以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態にかかる剥離システム1の構成の概略を示す平面図である。
剥離システム1では、図2に示すように被処理基板としての被処理ウェハWと支持基板としての支持ウェハSとが接着剤Gで接合された重合基板としての重合ウェハTを、被処理ウェハWと支持ウェハSに剥離する。以下、被処理ウェハWにおいて、接着剤Gを介して支持ウェハSと接合される面を「接合面WJ」といい、当該接合面WJと反対側の面を「非接合面WN」という。同様に、支持ウェハSにおいて、接着剤Gを介して被処理ウェハWと接合される面を「接合面SJ」といい、当該接合面SJと反対側の面を「非接合面SN」という。なお、被処理ウェハWは、製品となるウェハであって、例えば接合面WJ上に複数の電子回路等を備えた複数のデバイスが形成されている。また被処理ウェハWは、例えば非接合面WNが研磨処理され、薄型化(例えば厚みが50μm〜100μm)されている。支持ウェハSは、被処理ウェハWの径と同じ径の円板形状を有し、当該被処理ウェハWを支持するウェハである。なお、本実施の形態では、支持基板としてウェハを用いた場合について説明するが、例えばガラス基板等の他の基板を用いてもよい。
剥離システム1は、図1に示すように例えば外部との間で複数の被処理ウェハW、複数の支持ウェハS、複数の重合ウェハTをそれぞれ収容可能なカセットCW、CS、CTが搬入出される搬入出ステーション2と、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTに対して所定の処理を施す各種処理装置を備えた処理ステーション3と、処理ステーション3に隣接する後処理ステーション4との間で被処理ウェハWの受け渡しを行うインターフェイスステーション5とを一体に接続した構成を有している。
搬入出ステーション2と処理ステーション3は、X方向(図1中の上下方向)に並べて配置されている。これら搬入出ステーション2と処理ステーション3との間には、ウェハ搬送領域6が形成されている。インターフェイスステーション5は、処理ステーション3のY方向負方向側(図1中の左方向側)に配置されている。インターフェイスステーション5のX方向正方向側(図1中の上方向側)には、後処理ステーション4に受け渡す前の被処理ウェハWを検査する検査装置7が配置されている。また、インターフェイスステーション5を挟んで検査装置7の反対側、すなわちインターフェイスステーション5のX方向負方向側(図1中の下方向側)には、検査後の被処理ウェハWの接合面WJ及び非接合面WNの洗浄と、被処理ウェハWの表裏面の反転を行う検査後洗浄ステーション8が配置されている。
搬入出ステーション2には、カセット載置台10が設けられている。カセット載置台10には、複数、例えば3つのカセット載置板11が設けられている。カセット載置板11は、Y方向(図1中の左右方向)に一列に並べて配置されている。これらのカセット載置板11には、剥離システム1の外部に対してカセットCW、CS、CTを搬入出する際に、カセットCW、CS、CTを載置することができる。このように搬入出ステーション2は、複数の被処理ウェハW、複数の支持ウェハS、複数の重合ウェハTを保有可能に構成されている。なお、カセット載置板11の個数は、本実施の形態に限定されず、任意に決定することができる。また、搬入出ステーション2に搬入された複数の重合ウェハTには予め検査が行われており、正常な被処理ウェハWを含む重合ウェハTと、欠陥のある被処理ウェハWを含む重合ウェハTとに判別されている。
またカセット載置台10には、重合ウェハTの水平方向の向きを調節する位置調節装置12が設けられている。なお位置調節装置12は、複数の重合ウェハTを収容してバッファとしても機能している。
ウェハ搬送領域6には、第1の搬送装置20が配置されている。第1の搬送装置20は、例えば鉛直方向、水平方向(Y方向、X方向)及び鉛直軸周りに移動自在な、後述する搬送アーム100を有している。第1の搬送装置20は、ウェハ搬送領域6内を移動し、搬入出ステーション2と処理ステーション3との間で被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを搬送できる。
処理ステーション3は、重合ウェハTを被処理ウェハWと支持ウェハSに剥離する剥離装置30を有している。剥離装置30のY方向負方向側(図1中の左方向側)には、剥離された被処理ウェハWを洗浄する第1の洗浄装置31が配置されている。剥離装置30と第1の洗浄装置31との間には、他の搬送装置としての第2の搬送装置32が設けられている。また、剥離装置30のY方向正方向側(図1中の右方向側)には、剥離された支持ウェハSを洗浄する第2の洗浄装置33が配置されている。このように処理ステーション3には、第1の洗浄装置31、第2の搬送装置32、剥離装置30、第2の洗浄装置33が、インターフェイスステーション5側からこの順で並べて配置されている。
検査装置7では、剥離装置30により剥離された被処理ウェハW上の接着剤Gの残渣の有無等が検査される。また、検査後洗浄ステーション8では、検査装置7で接着剤Gの残渣が確認された被処理ウェハWの洗浄が行われる。この検査後洗浄ステーション8は、被処理ウェハWの接合面WJを洗浄する接合面洗浄装置40、被処理ウェハWの非接合面WNを洗浄する非接合面洗浄装置41、被処理ウェハWの表裏面を上下反転させる反転装置42を有している。これら接合面洗浄装置40、反転装置42、非接合面洗浄装置41は、後処理ステーション4側からY方向に並べて配置されている。
インターフェイスステーション5には、Y方向に延伸する搬送路50上を移動自在な第3の搬送装置51が設けられている。第3の搬送装置51は、鉛直方向及び鉛直軸周り(θ方向)にも移動自在であり、処理ステーション3、後処理ステーション4、検査装置7及び検査後洗浄ステーション8との間で被処理ウェハWを搬送できる。
なお、後処理ステーション4では、処理ステーション3で剥離された被処理ウェハWに所定の後処理を行う。所定の後処理として、例えば被処理ウェハWをマウントする処理や、被処理ウェハW上のデバイスの電気的特性の検査を行う処理、被処理ウェハWをチップ毎にダイシングする処理などが行われる。
次に、第1の搬送装置20の構成について説明する。第1の搬送装置20は、図3に示すように被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを保持して搬送する搬送アーム100を有している。
