本発明者等は、実施形態の開発の過程において、以下に述べるような知見を得た。
図1は、参照用のNAND型フラッシュメモリの一部を例示している。NAND型フラッシュメモリでは、メモリセル中のデータを消去するために、ウェルにワード線より高い電位を与えて、浮遊ゲート電極中の電子が基板へと抜き取られる。そのために、図1に示されるように、ウェル電位CPWELLが電位VERAに充電される。また、電圧生成回路101から出力される0VがCGドライバ102を介してCG線CGLに印加される。さらに、選択ブロックでは、ブロック選択のためのWL選択トランジスタ104がオンされてCG線CGLとワード線WLが電気的に接続される。一方、非選択ブロックでは、トランジスタ104はオフに維持されて、ワード線WLはカップリングによってウェル電位CPWELLと同じ電位VERAに上昇する。こうして、非選択ブロックでは、ワード線WLとウェルとが同じ電位に維持されてデータの消去が防止される。
上記のように、非選択ブロックでは、ワード線WLとウェルとが同じ電位に維持されてデータの消去が防止される。しかしながら、ワード線WLは、ウェルとのカップリングによって電位を維持しているのみなので、その電位はリーク電流、例えばWL選択トランジスタ104を流れるリーク電流により容易に影響される。そこで、非選択ブロック中のWL選択トランジスタ104にバックバイアスを印加して、リーク電流の抑制が図られることがある。バックバイアスの大きさは例えば0.5Vであり、そのために、CG線CGLが0.5Vに駆動される。このような例によれば、非選択ブロック中のWL選択トランジスタ104のソースとドレインとの間の電位差は0VのCG線CGLのケースよりも小さく、基板電位に対しバックバイアスがかかる。このことは、選択ブロック中のWL選択トランジスタ104を流れるリーク電流を抑制し、ひいては非選択ブロック中でのデータ誤消去を抑制する。
NAND型フラッシュメモリは、複数ブロックを一括して消去することもできる。特定のブロック、例えばNAND型フラッシュメモリの動作に必要なデータを保持するROMヒューズブロックを除く全ブロックを同時に消去できる。以下では、特定のブロックを除く複数のブロックのデータを一括して消去することを全ブロックのデータ消去と称する。全ブロックデータ消去では、図1の選択ブロックが大量になり、ひいては0.5Vへと充電されるCG線CGLの数が大量に及ぶ。このため、CG線CGLの充放電に長時間を要する。これを避けるために、電圧生成回路101の能力を上げることが考えられるが、このことは回路サイズの増大につながる。また、経路抵抗を下げる目的では、WL選択トランジスタ104のゲート電極の幅(チャネル幅方向の長さ)を大きくすることも考えられるが、これもサイズ増大につながる。さらに、CG線CGLを0Vよりも高い電位に充電することを諦めることも考えられるが、非選択ブロックのデータ誤消去の課題に対処できない。全ブロック消去は、典型例としてメモリのテスト工程において行われる。テスト工程で全ブロックデータ消去の対象でないROMヒューズブロックの誤消去に対しては、データを再度書き込めばよい。したがって、全ブロックデータ消去中のデータ誤消去の課題は、テスト工程後の通常のファンクション動作においては発生しない。しかしながら、テスト工程に要する時間の増大は避けられず、やはり全ブロックデータ消去中のデータ誤消去への対処が望まれる。このように、非選択ブロックのデータ誤消去と充放電時間の抑制とを両立することが困難である。
以下に、このような知見に基づいて構成された実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。各実施形態は、この実施形態の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、実施形態の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。実施形態の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
