JP2013181291A - 建材及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】断熱材としての建材が、スチレン系樹脂及びグラファイトを含む発泡成形体であり、前記グラファイトが、前記スチレン系樹脂とグラファイトの合計量に対して、(1)前記発泡成形体全体で、3〜15重量%含まれ、(2)前記発泡成形体全体に含まれるグラファイトの量をX重量%とし、表層部分に含まれるグラファイトの量をY重量%とした場合、X≧1.1×Yの関係を満たすように含まれることを特徴とする建材により上記課題を解決する。
【選択図】なし
Description
かくして本発明によれば、断熱材としての建材が、
スチレン系樹脂及びグラファイトを含む発泡成形体であり、
前記グラファイトが、前記スチレン系樹脂とグラファイトの合計量に対して、
(1)前記発泡成形体全体で、3〜15重量%含まれ、
(2)前記発泡成形体全体に含まれるグラファイトの量をX重量%とし、表層部分に含まれるグラファイトの量をY重量%とした場合、X≧1.1×Yの関係を満たすように含まれる
ことを特徴とする建材が提供される。
グラファイトを含むスチレン系樹脂製の種粒子に、スチレン系単量体を吸収させ重合させることにより前記スチレン系樹脂粒子を得、前記スチレン系樹脂粒子に発泡剤を含浸させて発泡性粒子を得、前記発泡性粒子を発泡させることで予備発泡粒子を得、前記予備発泡粒子を型内発泡成形することにより建材を得ることを特徴とする建材の製造方法が提供される。
また、建材が、スチレン系樹脂粒子に発泡剤を含浸させて発泡性粒子を得、発泡性粒子を発泡させることで予備発泡粒子を得、予備発泡粒子を型内発泡成形することにより得られ、
スチレン系樹脂粒子が、スチレン系樹脂及びグラファイトを含み、
グラファイトが、スチレン系樹脂とグラファイトの合計量に対して、
(1)スチレン系樹脂粒子全体で、3〜15重量%含まれ、
(2)スチレン系樹脂粒子全体に含まれるグラファイトの量をX重量%とし、表層部分に含まれるグラファイトの量をY重量%とした場合、X≧1.1×Yの関係を満たすように含まれれば、より優れた発泡性、成形性及び低熱伝導性を有する建材を提供できる。
更に、グラファイトが、1〜100μmの平均粒子径を有する場合、より優れた発泡性、成形性及び低熱伝導性を有する建材を提供できる。
なお、建材として使用する観点から、残存スチレン量は1000ppm以下であることが好ましい。
(グラファイト)
グラファイトとは、複数の六角形の網目から構成される層状構造の積層体から実質的に占められており、六角形の網目の頂点が炭素からなる炭素材料を意味する。
グラファイトは、特に限定されず、公知の天然及び人造のグラファイトをいずれも使用できる。その中でも鱗片状、薄片状、土状の形状を有するものが好ましい。グラファイトの粒子径は、1〜100μmが好ましく、1〜80μmがより好ましい。グラファイトが1μmより小さいと、発泡成形体の熱伝導性が上昇することがある。一方、100μmより大きいと、発泡成形体の気泡膜が破れ易くなり、発泡成形体の高発泡倍率化を図ることができないことがある。特に、表層部分にグラファイトを少なく含ませる観点から、グラファイトの粒子径は、5〜70μmであることが好ましい。
スチレン系樹脂としては、特に限定されず、公知のスチレン又はスチレン誘導体に由来する樹脂をいずれも使用できる。スチレン誘導体としては、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、エチルスチレン、i−プロピルスチレン、ジメチルスチレン、ブロモスチレン等が挙げられる。これらスチレン系単量体は、単独で用いられても、併用されてもよい。
上記スチレン系単量体と共重合可能なビニル系単量体を併用してもよい。ビニル系単量体としては、例えば、o−ジビニルベンゼン、m−ジビニルベンゼン、p−ジビニルベンゼン等のジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート等の多官能性単量体;α−メチルスチレン、(メタ)アクリロニトリル、メチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これら他の単量体は、単独で用いられても、併用されてもよい。
