JP2013221598A - ボールねじの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ナット1の外周部に転がり軸受21〜24を取り付け、転がり軸受21〜24に予圧を付与した状態で、ナット1の内周面に形成された螺旋溝13を研削する仕上げ工程を行う。
【選択図】図1
Description
ボール戻し経路として循環チューブを使用する場合は、循環チューブの本体部を配置する平坦面をナットの外周部に形成し、この平坦面に二個一組の循環孔(軸方向に対して略垂直に延びる貫通孔)を設ける。 そして、この循環孔に循環チューブの脚部を挿入し、本体部を平坦面に接触配置している。
従来のボールねじの製造方法では、ナットの内周面に旋削加工等により螺旋溝を形成した後に、螺旋溝を研削する仕上げ工程を行っている。 そして、ナットの外周部に転がり軸受を取り付けて使用されるボールねじの場合は、例えば図3に示すように、ナット1の軸方向一端を、転がり軸受21〜24の内輪の外径に対応させた大径部11とし、それ以外の部分(小径部)12に転がり軸受21〜24を取り付けている。
また、ナット1の小径部12には、転がり軸受21〜24と間座31,32を配置し、座金4を介してロックナット5を締め付けて、ナット1の大径部11に転がり軸受21の端面を押し当てることにより、アンギュラ玉軸受22,23に予圧を付与している。 その際に、ナット1は、ロックナット5の締め付け力の反力で弾性変形して、図3(b)に実線で示すように、軸方向に伸びた状態となる。図3(b)の二点鎖線は、転がり軸受を取り付ける前のナット1の状態を示す。
特許文献1には、この問題を解決するために、ナットと転がり軸受の間にスリーブを介装することが記載されている。そして、特許文献1には、ナットの外周部に転がり軸受を取り付ける際に、ねじの締め込み力として発生する軸力がスリーブで受け止められることにより、ナットの螺旋溝の弾性変形が防止されてボールねじ装置の良好な作動性を確保することができると記載されている。
この発明の課題は、ナットの外周部に転がり軸受を取り付けて使用されるボールねじの製造方法として、ボールねじの径方向の寸法を大きくせずに、ねじ軸とナットとのリード差が生じ難くできる方法を提供することである。
この発明の方法によれば、転がり軸受が取り付けられた状態のナットの弾性変形状態が仕上げ工程におけるナットの弾性変形状態と同じであるため、転がり軸受が取り付けられた状態のナットの螺旋溝と、仕上げ加工後のナットの螺旋溝に合わせて設計された螺旋溝を有するねじ軸を組み合わせた時に、ねじ軸とナットのリード差が生じ難い。 また、スリーブを介装する方法のように、ボールねじの径方向の寸法が大きくならない。
これらの方法のうち、ナットの外周部に転がり軸受を取り付け、前記転がり軸受に予圧を付与した状態で前記仕上げ工程を行う方法は、ナットの外周部にスリーブを取り付けた状態で前記仕上げ工程を行う方法と比較して、スリーブの取り外しが不要な分だけ、製造コストが低減できる。
なお、ナットの外周部にスリーブを取り付けた状態で前記仕上げ工程を行う方法では、スリーブを取り外してからナットの外周部に転がり軸受を取り付けることで、ボールねじの径方向の寸法を大きくせずに済む。
[第1実施形態]
図1を使用して第1実施形態の方法を説明する。
この方法では、ナットの外周部に転がり軸受を取り付け、転がり軸受に予圧を付与した状態で、ナットの内周面に形成された螺旋溝を研削する仕上げ工程を行っている。
図1に示すように、ナット1は、軸方向一端の大径部11とそれ以外の小径部12とからなり、内周面に螺旋溝13が旋削加工により形成されている。先ず、この状態のナット1の小径部12に、大径部11側から順に、深溝玉軸受21、アンギュラ玉軸受22,23、間座31、深溝玉軸受24、および間座32を外嵌し、座金4を介してロックナット5を締め付ける。
