以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態にかかる剥離システム1の構成の概略を示す平面図である。
剥離システム1では、図2に示すように被処理基板としての被処理ウェハWと支持基板としての支持ウェハSとが接着剤Gで接合された重合基板としての重合ウェハTを、被処理ウェハWと支持ウェハSに剥離する。以下、被処理ウェハWにおいて、接着剤Gを介して支持ウェハSと接合される面を「接合面WJ」といい、当該接合面WJと反対側の面を「非接合面WN」という。同様に、支持ウェハSにおいて、接着剤Gを介して被処理ウェハWと接合される面を「接合面SJ」といい、「非接合面SN」という。なお、被処理ウェハWは、製品となるウェハであって、例えば接合面WJに複数の電子回路が形成されている。また被処理ウェハWは、例えば非接合面WNが研磨処理され、薄型化(例えば厚みが50μm)されている。支持ウェハSは、被処理ウェハWの径と同じ径を有し、当該被処理ウェハWを支持するウェハである。なお、本実施の形態では、支持基板としてウェハを用いた場合について説明するが、例えばガラス基板等の他の基板を用いてもよい。
剥離システム1は、図1に示すように例えば外部との間で複数の被処理ウェハW、複数の支持ウェハS、複数の重合ウェハTをそれぞれ収容可能なカセットCW、CS、CTが搬入出される搬入出ステーション2と、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTに対して所定の処理を施す各種処理装置を備えた剥離処理ステーション3と、剥離処理ステーション3に隣接する後処理ステーション4との間で被処理ウェハWの受け渡しを行うインターフェイスステーション5と、後処理ステーション4に受け渡す前の被処理ウェハWを検査する検査装置6と、を一体に接続した構成を有している。
搬入出ステーション2と剥離処理ステーション3は、X方向(図1中の上下方向)に並べて配置されている。これら搬入出ステーション2と剥離処理ステーション3との間には、搬送ステーション7が設けられている。インターフェイスステーション5は、剥離処理ステーション3のY方向負方向側(図1中の左方向側)に配置されている。また、検査装置6は、インターフェイスステーション5のX方向正方向側(図1中の上方向側)に配置されており、インターフェイスステーション5を挟んで検査装置6の反対側、即ちインターフェイスステーション5のX方向負方向側には、検査後の被処理ウェハWを洗浄する検査後洗浄装置8が配置されている。
搬入出ステーション2には、カセット載置台10が設けられている。カセット載置台10には、複数、例えば3つのカセット載置板11が設けられている。カセット載置板11は、Y方向(図1中の左右方向)に一列に並べて配置されている。これらのカセット載置板11には、剥離システム1の外部に対してカセットCW、CS、CTを搬入出する際に、カセットCW、CS、CTを載置することができる。このように搬入出ステーション2は、複数の被処理ウェハW、複数の支持ウェハS、複数の重合ウェハTを保有可能に構成されている。なお、カセット載置板11の個数は、本実施の形態に限定されず、任意に決定することができる。また、搬入出ステーション2に搬入された複数の重合ウェハTには予め検査が行われており、正常な被処理ウェハWを含む重合ウェハTと欠陥のある被処理ウェハWを含む重合ウェハTとに判別されている。
搬送ステーション7の内部に形成されたウェハ搬送領域9には、搬送機構20が配置されている。搬送機構20は、例えば鉛直方向、水平方向(Y方向、X方向)及び鉛直軸周りに移動自在な搬送アームを有している。搬送機構20は、ウェハ搬送領域9内を移動し、搬入出ステーション2と剥離処理ステーション3との間で被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを搬送できる。搬送ステーション7の内部、即ちウェハ搬送領域9には、ダウンフローと呼ばれる鉛直下方向に向かう気流を発生させている。そして、ウェハ搬送領域9の内部の雰囲気は、排気口(図示せず)から排気される。
剥離処理ステーション3は、重合ウェハTを被処理ウェハWと支持ウェハSに剥離する剥離装置30を有している。剥離装置30のY方向負方向側(図1中の左方向側)には、剥離された被処理ウェハWを洗浄する第1の洗浄装置31が配置されている。剥離装置30と第1の洗浄装置31との間には、搬送装置32が設けられている。また、剥離装置30のY方向正方向側(図1中の右方向側)には、剥離された支持ウェハSを洗浄する第2の洗浄装置33が配置されている。このように剥離処理ステーション3には、第1の洗浄装置31、搬送装置32、剥離装置30、第2の洗浄装置33が、インターフェイスステーション5側からこの順で並べて配置されている。
検査装置6では、剥離装置30により剥離された被処理ウェハW上の接着剤Gの残渣の有無が検査される。また、検査後洗浄装置8では、検査装置6で接着剤Gの残渣が確認された被処理ウェハWの洗浄が行われる。この検査後洗浄装置8は、被処理ウェハWの接合面WJを洗浄する接合面洗浄部8a、被処理ウェハWの非接合面WNを洗浄する非接合面洗浄部8b、被処理ウェハWを上下反転させる反転部8cを有している。