上記他の単量体の内、多官能性単量体は発泡成形体の外観を向上できる。外観を向上させるための多官能性単量体としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(エチレングリコールの繰り返し数が4〜16)、ジビニルベンゼンが好ましく、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレートがより好ましい。
なお、発泡成形体を構成する各樹脂の含有量は、発泡成形体の製造に使用される各樹脂に対応する各単量体の使用量とほぼ一致している。
グラファイトは、スチレン系樹脂とグラファイトの合計量に対して、
(1)発泡成形体全体で、3〜15重量%含まれ、
(2)発泡成形体全体に含まれるグラファイトの量をX重量%とし、表層部分に含まれるグラファイトの量をY重量%とした場合、X≧1.1Yの関係を満たすように含まれている。
発泡成形体全体に含まれるグラファイト量が3重量部より少ない場合、発泡成形体の低熱伝導性が劣ることがある。また、15重量%より多い場合、発泡性が低下することがある。好ましいグラファイト量は3〜12重量%であり、より好ましいグラファイト量は5〜10重量%である。
発泡成形体には、物性を損なわない範囲内において、難燃剤、難燃助剤、可塑剤、帯電防止剤、充填剤、着色剤等の添加剤が含まれていてもよい。
難燃剤としては、テトラブロモシクロオクタン、ヘキサブロモシクロドデカン、トリスジブロモプロピルホスフェート、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)等が挙げられる。
可塑剤としては、フタル酸エステル、グリセリンジアセトモノラウレート、グリセリントリステアレート、ジアセチル化グリセリンモノステアレート等のグリセリン脂肪酸エステル、ジイソブチルアジペートのようなアジピン酸エステル等が挙げられる。
帯電防止剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ステアリン酸モノグリセリド、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
発泡成形体は、例えば、
(1)グラファイトを含むスチレン系樹脂製の種粒子に、スチレン系単量体を吸収させ重合させることにより前記スチレン系樹脂粒子を得(スチレン系樹脂粒子製造工程)、
(2)スチレン系樹脂粒子に発泡剤を含浸させて発泡性粒子を得(発泡性粒子製造工程)、
(3)発泡性粒子を発泡させることで予備発泡粒子を得(予備発泡粒子製造工程)、
(4)予備発泡粒子を型内発泡成形すること(成形工程)
により得ることができる。
(a)スチレン系樹脂粒子
スチレン系樹脂粒子は、グラファイトが偏在した発泡成形体が得られる限り、どのような方法で得られた粒子も使用できる。特に、グラファイトを含む種粒子にスチレン系単量体を吸収させ重合させる、所謂シード重合法により得られた粒子が好適である。この方法により得られたスチレン系樹脂粒子は、グラファイトが、スチレン系樹脂とグラファイトの合計量に対して、
(1)スチレン系樹脂粒子全体で、3〜15重量%含まれ、
(2)スチレン系樹脂粒子全体に含まれるグラファイトの量をX重量%とし、表層部分に含まれるグラファイトの量をY重量%とした場合、X≧1.1Yの関係を満たすように含まれている。
なお、表層部分のグラファイト量を粒子自体から測定することは困難であるため、本明細書では、粒子から得た発泡成形体の表層部分から測定されたグラファイト量で代えている。これは、発泡成形体の表層部分が粒子の表層部分の連続体からなっていることを利用している。グラファイト量の測定法は、実施例の欄で説明しているが、この測定法によれば、粒子の表面から半径の約30%の領域に対応するグラファイト量が測定されていると考える。
