JP2013256641A - パーフルオロスルホン酸ポリマー−アゾール−酸ブレンド膜及びその製造方法、パーフルオロスルホン酸ポリマー−アゾールブレンド膜及びその製造方法、並びにプロトン交換膜燃料電池 - Google Patents

パーフルオロスルホン酸ポリマー−アゾール−酸ブレンド膜及びその製造方法、パーフルオロスルホン酸ポリマー−アゾールブレンド膜及びその製造方法、並びにプロトン交換膜燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】高温に耐えるPEMFC用電解質膜を提供する。
【解決手段】プロパノールを含有するナフィオン溶液と1,2,3−トリアゾールとリン酸を混合してオートクレーブ中で加熱して反応させ、反応液を膜状にして乾燥する。あるいは、リン酸を添加せずに反応させて成膜し、それを硫酸中で活性化処理する。このような膜を電解質膜として使用したPEMFCは、ナフィオンのみを使用した場合には正常に動作しない100℃以上の温度・低湿度条件下で高い効率で動作する。
【選択図】なし

Description

本発明はPEMFC(proton exchange membrane fuel cell、プロトン交換膜燃料電池)に関し、特に高温PEMFC用電解質膜に適するパーフルオロスルホン酸ポリマー−アゾール−酸ブレンド膜、活性化されたパーフルオロスルホン酸ポリマー−アゾール−酸ブレンド膜、これらのブレンド膜の製造方法、及びこれらのブレンド膜を電解質膜として使用したPEMFCに関する。
水素ガスと酸素ガスを使用するPEMFCは、クリーンなエネルギーシステムであり、高いエネルギー密度を有するとともに、変換効率が高いことから、次世代の電力発生機器として注目を浴びてきた。過去数10年間に亘ってナフィオン(イー アイ デュポン ドゥ ヌムール アンド カンパニーの登録商標)などのパーフルオロスルホン酸(perfluorosulfonic)イオン交換ポリマー(疎水性のパーフルオロカーボン骨格とスルホン酸基を持つパーフルオロ側鎖とから構成されるパーフルオロカーボン材料であり、tetrafluoroethyleneとperfluoro[2-(fluorosulfonylethoxy)propylvinyl ether]の共重合体である。本願ではこの共重合体を「パーフルオロスルホン酸ポリマー」と称する。)がPEMFCの電解質として使用されてきた。これらの膜のプロトン輸送性はそれらの含水量によって強く規定されるが、実際問題としては、これらはほぼ大気圧の反応物質圧力を利用する場合には90℃よりも低い動作温度に限定される。燃料電池を100℃よりも低温で動作させると、電極に関わる速度(electrode kinetics)が遅くなるのと、CO耐性が低くなることにより、性能が落ちる。100℃よりも高温で動作させることにより、Pt電極の一酸化炭素耐性が向上するという利点がもたらされ、また水、熱及び電気の併給効率を改善しながら、システム全体の熱管理が簡略化される。従って、高温(100〜200℃)に耐えるその代替の化学物質を使用した電解質膜が検討されてきた。このような代替の電解質膜としては、パーフルオロアイオノマー及びその複合材料(HPO、ヘテロポリ酸、シリカ、リン酸ジルコニウム、TiO、イミダゾール/HPO、ベンズイミダゾール、1,2,4−トリアゾール、及び1,2,3−トリアゾール)(非特許文献1〜9)、スルホン化ポリ(エーテル・エーテル・ケトン)(SPEEK)(非特許文献10〜13)及びポリベンズイミダゾール(PBI)(非特許文献14〜20)のような炭化水素ポリマー膜、並びに有機−無機ブレンド膜(非特許文献21〜25)等がある。通常、これらの膜のプロトン交換伝導性の試験は、加湿した、あるいはやや加湿した条件下で行われる。しかしながら、高温PEFCのためには、高いプロトン伝導度を示しながら無水条件下、あるいはできるだけ低湿度の条件下で動作することが重要である。
無水電解質が幾つか報告されている。その中には酸塩基材料(acid-base material)(イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ベンズイミダゾール)(非特許文献7、25〜29)及びポリベンズイミダゾール(PBI)−HPO(HSO)膜(非特許文献14〜20)がある。PBI−HPO電解質は、低いガス透過率を持つとともに100℃よりも高温で熱的に安定であるという良好な機械的特性を持つことが報告されている(非特許文献15)。しかしながら、PBI−HPOは炭化水素ポリマーを使用しているために可燃性が高いなど、実用化に当たって問題があるため、高温PEMFC用の電解質として使用可能な代替材料を見出すことが求められている。
本願発明者らは以前にベンズイミダゾール及び1,2,4−トリアゾールモノマーを組み込んだナフィオン−塩基ブレンド膜を報告した(非特許文献9、26、30)。この塩基モノマーはパーフルオロ化アイオノマーモノマー(perflurorinated ionomer monomer)内でプロトン受容体として水を置換するために使用することができる。このブレンド膜は非加湿条件下で、100℃を越える温度領域において高いプロトン伝導率を示した。ナフィオン−1,2,4−トリアゾール及びナフィオン−ベンズイミダゾールブレンド膜は中間温度領域PEFC用として100℃を超える温度で使用できると考えられた。しかしながら、これらの膜は容易に損傷し、また高い電池性能を得るのは簡単ではない。従って、高度の柔軟性を有する、高温に耐える無水性のプロトン伝導性膜が必要とされる。柔軟性を有する無水性の膜を得るため、本願発明者等は1,2,3−トリアゾール(C)を見出し、室温(RT)及びオートクレーブ(AC)溶液処理を使用することによってナフィオン−1,2,3−トリアゾールブレンド膜を合成した。AC溶液処理を使用したナフィオン−1,2,3−トリアゾールブレンド膜は非常に安定であった(非特許文献7、8)。しかしながら、ブレンド膜の無水状態での伝送率は極めて高いというわけではなかった(200℃で1mS/cm)。
また、スルホン化ポリ(エーテル・エーテル・ケトン)(SPEEK)電解質膜を活性化処理することが報告されている(非特許文献35)。溶媒に溶解した材料を流し込むことによって形成されたSPEEK膜では、当該膜のナノ構造内に溶媒が残留している。当該非特許文献では、SPEEK膜を1M HSOで処理することによってこの残留溶媒を除去した。その結果、活性化処理前のSPEEK電解質膜に比較して、活性化処理後の膜は吸水性、プロトン伝導性、更には燃料電池に使用した際の電池性能の点で優れていた。しかし、この報告はSPEEK電解質膜のみについてのものであり、それ以外の電解質膜に適用することについては示唆がなかった。
本発明の課題は、高温下で加湿なしであっても高いプロトン伝導率を発揮する新規な高温PEMFC用電解質膜及びその製造方法を提供することにある。
本発明の一側面によれば、
パーフルオロスルホン酸ポリマー、アルコール、アゾール、及び酸を含む混合溶液を反応させ、反応後の溶液から膜を形成する、パーフルオロスルホン酸ポリマー−アゾール−酸ブレンド膜の製造方法が与えられる。
ここで、前記酸はリン酸または硫酸であってよい。
また、前記混合溶液は水を含んでよい。
また、前記反応は180℃以上で行ってよい。
また、前記反応は室温で行われてよい。
また、前記反応は3〜24時間行ってよい。
また、前記リン酸は前記アゾールの100重量%以上使用してよい。