これにより、大径部11に深溝玉軸受21の内輪が押し付けられた状態になり、アンギュラ玉軸受22,23に予圧が付与される。 この状態で、ナット1は、ロックナット5の締め付け力の反力で弾性変形して、軸受等を取り付ける前よりも軸方向に伸びた状態となっている。
次に、この状態のナット1内に、ナット1の仕上げ工程後の螺旋溝13に合わせた螺旋溝を有するねじ軸を挿入した後、さらにそれに続く工程を通常の方法により行うことで、ボールねじを完成させる。
この実施形態の方法によれば、ナット1を、転がり軸受が取り付けられた状態と同じ弾性変形状態にして、ナット1の内周面に形成された螺旋溝13を研削する仕上げ工程を行っているため、得られるボールねじのねじ軸とナットにリード差が生じ難い。
そして、ボールねじの径方向の寸法を大きくする必要がないため、ボール戻し経路として循環チューブを使用した場合に好適である。
図2を使用して第2実施形態の方法を説明する。
この方法では、図2(a)に示すように、ナットの外周部にスリーブを取り付けて、スリーブに所定の締め付け力を付与した状態で、ナットの内周面に形成された螺旋溝を研削する仕上げ工程を行った後、図2(b)に示すように、スリーブを外してから、ナットの外周部に転がり軸受を取り付けている。 スリーブに付与する締め付け力は、図2(a)に示す状態のナットが、図2(b)に示す状態のナットと同じ弾性変形状態になる力Fに設定する。
次に、セットスクリュを緩めてロックナット5をナット1から外した後、スリーブ8をナット1から外す。
次に、図2(b)に示すように、ナット1の小径部12に、大径部11側から順に、深溝玉軸受21、アンギュラ玉軸受22,23、間座31、深溝玉軸受24、および間座32を外嵌し、座金4を介してロックナット5を締め付ける。
これにより、大径部11に深溝玉軸受21の内輪が押し付けられた状態になり、アンギュラ玉軸受22,23に予圧が付与される。 この状態で、ナット1は、ロックナット5の締め付け力の反力で弾性変形して、軸受等を取り付ける前よりも軸方向に伸び、図2(a)の状態と同じになっている。
この実施形態の方法によれば、ナット1を、転がり軸受が取り付けられた状態と同じ弾性変形状態にして、ナット1の内周面に形成された螺旋溝13を研削する仕上げ工程を行っているため、得られるボールねじのねじ軸とナットにリード差が生じ難い。
なお、第2実施形態の方法と第1実施形態の方法を比較すると、第1実施形態の方法では、仕上げ工程後に、そのまま、ねじ軸を挿入する工程に移行できるため、スリーブの取り外し工程が必要な第2実施形態の方法よりも製造コストが低減できる。また、第1実施形態の方法では、仕上げ工程で研削液が転がり軸受に進入しないための工夫が必要になるが、第2実施形態の方法ではその必要がないという利点がある。
11 ナットの大径部
12 ナットの小径部
13 ナットの螺旋溝
21 深溝玉軸受(転がり軸受)
22 アンギュラ玉軸受(転がり軸受)
23 アンギュラ玉軸受(転がり軸受)
24 深溝玉軸受(転がり軸受)
31 間座
32 間座
4 座金
5 ロックナット
61 砥石
62 回転軸
7 ねじ軸
8 スリーブ
Claims (2)
- ナットの外周部に転がり軸受を取り付けて使用されるボールねじの製造方法であって、
前記ナットの内周面に形成された螺旋溝を研削する仕上げ工程を有し、
前記仕上げ工程は、前記ナットを、前記転がり軸受が取り付けられた状態と同じ弾性変形状態にして行うことを特徴とするボールねじの製造方法。 - ナットの外周部に転がり軸受を取り付け、前記転がり軸受に予圧を付与した状態で前記仕上げ工程を行う請求項1記載のボールねじの製造方法。
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