インターフェイスステーション5には、Y方向に延伸する搬送路40上を移動自在な他の搬送機構としての搬送機構41が設けられている。搬送機構41は、鉛直方向及び鉛直軸周り(θ方向)にも移動自在であり、剥離処理ステーション3、後処理ステーション4、検査装置6及び検査後洗浄装置8との間で被処理ウェハWを搬送できる。インターフェイスステーション5の内部には、ダウンフローと呼ばれる鉛直下方向に向かう気流を発生させている。そして、インターフェイスステーション5の内部の雰囲気は、排気口(図示せず)から排気される。
なお、後処理ステーション4では、剥離処理ステーション3で剥離された被処理ウェハWに所定の後処理を行う。所定の後処理として、例えば被処理ウェハWをマウントする処理や、被処理ウェハW上の電子回路の電気的特性の検査を行う処理、被処理ウェハWをチップ毎にダイシングする処理などが行われる。また、後処理ステーション4の内部にも、ダウンフローと呼ばれる鉛直下方向に向かう気流を発生させている。そして、後処理ステーション4の内部の雰囲気は、排気口(図示せず)から排気される。
次に、上述した剥離装置30の構成について説明する。剥離装置30は、図3に示すように、その内部に複数の機器を収容する筐体100を有している。筐体100の側面には、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの搬入出口(図示せず)が形成され、当該搬入出口には開閉シャッタ(図示せず)が設けられている。なお、本実施の形態における筐体100は、例えばステンレススチールの薄板等で構成されたものであり、その内部を密閉するものではないが、筐体100の構造は本実施の形態に限定されるものではなく、例えば内部を密閉可能な気密容器であってもよい。
筐体100の底面には、当該筐体100の内部の雰囲気を排気する排気口101が形成されている。排気口101には、例えば真空ポンプなどの排気装置102に連通する排気管103が接続されている。そして、排気口101から筐体100内部の雰囲気を排気することにより、筐体100内部にダウンフローと呼ばれる鉛直下方向に向かう気流を発生させている。
筐体100の内部には、被処理ウェハWを下面で吸着保持する第1の保持部110と、支持ウェハSを上面で載置して保持する第2の保持部111とが設けられている。第1の保持部110は、第2の保持部111の上方に設けられ、第2の保持部111と対向するように配置されている。すなわち、筐体100の内部では、被処理ウェハWを上側に配置し、且つ支持ウェハSを下側に配置した状態で、重合ウェハTに剥離処理が行われる。
第1の保持部110には、例えばポーラスチャックが用いられている。第1の保持部110は、平板状の本体部120を有している。本体部120の下面側には、多孔質体121が設けられている。多孔質体121は、例えば被処理ウェハWとほぼ同じ径を有し、当該被処理ウェハWの非接合面WNと当接している。なお、多孔質体121としては例えば炭化ケイ素が用いられる。
また、本体部120の内部であって多孔質体121の上方には吸引空間122が形成されている。吸引空間122は、例えば多孔質体121を覆うように形成されている。吸引空間122には、吸引管123が接続されている。吸引管123は、例えば真空ポンプなどの負圧発生装置(図示せず)に接続されている。そして、吸引管123から吸引空間122と多孔質体121を介して被処理ウェハの非接合面WNが吸引され、当該被処理ウェハWが第1の保持部110に吸着保持される。
また、本体部120の内部であって吸引空間122の上方には、被処理ウェハWを加熱する加熱機構124が設けられている。加熱機構124には、例えばヒータが用いられる。
第1の保持部110の上面には、当該第1の保持部110を支持する支持板130が設けられている。支持板130は、筐体100の天井面に支持されている。なお、本実施の形態の支持板130を省略し、第1の保持部110は筐体100の天井面に当接して支持されてもよい。
第2の保持部111の内部には、支持ウェハSを吸着保持するための吸引管140が設けられている。吸引管140は、例えば真空ポンプなどの負圧発生装置(図示せず)に接続されている。
また、第2の保持部111の内部には、支持ウェハSを加熱する加熱機構141が設けられている。加熱機構141には、例えばヒータが用いられる。
第2の保持部111の下方には、第2の保持部111及び支持ウェハSを鉛直方向及び水平方向に移動させる移動機構150が設けられている。移動機構150は、第2の保持部111を鉛直方向に移動させる鉛直移動部151と、第2の保持部111を水平方向に移動させる水平移動部152とを有している。
鉛直移動部151は、第2の保持部111の下面を支持する支持板160と、支持板160を昇降させる駆動部161と、支持板160を支持する支持部材162とを有している。駆動部161は、例えばボールネジ(図示せず)と当該ボールネジを回動させるモータ(図示せず)とを有している。また、支持部材162は、鉛直方向に伸縮自在に構成され、支持板160と後述する支持体171との間に例えば3箇所に設けられている。
水平移動部152は、X方向(図3中の左右方向)に沿って延伸するレール170と、レール170に取り付けられる支持体171と、支持体171をレール170に沿って移動させる駆動部172とを有している。駆動部172は、例えばボールネジ(図示せず)と当該ボールネジを回動させるモータ(図示せず)とを有している。