また、前記成膜は反応後の溶液を乾燥することによって行ってよい。
また、前記アゾールはピロール、テトラゾール、及びペンタゾールからなる群から選択される化合物であってよい。
また、前記アゾールは1,2,3−トリアゾール、ベンズイミダゾール、ピラゾール、イミダゾール及び1,2,4−トリアゾールからなる群から選択される化合物であってよい。
また、前記パーフルオロスルホン酸ポリマーはナフィオン、フレミオン及びアシプレックスからなる群から選択してよい。
また、前記アルコールは1−及び2−プロパノールであってよい。
本発明の他の側面によれば、前記何れかの方法によって製造されたパーフルオロスルホン酸ポリマー−アゾール−酸ブレンド膜が与えられる。
本発明の更に他の側面によれば、パーフルオロスルホン酸ポリマー、アルコール、及びアゾールを含む混合溶液を反応させ、反応後の溶液から膜を形成し、前記膜を硫酸で処理することによって前記膜中から過剰のアゾールを除去する、パーフルオロスルホン酸ポリマー−アゾールブレンド膜の製造方法が与えられる。
ここで、前記混合溶液は水を含んでよい。
また、前記反応は180℃以上で行われてよい。
また、前記反応は室温で行われてよい。
また、前記反応は3〜24時間行われてよい。
また、前記硫酸による処理は濃度が1M以下の硫酸を使用して室温〜80℃で4〜24時間行ってよい。
また、前記膜の形成は反応後の溶液を乾燥することによって行ってよい。
また、前記アゾールはピロール、テトラゾール、及びペンタゾールからなる群から選択してよい。
また、前記アゾールは1,2,3−トリアゾール、ベンズイミダゾール、ピラゾール、イミダゾール及び1,2,4−トリアゾールからなる群から選択される化合物であってよい。
また、前記パーフルオロスルホン酸ポリマーはナフィオン、フレミオン及びアシプレックスからなる群から選択してよい。
また、前記アルコールは1−及び2−プロパノールであってよい。
本発明の更に他の側面によれば、前記何れかの方法によって製造されたパーフルオロスルホン酸ポリマー−アゾールブレンド膜が与えられる。
本発明の更に他の側面によれば、前記何れかのブレンド膜を電解質膜として使用した、プロトン交換膜燃料電池が与えられる。
本発明の更に他の側面によれば、パーフルオロスルホン酸ポリマー、及びアルコールを含む混合溶液を180℃以上で反応させ、反応後の溶液から膜を形成する、パーフルオロスルホン酸ポリマー膜の製造方法が与えられる。
ここで、前記パーフルオロスルホン酸ポリマーはナフィオン、フレミオン及びアシプレックスからなる群から選択してよい。
また、前記アルコールは1−及び2−プロパノールであってよい。
本発明によれば、従来のナフィオンなどのパーフルオロスルホン酸ポリマーを使用した電解質膜に比べて、高温でも高い性能を発揮する電解質膜を得ることができる。
(a)1,2,3−トリアゾール、(b)ナフィオン117、及び(c)ナフィオン−1,2,3−トリアゾールのブレンド膜のFTIR特性を示す図。(d)は(c)の2700〜4000波数範囲の拡大図。 (a)ナフィオン−1,2,3−トリアゾール−50%HPO、(b)ナフィオン−1,2,3−トリアゾール−100%HPO,及び(c)ナフィオン−1,2,3−トリアゾール−250%HPOのブレンド膜のFTIR特性を示す図。 (a)は(i)ナフィオン117、(ii)ナフィオン−1,2,3−トリアゾール、(iii)ナフィオン−1,2,3−トリアゾール−50%HPO、及び(iv)ナフィオン−1,2,3−トリアゾール−250%HPOのブレンド膜についてのTG特性を、(b)は(i)〜(iv)についてのDTA特性を示す図。 (a)ナフィオン117、(b)ナフィオン−1,2,3−トリアゾール、(c)ナフィオン−1,2,3−トリアゾール−50%HPO、(d)ナフィオン−1,2,3−100%HPO、(e)ナフィオン−1,2,3−トリアゾール−250%HPOのブレンド膜の室温におけるSAXSプロファイルを示す図。 (a)ナフィオン117、(b)ナフィオン−1,2,3−トリアゾール、並びに(c)x=23%、(d)x=50%,(e)x=100%、(f)x=150%、(g)x=200%、及び(h)x=250%の場合のナフィオン−1,2,3−x%HPOのブレンド膜のプロトン伝導性の温度依存性を示す図。 1,2,3−トリアゾール、ナフィオン112、P−N−Tri膜及びA−N−Tri膜のFTIRスペクトルを示す図。ここで波数範囲は(a)では500〜4000cm−1、(b)では2600〜3800cm−1である。 (i)ナフィオン112、(ii)P−N−Tri、及び(iii)A−N−Tri膜の特性を示す図であり、(a)はTG特性を、また(b)はDTA特性を示す。 ナフィオン112、P−N−Tri、及びA−N−Tri膜のプロトン伝導性の温度依存性を示す図。 (i)ナフィオン112、(ii)P−N−Tri、及び(iii)A−N−Tri膜を使用した単一セルの性能を示す図であり、(a)は70℃、(b)は100℃、(c)は130℃、及び(d)は150℃の場合を示す。 膜のFTIR特性を示す図。(i)1,2,3−トリアゾール膜、(ii)ナフィオン−28.5wt%1,2,3−トリアゾールブレンド膜、(iii)ナフィオン−28.5wt%1,2,3−トリアゾール−100wt%HPOブレンド膜。 膜のTGA特性を示す図。(a)再成形したナフィオン、(b)ナフィオン−28.5wt%1,2,3−トリアゾールブレンド膜、(c)ナフィオン−28.5wt%1,2,3−トリアゾール−100wt%HPOブレンド膜。 ナフィオン−5wt%1,2,3−トリアゾール−HPOブレンド膜のリン酸の量を変えた場合の、150℃で乾燥状態のセル性能を示す図。(a)60wt%HPO、(b)80wt%HPO、(c)120wt%HPO、(d)200wt%HPO ナフィオン−5wt%1,2,3−トリアゾール−HPOブレンド膜のリン酸の量を変えた場合の、150℃で乾燥状態のCole−Coleプロットを示す図。(a)60wt%HPO、(b)80wt%HPO、(c)120wt%HPO、(d)200wt%HPO 各種の膜を使用した場合の150℃で乾燥状態でのセル性能を示す図。(a)ナフィオン−28.5wt%ピラゾール−200wt%HPOブレンド膜、(b)ナフィオン−28.5wt%1,2,4−トリアゾール−200wt%HPOブレンド膜、(c)ナフィオン−5wt%イミダゾール−200wt%HPOブレンド膜、(d)ナフィオン−5wt%1,2,3−トリアゾール−200wt%HPOブレンド膜、(e)ナフィオン−5wt%ベンズイミダゾール−200wt%HPOブレンド膜。
以下では先ずアゾールとして1,2,3−トリアゾール(1,2,3-triazole)を使用した場合の例を説明し、次に、他のアゾール類を使用した場合についても例を挙げて説明する。以下ではパーフルオロスルホン酸ポリマーとしてナフィオンを例に挙げて説明するが、他のパーフルオロスルホン酸ポリマー、例えばフレミオン(Flemion)(旭硝子株式会社の登録商標)、アシプレックス(Aciplex)(旭化成株式会社の登録商標)も使用することができる(以前はThe Dow Chemical Companyからも同種の物質が提供されていた)。なお、ここでパーフルオロスルホン酸ポリマーの一般的な構造、及び上に示したパーフルオロスルホン酸ポリマーの例の構造を示す。
