JP2013236700A - 抗菌性骨修復材料及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】抗菌性を示し、アパタイト形成能及び保存性に優れた安全性の高い骨修復材料を安価に提供する。
【解決手段】カルシウムイオン及び銀イオンを含まずナトリウムイオン及びカリウムイオンのうち1種類以上の陽イオンを含むアルカリ性の水溶液にチタンまたはチタン合金からなる基材を浸漬する工程と、カルシウムイオンを含む水溶液に前記基材を浸漬する工程と、前記基材を乾燥雰囲気中で加熱する工程と、銀イオンを含む水溶液に前記基材を浸漬する工程とを備えることを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】カルシウムイオン及び銀イオンを含まずナトリウムイオン及びカリウムイオンのうち1種類以上の陽イオンを含むアルカリ性の水溶液にチタンまたはチタン合金からなる基材を浸漬する工程と、カルシウムイオンを含む水溶液に前記基材を浸漬する工程と、前記基材を乾燥雰囲気中で加熱する工程と、銀イオンを含む水溶液に前記基材を浸漬する工程とを備えることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
この発明は、抗菌性骨修復材料及びその製造方法に関する。この骨修復材料は、大腿骨、股関節、脊椎、歯根等のように大きな荷重の加わる部分における骨修復のために好適に利用され得る。
表面にアパタイト層を有するチタン金属またはその合金は、大きな破壊靭性を有し、且つ生体内でアパタイトを介して生体骨と結合することから、大きな荷重の加わる部分における骨修復材料として期待されている。そこで、チタン金属またはその合金からなる基材の表面にアパタイト層を形成する方法が種々検討されてきた。このうち、アパタイト形成能を有するチタン酸塩層を表面に形成させたチタン金属またはその合金の骨修復材料は、体内でアパタイトを形成するので、形成されたアパタイトが乾燥や基材との熱膨張差による亀裂を生じない点で優れていると言われている(特許文献1)。
一方、骨修復材料を生体内に埋入すると、しばしばその数%に感染症が発生する。一旦感染すると、抗生物質による治療も困難である。そこで、チタン酸塩層中のアルカリ成分を銀イオンで置換したり(特許文献2)、チタン基材表面にリン酸カルシウムと酸化銀の混合物の被膜を形成したりすることにより(特許文献3)、骨修復材料に抗菌性を付与する技術が提案されている。
しかし、特許文献2に記載の方法は、チタン酸塩層を安定的に基材にコーティングするため高温高圧条件で前記チタン酸塩層を結晶化させなければならず、圧力容器などの高価な装置を要する。
特許文献3に記載の方法で得られる材料は、コーティング部材のリン酸カルシウムを溶解させながら抗菌剤を溶出する。したがって、この間に骨組織と強固に結合することができない。そのため、初期固定能に劣り、骨修復治療に長期間を要する。
それ故、この発明の課題は、抗菌性を示し、アパタイト形成能及び保存性に優れた安全性の高い骨修復材料を安価に提供することにある。
特許文献3に記載の方法で得られる材料は、コーティング部材のリン酸カルシウムを溶解させながら抗菌剤を溶出する。したがって、この間に骨組織と強固に結合することができない。そのため、初期固定能に劣り、骨修復治療に長期間を要する。
それ故、この発明の課題は、抗菌性を示し、アパタイト形成能及び保存性に優れた安全性の高い骨修復材料を安価に提供することにある。
この発明の骨修復材料は、チタンまたはチタン合金からなる基材と、その基材の表面に形成され、カルシウムイオン及び銀イオンを含み、生体内で抗菌性を示すとともにアパタイト形成能を示すチタン酸カルシウム層とを備えることを特徴とする。
