JP2013209632A - グルコマンナンエステル誘導体及びその製造方法、並びにポリマー成形体 - Google Patents

グルコマンナンエステル誘導体及びその製造方法、並びにポリマー成形体 Download PDF

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Tadahisa Iwata
忠久 岩田
Yukiko Rogers
有希子 ロジャース
Yusuke Omomo
佑介 大桃
Takahiro Danjo
隆寛 壇上
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Abstract

【課題】強度や柔軟性を調整可能なグルコマンナンエステル誘導体及びその製造方法、並びに前記グルコマンナンエステル誘導体を含有するポリマー成形体の提供。
【解決手段】グルコマンナンエステル誘導体であって、前記グルコマンナンにおける複数の水酸基の少なくとも1つがエステル化され、炭素数が3以上のアルキルカルボニル基で置換されてなるグルコマンナンエステル誘導体、前記グルコマンナンエステル誘導体を含有するポリマー成形体などである。
【選択図】図12B

Description

本発明は、グルコマンナンエステル誘導体及びその製造方法、並びに前記グルコマンナンエステル誘導体を含有するポリマー成形体に関する。
プラスチック材料の大半は、石油から合成されているが、化石資源は限られていることから、再生産可能資源であるバイオマスからのプラスチック生産が望まれている。
木材成分であるセルロースは、古くから工業材料として利用されており、エステル化あるいはエーテル化などにより熱可塑性プラスチックへと変換され、フィルムや繊維等に成形加工して利用されている(例えば、特許文献1〜3参照)。また、トウモロコシやサトウキビから抽出したデンプンは、グルコースに糖化された後、乳酸発酵により乳酸へと変換され、その後、金属触媒によりポリ乳酸へと変換され、フィルムや使い捨ての食器などに利用されている。
現在、バイオマスを原料として製造されているバイオマスプラスチックは、ポリ乳酸にほぼ限定されており、その種類の多様性、様々な物性を有するバイオマスプラスチックの開発が望まれている。
グルコマンナンは、木材成分の一つであるヘミセルロースの一種であると共に、コンニャクの成分でもあり、非常に多く存在するバイオマスの一つである。
特開平07−070202号公報 特開2007−099876号公報 特表2002−534566号公報
本発明は、強度や柔軟性を調整可能なグルコマンナンエステル誘導体及びその製造方法、並びに前記グルコマンナンエステル誘導体を含有するポリマー成形体を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> グルコマンナンエステル誘導体であって、前記グルコマンナンにおける複数の水酸基の少なくとも1つがエステル化され、炭素数が3以上のアルキルカルボニル基で置換されてなることを特徴とするグルコマンナンエステル誘導体である。
<2> アルキルカルボニル基が、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、デカノイル基、及びラウロイル基の少なくともいずれかである前記<1>に記載のグルコマンナンエステル誘導体である。
<3> 更にグルコマンナンにおける複数の水酸基の少なくとも1つがエステル化され、アセチル基で置換されてなる請求項1から2のいずれかに記載のグルコマンナンエステル誘導体である。
<4> アルキルカルボニル基の置換度が、0超3以下である前記<1>から<3>のいずれかに記載のグルコマンナンエステル誘導体である。
<5> 数平均分子量が、50,000以上である前記<1>から<4>のいずれかに記載のグルコマンナンエステル誘導体である。
<6> 前記<1>から<5>のいずれかに記載のグルコマンナンエステル誘導体を含有することを特徴とするポリマー成形体である。
<7> 熱溶融法により成型される前記<6>に記載のポリマー成形体である。
<8> グルコマンナンとカルボン酸とを反応させて、前記グルコマンナンにおける複数の水酸基の少なくとも1つをエステル化するエステル化工程を少なくとも含むことを特徴とするグルコマンナンエステル誘導体の製造方法である。
<9> グルコマンナンが、コンニャクグルコマンナンである前記<8>に記載のグルコマンナンエステル誘導体の製造方法である。
<10> カルボン酸が、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、及びラウリン酸の少なくともいずれかである前記<8>から<9>のいずれかに記載のグルコマンナンエステル誘導体の製造方法である。
<11> エステル化工程が、40℃〜60℃で、1時間〜6時間行われる前記<8>から<10>のいずれかに記載のグルコマンナンエステル誘導体の製造方法である。
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、強度や柔軟性を調整可能なグルコマンナンエステル誘導体及びその製造方法、並びに前記グルコマンナンエステル誘導体を含有するポリマー成形体を提供することができる。
図1は、グルコマンナン(GM)及び本発明のグルコマンナンエステル誘導体のIRスペクトルの一例を示す図である。 図2Aは、グルコマンナンアセテート(GMAc)のNMRスペクトルの一例を示す図である。 図2Bは、グルコマンナンプロピオネート(GMPr)のNMRスペクトルの一例を示す図である。 図2Cは、グルコマンナンブチレート(GMBu)のNMRスペクトルの一例を示す図である。 図2Dは、グルコマンナンバレレート(GMVa)のNMRスペクトルの一例を示す図である。 図2Eは、グルコマンナンヘキサノエート(GMHe)のNMRスペクトルの一例を示す図である。 図2Fは、グルコマンナンオクタノエート(GMOc)のNMRスペクトルの一例を示す図である。 図2Gは、グルコマンナンデカノエート(GMDe)のNMRスペクトルの一例を示す図である。 図2Hは、グルコマンナンラウレート(GMLa)のNMRスペクトルの一例を示す図である。 図3Aは、グルコマンナン(GM)及び本発明のグルコマンナンエステル誘導体のTGAサーモグラムの一例を示す図である。 図3Bは、図3Aにおけるグルコマンナン(GM)のTGAサーモグラムを示す図である。 図3Cは、図3Aにおけるグルコマンナンアセテート(GMAc)のTGAサーモグラムを示す図である。 図3Dは、図3Aにおけるグルコマンナンプロピオネート(GMPr)のTGAサーモグラムを示す図である。 図3Eは、図3Aにおけるグルコマンナンブチレート(GMBu)のTGAサーモグラムを示す図である。 図3Fは、図3Aにおけるグルコマンナンバレレート(GMVa)のTGAサーモグラムを示す図である。 図3Gは、図3Aにおけるグルコマンナンヘキサノエート(GMHe)のTGAサーモグラムを示す図である。 図3Hは、図3Aにおけるグルコマンナンオクタノエート(GMOc)のTGAサーモグラムを示す図である。 図3Iは、図3Aにおけるグルコマンナンデカノエート(GMDe)のTGAサーモグラムを示す図である。 図3Jは、図3Aにおけるグルコマンナンラウレート(GMLa)のTGAサーモグラムを示す図である。 図4は、本発明のグルコマンナンエステル誘導体のDSC曲線の一例を示す図である。 図5Aは、グルコマンナンアセテート(GMAc)からなるキャストフィルムの一例を示す図である。 図5Bは、グルコマンナンプロピオネート(GMPr)からなるキャストフィルムの一例を示す図である。 図5Cは、グルコマンナンブチレート(GMBu)からなるキャストフィルムの一例を示す図である。 図5Dは、グルコマンナンバレレート(GMVa)からなるキャストフィルムの一例を示す図である。 図5Eは、グルコマンナンヘキサノエート(GMHe)からなるキャストフィルムの一例を示す図である。 図5Fは、グルコマンナンオクタノエート(GMOc)からなるキャストフィルムの一例を示す図である。 図5Gは、グルコマンナンデカノエート(GMDe)からなるキャストフィルムの一例を示す図である。 図5Hは、グルコマンナンラウレート(GMLa)からなるキャストフィルムの一例を示す図である。 図6は、本発明のグルコマンナンエステル誘導体からなるキャストフィルムのX線回折スペクトルの一例を示す図である。 図7Aは、本発明のグルコマンナンエステル誘導体からなるキャストフィルムのDMA測定により得られた貯蔵弾性率の一例を示す図である。 図7Bは、本発明のグルコマンナンエステル誘導体からなるキャストフィルムの損失正接(tanδ)のサーモグラムの一例を示す図である。 図8Aは、本発明のグルコマンナンエステル誘導体からなるキャストフィルムの引張り試験の応力−ひずみ曲線の一例を示す図である。 図8Bは、図8Aにおけるグルコマンナンアセテート(GMAc)からなるキャストフィルムの引張り試験の応力−ひずみ曲線を示す図である。 