1−プロパノール(1-propanol)、2−プロパノール(2-propanol)、及び水を含む溶媒にナフィオン(Nafion)を溶解したナフィオン溶液と1,2,3−トリアゾール(1,2,3-triazole)とリン酸(HPO)などの酸(なお、以下では酸をリン酸(HPO)で代表させて説明する)とを混合し、これを室温〜200℃で加熱することによってナフィオン−1,2,3−トリアゾール−HPO(Nafion-1,2,3-triazole-H3PO4)を含む溶液を得た。なお、ここではアルコールとして1−プロパノール及び2−プロパノールを使用したが、他の各種のアルコールも使用可能である。また、上記温度範囲の上限200℃は実施例の実験を行う際に使用した容器(ポリテトラフルオロエチレン製)の使用可能な温度の上限であり、より高温に耐える容器を使用するのであれば、この範囲を上回る温度で上記処理を行うこともできる。また、180℃以上に加熱して上記処理を行った方が、成膜性が良好になる。
以下にナフィオン及び1,2,3−トリアゾールの化学構造式を示す。
なお、上記処理の時間は3〜24時間の範囲が望ましいが、6時間程度が特に望ましい。また、この処理において加熱する場合にはオートクレーブを使用するのが望ましい。また、処理中には攪拌しても良い。
上記処理の間に、以下の化学式に示す通り、ナフィオン酸(あるいは硫酸)が触媒として作用することにより、1,2,3−トリアゾールとプロパノールが反応してナフィオン−1−及び2−プロパノール−1,2,3−トリアゾール(Nafion-1- and 2-propanol-1,2,3-triazole)ができ、更に上述の反応を起こした1,2,3−トリアゾール及びリン酸がナフィオンのナノ構造中に組み込まれることで、新規な材料であるナフィオン−1,2,3−トリアゾール−HPOが得られると考えられる。
ここにおいて、1,2,3−トリアゾールに対して97%当量以上のプロパノールが存在していれば、上記反応によって良好な電解質膜が得られる。なお、プロパノール量を増大させていくと膜の形成に時間がかかるようになり、また不均一性も増すと考えられるので、プロパノールの量の適切な範囲は具体的な反応条件その他に合わせて適宜調節する必要がある。
上述した処理によって得られた溶液を例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の皿に流し込んで乾燥させることによって、膜を得る。乾燥処理に当たっては例えば60℃で1日の間行うことによって、溶媒を蒸発させる。これによって、非常に柔軟で淡黄色の膜(ナフィオン−1,2,3−トリアゾール−HPO電解質膜)が得られる。ナフィオン−1,2,3−トリアゾール−HPO電解質膜中へ大量のリン酸を導入した方が電解質膜としての性能が良好になるので、リン酸の量は多いほうが好ましい。例えば、リン酸の重量を1,2,3−トリアゾールの500%、あるいは更に大量に導入しても良い。
このようにして得られた本発明のナフィオン−1,2,3−トリアゾール−HPOブレンド膜は、200℃以下であればリン酸の蒸発が起こらないため、熱的に安定である。このブレンド膜のSAXSプロファイルにより、1,2,3−トリアゾール及びリン酸はナフィオンのナノ構造中に組み込まれており、そのブレンド膜はナフィオンで見られるようなナノ構造を有していることが確認できた。ブレンド膜のプロトン伝導率はドープされたリン酸の重量%に依存する。加湿していない窒素雰囲気の下で、180℃において最大伝導率0.02S/cmが得られた。
なお、上述したように、ドープする酸はリン酸に限定されるものではなく、例えば硫酸などの、使用する温度領域で蒸発/分解などしない強酸であればどのような酸でも同等の効果が得られる。
本発明ではまた、リン酸などの酸をドープせずに作製したナフィオン−1,2,3−トリアゾール膜を活性化することによって、活性化する前のものと比較して、100℃以上の高温において低湿度条件下で高い電池性能を発揮する電解質膜を得ることができた。なお、ナフィオンに対する1,2,3−トリアゾールの量は0〜28.5%までのものを作製した。ここで0%とは1,2,3−トリアゾールを使用せずにナフィオンだけを使用して膜を作製したことを意味する。この活性化は、作製されたナフィオン−1,2,3−トリアゾール膜(以下、P−N−Triと略記することがある)を硫酸で処理することにより、過剰な1,2,3−トリアゾールを除去したナフィオン−1,2,3−トリアゾール膜(以下、A−N−Triと略記することがある)を得る処理である。なお、活性化処理の際の温度は室温〜80℃、時間は4〜24時間、硫酸の濃度は1M以下であれば良い。また、硫酸以外の酸など、過剰な1,2,3−トリアゾールを除去することができる処理剤であれば硫酸に代わって、あるいは硫酸とともに使用することができることは言うまでもない。
なお、本発明で使用可能なアゾール類としては1,2,3−トリアゾールに限定されるものではなく、ピロール(pyrrole)、テトラゾール(tetrazole)、ペンタゾール(pentazole)等の、他の広範なアゾール類の物質も使用可能である。
上述した本発明の何れかの電解質膜を使用して、PEMFCを構成することができる。PEMFCとしては通常の構造のものでよく、たとえばこの電解質膜の両面にそれぞれ燃料極及び空気極を設置し、それぞれの側に水素などの燃料及び空気などの酸素を含む気体を供給する。本発明の電解質膜を使用したPEMFCは電解質膜の性質から従来よりも高温かつ低湿度の条件下で動作し、また大きな電力を発生することができる。
[実施例1]
1.ナフィオン−1,2,3−トリアゾール−HPOブレンド膜
1, 2,3−トリアゾールに対するリン酸の量(重量比)が300%以下のナフィオン−1,2,3−トリアゾール−HPOブレンド膜を以下のようにして作製した。
市販のナフィオン5%溶液(Electrochem製。ナフィオンを5重量%、HOを10〜20重量%、1−及び2−プロパノールを75〜85重量%含有)、1,2,3−トリアゾール(Aldrich製)、及びリン酸85%水溶液(和光純薬工業株式会社製)を使用し、オートクレーブ溶液処理(autoclave solution process)によりナフィオン−1,2,3−トリアゾール−HPOブレンド膜を作製した。具体的には以下の処理を行った。
ナフィオン−1,2,3−トリアゾールブレンド膜として最高の伝導率を与えると報告されている28.5%の1,2,3−トリアゾール(ナフィオンに対する重量比)(非特許文献7,8)を、ナフィオン溶液に攪拌しながら混合した。更に、混合しながら1,2,3−トリアゾールに対して重量比で300%までのリン酸を85%水溶液の形態で添加した。その後、更に1時間、攪拌した。攪拌が終わった溶液をPTFE製のボウルに入れ、やはりPTFE製の蓋を被せた。次に、この容器をステンレス鋼製のビンに入れて蓋を被せた。このビンをオーブンチャンバー内に収容して200℃で6時間加圧した。この熱処理の終了後の溶液をPTFE製のシャーレに流し込んで60℃で1日間乾燥させて、溶媒を蒸発させ、膜を得た。このようにして得られたナフィオン−1,2,3−トリアゾール−HPOブレンド膜は非常に柔軟で、薄黄色に着色していた。
1,2,3−トリアゾールに対するリン酸の量(重量比)が300%を越える場合のナフィオン−1,2,3−トリアゾール−HPOブレンド膜は以下のようにして作製した。なお、いずれの場合も原料はリン酸が300%以下の場合と同じものを使用した。
・350%リン酸添加膜
5%ナフィオン溶液(6.007g)、1,2,3−トリアゾール(0.0177g)、及び85%リン酸水溶液(リン酸換算で0.4206g)を常温で混合・乾燥した後、真空乾燥することで膜を得た。
