JP2013184868A - 炭化ホウ素−二ホウ化チタンセラミックス並びにレーザ加工装置用反射ミラー及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】レーザ加工装置用反射ミラーの材料として適した放電加工性と比剛性を有する炭化ホウ素−二ホウ化チタンセラミックスを得る。
【解決手段】本発明による炭化ホウ素−二ホウ化チタンセラミックスは、炭化ホウ素(B4C)粉末、二酸化チタン(TiO2)粉末、及び炭素(C)粉末の混合粉末を加圧条件下で焼結して得られ、炭化ホウ素80〜73mol%、二ホウ化チタン20〜27mol%からなる。混合粉末に含まれる炭化ホウ素粉末は、平均粒径1.0μm〜2.5μmで且つ重量比が10%にあたる粒径(D10)が0.3μm以上であり、二酸化チタン粉末及び炭素粉末は、平均粒径1μm以下である。これにより、形彫放電加工に適した抵抗率0.05Ω・cm以下であり、スキャンミラーの材料として必要な比剛性150以上の炭化ホウ素−二ホウ化チタンセラミックスが得られる。
【選択図】図2
【解決手段】本発明による炭化ホウ素−二ホウ化チタンセラミックスは、炭化ホウ素(B4C)粉末、二酸化チタン(TiO2)粉末、及び炭素(C)粉末の混合粉末を加圧条件下で焼結して得られ、炭化ホウ素80〜73mol%、二ホウ化チタン20〜27mol%からなる。混合粉末に含まれる炭化ホウ素粉末は、平均粒径1.0μm〜2.5μmで且つ重量比が10%にあたる粒径(D10)が0.3μm以上であり、二酸化チタン粉末及び炭素粉末は、平均粒径1μm以下である。これにより、形彫放電加工に適した抵抗率0.05Ω・cm以下であり、スキャンミラーの材料として必要な比剛性150以上の炭化ホウ素−二ホウ化チタンセラミックスが得られる。
【選択図】図2
Description
本発明は、炭化ホウ素−二ホウ化チタンセラミックスと、これを用いたレーザ加工装置用反射ミラー及びその製造方法に関するものである。
レーザ加工装置の光学系に用いられるスキャンミラー等の反射ミラーは、高速化に対応するため軽量で高剛性であることが求められる。スキャンミラーの構成材として必要な比剛性(ヤング率÷密度)は150以上であり、従来、密度が低く且つ剛性の高い炭化ホウ素−二ホウ化チタンセラミックスやベリリウム等が材料として用いられている。
また、スキャンミラーの軽量化のための形状として、例えば特許文献1には、裏面部に張りと背骨部分を有する肋骨構造を採用したものが提示されている(図1参照)。炭化ホウ素−二ホウ化チタンセラミックスは、非常に硬い材料であるため機械加工によりスキャンミラー裏面の張りを加工することは困難であるが、電気伝導性を有することから放電加工が可能であり、形彫放電加工により張りの加工がなされている。
また、特許文献2では、炭化ホウ素−二ホウ化チタンセラミックスの原料である炭化ホウ素(B4C)粉末、二酸化チタン(TiO2)粉末、炭素(C)粉末の平均粒径、及び焼結後の炭化ホウ素と二ホウ化チタンの組成を規定し、抵抗率を0.1Ω・cm以下とすることにより放電加工性を向上させている。
この特許文献2では、平均粒径1.0μm〜2.5μmの炭化ホウ素粉末、平均粒径1μm未満の二酸化チタン粉末、及び平均粒径1μm未満の炭素粉末の混合粉末を加圧条件下で焼結し、炭化ホウ素90〜70mol%、二ホウ化チタン10〜30mol%からなる炭化ホウ素−二ホウ化チタンセラミックスを得ている。