スチレン系樹脂粒子全体に含まれるグラファイト量が3重量部より少ない場合、この粒子から得られる発泡成形体の低熱伝導性に劣ることがある。また、15重量%より多い場合、発泡性が低下することがある。好ましいグラファイト量は3〜12重量%であり、より好ましいグラファイト量は5〜10重量%である。
なお、中心部分のグラファイト量をスチレン系樹脂粒子自体から測定することは困難であるため、本明細書では、予備発泡粒子の中心部分から測定されたグラファイト量で代えている。これは、予備発泡粒子の中心部分がスチレン系樹脂粒子の中心部分に実質的に対応していることを利用している。グラファイト量の測定法は、実施例の欄で説明している。
スチレン系樹脂粒子には、物性を損なわない範囲内において、難燃剤、難燃助剤、可塑剤、滑剤、結合防止剤、融着促進剤、帯電防止剤、展着剤、気泡調整剤、架橋剤、充填剤、着色剤等の添加剤が含まれていてもよい。難燃剤、難燃助剤、可塑剤、帯電防止剤、充填剤、着色剤は、発泡成形体と同様のものが使用できる。
結合防止剤としては、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、ステアリン酸亜鉛、水酸化アルミニウム、エチレンビスステアリン酸アミド、第三リン酸カルシウム、ジメチルシリコン等が挙げられる。
融着促進剤としては、例えばステアリン酸、ステアリン酸トリグリセリド、ヒドロキシステアリン酸トリグリセリド、ステアリン酸ソルビタンエステル、ポリエチレンワックス等が挙げられる。
展着剤としては、ポリブテン、ポリエチレングリコール、シリコンオイル等が挙げられる。
気泡調整剤としては、メタクリル酸エステル系共重合ポリマー、エチレンビスステアリン酸アミド、ポリエチレンワックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。
スチレン系樹脂粒子の製造方法は、グラファイトを粒子中心部分に偏在できさえすれば、特に限定されない。例えば、水性懸濁液中で、グラファイトを含むスチレン系樹脂製の種粒子に、単量体混合物を吸収させる工程と、吸収させた後又は吸収させつつ単量体混合物の重合を行う工程とを含む、いわゆるシード重合法により製造することが簡便である。単量体混合物とは、スチレン系単量体及び任意に他の単量体からなる混合物である。
なお、種粒子にスチレン系樹脂製の粒子を使用する場合、スチレン系樹脂成分の含有量には、種粒子の量も含まれる。
種粒子製造用のスチレン系単量体としては、特に限定されず、公知のスチレン又はスチレン誘導体をいずれも使用できる。スチレン誘導体としては、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、エチルスチレン、i−プロピルスチレン、ジメチルスチレン、ブロモスチレン等が挙げられる。これらスチレン系単量体は、単独で用いられても、併用されてもよい。
他の単量体を使用する場合、他の単量体の使用量は、スチレン系単量体が、他の単量体との合計量に対して、主成分となる量(例えば、50重量%以上)であることが好ましい。
また、種粒子は一部又は全部にスチレン系樹脂回収品を用いることができる。
種粒子の平均粒子径は、作製するスチレン系樹脂粒子の平均粒子径等に応じて適宜調整できる。例えば、種粒子の平均粒子径は、スチレン系樹脂粒子の平均粒子径の40〜70%とすることができる。具体的には、平均粒子径が1.0mmのスチレン系樹脂粒子を作製する場合には、平均粒子径が0.4〜0.7mm程度の種粒子を用いることが好ましい。
種粒子の重量平均分子量は、特に限定されないが、15万〜70万が好ましく、更に好ましくは20万〜50万である。
種粒子は、懸濁重合法やカットする方法で得られた粒子に、水性媒体中で、スチレン系単量体を含浸・重合させることにより得られる粒子であってもよい。水性媒体としては、水、水と水溶性溶媒(例えば、低級アルコール)との混合媒体が挙げられる。
スチレン系単量体としては、スチレン、又はスチレン誘導体が挙げられる。スチレン誘導体としては、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、エチルスチレン、i−プロピルスチレン、ジメチルスチレン、ブロモスチレン等が挙げられる。これらの中でもスチレンが好ましい。
