JP2013217672A - 粒子前処理装置および粒子前処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡易にかつ安価な機構で、試料中の粒子に対する前処理を精度よく行う。
【解決手段】粒子前処理装置10は、測定対象となる測定対象粒子を測定可能な状態とするための前処理試剤200を用いて、測定対象粒子を少なくとも含む複数の粒子110を含有する試料100に対して前処理を行うものである。粒子前処理装置10は、複数の粒子110のそれぞれの表面に対して前処理試剤200が接触するように、複数の粒子110を並べる収容部11を備えている。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば試料としての血液中の血球に対して前処理を行う血球前処理装置などの、試料中に存在する粒子に対する前処理を行うことが可能な粒子前処理装置および粒子前処理方法に関する。
従来から、試料(サンプル)中に存在する粒子に対して前処理試剤により処理を施す(前処理を行う)ことは、エレクトロニクスやケミカルエンジニアリング等の分野における製造プロセス(例えば、微粒子の合成や化学修飾、着色など)において重要である。特に、バイオテクノロジーの分野では、医薬品製造等において試料中の粒子に対する前処理が行われてきた。
今日、医療の分野において、血液(試料)中の赤血球、白血球、血小板(これらを「血球」と総称する場合もある)の個数を測定し、計数することは、被験者の健康状態を知る上で重要な検査項目となっている。血球を精度よく測定するためには、測定に先立って血液中の血球に対する前処理(例えば、赤血球または血小板測定における希釈や、白血球測定における赤血球の溶解(溶血)、白血球可視化のための染色)が必要である。
近年、このような血球の前処理操作(および計数)を、デスクトップサイズの装置内で行う血球前処理(および計数)装置が開発されている(例えば特許文献1)。例えば特許文献1に記載の血球計数装置は、血液を容器に導入した後、駆動モーターを用いた回転機構を利用して、その容器内の血液をサブバスに導入して希釈を行い、サブバスで希釈された血液をメインバスに導入して溶血を行っている。この希釈および溶血は、血液と、希釈液または溶血剤とを混合して攪拌することにより行われる。なお、これらの容器について、下記のマイクロ化はなされていない。
また、近年、測定に必要な血液が微量で良い等の利点から、血球計数装置のマイクロ化(測定に用いる流路の幅および深さ(高さ)がμm〜mmオーダー)が進められている(例えば特許文献2、3)。なお、特許文献3では、サンプル液を、シース液の流れによって収束させている。
特開平4−303285号公報(1992年10月27日公開) 特開2002−277380号公報(2002年9月25日公開) 特開2006−71388号公報(2002年9月25日公開)
しかしながら、特許文献1の血球計数装置は、希釈および溶血といった前処理を攪拌によって行っている。すなわち、当該装置においては、血液と、希釈液または溶血液とを精度良く接触させるための攪拌機構が必要であった。また、前処理を行うための機構が大型であるため、血液1滴(数μL)といった微量の試料の取り扱いが困難となっていた。
また、特許文献2および3では、上記の希釈または溶血といった前処理を行う部材についてのマイクロ化については言及されていない。それゆえ、特許文献2のマイクロ血球カウンタ、および特許文献3のマイクロチップに検体血液(サンプル液)を導入する前に、その外部において、多量の血液と、多量の希釈剤または溶血剤を準備し、これらを上記の攪拌機構にて攪拌することが必要であった。
また、特許文献3の技術では、前処理後のサンプル液の測定のために、当該サンプル液を、シース液を用いて収束させているが、当該技術は、そもそもサンプル液に対して前処理を行う技術ではない。そのため、当該技術においては、サンプル液に含まれる個々の粒子の表面に、シース液を接触させることが必要とはされていない。
特に、試料が血液である場合、その血液中には血球が大量に存在し(健常ヒト由来血液の場合、赤血球で約500万個/μL、白血球で約5千個/μL、血小板で約30万個/μL)、血液全体の容積に対して血球の容積が50%程度にもなる。そのため、このように血液に高濃度に含まれる血球1個1個に対して、希釈剤、溶血剤または染色剤などの前処理試剤を確実に作用させるために、一般に、血液に、血液の数10倍から数100倍の容量の希釈剤、溶血剤または染色剤を添加し、激しく攪拌することで、血球1個1個と前処理試剤とを接触させる方法が使用されてきた。
しかし、この方法では、その接触の確率を高めることは可能であるが、(1)全ての血球に確実に前処理試剤を接触させることが困難である、(2)大量の前処理試剤が必要となるため、試薬コストが高くなるだけでなく、前処理試剤の容量の増大に伴って、前処理を行うための装置が大型化する、(3)当該装置には攪拌機構が必要であり、当該装置が大型で高価なものとなる、等の問題があった。
つまり、特許文献1〜3の技術では、血球1個1個(または血液1滴)に対して前処理試剤を確実に接触させ、作用させるためには、多量の血液と、多量の前処理試剤を準備し、これらを上記の攪拌機構にて攪拌することが必要であった。すなわち、特許文献1〜3の技術では、前処理を精度良く行うために、大型で高価な機構が必要であり、また、希釈剤などの試料にも多額の費用を要していた。
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、その目的は、簡易にかつ安価な機構で、試料中の複数の粒子のそれぞれに対する前処理を精度よく行う粒子前処理装置および粒子前処理方法を提供することにある。
本発明に係る粒子前処理装置は、上記課題を解決するために、測定対象となる測定対象粒子を測定可能な状態とするための前処理試剤を用いて、前記測定対象粒子を少なくとも含む複数の粒子を含有する試料に対して前処理を行う粒子前処理装置であって、前記複数の粒子のそれぞれの表面に対して前記前処理試剤が接触するように、前記複数の粒子を並べる列生成機構を備えていることを特徴としている。
また、本発明に係る粒子前処理方法は、上記課題を解決するために、測定対象となる測定対象粒子を測定可能な状態とするための前処理試剤を用いて、少なくとも前記測定対象粒子を含む複数の粒子を含有する試料に対して前処理を行う粒子前処理方法であって、前記複数の粒子のそれぞれの表面に対して前記前処理試剤が接触するように、前記複数の粒子を並べる列生成工程を含むことを特徴としている。
前記構成によれば、複数の粒子のそれぞれの表面に対して前処理試剤が接触するように当該複数の粒子を並べるので、当該接触のために「攪拌」といった、従来のような複雑な操作を行う必要がない。また、多量の試料および前処理試剤を準備しておく必要もない。それゆえ、簡易にかつ安価な機構で、試料中の粒子に対する前処理を精度よく行うことができる。
さらに、本発明に係る粒子前処理装置では、前記列生成機構は、前記複数の粒子を1次元に並べる機構であることが好ましい。
前記構成によれば、試料中の粒子を一方向に一列、すなわち、ライン状に並べるので、前処理対象の複数の粒子のそれぞれと前処理試剤との間に、それ以外の粒子が入り込むことを防ぐことができる。それゆえ、試料に含まれる複数の粒子全てに対して確実に前処理試剤を接触させることができ、試料中の粒子に対する前処理を精度よく行うことができる。
なお、上記の「それ以外の粒子」とは、例えば前処理試剤に対して粒子が一方向に一列ではない場合(すなわち、一方向に二列以上の場合)に問題となる、いわゆる影になる粒子(前処理試剤に対して遠い側の粒子に、前処理を確実に行うことを妨げるように作用する粒子)を指す。
さらに、本発明に係る粒子前処理装置では、前記列生成機構は、前記複数の粒子を2次元に並べる機構であることが好ましい。
前記構成によれば、試料中の粒子を二方向に一列、すなわち、面状に並べるので、前処理対象の複数の粒子のそれぞれと前処理試剤との間に、それ以外の粒子が入り込むことを防ぐことができる。それゆえ、試料に含まれる複数の粒子全てに対して確実に前処理試剤を接触させることができ、試料中の粒子に対する前処理を精度よく行うことができる。
なお、上記の「それ以外の粒子」とは、例えば前処理試剤に対して粒子が二方向に一列ではない場合(すなわち、二方向に二列以上の場合)に問題となる、いわゆる影になる粒子(前処理試剤に対して遠い側の粒子に、前処理を確実に行うことを妨げるように作用する粒子)を指す。
また、面状に並べた複数の粒子に対して一度に前処理試剤を接触させることができるので、複数の粒子を1次元に並べる場合に比べ、一度に接触させる粒子の数を多くすることができる。それゆえ、前処理を要する粒子の数が多い場合でも、迅速に前処理を行うことができる。
さらに、本発明に係る粒子前処理装置では、前記列生成機構は、前記前処理試剤を流入させることによって、前記複数の粒子を並べる機構であることが好ましい。
前記構成によれば、前処理試剤を流入させることにより、その前処理試剤の流れを利用して試料中の粒子を並べ、複数の粒子のそれぞれの表面に確実に前処理試剤を接触させることができる。すなわち、前処理において必要な物質である前処理試剤を流入させるといった簡易な方法により、上記の確実な接触を実現できる。さらに、前記構成によれば、複数の粒子に対して新鮮な前処理試剤を次々と接触させることができる。
さらに、本発明に係る粒子前処理装置では、前記列生成機構は、前記試料と前記前処理試剤とが合流する合流部と、前記合流部に接続され、前記合流部に前記試料を導入する試料導入路と、前記合流部に接続され、前記合流部に前記前処理試剤を導入する前処理試剤導入路と、を含み、前記合流部に接続され、前記合流部にて合流した前記試料と前記前処理試剤とが流入することにより、前記前処理試剤による前記試料に対する前処理が行われる前処理路をさらに備えていることが好ましい。
前記構成によれば、合流部には、試料導入路を介して試料が、前処理試剤導入路を介して前処理試剤が導入される。それゆえ、前処理試剤の流れを利用して、少なくとも合流部において、試料中の粒子を並べることができる。