この骨修復材料によれば、チタン酸カルシウム層最上部のカルシウムイオンが生体内で体液中のヒドロニウムイオンと置換し、周囲のアパタイトの活動度積を上昇させるとともに、チタン酸カルシウム層表面にTi-OH基を形成し、アパタイト形成を誘導し、チタン酸カルシウム層中の銀イオンが生体内で溶出して抗菌性を示す。
この骨修復材料によれば、チタン酸カルシウム層最上部のカルシウムイオンが生体内で体液中のヒドロニウムイオンと置換し、周囲のアパタイトの活動度積を上昇させるとともに、チタン酸カルシウム層表面にTi-OH基を形成し、アパタイト形成を誘導し、チタン酸カルシウム層中の銀イオンが生体内で溶出して抗菌性を示す。
この発明の骨修復材料を製造する適切な方法は、カルシウムイオン及び銀イオンを含まずナトリウムイオン及びカリウムイオンのうち1種類以上の陽イオンを含むアルカリ性の水溶液にチタンまたはチタン合金からなる基材を浸漬する工程と、カルシウムイオンを含む水溶液に前記基材を浸漬する工程と、前記基材を乾燥雰囲気中で加熱する工程と、銀イオンを含む水溶液に前記基材を浸漬する工程とを備えることを特徴とする。
アルカリ性の水溶液に浸けることにより、基材と水溶液とが反応して基材表面にチタン酸水素ナトリウムあるいはチタン酸水素カリウムの層が形成される。次いでカルシウムイオン含有水溶液に浸けると、チタン酸水素ナトリウムあるいはチタン酸水素カリウム層中のナトリウムイオンあるいはカリウムイオンが、水溶液中のカルシウムイオンと交換される。
このように異なる二種類の水溶液に段階的に基材を浸けることにより、カルシウムを高濃度で含む傾斜組成を有するチタン酸塩層が基材上に形成される。これを乾燥雰囲気中で加熱することにより、脱水して機械的及び化学的に安定な無水のチタン酸カルシウム層が形成され、表面層の引っかき抵抗が著しく向上する。
その後、銀イオン含有水溶液に浸けると、表面層中のカルシウムイオンの一部が、水溶液中の銀イオン及びヒドロニウムイオンに交換され、抗菌性が付与されるとともに、表面が所定のアパタイト形成能を発揮する程度に活性化される。その形成能は、全表面にアパタイトを形成するのに3日で足りるという高いものであり、しかも高湿下で長期保存されても維持される。
以上のように、この発明の製造方法によって得られる骨修復材料は、生体内の大きな荷重のかかる部分に埋め込んだ場合、速やかに生体骨と結合して骨欠損部を修復することができ、且つ感染を予防することができる。また、保存性に優れることから、手術の場合に在庫品を利用することができる。
前記チタン酸塩層は、表面から0.1〜5μmの深さの範囲において1〜5原子%のカルシウム濃度と0.1〜1原子%の銀濃度を有するのが好ましい。カルシウム濃度が1原子%に満たない場合は、アパタイトを構成するカルシウム成分が表面に乏しすぎてアパタイトを形成しにくい。5原子%を超えると、表面層の化合物が安定になりすぎてアパタイトを形成しにくい。銀濃度が0.1原子%に満たない場合は、銀イオンの溶出量が乏しくなり十分な抗菌性が得られない。1原子%を超えると製造段階で銀粒子が析出する。銀粒子は、生体内で脱落し、生体に悪影響を及ぼすことがあるので、好ましくない。
銀イオン含有水溶液の好ましい銀イオン濃度は0.01〜20mMである。下限に満たない場合あるいは上限を超える場合、前記好ましい銀イオン濃度を有するチタン酸塩層が得られにくい。また、上限を超える場合は銀イオンが銀粒子として析出する。
前記基材を銀イオン含有水溶液に浸漬する温度および時間はそれぞれ60℃以上、12時間以上であり、好ましくはそれぞれ80℃以上、24時間以上である。いずれも下限に満たない場合、銀イオン導入と同時に導入されるべきヒドロニウムイオンの導入量が乏しくなり、その結果、アパタイト形成能も乏しくなる。