スチレン系単量体の重合は、例えば、60〜150℃で、2〜20時間加熱することにより行うことができる。
水性媒体中で、種粒子に単量体混合物を吸収させる。また、単量体混合物の重合は、単量体混合物を吸収させつつ行うことが好ましい。重合によりスチレン系樹脂粒子が得られる。単量体混合物を吸収させつつ重合を行う際には段階的に温度を昇温させながら行うのが好ましく、重合開始温度が重合開始剤の10時間半減期温度から±5℃の範囲にあり、単量体の添加終了温度が重合開始剤の10時間半減期温度から25℃以上高いことが望ましい。
水性媒体としては、水、水と水溶性溶媒(例えば、低級アルコール)との混合媒体が挙げられる。また、重合開始剤、懸濁安定剤及び界面活性剤を、上記項目(ア)と同様、使用してもよい。
用いられるスチレン系単量体の量は種粒子100重量部に対して、80〜900重量部の範囲とできる。80重量部未満の場合はグラファイトを粒子中心部に偏在させることが難しく、900重量部を超えると発泡性が低下することがある。
発泡性粒子は、上記スチレン系樹脂粒子に発泡剤を含浸させて得られる。
発泡剤は、従来からスチレン系樹脂粒子の発泡に用いられているものであれば、特に限定されない。例えば、プロパン、イソブタン、n−ブタン、イソペンタン、ネオペンタン、n−ペンタン等の炭素数5以下の脂肪族炭化水素等の揮発性発泡剤(物理型発泡剤)が挙げられる。この内、イソブタン、n−ブタン等のブタン系発泡剤が好ましい。
発泡剤の発泡性粒子中における含有量は、少ないと、所望の密度の発泡成形体を得られないことがあると共に、型内発泡成形時の二次発泡力を高める効果が小さくなるため、発泡成形体の外観性が低下することがある。また、多いと、発泡成形体の製造工程における冷却工程に要する時間が長くなるため、生産性が低下することがある。これらの観点から、含有量は2.5〜8.0重量%の範囲が好ましく、2.7〜7.0重量%の範囲がより好ましい。
なお、発泡性粒子中における発泡剤の含有量は、発泡性粒子を150℃の熱分解炉に入れ、この熱分解炉で発生した炭化水素量をクロマトグラフにて測定することで入手できる。
含浸は、それ自体公知の方法により行うことができる。例えば、重合中での含浸は、重合反応を密閉容器中で行い、容器中に発泡剤を圧入することにより行うことができる。重合終了後の含浸は、密閉容器中で、発泡剤を圧入することにより行うことができる。
公知の発泡助剤を発泡剤と併用してもよい。
スチレン系樹脂粒子に発泡剤及び任意に発泡助剤を含浸させる際の温度は、低いと、スチレン系樹脂粒子に発泡剤及び発泡助剤を含浸させるのに要する時間が長くなって生産効率が低下することがあり、又、高いと、スチレン系樹脂粒子同士が融着して結合粒が発生することがある。よって、60〜120℃が好ましく、70〜100℃がより好ましい。
また、ジンクステアレートやヒドロキシステアリン酸トリグリセリドのような粉末状金属石鹸類を発泡性粒子の表面に塗布しておいてもよい。塗布することで、発泡性粒子の発泡工程において、予備発泡粒子同士の結合を減少できる。
予備発泡粒子は、スチレン系樹脂粒子と同様、上記グラファイトの分散形態が維持されている。
予備発泡粒子の形状は、球状又は略球状であることが好ましい。また、平均粒子径は、0.8〜4.0mmであることが好ましい。更に、予備発泡粒子の嵩倍数は、20〜60倍であることが好ましい。
上記発泡性粒子は、公知の方法で発泡させることで予備発泡粒子とすることができる。発泡用の加熱媒体は水蒸気が好適に使用できる。
発泡成形体は、例えば、予備発泡粒子を多数の小孔を有する閉鎖金型内に充填し、再び水蒸気等で加熱発泡させ、予備発泡粒子間の空隙を埋めると共に、予備発泡粒子を相互に融着させることにより一体化させることで、製造できる。その際、発泡成形体の倍数は、例えば、金型内への予備発泡粒子の充填量を調整する等して調製できる。
以下の実施例及び比較例における各種測定値は、次の測定方法により測定する。
