中の水の濃度を測定するステップを示すフローチャートである。
ステップ310:水検出用試薬を非プロトン性極性溶媒に加え、被験液を調製する。ここで、水検出用試薬は、上述した式(1)で示されるOxPからなるので、説明を省略する。被験液の濃度の調整は特に必要はない。
ステップ320:被験液の吸収スペクトルを測定する。吸収スペクトルの測定は、紫外可視領域が好ましく、通常の測定装置を用いることができる。測定は、好ましくは、10℃〜30℃の温度範囲で行う。この温度範囲であれば、吸収スペクトルは温度にほとんど依存しないので、正確な濃度を求めることができる。
ステップS330:吸収スペクトルから水の濃度に影響されない等吸収点の吸光度A1、および、水の濃度に影響される吸収ピークP2の吸光度A2を読み取る。ここで、測定された被験液の吸収スペクトルは吸収スペクトル220(図2)であるとする。なお、水の濃度に影響される吸収ピークP3の吸光度A3を読み取ってもよいが、水の濃度に影響される吸収ピークが複数ある場合、温度による影響をうけず、最大吸光度を有する吸収ピークを採用することがよい。これにより、高精度に水の濃度を求めることができる。
ステップS340:吸光度A1および比A2/A1を算出する。吸収スペクトル220において、水の濃度に影響されない等吸収点はP1であり、その吸光度はA1である。一方、吸収スペクトル220において、水の濃度に影響される吸収ピークはP2であり、その吸光度はA2である。
ステップS350:吸光度A1および比A2/A1に基づいて被験液中の水の濃度を決定する。本発明の水検出用試薬を用いれば、吸光度A1と比A2/A1と水の濃度との間に所定の関係(後述する)を有するので、水の濃度を決定することができる。
好ましくは、ステップS350において、吸光度A1と比A2/A1と水の濃度との関係を示す較正図を用いる。これにより、簡便かつ瞬時に水の濃度を決定できる。例えば、較正図のデータを格納している電子計算機を用いてもよい。
図4は、本発明による水検出用試薬を用いた例示的な較正図を示す図である。
較正図は次のようにして求めればよい。
A2=A2(p)×c’/c (f1)
A1=A1×c’/c (f2)
ここで、A1およびA2は、図2の吸収スペクトルから得られる等吸収点P1および吸収ピークP2の吸光度である。A1は、滴定実験で得た等吸収点P1の吸光度である。cは、滴定実験で得たOxPの濃度であり、c’は、被験液中のOxPの濃度である。A2(p)は、次式から算出される結合等温線であり、独立変数pで表され、非プロトン性極性溶媒中の水の濃度(単位はppm)である。


ここで、ΔA2は、1水分子の結合あたりのOxPの吸収ピークP2における吸光度の変化であり、Bは、水分子を有さないOxPの吸収ピークP2における吸光度であり、βiは系全体の結合定数である。
式(f1)および(f2)は、次のように書き換えられる。
A2/A1=A2(p)/A1 (f3)
ここで、A2/A1は、上述のステップS340の比である。したがって、ステップS350における等吸収点P1の吸光度A1および比A2/A1の2つのパラメータが、水の濃度を求めるための基準となることが分かる。以上より、較正図は、式(f3)にしたがって、吸光度A1および比A2/A1の種々の組み合わせにおける較正曲線測定に基づいて作成される。
図4では、8つの水の濃度領域a〜hに分けられた較正図が示される。各領域に所定の水の濃度範囲が割り当てられている。比A2/A1の値が大きいほど水の濃度が低く、A1の値が大きいほど本発明の水検出用試薬の濃度が高いことが分かる。
吸収スペクトルから読み取り、算出した、吸光度A1および比A2/A1を較正図にプロットし、どの領域に属するかを見るだけで、非プロトン性溶媒中の水の濃度を決定することができる。
なお、このような較正図は、ステップS350に先立って、上記式を用いて作成しておいてもよい。
次に具体的な実施例を用いて本発明を詳述するが、本発明がこれら実施例に限定されないことに留意されたい。
<実施例1>
実施例1は、本発明の水検出用試薬として、式(1)において、R1が水素(H)であり、R2がベンジル基を介した有機官能基としてアニオン性官能基であるカルボキシベンジルナトリウムである、N21,N23−ビス(4−カルボキシベンジル)−5,10,15,20−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−オキソ−2,5−シクロヘキサジエニリデン)ポルフィリノーゲン二ナトリウム塩(以降では単にOxP1と称する)に関する。また、非プロトン性極性溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を用いた。
