JP2013224519A - 津波退避部屋及びそれに用いる空気保持独立体 - Google Patents

津波退避部屋及びそれに用いる空気保持独立体 Download PDF

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Abstract

【課題】
想定外の津波、高潮、洪水の来襲のとき、その逃げる間もない巨大外力に対して、身近に退避部屋があることが最も重要であり、想定外を想定して、生存必要空気量が保持できるよう、構造体に変形、ひび割れが入った場合でも独立に空気保持ができれば安全な退避空間として解決できる。
【解決手段】
津波来襲前の巨大地震で、例え退避部屋に変形、ひび割れを生じたとしても、事前に退避部屋内部に本体の壁のひび割れの影響を受けないよう本体構造と分離、独立した別構造体で、津波来襲時の水没中でも生存必要の密閉空気が抜けないとした、上に凸、下に開口の空気保持独立体を設置するものである。
【選択図】 図2

Description

本発明は、津波来襲の前に巨大地震で退避部屋が損傷したとしても、事前に、内部に上に凸、下に開口の空気保持独立体を設置することで究極の安全を提供する津波退避部屋に関する。
津波対策として高い防潮堤、高台、高い建物が有効であるといわれている。そこにいち早く逃げることである。しかし、高い防潮堤の構築や高台移転には巨額の予算と長い歳月を要する。沿岸部に高い建物があるとは限らない。しかも、いずれも想定外の津波にどこまでなら絶対安全という保証はない。災害は時と場所を選ばない。明日かもしれない巨大地震の発生確率が高まっている。日中の訓練があるにしても津波警報のたびに避難しているかというとそうでもなさそうだ。夜中や介護高齢者は行動を伴わない。津波がこない空振りもある。そういう時に、寺田寅彦先生の名言「天災は、忘れられたる頃来る」がある。幸いに、津波は地震のあとにしか来ない。到達時間も予想され、時間的余裕もある。しかし、予想と実際は異なることが多々ある。予想が大きすぎても現実味がない。オオカミ少年のたとえがある。想定外の津波では、すぐ逃げることができる退避部屋が、身近にあることが最も重要である。すなわち、日頃の避難訓練があるにしても遠いところに車で逃げる前提では集中渋滞は明らかで、晩酌後の飲酒運転はどうするのか。沿岸地域の住民は酒も飲めない。入浴中では着の身着のままである。そこで、津波で水没しても生存空気量を保つことができる身近の退避部屋を計画配置した地域防災総合計画の立案が急がれる。ところが、津波の前の巨大地震で退避部屋に変形、ひび割れを生じては、水密性の機能、すなわち密閉機能を喪失し、限られた生存必要空気量が失われる可能性がある。地震の後、津波到達までの間にひび割れを補修する時間がないし、瞬間ボンドでくっ付く程度ならいいが、近くに専門家もいないし、専門知識もないのが常である。そこで、事前に、退避部屋の内壁を鋼板や炭素繊維などの強化プラスチックで一体補強しておく方法と、内壁沿いに本体から隔離して敷設した2層以上の防水シートなどで防水性の補強、いわゆる壁防水をする方法がある。
特願2011−133703 特願2012−86021
平成5年版土木学会構造力学公式集、p341、p405
津波退避部屋は、水没しても生存必要空気量を保持する必要がある。しかしながら、その空気は、退避部屋にひび割れが入ると、津波の水中の圧力下においては気泡となって漏れ出す。すなわち、津波の前の巨大地震で、退避部屋に変形、ひび割れを生じては水密性の機能、密閉機能、生存必要空気量が失われる可能性がある。地震の後、津波到達までの間にひび割れを補修する時間がないのが常である。事前に、鋼板や炭素繊維などの強化プラスチックで本体内壁を補強しておく方法があるが、構造体と一体の補強になるものの、逆に巨大地震では本体とともに変形する可能性もある。本体内壁沿いに本体から隔離して敷設した本体壁のための防水性の補強、いわゆる壁防水でも本体の変形の影響、特にひび割れの影響を受けるといえる。いずれも本体壁と変形を共にするので、さらに大きな地震の揺れで変形からひび割れを生じないとも限らない。前者では鋼材などの溶接部、接合部のひび割れ、後者では内壁と防水材との間のプライマーや接着剤、シーリング材などのからの本体ひび割れの伝達によるシートなど防水材の破損の可能性がないとは言い切れない。本体の変形からのひび割れの影響を受けると密閉性の保持に影響を受ける。外からのひび割れが内部補強材に通じてしまうと、津波の水中ではそのひび割れから生存必要空気が逃げる。水中では空気は上に逃げる性質がある。幸いにして、袋小路の形状があれば天井にたまり、逃がさず捕捉することができる。そこで、本体の内部に、地震による構造本体の変形、変位の影響を受けないで形状が保持できる袋状の独立体を設置すれば、さらに安全といえ解決できる。
