JP2013173673A - 自立Mg含有ZnO系混晶単結晶ウエファーおよびそれに用いるMg含有ZnO系混晶単結晶の製造方法 - Google Patents
自立Mg含有ZnO系混晶単結晶ウエファーおよびそれに用いるMg含有ZnO系混晶単結晶の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2013173673A JP2013173673A JP2013086893A JP2013086893A JP2013173673A JP 2013173673 A JP2013173673 A JP 2013173673A JP 2013086893 A JP2013086893 A JP 2013086893A JP 2013086893 A JP2013086893 A JP 2013086893A JP 2013173673 A JP2013173673 A JP 2013173673A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- single crystal
- mixed
- containing zno
- crystal
- zno
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Abstract
【課題】不純物として混入するLiも含め、組成均一性が高い自立Mg含有ZnO系混晶単結晶ウエファーおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】溶質であるZnOおよびMgOと溶媒とを混合して融解させた後、得られた融液8に、種結晶基板7を直接接触させ、種結晶基板7を連続的あるいは間欠的に引上げることによって液相エピタキシャル成長法によりMg含有ZnO系混晶単結晶を成長させ、その後、基板7を研磨またはエッチングで除去し、前記単結晶の液相エピタキシャル成長した−c面側を研磨あるいはエッチングすることにより、自立Mg含有ZnO系混晶単結晶ウエファーを得る。
【選択図】図4
【解決手段】溶質であるZnOおよびMgOと溶媒とを混合して融解させた後、得られた融液8に、種結晶基板7を直接接触させ、種結晶基板7を連続的あるいは間欠的に引上げることによって液相エピタキシャル成長法によりMg含有ZnO系混晶単結晶を成長させ、その後、基板7を研磨またはエッチングで除去し、前記単結晶の液相エピタキシャル成長した−c面側を研磨あるいはエッチングすることにより、自立Mg含有ZnO系混晶単結晶ウエファーを得る。
【選択図】図4
Description
本発明は、ZnO系半導体材料に関し、特に、光学分野、電気・電子工業分野において有用な組成均一性が高い自立Mg含有ZnO系混晶単結晶ウエファーとそれに用いるMg含有ZnO系混晶単結晶の製造方法に関する。
従来より、様々な機能を有する光・電子デバイスには、Si、GaAsおよびGaN等が用いられてきた。最近では、GaNを用いた発光デバイスや電子デバイス開発が活発に行われている。一方、酸化物に着目すると、ZnOは、バリスタ、ガスセンサー、日焼け止め等に用いられてきたが、最近その光学特性、電子素子特性および圧電特性から光学素子、電子素子、圧電素子および透明電極等への応用が図られ、注目を集めている。特に、ZnOがGaNと同様に直接遷移型の3.3〜3.4eVのバンドギャップを有し、380nmの紫外光を出すことが知られており、青色から紫外域に至る短波長の光を発光する発光素子用半導体に対する用途および応用に対する研究開発が盛んとなっている。
また、ZnO系半導体単結晶積層体において、電界効果トランジスタとは異なり、電界を印加しない状態で半導体同士を接触させて電荷分離を生じさせる方法のひとつとして変調ドーピング法がある。例えば、特開2005−72067号公報(特許文献1)は、バンドギャップが広く電子濃度の高い半導体とバンドギャップが狭く電子移動度の高い半導体とを積層することにより、電子濃度の高い半導体から電子移動度の高い半導体への電荷移動が誘起され、高い移動度をもった層を電子が移動することによって高い電子濃度と高電子移動度を共に満足する半導体材料を開示している。