上記特許文献2では、抵抗率を0.1Ω・cm以下として放電加工性を向上させた炭化ホウ素−二ホウ化チタンセラミックスが提示されている。しかしながら、図1に示すようなスキャンミラーの背面の張りの形彫放電加工においては、炭化ホウ素−二ホウ化チタンセラミックスの抵抗率が0.05Ω・cm以上になると、放電加工時に張りが欠けるという問題がある。特許文献2に記載された原料、組成、焼成条件で得られた炭化ホウ素−二ホウ化チタンセラミックスにおいても、原料の1つである炭化ホウ素粉末に微細な粒子が多く含まれている場合には、焼結体の抵抗率が0.05Ω・cm以上となり、形彫放電加工に適さない。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、レーザ加工装置用反射ミラーの材料として適した放電加工性と比剛性を有する炭化ホウ素−二ホウ化チタンセラミックスを得ることを目的とする。
また、反射ミラーの材料として適した放電加工性と比剛性を有する炭化ホウ素−二ホウ化チタンセラミックスを用いることにより、軽量で高剛性なレーザ加工装置用反射ミラーを得ることを目的とする。
また、反射ミラーの材料として適した放電加工性と比剛性を有する炭化ホウ素−二ホウ化チタンセラミックスを用いることにより、加工の歩留まりを向上させ、軽量、高剛性で安価なレーザ加工装置用反射ミラーを製造することを目的とする。
本発明に係る炭化ホウ素−二ホウ化チタンセラミックスは、炭化ホウ素(B4C)粉末、二酸化チタン(TiO2)粉末、及び炭素(C)粉末の混合粉末を加圧条件下で焼結して得られる炭化ホウ素80〜73mol%、二ホウ化チタン20〜27mol%からなる炭化ホウ素−二ホウ化チタンセラミックスであって、混合粉末に含まれる炭化ホウ素粉末は、平均粒径1.0μm〜2.5μmで且つ重量比が10%にあたる粒径(D10)が0.3μm以上である。
また、本発明に係るレーザ加工装置用反射ミラーは、表面に反射面を有する基体部と、この基体部の裏面に設けられ該基体部の歪みを防ぐ補強構造部とが一体に形成され、基体部及び補強構造部の構成材として、炭化ホウ素80〜73mol%、二ホウ化チタン20〜27mol%からなる炭化ホウ素−二ホウ化チタンセラミックスを用いたものである。
また、本発明に係るレーザ加工装置用反射ミラーの製造方法は、表面に反射面を有する基体部と、この基体部の裏面に設けられ該基体部の歪みを防ぐ補強構造部とが一体に形成され、基体部及び補強構造部の構成材として、炭化ホウ素−二ホウ化チタンセラミックスを用いたレーザ加工装置用反射ミラーの製造方法であって、平均粒径が1.0μm〜2.5μmで且つ重量比が10%にあたる粒径(D10)が0.3μm以上の炭化ホウ素(B4C)粉末、平均粒径1μm以下の二酸化チタン(TiO2)粉末、及び平均粒径1μm以下の炭素(C)粉末の混合粉末を加圧条件下で焼結し、炭化ホウ素80〜73mol%、二ホウ化チタン20〜27mol%からなる炭化ホウ素−二ホウ化チタンセラミックスを得る第1の工程と、第1の工程で得られた炭化ホウ素−二ホウ化チタンセラミックスから、補強構造部を放電加工により成形する第2の工程と、第2の工程に続いて、反射面となる面を必要な面粗さに光学研磨する第3の工程を含むものである。
本発明によれば、抵抗率が0.05Ω・cm以下、比剛性(ヤング率÷密度)が150以上であり、レーザ加工装置用反射ミラーの材料として適した放電加工性と比剛性を有する炭化ホウ素−二ホウ化チタンセラミックスが得られる。
また、基体部及び補強構造部の構成材として、炭化ホウ素80〜73mol%、二ホウ化チタン20〜27mol%からなる炭化ホウ素−二ホウ化チタンセラミックスを用いることにより、軽量で高剛性なレーザ加工装置用反射ミラーが得られる。
さらに、本発明に係るレーザ加工装置用反射ミラーの製造方法によれば、第1の工程で得られる炭化ホウ素−二ホウ化チタンセラミックスの抵抗率は0.05Ω・cm以下であることから、補強構造部を放電加工により成形する第2の工程では、高抵抗率が原因の放電加工不良が発生せず、加工の歩留まりが向上し、軽量、高剛性で安価なレーザ加工装置用反射ミラーを製造することが可能である。
実施の形態1.