搬送アーム100は、重合ウェハTよりも大きい径の略3/4円環状に構成されたアーム部101と、このアーム部101と一体に形成され、且つアーム部101を支持する支持部102とを有している。アーム部101には、内側に向かって突出し、重合ウェハTの外周部を保持する保持部103が例えば4箇所に設けられている。搬送アーム100は、この保持部103上に重合ウェハTを水平に保持することができる。なお、搬送アーム100の支持部101は、例えばウェハ搬送領域6内で搬送アーム100を鉛直方向、水平方向(Y方向、X方向)及び鉛直軸周りに移動させる駆動部(図示せず)に取り付けられている。
次に、上述した剥離装置30の構成について説明する。剥離装置30は、図4及び図5に示すように、内部を密閉可能な処理容器110を有している。処理容器110のウェハ搬送領域6側の側面には、支持ウェハS、重合ウェハTの搬入出口111が形成され、当該搬入出口111には開閉シャッタ112が設けられている。処理容器110の第2の搬送装置32側の側面には、被処理ウェハWの搬入出口113が形成され、当該搬入出口113には開閉シャッタ114が設けられている。
処理容器110の底面には、当該処理容器110の内部を排気する排気口115が形成されている。排気口115には、例えば真空ポンプなどの排気装置116に連通する排気管117が接続されている。
処理容器110の内部には、被処理ウェハWを下面で吸着保持する第1の保持部120と、支持ウェハSを上面で載置して保持する第2の保持部121とが設けられている。第1の保持部120は、第2の保持部121の上方に設けられ、第2の保持部121と対向するように配置されている。すなわち、処理容器110の内部では、被処理ウェハWを上側に配置し、且つ支持ウェハSを下側に配置した状態で、重合ウェハTの剥離処理が行われる。
第1の保持部120には、例えばポーラスチャックが用いられている。第1の保持部120は、平板状の本体部130を有している。本体部130の下面側には、多孔質体であるポーラス131が設けられている。ポーラス131は、例えば被処理ウェハWとほぼ同じ径を有し、当該被処理ウェハWの非接合面WNと当接している。なお、ポーラス131としては例えば炭化ケイ素が用いられる。
また、本体部130の内部であってポーラス131の上方には吸引空間132が形成されている。吸引空間132は、例えばポーラス131を覆うように形成されている。吸引空間132には、吸引管133が接続されている。吸引管133は、例えば真空ポンプなどの負圧発生装置(図示せず)に接続されている。そして、吸引管133から吸引空間132とポーラス131を介して被処理ウェハの非接合面WNが吸引され、当該被処理ウェハWが第1の保持部120に吸着保持される。
また、本体部130の内部であって吸引空間132の上方には、被処理ウェハWを加熱する加熱機構134が設けられている。加熱機構134には、例えばヒータが用いられる。
第1の保持部120の上面には、当該第1の保持部120を支持する支持板140が設けられている。支持板140は、処理容器110の天井面に支持されている。なお、本実施の形態の支持板140を省略し、第1の保持部120は処理容器110の天井面に当接して支持されてもよい。
第2の保持部121の内部には、支持ウェハSを吸着保持するための吸引管150が設けられている。吸引管150は、例えば真空ポンプなどの負圧発生装置(図示せず)に接続されている。
また、第2の保持部121の内部には、支持ウェハSを加熱する加熱機構151が設けられている。加熱機構151には、例えばヒータが用いられる。
第2の保持部121の下方には、処理空間112において重合ウェハT(又は支持ウェハS)を昇降させる昇降機構160が設けられている。昇降機構160は、重合ウェハTを下方から支持し昇降させるための昇降ピン161を例えば3本有している。昇降ピン161は、駆動部162により上下動できる。駆動部162は、例えばボールネジ(図示せず)と当該ボールネジを回動させるモータ(図示せず)とを有している。また、第2の保持部121の中央部付近には、第2の保持部121及び後述する支持板173を厚み方向に貫通する貫通孔163が例えば3箇所に形成されている。そして、昇降ピン161は貫通孔163を挿通し、第2の保持部121の上面から突出可能になっている。
第2の保持部121の下方には、第2の保持部121及び支持ウェハSを鉛直方向及び水平方向に移動させる移動機構170が設けられている。移動機構170は、第2の保持部121を鉛直方向に移動させる鉛直移動部171と、第2の保持部121を水平方向に移動させる水平移動部172とを有している。
鉛直移動部171は、第2の保持部121の下面を支持する支持板173と、支持板173を昇降させる駆動部174と、支持板173を支持する支持部材175とを有している。駆動部174は、例えばボールネジ(図示せず)と当該ボールネジを回動させるモータ(図示せず)とを有している。また、支持部材175は、鉛直方向に伸縮自在に構成され、支持板173と後述する支持体181との間に例えば4箇所に設けられている。なお、複数の支持部材175はそれぞれ個別に昇降可能に構成され、これら支持部材175を個別に昇降させることで支持板173、すなわち第2の保持部121の表面の平面度を調節してもよい。
水平移動部172は、図5に示すようにX方向(図5中の左右方向)に沿って延伸する一対のレール180、180と、レール180に取り付けられる支持体181と、支持体181に連結されてレール180に沿って延伸するボールネジ182と、ボールネジ182を回動させる駆動部183とを有している。駆動部183は、例えばモータ(図示せず)を内蔵し、ボールネジ182を回動させることで、支持体181をレール180に沿って移動させることができる。
第1の保持部120及び第2の保持部121の搬入出口111側には、図4に示すように支持ウェハS、重合ウェハTを搬送する搬送機構190を有している。搬送機構190は、重合ウェハTを保持して搬送するシャトルアーム191と、支持ウェハSを温度調節しつつ、当該支持ウェハSを保持して搬送する温度調節アーム192とを有している。シャトルアーム191と温度調節アーム192は、上方からこの順で鉛直方向に2段に配置されている。
シャトルアーム191は、図6に示すように先端が2本の先端部193a、193aに分岐し、且つ重合ウェハTを保持するアーム部193と、このアーム部193と一体に形成され、且つアーム部193を支持する支持部194とを有している。アーム部193の先端部193a、193aの先端には、それぞれ重合ウェハTの外周部を保持する保持部195、195が設けられている。各保持部195は、重合ウェハTの外周部に沿って湾曲して形成されており、さらに当該湾曲した部分より低く形成された段部195aを有している。アーム部193における支持部194側にも、重合ウェハTの外周部を保持する保持部196が設けられている。重合ウェハTの外周部に沿って湾曲して形成されており、さらに当該湾曲した部分より低く形成された2つの段部196a、196aを有している。そして、シャトルアーム191は、保持部195、196の段部195a、196aによって重合ウェハTを水平に保持することができる。また保持部195、196は、それぞれ重合ウェハTの外周部に沿って湾曲して形成されているため、シャトルアーム191は重合ウェハTのセンタリングを行い、適切な位置に重合ウェハTを保持することができる。