(第1実施形態)
図2は、第1実施形態に係る半導体記憶装置を例示するブロック図である。図2に示されるように、半導体記憶装置(メモリ)は、メモリセルアレイ1、ビット線制御回路2、カラムデコーダ3、データバッファ4、データ入出力端子5、ワード線制御回路6、制御回路7、制御信号入力端子8、電圧生成回路9を含んでいる。これらの各機能ブロックが、このように区別されていることは必須ではない。例えば、一部の機能が以下の説明において例示されている機能ブロックとは別の機能ブロックによって実行されてもよい。さらに、例示の機能ブロックがさらに細かい機能サブブロックに分割されていてもよい。どの機能ブロックによって特定されるかによって実施形態が限定されるものではない。
メモリセルアレイ1は、複数のブロックを含んでいる。各ブロックは、複数のメモリセル、ワード線、ビット線等を含んでいる。ブロックは、複数のメモリセルからなる複数のページを含んでおり、詳細については後に詳述する。メモリセルアレイ1は、ビット線制御回路2、ワード線制御回路6、制御回路7、電圧生成回路9と電気的に接続されている。
ビット線制御回路2は、ビット線を介してメモリセルアレイ1内のメモリセルのデータを読み出し、ビット線を介してメモリセルの状態を検出する。また、ビット線制御回路2は、ビット線を介してメモリセルアレイ1内のメモリセルに書き込み(プログラム)電圧を印加してメモリセルにデータを書き込む。ビット線制御回路2には、カラムデコーダ3、データバッファ4、制御回路7が電気的に接続されている。
ビット線制御回路2はセンスアンプやデータ記憶回路等(図示せず)を含んでいる。特定のデータ記憶回路がカラムデコーダ3によって選択される。選択されたデータ記憶回路に読み出されたメモリセルのデータは、データバッファ4を介してデータ入出力端子5からメモリの外部へ出力される。データ入出力端子5は、メモリ外部の装置(例えば、ホスト、メモリコントローラなど)に接続される。データ入出力端子5は、NAND型フラッシュメモリの動作を制御する各種コマンドCOM、アドレスADDを受け取り、またデータDTを受け取ったり、出力したりする。データ入出力端子5に入力された書き込みデータDTは、データバッファ4を介して、カラムデコーダ3によって選択されたデータ記憶回路に供給される。コマンドCOMおよびアドレスADDは、制御回路7に供給される。センスアンプは、ビット線上の電位を増幅する。
ワード線制御回路6は、制御回路7の制御に従ってメモリセルアレイ1内の特定のワード線を選択する。また、ワード線制御回路6は、読み出し、書き込み、あるいは消去に必要な電圧を電圧生成回路9から受け取る。ワード線制御回路6は、これらの電圧を、選択されたワード線に印加する。
制御回路7は、メモリセルアレイ1、ビット線制御回路2、カラムデコーダ3、データバッファ4、ワード線制御回路6、電圧生成回路9に電気的に接続され、これらを制御する。制御回路7は、制御信号入力端子8に接続され、外部から制御信号入力端子8を介して入力されるALE(アドレスラッチイネーブル)信号等の制御信号によって制御される。また、制御回路7は、電圧生成回路9に制御信号を出力し、電圧生成回路9を制御する。
電圧生成回路9は、制御回路7の制御に従って、書き込み、読み出し、消去等の各動作において、メモリセルアレイ1、ワード線制御回路6等に必要な電圧を与える。電圧生成回路9は、そのような種々の電圧を生成できるように構成されている。具体的には、電圧生成回路9は、データ消去の際、電圧VISO、電圧VERA等を生成する。
図3および図4は、それぞれブロックBlockの例を示す回路図および断面図である。図3には、1つのブロックBlockのみが描かれている。図3および図4に示されるように、ブロックBlockは、ワード線方向(WL_Direction)に沿って並ぶ複数のメモリセル列(メモリセルユニット)MUを含んでいる。メモリセル列MUは、ビット線方向(BL_Direction)に沿って延びる。メモリセル列MUは、NANDストリングと、選択トランジスタS1、S2と、から構成される。NANDストリングは、電流経路(ソース/ドレインSD)同士が相互に直列接続されている複数個(例えば32個)のメモリセルトランジスタMTからなる。選択トランジスタS1、S2は、NANDストリングの両端にそれぞれ接続される。選択トランジスタS2の電流経路の他端はビット線BLに接続され、選択トランジスタS1の電流経路の他端はソース線SLに接続されている。
