JP2013214555A - 太陽電池用保護材 - Google Patents

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Abstract

【課題】高融点中間フィルムを使用せずに、シワ等の外観不良がなく外観に優れ、かつ、防湿性に優れる太陽電池用保護材を提供する。
【解決手段】厚みが25μm以上の基材の少なくとも一方の面に無機層を有し、水蒸気透過率が1[g/m2・日]未満である防湿フィルムを有する太陽電池用保護材であって、前記防湿フィルムの無機層側にフッ素系樹脂フィルムを有し、かつ前記防湿フィルムの無機層と反対側の面に、直接あるいは接着剤を介して、融点が130℃以上180℃以下の背面フィルムを有する、太陽電池用保護材。
【選択図】なし

Description

本発明は、太陽電池用保護材、及び該保護材を有する太陽電池モジュールに関する。
近年、資源の有効利用や環境汚染の防止等の面から、太陽光を直接電気エネルギーに変換する太陽電池が注目され、開発が進められている。太陽電池は、通常、前面保護材、封止材、発電素子、封止材及び裏面保護材をこの順で積層し、真空ラミネーションによる加熱溶融により接着一体化することで製造される。真空ラミネーションは、一般的に130〜180℃、10〜40分の条件で行われる。
太陽電池用保護材は、前面保護材であっても裏面保護材であっても、紫外線に対する耐久性、防湿性等に優れることが重要な要件とされる。太陽電池の軽量化、耐衝撃性及び耐久性の向上に有効な太陽電池用保護材として、耐候性フィルムと防湿フィルムとを接着剤で貼り合わせたものが知られている(例えば、特許文献1〜3を参照)。
特許第3978911号公報 特許第3978912号公報 特開2001−196621号
太陽電池用保護材にはさまざまな機能が要求されているが、保護材を薄くしたり、保護材の構成フィルムを減らして構成を単純化しようとすると、真空ラミネーションの後に、保護材の表面や保護材と封止材との界面にシワや突起が発生したり、保護材と封止材との剥離が生じたりする等の外観不良の問題が生じることが多い。
本発明者らは、上記の外観不良は融点が真空ラミネーション温度以下であるフィルムを最外層に使用した場合に発生することに着眼した。そして、当該外観不良の問題は、封止材として使用されるエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)やポリエチレンの収縮に起因するところが大きく、特に150℃以上の高温真空ラミネーションにおいては封止材の収縮がより増大することを見出した。そして、EVAやポリエチレンの収縮は、耐熱性を付与する等の目的で使用される有機過酸化物からなる架橋剤がモジュール製造工程における真空ラミネーション時に作用するためであることを見出した。
さらに、本発明者らは、太陽電池用保護材を構成するポリエステルフィルム等の高融点中間フィルム(本発明において、真空ラミネーション温度より融点が高く50μmを越える厚みを有するフィルムを「高融点中間フィルム」という)が、保護材自体の変形や保護材表面でのシワの発生を防止する役割を果たしていることを見出した。これは、真空ラミネーションにより封止材や保護材自体が収縮及び/又は変形する場合に、保護材を構成する高融点中間フィルムが、真空ラミネーションにおいて未溶融であることから封止材の収縮に抵抗する作用をもたらすためと考えられる。
しかしながら、太陽電池用保護材において前記高融点中間フィルムを使用することは、保護材の積層構成フィルム増加につながり、製造プロセスの複雑化や溶剤使用量の増加につながる。これは、太陽電池モジュールにおける製造原価の削減や製造プロセスの省工程化、軽量化を阻むものであることから、高融点中間フィルムの使用によらず、保護材自体や封止材との界面にシワが発生しないように太陽電池用保護材を設計する必要がある。
すなわち、本発明の課題は、高融点中間フィルムを使用せずに、シワ等の外観不良がなく外観に優れ、かつ、防湿性に優れる太陽電池用保護材を提供すること、並びにこの太陽電池用保護材を用いた太陽電池モジュールを提供することにある。
本発明は、
(1)厚みが25μm以上の基材の少なくとも一方の面に無機層を有し、水蒸気透過率が1[g/m2・日]未満である防湿フィルムを有する太陽電池用保護材であって、前記防湿フィルムの無機層側にフッ素系樹脂フィルムを有し、かつ前記防湿フィルムの無機層と反対側の面に、直接あるいは接着剤を介して、融点が130℃以上180℃以下の背面フィルムを有する、太陽電池用保護材、
(2)JIS C 60068−2−66に準じるプレッシャークッカーテスト(条件:120℃、32時間)後の水蒸気透過率が初期の防湿フィルムの水蒸気透過率に対して3倍未満である、上記(1)に記載の太陽電池保護材、
(3)前記背面フィルムが、ポリプロピレン、ポリ乳酸、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、及び酪酢酸セルロース樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1つを含有する樹脂組成物を成膜したものである、上記(1)又は(2)に記載の太陽電池用保護材、
(4)前記背面フィルムが、ポリプロピレン樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリフッ化ビニル樹脂又はポリフッ化ビニリデン樹脂の1つ又は複数を50質量%以上含有するものである、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の太陽電池用保護材、
(5)前記フッ素系樹脂フィルムが、ポリテトラフルオロエチレン、4−フッ化エチレン−パークロロアルコキシ共重合体、4−フッ化エチレン−6−フッ化プロピレン共重合体、2−エチレン−4−フッ化エチレン共重合体、ポリ3−フッ化塩化エチレン、又はポリフッ化ビニリデンのいずれかから選ばれる少なくとも1つの樹脂組成物を成膜したものである、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の太陽電池用保護材、
