JP2013176312A - 可塑性油脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】トランス脂肪酸を実質的に含有しない油脂と、特定の脂肪酸組成を有するポリグリセリン脂肪酸エステルとを用いた可塑性油脂組成物、およびこの可塑性油脂組成物を用いてなる食品を提供する。
【解決手段】構成油脂中にトランス脂肪酸を含んだ部分硬化油を含有しない油相を用い、さらに油相中に20℃で液状である油脂を30重量%以上含有し、かつ、ポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する可塑性油脂組成物であり、前記エステルの構成脂肪酸が、(A)炭素数20以上の飽和脂肪酸から選択される一種以上と、(B)炭素数16〜18の飽和脂肪酸から選択される一種以上と、(C)炭素数8〜14の飽和脂肪酸および炭素数16〜22の不飽和脂肪酸から選択される一種以上とを有し、前記構成脂肪酸のモル比率およびエステル化率が特定の範囲となるポリグリセリン脂肪酸エステルを添加した可塑性油脂組成物、およびこの可塑性油脂組成物を用いてなる食品。
【選択図】なし

Description

本発明は、トランス脂肪酸を実質的に含有しない可塑性油脂組成物に関するものである。
マーガリンおよびショートニングでは、広い温度範囲における良好な可塑性、また、これに由来する好ましい硬さやクリーミング性を得るために、固体脂と液状油を適度にバランスよく調合した油脂が使用され、固体脂には、硬化油が多用される。硬化油は天然の動植物油脂に水素添加することで得られ、一般に、完全水素添加を行った硬化油を極度硬化油、部分的に水素添加を行った硬化油を部分硬化油と呼ぶ。これらは、融点を調整するために水素添加の度合いを制御して製造されるが、部分硬化油を製造する際、トランス脂肪酸が生成する。一方、天然由来の油脂にはトランス脂肪酸はほとんど含有されず、一部の動物由来の油脂に10重量%未満含まれているにすぎない。これらは、血液中のLDLコレステロールや中性脂肪の増加を促し、心筋梗塞や動脈硬化などの生活習慣病を引き起こすことが示唆されている。そのため、トランス脂肪酸を含まない、または低減したマーガリンおよびショートニングが求められている。
このことから、トランス脂肪酸を含有する部分硬化油の代替として、天然由来固体脂であるパーム油の利用が提案されている(特許文献1)。しかし、パーム油は、トランス脂肪酸を含有しないが飽和脂肪酸を多く含有しており、飽和脂肪酸を過剰に摂取するとトランス脂肪酸同様、生活習慣病のリスクを高めると言われている。このような問題から、マーガリンやショートニングに用いる油脂として、液状油をより多く利用できることが望まれている。しかし、液状油はマーガリンやショートニングとして良好な可塑性を付与する効果が低いため、多く配合することで経時的に固体脂成分が沈殿したり、液状油が分離したりするなどの固液分離が生じる。この場合、マーガリンやショートニングに必要な好ましい硬さやクリーミング性が失われる。この問題に対して、油脂固化剤を添加することで、好ましい可塑性を付与した液状油を多く含有するマーガリンおよびショートニングが提案されている(特許文献2、3)。しかし、この方法では、液状油を多く含有する油脂に対して可塑性を付与するために、油脂固化剤の添加量が多くなり、実用性に欠ける問題がある。
特許第3596134号公報 特許第3897437号公報 特許第3897438号公報
本発明は、上記事情に鑑み、トランス脂肪酸を実質的に含有しない油脂を用いて、硬さやクリーミング性を有するマーガリンやショートニングなどの可塑性油脂組成物を提供すること、およびこの可塑性油脂組成物を用いてなる食品を提供することを課題とする。
本発明は、構成油脂中にトランス脂肪酸を含んだ部分硬化油を含有しない油相を用い、かつ、ポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する可塑性油脂組成物であり、前記エステルの構成脂肪酸が、(A)炭素数20以上の飽和脂肪酸から選択される一種以上と、(B)炭素数16〜18の飽和脂肪酸から選択される一種以上と、(C)炭素数8〜14の飽和脂肪酸および炭素数16〜22の不飽和脂肪酸から選択される一種以上とを有し、前記構成脂肪酸A、BおよびCの総モル量に対して、前記構成脂肪酸Aのモル比率が0.5〜0.9、エステル化率が40%以上であるポリグリセリン脂肪酸エステルを添加した可塑性油脂組成物、およびこの可塑性油脂組成物を用いてなる食品である。