図8Cは、図8Aにおけるグルコマンナンプロピオネート(GMPr)からなるキャストフィルムの引張り試験の応力−ひずみ曲線を示す図である。 図9は、グルコマンナンラウレート(GMLa)からなるフィルム(延伸前)と、それを手で3倍に延伸したフィルム(延伸後)の写真の一例を示す図である。 図10Aは、本発明のグルコマンナンエステル誘導体からなるキャストフィルムのサーモグラムの一例を示す図である。実線は、0.03Nの荷重をかけて引張りモードによって測定を行ったサーモグラムを示し、破線は、230℃で5分間熱処理したGMAcフィルムのサーモグラムを示す。 図10Bは、図10Aにおけるグルコマンナンヘキサノエート(GMHe)からなるキャストフィルムのサーモグラムを示す図である。 図10Cは、図10Aにおけるグルコマンナンオクタノエート(GMOc)からなるキャストフィルムのサーモグラムを示す図である。 図11は、グルコマンナンブチレート(GMBu)の外観の一例を示す図である。 図12Aは、グルコマンナンブチレート(GMBu)からなる熱溶融フィルムの一例を示す図である。 図12Bは、図12Aのグルコマンナンブチレート(GMBu)からなる熱溶融フィルムを曲げた状態を示す図である。 図13Aは、グルコマンナンエステル誘導体A0/B20(GMBu)のNMRスペクトルの一例を示す図である。 図13Bは、グルコマンナンエステル誘導体A1/B19のNMRスペクトルの一例を示す図である。 図13Cは、グルコマンナンエステル誘導体A4/B16のNMRスペクトルの一例を示す図である。 図13Dは、グルコマンナンエステル誘導体A8/B12のNMRスペクトルの一例を示す図である。 図13Eは、グルコマンナンエステル誘導体A10/B10のNMRスペクトルの一例を示す図である。 図13Fは、グルコマンナンエステル誘導体A14/B6のNMRスペクトルの一例を示す図である。 図13Gは、グルコマンナンエステル誘導体A18/B2のNMRスペクトルの一例を示す図である。 図13Hは、グルコマンナンエステル誘導体A20/B0(GMAc)のNMRスペクトルの一例を示す図である。 図14は、グルコマンナン(GM)及び本発明のグルコマンナンエステル誘導体のTGAサーモグラムの一例を示す図である。 図15は、本発明のグルコマンナンエステル誘導体のDSC曲線の一例を示す図である。 図16は、本発明のグルコマンナンエステル誘導体におけるアセチル基置換度に対するガラス転移温度(T)の一例を示す図である。 図17Aは、グルコマンナンエステル誘導体A1/B19からなるキャストフィルムの一例を示す図である。 図17Bは、グルコマンナンエステル誘導体A18/B2からなるキャストフィルムの一例を示す図である。 図18Aは、本発明のグルコマンナンエステル誘導体からなるキャストフィルムのDMA測定により得られた貯蔵弾性率の一例を示す図である。 図18Bは、本発明のグルコマンナンエステル誘導体からなるキャストフィルムの損失正接(tanδ)のサーモグラムの一例を示す図である。 図19は、本発明のグルコマンナンエステル誘導体からなるキャストフィルムの引張り試験の応力−ひずみ曲線の一例を示す図である。 図20は、本発明のグルコマンナンエステル誘導体からなるキャストフィルムのサーモグラムの一例を示す図である。 図21は、本発明のグルコマンナンエステル誘導体からなるキャストフィルムの透過スペクトルの一例を示す図である。 図22Aは、本発明のグルコマンナンエステル誘導体からなるキャストフィルムにおけるアセチル基置換度と、酸素透過性及び窒素透過性との関係の一例を示す図である。 図22Bは、本発明のグルコマンナンエステル誘導体からなるキャストフィルムにおけるアセチル基置換度と、水蒸気透過性との関係の一例を示す図である。
(グルコマンナンエステル誘導体の製造方法)
本発明のグルコマンナンエステル誘導体の製造方法は、少なくともエステル化工程を含み、必要に応じて、更にその他の工程を含む。
<エステル化工程>
前記エステル化工程は、グルコマンナンとカルボン酸とを反応させて、前記グルコマンナンにおける複数の水酸基の少なくとも1つをエステル化する工程である。
<<グルコマンナン>>
前記グルコマンナン(「グルコマンノグリカン」ともいう。)は、下記に示すようなD−グルコース及びD−マンノースの2種の構造単位を含む多糖である。
前記グルコマンナンの原料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、コンニャク(Amorphophallus konjac)が代表的である。前記グルコマンナンエステル誘導体は、もっぱら食品に用いられているコンニャク由来のグルコマンナンを原料にすることができるため、安全性が高い点で有利である。
ただし、前記D−グルコース及び前記D−マンノースの構造式において、n及びmは、それぞれ自然数を表す。なお、前記自然数は、重合度を表す。前記重合度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記コンニャク由来のグルコマンナン(以下、単に「コンニャクグルコマンナン」と称することがある)は、D−グルコースとD−マンノースとが、1:1.6のモル比でβ1−4結合したヘテロ多糖であり、高い分子量(数平均分子量(Mn)=1.12×10)、や水に可溶な性質を有する。
前記グルコマンナンを入手する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、コンニャク原料より抽出する方法、市販品を用いる方法などが挙げられる。
前記コンニャク原料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、コンニャクの根(コンニャクイモ)、塊茎、茎などが挙げられる。
前記コンニャク原料の状態としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、原料の形態そのままであってもよいが、粉末状物(コンニャク粉)であることが、抽出効率がよい点で好ましい。
前記コンニャク粉には、荒粉と呼ばれる粗製コンニャク粉;風選によりデンプン、繊維等の不純物を除去した精粉と呼ばれる部分的に精製したコンニャク粉;精粉を凍結状態で又はエタノールを加え湿式粉砕して得られる速溶性微粉末コンニャク粉などが挙げられる。
前記グルコマンナンを前記コンニャク原料より抽出する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、コンニャク原料をアルコール水溶液で抽出する方法、酸性条件下で加熱して抽出する方法などが挙げられる。
具体的には、特開2008−206404号公報、特開2008−035818号公報、特開2004−097147号公報などに記載の方法を用いることができる。
前記グルコマンナンの市販品としては、例えば、プロポール(登録商標)A、レオレックス(登録商標)RS、レオレックス(登録商標)LM、プロポール(登録商標)ISLB、ホワイトプロポール(登録商標)ISLB(以上、清水化学株式会社製)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
<<カルボン酸>>
前記カルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸などが挙げられる。前記飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸は、直鎖であってもよく、分岐鎖であってもよい。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記カルボン酸の炭素数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1〜20が好ましく、1〜12がより好ましい。前記炭素数が、20を超えると、エステル化反応させる際の溶液が均一にならず反応が進行しにくいことがある。前記グルコマンナンエステル誘導体の製造方法により得られるグルコマンナンエステル誘導体を後述するポリマー成形体に用いる場合、前記カルボン酸の炭素数を適宜選択することにより、前記ポリマー成形体の強度又は柔軟性を所望の性能に調整することができる。
また、炭素数の異なる2種以上のカルボン酸を用い、それらの混合比を適宜選択することにより、前記ポリマー成形体の強度又は柔軟性を所望の性能に調整することもできる。
前記飽和脂肪酸の具体例としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ラウリン酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、リグノセリン酸、ベヘン酸等の飽和脂肪族モノカルボン酸などが挙げられる。
前記カルボン酸は、これらの中でも、直鎖飽和脂肪酸が好ましく、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、及びラウリン酸の少なくともいずれかが特に好ましい。
前記カルボン酸は、前記エステル化工程において、適宜選択した溶媒に溶解させて使用されることが好ましい。