(6)太陽電池用裏面保護材である、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の太陽電池用保護材、
(7)上記(1)〜(6)のいずれかに記載の太陽電池用保護材を有する太陽電池用モジュール、及び
(8)上記(1)〜(6)のいずれかに記載の太陽電池用保護材及びエチレン−酢酸ビニル共重合体フィルムを有する太陽電池用モジュール、
に関するものである。
本発明の太陽電池用保護材は、高融点中間フィルムを使用することなく、太陽電池用保護材の外観不良の問題を解消し、かつ、防湿性に優れる。また、該太陽電池用保護材を使用する太陽電池モジュールは、軽量化を実現するとともに、製造プロセスを省工程化でき、省工程化による溶剤使用量削減を可能とする。さらには、良好な外観を実現することができるのみならず、太陽電池モジュール全体の変形が防止される。これによれば、電力の取り出し配線に損傷を受けにくい長期耐久性のある太陽電池モジュールを提供することができる。
上記特許文献1〜3に開示される太陽電池用カバー材兼用封止膜は、封止材と一体化される裏面保護材の構成に高融点中間フィルムを有する構成であるが、高融点中間フィルムを使用しない保護材構成とすれば、真空ラミネーションによる封止用EVAやポリエチレンフィルムの収縮に抗うことができず、保護材表面にシワや突起が発生したり、保護材と封止材との剥離が生じたりする等の外観不良の問題が生じてしまう。また、上記特許文献1及び2においては、防湿フィルムとして、上記高融点中間フィルムと同様の材料であるポリエチレンテレフタレート等の基材フィルム上に無機層が形成されたものが使用されているが、厚みが薄いため、高融点中間フィルムに代えて外観不良を防止する役割を果たすことは困難である。すなわち、上記特許文献1〜3に開示される太陽電池用カバー材兼用封止膜においては、前記高融点中間フィルムの使用が必須である。
これに対し、本発明の太陽電池用保護材は、シワ等の外観不良がなく外観に優れ、かつ、防湿性に優れるものである。これは、防湿フィルムの基材である樹脂フィルムの厚み(剛性)を増大させたためである。
以下に本発明を更に詳細に説明する。
<太陽電池用保護材>
本発明の太陽電池用保護材は、厚みが25μm以上の基材の少なくとも一方の面に無機層を有し水蒸気透過率が1[g/m2・日]未満である防湿フィルムを有し、前記防湿フィルムの無機層側にフッ素系樹脂フィルムを有し、かつ前記防湿フィルムの無機層と反対側の面に、直接あるいは接着剤を介して、融点が130℃以上180℃以下の背面フィルムを有する。
本発明において、「フィルムの融点」とは、示差走査熱量計を用いて、JIS K7121に準じて、フィルム試料約10mgを加熱速度10℃/分で−40℃から200℃まで昇温し、融解ピークを確認、200℃で1分間保持した後、冷却速度10℃/分で−40℃まで降温し、再度、加熱速度10℃/分で200℃まで昇温した時に測定されたサーモグラムから結晶融解ピーク温度の中で最大ピーク(Tm)(℃)を融点とする。なお、ポリエステル等、融点が200℃を超え融解ピークが観測されない場合は、昇温上限温度を300℃とし、その後同様な測定を行なった。
(背面フィルム)
本発明における背面フィルムは、前記防湿フィルムの背面側に、直接あるいは接着剤を介して、好ましくは接着剤を介して防湿フィルムと貼合されるフィルムであり、背面フィルム内の残留歪を軽減し、高温高湿時における無機層背面側から掛かる収縮によるモーメントを低減するものである。よって、具体的には、真空ラミネーション時の温度付近に融点をもつフィルム、すなわち、融点130℃以上180℃以下のフィルムを用いるものとする。該背面フィルムは、上記の点から、防湿フィルムの背面に直接積層することが好ましい。
上記観点から、前記融点の下限値は130℃であり、140℃以上であることが好ましく、150℃以上であることがより好ましい。また、前記融点の上限値は180℃であり、175℃以下であることが好ましく、170℃以下であることがより好ましい。
前記融点が上記の温度範囲内の背面フィルムを用いることで、真空ラミネーション時の温度で、それまでの工程で加えられた力の履歴や熱履歴によって生じたフィルム内の分子・結晶配向を緩和させ残留歪を低減させることができる。
真空ラミネーション工程において背面フィルムは加圧に対して容易に流動し、均一な厚みの膜が維持できない。本発明においては、前記融点を130℃以上とすることで当該背面フィルムの流動を抑え、厚みを維持することができる。なお、前記融点が80℃未満であると、厚みによらず、太陽電池モジュールは発電時の発熱や太陽光の輻射熱等で、その温度が85〜90℃程度まで昇温するため、背面フィルムは軟化し動作中に本来の太陽電池素子を保護する機能が失われる。太陽電池用保護材としては、更なるプラスチックフィルムを設けることなしにフッ素系樹脂フィルム(耐候性フィルム)、防湿フィルム、背面フィルムの3層のみの層構成で700〜1000ボルトの部分放電圧を有する保護材が生産効率の観点から望ましく、背面フィルムが130℃以上の融点を有することで防湿性劣下防止、耐熱性、耐電圧特性を有する生産性に優れる3層構成太陽電池用保護材を達成できる。
以上より、背面フィルムとしては、その融点が真空ラミネーション温度付近にあることが望ましく、例えば、ポリプロピレン(PP、融点:170℃)、ポリ乳酸(PLA、融点:170℃)、ポリフッ化ビニル(PVF、融点:203℃)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF、融点:210℃)、酪酢酸セルロース(CAB、融点:140℃)等の樹脂に紫外線吸収剤や着色剤を練り込んだ樹脂組成物を成膜したものが好ましく用いられるが、これらに限定されるものではない。
前記背面フィルムは、太陽電池保護材への使用を考えると、可撓性に富み、紫外線、加湿耐久性に優れることが望ましく、主にポリプロピレン樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリフッ化ビニル樹脂及びポリフッ化ビニリデン樹脂からなる群より選ばれる1つ又は複数の樹脂からなるものが好ましく、これらの樹脂を50質量%以上含有するものであることが好ましい。