ワード線WL0〜WL31は、WL方向に延び、同じ行に属する複数のメモリセルトランジスタMTに接続される。セレクトゲート線SGDは、WL方向に沿って延び、ブロック内の全選択トランジスタS2に接続されている。セレクトゲート線SGSは、WL方向に沿って延び、ブロック内の全選択トランジスタS1に接続されている。
同じワード線WLと接続されている複数のメモリセルトランジスタMTによるビットの集まりはページを構成する。ページごとにデータが読み出しおよび書き込みされる。1つのメモリセルが複数ビットのデータを保持可能な多値メモリセルの場合、1つのワード線に複数ページが割り当てられる。
メモリセルMTは、ビット線BLとワード線WLとの各交点に設けられる。メモリセルMTは、半導体基板内に形成されたウェル上に設けられる。メモリセルMTは、ウェル上に積層されたトンネル絶縁膜(図示せず)、電荷蓄積層としての浮遊電極(フローティングゲート電極)FG、ゲート間絶縁膜(図示せず)、制御電極(コントロールゲート電極)CG(ワード線WL)、ソース/ドレイン領域SDを有する。メモリセルMTの電流経路であるソース/ドレインは、隣接するメモリセルMTのソース/ドレインに直列接続されている。選択トランジスタS1、S2は、半導体基板上に積層されたゲート絶縁膜(図示せず)、ゲート電極SGS、SGD、ソース/ドレイン領域SDを含んでいる。
図5は、第1実施形態に係る半導体記憶装置の一部を概略的に示している。具体的には、図5は、図2のブロック図のいくつかの機能ブロックの一部を示している。電圧生成回路9は、種々の電圧を生成するための複数の部分を含んでおり、またこれらの複数の電圧を独立して出力することができる。そのような電圧には、少なくとも電圧VISO、電源電圧VDD、電圧VERAが含まれる。図5では、電圧生成回路9は、電圧VISOを生成するための部分(VISO生成回路9a)を含んでいることが示されている。電圧VDDを生成するための部分、消去電圧VERAを生成するための部分、その他の電圧を生成するための部分は省略されている。
図5に示されるように、VISO生成回路9aの出力(VISO)は、CGドライバ12に入力される。CGドライバ12は、図2のワード線制御回路6の一部に相当する。CGドライバ12の出力は、複数のCG線CGLと接続されている。図では、1つのCG線CGLの接続先のみを示している。各CG線CGLは、n型の複数のWL選択MOSFET Tr1の一端に共通に接続されている。1つのCG線CGLに共通に接続されている各トランジスタTr1は、対応する1つのブロックのためのものである。各トランジスタTr1の他端は1つのワード線WLと接続されている。説明の便宜上、以下の記述では、ページの集合からなるブロックに加え、このブロックと接続されたワード線と、このワード線と接続されたトランジスタTr1と、このトランジスタTr1と接続されたCG線CGLを含めた構造をブロックと称する。
各ブロックは同数のCG線(例えばCG線CGL0〜CGL65)を有し、各ブロック中の同じ番号のCG線同士は接続されている。CG線およびそれと接続された要素の各組は、図5に1つ例示されているのと同じ要素および接続を有する。そして、CGドライバ12は、電圧生成回路11の相違する電圧の複数の出力のうちの任意のものを任意のCG線に選択的に接続できる。したがって、例えば、ある選択されたCG線CGL(例えばCGL0)について、対応する番号の各ブロック中のCG線(CGL0)を共通に電圧生成回路11の任意の出力(例えばVISO生成回路9aの出力)に接続する。