以下に、本発明の実施の形態1に係る炭化ホウ素−二ホウ化チタンセラミックスと、これを用いたレーザ加工装置用反射ミラー及びその製造方法について説明する。図1は、本実施の形態1に係るレーザ加工装置の光学系に用いられる反射ミラーであるスキャンミラーの基体部(裏面)を示している。
以下に、本発明の実施の形態1に係る炭化ホウ素−二ホウ化チタンセラミックスと、これを用いたレーザ加工装置用反射ミラー及びその製造方法について説明する。図1は、本実施の形態1に係るレーザ加工装置の光学系に用いられる反射ミラーであるスキャンミラーの基体部(裏面)を示している。
スキャンミラーは、基体部の表面に反射面を有し、裏面に該基体部の歪みを防ぐ補強構造部が一体に形成されている。補強構造部は、図1に示すように、張り1と背骨部分2を有する肋骨構造となっている。このスキャンミラーの基体部及び補強構造部の構成材として、本実施の形態1に係る炭化ホウ素−二ホウ化チタンセラミックスが用いられる。
本実施の形態1に係るスキャンミラーを用いたレーザ加工装置の反射光学系について、簡単に説明する。例えばプリント基板の穴あけ加工用のレーザ加工装置は、レーザ発振器から出射された加工用のレーザビーム(光路)を加工位置に振るための反射光学系を有している。この反射光学系は、X軸の反射ミラー、Y軸の反射ミラー、及び集光レンズを含んで構成される。X軸の反射ミラーはX軸のスキャナに、Y軸の反射ミラーはY軸のスキャナにそれぞれ固定され、これらの反射ミラーの回転軸(X軸、Y軸)回りの揺動速度により、穴あけの加工速度(単位時間あたりの加工穴の数)が決定される。
次に、本実施の形態1に係る炭化ホウ素−二ホウ化チタンセラミックスの原料、組成、焼成条件について説明する。炭化ホウ素−二ホウ化チタンセラミックスは、炭化ホウ素(B4C)粉末、二酸化チタン(TiO2)粉末、及び炭素(C)粉末の混合粉末を加圧条件下で焼結し、下記の式1に示す反応を利用して得られる。焼結条件は、1850℃〜2050℃の温度で、20Mpa〜60MPaの圧力で加圧しながら焼成させる。
B4C+2TiO2+3C→2TiB2+4CO・・・(式1)
B4C+2TiO2+3C→2TiB2+4CO・・・(式1)
炭化ホウ素−二ホウ化チタンセラミックスは、従来、スキャンミラーの基体部を構成する材料として用いられているが(例えば特許文献2)、本発明者らは、その抵抗率が0.05Ω・cm以上であると、スキャンミラーの裏面の張り1の形彫放電加工時に欠けが発生するという知見を得ている。
さらに、炭化ホウ素粉末の平均粒径、二酸化チタンの原料ロット(平均粒径)、炭素粉末の原料ロット(平均粒径)、及び焼結後の炭化ホウ素と二ホウ化チタンの組成比(mol%)が同じであっても、炭化ホウ素粉末の微細粉末の量に起因する抵抗率のばらつきが発生するという知見を得ている。炭化ホウ素粉末の微細粉末の量が過剰な場合、焼結後の二ホウ化チタンの径が小さくなり、その結果、抵抗率が高くなる傾向にある。
本実施の形態1では、混合粉末に含まれる炭化ホウ素粉末として、平均粒径1.0μm〜2.5μmで且つ重量比が10%にあたる粒径(D10)が0.3μm以上のものを用いる。また、二酸化チタン粉末として、平均粒径1μm以下のものを用い、さらに詳しくは平均粒径0.01〜1μmのものを用いる。また、炭素粉末として、平均粒径1μm以下のものを用い、さらに詳しくは平均粒径0.01〜1μmのものを用いる。これらの原料を含む混合粉末を上記の焼成条件で焼結し、炭化ホウ素80〜73mol%、二ホウ化チタン20〜27mol%からなる炭化ホウ素−二ホウ化チタンセラミックスを得る。