試料約50gをロータップ型篩振とう機(飯田製作所社製)を用いて、篩目開き3.35mm、2.80mm、2.36mm、2.00mm、1.70mm、1.40mm、1.18mm、1.00mm、0.85mm、0.71mm、0.60mm、0.50mm、0.425mm、0.355mm、0.300mm、0.250mm、0.212mm、0.180mmのJIS標準篩で5分間分級する。篩網上の試料重量を測定し、その結果から得られた累積重量分布曲線を元にして累積重量が50%となる粒子径(メディアン径)を平均粒子径として求める。
スチレン系樹脂粒子及び発泡成形体約0.1gを遠沈管に精秤し、トルエン5mLを加え室温で30分程度攪拌し、溶解させる。溶解の後に回転速度10000rpmで30分間遠心分離し、上澄みを除去後トルエンを5mL加え再度室温で30分攪拌する。更に回転速度10000rpmで30分間遠心分離し、上澄みを除去後アセトンで遠沈管を洗浄しながら20mlビーカーに移し乾固させてグラファイトを得る。
乾固させたグラファイトを走査型電子顕微鏡S−3000N(日立製作所社製)にて100〜300倍に拡大撮影する。撮影画像の中のグラファイト粒子に関して、外端同士を結んだ長さが最大になるように測定した長さをグラファイト粒子の直径とし、無作為に選んだ10粒のグラファイト粒子に対して同様の操作を繰り返す。得られた直径の平均値をグラファイトの粒子径とする。
(1)表層部分のグラファイト量
スチレン系樹脂粒子から得られた発泡成形体の表層部分をスライサー(富士島工機社製FK−4N)にて厚さ0.3mm、長さ200mm、幅200mmにスライスし、これをスチレン系樹脂粒子の表層部分として扱う。スライスされた表層部分のグラファイト濃度の測定を実施する。スライスされた表層部分より15mgを精秤し、示差熱・熱量同時測定装置TG/DTA6200型(SIIナノテクノロジー社製)にて加熱速度10℃/分で30℃から900℃まで加熱し、520℃から900℃昇温時の減少重量をグラファイト重量とする。なお加熱時のガス流量は窒素350ml/分(30℃〜520℃)、エアー150ml/分(520℃〜900℃)で実施する。
(2)スチレン系樹脂粒子及び発泡成形体全体のグラファイト量
スチレン系樹脂粒子、又は発泡成形体中の融着粒子をできるだけ粒子全体を含む形で切り出した試験片を15mg精秤し、上記と同様の測定を実施する。
(3)スチレン系樹脂粒子中心部分のグラファイト量
スチレン系樹脂粒子から得られた予備発泡粒子を顕微鏡下にてナイフで直径に対して3等分する。中心部分を含むスライス薄片の断面部分を更に直径に対して3等分する。これを繰り返して1辺が半径の33%の立方体を切り出す。切り出した切片を15mg精秤し、上記と同様の測定を実施する。
予備発泡粒子の嵩倍数は、JIS K6911:1995年「熱硬化性プラスチック一般試験方法」に準拠して測定する。具体的は、まず、予備発泡粒子を測定試料としてWg採取し、この測定試料をメスシリンダー内に自然落下させる。メスシリンダー内に落下させた測定試料の体積Vcm3をJIS K6911に準拠した見掛け密度測定器を用いて測定する。Wg及びVcm3を下記式に代入することで、予備発泡粒子の嵩密度を算出する。
予備発泡粒子の嵩密度(g/cm3)=測定試料の重量(W)/測定試料の体積(V)
嵩倍数は嵩密度の逆数である。
発泡成形体(成形後、40℃で20時間以上乾燥させたもの)から切り出した試験片(例75×300×35mm)の重量(a)と体積(b)をそれぞれ有効数字3桁以上になるように測定し、式(a)/(b)により発泡成形体の密度(kg/m3)を求める。
倍数は密度の逆数である。
成形後、300mm×400mm×30mmの板状発泡成形体を24時間乾燥させた後、長さ方向の中央部で半分に破断する。その破断面における予備発泡粒子について、100〜150個の任意の範囲について粒子内で破断している粒子の数(a)と粒子どうしの界面で破断している粒子の数(b)とを数え、式[(a)/((a)十(b))]×100に代入して得られた値を融着率(%)とする。
評価基準は、融着率80%以上を良好(○)とし、80%未満を不良(×)として評価する。
発泡成形体から縦200mm×横200mm×厚さ25mmの直方体形状の試験片を切り出す。そして、この試験片の熱伝導率をJIS A1412に準拠して平板熱流計法にて測定温度23℃で測定する。