前記カルボン酸の添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、グルコマンナン1質量部に対し、40質量部〜60質量部が好ましい。前記カルボン酸の添加量が、40質量部未満であると、エステル化反応させる際の溶液の粘度が高く反応しにくいことがあり、60質量部を超えると、前記溶液中の溶媒量が多く効率が悪いことや、後処理の再沈殿操作後の収率が低下することなどがある。
前記エステル化工程においてエステル化反応を行う温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、40℃〜60℃が好ましく、50℃〜60℃がより好ましい。前記温度が、40℃未満であると、溶解性や反応性が低いことがあり、60℃を超えると、分子量の低下が起こることがある。
前記エステル化工程においてエステル化反応を行う時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1時間〜6時間が好ましく、1時間〜2時間がより好ましい。前記時間が、1時間未満であると、反応が完全に進行しないことがあり、6時間を超えると、分子量の低下が起こることがある。
<その他の工程>
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、洗浄工程、乾燥工程などが挙げられる。
<<洗浄工程>>
前記洗浄工程は、前記エステル化工程で得られたグルコマンナンエステル誘導体を洗浄する工程である。
前記洗浄を行う方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記グルコマンナンエステル誘導体をアルコール(例えば、エタノールなど)で沈殿させた後、ろ過し、該ろ過で得られた沈殿物を、該沈殿物が溶解可能な溶剤に溶解させ、再度アルコールで洗浄する方法などが挙げられる。
前記洗浄の回数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
<<乾燥工程>>
前記乾燥工程としては、前記グルコマンナンエステル誘導体、好ましくは、前記洗浄工程を経たグルコマンナンエステル誘導体を乾燥させる工程である。
乾燥させる方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、温風乾燥法、噴霧乾燥法、減圧真空乾燥などが挙げられる。
<グルコマンナンエステル誘導体>
前記グルコマンナンエステル誘導体の製造方法により得られたグルコマンナンエステル誘導体は、前記グルコマンナンの側鎖が、前記カルボン酸に由来する側鎖に置換された誘導体である。
前記カルボン酸に由来する側鎖としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、アルキルカルボニル基が好ましい。
前記アルキルカルボニル基の炭素数としては、特に制限はなく、用いるカルボン酸の種類などに応じて適宜選択することができるが、1〜20が好ましく、1〜12がより好ましい。前記炭素数が、20を超えると、反応しにくいことがある。
前記アルキルカルボニル基の具体例としては、アセチル基(炭素数2)、プロピオニル基(炭素数3)、ブチリル基(炭素数4)、バレリル基(炭素数5)、ヘキサノイル基(炭素数6)、オクタノイル基(炭素数8)、デカノイル基(炭素数10)、ラウロイル基(炭素数12)などが挙げられる。
前記グルコマンナンエステル誘導体における水酸基の前記アルキルカルボニル基の置換度としては、前記グルコマンナンエステル誘導体における複数の水酸基の少なくとも1つが置換されている限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記D−グルコース又は前記D−マンノースの構造単位における水酸基に対して、置換度が、0超3以下が好ましく、1〜3がより好ましく、3(全て置換されていること)が特に好ましい。前記置換度が、0(即ち、無置換)であると、後述するポリマー成形体を形成できないなど、所望の性質を得ることができないことがある。
また、前記グルコマンナンエステル誘導体は、前記グルコマンナンにおける少なくとも1つの構造単位の水酸基が、前記アルキルカルボニル基に置換していればよいが、2つ以上の構造単位における水酸基が、前記アルキルカルボニル基に置換基に置換していることが好ましい。
前記置換度を測定する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、元素分析法、プロトン核磁気共鳴法、カーボン核磁気共鳴法などが挙げられる。
前記グルコマンナンエステル誘導体の重合度(DP)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100〜3,000が好ましく、900〜3,000がより好ましい。
前記重合度は、前記グルコマンナンエステル誘導体の分子量と、前記置換度とから算出することができる。
前記グルコマンナンエステル誘導体の分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、数平均分子量が、50,000以上が好ましく、100,000以上がより好ましく、200,000以上が更に好ましく、500,000以上が特に好ましい。前記数平均分子量が50,000未満であると、強度が弱くなることや、熱溶融成型ができなくなることなどがある。
前記グルコマンナンエステル誘導体の熱分解温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、熱重量測定(TGA)により測定した熱分解温度において、グルコマンナンエステル誘導体の質量が90重量%となる温度が、300℃以上が好ましい。
また、前記熱重量測定(TGA)により測定した熱分解温度において、グルコマンナンエステル誘導体の質量が50重量%となる温度が、350℃以上が好ましい。
前記熱分解温度が低すぎると、熱溶融成形時に熱分解が生じ、物性が低下することがある。
前記グルコマンナンエステル誘導体のガラス転移点(T)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、250℃以下が好ましく、200℃以下がより好ましい。前記のガラス転移点(T)が、250℃を超えると、熱溶融成形した熱成形体が熱分解により着色することがある。
前記ガラス転移点は、示差走査熱量測定(DSC)により測定することができる。
(グルコマンナンエステル誘導体)
本発明のグルコマンナンエステル誘導体は、グルコマンナンにおける複数の水酸基の少なくとも1つがエステル化され、炭素数が3以上のアルキルカルボニル基で置換されてなり、更に必要に応じて、前記グルコマンナンにおける複数の水酸基の少なくとも1つがエステル化され、炭素数が2のアルキルカルボニル基であるアセチル基で置換されてなる。
前記炭素数が3以上のアルキルカルボニル基としては、炭素数が3以上のものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、該炭素数は、3〜20が好ましく、3〜12がより好ましい。これらは、グルコマンナンの水酸基を1種単独で置換していてもよく、2種以上で置換していてもよい。
前記炭素数が3以上のアルキルカルボニルオキシ基の具体例としては、プロピオニル基(炭素数3)、ブチリル基(炭素数4)、バレリル基(炭素数5)、ヘキサノイル基(炭素数6)、オクタノイル基(炭素数8)、デカノイル基(炭素数10)、ラウロイル基(炭素数12)などが挙げられる。
前記グルコマンナンエステル誘導体における水酸基の前記アルキルカルボニル基の置換度としては、前記グルコマンナンエステル誘導体における複数の水酸基の少なくとも1つが置換されている限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記D−グルコース又は前記D−マンノースの構造単位における水酸基に対して、置換度が、0超3以下が好ましく、1〜3がより好ましく、3(全て置換されていること)が特に好ましい。前記置換度が、0(即ち、無置換)であると、後述するポリマー成形体を形成できないなど、所望の性質を得ることができないことがある。
また、前記グルコマンナンエステル誘導体は、前記グルコマンナンにおける少なくとも1つの構造単位の水酸基が、前記アルキルカルボニル基に置換していればよいが、2つ以上の構造単位における水酸基が、前記アルキルカルボニル基に置換していることが好ましい。
前記置換度を測定する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、元素分析法、プロトン核磁気共鳴法、カーボン核磁気共鳴法などが挙げられる。
前記グルコマンナンエステル誘導体の重合度(DP)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100〜3,000が好ましく、900〜3,000がより好ましい。
前記重合度は、前記グルコマンナンエステル誘導体の分子量と、前記置換度とから算出することができる。