・500%リン酸添加膜
5%ナフィオン溶液(6.007g)、1,2,3−トリアゾール(0.0161g)、及び85%リン酸水溶液(リン酸換算で0.6052g)を上述のようにオートクレーブ溶液処理したところゲル化した。このゲルをアルコールで希釈して乾燥した。なお、600%以上などの更に大量のリン酸を添加した場合でも、500%の場合と同様にゲルを膜化することによって対応可能である。
このようにして作製したナフィオン−1,2,3−トリアゾール−HPOブレンド膜(リン酸量50%、100%、250%の3通り)の分子の振動特性を、赤外線分光計(日本分光株式会社製、ATR PRO 410−S付きFT/IR−6200)により、減衰全反射(ATR)を使って測定した。その結果を図2に示す。また、比較対照用に、図1に、1,2,3−トリアゾール、ナフィオン117、及びナフィオン−1,2,3−トリアゾールのブレンド膜についての同じ測定結果を示す。なお、図中の"Na-28.5% 1,2,3-tri"は"Nafion-28.5% 1,2,3-triazole(ナフィオン−28.5%1,2.3−トリアゾール)”の省略である。
更に、ナフィオン−1,2,3−トリアゾール−HPOブレンド膜(リン酸量50%、及び250%)の熱安定性を、TG/DTA6000(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製)を使用した熱重量分析を用いて調べた。試料をN雰囲気中で5℃/分の速度で室温から550℃まで加熱した。基準材料としてAl粉末を使用した。また、比較対照用にナフィオン、及びナフィオン−1,2,3−トリアゾールの膜についても同じ測定を行った。その結果を図3の(a),(b)に示す。
三ピンホールコリメーター及びMo Kα線に最適化された二次元共焦点鏡を備えた実験用小角X線散乱(SAXS)測定装置(株式会社リガク製のMO用Rigaku NANO-Viewer)を使用してSAXS測定を行った。このX線源はCu Kα線よりも波長が短く、内部に膜が載置されたガラスセルを使用するのに十分な透過率を有する。データはマルチワイヤー・ガス充填二次元検出器(株式会社リガク製のRigaku PILATSU 100k)を使用して取り込んだ。乾燥条件下では、試料を真空チャンバー内に直接置いた。室温の乾燥条件下でSAXS測定を行った。その結果を図4に示す。
プロトン伝導率測定は、インピーダンス装置SI 1260(Solartron 社製)を使用して行った。ブレンド膜を面積が約0.2cmの2枚の円盤型金メッキブロッキング電極の間に挟んだ。膜厚は溶液の体積により80μmから135μmの範囲内であった。インピーダンス測定には周波数範囲が1Hzから1MHzでピーク−ピーク電圧が100mVの信号を使用した。全てのセルは測定が必要な各温度に先ず30分間維持することで熱平衡状態とし、その後に伝導率測定を行った。プロトン伝導率は乾燥窒素流(つまり、非加湿条件)の下で測定した。その結果を図5に示す。
上述のようにして作製されたナフィオン−1,2,3−トリアゾール−HPOブレンド膜は非常に柔軟かつホモジニアスであった。これらのブレンド膜の分子構造を分解能4cm−1のダイヤモンドATRプリズム付きの赤外線分光計によって調べた。
図1は1,2,3−トリアゾール、ナフィオン117、及びナフィオン−1,2,3−トリアゾールのブレンド膜の赤外線スペクトルを示す。ナフィオン−1,2,3−トリアゾールブレンド膜の測定結果はナフィオンと1,2,3−トリアゾールの両方の化学シフトを含んでいた。このブレンド膜の測定結果は更に、CH(2988cm−1)及びCH(2946、1467,及び727cm−1)の新たなスペクトルも示した。このブレンド膜のこれら新たなスペクトルはナフィオン溶液中に含まれていた1−及び2−プロパノールによるものと考えることができる。既に説明したように、ナフィオン溶液の1−及び2−プロパノールは上記処理中に1,2,3−トリアゾールと反応したものと考えられる。
図2は、各種のリン酸含有量(重量%)を持つナフィオン−1,2,3−トリアゾール−HPOブレンド膜の赤外線スペクトルを示す。これらのブレンド膜はナフィオン、1,2,3−トリアゾール、及びリン酸のスペクトルを示した。更に、これらのスペクトルの強度は、リン酸により、リン酸の重量比が増すほど大きかった。ナフィオン、1,2,3−トリアゾール、及びブレンド膜の赤外吸収周波数をcm−1で表した値をまとめたものを表1として示す。ナフィオン中のスルホン化度が高くなれば、もっと大量の1,2,3−トリアゾールを取り込み、1,2,3−トリアゾールがもっと多くのリン酸をナフィオンの構造中に入れるのに貢献すると考えられる。
ナフィオン117、ナフィオン−1,2,3−トリアゾール、及び二通りの重量比のリン酸を含むナフィオン−1,2,3−トリアゾール−HPOブレンド膜の熱安定性を、図3に示すように、TG−DTA測定によって調べた。ナフィオン膜は、100℃未満において、水の蒸発による重量損失を示し、またスルホン酸及びC−Fネットワーク基が緩むことに起因する分解がそれぞれ約302℃及び411℃に見られた。ナフィオン−1,2,3−トリアゾールブレンド膜では、1,2,3−トリアゾールが水を置換したことにより、低温側で安定性が増すことが示され、263℃まで安定であった。このブレンド膜では吸熱ピークが251℃に見られた。これらは、ナフィオン構造中で1,2,3−トリアゾールが蒸発することによるものと考えられる。一方、ナフィオン−1,2,3−トリアゾール−HPOブレンド膜の熱安定性は他のものに比べて低く、200℃を上回ると1,2,3−トリアゾール、リン酸、スルホン酸、及びS−Fネットワーク基のような要素の分解による変化が完了する。従って、ナフィオン−1,2,3−トリアゾール−HPOブレンド膜の熱安定性が期待できる温度の上限は200℃である。
ナフィオン−1,2,3−トリアゾール−HPOブレンド膜のナノ構造及び均一性をSAXSによって調べた。ナフィオン117、ナフィオン−1,2,3−トリアゾール、及び三通りの重量比のリン酸を含むナフィオン−1,2,3−トリアゾール−HPOブレンド膜についての室温SAXSの結果を図4に示す。ナフィオン膜はクラスタ構造を経由するイオン伝導チャネルを持っていることが知られている(非特許文献31〜33)。ナフィオン117膜はq=1.4nm−1(q=4πsinθ/λ、λ=0.07093nm)において最大強度を示した。散乱物体の平均間隔LはBraggの式(L=2π/q)を使ってピーク位置から計算できる。ナフィオン117について平均Bragg間隔4.5nmという値が得られた。ナフィオンポリマーネットワーク中のイオングラスターサイズは水膨潤が起こる条件に依存する。ナフィオン−1,2,3−トリアゾールブレンド膜についてもピークが観測された。これはナフィオンに取り込まれた1,2,3−トリアゾールによるブレンド膜のクラスタ構造であるイオノマーピークでありえる。このブレンド膜のイオノマーピークは、SAXS散乱ダイヤグラム中では、3.03(q=2.07nm−1)のBragg間隔を示すものと観測された。より低いq値でのピーク(qが約0.65nm−1)はマトリックスのピークでありえる(非特許文献32,33)。これは、ナフィオンと1,2,3−トリアゾールとの間の相互作用による結晶ドメイン間の距離(ミクロ構造)の変化によるものである。ナフィオンのSAXSプロファイルのテール部分はPorodの法則、I(q)∝q−4、に従っていて、これはポリマーマトリクスと水との間にシャープな界面が存在することを示唆している(非特許文献34)のだが、ブレンド膜の方はPorodの法則に従っていなかった。ナフィオン−1,2,3−トリアゾール−HPOブレンド膜のSAXSの挙動はナフィオン−1,2,3−トリアゾールのそれと類似していた。50%、100%、及び250%のリン酸を使用したブレンド膜のイオノマーピークは、SAXS散乱ダイヤグラム中でそれぞれ4.58(q=1.37nm−1)、5.28(1=1.19nm−1)、及び7.48(q=0.84nm−1)であることが観測された。Bragg間隔はリン酸の量に依存するが、これは伝導率に寄与する。これらの結果から、ナフィオン−1,2,3−トリアゾール−HPOブレンド膜においては、1,2,3−トリアゾールはナフィオンのナノ構造中にうまく取り込まれ、また1,2,3−トリアゾールによって、大量のリン酸がナノ構造からナノ構造へと均一に取り込まれ得ることが示唆される。