このような課題を解決するために、本発明の津波退避部屋は、想定外の津波の来襲の前の巨大地震で退避部屋が変形し、ひび割れが入ったとしても、事前に退避部屋内部に、変形、ひび割れの影響を受けないよう本体構造と分離、独立した別構造体で、津波来襲時の水没中でも生存必要の密閉空気が抜けないとした、上に凸、下に開口の空気保持独立体を設置することを特徴とする。本発明でいう本体構造と分離、独立したとは、クッション材、弾性材、免震材、チェーン、支えなどで連結されていても構造的に分離、独立としている。
また、本発明の津波退避部屋は、前記空気保持独立体を鋼板、炭素繊維などの強化プラスチック、防水シート、それらの組み合わせによる単独室もしくは多区画割の室、あるいは小分けした室の集合体で構成したことを特徴とする。請求項1記載の津波退避部屋。
また、本発明の津波退避部屋用の空気保持独立体は、想定外の津波の来襲の前の巨大地震で退避部屋が変形し、ひび割れが入ったとしても、事前に退避部屋内部に、変形、ひび割れの影響を受けないよう本体構造と分離、独立し、津波による水没中に常に生存必要空気量を保持できるよう、鋼板、炭素繊維などの強化プラスチック、防水シート、それらの組み合わせによる単独室もしくは多区画割の室、あるいは小分けした室の集合体で、上に凸、下に開口を特徴とする。本発明でいう本体構造と分離、独立し、とはクッション材、弾性材、免震材、チェーン、支えなどで連結されても構造的に分離、独立としている。
想定外の津波を想定して、その水没中でも生存必要空気を確保する上昇水面を含む密閉構造の避難部屋ではあるが、その来襲前の巨大地震で変形、ひび割れなどの損傷を受けていれば、いわゆる密閉機能を喪失したも同然、そのことで退避中の水中で空気量が抜けてしまっては元も子もない。空気保持独立体は、退避室内部に設置するものだが、本体とは構造的に分離、独立することで、地震力の本体からの影響を避けることができる。すなわち、本体のひび割れをもらわない、上に凸、下に開口の独立体の内で空気を保持できれば、水中では空気は上に上がるので、その囲いの中に生存必要空気量が守られたといえる。大勢の人命が退避部屋に避難するがその退避部屋が潰れたり、密閉空気を失ったりしては大惨事である。皮肉にも地震で避難前に崩壊していればまだしも、高台に逃げればよかったと遺族に責められる。数多くの人の命を預かる責任は重大である。万が一の安全対策を講じる必要がある。すなわち、例え構造体本体が損傷していようとも、この場合、入口ハッチの密閉構造体は入口解放の構造体と同じく上昇水面を含む密閉構造に移行するが、津波の水没中に密閉空気量が逃げださないことが肝要である。ひび割れの退避部屋の壁とは隔絶した、人数*時間相当の生存に必要な空気量を漏れ出さない、上に凸、下に開口の空気保持独立体により生存できる。身近の退避部屋の中に設置できるので、まさしく2重で、究極の安全・安心を提供する。より安心できるため家族もバラバラで逃げる必要もない。夜中や介護高齢者の避難訓練の負担も相当に軽減される。水没時間に対応して大きな空気量が必要であるが、鉄筋コンクリート造りの避難部屋では容量も大きく、百人単位の収容も可能で、大勢の人命が助かる。防潮堤の嵩上げや高台移転では想定外の津波に対して安全に限がなく、巨額の予算、長い歳月を要する。災害は、時と場所を選ばない。本発明で、来る東南海地震等に対しても早期に対応でき、例えば1kmごとの配置とかで防災計画立案にも役立つ。さらに、津波以外にも、高潮や台風、大雨時の洪水、堤防決壊による河川氾濫時、海抜以下や天井川沿い地域の防災対策としても有効である。
