JP2014005507A - 金属膜付き接着フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】銅等の材料からなるキャリア箔を必要とすることなく、しわや傷のない、厚さの薄い金属膜を備えた金属張積層板等を提供する。
【解決手段】上記課題は、金属膜と、該金属膜に接合している樹脂組成物層とを含む金属膜付き接着フィルムであって、前記金属膜が、アノードとカソードとの間の電流密度が80A/dm〜500A/dmの条件下で電解めっきにより形成された金属膜である、金属膜付き接着フィルムを用いることにより、解決し得る。
【選択図】なし

Description

本発明は金属膜付き接着フィルムに関する。
各種電子機器に広く使用されている多層プリント配線板等の配線板は、電子機器の更なる小型化及び高機能化のために、配線板を構成する層の薄層化や配線の微細化が進められている。これに伴い、配線板の製造に用いられる金属張積層板等に関しては、厚さの薄い金属膜を備えることが求められている。例えば、特許文献1には、銅等を材料とするキャリア箔の上に電解めっきにより、厚さの薄い銅箔を形成したキャリア付き極薄銅箔に関する技術が開示されている。斯かる技術においては、キャリア付き極薄銅箔の極薄銅箔側の表面にプリプレグを加熱圧着した後、キャリア箔を剥離除去して銅張積層板が製造される。
特開2010−100942号公報
特許文献1記載の技術では、厚さ数μm程度の銅膜を備える銅張積層板が得られるものの、剥離除去されることとなるキャリア箔として、厚さ数十μmの銅箔等を用いる必要がある。製造コストや資源の有効利用の観点からは斯かるキャリア箔を用いる必要のない技術が望まれるが、従来の製膜技術によって得られる厚さの薄い金属膜(銅膜等)は強度に乏しく、キャリア箔なしではしわや傷が入り易い等の問題があった。
本発明は、十分な強度を有する、厚さの薄い金属膜を設ける技術を提供し、ひいては、キャリア箔を必要とすることなく、しわや傷のない、厚さの薄い金属膜を備えた金属張積層板等を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記の課題につき鋭意検討した結果、アノードとカソードとの間の電流密度を特定の範囲として電解めっきにより形成された金属膜が、非常に高い強度を呈し、キャリア箔を使用せずともしわや傷の問題が生じないことを見出した。斯かる金属膜は、樹脂組成物層と積層させて金属膜付き接着フィルムとすることにより、容易に保存・移送が可能であり、金属張積層板の製造に有利に用いることができる。
本発明者らはさらに、当該金属膜付き接着フィルムを用いて金属張積層板、配線板を製造することにより、絶縁層の表面粗さ(凹凸)が小さいにもかかわらず、該絶縁層表面に十分な剥離強度を呈する導体層(金属膜)を形成し得ることを見出した。
すなわち、本発明は以下の内容を含む。
[1] 金属膜と、
該金属膜に接合している樹脂組成物層と
を含む金属膜付き接着フィルムであって、
前記金属膜が、アノードとカソードとの間の電流密度が80A/dm〜500A/dmの条件下で電解めっきにより形成された金属膜である、金属膜付き接着フィルム。
[2] 前記金属膜の厚さが、10μm以下である、[1]に記載の金属膜付き接着フィルム。
[3] 前記金属膜の引張強度が、400MPa以上である、[1]又は[2]に記載の金属膜付き接着フィルム。
[4] 前記金属膜が、金、白金、銀、銅、アルミニウム、コバルト、クロム、亜鉛、ニッケル、チタン、タングステン、鉄、スズ及びインジウムからなる群から選択される1種以上の金属を含む、[1]〜[3]のいずれかに記載の金属膜付き接着フィルム。
[5] 前記樹脂組成物層が、エポキシ樹脂、硬化剤、及び無機充填材を含む、[1]〜[4]のいずれかに記載の金属膜付き接着フィルム。
[6] 下記工程(A)及び(B)を含む、金属膜付き接着フィルムの製造方法。
(A)アノードとカソードとの間の電流密度が80A/dm〜500A/dmの条件下で、電解めっきによりカソード表面に金属を析出させて金属膜を形成する工程、
(B)前記金属膜と接合するように樹脂組成物層を設けて金属膜付き接着フィルムを形成する工程
[7] [1]〜[5]のいずれかに記載の金属膜付き接着フィルムと、プリプレグとを、前記樹脂組成物層が前記プリプレグに接するように加熱圧着してなる、金属張積層板。
[8] [1]〜[5]のいずれかに記載の金属膜付き接着フィルム又は[7]に記載の金属張積層板を用いて得られる、配線板。
[9] [8]に記載の配線板を含む、半導体装置。
本発明によれば、キャリア箔を必要とすることなく、しわや傷のない、厚さの薄い金属膜を備えた金属張積層板を提供することができる。銅等の重量の嵩む材料からなるキャリア箔を必要としない本発明によれば、キャリア箔自体の原料コストが削減できることに加えて、金属膜単位面積当たりの移送コスト(例えば、金属膜製造工程から金属張積層板製造工程までの移送コスト)も顕著に削減できる。
さらに、本発明の金属膜付き接着フィルムを用いて金属張積層板、配線板を製造することにより、絶縁層の表面粗さ(凹凸)が小さいにもかかわらず、該絶縁層表面に十分な剥離強度を呈する導体層(金属膜)を形成することができ、配線板の層の薄層化や配線の微細化に著しく寄与するものである。
図1は、本発明の金属膜付き接着フィルムの製造に用いられる、帯状体のカソードを備える製膜装置の概念図である。 図2は、本発明の金属膜付き接着フィルムの製造に用いられる、板状体のカソードを備える製膜装置の概念図である。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
[金属膜付き接着フィルム]
本発明の金属膜付き接着フィルムは、金属膜と、該金属膜に接合している樹脂組成物層とを含み、前記金属膜が、アノードとカソードとの間の電流密度が80A/dm〜500A/dmの条件下で電解めっきにより形成された金属膜であることを特徴とする。
<金属膜>
金属膜に使用する金属は特に制限されないが、好適な一実施形態では、金属膜は、金、白金、銀、銅、アルミニウム、コバルト、クロム、亜鉛、ニッケル、チタン、タングステン、鉄、スズ及びインジウムからなる群から選択される1種以上の金属を含む。金属膜は、単金属膜であっても合金膜であってもよく、合金膜としては、例えば、上記の群から選択される2種以上の金属の合金(例えば、ニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金及び銅・チタン合金)から形成された膜が挙げられる。中でも、金属膜形成の汎用性、コスト、エッチングによる除去の容易性等の観点から、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、銀若しくは銅の単金属膜、又はニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金、銅・チタン合金の合金膜が好ましく、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、銀若しくは銅の単金属膜、又はニッケル・クロム合金の合金膜がより好ましく、銅の単金属膜が更に好ましい。
金属膜は、単層構造であっても、異なる種類の金属若しくは合金からなる単金属膜又は合金膜が2層以上積層した複層構造であってもよい。金属膜が複層構造である場合、樹脂組成物層と接する層は、クロム、亜鉛若しくはチタンの単金属膜、又はニッケル・クロム合金の合金膜であることが好ましい。
金属膜の厚さは、配線板の微細配線化の観点から、10μm以下が好ましく、0.01〜10μmがより好ましく、0.5〜5μmが更に好ましい。金属膜が複層構造である場合も、金属膜全体の厚さは上記範囲であることが好ましい。
銅等の材料からなるキャリア箔を必要とすることなく、しわや傷のない、厚さの薄い金属膜を備えた金属張積層板を実現する観点から、金属膜の引張強度は、好ましくは400MPa以上、より好ましくは420MPa以上、更に好ましくは440MPa以上、更により好ましくは450MPa以上、特に好ましくは460MPa以上である。アノードとカソードとの間の電流密度が80A/dm〜500A/dmの条件下で電解めっきにより金属膜を形成する本発明においては、引張強度の高い金属膜を有利に形成することができる。
金属膜の引張強度は高い程好ましいが、通常、2000MPaが上限である。
本発明の金属膜付き接着フィルムにおける金属膜は、アノードとカソードとの間の電流密度が80A/dm〜500A/dmの条件下で電解めっきにより形成された金属膜である。金属張積層板の導体層を構成する金属膜を電解めっきにより形成するに際し、従来の技術においては、アノードとカソードとの間の電流密度は高々70A/dmであった。本発明においては、アノードとカソードとの間の電流密度が80A/dm〜500A/dmの条件下で電解めっきすることにより、引張強度の高い金属膜を達成したものである。なお、電解めっき時の電流密度を高くすると、電着対象への金属膜の密着性が低下することが知られているが、本発明においては、カソード表面に形成した金属膜を樹脂組成物層に転写して金属膜付き接着フィルムとして用いるため、電着対象(本発明ではカソード)と金属膜との間の過度な密着性は必要とされない。詳しくは後述するが、本発明者らは、斯かる特定の条件下で形成された金属膜を備える金属膜付き接着フィルムを用いて金属張積層板、配線板を製造すると、絶縁層の表面粗さ(凹凸)が小さいにもかかわらず、該絶縁層表面に十分な剥離強度を呈する導体層をもたらすことができることを見出した。
金属膜の引張強度並びに金属張積層板の絶縁層と導体層との剥離強度の観点から、金属膜は、アノードとカソードとの間の電流密度が80A/dm〜500A/dmの条件下で電解めっきにより形成された金属膜であり、好ましくは100A/dm〜450A/dm、より好ましくは120A/dm〜400A/dm、更に好ましくは140A/dm〜350A/dm、特に好ましくは160A/dm〜300A/dmの条件下で電解めっきにより形成された金属膜である。
電解めっき時のアノードとカソードとの間の間隙は特に制限されないが、電流密度を高く維持する観点から、1mm〜100mmが好ましく、2mm〜80mmがより好ましく、3mm〜60mmが更に好ましく、4mm〜40mmが更に一層好ましく、5mm〜20mmが特に好ましい。