各トランジスタTr1のゲートは、転送ゲート線15を介して対応するブロックデコーダ14に接続されている。ブロックデコーダ14は、例えば図3のワード線制御回路6の一部である。制御回路7の制御に基づいて選択されたブロック用のブロックデコーダ14は、対応するブロック中の全トランジスタTr1をオンさせる。各ワード線WLは、図3に記載のように、複数のメモリセルトランジスタの制御電極CGに接続されている。
電圧生成回路9は、さらに放電回路16を含む。放電回路16はVISO生成回路9aの出力VISOに接続されている。放電回路16は制御回路9から制御信号CONTを受け取る。
放電回路16は、図6に示される構成を有する。図6は、第1実施形態に係る放電回路の例を示している。図6に示されるように、放電回路16は、n型のMOSFET Tr3と、ダイオード接続されたn型のMOSFET Tr4を含む。トランジスタTr3は、VISO生成回路9aの出力VISOとトランジスタTr4の一端およびゲートと接続されている。トランジスタTr4の他端は接地されている。トランジスタTr3のゲートは、制御回路7から制御信号VISO_VTNを受け取る。信号VISO_VTNは、平時、無効論理(Lレベル)に維持される。また、信号VISO_VTNはレベルシフト回路により高い電圧に変換されていてもよい。
電圧VISOが大きい場合、放電回路16は、図7に示される構成を有することが可能である。図7は、第1実施形態に係る放電回路の別の例を示している。図7に示されるように、図6のトランジスタTr3に代えてトランジスタTr6が設けられている。トランジスタTr6は、トランジスタTr3よりも高い耐圧を有する。トランジスタTr6の接続は、トランジスタTr3と同じである。
次に、図5の回路の動作について、図8を参照して説明する。図8は、第1実施形態に係る半導体記憶装置の複数ブロックデータ消去時の主要部の電圧を示している。複数ブロックデータ消去は、典型的な例として全ブロックデータ消去である。そして、全ブロックとは、上記のように、例えばROMヒューズブロック等のデータ消去を望まれないブロックを除く全ユーザブロックを指す。
図8の時刻t1に先立って、VISO生成回路9aは、電圧VISOを出力する。電圧VISOは、データ消去時に、選択ブロック中のワード線WLに印加される電圧である。具体的には、電圧VISOは、0Vより大きく、例えば0.5である。この電圧の値は、非選択ブロックのトランジスタTr1に印加されることが望まれるバックバイアスの大きさに基づき、例えば同じ値である。複数ブロックデータ消去の間、非選択ブロックのトランジスタTr1のゲートに印加される電圧は0Vに維持される。
時刻t1において、選択ブロックの転送トランジスタTr1がオンされる。トランジスタTr1をオンさせるためにトランジスタTr1のゲートに印加される電圧は、例えば2.5Vである。この結果、選択ブロックでは、ワード線WLとCG線CGLとが電気的に接続される。このため、選択ブロック中のワード線WLは、CG線CGLを介してVISO生成回路9aの出力電圧VISOに維持される。以降、選択ブロック中のワード線WLの電位を示す線はCG線CGLの電位も示す。
また、時刻t1において、制御信号VISO_VTNが有効論理(Hレベル)とされる。この結果、放電回路16が有効化される。制御信号VISO_VTNは、例えば、ウェルの放電完了(後述の時刻t6)まで有効論理を維持する。放電回路16は、CG線CGLの電位(選択ブロック中のワード線WLの電位)が、トランジスタTr4の閾値電圧VTNに達するまで動作を開始しない。
時刻t2において、VISO生成回路9aは、データ消去のための電圧VERAのウェルへの印加を開始する。消去電圧VERAは、例えば20Vである。この結果、ウェルの電位CPWELLは、消去電圧VERAに向かって上昇する。非選択ブロックでは、トランジスタTr1はオフしているため、非選択ブロック中のワード線WLは、ウェル電位とのカップリングにより、ウェル電位と同様に上昇する。
また、時刻t2において、CGドライバ12は、VISO生成回路9aの出力を全てのCG線CGLに接続する。上記のように、複数ブロックデータ消去では、CG線CGLを介してVISO生成回路9aに接続されるワード線WLの数が多数に及ぶ。このため、VISO生成回路9aは、ウェル電位とのカップリングによるCG線CGLの電位上昇を抑え切れない場合がある。このような場合、CG線CGLの電位(選択ブロック中のワード線WLの電位)は、時刻t2から上昇を開始する。