密閉構造の退避部屋に上に凸、下に開口の空気保持独立体を設置した断面イメージ図 入口解放の退避部屋に上に凸、下に開口の空気保持独立体を設置した断面イメージ図 壁のクッション材と4隅を補強した空気保持独立体の平面図 内部を4区画割にした空気保持独立体の平面図 内部を16区画割にした空気保持独立体の平面図 小分けした8個の室と、残りをシート空間で余裕とした室の集合体の空気保持独立体の平面図 内部にシートの空気保持独立体を設けた2重安全の空気保持独立体の平面図 部材枠でシートの空気保持独立体を形成した透視図(シートが外の例)
発明を実施するための形態について述べる。津波退避部屋の入口は、解放の場合と密閉ハッチの場合があるが、前者は天井、側壁と上昇水面との間に密閉空気が保持され、後者は部屋全体に密閉空気が保持される。いずれの場合も生存必要空気量が密閉により保持される。ところが、津波前の地震ですでに本体にひび割れが入っていると、津波の水中で空気が気泡となって抜け、致命傷になる。そこで、地震力の影響を遮断でき、かつ空気を保持できることが解決の条件となる。ひび割れが入ると空気が抜け、入れ替わりに水が浸入してくる。内部に、本体とは分離した別構造体を設ければ地震力からのひび割れを遮断できる。上に凸、下に開口で、例えば箱状の直方体のその形状を保持できる空気保持独立体を設置すると、津波の高さの上昇とともに箱状の直方体の下の開口から水面は上昇してくるが、その内部に生存空気が圧縮されながら保持される。内の空気圧と外の水圧とはバランスしているため形状保持材に特別な強度を要さない。上に凸、下に開口の空気保持独立体は、例えば空気を漏らさないパラシュートや気球のイメージである。退避部屋は地震によってひび割れるにしても外殻の大形状は保持されていると考えられるので、すなわち、外枠組みで囲まれているので上に凸、下に開口の独立体を設置するのは空間内で自在であり容易で、本体が水没すると空気保持独立体は空気をはらんだまま浮力で天井まで浮き上がってそのままそこに空気が保持できる。少々ずれても側壁にもたれかかる程度である。したがって、ひび割れとともに水中で空気は退避部屋から気泡となって漏れるが、まず、内壁と空気保持独立体との間の空気から壁沿いに漏れ出すことになる。次に、空気保持独立体からとなるが、そのときは、開口の下まで水面が来ているため、形状保持ができていれば空気は漏れずに空気保持体の中で水面上昇とともに圧縮されていく。したがって、空気の漏れない空気保持体には、なるべく大きな空気量を保有できる容量が望ましい。開口部を低くするのもやむを得ない。肥満の人には皆で持ち上げなくてはならないが。津波高さが10mとなれば空気保持独立体内の空気は1/2に圧縮され、空気保持独立体の内部の水位も1/2まで上昇する。津波高さが30mとなれば空気保持独立体の残り1/3まで上昇する。このようにどこまでも生存必要空気は空気保持独立体の天井近くに存在し続ける。そのため、天井までの呼吸足場が必要である。また、そこでは内外の水圧と気圧はバランスしているので空気保持独立体には大きな強度は必要としない。多区画割の室や小分けした室の集合体とした空気保持独立体としても良い。これらは、事前に設置しても、退避部屋の内部に備えておいてもよく、地震後に責任者が持ち込んでもよい。すなわち、重い鋼板では事前設置となるが、軽い炭素繊維など強化プラスチックは組み立て式、折りたたみ式も可能だし、防水シート、テントでは携帯式、空気補てん式でテント張りも可能といえる。鋼板は壁との間に維持管理用の空間を多く必要とするため、有効空気量に無駄を生じる。そのため腐食のない強化プラスチックや防水シートにメリットがある。ただしシートは漂流物の破片などの小物、木枠のとげなどが刺さると破れたりする。なるべくプラスチックの内側への併用が望ましいといえる。予備用に一式備え付けておくのも賢明である。折りたたみ用、携帯用、組み立て用には、鋼板は不向きである。シートの場合はテント張りとなる骨組みも用意しておいた方があわてなくて済む。ビティ足場を組み立てると天井までの足場となり、床に置いておく部材分割も自由自在で場所をとらない。シートの設置は、内部に枠組み、骨組みがあればかぶせることは容易である。鋼板の場合でも下に木板、ゴム板を敷いてその上に乗せる簡易な程度でよい。地震で横揺れした場合の側壁との間にクッション材、ゴム弾性材を設けておけば影響が遮断できる。形状保持の材料は組み合わせても良い。例えば強化プラスチィクの形状保持体が一枚もので施工できない場合には、それを枠組みとし中または外にシートを後付け挿入する組み合わせ方法も有力といえる(図8)。