なお、第2の保持部111の下方には、重合ウェハT又は支持ウェハSを下方から支持し昇降させるための昇降ピン(図示せず)が設けられている。昇降ピンは第2の保持部111に形成された貫通孔(図示せず)を挿通し、第2の保持部111の上面から突出可能になっている。
次に、上述した第1の洗浄装置31の構成について説明する。第1の洗浄装置31は、図4に示すように筐体180を有している。筐体180の側面には、被処理ウェハWの搬入出口(図示せず)が形成され、当該搬入出口には開閉シャッタ(図示せず)が設けられている。
筐体180内の中央部には、被処理ウェハWを保持して回転させるポーラスチャック190が設けられている。ポーラスチャック190は、平板状の本体部191と、本体部191の上面側に設けられた多孔質体192とを有している。多孔質体192は、例えば被処理ウェハWとほぼ同じ径を有し、当該被処理ウェハWの非接合面WNと当接している。なお、多孔質体192としては例えば炭化ケイ素が用いられる。多孔質体192には吸引管(図示せず)が接続され、当該吸引管から多孔質体192を介して被処理ウェハWの非接合面WNを吸引することにより、当該被処理ウェハWをポーラスチャック190上に吸着保持できる。
ポーラスチャック190の下方には、例えばモータなどを備えたチャック駆動部193が設けられている。ポーラスチャック190は、チャック駆動部193により所定の速度に回転できる。また、チャック駆動部193には、例えばシリンダなどの昇降駆動源が設けられており、ポーラスチャック190は昇降自在になっている。
ポーラスチャック190の周囲には、被処理ウェハWから飛散又は落下する液体を受け止め、回収するカップ194が設けられている。カップ194の下面には、回収した液体を排出する排出管195と、カップ194内の雰囲気を真空引きして排気する排気管196が接続されている。なお、洗浄装置31の筐体180の内部には、ダウンフローと呼ばれる鉛直下方向に向かう気流を発生させている。そして、排気管196は、筐体180の内部の雰囲気も排気する。
図5に示すようにカップ194のX方向負方向(図5中の下方向)側には、Y方向(図5中の左右方向)に沿って延伸するレール200が形成されている。レール200は、例えばカップ194のY方向負方向(図5中の左方向)側の外方からY方向正方向(図5中の右方向)側の外方まで形成されている。レール200には、アーム201が取り付けられている。
アーム201には、図4及び図5に示すように被処理ウェハWに洗浄液、例えば有機溶剤を供給する洗浄液ノズル203が支持されている。アーム201は、図5に示すノズル駆動部204により、レール200上を移動自在である。これにより、洗浄液ノズル203は、カップ194のY方向正方向側の外方に設置された待機部205からカップ194内の被処理ウェハWの中心部上方まで移動でき、さらに当該被処理ウェハW上を被処理ウェハWの径方向に移動できる。また、アーム201は、ノズル駆動部204によって昇降自在であり、洗浄液ノズル203の高さを調節できる。
洗浄液ノズル203には、例えば2流体ノズルが用いられる。洗浄液ノズル203には、図4に示すように当該洗浄液ノズル203に洗浄液を供給する供給管210が接続されている。供給管210は、内部に洗浄液を貯留する洗浄液供給源211に連通している。供給管210には、洗浄液の流れを制御するバルブや流量調節部等を含む供給機器群212が設けられている。また、洗浄液ノズル203には、当該洗浄液ノズル203に不活性ガス、例えば窒素ガスを供給する供給管213が接続されている。供給管213は、内部に不活性ガスを貯留するガス供給源214に連通している。供給管213には、不活性ガスの流れを制御するバルブや流量調節部等を含む供給機器群215が設けられている。そして、洗浄液と不活性ガスは洗浄液ノズル203内で混合され、当該洗浄液ノズル203から被処理ウェハWに供給される。なお、以下においては、洗浄液と不活性ガスを混合したものを単に「洗浄液」という場合がある。
なお、ポーラスチャック190の下方には、被処理ウェハWを下方から支持し昇降させるための昇降ピン(図示せず)が設けられていてもよい。かかる場合、昇降ピンはポーラスチャック190に形成された貫通孔(図示せず)を挿通し、ポーラスチャック190の上面から突出可能になっている。そして、ポーラスチャック190を昇降させる代わりに昇降ピンを昇降させて、ポーラスチャック190との間で被処理ウェハWの受け渡しが行われる。なお、上述した検査後洗浄装置8の接合面洗浄部8aと非接合面洗浄部8bの構成は、内部にダウンフローと呼ばれる鉛直下方向に向かう気流を発生させていることを含めて、この第1の洗浄装置31と同様であるので、接合面洗浄部8aと非接合面洗浄部8bについては説明を省略する。
また、第2の洗浄装置33の構成は、上述した第1の洗浄装置31の構成とほぼ同様である。第2の洗浄装置33には、図6に示すように第1の洗浄装置31のポーラスチャック190に代えて、スピンチャック220が設けられる。スピンチャック220は、水平な上面を有し、当該上面には、例えば支持ウェハSを吸引する吸引口(図示せず)が設けられている。この吸引口からの吸引により、支持ウェハSをスピンチャック220上に吸着保持できる。第2の洗浄装置33のその他の構成は、内部にダウンフローと呼ばれる鉛直下方向に向かう気流を発生させていることを含めて、上述した第1の洗浄装置31の構成と同様であるので説明を省略する。