使用する紫外線吸収剤としては、種々の市販品が適用でき、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、サリチル酸エステル系等の各種タイプのものを挙げることができる。ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクタデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−5−クロロベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン等を挙げることができる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、ヒドロキシフェニル置換ベンゾトリアゾール化合物であって、例えば、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−メチル−5−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール等を挙げることができる。またトリアジン系紫外線吸収剤としては、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチルオキシ)フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(ヘキシルオキシ)フェノール等を挙げることができる。サリチル酸エステル系としては、フェニルサリチレート、p−オクチルフェニルサリチレート等を挙げることができる。
該紫外線吸収剤の添加量は、背面フィルム中、通常、0.01〜2.0質量%程度であり、0.05〜0.5質量%添加することが好ましい。
上記の紫外線吸収剤以外に耐候性を付与する耐候安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定化剤が好適に用いられる。ヒンダードアミン系光安定化剤は、紫外線吸収剤のようには紫外線を吸収しないが、紫外線吸収剤と併用することによって著しい相乗効果を示す。
ヒンダードアミン系光安定化剤としては、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{{2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル}イミノ}]、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セパレート、2−(3,5−ジ−tert−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)等を挙げることができる。該ヒンダードアミン系光安定化剤の添加量は、背面フィルム中、通常、0.01〜0.5質量%程度であり、0.05〜0.3質量%添加することが好ましい。
本発明においては、高融点中間フィルムを積層せず、背面フィルムの厚みを増加することができ、ドライラミネーション回数が増加しないため生産性が良く好ましい。この場合、背面フィルムの全体の厚さはフィルムの取り扱いやすさの点から好ましくは130μm以上、より好ましくは160μm以上であり、保護材の部分放電確保の観点から更に厚いことが望まれ、更に好ましくは190μm以上である。
(防湿フィルム)
本発明の太陽電池用保護材における防湿フィルムは、JIS Z 0208「防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法)」における水蒸気透過率が1[g/m2・日]未満、厚みが25μm以上のフィルムである。
太陽電池用保護材においては透明性を有することが好ましいため、本発明における防湿フィルムは、基材フィルムの少なくとも一方の面に無機層を少なくとも1層有するフィルムである。また、防湿フィルムの基材フィルムの加水分解を防ぐ観点から、その無機層側でフッ素系樹脂フィルムと貼り合わされる。
上記無機層は金属酸化物からなるのが好ましい。該無機層により、湿気、水の透過による太陽電池の内面側を保護することができる。
上記無機層を有する樹脂フィルムの基材としては、透明熱可塑性高分子フィルムが好ましく、その材料としては、通常の包装材料に使用しうる樹脂であれば特に制限なく用いることができる。具体的には、エチレン、プロピレン、ブテン等の単独重合体又は共重合体等のポリオレフィン、環状ポリオレフィン等の非晶質ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、共重合ナイロン等のポリアミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体部分加水分解物(EVOH)、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリビニルブチラール、ポリアリレート、フッ素樹脂、アクリレート樹脂、生分解性樹脂等が挙げられる。これらの中では、フィルム物性、コスト等の点から、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィンが好ましい。中でも、フィルム物性の点から、ポリエステルが好ましく、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)が特に好ましい。
また、上記基材は、公知の添加剤、例えば、帯電防止剤、光線遮断剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、フィラー、着色剤、安定剤、潤滑剤、架橋剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤等を含有することができる。
上記基材としての熱可塑性高分子フィルムは、上記の原料を用いて成形してなるものであり、未延伸であってもよいし延伸したものであってもよい。また、他のプラスチック基材と積層されていてもよい。