もちろん2重とすれば空気保持の安心度が高まる。鋼板は、内部で溶接してもいいし工場製作して搬入、挿入してもいい。後者は退避部屋の壁の一辺は挿入のため当然後施工になる。腐食には定期点検、送風機搬入による定期的換気など配慮が必要である。シートは一辺が(縦+2*高さ)と(横+2*高さ)の一枚ものを用意すれば4隅が折り返しで重複するものの上に凸、下に開口の空気保持独立体を形成できる。重複部を切ると大変なことになる。強化プラスチックや防水シートは点検のたびに劣化度をチェックするのが望ましい。内部は暗いため、明かりの電源には懐中電灯の活用など漏電、感電防止処理が必要である。いずれの場合も空気保持独立体は上に凸、下に開口で形成される水密性の一枚物である。シートの場合、下から人がまくって入れるため、進入空間50cmのロスが不要で大容量確保に有利である。形状も自由自在である。後付けも容易である。軽いし、折りたたんでおけば場所をとらない。2重の安全のための備え付けにもってこいだ。ただし、破損に弱く、特に、しっかりスカートの下まで留めておかないとめくれて生存空気の塊が持って行かれるので要注意だ。ひものロールを用意しておくと何かと役立つ。内部にスクーバ・タンクを設置しておくのも空気補充で安心につながる。引き潮後、入口に泥が堆積すると出られないので、内部にスコップを備えておく。日常の管理には、入口に簡易防犯程度で子供が入らないような囲いが必要である。
単独型の空気保持独立体の設置例を示す。図1に、入口ハッチの退避部屋の場合を、図2に入口解放の退避部屋の場合を示す。いずれの場合も空気保持独立体は構造本体の壁を最終的には形状崩れ防止、転倒防止の大枠として利用できる。ただし、地震力から完全分離の独立体とするため、また空気保持独立体自身の大きな揺れに対して、なるべく壁から離した余裕空間を設け、あわせて内壁との間に図3のようにクッション材を設置するなどの配慮が必要である。この場合は鋼板の角溶接部に亀裂を生じ破れないよう反力の分散が必要で、少々の変形は空気保持に支障がないが座屈防止の工夫、補強が必要である。鋼板の場合は上に凸、下に開口の空気保持体を溶接で容易に製作できる。腐食防止で塗装が必要といえる。点検が必要で50cm程度は壁から離すのが望ましい。設置は床からの木組等で支え、人の侵入のため床から50cm程度の高さを保つ必要がある。鋼板は形状保持がしっかりしているが重いため設置後は移動するのが容易でないので、事前に計画をしっかり立案しておく。天井近くまで空気が圧縮され、水面が上昇するので、呼吸足場として設置式、組み立て式の高床、階段、はしご、ビティ足場、子供用脚立、介護高齢者用いかだなど各種用意しておく。腐食防止のため退避部屋は定期的に空気の入れ換え、点検用送風機で換気をする。鋼板体の内空にシートを挿入すればさらなる安全安心となる(図7)。
多区画割りの空気保持独立体の4区画割の例を図4に、16区画割の例を図5に示す。大空間となるにしたがって形状保持のためにも内部区画割が必要となってくる。室が多いほど形状保持の安全性は高まるといえるが手間と費用は増える。最悪、一部空間が空気漏れとなっても隣に移動できるが、生存競争となるため深刻な争いになりかねない。設計空気容量は大目に余裕が必要だ。区画割りしても介護高齢者用とかは横長で用途別に区画分けできていることが望ましい。鋼板体の内空にシートを挿入すればさらなる安全安心となる(図7)。
9区画のうち1室を抜いて8室として、小分けした集合体の例を図6に示す。1室を抜くことで残り8室が自在に移動でき自由度が増す。抜いた1室の箇所は、最後に防水シートを上に凸に膨らませても良い。個々に独立しているため、個々の損傷は個々にとどまる。腐食で入れ替えが必要となった場合は小分けしていた方が交換できるメリットがあるといえる。空気保持独立体の内空にシートを挿入すればさらなる安全安心となる(図7)。