本発明によれば、トランス脂肪酸を実質的に含有せず、液状油を多く含有することができるので飽和脂肪酸の含有量を低減することができ、さらに、固液分離を生じず、好ましい硬さやクリーミング性を維持することができるマーガリンやショートニングなどの可塑性油脂組成物が提供される。また、この可塑性油脂組成物を用いてなる食品が提供される。
本発明を実施形態に基づき以下に説明する。本実施形態のポリグリセリン脂肪酸エステルは、所定の脂肪酸を構成脂肪酸とし、その構成脂肪酸のモル比率が限定されたものとなっている。ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸は、炭素数20以上の飽和脂肪酸から選択される一種以上と、炭素数16〜18の飽和脂肪酸から選択される一種以上と、炭素数8〜14の飽和脂肪酸および炭素数16〜22の不飽和脂肪酸から選択される一種以上とを有している。
炭素数20以上の飽和脂肪酸、炭素数16〜18の飽和脂肪酸、炭素数8〜14の飽和脂肪酸、および炭素数16〜22の不飽和脂肪酸は、この炭素数および飽和または不飽和の条件に当てはまるものであれば、特に限定されるものではないが、主として直鎖脂肪酸が選択される。炭素数20以上の飽和脂肪酸には、アラキン酸、ベヘン酸などが、炭素数16〜18の飽和脂肪酸には、パルミチン酸、ステアリン酸が、炭素数8〜14の飽和脂肪酸には、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸が、炭素数16〜22の不飽和脂肪酸には、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エルカ酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸などが例示される。
ポリグリセリン脂肪酸エステルの構成脂肪酸中における各脂肪酸のモル比率は、(A)炭素数20以上の飽和脂肪酸から選択される一種以上、(B)炭素数16〜18の飽和脂肪酸から選択される一種以上、(C)炭素数8〜14の飽和脂肪酸および炭素数16〜22の不飽和脂肪酸から選択される一種以上であり、(A)、(B)および(C)の総モル量に対して、(A)のモル比率が0.5〜0.9となる必要がある。特に、(A)のモル比率が0.5〜0.9、(B)のモル比率が0.05〜0.45、(C)のモル比率が0.05〜0.35であることがより好適である。
ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成するポリグリセリンは、その平均重合度が限定されるものではないが、2〜20であると良い。ここで、平均重合度は、末端基分析法による水酸基価から算出されるポリグリセリンの平均重合度(n)である。詳しくは、次式(式1)および(式2)から平均重合度が算出される。
(式1)分子量=74n+18
(式2)水酸基価=56110(n+2)/分子量
上記(式2)中の水酸基価とは、ポリグリセリンに含まれる水酸基数の大小の指標となる数値であり、1gのポリグリセリンに含まれる遊離ヒドロキシル基をアセチル化するために必要な酢酸を中和するのに要する水酸化カリウムのミリグラム数をいう。水酸化カリウムのミリグラム数は、社団法人日本油化学会編纂「日本油化学会制定、基準油脂分析試験法(I)、2003年度版」に準じて算出される。
本実施形態のポリグリセリン脂肪酸エステルは、エステル化率が高まるほど、油脂組成物の固液分離防止効果や可塑性付与に優れ、また、油脂組成物中での分散性が高まることになるので、エステル化率が40%以上である必要がある。ここで、エステル化率とは、末端基分析法による水酸基価から算出されるポリグリセリンの平均重合度(n)、このポリグリセリンが有する水酸基数(n+2)、ポリグリセリンに付加している脂肪酸のモル数(M)としたとき、(M/(n+2))×100=エステル化率(%)で算出される値である。なお、水酸基価とは、上述の水酸基価と同様に算出される値である。