ブレンド膜のプロトン伝導率の温度依存性を、乾燥窒素流中で周波数範囲1Hzから1MHzの範囲の周波数上で交流インピーダンス法を使って調べた。図5は無水条件でのナフィオン117、ナフィオン−1,2,3−トリアゾール、及び各種の重量比のリン酸を含むナフィオン−1,2,3−トリアゾール−HPOブレンド膜についての、冷却過程の間のプロトン伝導率の温度依存性を示す。ナフィオン−1,2,3−トリアゾールブレンド膜のプロトン伝導率は200℃においてナフィオンよりも3桁高かった。このブレンド膜の伝導率が高いのは、ナフィオンのナノ構造中に取り込まれている1,2,3−トリアゾールによるものである。一方、リン酸ドーピングによってプロトン伝導率が更に高くなることが分かった。高温におけるリン酸の効果は、1,2,3−トリアゾールに対して100重量%以上ドーピングした場合に発現した。ナフィオン−1,2,3−トリアゾール中に含むリン酸には飽和比率が存在すると思われる。ナフィオン−1,2,3−トリアゾール−HPOブレンド膜のプロトン伝導率はリン酸の増加とともに高くなったが、これはキャリア密度の増大を意味し、またこれは熱活性化過程に支配されている。図5から分かるように、150%〜250%の十分に高い燐酸ドーピング量のナフィオン−1,2,3−トリアゾール−HPOブレンド膜では、0.02S/cmという高いプロトン伝導率が180℃で得られた。
2.ナフィオン−1,2,3−トリアゾールブレンド膜の活性化処理
ナフィオン−1,2,3−トリアゾール−HPOブレンド膜を作製したときに使用したものと同じナフィオン溶液及び1,2,3−トリアゾールを用意した。これらの原料を使用して、先ずナフィオン−1,2,3−トリアゾールブレンド膜ナフィオン−1,2,3−トリアゾール−HPOブレンド膜の作製に使用したものと同じオートクレーブ溶液プロセスによってナフィオン−1,2,3−トリアゾールブレンド膜を作製し、このようにして作製されたナフィオン−1,2,3−トリアゾールブレンド膜(P−N−Tri膜)に硫酸を作用させてこの膜から過剰な1,2,3−トリアゾールを除去することによって、活性化されたナフィオン−1,2,3−トリアゾールブレンド膜(A−N−Tri膜)を得た。以下で更に具体的に説明する。
ナフィオン溶液を攪拌しながら5重量%の1,2,3−トリアゾールを加えた。この溶液を更に1時間攪拌した。次に、この溶液をPTFE製のビンに入れてPTFE製の蓋を被せた。この状態でステンレス鋼製のビンに収容して蓋を被せた。このステンレス鋼製のビンをオーブンチャンバーに入れ、180℃で6時間加圧した。この加熱処理後の溶液をガラスシャーレ上に流し込んで60℃で1日乾燥することにより、溶媒を蒸発させて膜、つまりP−N−Tri膜を得た。もちろん、P−N−Tri膜の作製に当たっては上述の特定の方法以外の方法を使用することができる。例えば、ナフィオン−1,2,3−トリアゾール−HPOブレンド膜の作製の際の温度や反応時間条件を採用して作製可能である。
このようにして作製されたP−N−Tri膜を、80℃の1M HSOで12時間処理した後、脱イオン水によりpH7になるまで洗浄することによって活性化処理を行うことにより、活性化されたナフィオン−1,2,3−トリアゾール膜(A−N−Tri膜)を得た。この活性化処理は、P−N−Tri膜中の過剰な1,2,3−トリアゾールを除去するために行われた。
このようにして作製したA−N−Tri膜の分子の振動特性を、比較対照用の1,2,3−トリアゾール、ナフィオン112、P−N−Tri膜とともに、赤外線分光計(Thermo Fisher Scientific社製、Nicolet−700)により、ATRを使って周波数範囲4000〜400cm−1にわたって測定した。図6にその測定結果を示す。
P−N−Tri及びA−N−Tri膜の熱安定性を、TG/DTA6000(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製)を使用した熱重量−示差熱分析(thermogravimetric-differential thermal analysis)を用いて調べた。試料を窒素雰囲気環境下で5℃/分の速度で室温から600℃まで加熱した。基準材料としてAl粉末を使用した。TG/DTA測定の前に、測定対象の全ての膜を乾燥オーブン中にて90℃の温度で24時間乾燥した。室温における膜のイオン交換容量(IEC)を決定するため、滴定技術を使用した。IEC測定に使用した膜は30mm×30mmのサイズに裁断した。1M NaCl溶液中に24時間浸漬することによって、酸の形態の膜をナトリウムの形態に変換し、ナトリウムイオンをプロトンイオンに交換できるようにした。pH計を指示計として使用し、溶液中の交換されたプロトンイオンを0.05M NaOH溶液によって滴定した。IEC値は下式によって決定した。
IEC(mequiv./g)=消費されたNaOH(ml)×NaOHのモル濃度/乾燥した膜の重量
P−N−Tri膜及びA−N−Tri膜の吸水率は水和の前後の重量変化比により決定した。測定の前に、膜を30mm×30mmのサイズに裁断して、乾燥オーブン中において100℃で24時間乾燥した。乾燥した膜の重量Wdryを測定した。その後、この膜を室温において脱イオン水中に24時間浸漬した。その後、膜表面に付着した水を除去し、湿った膜の重量Wwetを測定した。吸水率は下式により計算した。
吸水率(%)=(Wwet−Wdry)/Wdry×100
P−N−Tri膜及びA−N−Tri膜のプロトン伝導率の算定は、インピーダンスアナライザイーSI 1260(Solaton社製)を使用し、相対湿度(RH)100%において30℃〜100℃の温度範囲で行った。水和した膜を面積が約0.2cmのリング円盤状で金メッキしたブロッキング電極の間に挟んだ。膜の厚さは約70μm〜90μmであった。周波数範囲が1Hz〜1MHzでピーク−ピーク電圧が100mVの信号を使用してインピーダンス測定を行った。プロトン伝導率は下式により計算した。
プロトン伝導率(S/cm)=L/RS
ここでRはインピーダンスアナライザーの抵抗、またL及びSはそれぞれ膜厚及び電極面積である。
C、H及びNの元素分析は、DX−800イオンクロマトグラフィーを使用して行った。
上記膜を使用した単一セルの性能を以下のようにして測定した。