本実施の形態1によって得られる炭化ホウ素−二ホウ化チタンセラミックスは、抵抗率が0.05Ω・cm以下であり、比剛性(ヤング率÷密度)が150以上であることから、形彫放電加工に適しており、スキャンミラーの材料として適している。
なお、炭化ホウ素粉末の平均粒径が1.0μm未満の場合、焼結体の抵抗率が0.05Ω・cm以上となり、形彫放電加工に適さなくなる。一方、平均粒径が2.5μmより大きくなると、ヤング率の低下により比剛性が150未満となり、スキャンミラーの材料として適さなくなる。また、炭化ホウ素粉末のD10が0.3μm未満の場合、抵抗率が0.05Ω・cm以上となり、形彫放電加工に適さなくなる
また、炭化ホウ素−二ホウ化チタンセラミックスの焼結後の組成として、炭化ホウ素が80mol%を超えると、原料の炭化ホウ素粉末のD10が0.3μm以上であっても抵抗率が0.05Ω・cm以上となり形彫放電加工に適さなくなる。また、炭化ホウ素が73mol%未満では、炭化ホウ素−二ホウ化チタンセラミックスの比剛性が150未満となり、スキャンミラーの材料として適さなくなる。
本実施の形態1に係る炭化ホウ素−二ホウ化チタンセラミックスを用いたスキャンミラーの製造方法について簡単に説明する。まず、第1の工程として、平均粒径が1.0μm〜2.5μmで且つ重量比が10%にあたる粒径(D10)が0.3μm以上の炭化ホウ素粉末、平均粒径1μm以下の二酸化チタン粉末、及び平均粒径1μm以下の炭素粉末の混合粉末を加圧条件下で焼結し、炭化ホウ素80〜73mol%、二ホウ化チタン20〜27mol%からなる炭化ホウ素−二ホウ化チタンセラミックスを得る。
続いて第2の工程として、第1の工程で得られた炭化ホウ素−二ホウ化チタンセラミックスから、補強構造部を放電加工により成形する。補強構造部は、例えば図1に示すような、張り1と背骨部分2を有する肋骨構造である。この第2の工程に続いて、補強構造部の反対側の反射面となる面を必要な面粗さに光学研磨する第3の工程を行う。
本実施の形態1に係るスキャンミラーの製造方法によれば、第1の工程で得られる炭化ホウ素−二ホウ化チタンセラミックスの抵抗率は0.05Ω・cm以下であることから、補強構造部を放電加工により成形する第2の工程において、高抵抗率が原因の放電加工不良が発生せず、加工の歩留まりが向上し、軽量、高剛性で安価なスキャンミラーを製造することが可能である
以下、本発明の実施例について具体例を挙げて説明する。図2は、本発明の実施例1〜実施例9、及び比較例1〜比較例6における炭化ホウ素−二ホウ化チタンセラミックスの配合条件と焼結体物性を示している。配合条件として、炭化ホウ素粉末のD10(μm)、平均粒径(μm)、及び焼結後の炭化ホウ素−二ホウ化チタン組成比(mol%)を示し、焼結体物性として、抵抗率(Ω・cm)、放電加工時間(分)、密度(g/cm3)、ヤング率(GPa)、及び比剛性を示している。
図2において、放電加工時間は、図1に示すスキャンミラー裏面の張り1の形彫放電加工時間を示すものである。張り1の幅は0.5mm、高さは3.0mmであり、除去体積は2.15cm3である。なお、放電加工時間は短い方が望ましい。また、実施例1〜実施例9、及び比較例1〜比較例6ではいずれも、二酸化チタン粉末として平均粒径0.01〜1μmのものを用い、炭素粉末として平均粒径0.01〜1μmのものを用いている。また、焼結条件として、1850℃〜2050℃の温度で、20Mpa〜60MPaの圧力で加圧しながら焼成させている。
図2に示すように、実施例1〜実施例4、及び比較例1、比較例2はいずれも、炭化ホウ素粉末として、D10が0.3μm、平均粒径が1.6μmのものを用いている。ただし、焼結後の炭化ホウ素の組成比が、実施例1〜実施例4では80〜73mol%の範囲内であるのに対し、比較例1では82mol%、比較例2では70mol%である。