発泡成形体から縦200mm×横25mm×高さ10mmの直方体形状の試験片5個をバーチカルカッターにて切り出して試験片を得る。試験片を60℃オーブンで1日間養生後、JIS A9511−2006の測定方法Aに準じて難燃性の測定を行う。5個の試験片の平均値を消炎時間とし、下記基準に基づいて総合的に評価し、その結果を自消性とする。なお、前記JIS規格では消炎時間が3秒以内である必要があり、2秒以内であれば好ましく、1秒以内であればより好ましい。
不良(×)・・・消炎時間が3秒を超えているか、又は、試験片の1個でも残じんがあるか若しくは燃焼限界指示線を超えて燃焼する。
良好(○)・・・消炎時間が3秒以内であり、5個のサンプル全てにおいて、残じんがなく燃焼限界指示線を超えて燃焼しない。
極めて良好(◎)・・・消炎時間が1秒以内であり、5個のサンプル全てにおいて、残じんがなく燃焼限界指示線を超えて燃焼しない。
(残存スチレン単量体の測定)
得られた成形体を切り出した切片1gを精秤し、この1gの発泡成形体に、0.1体積%のシクロペンタノールを含有するジメチルホルムアミド溶液1ミリリットルを内部標準液として加えた後、更に、ジメチルホルムアミドを加えて25ミリリットルの測定溶液を作製する。そして、この測定溶液1.8マイクロリットルをガスクロマトグラフ(島津製作所製 商品名「GC−14A」)に供給して下記測定条件にて測定し、測定溶液中の化合物のチャートを得る。そして、予め測定しておいたスチレン単量体の検量線に基づいて、測定溶液中のスチレン単量体の量を算出することにより、発泡成形体の全重量に対する残存スチレン単量体(ppm)を算出する。
カラム:ジーエルサイエンス社製(内径3mm×2.5m)
液相(PEG−20M PT 25%)
担体(Chromosorb W AW−DWCS)
メッシュ:60/80
カラム温度:100℃
DET温度:230℃
検出器温度:230℃
キャリアーガス:窒素
キャリアーガス流量:40ミリリットル/分
(種粒子の製造)
重量平均分子量が18万であるスチレン系樹脂8000gと、平均粒子径が5μmの鱗片状グラファイト(日本黒鉛社製:J−CPB)2000gを二軸押出機に供給して230℃にて溶融混練して押出機からストランド状に押出し、このストランドを所定長さ毎に切断して、円柱状スチレン系樹脂製の種粒子(直径:0.8mm、長さ:0.8mm)を作製した。
次に、内容量5リットルの攪拌機付き重合容器内に、水2000g、種粒子500g、懸濁安定剤としてピロリン酸マグネシウム6.0g及びアニオン界面活性剤としてドデシルベンゼンスルフォン酸カルシウム0.3gを供給して攪拌しながら75℃に昇温した。
次に、重合開始剤として10時間半減期温度が72℃のt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート13.5g及び過酸化ジクミル1.5g、アルファメチルスチレンダイマー3.0gをスチレン単量体210gに溶解させたものを前記5リットルの重合容器に供給してから、75℃で30分保持した。
60分経過後に反応液を110℃まで150分で昇温しつつ、かつスチレン単量体1290gを150分で重合容器内にポンプで一定量づつ供給した上で、130℃に昇温して2時間経過後に冷却し、グラファイトを含有したスチレン系樹脂粒子を得た。
続いて、別の内容量5リットルの攪拌機付き重合容器に、水2200g、スチレン系樹脂粒子1800g、懸濁安定剤としてピロリン酸マグネシウム6.0g及びドデシルベンゼンスルフォン酸カルシウム0.4gを供給して攪拌しながら70℃に昇温した。次に、発泡助剤としてアジピン酸ジイソブチル18.0g、難燃剤としてテトラブロモシクロオクタン19.8g、難燃助剤としてジクミルパーオキサイド5.4gを重合容器内に入れて密閉し90℃に昇温した。次に、発泡剤としてn−ブタン162gをスチレン系樹脂粒子が入った重合容器内に圧入して8時間保持した後、30℃以下まで冷却した上で重合容器内から取り出し乾燥させた上で13℃の恒温室内に5日間放置して発泡性粒子を得た。