OxP1の製造には、式(1)においてR1およびR2がいずれも水素である5,10,15,20−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−オキソ−2,5−シクロヘキサジエニリデン)ポルフィリノーゲン(以降では単にOxP2と称する)を出発原料に用いた。OxP2は、J.P.Hillら,Eur.J.Org.Chem.,2005,2893に基づいて製造された。次いで、メチル−4−(ブロモメチル)ベンゾエート(東京化成工業株式会社)を用いて、OxP2のN−アルキル化により、N21,N23−ビス(4−(メトキシカルボニル)ベンジル)−5,10,15,20−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−オキソ−2,5−シクロヘキサジエニリデン)ポルフィリノーゲン(以降では単にOxP4と称する)を製造した。
得られた固体粉末がOxP4であることを、核磁気共鳴(NMR分光法)を用いて同定した。用いた装置は、AL300 BX分光器(JEOL,日本)であり、測定は25℃で行った。また、Shimadzu−Kratos Axima CFR+MALDI−TOF質量分析計を用いて質量スペクトルを測定した。マトリクスにはジスラノールを用いた。これらの結果を示す。
H−NMR(CDCl,300MHz):δ=9.66(s,2H,NH),7.82(d,4H,Ar−H),7.56(s,4H,ヘミ−キノン−H),7.03(s,4H,ヘミ−キノン−H),6.89(s,4H,ピロールβ−H),6.82(d,4H,Ar−H),6.57(s,4H,ピロールβ−H),4.56(s,4H,ベンジル−CH),3.84(s,6H,COOCH),1.34(s,36H,tert−ブチル),1.21(s,36H,tert−ブチル)ppm
MALDI−TOF−MS:C94108の理論値1421.82m/z,実験値1423.31m/z[M+H]
次いで、OxP4(20mg)をテトラヒドロフラン(THF、超脱水、安定剤不使用、HO<0.001%、和光純薬工業株式会社)(50mL)に溶解させ、メタノール(10mL)とKOH(100mg)が溶解したHO(5mL)との混合物を加えた。混合溶液を24時間還流し、室温まで冷却した。有機溶媒を減圧下で蒸発させた。得られた紫色の粉末をジクロロメタンに溶解させ、0.1MのHCl水溶液で洗浄し、純水にて2回洗浄した。ジクロロメタンを蒸発させ、得られた固体を真空下で一晩乾燥させた。このようにして、OxP4から、式(1)においてR1が水素であり、R2がカルボキシベンジルである、N21,N23−ジ(4−カルボキシベンジル)−5,10,15,20−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−オキソ−2,5−シクロヘキサジエニリデン)ポルフィリノーゲン(以降では単にOxP5と称する)を得た。
得られた固体粉末がOxP5であることを、NMR分光法により同定し、質量スペクトルを測定した。これらの結果を示す。
H−NMR(CDCl−CDOD,300MHz):δ=7.85(d,4H,Ar−H),7.62(s,4H,ヘミ−キノン−H),7.13(s,4H,ヘミ−キノン−H),6.95(s,4H,ピロールβ−H),6.83(d,4H,Ar−H),6.71(s,4H,ピロールβ−H),4.56(s,4H,ベンジル−CH),1.23(m,72H,tert−ブチル)ppm
MALDI−TOF−MS:C92104の理論値1393.79m/z,実験値1394.94m/z[M+H]
次いで、OxP5(5mg)をTHF(20mL)に溶解し、メタノール(5mL)とNaOH(5mg)が溶解したHO(2mL)との混合物を加えた。混合溶液を室温にて撹拌し、溶媒を減圧下で蒸発させた。得られた紫色の粉末を0.22μmPVDFフィルタ上で蒸留水により数回洗浄した。残渣をTHFに溶解させ、溶媒を減圧下で蒸発させ、真空下で一晩乾燥させた。このようにして、OxP5からOxP1を製造した。
最終的に得られた固体粉末がOxP1であることを、NMR分光法により同定し、質量スペクトルを測定した。これらの結果を示す。
H−NMR(CDClCDOD,300MHz):δ=7.73(d,4H,Ar−H),7.67(s,4H,ヘミ−キノン−H),7.30(s,4H,ヘミ−キノン−H),6.98(s,4H,ピロールβ−H),6.75(d,4H,Ar−H),6.61(s,4H,ピロールβ−H),4.60(s,4H,ベンジル−CH),1.33(s,36H,tert−ブチル),1.25(s,36H,tert−ブチル)ppm
