JP2013207976A - 電力回生システム - Google Patents
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Abstract
【課題】小型で低コストの電力回生システムを提供する。
【解決手段】電力回生システムは、電動機M1に電力を供給する主電池1と、充電電圧が主電池1よりも低い電圧に設定された補助電池2と、アクセルの操作量に応じた電力を主電池1から電動機M1に供給させる駆動回路3と、回生制動時に電動機M1が発生する回生電力を補助電池2に蓄電する回生回路4と、アクセルの開放時に回生回路4により補助電池2に回生電力を蓄電させ、且つ、ブレーキ操作が行われるとブレーキ操作量に応じた回生電流が流れるように、回生回路4の電力伝達比率を負帰還制御する制御回路10とを備える。
【選択図】図1
【解決手段】電力回生システムは、電動機M1に電力を供給する主電池1と、充電電圧が主電池1よりも低い電圧に設定された補助電池2と、アクセルの操作量に応じた電力を主電池1から電動機M1に供給させる駆動回路3と、回生制動時に電動機M1が発生する回生電力を補助電池2に蓄電する回生回路4と、アクセルの開放時に回生回路4により補助電池2に回生電力を蓄電させ、且つ、ブレーキ操作が行われるとブレーキ操作量に応じた回生電流が流れるように、回生回路4の電力伝達比率を負帰還制御する制御回路10とを備える。
【選択図】図1
Description
本発明は、電力回生システムに関するものである。
従来、エンジンと、電動機と、電動機に駆動用電力を供給するバッテリとを備えたハイブリッド車において、減速時の制動エネルギを回収するエネルギ回生装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。
上記特許文献1に開示されたエネルギ回生装置では、回生制動時に電動機で発電された電力が、バッテリに比べてパワー密度の高い電気二重層コンデンサに一旦蓄電されている。そして、電気二重層コンデンサに蓄電された電力は、充電器を介して、エネルギー密度の高いバッテリに再充電されていた。
このエネルギ回生装置では、電気二重層コンデンサの充電開始電圧が、バッテリの定格電圧よりも低い電圧に設定されており、車両の速度が低速で、電動機の誘起電圧が低圧の場合でも、回生電力を回収することが可能になり、回生効率の向上が図られている。
上記特許文献1に開示されたエネルギ回生装置では、回生制動時に電動機で発電された電力が電気二重層コンデンサに一旦蓄電されている。電気二重層コンデンサはバッテリに比べてエネルギー密度が小さいため、車両の質量、速度に相当する運動エネルギーを回収するためには、大容量の電気二重層コンデンサが必要になっていた。また、電気二重層コンデンサは、充電量に比例して端子電圧が上昇するため、端子電圧を低圧に保つためには、さらに大容量の電気二重層コンデンサが必要になり、電気二重層コンデンサが大型化し、コスト高になるという問題があった。
本発明は上記課題に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、小型で低コストの電力回生システムを提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の電力回生システムは、主電池と、補助電池と、第1駆動回路と、第1回生回路と、制御回路とを備えている。前記主電池は電動機に電力を供給する。前記補助電池は、充電電圧が前記主電池よりも低い電圧に設定されている。前記第1駆動回路は、アクセルの操作量に応じた電力を前記主電池から前記電動機に供給させる。前記第1回生回路は、回生制動時に前記電動機が発生する回生電力を前記補助電池に蓄電する。前記制御回路は、前記アクセルの開放時に前記第1回生回路により前記補助電池に回生電力を蓄電させ、且つ、ブレーキ操作が行われるとブレーキ操作量に応じた回生電流が流れるように、前記第1回生回路の電力伝達比率を負帰還制御する。ここにおいて、補助電池には、従来の化学電池のうちパワー密度を改良したものや、高性能のリチウムイオン蓄電池や、材料や電極の改良によって大きなエネルギー密度とパワー密度を兼ね備えたキャパシタ電池と称される蓄電素子が含まれる。とりわけ、リチウムイオンキャパシタやキャパシタ電池が補助電池に適しており、例えば東芝株式会社のSCiB(Super Charge ion Battery、登録商標)や、三菱電機株式会社の複合型蓄電デバイスや、イーメックス株式会社の「高分子・ガラス電池」など、大電流充電が可能でサイクル寿命の長い電池が好適である。
この電力回生システムにおいて、前記電動機のコイルと前記補助電池との間に電気的に接続されたスイッチング素子を備え、前記回生制御部は、前記スイッチング素子のオン/オフをPWM制御することも好ましい。
この電力回生システムにおいて、前記アクセルの開放時に前記電動機が発生する回生電力を前記主電池に蓄電する第2回生回路を備えることも好ましい。
この電力回生システムにおいて、回生制動時に前記電動機が発生する電力の一部を蓄電するキャパシタと、前記キャパシタに蓄電された電力を放電させる放電回路とを備えることも好ましい。
この電力回生システムにおいて、前記キャパシタは、前記第1回生回路と前記補助電池との間を接続する電路に接続されて、前記第1回生回路からの回生電力により充電される。そして、前記補助電池から前記キャパシタへ電流が流れるのを阻止する逆流阻止回路が設けられることも好ましい。
この電力回生システムにおいて、前記逆流阻止回路がショットキーバリアダイオードからなることも好ましい。
この電力回生システムにおいて、前記キャパシタは、前記第1回生回路と前記補助電池との間を接続する電路に接続されて、前記第1回生回路からの回生電力により充電される。そして、前記キャパシタと前記補助電池との間にスイッチが接続され、前記スイッチは、回生制動時に前記第1回生回路から回生電力が供給される間は導通状態に切り替えられ、前記補助電池の放電時には非導通状態に切り替えられることも好ましい。
この電力回生システムにおいて、前記第1回生回路からの回生電力の供給先を、前記補助電池及び前記キャパシタの何れかに切り替える切替回路を備えることも好ましい。
この電力回生システムにおいて、回生制動時に前記電動機が発生する回生電力を前記キャパシタに蓄電する第3回生回路を備えることも好ましい。
この電力回生システムは、前記ブレーキ操作に応じて制動力を発生させる摩擦ブレーキをさらに備えている。そして、ブレーキ操作を開始してから前記摩擦ブレーキが制動力を発生するまでの遊び区間において、前記第1回生回路が、前記電動機が発生する回生電力を前記補助電池に回生させることによって回生制動を行うことも好ましい。
この電力回生システムにおいて、少なくとも前記第1回生回路を収納する器体に、前記ブレーキ操作量を検出して、検出結果を前記制御回路に出力するブレーキ操作検出部が取り付けられることも好ましい。
この電力回生システムにおいて、金属製の変位体と、検出コイルとを前記ブレーキ操作検出部が備えることも好ましい。変位体は、ブレーキ操作を行うためのブレーキ操作部の動きを、ブレーキ操作量に応じた制動力を発生する制動力発生部に伝達するためのブレーキワイヤに取り付けられ、ブレーキ操作に応じて前記ブレーキワイヤと共に往復動作する。検出コイルは、前記ブレーキワイヤにおいて前記変位体が取り付けられた部位が通され、前記変位体の移動に応じてインピーダンスが変化する。前記ブレーキ操作検出部は、前記検出コイルのインピーダンスを電気信号に変換することでブレーキ操作量を検出する。
この電力回生システムにおいて、前記補助電池に蓄電された電力を前記電動機に供給する第2駆動回路を備えたことも好ましい。
この電力回生システムにおいて、前記補助電池がキャパシタ電池からなることも好ましい。
この電力回生システムにおいて、前記補助電池に蓄電された電力で前記主電池を充電する充電回路を備えることも好ましい。
本発明によれば、回生制動時に電動機に発生する回生電力を補助電池に蓄電しており、電気二重層コンデンサに比べて電池はエネルギー密度が大きいので、電気二重層コンデンサに比べて小型、低コストでありながら、より多くの回生電力を蓄電できる。また電池は、電気二重層コンデンサに比べて充電電流に対する電圧上昇が小さいので、充電量が増えても、充電電圧が低圧に保たれ、しかも補助電池は、主電池よりも充電電圧が低圧に設定されているから、より低速まで回生エネルギーを回収することができる。さらに、制御回路は、ブレーキ操作が行われると第1回生回路により回生電力を補助電池に蓄電させており、ブレーキ操作をトリガとして回生動作を開始するので、減速によって失われる運動エネルギーを確実に回収することができる。また、制御回路は、ブレーキ操作量に応じた回生電流となるように、第1回生回路の電力伝達比率を負帰還制御しているので、ブレーキ操作量に応じた回生制動力を発生させることができる。
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。尚、以下では本発明の電力回生システムを電動バイクに適用した実施形態について説明するが、本発明は電動バイクの電力回生システムに限定されるものではない。すなわち、電動機の回生制動によって発生する電力を回収するシステムであれば、本発明を電動自転車の電力回生システムに適用してもよい。また本発明を、バッテリ電気自動車(BEV;Battery Electric Vehicle)やハイブリッド電気自動車(HEV;Hybrid Electric Vehicle)など動力源として電動機を備える車両の電力回生システムに適用してもよいし、電動エレベーターや電動クレーンなどの電力回生システムに適用してもよい。
(実施形態1)
実施形態1の電力回生システムについて図1〜図4に基づいて説明する。
実施形態1の電力回生システムについて図1〜図4に基づいて説明する。
この電力回生システムは、図1に示すように、電動機M1と、主電池1と、補助電池2と、第1駆動回路(以下、駆動回路と略称する。)3と、第1回生回路(以下、回生回路と略称する。)4と、充電回路5と、制御回路10とを主要な構成として備えている。
電動機M1は電動バイクの動力源として用いられ、電動機M1の回転が変速機を介して駆動輪に伝達される。尚、電動バイクの場合には、電動機M1として主にDCモータやDCブラシレスモータなどが使用される。これらのモータのように、永久磁石を使用したモータが使用される限り、制動時に電動機M1が発電機となって電力が発生するので、本発明の電力回生システムを適用することができる。