また、実施例5〜実施例7、及び比較例3、比較例4は、焼結後の炭化ホウ素の組成比はいずれも80mol%であるが、炭化ホウ素粉末のD10と平均粒径の条件を変えたものである。実施例5〜実施例7では、D10が0.3μm以上、平均粒径が1.0〜2.5μmの範囲内のものを用いている。比較例3ではD10が0.2μm、平均粒径が0.6μmのものを用い、比較例4ではD10が0.6μm、平均粒径が3.6μmのものを用いている。
図3は、炭化ホウ素粉末のD10と平均粒径は同じであり、焼結後の炭化ホウ素の組成比のみが異なる実施例1〜実施例4、及び比較例1、比較例2における炭化ホウ素−二ホウ化チタンセラミックスの抵抗率を測定した結果を示している。図3において、横軸は焼成後の炭化ホウ素量(mol%)、縦軸は抵抗率(Ω・cm)である。なお、図3中、点線は抵抗率0.05Ω・cmを示し、これ以下の抵抗率であれば形彫放電加工に適している。
図3に示すように、炭化ホウ素粉末のD10が0.3μm以上であり、焼結後の炭化ホウ素の組成比が70%である比較例2と、同組成比が73〜80mol%である実施例1〜実施例4においては、形彫放電加工に適した抵抗率である0.05Ω・cm以下となっている。一方、D10は同じであっても、同組成比が82%の比較例1では、抵抗率0.13Ω・cmとなっている。
また、図4は、実施例1〜実施例4、及び比較例1、比較例2における炭化ホウ素−二ホウ化チタンセラミックスの比剛性を測定した結果を示している。図4において、横軸は焼結後の炭化ホウ素量(mol%)、縦軸は比剛性である。なお、図4中、点線は比剛性150を示し、これ以上の比剛性であればスキャンミラーの材料として適している。
図4に示すように、炭化ホウ素粉末のD10が0.3μm以上であり、焼結後の炭化ホウ素の組成比が73〜80mol%である実施例1〜実施例4と、同組成比が82%の比較例1においては、スキャンミラーの材料として適した比剛性である150以上となっている。一方、D10は同じであっても、同組成比が70%の比較例2では、比剛性143となっている。
このように、炭化ホウ素粉末のD10が0.3μm、平均粒径が1.6μmであり、焼結後の炭化ホウ素の組成比が73〜80mol%の範囲である実施例1〜実施例4では、抵抗率0.05Ω・cm以下であるためアスペクト比の高い張り1の形彫放電加工が可能であり、スキャンミラーの材料として適した比剛性150以上を有する炭化ホウ素−二ホウ化チタンセラミックスが得られる。
一方、比較例1のように焼結後の炭化ホウ素の組成比が80mol%以上の場合、焼結体の抵抗率は0.05Ω・cm以上となり、形彫放電加工時に張り1に欠けが生じる。また、比較例2のように焼結後の炭化ホウ素の組成比が73mol%未満の場合、焼結体の比剛性が150以下となり、スキャンミラーの材料として適さなくなる。
また、図5は、焼結後の炭化ホウ素の組成比が同じであり、炭化ホウ素粉末のD10と平均粒径の条件を変えた実施例5〜実施例7、及び比較例3、比較例4における炭化ホウ素−二ホウ化チタンセラミックスの抵抗率を測定した結果を示している。図5において、横軸は炭化ホウ素粉末の平均粒径(μm)、縦軸は抵抗率(Ω・cm)である。なお、図5中、点線は抵抗率0.05Ω・cmを示し、これ以下の抵抗率であれば形彫放電加工に適している。
図5に示すように、炭化ホウ素粉末のD10が0.3μm以上であり、平均粒径が1.0μm〜2.5μmの範囲内である実施例5〜実施例7と、平均粒径3.6μmの比較例4においては、形彫放電加工に適した抵抗率である0.05Ω・cm以下となっている。一方、D10が0.2μm、平均粒径が0.6μmの比較例3では、抵抗率0.2Ω・cmとなっている。