電解めっきに用いるアノード及びカソードとしては、金属張積層板の導体層を構成する金属膜を電解めっきにより形成するに際し用いられる公知のものを用いてよい。アノードの材料としては、例えば、鉛及び酸化イリジウム等の、電解処理液に不溶性の材料が挙げられる。カソードの材料としては、例えば、ステンレス、アルミニウム及び銅が挙げられ、汎用性の観点から、ステンレスが好ましい。ステンレスとしては、オーステナイト系ステンレス、マルテンサイト系ステンレス、フェライト系ステンレス、オーステナイト・フェライト二相系ステンレス、及び析出硬化系ステンレス等の公知のステンレスを用いることができる。
電解めっきに用いるアノード及びカソードの厚さは特に制限されないが、本発明において電着対象となるカソードは、取り扱い性の観点から、厚さが15μm〜800μmであることが好ましい。カソードの表面は、マット処理、コロナ処理等の剥離処理が施してあってもよい。
<樹脂組成物層>
本発明の金属膜付き接着フィルムは、上述した金属膜に接合している樹脂組成物層を備える。本発明の金属膜付き接着フィルムにおいて、樹脂組成物層に用いる樹脂組成物は、その硬化物が十分な硬度と絶縁性を有するものであれば、特に限定なく使用でき、例えば、(a)エポキシ樹脂、(b)硬化剤及び(c)無機充填材を含む樹脂組成物が使用される。樹脂組成物層に用いる樹脂組成物は、必要に応じて、さらに硬化促進剤、熱可塑性樹脂、難燃剤及びゴム粒子等の添加剤を含んでいてもよい。
(a)エポキシ樹脂
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノールエポキシ樹脂、ナフトールノボラックエポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、tert-ブチル-カテコール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂及びトリメチロール型エポキシ樹脂等が挙げられる。エポキシ樹脂は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
エポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を含むことが好ましい。エポキシ樹脂の不揮発成分を100質量%とした場合に、少なくとも50質量%以上は1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂であるのが好ましい。中でも、1分子中に2個以上のエポキシ基を有し、温度20℃で液状の芳香族系エポキシ樹脂(以下、「液状エポキシ樹脂」という。)と、1分子中に3個以上のエポキシ基を有し、温度20℃で固体状の芳香族系エポキシ樹脂(以下、「固体状エポキシ樹脂」という。)とを含むことが好ましい。本発明でいう芳香族系エポキシ樹脂とは、その分子内に芳香環骨格を有するエポキシ樹脂を意味する。エポキシ樹脂として、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを併用することで、優れた可撓性を有する樹脂組成物層が得られる。このため、該樹脂組成物層を用いて形成される金属膜付き接着フィルムは、取扱い性に優れた接着フィルムとなる。また、樹脂組成物層を硬化して形成される絶縁層の破断強度も向上する。
液状エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、又はナフタレン型エポキシ樹脂が好ましく、ナフタレン型エポキシ樹脂がより好ましい。液状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC(株)製の「HP4032」(ナフタレン型エポキシ樹脂)、「HP4032D」(ナフタレン型エポキシ樹脂)、三菱化学(株)製の「jER828EL」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、「jER807」(ビスフェノールF型エポキシ樹脂)、「jER152」(フェノールノボラック型エポキシ樹脂)等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
固体状エポキシ樹脂としては、4官能ナフタレン型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノールエポキシ樹脂、ナフトールノボラックエポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、又はナフチレンエーテル型エポキシ樹脂が好ましく、4官能ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、又はナフチレンエーテル型エポキシ樹脂がより好ましい。固体状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC(株)製の「HP−4700」(4官能ナフタレン型エポキシ樹脂)、「N−690」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)、「N−695」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)、「HP−7200」(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂)、「EXA7311」(ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂)、「EXA7310」(ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂)、「EXA7311−G3」(ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂)、日本化薬(株)製の「EPPN−502H」(トリスフェノールエポキシ樹脂)、「NC7000L」(ナフトールノボラックエポキシ樹脂)、「NC3000H」(ビフェニル型エポキシ樹脂)、「NC3000」(ビフェニル型エポキシ樹脂)、「NC3000L」(ビフェニル型エポキシ樹脂)、「NC3100」(ビフェニル型エポキシ樹脂)、東都化成(株)製の「ESN475」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂)、「ESN485」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂)、三菱化学(株)製の「YX4000H」(ビフェニル型エポキシ樹脂)等が挙げられる。
エポキシ樹脂として、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを併用する場合、それらの量比(液状エポキシ樹脂:固体状エポキシ樹脂)は、質量比で、1:0.1〜1:2の範囲が好ましい。液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂との量比を斯かる範囲とすることにより、i)接着フィルムの形態で使用する場合に適度な粘着性がもたらされる、ii)接着フィルムの形態で使用する場合に十分な可撓性が得られ、取り扱い性が向上する、並びにiii)樹脂組成物の硬化物において十分な破断強度を得ることができるなどの効果が得られる。上記i)〜iii)の効果の観点から、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂の量比(液状エポキシ樹脂:固体状エポキシ樹脂)は、質量比で、1:0.5〜1:1.5の範囲がより好ましい。
エポキシ樹脂の含有量は、樹脂組成物中の不揮発成分100質量%に対して、5質量%〜50質量%が好ましく、10質量%〜45質量%がより好ましく、15質量%〜40質量%が更に好ましく、20質量%〜35質量%が特に好ましい。
(b)硬化剤
硬化剤としては、エポキシ樹脂を硬化する機能を有する限り特に限定されないが、例えば、フェノール系硬化剤、ナフトール系硬化剤、活性エステル系硬化剤、ベンゾオキサジン系硬化剤、及びシアネートエステル系硬化剤が挙げられる。硬化剤は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
フェノール系硬化剤及びナフトール系硬化剤としては、耐熱性及び耐水性の観点から、ノボラック構造を有するフェノール系硬化剤、又はノボラック構造を有するナフトール系硬化剤が好ましい。また、金属膜との密着性(剥離強度)の観点から、含窒素フェノール系硬化剤が好ましく、トリアジン骨格含有フェノール系硬化剤がより好ましい。中でも、耐熱性、耐水性、及び金属膜との密着性(剥離強度)を高度に満足させる観点から、トリアジン骨格含有フェノールノボラック樹脂を硬化剤として用いることが好ましい。
フェノール系硬化剤及びナフトール系硬化剤の具体例としては、例えば、明和化成(株)製の「MEH−7700」、「MEH−7810」、「MEH−7851」、日本化薬(株)製の「NHN」、「CBN」、「GPH」、東都化成(株)製の「SN170」、「SN180」、「SN190」、「SN475」、「SN485」、「SN495」、「SN375」、「SN395」、DIC(株)製の「LA7052」、「LA7054」、「LA3018」等が挙げられる。
金属膜との密着性(剥離強度)の観点から、活性エステル系硬化剤も好ましい。硬化剤として活性エステル系硬化剤を用いると、絶縁層の表面粗さ(凹凸)が特に小さい場合であっても、該絶縁層表面に十分な剥離強度を呈する導体層をもたらすことができる。活性エステル系硬化剤の具体例としては、DIC(株)製の「EXB−9460」、「HPC8000」、三菱化学(株)製の「DC808」、「YLH1030」が挙げられる。
ベンゾオキサジン系硬化剤の具体例としては、昭和高分子(株)製の「HFB2006M」、四国化成工業(株)製の「P−d」、「F−a」が挙げられる。