主電池1は、定格電圧が48Vの鉛蓄電池からなり、充電ケーブル(図示せず)を介して外部電源(例えば商用交流電源)に接続されて充電が行われる。走行時には充電ケーブルが外され、駆動回路3が、主電池1を電源として、アクセルの操作量に応じた回転速度で電動機M1を駆動することによって、電動バイクが所望の速度で走行する。尚、鉛蓄電池は化学反応により充電、放電を行う化学電池の一種であり、短時間で受け入れ可能な電流量には限界があるので、化学電池でありながら比較的パワー密度が高いリチウムイオン蓄電池などで主電池1を構成してもよい。
補助電池2は、回生制動時に電動機M1が発生する回生電力を蓄電するために用いられる。補助電池2には主電池1よりもパワー密度の大きいキャパシタ電池が単セルで使用されている。
下記の表1は、主電池1に用いられる鉛蓄電池やリチウムイオン蓄電池の性能、補助電池2に用いられるキャパシタ電池の性能を、電気二重層コンデンサと比較した表である。キャパシタ電池は、主電池1に用いられる鉛蓄電池やリチウムイオン蓄電池に比べて出力密度が高く、内部抵抗は低いので、急速充放電が可能である。またキャパシタ電池は電気二重層コンデンサに比べてエネルギー密度が高くなっており、制動回生時に発生する回生電力をより多く蓄電することができる。キャパシタ電池のセル電圧は2.5〜4.0V程度であり、補助電池2は例えば単セルのキャパシタ電池で構成されているので、補助電池2の充電電圧は主電池1よりも低い電圧に設定されている。
駆動回路3は、例えばインバータ回路からなり、主電池1から電力供給を受けて電動機M1を駆動する。
回生回路4は、例えばコンバータ回路からなり、回生制動時(すなわち電動バイクの減速時)に電動機M1に発生する回生電力を補助電池2に蓄電させる。
充電回路5は、例えば昇圧型DC−DCコンバータからなり、補助電池2に蓄電された回生電力で主電池1を充電するために使用される。
制御回路10は例えばマイクロコンピュータで構成されている。制御回路10には、アクセル(図示せず)の操作量を検出するアクセル操作検出部30と、摩擦ブレーキ32を操作するための操作部(図示せず)のブレーキ操作量を検出するブレーキ操作検出部31から、それぞれ検出結果が入力される。制御回路10は、各検出部30,31の検出結果に基づいて、駆動回路3、回生回路4及び充電回路5がそれぞれ備えるスイッチング素子のオン/オフを制御する。
尚、駆動回路3及び回生回路4の構成は、使用される電動機M1の種類に合わせて、適宜変更が可能である。また駆動回路3、回生回路4及び充電回路5は従来周知の一般的な回路で構成されていればよく、PWM制御により電力を伝達する。また、本実施形態では、駆動回路3、回生回路4及び充電回路5の動作を制御する制御回路10が別に設けられているが、駆動回路3、回生回路4及び充電回路5のそれぞれが制御部を備えていてもよい。
次に、図2の具体回路に基づいて各回路の説明を行う。
主電池1の正極と負極の間にはスイッチング素子Q1,Q2の直列回路が接続されており、ローサイドのスイッチング素子Q2と並列に電動機M1が接続されている。スイッチング素子Q1,Q2はMOS型電界効果トランジスタからなり、スイッチング素子Q1,Q2のドレイン・ソース間には、それぞれ、MOSFETの構造上できる寄生ダイオードD1,D2が逆並列に接続されている。スイッチング素子Q1,Q2のゲートには制御回路10から制御信号が与えられ、この制御信号によってスイッチング素子Q1,Q2はオン/オフされる。
スイッチング素子Q1,Q2の接続点には、MOSFETからなるスイッチング素子Q3の一端が接続されている。スイッチング素子Q3の他端と補助電池2の間にはダイオードD4が接続されている。主電池1と補助電池2の負極同士は互いに接続されている。スイッチング素子Q3のゲートには制御回路10から制御信号が与えられ、この制御信号によってスイッチング素子Q3はオン/オフされる。尚、スイッチング素子Q3のドレイン・ソース間には、MOSFETの構造上できる寄生ダイオードD3が接続されている。
補助電池2の正極と負極の間にはインダクタL1を介してスイッチング素子Q5が接続されている。インダクタL1及びスイッチング素子Q5の接続点にはダイオードD6のアノードが接続され、ダイオードD6のカソードは主電池1の正極に接続されている。ここにおいて、インダクタL1とスイッチング素子Q5とダイオードD6とで、昇圧型DC−DCコンバータからなる充電回路5が構成されている。
制御回路10には、運転者によるアクセル操作を検出するアクセル操作検出部30から、アクセルの操作量に応じた検出信号S1が入力される。また電動バイクは、運転者によるブレーキ操作に応じて摩擦抵抗による制動力を発生させる摩擦ブレーキ32を備えており、ブレーキ操作検出部31からブレーキの操作量に応じた検出信号S2が制御回路10に入力されている。
制御回路10にアクセル操作に応じた検出信号S1が入力されると、制御回路10はスイッチング素子Q2,Q3をオフさせるとともに、スイッチング素子Q1のゲートにパルス信号を出力して、スイッチング素子Q1をPWM制御する。ここで、スイッチング素子Q1のオン期間には、主電池1からスイッチング素子Q1を介して電動機M1に電流が供給され、スイッチング素子Q1のオフ期間には、ダイオードD2を介して電動機M1に電流が流れ続ける。制御回路10は、スイッチング素子Q1に与えるパルス信号のオンデューティを調整することで、電動機M1に供給する電流量をが制御しており、それによって電動機M1の回転速度(すなわち電動バイクの速度)が制御される。ここにおいて、スイッチング素子Q1とダイオードD2とで駆動回路3が構成される。
一方、アクセルが開放されると、検出信号S1の入力が停止されるので、制御回路10は回生制動を開始する。制御回路10は、スイッチング素子Q1をオフさせるとともに、ブレーキ操作検出部31から入力される検出信号S2に応じて、スイッチング素子Q2のゲートにパルス信号を出力して、スイッチング素子Q2をPWM制御する。ここで、回生回路4が、回生制動によって電動機M1に発生した電力を補助電池2に伝達するのであるが、その電力伝達比率によって回生制動力が決定される。そして、回生回路4による電力伝達比率は、スイッチング素子Q2に与えられるパルス信号のデューティ比によって決定されるので、制御回路10は、検出信号S2(すなわちブレーキの操作量)に応じた回生電流となるように、スイッチング素子Q2に与えるパルス信号のデューティ比を制御し、回生回路4の電力伝達比率を負帰還制御する。この時、電動機M1の回転速度と、制御回路10から入力されるパルス信号のデューティ比とによって、電動機M1のモータコイルに流れる電流が決まり、その電流によって制動トルクが決定される。
また、スイッチング素子Q2のオン時には電動機M1のコイルに、流れる電流に応じたエネルギーが蓄えられる。すなわち、電動機M1のコイルが、昇圧コイルとして利用されることになる。
また、回生制動時において、制御回路10は、スイッチング素子Q3をスイッチング素子Q2と相補的にオン(つまりスイッチング素子Q2のオフ時にスイッチング素子Q3をオン)させている。スイッチング素子Q3がオンになると、電動機M1のコイルに蓄積されたエネルギーによって、スイッチング素子Q3とダイオードD4とを介して補助電池2に充電電流が流れ、補助電池2に回生電力が蓄電される。ここにおいて、スイッチング素子Q2,Q3とダイオードD4とで回生回路4が構成される。尚、MOS型電界効果トランジスタからなるスイッチング素子Q3には寄生ダイオードD3が逆並列に接続されおり、スイッチング素子Q2のオン時に、補助電池2の正極と負極との間が短絡されるのを防ぐために、ダイオードD4が設けられている。
また、補助電池2に蓄えられた回生電力は、充電回路5によって主電池1に充電される。スイッチング素子Q5がオンになると、補助電池2からインダクタL1とスイッチング素子Q5とに電流が流れて、インダクタL1にエネルギーが蓄えられる。スイッチング素子Q5がオフになると、インダクタL1に蓄えられたエネルギーによって、補助電池2の充電電圧を昇圧した電圧が発生し、主電池1が充電される。
ここで、制御回路10は、補助電池2の充電電圧V2をモニターしつつ、補助電池2から主電池1への充電電流が所定の電流値となるように、スイッチング素子Q5のゲートに与えるパルス信号S3のデューティ比DT1を制御(PWM制御)する。図3は、補助電池2の充電電圧V2とパルス信号S3のデューティ比DT1との関係を示したグラフである。充電回路5によって補助電池2から主電池1へと電力が伝達されるのであるが、充電回路5による電力伝達比率はパルス信号S3のデューティ比DT1によって決定される。制御回路10は、補助電池2の充電電圧V2をもとに、図3の関係を満たすようにデューティ比DT1を制御している。本実施形態では補助電池2としてセル電圧の下限値が2.6Vのものを使用しており、制御回路10は、セル電圧の下限値である2.6Vよりもやや高い電圧を閾値Vthに設定し、充電電圧V2が閾値Vth以下であれば、デューティ比DT1を0%に設定する。また制御回路10は、充電電圧V2が閾値Vthよりも高くなると、充電電圧V2の増加とともにデューティ比DT1を漸増させ、充電電圧V2が4.0Vでデューティ比DT1を100%に設定している。これにより、制御回路10は、補助電池2の充電電圧V2が、セル電圧の下限値よりもやや高い電圧Vthまで放電したところで、補助電池2から主電池1への充電(すなわち補助電池2の放電)を停止させており、補助電池2が過放電とならないようにしている。
以上説明したように、本実施形態の電力回生システムは、主電池1と、補助電池2と、第1駆動回路3と、第1回生回路4と、制御回路10とを備えている。主電池1は電動機M1に電力を供給する。補助電池2は、充電電圧が主電池1よりも低い電圧に設定されている。駆動回路3は、アクセルの操作量に応じた電力を主電池1から電動機M1に供給させる。回生回路4は、回生制動時に電動機M1が発生する回生電力を補助電池2に蓄電する。制御回路10は、ブレーキの操作量に応じて、回生回路4から補助電池2に回生させる回生電力を制御するものであり、ブレーキの操作量に応じた回生電流となるように、回生回路4の電力伝達比率を負帰還制御する。