単一セル用の電極触媒として、20重量%Pt/Cを使用した。膜電極アセンブリ(MEA)を作製するため、Pt/C触媒粉末に50重量%のナフィオン溶液を混合することで、アノード及びカソードの触媒スラリーを準備した。このスラリーをハンドブラシで電極基板用のカーボンペーパーに塗布した。アノード及びカソードにおいて、Ptの塗布量は0.5mg/cmであった。単一セルの実効電極面積は4.84cmであった。試験用セルのためのMEAは、アノードシート及びカソードシートとともに組み立てられた前処理済み膜を6kgf/cmの圧力下において155℃で10分間ホットプレスすることによって作製した。水素流量60ml/分及び純酸素流量100ml/分の流量条件下で、セル温度70℃、100℃、130℃、及び150℃におけるI−V分極曲線(I-V polarization curve)を記録した。この単一セル試験においては70℃における湿度に固定した(具体的には70℃において相対湿度100%となるような水分を含むようにした)。単一セル装置内部では、その温度が70℃、100℃、130℃、及び150℃における相対湿度がそれぞれ約100%、30%、11%、及び6%になっていたと考えられる。これらの相対湿度は水の飽和蒸気圧についての以下のTetens方程式(非特許文献36)を用いて計算した。
E(t)[hPa]=6.11×10(7.5t/(t+237.3))
ここで、E(t)は温度tにおける飽和蒸気圧である。
このようにして求められた飽和蒸気圧を使用して、相対湿度は以下のように計算される。
相対湿度(%)=A/B×100
ここで、Aは指定された温度(ここでは70℃)における飽和蒸気圧、Bは70℃、100℃、130℃、150℃の各々の温度における飽和蒸気圧である。このようにして求められた各温度における飽和蒸気圧、及び蒸気圧が70℃での飽和蒸気圧と等しい場合の各温度における相対湿度を表2に示す。
P−N−Tri膜は均一かつ透明であった。この膜の化学構造をFTIRによって調べた。図6に1,2,3−トリアゾール、ナフィオン112、P−N−Tri、及びA−N−Triの膜のFTIRスペクトルを示す。ここで観測された赤外吸収周波数を表3にまとめて示す。
ナフィオン112、P−N−Tri及びA−N−Triの膜における3440及び1722cm−1の幅の広い吸収は、水の分子と相互作用するスルホン酸からのO−H振動によるものである。ナフィオン112膜の場合には、膜の脱水の間に水が共存するRSO と結合してRSOHを生成する(SOH,1318cm−1;S=O、1205cm−1;SO 、1058cm−1)。また、この膜はC−Fの化学振動シフト(1148、625cm−1)及びC−O−Cの化学振動シフト(982cm−1)も有する。純粋な1,2,3−トリアゾールはN−H(3131、1523、及び788cm−1)、C−H(3000、2860cm−1)、−N=N−(1444、1415cm−1)、及びC−N(1120〜1093、1027cm−1)の化学振動シフトを有していた。一方、P−N−Tri及びA−N−Triの膜の中のS=O及びSO の化学振動スペクトルはそれぞれ1198cm−1及び1050cm−1にシフトしていた。従って、ナフィオン−1,2,3−トリアゾール混合構造はSO と1,2,3−トリアゾールとの間に強く相互接続されていると推測される。P−N−Tri膜はまた、3140cm−1(N−H)及び2994cm−1(C−H)の化学シフトも有していた。1M HSOを使用した活性化処理後のA−N−Tri膜の化学スペクトルはP−N−Triと同じであった(表3を参照)。しかしながら、A−N−Tri膜の化学スペクトルはP−N−Triの化学スペクトルよりも弱かった。これは、A−N−Triブレンド膜では過剰の1,2,3−トリアゾールが除去されていることによるとすることができる。従って、1,2,3−トリアゾールはナフィオンのナノ構造中に取り込まれていて、ここに取り込まれている1,2,3−トリアゾールは活性化処理に対しても安定であると考えることができる。
P−N−Tri及びA−N−Triの膜の熱安定性を、熱重量−示差熱分析(TG−DTA)測定によって調べた。図7にナフィオン112、P−N−Tri及びA−N−Triの膜のTG−DTA測定の結果を示す。ナフィオン112膜は、水の蒸発により100℃未満で重量損失を示し、またスルホン酸及びC−Fネットワーク基が緩むことに起因する分解によりそれぞれ285℃及び406℃付近で重量損失を示した。ナフィオン112の膜に比較して、P−N−Tri及びA−N−Triの膜の熱安定性は、1,2,3−トリアゾールが水を置換することにより、230℃よりも低温で増大した。290℃〜360℃の範囲の重量損失は1,2,3−トリアゾール及びスルホン酸基の熱分解によるものであった。400℃よりも高温側の重量損失は主要C−Fネットワーク基の分解に対応するものであった。図7(b)のDTA特性から、P−N−Tri及びA−N−Triの膜中のスルホン酸基の分解温度は、ナフィオン112膜の285℃に比べて、それぞれ293℃及び305℃に上昇した。P−N−Tri膜は、このブレンド膜中の過剰な1,2,3−トリアゾールにより、237℃に吸熱ピークを示した。しかし、A−N−Tri膜の方は、305℃より下では吸熱ピークを示さなかった。従って、このブレンド膜中の過剰な1,2,3−トリアゾールは活性化処理を行ったために除去されたことが分かる。これは、1,2,3−トリアゾールはナフィオンのナノ構造中にうまく取り込まれていて、このように取り込まれた1,2,3−トリアゾールに関する限り、ブレンド膜は活性化処理を行っても安定であることを意味する。
P−N−Tri及びA−N−Triの膜の吸水及びIEC特性を、ナフィオン112膜とともに表4に示す。
IEC及び吸収率は、P−N−Tri膜についてはそれぞれ0.278mequiv./g及び8.938%であり、またA−N−Triの膜ではそれぞれ0.742mequiv./g及び11.744%であった。A−N−Tri膜はP−N−Tri膜よりも高いIEC及び吸水率を有していた。しかし、A−N−Tri膜のIEC及び吸水率はナフィオン112よりも低いものであった。
図8はP−N−Tri及びA−N−Triの膜のプロトン伝導特性の温度依存性をナフィオン112膜と比較して示す。P−N−Tri及びA−N−Triの膜並びにナフィオン112膜のプロトン伝導特性の温度依存性は、相対湿度100%の雰囲気中での温度範囲30℃〜100℃において、1Hz〜1MHzの周波数範囲上で交流インピーダンス法によって調べた。A−N−Tri膜のプロトン伝導率はP−N−Tri膜よりも高く、ナフィオン112膜とほぼ同じであった。この高いプロトン伝導率は活性化処理によるものである。A−N−Tri膜は1,2,3−トリアゾールに起因して、IEC及び吸水率の点ではナフィオン112膜よりも低い値を示すが、伝導率は同等であった。低いIEC及び吸水率で高いプロトン伝導率を有するという特性は高温PEFCへの応用に有望である。活性化処理は膜中の伝導経路の再編成等に寄与すると考えられる。
図9はP−N−Tri及びA−N−Triの膜を使用した単一セルの性能を、ナフィオン112の膜を使用したものと比較して示す。I−V分極曲線を、H/Oが飽和しているという条件下で、セル温度が70℃(図9(a))、100℃(図9(b))、130℃(図9(c))、及び150℃(図9(d))について記録した。また、単一セル試験を行うための加湿器の温度は70℃に固定した。これが意味しているのは、単一セル装置内部の相対湿度は動作温度が70℃、100℃、130℃、及び150℃でそれぞれ約100%、30%、11%、及び6%であるということである(表2を参照)。また、単一セルの背圧は大気圧とした。P−N−Tri,A−N−Tri、及びナフィオン112の膜を使用した単一セルの最大電力密度を表5に示す。なお、表5中で「Nafion+0%1,2,3-triazole」という標題が付されているカラムは、前述の5%ナフィオン溶液だけをオートクレーブ法で作製して膜を得た(他の膜の作製と同じ条件)場合のセル特性を示す。