参考として、ひび割れを前提としていない密閉構造の退避部屋本体の設計例を示す。鉄筋コンクリート造の退避部屋であって、退避入口にハッチを用いた場合の、空地に設置する退避部屋の例を示す。人一人が生存に必要な空気量は1m3/時といわれている。大人50人の退避部屋とすると、一時間耐えるには50m3の空気体積が必要で、概略計算のために、部屋は単独の高さ3m、幅4m、奥行き6mの直方体の部屋とすると、内部体積は3*4*6=72m3で、引き潮までが1時間としても十分な空気がある。退避する平面スペースは、4人/m2とすると、50/4*6≒2人/m2で退避用としては余裕がある。浮力は3*4*6=72tf、重量は、コンクリート壁厚を35cmとすると表面積*コンクリート壁厚*単位重量=2*(12+18;24)*0.35*2.5=94.5tfで、重量>浮力となり浮き上がらない。港湾空港技術研究所の射流実験を参考に水平掃力15t/m2を海側面の3m*4mが受けると、その水平モーメントは15*(3*4)*3/2=270t・m、抵抗モーメント=94.5*6/2=283.5t・mで、水平力である掃力に抵抗して転倒しない。ただし、海辺近辺では同時の浮力も考慮して、退避部屋の高さを低くし海側面積を少なくした直方体にするか、床底辺を厚くするか、下にせん断キーすなわち下駄の歯のような突起を設けるか、地中にアンカーをとるなどのさらなる対策が考えられる。東日本大震災の津波の最大は38.9mであるが50mの高さを想定する場合、設計で津波高さ50mとして、水深50mとすると50t/m2の荷重がかかる。ハッチもその設計条件にあわせた耐圧防水性のものを用いる。鉄筋コンクリート造等の建物には水圧が50t/m2の荷重としてかかる。平板の等分荷重を受ける4辺固定板の最大モーメントは、平成5年版土木学会構造力学公式集のp341から、a=4m,b=6mではb/a=1.5で、表より
M=-0.0757・p・a
ここに M:平板の等分荷重を受ける4辺固定板のモーメント
p:等分荷重(tf/m)
a:短辺(m)
したがって、p:奥行き幅1m当たりでは50tf/m、a:4mで、
M=-0.0757*50*4*4=60.56tf・mとなる。
簡易計算での終局時の必要鉄筋量は、
As=M/σs*(7/8)*d
ここに As:必要鉄筋量(cm2)
σs:降伏点又は0.2%耐力(N/mm2)
d :部材の有効高さ(cm)
したがって、σs: SD345の降伏点又は0.2%耐力=345N/mm2、部材厚35cm、かぶり10cmとすると、d=25cmとなり、As=6,056,000/3,520*(7/8)*25=78.64cm2、すなわち、鉄筋径D32を10本/mを配置すれば79.42 cm2となり、必要鉄筋量は満足できる。したがって、50mの津波でも鉄筋コンクリートの壁厚を35cmとすれば実現可能である。
構造体の中間に隔壁を設けると、モーメントはb=4m,a=6/2=3mではb/a=1.33で、表より補間して、M=-0.0699*50*3*3=31.455tf・mとなり約半減できる。建物の壁や屋上の床と一体構造とする場合、浮力は問題にならないので、建物の一般的な壁厚に合わせて薄い壁で設計できる。壁部材厚25cm、かぶり10cmとするとd=15cmで、As=M/σs*(7/8)*d=3,145,500/3,520*(7/8)*15=68.08cm2となり、鉄筋径D32を9本/mを配置すれば71.478cm2となり、必要鉄筋量は満足できる。ただし、ひび割れがあっては密閉性が保たれないので鋼板とかの強度補強で2重の安全を施すことでより安心につながる。さらに参考として、学校の教室の壁に退避部屋を設ける場合の例を記す。生徒40人、子供一人当たりの必要空気量は0.5m3/時として20m3、教室の横幅8m、高さ3mに1m幅の退避部屋を造れば、24m2>20m2で空気量は満足される。マンションの隣との壁に退避部屋を設ける場合の例を記す。大人2人、子供2人では1時間の必要空気量は3m3で、横幅8mの壁を隣どうしで半分にして、高さは3mに0.5m幅の退避部屋を造れば、(8/2)*3*0.5=6m3>3m3で空気量は満足できる。マンションの鉄筋コンクリート造の重くて堅固な建物の床、中壁、天井に筒状の退避部屋を固定すれば家族用、個人用に至近の最適となる。