シアネートエステル系硬化剤としては、例えば、ビスフェノールAジシアネート、ポリフェノールシアネート(オリゴ(3−メチレン−1,5−フェニレンシアネート)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルフェニルシアネート)、4,4’−エチリデンジフェニルジシアネート、ヘキサフルオロビスフェノールAジシアネート、2,2−ビス(4−シアネート)フェニルプロパン、1,1−ビス(4−シアネートフェニルメタン)、ビス(4−シアネート−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,3−ビス(4−シアネートフェニル−1−(メチルエチリデン))ベンゼン、ビス(4−シアネートフェニル)チオエーテル、及びビス(4−シアネートフェニル)エーテル等の2官能シアネート樹脂、フェノールノボラック及びクレゾールノボラック等から誘導される多官能シアネート樹脂、これらシアネート樹脂が一部トリアジン化したプレポリマーなどが挙げられる。シアネートエステル系硬化剤の具体例としては、ロンザジャパン(株)製の「PT30」及び「PT60」(いずれもフェノールノボラック型多官能シアネートエステル樹脂)、「BA230」(ビスフェノールAジシアネートの一部又は全部がトリアジン化され三量体となったプレポリマー)等が挙げられる。
(a)エポキシ樹脂と(b)硬化剤との量比は、[(a)エポキシ樹脂のエポキシ基の合計数]:[(b)硬化剤の反応基の合計数]の比率で、1:0.4〜1:2の範囲が好ましく、1:0.5〜1:1.5の範囲がより好ましい。ここで、(b)硬化剤の反応基とは、活性水酸基、活性エステル基等であり、硬化剤の種類によって異なる。また、(a)エポキシ樹脂のエポキシ基の合計数とは、各エポキシ樹脂の固形分質量をエポキシ当量で除した値をすべてのエポキシ樹脂について合計した値であり、(b)硬化剤の反応基の合計数とは、各硬化剤の固形分質量を反応基当量で除した値をすべての硬化剤について合計した値である。(a)エポキシ樹脂と(b)硬化剤との量比を斯かる範囲とすることにより、樹脂組成物の硬化物の耐熱性が向上する。
(c)無機充填材
無機充填材としては、例えば、シリカ、アルミナ、硫酸バリウム、タルク、クレー、雲母粉、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、ホウ酸アルミニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、ジルコン酸バリウム、及びジルコン酸カルシウム等が挙げられる。無機充填材は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
無機充填材の平均粒径は0.01μm〜2μmの範囲が好ましく、0.05μm〜1.5μmの範囲がより好ましい。無機充填材の平均粒径はミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定することができる。具体的にはレーザー回折式粒度分布測定装置により、無機フィラーの粒度分布を体積基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。測定サンプルは、無機フィラーを超音波により水中に分散させたものを好ましく使用することができる。レーザー回折式粒度分布測定装置としては、株式会社堀場製作所製LA−500等を使用することができる。
無機充填材は、樹脂組成物の耐湿性向上のため、アミノシラン系カップリング剤、エポキシシラン系カップリング剤、メルカプトシラン系カップリング剤、シラン系カップリング剤、オルガノシラザン化合物、チタネート系カップリング剤などの1種又は2種以上の表面処理剤で処理されているのが好ましい。
樹脂組成物中の無機充填材の含有量は特に限定はされないが、硬化物の機械強度が低下するのを防止するという観点から、樹脂組成物中の不揮発成分100質量%に対して、85質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、75質量%以下が更に好ましい。また、硬化物の熱膨張率を十分に低下させるという観点から、樹脂組成物中の不揮発成分100質量%に対して、20質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、40質量%以上が更に好ましく、50質量%以上が特に好ましい。
一実施形態において、本発明の金属膜付き接着フィルムに含まれる樹脂組成物層は、上述の(a)エポキシ樹脂、(b)硬化剤、及び(c)無機充填材を含む。アノードとカソードとの間の電流密度が80A/dm〜500A/dmの条件下で電解めっきにより形成された金属膜との組み合わせにおいて高い密着性(剥離強度)を奏することから、樹脂組成物層は、(a)エポキシ樹脂として液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂との混合物(液状エポキシ樹脂:固体状エポキシ樹脂の質量比は1:0.1〜1:2、好ましくは1:0.5〜1:1.5)を、(b)硬化剤として含窒素フェノール系硬化剤(好ましくはトリアジン骨格含有フェノール系硬化剤)又は活性エステル系硬化剤を、(c)無機充填材としてシリカをそれぞれ含むことが好ましい。斯かる特定の成分を組み合わせて含む樹脂組成物層に関しても、(a)、(b)、(c)各成分の好適な量比は上述の通りであるが、中でも、(a)エポキシ樹脂に対し(b)硬化剤を[(a)エポキシ樹脂のエポキシ基の合計数]:[(b)硬化剤の反応基の合計数]の比率で1:0.5〜1:2の範囲にて含むことが好ましく、1:0.8〜1:1.5の範囲で含むことがより好ましい。また、(a)エポキシ樹脂に対し(c)無機充填材を(a)エポキシ樹脂:(c)無機充填材の質量比で1:0.5〜1:10の範囲にて含むことが好ましく、1:1〜1:6の範囲にて含むことがより好ましい。
本発明の金属膜付き接着フィルムに含まれる樹脂組成物層は、必要に応じて、さらに硬化促進剤、熱可塑性樹脂、難燃剤及びゴム粒子等の添加剤を含んでいてもよい。
硬化促進剤としては、例えば、有機ホスフィン化合物、イミダゾール化合物、アミンアダクト化合物、及び3級アミン化合物などが挙げられる。硬化促進剤の含有量は、エポキシ樹脂と硬化剤の不揮発分合計量を100質量%とした場合、0.1〜5質量%の範囲で使用することが好ましい。硬化促進剤は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、及びポリスルホン樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
熱可塑性樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は8,000〜70,000の範囲が好ましく、10,000〜60,000の範囲がより好ましく、20,000〜60,000の範囲が更に好ましい。熱可塑性樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定される。具体的には、熱可塑性樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は、測定装置として(株)島津製作所製LC−9A/RID−6Aを、カラムとして昭和電工(株)製Shodex K−800P/K−804L/K−804Lを、移動相としてクロロホルム等を用いて、カラム温度40℃にて測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて算出することができる。
フェノキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA骨格、ビスフェノールF骨格、ビスフェノールS骨格、ビスフェノールアセトフェノン骨格、ノボラック骨格、ビフェニル骨格、フルオレン骨格、ジシクロペンタジエン骨格、ノルボルネン骨格、ナフタレン骨格、アントラセン骨格、アダマンタン骨格、テルペン骨格、及びトリメチルシクロヘキサン骨格からなる群から選択される1種以上の骨格を有するフェノキシ樹脂が挙げられる。フェノキシ樹脂の末端は、フェノール性水酸基、エポキシ基等のいずれの官能基でもよい。フェノキシ樹脂は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。フェノキシ樹脂の具体例としては、三菱化学(株)製の「1256」及び「4250」(いずれもビスフェノールA骨格含有フェノキシ樹脂)、「YX8100」(ビスフェノールS骨格含有フェノキシ樹脂)、及び「YX6954」(ビスフェノールアセトフェノン骨格含有フェノキシ樹脂)が挙げられ、その他にも、東都化成(株)製の「FX280」及び「FX293」、三菱化学(株)製の「YL7553」、「YL6794」、「YL7213」、「YL7290」及び「YL7482」等が挙げられる。
ポリビニルアセタール樹脂の具体例としては、電気化学工業(株)製の電化ブチラール4000−2、5000−A、6000−C、6000−EP、積水化学工業(株)製のエスレックBHシリーズ、BXシリーズ、KSシリーズ、BLシリーズ、BMシリーズ等が挙げられる。
ポリイミド樹脂の具体例としては、新日本理化(株)製の「リカコートSN20」及び「リカコートPN20」が挙げられる。ポリイミド樹脂の具体例としてはまた、2官能性ヒドロキシル基末端ポリブタジエン、ジイソシアネート化合物及び四塩基酸無水物を反応させて得られる線状ポリイミド(特開2006−37083号公報記載のもの)、ポリシロキサン骨格含有ポリイミド(特開2002−12667号公報及び特開2000−319386号公報等に記載のもの)等の変性ポリイミドが挙げられる。
ポリアミドイミド樹脂の具体例としては、東洋紡績(株)製の「バイロマックスHR11NN」及び「バイロマックスHR16NN」が挙げられる。ポリアミドイミド樹脂の具体例としてはまた、日立化成工業(株)製のポリシロキサン骨格含有ポリアミドイミド「KS9100」、「KS9300」等の変性ポリアミドイミドが挙げられる。
ポリエーテルスルホン樹脂の具体例としては、住友化学(株)製の「PES5003P」等が挙げられる。
ポリスルホン樹脂の具体例としては、ソルベイアドバンストポリマーズ(株)製のポリスルホン「P1700」、「P3500」等が挙げられる。
熱可塑性樹脂の含有量は、樹脂組成物中の不揮発成分100質量%に対して、0.5〜60質量%であることが好ましい。熱可塑性樹脂の含有量を斯かる範囲とすることにより、樹脂組成物の粘度が適度となり、厚さや性状の均一な樹脂組成物層を形成することができると共に、後述する配線板の製造時に基板上への配線パターンの埋め込みが容易となる。熱可塑性樹脂の含有量は、樹脂組成物中の不揮発分100質量%に対して、3〜50質量%であることがより好ましい。