そして、合流部にて試料および前処理試剤が合流し、前処理試剤による試料に対する前処理が行われる前処理路に流入する。それゆえ、合流部および/または前処理路において、複数の流路のそれぞれの表面に前処理試剤を確実に接触させることができる。
さらに、本発明に係る粒子前処理装置は、前記前処理試剤導入路を複数備え、複数の前記前処理試剤導入路の少なくとも2つは、前記合流部を挟んで対向するように配置されていることが好ましい。
前記構成によれば、合流部において、試料に対して前処理試剤を少なくとも2つの方向から挟み込むように接触させることができるため、前処理試剤の試料中への拡散距離を短くすることができる。それゆえ、前処理路において、前処理試剤による試料中の粒子に対する前処理を迅速に行うことができる。
さらに、本発明に係る粒子前処理装置では、前記試料および前記前処理試剤が前記前処理路を流れるときのレイノルズ数は、0より大きく2300より小さいことが好ましい。
前記構成によれば、前処理路において、試料および前処理試剤が安定な層流を形成できるため、粒子の並びが、これらの物質の流れによって乱れることがない。それゆえ、複数の粒子のそれぞれと前処理試剤とを確実に接触させ続けることができ、安定して前処理を行うことができる。
さらに、本発明に係る粒子前処理装置では、前記試料および前記前処理試剤が前記前処理路を流れるときのレイノルズ数は、0より大きく1より小さいことが好ましい。
前記構成によれば、前処理路において、試料および前処理試剤の流れの粘性力が慣性力よりも支配的になるため、より安定して粒子を並べることができる。
また、上記条件下では、毛細管駆動を用いて試料および前処理試剤の安定した流れを形成することができるので、その流れを形成するための送液機構を備える、または接続する必要がない。それゆえ、粒子前処理装置の小型化および低コスト化を図ることができる。
さらに、本発明に係る粒子前処理装置では、前記前処理路の底部における、前記試料および前記前処理試剤が流れる流れ方向と略垂直方向の長さをw、前記試料導入路を流れる前記試料の流量をQ、前記前処理試剤導入路を流れる前記前処理試剤の流量をQ、前記複数の粒子の最大直径をdとしたとき、「w・Q/(Q+Q)≦2・d」が成立することが好ましい。
前記構成によれば、少なくとも前処理路において、試料中の個々の粒子を上記流れ方向と略平行な方向に一列に並べることができる。それゆえ、複数の粒子のそれぞれに対して前処理試剤を確実に接触させることができ、高精度な前処理を行うことができる。
さらに、本発明に係る粒子前処理装置では、前記前処理路の底部における、前記試料および前記前処理試剤が流れる流れ方向と略垂直方向の長さをw、前記試料導入路を流れる前記試料の流体抵抗をR、前記前処理試剤導入路を流れる前記前処理試剤の流体抵抗をR、前記複数の粒子の最大直径をdとしたとき、「w・R/(R+R)≦2・d」が成立することが好ましい。
前記構成によれば、毛細管駆動、または、上記送液機構による吸引力を利用して、少なくとも前処理路において、試料中の個々の粒子を上記流れ方向と略平行な方向に一列に並べることができる。それゆえ、複数の粒子のそれぞれに対して前処理試剤を確実に接触させることができ、高精度な前処理を行うことができる。
また、前記構成によれば、毛細管駆動、または、当該毛細管駆動の要因となる毛細管力と同等の上記送液機構による吸引力を利用して、試料を前処理路まで導入することが可能となる。それゆえ、その導入のために、粒子前処理装置の外部に設けられた送液機構や、試料および前処理試剤のそれぞれに対応した複数の送液機構など、大規模で複雑な送液機構を必要としない。それゆえ、粒子前処理装置の小型化および低コスト化を図ることができる。
さらに、本発明に係る粒子前処理装置では、前記前処理路における、前記試料および前記前処理試剤が流れる流れ方向の長さをL、前記前処理路を流れる前記試料および前記前処理試剤の平均線速度をv、前記複数の粒子に対する前処理に必要な最小時間をtとしたとき、「L≧v・t」が成立することが好ましい。
前記構成によれば、前処理試剤による粒子に対する前処理を、前処理路内で完了させることができる。それゆえ、前処理のために、本発明の粒子前処理装置を他の装置と連結させることなく、当該粒子前処理装置の内部において当該前処理を完結できる。
さらに、本発明に係る粒子前処理装置では、前記前処理路における、前記試料および前記前処理試剤が流れる流れ方向の長さは、前記複数の粒子に含まれる、前記測定対象粒子以外の非測定対象粒子を、前記前処理試剤を用いて溶解させるとき、前記前処理路における前記測定対象粒子の滞在時間が、前記非測定対象粒子の溶解に必要な時間よりも長く、前記測定対象粒子の溶解が開始する時間よりも短くなるように規定されていることが好ましい。
前記構成によれば、前処理路において、測定対象粒子を溶解させることなく、前処理試剤を用いて非測定対象粒子を確実に溶解させることができる。それゆえ、例えば測定対象粒子に対する測定を行う粒子測定装置に対して、当該測定に不要な非測定対象粒子を提供せず、かつ、試料に含まれる全ての測定対象粒子を提供することができる。すなわち、測定対象粒子の高精度な測定を実現することができる。
さらに、本発明に係る粒子前処理装置では、前記前処理路は、蛇行形状を有することが好ましい。
前記構成によれば、前処理路が直線状である場合に比べて、前処理路の実質的な長さを長くすることができる。それゆえ、粒子前処理装置に一度に導入される試料および前処理試剤の量を多くすることができ、迅速に前処理を行うことが可能となる。
一方、前処理路が直線状である場合の上記流れ方向の長さと、蛇行形状である場合の上記流れ方向の長さとが略同一の場合には、蛇行形状の方が省スペース化を図ることができるゆえ、粒子前処理装置の小型化を図ることができる。
さらに、本発明に係る粒子前処理装置では、前記前処理路は、前記試料および前記前処理試剤に対して親液性を有することが好ましい。
前記構成によれば、試料および前処理試剤に毛細管力を作用させることができ、毛細管駆動を利用した試料に対する前処理を実現できる。それゆえ、当該前処理のために、試料および前処理試剤の流れを形成するための送液機構を備える、または接続する必要がないので、粒子前処理装置の小型化および低コスト化を図ることができる。
さらに、本発明に係る粒子前処理装置では、前記複数の粒子は、細胞であることが好ましい。
前記構成によれば、本発明の粒子前処理装置を、細胞に対する前処理に利用することができる。
さらに、本発明に係る粒子前処理装置では、前記細胞は、血球であることが好ましい。
前記構成によれば、本発明の粒子前処理装置を、血液中の血球に対する前処理に用いることができる。
本発明に係る粒子前処理装置は、以上のように、前記複数の粒子のそれぞれの表面に対して前記前処理試剤が接触するように、前記複数の粒子を並べる列生成機構を備えている構成である。
また、本発明に係る粒子前処理方法は、以上のように、前記複数の粒子のそれぞれの表面に対して前記前処理試剤が接触するように、前記複数の粒子を並べる列生成工程を含む方法である。
それゆえ、本発明の粒子前処理装置および粒子前処理方法は、簡易にかつ安価な機構で、試料中の粒子に対する前処理を精度よく行うことができるという効果を奏する。
(a)は、本発明の一実施形態に係る粒子前処理装置の概略構成の一例を示す斜視図であり、(b)は、(a)に示す粒子前処理装置に前処理試剤が導入された様子を示す図である。 (a)は、図1に示す粒子前処理装置の概略構成の別例を示す斜視図であり、(b)は、(a)に示す粒子前処理装置に前処理試剤が導入された様子を示す図である。 本発明の別の実施形態に係る粒子前処理装置の概略構成の一例を示す上面断面図である。 (a)〜(g)は、図3に示す粒子前処理装置の別例を示す上面断面図である。 (a)および(b)は、図3に示す粒子前処理装置の更なる別例を示す上面断面図である。 (a)は、図3に示す粒子前処理装置であり、(b)〜(d)は、試料に含まれる粒子が一列に並ぶ様子を示す図である。 (a)は、図5の(a)に示す粒子前処理装置であり、(b)〜(d)は、試料に含まれる粒子が一列に並ぶ様子を示す図である。 本発明の別の実施形態に係る粒子前処理装置の概略構成の一例を示す上面断面図である。 (a)〜(c)は、試料に含まれる粒子に、下流前処理試剤導入流路から導入された前処理試剤が接触するまでの過程を示す図である。 (a)は、従来の粒子前処理装置の内部に、前処理試剤としての溶血剤が導入されたときの様子を示す図であり、(b)は、(a)に示す粒子前処理装置における溶血剤作用時間と溶血効果との関係を示すグラフである。 (a)は、本発明の更なる別の実施形態に係る粒子前処理装置の内部に、前処理試剤としての溶血剤が導入されたときの合流部付近の様子を示す上面断面図であり、(b)は、(a)に示す粒子前処理装置の内部における溶血剤作用時間と溶血効果との関係を示すグラフである。
本発明の各実施の形態について、図1〜図11に基づいて説明する。
各実施の形態では、粒子とは、球形のビーズや血球に限定されず、球形以外の、例えば、塵、埃、細胞や、タンパク質や核酸などの試料中にコロイドとして分散するものも含まれる。
また、各実施の形態では、粒子の前処理とは、試料中に含まれる粒子に対して前処理試剤による処理が行われればよく、例えば、粒子と前処理試剤の反応、粒子の前処理試剤による希釈などが含まれる。特に、試料が血液である場合には、例えば、溶血剤、希釈剤または染色剤などが挙げられる。また、溶血剤としては、純水、高濃度食塩水などの非等張液(低等張液または高等張液)や塩化アンモニウムなどが挙げられる。
また、各実施の形態では、粒子の測定とは、例えば電気的検出や光学的検出により粒子または粒子内成分の測定が行われればよく、試料における粒子の有無、試料に含まれる粒子数の計数、試料の質量(あるいは体積)に対する粒子の濃度、試料に含まれる粒子のサイズ、試料に含まれる粒子の特性に応じた粒子種類の判別および計数、試料中の粒子内特定成分の濃度など、が含まれる。
また、各実施の形態において使用される試料には、例えば、空気、ガスなどの気体試料、水溶液、血液などの液体試料、ゲルなどの高分子溶液試料が挙げられる。