本実施形態によれば、回生制動時に発生する回生電力を補助電池2に蓄電しており、電気二重層コンデンサに比べて電池はエネルギー密度が大きいので、電気二重層コンデンサに比べて小型、低コストでありながら、より多くの回生電力を蓄電することができる。また電池は、電気二重層コンデンサに比べて充電電流に対する電圧上昇が小さいので、充電量が増えても、充電電圧を低圧に保つことができる。しかも、補助電池2は、主電池1よりも充電電圧が低圧に設定されているから、より低速まで回生エネルギーを回収することができる。さらに、制御回路10は、ブレーキ操作が行われると回生回路4により回生電力を補助電池2に蓄電させており、ブレーキ操作をトリガとして回生動作を開始するので、減速によって失われる運動エネルギーを確実に回収することができる。また、制御回路10は、ブレーキ操作量に応じた回生電流となるように、回生回路4の電力伝達比率を負帰還制御しているので、ブレーキ操作量に応じた回生制動力を発生させることができる。よって、摩擦ブレーキ32のみで制動力を発揮する場合に比べて運動エネルギーのロスが少なく、減速によって失われる運動エネルギーを確実に回収することができる。
ここにおいて、補助電池2には、従来の化学電池や、電極の改良によって性能(特にエネルギー密度)を向上させたキャパシタ電池が含まれる。このような補助電池としては、鉛蓄電池や、リチウムイオン蓄電池や、SCiB(登録商標)や、リチウムイオンキャパシタとリチウムイオン蓄電池とを組み合わせた複合型蓄電デバイスや、キャパシタ電池などが用いられる。
また本実施形態の電力回生システムは、補助電池2に蓄電された電力で主電池1を充電する充電回路5を備えている。
これにより、充電回路5が補助電池2に蓄電された電力を主電池1に充電することで、補助電池2が満充電となることを防いで、補助電池2に回生電力を受け入れ可能とすることができる。また、補助電池に容量の小さい電池を使用できるから、補助電池2の小型化、低コスト化を実現できる。
この充電回路5は、補助電池2の充電電圧V2が所定の閾値Vth以上でのみ動作するので、補助電池2が過放電となることはなく、補助電池2の電池寿命を延ばすことができる。
また充電回路5は、補助電池2の充電電圧V2が高いほど、電力伝達比率を漸増させており、制動回生による補助電池2の電圧上昇を抑制して、補助電池2の電圧値を低く抑えることができる。よって、より低い回生起電力まで(すなわち、より低速まで)、回生エネルギーを回収することができるとともに、補助電池2が過充電となって電池特性が悪化したり、寿命が短くなるのを防ぐことができる。
ところで、上記の説明では、スイッチング素子Q2をPWM制御することによって回生電力を制御しているが、回生電力の制御方法は上記の方法に限定されず、以下に述べるような方法でもよい。
本実施形態の電力回生システムは、電動機M1のコイルと補助電池2との間に電気的に接続されたスイッチング素子Q3を備え、制御回路10は、スイッチング素子Q3のオン/オフをPWM制御している。
これにより、スイッチング素子Q3のオン時には補助電池2が充電され、スイッチング素子Q3のオフ時には電動機M1のコイルに発生した回生起電力が主電池1の充電電圧よりも高ければ、回生起電力により主電池1が充電される。したがって、スイッチング素子Q3のオン時には補助電池2が、オフ時には主電池1が充電されるから、スイッチング素子Q3のオン時とオフ時とで継続して充電が行われることで時間効率が向上するとともに、充電経路以外での損失を低減できる。
制御回路10は、ブレーキ操作検出部31から検出信号が入力されると、回生制動動作を開始し、スイッチング素子Q2をオフにして、スイッチング素子Q3のPWM制御を行う。
制御回路10がスイッチング素子Q3をオンにすると、電動機M1のコイルからスイッチング素子Q3とダイオードD4とを介して補助電池2に充電電流が流れ、補助電池2が充電される。この時、電動機M1のコイルには、電流に応じたエネルギーが蓄積されることになり、スイッチング素子Q2をオン/オフした場合と同様、電動機M1のコイルが昇圧コイルとして機能する。また、補助電池2に流れる電流は、電動機M1の誘導起電力(すなわち電動バイクの速度)と、スイッチング素子Q3のオンデューティとで決定される。同じ速度、デューティ比であれば、スイッチング素子Q2をPWM制御する場合に比べて、電流値が小さくなるが、デューティ比制御を適切に行えば、所望の回生制動力を得ることができる。
制御回路10がスイッチング素子Q3をオフにすると、電動機M1のコイルには電流が流れ続けようとするので、昇圧された電圧が主電池1の充電電圧以上であれば、ダイオードD1を介して主電池1に充電電流が流れて、主電池1を充電する。この場合、主電池1にも回生電力の一部が蓄電されるため、パワー密度が比較的大きい電池が主電池1に使用されるのが好ましい。このような回生制御が行われる場合は、スイッチング素子Q3とダイオードD4とダイオードD1とで回生回路4が構成される。
一方、昇圧された電圧が主電池1の充電電圧以下となる条件、及び、昇圧された電圧が主電池1の充電電圧以下になりそうな条件においては、制御回路10は、スイッチング素子Q2のPWM制御に切り替えている。スイッチング素子Q2をPWM制御する場合は、スイッチング素子Q2でのスイッチング損失が発生するが、スイッチング素子Q3のオフ時には、充電経路上にスイッチング要素が存在しないので、スイッチングによる損失が発生せず、高効率である。また、スイッチング素子Q3のオン時はスイッチング素子Q2のPWM制御によって補助電池2が充電され、スイッチング素子Q3のオフ時は主電池1が充電されるから、充電効率が向上するという利点もある。
以上のような制御方法によっても回生制動時に発生する回生電力を補助電池2に蓄電させることができる。尚、同一の回路であっても、回生制御の方法によって、回生回路4を構成する回路部品が異なっている。
ところで、図4(a)はスイッチング素子Q2に与えられるパルス信号のデューティ比とブレーキ操作量との関係を示し、制御回路10は、ブレーキ操作検出部31から入力されるブレーキ操作量と、電動機M1の回転速度とに基づいてデューティ比を決定する。回生制動力は回生回路4の電力伝達比率(すなわち、スイッチング素子Q2に与えるパルス信号のデューティ比)によって決定されるので、制御回路10は、ブレーキ操作量が小さいほどデューティ比を小さくする。また、デューティ比が同じであっても、電動機M1の回転速度が高速であるほど、発生する回生制動力は大きくなるので、制御回路10は、回転速度が高速になるほどデューティ比を小さくして、回生制動力が大きくなりすぎないように制御している。尚、図4(a)の設定は一例であり、運転者の操作感覚に合致するように、ブレーキ操作量や電動機M1の回転速度に応じて、スイッチング素子Q2に与えるパルス信号のデューティ比が設定されていればよい。また制御回路10は、電動機M1の回転速度の代わりに電動バイクの加速度や回生電流を用い、加速度或いは回生電流と、ブレーキ操作量とに基づいて、スイッチング素子Q2に与えるパルス信号のデューティ比を設定してもよい。
ここで、ブレーキ操作量とは、ブレーキ操作を行うための操作部(例えば操作レバーや操作ペダル)の移動量(ストローク)でもよいし、操作部を操作する力でもよい。
例えば電動バイクでは、ブレーキ操作部(例えば操作レバー)がワイヤを介して摩擦ブレーキ32に連結されており、ブレーキ操作部を操作し始めてから、摩擦ブレーキ32がきき始めるまでに遊び区間が存在する。図4(b)はブレーキ操作量と制動力との関係を示し、図中のAが回生制動による制動力を示し、図中のBが摩擦ブレーキ32による制動力を示している。ブレーキ操作量が0%からd1%までは、ブレーキパッドが車輪に接触せず、ブレーキ操作量がd1%を超えると、ブレーキパッドが車輪に接触して摩擦ブレーキ32がききはじめ、摩擦ブレーキ32による制動力が急激に増加する。一方、ブレーキ操作量が0%からd1%までは回生制動による制動力のみが発生し、回生制動による制動力がブレーキ操作量に連動して増減するように、制御回路10は回生回路4を制御する。
このように、摩擦ブレーキ32の遊び区間において回生制動力が発揮されるので、制動力に占める回生制動力の割合が高くなり、電気エネルギーの利用効率が向上する。
ところで、回生制動の結果、電動機M1が低速になると、回生起電力が低下する。そして、回生起電力が、補助電池2の充電電圧に回生回路4の動作に必要な電圧を加えた電圧を下回ると、回生回路4のスイッチング素子Q2に与えるパルス信号のデューティ比が100%であっても回生制動力は急激に低下する。図4(b)の例ではブレーキ操作量がd2(>d1)を超えると、制動力によって回転速度が減速されるために、回生制動力が急激に低下しているが、回生制動力が急激に低下し始める場合のブレーキ操作量d2は電動バイクの速度などの条件で変動する。例えばブレーキ操作量d2が、摩擦ブレーキ32がきき始める操作量d1よりも小さくなる場合もある。
このように、回生制動による制動力と摩擦ブレーキ32による制動力との組み合わせで制動力が得られるが、摩擦ブレーキ32が利き始める前に回生制動による制動力が働いているので、制動によって失われる運動エネルギーを回生することで、高効率となる。
(実施形態2)
実施形態2の電力回生システムについて図5に基づいて説明する。
実施形態2の電力回生システムについて図5に基づいて説明する。
図5は本実施形態のブロック図である。本実施形態では、実施形態1で説明した電力回生システムにおいて、運転者によるキースイッチ(図示せず)のオン操作に応じて導通し、オフ操作に応じて非導通となる接点6a,6bと、オフディレイタイマ回路7を追加して備えている。尚、実施形態1の回路と共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
接点6aは主電池1と駆動回路3との間の電路に挿入されている。接点6bは、駆動回路3とオフディレイタイマ回路7との間の電路に挿入されている。これらの接点6a,6bは、キースイッチをオンする操作が行われると導通し、キースイッチをオフする操作が行われると非導通となる。
オフディレイタイマ回路7の入力端子は接点6a,6bを介して主電池1に接続され、オフディレイタイマ回路7の出力端子は充電回路5に接続されている。運転者がキースイッチをオンに切り替えると、オフディレイタイマ回路7の入力端子が接点6a,6bを介して主電池1に接続され、オフディレイタイマ回路7の入力がオンになるので、その出力はすぐにオンになる。運転者がキースイッチをオフに切り替えると、オフディレイタイマ回路7の入力がオフになるが、オフディレイタイマ回路7の出力は所定時間オン状態に維持された後、オフになる。
オフディレイタイマ回路7の出力は充電回路5に入力されている。オフディレイタイマ回路7の出力がオンであれば、充電回路5は制御回路10からの制御信号に応じて充電動作を行い、オフディレイタイマ回路7の出力がオフであれば、充電回路5は充電動作を行わない。