なお、第2の洗浄装置33において、スピンチャック220の下方には、被処理ウェハWの裏面、すなわち非接合面WNに向けて洗浄液を噴射するバックリンスノズル(図示せず)が設けられていてもよい。このバックリンスノズルから噴射される洗浄液によって、被処理ウェハWの非接合面WNと被処理ウェハWの外周部が洗浄される。
次に、上述した搬送装置32の構成について説明する。搬送装置32は、図1に示されるように、第1の洗浄装置31、第2の洗浄装置33及びウェハ搬送領域9に囲まれた領域である、ウェハ搬送領域230に設けられた搬送機構231を有している。搬送機構231は、図7に示すように被処理ウェハWを保持するベルヌーイチャック232を有している。ベルヌーイチャック232は、空気を噴出することにより被処理ウェハWを浮遊させ、非接触の状態で被処理ウェハWを吸引懸垂し保持することができる。ベルヌーイチャック232は、支持アーム233に支持されている。支持アーム233は、第1の駆動部234に支持されている。この第1の駆動部234により、支持アーム233は水平軸周りに回動自在であり、且つ水平方向に伸縮できる。第1の駆動部234の下方には、第2の駆動部235が設けられている。この第2の駆動部235により、第1の駆動部234は鉛直軸周りに回転自在であり、且つ鉛直方向に昇降できる。なお、搬送装置32の内部、即ちウェハ搬送領域230には、ダウンフローと呼ばれる鉛直下方向に向かう気流を発生させている。そして、ウェハ搬送領域230の内部の雰囲気は、排気口(図示せず)から排気される。
なお、搬送機構41は、上述した搬送装置32の搬送機構231と同様の構成を有しているので説明を省略する。但し、搬送機構41の第2の駆動部235は、図1に示した搬送路40に取り付けられ、搬送機構41は搬送路40上を移動可能になっている。
以上の剥離システム1には、図1に示すように制御部300が設けられている。制御部300は、例えばコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、剥離システム1における被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの処理を制御するプログラムが格納されている。また、プログラム格納部には、上述の各種処理装置や搬送装置などの駆動系の動作を制御して、剥離システム1における後述の剥離処理を実現させるためのプログラムも格納されている。なお、前記プログラムは、例えばコンピュータ読み取り可能なハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルデスク(MO)、メモリーカードなどのコンピュータに読み取り可能な記憶媒体Hに記録されていたものであって、その記憶媒体Hから制御部300にインストールされたものであってもよい。
次に、以上のように構成された剥離システム1において重合ウェハTの剥離処理を行う際、当該剥離システム1内に生じる気流について図8に基づいて説明する。なお、図8中の矢印は気流の向きを示している。
剥離システム1では、後処理ステーション4、インターフェイスステーション5及び剥離処理ステーション3のうち、後処理ステーション内の圧力が最も高圧になり、剥離処理ステーション3内の圧力が、最も低圧になる。したがって、後処理ステーション4内の圧力はインターフェイスステーション5内の圧力に対して陽圧となるため、後処理ステーション4からインターフェイスステーション5に向かう気流が生じる。また、インターフェイスステーション5内の圧力は剥離処理ステーション3内の圧力に対して陽圧となるため、インターフェイスステーション5からは、剥離処理ステーション3に向かう気流が生じる。
また、インターフェイスステーション5内の圧力は、検査装置6内の圧力に対して陰圧であり、検査後洗浄装置8の接合面洗浄部8a非接合面洗浄部8b及び反転部8cに対して陽圧となっている。これにより、検査装置6からインターフェイスステーション5の向かう気流と、インターフェイスステーション5から検査後洗浄装置8の接合面洗浄部8a非接合面洗浄部8b及び反転部8cにそれぞれ向かう気流が生じる。
また、搬送ステーション7内の圧力は、剥離処理ステーション3の剥離装置30内の圧力、第1の洗浄装置31内の圧力及び第2の洗浄装置33内の圧力に対して陽圧となっている。これにより、搬送ステーション7から剥離装置30、第1の洗浄装置31及び第2の洗浄装置33にそれぞれ向かう気流が生じる。
また、搬送装置32内の圧力は、剥離装置30内の圧力及び第2の洗浄装置内の圧力に対して陽圧となっている。これにより、搬送装置32から剥離装置30及び第2の洗浄装置33にそれぞれ向かう気流が生じる。
次に、以上のように構成された剥離システム1を用いて行われる被処理ウェハWと支持ウェハSの剥離処理方法について説明する。図9は、かかる剥離処理の主な工程の例を示すフローチャートである。
先ず、複数枚の重合ウェハTを収容したカセットCT、空のカセットCW、及び空のカセットCSが、搬入出ステーション2の所定のカセット載置板11に載置される。搬送機構20によりカセットCT内の重合ウェハTが取り出され、剥離処理ステーション3の剥離装置30に搬送される。このとき、重合ウェハTは、被処理ウェハWを上側に配置し、且つ支持ウェハSを下側に配置した状態で搬送される。