また、各流路の「深さ(高さ、厚み)」は、各流路の底部(底面)を基準とした、底部に対向する各流路の上部(上面)へ向かう垂直方向の距離であり、各流路の送液方向と垂直な断面における、該底部に対しての垂直方向の距離である。各流路の「長さ」は、各流路を試料が流れると仮定した場合のその流れる流れ方向(主方向、送液方向)の距離である。また、各流路の「幅」は、各流路の「深さ」および「長さ」とそれぞれ垂直な方向の距離であり、上記垂直な断面における、該底部に対しての水平方向の距離である。
〔実施の形態1〕
本発明の実施の一形態について図1〜図7に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、本発明は、以下の記載に限定されるものではない。
<粒子前処理装置10の構成>
まず、図1および図2に基づいて、本実施の形態に係る粒子前処理装置10の概略構成について説明する。図1は、粒子前処理装置10の概略構成の一例を示す斜視図であり、図2は、図1に示す粒子前処理装置10の別例を示す斜視図である。
粒子前処理装置10は、測定対象となる測定対象粒子を測定可能な状態とするための前処理試剤200を用いて、測定対象粒子を少なくとも含む複数の粒子110を含有する試料100に対して前処理を行うものである。粒子前処理装置10は、例えば直方体であり、縦横(図1のx方向およびy方向)に数cm程度、厚さ(図1のz方向)0.5mm〜1cm程度であるが、これに限定されない。すなわち、粒子前処理装置10は、下記に示す大きさおよび形状の収容部11を少なくとも形成でき、かつ、利用者が使用しやすい形状および大きさであればよい。
図1の(a)に示す粒子前処理装置10は、収容部(列生成機構)11および基板12を備える。基板12は、収容部11、すなわち溝構造が形成されるものである。基板12の材質としては、ガラス、石英、樹脂(例えば、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)または環状ポリオレフィン(COP))等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
収容部11は、上方(図1の(a)に示すz方向)が大気に開放しており、少なくとも幅wおよび高さhが、複数の粒子110のうちの最大直径を有する粒子110と略同一の長さとなるように形成されている。例えば、試料100が血液の場合、その幅wが10〜100μm、高さhが10〜100μmであることが好ましい。
また、その長さlは、前処理後の試料100が、粒子110の測定を行う粒子測定装置(不図示)において、少なくとも1回の測定に必要となる試料100が導入されるのに十分な長さを有していればよい。すなわち、収容部11の大きさは、上記幅wおよび高さhの大きさを前提として、当該測定に必要となる試料100を収容するのに十分な大きさを有していればよい。例えば、試料100が血液の場合、その長さlは0.1〜1000mmであることが好ましい。
なお、長さlの好ましい範囲は、測定に必要となる試料100の量を0.001〜10μLと仮定して算出したものである。この算出は、収容部11に試料100を載置して前処理を行う場合を想定している。
粒子前処理装置10の大きさを超える長さlが選択される場合には、収容部11が粒子前処理装置100内に形成されるように、収容部11の形状を例えば蛇行形状とすることが好ましい。この構成によれば、粒子前処理装置10の大きさを変えずに収容部11の大きさを大きくすることができるので、より多くの試料100に含まれる粒子110に対して、1度にかつ確実に前処理試剤200を接触(作用)させることができる。逆にいえば、収容部11を蛇行形状とすることにより、省スペース化を図ることができるので、粒子前処理装置10の小型化を図ることができる。
なお、収容部11に試料100を流入させながら、前処理試剤200を接触させる場合には、長さlはどの程度の長さであってもよい。すなわち、長さlを上記上限値ほど長く設定する必要はない。
すなわち、収容部11は、その幅wおよび高さhが所謂マイクロ化されている。そのため、例えば1回の測定において必要な試料100に対してのみ前処理を行うことができる。また、その試料100に対する前処理試剤200の量も少なくて済む。それゆえ、無駄のない前処理を行うことが可能となる。
図1の(a)に示すように、上記のように規定された収容部11に試料100が導入されると、試料100に含まれる複数の粒子110が、収容部11の長さlの方向に沿って一列に並ぶ(整列または配列する)。すなわち、収容部11は、複数の粒子110を1次元に並べる機構であるといえる。そして、この状態において前処理試剤200が導入されると、図1の(b)に示すように、複数の粒子110のそれぞれの表面に前処理試剤200が接触することになる。それゆえ、前処理試剤200を粒子110のそれぞれに作用させることができる。
このように、収容部11は、複数の粒子110のそれぞれの表面に対して前処理試剤200が接触するように、複数の粒子110を並べる列生成機構としての機能を有する。これは、本実施の形態において、上記のように複数の粒子110を並べる列生成工程を有する粒子前処理方法を実現しているともいえる。この収容部11の機能により、当該接触のために「攪拌」といった、従来のような複雑な操作を行うことなく、また、多量の試料100および前処理試剤200を準備しておく必要もない。それゆえ、簡易にかつ安価な機構で、試料100に含まれる粒子110に対する前処理を精度よく行うことができる。
また、図1に示す粒子前処理装置10によれば、収容部11が複数の粒子110を一方向に一列(ライン状)に並べるので、前処理対象の複数の粒子110のそれぞれと前処理試剤200との間に、それ以外の粒子が入り込むことを防ぐことができる。それゆえ、複数の粒子110の全てに対して確実に前処理試剤200を接触させることができる。
なお、収容部11は、複数の粒子110のそれぞれの表面に対して前処理試剤200が接触するように、複数の粒子110を並べるものであればよく、一直線上に一列に並べるものでなくてもよい。すなわち、本明細書において「一列に並べる」とは、複数の粒子110が互いに接触しない程度に、当該粒子110を任意の直線に沿って並べることを指し、複数の粒子110を、例えばその直線に沿って形成される不規則な曲線上に並べること、その直線に沿ってジグザグに並べることなども含む概念である。
<変形例>
次に、図2を用いて、粒子前処理装置10の概略構成の変形例について説明する。
図2の(a)に示す粒子前処理装置10は、収容部11の幅wが、図1に示す粒子前処理装置10の収容部11の幅wよりも長くなっている。この幅wは、例えば、少なくとも1回の測定に必要となる試料100が導入され、かつ、導入される粒子110の最大直径の略整数倍となる長さであればよい。例えば、試料100が血液の場合、その幅wは、50〜10000μmであることが好ましい。この幅wの好ましい範囲は、10μm程度の血球が5〜1000個並ぶと仮定して算出したものである。一方、収容部11の高さhおよび長さlは、図1に示す粒子前処理装置10と略同じである。
図2の(a)に示すように、上記のように規定された収容部11に試料100が導入されると、試料100に含まれる複数の粒子110が、収容部11の長さlおよび幅wの方向に沿って面状に並ぶ。すなわち、収容部11は、複数の粒子110を2次元に並べる機構であるといえる。そして、この状態において前処理試剤200が導入されると、図2の(b)に示すように、複数の粒子110のそれぞれの表面に前処理試剤200が接触することになる。それゆえ、前処理試剤200を粒子110のそれぞれに作用させることができる。
このように、図2に示す粒子前処理装置10によれば、収容部11が複数の粒子110を二方向に一列に並べるので、前処理対象の複数の粒子110のそれぞれと前処理試剤200との間に、それ以外の粒子が入り込むことを防ぐことができる。それゆえ、複数の粒子110の全てに対して確実に前処理試剤200を接触させることができる。
また、面状に並べた複数の粒子110に対して一度に前処理試剤200を接触させることができるので、複数の粒子110を1次元に並べる場合に比べ、一度に接触させる粒子110の数を多くすることができる。それゆえ、前処理を要する粒子110の数が多い場合でも、迅速に前処理を行うことができる。
なお、収容部11の形状は、上記のように直方体形状である必要はなく、例えば、立方体形状、三角柱形状、円柱形状、楕円柱形状、台形柱形状などであってもよい。
<収容部11の形成方法>
収容部11の形成には、基板12の材質に応じて、例えば、ウエットエッチングおよび/またはドライエッチング、切削加工、転写構造を有する金型に対するモールディング等の公知の手法が用いられる。また、収容部11を上記の方法で形成した基板12を、別基板を貼り合わせてもよい。この場合、その貼り合わせには、基板12および別基板の材質に応じて、例えば、加熱融着および/または加圧融着、プラズマ処理による化学的接着、自己物理吸着、接着剤による接着等の公知の手法が用いられる。また、別基板を貼り合わせる場合には、例えば貫通孔形状の基板と別基板とを貼り合わせることにより、収容部11が形成される。なお、この別基板の材質も、上記に挙げた基板12の材質から選択されたものであってよい。
〔実施の形態2〕
次に、本発明の実施の別形態について図3〜図7に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、実施の形態1と同様の部材に関しては、同じ符号を付し、その説明を省略する。
<粒子前処理装置10の構成>
まず、図3に基づいて、本実施の形態に係る粒子前処理装置10の概略構成について説明する。図3は、粒子前処理装置10の概略構成の一例を示す上面断面図である。本実施の形態では、少なくとも試料導入流路1、前処理試剤導入流路2、2a、2b(前処理試剤導入流路2a、2bについては図5参照)および合流部3によって、列生成機構13の基本構造が形成されている。