したがって、キースイッチがオンの状態では、充電回路5は、制御回路10からの制御信号に応じて、回生制動時に補助電池2に蓄電された電力を主電池1に充電する。一方、キースイッチがオフに切り替えられた場合、駆動回路3は動作を停止するが、オフ操作後も所定時間が経過するまで充電回路5は動作を継続するので、補助電池2に蓄電された電力を主電池1に充電することができる。よって、走行停止時に補助電池2に蓄えられていた電力を主電池1に蓄電することで、回生電力を確実に回収することができ、主電池1の蓄電量を最大にした状態で運転を終了できる。
尚、図5の回路では、キースイッチをオフ操作した後も所定時間が経過するまでは充電回路5を動作させているが、オフ操作の後で補助電池2の充電電圧V2が所定の閾値に低下するまでは、充電回路5を動作させてもよい。
制御回路10には接点6bの信号が入力されており、キースイッチのオフ操作に応じて接点6a,6bがオフになると、駆動回路3及び回生回路4は動作を停止するが、制御回路10は充電回路5を継続して動作させ、以下のような制御を行う。制御回路10は、補助電池2の充電電圧V2をモニタしており、この充電電圧V2をもとに、図3の関係を満たすように充電回路5のスイッチング素子Q5に出力するパルス信号のデューティ比DT1を制御する。すなわち、セル電圧の下限値である2.6Vよりもやや高い電圧が閾値Vthに設定され、充電電圧V2が閾値Vth以下であれば、デューティ比DT1を0%に設定する。また制御回路10は、充電電圧V2が閾値Vthよりも高くなると、充電電圧V2の増加に合わせてデューティ比DT1を漸増させ、充電電圧V2が4.0Vでデューティ比DT1を100%に設定している。これにより、制御回路10は、補助電池2の充電電圧V2が、セル電圧の下限値よりもやや高い電圧Vthまで放電したところで、補助電池2から主電池1への充電(すなわち補助電池2の放電)を停止させており、補助電池2が過放電とならないようにしている。また補助電池2の充電電圧V2が閾値Vthに低下するまで、補助電池2から主電池1への充電が継続されるので、より多くの回生電力を主電池1に回生させることができ、減速によって失われる回生エネルギーをより多く回収することができる。
尚、上記の説明ではキースイッチのオフ操作時、すなわち運転終了時に行われる充電回路5の充電動作について説明したが、充電回路5は、運転途中においても補助電池2に蓄電された電力を主電池1に適宜充電しており、その説明については省略する。
また、本実施形態の特徴部分を後述する他の実施形態に適用してもよいことは言うまでもない。
(実施形態3)
実施形態3の電力回生システムについて図6及び図7を参照して説明する。
実施形態3の電力回生システムについて図6及び図7を参照して説明する。
図6は本実施形態のブロック図である。本実施形態では、実施形態1で説明した電力回生システムにおいて、切替回路8と、比較器CP1と、速度センサ11とを追加して備えている。尚、実施形態1の回路と共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
比較器CP1は、主電池1の充電電圧と、回生回路4の出力電圧との高低を比較し、比較結果を切替回路8に出力する。
切替回路8は、比較器CP1から入力される信号をもとに、回生回路4からの回生電力の供給先を主電池1及び補助電池2の何れかに切り替える。すなわち、回生回路4の出力電圧が主電池1の充電電圧よりも低い場合、切替回路8は、回生電力の供給先を補助電池2に切り替え、回生回路4の出力電圧が主電池1の充電電圧以上の場合、切替回路8は、回生電力の供給先を主電池1に切り替える。
ここにおいて、切替回路8が回生電力の供給先を切り替える前後で、回生回路4の電力伝達比率(すなわち、スイッチング素子のオンデューティ)が適切に(例えば切替前後で回生電力が連続的に変化するように)制御されることが好ましい。
尚、切替回路8は、回生回路4の出力電圧が、主電池1の充電電圧に一定電圧を加えた電圧以上であれば、回生電力の供給先を主電池1に切り替えてもよい。
ところで、実施形態1で説明した図2の具体回路においても、スイッチング素子Q3の制御方法によっては、本実施形態の回路構成と同じであるとみなすことができる。
すなわち、回生制御時にスイッチング素子Q2のPWM制御が行われる場合に、制御回路10は、スイッチング素子Q2をオフさせるタイミングで、スイッチング素子Q3をオフさせる。スイッチング素子Q2,Q3が共にオフの場合、回生回路4の出力電圧が、主電池1の充電電圧V1にダイオードD1の順方向電圧Vfを加えた電圧(V1+Vf)を上回っていれば、回生回路4の回生電圧はダイオードD1を介して主電池1に直接充電される。したがって、下り坂を走行する場合などで回生エネルギーが大きくなって、回生回路4の出力電圧が主電池1の充電電圧V1に順方向電圧Vfを加えた電圧(V1+Vf)以上になると、スイッチング素子Q2がオフのままでも、ダイオードD1が導通することで、主電池1が充電される。
一方、回生エネルギーが小さく、回生回路4の出力電圧が電圧(V1+Vf)を下回る場合はダイオードD1が導通しないので、制御回路10は、スイッチング素子Q3をオンさせることで、回生回路4の回生電力によって補助電池2を充電させている。この場合、スイッチング素子Q2で回生回路が構成され、スイッチング素子Q3で切替回路8が構成されていると見なすことができる。
また本実施形態では、電動機M1の回転数を計測する速度センサ11が設けられている。この速度センサ11は、電動バイクの速度を計測するものでもよい。
制御回路10は、ブレーキ操作検出部31及び速度センサ11の検出結果をもとに、ブレーキ操作量に応じた減速度が得られるように、回生回路4の電力伝達比率、すなわち回生回路4のスイッチング素子のオンデューティを負帰還制御している。このような負帰還制御を行うことによって、運転者の体重や、坂道などの道路状況に関わらず、ブレーキ操作量に応じた加速度が得られ、運転者のブレーキフィーリングを損なうことはない。
次に、本実施形態の具体回路について図7を参照して説明する。図7の回路例では電動機M1として3相のDCブラシレスモータが使用されている。
この回路では、主電池1の両端間に、スイッチング素子Q7及びダイオードD7の並列回路を介して、スイッチング素子Q1U,Q1V,Q1W,Q2U,Q2V,Q2Wのフルブリッジ回路からなる駆動回路3が接続されている。スイッチング素子Q1U,Q1V,Q1W,Q2U,Q2V,Q2WはそれぞれMOS型電界効果トランジスタからなり、構造上できる寄生ダイオードD1U,D1V,D1W,D2U,D2V,D2Wがそれぞれと逆並列に接続されている。スイッチング素子Q1U,Q2Uの接続点には電動機M1のU相のコイルが、スイッチング素子Q1V,Q2Vの接続点にはV相のコイルが、スイッチング素子Q1W,Q2Wの接続点にはW相のコイルが、それぞれ接続されている。
駆動回路3の両端間には、2個のスイッチング素子Q3,Q4の直列回路を介して補助電池2が接続されている。スイッチング素子Q3,Q4はそれぞれMOS型電界効果トランジスタからなり、ソース同士が互いに接続されており、構造上できる寄生ダイオードD3,D4がドレイン・ソース間に接続されている。ところで、実施形態1で説明した図2の回路ではブリッジ回路を構成するスイッチング素子Q1,Q2の接続点にスイッチング素子Q3の一端が接続されている。本実施形態の3相インバータ回路においても図2と同様の接続方法を採用することは可能であるが、その場合はブリッジ回路を構成するスイッチング素子Q1U,Q2Uの接続点、スイッチング素子Q1V,Q2Vの接続点、スイッチング素子Q1W,Q2Wの接続点にそれぞれスイッチング素子の一端を接続する必要があり、3個のスイッチング素子が必要になる。
補助電池2の両端間には、インダクタL1とスイッチング素子Q5との直列回路が接続され、インダクタL1及びスイッチング素子Q5の接続点と主電池1の正極との間には、ダイオードD6及びスイッチング素子Q6の並列回路が接続されている。ここにおいて、インダクタL1とスイッチング素子Q5とダイオードD6とで、昇圧型のDC−DCコンバータからなる充電回路5が構成される。
電動機M1には磁極位置を検出するホールIC12が取り付けられており、ホールIC12の信号は制御回路10に入力されている。制御回路10は、ホールIC12の信号から磁極位置や回転速度を検出する。また制御回路10には、モータ電流を検出する電流センサ13の信号が入力されており、駆動時の電流値から駆動トルクを求めるとともに、回生時の電流値から制動トルクを求めることができる。制御回路10は、駆動回路3のスイッチング素子をPWM制御しており、駆動トルクや制動トルクの検出結果を用いて、各スイッチング素子に与えるパルス信号のデューティ比を適切に制御することで、電動機M1の駆動及び回生制動を行わせている。
アクセル操作検出部30の検出入力に応じて電動機M1を駆動する場合、制御回路10は、スイッチング素子Q7をオン、スイッチング素子Q3,Q4をオフにする。そして、制御回路10は、ホールIC12により検出された磁極の位置情報をもとに、ブリッジ回路を構成する6個のスイッチング素子を順番に切り替えて駆動し、各相のコイルに流れる電流を切り替えることによって、電動機M1を所望の速度で回転させる。尚、このような3相モータの制御方法は従来周知であるので、その説明は省略する。
また制御回路10は、アクセル操作検出部30又はブレーキ操作検出部31の検出入力をもとに回生制動を行うと判定した場合、比較器CP1の出力をもとに回生電力の供給先を主電池1及び補助電池2の何れかに切り替える。尚、比較器CP1は、主電池1の充電電圧と、回生電圧との高低を比較しており、比較結果を制御回路10に出力する。
ここで、主電池1に回生すると判定した場合、制御回路10はスイッチング素子Q3,Q4をオフさせる。制御回路10は、ローサイドのスイッチング素子Q2U,Q2V,Q2WをPWM制御しており、スイッチング素子Q2U,Q2V,Q2Wのオフ期間において、回生電圧が主電池1の充電電圧V1にダイオードD7の順方向電圧Vfを加えた電圧(V1+Vf)以上に昇圧されれば、ダイオードD7が導通して主電池1が充電される。この電力回生時は、電動機M1のコイルが、回生回路4を構成する昇圧回路の一部として使用される。すなわち、制御回路10は、ホールIC12によって検出された磁極の位置をもとに、誘起電圧の電位差が最も大きい相間を短絡するように、ハイサイドのスイッチング素子をオンさせて、コイルに電流を流すことによって、エネルギーを蓄積させる。その後、ハイサイドのスイッチング素子をオフにして蓄えたエネルギーを主電池1側に放出させることで、主電池1を充電する。ここで、ローサイドのスイッチング素子Q2U,Q2V又はQ2Wのオフ時に、制御回路10がスイッチング素子Q7をオンにすると、主電池1に充電電流が流れるから、ダイオードD7を介して充電する場合に比べて、損失が低減される。