また、図6は、実施例5〜実施例7、及び比較例3、比較例4における炭化ホウ素−二ホウ化チタンセラミックスの比剛性を測定した結果を示している。図6において、横軸は炭化ホウ素粉末の平均粒径(μm)、縦軸は比剛性である。なお、図6中、点線は比剛性150を示し、これ以上の比剛性であればスキャンミラーの材料として適している。
図6に示すように、炭化ホウ素粉末のD10が0.3μm以上であり、平均粒径が1.0μm〜2.5μmの範囲内である実施例5〜実施例7と、D10が0.2μm、平均粒径が0.6μmの比較例3においては、スキャンミラーの材料として適した比剛性である150以上となっている。一方、D10が0.6μm、平均粒径3.6μmの比較例4では、比剛性148となっている。
このように、炭化ホウ素粉末のD10が0.3μm以上、平均粒径が1.0μm〜2.5μmであり、焼結後の炭化ホウ素の組成比が80mol%である実施例5〜実施例7では、抵抗率0.05Ω・cm以下であるためアスペクト比の高い張り1の形彫放電加工が可能であり、スキャンミラーの材料として適した比剛性150以上を有する炭化ホウ素−二ホウ化チタンセラミックスが得られる。
一方、比較例3のように炭化ホウ素粉末の平均粒径が1.0μm未満の場合、焼結体の抵抗率は0.05Ω・cm以上となり、形彫放電加工時に張りに欠けが生じる。また、比較例4のように炭化ホウ素粉末の平均粒径が2.5μm以上の場合、焼結体の比剛性が150以下となるため、スキャンミラーの材料として適さなくなる。
また、比較例5及び比較例6は、炭化ホウ素粉末のD10が0.3μm未満の場合を示している。D10が0.3μm未満であると、平均粒径が1.0μm〜2.5μmの範囲内で、焼結後の炭化ホウ素の組成比が73〜80mol%の範囲内であっても、焼結体の抵抗率は0.05Ω・cm以上となり、形彫放電加工に適さなくなる。
さらに、実施例8及び実施例9は、炭化ホウ素粉末のD10が1.0μm、平均粒径が2.5μmであり、焼結後の炭化ホウ素の組成比がそれぞれ80mol%と73mol%の場合を示している。これらの実施例8及び実施例9においても、焼結体の抵抗率は0.05Ω・cm以下、比剛性150以上となり、スキャンミラーの材料として適した炭化ホウ素−二ホウ化チタンセラミックスが得られる。
このように、焼結後の炭化ホウ素の組成比が大きいほど、抵抗率が高くなる傾向にあり(図3)、80mol%を超えると抵抗率が0.05Ω・cm以上になり、形彫放電加工に適さなくなる(比較例1)。また、焼結後の炭化ホウ素の組成比が大きいほど、比剛性が高くなる傾向にあり(図4)、73%未満であると比剛性が150以下になりスキャンミラーの材料として適さなくなる(比較例2)。さらに、図2に示すように、焼結後の炭化ホウ素の組成比が小さい方が、放電加工の加工時間が短い傾向にある(実施例4、実施例9)。
また、炭化ホウ素粉末の平均粒径が小さいほど、抵抗率が高くなる傾向にあり(図5)、1μm以下であると抵抗率が0.05Ω・cm以上になり、形彫放電加工に適さなくなる(比較例3)。また、炭化ホウ素粉末の平均粒径が小さいほど、比剛性が高くなる傾向にあり(図6)、2.5μmを超えると比剛性が150以下になり、スキャンミラーの材料として適さなくなる(比較例4)。
ただし、比較例5及び比較例6のように、焼結後の炭化ホウ素の組成比が73〜80%の範囲にあり、炭化ホウ素粉末の平均粒径が1.0μm〜2.5μmの範囲にある場合でも、D10が0.3μm未満であると、焼結体の抵抗率は0.05Ω・cm以上となり、形彫放電加工に適さなくなる。