難燃剤としては、例えば、有機リン系難燃剤、有機系窒素含有リン化合物、窒素化合物、シリコーン系難燃剤、金属水酸化物等が挙げられる。難燃剤は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。樹脂組成物中の難燃剤の含有量は特に限定はされないが、樹脂組成物の不揮発成分100質量%に対して、0.5〜10質量%が好ましく、1〜9質量%がより好ましく、1.5〜8質量%が更に好ましい。
ゴム粒子としては、例えば、樹脂組成物層を形成する際に使用する有機溶剤に溶解せず、上述の(a)エポキシ樹脂、(b)硬化剤、及び(c)無機充填材などとも相溶しないものが使用される。このようなゴム粒子は、一般には、ゴム成分の分子量を有機溶剤や樹脂に溶解しないレベルまで大きくし、粒子状とすることで調製される。
ゴム粒子の好適な例としては、コアシェル型ゴム粒子、架橋アクリロニトリルブタジエンゴム粒子、架橋スチレンブタジエンゴム粒子、アクリルゴム粒子などが挙げられる。コアシェル型ゴム粒子は、コア層とシェル層とを有するゴム粒子であり、例えば、外層のシェル層がガラス状ポリマーで構成され、内層のコア層がゴム状ポリマーで構成される2層構造、又は外層のシェル層がガラス状ポリマーで構成され、中間層がゴム状ポリマーで構成され、コア層がガラス状ポリマーで構成される3層構造のものなどが挙げられる。ガラス状ポリマー層は、例えば、メタクリル酸メチルの重合物などで構成され、ゴム状ポリマー層は、例えば、ブチルアクリレート重合物(ブチルゴム)などで構成される。ゴム粒子は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
ゴム粒子の平均粒径は、好ましくは0.005〜1μmの範囲であり、より好ましくは0.2〜0.6μmの範囲である。本発明で使用されるゴム粒子の平均粒径は、動的光散乱法を用いて測定することができる。例えば、適当な有機溶剤にゴム粒子を超音波などにより均一に分散させ、濃厚系粒径アナライザー(FPAR−1000;大塚電子(株)製)を用いて、ゴム粒子の粒度分布を質量基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。ゴム粒子の含有量は、樹脂組成物中の不揮発分100質量%に対し、好ましくは1〜10質量%であり、より好ましくは2〜5質量%である。
本発明の金属膜付き接着フィルムに含まれる樹脂組成物層は、必要に応じて、他の添加剤を含んでいてもよく、斯かる他の添加剤としては、例えば、有機銅化合物、有機亜鉛化合物及び有機コバルト化合物等の有機金属化合物、並びに有機フィラー、増粘剤、消泡剤、レベリング剤、密着性付与剤、着色剤及び硬化性樹脂等の樹脂添加剤等が挙げられる。
本発明の金属膜付き接着フィルムに含まれる樹脂組成物層の厚さは、3μm〜100μmが好ましく、5μm〜80μmがより好ましく、20μm〜60μmが更に好ましい。
本発明の金属膜付き接着フィルムは、樹脂組成物層の金属膜と接合していない面(即ち、金属膜とは反対側の面)に、後述する基材を有していてもよい。すなわち、一実施形態において、本発明の金属膜付き接着フィルムは、基材と、該基材に接合している樹脂組成物層と、該樹脂組成物層に接合している金属膜とを含む。基材の詳細に関しては、後述する。
本発明の金属膜付き接着フィルムは、金属膜の樹脂組成物層と接合していない面(即ち、樹脂組成物層とは反対側の面)に、後述する基材を有していていもよい。すなわち、一実施形態において、本発明の金属膜付き接着フィルムは、基材と、該基材に接合している金属膜と、該金属膜に接合している樹脂組成物層とを含む。
本発明の金属膜付き接着フィルムにおいて、樹脂組成物層と接合する金属膜の面は、電界めっき時にカソード表面と接触していた面であってもそうでなくてもよい。通常、電界めっき時にカソード表面と接触していた金属膜面は表面粗さが非常に小さくアンカー効果による絶縁層との密着性が得られ難い。この点、アノードとカソードとの間の電流密度が80A/dm〜500A/dmの条件下で電解めっきにより形成された金属膜を用いる本発明では、絶縁層と導体層(金属膜)との間に優れた密着性(剥離強度)をもたらすことができることから、電界めっき時にカソード表面と接触していた金属膜面を樹脂組成物層と接合させる場合であっても絶縁層と導体層(金属膜)との間に十分な密着性が得られる。
[金属膜付き接着フィルムの製造方法]
本発明の金属膜付き接着フィルムの製造方法は、下記工程(A)及び(B)を含む。
(A)アノードとカソードとの間の電流密度が80A/dm〜500A/dmの条件下で、電解めっきによりカソード表面に金属を析出させて金属膜を形成する工程、
(B)前記金属膜と接合するように樹脂組成物層を設けて金属膜付き接着フィルムを形成する工程
<工程(A)>
工程(A)において、アノードとカソードとの間の電流密度が80A/dm〜500A/dmの条件下で、電解めっきによりカソード表面に金属を析出させて金属膜を形成する。
アノードとカソードとの間の電流密度が80A/dm〜500A/dmと高い条件下で電解めっきする本発明では、高速電解が可能であり製膜時間を短縮し得る。また、形成される金属膜は、非常に高い引張強度を呈し、銅等の材料からなるキャリア箔を使用せずとも、しわや傷の問題を生じない。
アノードに沿ってカソードを移動させながら電解めっきによりカソード表面に金属を析出させることで、連続的に金属膜を形成することができる。カソードの移動手段としてはコンベア装置を用いることができ、該コンベア装置としては、例えば、連続したベルトを回転駆動させるベルトコンベア装置(後述の図1参照)、及び、分離した複数の板状体を連続的に搬送するコンベア装置(後述の図2参照)が挙げられる。
カソードとして、カソード材料からなる帯状体又は板状体を用いることにより、アノードに沿ってカソードを容易に移動させることができる。カソードとして用いる帯状体としては、無端ベルトの形状が好ましく、ステンレス製の無端ベルトがより好ましい。カソードとして用いる板状体としては、ステンレス製の板状体が好ましい。
一実施形態において、工程(A)は、図1に示す製膜装置1を用いて実施することができる。製膜装置1は、第1電解槽2、第1後処理槽3、第2後処理槽4、第2電解槽5、及び防錆処理槽6が、連続して設けられている。第1電解槽2から防錆処理槽6の上部には、カソードとして機能する無端ベルト10が配置され、駆動手段26により、製造装置1の上流側(図面において右側)から下流側(図面において左側)に向かって移動可能に設置されている。
第1電解槽2の中には、アノード12が配置されている。第1電解槽2内は、電解めっき液13が満たされており、無端ベルト10はこの電解めっき液13に接触する。電解めっき液の組成は、形成する金属膜の種類に応じて、適宜設計してよいが、金属イオン濃度が50g/L〜500g/Lの範囲であることが好ましく、100g/L〜350g
/Lの範囲であることがより好ましい。例えば、銅膜を形成する場合には、硫酸銅水溶液を電解めっき液として用いることができる。
第1電解槽2に近接してポンプP1が設けられ、ポンプP1の吸入口には吸入管14が、吐出口には吐出管15が、それぞれ接続されている。このポンプP1の駆動により、第1電解槽2内の電解めっき液13がアノード12の側部から噴射される。すなわち、吐出管15の先端は、アノード12の側方に接するディストリビュータ(電解めっき液流出口)16となっている。
ディストリビュータ16により、アノード12と無端ベルト10との間隙17に電解めっき液13を供給しながら、無端ベルト10を下流側(図面において左側)に移動させる。アノード12と無端ベルト10との間の電流密度が80A/dm〜500A/dmの条件下で電解めっきすることにより、無端ベルト10の表面に金属が析出して金属膜18が形成される。なお、アノード12と無端ベルト10(カソード)との間の間隙及び電流密度の好ましい範囲は、[金属膜付き接着フィルム]において述べた通りである。
第1電解槽2の下流側には、第1後処理槽3及びこれに隣接する第2後処理槽4が設けられている。これらの第1後処理槽3及び第2後処理槽4には、近接してポンプP2が設けられ、ポンプP2の吸入口(図示せず)には水が供給され、吐出口には複数の吐出管19が接続されている。このポンプP2の駆動により、無端ベルト10の表面に析出した金属膜18に向けて水が噴射され、金属膜を水洗処理することができる。
複層構造の金属膜を形成する場合、第2電解槽5の位置にて電解めっき処理を実施してよい。第2電解槽5における電解めっき処理は、第1電解層2における電解めっき処理と同様にして実施することができる。
すなわち、ディストリビュータ24により、アノード23と無端ベルト10との間隙25に電解めっき液22を供給しながら、無端ベルト10を下流側(図面において左側)に移動させる。アノード23と無端ベルト10との間に所定の電流密度で通電することにより、金属膜18(第1の金属層)の表面に所定の厚さで第2の金属層を形成することができる。
無端ベルト表面に形成された金属膜は、更に、防錆処理槽6内の防錆処理剤に浸漬させることにより、防錆処理を施してもよい。防錆処理剤としては、例えば、クロメート防錆剤が挙げられる。
工程(A)はまた、カソードとして、駆動手段31に着脱自在に装着された複数の板状体30を備える図2記載の製膜装置7を用いて実施してもよい。カソードとして複数の板状体を用いる態様では、その表面に金属膜が形成されたカソード板状体が複数得られる。
<工程(B)>
工程(B)において、金属膜と接合するように樹脂組成物層を設けて金属膜付き接着フィルムを形成する。
一実施形態において、工程(B)は、カソード表面に金属膜が付着している状態で実施される。例えば、カソードとして帯状体(無端ベルト)を用いる上記の図1記載の態様では、工程(B)は、図1における左端の矢印Aで示す位置において実施することができる。また、カソードとして複数の板状体を用いる上記の図2記載の態様では、その表面に金属膜が形成されたカソード板状体を、必要に応じて、製膜装置から取り外して、工程(B)に供すことができる。
工程(B)において、樹脂組成物層は、公知の方法で、金属膜と接合するように設けることができる。例えば、有機溶剤に樹脂組成物を溶解した樹脂ワニスを調製し、この樹脂ワニスを、ダイコーターなどを用いて金属膜上に塗布し、更に加熱、あるいは熱風吹きつけ等により有機溶剤を乾燥させて樹脂組成物層を設けることができる。