一方、補助電池2に回生すると判定した場合、制御回路10はスイッチング素子Q7をオフ、スイッチング素子Q3,Q4をオンにして、補助電池2を充電する。
ここにおいて、スイッチング素子Q3,Q7により切替回路8が構成される。スイッチング素子Q4及びダイオードD4は補助電池2から駆動回路3への逆流を阻止するために設けられているが、ダイオードD4のみでも逆流阻止は可能である。但し、ダイオードD4に並列接続されたスイッチング素子Q4をオンすることによって、ダイオードD4を介して補助電池2を充電する場合に比べて損失が低減され、より低い起電圧まで(すなわち、より低速まで)回生させることができる。
また充電回路5は、実施形態1の回路と同様に、昇圧型のDC−DCコンバータからなり、ダイオードD6と並列にスイッチング素子Q6が接続されている。尚、スイッチング素子Q6はMOS型電界効果トランジスタからなり、構造上できる寄生ダイオードによってダイオードD6が構成されているので、実質的にはスイッチング素子Q6がダイオードD6を内蔵している。
制御回路10は、スイッチング素子Q5と相補的にスイッチング素子Q6をオンさせており、補助電池2に蓄えられた回生電力はスイッチング素子Q6を介して主電池1に充電される。この充電時に補助電池2からスイッチング素子Q6を介して主電池1に充電電流が供給されるので、ダイオードD6を介して充電電流が流れる場合に比べて、ダイオードD6による損失を低減できる。但し、主電池1から補助電池2に逆流しないよう、補助電池2の充電電圧が主電池1の充電電圧よりも高い場合に限ってスイッチング素子Q6をオンさせる必要がある。そこで、図7の回路では、スイッチング素子Q6の両端電圧(すなわち、補助電池2側の端子電圧と主電池1側の端子電圧)の高低を比較する比較器CP2が設けられ、比較器CP2の出力は制御回路10に入力されている。制御回路10は、スイッチング素子Q6の補助電池2側の端子電圧が、主電池1側の端子電圧よりも確実に高い場合のみ、制御回路10がスイッチング素子Q6をオンさせており、主電池1から補助電池2側に電流が逆流することはない。
以上のように本実施形態の電力回生システムは、回生回路4の出力を主電池1に回生するか、補助電池2に回生するかを切り替える切替回路8を備えている。
これにより、切替回路8が回生先を主電池1に切り替えることによって、回生回路4の出力を主電池1に回生することが可能になり、その結果、補助電池2に容量の小さい電池を使用することができる。また、回生電力を主電池1に直接充電することができるから、充電回路による損失を低減できる。
ここで、切替回路8は、回生回路4の出力電圧が所定値以上では、回生先を主電池1に切り替え、回生回路4の出力電圧が所定値未満では、回生先を補助電池2に切り替えている。
これにより、回生回路4の出力電圧が所定値未満の場合(すなわち電動バイクの速度が基準速度未満の場合)のみ、補助電池2に回生電力が充電されるので、補助電池2に容量の小さい電池を使用でき、補助電池2の小型化、低コスト化を実現できる。ここにおいて、供給先を切り替える閾値となる所定値は、主電池1の充電電圧をモニタした電圧値でもよいし、予め設定された電圧値(例えば主電池1の定格電圧など)でもよいし、主電池1の充電電圧に回生回路4の動作に必要な電圧値を加えた電圧値でもよい。
また切替回路8は、速度センサ11によって検出された電動機M1の回転速度が所定の基準速度以上であれば、回生先を主電池1に切り替え、電動機M1の回転速度が基準速度未満であれば、回生先を補助電池2に切り替えるようにしてもよい。
ここで、電動機M1の回転速度と、回生制動によって電動機M1に発生する誘起起電力とは、電動機M1の仕様によって固有に定まる。したがって、電動機M1の回転速度が基準速度未満の場合は回生電力の回生先を補助電池2に切り換えることで、誘起起電力が比較的小さい場合のみ補助電池2に回生電力が充電されることになる。よって、補助電池2に容量の小さい電池を使用でき、補助電池2の小型化、低コスト化を実現できる。
尚、本実施形態では、比較器CP1が主電池1の充電電圧と回生電圧との高低を比較した結果に基づいて回生電力の供給先を決定しているが、ホールIC12の検出結果から求めた回転速度に基づいて、供給先を切り替えるタイミングを決定してもよい。すなわち、回転速度が所定の基準速度以上であれば、制御回路10は回生電力の供給先を主電池1に切り替え、回転速度が基準速度未満であれば、制御回路10は回生電力の供給先を補助電池2に切り替える。
尚、本実施形態の特徴部分を実施形態2や後述する他の実施形態に適用してもよいことは言うまでもない。
(実施形態4)
実施形態4の電力回生システムについて図8を参照して説明する。
実施形態4の電力回生システムについて図8を参照して説明する。
図8は本実施形態のブロック図である。本実施形態では、実施形態1で説明した電力回生システムにおいて、回生制動時に電動機M1に発生する回生電力を補助電池2に蓄電する第1回生回路4aと、回生制動時に電動機M1に発生する回生電力を主電池1に蓄電する第2回生回路4bとを備えている。尚、実施形態1の回路と共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
制御回路10は、第1回生回路4a及び第2回生回路4bの動作を制御しており、アクセルの開放時に電動機M1に発生する回生電圧が主電池1の充電電圧以上であれば、第2回生回路4bにより主電池1に回生電力を蓄電させる。また制御回路10は、アクセルの開放時に電動機M1に発生する回生電圧が主電池1の充電電圧未満であれば、第1回生回路4aにより補助電池2に回生電力を蓄電させる。
このように、回生電力を主電池1に直接回生させる第2回生回路4bが設けられているので、補助電池2に一旦蓄えた回生電力を主電池1に充電させる場合に比べて、補助電池2の容量を小さくできる。また、第2回生回路4bにより主電池1に直接回生させているので、充電回路5による損失を無くすことができる。しかも、補助電池2には、主電池1の充電電圧よりも低い回生電圧(すなわち、低速走行時)のみ回生電力を蓄電させればよいので、補助電池2の容量を小さくできる。尚、制御回路10が回生先を切り替える基準電圧として主電池1の充電電圧を用いているが、回生先を切り替える基準電圧は、主電池1の充電電圧をモニタした電圧値に限らず、主電池1の定格電圧など予め設定された電圧値を用いてもよい。また、回生先を切り替える基準電圧として、主電池1の実際の充電電圧に、回生回路の動作に必要な電圧を加算した電圧を用いてもよい。
ところで、電動機M1がDCブラシレスモータの場合、モータ駆動のため回転角を検出するセンサ11a(例えばホールIC等)を備えており、制御回路10では、センサ11aの検出結果から求めた回転速度に基づいて、第1回生回路4a及び第2回生回路4bの何れかにより回生電力を蓄電させるようにしてもよい。すなわち、制御回路10は、電動機M1の回転速度が所定の基準速度以上であれば、第2回生回路4bから主電池1に回生電力を蓄電させ、電動機M1の回転速度が所定の基準速度未満であれば、第1回生回路4aから補助電池2に回生電力を蓄電させる。
電動機M1の回転速度と、回生制動時に電動機M1に誘起される起電圧とは、電動機M1の仕様によって固有に定まり、低速走行時のみ補助電池2に回生電力を蓄電させればよいので、補助電池2の容量を小さくできる。
ところで、電動機M1の回転速度が速いほど、電動機M1の誘起起電力、すなわち回生電流は大きくなるから、所望の制動力を得るために必要な第1回生回路4a及び第2回生回路4bの電力伝達比率は小さくて済む。したがって、制御回路10は、電動機M1の回転速度が速いほど、第1回生回路4a及び第2回生回路4bの電力伝達比率、すなわち第1回生回路4a及び第2回生回路4bをPWM制御する際のオンデューティが小さくなるように、各回生回路4a,4bを制御する。尚、電動機M1の回転速度が速い場合に電力伝達比率を下げなければ、ブレーキ操作量が少ない場合でも、或いは、ブレーキ操作量がゼロでアクセルを開放しただけでも、大きな制動力が発生してしまうが、回転速度が速いほど電力伝達比率を下げることで、制動力が過大にならないように抑制することができる。
以上のように本実施形態の電力回生システムは、アクセルの開放時に電動機M1が発生する回生電力を主電池1に蓄電する第2回生回路4bをさらに備えている。
これにより、回生制動時に発生する回生起電力を第2回生回路4bが主電池1にも回生することで、補助電池2に容量の小さい電池を使用できる。また第2回生回路4bは回生電力を主電池1に直接充電するので、補助電池2に一旦蓄えた回生電力を充電回路5が主電池1に充電する場合に比べて、充電回路5による損失をなくすことができる。
ここで、回生制動時に発生する回生電圧が所定の基準電圧以上であれば第2回生回路4bが主電池1に回生し、回生制動時に発生する回生電圧が所定の基準電圧未満であれば第1回生回路4aが補助電池2に回生している。尚、基準電圧としては例えば主電池1の充電電圧を用いているが、主電池1の充電電圧をモニタした電圧値に限らず、主電池1の定格電圧など予め設定された電圧値を用いてもよい。また、回生先を切り替える基準電圧として、主電池1の実際の充電電圧に、回生回路の動作に必要な電圧を加算した電圧を用いてもよい。
これにより、補助電池2には、基準電圧よりも低い回生電圧(すなわち、低速走行時)のみ回生電力を蓄電させればよいので、補助電池2の容量を小さくできる。
なお、回生制動時において電動機M1の回転速度が所定の基準速度以上であれば、第2回生回路4bから主電池1に回生させ、電動機M1の回転速度が基準速度未満であれば、第1回生回路4aから補助電池2に回生させてもよい。
電動機M1の回転速度と、回生制動時に電動機M1に誘起される起電圧とは、電動機M1の仕様によって固有に定まり、回転速度が基準速度の時に発生する起電圧未満の場合のみ補助電池2に回生電力を蓄電させればよいので、補助電池2の容量を小さくできる。
尚、本実施形態の特徴部分を実施形態2,3や後述する他の実施形態に適用してもよいことは言うまでもない。
(実施形態5)
実施形態5の電力回生システムについて図9及び図10を参照して説明する。
実施形態5の電力回生システムについて図9及び図10を参照して説明する。