続いて、発泡性粒子の表面に表面処理剤としてジンクステアレート及びヒドロキシステアリン酸トリグリセリドを被覆処理した上で、予備発泡装置にて嵩密度0.02g/cm3に予備発泡した後に20℃で24時間熟成して予備発泡粒子を得た。
(発泡成形体の製造)
そして、内寸300mm×400mm×30mmの直方体形状のキャビティを有する成形型を備えた発泡ビーズ自動成形機(積水工機製作所社製 商品名「エース3型」)のキャビティ内に予備発泡粒子を充填し、ゲージ圧0.07Mpaの水蒸気で15秒間加熱成形を行った。次に、前記成形型のキャビティ内の発泡体を5秒間水冷した後、減圧下にて放冷(冷却工程)して発泡成形体(密度0.02g/cm3)を得た。
得られた発泡成形体は収縮もなく、熱融着性の良好なものであった。
グラファイトを平均粒子径が70μmの鱗片状グラファイト(日本黒鉛製:F#3)に変更したこと以外は実施例1と同様にして発泡成形体を得た。
[実施例3]
グラファイトを平均粒子径が5.5μmの土状グラファイト(日本黒鉛製:青P)に変更したこと以外は実施例1と同様にして発泡成形体を得た。
(種粒子の製造)
重量平均分子量が18万であるスチレン系樹脂8760gと、平均粒子径が5μmの鱗片状グラファイト(日本黒鉛社製:J−CPB)1330gを二軸押出機に供給して230℃にて溶融混練して押出機からストランド状に押出し、このストランドを所定長さ毎に切断して、円柱状スチレン系樹脂製の種粒子(直径:0.8mm、長さ:0.8mm)を作製した。
次に、内容量5リットルの攪拌機付き重合容器内に、水2000g、前記スチレン系樹脂種粒子750g、懸濁安定剤としてピロリン酸マグネシウム6.0g及びアニオン界面活性剤としてドデシルベンゼンスルフォン酸カルシウム0.3gを供給して攪拌しながら75℃に昇温した。
次に、重合開始剤として10時間半減期温度が72℃のt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート11.25g及び過酸化ジクミル1.5g、アルファメチルスチレンダイマー2.5gをスチレン単量体210gに溶解させたものを前記5リットルの重合容器に供給してから、75℃で30分保持した。
60分経過後に反応液を110℃まで150分で昇温しつつ、かつスチレン単量体1040gを150分で重合容器内にポンプで一定量づつ供給した上で、120℃に昇温して2時間経過後に冷却し、グラファイトを含有したスチレン系樹脂粒子を得た。
(発泡剤含浸、予備発泡、発泡成形体の製造)
以降の工程は実施例1と同様にして発泡成形体を得た。
重合工程に用いたスチレン単量体量を種粒子100重量部に対して250重量部としたこと以外は実施例1と同様にして発泡成形体を得た。
(種粒子の製造)
内容量10リットルの攪拌機付き重合容器に、水4000g、懸濁安定剤として第三リン酸カルシウム10g及びアニオン界面活性剤としてドデシルベンゼンスルフォン酸カルシウム0.20gを供給し攪拌しながらスチレンモノマー3600g、平均粒子径が5μmの鱗片状グラファイト(日本黒鉛社製:J−CPB)400g並びに重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート18.0g及びt−ブチルパーオキシベンゾエート2.8gを添加し、連鎖移動剤としてアルファメチルスチレンダイマー7.2gを添加した上で90℃に昇温して重合した。そして、この温度で6時間保持し、更に、125℃に昇温してから2時間後に冷却してスチレン系樹脂粒子(a)を得た。
前記スチレン系樹脂粒子(a)を篩分けし、種粒子として粒子径0.5〜0.71mmのスチレン系樹脂粒子(b)を得た。
次に、内容量5リットルの攪拌機付き重合容器内に、水2000g、前記スチレン系樹脂種粒子1000g、懸濁安定剤としてピロリン酸マグネシウム6.0g及びアニオン界面活性剤としてドデシルベンゼンスルフォン酸カルシウム0.3gを供給して攪拌しながら75℃に昇温した。