更に、ZnOを用いた紫外線発光デバイスを製造するために、広いバンドギャップを持つII−VI族半導体混晶のZn1-xMgxOがパルスレーザー堆積法により成長温度600℃で得られ、組成xを調整することでZnOより広いバンドギャップが得られることが示されている(A.Ohtomo et.al , Applied Physics Letters , Vol.72 , No.19 , 11 May 1998 , 2466-2468)(非特許文献1)。また、発光素子への応用を考慮した場合、発光効率を上げるためには、ダブルへテロ構造を採用する必要がある。上記構造を採用することにより、キャリヤの閉じ込めや光の取出し効率が向上し、発光効率が向上する。上記構造を形成するためには、発光層をバンドギャップが高いn層とp層で挟み込む必要があり、そのためには、ZnOよりバンドギャップが高いZnO系混晶単結晶が必要となる。
ZnO系半導体単結晶およびその積層体本来の電子素子特性や光学素子特性を発揮させるためには、高い結晶性が必要となる。ZnO系半導体単結晶は、従来、ZnO、ScAlMgO4およびサファイヤ等の絶縁性基板を用いた気相成長法で成長させていた。高い結晶性を実現するためには、格子不整合が少ない基板を用いる必要がある。そのためには、ZnO単結晶を基板として使用することが望ましい。しかしながら、市販のZnO単結晶基板は、水熱合成法で成長されており、鉱化剤として用いられるLiOHに基づくLiのZnO単結晶への混入が避けられない。ZnO中のLiは拡散しやすく、デバイス稼動時にLiが移動してデバイス動作を不安定にする問題点があり、ZnO基板中のLiは少なければ少ないほど良い。そこで、ポストグロースアニールで、水熱合成基板内のLi濃度を低減させる手法が特開2007−204324号公報(特許文献2)に開示されている。同公報によれば、1100℃で1〜2時間のアニールで8.4×1016個/cm3から2.0×1017個/cm3程度、1300℃で2時間程度アニール処理すると9×1014個/cm3程度までZnO中のLi濃度を低減できると記載されている。同公報によればアニール処理することでLi濃度を低減させることは可能である。しかし、この方法ではアニール工程が必要になるため工程が煩雑になり、またアニール処理を施しても、Liが1×1015個/cm3程度残存するという問題点があった。
一方、膜厚が厚いZnO系半導体単結晶およびその積層体を成長させ、その後水熱合成基板を研磨やエッチングで除去することにより該ZnO系半導体単結晶およびその積層体を自立化させることができれば、水熱合成基板からのLi不純物の混入を著しく低減できる。
本発明者らは、鋭意検討した結果、溶質および溶媒の組成を工夫することによりMg含有ZnO系混晶単結晶を液相エピタキシャル(Liquid phase epitaxial:LPE)成長法で厚膜成長させることに成功した。しかしながら、単に、混晶層を成長させた後に、基板を取り除くのみでは、得られた自立Mg含有ZnO混晶単結晶の表面と裏面とに、僅かなバンドギャップ差がみとめられ、想定した光透過率を得ることができなかった。
本発明者らは、上記の問題点を鋭意検討し、以下の問題点があることを見出した。図1を用いて説明する。これまでの方法では、酸化亜鉛A−1を基板として混晶結晶をLPE成長させるため、成長後は、A−1の水熱合成基板側にMgが拡散し、元々A−1であったものが、純酸化亜鉛としての状態が保たれたB−1部分とMgが拡散してきたB−3部分という構成となる。また、混晶層B−2を成長させる際、初期に成長した部分からは、基板に対してMgが拡散し、基板側に拡散層B−3ができるのと同様に、混晶成長層側にもMg濃度が低下した拡散層B−4が形成される。このため、B−1およびB−3を取り除くのみでは、自立Mg含有ZnO混晶単結晶は、本来得るべき混晶層B−2と拡散層B−4から構成されるものであった。これを近紫外線透明な基板として光学素子あるいは電子素子を形成すると、B−2に比べて、僅かにバンドギャップが狭められたB−4が原因となり、十分な光透過率が得られなかった。また、LPE成長に用いる水熱合成基板には、前述したようにLiが不純物として含まれており、特に基板表面にはLi不純物濃縮層が形成されていた。このため、B−4層にはLiの拡散層が形成されており、組成は不均一になっていた。
ところで、ZnO系LED成長用基板としては、成長させるZnOと格子整合し、かつLED光に対して透明な基板が光取出し効率の面でも最適となる。そのためには、Mg含有ZnO系混晶単結晶のみで構成され、かつZnOよりバンドギャップが大きい自立Mg含有ZnO系混晶単結晶が好適となる。