MALDI−TOF−MS:C92102Naの理論値1436.75m/z,実験値1395.10m/z[M−2Na+3H]
OxP1(0.1mg)を、非プロトン性極性溶媒として購入直後の無水THF(10mL)に投入し、外観を観察した。次いで、これにHOを添加し、外観を観察した。これらの結果を図5に示し、後述する。
次に、OxP1の水および水の濃度に対する応答性を確認し、OxP1の水に対する結合定数および感度を求めるため、吸収スペクトルを用いた滴定実験を行った。購入直後の無水THF(HO<10ppm)にOxP1を添加したTHF溶液(3.5×10−6、3mL)を1cmの石英セルに入れ、ネジ蓋をした。これの吸収スペクトルを測定した。
吸収スペクトルは、25℃、Shimadzu UV−3600 UV−vis−NIR分光光度計を用いて、波長300nm〜900nm範囲について測定された。次に、マイクロシリンジを用いてこの石英セルに超純水を添加し、よく振とうさせた後、吸収スペクトルを測定した。ここで無水THFに添加した超純水は、ヤマト科学製オートスチルWG220を用いて蒸留し、ミリポア製Milli−Q Labを用いて脱イオン化されている。THF中の水の濃度を0ppm〜33000ppmの範囲まで変化させ、種々の濃度で吸収スペクトルを測定した(以降では滴定実験とも呼ぶ)。
THF中の水の濃度が、37ppm、370ppm、3700ppmおよび33000ppmであるTHF溶液中のOxP1の吸収スペクトルを図6に示し、後述する。THF中の水の濃度を0ppm〜33000ppmの範囲のすべてのTHF溶液中のOxP1の吸収スペクトルから結合定数および感度を算出した。結果を図7に示し、後述する。
次に、OxP1の温度依存性を調べた。THF中の水の濃度が、無水(HO<10ppm)、3700ppmおよび33000ppmであるTHF溶液を、10℃、25℃、40℃および55℃の温度に保持し、それぞれの吸収スペクトルを測定した。結果を図15に示し、後述する。
次に、OxP1の繰り返し使用について調べた。THF中の水の濃度が、無水(HO<10ppm)であるTHF溶液に超純水を添加し、水の濃度が5000ppmとなるように調製した。次いで、超純水を添加したTHF溶液を真空中で1時間乾燥させて、水を除去し、無水であるOxP1の固体を得た後、無水(HO<10ppm)であるTHF溶液に溶解した。超純水を添加し、真空乾燥し、無水(HO<10ppm)であるTHF溶液に溶解するプロセスを3回繰り返した。各プロセスにおける超純水の添加時、および、真空乾燥時に、THF溶液中のOxP1の吸収スペクトルを測定した。結果を図16に示し、後述する。
次に、OxP1を用いて較正図を作成した。上述の式(f1)〜(f3)において、A1は、波長535nmにおける吸光度であり、A2は、波長507nmにおける吸光度とし、既知のTHF中の水の濃度(10ppm未満、50ppm、200ppm、500ppm、1000ppm、2000ppm、3000ppmおよび5000ppm)について較正図を作成した。OxP1のモル吸光係数εは、141150Lmol−1cm−1であった。結果を図17に示し、後述する。
<実施例2>
実施例2は、本発明の水検出用試薬として、式(1)において、R1およびR2がいずれも水素(H)である、5,10,15,20−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−オキソ−2,5−シクロヘキサジエニリデン)ポルフィリノーゲン(上述のOxP2と同一)に関する。OxP2は、実施例1のOxP1を製造するための出発原料に用いた物質である。また、非プロトン性極性溶媒としてTHFを用いた。
実施例1と同様に、OxP2の水および水の濃度に対する応答性を確認し、OxP2の水に対する結合定数および感度を求めるため、吸収スペクトルを用いた滴定実験を行った。結果を図8に示し、後述する。
<実施例3>
実施例3は、本発明の水検出用試薬として、式(1)において、R1が水素(H)であり、R2が臭化ベンジルである、N21,N23−ビス(4−ブロモベンジル)−5,10,15,20−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−オキソ−2,5−シクロヘキサジエニリデン)ポルフィリノーゲン(以降では単にOxP3と称する)に関する。また、非プロトン性極性溶媒としてTHFを用いた。
OxP3は、4−ブロモベンジル臭化物(東京化成工業株式会社)を用いて、OxP2のN−アルキル化により製造した。得られた固体粉末がOxP3であることを、NMR分光法により同定し、質量スペクトルを測定した。これらの結果を示す。