図9は本実施形態のブロック図である。上述の電力回生システムでは、補助電池2の充電電圧が主電池1よりも低い電圧に設定されているので、より低速まで回生電力を回収することが可能であるが、回生起電力が補助電池2の充電電圧より低い場合は回生起電力を回収することができなかった。そこで、本実施形態では、実施形態1で説明した電力回生システムにおいて、回生制動時に電動機M1が発生する回生電力の一部を蓄電するキャパシタ14と、キャパシタ14に蓄電された電力を主電池1に放電させる放電回路15とを備えている。キャパシタ14は、回生回路4と補助電池2との間に接続されており、補助電池2からキャパシタ14に電流が逆流しないよう、キャパシタ14と補助電池2との間にはダイオードD8が接続されている。ここにおいて、ダイオードD8により、補助電池2からキャパシタ14へ電流が流れるのを阻止する逆流素子回路が構成される。尚、実施形態1の回路と共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。また、図9では制御回路10の図示が省略されているが、上述の実施形態と同様に制御回路10を備えていてもよいし、駆動回路2、回生回路4、充電回路5及び放電回路15のそれぞれが制御部を備えていてもよい。
この電力回生システムでは、回生制動時に回生回路4が発生した回生起電力はキャパシタ14に一旦蓄電される。キャパシタ14の両端電圧は充電量に応じて上昇し、キャパシタ14の両端電圧が、補助電池2の充電電圧にダイオードD8の順方向電圧を加えた電圧以上になると、キャパシタ14から補助電池2に充電される。キャパシタ14の両端電圧は放電によって低下し、キャパシタ14の両端電圧が、補助電池2の充電電圧にダイオードD8の順方向電圧を加えた電圧を下回ると、キャパシタ14から補助電池2に充電されなくなる。ここで、キャパシタ14の充電電圧は、回生回路4から出力される回生電力の充電量と、キャパシタ14の充電電圧を放電させる回路とのバランスで決定される。ここにおいて、キャパシタ14には、パワー密度の大きい電気二重層コンデンサが使用されることが好ましい。また、ダイオードD8には高い耐圧は必要なく、低損失であることが要求されるので、ショットキーダイオードが使用されるのが好ましい。
ところで、図10に示すようにダイオードD8の代わりにスイッチング素子Q8を接続し、スイッチング素子Q8の両端電圧を比較する比較器CP3の出力に応じて、制御回路10がスイッチング素子Q8のオン/オフを切り替えるようにしてもよい。
比較器CP3は、スイッチング素子Q8の両端電圧、すなわち補助電池2の充電電圧と、キャパシタ14の充電電圧との高低を比較し、比較結果を制御回路10に出力する。
制御回路10は、比較器CP3の出力をもとに、キャパシタ14の充電電圧が補助電池2の充電電圧以上であれば、スイッチング素子Q8をオンさせ、キャパシタ14の充電電圧が補助電池2の充電電圧を下回っていれば、スイッチング素子Q8をオフさせる。
回生回路4からの回生電力でキャパシタ14が充電され、キャパシタ14の充電電圧が補助電池2の充電電圧以上になると、制御回路10がスイッチング素子Q8をオンさせる。この時、キャパシタ14からスイッチング素子Q8を介して補助電池2に回生電流が流れ、補助電池2が回生起電力によって充電される。このような経路で回生電流が確実に流れるようにするために、図2に示す回路において回生回路4を構成するスイッチング素子Q2と相補的にスイッチング素子Q8をPWM制御してもよい。すなわち、制御回路10が、スイッチング素子Q2のオフ時のみ、スイッチング素子Q8をオンさせてもよい。
一方、低速になって回生起電力が小さくなり、キャパシタ14の充電電圧が補助電池2の充電電圧を下回ると、補助電池2を充電できなくなるので、制御回路10はスイッチング素子Q8をオフさせる。これにより、補助電池2からキャパシタ14側への逆流が阻止される。
図10に示す回路では、ダイオードD8に代えてスイッチング素子Q8を使用しており、ダイオードD8による電圧降下がなくなるから損失を低減でき、またダイオードD8の順方向電圧の分だけ、より低圧まで回生起電力を補助電池2に回生させることができる。
以上のように本実施形態の電力回生システムは、回生制動時に電動機M1が発生する電力の一部を蓄電するキャパシタ14と、キャパシタ14に蓄電された電力を放電させる放電回路15とを備えている。
キャパシタ14には電圧下限がないので、補助電池2の充電下限より低い回生起電圧でも回生電力を回収できるので、より低速まで回生電力を回収することができる。また、キャパシタ14は、補助電池2の充電下限よりも低い回生起電圧のみ回収すればよいから、小容量のキャパシタで実現でき、システム全体の小型化、低コスト化を実現できる。
またキャパシタ14は、回生回路4と補助電池2との間を接続する電路に接続されて、回生回路4からの回生電力によって充電されており、補助電池2からキャパシタ14へ電流が流れるのを阻止する逆流阻止回路が設けられている。
これにより、キャパシタ14を追加するに当たって、キャパシタ14と逆流素子回路を追加するだけで済むので、システム全体としてコストダウンを図ることができる。
また逆流素子回路を構成するダイオードD8がショットキーダイオードからなり、ダイオードD8としてPN接合ダイオードを用いる場合に比べて、順方向の電圧降下が小さくなり、ダイオードD8での発熱や、発熱による損失を低減できる。
また、図10に示す回路では、キャパシタ14が、回生回路4と補助電池2との間を接続する電路に接続されて、回生回路4からの回生電力により充電されるようになっている。そして、キャパシタ14と補助電池2との間に、スイッチング素子Q8からなるスイッチが接続され、このスイッチは、回生制動時に回生回路4から回生電力が供給される間は導通状態に切り替えられ、補助電池2の放電時には非導通状態に切り替えられている。
このようにダイオードD8の代わりにスイッチを設け、キャパシタ14から補助電池2に充電する場合はスイッチを導通させているので、キャパシタ14からダイオードD8を介して補助電池2を充電する場合に比べて、ダイオードD8による電圧降下が発生せず、ダイオードD8による損失をなくすことができる。また、図9に示す回路のようにキャパシタ14からダイオードD8を介して補助電池2を充電する場合は、キャパシタ14の電圧が、補助電池2の充電電圧よりダイオードD8の順方向電圧以上高くならないと、ダイオードD8が導通しない。それに対して、図10の回路では、キャパシタ14からスイッチング素子Q8を介して補助電池2を充電するので、キャパシタ14の電圧が、補助電池2の充電電圧より僅かに高い電圧まで、補助電池2を充電でき、より低速まで回生電力を回収することができる、
尚、本実施形態の特徴部分を実施形態2〜4や後述する他の実施形態に適用してもよいことは言うまでもない。
尚、本実施形態の特徴部分を実施形態2〜4や後述する他の実施形態に適用してもよいことは言うまでもない。
(実施形態6)
実施形態6の電力回生システムについて図11を参照して説明する。
実施形態6の電力回生システムについて図11を参照して説明する。
図11は本実施形態のブロック図である。本実施形態では、実施形態1で説明した電力回生システムにおいてキャパシタ14と放電回路15と切替回路16と速度センサ11とを追加して備えている。尚、実施形態1の回路と共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
キャパシタ14は、例えば電気二重層コンデンサからなり、回生制動時に電動機M1が発生する回生電力の一部を蓄電する。
放電回路15は、キャパシタ14に蓄電された電力を補助電池2に放電させる。尚、放電回路15は、キャパシタ14に蓄電された電力を主電池1に放電させてもよい。
速度センサ11は電動機M1の回転速度を計測する。尚、速度センサ11は電動バイクの速度を検出してもよい。
切替回路16は、機械式の電磁リレー或いは半導体スイッチを備え、速度センサ11によって検出された検出速度に基づいて、回生回路4からの回生電力の供給先を補助電池2及びキャパシタ14の何れかに切り替える。すなわち、速度センサ11による検出速度が所定の基準速度以上であれば、切替回路16は回生電力の供給先を補助電池2に切り替え、速度センサ11による検出速度が基準速度未満であれば、切替回路16は回生電力の供給先をキャパシタ14に切り替える。
ここで、電動機M1の回転速度が低いほど、発生する回生起電力は小さくなり、回生起電力が補助電池2の充電電圧よりも低い場合は、回生起電力で補助電池2を充電することはできない。そこで、本実施形態では、電動機M1の回転速度が基準速度以上であれば、回生回路4からの回生電力の回生先を補助電池2に切り替え、電動機M1の回転速度が基準速度未満であれば、回生回路4からの回生電力の回生先をキャパシタ14に切り替えている。これにより、補助電池2のみに回生起電力を回生させる場合に比べて、より低速(すなわち、より低い回生起電力)まで回生エネルギーを回収することができる。
尚、放電回路15は常時動作する必要はない。例えば電動機M1の回転速度(すなわち電動バイクの速度)が所定値以下の場合や、切替回路16が回生先をキャパシタ14に切り替えている場合のみ、放電回路15を動作させることによって、放電回路15での消費電力を低減できる。
また、切替回路16は、電動機M1の回転速度の代わりに、回生回路4から出力される回生電圧をもとに、回生電力の回生先を切り替えてもよい。すなわち、回生回路4からの回生電圧が所定の基準電圧以上であれば、切替回路16が回生先を補助電池2に切り替え、回生電圧が基準電圧未満であれば、切替回路16が回生先をキャパシタ14に切り替えてもよい。これにより、補助電池2のみに回生起電力を回生させる場合に比べて、より低速(すなわち、より低い回生起電力)まで回生エネルギーを回収することができる。
また、放電回路15は、キャパシタ14に蓄電された電力を放電させて補助電池2を充電しているが、主電池1を充電するようにしてもよい。
以上のように本実施形態では、実施形態1の電力回生システムにおいて、回生制動時に電動機M1が発生する電力の一部を蓄電するキャパシタ14と、キャパシタ14に蓄電された電力を放電させる放電回路15と、回生回路4からの回生電力の供給先を、補助電池2及びキャパシタ14の何れかに切り替える切替回路16とをさらに備えている。
これにより、補助電池2のみに回生起電力を回生させる場合に比べて、より低速(すなわち、より低い回生起電力)まで回生エネルギーを回収することができる。また、切替回路16によって回生先を切り替えているので、図9に示す回路のようにダイオードD8による損失が発生することがない。
尚、本実施形態の特徴部分を実施形態2〜5や後述する他の実施形態に適用してもよいことは言うまでもない。
(実施形態7)
実施形態7の電力回生システムについて図12を参照して説明する。
実施形態7の電力回生システムについて図12を参照して説明する。