一方、前述したように、気相成長および液相成長においては、絶縁性材料を基板に用いることが多い。このため、ZnO系混晶単結晶を用いた電子素子や光学素子を形成するためには、同一方向に電極を形成すること等の工夫が必要であった。この方法では、電子素子や光学素子の作製工程が複雑となり、コスト高の要因となる上、n型コンタクト層(n+)層の一部に電界が集中し素子寿命が短くなる等の問題点があった。しかしながら、絶縁性基板を用いて電気伝導性を持ったZnO膜やZnO系混晶膜を厚く成長させ、不要となる絶縁性基板を研磨等で除去できれば、表裏に電極を形成でき、デバイスの作製工程においても、デバイス特性や寿命の面でも性能向上が期待できる(図2参照)。
更に、上記材料の研究としてのZnO系半導体単結晶およびその積層体は非熱平衡成長である気相成長法により成長されており(例えば特開2003−046081号公報(特許文献3))、非熱平衡成長欠陥の混入が避けられず、結晶品質が十分なものとはいえない。従来の半導体素子の一例である電界効果トランジスタやpn接合発光素子などでは、その結晶性が光学特性や半導体特性に大きく関与する。前述したように気相成長法による結晶の結晶品質は十分なものではなかったため、本来の性能を十分発揮できないという問題点があった。そのため上記の用途などに適用および発展させていくためには、結晶品質の高いZnO系混晶単結晶およびその積層体の製造方法を確立させることが重要な課題となる。
ZnO系混晶単結晶およびその積層体を成長させる方法としては、従来、スパッタ法、CVD法およびPLD法等が用いられてきた。これらの方法では、ZnO系半導体層の成長方位は−c面方位であった。しかし、−c面成長では、アクセプターを取り込みにくいという問題点があった(Maki et al. Jpn. J. Appl. Phys. 42 (2003) 75-77)(非特許文献2)。ZnO系混晶層の場合、n型成長は比較的容易であるが、p型成長が困難であることを考慮すると、−c面成長では、よりp型層を成長することが困難となる問題点があった。また、−c面成長膜は酸素面であるため、酸によるエッチング速度が速く制御が困難である上、平坦性の高いエッチングが困難という問題点があった。
また、酸化物半導体を中心に、透明電子デバイスが検討されている。p−Siは、バンドギャップが狭く、光照射によるフォトキャリアーの発生が、誤動作の原因となるため、p−SiからなるTFTでは、光を遮断するための金属マスクが必要となる。したがって、p−Siを用いたTFTでは、光透過性が得られない。これに対して、可視光を吸収しない半導体を利用したTFTは、光の影響を受けることなく正常な動作が期待される。現在、液晶パネル用TFTは、p−Siからなっており、その金属マスクの存在から、光が透過出来る部分の割合は、50%程度とされている。そのため、金属マスクが不要な透明TFTを得ることで、このエネルギー効率の改善が可能と考えられる。
一方で、酸化亜鉛を用いたTFTでは、吸収端の波長が僅かに可視光にかかるために、白色の再現性に劣るという報告や、多結晶酸化亜鉛では、移動度に劣るという意見もある。
尚、Mg含有ZnO系混晶単結晶において、1000℃程度までの高温で結晶成長を行った場合、熱力学的に得ることが可能な、安定なMg/(Zn+Mg)比xは、0<x<0.15であることが知られている(H.Ryoken et.al., Journal of Crystal Growth 287(2006)134-138)(非特許文献3)。
一方で、酸化亜鉛を用いたTFTでは、吸収端の波長が僅かに可視光にかかるために、白色の再現性に劣るという報告や、多結晶酸化亜鉛では、移動度に劣るという意見もある。
尚、Mg含有ZnO系混晶単結晶において、1000℃程度までの高温で結晶成長を行った場合、熱力学的に得ることが可能な、安定なMg/(Zn+Mg)比xは、0<x<0.15であることが知られている(H.Ryoken et.al., Journal of Crystal Growth 287(2006)134-138)(非特許文献3)。
A.Ohtomo et.al., Applied Physics Letters , Vol.72 , No.19 , 11 May 1998 , 2466-2468