H−NMR(THF−d,300MHz):δ=9.81(s,2H,NH),7.65(d,4H,ヘミ−キノン−H),7.28(d,4H,Ar−H),7.18(d,4H,ヘミ−キノン−H),7.00(d,4H,ピロールβ−H),6.71(d,4H,Ar−H),6.69(s,4H,ピロールβ−H),4.52(s,4H,ベンジル−CH),1.34(s,36H,tert−ブチル),1.26(s,36H,tert−ブチル)ppm
MALDI−TOF−MS:C90102Brの理論値1462.62m/z,実験値1463.52m/z[M+H]
実施例1と同様に、OxP3の水および水の濃度に対する応答性を確認し、OxP3の水に対する結合定数および感度を求めるため、吸収スペクトルを用いた滴定実験を行った。結果を図9に示し、後述する。
<実施例4>
実施例4は、本発明の水検出用試薬として、式(1)において、R1が水素(H)であり、R2がメトキシカルボニルベンジルである、N21,N23−ビス(4−(メトキシカルボニル)ベンジル)−5,10,15,20−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−オキソ−2,5−シクロヘキサジエニリデン)ポルフィリノーゲン(上述のOxP4と同一)に関する。OxP4は、実施例1のOxP1を製造するために用いた物質である。また、非プロトン性極性溶媒としてTHFを用いた。
実施例1と同様に、OxP4の水および水の濃度に対する応答性を確認し、OxP4の水に対する結合定数および感度を求めるため、吸収スペクトルを用いた滴定実験を行った。結果を図10に示し、後述する。
<実施例5>
実施例5は、本発明の水検出用試薬として、式(1)においてR1が水素であり、R2がカルボキシベンジルである、N21,N23−ビス(4−カルボキシベンジル)−5,10,15,20−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−オキソ−2,5−シクロヘキサジエニリデン)ポルフィリノーゲン(上述のOxP5と同一)に関する。OxP5は、実施例1のOxP1を製造するために用いた物質である。また、非プロトン性極性溶媒としてTHFを用いた。
実施例1と同様に、OxP5の水および水の濃度に対する応答性を確認し、OxP5の水に対する結合定数および感度を求めるため、吸収スペクトルを用いた滴定実験を行った。結果を図11に示し、後述する。
<実施例6>
実施例6は、本発明の水検出用試薬として、式(1)において、R1が水素(H)であり、R2がナフチルメチルである、N21,N23−ビス(2−ナフチルメチル)−5,10,15,20−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−オキソ−2,5−シクロヘキサジエニリデン)ポルフィリノーゲン(以降では単にOxP6と称する)に関する。OxP6は、J.P.Hillら,Eur.J.Org.Chem.,2005,2893に基づいて製造された。また、非プロトン性極性溶媒としてTHFを用いた。
実施例1と同様に、OxP6の水および水の濃度に対する応答性を確認し、OxP6の水に対する結合定数および感度を求めるため、吸収スペクトルを用いた滴定実験を行った。結果を図12に示し、後述する。
<比較例7>
比較例7は、式(1)において、R1およびR2が、メトキシカルボニルベンジルである、N21,N22,N23,N24−テトラキス(4−(メトキシカルボニル)ベンジル)−5,10,15,20−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−オキソ−2,5−シクロヘキサジエニリデン)ポルフィリノーゲン(以降では単にOxP7と称する)に関する。また、非プロトン性極性溶媒としてTHFを用いた。
OxP7は、メチル−4−(ブロモメチル)ベンゾエート(東京化成工業株式会社)を用いて、OxP2のN−アルキル化により製造した。得られた固体粉末がOxP7であることを、NMR分光法により同定し、質量スペクトルを測定した。これらの結果を示す。
H−NMR(CDCl,300MHz):δ=7.93(d,8H,Ar−H),7.29(s,8H,ヘミ−キノン−H),6.77(d,8H,Ar−H),6.75(s,8H,ピロールβ−H),4.64(s,8H,ベンジル−CH),3.93(s,12H,COOCH),1.31(s,72H,tert−ブチル)ppm
MALDI−TOF−MS:C11212412の理論値1717.92m/z,実験値1718.83m/z[M+H]