図3に示すように、粒子前処理装置10は、試料導入流路(試料導入路)1と、前処理試剤導入流路(前処理試剤導入路)2と、合流部3と、前処理流路(前処理路)4と、基板12とを備えている。粒子前処理装置10は、基板12に、試料導入流路1、前処理試剤導入流路2、合流部3および前処理流路4といった溝構造が形成されることにより構成されている。また、実施の形態1と同様、これらの部材が形成された基板12に、別基板を貼り合わることによって構成されてもよい。この場合の別基板は、各流路の蓋として機能する。
なお、粒子前処理装置10の製造方法(上記溝構造の形成方法)は、実施の形態1と同様であるため、その説明は割愛する。また、粒子前処理装置10の大きさおよび形状は、実施の形態1に係る粒子前処理装置10と同様である。
試料導入流路1は、複数の粒子110を含む試料100(図6参照)を、図3に示す矢印方向に送液し、合流部3に試料100を導入するものである。試料導入流路1は、合流部3に接続されている。また、例えば、試料導入流路1の、合流部3との接続部(接続領域)とは異なる端部には、粒子前処理装置10の外部から試料100を導入することが可能な試料導入口(不図示)が形成されている。
前処理試剤導入流路2は、複数の粒子110に対して前処理を行うための前処理試剤200(図6参照)を、図3に示す矢印方向に送液し、合流部3に前処理試剤200を導入するものである。前処理試剤導入流路2は、合流部3に接続されている。また、例えば、前処理試剤導入流路2の、合流部3との接続部とは異なる端部には、粒子前処理装置10の外部から前処理試剤200を導入することが可能な前処理試剤導入口(不図示)が形成されている。
合流部3は、試料導入流路1に導入された試料100と、前処理試剤導入流路2に導入された前処理試剤200とが合流する領域である。すなわち、試料導入流路1および前処理試剤導入流路2は、合流部3に対して、試料100および前処理試剤200の流れの上流側に配置されている。
また、合流部3は、試料導入流路1、前処理試剤導入流路2および前処理流路4のそれぞれと連通するように接続されている。すなわち、合流部3と、試料導入流路1、前処理試剤導入流路2および前処理流路4のそれぞれとの接続部は開口している。また、試料導入流路1、前処理試剤導入流路2、合流部3および前処理流路4の形状は、直方体形状となっているが、これに限らず、例えば、立方体形状、三角柱形状、円柱(管)形状、楕円柱形状、台形柱形状などであってもよい。
また、合流部3の前処理流路4との接続部は、試料100が試料導入流路1を流れるときに形成する当該試料100の流れの主線がなす直線上に配置されている。この場合、試料100と前処理試剤200とが合流(接触)した後、試料100および前処理試剤200の流れの淀みや圧力損失などを抑制した状態で、前処理流路4に流すことができる。それゆえ、上記流れの制御(送液制御)を高精度に行うことができるので、高精度かつ再現性の高い前処理を行うことが可能となる。
さらに、合流部3の試料導入流路1との接続部、および、合流部3の前処理試剤導入流路2との接続部が近接するように、試料導入流路1および前処理試剤導入流路2が合流部3に接続されている。この場合、合流部3において、試料100と前処理試剤200とを、その間に空気を挟むことなく接触させることができる。また、合流部3の前処理試剤導入流路2との接続部、および、合流部3の前処理流路4との接続部が近接するように、前処理試剤導入流路2および前処理流路4が合流部3に接続されている。この場合、試料100と前処理試剤200とが前処理流路4に導入されるときに、合流部3の内部に空気が残らない。それゆえ、これらの構成によれば、上記と同様、高精度かつ再現性の高い前処理を行うことが可能となる。
前処理流路4は、合流部3にて合流した試料100と前処理試剤200とが、図3に示す矢印方向に流入することにより、前処理試剤200による試料100(複数の粒子110)に対する前処理が行われる領域である。すなわち、前処理流路4は、合流部3に対して、試料100および前処理試剤200の流れの下流側に配置されている。
また、前処理流路4は、試料100および前処理試剤200に対して親液性を有している。ここで、親液性とは試料100および前処理試剤200の前処理流路4での接触角が0°より大きく90°より小さいことである。この場合、試料100および前処理試剤200に毛細管力を作用させることができ、毛細管駆動を利用した試料100に対する前処理を実現できる。それゆえ、当該前処理のために、試料100および前処理試剤200の流れを形成するための送液機構(例えばポンプ)を備える、または接続する必要がないので、粒子前処理装置10の小型化および低コスト化を図ることができる。なお、粒子前処理装置10に送液機構を備え、または接続して、試料100および前処理試剤200を前処理流路4まで送液する場合には、必ずしも前処理流路4が親液性を有している必要はない。
また、例えば、前処理流路4の、合流部3との接続部とは異なる端部には、前処理が行われた試料100を粒子前処理装置10の外部に導出可能な試料導出口(不図示)が形成されている。
図3では、試料導入流路1、合流部3および前処理流路4は、略直線を形成するように配置されている。すなわち、試料導入流路1を流れる試料100の流れ方向と、前処理流路4を流れる試料100および前処理試剤200の流れ方向が略同一となるように配置されている。一方、前処理試剤導入流路2は、その直線に対して略垂直となるように、合流部3に接続されている。
この配置の場合、前処理試剤200が前処理試剤導入流路2から合流部3に流れ込むことにより、試料導入流路1から合流部3に流れ込む試料100を、前処理試剤200の流れ方向に移動させ、合流部3の前処理試剤導入流路2との接続部と対向する領域に寄せ集めることができる。これにより、例えば図6の(d)に示すように、少なくとも合流部3において、合流部3から前処理流路4へと流れる試料100および前処理試剤200の流れ方向に一列に並べることができる。なお、複数の粒子110が形成する列は、合流部3および前処理流路4の深さ方向(図3に示すz方向)に複数存在している。深さ方向に複数の粒子110を存在させないように制御する(深さ方向に粒子110を1つだけ存在させる)場合には、合流部3および前処理流路4の深さを、粒子110の最大粒子径の2倍未満とすればよい。
すなわち、試料導入流路1、前処理試剤導入流路2および合流部3が上記のように配置され、前処理試剤導入流路2から合流部3へと前処理試剤200を流入させることにより、その前処理試剤200の流れを利用して、試料導入流路1から合流部3に流入した試料100に含まれる複数の粒子110を、少なくとも合流部3において並べることができる。それゆえ、前処理において必要な物質である前処理試剤200を流入させるといった簡易な方法により、複数の粒子110のそれぞれの表面に確実に前処理試剤200を接触させることができる。換言すれば、試料導入流路1、前処理試剤導入流路2および合流部3は、前処理試剤200を流入させることによって、複数の粒子110を並べる機構であるといえる。
また、試料導入流路1、前処理試剤導入流路2、合流部3および前処理流路4は、「流路」という規定された空間を有するものであり、その空間内で試料100の流れを形成することできるので、試料100に含まれる複数の粒子110を並べること、その並べた粒子110に対して前処理を行うこと、をより確実に行うことができる。また、上記の各部材は閉空間を形成しているので、従来のように、前処理のための攪拌用の容器に試料100および前処理試剤200を導入するとき、また、攪拌を行うときに、試料100および前処理試剤200が外部に離散してしまうことがない。それゆえ、試料100および前処理試剤200の節約を図ることができる。また、上記「流路」は所謂マイクロ化されているので、試料100および前処理試剤200の量が微量となる。それゆえ、その量を低減することができる。
なお、試料導入流路1、前処理試剤導入流路2および前処理流路4の各流路の幅および深さは、1〜5000μmであることが好ましく、当該各流路の長さは、1〜100mmであることが好ましいが、この範囲に限定されず、導入される試料100または前処理の目的に応じて適宜設定されてもよい。すなわち、これらの流路も、実施の形態1と同様、所謂マイクロ化されている。なお、上記各流路の深さは必ずしも一様である必要はなく、部分的に浅くなっていたり深くなっていてもよい。
また、合流部3の幅、深さおよび長さは、それぞれ1〜5000μmであることが好ましいが、この範囲に限定されず、上記の各流路の接続部の大きさにあわせて接続されるように適宜設定されていればよい。なお、合流部3の「幅」は、試料導入流路1または前処理流路4の幅と平行な方向の距離であり、その「長さ」は、試料導入流路1との接続部から、前処理流路4との接続部までの距離である。
<各部材の配置例>
次に、試料導入流路1、前処理試剤導入流路2、合流部3および前処理流路4の配置の別例について、図4を用いて説明する。図4は、図3に示す粒子前処理装置におけるこれらの部材の様々な配置例を示す上面断面図である。なお、これらの配置はあくまで一例であって、試料100および前処理試剤200が流れる方向の上流側から、試料導入流路1および前処理試剤導入流路2と、合流部3と、前処理流路4とがこの順に形成されていればよい。
例えば、図4の(a)では、前処理試剤導入流路2と、合流部3から試料導入流路1へと延伸した半直線とのなす角θが鋭角となるように、前処理試剤導入流路2が合流部3に接続されている。この場合、前処理試剤導入流路2が、前処理試剤導入流路2を流れる前処理試剤200の流れ方向が前処理流路4側を向くように配置されることになるので、合流部3にて試料100を一列に並べつつ、図3に示す構造の場合よりもスムースに前処理流路4へと送液できる。それゆえ、より迅速に前処理を行うことができる。
一方、図4の(b)では、上記角θが鈍角となるように、前処理試剤導入流路2が合流部3に接続されている。この場合、前処理試剤導入流路2が、前処理試剤導入流路2を流れる前処理試剤200の流れ方向が試料導入流路1側を向くように配置されることになるので、前処理流路4に導入される前に確実に試料100を一列に並べることができる。それゆえ、早い段階で(前処理流路4に導入された直後、または合流部3にて)、複数の粒子110のそれぞれの表面に前処理試剤200を確実に接触させることができる。