Maki et al., Jpn. J. Appl. Phys. 42 (2003) 75-77
H.Ryoken et.al., Journal of Crystal Growth 287(2006)134-138
本発明者らは、自立化が可能なZnO系混晶単結晶およびその積層体を得るべく鋭意検討した。その結果、単に混晶層を成長させた後に基板を取り除くのみでは、得られた自立Mg含有ZnO混晶単結晶の表面と裏面とに僅かなバンドギャップ差がみとめられ、想定した光透過率を得ることができず、かつ、自立Mg含有ZnO混晶単結晶の表面と裏面とに不純物濃度の違いが認められ、これが、光物性や電気物性の変質をもたらす原因となるおそれがあることを見出した。この方法では、以下の問題点がある。図3を用いて説明する。高品質な結晶質A−2の表面に、研磨、ないし、表面処理を施すことで生じた汚染層、ないし、結晶性劣化層であるA−3が存在する構成となった酸化亜鉛を基板として混晶結晶をLPE成長するため、成長後は、基板側の界面部であるD−3部は、成長層から拡散してきたMgや汚染層から拡散してきた不純物が存在する層となる。また、LPE成長後の水熱合成基板は、高品質酸化亜鉛層D−1と拡散・汚染層D−3とで構成されるようになる。一方、混晶層を成長させる際、初期に成長した部分からは、水熱合成基板に対してMgが拡散し、かつ、基板の汚染層A−3から不純物が拡散するために、基板側に拡散層D−3ができるのと同様に、混晶成長層側にもMg濃度が低下し、不純物が混入した拡散層D−4が形成される。D−1および、D−3を取り除くのみでは、自立Mg含有ZnO混晶単結晶は、本来得るべきLi汚染レベルが、1×1015個/cm3以下に保たれている混晶層E−2と、それを超えるLi濃度を有し、かつ、E−2層よりも低いMg濃度を持った拡散層E−4から構成されるものであった。これを近紫外線透明な基板として素子を形成すると、E−2に比べて、僅かにバンドギャップが狭められ、かつ、Liが多いE−4が原因となり、十分な光透過率が得られなかった。
このような背景の下、不純物として混入するLiも含め、均一な組成を有する自立Mg含有ZnO系混晶単結晶およびその積層体を提供することが望まれている。
このような背景の下、不純物として混入するLiも含め、均一な組成を有する自立Mg含有ZnO系混晶単結晶およびその積層体を提供することが望まれている。
上記課題は、以下の本発明によって解決することができる。
本発明の第1の実施形態は、厚み50μm以上の板状形状を有し、板の厚み方向、および、面内方向の何れに対しても均一なZnとMgの化学組成を有し、かつ、表裏面のうち少なくとも1面がエピタキシャル成長可能な平坦性を有することを特徴とする自立Mg含有ZnO系混晶単結晶ウエファーである。
本発明の第2の実施形態は、溶質であるZnOおよびMgOと、溶媒とを混合して融解させた後、得られた融液に、種結晶基板を直接接触させる工程と、前記種結晶基板を連続的あるいは間欠的に引上げることによってMg含有ZnO系混晶単結晶を前記種結晶基板上に成長させる工程と、を有することを特徴とする液相エピタキシャル成長法によるMg含有ZnO系混晶単結晶の製造方法である。前記溶媒は、PbOおよびBi2O3の組み合わせであるか、PbF2およびPbOの組み合わせであることが好ましい。
本発明の第3の実施形態は、上記第2の実施形態に記載のMg含有ZnO系混晶単結晶の製造方法によって得られた自立Mg含有ZnO系混晶単結晶ウエファーであって、厚み50μm以上の板状形状を有し、板の厚み方向、および、面内方向の何れに対しても均一なZnとMgの化学組成を有し、かつ、表裏面のうち少なくとも1面がエピタキシャル成長可能な平坦性を有することを特徴とする自立Mg含有ZnO系混晶単結晶ウエファーである。
尚、本明細書において、「Mg含有ZnO系混晶単結晶」なる用語は、Zn1-xMgxO(0<x<0.15)の組成を有する単結晶をいう。また、「自立」なる用語は、成長に用いた種結晶基板を研磨、および/または、エッチングで除去し、成長層のみからなることをいう。また、「連続的」なる用語は、種結晶基板を引上げる工程においてその引上げ速度が一定であることを意味し、「間欠的」なる用語は、種結晶基板を引上げる工程において引上げ速度が変化することを意味する。「溶質」なる用語は、溶液を作る際に溶媒に溶かす物質をいい、この「溶媒」なる用語は、溶液を作る際に溶かす物質の媒体となる物質をいう。