かかる基材は、従来公知の方法により製造することができ、例えば、原料樹脂を押出機により溶融し、環状ダイやTダイにより押出して、急冷することにより実質的に無定型で配向していない未延伸フィルムを製造することができる。また、多層ダイを用いることにより、1種の樹脂からなる単層フィルム、1種の樹脂からなる多層フィルム、多種の樹脂からなる多層フィルム等を製造することができる。
この未延伸フィルムを一軸延伸、テンター式逐次二軸延伸、テンター式同時二軸延伸、チューブラー式同時二軸延伸等の公知の方法により、フィルムの流れ(縦軸)方向又はフィルムの流れ方向とそれに直角な(横軸)方向に延伸することにより、少なくとも一軸方向に延伸したフィルムを製造することができる。延伸倍率は任意に設定できるが、延伸フィルムの150℃熱収縮率は、0.01〜5%、更には0.01〜2%であることが好ましい。中でもフィルム物性の点から、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムや、ポリエチレンテレフタレート及び/又はポリエチレンナフタレートと他のプラスチックの共押出二軸延伸フィルムが好ましい。
なお、上記基材には、無機層との密着性向上のため、アンカーコート剤を塗布してアンカーコート層を設けることが好ましい。アンカーコート剤としては、溶剤性又は水性のポリエステル樹脂、イソシアネート樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ビニル変性樹脂、ビニルアルコール樹脂、ビニルブチラール樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、ニトロセルロース樹脂、オキサゾリン基含有樹脂、カルボジイミド基含有樹脂、メチレン基含有樹脂、エポキシ基含有樹脂、変性スチレン樹脂、変性シリコーン樹脂及びアルキルチタネート等を単独、あるいは2種以上組み合わせて使用することができる。また、シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、光線遮断剤、紫外線吸収剤、安定剤、潤滑剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤等を含有することもでき、それらを上記樹脂と共重合させたものも使用することができる。
アンカーコート層の形成方法としては、公知のコーティング方法が適宜採択される。例えば、リバースロールコーター、グラビアコーター、ロッドコーター、エアドクタコーター、スプレイあるいは刷毛を用いたコーティング方法等の方法がいずれも使用できる。また、基材を樹脂液に浸漬して行ってもよい。塗布後は、80〜200℃程度の温度での熱風乾燥、熱ロール乾燥等の加熱乾燥や、赤外線乾燥等の公知の乾燥方法を用いて溶媒を蒸発させることができる。また、耐水性、耐久性を高めるために、電子線照射による架橋処理を行うこともできる。また、アンカーコート層の形成は、基材フィルムの製造ラインの途中で行う方法(インライン)でも、基材フィルム製造後に行う(オフライン)方法でもよい。
本発明において、防湿フィルムを構成する基材の厚さは、高融点中間フィルムを用いずに高温真空ラミネーション後の外観低下を防止する観点から、25μm以上であり、35μm以上が好ましく、50μm以上がより好ましい。これにより、保護材の弾性率を向上させることができ、高温での真空ラミネート後の良好な外観を得ることができる。一方、保護材の透明性の観点からは、300μm以下が好ましく、150μm以下がより好ましい。
無機層としては、太陽電池に適用した場合に電流がリークする等のおそれがない点から、シリカ、アルミナ等の金属酸化物のコーティング膜が好ましく用いられる。また、太陽電池用の前面保護材として使用する場合、全光線透過率が高い透明部材ほど発電効率を高めることができ、防湿フィルムは透明であるものが好ましい。
無機層の形成方法としては、蒸着法、コーティング法等の方法がいずれも使用できるが、ガスバリア性の高い均一な薄膜が得られるという点で蒸着法が好ましい。この蒸着法には、物理気相蒸着(PVD)、あるいは化学気相蒸着(CVD)等の方法が含まれる。物理気相蒸着法としては、真空蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング等が挙げられ、化学気相蒸着法としては、プラズマを利用したプラズマCVD、加熱触媒体を用いて材料ガスを接触熱分解する触媒化学気相成長法(Cat−CVD)等が挙げられる。
上記金属酸化物コーティング膜を形成する物質としては、ケイ素、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、スズ、ニッケル、チタン等、あるいはこれらの酸化物、炭化物、窒化物又はそれらの混合物が挙げられるが、好ましくは酸化ケイ素、酸化アルミニウムである。特に、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化窒化ケイ素、酸化アルミニウムは、高いガスバリア性が安定に維持できる点で好ましい。
上記無機層の厚さは、安定な防湿性の発現と透明性の点から、40〜1000nmであることが好ましく、40〜800nmがより好ましく、50〜600nmが更に好ましい。
なお、防湿フィルムの厚さは、基材の厚さによるところが大きいため25μmであり、真空ラミネート後の良好な外観を得る観点から35μm以上が好ましく、50μm以上がより好ましく、一方、保護材の透明性の観点から、300μm以下が好ましく、150μm以下がより好ましい。
通常プレッシャークッカー試験等の加速試験においては、保護材を構成する積層フィルム内や積層フィルム間で発生する変形や応力により防湿層がダメージを受け防湿性が劣下するが、本発明の防湿フィルムを構成する基材フィルムの厚さは25μm以上である場合、基材フィルムの剛性が高く、保護材を構成するフィルムの変形等の影響を低下することが可能であり、プレッシャークッカー試験後の防湿性の低下を防止することが可能である。