CG線CGL(選択ブロック中のワード線WL)の電位は上昇を続け、時刻t3において、放電回路16中のトランジスタTr4の閾値電圧VTNに達する。すると、トランジスタTr4による電圧VTNへとCG線CGLを引く力が自律的に開始する。その後、CG線CGLの電位が上昇するに連れ、放電回路16の放電能力が大きくなる。放電の開始後、ウェル電位の上昇の速度が一定である間は、CG線CGLの電位上昇は停止し、一定の値を維持する。
時刻t4において、ウェル電位(非選択ブロック中のワード線WLの電位)が消去電圧VERAに達し、その後、ウェル電位は時刻t5まで維持される。また、ウェル電位が消去電圧VERAに達したことに応じて、放電回路16は、CG線CGLを閾値電圧VTNまで放電し始める。この結果、CG線CGLは、電圧VTNまで低下する。このため、選択ブロック中ではワード線WLはCG線CGLを介して電圧VTNとされてデータ消去を行えるとともに、非選択ブロック中ではトランジスタTr1にバックバイアスを印加して非選択ブロック中のデータの誤消去を抑制できる。
時刻t5において、ウェルへの電圧印加が終了し、この結果、ウェル電位および非選択ブロック中のワード線WLの電位は下降する。また、選択ブロック中のワード線の電位も時刻t4から引き続き下降する。
時刻t6において、ウェル電位、非選択ブロック中のワード線WLの電位、選択ブロック中のワード線WLの電位は、電圧VISOへと戻る。また、時刻t6において、制御信号VISO_VTNが無効論理(Lレベル)とされる。こうして、複数ブロックデータ消去は終了する。
または、図5の回路は、図9のように動作されてもよい。図9は、第1実施形態に係る半導体記憶装置の複数ブロックデータ消去時の主要部の電圧を示している。図9は、制御信号VISO_VTNが無効論理にされるタイミングが、図8と異なる。すなわち、時刻t4において、制御信号VISO_VTNは無効論理にされ、この結果、放電回路16が無効化される。図8の例では、制御信号VISO_VTNが時刻t6まで有効論理である。このため、CG線CGLの電位(選択ブロック中のワード線WLの電位)は、時刻t4からウェル電位が効果を始める時刻t5まで、放電回路16中のトランジスタTr4の閾値電圧VTNに維持される。一方、図9の例によれば、時刻t4において放電回路16が無効化されるので、CG線CGLの電位は、VISO生成回路9aの出力電圧VISOに維持される。VISO生成回路9aの出力電圧VISOは、その大きさの制御が可能なので、この電圧VISOの制御を通じて、CG線CGLの電位の制御が可能である。
以上説明したように、第1実施形態に係る半導体記憶装置によれば、VISO生成回路9aの出力に放電回路16が設けられている。放電回路16は時刻t2〜t3の選択ワード線WLの電位上昇を利用して自律的に動作開始して、CG線CGLを閾値電圧VTNへと引く。このため、ごく少ない要素の追加を通じて、非選択ブロックのトランジスタTr1にバックバイアスを印加しつつ、CG線CGLを目的の電位へと制御できる。このような利点を得るのに、CG線CGLの電位を十分な能力で引くためのVISO生成回路9aの強化は不要である。別の対策としてCG線CGLの電位を引くために時刻t1〜t2を延長することも考えられるが、本実施形態によれば、そのような対策も不要である。放電回路16は、時刻t2〜t3の選択ワード線WLの電位上昇を利用して自律的に動作開始するからである。
(第2実施形態)
第2実施形態は、データ消去の際に複数のCG線に相違する電圧が印加される形態に関する。
図10は、第2実施形態に係る半導体記憶装置の一部を概略的に示している。具体的には、図10は、図2のブロック図のいくつかの機能ブロックの一部を示している。図10では、電圧生成回路9のうちの電圧VDDを生成するための部分(VDD生成回路9b)が示されている。放電回路16の詳細を含め、第2実施形態に係る半導体記憶装置のその他の要素および接続については第1実施形態と同じである。