剥離装置30に搬入された重合ウェハTは、第2の保持部111に吸着保持される。その後、移動機構150により第2の保持部111を上昇させて、図10に示すように第1の保持部110と第2の保持部111で重合ウェハTを挟み込んで保持する。このとき、第1の保持部110に被処理ウェハWの非接合面WNが吸着保持され、第2の保持部111に支持ウェハSの非接合面SNが吸着保持される。
その後、加熱機構124、141によって重合ウェハTが所定の温度、例えば200℃に加熱される。そうすると、重合ウェハT中の接着剤Gが軟化する。
続いて、加熱機構124、141によって重合ウェハTを加熱して接着剤Gの軟化状態を維持しながら、図11に示すように移動機構150によって第2の保持部111と支持ウェハSを鉛直方向及び水平方向、すなわち斜め下方に移動させる。そして、図12に示すように第1の保持部110に保持された被処理ウェハWと、第2の保持部111に保持された支持ウェハSとが剥離される(図9の工程A1)。
このとき、第2の保持部111は、鉛直方向に100μm移動し、且つ水平方向に300mm移動する。ここで、本実施の形態では、重合ウェハT中の接着剤Gの厚みは例えば30μm〜40μmであって、被処理ウェハWの接合面WJに形成された電子回路(バンプ)の高さは例えば20μmである。したがって、被処理ウェハW上の電子回路と支持ウェハSとの間の距離が微小となる。そこで、例えば第2の保持部111を水平方向にのみ移動させた場合、電子回路と支持ウェハSが接触し、電子回路が損傷を被るおそれがある。この点、本実施の形態のように第2の保持部111を水平方向に移動させると共に鉛直方向にも移動させることによって、電子回路と支持ウェハSとの接触を回避し、電子回路の損傷を抑制することができる。なお、この第2の保持部111の鉛直方向の移動距離と水平方向の移動距離の比率は、被処理ウェハW上の電子回路(バンプ)の高さに基づいて設定される。
その後、剥離装置30で剥離された被処理ウェハWは、搬送機構231によって第1の洗浄装置31に搬送される。ここで、搬送機構231による被処理ウェハWの搬送方法について説明する。
図13に示すように支持アーム233を伸長させて、ベルヌーイチャック232を第1の保持部110に保持された被処理ウェハWの下方に配置する。その後、ベルヌーイチャック232を上昇させ、第1の保持部110における吸引管123からの被処理ウェハWの吸引を停止する。そして、第1の保持部110からベルヌーイチャック232に被処理ウェハWが受け渡される。このとき、被処理ウェハWの接合面WJがベルヌーイチャック232に保持されるが、ベルヌーイチャック232は非接触の状態で被処理ウェハWが保持されるため、被処理ウェハWの接合面WJ上の電子回路が損傷を被ることはない。
次に図14に示すように、支持アーム233を回動させてベルヌーイチャック232を第1の洗浄装置31のポーラスチャック190の上方に移動させると共に、ベルヌーイチャック232を反転させて被処理ウェハWを下方に向ける。このとき、ポーラスチャック190をカップ194よりも上方まで上昇させて待機させておく。その後、ベルヌーイチャック232からポーラスチャック190に被処理ウェハWが受け渡され吸着保持される。
このようにポーラスチャック190に被処理ウェハWが吸着保持されると、ポーラスチャック190を所定の位置まで下降させる。続いて、アーム201によって待機部205の洗浄液ノズル203を被処理ウェハWの中心部の上方まで移動させる。その後、ポーラスチャック190によって被処理ウェハWを回転させながら、洗浄液ノズル203から被処理ウェハWの接合面WJに洗浄液を供給する。供給された洗浄液は遠心力により被処理ウェハWの接合面WJの全面に拡散されて、当該被処理ウェハWの接合面WJが洗浄される(図9の工程A2)。
ここで、上述したように搬入出ステーション2に搬入された複数の重合ウェハTには予め検査が行われており、正常な被処理ウェハWを含む重合ウェハTと欠陥のある正常な被処理ウェハWを含む重合ウェハTとに判別されている。
正常な重合ウェハTから剥離された正常な被処理ウェハWは、工程A2で接合面WJが洗浄された後、搬送機構41によって検査装置6に搬送される。なお、この搬送機構41による被処理ウェハWの搬送は、上述した搬送機構231による被処理ウェハWの搬送とほぼ同様であるので説明を省略する。
検査装置6においては、被処理ウェハWの接合面WJにおける接着剤Gの残渣の有無が検査される(図9の工程A3)。検査装置6において接着剤Gの残渣が確認された場合、被処理ウェハWは搬送機構41により検査後洗浄装置8の接合面洗浄部8aに搬送され、接合面洗浄部8aで接合面WJが洗浄される(図9の工程A4)。接合面WJが洗浄されると、被処理ウェハWは搬送機構41によって反転部8cに搬送され、反転部8cにおいて上下方向に反転される。なお、接着剤Gの残渣が確認されなかった場合には、被処理ウェハWは接合面洗浄部8aに搬送されることなく反転部8cにて反転される(図9の工程A5)。