本発明において、上記防湿フィルムは水蒸気透過率が1[g/m2・日]未満である。防湿フィルムの水蒸気透過率は低ければ低いほど、防湿フィルムが変形することによる水蒸気透過率(防湿性)の劣化は著しく、フッ素系樹脂フィルムからの残留応力を緩和し、変形を免れる必要が生じる。したがって、本発明の構成によれば、特に、防湿フィルムとしてより水蒸気透過率が低いフィルム、すなわち、防湿性に優れるフィルムを使用する場合に、その防湿性を維持する効果が顕著に表れる。
すなわち、本発明における防湿フィルムの好ましい水蒸気透過率は、好ましくは0.7[g/m2・日]以下、より好ましくは0.5[g/m2・日]以下、より好ましくは0.2[g/m2・日]以下、より好ましくは0.05[g/m2・日]以下であり、更に好ましくは、0.03[g/m2・日]以下である。なお、水蒸気透過率は、JIS Z0208「防湿包装材量の透湿度試験方法(カップ法)」の諸条件に準じ評価することができ、具体的には後述のように測定することができる。
(フッ素系樹脂フィルム)
本発明の太陽電池用保護材には、耐加水分解性や耐光性を備え、長期の耐久性を付与するために、上記防湿フィルムの無機層側にフッ素系樹脂フィルムが積層される。
前記フッ素系樹脂フィルムは、耐候性を有するものであれば以下に限定されないが、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、4−フッ化エチレン−パークロロアルコキシ共重合体(PFA)、4−フッ化エチレン−6−フッ化プロピレン共重合体(FEP)、2−エチレン−4−フッ化エチレン共重合体(ETFE)、ポリ3−フッ化塩化エチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)の樹脂に紫外線吸収剤を練り込んだ樹脂組成物を成膜したものが好ましく用いられる。
長期耐久性の観点からは、上記樹脂としては、2−エチレン−4−フッ化エチレン共重合体(ETFE)、4−フッ化エチレン−6−フッ化プロピレン共重合体(FEP)がより好ましく用いられる。
真空ラミネーション時や高温高湿時の温度・湿度変化においてもその特性変化が小さいことが好ましいことから、事前の熱処理による低収縮率化等が行われたフィルムを好ましく使用される。
なお、上記紫外線吸収剤としては、前述の背面フィルムに含有される紫外線吸収剤と同様のものが使用できる。また、着色剤としては、酸化チタン、炭酸カルシウム等が使用できる。上記樹脂は前記列挙した樹脂の1種を単独で用いることもできるが2種以上組合せて使用することもできる。
前記フッ素系樹脂フィルムの厚さは、一般に20〜200μm程度であり、フィルムの取り扱いやすさとコストの点から20〜100μmが好ましく、20〜50μmがより好ましい。
真空ラミネーションにおいて、保護材を製造する積層工程で生じたフッ素系樹脂内の残留歪を軽減し、高温高湿時における保護材層内の残留応力を低減する効果を得るためには、真空ラミネーション時の温度付近に融点をもつフィルム、すなわち、融点が180℃以下のフィルムを用いることが望ましい。また、前記融点が上記の温度範囲内のフッ素系樹脂フィルムフィルムを用いることで、真空ラミネーション時の温度で、それまでの工程で加えられた力の履歴や熱履歴によって生じたフィルム内の分子、結晶配向を緩和させ残留歪を低減させることができる。したがって、フッ素系樹脂としてはフッ素系フィルムの中でもポリフッ化ビニリデン(PVDF)が好ましい。
また、フッ素系樹脂として、真空ラミネーション時や高温高湿時の温度・湿度変化においてもその特性変化が小さいことが好ましいことから、事前の熱処理等による低収縮率化等が行われたフィルムが好ましく使用される。
フッ素系樹脂フィルムの厚さは、一般に20〜200μm程度であり、フィルムの取り扱いやすさとコストの点から20〜100μmが好ましく、20〜50μmがより好ましい。
(接着層)
本発明の保護材は、前記背面フィルムと前記防湿フィルム、前記防湿フィルムと前記フッ素系樹脂とがそれぞれ接着層を介して直接貼り合わせてなるものである。
使用できる接着剤としては、ポリウレタン系接着剤が好ましく用いられ、接着剤の主剤として具体的には、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、ポリウレタンポリオールあるいはポリエステルポリオールを含む組成物等が挙げられるが、熱安定性、湿度安定性等の観点から、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール、及びポリウレタンポリオールのうち少なくとも1つを含むものがより好ましい。各層間の密着性を高めるために、フッ素系樹脂フィルムや背面フィルムにコロナ処理、アンカーコート層を設けてもよい。
(太陽電池用保護材)
本発明の太陽電池用保護材は、前記背面フィルム、防湿フィルム及びフッ素系樹脂が、それぞれ接着層を介して直接積層されてなるものであって、背面フィルム、防湿フィルム、フッ素系樹脂フィルムの各々の間に高融点中間フィルム等の他の中間層を含まない。
また、本発明の太陽電池用保護材は、暴露側から、フッ素系樹脂/接着層/防湿フィルム/接着層/背面フィルムの順で構成されることが好ましく、フッ素系樹脂フィルムと背面フィルムの間に防湿フィルム以外の他の中間層、特に高融点中間フィルムを含まない構成であることが好ましい。
本発明の太陽電池用保護材の各層には、更に、公知の添加剤を配合することができる。このような添加剤としては、例えば、例えば、帯電防止剤、光線遮断剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、フィラー、着色剤、安定剤、潤滑剤、架橋剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤等が挙げられ、保護材を構成する各層に、通常、0.01〜2.0質量%程度であり、0.05〜0.5質量%添加することが好ましい。
本発明の太陽電池用保護材の厚みは、通常、200〜400μmであり、1000ボルト以上の部分放電に対する絶縁性と取り扱いの観点から、230〜300μmであることが好ましい。