本実施形態のポリグリセリン脂肪酸エステルは、公知のエステル化反応により製造することができる。例えば、脂肪酸とポリグリセリンとを水酸化ナトリウム等のアルカリ触媒の存在下におけるエステル化反応により製造することができる。エステル化反応は、仕込んだ脂肪酸のほぼ全てがエステル化するまで反応させる。即ち、遊離の脂肪酸が殆どなくなるまで十分に反応させる。
本実施形態における可塑性油脂組成物に用いられる油相は、トランス脂肪酸を含んだ部分硬化油を実質的に含有しない油脂で構成される。限定されるものではないが、例えば、大豆油、ナタネ油、コーン油、ゴマ油、シソ油、亜麻仁油、落花生油、紅花油、高オレイン酸紅花油、綿実油、ぶどう種子油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、かぼちゃ種子油、クルミ油、椿油、茶実油、エゴマ油、オリーブ油、カラシ油、米油、米糠油、小麦胚芽油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、カカオ脂、サフラワー油、ひまわり油等の植物油脂や、牛脂、ラード、鶏脂、乳脂、魚油、アザラシ油等の動物油脂、およびこれらの分別油脂や混合油が例示される。また、対象となる油脂が、エステル交換した油脂や完全水素添加した極度硬化油であっても良い。さらに、ジグリセライドおよび/またはモノグリセライドが含有または調合されているものであっても良い。
本実施形態における可塑性油脂組成物に用いられる油脂は、好ましくは20℃で液状の油脂を30重量%以上含有しており、より好ましくは40重量%以上、さらに好ましくは60重量%以上含有させると良い。20℃で液状の油脂とは、限定されるものではないが、例えば、大豆油、ナタネ油、コーン油、ゴマ油、シソ油、亜麻仁油、落花生油、紅花油、高オレイン酸紅花油、綿実油、ぶどう種子油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、かぼちゃ種子油、クルミ油、椿油、茶実油、エゴマ油、オリーブ油、カラシ油、米油、米糠油、小麦胚芽油、サフラワー油、ひまわり油およびこれらの分別油脂や混合油が例示される。さらに、ジグリセライドおよび/またはモノグリセライドが含有または調合されているものであっても良い。
本実施形態の可塑性油脂組成物は、マーガリン、ファットスプレッド、ショートニングをはじめとする油脂加工食品全般を意味し、水分を含んでも含まなくても良い。また、バターなどを配合したコンパウンドタイプのものであっても良い。
本実施形態における可塑性油脂組成物には必要に応じ、一般的にマーガリンやショートニングなどの可塑性油脂組成物に使用されている他の原料、例えば、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、リン脂質等の乳化剤、トコフェロール、L−アスコルビン酸パルミチン酸エステル、茶抽出物等の酸化防止剤、カロチン等の着色料、脱脂粉乳、クリーム等の乳成分、蔗糖、液糖、はちみつ、ブドウ糖、果糖、黒糖、麦芽糖、乳糖、水飴、ソルビトール、エリスリトール、異性化液糖、ショ糖結合飴、オリゴ糖、トレハロース、ヘミセルロース等の糖類、水、食塩、酸味料、調味料、香料、重合リン酸塩等の乳化安定剤、ローカストビーンガム、カラギーナン、アルギン酸類、ペクチン、キサンタンガム、寒天、グルコマンナン、ゼラチン、加工澱粉、澱粉等の増粘安定剤等を適宜使用することができる。
本実施形態のポリグリセリン脂肪酸エステルを添加した可塑性油脂組成物は、経時的な油脂の固液分離が抑えられるため、好ましい可塑性を付与でき、適度な硬さ、クリーミング性、ショートニング性、展延性等の好適な物性が発現され、食品に使用することが可能である。
本実施形態におけるポリグリセリン脂肪酸エステルは、その使用量の増加と共により多くの液状油を配合しても、固液分離を抑制することができ、好適な可塑性を付与することが可能である。ポリグリセリン脂肪酸エステルの使用量は、油脂中に0.01〜10重量%となる量であると良く、より好ましくは0.5〜5重量%である。
本発明の可塑性油脂組成物を用いてなる食品としては、通常のマーガリンやショートニングなどを用いる食品であれば、特に限定はないが、具体的には、食パン、菓子パン、デニッシュ・ペストリー、パイ、シュー、ドーナツ、ケーキ、クッキー、ワッフル、マフィン、ハードビスケット、スコーン等のベーカリー製品に使用することができる。また、これらの用途における本発明の可塑性油脂組成物の使用量は、使用用途により異なるものであり、特に限定されるものではない。