その後、反転された被処理ウェハWは、搬送機構41により再び検査装置6に搬送され、非接合面WNの検査が行われる(図9の工程A6)。そして、非接合面WNにおいて接着剤Gの残渣が確認された場合、被処理ウェハWは搬送機構41によって非接合面洗浄部8bに搬送され、非接合面WNの洗浄が行われる(図9の工程A7)。次いで、洗浄された被処理ウェハWは、搬送機構41によって後処理ステーション4に搬送される。なお、検査装置6で接着剤Gの残渣が確認されなかった場合には、被処理ウェハWは非接合面洗浄部8bに搬送されることなくそのまま後処理ステーション4に搬送される。
その後、後処理ステーション4において被処理ウェハWに所定の後処理が行われる(図9の工程A8)。こうして、被処理ウェハWが製品化される。
一方、欠陥のある重合ウェハTから剥離された欠陥のある被処理ウェハWは、工程A2で接合面WJが洗浄された後、搬送機構20によって搬入出ステーション2に搬送される。その後、欠陥のある被処理ウェハWは、搬入出ステーション2から外部に搬出され回収される(図9の工程A9)。
被処理ウェハWに上述した工程A1〜A9が行われている間、剥離装置30で剥離された支持ウェハSは、搬送機構20によって第2の洗浄装置33に搬送される。そして、第2の洗浄装置33において、支持ウェハSの接合面SJが洗浄される(図9の工程A10)。なお、第2の洗浄装置33における支持ウェハSの洗浄は、上述した第1の洗浄装置31における被処理ウェハWの洗浄と同様であるので説明を省略する。
その後、接合面SJが洗浄された支持ウェハSは、搬送機構20によって搬入出ステーション2に搬送される。その後、支持ウェハSは、搬入出ステーション2から外部に搬出され回収される(図9の工程A11)。こうして、一連の被処理ウェハWと支持ウェハSの剥離処理が終了する。
以上の実施の形態によれば、搬送ステーション7内の圧力が剥離装置30内の圧力に対して陽圧となっているので、搬送ステーション7から剥離装置30に向かう気流が生じる。換言すれば、剥離装置30内の雰囲気が搬送ステーション7側に流出することがない。また、搬送装置32内の圧力も剥離装置30内の圧力に対して陽圧となっているので、搬送装置32から剥離装置30に向かう気流が生じる。このため、剥離装置30内の雰囲気が搬送装置32側に流出することもない。したがって、剥離装置30から外部にパーティクルが流出することがない。これにより、被処理ウェハWと支持ウェハSの剥離処理を行う際に発生するパーティクルが、剥離装置30の外部に拡散することを抑制することができる。
また、インターフェイスステーション5内の圧力は剥離処理ステーション3内の圧力に対して陽圧となっており、後処理ステーション4内の圧力に対して陰圧となっているので、後処理ステーション4から剥離処理ステーション3向かう気流が生じる。したがって、剥離処理ステーション3内にパーティクルが拡散してしまった場合においても、剥離処理ステーション3からインターフェイスステーション5及び後処理ステーション4にパーティクルが流入することを抑制することができる。これにより、後工程を行う後処理ステーション4内を清浄に保つことができ、後処理ステーション4においてパーティクルが被処理ウェハWに付着することにより歩留まりが低下することを抑制できる。
また、搬送ステーション7内の圧力が第1の洗浄装置31内の圧力及び第2の洗浄装置33の圧力に対して陽圧となっているので、搬送ステーション7から第1の洗浄装置31及び第2の洗浄装置33に向かう気流がそれぞれ生じる。したがって、各洗浄装置31、33から洗浄に伴い発生したパーティクルが搬送ステーション7に流入することを抑制できる。これにより、搬送中に重合ウェハT、被処理ウェハW、支持ウェハSにパーティクルが付着するのを抑制することができる。
また、検査装置6内の圧力はインターフェイスステーション5内の圧力に対して陽圧となっているので、検査装置6からインターフェイスステーション5に向かう気流が生じる。したがって、インターフェイスステーション5にパーティクルが拡散してしまった場合においても、検査装置6にパーティクルが流入することを抑制できる。これにより、検査装置6内を清浄に保つことができるので、例えば正常な被処理ウェハWが検査装置6内でパーティクルに汚染されることがない。
また、インターフェイスステーション5内の圧力が検査後洗浄装置8内の圧力に対して陽圧となっているので、インターフェイスステーション5から検査後洗浄装置8に向かう気流が生じる。したがって、インターフェイスステーション5での被処理ウェハWの搬送中に、被処理ウェハWにパーティクルが付着するのを抑制することができる。
さらに、第1の洗浄装置31、第2の洗浄装置33、剥離装置30及び検査後洗浄装置8内の雰囲気は外部に排気されるので、剥離システム1内の雰囲気はすべて外部に排気されるようになっている。したがって、剥離システム1内の雰囲気中にパーティクルが存在するのを抑制することができる。
また、以上の実施の形態によれば、剥離装置30において重合ウェハTを被処理ウェハWと支持ウェハSに剥離した後、第1の洗浄装置31において、剥離された被処理ウェハWを洗浄すると共に、第2の洗浄装置33において、剥離された支持ウェハSを洗浄することができる。このように本実施の形態によれば、一の剥離システム1内で、被処理ウェハWと支持ウェハSの剥離から被処理ウェハWの洗浄と支持ウェハSの洗浄までの一連の剥離処理を効率よく行うことができる。また、第1の洗浄装置31と第2の洗浄装置33において、被処理ウェハWの洗浄と支持ウェハSの洗浄をそれぞれ並行して行うことができる。さらに、剥離装置30において被処理ウェハWと支持ウェハSを剥離する間に、第1の洗浄装置31と第2の洗浄装置33において別の被処理ウェハWと支持ウェハSを処理することもできる。したがって、被処理ウェハWと支持ウェハSの剥離を効率よく行うことができ、剥離処理のスループットを向上させることができる。
