JP2014003847A - 集電装置の揚力調整構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】集電装置の枠組に作用する空気力を簡単な構造によって低減して集電装置に作用する揚力を簡単に調整することができる集電装置の揚力調整構造を提供する。
【解決手段】乱流遷移部10は、集電装置3の枠組表面6eの流れFによってこの枠組表面6eに形成される層流境界層を乱流境界層へと遷移させる。枠組表面6eに乱流遷移部10が存在する場合には、枠組表面6eの層流境界層が乱流境界層へと遷移し、乱流遷移部10によって流れFが乱されて活発に運動量交換が行われるようになる。このため、枠組表面6eから流れFが剥離し難くなり、枠組表面6eから流れFが剥離するのが遅れる。その結果、流れFの剥離点が下流側に後退して枠組6の背後に発生するカルマン渦が弱まり、枠組6に作用する空気力L1が低減して、集電装置3に作用する揚力L2が調整される。
【選択図】図3
【解決手段】乱流遷移部10は、集電装置3の枠組表面6eの流れFによってこの枠組表面6eに形成される層流境界層を乱流境界層へと遷移させる。枠組表面6eに乱流遷移部10が存在する場合には、枠組表面6eの層流境界層が乱流境界層へと遷移し、乱流遷移部10によって流れFが乱されて活発に運動量交換が行われるようになる。このため、枠組表面6eから流れFが剥離し難くなり、枠組表面6eから流れFが剥離するのが遅れる。その結果、流れFの剥離点が下流側に後退して枠組6の背後に発生するカルマン渦が弱まり、枠組6に作用する空気力L1が低減して、集電装置3に作用する揚力L2が調整される。
【選択図】図3
Description
この発明は、集電装置に作用する揚力を調整する集電装置の揚力調整構造に関する。
図38に示す従来の集電装置103は、集電舟107を支持する枠組106と、架線101のトロリ線101aと摺動するすり板107aを支持する集電舟107などを備えている。枠組106は、集電舟107を支持する舟支え部106aと、この舟支え部106aに連結される上枠106bと、台枠104に連結される下枠106cと、上枠106bと下枠106cとを回転自在に連結する関節部106dなどを備えている。このような従来の集電装置103では、枠組106が傾斜して設置されている円柱部材であり、枠組106が流れFを受けると主として枠組106を横切る(直交する)流速成分によってこの枠組106を横切る方向に空気力(抗力)L1が作用する。従来の集電装置103では、図38(A)に示すように、関節部106dが進行方向前側に位置するなびき方向に移動するときには、上枠106bを下降させる方向に空気力L1が作用するとともに、下枠106cを上昇させる方向に空気力L1が作用し、枠組106全体に作用する揚力に影響を及ぼす。一方、従来の集電装置103では、図38(B)に示すように、関節部106dが進行方向後側に位置する反なびき方向に移動するときには、上枠106bを上昇させる方向に空気力L1が作用するとともに、下枠106cを下降させる方向に空気力L1が作用して、枠組106全体に作用する揚力に影響を及ぼす。
図39に示す従来の集電装置103は、図38に示す集電装置103とは異なり、枠組106の上枠露出部106fのみが風防部に覆われずに外部に露出している。このような従来の集電装置103では、図38に示す集電装置103と同様に上枠露出部106fが傾斜して設置されている円柱部材であり、この上枠露出部106fに空気力L1が作用する。従来の集電装置103では、図39(A)に示すように、進行方向前側から進行方向後側に向かって上枠露出部106fが斜め上方に傾斜するなびき方向にこの上枠露出部106fが移動するときには、上枠露出部106fを下降させる方向の空気力L1が作用し、枠組106全体に作用する揚力に影響を及ぼす。一方、従来の集電装置103では、図39(B)に示すように、進行方向前側から進行方向後側に向かって上枠露出部106fが斜め下方に傾斜する反なびき方向にこの上枠露出部106fが移動するときには、上枠露出部106fを上昇させる方向に空気力L1が作用して、枠組106全体に作用する揚力に影響を及ぼす。
従来、パンタグラフなどの集電装置の揚力を調整する場合には、トロリ線と摺動するすり板を支持する集電舟の形状を変更する方法と、この集電舟を支持する枠組の頂点の軌跡を変更する方法の2つが主として行われていた。従来の集電装置の揚力調整構造(以下、従来技術1という)は、形状が可変な風洞試験用模型を用い、風洞試験結果から算出された目的関数が最大又は最小になるよう、集電舟の形状を調整している(例えば、特許文献1参照)。この従来技術1では、目的関数として揚力の値や迎角依存性、放射される空力音の大きさを採用する事で、所定の空気力特性や空力音特性を有する舟体形状を得ることができる。従来の集電装置の揚力調整構造(以下、従来技術2という)は、枠組の下枠及び釣り合い棒の車両屋根に対する取り付け位置を設定するとともに釣り合い棒の長さを設定している(例えば、特許文献2参照)。この従来技術2では、枠組の下枠と釣り合い棒との水平方向の間隔を一定値に調整するとともに釣り合い棒の長さを長くすることによって、舟体の移動軌跡を垂直方向に近づけて舟体に作用する揚力を略一定にしている。
従来技術1は、目的関数として揚力の値や迎角依存性、放射される空力音の大きさを採用する事で、所定の空気力特性や空力音特性を有する舟体形状を得ることができる。しかし、従来技術1では、舟体の場合には所定の空気力特性と空力音特性を同時に満たす事が必要であり、舟体形状の制約条件によっては複雑な形状となり、舟体質量の増加による追随性能の悪化、製造コストの上昇を招くといった問題点がある。さらに、従来技術1を用いずに試行錯誤で形状を変更する場合には、供試体の試作と試験に要するコストも大きな問題点である。従来技術2は、枠組の頂点の軌跡を変更することによって舟体に作用する揚力の変動を抑えている。しかし、従来技術2では、集電装置の基本となる枠組の姿勢に関係する技術であり、押し上げ力特性や折り畳み動作機構などにも影響する部分であるため、既存の集電装置に容易に適用することができない問題点がある。また、集電装置では、集電装置に作用する揚力を集電装置の開発段階から調整することが多い。しかし、従来技術1,2では、開発の最終段階で集電装置の揚力を調整することが困難であり、既存の集電装置についても揚力を調整することが困難であった。
この発明の課題は、集電装置の枠組に作用する空気力を簡単な構造によって低減して集電装置に作用する揚力を簡単に調整することができる集電装置の揚力調整構造を提供することである。
この発明は、以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
なお、この発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、この実施形態に限定するものではない。
請求項1の発明は、図1〜図37に示すように、集電装置(3)に作用する揚力(L2)を調整する集電装置の揚力調整構造であって、前記集電装置の枠組表面(6e)の流れ(F)によってこの枠組表面に形成される層流境界層を乱流境界層へと遷移させる乱流遷移部(10)を備えることを特徴とする集電装置の揚力調整構造(9)である。
なお、この発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、この実施形態に限定するものではない。