銀イオン含有水溶液に含まれる好ましい陰イオンは、酢酸イオン、硝酸イオンから選択される1種以上である。これらの銀塩であれば水に溶けやすく、コロイド化せず濃度を管理しやすいからである。
前記基材を銀イオン含有水溶液に浸漬する温度および時間はそれぞれ60℃以上、12時間以上であり、好ましくはそれぞれ80℃以上、24時間以上である。いずれも下限に満たない場合、銀イオン導入と同時に導入されるべきヒドロニウムイオンの導入量が乏しくなり、その結果、アパタイト形成能も乏しくなる。
銀イオン含有水溶液に含まれる好ましい陰イオンは、酢酸イオン、硝酸イオンから選択される1種以上である。これらの銀塩であれば水に溶けやすく、コロイド化せず濃度を管理しやすいからである。
[製造条件]
−実施例1−
10mm×10mm×1mmの大きさの純チタン金属板を#400のダイヤモンドパッドを用いて研磨し、アセトン、2−プロパノール、超純水で各30分間超音波洗浄した後、5Mの水酸化ナトリウム水溶液5mlに60℃で24時間浸漬し(以下、「水酸化ナトリウム処理」という。)、超純水で30秒間洗浄した。このチタン金属板を100mMの塩化カルシウム水溶液10mlに40℃で24時間浸漬し(以下、「塩化カルシウム処理」という。)、超純水により30秒洗浄した。次いで、チタン金属板を電気炉中で常温から600℃まで5℃/minの速度で昇温し、600℃で1時間保持して、炉内で放冷した(以下、「加熱処理」という。)。その後、10mMの硝酸銀水溶液10mlに80℃で24時間浸漬し(以下、「銀処理」という。)、超純水で30秒洗浄することにより、骨修復材料の試料を製造した。
−実施例1−
10mm×10mm×1mmの大きさの純チタン金属板を#400のダイヤモンドパッドを用いて研磨し、アセトン、2−プロパノール、超純水で各30分間超音波洗浄した後、5Mの水酸化ナトリウム水溶液5mlに60℃で24時間浸漬し(以下、「水酸化ナトリウム処理」という。)、超純水で30秒間洗浄した。このチタン金属板を100mMの塩化カルシウム水溶液10mlに40℃で24時間浸漬し(以下、「塩化カルシウム処理」という。)、超純水により30秒洗浄した。次いで、チタン金属板を電気炉中で常温から600℃まで5℃/minの速度で昇温し、600℃で1時間保持して、炉内で放冷した(以下、「加熱処理」という。)。その後、10mMの硝酸銀水溶液10mlに80℃で24時間浸漬し(以下、「銀処理」という。)、超純水で30秒洗浄することにより、骨修復材料の試料を製造した。
−実施例2−
実施例1において、銀処理における硝酸銀水溶液の濃度を1mMとしたことを除く他は実施例1と同じ条件で試料を製造した。
−実施例3−
実施例1において、銀処理における硝酸銀水溶液の濃度を0.01mMとしたことを除く他は実施例1と同じ条件で試料を製造した。
−実施例4−
実施例2において、銀処理における硝酸銀水溶液の浸漬温度を60℃としたことを除く他は実施例2と同じ条件で試料を製造した。
−実施例5−
実施例2において、銀処理における硝酸銀水溶液の浸漬時間を12時間としたことを除く他は実施例2と同じ条件で試料を製造した。
−実施例6−
実施例2において、銀処理における水溶液を1mM酢酸銀水溶液とし、浸漬時間を48時間としたことを除く他は実施例2と同じ条件で試料を製造した。
−実施例7−
実施例2において、基材をTi−15Zr−4Ta−4Nb合金とし、加熱処理の温度を700℃としたことを除く他は実施例2と同じ条件で試料を製造した。
実施例1において、銀処理における硝酸銀水溶液の濃度を1mMとしたことを除く他は実施例1と同じ条件で試料を製造した。