最大電力密度は、何れの膜においても温度が上昇するに従って低下した。これは、膜中でプロトンアクセプターとして使用される水が蒸発するからである。セル温度が100℃以上では、A−N−Tri膜を使用したセルの最大電力密度はナフィオン112膜を使用した場合よりも大きく、この傾向は、セル温度が150℃で湿度が低い(6%)という条件下でも維持された(表2及び5を参照)。A−N−Tri膜のIEC及び吸水率がナフィオン112膜よりも小さいにも関わらず、100℃、130℃、及び150℃における最大電力密度はナフィオン112膜を使用した場合よりも大きかった。これは、1,2,3−トリアゾールがナフィオンのナノ構造内に取り込まれていて、また活性化処理を行ったことによるものである。1,2,3−トリアゾールは高温で低湿度であるという条件下でのプロトンアクセプターとして、水を置換しあるいは支援するために使用することができる。上で説明した実施例の測定の結果から、本発明のブレンド膜を高温PEFCの電解質膜として適用するのに非常に有望であると考えられる。
一方、P−N−Tri膜を使用した場合の性能は他の2つの膜に比べて低いものであった。この原因の一つは、図8に示したように、P−N−Tri膜の伝導率が低いことである。他の原因はブレンド膜中に過剰の1,2,3−トリアゾールが存在することでありえる。過剰の1,2,3−トリアゾールはセルが電池動作している間に電解質へ移動し、Pt触媒と反応する可能性がある。これを検証するため、セル動作の前後に触媒層について元素分析を行った。その結果を表6に示す。
表6において、試料(a)はセル動作前の触媒層の試料であり、試料(b)はセル動作後の触媒層の試料である。ここで、これらの試料を採取したMEAは20%Pt/C触媒を使用し、P−N−Tri膜を使用したものであった。単一セル試験後の試料からは大量の窒素が検出された。このことは、P−N−Triブレンド膜中の過剰な1,2,3−トリアゾールが電極へ移動し、この移動した1,2,3−トリアゾールが水素の電子酸化を行う能力のある領域中の白金電極触媒を被毒させ、また酸素還元を行う能力のある領域中で酸化された可能性があることを示している(非特許文献37)。これに対して、A−N−Tri膜は100℃以上の温度でナフィオン112に比べて高い単一セル性能を示した。従って、活性化処理はナフィオン−1,2,3−トリアゾールブレンド膜の伝導率、及びこの膜を使用した燃料電池の性能を向上するのに非常に有効であることが分かった。
[実施例2]
1,2,3−トリアゾールに加えて、ベンズイミダゾール(benzimidazole)、ピラゾール(pyrazole)、イミダゾール(imidazole)、及び1,2,4−トリアゾール(1,2,4-triazole)についてもナフィオン−アゾール−HPOブレンド膜を作製し、その特性を調べた。
[材料]
ナフィオン溶液(1−プロパノール、2−プロパノール及び水を含む溶液)はElectrochem製のものを使用し、ベンズイミダゾール(Bz;C;Mw=118.14;Mp=170℃;Bp≧360℃)、1,2,3−トリアゾール(C;Mw=69.06;Mp=23〜25℃;Bp=203℃)、ピラゾール(C;Mw=68.08;Mp=66〜70℃;Bp=186〜188℃)、イミダゾール(C;Mw=68.08;Mp=89〜91℃;Bp=256℃)、及び1,2,4−トリアゾール(C;Mw=69.06;Mp=120〜121℃;Bp=260℃)は和光純薬工業株式会社製のものを使用した。以下に、ベンズイミダゾール、ピラゾール、イミダゾール、1,2,4−トリアゾールの化学構造式を示す。
・ベンズイミダゾール
・ピラゾール
・イミダゾール
・1,2,4−トリアゾール
[膜作製]
ナフィオン−アゾール−リン酸(HPO)ブレンド膜をAC溶液処理法により作製した。ナフィオンに対して5〜28.5w%のアゾール分子及び60〜200w%のリン酸を撹拌しながらナフィオン溶液に添加した。この溶液を1時間撹拌した。撹拌後の溶液をPTFE製のボール(50ml)に入れて、PTFE製の蓋を被せた。次に、この容器をステンレス鋼製のビンに入れて蓋を被せた。このピンをオーブンチャンバー内に収容して180℃で6時間加圧した。熱処理が終わったら、PTFE製の皿に流し込み、60℃で一日乾燥させて溶媒を蒸発させることにより、膜を得た。このブレンド膜は柔軟であった。
[化学構造及び熱安定性]
分子構造の振動特性を、減衰全反射(ATR)法により、赤外線分光器(ATR PRO410−S付きFT/IR−6200(JASCO))を使用して行った。
ナフィオン−アゾール−HPO複合膜熱安定性はTG/DTA6000(セイコーインスツル株式会社)を使用して熱重量分析法により行った。試料をN雰囲気中で室温から550℃まで5℃/分の速度で加熱した。基準物質としてAl粉末を使用した。
[MEA(膜−電極アセンブリ)作製]
MEAを作成する前に、ナフィオン−アゾール−HPOブレンド膜を80℃のリン酸で2回、それぞれ10分間洗浄し、ブレンド膜表面のリン酸を清浄な紙で除去した。ブレンド膜の厚さは約100μmであった。アノード、カソードの触媒電極は20wt%Pt/C(Electrochem製のEC−20−10−7)を使用した。アノード及びカソードの白金量は1mg/cmであった。単一セルの有効電極面積は4.84cmであった。ガスケットにはテフロン(「テフロン」はイー アイ デュポン ドゥ ヌムール アンド カンパニーの登録商標)を使用した。MEAはホットプレス処理を行わずにアノード及びカソードをブレンド膜上に設置することにより作製した。組立トルクは3Nmとした。単一セルを自家製の燃料電池試験設備に収容した。この電池は0.1MPaの加湿していない純水素及び酸素を与えて150℃で動作させ、アノードガス及びカソードガスの流量は50ml/分とした。複合膜の抵抗はSI 1280Cインピーダンスアナライザー(Solantron製)で測定した。
[結果及び検討]
ナフィオン−28.5wt%1,2,3−トリアゾール−100wt%HPOブレンド膜の化学構造及び熱安定性を赤外分光及びTGAにより調べた。
図10は1,2,3−トリアゾール、ナフィオン−28.5wt%1,2,3−トリアゾール,及びナフィオン−28.5wt%1,2,3−トリアゾール−100wt%HPOブレンド膜の赤外線スペクトルを示す。ナフィオン−28.5wt%1,2,3−トリアゾール−100wt%HPOブレンド膜のスペクトルはナフィオン−1,2,3−トリアゾールとHPOの両者のスペクトルを含んでいた。ブレンド膜中では1,2,3−トリアゾールはナフィオン溶液の1−及び/または2−プロパノールと結合していてナフィオン中で安定していた(非特許文献38)。従って、CH及びCHによる吸収が含まれていた。吸収周波数をまとめたものを表7に示す。
図11は再成形したナフィオン、ナフィオン−28.5wt%1,2,3−トリアゾールブレンド膜,及びナフィオン−28.5wt%1,2,3−トリアゾール−100wt%HPOブレンド膜のTGA結果である。ナフィオン膜は100℃未満で水の蒸発による重量減少、並びにスルホン酸及びC−Fネットワーク基の弛緩に起因する分解による重量減少をそれぞれ約302℃及び411℃で示す。ナフィオン−1,2,3−トリアゾールブレンド膜の熱安定性は、300℃未満の低温では、置換した1,2,3−トリアゾールにより、ナフィオンよりも高かった。ナフィオン−1,2,3−トリアゾール−HPOブレンド膜の熱安定性は1,2,3−トリアゾールとリン酸との複合により、更に高かった。しかしながら、ナフィオン−1,2,3−トリアゾール−HPOブレンド膜の重量減少は、リン酸の沸点のため、160℃以上では減少した。