前記グルコマンナンエステル誘導体の分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、数平均分子量が、50,000以上が好ましく、100,000以上がより好ましく、200,000以上が更に好ましく、500,000以上が特に好ましい。前記数平均分子量が50,000未満であると、強度が弱くなることや、熱溶融成型ができなくなることなどがある。
前記グルコマンナンエステル誘導体の熱分解温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、熱重量測定(TGA)により測定した熱分解温度において、グルコマンナンエステル誘導体の質量が90重量%となる温度が、300℃以上が好ましい。
前記熱分解温度が低すぎると、熱溶融成形時に熱分解が生じることがある。
前記グルコマンナンエステル誘導体のガラス転移点(T)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、250℃以下が好ましく、200℃以下がより好ましい。前記のガラス転移点(T)が、250℃を超えると、熱溶融成形した熱成形体が熱分解により着色することがある。
前記ガラス転移点は、示差走査熱量測定(DSC)により測定することができる。
前記グルコマンナンエステル誘導体は、有機溶剤に可溶な性質を有する。前記グルコマンナンエステル誘導体が可溶な有機溶剤としては、酢酸エチル、テトラヒドロフラン(THF)、クロロホルム、アセトン、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)などが挙げられる。
前記グルコマンナンエステル誘導体の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、後述する本発明のグルコマンナンエステル誘導体の製造方法により好適に製造される。
(ポリマー成型体)
本発明のポリマー成形体は、本発明の前記グルコマンナンエステル誘導体を少なくとも含有し、必要に応じて、更にその他の成分を含有する。
<グルコマンナンエステル誘導体>
前記ポリマー成形体中のグルコマンナンエステル誘導体は、本発明の前記グルコマンナンエステル誘導体であるため、詳細な説明は省略する。
前記ポリマー成形体中の前記グルコマンナンエステル誘導体の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。なお、前記ポリマー成形体は、前記グルコマンナンエステル誘導体そのものであってもよい。
<その他の成分>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、可塑剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、滑剤、離形剤、各種フィラー、帯電防止剤、難燃剤、発泡剤、充填剤、抗菌剤、抗カビ剤、核形成剤、染料、顔料を含む着色剤等の公知の添加剤、溶剤などが挙げられる。また、その他の樹脂を混合してもよい。
前記充填剤としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウム、アスベスト、炭化ケイ素、セラミック繊維、金属繊維、窒化ケイ素等の無機系繊維状充填剤;硫酸バリウム、硫酸カルシウム、ベントナイト、セリサイト、ゼオライト、マイカ、雲母、タルク、フェライト、硅酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、三酸化アンチモン、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化鉄、二硫化モリブテン、黒鉛、石膏、ガラスパウダー、ガラスバルーン、石英、石英ガラス等の無機系粉粒体又は板状若しくはフレーク状充填剤;アラミド繊維等の有機系充填剤などが挙げられる。
前記その他の成分としては、更に、少量の離型剤、カップリング剤、着色剤、滑剤、耐熱安定剤、耐候性安定剤、発泡剤、難燃剤、三酸化アンチモン等の難燃助剤などを適宜添加してもよい。
前記その他の成分の含有量としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記ポリマー成形体の形態としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フィルム、ファイバーなどが挙げられる。これらの中でも、フィルムが好ましい。
前記ポリマー成形体の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記グルコマンナンエステル誘導体を所望の溶媒に溶解し、所望の容器に入れた後、乾燥させ成形するキャスト法;前記グルコマンナンエステル誘導体を融点以上の温度で熱溶融させ成型する方法や、前記グルコマンナンエステル誘導体をガラス転移点以上の温度で変形させて成形する方法等の熱溶融法などが挙げられる。
これらの中でも、熱溶融法が、有機溶剤を使用することなく安全性が高い点で好ましい。
前記グルコマンナンエステル誘導体は、熱に強いため、熱溶融法で好適に前記ポリマー成形体を製造できる点で有利である。なお、前記グルコマンナンエステル誘導体を熱溶融法により成形する場合は、前記ガラス転移点(T)以上で加熱することが好ましい。
前記溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酢酸エチル、テトラヒドロフラン(THF)、クロロホルム、アセトン、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記溶媒は、クロロホルムが、揮発性が高い点で好ましい。
前記溶媒の使用量としては、前記グルコマンナンエステル誘導体を溶解することができれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記グルコマンナンエステル誘導体が溶解できないと、不均一なフィルムが形成されることがある。
前記乾燥させる方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ソルベントキャスト法、温風乾燥法、噴霧乾燥法、流動層乾燥法、風乾する方法などが挙げられる。
前記フィルムの厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記ポリマー成形体の破壊強度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記破壊強度は、小型卓上試験機(例えば、EZ Test、株式会社島津製作所製)を用いて測定することができる。
前記ポリマー成形体の軟化点としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記軟化点は、熱機械分析装置(例えば、TMA−60、株式会社島津製作所製)を用いて測定することができる。
<用途>
前記ポリマー成形体は、前記グルコマンナンエステル誘導体を含み、Tが高く熱溶融法により容易に成形加工できるため、幅広いプラスチック用途(例えば、包装材料、フィルター、不織布、分離膜、再生医療材料、生分解性材料、日用雑貨(シャンプーのボトル等の容器)、射出成形品(フィルム、繊維、ナノファイバーなど))として、好適に利用可能である。
以下に本発明の実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
(調製例1)
<グルコマンナン(GM)の調製>
蒸留水100mLにコンニャクグルコマンナン(プロポール(登録商標)A、清水化学株式会社製)0.5gを加え、65℃にて1時間撹拌して溶解させてグルコマンナン水溶液を調製した。得られたグルコマンナン水溶液を、室温になるまで静置した後、300mLのナスフラスコに移し、3日間真空凍結乾燥した。以下、グルコマンナンを「GM」と略記することがある。
(実施例1)
<グルコマンナンアセテート(GMAc)の合成>
無水トリフルオロ酢酸(和光純薬工業株式会社製)20mLと、酢酸(和光純薬工業株式会社製)20mLとを混合し、50℃にて20分間撹拌して混合溶液を調製した。得られた混合溶液を、前記調製例1で調製したコンニャクグルコマンナン(約0.5g)に加え、50℃にて1時間撹拌して反応させた。攪拌後の反応液は、均一な溶液となっていた。この反応液全量を、500mLの99.5%エタノール(和光純薬工業株式会社製)中に注ぎ、化合物を再沈殿させた。これをろ紙(桐山ロート用濾紙No.5A 径95mm、有限会社桐山製作所製)でろ過し、得られた沈殿物を、エタノールで十分に洗浄した後、クロロホルム(和光純薬工業株式会社製)50mLに溶解し、500mLのエタノール中で再沈殿させた。この沈殿物は、再びろ過して回収し、エタノールで十分に洗浄した後、真空デシケータ中で6時間以上乾燥さることにより、グルコマンナンアセテート0.76g(収率85モル%)(以下、「GMAc」と略記することがある)を得た。
(実施例2)
<グルコマンナンプロピオネート(GMPr)の合成>