請求項1の発明は、図1〜図37に示すように、集電装置(3)に作用する揚力(L2)を調整する集電装置の揚力調整構造であって、前記集電装置の枠組表面(6e)の流れ(F)によってこの枠組表面に形成される層流境界層を乱流境界層へと遷移させる乱流遷移部(10)を備えることを特徴とする集電装置の揚力調整構造(9)である。
請求項2の発明は、請求項1に記載の集電装置の揚力調整構造において、図1(A)〜図3(A)、図10(A)〜図12(A)、図17(A)〜図19(A)及び図24(A)〜図26(A)に示すように、前記乱流遷移部は、前記枠組の関節部(6d)が上流側に位置する場合に、前記集電装置に作用する揚力を増加させるときには、この枠組の上枠(6b)の上流側で層流境界層を乱流境界層へと遷移させることを特徴とする集電装置の揚力調整構造である。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の集電装置の揚力調整構造において、図1(B)〜図3(B)、図10(B)〜図12(B)、図17(B)〜図19(B)及び図24(B)〜図26(B)に示すように、 前記乱流遷移部は、前記枠組の関節部(6d)が上流側に位置する場合に、前記集電装置に作用する揚力を減少させるときには、この枠組の下枠(6c)の上流側で層流境界層を乱流境界層へと遷移させることを特徴とする集電装置の揚力調整構造である。
請求項4の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の集電装置の揚力調整構造において、図4(A)〜図6(A)、図13(A)〜図15(A)、図20(A)〜図22(A)及び図27(A)〜図29(A)に示すように、前記乱流遷移部は、前記枠組の関節部(6d)が下流側に位置する場合に、前記集電装置に作用する揚力を減少させるときには、この枠組の上枠(6b)の上流側で層流境界層を乱流境界層へと遷移させることを特徴とする集電装置の揚力調整構造である。
請求項5の発明は、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の集電装置の揚力調整構造において、図4(B)〜図6(B)、図13(B)〜図15(B)、図20(B)〜図22(B)及び図27(B)〜図29(B)に示すように、前記乱流遷移部は、前記枠組の関節部(6d)が下流側に位置する場合に、前記集電装置に作用する揚力を増加させるときには、この枠組の下枠(6c)の上流側で層流境界層を乱流境界層へと遷移させることを特徴とする集電装置の揚力調整構造である。
請求項6の発明は、請求項1に記載の集電装置の揚力調整構造において、図31〜図33に示すように、前記乱流遷移部は、前記枠組の上枠露出部(6f)が上流側から下流側に向かって上方に傾斜する場合に、前記集電装置に作用する揚力を増加させるときには、この枠組の上枠露出部の上流側で層流境界層を乱流境界層へと遷移させることを特徴とする集電装置の揚力調整構造である。
請求項7の発明は、請求項1又は請求項6に記載の集電装置の揚力調整構造において、図34〜図36に示すように、前記乱流遷移部は、前記枠組の上枠露出部(6f)が上流側から下流側に向かって下方に傾斜する場合に、前記集電装置に作用する揚力を減少させるときには、この枠組の上枠露出部の上流側で層流境界層を乱流境界層へと遷移させることを特徴とする集電装置の揚力調整構造である。
請求項8の発明は、請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の集電装置の揚力調整構造において、図7〜図9、図16、図23及び図30に示すように、前記乱流遷移部は、前記枠組表面から流れが剥離する層流剥離点よりも上流側で層流境界層を乱流境界層へと遷移させることを特徴とする集電装置の揚力調整構造である。
請求項9の発明は、請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の集電装置の揚力調整構造において、前記乱流遷移部は、前記枠組表面の長さ方向に沿って任意の長さで配置可能であることを特徴とする集電装置の揚力調整構造である。
請求項10の発明は、請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載の集電装置の揚力調整構造において、図1〜図9に示すように、前記乱流遷移部は、前記枠組表面の突起部によってこの枠組表面の層流境界層を乱流境界層へと遷移させるボルテックスジェネレータ(10a)を備えることを特徴とする集電装置の揚力調整構造である。
請求項11の発明は、請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載の集電装置の揚力調整構造において、図10〜図16に示すように、前記乱流遷移部は、前記枠組表面の流れと交差する線状部によってこの枠組表面の層流境界層を乱流境界層へと遷移させるトリッピングワイヤ(10b)を備えることを特徴としている集電装置の揚力調整構造である。
請求項12の発明は、請求項1から請求項11までのいずれか1項に記載の集電装置の揚力調整構造において、図17〜図23に示すように、前記乱流遷移部は、前記枠組表面の流れと交差するメッシュ部によってこの枠組表面の層流境界層を乱流境界層へと遷移させるラフネス(10c)を備えることを特徴とする集電装置の揚力調整構造である。
請求項13の発明は、請求項1から請求項12までのいずれか1項に記載の集電装置の揚力調整構造において、図24〜図30に示すように、前記乱流遷移部は、前記枠組表面の凹凸部によってこの枠組表面の層流境界層を乱流境界層へと遷移させるディンプル(10d)を備えることを特徴とする集電装置の揚力調整構造である。
この発明によると、集電装置の枠組に作用する空気力を簡単な構造によって低減して集電装置に作用する揚力を簡単に調整することができる。
(第1実施形態)
以下、図面を参照して、この発明の第1実施形態について詳しく説明する。
図1〜図6に示す架線1は、線路上空に架設される架空電車線であり、所定の間隔をあけて支持点で支持されている。トロリ線1aは、集電装置3が接触移動する電線であり、集電装置3が摺動することによって、車両2に負荷電流を供給する。図1、図2、図4及び図5に示す車両2は、電車又は電気機関車などの電気車であり、例えば高速で走行する新幹線(登録商標)などの鉄道車両である。車体2aは、乗客又は貨物を積載し輸送するための構造物である。
以下、図面を参照して、この発明の第1実施形態について詳しく説明する。
図1〜図6に示す架線1は、線路上空に架設される架空電車線であり、所定の間隔をあけて支持点で支持されている。トロリ線1aは、集電装置3が接触移動する電線であり、集電装置3が摺動することによって、車両2に負荷電流を供給する。図1、図2、図4及び図5に示す車両2は、電車又は電気機関車などの電気車であり、例えば高速で走行する新幹線(登録商標)などの鉄道車両である。車体2aは、乗客又は貨物を積載し輸送するための構造物である。