実施例1と同様に、OxP7の水および水の濃度に対する応答性を確認し、OxP7の水に対する結合定数および感度を求めるため、吸収スペクトルを用いた滴定実験を行った。結果を図13に示し、後述する。
<実施例8>
実施例8は、本発明の水検出用試薬の酸化防止剤等の抑制剤の影響について調べた。実施例1で製造したOxP1に、抑制剤として3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)600ppmを加えて、実施例1と同様に、吸収スペクトルを用いた滴定実験を行った。結果を図14に示し、後述する。
<実施例9>
実施例9は、非プロトン性極性溶媒としてTHFに代えて1,4−ジオキサンを用いた以外は実施例1と同様である。OxP1(0.1mg)を、非プロトン性極性溶媒として購入直後の1,4−ジオキサン(10mL)に投入し、外観を観察した。次いで、これにHOに投入し、外観を観察した。これらの結果を図18に示し、後述する。
<実施例10>
実施例10は、非プロトン性極性溶媒としてTHFに代えてN,N−ジメチルホルムアミド(東京化成工業株式会社)を用いた以外は実施例1と同様である。OxP1(0.1mg)を、非プロトン性極性溶媒として購入直後のN,N−ジメチルホルムアミド(10mL)に投入し、外観を観察した。次いで、これにHOに投入し、外観を観察した。これらの結果を図18に示し、後述する。
<比較例11>
比較例11は、THFに代えてエタノールを用いた以外は実施例1と同様である。OxP1(0.1mg)を、エタノール(10mL)に投入し、外観を観察した。次いで、これにHOに投入し、外観を観察した。これらの結果を図18に示し、後述する。
<比較例12>
比較例12は、THFに代えてジクロロメタンを用いた以外は実施例2と同様である。OxP2(0.1mg)を、ジクロロメタン(10mL)に投入し、外観を観察した。次いで、これにHOに投入し、外観を観察した。これらの結果を図18に示し、後述する。
簡単のため、以上の実施例および比較例1〜12の実験条件を表1にまとめる。
図5は、実施例1によるOxP1を添加したTHF中の水の有無による変化を示す図である。
図5(A)は、OxP1が添加された無水THFの様子であり、図5(B)は、OxP1が添加された含水THFの様子である。図5には白黒写真を示すが、実際には、無水THFは赤紫色を呈したが、含水THFは青紫色を呈した。同様に、実施例2〜6においても同様の結果が得られた。このことから、OxPは、非プロトン性極性溶媒中の水を検出できることが示され、水検出用試薬を構成できることが確認された。また、本発明のOxPからなる水検出用試薬を用いれば、非プロトン性極性溶媒中の水の存否を目視にて判断できることが分かった。
図6は、実施例1による種々の水の濃度を有するTHF中のOxP1の吸収スペクトルの変化を示す図である。
図6によれば、波長507nmにおける吸収ピークの吸光度は、THF中の水の濃度が増大するにつれて減少した。一方、波長600nmおよび波長750nmにおける吸収ピークの吸光度は、THF中の水の濃度が増大するにつれて増大した。このことから、本発明の水検出用試薬(OxP)の吸収スペクトルは、非プロトン性極性溶媒中の水の濃度に応じて変化することが分かった。また、上述の吸収ピークの吸光度の増減は、図6に示す観察結果に一致した。
また、図6の挿入図によれば、OxP1は、水の濃度が37ppmであるTHFに応答し、波長507nmの吸収ピークの吸光度は減少した。このことから、本発明の水検出用試薬を用いれば、吸収スペクトルを測定するだけで、購入直後の無水非プロトン性極性溶媒(HO濃度<50ppm)と、古い含水非プロトン性極性溶媒(HO濃度>50ppm)とを容易に区別することができる。
図7は、実施例1によるOxP1を添加したTHFの滴定実験の結果を示す図である。
図7(A)は、種々の水の濃度を有するTHF中のOxP1の吸収スペクトルの変化を示す図である。図6で説明したように、波長507nmにおける吸収ピークの吸光度は、THF中の水の濃度が増大するにつれて減少し、波長600nmおよび波長750nmにおける吸収ピークの吸光度は、THF中の水の濃度が増大するにつれて増大した。図7(A)の挿入図は、等吸収点付近の拡大図である。波長535nmの吸光度は、THF中の水の濃度に依存せず、等吸収点であることを確認した。以上より、波長507nm、600nmおよび750nmにおける吸収ピークは、水の濃度に影響される吸収ピークであり、波長535nmは、水の濃度に影響されない等吸収点であることが分かった。
図7(B)は、波長507nmおよび波長600nmにおける吸光度の、THF中の水の濃度依存性を示す図である。図7(C)は、図7(B)の一部を拡大して示す。図7(B)からTHF中の水に対するOxP1の結合定数を算出した。