−実施例3−
実施例1において、銀処理における硝酸銀水溶液の濃度を0.01mMとしたことを除く他は実施例1と同じ条件で試料を製造した。
−実施例4−
実施例2において、銀処理における硝酸銀水溶液の浸漬温度を60℃としたことを除く他は実施例2と同じ条件で試料を製造した。
−実施例5−
実施例2において、銀処理における硝酸銀水溶液の浸漬時間を12時間としたことを除く他は実施例2と同じ条件で試料を製造した。
−実施例6−
実施例2において、銀処理における水溶液を1mM酢酸銀水溶液とし、浸漬時間を48時間としたことを除く他は実施例2と同じ条件で試料を製造した。
−実施例7−
実施例2において、基材をTi−15Zr−4Ta−4Nb合金とし、加熱処理の温度を700℃としたことを除く他は実施例2と同じ条件で試料を製造した。
−比較例1−
10mm×10mm×1mmの大きさの純チタン金属板を#400のダイヤモンドパッドを用いて研磨し、アセトン、2−プロパノール、超純水で各30分間超音波洗浄した後、実施例1と同一条件で水酸化ナトリウム処理し、超純水で30秒間洗浄した。次いで、50mM酢酸銀水溶液に40℃で3時間浸漬し、超純水で30秒間洗浄した。
−比較例2−
実施例1において、銀処理における硝酸銀水溶液の濃度を25mMとしたことを除く他は実施例1と同じ条件で試料を製造した。
−比較例3−
実施例2において、銀処理における硝酸銀水溶液の浸漬温度を50℃としたことを除く他は実施例2と同じ条件で試料を製造した。
−比較例4−
実施例2において、銀処理における硝酸銀水溶液の浸漬時間を10時間としたことを除く他は実施例2と同じ条件で試料を製造した。
10mm×10mm×1mmの大きさの純チタン金属板を#400のダイヤモンドパッドを用いて研磨し、アセトン、2−プロパノール、超純水で各30分間超音波洗浄した後、実施例1と同一条件で水酸化ナトリウム処理し、超純水で30秒間洗浄した。次いで、50mM酢酸銀水溶液に40℃で3時間浸漬し、超純水で30秒間洗浄した。
−比較例2−
実施例1において、銀処理における硝酸銀水溶液の濃度を25mMとしたことを除く他は実施例1と同じ条件で試料を製造した。
−比較例3−
実施例2において、銀処理における硝酸銀水溶液の浸漬温度を50℃としたことを除く他は実施例2と同じ条件で試料を製造した。
−比較例4−
実施例2において、銀処理における硝酸銀水溶液の浸漬時間を10時間としたことを除く他は実施例2と同じ条件で試料を製造した。
[表面形状]
実施例及び比較例の試料表面形状をSEMで観察したところ、すべての実施例及び比較例で微細な網目状の表面層が認められた。図1に実施例1〜3、6、7及び比較例1、2のSEM像を示す。実施例1〜3、6及び7では、銀粒子の析出は認められなかったが、比較例1および2では、表面層上に100nm〜数μmの銀粒子の析出が認められた。
実施例及び比較例の試料表面形状をSEMで観察したところ、すべての実施例及び比較例で微細な網目状の表面層が認められた。図1に実施例1〜3、6、7及び比較例1、2のSEM像を示す。実施例1〜3、6及び7では、銀粒子の析出は認められなかったが、比較例1および2では、表面層上に100nm〜数μmの銀粒子の析出が認められた。
[組成分析]
試料表面の組成を加速電圧9kVでエネルギー分散X線分析法で分析すると、表2に示すように水酸化ナトリウム処理後、直ちに銀処理した試料(比較例1)では、ナトリウムが消失し、代わりに15.94原子%の銀が検出された。水酸化ナトリウム処理後、塩化カルシウム処理し、加熱処理後、0.01〜10mM硝酸銀水溶液で銀処理した試料(実施例1〜3)では、ナトリウムが消失し、2.60〜3.80原子%のカルシウムと0.10〜0.82原子%の銀が検出された。