図1〜図6に示す集電装置3は、トロリ線1aから電力を車両2に導くための装置である。集電装置3は、図1、図2、図4及び図5に示す台枠4と、碍子5と、図1〜図6に示す枠組6と、集電舟(舟体)7と、図1、図2、図4及び図5に示す風防部8と、図1〜図6に示す揚力調整構造9などを備えている。図1、図2、図4及び図5に示す台枠4は、枠組6を支持して車体2aの屋根上に設置される部材であり碍子5上に設置されている。碍子5は、車体2aと台枠4との間を電気的に絶縁する部材である。図1〜図6に示す枠組6は、集電舟7を支持する部材であり、集電舟7を支持した状態で上下方向に動作可能なリンク機構である。枠組6は、台枠4に取り付けられて上昇力を付与する主ばね(押上げ用ばね)によって上方に押上げられている。枠組6は、舟支え部6aと、上枠6bと、下枠6cと、関節部(屈曲部)6dと、枠組表面6eなどを備えている。舟支え部6aは、集電舟7を支持する部分である。舟支え部6aは、集電舟7を架線1に対して水平に押上げる機構部である。上枠6bは、舟支え部6aに回転自在に連結される部材であり、下枠6cは図示しない主軸に固定される部材であり、関節部6dは上枠6bと下枠6cとが回転自在に連結される中間ヒンジとして機能する部分である。枠組表面6eは、枠組6の外周面であり、枠組6の中心線と直交する平面で切断したときの断面形状が略円形の湾曲面である。集電装置3は、車両2の進行方向(図中A方向)に対して非対称であり、一方向又は両方向に使用可能なシングルアーム式パンタグラフである。図1〜図3に示す集電装置3は、車両2の進行方向前側に関節部6dが位置するなびき方向に移動しており、図4〜図6に示す集電装置3は車両2の進行方向後側に関節部6dが位置する反なびき方向に移動している。
図1〜図6に示す集電舟7は、すり板7aが取り付けられ支持される部材である。集電舟7は、一般にトロリ線1aと直交する方向(まくらぎ方向)に伸びた細長い金属製の柱状部材である。集電舟7は、すり板7aとホーン7bなどを備えている。集電舟7は、例えば、すり板7aが複数に分割された多分割すり板体であり、すり板7aを多数のすり板片に分割することによって、トロリ線1aと接触して加振されるすり板7aの質量を低減し、トロリ線1aに対する追従性能を向上させた新幹線用(高速用)パンタグラフの集電舟である。集電舟7は、図1、図3、図4及び図6に示すように、この集電舟7の中心軸に対して前後対称であり、前後がいずれも同一形状に形成されている。
図1〜図6に示すすり板7aは、トロリ線1aと摺動する部材である。すり板7aは、車両2の進行方向と直交する方向に伸びた金属製又は炭素製の板状部材である。すり板7aは、集電舟7とは別個に製造される別部品であり、集電舟7の上面に形成された凹部に収容されており、この集電舟7と一体に取り付けられている。すり板7aは、集電舟7との間で相対変位可能なようにばねなどの弾性体によって支持されている。図2及び図5に示すすり板7aの中央部は、車両2が本線走行時に主にトロリ線1aと摺動する主すり板として機能し、すり板7aの両端部は主すり板に比べて摺動頻度が低い補助すり板として機能する。すり板7aには、トロリ線1aと接触移動(摺動)して大電流が流れるため、一定の機械的強度、導電性及び耐摩耗性などが要求される。
ホーン7bは、車両2が分岐器を通過するときに、この分岐器の上方で交差する2本のトロリ線1aのうち車両2の進行方向とは異なる方向のトロリ線1aへの割込みを防止するための部材である。ホーン7bは、集電舟7の長さ方向の両端部から突出しており、先端部が湾曲して形成された金属製の部材である。
図1、図2、図4及び図5に示す風防部8は、気流の乱れを防ぐ部材である。風防部8は、枠組6を昇降させるための機構部などを覆うカバーであり、台枠4に気流が当たるのを防ぐ。風防部8は、気流の流れFを妨げないような形状に形成されており、台枠4に着脱自在に装着されている。
図1〜図7に示す揚力調整構造9は、集電装置3に作用する揚力L2を調整する構造である。揚力調整構造9は、枠組表面6eから突出して層流境界層の乱流遷移を促進させて、流れFの剥離位置を遅らせる(下流側に移動させる)ことによって、枠組6に作用する空気力L1を低減させて揚力L2を調整する。揚力調整構造9は、乱流遷移部10などを備えている。
乱流遷移部10は、集電装置3の枠組表面6eの流れFによってこの枠組表面6eに形成される層流境界層を乱流境界層へと遷移させる部分である。乱流遷移部10は、枠組表面6eで流れFが剥離してこの枠組表面6eの背後に生成されるカルマン渦を低減することによって、枠組6に作用する空気力L1を低減する。
乱流遷移部10は、図1(A)〜図3(A)に示すように、枠組6の関節部6dが上流側に位置する場合に、この集電装置3に作用する揚力L2を増加させるときには、この枠組6の上枠6bの上流側で層流境界層を乱流境界層へと遷移させる。乱流遷移部10は、枠組6の関節部6dが進行方向前側になるなびき方向に集電装置3が移動する場合に、集電装置3を上昇させる方向に作用する揚力L2を増加させる。乱流遷移部10は、枠組6の上枠6bの上面の長さ方向に沿って配置されており、上枠6bを下降させる方向に作用する空気力L1を低減する。一方、乱流遷移部10は、図1(B)〜図3(B)に示すように、枠組6の関節部6dが上流側に位置する場合に、この集電装置3に作用する揚力L2を減少させるときには、この枠組6の下枠6cの上流側で層流境界層を乱流境界層へと遷移させる。乱流遷移部10は、枠組6の関節部6dが進行方向前側になるなびき方向に移動する場合に、集電装置3を上昇させる方向に作用する揚力L2を減少させる。乱流遷移部10は、枠組6の下枠6cの下面の長さ方向に沿って配置されており、下枠6cを上昇させる方向に作用する空気力L1を低減する。
乱流遷移部10は、図4(A)〜図6(A)に示すように、枠組6の関節部6dが下流側に位置する場合に、この集電装置3に作用する揚力L2を減少させるときには、この枠組6の上枠6bの上流側で層流境界層を乱流境界層へと遷移させる。乱流遷移部10は、枠組6の関節部6dが進行方向後側になる反なびき方向に集電装置3が移動する場合に、集電装置3を上昇させる方向の揚力L2を減少させる。乱流遷移部10は、枠組6の上枠6bの下面の長さ方向に沿って配置されており、上枠6bを上昇させる方向に作用する空気力L1を低減する。一方、乱流遷移部10は、図4(B)〜図6(B)に示すように、枠組6の関節部6dが下流側に位置する場合に、この集電装置3に作用する揚力L2を減少させるときには、この枠組6の下枠6cの上流側で層流境界層を乱流境界層へと遷移させる。乱流遷移部10は、枠組6の関節部6dが進行方向後側になる反なびき方向に集電装置3が移動する場合に、集電装置3を上昇させる方向に作用する揚力L2を増加させる。乱流遷移部10は、枠組6の下枠6cの下面の長さ方向に沿って配置されており、下枠6cを下降させる方向に作用する空気力L1を低減する。
乱流遷移部10は、枠組6の背後に発生するカルマン渦が弱まり、枠組6に作用する空気力L1が低減するように、図7に示すように枠組表面6eから流れFが剥離する層流剥離点よりも上流側で層流境界層を乱流境界層へと遷移させる。乱流遷移部10は、例えば、枠組6のような円柱部材の場合にはこの枠組6の中心線よりも上流側で流れFが剥離するため、流れFの剥離点よりもさらに上流側に配置される。乱流遷移部10は、枠組表面6eの長さ方向に沿って任意の長さで配置可能であり、乱流遷移部10の長さを調整することによって集電舟7に作用する揚力L2が調整される。乱流遷移部10は、例えば、既存の集電装置3に適用する場合には、この集電装置3の枠組表面6eに接着剤などによって取り付けられており、新品の集電装置3に適用する場合にはこの集電装置3の枠組表面6eに溶接などによって一体に形成されている。