なお、以上の実施の形態において、保持部196の段部196a、196aは一体に形成され、且つ重合ウェハTの外周部に沿って湾曲して形成されていてもよい。またアーム部193上に、重合ウェハTの外周部を吸着保持する複数の吸着パッド(図示せず)を設けてもよい。いずれの場合でも、シャトルアーム191は、重合ウェハTを水平に保持することができる。
温度調節アーム192は、図7に示すように重合ウェハTを保持するアーム部197と、このアーム部197と一体に形成され、且つアーム部197を支持する支持部198とを有している。アーム部197上には、支持ウェハSを支持するウェハ支持ピン199が複数、例えば4箇所に設けられている。アーム部197の外周には、切り欠き200が例えば4箇所に形成されている。この切り欠き200により、第1の搬送装置20の搬送アーム100からシャトルアーム191に重合ウェハTを受け渡す際に、当該搬送アーム100の保持部103がアーム部197と干渉するのを防止できる。アーム部197には、2本のスリット201が形成されている。スリット201は、アーム部197の端部からアーム部197の中央部付近まで形成されている。このスリット201により、アーム部197が昇降機構160の昇降ピン161と干渉するのを防止できる。なお、温度調節アーム192は、内部に支持ウェハSを所定の温度、例えば23℃に温度調節する温度調節機構(図示せず)、例えばヒータを有している。そして、温度調節アーム192は、支持ウェハSを水平に保持しつつ、当該支持ウェハSを所定の温度に調節できる。
シャトルアーム191の支持部194と温度調節アーム192の支持部198との間には、図4に示すように当該シャトルアーム191と温度調節アーム192を支持する支持部材202が設けられている。支持部材202は、図5に示すように水平方向(図5中のY方向)に延伸し、内部にモータ(図示せず)を備えた駆動部203に支持されている。駆動部203は、処理容器110の内側面に設けられ、水平方向(図5中のX方向)に延伸するレール204に取り付けられている。かかる構成により、シャトルアーム191と温度調節アーム192はそれぞれ個別に水平方向(図5中のX方向)に移動可能であり、搬送機構190は第1の保持部120及び第2の保持部121と剥離装置30の外部との間で重合ウェハTと支持ウェハSを搬送可能になっている。
処理容器110の内部には、シャトルアーム191における重合ウェハTの有無と、温度調節アーム192における支持ウェハSの有無とを検知する基板検知機構としてのウェハ検知機構210が設けられている。ウェハ検知機構210は、図4及び図5に示すように一対のセンサ211、211を有している。これらセンサ211は、処理容器110の内側面に設けられた支持部材212に支持されている。
かかるウェハ検知機構210では、例えばシャトルアーム191における重合ウェハTの有無を検査する際には、温度調節アーム192をセンサ211にかからない位置に移動させて、一対のセンサ211、211で重合ウェハTの有無を検査する。また温度調節アーム192における支持ウェハSの有無を検査する際には、シャトルアーム191をセンサ211にかからない位置に移動させて、一対のセンサ211、211で支持ウェハSの有無を検査する。
次に、上述した第1の洗浄装置31の構成について説明する。第1の洗浄装置31は、図8に示すように内部を密閉可能な処理容器220を有している。処理容器220の側面には、被処理ウェハWの搬入出口(図示せず)が形成され、当該搬入出口には開閉シャッタ(図示せず)が設けられている。
処理容器220内の中央部には、被処理ウェハWを保持して回転させるポーラスチャック230が設けられている。ポーラスチャック230は、平板状の本体部231と、本体部231の上面側に設けられた多孔質体であるポーラス232とを有している。ポーラス232は、例えば被処理ウェハWとほぼ同じ径を有し、当該被処理ウェハWの非接合面WNと当接している。なお、ポーラス232としては例えば炭化ケイ素が用いられる。ポーラス232には吸引管(図示せず)が接続され、当該吸引管からポーラス232を介して被処理ウェハWの非接合面WNを吸引することにより、当該被処理ウェハWをポーラスチャック230上に吸着保持できる。
ポーラスチャック230の下方には、例えばモータなどを備えたチャック駆動部233が設けられている。ポーラスチャック230は、チャック駆動部233により所定の速度に回転できる。また、チャック駆動部233には、例えばシリンダなどの昇降駆動源が設けられており、ポーラスチャック230は昇降自在になっている。
ポーラスチャック230の周囲には、被処理ウェハWから飛散又は落下する液体を受け止め、回収するカップ234が設けられている。カップ234の下面には、回収した液体を排出する排出管235と、カップ234内の雰囲気を真空引きして排気する排気管236が接続されている。
図9に示すようにカップ234のX方向負方向(図9中の下方向)側には、Y方向(図9中の左右方向)に沿って延伸するレール240が形成されている。レール240は、例えばカップ234のY方向負方向(図9中の左方向)側の外方からY方向正方向(図9中の右方向)側の外方まで形成されている。レール240には、アーム241が取り付けられている。
アーム241には、図8及び図9に示すように被処理ウェハWに洗浄液、例えば接着剤Gの溶剤である有機溶剤を供給する洗浄液ノズル242が支持されている。アーム241は、図9に示すノズル駆動部243により、レール240上を移動自在である。これにより、洗浄液ノズル242は、カップ234のY方向正方向側の外方に設置された待機部244からカップ234内の被処理ウェハWの中心部上方まで移動でき、さらに当該被処理ウェハW上を被処理ウェハWの径方向に移動できる。また、アーム241は、ノズル駆動部243によって昇降自在であり、洗浄液ノズル242の高さを調節できる。