有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン及びシクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びカルビトールアセテート等の酢酸エステル類、セロソルブ及びブチルカルビトール等のカルビトール類、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド及びN−メチルピロリドン等のアミド系溶媒等を挙げることができる。有機溶剤は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
乾燥条件は特に限定されないが、樹脂組成物層中の有機溶剤の含有量が10質量%以下、好ましくは5質量%以下となるように乾燥させる。樹脂ワニス中の有機溶剤の沸点によっても異なるが、例えば30質量%〜60質量%の有機溶剤を含む樹脂ワニスを用いる場合、50℃〜150℃で3〜10分乾燥させることにより、樹脂組成物層を形成することができる。
あるいはまた、樹脂組成物層を含む接着フィルムを用いて、金属膜と接合するように樹脂組成物層を設けることができる。斯かる態様では、基材と、該基材上に設けられた樹脂組成物層とを含んでなる接着フィルムを、樹脂組成物層側が金属膜と接するように金属膜に積層する。該接着フィルムは、例えば、有機溶剤に樹脂組成物を溶解した樹脂ワニスを調製し、この樹脂ワニスを、ダイコーターなどを用いて基材上に塗布し、更に加熱、あるいは熱風吹きつけ等により有機溶剤を乾燥させて樹脂組成物層を形成させることにより製造することができる。ここで、有機溶剤としては、上記と同じものを用いてよい。
接着フィルムと金属膜との積層は、作業性が良好であり、一様な接触状態が得られやすいので、ロール圧着やプレス圧着等で、接着フィルムをカソード表面に付着している金属膜にラミネート処理することが好ましい。中でも、減圧下でラミネートする真空ラミネート法がより好ましい。ラミネートの方法は、バッチ式でも連続式であってもよいが、工程(A)において帯状体のカソードを用いる場合は連続式が、板状体のカソードを用いる場合はバッチ式がそれぞれ好適である。
ラミネート処理は、一般に、圧着圧力を1〜11kgf/cm(9.8×10〜107.9×10N/m)の範囲とし、圧着温度を70〜120℃の範囲とし、圧着時間を5〜180秒の範囲とし、空気圧が20mmHg(26.7hPa)以下の減圧下で実施することが好ましい。
接着フィルムの基材としては、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリ塩化ビニル等のポリオレフィンのフィルム、ポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」という場合がある。)及びポリエチレンナフタレート等のポリエステルのフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルムなどの各種プラスチックフィルムが挙げられる。接着フィルムの基材としては、離型紙を使用してもよい。基材及び後述する保護フィルムには、マット処理、コロナ処理等の表面処理が施してあってもよい。また、シリコーン樹脂系離型剤、アルキッド樹脂系離型剤、ウレタン樹脂系離型剤、及びフッ素樹脂系離型剤等の離型剤による離型処理が施してあってもよい。
基材の厚さは特に限定されないが、10μm〜150μmが好ましく、25μm〜50μmがより好ましい。
接着フィルムにおいて、樹脂組成物層の基材が密着していない面(即ち、基材とは反対側の面)には、基材に準じた保護フィルムをさらに積層することができる。保護フィルムの厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、1μm〜40μmである。保護フィルムを積層することにより、樹脂組成物層の表面へのゴミ等の付着やキズを防止することができる。接着フィルムは、ロール状に巻きとって保存することが可能であり、工程(B)における使用時には、保護フィルムを剥がすことによって使用可能となる。
カソード表面に金属膜が付着している状態で工程(B)を実施する実施形態においては、工程(B)の後、カソード表面から金属膜付き接着フィルムを剥がす(以下、斯かる工程を「工程(C)」という。)。
本発明において形成された金属膜は非常に高い引張強度を有するため、銅等の材料からなるキャリア箔を使用せずとも、カソード表面から剥がす際にしわや傷の問題が生じない。また、アノードとカソードとの間の電流密度が高い条件下で電解めっきすることにより、電着対象であるカソードと金属膜との間には過度の密着性が生じていないことから、カソード表面から容易に金属膜付き接着フィルムを剥がすことが可能である。
カソードとして帯状体を用いる態様では、工程(C)において、連続的に金属膜付き接着フィルムが得られる。得られた金属膜付き接着フィルムは、その場で金属張積層板や配線板の製造に供してもよいが、ロール状に巻きとって保存してもよい。金属張積層板や配線板の製造が他の場所で行われる場合は、ロール状に巻きとった本発明の金属膜付き接着フィルムを金属張積層板や配線板の製造が行われる場所まで容易に移送することができる。本発明の金属膜付き接着フィルムは、銅等の重量の嵩む材料からなるキャリア箔を使用しないため、金属膜単位面積当たりの重量を低く抑えることができ、移送コストを有利に削減できる。
カソードとして板状体を用いる態様では、工程(C)において、所定の寸法の金属膜付き接着フィルムが複数得られる。また、カソードとして板状体を用いる態様では、表面に金属膜付き接着フィルムが付着しているカソード板状体(以下、「カソード−金属膜付き接着フィルム積層体」という場合がある。)をそのままの状態で保存してもよい。この場合、後述するように、金属積層板の製造工程において、工程(C)を実施することができる。
一実施形態において、工程(B)は、カソード表面から金属膜を基材に転写した後に実施される。
金属膜の転写に用いる基材としては、例えば、先に述べた接着フィルムから樹脂組成物層を省いたフィルムを用いることができる。
金属膜の基材への転写は、例えば、先に述べたラミネート処理を用いて、カソード表面に形成された金属膜に基材を積層させた後、得られた積層体(即ち、金属膜−基材積層体)をカソード表面から剥がすことにより実施することができる。
カソードとして帯状体(無端ベルト)を用いる上記の図1記載の態様では、金属膜の基材への転写は、図1における左端の矢印Aで示す位置において実施することができる。また、カソードとして複数の板状体を用いる上記の図2記載の態様では、その表面に金属膜が形成されたカソード板状体を、必要に応じて、製膜装置から取り外して、転写工程に供すことができる。
金属膜を基材に転写させた後、樹脂組成物層を金属膜と接合するように設けることができる。樹脂組成物層は、先に述べた樹脂ワニスを用いる方法、接着フィルムを用いる方法等により、金属膜と接合するように設けることができる。
先に述べたとおり、樹脂組成物層と接合する金属膜の面は、電界めっき時にカソード表面と接触していた面であってもそうでなくてもよい。一般に、カソード表面に金属膜が付着している状態で工程(B)を実施する実施形態においては、樹脂組成物層と接合する金属膜の面は、電界めっき時にカソード表面と接触していなかった面である。また、カソード表面から金属膜を基材に転写した後に工程(B)を実施する実施形態においては、樹脂組成物層と接合する金属膜の面は、通常、電界めっき時にカソード表面と接触していた面である。
[金属張積層板]
本発明の金属張積層板は、本発明の金属膜付き接着フィルムを用いて得られる。
本発明の金属張積層板は、本発明の金属膜付き接着フィルムと、プリプレグとを、金属膜付き接着フィルムの樹脂組成物層がプリプレグに接するように加熱圧着して得られる。
本発明の金属張積層板は、片面に金属膜(導体層)を有する構造であっても、両面に金属膜(導体層)を有する構造であってもよい。両面に金属膜を有する構造の金属張積層板は、本発明の金属膜付き接着フィルムを2枚用いて製造することができる。例えば、本発明の金属膜付き接着フィルムを2枚用意し、金属膜付き接着フィルムの樹脂組成物層がプリプレグに接するように、2枚の金属膜付き接着フィルムの間にプリプレグを配置し、それらを加熱圧着することによって、両面に金属膜を有する構造の金属張積層板を製造することができる。
金属膜付き接着フィルムが、樹脂組成物層の金属膜が接合していない面(即ち、金属膜とは反対側の面)に基材を有する場合は、該基材を剥がした後に金属張積層板の製造に供せばよい。
プリプレグは、シート状繊維基材中に熱硬化性樹脂組成物を含浸させてなるものである。プリプレグに用いるシート状繊維基材は特に限定されず、ガラスクロス、アラミド不織布、液晶ポリマー不織布等のプリプレグ用基材として常用されているものを用いることができる。絶縁基材に用いる場合には、厚さが10μm〜150μmのものが好適に用いられ、特に10μm〜100μmのものが好ましい。シート状繊維基材として用いられるガラスクロス基材の具体例としては、旭シュエーベル(株)製の「スタイル1027MS」(経糸密度75本/25mm、緯糸密度75本/25mm、布重量20g/m、厚さ19μm)、旭シュエーベル(株)製の「スタイル1037MS」(経糸密度70本/25mm、緯糸密度73本/25mm、布重量24g/m、厚さ28μm)、(株)有沢製作所製の「1078」(経糸密度54本/25mm、緯糸密度54本/25mm、布重量48g/m、厚さ43μm)、(株)有沢製作所製の「2116」(経糸密度50本/25mm、緯糸密度58本/25mm、布重量103.8g/m、厚さ94μm)等が挙げられる。また液晶ポリマー不織布の具体例としては、(株)クラレ製の、芳香族ポリエステル不織布のメルトブロー法による「ベクルス」(目付け量6〜15g/m)や「ベクトラン」などが挙げられる。
プリプレグに用いる熱硬化性樹脂組成物は、その硬化物が十分な硬度と絶縁性を有するものであれば、特に限定されず、例えば、金属膜付き接着フィルムの樹脂組成物層について説明した樹脂組成物と同じものを用いてよい。