乱流遷移部10は、図1〜図7に示すように、枠組表面6eの突起部によってこの枠組表面6eの層流境界層を乱流境界層へと遷移させるボルテックスジェネレータ(Vortex Generator)10aなどを備えている。ボルテックスジェネレータ10aは、渦流を積極的に発生させて乱流を促進させ、剥離位置を遅らせる(下流側に移動させる)ことによって、境界層における流れFの剥離を発生し難くする機能を有する。ボルテックスジェネレータ10aは、例えば、航空機の剥離防止などに使用される突起状の渦発生装置であり、ボルテックスジェネレータ10aは、図1〜図7に示すように、外観形状が略四角柱又は略半円柱状の部材であり、枠組6の枠組表面6eの長さ方向に所定の間隔をあけて2列配置されている。ボルテックスジェネレータ10aは、例えば、枠組表面6eの長さ方向において隣接する突起部の中心線が略90°ずれるようにこれらの隣接する突起部が互い違いに等間隔で配置されている。
次に、この発明の第1実施形態に係る集電装置の揚力調整構造の作用を説明する。
図9(B)に示すように、枠組6の枠組表面6eの上流側では気流の粘性のため流速Vがゼロであり、枠組表面6eから離れるにつれて流速Vが増加し、枠組表面6eからある程度の厚さ(境界層の厚さ)を超えると流速Vが略一定となる。ここで、流速Vがゼロから一定値をとるまでの領域は気流の粘性を強く受ける領域であり、この領域を境界層とよぶ。図8(B)及び図9(B)に示すように、枠組表面6eに乱流遷移部10が存在しない場合には、枠組表面6eの上流側から僅かに離れた下流側の境界層内で気流が逆流し、境界層が枠組表面6eから離れた位置に形成されて、この枠組表面6eから流れFが剥離する。その結果、図8(B)に示すように、枠組6が流れ場に斜めに配置された円柱部材であるため、枠組表面6eから剥離した流れFが枠組6の背後に交互に回り込みカルマン渦F1が発生する。
図9(B)に示すように、枠組6の枠組表面6eの上流側では気流の粘性のため流速Vがゼロであり、枠組表面6eから離れるにつれて流速Vが増加し、枠組表面6eからある程度の厚さ(境界層の厚さ)を超えると流速Vが略一定となる。ここで、流速Vがゼロから一定値をとるまでの領域は気流の粘性を強く受ける領域であり、この領域を境界層とよぶ。図8(B)及び図9(B)に示すように、枠組表面6eに乱流遷移部10が存在しない場合には、枠組表面6eの上流側から僅かに離れた下流側の境界層内で気流が逆流し、境界層が枠組表面6eから離れた位置に形成されて、この枠組表面6eから流れFが剥離する。その結果、図8(B)に示すように、枠組6が流れ場に斜めに配置された円柱部材であるため、枠組表面6eから剥離した流れFが枠組6の背後に交互に回り込みカルマン渦F1が発生する。
一方、図8(A)及び図9(A)に示すように、枠組表面6eに乱流遷移部10が存在する場合には、図9(A)に示すように枠組表面6eの層流境界層が乱流境界層へと遷移し、乱流遷移部10によって流れFが乱されて活発に運動量交換が行われるようになり、境界層外部の流体から境界層内部へと運動量が供給される。このため、図8(B)及び図9(B)に示す枠組表面6eに乱流遷移部10が存在しない場合に比べて気流の逆流が生じにくくなり、その結果、枠組表面6eから流れFが剥離し難くなり、枠組表面6eから流れFが剥離するのが遅れる。その結果、流れFの剥離点が下流側に後退して枠組6の背後に発生するカルマン渦F1が弱まり、図1及び図4に示す枠組6に作用する空気力L1が低減して、集電装置3に作用する揚力L2が調整される。
一般に、流れに直行する方向に配置された円柱周りの流れについては、レイノルズ数=「円柱直径」×「円柱を横切る流速」÷「動粘性係数」が2.0×105よりも小さい場合には、円柱表面の境界層は層流境界層であり、流れが円柱の中心線よりも上流側で剥離するいわゆる層流剥離を生じている。新幹線パンタグラフの枠組6については、流れFに対して傾斜して配置された円柱部材であり、「円柱直径」=70mm程度、「円柱を横切る流速」=300km/h×sinθ(θ:枠組の傾斜角度)、「動粘性係数」=1.5×10-5 m2/s (20℃空気)である。枠組6の傾斜角度は20°程度が一般的であるが、レイノルズ数が大きめになるように30°と見積もると、新幹線パンタグラフの枠組6のレイノルズ数は、大きく見積もっても0.07m×83.3m/s×1/2÷1.5×10-5 m2/s=1.9×105となる。したがって、枠組表面6eの境界層は層流境界層であり、枠組表面6eの境界層が層流剥離を生じているが、乱流遷移部10によって層流境界層を乱流境界層へと遷移させることが可能であり、乱流遷移部10が有効になる。
乱流遷移部10を枠組表面6eに装着することによって、乱流遷移部10からの渦音による空力音の増加が見込まれる。しかし、枠組6の後流に生ずるカルマン渦F1が低減するため、枠組6から生ずる空力音も低減可能であると考えられる。このため、乱流遷移部10からの空力音の増加と枠組6からの空力音の低減との相殺効果によって、全体としては空力音の増減量は僅かであると考えられる。
従来技術1のような舟体形状を変更する場合や、従来技術2のような頂点軌跡を変更する場合では、集電装置がなびき方向に移動する場合と集電装置が反なびき方向に移動する場合とで揚力特性が変化してしまい、一方向の揚力特性のみを調整することが困難である。この第1実施形態では、図1〜図6に示すように、枠組表面6eの上流側に乱流遷移部10が位置する場合にのみ乱流遷移機構として機能するため、枠組表面6eの下流側に乱流遷移部10が位置する場合には乱流遷移機構として機能せず、流れ場に影響を及ぼさない。例えば、図1〜図3に示すように、集電装置3がなびき方向(図中A方向)に移動するときに集電装置3に作用する揚力L2が調整されるが、この集電装置3が反なびき方向(図中A方向とは反対方向)に移動するときには集電装置3に作用する揚力L2に影響を与えない。同様に、図4〜図6に示すように、集電装置3が反なびき方向(図中A方向)に移動するときに集電装置3に作用する揚力L2が調整されるが、この集電装置3がなびき方向(図中A方向とは反対方向)に移動するときには集電装置3に作用する揚力L2に影響を与えない。このため、なびき方向に移動する集電装置3に作用する揚力L2と、反なびき方向に移動する集電装置3に作用する揚力L2とが独立して調整される。
この発明の第1実施形態に係る集電装置の揚力調整構造には、以下に記載するような効果がある。
(1) この第1実施形態では、集電装置3の枠組表面6eの流れFによってこの枠組表面6eに形成される層流境界層を乱流境界層へと乱流遷移部10が遷移させる。このため、枠組6の背後に発生するカルマン渦F1の負圧を低減させることによって、この枠組6に作用する空気力L1を低減させて、集電舟7に作用する揚力L2を簡単に調整することができる。その結果、開発の最終段階の集電装置3や既存の集電装置3に対して、これらの集電装置の枠組6に作用する空気力L1を低減し、この集電装置3に作用する揚力L2を簡単に調整することができる。また、枠組6に作用する空気力L1を低減する必要のある部位にのみ乱流遷移部10を適用することによって、調整したい条件で揚力L2のみを簡単に調整することができる。
(1) この第1実施形態では、集電装置3の枠組表面6eの流れFによってこの枠組表面6eに形成される層流境界層を乱流境界層へと乱流遷移部10が遷移させる。このため、枠組6の背後に発生するカルマン渦F1の負圧を低減させることによって、この枠組6に作用する空気力L1を低減させて、集電舟7に作用する揚力L2を簡単に調整することができる。その結果、開発の最終段階の集電装置3や既存の集電装置3に対して、これらの集電装置の枠組6に作用する空気力L1を低減し、この集電装置3に作用する揚力L2を簡単に調整することができる。また、枠組6に作用する空気力L1を低減する必要のある部位にのみ乱流遷移部10を適用することによって、調整したい条件で揚力L2のみを簡単に調整することができる。