結合定数の算出には多重平衡結合モデルを採用した。これは、OxP1と水との系は、負の協同性を示し、単純な1:1の化学量論結合モデルを採用すると、結合定数が、吸収スペクトルの波長に顕著に依存して正確な値を与えないためである。これは、系には2種以上(例えば、水分子が結合していないOxP1、1つの水分子が結合したOxP1、2つの水分子が結合したOxP1等)のOxPの状態が存在することを示す。時間依存密度汎関数理論(TD−DFT)計算は、独立態様で複数の水分子の結合の可能性を示すことができる。しかしながら、吸収スペクトルにおける最大の変化は、キノイドカルボニル基への水分子の結合に起因する。非プロトン性極性溶媒としてTHF(双極子モーメント1.63D)の効果は、水分子の結合に対するOxP1の親和性に影響を与え得る。したがって、多重平衡結合モデルでは、結合等温線を、単一のOxP1に対して結合する水分子の平均数として構築し、以下の式で表す。


ここで、逐次結合定数Kiを、全体の結合定数の項として表す。
[W]tは、THF中の水の合計濃度(近似[OxP1]<<[W])であり、nは、OxP1に結合した最大水分子数である。n値は重要な変数であり、場合によっては構造を検討すれば明らかとなるが、本実験では、nを最小に維持し、最小二乗フィッティング法を行った。良好なフィッティングを得るために、n値は常に3以下となるようにした。吸収スペクトルにおける結合等温線A([W]t)は次式で表される。

ここで、ΔAは、1水分子の結合あたりのOxP1の吸光度の平均変化量であり、Bは、水分子を有さないOxP1の最初の吸光度である。
上述の式において、波長507nmおよび波長600nmにおける吸光度の変化を用いて、それぞれ、結合等温線710および720を得た。これらから結合定数K、KおよびKを求めた。結果を表2に示す。
次に水に対するOxP1の感度を求めた。図7(C)の波長507nmおよび波長600nmにおける水の濃度が極めて低い領域に対する吸光度の変化を用いて、それぞれ、フィッティング730および740を得た。これらの傾きから感度Sを求めた。結果を表2に示す。
図8は、実施例2によるOxP2を添加したTHFの滴定実験の結果を示す図である。
図9は、実施例3によるOxP3を添加したTHFの滴定実験の結果を示す図である。
図10は、実施例4によるOxP4を添加したTHFの滴定実験の結果を示す図である。
図11は、実施例5によるOxP5を添加したTHFの滴定実験の結果を示す図である。
図12は、実施例6によるOxP6を添加したTHFの滴定実験の結果を示す図である。
図13は、比較例7によるOxP7を添加したTHFの滴定実験の結果を示す図である。
図14は、実施例8によるOxP1およびBHTを添加したTHFの滴定実験の結果を示す図である。
図8(A)、図9(A)、図10(A)、図11(A)および図12(A)によれば、実施例1と同様に、実施例2〜6のOxPの吸収スペクトルは、非プロトン性溶媒中の水の濃度に応答して変化した。一方、図13(A)によれば、R1が水素ではないOxPの吸収スペクトルは、非プロトン性極性溶媒中の水の濃度に応答して変化しなかった。このことは、式(1)で示されるOxPが水検出用試薬として機能することを示す。
また、図14(A)によれば、実施例1と同様に、実施例8のBHTを加えたOxPの吸収スペクトルも、非プロトン性極性溶媒中の水の濃度に応答して変化した。このことは、式(1)で示されるOxPは、抑制剤とともに用いても、水に対する感度は実質的に影響されないことを示す。
実施例1と同様に、実施例および比較例2〜8の結合定数K、KおよびK、ならびに、感度Sを求めた。いずれも、図中、カーブを描く曲線が結合等温線であり、水の低濃度領域におけるフィッティング直線の傾きが、国際化学連合が定義するところの初期感度Sである。以上の結果を表2に示す。
表2によれば、実施例1のOxP1がもっとも大きな結合定数Kおよびもっとも大きな感度Sを有することが分かった。すなわち、OxP1は、水分子と容易に結合するとともに、水に対する感度が高いことが分かった。なお、結合定数KおよびKは、結合定数Kに比べて極めて小さいことから、OxP1は、基本的に単一の水分子と容易に結合し、複数の水分子と結合することなく、水に対する高い感度を有することができる。
実施例2と実施例1、3〜6とを比較すると、式(1)において、R2は、水素よりもベンジル基を介して結合した有機官能基のほうが、大きな結合定数を与えることができる。このことから、OxPとしてR2は、ベンジル基を介して結合した有機官能基がよいことが分かった。