本発明の第1の実施形態は、厚み50μm以上の板状形状を有し、板の厚み方向、および、面内方向の何れに対しても均一なZnとMgの化学組成を有し、かつ、表裏面のうち少なくとも1面がエピタキシャル成長可能な平坦性を有することを特徴とする自立Mg含有ZnO系混晶単結晶ウエファーである。
本発明の第2の実施形態は、溶質であるZnOおよびMgOと、溶媒とを混合して融解させた後、得られた融液に、種結晶基板を直接接触させる工程と、前記種結晶基板を連続的あるいは間欠的に引上げることによってMg含有ZnO系混晶単結晶を前記種結晶基板上に成長させる工程と、を有することを特徴とする液相エピタキシャル成長法によるMg含有ZnO系混晶単結晶の製造方法である。前記溶媒は、PbOおよびBi2O3の組み合わせであるか、PbF2およびPbOの組み合わせであることが好ましい。
本発明の第3の実施形態は、上記第2の実施形態に記載のMg含有ZnO系混晶単結晶の製造方法によって得られた自立Mg含有ZnO系混晶単結晶ウエファーであって、厚み50μm以上の板状形状を有し、板の厚み方向、および、面内方向の何れに対しても均一なZnとMgの化学組成を有し、かつ、表裏面のうち少なくとも1面がエピタキシャル成長可能な平坦性を有することを特徴とする自立Mg含有ZnO系混晶単結晶ウエファーである。
尚、本明細書において、「Mg含有ZnO系混晶単結晶」なる用語は、Zn1-xMgxO(0<x<0.15)の組成を有する単結晶をいう。また、「自立」なる用語は、成長に用いた種結晶基板を研磨、および/または、エッチングで除去し、成長層のみからなることをいう。また、「連続的」なる用語は、種結晶基板を引上げる工程においてその引上げ速度が一定であることを意味し、「間欠的」なる用語は、種結晶基板を引上げる工程において引上げ速度が変化することを意味する。「溶質」なる用語は、溶液を作る際に溶媒に溶かす物質をいい、この「溶媒」なる用語は、溶液を作る際に溶かす物質の媒体となる物質をいう。
本発明の好ましい態様によれば、ZnOに比べてバンドギャップが広く、可視光から近紫外に対する透明性を担保した自立Mg含有ZnO系混晶単結晶が得られる。得られた自立Mg含有ZnO系混晶単結晶は、単結晶であることから多結晶では得られない高い移動度の実現が可能であり、ウエファーなどとして好適に用いられる。
本発明の好ましい態様の自立Mg含有ZnO系混晶単結晶ウエファーは、結晶性が高く、キャリヤ移動度を高く保持したままキャリヤを制御することができる。また、組成不均一層を除去しているため、ZnとMgの組成が均一となり、近紫外域での透過率を高くすることができるため、ZnOを用いたLED等の発光素子の光取出し効率を高くすることができる。また、基板からのLi拡散を低減でき、デバイス作動時の不安定稼動を抑制することが可能となる上、Al、Ga、In、HおよびFからなる群より選択される1以上を含有させることで電気伝導性を付与できる。更には、自立化しているため、+c面および-c面の何れもデバイス作製基板表面に利用でき、目的とするデバイスに好適な成長面を選択できる。以上の特性から、可視光に透明な透明TFTとして使用することも可能となる。本発明の自立Mg含有ZnO系混晶単結晶ウエファーは、今後、発展が見込まれる電子素子や光学素子に利用することができる。
本発明の好ましい態様の自立Mg含有ZnO系混晶単結晶ウエファーは、結晶性が高く、キャリヤ移動度を高く保持したままキャリヤを制御することができる。また、組成不均一層を除去しているため、ZnとMgの組成が均一となり、近紫外域での透過率を高くすることができるため、ZnOを用いたLED等の発光素子の光取出し効率を高くすることができる。また、基板からのLi拡散を低減でき、デバイス作動時の不安定稼動を抑制することが可能となる上、Al、Ga、In、HおよびFからなる群より選択される1以上を含有させることで電気伝導性を付与できる。更には、自立化しているため、+c面および-c面の何れもデバイス作製基板表面に利用でき、目的とするデバイスに好適な成長面を選択できる。以上の特性から、可視光に透明な透明TFTとして使用することも可能となる。