(2) この第1実施形態では、枠組6の関節部6dが上流側に位置する場合に、集電装置3に作用する揚力L2を増加させるときには、この枠組6の上枠6bの上流側で乱流遷移部10が層流境界層を乱流境界層へと遷移させる。このため、図1(A)〜図3(A)に示すように、なびき方向に移動する枠組6の上枠6bの上流側に簡単な構造の乱流遷移部10を配置するだけで、上枠6bを下降させる方向に作用する空気力L1を低減させて、集電装置3に作用する揚力L2を容易に増加させることができる。
(3) この第1実施形態では、枠組6の関節部6dが上流側に位置する場合に、集電装置3に作用する揚力L2を減少させるときには、この枠組6の下枠6cの上流側で乱流遷移部10が層流境界層を乱流境界層へと遷移させる。このため、図1(B)〜図3(B)に示すように、なびき方向に移動する枠組6の下枠6cの上流側に簡単な構造の乱流遷移部10を配置するだけで、下枠6cを上昇させる方向に作用する空気力L1を低減させて、集電装置3に作用する揚力L2を容易に減少させることができる。
(4) この第1実施形態では、枠組6の関節部6dが下流側に位置する場合に、集電装置3に作用する揚力L2を減少させるときには、この枠組6の上枠6bの上流側で乱流遷移部10が層流境界層を乱流境界層へと遷移させる。このため、図4(A)〜図6(A)に示すように、反なびき方向に移動する枠組6の下枠6cの上流側に簡単な構造の乱流遷移部10を配置するだけで、上枠6bを上昇させる方向に作用する空気力L1を低減させて、集電装置3に作用する揚力L2を容易に減少させることができる。
(5) この第1実施形態では、枠組6の関節部6dが下流側に位置する場合に、集電装置3に作用する揚力L2を増加させるときには、この枠組6の下枠6cの上流側で乱流遷移部10が層流境界層を乱流境界層へと遷移させる。このため、図4(B)〜図6(B)に示すように、反なびき方向に移動する枠組6の上枠6bの上流側に簡単な構造の乱流遷移部10を配置するだけで、下枠6cを下降させる方向に作用する空気力L1を低減させて、集電装置3に作用する揚力L2を容易に増加させることができる。
(6) この第1実施形態では、枠組表面6eから流れFが剥離する層流剥離点よりも上流側で乱流遷移部10が層流境界層を乱流境界層へと遷移させる。このため、枠組表面6eから流れFが剥離する前にこの枠組表面6eの流れFを乱し、この枠組表面6eから流れFを剥離し難くすることができる。その結果、枠組表面6eから流れFが剥離するのが遅れて流れFの剥離点が下流側に後退し、枠組6の背後に発生するカルマン渦F1を弱めることができる。
(7) この第1実施形態では、枠組表面6eの長さ方向に沿って乱流遷移部10が任意の長さで配置可能である。このため、乱流遷移部10の適用範囲の長さを調整することによって、枠組6に作用する空気力L1の低減量(揚力調整量)を任意に調整して、集電装置3に作用する揚力L2を微調整することができる。例えば、図1(A)に示す上枠6bの長さ方向の全範囲に乱流遷移部10を配置した場合には、揚力L2が大きくなりすぎるようなときには、乱流遷移部10の設置範囲を短く調整して揚力L2が過大になるのを抑えることができる。
(8) この第1実施形態では、枠組表面6eの突起部によってこの枠組表面6eの層流境界層を乱流境界層へと遷移させるボルテックスジェネレータ10aを乱流遷移部10が備えている。このため、渦を誘起するような簡単な構造のボルテックスジェネレータ10aによって、枠組表面6eの層流境界層を乱流境界層に容易に遷移させることができる。
(第2実施形態)
以下では、図1〜図9に示す部分と同一の部分については、同一の番号を付して詳細な説明を省略する。
図10〜図16に示す乱流遷移部10は、枠組表面6eの流れFと交差する線状部によってこの枠組表面6eの層流境界層を乱流境界層へと遷移させるトリッピングワイヤ(Trapping Wire)10bなどを備えている。トリッピングワイヤ10bは、例えば、一般に使用されるワイヤのような小さな突起であり、渦流を積極的に発生させて境界層における流れFの剥離を発生し難くする機能を有する。トリッピングワイヤ10bは、図16に示すように、断面形状が略円形の部材であり、図11、図12、図14及び図15に示すように枠組6の枠組表面6eの長さ方向に沿って所定の間隔をあけて2列配置されている。トリッピングワイヤ10bは、図16に示すように、枠組表面6eの層流剥離点よりも上流側に接着剤などによって貼り付けられている。
以下では、図1〜図9に示す部分と同一の部分については、同一の番号を付して詳細な説明を省略する。
図10〜図16に示す乱流遷移部10は、枠組表面6eの流れFと交差する線状部によってこの枠組表面6eの層流境界層を乱流境界層へと遷移させるトリッピングワイヤ(Trapping Wire)10bなどを備えている。トリッピングワイヤ10bは、例えば、一般に使用されるワイヤのような小さな突起であり、渦流を積極的に発生させて境界層における流れFの剥離を発生し難くする機能を有する。トリッピングワイヤ10bは、図16に示すように、断面形状が略円形の部材であり、図11、図12、図14及び図15に示すように枠組6の枠組表面6eの長さ方向に沿って所定の間隔をあけて2列配置されている。トリッピングワイヤ10bは、図16に示すように、枠組表面6eの層流剥離点よりも上流側に接着剤などによって貼り付けられている。
この発明の第2実施形態に係る集電装置の揚力調整構造には、第1実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。
この第2実施形態では、枠組表面6eの流れFと交差する線状部によってこの枠組表面6eの層流境界層を乱流境界層へと遷移させるトリッピングワイヤ10bを乱流遷移部10が備えている。このため、渦を誘起するような簡単な構造のトリッピングワイヤ10bによって、枠組表面6eの層流境界層を乱流境界層に容易に遷移させることができる。
この第2実施形態では、枠組表面6eの流れFと交差する線状部によってこの枠組表面6eの層流境界層を乱流境界層へと遷移させるトリッピングワイヤ10bを乱流遷移部10が備えている。このため、渦を誘起するような簡単な構造のトリッピングワイヤ10bによって、枠組表面6eの層流境界層を乱流境界層に容易に遷移させることができる。
(第3実施形態)
図17〜図23に示す乱流遷移部10は、枠組表面6eの流れFと交差するメッシュ部によってこの枠組表面6eの層流境界層を乱流境界層へと遷移させるラフネス(Roughness)10cなどを備えている。ラフネス10cは、例えば、金網のような小さな凹凸であり、渦流を積極的に発生させて境界層における流れFの剥離を発生し難くする機能を有する。ラフネス10cは、図17〜図23に示すように、枠組6の枠組表面6eの長さ方向に沿って所定の幅で2列配置されている。ラフネス10cは、枠組表面6eの層流剥離点よりも上流側に接着剤などによって貼り付けられている。
図17〜図23に示す乱流遷移部10は、枠組表面6eの流れFと交差するメッシュ部によってこの枠組表面6eの層流境界層を乱流境界層へと遷移させるラフネス(Roughness)10cなどを備えている。ラフネス10cは、例えば、金網のような小さな凹凸であり、渦流を積極的に発生させて境界層における流れFの剥離を発生し難くする機能を有する。ラフネス10cは、図17〜図23に示すように、枠組6の枠組表面6eの長さ方向に沿って所定の幅で2列配置されている。ラフネス10cは、枠組表面6eの層流剥離点よりも上流側に接着剤などによって貼り付けられている。