以下に実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は、実施例に限定されるものではない。
(合成例1)
実施例および比較例で使用されるポリグリセリン脂肪酸エステルは、以下に示す方法により合成されたものである。即ち、まず、ポリグリセリン(阪本薬品工業株式会社製)および脂肪酸の混合物を調製した。この混合物に触媒として水酸化ナトリウムを添加し、その後、240〜250℃に昇温してエステル化反応を行い、実施例および比較例で使用されるポリグリセリン脂肪酸エステルを調製した。尚、エステル化反応は、窒素気流下において撹拌しながら、酸価が10以下となるまで行った。
<実施例1〜6、比較例1〜6>
ポリグリセリンとしてテトラグリセリン、ヘキサグリセリンおよびデカグリセリンを用い、合成例1の方法によりエステル化反応を行った。このエステル化反応により得られたポリグリセリン脂肪酸エステルを表1に示した。尚、各実施例および比較例で使用したポリグリセリンおよび脂肪酸の種類、モル比率、エステル化率は表1中に示されている。
Figure 2013176312
表1に示したポリグリセリン脂肪酸エステルを次の試験例1に基づき、ショートニングでの安定性に対する効果を確認した。
(試験例1)
<ショートニングの安定性>
表2に示す配合より、精製パーム油とナタネ油を40:60、60:40の割合で混合した油脂100重量部に対して、無添加、または実施例および比較例のポリグリセリン脂肪酸エステルを0.5重量部、1重量部、3重量部添加し、これに大豆レシチンを0.2重量部、ステアリン酸モノグリセライドを0.2重量部含有させ、80℃まで加熱、溶解した後、通常のショートニング製造工程に従い、冷却、捏和し、ショートニングを得た。これらのショートニングをそれぞれ20℃のインキュベータにて1日保存後、状態を目視および触感にて評価した。また、ナタネ極度硬化油とナタネ油を3:97の割合で混合した油脂を用いて、同様に調製したショートニングについても、20℃のインキュベータにて1日保存後、状態を目視および触感にて評価した。
試験例1の評価を、ショートニングの状態を基準に次の通り行った。
◎:固液分離は全くなく、均一であり、好ましい可塑性がある。
○:固液分離は全くなく、均一であり、可塑性がある。
△:表面に斑点状の液状油が若干見られ、柔らかい。
×:表面にかなりの液状油が見られ、流動する。
××:固液分離が発生し、分離している。
試験例1の結果を表2に示す。
Figure 2013176312
表2に示したように、無添加、または比較例のポリグリセリン脂肪酸エステルを添加したショートニングは、何れも状態は悪かった。一方、本発明のポリグリセリン脂肪酸エステルである実施例のエステルを添加したショートニングは何れも固液分離が生じておらず、均一で適度な可塑性を有していた。
次に、試験例2に従い、試験例1で調製したショートニングを用いて、バターケーキを焼成し、得られたバターケーキの内相のキメ、食感について確認した。
(試験例2)
表3に示す配合に従い、ケーキ生地をシュガーバッター法に準じて調製した。ショートニングを数分間撹拌後、上白糖を加えて比重が0.8になるまで撹拌した。次に、全卵を4回に分けて加え、均一に混合されるまで撹拌した。これに、薄力粉、ベーキングパウダー、水を加えて均一になるまで撹拌し、ケーキ生地とした。このケーキ生地をパウンド型に入れ、オーブンで50分間焼成し、バターケーキを調製した。得られたバターケーキの内相のキメおよび食感ついて確認した。
Figure 2013176312
試験例2の評価を、バターケーキの内相のキメ、食感を基準に次の通り行った。
<内相のキメ>
○:キメが細かい
×:キメが粗い
<食感>
○:柔らかい
×:硬い
試験例2の結果を表4に示す。
Figure 2013176312
表4に示したように、無添加、または比較例のポリグリセリン脂肪酸エステルを添加したショートニングを用いた場合、バターケーキの内相のキメは粗く、食感は硬いものとなり、良好なバターケーキは得られなかった。一方、本発明のポリグリセリン脂肪酸エステルである実施例のエステルを添加したショートニングを用いると、バターケーキの内相のキメは細かく、食感は柔らかいものとなり、良好なバターケーキを得ることができた。