実施形態6の電力回生システムでは、同じ回生回路4からの回生電力の供給先が、切替回路16によって、補助電池2及びキャパシタ14の何れかに切り替えられている。それに対して本実施形態では、回生制動時に補助電池2に回生電力を供給する第1回生回路4aと、回生制動時にキャパシタ14に回生電力を供給する第3回生回路4cが別々に設けられている。そして、制御回路10は、回生制動時に速度センサ11によって検出された回転速度をもとに、第1回生回路4a及び第3回生回路4cのうち何れの回生回路を動作させるかを制御している。
すなわち、速度センサ11による検出速度が所定の基準速度以上であれば、制御回路10は、第1回生回路4aを動作させ、回生電力を補助電池2に蓄える。一方、速度センサ11による検出速度が所定の基準速度未満であれば、制御回路10は、第3回生回路4cを動作させ、回生電力をキャパシタ14に蓄える。
ここで、電動機M1の回転速度が低いほど、発生する回生起電力は小さくなり、回生起電力が補助電池2の充電電圧よりも低い場合は、回生起電力で補助電池2を充電することはできなくなる。そこで、本実施形態では、電動機M1の回転速度が基準速度以上であれば、第1回生回路4aを動作させて補助電池2に蓄電させ、電動機M1の回転速度が基準速度未満であれば、第3回生回路4cを動作させてキャパシタ14に蓄電させている。これにより、補助電池2のみに回生起電力を回生させる場合に比べて、より低速(すなわち、より低い回生起電力)まで回生エネルギーを回収することができる。
尚、放電回路15は常時動作する必要はない。例えば電動機M1の回転速度(すなわち電動バイクの速度)が所定値以下の場合や、切替回路16が回生先をキャパシタ14に切り替えている場合のみ、放電回路15を動作させることによって、放電回路15での消費電力を低減できる。
また、放電回路15は、キャパシタ14に蓄電された電力を放電させて補助電池2を充電しているが、主電池1を充電するようにしてもよい。
以上のように本実施形態では、実施形態1の電力回生システムにおいて、回生制動時に電動機M1が発生する電力の一部を蓄電するキャパシタ14と、キャパシタ14に蓄電された電力を放電させる放電回路15と、回生制動時に電動機M1が発生する回生電力をキャパシタ14に蓄電する第3回生回路4bをさらに備えている。
これにより、補助電池2のみに回生起電力を回生させる場合に比べて、より低速(すなわち、より低い回生起電力)まで回生エネルギーを回収することができる。また、制動回生時に回生電圧で補助電池2を充電する第1回生回路4aとキャパシタ14を充電する第2回生回路4bを別々に設けているので、図9に示す回路のようにダイオードD8による損失が発生することがない。また制御回路10が、第1回生回路4aによる回生電力と第2回生回路4bによる回生電力との分配を適切に制御(例えば両回生回路4a,4bの回生電力の総和が一定になるように制御すれば)、運転者が感じるブレーキフィーリングを損なうことはない。
尚、本実施形態の特徴部分を実施形態2〜6や後述する他の実施形態に適用してもよいことは言うまでもない。
(実施形態8)
実施形態8の電力回生システムについて図13を参照して説明する。
実施形態8の電力回生システムについて図13を参照して説明する。
本実施形態は、上述の各実施形態で使用されるブレーキ操作検出部31が、少なくとも回生回路4を収納する器体に取り付けられたことを特徴とし、ブレーキ操作検出部31の取付状態を図13に基づいて説明する。尚、ブレーキ操作検出部31以外の構成は上述の各実施形態と同様であるので、共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
器体40はボディ41とカバー42とで構成され、電動バイクの車体に取り付けられる。ボディ41及びカバー42はそれぞれ合成樹脂成形品からなり、ボディ41とカバー42とで囲まれる収納凹部41aには回路基板50が収納されている。この回路基板50には、上述の駆動回路3、回生回路4、充電回路5などを構成する回路部品が実装されている。
収納凹部41aの底部には、収納凹部41aよりも深さが深い凹部41bが部分的に設けられている。この凹部41bには検出コイル34が収納されている。検出コイル34は、筒状のボビン34aと、ボビン34aに複数回巻き付けられた巻線34bとで構成される。この検出コイル34は、ボビン34aの孔34cが左右方向に平行するように凹部41b内に収納されている。巻線34bの両端にそれぞれ接続された端子34dは回路基板50に電気的に接続されており、検出コイル34の信号は、回路基板50に実装されたブレーキ操作検出部31に入力される。ここで、ボディ41とカバー42との隙間や、ボディ41とボビン34aの間の隙間はシール剤などが充填されてシールされており、回路基板50を収納する収納凹部41aに外部から水が浸入しにくくしている。
器体40において、凹部41bの左右両側の側壁には、ボビン34aの孔34cに対応する位置に貫通孔41c,41dが設けられている。
器体40の貫通孔41c,41dとボビン34aの孔34cにはブレーキワイヤ32aが通されている。ブレーキワイヤ32aの一端はブレーキ操作部(図示せず)に繋げられ、ブレーキワイヤ32aの他端は摩擦ブレーキ32に繋げられている。そして、運転者がブレーキ操作部を操作すると、ブレーキ操作部の操作量に応じた量だけブレーキワイヤ32aは図13中の左側に変位する。
ブレーキワイヤ32aには位置検出のための変位体33が取り付けられている。変位体33は、金属材料(例えばアルミや銅など)のパイプの両端をそれぞれ小径化して形成されており、一方の小径部分33aをかしめることによってブレーキワイヤ32aに固定されている。貫通孔41dの内径は変位体33の外径よりも大きい寸法に設定されており、変位体33は貫通孔41cを通して凹部41bの内側まで挿入される。一方、貫通孔41cの内径は変位体33の外径よりも小さい寸法に設定されており、変位体33の大径部分の端面を貫通孔41cの周縁部に当接させることによって、器体40に取り付けられた検出コイル34に対して変位体33が位置決めされる。そして、変位体33の大径部分の端面を貫通孔41cの周縁部に当接させた状態で、貫通孔41bから外側に出ている小径部分33aをかしめることによって、変位体33がブレーキワイヤ32aに固定される。
したがって、ブレーキ操作が行われていない状態では、凹部41b内において、大径部分の右側端面が貫通孔41cの周縁部分に当接する位置に変位体33は停止している。その後、運転者がブレーキ操作部(例えばブレーキレバー)を操作すると、ブレーキワイヤ32aが図13中の左側に移動し、それに応じてブレーキパッド(図示せず)が車輪に押し付けられることで、制動力が発生する。一方、運転者がブレーキ操作部を操作する力を緩めると、図示しない復帰ばねのバネ力によって、ブレーキワイヤ32aが図13の右側に移動し、それに応じてブレーキパッドが車輪から離れて、摩擦ブレーキ32による制動力が低下する。
上述のように運転者がブレーキ操作部を操作すると、ブレーキ操作量に応じてブレーキワイヤ32aが直線的に移動し、ブレーキワイヤ32aとともに変位体33が左右方向において往復動作する。変位体33が図13中の左右方向において往復動作すると、ボビン34a内に変位体33が挿入されている挿入量が変化するから、検出コイル34のインピーダンスが変化する。ブレーキ操作検出部31は、検出コイル34のインピーダンスを電気信号に変換する回路を備え、変位体33の変位に応じたインピーダンス変化を電気信号として検出することによって、ブレーキ操作の操作量を検出し、検出結果を制御回路10に出力する。
尚、電動バイクの組立時においてブレーキ操作検出部31は以下のような手順で組み立てられる。先ずブレーキワイヤ32aに変位体33を通し、ボディ41の貫通孔41dからボビン34aの孔34cと貫通孔41cとにブレーキワイヤ32aを通した後、ブレーキワイヤ32aの両端をブレーキ操作部と摩擦ブレーキとにそれぞれ接続する。次に、変位体33の一端側の端面を、貫通孔41cの周縁部に当接させた状態で、変位体33の他端側の小径部分33aをかしめることによって、変位体33をブレーキワイヤ32aに固定する。このように、変位体33の端面を貫通孔41cの周縁部に当接させた状態で、変位体33がブレーキワイヤ32aに固定されるので、検出コイル34に対する変位体33の位置のばらつき(製品間でのばらつき)が低減される。したがって、ブレーキ操作量に対する検出コイル34のインピーダンス変化が製品間でばらつくのを抑制でき、ブレーキ操作に対して所望の電気信号を得ることができる。
以上のように、本実施形態の電力回生システムでは、少なくとも第1回生回路4を収納する器体40に、ブレーキ操作量を検出して、検出結果を制御回路10に出力するブレーキ操作検出部31が取り付けられている。
このように、ブレーキ操作検出部31は、第1回生回路4(すなわち回路基板50)を収納する器体40に取り付けられているので、ブレーキ操作検出部31と制御回路10との間を接続する配線を器体40の外部に設ける必要はない。よって、配線の手間やコストを削減でき、信頼性が向上する。
また電動バイクでは、後輪に取り付けられた電動機M1と電池との間に制御回路10などの回路部品を配置することが望ましく、後輪の摩擦ブレーキ32を駆動するブレーキワイヤ32aの通り道にもなっているので、制御回路10などと一緒にブレーキ操作検出部31を取り付けるのは都合がよい。
さらに本実施形態では、金属製の変位体33と、検出コイル34とをブレーキ操作検出部31が備えている。変位体33は、ブレーキ操作を行うためのブレーキ操作部の動きを、ブレーキ操作量に応じた制動力を発生する制動力発生部(摩擦ブレーキ32)に伝達するためのブレーキワイヤ32aに取り付けられ、ブレーキ操作に応じてブレーキワイヤ32aと共に往復動作する。検出コイル34は、ブレーキワイヤ32aにおいて変位体33が取り付けられた部位が通され、変位体33の移動に応じてインピーダンスが変化する。ブレーキ操作検出部31は、検出コイル34のインピーダンスを電気信号に変換することでブレーキ操作量を検出する。
このようにブレーキワイヤ32aの変位を検出する手段が検出コイル34と変位体33とで構成され、検出コイル34は変位体33の変位を非接触で検出できるので、検出コイル34は器体40内に収納しておくことができ、汚れや水に対してロバストである。
また、ブレーキワイヤ32aはブレーキ操作に応じて直線的に移動するので、検出コイル34での位置検出に好適である。また、ホールICを用いた変位センサに比べて、磁石を必要としないので、道路上を走行する電動バイクのように屋外で使用される場合でも、釘などを吸着する可能性が低減する。