この発明の第3実施形態に係る集電装置の揚力調整構造には、第1実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。
この第3実施形態では、枠組表面6eの流れFと交差するメッシュ部によってこの枠組表面6eの層流境界層を乱流境界層へと遷移させるラフネス10cを乱流遷移部10が備えている。このため、渦を誘起するような簡単な構造のラフネス10cによって枠組表面6eの層流境界層を乱流境界層に容易に遷移させることができる。
この第3実施形態では、枠組表面6eの流れFと交差するメッシュ部によってこの枠組表面6eの層流境界層を乱流境界層へと遷移させるラフネス10cを乱流遷移部10が備えている。このため、渦を誘起するような簡単な構造のラフネス10cによって枠組表面6eの層流境界層を乱流境界層に容易に遷移させることができる。
(第4実施形態)
図24〜図30に示す乱流遷移部10は、枠組表面6eの凹凸部によってこの枠組表面6eの層流境界層を乱流境界層へと遷移させるディンプル(Dimple)10dなどを備えている。ディンプル10dは、例えば、ゴルフボールの表面に近似した小さな凹凸であり、渦流を積極的に発生させて境界層における流れFの剥離を発生し難くする機能を有する。ディンプル10dは、図24〜図30に示すように、枠組6の枠組表面6eの長さ方向に沿って所定の幅で1列配置されている。ディンプル10dは、枠組表面6eの層流剥離点よりも上流側に配置されている。ディンプル10dは、新製の集電装置3の場合には枠組表面6eに製造段階で予め凹凸が形成されており、既存の集電装置3の場合には表面に凹凸を有する柔軟な板材などが接着剤などによって貼り付けられている。
図24〜図30に示す乱流遷移部10は、枠組表面6eの凹凸部によってこの枠組表面6eの層流境界層を乱流境界層へと遷移させるディンプル(Dimple)10dなどを備えている。ディンプル10dは、例えば、ゴルフボールの表面に近似した小さな凹凸であり、渦流を積極的に発生させて境界層における流れFの剥離を発生し難くする機能を有する。ディンプル10dは、図24〜図30に示すように、枠組6の枠組表面6eの長さ方向に沿って所定の幅で1列配置されている。ディンプル10dは、枠組表面6eの層流剥離点よりも上流側に配置されている。ディンプル10dは、新製の集電装置3の場合には枠組表面6eに製造段階で予め凹凸が形成されており、既存の集電装置3の場合には表面に凹凸を有する柔軟な板材などが接着剤などによって貼り付けられている。
この発明の第4実施形態に係る集電装置の揚力調整構造には、第1実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。
この第4実施形態では、枠組表面6eの凹凸部によってこの枠組表面6eの層流境界層を乱流境界層へと遷移させるディンプル10dを乱流遷移部10が備えている。このため、渦を誘起するような簡単な構造のディンプル10dによって枠組表面6eを層流境界層から乱流境界層に容易に遷移させることができる。
この第4実施形態では、枠組表面6eの凹凸部によってこの枠組表面6eの層流境界層を乱流境界層へと遷移させるディンプル10dを乱流遷移部10が備えている。このため、渦を誘起するような簡単な構造のディンプル10dによって枠組表面6eを層流境界層から乱流境界層に容易に遷移させることができる。
(第5実施形態)
図31〜図36に示す集電装置3は、下枠6cを短縮化して関節部6dとともに風防部8内に収容し上枠6bのみが露出する下枠短縮型のシングルアーム式パンタグラフ、又は関節部6dを省略して上枠6bのみが露出する一本主枠型のシングルアーム式パンタグラフなどである。集電装置3は、上枠露出部6fを備えており、この上枠露出部6fは上枠6bの全部又は一部が風防部8によって覆われずに、この風防部8から露出する部分である。
図31〜図36に示す集電装置3は、下枠6cを短縮化して関節部6dとともに風防部8内に収容し上枠6bのみが露出する下枠短縮型のシングルアーム式パンタグラフ、又は関節部6dを省略して上枠6bのみが露出する一本主枠型のシングルアーム式パンタグラフなどである。集電装置3は、上枠露出部6fを備えており、この上枠露出部6fは上枠6bの全部又は一部が風防部8によって覆われずに、この風防部8から露出する部分である。
乱流遷移部10は、図31〜図33に示すように、枠組6の上枠露出部6fが上流側から下流側に向かって上方に傾斜する場合に、集電装置3に作用する揚力L2を増加させるときには、この枠組6の上枠露出部6fの上流側で層流境界層を乱流境界層へと遷移させる。乱流遷移部10は、例えば、枠組6の上枠露出部6fが進行方向前側から進行方向後側に向かって斜め上方に傾斜するなびき方向に集電装置3が移動する場合に、この集電装置3を上昇させる方向に作用する揚力L2を増加させるときには、枠組6の上枠6bの上面の長さ方向に沿って配置されて、上枠露出部6fを下降させる方向に作用する空気力L1を低減する。
一方、乱流遷移部10は、図34〜図36に示すように、枠組6の上枠露出部6fが上流側から下流側に向かって下方に傾斜する場合に、集電装置3に作用する揚力L2を減少させるときには、この枠組の上枠露出部6fの上流側で層流境界層を乱流境界層へと遷移させる。乱流遷移部10は、例えば、枠組6の上枠露出部6fが進行方向前側から進行方向後側に向かって斜め下方に傾斜する反なびき方向に集電装置3が移動する場合に、この集電装置3に作用する揚力L2を減少させるときには、枠組6の上枠6bの上面の長さ方向に沿って配置されて、上枠露出部6fを上昇させる方向に作用する空気力L1を低減する。
この発明の第5実施形態に係る集電装置の揚力調整構造には、第1実施形態〜第4実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。
この第5実施形態では、枠組6の上枠露出部6fが上流側から下流側に向かって上方に傾斜する場合に、集電装置3に作用する揚力L2を増加させるときには、この枠組6の上枠露出部6fの上流側に乱流遷移部10で層流境界層を乱流境界層へと遷移させる。また、この第5実施形態では、枠組6の上枠露出部6fが上流側から下流側に向かって下方に傾斜する場合に、集電装置3に作用する揚力L2を減少させるときには、この枠組6の上枠露出部6fの上流側に乱流遷移部10で層流境界層を乱流境界層へと遷移させる。このため、枠組6の背後に発生するカルマン渦F1の負圧を低減させることによって、この枠組6に作用する空気力L1を低減させて、集電舟7に作用する揚力L2を簡単に調整することができる。
この第5実施形態では、枠組6の上枠露出部6fが上流側から下流側に向かって上方に傾斜する場合に、集電装置3に作用する揚力L2を増加させるときには、この枠組6の上枠露出部6fの上流側に乱流遷移部10で層流境界層を乱流境界層へと遷移させる。また、この第5実施形態では、枠組6の上枠露出部6fが上流側から下流側に向かって下方に傾斜する場合に、集電装置3に作用する揚力L2を減少させるときには、この枠組6の上枠露出部6fの上流側に乱流遷移部10で層流境界層を乱流境界層へと遷移させる。このため、枠組6の背後に発生するカルマン渦F1の負圧を低減させることによって、この枠組6に作用する空気力L1を低減させて、集電舟7に作用する揚力L2を簡単に調整することができる。
(第6実施形態)