また、図4の(c)では、試料導入流路1および前処理流路4の幅(同図に示す幅w)が、図3に示す試料導入流路1および前処理流路4の幅よりも大きくなっている。すなわち、図3に示す構造と異なり、試料導入流路1、前処理試剤導入流路2および前処理流路4が略同一の幅を有しておらず、試料導入流路1および前処理流路4の幅が、前処理試剤導入流路2の幅よりも大きくなっている。この場合、前処理対象となる試料100を、より多量に粒子前処理装置10の内部に導入しておくことができる。
一方、図4の(d)では、試料導入流路1の幅(同図に示す幅w)が、図3に示す試料導入流路1の幅よりも大きくなっている。すなわち、図3の構造とは異なり、試料導入流路1の幅が、前処理試剤導入流路2および前処理流路4の幅よりも大きくなっており、合流部3の形状がテーパ状となっている。この場合、合流部3の、前処理試剤導入流路2との接続部と対向する領域である傾斜領域Sにおいて、前処理試剤200の流れにより、試料100に含まれる複数の粒子110が一列に並べられることになる。この傾斜領域Sは、試料導入流路1から前処理流路4への試料100の流れを遅くする機能を有するため、傾斜領域Sにおける試料100の滞留時間を長くすることができる。それゆえ、合流部3において、複数の粒子110を確実に一列に並べることができる。
なお、図4の(c)および(d)と異なり、試料導入流路1の幅が、前処理試剤導入流路2および前処理流路4の幅よりも小さくてもよい。
また、図4の(e)〜(g)に示す前処理流路4は、図3に示す前処理流路4の形状と異なっている。図4の(e)では、前処理流路4は、直線状ではなく、(1)合流部3との接続部から所定の距離lだけ、前処理試剤導入流路2を流れる前処理試剤200の流れ方向と略平行な部分と、(2)その部分から所定の距離lだけ、試料導入流路1を流れる試料100の流れ方向と略平行な部分との2段構造となっている。
この構成によれば、前処理流路4が直線状に形成されている場合(例えば図3に示す構造)に比べて、試料100および前処理試剤200の流れ方向の前処理流路4の長さ(前処理流路4の実質的な長さ)を長く形成することができる。それゆえ、粒子前処理装置10に一度に導入される試料100および前処理試剤200の量を多くすることができ、迅速に前処理を行うことが可能となる。
一方、前処理流路4が直線状である場合の上記流れ方向の長さと、非直線状の場合の上記流れ方向の長さとが略同一の場合には、省スペース化を図ることができるので、粒子前処理装置10の小型化を図ることができる。すなわち、図4の(e)に示すように、前処理流路4の長さがl+lである場合に、非直線状であれば長さl分だけ、その横方向の長さ(l方向の長さ)を短くできる。
また、図4の(f)および(g)では、前処理流路4が蛇行形状を有している。それゆえ、図4の(e)の場合よりも、より多くの量の試料100および前処理試剤200を一度に導入することができ、また、粒子前処理装置10の小型化を更に図ることができる。また、図4の(g)のように、その一部の形状が丸みを帯びていてもよい。
なお、試料導入流路1、前処理試剤導入流路2および前処理流路4の幅、深さ、長さおよび形状は、上述したものに限定されず、導入される試料100または前処理の目的などに応じて適宜設定されればよい。
<その他の配置例>
また、前処理試剤導入流路2が1つでなく、複数であってもよい。図5は、粒子前処理装置10の更なる別例を示す上面断面図である。
図5の(a)および(b)に示すように、前処理試剤導入流路2a、2b(前処理試剤導入路)を備えている。前処理試剤導入流路2a、2bは、前処理試剤導入流路2と同様の機能を有するため、その説明は省略する。
図5の(a)および(b)に示す粒子前処理装置10では、前処理試剤導入流路2a、2bが合流部3を挟んで対向するように配置されている。図5の(a)では、前処理試剤導入流路2a、2bが一直線をなすように配置されている。この場合であっても、少なくとも合流部3において、前処理試剤導入流路2a、2bのそれぞれから流入する前処理試剤200の流れを利用して、図7の(d)に示すように、試料100に含まれる複数の粒子110を一列に並べることができる。
また、前処理試剤導入流路2a、2bは、必ずしも一直線をなすように形成されている必要はなく、図5の(b)に示すように、一方の前処理試剤導入流路2aが合流部3の試料導入流路1側において接続され、他方の前処理試剤導入流路2bが合流部3の前処理流路4側において接続されていてもよい。この場合、試料100と2つの前処理試剤200とが1つずつ順番に接触するので、試料100と各前処理試剤200を確実に接触させることができる。
なお、図5では、前処理試剤導入流路2が2つの場合を示しているが、これに限らず、3つ以上であってもよい。この場合、複数の前処理試剤導入流路2の少なくとも2つが、合流部3を挟んで対向するように配置されている構成であれば、上述した効果を奏する。
<試料100および前処理試剤200の流れる様子およびその制御>
次に、図6を用いて、粒子前処理装置10における試料100および前処理試剤200の流れる様子や、その制御などについて説明する。図6の(a)は、図3に示す粒子前処理装置10であり、図6の(b)〜(d)は、その様子を示すものであり、図6の(a)に示す領域A(点線で囲んだ領域)の拡大図である。なお、図6の(b)〜(d)に示す矢印は、試料100および/または前処理試剤200の流れを示す。
(試料100および前処理試剤200の流れ)
まず、図6の(a)に示す粒子前処理装置10に試料100および前処理試剤200が導入され、前処理流路4まで流れる様子について、図6の(b)〜(d)を用いて説明する。
図6の(b)に示すように、複数の粒子110を含む試料100が、試料導入流路1の内部を合流部3に向かって流れ、前処理試剤200が、前処理試剤導入流路2の内部を合流部3に向かって流れる。前処理試剤200は、試料100との合流前(合流部3への導入前)に、前処理試剤導入流路2の内部を必ずしも流れている必要はなく、停止していてもよい。
次に、図6の(c)に示すように、複数の粒子110を含む試料100と、前処理試剤200とは、合流部3に導入され、合流する。このとき、試料100は、前処理試剤200の合流部3に流れ込む力によって、合流部3の、前処理試剤導入流路2との接続部と対向する領域の方へと流される。それゆえ、試料100が形成する幅は、合流部3において、その幅(同図では、前処理流路4の幅w)よりも小さくなって、前処理流路4側へと流れる。その後、図6の(d)に示すように、複数の粒子110は、少なくとも合流部3において一列に並べられ、そのままの状態で前処理流路4に流れ込む。
前処理流路4では、複数の粒子110が一列に並んだ状態で、試料100および前処理試剤200とが一方向に流れることにより、前処理試剤200を、複数の粒子110のそれぞれの表面と接触させて、個々の粒子110に作用させることができる。それゆえ、前処理試剤200による個々の粒子110の前処理を確実かつ効率よく行うことができる。
(前処理流路4の長さと前処理量との関係)
次に、前処理流路4の長さLと、前処理流路4における前処理量との関係について、図6の(a)を用いて説明する。
図6の(a)に示すように、前処理流路4における、試料100および前処理試剤200が流れる流れ方向の長さをL、その内部を流れる試料100および前処理試剤200の平均線速度vを、複数の粒子110に対する前処理に必要な最小時間をtとしたとき、
≧v・t … (1)
が成立するように、粒子前処理装置10が設計されている。この場合、前処理試剤200による複数の粒子110に対する前処理を、前処理流路4の内部で完了させることができる。それゆえ、前処理のために、粒子前処理装置10を他の装置と連結させることなく、当該粒子前処理装置10の内部において当該前処理を完結できる。
(レイノルズ数)
また、粒子前処理装置10は、合流した試料100および前処理試剤200が、前処理流路4を流れるときのレイノルズ数が0より大きく2300より小さいことが好ましい。
一般に、流れのレイノルズ数Reは、次式、
Re = v・L/ν = v・L/(μ/ρ) … (2)
で表される。ここで、vは、合流した試料100および前処理試剤200が、前処理流路4を流れるときの速度、Lは前処理流路4の代表長さ(相当直径D)、ν、μ、ρは、それぞれ、合流した試料100および前処理試剤200の動粘度、粘度、密度である。
速度vは、例えば、前処理流路4を流れる試料100(または粒子110)の移動を可視化し、移動距離を時間で割ることで算出でき、代表長さLは、前処理流路4の形状(幅および深さ)より算出できる(流路の断面積をS、浸辺長(周囲長さ)をcとすると、L=D=4・S/cで表される)。また、動粘度ν、粘度μ、密度ρは、用いる試料100および前処理試剤200により決まる値であり、公知の文献値を参照して算出してもよいし、粘度計など専用の測定装置で測定することで算出してもよい。
上記のように、レイノルズ数が0より大きく2300より小さい構成であれば、前処理流路4において、試料100と前処理試剤200とが安定な層流を形成するため、粒子110の並びが、これらの物質の流れによって乱れることがない。それゆえ、複数の粒子110のそれぞれと前処理試剤200とを確実に接触させ続けることができ、安定して前処理を行うことができる。
さらに、上記レイノルズ数は、0より大きく1より小さいことがより好ましい。この場合、前処理流路4において、試料100および前処理試剤200の流れの粘性力が慣性力よりも支配的になるため、より安定して粒子を並べることができる。
また、上記条件下では、毛細管駆動を用いて試料100および前処理試剤200の安定した流れを形成することができるので、試料100と前処理試剤200が自然に備える駆動力(表面張力)を用いて、簡易に粒子110に対して前処理を行うことができる。それゆえ、流れを形成するための送液機構を備える、または接続する必要がないため、粒子前処理装置10の小型化および低コスト化を図ることができる。このとき、少なくとも前処理流路4は、試料100および前処理試剤200に対して親液性であることが好ましい。