図12はリン酸量を変えた場合の150℃におけるナフィオン−5wt%1,2,3−トリアゾール−HPOブレンド膜の単一セルの性能を示す。セルの性能はリン酸の量とともに増大したが、高い電流密度の領域で急に減少した。図13はこれらのブレンド膜のCole−Coleプロットを示す。リン酸の量が60、80、120及び200wt%のブレンド膜の抵抗は10kHzでそれぞれ1.09、0.81、0.43及び0.2Ωであった。0.01S/cmという最大導電率は、ナフィオン−1,2,3−トリアゾール−200wt%HPOブレンド膜で達成された。
次に、ピラゾール(28.5wt%)、1,2,4−トリアゾール(28.5wt%)、イミダゾール(5wt%),ベンズイミダゾール(5wt%)のような他のアゾール類を使用したナフィオン−アゾール−200wt%HPO複合膜の単一セル性能を調べた(図14)。使用したアゾール類ごとに異なる単一セル性能が得られた。このような違いはモルフォロジーや膜中の導電パスなどにより起こると思われる。これは予備的なデータではあるが、得られた特性はナフィオン−アゾール−HPO複合膜の傾向を示している。ナフィオン−ベンズイミダゾール−HPO複合膜で、150℃の乾燥環境において0.23S/cmという高い導電率が得られた。ナフィオン−ベンズイミダゾール−HPO複合膜の性能は他の膜よりも高いことが確認された。
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Claims (29)

  1. パーフルオロスルホン酸ポリマー、アルコール、アゾール、及び酸を含む混合溶液を反応させ、反応後の溶液から膜を形成する、パーフルオロスルホン酸ポリマー−アゾール−酸ブレンド膜の製造方法。
  2. 前記酸はリン酸または硫酸である、請求項1に記載のパーフルオロスルホン酸ポリマー−アゾール−酸ブレンド膜の製造方法。
  3. 前記混合溶液は水を含む、請求項1に記載のパーフルオロスルホン酸ポリマー−アゾール−酸ブレンド膜の製造方法。
  4. 前記反応は180℃以上で行われる、請求項1から3の何れかに記載のパーフルオロスルホン酸ポリマー−アゾール−酸ブレンド膜の製造方法。
  5. 前記反応は室温で行われる、請求項1から3の何れかに記載のパーフルオロスルホン酸ポリマー−アゾール−酸ブレンド膜の製造方法。
  6. 前記反応は3〜24時間行われる、請求項1から5の何れかに記載のパーフルオロスルホン酸ポリマー−アゾール−酸ブレンド膜の製造方法。
  7. 前記リン酸は前記アゾールの100重量%以上使用する、請求項1から6の何れかに記載のパーフルオロスルホン酸ポリマー−アゾール−酸ブレンド膜の製造方法。
  8. 前記成膜は反応後の溶液を乾燥することによって行われる、請求項1から7の何れかに記載のパーフルオロスルホン酸ポリマー−アゾール−酸ブレンド膜の製造方法。
  9. 前記アゾールはピロール、テトラゾール、及びペンタゾールからなる群から選択される化合物である、請求項1から8の何れかに記載のパーフルオロスルホン酸ポリマー−アゾール−酸ブレンド膜の製造方法。
  10. 前記アゾールは1,2,3−トリアゾール、ベンズイミダゾール、ピラゾール、イミダゾール及び1,2,4−トリアゾールからなる群から選択される化合物である、請求項1から8の何れかに記載のパーフルオロスルホン酸ポリマー−アゾール−酸ブレンド膜の製造方法。
  11. 前記パーフルオロスルホン酸ポリマーはナフィオン、フレミオン及びアシプレックスからなる群から選択される請求項1から10の何れかに記載のパーフルオロスルホン酸ポリマー−アゾール−酸ブレンド膜の製造方法。
  12. 前記アルコールは1−及び2−プロパノールである、請求項1から11の何れかに記載のパーフルオロスルホン酸ポリマー−アゾール−酸ブレンド膜の製造方法。
  13. 請求項1から12の何れかの方法によって製造されたパーフルオロスルホン酸ポリマー−アゾール−酸ブレンド膜。
  14. パーフルオロスルホン酸ポリマー、アルコール、及びアゾールを含む混合溶液を反応させ、反応後の溶液から膜を形成し、前記膜を硫酸で処理することによって前記膜中から過剰のアゾールを除去する、パーフルオロスルホン酸ポリマー−アゾールブレンド膜の製造方法。
  15. 前記混合溶液は水を含む、請求項14に記載のパーフルオロスルホン酸ポリマー−アゾールブレンド膜の製造方法。
  16. 前記反応は180℃以上で行われる、請求項14または15に記載のパーフルオロスルホン酸ポリマー−アゾールブレンド膜の製造方法。
  17. 前記反応は室温で行われる、請求項14または15に記載のパーフルオロスルホン酸ポリマー−アゾールブレンド膜の製造方法。
  18. 前記反応は3〜24時間行われる、請求項14から17の何れかに記載のパーフルオロスルホン酸ポリマー−アゾールブレンド膜の製造方法。
  19. 前記硫酸による処理は濃度が1M以下の硫酸を使用して室温〜80℃で4〜24時間行う、請求項14から18の何れかに記載のパーフルオロスルホン酸ポリマー−アゾールブレンド膜の製造方法。
  20. 前記膜の形成は反応後の溶液を乾燥することによって行われる、請求項14から19の何れかに記載のパーフルオロスルホン酸ポリマー−アゾールブレンド膜の製造方法。
  21. 前記アゾールはピロール、テトラゾール、及びペンタゾールからなる群から選択される化合物である、請求項14から20の何れかに記載のパーフルオロスルホン酸ポリマー−アゾールブレンド膜の製造方法。
  22. 前記アゾールは1,2,3−トリアゾール、ベンズイミダゾール、ピラゾール、イミダゾール及び1,2,4−トリアゾールからなる群から選択される化合物である、請求項14から21の何れかに記載のパーフルオロスルホン酸ポリマー−アゾールブレンド膜の製造方法。
  23. 前記パーフルオロスルホン酸ポリマーはナフィオン、フレミオン及びアシプレックスからなる群から選択される請求項14から22の何れかに記載のパーフルオロスルホン酸ポリマー−アゾールブレンド膜の製造方法。
  24. 前記アルコールは1−及び2−プロパノールである、請求項14から23の何れかに記載のパーフルオロスルホン酸ポリマー−アゾールブレンド膜の製造方法。
  25. 請求項14から24の何れかの方法によって製造されたパーフルオロスルホン酸ポリマー−アゾールブレンド膜。
  26. 請求項13または25のブレンド膜を電解質膜として使用した、プロトン交換膜燃料電池。
  27. パーフルオロスルホン酸ポリマー、及びアルコールを含む混合溶液を180℃以上で反応させ、反応後の溶液から膜を形成する、パーフルオロスルホン酸ポリマー膜の製造方法。
  28. 前記パーフルオロスルホン酸ポリマーはナフィオン、フレミオン及びアシプレックスからなる群から選択される請求項27に記載のパーフルオロスルホン酸ポリマー膜の製造方法。
  29. 前記アルコールは1−及び2−プロパノールである、請求項27または28に記載のパーフルオロスルホン酸ポリマー膜の製造方法。
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