プリプレグは、ホットメルト法及びソルベント法等の公知の方法により製造することができる。ホットメルト法では、熱硬化性樹脂組成物を有機溶剤に溶解することなく、熱硬化性樹脂組成物と剥離性の良い離型紙に一旦コーティングし、それをシート状繊維基材にラミネートする、あるいはダイコーターにより直接塗工するなどして、プリプレグを製造する。またソルベント法では、熱硬化性樹脂組成物を有機溶剤に溶解した熱硬化性樹脂組成物ワニスにシート状繊維基材を浸漬することにより、熱硬化性樹脂組成物ワニスをシート状繊維基材に含浸させ、その後乾燥させて、プリプレグを製造する。プリプレグはまた、熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂シートをシート状繊維基材の両面から加熱、加圧条件下、連続的に熱ラミネートすることで製造することもできる。
金属張積層板の製造において、2枚以上のプリプレグを用いてもよい。2枚以上のプリプレグを用いる場合、硬化性樹脂組成物の組成、シート状繊維基材の材料や厚さのうちの一つ又は全部が互いに異なるものを用いても、互いに同一のプリプレグを用いてもよい。
金属膜付き接着フィルムとプリプレグとの加熱圧着は、一般の真空ホットプレス機を用いて行うことができる。例えば、加熱されたステンレス板等の金属板によって両面からプレスすることにより行うことができる。先に述べたカソード−金属膜付き接着フィルム積層体を用いて金属張積層板を製造する場合は、上記金属板としてカソード板状体を使用してよい。この場合、加熱圧着処理の後、カソード板状体を回収する。
プレス条件は、減圧度を通常1×10−2MPa以下、好ましくは1×10−3MPa以下とする。加熱及び加圧は、1段階で行ってもよいが、樹脂のしみだしを制御する観点から、2段階以上に分けて行うことが好ましい。例えば、1段階目のプレスを、温度が70〜150℃、圧力が1〜15kgf/cmの範囲で行い、2段階目のプレスを、温度が150〜250℃、圧力が1〜40kgf/cmの範囲で行うのが好ましい。
市販されている真空ホットプレス機としては、例えば、(株)名機製作所製の「MNPC−V−750−5−200」、北川精機(株)製の「VH1−1603」等が挙げられる。
上記加熱圧着処理により、樹脂組成物層(及びプリプレグ)が硬化され、絶縁層が形成される。樹脂組成物層(及びプリプレグ)の硬化条件は、樹脂組成物の組成等によっても異なるが、一般に硬化温度が120〜250℃、硬化時間が15〜90分である。なお、絶縁層表面のしわ防止の観点から、硬化温度を段階的に又は連続的に上昇させながら樹脂組成物層(及びプリプレグ)を硬化させることが好ましい。
本発明の金属張積層板は、絶縁層の表面粗さ(凹凸)が小さいにもかかわらず、該絶縁層表面に十分な剥離強度を呈する導体層(金属膜)を備える。ここで、絶縁層の表面粗さは、金属張積層板の金属膜を金属膜エッチング液(塩化第二鉄水溶液等)で除去し、非接触型表面粗さ計を用いて測定することができる。絶縁層の表面粗さは、算術平均粗さ(Ra値)及び二乗平均平方根粗さ(Rq値)について評価することができ、非接触型表面粗さ計の具体例としては、ビーコインスツルメンツ製の「WYKO NT3300」が挙げられる。また、金属張積層板における絶縁層と導体層との剥離強度の測定は、JIS C6481に準拠して行うことができる。
本発明の金属張積層板に関しては、絶縁層表面のRa値が10nm〜300nmであることが好ましく、30nm〜250nmであることがより好ましく、50nm〜200nmであることが更に好ましい。また、絶縁層表面のRq値が30nm〜500nmであることが好ましく、50nm〜400nmであることがより好ましく、70nm〜300nmであることが更に好ましい。本発明の金属張積層板は、絶縁層の表面粗さが上記範囲にあるにもかかわらず、該絶縁層表面に十分な剥離強度、即ち、0.4kgf/cm以上、好ましくは0.5kgf/cm以上、より好ましくは0.6kgf/cm以上、を呈する導体層を備える。剥離強度は高い程好ましいが、一般的に1.5kgf/cmが上限となる。
従来の金属張積層板においては、絶縁層表面に凹凸を形成して導体層との間にアンカー効果を発現させることによって、剥離強度の高い導体層を得ていたが、配線パターン形成時にエッチングで不要なめっきシード層を除去する際、アンカー部分のシード層が除去され難く、アンカー部分のシード層を十分に除去し得る条件でエッチングした場合、配線パターンの溶解が顕著化し、微細配線化の妨げになるという問題が生じていた。これに対し、絶縁層の表面粗さ(凹凸)が小さいにもかかわらず、該絶縁層表面に十分な剥離強度を呈する導体層(金属膜)を備える本発明の金属張積層板では、上記の問題が生じないため、配線板の微細配線化に著しく寄与するものである。
本発明の金属張積層板は、そのまま配線板の製造に供することができる。本発明の金属張積層板はまた、金属膜上に、無電解めっきにより金属膜を更に形成した後、配線板の製造に供してもよい。
[配線板]
本発明の配線板は、本発明の金属膜付き接着フィルム又は金属張積層板を用いて得られる。
一実施形態において、本発明の配線板は、本発明の金属膜付き接着フィルムを用いて、下記(I)及び(II)の工程を含む方法により製造することができる。
(I)基板上に、金属膜付き接着フィルムを、樹脂組成物層が基板と対向するように積層する工程、
(II)樹脂組成物層を硬化して絶縁層を形成する工程
上記工程(I)で用いる基板としては、例えば、ガラスエポキシ基板、金属基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、及び熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等が挙げられる。基板としてはまた、上述の基板の片面若しくは両面にパターン加工された(回路形成された)導体層を有し、配線板を製造する際に、さらに絶縁層および導体層が形成されるべき中間製造物となる所謂「内層回路基板」も挙げることができる。なお、本発明でいう「配線板」は、絶縁層と回路形成された導体層を有している限り、特に限定されず、多層プリント配線板、フレキシブルプリント配線板等の各種配線板が挙げられる。
工程(I)における金属膜付き接着フィルムと基板との積層は、[金属膜付き接着フィルムの製造方法]において、接着フィルムと金属膜との積層について説明した方法と同様の方法を用いて実施することができる。なお、必要に応じて、基板と金属膜付き接着フィルムとの間にプリプレグを介在させて工程(I)を実施してもよい。プリプレグは、上記と同じものを用いることができる。
工程(II)における樹脂組成物の硬化処理は、熱硬化処理であり、その条件は、樹脂組成物の組成等によっても異なるが、一般に硬化温度が120〜200℃、硬化時間が15〜90分である。なお、絶縁層表面のしわ防止の観点から、硬化温度を段階的に又は連続的に上昇させながら樹脂組成物層を硬化させることが好ましい。
工程(II)の後、最外層の金属膜を利用して配線パターンを形成する。配線パターンの形成は、セミアディティブ法等の公知の方法により行うことができ、例えば、めっきレジストを形成し、上記の金属膜をめっきシード層として、電解めっきにより導体層を形成する。電解めっきによる導体層の厚さは所望の配線板のデザインによるが、一般的には、3〜35μm、好ましくは5〜30μmである。電解めっき後、めっきレジストをアルカリ性水溶液等のめっきレジスト剥離液で除去後、めっきシード層の除去を行い、配線パターンが形成される。
一実施形態において、本発明の配線板は、本発明の金属張積層板を用いて製造することができる。
斯かる実施形態では、金属張積層板の金属膜を利用して配線パターンを形成する。配線パターンの形成は、上記と同じ方法により行うことができる。
本発明の配線板は、絶縁層の表面粗さ(凹凸)が小さいにもかかわらず、該絶縁層表面に十分な剥離強度を呈する導体層を備える。ここで、配線板における絶縁層の表面粗さ、及び絶縁層と導体層との剥離強度は、金属張積層板におけるそれらの測定法と同様の方法を用いて測定することができる。
本発明の配線板に関しては、絶縁層表面のRa値が10nm〜300nmであることが好ましく、30nm〜250nmであることがより好ましく、50nm〜200nmであることが更に好ましい。また、絶縁層表面のRq値が30nm〜500nmであることが好ましく、50nm〜400nmであることがより好ましく、70nm〜300nmであることが更に好ましい。本発明の配線板は、絶縁層の表面粗さが上記範囲にあるにもかからわず、該絶縁層表面に十分な剥離強度、即ち、0.4kgf/cm以上、好ましくは0.5kgf/cm以上、より好ましくは0.6kgf/cm以上を呈する導体層を備え、微細配線化が容易である。剥離強度は高い程好ましいが、一般的に1.5kgf/cmが上限となる。
[半導体装置]
本発明の配線板を用いて、半導体装置を製造することができる。
かかる本発明の半導体装置としては、電気製品(例えば、コンピューター、携帯電話、デジタルカメラ及びテレビ等)及び乗物(例えば、自動二輪車、自動車、電車、船舶及び航空機等)等に供される各種半導体装置が挙げられる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下において、「部」は、別途明示のない限り、「質量部」を表す。
まずは各種測定方法・評価方法について説明する。
<金属膜の引張強度及び伸びの測定>
金属膜の引張強度の測定をJIS−K7113に準拠して行った。具体的には、引張・圧縮試験機(株式会社エー・アンド・デイ製、「TENSILON RTC−1250A」)を使用して、温度25℃、湿度40%RH、引っ張り速度5mm/minにて測定を行った。
<導体層の剥離強度(ピール強度)の測定>
導体層の剥離強度の測定をJIS C6481に準拠して行った。具体的には、実施例および比較例において得られた金属張積層板又は配線板を150mm×30mmの小片に切断した。小片の導体層(銅膜)部分に、カッターで幅10mm、長さ100mmの切込みをいれ、導体層の一端をはがして掴み具で掴み、インストロン万能試験機を用いて室温中にて、50mm/分の速度で垂直方向に35mmを引き剥がした時の荷重を測定し、剥離強度とした。
<絶縁層表面の算術平均粗さ(Ra値)及び二乗平均平方根粗さ(Rq値)の測定>
実施例および比較例において得られた金属張積層板又は配線板の銅めっき層及び銅層を塩化第二鉄水溶液で除去し、非接触型表面粗さ計(ビーコインスツルメンツ製「WYKO NT3300」)を用いて、VSIコンタクトモード、50倍レンズにより測定範囲を121μm×92μmとして、絶縁層表面の算術平均粗さ(Ra値)及び二乗平均平方根粗さ(Rq値)を求めた。なお、Ra値及びRq値は、それぞれ、ランダムに測定範囲を5箇所設定し、5箇所の測定値の平均値を採用した。