図37に示す集電装置3は、風洞試験装置11によって種々の試験が実施される試験対象物(供試体)である。集電装置3は、例えば、図1〜図36に示すような実際の鉄道車両の集電装置又はこの集電装置を模擬(縮小)した模型集電装置である。風洞試験装置11は、集電装置3が流れFを受けるときに、この流れFによって生ずるこの集電装置3の挙動を測定する装置である。風洞試験装置11は、例えば、図37に示すように、風洞測定部12内の集電装置3に空気を流し、この空気の流れFによってこの集電装置3から発生する揚力L2又は空力騒音などを測定する開放胴型風洞試験装置である。風洞試験装置11は、風洞測定部12と風洞13などを備えている。
図37に示す集電装置3は、風洞試験装置11によって種々の試験が実施される試験対象物(供試体)である。集電装置3は、例えば、図1〜図36に示すような実際の鉄道車両の集電装置又はこの集電装置を模擬(縮小)した模型集電装置である。風洞試験装置11は、集電装置3が流れFを受けるときに、この流れFによって生ずるこの集電装置3の挙動を測定する装置である。風洞試験装置11は、例えば、図37に示すように、風洞測定部12内の集電装置3に空気を流し、この空気の流れFによってこの集電装置3から発生する揚力L2又は空力騒音などを測定する開放胴型風洞試験装置である。風洞試験装置11は、風洞測定部12と風洞13などを備えている。
風洞測定部12は、集電装置3を設置する部分である。風洞測定部12は、風洞13のノズル13aと吸込口13bとの間に配置されており、集電装置3を支持する支持台12aを備えている。風洞13は、空気力学的な諸問題を実験的に調査するために人工的な空気の流れFを作る装置である。風洞13は、一定の性状の風を人工的に送風する図示しない送風機、ダクト及び整流装置などを備えているとともに、ノズル13aと、吸込口13bなどを備えている。ノズル13aは、空気を噴出して風洞測定部12に一様な流れFを作りこの風洞測定部12に空気を吹き出す部分である。吸込口13bは、風洞測定部12から空気を回収する部分である。
次に、この発明の第6実施形態に係る集電装置の揚力調整構造の作用を説明する。
図37に示すように、風洞試験装置11の風洞測定部12内に集電装置3を設置して図中矢印方向に気流を流すと、集電舟7を上昇させる方向の揚力L2や集電舟7を下降させる方向の揚力L2が集電装置3に作用する。例えば、集電装置3全体として組み上げた状態で風洞試験を実施する場合には、集電舟7単体で風洞試験を実施する場合に比べて、枠組6などの他の部品と干渉して流れ場が変化する。その結果、集電装置3に作用する揚力L2を適正値に調整する必要がある。例えば、図1(A)〜図3(A)に示す集電舟7を上昇させる方向の揚力L2を増加させる必要があるときには、上枠6bの枠組表面6eに乱流遷移部10を取り付ける。その結果、枠組6の上枠6bを下降させる方向に作用する空気力L1が低下して、集電装置3に作用する揚力L2が適正値に設定される。一方、図1(B)〜図3(B)に示すように、集電舟7を下降させる方向の揚力L2を増加させる必要があるときには、下枠6cの枠組表面6eに乱流遷移部10を取り付ける。その結果、枠組6の下枠6cを上昇させる方向に作用する空気力L1が低下して、集電装置3に作用する揚力L2が適正値に設定される。この発明の第6実施形態に係る集電装置の揚力調整装置には、第1実施形態〜第5実施形態の効果と同様の効果がある。
図37に示すように、風洞試験装置11の風洞測定部12内に集電装置3を設置して図中矢印方向に気流を流すと、集電舟7を上昇させる方向の揚力L2や集電舟7を下降させる方向の揚力L2が集電装置3に作用する。例えば、集電装置3全体として組み上げた状態で風洞試験を実施する場合には、集電舟7単体で風洞試験を実施する場合に比べて、枠組6などの他の部品と干渉して流れ場が変化する。その結果、集電装置3に作用する揚力L2を適正値に調整する必要がある。例えば、図1(A)〜図3(A)に示す集電舟7を上昇させる方向の揚力L2を増加させる必要があるときには、上枠6bの枠組表面6eに乱流遷移部10を取り付ける。その結果、枠組6の上枠6bを下降させる方向に作用する空気力L1が低下して、集電装置3に作用する揚力L2が適正値に設定される。一方、図1(B)〜図3(B)に示すように、集電舟7を下降させる方向の揚力L2を増加させる必要があるときには、下枠6cの枠組表面6eに乱流遷移部10を取り付ける。その結果、枠組6の下枠6cを上昇させる方向に作用する空気力L1が低下して、集電装置3に作用する揚力L2が適正値に設定される。この発明の第6実施形態に係る集電装置の揚力調整装置には、第1実施形態〜第5実施形態の効果と同様の効果がある。
(他の実施形態)
この発明は、以上説明した実施形態に限定するものではなく、以下に記載するように種々の変形又は変更が可能であり、これらもこの発明の範囲内である。
(1) この実施形態では、乱流遷移部10としてボルテックスジェネレータ10aなどを例に挙げて説明したが乱流遷移部10の構造をこれらに限定するものではない。例えば、段差又は溝などを乱流遷移部10として利用することもできる。また、この実施形態では、上枠6b又は下枠6cのいずれか一方に乱流遷移部10を適用する場合を例に挙げて説明したが、上枠6b又は下枠6cの双方に乱流遷移部10を適用することもできる。この場合には、例えば、上枠6b側の乱流遷移部10と下枠6c側の乱流遷移部10とをそれぞれ異なる長さに調整して、揚力L2を微調整することもできる。さらに、この第1実施形態〜第6実施形態では、上枠6b又は下枠6cに乱流遷移部10としてボルテックスジェネレータ10aなどを適用する場合を例に挙げて説明したが、上枠6b又は下枠6cに任意の乱流遷移部10を組み合わせて適用することもできる。例えば、ボルテックスジェネレータ10aとトリッピングワイヤ10bとを上枠6b又は下枠6cに組み合わせて配置することもできる。
この発明は、以上説明した実施形態に限定するものではなく、以下に記載するように種々の変形又は変更が可能であり、これらもこの発明の範囲内である。
(1) この実施形態では、乱流遷移部10としてボルテックスジェネレータ10aなどを例に挙げて説明したが乱流遷移部10の構造をこれらに限定するものではない。例えば、段差又は溝などを乱流遷移部10として利用することもできる。また、この実施形態では、上枠6b又は下枠6cのいずれか一方に乱流遷移部10を適用する場合を例に挙げて説明したが、上枠6b又は下枠6cの双方に乱流遷移部10を適用することもできる。この場合には、例えば、上枠6b側の乱流遷移部10と下枠6c側の乱流遷移部10とをそれぞれ異なる長さに調整して、揚力L2を微調整することもできる。さらに、この第1実施形態〜第6実施形態では、上枠6b又は下枠6cに乱流遷移部10としてボルテックスジェネレータ10aなどを適用する場合を例に挙げて説明したが、上枠6b又は下枠6cに任意の乱流遷移部10を組み合わせて適用することもできる。例えば、ボルテックスジェネレータ10aとトリッピングワイヤ10bとを上枠6b又は下枠6cに組み合わせて配置することもできる。
(2) この第6実施形態では、乱流遷移部10としてボルテックスジェネレータ10aを上枠6bに適用する場合を例に挙げて説明したが、ボルテックスジェネレータ10a以外のトリッピングワイヤ10bなどの他の構造の乱流遷移部を上枠6bに適用することもできる。また、この第6実施形態では、乱流遷移部10を上枠6bに適用する場合を例に挙げて説明したが、下枠6cのみに乱流遷移部を適用したり、上枠6b及び下枠6cに乱流遷移部10を適用したりすることもできる。
1 架線
1a トロリ線(電車線)
2 車両
2a 車体
3 集電装置
6 枠組
6a 舟支え部
6b 上枠
6c 下枠