次に、重合開始剤として10時間半減期温度が72℃のt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート10.0g及び過酸化ジクミル1.5g、アルファメチルスチレンダイマー1.5gをスチレン単量体200gに溶解させたものを前記5リットルの重合容器に供給してから、75℃で30分保持した。
60分経過後に反応液を110℃まで150分で昇温しつつ、かつスチレン単量体800gを90分で重合容器内にポンプで一定量づつ供給した上で、125℃に昇温して2時間経過後に冷却し、グラファイトを含有したスチレン系樹脂粒子を得た。
(発泡剤含浸、予備発泡、発泡成形体の製造)
以降の工程は実施例1と同様にして発泡成形体を得た。
重量平均分子量が18万であるスチレン系樹脂9600gと、平均粒子径が5μmの鱗片状グラファイト(日本黒鉛社製:J−CPB)400gを二軸押出機に供給して230℃にて溶融混練して押出機からストランド状に押出し、このストランドを所定長さ毎に切断して、円柱状スチレン系樹脂製の種粒子(直径:0.8mm、長さ:0.8mm)を作製したこと以外は実施例1と同様にして発泡成形体を得た。
内容量10リットルの攪拌機付き重合容器に、水4000g、懸濁安定剤として第三リン酸カルシウム10g及びアニオン界面活性剤としてドデシルベンゼンスルフォン酸カルシウム0.20gを供給し攪拌しながらスチレンモノマー3800g、平均粒子径が5μmの鱗片状グラファイト(日本黒鉛社製:J−CPB)200g並びに重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート19.0g及びt−ブチルパーオキシベンゾエート2.8gを添加し、連鎖移動剤としてアルファメチルスチレンダイマー7.2gを添加した上で90℃に昇温して重合した。そして、この温度で6時間保持し、更に、125℃に昇温してから2時間後に冷却してスチレン系樹脂粒子(a)を得た。
前記スチレン系樹脂粒子(a)を篩分けし、種粒子として粒子径0.8〜1.4mmのスチレン系樹脂粒子(b)を得た。
(発泡剤含浸、予備発泡、発泡成形体の製造)
以降の工程は実施例1と同様にして発泡成形体を得た。
実施例及び比較例の結果を表1にまとめて示す。
Claims (5)
- 断熱材としての建材が、
スチレン系樹脂及びグラファイトを含む発泡成形体であり、
前記グラファイトが、前記スチレン系樹脂とグラファイトの合計量に対して、
(1)前記発泡成形体全体で、3〜15重量%含まれ、
(2)前記発泡成形体全体に含まれるグラファイトの量をX重量%とし、表層部分に含まれるグラファイトの量をY重量%とした場合、X≧1.1×Yの関係を満たすように含まれる
ことを特徴とする建材。 - 建材が、スチレン系樹脂粒子に発泡剤を含浸させて発泡性粒子を得、前記発泡性粒子を発泡させることで予備発泡粒子を得、前記予備発泡粒子を型内発泡成形することにより得られ、
前記スチレン系樹脂粒子が、スチレン系樹脂及びグラファイトを含み、
前記グラファイトが、前記スチレン系樹脂とグラファイトの合計量に対して、
(1)前記スチレン系樹脂粒子全体で、3〜15重量%含まれ、
(2)前記スチレン系樹脂粒子全体に含まれるグラファイトの量をX重量%とし、表層部分に含まれるグラファイトの量をY重量%とした場合、X≧1.1×Yの関係を満たすように含まれる
請求項1に記載の建材。 - 前記グラファイトが、前記スチレン系樹脂とグラファイトの合計量に対して、前記スチレン系樹脂粒子の中心部分に含まれるグラファイトの量をZ重量%とした場合、Z≧1.1×Yの関係を満たすように含まれる請求項2に記載の建材。
- 前記グラファイトが、1〜100μmの平均粒子径を有する請求項1〜3のいずれか1つに記載の建材。
- 請求項1〜4のいずれか1つに記載の建材の製造方法であり、
グラファイトを含むスチレン系樹脂製の種粒子に、スチレン系単量体を吸収させ重合させることにより前記スチレン系樹脂粒子を得、前記スチレン系樹脂粒子に発泡剤を含浸させて発泡性粒子を得、前記発泡性粒子を発泡させることで予備発泡粒子を得、前記予備発泡粒子を型内発泡成形することにより建材を得ることを特徴とする建材の製造方法。
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