〔参考例1〕
図2に示す製膜装置を用いて、電解めっきにより銅膜を製造した。第1電解槽2は、FRP(繊維強化プラスチック)からなり、上面が解放され水平断面が長方形のタンクであった。アノード12は、鉛及び酸化イリジウムからなり、電解めっき液に不溶性であった。また、カソードとして用いる複数の板状体30(厚み100μm)は、ステンレス製であった。第1電解槽2内に満たされた電解めっき液13は、硫酸銅濃度250g/L、硫酸濃度60g/L、塩素濃度40ppmの水溶液であり、その温度は50℃であった。第1後処理槽3及び第2後処理槽4には水を入れ、第2電解槽5及び防錆処理槽6には何も入れなかった。
ディストリビュータ16により電解めっき液13を間隙17に供給しながら、ステンレス板状体30を下流側(図2において左側)に移動させた。アノード12とステンレス板状体30との間隙17は10mmであった。アノード12とステンレス板状体30との間の電流密度が250A/dmの条件下で電解めっきしたところ、ステンレス板状体30の表面に厚さ2μmの銅膜が析出した。その後、第1処理槽3及び第2処理槽4にて銅膜表面を水洗し、コンベアベルトから、表面に銅膜が付着しているステンレス板状体30を取り外した。次いで、表面に銅膜が付着しているステンレス板状体30をオーブンにて100℃で10分間乾燥し、ステンレス板状体30の表面上に銅膜(以下、「銅膜1」という。)を得た。
得られた銅膜1の引張強度をJIS−K7113に準拠して測定したところ、480MPaであった。また、得られた銅膜1の伸びは、4.7%であった。
〔参考例2〕
配線板用途として市販されている電解銅箔(JX日鉱日石金属(株)製、JTC箔、厚さ18μm)(以下、「銅膜2」という。)を用意した。
銅膜2の引張強度は350MPaであった。また、銅膜2の伸びは、3.0%であった。
銅膜1及び2の引張強度及び伸びを表1にまとめて示す。
Figure 2014005507
〔実施例1〕
<樹脂ワニスの調製>
液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量180、三菱化学(株)製「jER828EL」)28部、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂(エポキシ当量163、DIC(株)製「HP4700」)28部、及びフェノキシ樹脂(三菱化学(株)製「YX6954BH30」、固形分30質量%のメチルエチルケトン(MEK)溶液)20部を、MEK15部及びシクロヘキサノン15部の混合有機溶剤に撹拌しながら加熱溶解させた。得られた溶液に、トリアジン含有フェノールノボラック樹脂(水酸基当量125、DIC(株)製「LA7054」、窒素含有量約12質量%、固形分60質量%のMEK溶液)27部、ナフトール系硬化剤(水酸基当量215、東都化成(株)製「SN−485」、固形分50質量%のMEK溶液)27部、硬化触媒(四国化成工業(株)製、「2E4MZ」)0.1部、アミノシラン系カップリング剤(信越化学工業(株)、「KBM573」)で表面処理された球形シリカ(平均粒径0.5μm、(株)アドマテックス製「SOC2」)70部、ポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業(株)製「KS−1」、固形分15質量%のエタノール:トルエンの質量比が1:1の混合溶液)30部、MEK15部、及びシクロヘキサノン15部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製した。
<接着フィルムの調製>
上記で調製した樹脂ワニスを、厚さ38μmのアルキッド型離型剤(AL−5)付きポリエチレンテレフタレートフィルム(リンテック(株)製)のアルキッド型離型剤側にダイコーターにより塗布し、熱風乾燥炉を用いて溶剤を除去して、厚さ5μmの樹脂組成物層(以下、「樹脂組成物層1」という。)を有する接着フィルムを調製した。
<金属膜付き接着フィルムの製造>
上記で調製した接着フィルムと、参考例1においてカソード(ステンレス板状体30)上に形成した銅膜1を用いて金属膜付き接着フィルムを製造した。詳細には、上記接着フィルムの樹脂組成物層1と、ステンレス板状体30(カソード)上の銅膜1とが接するようにして、真空ラミネーター(ニチゴーモートン製、「CVP―700」)を用いて、90℃で15秒間ラミネート処理して、金属膜付き接着フィルムを製造した。
<プリプレグの調製>
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量215、DIC(株)製「N−680」、固形分75質量%のMEK溶液)30部、クレゾールノボラック樹脂(水酸基当量119、DIC(株)製「KA−1165」、固形分60質量%のMEK溶液)16.5部、硬化触媒(四国化成工業(株)製、「2E4MZ」)0.05部、水酸化アルミニウム(平均粒径3.0μm、巴工業(株)製「UFE−20」)30部、及びMEK40部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製した。該樹脂ワニスを、(株)有沢製作所製の2116ガラスクロス(厚さ94μm)に含浸し、縦型乾燥炉にて140℃で5分間乾燥させて、プリプレグ(以下、「プリプレグ1」という。)を調製した。調製したプリプレグ1の残留溶剤量はガラスクロスを含まない樹脂組成物を基準として0.5質量%であり、プリプレグ1の厚みは120μmであった。
<金属張積層板の製造>
上記で得た金属膜付き接着フィルムとプリプレグ1とを340mm×500mmの大きさに裁断機で裁断した。金属膜付き接着フィルムとプリプレグ1とは、それぞれ2枚ずつ用意した。また、金属膜付き接着フィルムは、アルキッド型離型剤(AL−5)付きポリエチレンテレフタレートフィルムを剥がした後で製造に供した。詳細には、金属膜付き接着フィルムの樹脂組成物層1がプリプレグ1に接するように、2枚の金属膜付き接着フィルムの間に2枚のプリプレグ1を配置し、加熱圧着した。加熱圧着は、真空プレス機((株)名機製作所製、「MNPC−V−750−5−200」)を用いて、減圧度を1×10−3MPa、圧力を10kgf/cmとし、昇温速度3℃/分で室温から130℃まで上昇させ30分保持した後、圧力を30kgf/cmとし、昇温速度3℃/分で220℃まで昇温させて90分保持することによって実施した。
加熱圧着後にステンレス板状体を剥離したところ、しわや傷が全くない、良好な金属膜(銅膜)を備えていることを確認した。
次いで、銅膜上に無電解銅めっき(下記に詳述のアトテックジャパン(株)製の薬液を使用した無電解銅めっきプロセスを使用)を行った。無電解銅めっきの膜厚は1μmであった。その後、電解銅めっきを行って、全体厚さ30μmの導体層(銅層)を形成して金属張積層板を得た。
<アトテックジャパン(株)製の薬液を使用した無電解銅めっきプロセス>
1.アルカリクリーニング(樹脂表面の洗浄と電荷調整)
商品名:Cleaning cleaner Securiganth 902
条件:60℃で5分
2.ソフトエッチング(ビア底、導体の銅の洗浄)
硫酸酸性ペルオキソ二硫酸ナトリウム水溶液
条件:30℃で1分
3.プレディップ(次工程のPd付与のための表面の電荷の調整が目的)
商品名:Pre. Dip Neoganth B
条件:室温で1分
4.アクティヴェーター(樹脂表面へのPdの付与)
商品名:Activator Neoganth 834
条件:35℃で5分
5.還元(樹脂に付いたPdの還元)
商品名:Reducer Neoganth WA
:Reducer Acceralator 810 mod.の混合液
条件:30℃で5分
6.無電解銅めっき(樹脂表面(Pd表面)へのCuの析出)
商品名:Basic Solution Printganth MSK-DK
:Copper solution Printganth MSK
:Stabilizer Printganth MSK-DK
:Reducer Cu の混合液
条件:35℃で20分
得られた金属張積層板について、絶縁層の表面粗さを測定したところ、Ra値は150nmであり、Rq値は195nmであった。また、絶縁層と導体層との剥離強度は0.9kgf/cmであった。
〔実施例2〕
樹脂組成物層1を有する接着フィルムに代えて、下記のように調製した樹脂組成物層2を有する接着フィルムを使用した以外は、実施例1と同様にして、金属張積層板を製造した。
<樹脂組成物層2を備える接着フィルムの調製>
アミノシラン系カップリング剤(信越化学工業(株)、「KBM573」)で表面処理された球形シリカ(平均粒径0.5μm、(株)アドマテックス製「SOC2」)の配合量を300部に変更したこと以外は実施例1と同様にして樹脂ワニスを調製した。
調製した樹脂ワニスを用いて、実施例1と同様にして、樹脂組成物層2を備える接着フィルムを調製した。
加熱圧着後にステンレス板状体を剥離したところ、しわや傷が全くない、良好な金属膜を備えていることを確認した。
得られた金属張積層板について、絶縁層の表面粗さを測定したところ、Ra値は150nmであり、Rq値は200nmであった。また、絶縁層と導体層との剥離強度は0.7kgf/cmであった。
〔実施例3〕
樹脂組成物層1を有する接着フィルムに代えて、下記のように調製した樹脂組成物層3を有する接着フィルムを使用した以外は、実施例1と同様にして、金属張積層板を製造した。
<樹脂組成物層3を備える接着フィルムの調製>
ナフトール系硬化剤(水酸基当量215、東都化成(株)製「SN−485」、固形分50質量%のMEK溶液)27部、ポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業(株)製「KS−1」、固形分15質量%のエタノール:トルエンの質量比が1:1の混合溶液)30部に代えて、活性エステル系硬化剤(水酸基当量223、DIC(株)製「HPC8000−65T」)40部を使用した以外は実施例1と同様にして樹脂ワニスを調製した。
得られた樹脂ワニスを用いて、実施例1と同様にして、樹脂組成物3を備える接着フィルムを調製した。
加熱圧着後にステンレス板状体を剥離したところ、しわや傷が全くない、良好な金属膜を備えていることを確認した。