実施例1のグルコマンナンアセテートの合成において、酢酸20mLを、プロピオン酸(和光純薬工業株式会社製)20mLに変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、グルコマンナンプロピオネート(以下、「GMPr」と略記することがある)を得た。
(実施例3)
<グルコマンナンブチレート(GMBu)の合成>
実施例1のグルコマンナンアセテートの合成において、酢酸20mLを、酪酸(和光純薬工業株式会社製)20mLに変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、グルコマンナンブチレート(以下、「GMBu」と略記することがある)を得た。
(実施例4)
<グルコマンナンバレレート(GMVa)の合成>
実施例1のグルコマンナンアセテートの合成において、酢酸20mLを、吉草酸(和光純薬工業株式会社製)20mLに変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、グルコマンナンバレレート(以下、「GMVa」と略記することがある)を得た。
(実施例5)
<グルコマンナンヘキサノエート(GMHe)の合成>
実施例1のグルコマンナンアセテートの合成において、酢酸20mLを、ヘキサン酸(東京化成工業株式会社製)20mLに変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、グルコマンナンヘキサノエート(以下、「GMHe」と略記することがある)を得た。
(実施例6)
<グルコマンナンオクタノエート(GMOc)の合成>
実施例1のグルコマンナンアセテートの合成において、酢酸20mLを、オクタン酸(東京化成工業株式会社製)20mLに変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、グルコマンナンオクタノエート(以下、「GMOc」と略記することがある)を得た。
(実施例7)
<グルコマンナンデカノエート(GMDe)の合成>
実施例1のグルコマンナンアセテートの合成において、酢酸20mLを、デカン酸(和光純薬工業株式会社製)20gに変更し、更に、反応時間(攪拌時間)を1時間から、2.5時間に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、グルコマンナンデカノエート(以下、「GMDe」と略記することがある)を得た。
(実施例8)
<グルコマンナンラウレート(GMLa)の合成>
実施例1のグルコマンナンアセテートの合成において、酢酸20mLを、ラウリン酸(和光純薬工業株式会社製)20gに変更し、更に、反応時間(攪拌時間)を1時間から、2時間に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、グルコマンナンラウレート(以下、「GMLa」と略記することがある)を得た。
下記表1に、実施例1〜8のグルコマンナンのエステル化反応に用いたカルボン酸の種類及び量、並びに反応時間をまとめて示す。
<<赤外分光分析(FT−IR)>>
調製例1のグルコマンナン及び実施例1〜8の各グルコマンナンエステル誘導体について、KBr法により以下に示す方法で赤外分光分析(FT−IR)を行った。
調製例1のグルコマンナン及び実施例1〜8のグルコマンナンエステル誘導体を、それぞれ2mgと、臭化カリウム(KBr)(和光純薬工業株式会社製)200mgとを乳鉢ですりつぶして混合した後、真空乾燥機中、105℃で1日真空乾燥させた。混合粉末から圧縮機(ハンドプレスSSP−10A、株式会社島津製作所製)で加圧することにより錠剤状の試料を作製し、下記分析条件で赤外分光分析を行った。
[分析条件]
装置:NICOLET 6700(Thermo scientific製)
測定範囲:500cm−1〜4,000cm−1
積算回数:64回
図1に、調製例1のグルコマンナン及び実施例1〜8の各グルコマンナンエステル誘導体のIRスペクトルを示す。
実施例1〜8のグルコマンナンの各エステル誘導体では、調製例1のグルコマンナンと比較して、3,400cm−1付近の−OH伸縮に由来するピークが減少すると共に、1,750cm−1にC=O伸縮に由来するピークが出現していた。このことより、グルコマンナンがエステル化されたことが確認された。
<<核磁気共鳴分光分析(H−NMR)>>
溶媒として重クロロホルム(CDCl)、内部標準物質としてテトラメチルシラン(TMS)を用いた。約10mgの実施例1〜8のグルコマンナンの各エステル誘導体を重クロロホルム1mLに溶解させ、NMR用サンプルを調製した。測定には、500MHz JNM−A500(日本電子株式会社製)を用いた。
図2A〜Hに、実施例1〜8の各グルコマンナンエステル誘導体のNMRスペクトルを示す。なお、帰属は、各カルボン酸のNMRスペクトルの文献値を参考に行った。
図2Aは、グルコマンナンアセテート(GMAc)、図2Bは、グルコマンナンプロピオネート(GMPr)、図2Cは、グルコマンナンブチレート(GMBu)、図2Dは、グルコマンナンバレレート(GMVa)、図2Eは、グルコマンナンヘキサノエート(GMHe)、図2Fは、グルコマンナンオクタノエート(GMOc)、図2Gは、グルコマンナンデカノエート(GMDe)、図2Hは、グルコマンナンラウレート(GMLa)のNMRスペクトルを示す。
<<ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)による分子量測定>>
実施例1〜8の各グルコマンナンエステル誘導体について、下記測定条件で、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)法により分子量の測定を行った。結果を下記表2に示す。
[測定条件]
GPCのカラム:K−803及びK−806M(いずれも、昭和電工株式会社製)
検出器:RID−10A(株式会社島津製作所製)
溶媒:HPLC用クロロホルム
測定試料の濃度:1mg/mL
標準品:ポリスチレン(昭和電工株式会社製)
<<置換度の算出>>
実施例1〜8の各グルコマンナンエステル誘導体において、グルコマンナンのD−マンノース単位又はD−グルコース単位における、複数の水酸基に対する各エステル基の置換度(DS)は、グルコマンナンのリングプロトンのピーク面積の合計と、アルキル側鎖のメチル基のピーク面積とから、下記式(1)を用いて算出した。結果を下記表2に示す。
置換度(DS)=(ICH3/3)/(IringH/7) ・・・式(1)
ただし、前記式(1)において、ICH3は、アルキル側鎖のメチル基のピーク面積を表し、IringHは、リングプロトンのピーク面積を表す。
<<重合度の決定>>
実施例1〜8の各グルコマンナンエステル誘導体において、重合度(DP)は、GPC測定より求めた数平均分子量(Mn)と、H−NMRより求めた置換度より、下記式(2)を用いて算出した。結果を下記表2に示す。
重合度(DP)=Mn/[C10+DS×{CH+(CH)×(x−2)+(C=O)}−DS×H]
=Mn/[162.08+{15.024+14.016(x−2)+28}−DS×1.008)]
=Mn/{162.08+DS×(14.016x+13.984)} ・・・式(2)
ただし、前記式(2)において、Mnは、GPC測定より求めた数平均分子量を表し、DSは、前記式(1)で算出した置換度を表し、xは、カルボン酸の炭素数を表す。また、C10は無水糖単位を表す
下記表2に、実施例1〜8の各グルコマンナンエステル誘導体の、収率(モル%)、置換度(DS)、GPCより算出した重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)、多分散度(Mw/Mn)、並びに重合度(DP)をまとめて示す。
上記表2の結果より、実施例1〜8の各グルコマンナンエステル誘導体は、いずれも置換度(DS)が3に近い、高置換度のグルコマンナンエステル誘導体を得ることができた。
(試験例1:溶解性試験)
以下に示す方法で、実施例1〜8の各グルコマンナンエステル誘導体の溶媒への溶解性の試験を行った。
実施例1〜8の各グルコマンナンエステル誘導体を、ヘキサン、酢酸エチル、トルエン、テトラヒドロフラン(THF)、クロロホルム、アセトン、ジメチルアセトアミド(DMAc)、エタノール、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、及び水のいずれかの溶媒にそれぞれ添加し、下記評価基準に基づき溶解性の評価を行った。
なお、各グルコマンナンエステル誘導体の質量及び溶媒の量は、完全に溶解したと仮定したときの濃度が1質量%になるよう調整した。結果を下記表3に示す。
[評価基準]
○:可溶
△:膨潤するが不溶
×:不溶
(試験例2:熱重量測定(TGA))
以下に示す方法で、調製例1のグルコマンナン及び実施例1〜8の各グルコマンナンエステル誘導体の熱重量測定(TGA)の測定を行った。