6d 関節部
6e 枠組表面
6f 上枠露出部
7 集電舟
7a すり板
8 風防部
9 揚力調整構造
10 乱流遷移部
10a ボルテックスジェネレータ
10b トリッピングワイヤ
10c ラフネス
10d ディンプル
11 風洞試験装置
12 風洞測定部
F 気流
F1 カルマン渦
L1 空気力(抗力)
L2 揚力
1a トロリ線(電車線)
2 車両
2a 車体
3 集電装置
6 枠組
6a 舟支え部
6b 上枠
6c 下枠
6d 関節部
6e 枠組表面
6f 上枠露出部
7 集電舟
7a すり板
8 風防部
9 揚力調整構造
10 乱流遷移部
10a ボルテックスジェネレータ
10b トリッピングワイヤ
10c ラフネス
10d ディンプル
11 風洞試験装置
12 風洞測定部
F 気流
F1 カルマン渦
L1 空気力(抗力)
L2 揚力
Claims (13)
- 集電装置に作用する揚力を調整する集電装置の揚力調整構造であって、
前記集電装置の枠組表面の流れによってこの枠組表面に形成される層流境界層を乱流境界層へと遷移させる乱流遷移部を備えること、
を特徴とする集電装置の揚力調整構造。 - 請求項1に記載の集電装置の揚力調整構造において、
前記乱流遷移部は、前記枠組の関節部が上流側に位置する場合に、前記集電装置に作用する揚力を増加させるときには、この枠組の上枠の上流側で層流境界層を乱流境界層へと遷移させること、
を特徴とする集電装置の揚力調整構造。 - 請求項1又は請求項2に記載の集電装置の揚力調整構造において、
前記乱流遷移部は、前記枠組の関節部が上流側に位置する場合に、前記集電装置に作用する揚力を減少させるときには、この枠組の下枠の上流側で層流境界層を乱流境界層へと遷移させること、
を特徴とする集電装置の揚力調整構造。 - 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の集電装置の揚力調整構造において、
前記乱流遷移部は、前記枠組の関節部が下流側に位置する場合に、前記集電装置に作用する揚力を減少させるときには、この枠組の上枠の上流側で層流境界層を乱流境界層へと遷移させること、
を特徴とする集電装置の揚力調整構造。 - 請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の集電装置の揚力調整構造において、
前記乱流遷移部は、前記枠組の関節部が下流側に位置する場合に、前記集電装置に作用する揚力を増加させるときには、この枠組の下枠の上流側で層流境界層を乱流境界層へと遷移させること、
を特徴とする集電装置の揚力調整構造。 - 請求項1に記載の集電装置の揚力調整構造において、
前記乱流遷移部は、前記枠組の上枠露出部が上流側から下流側に向かって上方に傾斜する場合に、前記集電装置に作用する揚力を増加させるときには、この枠組の上枠露出部の上流側で層流境界層を乱流境界層へと遷移させること、
を特徴とする集電装置の揚力調整構造。 - 請求項1又は請求項6に記載の集電装置の揚力調整構造において、
前記乱流遷移部は、前記枠組の上枠露出部が上流側から下流側に向かって下方に傾斜する場合に、前記集電装置に作用する揚力を減少させるときには、この枠組の上枠露出部の上流側で層流境界層を乱流境界層へと遷移させること、
を特徴とする集電装置の揚力調整構造。 - 請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の集電装置の揚力調整構造において、
前記乱流遷移部は、前記枠組表面から流れが剥離する層流剥離点よりも上流側で層流境界層を乱流境界層へと遷移させること、
を特徴とする集電装置の揚力調整構造。 - 請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の集電装置の揚力調整構造において、
前記乱流遷移部は、前記枠組表面の長さ方向に沿って任意の長さで配置可能であること、
を特徴とする集電装置の揚力調整構造。 - 請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載の集電装置の揚力調整構造において、
前記乱流遷移部は、前記枠組表面の突起部によってこの枠組表面の層流境界層を乱流境界層へと遷移させるボルテックスジェネレータを備えること、
を特徴とする集電装置の揚力調整構造。 - 請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載の集電装置の揚力調整構造において、
前記乱流遷移部は、前記枠組表面の流れと交差する線状部によってこの枠組表面の層流境界層を乱流境界層へと遷移させるトリッピングワイヤを備えること、
を特徴とする集電装置の揚力調整構造。 - 請求項1から請求項11までのいずれか1項に記載の集電装置の揚力調整構造において、
前記乱流遷移部は、前記枠組表面の流れと交差するメッシュ部によってこの枠組表面の層流境界層を乱流境界層へと遷移させるラフネスを備えること、
を特徴とする集電装置の揚力調整構造。 - 請求項1から請求項12までのいずれか1項に記載の集電装置の揚力調整構造において、
前記乱流遷移部は、前記枠組表面の凹凸部によってこの枠組表面の層流境界層を乱流境界層へと遷移させるディンプルを備えること、
を特徴とする集電装置の揚力調整構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012138787A JP2014003847A (ja) | 2012-06-20 | 2012-06-20 | 集電装置の揚力調整構造 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012138787A JP2014003847A (ja) | 2012-06-20 | 2012-06-20 | 集電装置の揚力調整構造 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2014003847A true JP2014003847A (ja) | 2014-01-09 |
Family
ID=50036468
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2012138787A Pending JP2014003847A (ja) | 2012-06-20 | 2012-06-20 | 集電装置の揚力調整構造 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2014003847A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2021002966A (ja) * | 2019-06-24 | 2021-01-07 | 株式会社日立製作所 | 鉄道車両用集電装置 |
-
2012
- 2012-06-20 JP JP2012138787A patent/JP2014003847A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2021002966A (ja) * | 2019-06-24 | 2021-01-07 | 株式会社日立製作所 | 鉄道車両用集電装置 |
JP7323348B2 (ja) | 2019-06-24 | 2023-08-08 | 株式会社日立製作所 | 鉄道車両用集電装置 |
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