また、参考として入口解放の津波退避部屋本体の設計例を示す。空地に設置した3m*4m*6m、厚み0.35mの鉄筋コンクリート造りの退避部屋とし、入口にハッチを用いないで内部に漂流物衝撃防止機能の仕切り壁を設け、危険な入口濁流ゾーンと安全な退避ゾーンとに分けた退避部屋の例を示す。港湾空港技術研究所の射流実験から設計水平掃力を15tf/m2として、前記参考例と同じく転倒モーメントには十分抵抗して大丈夫である。入口頂点高さを1mとし、漂流物衝撃防止機能の仕切り壁の床からの高さを2.3mとし、高床高さを2mとする。入口頂点高さの1mまでは周辺の水位に連動して上昇するが、10mの津波で、周辺が10mの水位で、内部は2気圧となり中の残りの空気体積が半分となるまで水位が上がる。津波50mの水位では6気圧となり密閉空気体積は1/6になり、水位はそこまで上がる。高床には天井まで1mの空間高さがあるので十分に呼吸ができる。子供用には脚立を備えておく。避難用入口が解放開口部となっているので中の気圧と外の水圧が等しいため、構造的な外圧は特に考慮する必要はない。想定外としても極端な例であるが、90mの津波が来たとしても1/10の空気が残っている。密閉空間の気密性は大切で、通気孔は設けてはならない。通気孔を設けると水面上昇の圧力で空気が逃げていく。密閉空間に地震等によるコンクリートのひび割れができれば水位が上がるときに空気が抜けていく。3mの天井高さまでの水位による気圧上昇は、0.2から0.3気圧なのでそれに耐えられる2層防水シート、あるいは強化プラスチック、鋼板を敷設しておけば、ひび割れの伝達がなければ漏水に対応できる。入口には濁流と漂流物が押し寄せ危険なため、漂流物衝撃防止機能の有る仕切り壁を設けて退避ゾーンを分離することにより安心できる。人が仕切り壁を乗り越えるための階段等は当然に必要である。引き水後は泥が入口に堆積しているのでスコップを備えておく。あわせて、スクーバ・タンクを備えておけばより安心できる。
地震による大津波が想定される東南海地域においては、早期かつ効果的、経済的対策が求められる。身近に設置でき、かつ想定外の津波にも安全安心な退避部屋は、大容量で大勢の退避が可能である。建物の骨組み構造を兼ねることも可能で、さらに耐震補強壁としても設計施工に対応可能である。また、その他地域でも、既設建物に退避部屋を設置する増築工事で、より効果的な耐震対策、津波、高潮、洪水など幅広い地域防災対策が可能となる。
1密閉構造の退避部屋
2入口解放の退避部屋
3入口のハッチ
4解放の入口
5退避部屋構造本体の天井壁
6本体の側壁(内壁、外壁と部分表現するときもある)
7本体の床
8漂流物衝撃防止機能を有する仕切り壁
9本体の壁にひび割れが入った場合、津波の水没中に空気が気泡となって抜ける様子
10内部に設置された、上に凸、下に開口の箱状の空気保持独立体
11津波高さ10m、20m、30m、40m、50mの場合の空気保持独立体内の水位上昇の様子、ここでは、 11-10、-20、-30、-40、-50と表示している。
12壁に設けられたクッション材
13クッション材とその受け部材
14空気保持独立体を支える木組み
15昇降はしご、ビティ足場
16空気保持独立体の隅角部補強
17 4区画割された室
18 16区画割された室
19 9分割された筒状の小分け室のうちの8室
20 残る1室をシートで形成するとした室
21 空気保持独立体の内空に挿入されたシート室
22 空気保持独立体のシートと組み合わせる枠組み
23 枠組みと組み合わせるシート(シートは内、外とも可)


Claims (3)

  1. 想定外の津波の来襲の前の巨大地震で退避部屋が変形し、ひび割れが入ったとしても、事前に退避部屋内部に、変形、ひび割れの影響を受けないよう本体構造と分離、独立した別構造体で、津波来襲時の水没中でも生存必要の密閉空気が抜けないとした、上に凸、下に開口の空気保持独立体を設置することを特徴とする津波退避部屋。
  2. 前記空気保持独立体を鋼板、炭素繊維などの強化プラスチック、防水シート、それらの組み合わせによる単独室もしくは多区画割の室、あるいは小分けした室の集合体で構成したことを特徴とする請求項1記載の津波退避部屋。
  3. 想定外の津波の来襲の前の巨大地震で退避部屋が変形し、ひび割れが入ったとしても、事前に退避部屋内部に、変形、ひび割れの影響を受けないよう本体構造と分離、独立し、津波による水没中に常に生存必要空気量を保持できるよう、鋼板、炭素繊維などの強化プラスチック、防水シート、それらの組み合わせによる単独室もしくは多区画割の室、あるいは小分けした室の集合体で、上に凸、下に開口を特徴とする津波退避部屋用の空気保持独立体。
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