続いて、表1に示したポリグリセリン脂肪酸エステルを次の試験例3に基づき、マーガリンでの安定性に対する効果を確認した。
(試験例3)
<マーガリンの安定性>
表5に示す配合より、精製パーム油とナタネ油を30:70の割合で混合した油脂100重量部に対して、無添加、または実施例および比較例のポリグリセリン脂肪酸エステルを0.5重量部、1重量部、3重量部含有させた油脂組成物を調製し、これに大豆レシチン、香料を加え、80℃まで加温、溶融したものを油相とした。一方、水に食塩、脱脂粉乳を加えて溶解し、70℃まで加温したものを水相とした。油相中に水相を徐々に加えて油中水型に乳化した後、通常のマーガリン製造工程に従い、冷却、捏和によりマーガリンを得た。これらのマーガリンをそれぞれ20℃のインキュベータにて1日保存後、状態を目視および触感にて評価した。
試験例3の評価を、マーガリンの状態を基準に次の通り行った。
◎:固液分離は全くなく、均一であり、好ましい可塑性がある。
○:固液分離は全くなく、均一であり、可塑性がある。
△:表面に斑点状の液状油が若干見られ、柔らかい。
×:表面にかなりの液状油が見られ、流動する。
××:固液分離が発生し、分離している。
試験例3の結果を表5に示す。
Figure 2013176312
表5に示したように、無添加、または比較例のポリグリセリン脂肪酸エステルを添加したマーガリンは、何れも状態は悪かった。一方、本発明のポリグリセリン脂肪酸エステルである実施例のエステルを添加したマーガリンは、何れも固液分離を生じておらず、均一で適度な可塑性を有していた。
次に、試験例4に従い、試験例3で調製したマーガリンを用いて、ロールパンを焼成し、得られたロールパンの内相のキメ、食感について確認した。
(試験例4)
表6に示す配合より、強力粉、生イースト、水、上白糖、食塩、脱脂粉乳および全卵を配合し、ミキシングを行った。その後、マーガリンを加えてミキシングし、捏上温度を28℃とした。これを28℃、湿度75%にて1時間発酵させ、分割し、ベンチタイムを室温で20分とした。その後、ロール成形し、38℃、湿度75%にて50分間ホイロを行い、これを200℃で10分間焼成することでロールパンを得た。これらのロールパンについて、内相のキメおよび食感について確認した。
Figure 2013176312
試験例4の評価を、ロールパンの内相のキメ、食感を基準に次の通り行った。
<内相のキメ>
○:キメが細かい
×:キメが粗い
<食感>
○:柔らかい
×:硬い
試験例4の結果を表7に示す。
Figure 2013176312
表7に示したように、無添加、または比較例のポリグリセリン脂肪酸エステルを添加したマーガリンを用いた場合、ロールパンの内相のキメが粗く、食感は硬いものとなり、良好なロールパンを得ることができなかった。一方、本発明のポリグリセリン脂肪酸エステルである実施例のエステルを添加したマーガリンを用いると、ロールパンの内相のキメは細かく、食感は柔らかいものとなり、良好なロールパンを得ることができた。

Claims (3)

  1. 構成油脂中にトランス脂肪酸を含んだ部分硬化油を含有しない油相を用い、かつ、下記条件を満たすポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する可塑性油脂組成物。
    ポリグリセリン脂肪酸エステルの構成脂肪酸が、(A)炭素数20以上の飽和脂肪酸から選択される一種以上と、(B)炭素数16〜18の飽和脂肪酸から選択される一種以上と、(C)炭素数8〜14の飽和脂肪酸および炭素数16〜22の不飽和脂肪酸から選択される一種以上とを有し、
    前記構成脂肪酸A、BおよびCの総モル量に対して、前記構成脂肪酸Aのモル比率が0.5〜0.9であり、エステル化率が40%以上。
  2. 構成油脂中に20℃で液状である油脂を30重量%以上含有する請求項1に記載の可塑性油脂組成物。
  3. 請求項1または請求項2に記載の可塑性油脂組成物を用いてなる食品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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