(試料100および前処理試剤200の流量)
また、図6の(b)〜(d)に示すように、前処理流路4の底部における、試料100および前処理試剤200が流れる流れ方向と略垂直方向の長さ(前処理流路4の幅)をw、試料導入流路1を流れる試料100の流量をQ、前処理試剤導入流路2を流れる前処理試剤200の流量をQとしたとき、前処理流路4の内部での試料100の幅Wは、次式、
W = w・Q/(Q+Q) … (3)
となる。なお、前処理流路4の幅wは、前処理流路4の流路形成面における、試料100および前処理試剤200の流れ方向と略垂直方向の長さ、とも規定できる。
前処理流路4の内部で、試料100に含まれる複数の粒子110に対して前処理試剤200による前処理を効率的に行うためには、粒子110が、前処理流路4の内部で一列(すなわち、前処理流路4の幅wの方向に粒子110が1個のみ存在)に並ぶことが好ましい。この条件を満たすには、複数の粒子110のうち、最大直径を有する粒子110の直径をdとしたとき、次式、
・Q/(Q+Q)≦2・d … (4)
が成立するように、粒子前処理装置10が設計されていることが好ましい。例えば、流量QおよびQの制御は、前処理流路4に接続または配置された送液機構などによって制御されてもよい。
この場合、少なくとも前処理流路4において、試料100に含まれる個々の粒子110を上記流れ方向と略平行な方向に一列に並べることができる。それゆえ、複数の粒子110のそれぞれに対して前処理試剤200を確実に接触させることができ、高精度な前処理を行うことができる。
(試料100および前処理試剤200の流体抵抗)
また、上記(4)式は、上記流量QおよびQの代わりに、流体抵抗Rを用いて表現してもよい。流体抵抗Rは、一般に、流路の形状(幅、深さおよび長さ)と流路を流れる流体(試料や前処理試剤など)の粘度μによって決まる。例えば、層流条件下では、ハーゲン・ポアズイユの式より、流路の相当直径をD’、長さをL’とすると、
R = 8・μ・L’/(π・(D’/2)) … (5)
で表される。流体抵抗Rと流量Qとの間には反比例の関係があるので、試料導入流路1を流れる試料100の流体抵抗をR、前処理試剤導入流路2を流れる前処理試剤200の流体抵抗をRとしたとき、上記(4)式は、次式、
・R/(R+R)≦2・d … (6)
で表される。換言すれば、(6)式が成立するように、粒子前処理装置10が設計されていることが好ましい。例えば、流体抵抗RおよびRの制御は、試料導入流路1および前処理試剤導入流路2の形状(幅、深さおよび長さ)によって制御される。
この場合、前処理流路4による毛細管駆動、または、前処理流路4に形成された試料導出口からの上記送液機構による吸引力を利用して、少なくとも前処理流路4において、試料100に含まれる個々の粒子110を上記流れ方向と略平行な方向に一列に並べることができる。それゆえ、複数の粒子110のそれぞれに対して前処理試剤200を確実に接触させることができ、高精度な前処理を行うことができる。
また、上記毛細管駆動、または、当該毛細管駆動の要因となる毛細管力と同等の上記送液機構による吸引力を利用して、試料100を前処理流路4まで導入することが可能となる。それゆえ、その導入のために、粒子前処理装置10の外部に設けられた送液機構や、試料100および前処理試剤200のそれぞれに対応した複数の送液機構など、大規模で複雑な送液機構を必要としない。それゆえ、粒子前処理装置10の小型化および低コスト化を図ることができる。
(複数の前処理試剤導入流路2の場合)
次に、図7を用いて、粒子前処理装置10における試料100および前処理試剤200の流れる様子や、その制御などの別例について説明する。図7の(a)は、図5の(a)に示す粒子前処理装置10であり、図7の(b)〜(d)は、その様子を示すものであり、図7の(a)に示す領域B(点線で囲んだ領域)の拡大図である。
なお、図7に示す構成の場合も、上記(1)式およびレイノルズ数の数値範囲が成り立つので、具体的な説明については割愛する。
(試料100および前処理試剤200の流れ)
図7の(b)に示すように、複数の粒子110を含む試料100が、試料導入流路1の内部を合流部3に向かって流れ、前処理試剤200a、200bが、前処理試剤導入流路2a、2bのそれぞれの内部を合流部3に向かって流れる。前処理試剤200a、200bは、試料100との合流前(合流部3への導入前)に、前処理試剤導入流路2a、2bのそれぞれの内部を必ずしも流れている必要はなく、停止していてもよい。
次に、前処理試剤導入流路2が1つの場合(図6参照)と同様、図7の(c)に示すように、試料100と、前処理試剤200a、200bとが合流部3にて合流する。このとき、試料100は、前処理試剤200a、200bの合流部3に流れ込む力によって、合流部3の中央付近へと流される。それゆえ、試料100が形成する幅は、合流部3において、その幅(同図では、前処理流路4の幅w)よりも小さくなって、前処理流路4側へと流れる。その後、図7の(d)に示すように、試料100は、少なくとも合流部3において一列に並べられ、そのままの状態で前処理流路4に流れ込む。
それゆえ、前処理試剤導入流路2が1つの場合と同様、前処理試剤200による個々の粒子110の前処理を確実かつ効率よく行うことができる。
また、前処理試剤200a、200bと試料100とが層流を形成する場合、前処理試剤200a、200bと試料100の混合は、その流れによっては起こらず、試料100中への前処理試剤200a、200bの拡散により起こる。図7の構成の場合、試料100に対して前処理試剤200a、200bを挟み込むように接触させることができるので、前処理試剤200a、200bの試料100中への拡散距離を短くすることができる。それゆえ、前処理流路4において、前処理試剤200による試料100に含まれる複数の粒子110に対する前処理を迅速に行うことができる。
(試料100および前処理試剤200の流量および流体抵抗)
上記(4)式は、図7の(b)に示すように、前処理試剤200aの流量をQ2a、前処理試剤200bの流量をQ2bとしたとき、
= Q2a + Q2b … (7)
とすることで、同様に成り立つ。また、上記(6)式は、前処理試剤導入流路2aを流れる前処理試剤200aの流体抵抗をR2a、前処理試剤導入流路2bを流れる前処理試剤200bの流体抵抗をR2bとしたとき、
= R2a + R2b … (8)
とすることで、同様に成り立つ。また、前処理試剤導入流路2が3つ以上ある場合も、同様に、Q、Rを、個々の前処理試剤導入流路2を流れる前処理試剤200の流量の和および流体抵抗の和とすることで、複数の前処理試剤導入流路2が合流部3に対してどのように配置されていたとしても同様に成立する。すなわち、複数の前処理試剤導入流路2を備える構成において、Qは前処理試剤200の総流量、Rは、前処理試剤200の総流体抵抗といえる。
以上のように、粒子前処理装置10が複数の前処理試剤導入流路2を備える構成であっても、前処理試剤導入流路2が1つの場合と同様の効果を得ることができる。
〔実施の形態3〕
次に、本発明の実施の別形態について図8および図9に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、実施の形態1および2と同様の部材に関しては、同じ符号を付し、その説明を省略する。図8は、粒子前処理装置10の更なる別例である粒子前処理装置10aを示す上面断面図である。また、図9の(a)〜(c)は、複数の粒子110に、下流前処理試剤導入流路5から導入された前処理試剤500が接触するまでの過程を示すものであり、図8に示す領域C(点線で囲んだ領域)の拡大図である。
<粒子前処理装置10aの構成>
図8に示す粒子前処理装置10aは、例えば図3に示す粒子前処理装置10の前処理流路4の後段(下流側)に、さらに下流前処理試剤導入流路5、下流合流部6および下流前処理流路7を備えた構成である。
下流前処理試剤導入流路5は、複数の粒子110に対して前処理を行うための前処理試剤500(図9参照)を、図8に示す矢印方向に送液し、下流合流部6に前処理試剤500を導入するものである。すなわち、下流前処理試剤導入流路5は、前処理試剤500の流れ方向の下流側において、下流合流部6と接続されている。
下流合流部6は、前処理流路4から導入された、前処理試剤200が作用した試料100と、下流前処理試剤導入流路5に導入された前処理試剤500とが合流する領域である。すなわち、下流合流部6は、前処理流路4に対して、試料100の流れの下流側に配置されている。
下流前処理流路7は、下流合流部6にて合流した試料100と前処理試剤500とが、図8に示す矢印方向に流入することにより、前処理試剤500による試料100(複数の粒子110)に対する前処理が行われる領域である。すなわち、下流前処理流路7は、下流合流部6に対して、試料100および前処理試剤500の流れの下流側に配置されている。
つまり、下流前処理試剤導入流路5および下流合流部6は、前段の前処理流路4から導入された試料100に含まれる複数の粒子110のそれぞれの表面に対して前処理試剤500が接触するように、当該粒子110を並べる機能を有している。それゆえ、下流前処理試剤導入流路5および下流合流部6も、列生成機構13に含まれる構成であるといえる。
なお、図8では、1組の下流前処理試剤導入流路5、下流合流部6および下流前処理流路7を備えた粒子前処理装置10aを示しているが、これに限らず、複数組の下流前処理試剤導入流路5、下流合流部6および下流前処理流路7を備え、これらの組が直列に接続された構成であってもよい。すなわち、粒子前処理装置10aは、下流前処理試剤導入流路5、下流合流部6および下流前処理流路7を複数段備えた構成であってもよい。
また、下流前処理試剤導入流路5、下流合流部6および下流前処理流路7の形状、大きさ、機能、設置方法など、上記で説明した以外の構成については、それぞれ前処理試剤導入流路2、合流部3および前処理流路4と同様であるため、その説明を割愛する。さらに、粒子前処理装置10aの製造方法についても、実施の形態2の粒子前処理装置10の製造方法と同様である。