洗浄液ノズル242には、例えば2流体ノズルが用いられる。洗浄液ノズル242には、図8に示すように当該洗浄液ノズル242に洗浄液を供給する供給管250が接続されている。供給管250は、内部に洗浄液を貯留する洗浄液供給源251に連通している。供給管250には、洗浄液の流れを制御するバルブや流量調節部等を含む供給機器群252が設けられている。また、洗浄液ノズル242には、当該洗浄液ノズル242に不活性ガス、例えば窒素ガスを供給する供給管253が接続されている。供給管253は、内部に不活性ガスを貯留するガス供給源254に連通している。供給管253には、不活性ガスの流れを制御するバルブや流量調節部等を含む供給機器群255が設けられている。そして、洗浄液と不活性ガスは洗浄液ノズル242内で混合され、当該洗浄液ノズル242から被処理ウェハWに供給される。なお、以下においては、洗浄液と不活性ガスを混合したものを単に「洗浄液」という場合がある。
なお、ポーラスチャック230の下方には、被処理ウェハWを下方から支持し昇降させるための昇降ピン(図示せず)が設けられていてもよい。かかる場合、昇降ピンはポーラスチャック230に形成された貫通孔(図示せず)を挿通し、ポーラスチャック230の上面から突出可能になっている。そして、ポーラスチャック230を昇降させる代わりに昇降ピンを昇降させて、ポーラスチャック230との間で被処理ウェハWの受け渡しが行われる。
なお、検査後洗浄ステーション8の接合面洗浄装置40と非接合面洗浄装置41の構成は、上述した第1の洗浄装置31の構成と同様であるので説明を省略する。
また、第2の洗浄装置33の構成は、上述した第1の洗浄装置31の構成とほぼ同様である。第2の洗浄装置33には、図9に示すように第1の洗浄装置31のポーラスチャック230に代えて、スピンチャック260が設けられる。スピンチャック260は、水平な上面を有し、当該上面には、例えば支持ウェハSを吸引する吸引口(図示せず)が設けられている。この吸引口からの吸引により、支持ウェハSをスピンチャック260上に吸着保持できる。第2の洗浄装置33のその他の構成は、上述した第1の洗浄装置31の構成と同様であるので説明を省略する。
なお、第2の洗浄装置33において、スピンチャック260の下方には、被処理ウェハWの裏面、すなわち非接合面WNに向けて洗浄液を噴射するバックリンスノズル(図示せず)が設けられていてもよい。このバックリンスノズルから噴射される洗浄液によって、被処理ウェハWの非接合面WNと被処理ウェハWの外周部が洗浄される。
次に、上述した第2の搬送装置32の構成について説明する。第2の搬送装置32は、図11に示すように被処理ウェハWを保持するベルヌーイチャック270を有している。ベルヌーイチャック270は、支持アーム271に支持されている。支持アーム271は、第1の駆動部272に支持されている。この第1の駆動部272により、支持アーム271は水平軸周りに回動自在であり、且つ水平方向に伸縮できる。第1の駆動部272の下方には、第2の駆動部273が設けられている。この第2の駆動部273により、第1の駆動部272は鉛直軸周りに回転自在であり、且つ鉛直方向に昇降できる。
上述したベルヌーイチャック270は、図12に示すように不活性ガスとして例えば窒素ガスを噴出するガス噴出口280が複数配置されている。図示の例においては、複数のガス噴出口280は、ベルヌーイチャック270の同心円上であって、二重の同心円上にそれぞれ等間隔に配置されている。各ガス噴出口280には、ガス供給管281を介して、不活性ガスを供給する不活性ガス供給源282が接続されている。そして、ベルヌーイチャック270は、不活性ガスを噴出することにより被処理ウェハWを浮遊させ、非接触の状態で被処理ウェハWを吸引懸垂し保持することができる。なお、ガス噴出口280の個数や配置は、本実施の形態に限定されず、任意に設定することができる。
なお、第3の搬送装置51は、上述した第2の搬送装置32と同様の構成を有しているので説明を省略する。但し、第3の搬送装置51の第2の駆動部273は、図1に示した搬送路50に取り付けられ、第3の搬送装置51は搬送路50上を移動可能になっている。
次に、上述した反転装置42の構成について説明する。反転装置42は、図13に示すように、その内部に複数の機器を収容する処理容器290を有している。処理容器290の側面には、第3の搬送装置51により被処理ウェハWの搬入出を行うための搬入出口(図示せず)が形成され、当該搬入出口(図示せず)には開閉シャッタ(図示せず)が設けられている。
処理容器290の底面には、当該処理容器290の内部の雰囲気を排気する排気口300が形成されている。排気口300には、例えば真空ポンプなどの排気装置301に連通する排気管302が接続されている。
処理容器290の内部には、被処理ウェハWを下面で保持する第1の保持部310と、被処理ウェハWを上面で保持する第2の保持部311とが設けられている。第1の保持部310は、第2の保持部311の上方に設けられ、第2の保持部311と対向するように配置されている。第1の保持部310及び第2の保持部311は、例えば被処理ウェハWをほぼ同じ直径を有している。また、第1の保持部310及び第2の保持部311にはベルヌーイチャックが用いられている。これにより、第1の保持部310及び第2の保持部311は、被処理ウェハWの片面の全面をそれぞれ非接触で保持することができる。
第1の保持部310の上面には、第1の保持部310を支持する支持板312が設けられている。なお、本実施の形態の支持板312を省略し、第1の保持部310は処理容器290の天井面に当接して支持されていてもよい。
第2の保持部311の下方には、当該第2の保持部311を鉛直方向に移動させる移動機構320が設けられている。移動機構320は、第2の保持部311の下面を支持する支持板321と、支持板321を昇降させて第1の保持部310と第2の保持部311を鉛直方向に接近、離間させる駆動部322を有している。駆動部322は、処理容器290の底面に設けられた支持体323により支持されている。また、支持体323の上面には支持板321を支持する支持部材324が設けられている。支持部材324は、鉛直方向に伸縮自在に構成され、駆動部322により支持板321を昇降させる際に、自由に伸縮することができる。
次に、上述した検査装置7の構成について説明する。検査装置7は、図14及び図15に示すように処理容器330を有している。処理容器330の側面には、被処理ウェハWの搬入出口(図示せず)が形成され、当該搬入出口には開閉シャッタ(図示せず)が設けられている。
処理容器330内には、被処理ウェハWを保持するポーラスチャック340が設けられている。ポーラスチャック340は、平板状の本体部341と、本体部341の上面側に設けられた多孔質体であるポーラス342とを有している。ポーラス342は、例えば被処理ウェハWとほぼ同じ径を有し、当該被処理ウェハWの非接合面WNと当接している。なお、ポーラス342としては例えば炭化ケイ素が用いられる。ポーラス342には吸引管(図示せず)が接続され、当該吸引管からポーラス342を介して被処理ウェハWの非接合面WNを吸引することにより、当該被処理ウェハWをポーラスチャック340上に吸着保持できる。