約5mgの調製例1のグルコマンナン及び実施例1〜8の各グルコマンナンエステル誘導体をそれぞれアルミニウム製のパンの中に入れ、対照用に空のアルミパンを用い、測定温度範囲30℃〜500℃、昇温速度20℃/分間、窒素雰囲気下の条件で、示差熱天秤(Thermo plus 2、株式会社リガク製)を用いて測定を行った。
図3A〜Jに、グルコマンナン及び各グルコマンナンエステル誘導体のTGAサーモグラムを、下記表4に、測定試料の重量が90重量%又は50重量%となるときの温度を示す。
上記表4の結果より、熱分解温度を、測定試料の重量が50重量%となる温度にした場合、グルコマンナン(GM)に対して、実施例1〜8の各グルコマンナンエステル誘導体は、熱分解温度が50℃程度上昇した。グルコマンナンエステル誘導体同士では、明瞭な分解温度の差異は認められなかった。
なお、図3Aにおいて、グルコマンナン(GM)及びグルコマンナンアセテート(GMAc)において観察される初期の重量減少は、吸着水の蒸発が原因と考えられる。
(試験例3:示差走査熱量測定(DSC))
以下に示す方法で、実施例1〜8の各グルコマンナンエステル誘導体の示差走査熱量測定(DSC)の測定を行った。
約1.5mgの実施例1〜8の各グルコマンナンエステル誘導体をそれぞれアルミニウム製のパン(アルミパン)の中に入れ、対照用に空のアルミパンを用い、示差走査熱量測定装置(DSC 8500、Perkin Elmer製)で測定した。測定は、セカンドランまで行い、30℃から200℃まで100℃/分間で昇温後、0.5分間保持し、−70℃まで急冷した後、0.5分間保持し、100℃/分間で300℃まで昇温した。
図4に、実施例1〜8の各グルコマンナンエステル誘導体のDSC曲線を、下記表5に各グルコマンナンエステル誘導体のガラス転移点(T)を示す。
図4及び上記表5の結果より、実施例1〜8のすべてのグルコマンナンエステル誘導体において、ガラス転移が観察された(図4中矢印で示す)。
実施例5〜8のグルコマンナンエステル誘導体では、実施例1〜4のグルコマンナンエステル誘導体と比べてガラス転移に起因するラインのシフトが不明瞭になっていた。これは、側鎖の炭素数の多いグルコマンナンエステル誘導体であるほど、グルコマンナンエステル誘導体中のグルコマンナン主鎖の質量比が小さいことに起因すると推察される。
図4において、主鎖の結晶化及び融解に由来するピークは、いずれのグルコマンナンエステル誘導体においても観察されなかった。なお、GMLaにおいては、ベースラインの立ち上がり部分と重なり不明瞭であるものの、−40℃付近に発熱ピークが認められた。発熱ピークは、その温度で相転移が生じていることを示すため、前記発熱ピーク温度以下の低温状態では、側鎖同士がある規則性をもった構造を有していることが示唆された。
(試験例4:キャストフィルムの作製)
以下に示す方法で、実施例1〜8の各グルコマンナンエステル誘導体を用いて、ソルベントキャスト法により、グルコマンナンエステルのフィルムを作製した。
実施例1〜8の各グルコマンナンエステル誘導体0.4gを、それぞれクロロホルム20mLに溶解し、テフロン(登録商標)シャーレ中で3日間静置することで、溶媒を完全に揮発させ、厚さ約50μmのフィルムを得た。
グルコマンナンエステルのキャストフィルムの写真を図5A〜Hに示す。図5Aは、グルコマンナンアセテート(GMAc)、図5Bは、グルコマンナンプロピオネート(GMPr)、図5Cは、グルコマンナンブチレート(GMBu)、図5Dは、グルコマンナンバレレート(GMVa)、図5Eは、グルコマンナンヘキサノエート(GMHe)、図5Fは、グルコマンナンオクタノエート(GMOc)、図5Gは、グルコマンナンデカノエート(GMDe)、図5Hは、グルコマンナンラウレート(GMLa)からなるキャストフィルムの写真を示す。
いずれのグルコマンナンエステルにおいても、透明性の高いフィルムを作製することができた。
(試験例5:X線回折)
試験例4で得られたキャストフィルムを、それぞれ幅1cm、長さ1cmの正方形に切り出し、試験例3のDSCで観察されたT付近の温度で、ホットプレス上で2枚のフィルムを圧着することで、厚さ約0.1mmの試験片を作製した。この試験片について、下記分析条件で反射型のX線回折を行った。
[分析条件]
装置:X線回折装置(RINT 2200、株式会社リガク製)
Cu−Kα1線:波長λ=0.15418nm
印加電圧:40kV
電流:40mA
検出器:シンチレーションカウンタ(SC−50、株式会社リガク製)
測定範囲:2θ=5°〜40°
図6に、実施例1〜8の各グルコマンナンエステル誘導体からなる試験片のX線回折のスペクトルを示す。X線回折の結果、いずれの試験片においても結晶構造に由来する明瞭なピークは見られなかった。これより、グルコマンナンエステル誘導体が非晶質であることが示唆された。
(試験例6:グルコマンナンエステルフィルムの動的粘弾性測定(DMA))
試験例4で得られたキャストフィルムを幅4mm、長さ2cmの短冊状に切り出し、これらを10枚重ねて、試験例3のDSCで観察されたT付近の温度で卓上ホットプレス機を用いて圧着し、厚さ約0.5mmの平板状試料を調製した。この平板状試料について、下記測定条件で、弾性率が10Paを下回るまで測定を行った。
[測定条件]
装置:動的粘弾性装置(DVA 200S、アイティー計測制御株式会社製)
モード:引張りモード
測定周波数:10Hz
ひずみ:0.05%
雰囲気:窒素雰囲気下
昇温条件:−150℃から5℃/分間で昇温
実施例1〜8の各グルコマンナンエステル誘導体からなる平板状試料のDMA測定により得られた貯蔵弾性の結果を図7Aに、損失正接(tanδ)のサーモグラムを図7Bにそれぞれ示す。
貯蔵弾性率のサーモグラムでは、いずれのグルコマンナンエステル誘導体からなる平板状試料においても、ガラス領域から、転移領域を経てゴム状平坦域に至り、最終的に流動していく変化を観察することができた。これより、グルコマンナンエステル誘導体は、溶融成形加工できることが示唆された。
DMA測定によるピーク温度を下記表6に示す。なお、表6において、「ピーク温度1」は、低温側で観察される副分散に由来するピークを表し、「ピーク温度2」は、高温側で観察される主分散に由来するピークの温度を表す。
前記ピーク温度2は、試験例3のDSC測定で観察されたTより10℃〜40℃程度高温に現れており、また、側鎖の炭素数とピーク温度との関係も、試験例3と同じ傾向であった。
実施例5〜8のグルコマンナンエステル誘導体で観察された、低温領域での副分散のピークは、側鎖の炭素数の増加に従い、上昇する傾向が認められた。なお、GMLaにおける副分散のピークは、試験例3のDSCで観察された発熱ピークの温度と一致していた。
(試験例7:引張り試験)
試験例4で得られたキャストフィルムを、幅4mm、長さ2.5cmの短冊状に切り出した。測定には、小型卓上試験機(EZ Test、株式会社島津製作所製)を用い、室温下、クロスヘッドスピード20mm/分間で行った。
各グルコマンナンエステル誘導体からなるフィルムの引張り試験の応力−ひずみ曲線を図8A〜Cに、測定値を下記表7に示す。
表7の結果、GMAc及びGMPrでは、破壊強度40Mpa以上という比較的強い強度を有していた。側鎖の炭素数が増加するにつれ、破壊強度やヤング率は低下する傾向が見られたが、一方で破壊伸びは上昇した。
また、GMLaからなるフィルム及び該GMLaからなるフィルムを手で約3倍に延伸したフィルムの一例を示す写真を図9に示す。
これらの結果より、側鎖の種類を変えることによって、高強度なものから軟質なものまで、用途に応じた物性のポリマーが得られることが示唆された。
(試験例8:熱機械測定(TMA))
試験例4で得られたキャストフィルムを、幅5mm、長さ1.75cmの短冊状に切り出した。測定には、熱機械分析装置(TMA−60、株式会社島津製作所製)を用い、室温を用い、フィルムの軟化点を測定した。0.03Nの荷重をかけて引張りモードによって測定を行った。測定は30℃から開始し、昇温速度5℃/分間で試料が破断するまで行った。下記表8に軟化点を、図10に実線でサーモグラムを示す。
表8の結果より、実施例2〜8のグルコマンナンエステル誘導体からなるフィルムでは、試験例3のDSCで観察されたT付近で軟化が観察された。一方、実施例1のGMAcでは、試験例3のDSCで観察されたT付近でいったん4%程度収縮し、215℃付近で膨張方向への変形を開始した。また、実施例2のGMPrにおいても、91℃付近で僅かな収縮が認められた。
そこで、ホットプレス上、230℃で5分間熱処理したGMAcフィルムについて、前記同様の方法で熱機械測定を行った。結果を図10A〜Cに示す。図10Aの破線で示したように、実施例1のGMAcは、T付近での軟化のみが認められた。
したがって、図10Aの実線で示されるGMAc及びGMPrにおける収縮は、僅かに残存していた揮発成分によるものと示唆された。ポリマーの分子間に取り込まれていた僅かな低分子成分が、Tでポリマーの分子鎖同士の束縛が緩和されたため、フィルム外に放出され、結果収縮が起こった可能性が示唆される。
(試験例9:GMBu熱溶融フィルムの作製)