得られた金属張積層板について、絶縁層の表面粗さを測定したところ、Ra値は120nmであり、Rq値は180nmであった。また、絶縁層と導体層との剥離強度は0.7kgf/cmであった。
〔実施例4〕
プリプレグ1に代えて、下記のように調製したプリプレグ2を使用した以外は、実施例1と同様にして、金属張積層板を製造した。
<プリプレグ2の調製>
フェノールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量180、DIC(株)製「N740」)25部、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量208、ジャパンエポキシレジン(株)製「157S70B75」、固形分75質量%のシクロヘキサノン溶液)25部、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂(エポキシ当量170、DIC(株)製「EXA4710」)35部及びフェノキシ樹脂(三菱化学(株)製「YX6954BH30」、固形分30質量%のMEK溶液)25部を、MEK15部とシクロヘキサノン15部の混合液に撹拌しながら加熱溶解させた。そこへ、トリアジン含有フェノールノボラック樹脂(水酸基当量125、DIC(株)製「LA7054」、固形分60質量%のMEK溶液)30部、ナフトール系硬化剤(水酸基当量215、東都化成(株)製「SN−485」、固形分60質量%のMEK溶液)20部、硬化触媒(四国化成工業(株)製、「2E4MZ」)0.1部、アミノシラン系シランカップリング剤(信越化学工業(株)、「KBM573」)で表面処理された球形シリカ(平均粒径0.5μm、(株)アドマテックス製「SOC2」)70部、有機リン系難燃剤(三光(株)製、「HCA−HQ」)25部、ポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業(株)製「KS−1」)をエタノールとトルエンの質量比が1:1の混合溶媒に溶解した固形分15質量%の溶液10部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製した。該ワニスを、(株)有沢製作所製2116ガラスクロス(厚み94μm)に含浸し、縦型乾燥炉にて140℃で5分間乾燥させプリプレグ2を調製した。調製したプリプレグ2の残留溶剤量はガラスクロスを含まない樹脂組成物を基準として0.8質量%であり、プリプレグ2の厚みは120μmであった。
加熱圧着後にステンレス板状体を剥離したところ、しわや傷が全くない、良好な金属膜を備えていることを確認した。
得られた金属張積層板について、絶縁層の表面粗さを測定したところ、Ra値は120nmであり、Rq値は175nmであった。また、絶縁層と導体層との剥離強度は0.7kgf/cmであった。
〔実施例5〕
<樹脂ワニスの調製>
実施例1と同様にして、樹脂ワニスを調製した。
<金属膜付き接着フィルムの製造>
上記で調製した樹脂ワニスと、参考例1においてカソード(ステンレス板状体30)上に形成した銅膜1を用いて金属膜付き接着フィルムを製造した。詳細には、ロールラミネーターを用いて、カソード上の銅膜1に、その粘着層表面が接するように粘着PETフィルム(藤森工業(株)製、「PC−803」)を積層させた後、得られた積層体をカソード表面から剥がした。得られた積層体の銅膜1上に、上記で調製した樹脂ワニスをダイコーターにより塗布し、熱風乾燥炉を用いて溶剤を除去して、厚さ40μmの樹脂組成物層(以下、「樹脂組成物層4」という。)を有する金属膜付き接着フィルムを製造した。
<配線板の製造>
18μm厚の銅回路が両面に形成されているガラスエポキシ基板(以下、「回路基板」という。)を、表面処理剤(メック(株)製「CZ8100」、アゾール類の銅錯体及び有機酸を含む表面処理剤)による粗化処理に付した。次いで、上記金属膜付き接着フィルムの樹脂組成物層4が回路基板の銅回路表面と接するように、2枚の金属膜付き接着フィルムの間に回路基板を配置し、金属膜付き接着フィルムを回路基板の両面に積層した。積層は、バッチ式真空加圧ラミネーター((株)名機製作所製、「MVLP−500」)を用いて、気圧を13hPa以下とした後、100℃、圧力7.54kgf/cmにて30秒間行なった。得られた積層体を室温に冷却し、加熱オーブン内で180℃、30分間熱硬化させて、基板を製造した。
得られた基板から粘着PETフィルムを剥離したところ、しわや傷が全くない、良好な金属膜(銅膜)を備えていることを確認した。
次いで、実施例1と同様にして銅膜上に無電解銅めっき及び電解銅めっきを行って、全体厚さ30μmの導体層(銅層)を形成して配線板を製造した。得られた配線板について、絶縁層の表面粗さを測定したところ、Ra値は120nmであり、Rq値は160nmであった。また、絶縁層と導体層との剥離強度は0.8kgf/cmであった。
〔実施例6〕
<樹脂ワニスの調製>
液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量180、三菱化学(株)製「jER828EL」)30部と、ビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ当量291、日本化薬(株)製「NC3000H」)30部とを、MEK15部とシクロヘキサノン15部の混合溶媒に撹拌しながら加熱溶解させた。そこへ、トリアジン含有フェノールノボラック樹脂(水酸基当量125、DIC(株)製「LA7054」、窒素含有量約12質量%、固形分60質量%のMEK溶液)15部、活性エステル化合物(DIC(株)製「HPC8000−65T」、活性エステル当量223、固形分65%のトルエン溶液)45部、硬化促進剤(広栄化学工業(株)製、「4−ジメチルアミノピリジン」)0.5部、アミノシラン系シランカップリング剤(信越化学工業(株)、「KBM573」)で表面処理された球形シリカ(平均粒径0.5μm、アミノシラン処理付「SOC2」(株)アドマテックス製)220部、フェノキシ樹脂(三菱化学(株)製「YX6954BH30」、固形分30質量%のMEK溶液)40部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを調製した。
<金属膜付き接着フィルムの調製>
上記で調製した樹脂ワニスを用いて、実施例5と同様にして、厚さ40μmの樹脂組成物層(以下、「樹脂組成物層5」という。)を有する金属膜付き接着フィルムを製造した。
調製した金属膜付き接着フィルムを用いて、実施例5と同様にして基板、配線板を製造した。得られた基板は、しわや傷が全くない、良好な金属膜を備えていることを確認した。
得られた配線板について、絶縁層の表面粗さを測定したところ、Ra値は100nmであり、Rq値は130nmであった。また、絶縁層と導体層との剥離強度は0.65kgf/cmであった。
<比較例1>
銅膜1に代えて、参考例2の銅膜2を使用した点、及び無電解銅めっき前に塩化第二鉄水溶液(鶴見曹達(株)製、40°品)に10分間浸漬させ、銅膜の厚さを約5μmにした点以外は、実施例1と同様にして、金属張積層板を製造した。
加熱圧着後、金属膜に傷があることを確認した。無電解銅めっき及び電解銅めっき後においても、そのような傷が残っていることを確認した。
得られた金属張積層板について、絶縁層の表面粗さを測定したところ、Ra値は1200nmであり、Rq値は1500nmであった。また、絶縁層と導体層との剥離強度は0.9kgf/cmであった。
実施例1〜6及び比較例1の結果を表2にまとめて示す。
Figure 2014005507
表2の結果から、比較例1で得られた配線板は、高い剥離強度を示したものの、絶縁層の表面粗さが大きかった。一方、実施例1〜6で得られた配線板は、絶縁層の表面粗さが小さいにも関わらず、比較例1の配線板と同等の剥離強度を示した。
1、7 製膜装置
2 第1電解槽
3 第1後処理槽
4 第2後処理槽
5 第2電解槽
6 防錆処理槽
10 カソード(帯状体)
12 アノード
13 電解めっき液
14 吸入管
15 吐出管
16 ディストリビュータ
17 間隙
18 金属膜
19 吐出管
20 吸入管
21 吐出管
23 アノード
24 ディストリビュータ
25 間隙
30 カソード(板状体)
26、31 駆動手段

Claims (9)

  1. 金属膜と、
    該金属膜に接合している樹脂組成物層と
    を含む金属膜付き接着フィルムであって、
    前記金属膜が、アノードとカソードとの間の電流密度が80A/dm〜500A/dmの条件下で電解めっきにより形成された金属膜である、金属膜付き接着フィルム。
  2. 前記金属膜の厚さが、10μm以下である、請求項1に記載の金属膜付き接着フィルム。
  3. 前記金属膜の引張強度が、400MPa以上である、請求項1又は2に記載の金属膜付き接着フィルム。
  4. 前記金属膜が、金、白金、銀、銅、アルミニウム、コバルト、クロム、亜鉛、ニッケル、チタン、タングステン、鉄、スズ及びインジウムからなる群から選択される1種以上の金属を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の金属膜付き接着フィルム。
  5. 前記樹脂組成物層が、エポキシ樹脂、硬化剤、及び無機充填材を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の金属膜付き接着フィルム。
  6. 下記工程(A)及び(B)を含む、金属膜付き接着フィルムの製造方法。
    (A)アノードとカソードとの間の電流密度が80A/dm〜500A/dmの条件下で、電解めっきによりカソード表面に金属を析出させて金属膜を形成する工程、
    (B)前記金属膜と接合するように樹脂組成物層を設けて金属膜付き接着フィルムを形成する工程
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の金属膜付き接着フィルムと、プリプレグとを、前記樹脂組成物層が前記プリプレグに接するように加熱圧着してなる、金属張積層板。
  8. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の金属膜付き接着フィルム又は請求項7に記載の金属張積層板を用いて得られる、配線板。
  9. 請求項8に記載の配線板を含む、半導体装置。
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