また、剥離処理ステーション3で剥離された被処理ウェハWが正常な被処理ウェハWである場合、後処理ステーション4において当該被処理ウェハWに所定の後処理が行われ、製品化される。一方、剥離処理ステーション3で剥離された被処理ウェハWが欠陥のある被処理ウェハWである場合、当該被処理ウェハWは搬入出ステーション2から回収される。このように正常な被処理ウェハWのみが製品化されるので、製品の歩留まりを向上させることができる。また、欠陥のある被処理ウェハWを回収し、欠陥の程度によってはこの被処理ウェハWを再利用することもでき、資源を有効活用できると共に製造コストを低廉化することもできる。
また、このように一連のプロセスにおいて、被処理ウェハWと支持ウェハSの剥離から被処理ウェハWの後処理まで行うことができるので、ウェハ処理のスループットをさらに向上させることができる。
また、剥離装置30で剥離された支持ウェハSは、洗浄後、搬入出ステーション2から回収されるので、当該支持ウェハSを再利用することができる。したがって、資源を有効活用できると共に製造コストを低廉化することもできる。
また、剥離装置30では、重合ウェハTを加熱しながら、移動機構150によって第2の保持部111と支持ウェハSを鉛直方向及び水平方向に移動させて、被処理ウェハWと支持ウェハSを剥離している。このように鉛直方向及び水平方向の両方向に第2の保持部111を移動させることによって、被処理ウェハW上の電子回路と支持ウェハSとの間の距離が微小な場合でも、電子回路と支持ウェハSとの接触を回避することができる。したがって、電子回路の損傷を抑制し、被処理ウェハWと支持ウェハSの剥離処理を適切に行うことができる。
また、搬送機構231と搬送機構41は被処理ウェハWを保持するベルヌーイチャック232を有しているので、被処理ウェハWが薄型化していても当該被処理ウェハWを適切に保持することができる。さらに、搬送機構231においては、被処理ウェハWの接合面WJがベルヌーイチャック232に保持されるが、ベルヌーイチャック232は非接触の状態で被処理ウェハWが保持されるため、被処理ウェハWの接合面WJ上の電子回路が損傷を被ることはない。
また、第1の洗浄装置31は被処理ウェハWを保持するポーラスチャック190を有しているので、被処理ウェハWが薄型化していても当該被処理ウェハを適切に保持することができる。
以上の実施の形態では、検査装置6において被処理ウェハWを検査することができるので、検査結果に基づいて剥離システム1における処理条件を補正することができる。したがって、被処理ウェハWと支持ウェハSをさらに適切に剥離することができる。
以上の実施の形態では、剥離装置30において第2の保持部111を鉛直方向及び水平方向に移動させていたが、第1の保持部110を鉛直方向及び水平方向に移動させてもよい。あるいは、第1の保持部110と第2の保持部111の両方を鉛直方向及び水平方向に移動させてもよい。
以上の剥離装置30において第2の保持部111を鉛直方向及び水平方向に移動させていたが、第2の保持部111を水平方向のみに移動させ、当該第2の保持部111の移動速度を変化させてもよい。具体的には、第2の保持部111を移動させ始める際の移動速度を低速にし、その後徐々に移動速度を加速してもよい。すなわち、第2の保持部111を移動させ始める際には、被処理ウェハWと支持ウェハSとの接着面積が大きく、被処理ウェハW上の電子回路が接着剤Gの影響を受け易いため、第2の保持部111の移動速度を低速にする。その後、被処理ウェハWと支持ウェハSとの接着面積が小さくなるにつれ、被処理ウェハW上の電子回路が接着剤Gの影響を受け難くなるため、第2の保持部111の移動速度を徐々に加速する。かかる場合でも、電子回路と支持ウェハSとの接触を回避し、電子回路の損傷を抑制することができる。
また、以上の実施の形態では、剥離装置30において第2の保持部111を鉛直方向及び水平方向に移動させていたが、例えば被処理ウェハW上の電子回路と支持ウェハSとの間の距離が十分大きい場合には、第2の保持部111を水平方向にのみ移動させてもよい。かかる場合、電子回路と支持ウェハSとの接触を回避できると共に、第2の保持部111の移動の制御が容易になる。さらに、第2の保持部111を鉛直方向にのみ移動させて被処理ウェハWと支持ウェハSを剥離させてもよく、第2の保持部111の外周部端部を鉛直方向にのみ移動させて被処理ウェハWと支持ウェハSを剥離させてもよい。
なお、以上の実施の形態では、被処理ウェハWを上側に配置し、且つ支持ウェハSを下側に配置した状態で、これら被処理ウェハWと支持ウェハSを剥離していたが、被処理ウェハWと支持ウェハSの上下配置を反対にしてもよい。