本発明の自立Mg含有ZnO系混晶単結晶ウエファーは、今後、発展が見込まれる電子素子や光学素子に利用することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の第1の実施形態は、厚み50μm以上の板状形状を有し、板の厚み方向、および、面内方向の何れに対しても均一なZnとMgの化学組成を有し、表裏面のうち少なくとも1面がエピタキシャル成長用基板として利用可能な平坦性を有することを特徴とする自立Mg含有ZnO系混晶単結晶ウエファーである。厚みが50μm未満では取り扱うのが困難となるため好ましくない。厚みの上限は特にされないが、500μmを超えると成長時間が長くなる。自立Mg含有ZnO系混晶単結晶ウエファーの膜厚方向、および、面内方向の組成均一性は、好ましくは±10%以内、更に好ましくは±5%以内である。組成均一性が±10%を超えると近紫外域での透過率が減少するので好ましくない。
本発明において、面内方向の組成均一性は、自立Mg含有ZnO系混晶単結晶ウエファーの表裏面のMg/(Zn+Mg)組成の均一性で評価され、自立Mg含有ZnO系混晶単結晶ウエファーの表裏面におけるPL発光波長分布を測定することで求めることができる。
また、膜厚方向の組成均一性は、自立Mg含有ZnO系混晶単結晶ウエファーの膜厚方向のMg/(Zn+Mg)組成の均一性で評価され、上記表裏面PL発光波長分布測定済みサンプルをc面に垂直に切断した断面のCL(Cathode Luminescence;電子線励起発光スペクトル測定)発光波長分布を測定することで求めることができる。
自立Mg含有ZnO混晶単結晶ウエファーの表裏面うち少なくとも1面の平坦性は、エピタキシャル成長可能な程度であればよい。例えば、自立Mg含有ZnO系混晶単結晶ウエファーの任意の位置において50μm四方の表面粗さRaが0.5nm以下であることが好ましく、更に好ましくは0.3nmm以下である。0.5nmを超えるとLED成長膜が3次元成長したり、ピット不良が増える傾向があるので好ましくない。一方、表裏面の平坦性はできるだけ近い方が好ましい。表面と裏面とで平坦性が異なると、反りの発生要因となる。表面粗さRaは、自立膜中央部50μm四方について原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscopy:AFM)を用いることにより測定することができる。
本発明の第1の実施形態は、厚み50μm以上の板状形状を有し、板の厚み方向、および、面内方向の何れに対しても均一なZnとMgの化学組成を有し、表裏面のうち少なくとも1面がエピタキシャル成長用基板として利用可能な平坦性を有することを特徴とする自立Mg含有ZnO系混晶単結晶ウエファーである。厚みが50μm未満では取り扱うのが困難となるため好ましくない。厚みの上限は特にされないが、500μmを超えると成長時間が長くなる。自立Mg含有ZnO系混晶単結晶ウエファーの膜厚方向、および、面内方向の組成均一性は、好ましくは±10%以内、更に好ましくは±5%以内である。組成均一性が±10%を超えると近紫外域での透過率が減少するので好ましくない。
本発明において、面内方向の組成均一性は、自立Mg含有ZnO系混晶単結晶ウエファーの表裏面のMg/(Zn+Mg)組成の均一性で評価され、自立Mg含有ZnO系混晶単結晶ウエファーの表裏面におけるPL発光波長分布を測定することで求めることができる。
また、膜厚方向の組成均一性は、自立Mg含有ZnO系混晶単結晶ウエファーの膜厚方向のMg/(Zn+Mg)組成の均一性で評価され、上記表裏面PL発光波長分布測定済みサンプルをc面に垂直に切断した断面のCL(Cathode Luminescence;電子線励起発光スペクトル測定)発光波長分布を測定することで求めることができる。
自立Mg含有ZnO混晶単結晶ウエファーの表裏面うち少なくとも1面の平坦性は、エピタキシャル成長可能な程度であればよい。例えば、自立Mg含有ZnO系混晶単結晶ウエファーの任意の位置において50μm四方の表面粗さRaが0.5nm以下であることが好ましく、更に好ましくは0.3nmm以下である。0.5nmを超えるとLED成長膜が3次元成長したり、ピット不良が増える傾向があるので好ましくない。一方、表裏面の平坦性はできるだけ近い方が好ましい。表面と裏面とで平坦性が異なると、反りの発生要因となる。表面粗さRaは、自立膜中央部50μm四方について原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscopy:AFM)を用いることにより測定することができる。