グルコマンナンエステル誘導体の滅溶融加工が可能であることを示すため、一例として、実施例3のGMBuを用い、熱溶融フィルムの作製を行った。
図11に示すような状態のGMBuを、卓上ホットプレス上で200℃にて溶融することで、図12A及びBに示すようなフィルムが成形された。これより、グルコマンナンエステル誘導体の熱溶融加工が可能であることが示唆された。
(実施例9〜16)
次に、グルコマンナンを酢酸と酪酸を用いて完全にエステル化し、アセチル基とブチリル基の2置換基を持ったグルコマンナン混合エステルを合成した。これら2置換基の置換度比を変化させた試料を複数合成し、置換度比による物性の違いを調べた。
無水トリフルオロ酢酸20mL、酢酸及び酪酸を合計20mL、計40mLを混合し、50℃にて20分攪拌した。酢酸と酪酸の分量を表9に示す。得られた混合溶液を、前記調製例1で調製したコンニャクグルコマンナン(約0.5g)に加え、50℃にて1.5時間撹拌して反応させた。攪拌後の反応液は、均一な溶液となっていた。この反応液全量を、500mLの99.5%エタノール(和光純薬工業株式会社製)中に注ぎ、化合物を再沈殿させた。吸引濾過により沈殿物を回収し、エタノールで十分に洗浄した。真空デシケータ内で1昼夜以上乾燥させることによりグルコマンナンエステル誘導体を得た。
再沈殿により析出した試料は、どれも白色で、粉末状であった。
<<核磁気共鳴分光分析(H−NMR)>>
溶媒として重クロロホルム(CDCl)、内部標準物質としてテトラメチルシラン(TMS)を用いた。約10mgの実施例9〜16の各グルコマンナンエステル誘導体を重クロロホルム1mLに溶解させ、NMR用サンプルを調製した。測定には、500MHz JNM−A500(日本電子株式会社製)を用いた。
図13A〜Hに、実施例9〜16の各グルコマンナンエステル誘導体のNMRスペクトルを示す。なお、帰属は、各カルボン酸のNMRスペクトルの文献値を参考に行った。
図13Aは、A0/B20、図13Bは、A1/B19、図13Cは、A4/B16、図13Dは、A8/B12、図13Eは、A10/B10、図13Fは、A14/B6、図13Gは、A18/B2、図13Hは、A20/B0のNMRスペクトルを示す。
各グルコマンナンエステル誘導体において、アセチル基及びブチリル基のプロトンに由来するピークが現れており、グルコマンナンの混合エステル化が進行したことが分かった。置換基のピーク面積は、加えた脂肪酸の量に対応して増減した。
<<ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)による分子量測定>>
実施例9〜16の各グルコマンナンエステル誘導体について、下記測定条件で、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)法により分子量の測定を行った。結果を下記表10に示す。
[測定条件]
GPCのカラム:K−802及びK−806M(いずれも、昭和電工株式会社製)
検出器:RID−10A(株式会社島津製作所製)
溶媒:HPLC用クロロホルム
測定試料の濃度:1mg/mL
標準品:ポリスチレン(昭和電工株式会社製)
<<置換度の算出>>
実施例9〜16の各グルコマンナンエステル誘導体について、H−NMRにより得たアセチル基、ブチリル基、リングプロトンのピーク面積比から、式(3)を用いて全体の置換度(DStotal)を計算した。結果を下記表10に示す。
また、アセチル基とブチリル基の置換度(DSacetyl、DSbutyl)を以下の式(4)、式(5)を用いて算出した。
アセチル基とブチリル基の各置換度は加えた試薬の量に応じて変化しており、再現性も高かった。したがって、混合エステルの置換度の調整は可能であるといえる。DSacetylの割合は加えた酢酸の割合よりも高くなる傾向があった。これは酪酸に対して、酢酸の反応性の方が高いためだと考えられる。
<<重合度の決定>>
実施例9〜16の各グルコマンナンエステル誘導体について、重合度(DP)を、GPC測定より求めた数平均分子量(Mn)と、H−NMRより求めた置換度より算出した。結果を下記表10に示す。すべての試料で、算出した置換度は3を上回ったため、定性的に3(最大値)とした。エステル化反応がほぼ完全に進行したことが分かった。
下記表10に、実施例9〜16の各グルコマンナンエステル誘導体の置換度(DS)、アセチル基の置換度(DSacetyl)、ブチリル基の置換度(DSbutyl)、GPCより算出した重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)、多分散度(Mw/Mn)、並びに重合度(DP)をまとめて示す。GPCから求めた分子量は、数平均分子量で30万〜60万の値をとっており、高分子量が維持されていた。
(試験例10:熱重量測定(TGA))
以下に示す方法で、調製例1のグルコマンナン(GM)及び実施例9〜16の各グルコマンナンエステル誘導体の熱重量測定(TGA)の測定を行った。
1mg〜2mgの調製例1のグルコマンナン及び実施例9〜16の各グルコマンナンエステル誘導体をそれぞれアルミニウム製のパンの中に入れ、対照用に空のアルミパンを用い、測定温度範囲30℃〜500℃、昇温速度5℃/分間、窒素雰囲気下の条件で、熱重量・熱量同時測定装置(STA66000、Perkin Elmer社製)を用いて測定を行った。
図14に各グルコマンナンエステル誘導体のTGAサーモグラムを、下記表11に、測定試料の重量が90重量%又は50重量%となるときの温度を示す。
未修飾のグルコマンナンに比べ、エステル化した試料は熱分解温度が50℃前後高くなった。糖鎖の主な熱分解機構は分子内脱水であり、残存するヒドロキシ基の数に影響される。したがって、エステル化によるヒドロキシ基の減少が、分子内脱水反応を抑制したと思われた。また、混合エステルの熱分解温度はほぼ同じであることから、300℃を越えたあたりからエステル側鎖の熱分解が始まり、次いで主鎖の熱分解が進行したものと思われる。結果として、エステル化はグルコマンナンの耐熱性を向上させた。
(試験例11:示差走査熱量測定(DSC))
以下に示す方法で、実施例9〜16の各グルコマンナンエステル誘導体の示差走査熱量測定(DSC)の測定を行った。
約1.5mgの実施例1〜8の各グルコマンナンエステル誘導体をそれぞれアルミニウム製のパン(アルミパン)の中に入れ、対照用に空のアルミパンを用い、示差走査熱量測定装置(DSC 8500、Perkin Elmer社製)で測定した。測定は、セカンドランまで行い、30℃から200℃まで100℃/分間で昇温後、0.5分間保持し、−70℃まで−200℃/分間で急冷した後、5分間保持し、100℃/分間で300℃まで昇温した。
図15に、実施例9〜16の各グルコマンナンエステル誘導体のDSC曲線を、下記表12に各グルコマンナンエステル誘導体のガラス転移点(T)を示す。
実施例9〜16の全てのグルコマンナンエステル誘導体において、ガラス転移が観察された(図15中央矢印で示す)。
実施例9〜16の全てのグルコマンナンエステル誘導体において、Tgが100℃〜180℃の間に見られた。セルロース誘導体であるセルロースアセテートは230℃〜300℃の範囲に融点を持つことが知られている。一方、実施例9〜16のグルコマンナンエステル誘導体ではTg以外の熱転移に相当するシフトは見られなかった。これはグルコマンナンエステルが高分子量かつ非晶質な形態をもつためであると考えられる。
図16にアセチル基の置換度に対するTgの変化をグラフで示した。混合エステル誘導体である実施例10〜15のTgはホモエステル誘導体である実施例9、実施例16の間の値をとり、DSacetyl値が大きくなるほどTgも上昇した。またその増加は線形的に近似された。これは、傘高いブチリル基の置換が多いほどグルコマンナン鎖の分子間凝集作用が阻害され、分子鎖がより動きやすくなったためと推察された。この結果から、置換度比によってガラス転移点の調節が可能であるといえる。
(試験例12:キャストフィルムの作製)
以下に示す方法で、実施例9〜16の各グルコマンナンエステル誘導体を用いて、ソルベントキャスト法により、グルコマンナンエステルのフィルムを作製した。
実施例9〜16の各グルコマンナンエステル誘導体の15mg/mL クロロホルム溶液を調製し、直径6cmのガラスシャーレに流し込んだ。減圧しながら、溶媒を完全に揮発させて、厚さ50μm前後のフィルムを得た。
図17Aは、グルコマンナンエステル誘導体A1/B19、図17Bは、グルコマンナンエステル誘導体A18/B2からなるキャストフィルムの写真を示す。
(試験例13:グルコマンナンエステルフィルムの動的粘弾性測定(DMA))
試験例12で得られたキャストフィルムを幅4mm、長さ20mmの短冊状に切り出し、これらを10枚重ねて、試験例11のDSCで観察されたTより数10℃高い温度で卓上ホットプレス機を用いて圧着し、厚さ0.4mm〜0.8mmの平板状試料を調製した。この平板状試料について、下記測定条件で、弾性率の測定を行った。
[測定条件]
装置:動的粘弾性装置(DVA 200S、アイティー計測制御株式会社製)
モード:引張りモード
測定周波数:10Hz