図10に示されるように、第2実施形態では、複数ブロック(全ブロック)データ消去の際に複数のCG線CGLのうちの一部の組と別の組とに相違する電圧が印加される。具体的には、例えば、奇数番号の複数CG線の組と、偶数番号の複数CG線の組とに分けられる。このような形態は、例えば半導体記憶装置のテスト工程で用いられる。図10では、例として、偶数番号の複数CG線CGLには電圧生成回路9aによって電圧VISOが印加され、奇数番号の複数CG線には電圧生成回路9bによって電圧VDDが印加される。そのために、CGドライバ12は、電圧生成回路9aを偶数番号の複数CG線CGLに接続し、電圧生成回路9bを奇数番号の複数CG線CGLに接続する。また、選択ブロックにおいては、偶数番号の複数CG線CGLと接続されたトランジスタTr1はオンされ、奇数番号の複数CG線CGLと接続されたトランジスタTr1はオフに維持される。この結果、偶数番号の複数CG線CGLは、対応するワード線WLと同じ電位に制御される。一方、非選択ブロックでは、トランジスタTr1はみなオフに維持される。
このようなパターンを有する電圧の形態であっても、同じ番号のCG線はブロックの選択/非選択によらずに同じ電圧へと制御される。このため、非選択ブロック中のトランジスタTr1へのバックバイアスが無いと、トランジスタTr1を流れるリーク電流によりデータが誤消去される可能性がある。そこで、第1実施形態と同じく、放電回路16によってVISO生成回路9aの出力(すなわち偶数番号のCG線CGL)が放電される。動作のタイミングは第1実施形態と同じである。この結果、VISO生成回路9aと接続されたCG線(例えば偶数番号のCG線CGL)は、図8の時刻t4から電圧VTNとなる。よって、非選択ブロック中のこのようなCG線CGLと接続された転送トランジスタTr1にバックバイアスが印加されることが可能である。一方、VDD生成回路9bの出力と接続されたCG線(例えば奇数番号のCG線CGL)は電圧VDDを印加される。よって、このようなCG線CGLと接続されたトランジスタTr1にも電圧VDDと電圧VERAにより定まる大きなバックバイアスが印加されることが可能である。こうして、非選択ブロック中のデータ誤消去は防止される。
以上説明したように、第2実施形態に係る半導体記憶装置によれば、第1実施形態と同じく、VISO生成回路9aの出力に放電回路16が設けられている。このため、第1実施形態と同じ利点を得られる。さらに、第2実施形態によれば、ワード線WLにストレスをかけることができる。このような動作は、例えば製造時の欠陥をスクリーニングするためのテスト動作で用いられ、ワード線WL間ストレステストを全ブロック選択を通じて実行できる。
(第3実施形態)
第3実施形態は、放電回路16の位置および詳細のバリエーションに関する。
図11は、第3実施形態に係る半導体記憶装置の一部を概略的に示している。具体的には、図11は、図2のブロック図のいくつかの機能ブロックの一部を示している。図11に示されるように、放電回路16は、CGドライバ12に含まれており、CGドライバ12の出力に接続されている。上記のようにCGドライバ12は、複数のCG線CGL(例えばCG0〜CG65)とそれぞれ接続されている複数の出力を有する。よって、放電回路16は、各出力に1つ設けられている。図では、1つの放電回路16のみが示されている。
CG線CGLはプログラム電圧VPGMを印加されることがある。すなわち、データ書き込みの際、選択されたワード線WLと接続されるCG線CGLは、CGドライバ12によって、電圧生成回路9のプログラム電圧を生成するための部分(VPGM生成回路)の出力に接続される。放電回路16は、プログラム電圧VPGMのような高電圧にも耐えられるように構成される必要がある。図12は、第3実施形態に係る放電回路の例を示している。図12に示されるように、放電回路16は、第1実施形態(図6)のトランジスタTr3、Tr4と同様に接続されたn型のMOSFET Tr13、Tr14に加え、p型のMOSFET Tr11およびn型のMOSFET Tr12を含んでいる。