ポーラスチャック340の下方には、チャック駆動部343が設けられている。このチャック駆動部343により、ポーラスチャック340は回転自在になっている。また、チャック駆動部343は、処理容器330内の底面に設けられ、Y方向に沿って延伸するレール344上に取付けられている。このチャック駆動部343により、ポーラスチャック340はレール344に沿って移動できる。すなわち、ポーラスチャック340は、被処理ウェハWを処理容器330の外部との間で搬入出するための受渡位置P1と、被処理ウェハWのノッチ部の位置を調節するアライメント位置P2との間を移動できる。
アライメント位置P2には、ポーラスチャック340に保持された被処理ウェハWのノッチ部の位置を検出するセンサ345が設けられている。センサ345によってノッチ部の位置を検出しながら、チャック駆動部343によってポーラスチャック340を回転させて、被処理ウェハWのノッチ部の位置を調節することができる。
処理容器330のアライメント位置P2側の側面には、撮像装置350が設けられている。撮像装置350には、例えば広角型のCCDカメラが用いられる。処理容器330の上部中央付近には、ハーフミラー351が設けられている。ハーフミラー351は、撮像装置350と対向する位置に設けられ、鉛直方向から45度傾斜して設けられている。ハーフミラー351の上方には、照度を変更することができる照明装置352が設けられ、ハーフミラー351と照明装置352は、処理容器330の上面に固定されている。また、撮像装置350、ハーフミラー351及び照明装置352は、ポーラスチャック340に保持された被処理ウェハWの上方にそれぞれ設けられている。そして、照明装置352からの照明は、ハーフミラー351を通過して下方に向けて照らされる。したがって、この照射領域にある物体の反射光は、ハーフミラー351で反射して、撮像装置350に取り込まれる。すなわち、撮像装置350は、照射領域にある物体を撮像することができる。そして、撮像した被処理ウェハWの画像は、後述する制御部400に出力され、制御部400において被処理ウェハW上の接着剤Gの残渣の有無が検査される。
以上の剥離システム1には、図1に示すように制御部400が設けられている。制御部400は、例えばコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、剥離システム1における被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの処理を制御するプログラムが格納されている。また、プログラム格納部には、上述の各種処理装置や搬送装置などの駆動系の動作を制御して、剥離システム1における後述の剥離処理を実現させるためのプログラムも格納されている。なお、前記プログラムは、例えばコンピュータ読み取り可能なハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルデスク(MO)、メモリーカードなどのコンピュータに読み取り可能な記憶媒体Hに記録されていたものであって、その記憶媒体Hから制御部400にインストールされたものであってもよい。
次に、以上のように構成された剥離システム1を用いて行われる被処理ウェハWと支持ウェハSの剥離処理方法について説明する。図16は、かかる剥離処理の主な工程の例を示すフローチャートである。
先ず、複数枚の重合ウェハTを収容したカセットCT、空のカセットCW、及び空のカセットCSが、搬入出ステーション2の所定のカセット載置板11に載置される。第1の搬送装置20によりカセットCT内の重合ウェハTが取り出され、位置調節装置12に搬送される。このとき、重合ウェハTは、被処理ウェハWを上側に配置し、且つ支持ウェハSを下側に配置した状態で搬送される。そして、位置調節装置12において、重合ウェハTのノッチ部の位置を検出しながら当該重合ウェハTの向きが調節される。その後、重合ウェハTは第1の搬送装置20によって処理ステーション3の剥離装置30に搬入出口111を介して搬送される。なお実際には、ウェハ検知機構210によってシャトルアーム191における重合ウェハTの有無が検査され、重合ウェハTが無いと判断された場合に、重合ウェハTは第1の搬送装置20によって剥離装置30に搬入される。
剥離装置30に搬入された重合ウェハTは、第1の搬送装置20の搬送アーム100からシャトルアーム191に受け渡される。その後、シャトルアーム191を第1の保持部120と第2の保持部121側に移動させ、重合ウェハTはシャトルアーム191から予め上昇していた昇降ピン161に受け渡される(図16の工程A1)。そして、図17に示すように重合ウェハTは、第1の保持部120と第2の保持部121との間で、当該第1の保持部120と第2の保持部121のいずれにも接触しない位置に配置される。この状態で所定の時間経過後、重合ウェハTは加熱機構134、151によって予備加熱される。かかる予備加熱によって、後述するように第1の保持部120で被処理ウェハWを吸着保持して加熱しても、当該被処理ウェハWの熱膨張を抑制することができる。このため、常温の被処理ウェハを第1の保持部で加熱する従来の場合に比べて、本実施の形態の方が、被処理ウェハWの反りを抑制すると共に、被処理ウェハWと第1の保持部120が擦れ合って発生するパーティクルを抑制することができる。なお、工程A1において、シャトルアーム191を第1の保持部120と第2の保持部121側に移動させていたが、第2の保持部121をシャトルアーム191側に移動させてもよい。
その後、図18に示すように重合ウェハTは、第2の保持部121に吸着保持される。そして、所定の時間経過後、重合ウェハWは加熱機構134、151によって所定の温度、例えば200℃〜250℃に加熱される。そうすると、重合ウェハT中の接着剤Gが軟化する。その後、移動機構170により第2の保持部121を上昇させて、図19に示すように第1の保持部120と第2の保持部121で重合ウェハTを挟み込んで保持する。このとき、第1の保持部120に被処理ウェハWの非接合面WNが吸着保持され、第2の保持部121に支持ウェハSの非接合面SNが吸着保持される。
続いて、加熱機構134、151によって重合ウェハTを加熱して接着剤Gの軟化状態を維持しながら、図20に示すように移動機構170によって第2の保持部121と支持ウェハSを鉛直方向及び水平方向、すなわち斜め下方に移動させる。そして、図21に示すように第1の保持部120に保持された被処理ウェハWと、第2の保持部121に保持された支持ウェハSとが剥離される(図16の工程A2)。