本発明の太陽電池用保護材の製造方法については特に制限はないが、例えば、フッ素系樹脂の一方の面に接着剤塗液を塗布し、防湿フィルムをドライラミネートにより貼り合わせた後、得られたフィルムの防湿フィルム側に接着剤塗液を塗布し、背面フィルムをドライラミネートにより貼り合わせる方法、フッ素系樹脂及び防湿フィルムの間、及び防湿フィルム及び背面フィルムの間に接着剤塗液を塗布しドライラミネートにより一括して貼り合わせる方法、あるいは、これらに準ずる方法のいずれも使用することができる。
<太陽電池モジュール>
本発明の太陽電池モジュールは、本発明の太陽電池用保護材を有する構成である。すなわち、これにより、本発明の太陽電池モジュールは、高融点中間フィルムを使用しなくても、外観及び軽量化に優れる太陽電池モジュールである。さらに、本発明の太陽電池モジュールは、外観不良を引き起こす変形が防止されることにより、電力の取り出し配線に損傷を受けにくく、長期耐久性を実現することができる。
なお、本発明の太陽電池用保護材は、透光性や厚みの点から、太陽電池モジュールにおいて裏面保護材として使用されることが好ましい。
このような太陽電池モジュールとしては、種々の構成のものを例示することができ、例えば、前面保護材として本発明の太陽電池用保護材以外のもの、封止材、太陽電池素子、封止材と裏面保護材として本発明の保護材とを用いて作製された太陽電池モジュールが挙げられる。
太陽電池素子としては、例えば、単結晶シリコン型、多結晶シリコン型、アモルファスシリコン型、ガリウム−砒素、銅−インジウム−セレン、カドミウム−テルル等のIII−V族やII−VI族化合物半導体型、色素増感型、有機薄膜型等が挙げられる。
本発明の太陽電池用保護材を用いて作製された太陽電池モジュールを構成する各部材については、特に限定されるものではないが、本発明の太陽電池用保護材を裏面保護材として使用し、前面保護材としては本発明の太陽電池用保護材以外のものを使用する場合は、金属や各種熱可塑性樹脂フィルム等の単層もしくは多層のシートを使用することができる。金属や各種熱可塑性樹脂フィルム等の単層もしくは多層のシートとしては、例えば、スズ、アルミニウム、ステンレス等の金属、ガラス等の無機材料、ポリエステル、無機物蒸着ポリエステル、フッ素含有樹脂、ポリプロピレン等の単層もしくは多層の保護材を挙げることができる。前面保護材の表面には、封止材や他の部材との接着性を向上させるためにプライマー処理やコロナ処理等の公知の表面処理を施すことができる。また、封止材としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)フィルムやアイオノマーを挙げることができる。本発明の太陽電池用保護材を使用することによれば、有機過酸化物からなる架橋剤を有するEVAやポリエチレンフィルムのような真空ラミネーションにより収縮するフィルムを封止材として使用しても、シワ発生等の外観不良を抑えることができるため、封止材の選択幅が広がり好ましい。
本発明の太陽電池モジュールは、前面保護材、封止材、発電素子、封止材、本発明の保護材を、常法に従って、真空ラミネーターで温度120〜160℃、脱気時間2〜15分、プレス圧力0.5〜1atm、プレス時間8〜45分で加熱加圧着することにより容易に製造することができる。
本発明の太陽電池用保護材を用いて本発明の太陽電池モジュールを製造するには、従来の保護材の代りに本発明の太陽電池用保護材を用いて公知の方法により、作製すればよい。
太陽電池モジュールの製造方法としては、特に限定されるものではないが、前面保護シート、封止樹脂層、太陽電池素子、封止材、本発明の保護材の順に積層する工程と、それらを真空吸引し加熱圧着する工程を経ることが一般的である。また、バッチ式の製造設備やロール・ツー・ロール式の製造設備等も適用することができる。
本発明の太陽電池用保護材を用いて作製された太陽電池モジュールを既述した前面保護シート/太陽電池素子/封止材/本発明の保護材のような構成のものを例として説明する。太陽光受光側から順に、前面保護シート、封止材、太陽電池素子、封止材、本発明の保護材が積層されてなり、さらに、バックシートの下面にジャンクションボックス(太陽電池素子から発電した電気を外部へ取り出すための配線を接続する端子ボックス)が接着されてなる。太陽電池素子は、発電電流を外部へ電導するために配線により連結されている。配線は、バックシートに設けられた貫通孔を通じて外部へ取り出され、ジャンクションボックスに接続されている。
以下に、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、これらの実施例及び比較例により本発明は何ら制限を受けるものではない。なお、種々の物性の測定及び評価は次のようにして行った。
[物性測定]
(1)防湿フィルムの防湿性
防湿フィルムの防湿性は、防湿フィルム作成後、一週間40℃保管後の時点における水蒸気透過率として、JIS Z 0222「防湿包装容器の透湿度試験方法」、JIS Z 0208「防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法)」の諸条件に順じ、以下の手法で測定した。
透湿面積10.0cm×10.0cm角の防湿フィルムを2枚用い、吸湿剤として無水塩化カルシウム約20gを入れ四辺を封じた袋を作製し、その袋を温度40℃相対湿度90%の恒温恒湿装置に入れ、72時間以上の間隔でおよそ200日目まで質量測定し、4日目以降の経過時間と袋質量との回帰直線の傾きから水蒸気透過率(g/m2・日)を算出した。
(2)プレッシャークッカー試験後の防湿性
太陽電池用保護材(E−1〜E−4)については、各構成フィルムを貼合し、養生した後の測定値を初期防湿性とし、当該養生後に、ガラス、封止材、太陽電池用保護材(フッ素系樹脂フィルムが外側)を積層し、150℃で30分の条件での真空ラミネートを行い、続いてプレッシャークッカー試験を行い、その後の太陽電池用保護材を取り出しプレッシャークッカー試験後の防湿性を先述の方法で測定した。
なお、プレッシャークッカー試験は、プレッシャークッカー試験装置((株)トミー精工製、商品名:LSK−500)を用い、120℃、湿度100%、32時間の試験条件で行った。
防湿性劣化度は、[プレッシャークッカー試験(PC32)後の水蒸気透過率/初期水蒸気透過率]により算出し、以下の評価基準に従って評価した。