以上の実施の形態の搬送機構231において、ベルヌーイチャック232の表面には、洗浄液を供給するための複数の供給口(図示せず)が形成されていてもよい。かかる場合、ベルヌーイチャック232から第1の洗浄装置31のポーラスチャック190に被処理ウェハWを受け渡す際、ベルヌーイチャック232から被処理ウェハWの接合面WJに洗浄液を供給して当該接合面WJを洗浄すると共に、ベルヌーイチャック232自体も洗浄することができる。そうすると、その後の第1の洗浄装置31における被処理ウェハWの洗浄時間を短縮することができ、剥離処理のスループットをさらに向上させることができる。しかも、ベルヌーイチャック232も洗浄できるので、次の被処理ウェハWを適切に搬送することができる。
以上の実施の形態では、搬送機構41はベルヌーイチャック232を有していたが、このベルヌーイチャック232に代えて、ポーラスチャック(図示せず)を有していてもよい。かかる場合でも、ポーラスチャックによって薄型化した被処理ウェハWを適切に吸着保持することができる。
以上の実施の形態では、第1の洗浄装置31と第2の洗浄装置33の洗浄液ノズル203には2流体ノズルが用いられていたが、洗浄液ノズル203の形態は本実施の形態に限定されず種々のノズルを用いることができる。例えば洗浄液ノズル203として、洗浄液を供給するノズルと不活性ガスを供給するノズルとを一体化したノズル体や、スプレーノズル、ジェットノズル、メガソニックノズルなどを用いてもよい。また、洗浄処理のスループットを向上させるため、例えば80℃に加熱された洗浄液を供給してもよい。
また、第1の洗浄装置31と第2の洗浄装置33において、洗浄液ノズル203に加えて、IPA(イソプロピルアルコール)を供給するノズルを設けてもよい。かかる場合、洗浄液ノズル203からの洗浄液によって被処理ウェハW又は支持ウェハSを洗浄した後、被処理ウェハW又は支持ウェハS上の洗浄液をIPAに置換する。そうすると、被処理ウェハW又は支持ウェハSの接合面WJ、SJがより確実に洗浄される。
以上の実施の形態の剥離システム1において、剥離装置30で加熱された被処理ウェハWを所定の温度に冷却する温度調節装置(図示せず)が設けられていてもよい。かかる場合、被処理ウェハWの温度が適切な温度に調節されるので、後続の処理をより円滑に行うことができる。
また、以上の実施の形態では、後処理ステーション4において被処理ウェハWに後処理を行い製品化する場合について説明したが、本発明は、例えば3次元集積技術で用いられる被処理ウェハを支持ウェハから剥離する場合にも適用することができる。なお、3次元集積技術とは、近年の半導体デバイスの高集積化の要求に応えた技術であって、高集積化した複数の半導体デバイスを水平面内で配置する代わりに、当該複数の半導体デバイスを3次元に積層する技術である。この3次元集積技術においても、積層される被処理ウェハの薄型化が求められており、当該被処理ウェハを支持ウェハに接合して所定の処理が行われる。
なお、以上の実施の形態では、研磨処理により薄型化した被処理ウェハWに剥離処理を行った場合について説明したが、本発明の参考例として、研磨処理により被処理ウェハWが薄型化される前の重合ウェハTを剥離する場合について説明する。被処理ウェハWが薄型化される前の段階での重合ウェハTの剥離処理は、例えば薄型化される前の段階で当該重合ウェハTの検査を行い、検査により異常が検出された場合などに行われる。かかる場合は、例えば図15に示すように、搬入出ステーション2、剥離処理ステーション3、搬送ステーション7及び後処理ステーション310を有する剥離システム320により行われる。なお、剥離システム320においては、薄型化される前の被処理ウェハWが扱われるため、図15に示す第2の洗浄装置33は、第1の洗浄装置31であってもよい。
後処理ステーション310は、剥離された研磨処理前の被処理ウェハW、即ち検査により異常が検出された被処理ウェハWを処理するものであり、搬送ステーション7に隣接して設けられている。後処理ステーション310の内部には、ダウンフローと呼ばれる鉛直下方向に向かう気流を発生させている。また、後処理ステーション4の内部の雰囲気は、排気口(図示せず)から排気される。
そして、剥離システム320では、後処理ステーション310内の圧力が搬送ステーション7内の圧力に対して陰圧となるように圧力が設定されている。このため、搬送ステーション7から後処理ステーション310に向かう気流が生じる。なお、搬送ステーション7内の圧力と剥離処理ステーション3内の圧力との関係は上述の剥離システム1と同様であるので、説明は省略する。
そして、剥離装置30で剥離された被処理ウェハWは、搬送ステーション7の搬送機構により後処理ステーション310に搬送され、後処理ステーションで所定の処理が行われる。
以上の実施の形態によれば、剥離装置30から搬送ステーション7側にパーティクルが流出することがない。これにより、被処理ウェハWと支持ウェハSの剥離処理を行う際に発生するパーティクルが、剥離装置30の外部に拡散することを抑制することがでる。また、搬送ステーション7から剥離処理ステーション3及び後処理ステーション310に向かう気流がそれぞれ形成されるので、搬送中に重合ウェハT、被処理ウェハW、支持ウェハSにパーティクルが付着するのを抑制することができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明はこの例に限らず種々の態様を採りうるものである。本発明は、基板がウェハ以外のFPD(フラットパネルディスプレイ)、フォトマスク用のマスクレチクルなどの他の基板である場合にも適用できる。