工程A2において、第2の保持部121は、鉛直方向に100μm移動し、且つ水平方向に300mm移動する。ここで、本実施の形態では、重合ウェハT中の接着剤Gの厚みは例えば30μm〜40μmであって、被処理ウェハWの接合面WJに形成されたデバイス(バンプ)の高さは例えば20μmである。したがって、被処理ウェハW上のデバイスと支持ウェハSとの間の距離が微小となる。そこで、例えば第2の保持部121を水平方向にのみ移動させた場合、デバイスと支持ウェハSが接触し、デバイスが損傷を被るおそれがある。この点、本実施の形態のように第2の保持部121を水平方向に移動させると共に鉛直方向にも移動させることによって、デバイスと支持ウェハSとの接触を回避し、デバイスの損傷を抑制することができる。なお、この第2の保持部121の鉛直方向の移動距離と水平方向の移動距離の比率は、被処理ウェハW上のデバイス(バンプ)の高さに基づいて設定される。
その後、剥離された被処理ウェハWは第2の搬送装置32のベルヌーイチャック270によって第1の保持部120から搬出され、搬入出口113を介して剥離装置30から搬出される。この際、被処理ウェハWは薄型化されているため、第1の保持部120からベルヌーイチャック270に受け渡されると、被処理ウェハWは室温である所定の温度、例えば23℃に自然冷却される。
また、剥離された支持ウェハSは昇降ピン161によって所定の位置まで上昇され、昇降ピン161から温度調節アーム192に受け渡される。そして、支持ウェハSは、温度調節アーム192によって搬入出口111側に移動されて第2の保持部121から搬出される。この際、支持ウェハSは、温度調節アーム192によって所定の温度、例えば23℃に調節されながら搬出される。その後、支持ウェハSは、温度調節アーム192から第1の搬送装置20の搬送アーム100に受け渡され、搬入出口111を介して剥離装置30から搬出される(図16の工程A3)。なお実際には、工程A3において、ウェハ検知機構210によって温度調節アーム192における支持ウェハSの有無が検査され、支持ウェハSがあると判断された場合に、支持ウェハSは第1の搬送装置20によって剥離装置30から搬出される。
また、工程A2において被処理ウェハWと支持ウェハSを剥離中に、第1の搬送装置20によって次に処理される重合ウェハT2が剥離装置30に搬入される。そして、剥離装置30に搬入された次の重合ウェハT2は、第1の搬送装置20の搬送アーム100からシャトルアーム191に受け渡される。シャトルアーム191は、次の重合ウェハT2を保持した状態で待機している。その後、図22に示すように、工程A3において温度調節アーム192によって支持ウェハSが第2の保持部121から搬出されると共に、シャトルアーム191によって次の重合ウェハT2が第1の保持部120と第2の保持部121側に搬入される(図16の破線矢印)。なお、次の重合ウェハT2にはさらに上述した工程A2が行われて、被処理ウェハW2と支持ウェハS2に剥離される。
上述したように剥離された被処理ウェハWは、工程A3において第2の搬送装置32により第1の洗浄装置31に搬送される。ここで、第2の搬送装置32による被処理ウェハWの搬送方法について説明する。
図23に示すように第2の搬送装置32の支持アーム271を伸長させて、ベルヌーイチャック270を第1の保持部120に保持された被処理ウェハWの下方に配置する。その後、ベルヌーイチャック270を上昇させ、第1の保持部120における吸引管133からの被処理ウェハWの吸引を停止する。そして、第1の保持部120からベルヌーイチャック270に被処理ウェハWが受け渡される。その後、ベルヌーイチャック270を所定の位置まで下降させる。なお、被処理ウェハWはベルヌーイチャック270によって非接触の状態で保持される。このため、被処理ウェハWの接合面WJ上のデバイスが損傷を被ることなく被処理ウェハWが保持される。
次に図24に示すように、第2の搬送装置32の支持アーム271を回動させてベルヌーイチャック270を第1の洗浄装置31のポーラスチャック230の上方に移動させると共に、ベルヌーイチャック270を反転させて被処理ウェハWを下方に向ける。このとき、ポーラスチャック230をカップ234よりも上方まで上昇させて待機させておく。その後、ベルヌーイチャック270からポーラスチャック230に被処理ウェハWが受け渡され吸着保持される。
このようにポーラスチャック230に被処理ウェハWが吸着保持されると、ポーラスチャック230を所定の位置まで下降させる。続いて、アーム241によって待機部244の洗浄液ノズル242を被処理ウェハWの中心部の上方まで移動させる。その後、ポーラスチャック230によって被処理ウェハWを回転させながら、洗浄液ノズル242から被処理ウェハWの接合面WJに洗浄液を供給する。供給された洗浄液は遠心力により被処理ウェハWの接合面WJの全面に拡散されて、当該被処理ウェハWの接合面WJが洗浄される(図16の工程A4)。
ここで、上述したように搬入出ステーション2に搬入された複数の重合ウェハTには予め検査が行われており、正常な被処理ウェハWを含む重合ウェハTと欠陥のある被処理ウェハWを含む重合ウェハTとに判別されている。
正常な重合ウェハTから剥離された正常な被処理ウェハWは、工程A4で接合面WJが洗浄された後、非接合面WNが下方を向いた状態で第3の搬送装置51によって検査装置7に搬送される。なお、この第3の搬送装置51による被処理ウェハWの搬送は、上述した第2の搬送装置32による被処理ウェハWの搬送とほぼ同様であるので説明を省略する。
検査装置7に搬送された被処理ウェハWは、受渡位置P1においてポーラスチャック340上に保持される。続いて、チャック駆動部343によってポーラスチャック340をアライメント位置P2まで移動させる。次に、センサ345によって被処理ウェハWのノッチ部の位置を検出しながら、チャック駆動部343によってポーラスチャック340を回転させる。そして、被処理ウェハWのノッチ部の位置を調節して、当該被処理ウェハWを所定の向きに配置する。
その後、チャック駆動部343によってポーラスチャック340をアライメント位置P2から受渡位置P1に移動させる。そして、被処理ウェハWがハーフミラー351の下を通過する際に、照明装置352から被処理ウェハWに対して照明を照らす。この照明による被処理ウェハW上での反射光は撮像装置350に取り込まれ、撮像装置350において被処理ウェハWの接合面WJの画像が撮像される。撮像された被処理ウェハWの接合面WJの画像は制御部400に出力され、制御部400において、被処理ウェハWの接合面WJにおける接着剤Gの残渣の有無が検査される(図16の工程A5)。
検査装置7において接着剤Gの残渣が確認された場合、被処理ウェハWは第3の搬送装置51により検査後洗浄ステーション8の接合面洗浄装置40に搬送され、接合面洗浄装置40において接合面WJ上の接着剤Gが除去される(図16の工程A6)。なお、この工程A6は、上述した工程A4と同様であるので説明を省略する。また、例えば検査装置7において接着剤Gの残渣がないと確認された場合、工程A6を省略してもよい。