試料表面の組成を加速電圧9kVでエネルギー分散X線分析法で分析すると、表2に示すように水酸化ナトリウム処理後、直ちに銀処理した試料(比較例1)では、ナトリウムが消失し、代わりに15.94原子%の銀が検出された。水酸化ナトリウム処理後、塩化カルシウム処理し、加熱処理後、0.01〜10mM硝酸銀水溶液で銀処理した試料(実施例1〜3)では、ナトリウムが消失し、2.60〜3.80原子%のカルシウムと0.10〜0.82原子%の銀が検出された。
一方、25mM硝酸銀水溶液で銀処理した試料(比較例2)では、ナトリウムが消失し、4.46原子%のカルシウムと1.61原子%の銀が検出された。銀処理に1mM酢酸銀水溶液を用いた試料(実施例6)では、ナトリウムが消失し、3.87原子%のカルシウムと0.54原子%の銀が検出された。基材にTi−15Zr−4Nb−4Ta合金を用いた試料(実施例7)では、ナトリウムが消失し、2.44原子%のカルシウムと0.27原子%の銀が検出された。
オージェ分光分析結果によれば、実施例2の場合には、図2に示すように表面より約1μmの深さまでカルシウムイオンが入り、表面から約500nmの深さまで銀イオンが入り、それらの濃度が深さと共に傾斜的に減少していることがわかった。
試料表面の結晶構造を薄膜X線回折法により調べると、実施例2の場合には、図3に示すようにチタン酸カルシウムとルチル型酸化チタンのみが形成され、銀の析出は認められなかった。
試料表面の結晶構造を薄膜X線回折法により調べると、実施例2の場合には、図3に示すようにチタン酸カルシウムとルチル型酸化チタンのみが形成され、銀の析出は認められなかった。
[アパタイト形成能評価]
実施例2、4〜7の試料を36.5℃に保たれたISO規格23317の擬似体液(SBF)に浸漬したところ、表3に示すように実施例2、6および7の試料は、擬似体液浸漬3日以内に表面全体にアパタイトを、実施例4および5の試料は、表面の一部にアパタイトを析出した。したがって、これらの試料は生体内で高いアパタイト形成能を示すことが確かめられた。一方、比較例3および4の試料は、擬似体液浸漬3日以内にアパタイトの析出を示さなかった。
実施例2、4〜7の試料を36.5℃に保たれたISO規格23317の擬似体液(SBF)に浸漬したところ、表3に示すように実施例2、6および7の試料は、擬似体液浸漬3日以内に表面全体にアパタイトを、実施例4および5の試料は、表面の一部にアパタイトを析出した。したがって、これらの試料は生体内で高いアパタイト形成能を示すことが確かめられた。一方、比較例3および4の試料は、擬似体液浸漬3日以内にアパタイトの析出を示さなかった。
[耐湿性評価]
実施例2の試料について、温度80℃、相対湿度95%の雰囲気に1週間曝す前後のSBF中でのアパタイト形成能を調べ、アパタイト形成能の耐湿性を調べた。その結果、図4に示すように同試料は耐湿性試験後も耐湿試験前と同様に擬似体液浸漬3日以内に表面にアパタイトを形成したので、同試料は高温高湿下に長時間置かれても高いアパタイト形成能を失わないことが確かめられた。
実施例2の試料について、温度80℃、相対湿度95%の雰囲気に1週間曝す前後のSBF中でのアパタイト形成能を調べ、アパタイト形成能の耐湿性を調べた。その結果、図4に示すように同試料は耐湿性試験後も耐湿試験前と同様に擬似体液浸漬3日以内に表面にアパタイトを形成したので、同試料は高温高湿下に長時間置かれても高いアパタイト形成能を失わないことが確かめられた。
[銀イオンの溶出性評価]