実施例1と実施例4および5とを比較すると、式(1)において、R2は、ベンジル基を介して結合した有機官能基の中でもアニオン性有機官能基が、大きな結合定数を与えることができる。このことから、OxPとしてR2は、アニオン性有機官能基がよいことが分かった。
比較例7と実施例1〜6とを比較すると、式(1)において、R1は、水素でなければ、OxPは、水と結合しても吸収スペクトルがほとんど変化せず、水に対する感度も低いことが分かった。上述したように、ここでも、式(1)で示されるOxPが水検出用試薬として機能することが確認された。
以上の実施例および比較例1〜7によれば、式(1)におけるR2を適宜選択することによって、結合定数および感度を制御できることが示唆される。
実施例1と実施例8とを比較すると、式(1)で示されるOxPは、抑制剤とともに用いても、水に対する感度は実質的に影響されないことが分かった。これは、抑制剤を含む非プロトン性極性溶媒にも本発明が適用可能であることを意味する。
図15は、実施例1によるOxP1を添加したTHFの吸収スペクトルの温度依存性を示す図である。
図15(A)は、購入直後の無水THF中のOxP1の吸収スペクトルの温度依存性であり、図15(B)は、水の濃度が3700ppmであるTHF中のOxP1の吸収スペクトルの温度依存性であり、図15(C)は、水の濃度が37000ppmであるTHF中のOxP1の吸収スペクトルの温度依存性である。
図15から、波長507nmにおける吸収ピークの吸光度は、温度依存性を示さなかった。一方、波長600nmにおける吸収ピークの吸光度は、温度が高いほど高くなる傾向を示した。特に、40℃を超えると吸光度の変化が顕著になった。このことから、非プロトン性極性溶媒中の水の濃度を決定するためには、温度に依存しない吸収ピークを用いることが望ましいが、温度に依存する吸収ピークを用いる場合であっても、温度10℃〜30℃の温度範囲で測定すれば、水の濃度の決定に問題ないことが分かった。
図16は、実施例1によるOxP1を繰り返し使用した場合の吸収スペクトル(A)および吸光度の変化(B)を示す図である。
繰り返し使用のプロセスは、無水1→含水1→無水2→含水2→無水3→含水3の順であった。図16(A)によれば、繰り返し使用しても、無水のTHF中のOxP1の吸収スペクトルはすべて一致し、含水THF中のOxP1の吸収スペクトルもすべて一致した。図16(B)に示すように、繰り返し使用した場合のOxP1の吸光度(波長507nmおよび波長600nm)の変化は、再現性に優れていることが分かった。以上より、本発明のOxPからなる水検出用試薬は、再現性よく繰り返し使用できる。
図17は、実施例1によるOxP1の較正図を示す。
図17において、黒丸は、10ppm未満の実験値であり、四角は、50ppmの実験値であり、三角は、200ppmの実験値であり、ダイヤモンドは、500ppmの実験値であり、半黒丸は、1000ppmの実験値であり、半四角は、2000ppmの実験値であり、半三角は、3000ppmの実験値であり、半ダイヤモンドは、5000ppmの実験値である。実験結果より、水の濃度(ppm)の領域を、ρ<25、25<ρ<125、125<ρ<350、350<ρ<750、750<ρ<1500、1500<ρ<2500、2500<ρ<4000、4000<ρの8つの領域に分けることができた。
次に、図17の較正図を参照し、図3の方法を用いて、未知の濃度の水と混和し得るTHF中の水の濃度を決定した。OxP1からなる水検出用試薬を、非プロトン性溶媒として未知の濃度の水を含有し得るTHFに加え、被験液を調製した(図3のステップS310)。次いで、被験液の吸収スペクトルを測定した(図3のステップS320)。得られた吸収スペクトルから水の濃度に影響されない等吸収点の吸光度A1として波長535nmにおける0.400(a.u.)、および、水の濃度に影響される吸収ピークの吸光度A2として波長507nmにおける0.460(a.u.)を読み取った(図3のステップS330)。吸光度A1およびA2から比A2/A1を算出した結果、A2/A1は1.15であった(図3のステップS340)。吸光度A1および比A2/A1に基づいて被験液中の水の濃度を決定した(図3のステップS350)。詳細には、A1およびA2/A1の値を図17の較正図にプロットした。その結果、被験液中の水の濃度は2000ppmであることが分かった。
以上より、本発明のOxP1からなる水検出用試薬を用いれば、吸収スペクトルを測定するだけでよいので、専用装置を必要とせず、汎用性に優れることが示された。また、上記吸光度A1および比A2/A1を求めるだけで、高精度かつ簡便に水の濃度を決定できることが確認された。