接合面WJが洗浄されると、被処理ウェハWは第3の搬送装置51によって反転装置42に搬送され、反転装置42により表裏面を反転、すなわち上下方向に反転される(図16の工程A7)。ここで、反転装置42による被処理ウェハWの反転方法について説明する。
接合面洗浄装置40で接合面WJが洗浄された被処理ウェハWは、図25に示すように、第3の搬送装置51のベルヌーイチャック270により接合面WJを保持された状態で反転装置42に搬送される。そして、被処理ウェハWは、反転装置42の第2の保持部311に接合面WJを上方に向けた状態で受け渡され、第2の保持部311により被処理ウェハWの非接合面WNの全面が保持される。
次いで、第3の搬送装置51のベルヌーイチャック270を第2の保持部311の上方から退避させ、その後、駆動部283により第2の保持部311を上昇、換言すれば、図26に示すように第1の保持部310に接近させる。そして、第1の保持部310により被処理ウェハWの接合面WJを保持すると共に、第2の保持部311による被処理ウェハWの保持を停止して、被処理ウェハWを第1の保持部310に受け渡す。これにより図27に示すように、被処理ウェハWが第1の保持部310により、非接合面WNを下方に向けた状態で保持される。
その後、第2の保持部311を下降させて第1の保持部310と第2の保持部311を離隔し、次いで退避していた第3の搬送装置51のベルヌーイチャック270を水平軸回りに回動させる。そして、ベルヌーイチャック270が上方を向いた状態で、当該ベルヌーイチャック270を第1の保持部310の下方に配置する。次いでベルヌーイチャック270を上昇させ、それと共に第1の保持部310による被処理ウェハWの保持を停止する。これにより、接合面洗浄装置40に搬入される際にベルヌーイチャック270により接合面WJを保持されていた被処理ウェハWは、図28に示すように、ベルヌーイチャック270により非接合面WNが保持された状態となる。すなわち、ベルヌーイチャック270により保持される被処理ウェハの面の表裏が反転した状態となる。その後、被処理ウェハWの非接合面WNを保持した状態で、ベルヌーイチャック270を反転装置42から退避させる。
なお、検査装置7において接着剤Gの残渣が確認されなかった場合には、被処理ウェハWは接合面洗浄装置40に搬送されることなく反転装置42にて被処理ウェハWの反転が行われるが、反転の方法については、上述の方法と同様である。
その後、被処理ウェハWを保持した状態で第3の搬送装置51のベルヌーイチャック270を水平軸回りに回動させ、被処理ウェハWを上下方向に反転させる。そして、被処理ウェハWは、非接合面WNが上方を向いた状態でベルヌーイチャック270により再び検査装置7に搬送され、非接合面WNの検査が行われる(図16の工程A8)。そして、非接合面WNにパーティクルの汚れが確認された場合、被処理ウェハWは第3の搬送装置51によって非接合面洗浄装置41に搬送され、非接合面洗浄装置41において非接合面WNが洗浄される(図16の工程A9)。なお、この工程A9は、上述した工程A4と同様であるので説明を省略する。また、例えば検査装置7において接着剤Gの残渣がないと確認された場合、工程A9を省略してもよい。
次いで、洗浄された被処理ウェハWは、第3の搬送装置51によって後処理ステーション4に搬送される。なお、検査装置7で接着剤Gの残渣が確認されなかった場合には、被処理ウェハWは非接合面洗浄装置41に搬送されることなくそのまま後処理ステーション4に搬送される。
その後、後処理ステーション4において被処理ウェハWに所定の後処理が行われる(図16の工程A10)。こうして、被処理ウェハWが製品化される。
一方、欠陥のある重合ウェハTから剥離された欠陥のある被処理ウェハWは、工程A4で接合面WJが洗浄された後、第1の搬送装置20によって搬入出ステーション2に搬送される。その後、欠陥のある被処理ウェハWは、搬入出ステーション2から外部に搬出され回収される(図16の工程A11)。
被処理ウェハWに上述した工程A4〜A11が行われている間、剥離装置30で剥離された支持ウェハSは、第1の搬送装置20によって第2の洗浄装置33に搬送される。そして、第2の洗浄装置33において、支持ウェハSの接合面SJ上の接着剤が除去されて、接合面SJが洗浄される(図16の工程A12)。なお、工程A12における支持ウェハSの洗浄は、上述した工程A4における被処理ウェハW上の接着剤Gの除去と同様であるので説明を省略する。
その後、接合面SJが洗浄された支持ウェハSは、第1の搬送装置20によって搬入出ステーション2に搬送される。その後、支持ウェハSは、搬入出ステーション2から外部に搬出され回収される(図16の工程A13)。こうして、一連の被処理ウェハWと支持ウェハSの剥離処理が終了する。
以上の実施の形態によれば、工程A1においてシャトルアーム191により重合ウェハTを第1の保持部120及び第2の保持部121に搬入した後、工程A2において第1の保持部120に保持された被処理ウェハWと第2の保持部121に保持された支持ウェハSとを加熱しながら、第1の保持部120と第2の保持部121を相対的に水平方向に移動させて被処理ウェハWと支持ウェハSを剥離することができる。また、このように工程A2において被処理ウェハWと支持ウェハSを剥離中、次に剥離される重合ウェハT2を保持した状態でシャトルアーム191を待機させることができる。そうすると、被処理ウェハWと支持ウェハSを剥離後、工程A3において温度調節アーム192により支持ウェハSを第2の保持部121から搬出すると共に、シャトルアーム191によって次に剥離される重合ウェハT2を第1の保持部120及び第2の保持部121に搬入することができる。このため、第1の保持部120と第2の保持部121による重合ウェハTの剥離処理を連続して行うことができる。したがって、被処理ウェハWと支持ウェハSを効率よく剥離することができ、当該剥離処理のスループットを向上させることができる。
しかも、温度調節アーム192によって剥離された支持ウェハSを所定の温度に調節しながら、当該支持ウェハSを第2の保持部121から搬出することができるので、剥離処理のスループットをさらに向上させることができる。
また、剥離装置30にはウェハ検知機構210が設けられているので、第1の搬送装置20の搬送アーム100を実際に移動させることなく、シャトルアーム191における重合ウェハTの有無と、温度調節アーム192における支持ウェハSの有無とを検知することができる。かかる場合、第1の搬送装置20の稼動効率を向上させることができ、剥離処理のスループットをさらに向上させることができる。特に剥離システム1を起動する際には、シャトルアーム191における重合ウェハTの有無と、温度調節アーム192における支持ウェハSの有無を確認する必要があるが、ウェハ検知機構210により重合ウェハTと支持ウェハSの有無を検知することにより、剥離システム1の起動を迅速に行うことができる。