以上のことから、本発明に係る炭化ホウ素−二ホウ化チタンセラミックスは、炭化ホウ素80〜73mol%、二ホウ化チタン20〜27mol%からなり、原料である炭化ホウ素粉末は、平均粒径1.0μm〜2.5μmで且つ重量比が10%にあたる粒径(D10)が0.3μm以上のものである。また、二酸化チタン粉末及び炭素粉末は、平均粒径1μm未満のものである。
本発明によれば、形彫放電加工に適した抵抗率0.05Ω・cm以下であり、スキャンミラーの材料として必要な比剛性150以上の炭化ホウ素−二ホウ化チタンセラミックスが得られ、スキャンミラーの裏面のアスペクト比の高い張り1の形彫放電加工が可能であり、放電加工による加工時間が大幅に短縮される。
また、スキャンミラーの基体部の材料として本発明による炭化ホウ素−二ホウ化チタンセラミックスを用いることにより、高抵抗率が原因の放電加工不良が発生せず、加工の歩留まりが向上するため、高速化に対応可能な軽量、高剛性のスキャンミラーを安価で製造することができる。なお、本発明は、その発明の範囲内において、実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
本発明は、形彫放電加工に適した炭化ホウ素−二ホウ化チタンセラミックスに係るものであり、レーザ加工装置用反射ミラーの構成材として利用することができる。
1 張り、2 背骨部分。
Claims (5)
- 炭化ホウ素(B4C)粉末、二酸化チタン(TiO2)粉末、及び炭素(C)粉末の混合粉末を加圧条件下で焼結して得られる炭化ホウ素80〜73mol%、二ホウ化チタン20〜27mol%からなる炭化ホウ素−二ホウ化チタンセラミックスであって、
前記混合粉末に含まれる炭化ホウ素粉末は、平均粒径が1.0μm〜2.5μmで且つ重量比が10%にあたる粒径(D10)が0.3μm以上であることを特徴とする炭化ホウ素−二ホウ化チタンセラミックス。 - 前記混合粉末に含まれる二酸化チタン粉末及び炭素粉末は、平均粒径1μm以下であることを特徴とする請求項1記載の炭化ホウ素−二ホウ化チタンセラミックス。
- 表面に反射面を有する基体部と、この基体部の裏面に設けられ該基体部の歪みを防ぐ補強構造部とが一体に形成され、前記基体部及び前記補強構造部の構成材として、炭化ホウ素80〜73mol%、二ホウ化チタン20〜27mol%からなる炭化ホウ素−二ホウ化チタンセラミックスを用いたことを特徴とするレーザ加工装置用反射ミラー。
- 前記炭化ホウ素−二ホウ化チタンセラミックスは、抵抗率0.05Ω・cm以下であり、比剛性150以上であることを特徴とする請求項3記載のレーザ加工装置用反射ミラー。
- 表面に反射面を有する基体部と、この基体部の裏面に設けられ該基体部の歪みを防ぐ補強構造部とが一体に形成され、前記基体部及び前記補強構造部の構成材として、炭化ホウ素−二ホウ化チタンセラミックスを用いたレーザ加工装置用反射ミラーの製造方法であって、
平均粒径が1.0μm〜2.5μmで且つ重量比が10%にあたる粒径(D10)が0.3μm以上の炭化ホウ素(B4C)粉末、平均粒径1μm以下の二酸化チタン(TiO2)粉末、及び平均粒径1μm以下の炭素(C)粉末の混合粉末を加圧条件下で焼結し、炭化ホウ素80〜73mol%、二ホウ化チタン20〜27mol%からなる炭化ホウ素−二ホウ化チタンセラミックスを得る第1の工程、
前記第1の工程で得られた炭化ホウ素−二ホウ化チタンセラミックスから、前記補強構造部を放電加工により成形する第2の工程、
前記第2の工程に続いて、前記反射面となる面を必要な面粗さに光学研磨する第3の工程を含むことを特徴とするレーザ加工装置用反射ミラーの製造方法。
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