測定距離:10mm
ひずみ:0.05%
雰囲気:窒素雰囲気下
昇温条件:−150℃から5℃/分間で230℃まで昇温
実施例9〜16の各グルコマンナンエステル誘導体からなる平板状試料のDMA測定により得られた貯蔵弾性率(E’)のサーモグラムを図18Aに、損失正接(tanδ)のサーモグラムを図18Bにそれぞれ示す。
DSCで測定したTg付近で貯蔵弾性率(E’)は大きく低下し、それに伴って損失正接(tanδ)の主分散ピークが現れた。
下記表13に各混合エステルの損失正接(tanδ)のピーク温度を示す。
アセテート成分が多いほどピーク温度が高くなるという、DSCと同様の結果が得られた。ブチレート成分の多い試料では、ガラス転移以降に貯蔵弾性率(E’)の変化が小さくなるゴム状平坦領域が見られることから、高分子量に由来する分子鎖の絡み合いが多くなっていると推察された。損失正接(tanδ)の低温度側では、側鎖の緩和に伴うブロードなピークが見られた。
(試験例14:引張り試験)
試験例12で得られたキャストフィルムを、幅4mm、長さ30mmの短冊状に切り出した。測定には、小型卓上試験機(EZ Test、株式会社島津製作所製)を用い、室温において、試験距離10mm、クロスヘッドスピード20mm/分間で測定した。
各グルコマンナンエステル誘導体からなるフィルムの引張り試験の応力−ひずみ曲線を図19に、測定値を下記表14に示す。
破壊強度とヤング率はアセテート成分の多いものほど大きく、破断伸びはブチレート成分の多いほど大きくなる傾向を示した。
(試験例15:熱機械測定(TMA))
試験例12で得られたキャストフィルムを、幅4mm、長さ20mmの短冊状に切り出した。測定には、熱機械分析装置(TMA−60、株式会社島津製作所製)を用い、温度Tg+40℃程度で5分間ホットプレスした。その後、フィルムを室温まで冷ましてから試験片とした。0.03Nの荷重をかけて、引張りモードによって、室温から開始し、昇温速度5℃/分間で200℃〜230℃まで測定を行った。下記表15に軟化点を、図20に実線でサーモグラムを示す。
アセテート成分とブチレート成分の比により軟化点が変移するのは、他の熱分析と同様であった。軟化点後、変位は20%前後まで急に上昇し、次いで緩やかに上昇した。これはガラス転移で分子運動が解放されて塑性変形を起こし、温度上昇に伴って流動性が徐々に増加していくためであると考えられる。
(試験例16:光透過度測定)
試験例12で得られたキャストフィルムの光透過度を、U−2910(株式会社日立ハイテクノロジーズ製)を用いて測定した。室温において、波長範囲250nm〜800nm、スキャンスピード400nm/分間で測定した。表16に測定に用いたキャストフィルム厚を、図21に光透過度測定の透過スペクトルを示す。
試験例12で得られた各キャストフィルムの可視光域(380nm〜750nm)での透過率は75%〜90%であり、混合エステル間ではブチレート成分が多いほど透過度率が高い傾向が見られた。非晶性の汎用プラスチックであるポリスチレン(透過率88%〜92%)、ポリメタクリル酸メチル(透過率90%〜92%)などと比べると、アセテート成分が多いフィルムの透過性は若干劣るが、ブチレート成分が多いフィルムではほぼ同等の値が得られた。また、ブチレート成分が多い試料では、紫外の吸収に特有のピークがみられた。
(試験例17:ガスバリア性試験)
試験例12で得られたキャストフィルムの酸素透過度及び窒素透過度、並びに水蒸気透過度を測定することで、フィルムのガスバリア性を調べた。酸素透過度及び窒素透過度の測定には、TCD付ガスクロマトグラフィG2700(株式会社ヤナコ計測製)、差圧式ガス透過率測定器GTR−31A(GTRテック株式会社製)を用いた。キャリアガスにHe、測定ガスにN・Oを用い、室温において、50kPaで測定を行なった。水蒸気透過度測定にはPERMATRAN−W(MOCON社製)を用いた。キャリアガスにはNを用い、等圧法、設定温度37.8℃、相対湿度100%で測定を行なった。
図22Aに、アセチル基の置換度と酸素及び窒素の透過係数の関係を、図22Bにアセチル基の置換度と水蒸気の透過係数の関係を示した。また表17−1及び17−2に各エステルと汎用プラスチックの透過係数を示した。透過係数は下記の式(6)により導かれた。
透過係数は拡散係数と溶解度係数の積に比例する値である。拡散係数は膜内での移動のし易さ、溶解度係数は膜への気体の取り込まれ易さの指標となる。
酸素及び窒素については、アセチル基が多くなるほど透過係数は低下した。酸素、窒素は非極性分子あり、その透過性は主に拡散係数、すなわちグルコマンナン鎖間での移動のし易さによって左右される。アセテートとブチレートの混合エステルを用いた場合では、嵩高いブチリル基の数が多いほど分子間の隙間が増えるため、このような結果になったと考察された。一方、試験例12で得られた各キャストフィルムについて、水蒸気透過係数値は装置の信頼上限値を上回っていたため、正確な値とは言えないが、水蒸気透過係数はアセチル基の置換度が高いほど大きな値を取る傾向が見られた。側鎖長の短いアセチル基置換が多い試料では、親水性であるエステル結合部位への水の接触が、比較的容易になると考えられる。したがって、空隙の減少に伴う拡散性低下よりも、溶解性の上昇が上回ったと思われる。
試験例12で得られた各キャストフィルムの透過係数は総じて汎用プラスチックよりも高い値を示し、フィルムのガスバリア性では劣る結果となった。
混合エステルを用いたグルコマンナンエステル誘導体は、アセテート成分が多いほど高い強度とTgを持ち、ブチレート成分が多くなるにつれ伸び性の上昇とTgの低下が見られた。これらの熱的及び機械的物性は、ホモエステルであるグルコマンナンアセテート(GMAc)とグルコマンナンブチレート(GMBu)の間の値をとり、その範囲で熱転移温度及び強度と伸び性の調節が可能であった。ソルベントキャスト法により作製したフィルムは高い透明性を有し、ブチレート成分が多いほど透明性は上昇した。またガスバリア性はブチレート成分が多いほど酸素及び窒素透過性が高く、水蒸気透過性は低い傾向があった。汎用の非結晶性プラスチックと比較すると、実施例9〜16のグルコマンナンエステル誘導体を用いたフィルムは、ガスバリア性は劣るものの、熱及び機械物性は同程度以上の値を有していた。本発明のグルコマンナンエステル誘導体は、使用するカルボン酸の混合比を変えることで、物性の調節もできることから、用途別に調整可能な石油代替プラスチックとしての応用性が示唆された。
本発明のグルコマンナンエステル誘導体は、熱に強く、有機溶剤を使用することなく容易に成形可能であり、安全性が高く、強度や柔軟性を調整可能であるため、包装材料、フィルター、不織布、分離膜、再生医療材料、生分解性材料、日用雑貨、フィルム、繊維、ナノファイバー等の幅広いプラスチック用途に好適に利用可能である。

Claims (11)

  1. グルコマンナンエステル誘導体であって、
    前記グルコマンナンにおける複数の水酸基の少なくとも1つがエステル化され、炭素数が3以上のアルキルカルボニル基で置換されてなることを特徴とするグルコマンナンエステル誘導体。
  2. アルキルカルボニル基が、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、デカノイル基、及びラウロイル基の少なくともいずれかである請求項1に記載のグルコマンナンエステル誘導体。
  3. 更にグルコマンナンにおける複数の水酸基の少なくとも1つがエステル化され、アセチル基で置換されてなる請求項1から2のいずれかに記載のグルコマンナンエステル誘導体。
  4. アルキルカルボニル基の置換度が、0超3以下である請求項1から3のいずれかに記載のグルコマンナンエステル誘導体。
  5. 数平均分子量が、50,000以上である請求項1から4のいずれかに記載のグルコマンナンエステル誘導体。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載のグルコマンナンエステル誘導体を含有することを特徴とするポリマー成形体。
  7. 熱溶融法により成型される請求項6に記載のポリマー成形体。
  8. グルコマンナンとカルボン酸とを反応させて、前記グルコマンナンにおける複数の水酸基の少なくとも1つをエステル化するエステル化工程を少なくとも含むことを特徴とするグルコマンナンエステル誘導体の製造方法。
  9. グルコマンナンが、コンニャクグルコマンナンである請求項8に記載のグルコマンナンエステル誘導体の製造方法。
  10. カルボン酸が、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、及びラウリン酸の少なくともいずれかである請求項8から9のいずれかに記載のグルコマンナンエステル誘導体の製造方法。
  11. エステル化工程が、40℃〜60℃で、1時間〜6時間行われる請求項8から10のいずれかに記載のグルコマンナンエステル誘導体の製造方法。
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