実施例1〜3、6および7の試料を36.5℃に保たれたウシ胎児血清(FBS)に1日浸漬し、同溶液中に溶出する銀イオンの量を結合誘導プラズマ発光分析(ICP)により測定した。その結果、表4に示すようにFBS中にそれぞれ0.345〜4.092ppmの銀イオンの溶出が認められた。したがって、この試料は生体内で銀イオンを溶出することがわかった。
実施例1〜3、6および7の試料を36.5℃に保たれたウシ胎児血清(FBS)に1日浸漬し、同溶液中に溶出する銀イオンの量を結合誘導プラズマ発光分析(ICP)により測定した。その結果、表4に示すようにFBS中にそれぞれ0.345〜4.092ppmの銀イオンの溶出が認められた。したがって、この試料は生体内で銀イオンを溶出することがわかった。
[抗菌性評価]
JIS Z2801にしたがい、実施例2、3および7の試料の抗菌性を評価した。比較のため、実施例の処理を施す前の純チタン金属板についても、同様の方法で抗菌性を評価した。その結果、表5に示すように実施例の試料上では純チタン金属板上に比べ、黄色ブドウ球菌のコロニー形成が著しく抑制された。実施例2、3および7の試料の抗菌活性値Rを下式より算出したところ、それぞれ7.2、7.2および7.2となった。したがって、これらの試料は抗菌性を示すことが確かめられた。
R=[log(B/A)−log(C/A)]=[log(B/C)]
R:抗菌活性値
A:チタン金属上の接種直後の生菌数の平均値(個)
B:チタン金属上の24時間後の生菌数の平均値(個)
C:実施例上の24時間後の生菌数の平均値(個)
JIS Z2801にしたがい、実施例2、3および7の試料の抗菌性を評価した。比較のため、実施例の処理を施す前の純チタン金属板についても、同様の方法で抗菌性を評価した。その結果、表5に示すように実施例の試料上では純チタン金属板上に比べ、黄色ブドウ球菌のコロニー形成が著しく抑制された。実施例2、3および7の試料の抗菌活性値Rを下式より算出したところ、それぞれ7.2、7.2および7.2となった。したがって、これらの試料は抗菌性を示すことが確かめられた。
R=[log(B/A)−log(C/A)]=[log(B/C)]
R:抗菌活性値
A:チタン金属上の接種直後の生菌数の平均値(個)
B:チタン金属上の24時間後の生菌数の平均値(個)
C:実施例上の24時間後の生菌数の平均値(個)
Claims (7)
- チタンまたはチタン合金からなる基材と、その基材の表面に形成され、カルシウムイオン及び銀イオンを含み、生体内で抗菌性を示すとともにアパタイト形成能を示すチタン酸カルシウム層とを備えることを特徴とする骨修復材料。
- 前記チタン酸カルシウム層におけるカルシウム濃度が1〜5原子%、銀濃度が0.1〜1原子%である請求項1に記載の骨修復材料。
- カルシウムイオン及び銀イオンを含まずナトリウムイオン及びカリウムイオンのうち1種類以上の陽イオンを含むアルカリ性の水溶液にチタンまたはチタン合金からなる基材を浸漬する工程と、カルシウムイオンを含む水溶液に前記基材を浸漬する工程と、前記基材を乾燥雰囲気中で加熱する工程と、銀イオンを含む水溶液に前記基材を浸漬する工程とを備えることを特徴とする骨修復材料の製造方法。
- 前記銀イオン含有水溶液の銀イオン濃度が0.01〜20mMである請求項3に記載の製造方法。
- 前記銀イオン含有水溶液に前記基材を浸漬する温度が60℃以上である請求項3に記載の製造方法。
- 前記銀イオン含有水溶液に前記基材を浸漬する時間が12時間以上である請求項3に記載の製造方法。
- 前記銀イオン含有水溶液に含まれる陰イオンが、酢酸イオン、硝酸イオンから選択される1種以上である請求項3に記載の製造方法。
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