また以上の実施の形態の剥離システム1によれば、剥離装置30において重合ウェハTを被処理ウェハWと支持ウェハSに剥離した後、第1の洗浄装置31において、剥離された被処理ウェハWを洗浄すると共に、第2の洗浄装置33において、剥離された支持ウェハSを洗浄することができる。このように本実施の形態によれば、一の剥離システム1内で、被処理ウェハWと支持ウェハSの剥離から被処理ウェハWの洗浄と支持ウェハSの洗浄までの一連の剥離処理を効率よく行うことができる。また、第1の洗浄装置31と第2の洗浄装置33において、被処理ウェハWの洗浄と支持ウェハSの洗浄をそれぞれ並行して行うことができる。さらに、剥離装置30において被処理ウェハWと支持ウェハSを剥離する間に、第1の洗浄装置31と第2の洗浄装置33において別の被処理ウェハWと支持ウェハSを処理することもできる。したがって、被処理ウェハWと支持ウェハSの剥離を効率よく行うことができ、剥離処理のスループットを向上させることができる。
また、このように一連のプロセスにおいて、被処理ウェハWと支持ウェハSの剥離から被処理ウェハWの後処理まで行うことができるので、ウェハ処理のスループットをさらに向上させることができる。
以上の実施の形態の剥離装置30において、シャトルアーム191の構成は上記実施の形態に限定されず、種々の構成を取り得る。例えばシャトルアーム191には、温度調節アーム192と同様の構成のアームを用いてもよい。
以上の実施の形態では、剥離装置30において第2の保持部121を鉛直方向及び水平方向に移動させていたが、第1の保持部120を鉛直方向及び水平方向に移動させてもよい。あるいは、第1の保持部120と第2の保持部121の両方を鉛直方向及び水平方向に移動させてもよい。
また、以上の実施の形態では、剥離装置30において第2の保持部121を鉛直方向及び水平方向に移動させていたが、例えば被処理ウェハW上のデバイスと支持ウェハSとの間の距離が十分大きい場合には、第2の保持部121を水平方向にのみ移動させてもよい。かかる場合、デバイスと支持ウェハSとの接触を回避できると共に、第2の保持部121の移動の制御が容易になる。さらに、第2の保持部121を鉛直方向にのみ移動させて被処理ウェハWと支持ウェハSを剥離させてもよい。
以上の実施の形態の剥離装置30において、第1の保持部120と第2の保持部121との間の処理空間を覆うカバー(図示せず)を設けてもよい。かかる場合、処理空間を不活性ガスの雰囲気にすることにより、被処理ウェハWが加熱処理されても、当該被処理ウェハWの接合面WJ上のデバイスに酸化膜が形成されるのを抑制することができる。
また、以上の実施の形態の剥離装置30において、第2の保持部121に追従して水平方向に移動可能であって、複数の孔から不活性ガスを供給するポーラスプレート(図示せず)を設けてもよい。かかる場合、重合ウェハTを剥離するために第2の保持部121を移動させる際、第2の保持部121に追従してポーラスプレートを移動させながら、剥離により露出した被処理ウェハWの接合面WJに不活性ガスを供給する。そうすると、被処理ウェハWが加熱処理されても、被処理ウェハWの接合面WJ上のデバイスに酸化膜が形成されるのを抑制することができる。
なお、以上の実施の形態の剥離装置30では、被処理ウェハWを上側に配置し、且つ支持ウェハSを下側に配置した状態で、これら被処理ウェハWと支持ウェハSを剥離していたが、被処理ウェハWと支持ウェハSの上下配置を反対にしてもよい。
以上の実施の形態では、第1の洗浄装置31、第2の洗浄装置32、接合面洗浄装置40、非接合面洗浄装置41の洗浄液ノズル242には2流体ノズルが用いられていたが、洗浄液ノズル242の形態は本実施の形態に限定されず種々のノズルを用いることができる。例えば洗浄液ノズル242として、有機溶剤を供給するノズルと不活性ガスを供給するノズルとを一体化したノズル体や、スプレーノズル、ジェットノズル、メガソニックノズルなどを用いてもよい。また、洗浄処理のスループットを向上させるため、例えば80℃に加熱された洗浄液を供給してもよい。
また、第1の洗浄装置31、第2の洗浄装置32、接合面洗浄装置40、非接合面洗浄装置41において、洗浄液ノズル242に加えて、IPA(イソプロピルアルコール)を供給するノズルを設けてもよい。かかる場合、洗浄液ノズル242からの洗浄液によって被処理ウェハW又は支持ウェハSを洗浄した後、被処理ウェハW又は支持ウェハS上の洗浄液をIPAに置換する。そうすると、被処理ウェハW又は支持ウェハSの接合面WJ、SJがより確実に洗浄される。
また、検査装置7の構成は上記実施の形態の構成に限定されない。検査装置7は、被処理ウェハWの画像を撮像して、当該被処理ウェハW上の接着剤Gの残渣の有無と酸化膜の残渣の有無が検査できれば、種々の構成を取り得る。
以上の実施の形態の剥離システム1において、剥離装置30で加熱された被処理ウェハWを所定の温度に冷却する温度調節装置(図示せず)が別途設けられていてもよい。かかる場合、被処理ウェハWの温度が積極的に適切な温度に調節されるので、後続の処理をより円滑に行うことができる。
以上の実施の形態の重合ウェハTには、当該重合ウェハTの損傷を抑制するための保護部材、例えばダイシングフレーム(図示せず)が設けられていてもよい。ダイシングフレームは、被処理ウェハW側に設けられている。そして、被処理ウェハWが支持ウェハSから剥離された後も、薄型化された被処理ウェハWはダイシングフレームに保護された状態で、所定の処理や搬送が行われる。したがって、剥離後の被処理ウェハWの損傷を抑制することができる。
以上の実施の形態では、後処理ステーション4において被処理ウェハWに後処理を行い製品化する場合について説明したが、本発明は、例えば3次元集積技術で用いられる被処理ウェハを支持ウェハから剥離する場合にも適用することができる。なお、3次元集積技術とは、近年の半導体デバイスの高集積化の要求に応えた技術であって、高集積化した複数の半導体デバイスを水平面内で配置する代わりに、当該複数の半導体デバイスを3次元に積層する技術である。この3次元集積技術においても、積層される被処理ウェハの薄型化が求められており、当該被処理ウェハを支持ウェハに接合して所定の処理が行われる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。本発明はこの例に限らず種々の態様を採りうるものである。本発明は、基板がウェハ以外のFPD(フラットパネルディスプレイ)、フォトマスク用のマスクレチクルなどの他の基板である場合にも適用できる。