○:初期の防湿フィルムの水蒸気透過率に対してプレッシャークッカー試験後の水蒸気透過率が3倍未満である。
×:初期の防湿フィルムの水蒸気透過率に対してプレッシャークッカー試験後の水蒸気透過率が3倍以上である。
(3)溶剤使用量
本出願の溶剤使用量は使用した接着剤塗液の固形分濃度(本実施例では30%)から残りの質量%(本実施例では70%)と1m2当たりの接着剤塗工量から求めた1m2当たりの理論使用量である。
(4)真空ラミネーション後の外観判定
前面保護材として厚み3mmの白板ガラス(サイズ:150mm×150mm)、封止材、裏面保護材として以下に説明する積層フィルムを順次積層し、これを真空ラミネーター((株)エヌ・ピー・シー社製、商品名:LM30×30)を用いて、150℃、10分、圧力0.1MPaの条件で積層プレスした試料を作製し、その外観を観察し、以下の評価基準に従って評価した。
○:裏面保護材表面にシワがなく良好な太陽電池モジュールが得られる。
×:裏面保護材表面にシワが見られる。
(5)フィルムの融点
示差走査熱量計(ティー・エイ・インスツルメント社製、商品名:Q20)を用いて、JIS K7121に準じて、フィルム試料約10mgを加熱速度10℃/分で−40℃から200℃まで昇温し、融解ピークを確認、200℃で1分間保持した後、冷却速度10℃/分で−40℃まで降温し、再度、加熱速度10℃/分で200℃まで昇温した時に測定されたサーモグラムから結晶融解ピーク温度の中で最大ピークを融点(Tm)[℃]として求めた。
<接着剤塗液>
ポリカーボネートポリオール成分を含む主剤としてA1102(商品名、三井化学ポリウレタン(株)製)を用い、脂肪族系のヘキサメチレンジイソシアナート成分を含む硬化剤としてA3070(商品名、三井化学ポリウレタン(株)製)を使用し、上記の主剤A1102:硬化剤A3070=16:1(質量比)となるように混合し、固形分濃度が30質量%となるように酢酸エチルで希釈して接着剤塗液を調製した。
[構成フィルム]
<背面フィルム>
(背面フィルムA−1)
アイソタクチックポリプロピレン樹脂に、白色化剤としての酸化チタン(8質量%)と紫外線吸収剤としての超微粒子酸化チタン(粒子径、0.01〜0.06μm、3質量%)とを添加し、その他、所要の添加剤を添加し、十分に混練してポリプロピレン樹脂組成物を調製し、次いで、該ポリプロピレン樹脂組成物を押出機で押し出して、厚さ190μmの無延伸ポリプロピレン樹脂製背面フィルムA−1を製造した(融点130℃)。
(背面フィルムA−2)
低密度ポリエチレン樹脂に、白色化剤としての酸化チタン(10質量%)と紫外線吸収剤としての超微粒子酸化チタン(粒子径、0.01〜0.06μm、0.5質量%)とを添加し、その他、所要の添加剤を添加し、十分に混練してポリエチレン樹脂組成物を調製し、次いで、該ポリエチレン樹脂組成物を押出機で押し出して、厚さ200μmの無延伸ポリエチレン樹脂製背面フィルムA−2を製造した(融点110℃)。
<高融点中間フィルム>
高融点中間フィルムとして、厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱樹脂(株)製、商品名:ダイヤホイルT100、融点253℃)を使用した。
<防湿フィルム>
(防湿フィルムB−1)
厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱樹脂(株)製、商品名:ダイヤホイルT100)を用い、そのコロナ処理面に、イソシアネート化合物(日本ポリウレタン工業(株)製、商品名:コロネートL)50質量%と非晶性ポリエステル樹脂(東洋紡績(株)製、商品名:バイロン300)50質量%との混合樹脂からなるコート液を塗布乾燥して、厚さ0.1μmのコート層を形成した。
次いで、真空蒸着装置を使用して1.33×10-3Pa(1×10-5Torr)の真空下でSiOを加熱蒸発させ、コート層上に厚さ50nmのSiOx(x=1.5)薄膜を有する防湿フィルムB−1を得た。作成した防湿フィルムB−1の防湿性は0.2[g/m2・日]であった。
(防湿フィルムB−2)
防湿フィルムB−1の作成において、基材フィルムを、厚み38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱樹脂(株)製、商品名:ダイヤホイルT100)に変更したこと以外は同様にして防湿フィルムB−2を作成した。作成した防湿フィルムB−2の防湿性(水蒸気透過率)は0.2[g/(m2・日)]であった。
(防湿フィルムB−3)
厚み12μmのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムにシリカを蒸着したフィルム(三菱樹脂(株)製、商品名:テックバリアLX)を使用した。防湿フィルムB−3の防湿性(水蒸気透過率)は0.2[g/(m2・日)]であった。
<フッ素系樹脂フィルム>
(フッ素系樹脂フィルムC−1)
厚み30μmのポリフッ化ビニリデン(PVDF)系フィルム(アルケマ(株)製、商品名:Kynar 302−PGM−TR、融点166℃)を使用した。
<封止材>
(封止材D−1)
厚み500μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)(ブリヂストン(株)製、商品名:EVASKY S11)を使用した。
実施例1
フッ素系樹脂フィルムC−1に接着剤塗液を固形分6g/m2(厚み:6μm)となるよう塗布乾燥し、ドライラミネートによって防湿フィルムB−1の無機層面を貼合し、更に貼合した積層体の防湿フィルムB−1面に接着剤塗液を固形分6g/m2となるよう塗布乾燥し、ドライラミネートによって、予めコロナ処理を施して処理直後のぬれ張力54mN/mとした背面フィルムA−1のコロナ処理面に貼合した。その後40℃で5日間養生し、厚み282μmの裏面保護材E−1を作製した。本裏面保護材の製造に要した溶剤量は計40g/m2であった。
また、前面保護材として厚み3mmの白板ガラス、封止材D−1、及び裏面保護材として前記裏面保護材E−1を使用して太陽電池用モジュールを作製し、上記の方法により真空ラミネーション後の外観を評価した。その後、プレッシャークッカー試験を実施し、前記裏面保護材E−1を取り出し防湿性を測定した。結果を表1に示す。