<試料100および前処理試剤500の流れ>
まず、粒子前処理装置10と同様、粒子前処理装置10aに試料100および前処理試剤200が導入され、前処理流路4まで流れる。
その後、図9の(a)に示すように、前処理流路4において前処理試剤200と接触した複数の粒子110を含む試料100が、前処理流路4の内部を下流合流部6に向かって流れ、前処理試剤500が、下流前処理試剤導入流路5の内部を下流合流部6に向かって流れる。前処理試剤500は、試料100との合流前(下流合流部6への導入前)に、下流前処理試剤導入流路5の内部を必ずしも流れている必要はなく、停止していてもよい。
次に、図9の(b)に示すように、前処理試剤200を作用させた後の複数の粒子110を含む試料100と、前処理試剤500とは、下流合流部6に導入され、合流する。このとき、試料100は、前処理試剤500の下流合流部6に流れ込む力によって、下流合流部6の、下流前処理試剤導入流路5との接続部と対向する領域の方へと流される。それゆえ、試料100が形成する幅は、少なくとも前処理流路4から導入されたときの試料100の幅(複数の粒子110が一列に並べられた状態)を維持することができる。その後、図9の(c)に示すように、複数の粒子110は、その状態を維持したまま下流前処理流路7に流れ込む。
下流前処理流路7では、複数の粒子110が一列に並んだ状態で、試料100および前処理試剤500が一方向に流れることにより、前処理試剤500を、複数の粒子110のそれぞれの表面と接触させて、個々の粒子110に作用させることができる。それゆえ、前処理試剤200だけでなく、前処理試剤500による個々の粒子110の前処理をも確実かつ効率よく行うことができる。
ここで、前処理試剤500と試料100とが層流を形成する場合、前処理試剤500と試料100との混合は、その流れによっては起こらず、試料100中への前処理試剤500の拡散により起こる。図9の(a)〜(c)に示すように、下流前処理流路7の底部における、少なくとも試料100が流れる流れ方向と略垂直方向の長さ(下流前処理流路7の幅)をw、下流前処理流路7を流れる試料100および前処理試剤200の流量をQ(すなわち、上述したQ+Q)、下流前処理試剤導入流路5を流れる前処理試剤500の流量をQとしたとき、下流前処理流路7の内部での試料100の幅W’は、次式、上記(3)式と同様に、
W’ = w・Q/(Q+Q) … (9)
となる。ただし、粒子110が変形する場合を除いて、粒子110が形成する幅は、粒子110の直径(最大直径を有する粒子110の直径)より小さくなることはない。したがって、下流前処理流路7において、個々の粒子110に前処理試剤200が介在している状態であっても、前処理試剤500を、拡散によって個々の粒子110に十分作用させることができる。すなわち、下流前処理流路7の内部で、前処理試剤500による個々の粒子110の前処理が確実に行うことができる。
なお、実施の形態2で述べた上記(4)式および(6)式のそれぞれの関係は、試料導入流路1を流れる試料100の流量または流体抵抗を、前処理流路4を流れる前処理試剤200および試料100の流量または流体抵抗と置換し、前処理試剤導入流路2を流れる前処理試剤200の流量または流体抵抗を、下流前処理試剤導入流路5を流れる前処理試剤500の流量または流体抵抗で置換することにより、粒子前処理装置10aにおいても成立することは言うまでもない。
また、実施の形態2で述べた上記(1)式およびレイノルズ数の数値範囲は、粒子前処理装置10aにおいても同様に成り立つ。
さらに、図5の(a)および(b)に示すように、上記1組あたりに複数の下流前処理試剤導入流路5が含まれる場合には、これらの下流前処理試剤導入流路5の少なくとも2つが、下流合流部6を挟んで対向するように配置されていてもよい。この場合も、図5に示す構成と同様、下流合流部6において、試料100に対して前処理試剤500を少なくとも2つの方向から挟み込むように接触させることができるため、前処理試剤500の試料100中への拡散距離が短くすることができる。それゆえ、下流前処理流路7において、前処理試剤500による試料100中の個々の粒子110に対する前処理を迅速に行うことができる。
以上のように、粒子前処理装置10aは、前処理流路4の後段に、下流前処理試剤導入流路5、下流合流部6および下流前処理流路7の組を少なくとも1組備えているので、試料100中の個々の粒子110に対して、少なくとも2種類の前処理試剤(前処理試剤200および500)をそれぞれ接触させることができる。それゆえ、個々の粒子110に対して、異なる前処理試剤を用いて、少なくとも2段階の前処理を確実にかつ効率よく行うことができる。
なお、上記2種類の前処理試剤としては、例えば試料100が血液であれば、前処理試剤200を溶血剤、前処理試剤500を溶血停止剤とすることができる。
〔実施の形態4〕
次に、本発明の実施の更なる別形態について図10および図11に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、実施の形態1〜3と同様の部材に関しては、同じ符号を付し、その説明を省略する。本実施の形態では、試料100が血液、複数の粒子110が血球、前処理試剤200が溶血剤であり、前処理として、血球に含まれる赤血球を溶血する場合に特化して説明するが、これらに限られるものではなく、例えば前処理試剤200が染色剤であってもよい。以下では、符号100を血液、符号110を血球、符号200を溶血剤を示すものとして説明する。
図10の(a)に示すように、従来の粒子前処理装置300には、複数の血球110を含む血液100と、溶血剤200とが導入されている。この溶血剤200は、一般に、血液100に含まれる白血球に対する測定を行うために、赤血球を溶かすために用いられる。血液100および溶血剤200を攪拌することによって、血液に含まれる個々の血球110に対して溶血剤200を接触させ、作用させることができる。
しかし、粒子前処理装置300では、図10の(b)に示すように、赤血球の溶血が進行するにつれて、血液100が溶血剤200の影響を受けるために、その溶血効果が低減してしまう。これは、例えば、血液100に含まれる赤血球に対して低浸透圧の溶血剤200を用いて溶血する場合、その溶血が進行するにつれて、赤血球中の電界質成分が血液100内に流出し、溶血剤200の浸透圧が高まり、粒子前処理装置10の内部の平衡状態がずれるために生じる。これを防ぐためには、過剰量の溶血剤200を用い、血液100および溶血剤200を激しく攪拌する必要がある。
一方、本実施の形態に係る粒子前処理装置10は、例えば図3を用いて説明したように、試料導入流路1、前処理試剤導入流路2および合流部3を備え、前処理試剤導入流路2から合流部3へと溶血剤200を流入させることによって、血液100に含まれる複数の血球110を並べている。
すなわち、図11の(a)に示すように、合流部3に、前処理試剤導入流路2から次々と新鮮な溶血剤200が導入され、合流部3の、前処理試剤導入流路2との接続部と対向する領域Dにおいて、複数の血球110が一列に並ぶ。そして、領域Eに示すように、少なくとも前処理流路4では、溶血剤200が複数の血球110のうちの赤血球110aに作用し、当該赤血球110aを溶血させる。一方、白血球などの測定対象の粒子110bは、前処理流路4の内部に残存する。
この場合、複数の血球110(特に赤血球)に対して、新鮮な溶血剤200を次々と接触させ、作用させることができる。その結果、図11の(b)に示すように、赤血球の溶血が進行しても、その溶血効果の低減を防ぐことができる。また、粒子前処理装置300のように、過剰量の溶血剤200の準備、血液100および溶血剤200の攪拌が不要であるため、溶血剤200および粒子前処理装置10の低コスト化を実現できる。
また、新鮮な溶血剤200を複数の血球110(赤血球)に次々と作用させるために、安定な層流が形成されていることが好ましい。この層流を実現するためには、上述のように、血液100および溶血剤200が前処理流路4を流れるときのレイノルズ数が、0より大きく2300より小さいことが好ましく、0より大きく1より小さいことがなお好ましい。
なお、溶血剤200としては、浸透圧が赤血球の浸透圧とは異なる非等張液、血球110の内外へのイオンの出入りを利用して溶血(平衡反応)を行う塩化アンモニウムなどが挙げられる。
〔実施の形態5〕
次に、本発明の実施の更なる別形態について説明すれば、以下のとおりである。なお、実施の形態1〜4と同様の部材に関しては、同じ符号を付し、その説明を省略する。本実施の形態においても、試料100が血液、複数の粒子110が血球、前処理試剤200が溶血剤であり、前処理として、血球に含まれる赤血球を溶血する場合に特化して説明するが、これらに限られるものではなく、例えば前処理試剤200が染色剤であってもよい。
一般に、血球110に溶血剤200を作用させると、赤血球だけでなく、時間とともに白血球も溶解することになる。これは、白血球測定または白血球内成分分析など、白血球のみの抽出を目的とする場合に、その測定対象となる白血球をも溶解することになってしまう。この白血球の溶解を防ぐため、一般には、一定時間経過後、溶解停止剤を導入している。
一方、本実施の形態に係る粒子前処理装置10では、前処理流路4の長さL(図6の(a)参照)は、複数の血球110に含まれる、白血球(測定対象粒子)以外の赤血球(非測定対象粒子)を、溶血剤200を用いて溶解させるとき、前処理流路4における白血球の滞在時間が、赤血球の溶解に必要な時間よりも長く、白血球の溶解が開始する時間よりも短くなるように規定されている。
また、赤血球の溶解に必要な時間t、白血球の溶解が開始する時間tとすれば、上述した平均線速度(送液速度)vを用いて、次式、
<L/v<t … (9)
が成立するように、粒子前処理装置10が設計されているということもできる。