またブレーキワイヤ32aには、ブレーキ操作検出部31を構成する検出体33が取り付けられているが、このブレーキワイヤ32aは摩擦ブレーキ32に連結されている。したがって、何らかの原因でブレーキ操作検出部31に不具合が生じ、回生制動が機能しなくなったとしても、摩擦ブレーキ32による制動力が働くから、ブレーキフィーリングが変わるだけで、安全性は確保できる。
尚、本実施形態の特徴部分を実施形態2〜7や後述する実施形態9に適用してもよいことは言うまでもない。
(実施形態9)
実施形態9の電力回生システムについて図14を参照して説明する。
実施形態9の電力回生システムについて図14を参照して説明する。
実施形態1の電力回生システムでは、補助電池2に蓄えた回生電力が、主電池1を充電するために利用されているが、本実施形態では、補助電池2に蓄えた回生電力を、電動機M1を駆動するために利用する。そこで、本実施形態では、主電池1を電源として電動機M1を駆動する第1駆動回路3aとは別に、補助電池2を電源として電動機M1を駆動する第2駆動回路3bを備えている。第1駆動回路3a及び第2駆動回路3bは、実施形態1で説明した駆動回路3と同様の回路で構成されており、制御回路10によって第1駆動回路3a及び第2駆動回路3bがそれぞれ備えるスイッチング素子がPWM制御される。尚、実施形態1で説明した電力回生システムと共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
制御回路10は、アクセル操作検出部30及び速度センサ11の検出結果や、補助電池2の充電電圧に基づいて、第1駆動回路3a及び第2駆動回路3bの動作を以下のように制御する。
例えば制御回路10は、補助電池2の充電電圧が所定の基準値以上であれば、補助電池1に充電された電力を優先的に使用するように、第1駆動回路3a及び第2駆動回路3bがそれぞれ備えるスイッチング素子をPWM制御する。これにより、補助電池2の充電電圧が基準値以上になると、補助電池2の充電電力が優先的に使用されるから、補助電池2が回生電力を受容できる容量を増やすことができる。ここで、図15は、補助電池2の充電電圧V2と、第2駆動回路3bのスイッチング素子に与えるパルス信号のデューティ比DT2との関係を示している。補助電池2には、通常時のセル電圧が2.6V〜4.0Vのキャパシタ電池が使用されているものとする。制御回路10は、第2駆動回路3bのスイッチング素子に与えるパルス信号のデューティ比を、補助電池2の電圧が2.6Vの場合は0%になり、補助電池2の電圧が4.0Vの場合はアクセル操作量に応じて設定される最大値となるように、PWM制御している。これにより、補助電池2から優先的に電力を供給でき、補助電池2の充電電力で不足する場合は主電池1から電力を供給させることができる。
また、アクセル操作検出部30によって検出されたアクセル操作量に対して、速度センサ11によって検出された回転速度(すなわち車輪の速度)の増加量が小さい場合(すなわちトルクが小さい場合)、制御回路10は、主電池1に比べて出力密度が大きい補助電池2の電力を優先的に使用するように両駆動回路3a,3bを制御してもよい。これにより、主電池1に比べて出力密度が大きい補助電池2から優先的に電力が供給されるから、アクセル操作に追従して回転速度を増加させることができる。尚、電動機M1のトルクを検出するトルクセンサ(図示せず)を設け、制御回路10が、トルクセンサの検出値をもとに、アクセル操作量に対してトルクの増加量が小さい場合には、主電池1に比べて出力密度が大きい補助電池2の電力を優先的に使用するように両駆動回路3a,3bを制御する。また、トルクセンサの検出値が所定の閾値以上であれば、制御回路10は、主電池1及び補助電池2の両方に蓄電された電力を同時に使用するように、両駆動回路3a,3bを制御してもよい。
また、制御回路10は、アクセル操作検出部30によって検出されたアクセル操作量の変化に応じて、第1駆動回路3a及び第2駆動回路3bの伝達電力の総和が連続的に変化するように、両駆動回路3a,3bの動作を制御してもよい。ここで、アクセル操作量の変化に応じて、第1駆動回路3a及び第2駆動回路3bの伝達電力の総和が不連続に変化すると、車両の加減速がスムーズに行われずに、運転者が違和感を感じる可能性がある。それに対して、制御回路10は、第1駆動回路3a及び第2駆動回路3bの伝達電力の総和を連続的に変化させているので、運転者に違和感を感じさせないようにできる。
以上説明したように本実施形態の電力回生システムでは、実施形態1で説明した電力回生システムにおいて、補助電池2に蓄電された電力を電動機M1に供給する第2駆動回路3bをさらに備えている。
上述した各実施形態の電力回生システムのように、補助電池2に蓄えられた電力を一旦主電池1に充電してから使用する場合は、充電回路の分だけ損失が発生するが、補助電池2に蓄えられた電力で電動機M1を直接駆動することによって、充電回路による損失を無くすことができる。
また第2駆動回路3bが補助電池2に蓄えられた電力で電動機M1を駆動することによって、補助電池2の電圧を低く維持することができ、回生電力を蓄電可能な容量を増やすことができるから、補助電池2に容量の小さい電池を使用することができる。尚、補助電池2に主電池1よりも出力密度が大きい電池が使用される場合、補助電池2を電源として電動機M1を駆動することによって、主電池1を電源として電動機M1を駆動する場合に比べてトルクを高くすることができる。
ここで、制御回路10が、第1駆動回路3aと第2駆動回路3bの伝達電力の和が連続的に変化するように制御することも好ましい。第1駆動回路3aと第2駆動回路3bの伝達電力の和が不連続になると、その時点で運転者がショックを感じたり、急加速になったりすることで、運転感覚が悪くなるが、第1駆動回路3aと第2駆動回路3bの伝達電力の和が連続的に変化するように制御することで、スムーズな加減速が得られ、運転感覚が向上する。
尚、本実施形態の特徴部分を上述した実施形態2〜8に適用してもよいことは言うまでもない。
1 主電池
2 補助電池
3 駆動回路(第1駆動回路)
4 回生回路(第1回生回路)
10 制御回路
M1 電動機
2 補助電池
3 駆動回路(第1駆動回路)
4 回生回路(第1回生回路)
10 制御回路
M1 電動機
Claims (15)
- 電動機に電力を供給する主電池と、
充電電圧が前記主電池よりも低い電圧に設定された補助電池と、
アクセルの操作量に応じた電力を前記主電池から前記電動機に供給させる第1駆動回路と、
回生制動時に前記電動機が発生する回生電力を前記補助電池に蓄電する第1回生回路と、
前記アクセルの開放時に前記第1回生回路により前記補助電池に回生電力を蓄電させ、且つ、ブレーキ操作が行われるとブレーキ操作量に応じた回生電流が流れるように、前記第1回生回路の電力伝達比率を負帰還制御する制御回路とを備えることを特徴とする電力回生システム。 - 前記電動機のコイルと前記補助電池との間に電気的に接続されたスイッチング素子を備え、前記制御回路は、前記スイッチング素子のオン/オフをPWM制御することを特徴とする請求項1項に記載の電力回生システム。
- 前記アクセルの開放時に前記電動機が発生する回生電力を前記主電池に蓄電する第2回生回路を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の電力回生システム。
- 回生制動時に前記電動機が発生する電力の一部を蓄電するキャパシタと、前記キャパシタに蓄電された電力を放電させる放電回路とを備えたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の電力回生システム。
- 前記キャパシタは、前記第1回生回路と前記補助電池との間を接続する電路に接続されて、前記第1回生回路からの回生電力により充電され、
前記補助電池から前記キャパシタへ電流が流れるのを阻止する逆流阻止回路が設けられたことを特徴とする請求項4記載の電力回生システム。 - 前記逆流阻止回路がショットキーバリアダイオードからなることを特徴とする請求項5記載の電力回生システム。
- 前記キャパシタは、前記第1回生回路と前記補助電池との間を接続する電路に接続されて、前記第1回生回路からの回生電力により充電され、
前記キャパシタと前記補助電池との間にスイッチが接続され、
前記スイッチは、回生制動時に前記第1回生回路から回生電力が供給される間は導通状態に切り替えられ、前記補助電池の放電時には非導通状態に切り替えられることを特徴とする請求項4記載の電力回生システム。 - 前記第1回生回路からの回生電力の供給先を、前記補助電池及び前記キャパシタの何れかに切り替える切替回路を備えたことを特徴とする請求項4記載の電力回生システム。
- 回生制動時に前記電動機が発生する回生電力を前記キャパシタに蓄電する第3回生回路を備えたことを特徴とする請求項4乃至8の何れか1項に記載の電力回生システム。
- 前記ブレーキ操作に応じて制動力を発生させる摩擦ブレーキを備え、ブレーキ操作を開始してから前記摩擦ブレーキが制動力を発生するまでの遊び区間において、前記第1回生回路が、前記電動機が発生する回生電力を前記補助電池に回生させることによって回生制動を行うことを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載の電力回生システム。
- 少なくとも前記第1回生回路を収納する器体に、前記ブレーキ操作量を検出して、検出結果を前記制御回路に出力するブレーキ操作検出部が取り付けられたことを特徴とする請求項1乃至10の何れか1項に記載の電力回生システム。
- ブレーキ操作を行うためのブレーキ操作部の動きを、ブレーキ操作量に応じた制動力を発生する制動力発生部に伝達するためのブレーキワイヤに取り付けられ、ブレーキ操作に応じて前記ブレーキワイヤと共に往復動作する金属製の変位体と、
前記ブレーキワイヤにおいて前記変位体が取り付けられた部位が通され、前記変位体の移動に応じてインピーダンスが変化する検出コイルとを前記ブレーキ操作検出部が備え、
前記ブレーキ操作検出部は、前記検出コイルのインピーダンスを電気信号に変換することでブレーキ操作量を検出することを特徴とする請求項11記載の電力回生システム。 - 前記補助電池に蓄電された電力を前記電動機に供給する第2駆動回路を備えたことを特徴とする請求項1乃至12の何れか1項に記載の電力回生システム。
- 前記補助電池がキャパシタ電池からなることを特徴とする請求項1乃至13の何れか1項に記載の電力回生システム。
- 前記補助電池に蓄電された電力で前記主電池を充電する充電回路を備えたことを特徴とする請求項1乃至14の何れか1項に記載の電力回生システム。
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