図18は、実施例および比較例9〜12の種々のOxPを添加した種々の溶媒中の水を検出する様子を示す図である。
図18(B)は実施例9の結果であり、図18(C)は比較例12の結果であり、図18(D)は比較例11の結果であり、図18(E)は実施例10の結果であり、図18(A)は、実施例1の結果であり、図5と同一である。なお、図18は白黒写真であるが、実際には、無水の場合と含水の場合とで異なる呈色をした。
図18(B)に示すように、無水1,4−ジオキサンはピンク色を呈したが、含水1,4−ジオキサンは赤紫色を呈した。また、図18(E)は、無水N,N−ジメチルホルムアミドは青色を呈したが、含水N,N−ジメチルホルムアミドは青紫色を呈した。用いる溶媒によって発色は異なるものの、本発明のOxPからなる水検出用試薬を用いれば、THFに加えて、1,4−ジオキサンおよびN,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒中の水を目視にて検出できることが確認された。
一方、図18(C)および(D)に示すように、一般的な有機溶媒であるが、非プロトン性極性溶媒でないジクロロメタンおよびエタノールにおいては、呈色変化を示さなかった。なお、図示しないが、比較例11および12の吸収スペクトルを測定したところ、無水および含水ともに、吸収スペクトルは何ら変化しないことを確認した。
以上より、本発明の式(1)で示されるOxPからなる水検出用試薬が水の存否を検出すべき溶媒は、非プロトン性極性溶媒であることを確認した。
上述してきたように、本発明による水検出用試薬は、式(1)で表されるOxPからなる。OxPは、非プロトン性極性溶媒中の水と容易に結合し、水素結合を形成するので、その吸収スペクトルの形状が変化する。このような水検出用試薬を用いれば、汎用の吸収スペクトル測定用装置により吸収スペクトルを測定するだけで、非プロトン性極性溶媒中の水の存否を判定できる。さらに、吸収スペクトルにおける吸光度を用いるだけで、非プロトン性極性溶媒中の水の濃度を定量的に測定できる。
100 オキソポルフィリノーゲン(OxP)
110 ピロールNH
120、130、140、150 キノイドC=O

Claims (9)

  1. 非プロトン性極性溶媒中の水を検出する水検出用試薬であって、
    式(1)で表されるオキソポルフィリノーゲンからなり、

    ここで、R1は、水素であり、R2は、水素またはベンジル基を介して結合した有機官能基である、水検出用試薬。
  2. 前記非プロトン性極性溶媒は、テトラヒドロフラン、ジオキサンおよびジメチルホルムアミドからなる群から選択される有機溶媒である、請求項1に記載の水検出用試薬。
  3. 前記有機官能基は、アニオン性有機官能基である、請求項1に記載の水検出用試薬。
  4. 前記アニオン性有機官能基は、カルボン酸塩、リン酸塩およびスルホン酸塩からなる群から少なくとも1つ選択される塩を含有する、請求項3に記載の水検出用試薬。
  5. 前記R2は、式(2)からなる群から選択されるベンジル基を介して結合した有機官能基である、請求項1に記載の水検出用試薬。
  6. 非プロトン性極性溶媒中の水の濃度を測定する方法であって、
    水検出用試薬を前記非プロトン性極性溶媒に加え、被験液を調製するステップであって、前記水検出用試薬は、式(1)で表されるオキソポルフィリノーゲンからなり、


    ここで、R1は、水素であり、R2は、水素またはベンジル基を介して結合した有機官能基である、ステップと、
    前記被験液の吸収スペクトルを測定するステップと、
    前記吸収スペクトルから水の濃度に影響されない等吸収点の吸光度A1、および、水の濃度に影響される吸収ピークの吸光度A2を読み取るステップと、
    前記吸光度A1およびA2から比A2/A1を算出するステップと、
    前記吸光度A1および前記比A2/A1に基づいて前記被験液中の水の濃度を決定するステップと
    を包含する、方法。
  7. 前記決定するステップは、前記水検出用試薬を用いた、前記非プロトン性極性溶媒における水の濃度と、前記吸光度A1と、前記比A2/A1との関係を示す較正図を用いる、請求項6に記載の方法。
  8. 前記決定するステップに先立って、前記水検出用試薬による前記非プロトン性極性溶媒における水の濃度と、前記吸光度A1と、前記比A2/A1との関係を示す較正図を作成するステップを包含する、請求項6に記載の方法。
  9. 前記測定するステップは、10℃〜30℃の温度範囲で行う、請求項6に記載の方法。
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