この構成によれば、前処理流路4において、白血球を溶解させることなく、溶血剤200を用いて赤血球を確実に溶解させることができる。それゆえ、例えば粒子測定装置に対して、白血球に対する測定に不要な赤血球を提供せず、かつ、血液100に含まれる全ての白血球を提供することができる。すなわち、白血球の高精度な測定を実現することができる。
なお、一般に、溶血剤200との接触後、赤血球の溶解は数秒で完了するが、白血球の溶解が開始されるまでには30秒以上の時間を要する。それゆえ、上記の滞在時間(L/v)は、10〜30秒となることが好ましい。また、平均線速度vは、10μm/秒から10m/秒の間であることが好ましい。
前処理流路4の長さLは、この滞在時間と平均線速度vとの積となるゆえ、上記の滞在時間を満たすように、前処理流路4が設計され、平均線速度vが、前処理流路4に接続または配置された送液機構などによって制御されることが好ましい。
〔本発明の別の表現〕
本発明は、以下のようにも表現できる。
すなわち、本発明の粒子前処理装置は、試料中の粒子に対して試剤による前処理を行う粒子前処理装置であって、前記試料中の粒子を整列させる機構と、前記整列した粒子に対して前処理試剤を接触させる機構、とを含むものである。
さらに、前記試料中の粒子を整列させる機構が、前記試料中の粒子を1次元に整列させる機構であることが好ましい。
さらに、前記試料中の粒子を整列させる機構が、前記試料中の粒子を2次元に整列させる機構であることが好ましい。
さらに、前記試料中の粒子を整列させる機構が、前記前処理試剤を流しながら前記試料に接触させる機構であることが好ましい。
さらに、前記前処理試剤を流しながら前記試料に接触させる機構が、前記粒子前処理装置が、前記試料が流れる試料導入流路と、前記前処理試剤が流れる前処理試剤導入流路と、前記試料導入流路および前記前処理試剤導入流路が接続される合流部と、前記合流部に接続された前処理流路とを備え、前記合流部に対して前記試料導入流路および前記前処理試剤導入流路が流れの上流となり、前記前処理流路が流れの下流となるよう、前記試料と前記前処理試剤を流すことが好ましい。
さらに、前記前処理試剤導入流路を複数備え、前記複数の前処理試剤導入流路の少なくとも2つが、前記試料導入流路および前記前処理流路に対して対向する位置に配置されていることが好ましい。
さらに、前記試料および前記前処理試剤が前記前処理流路を流れるときのレイノルズ数が0より大きく2300より小さいことが好ましい。
さらに、前記試料および前記前処理試剤が前記前処理流路を流れるときのレイノルズ数が0より大きく1より小さいことが好ましい。
さらに、前記前処理流路の流路形成面における流れと略垂直方向の長さをwとし、前記試料導入流路を流れる前記試料の流量をQとし、前記前処理試剤導入流路を流れる前記前処理試剤の総流量をQとし、前記試料中の粒子の直径をdとしたとき、「w・Q/(Q+Q)≦2・d」が成立することが好ましい。
さらに、前記前処理流路の流路形成面における流れと略垂直方向の長さをwとし、前記試料導入流路を流れる前記試料の流体抵抗をRとし、前記前処理剤導入流路を流れる前記前処理試剤の総流体抵抗をRとし、前記試料中の粒子の直径をdとしたとき、「w・R/(R+R)≦2・d」が成立することが好ましい。
さらに、前記前処理流路の流れ方向の長さをL、前記前処理流路を流れる前記試料および前記前処理試剤の平均線速度をv、前記試料中の粒子の前処理に必要な最小時間をtとしたとき、「L≧v・t」が成立することが好ましい。
さらに、前記前処理流路が蛇行形状を有することが好ましい。
さらに、前記前処理流路が、前記試料および前記前処理試剤に対して親液性であることが好ましい。
さらに、前記試料中の粒子が細胞であることが好ましい。
さらに、前記試料が血液であり、前記試料中の粒子が血球であることが好ましい。
さらに、試料中の粒子に対して試剤による前処理を行う粒子前処理方法であって、前記試料中の粒子を整列させる工程と、前記整列した粒子に対して前処理試剤を接触させる工程、とを含むものである。
さらに、前記試料中の粒子を整列させる工程が、前記試料と前記前処理試剤とを接触させ一方向に流す工程、を含むことが好ましい。
さらに、前記一方向に流す工程が層流条件下で行われることが好ましい。
さらに、前記一方向に流す工程が、毛細管力により行われることが好ましい。
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明に係る粒子前処理装置は、簡易にかつ安価な機構で、試料中の粒子に対する前処理を精度よく行うことを可能にするものであり、例えば、臨床検査POCTにおいて用いられる使い捨て型の検査チップとして、好適に利用することができる。
1 試料導入流路(試料導入路、列生成機構)
2、2a、2b 前処理試剤導入流路(前処理試剤導入路、列生成機構)
3 合流部(列生成機構)
4 前処理流路(前処理路)
11 収容部(列生成機構)
10 粒子前処理装置
13 列生成機構
100 試料
100 血液(試料)
110 粒子
110 血球(粒子)
200、200a、200b 前処理試剤
200 溶血剤(前処理試剤)

Claims (17)

  1. 測定対象となる測定対象粒子を測定可能な状態とするための前処理試剤を用いて、前記測定対象粒子を少なくとも含む複数の粒子を含有する試料に対して前処理を行う粒子前処理装置であって、
    前記複数の粒子のそれぞれの表面に対して前記前処理試剤が接触するように、前記複数の粒子を並べる列生成機構を備えていることを特徴とする粒子前処理装置。
  2. 前記列生成機構は、前記複数の粒子を1次元に並べる機構であることを特徴とする請求項1に記載の粒子前処理装置。
  3. 前記列生成機構は、前記複数の粒子を2次元に並べる機構であることを特徴とする請求項1に記載の粒子前処理装置。
  4. 前記列生成機構は、前記前処理試剤を流入させることによって、前記複数の粒子を並べる機構であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の粒子前処理装置。
  5. 前記列生成機構は、
    前記試料と前記前処理試剤とが合流する合流部と、
    前記合流部に接続され、前記合流部に前記試料を導入する試料導入路と、
    前記合流部に接続され、前記合流部に前記前処理試剤を導入する前処理試剤導入路と、を含み、
    前記合流部に接続され、前記合流部にて合流した前記試料と前記前処理試剤とが流入することにより、前記前処理試剤による前記試料に対する前処理が行われる前処理路をさらに備えていることを特徴とする請求項4に記載の粒子前処理装置。
  6. 前記前処理試剤導入路を複数備え、
    複数の前記前処理試剤導入路の少なくとも2つは、前記合流部を挟んで対向するように配置されていることを特徴とする請求項5に記載の粒子前処理装置。
  7. 前記試料および前記前処理試剤が前記前処理路を流れるときのレイノルズ数は、0より大きく2300より小さいことを特徴とする請求項5または6に記載の粒子前処理装置。
  8. 前記試料および前記前処理試剤が前記前処理路を流れるときのレイノルズ数は、0より大きく1より小さいことを特徴とする請求項5または6に記載の粒子前処理装置。
  9. 前記前処理路の底部における、前記試料および前記前処理試剤が流れる流れ方向と略垂直方向の長さをw、前記試料導入路を流れる前記試料の流量をQ、前記前処理試剤導入路を流れる前記前処理試剤の流量をQ、前記複数の粒子の最大直径をdとしたとき、
    ・Q/(Q+Q)≦2・d
    が成立することを特徴とする請求項5から8のいずれか1項に記載の粒子前処理装置。
  10. 前記前処理路の底部における、前記試料および前記前処理試剤が流れる流れ方向と略垂直方向の長さをw、前記試料導入路を流れる前記試料の流体抵抗をR、前記前処理試剤導入路を流れる前記前処理試剤の流体抵抗をR、前記複数の粒子の最大直径をdとしたとき、
    ・R/(R+R)≦2・d
    が成立することを特徴とする請求項5から8のいずれか1項に記載の粒子前処理装置。
  11. 前記前処理路における、前記試料および前記前処理試剤が流れる流れ方向の長さをL、前記前処理路を流れる前記試料および前記前処理試剤の平均線速度をv、前記複数の粒子に対する前処理に必要な最小時間をtとしたとき、
    ≧v・t
    が成立することを特徴とする請求項5から10のいずれか1項に記載の粒子前処理装置。
  12. 前記前処理路における、前記試料および前記前処理試剤が流れる流れ方向の長さは、
    前記複数の粒子に含まれる、前記測定対象粒子以外の非測定対象粒子を、前記前処理試剤を用いて溶解させるとき、
    前記前処理路における前記測定対象粒子の滞在時間が、前記非測定対象粒子の溶解に必要な時間よりも長く、前記測定対象粒子の溶解が開始する時間よりも短くなるように規定されていることを特徴とする請求項5から10のいずれか1項に記載の粒子前処理装置。
  13. 前記前処理路は、蛇行形状を有することを特徴とする請求項5から12のいずれか1項に記載の粒子前処理装置。
  14. 前記前処理路は、前記試料および前記前処理試剤に対して親液性を有することを特徴とする請求項5から13のいずれか1項に記載の粒子前処理装置。
  15. 前記複数の粒子は、細胞であることを特徴とする請求項1から14のいずれか1項に記載の粒子前処理装置。
  16. 前記細胞は、血球であることを特徴とする請求項15に記載の粒子前処理装置。
  17. 測定対象となる測定対象粒子を測定可能な状態とするための前処理試剤を用いて、少なくとも前記測定対象粒子を含む複数の粒子を含有する試料に対して前処理を行う粒子前処理方法であって、
    前記複数の粒子のそれぞれの表面に対して前記前処理試剤が接触するように、前記複数の粒子を並べる列生成工程を含むことを特徴とする粒子前処理方法。
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JP2018538527A (ja) * 2015-11-10 2018-12-27 イルミナ インコーポレイテッド 慣性液滴生成および粒子封入

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