トランジスタTr11、Tr12は、高い耐圧を有するデプリーション型である。トランジスタTr11、Tr12は、CG線CGLとトランジスタTr13との間に直列接続されている。トランジスタTr11のソースはCG線CGLと接続され、トランジスタTr12のソースはトランジスタTr13のドレインと接続されている。トランジスタTr11のゲートは電源電圧VDDを受け取り、トランジスタTr12のゲートは接地されている(電圧VSSに固定されている)。また、トランジスタTr13のゲートは、制御回路7から制御信号CGVTNを受け取る。信号CGVTNは、信号VISO_VTNと同じタイミングで同様に論理が変化する。
一般に、CGドライバの出力には、その動作に必要な放電回路が設けられている場合がある。図13は、一般的なCGドライバの出力の一部を示している。図13に示されるように、CGドライバ12は、その動作に必要な放電回路21を含んでいる。放電回路21は、p型のMOSFET Tr21およびn型のMOSFET Tr22、n型のMOSFET Tr23を含んでいる。トランジスタTr21、Tr22は、高い耐圧を有するデプリーション型である。トランジスタTr21、Tr22、Tr23は直列接続されている。トランジスタTr21のソースはCG線CGLと接続され、トランジスタTr23のソースは接地されている。トランジスタTr21のゲートは電源電圧VDDを受け取り、トランジスタTr22のゲートは接地されている(電圧VSSに固定されている)。トランジスタTr23のゲートは、制御信号CGVSSを受け取る。第3実施形態に係る放電回路16は、このような放電回路21の一部の要素を共用することが可能である。
図14は、第3実施形態に係るCGドライバの例を示している。図14に示されるように、放電回路16は、放電回路21の一部であるトランジスタTr21、Tr22、Tr23と、トランジスタTr3、Tr4を含んでいる。トランジスタTr3のドレインはトランジスタTr22のソースに接続されている。信号CGVSSは、CGドライバ12中のロジック回路Lから出力される。ロジック回路Lは、制御回路7から制御信号を受け取り、制御信号に基づいてCGVSSを出力する。すなわち、ロジック回路Lは、制御信号に基づいて、VISO生成回路9aの出力または他の電圧が特定のCG線に供給されるように、信号CGVSSを出力する。トランジスタTr3、Tr4のその他のノードの接続は、図13と同じである。このように、トランジスタTr21、Tr22は放電回路16、21で共用される。高耐圧トランジスタは一般に大きなサイズを有するので、高耐圧トランジスタが共用されることを通じて放電回路16の付加によるレイアウトサイズの増大を、図12の例よりも抑制できる。
第3実施形態の説明で記述された点以外の全ての点(例えば要素、接続、動作)については第1実施形態と同じである。また、第3実施形態を第2実施形態に組み合わせることも可能である。
以上説明したように、第3実施形態に係る半導体記憶装置によれば、CG線CGLの出力に放電回路16が設けられている。放電回路16は、第1実施形態と同じく自律的に動作開始して、放電回路16によって電圧VTNへと引かれる。よって、第1実施形態と同じ利点を得られる。また、第3実施形態によれば、放電回路16がCG線CGLに接続されているので、第1実施形態よりもCG線CGLの電位制御(放電)を素早く行うことができる。
その他、各実施形態は、上記のものに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で、種々に変形することが可能である。さらに、上記実施形態には種々の段階が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の実施形態が抽出され得る。例えば、上記各実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、この構成要件が削除された構成が実施形態として抽出され得る。