実施例2
防湿フィルムB−1を防湿フィルムB−2に変更したこと以外は実施例1と同様にして、厚み282μmの裏面保護材E−2を作製した。本裏面保護材の製造に要した溶剤量は計40g/m2であった。
また、太陽電池用保護材E−1を太陽電池用保護材E−2に変更したこと以外は実施例1と同様にして太陽電池用モジュールを作製し、真空ラミネーション後の外観の評価、並びにプレッシャークッカー試験後の防湿性の測定を行った。結果を表1に示す。
比較例1
防湿フィルムB−1を防湿フィルムB−3に変更したこと以外は実施例1と同様にして、厚み244μmの裏面保護材E−3を作製した。本裏面保護材の製造に要した溶剤量は計40g/m2であった。
また、太陽電池用保護材E−1を太陽電池用保護材E−3に変更したこと以外は実施例1と同様にして太陽電池用モジュールを作製し、真空ラミネーション後の外観の評価、並びにプレッシャークッカー試験後の防湿性の測定を行った。結果を表1に示す。
比較例2
背面フィルムA−1を背面フィルムA−2に変更したこと以外は実施例1と同様にして、厚み254μmの裏面保護材E−4を作製した。本裏面保護材の製造に要した溶剤量は計40g/m2であった。
また、太陽電池用保護材E−1を太陽電池用保護材E−4に変更したこと以外は実施例1と同様にして太陽電池用モジュールを作製し、真空ラミネーション後の外観の評価、並びにプレッシャークッカー試験後の防湿性の測定を行った。結果を表1に示す。
参考例1
フッ素系樹脂フィルムC−1に接着剤塗液を固形分6g/m2(厚み:6μm)となるよう塗布乾燥し、ドライラミネートによって防湿フィルムB−3の無機層面を貼合し、更に貼合した積層体の防湿フィルムB−3面に接着剤塗液を固形分6g/m2となるよう塗布乾燥し、ドライラミネートによって高融点中間フィルムを貼合した。その後、貼合した積層体の高融点中間フィルム面に接着剤塗液を固形分6g/m2となるよう塗布乾燥し、ドライラミネートによって、予めコロナ処理を施して処理直後のぬれ張力54mN/mとした背面フィルムA−1のコロナ処理面に貼合した。その後40℃で5日間養生し、厚み350μmの裏面保護材E−5を作製した。本裏面保護材の製造に要した溶剤量は計60g/m2であった。
また、太陽電池用保護材E−1を太陽電池用保護材E−5に変更したこと以外は実施例1と同様にして太陽電池用モジュールを作製し、真空ラミネーション後の外観の評価、並びにプレッシャークッカー試験後の防湿性の測定を行った。結果を表1に示す。
Figure 2013214555
表1から明らかなように、防湿フィルムの基材厚みが25μm未満である比較例1の太陽電池用保護材では、真空ラミネーション後にシワが発生し、プレッシャークッカー試験後の防湿性が顕著に低下した。背面フィルムの融点が130℃未満である比較例2の太陽電池用保護材では、真空ラミネーション後にシワが発生した。高融点中間フィルムを用いた参考例1の太陽電池用保護材では、真空ラミネーション後の外観は良好であったが、プレッシャークッカー試験後の防湿性が低下した。さらに、参考例1の太陽電池用保護材では、積層構成フィルム数が増加するため、製造プロセスが複雑化するとともに軽量化を達成することができず、しかも溶剤使用量が増加する。
これらに対し、実施例1及び2の太陽電池用保護材はいずれも外観に優れ、かつ、防湿性に優れる。
本発明の太陽電池用保護材は、外観不良の問題を解消し、防湿性に優れる。本発明の太陽電池用保護材を使用する太陽電池モジュールは、良好な外観を実現することができるのみならず、発電効率の低下を防止できる。

Claims (8)

  1. 厚みが25μm以上の基材の少なくとも一方の面に無機層を有し、水蒸気透過率が1[g/m2・日]未満である防湿フィルムを有する太陽電池用保護材であって、前記防湿フィルムの無機層側にフッ素系樹脂フィルムを有し、かつ前記防湿フィルムの無機層と反対側の面に、直接あるいは接着剤を介して、融点が130℃以上180℃以下の背面フィルムを有する、太陽電池用保護材。
  2. JIS C 60068−2−66に準じるプレッシャークッカーテスト(条件:120℃、32時間)後の水蒸気透過率が初期の防湿フィルムの水蒸気透過率に対して3倍未満である、請求項1に記載の太陽電池保護材。
  3. 前記背面フィルムが、ポリプロピレン、ポリ乳酸、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、及び酪酢酸セルロース樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1つを含有する樹脂組成物を成膜したものである、請求項1又は2に記載の太陽電池用保護材。
  4. 前記背面フィルムが、ポリプロピレン樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリフッ化ビニル樹脂又はポリフッ化ビニリデン樹脂の1つ又は複数を50質量%以上含有するものである、請求項1〜3のいずれかに記載の太陽電池用保護材。
  5. 前記フッ素系樹脂フィルムが、ポリテトラフルオロエチレン、4−フッ化エチレン−パークロロアルコキシ共重合体、4−フッ化エチレン−6−フッ化プロピレン共重合体、2−エチレン−4−フッ化エチレン共重合体、ポリ3−フッ化塩化エチレン、又はポリフッ化ビニリデンのいずれかから選ばれる少なくとも1つの樹脂組成物を成膜したものである、請求項1〜4のいずれかに記載の太陽電池用保護材。
  6. 太陽電池用裏面保護材である、請求項1〜5のいずれかに記載の太陽電池用保護材。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の太陽電池用保護材を有する太陽電池用モジュール。
  8. 請求項1〜6のいずれかに記載の太陽電池用保護材及びエチレン−酢酸ビニル共重合体フィルムを有する太陽電池用モジュール。
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