本発明の好ましい実施形態は、バンドギャップ(Eg)値がウエファーの面内方向、および、厚み方向に対して均一であり、かつ、3.30eVを超える自立Mg含有ZnO系混晶単結晶ウエファーである。ここで、バンドギャップ(Eg)値の均一性は、PLおよびCL発光波長から求めることができ、バンドギャップ(Eg)値は、好ましくは±6%以内、更に好ましくは±3%以内である。
ZnO系混晶単結晶のバンドギャップを制御するためには、ZnOとMgOあるいはBeOを混晶化することで実現できるが、毒性等を考慮するとMgOを混晶化することが好適である。ZnO系混晶単結晶のバンドギャップが3.30eVを下回るようではMgOの混晶化率が低くなるので好ましくない。
上記バンドギャップ(Eg)は、本発明によって得られたMg含有ZnO系混晶単結晶のPLおよびCL発光波長を測定し、以下の式を用いることにより求めることができる。
Eg[eV]=1.24/PL(CL)発光波長[nm]*1000
Eg[eV]=1.24/PL(CL)発光波長[nm]*1000
PL発光波長の測定方法は、特に限定されるものではないが、本発明においては、Accent社製rpm2000を使用し、励起レーザーはHe−Cdレーザー(λ=325nm)を用い、室温(300K)にて測定した値に基づいている。
CL発光波長の測定法は、特に限定されるものでないが、本発明においては、5KeVの電子線を励起源に用い、室温にて測定した値に基づいている。
CL発光波長の測定法は、特に限定されるものでないが、本発明においては、5KeVの電子線を励起源に用い、室温にて測定した値に基づいている。
本発明の好ましい態様において、自立Mg含有ZnO系混晶単結晶ウエファーは、Al、Ga、In、HおよびFからなる群より選択される1以上を含有する。Al、Ga、In、HおよびFからなる群より選択される1以上を含有することにより、電気伝導性を発現することが可能となる。研磨やエッチング等により成長で用いた基板を除去すれば、電子素子や光学素子の表裏面に電極を形成することができる。従って、自立化した導電性があるMg含有ZnO系混晶単結晶を提供できることになる。このように導電性を有する自立Mg含有ZnO系混晶単結晶は、ZnO−LEDデバイスにおいてLED光に透明で、格子整合し、導電性を持つ基板とすることができる。
本発明の好ましい実施形態において、Li濃度は、ウエファーの面内方向、および、厚み方向に対し均一であり、かつ、好ましくは1×1015個/cm3以下、更に好ましくは1×1014個/cm3以下である自立Mg含有ZnO系混晶単結晶ウエファーである。ここで、Li濃度が1×1015個/cm3以下で均一であるとは、デバイス動作を不安定化するLi濃度が自立化膜全体で1×1015個/cm3以下であることを意味する。
Li濃度の均一性は、次のようにして求めることができる。自立化処理後の表裏面数点のLi濃度をダイナミックSIMSで測定することで表裏面内Li濃度均一性を、更に、表裏面Li濃度均一性測定済みサンプルをc面に垂直に切断した断面のLi濃度をダイナミックスSIMSで測定することで膜厚方向のLi濃度均一性を判断することができる。尚、本明細書において、ダイナミックSIMS分析は、Cameca製装置を用いて、一次イオン種;O2+、一次イオン加速電圧;8KeV、測定温度;室温の条件下で行う。
Li濃度の均一性は、次のようにして求めることができる。自立化処理後の表裏面数点のLi濃度をダイナミックSIMSで測定することで表裏面内Li濃度均一性を、更に、表裏面Li濃度均一性測定済みサンプルをc面に垂直に切断した断面のLi濃度をダイナミックスSIMSで測定することで膜厚方向のLi濃度均一性を判断することができる。尚、本明細書において、ダイナミックSIMS分析は、Cameca製装置を用いて、一次イオン種;O2+、一次イオン加速電圧;8KeV、測定温度;室温の条件下で行う。
尚、液相エピタキシャル成長時に使用する水熱合成基板は、1×1015から1×1017個/cm3程度のLiが含まれている。本発明の出願時点においては、LPE成長法で高結晶性の結晶成長を実現するには、水熱合成によって育成された単結晶を用いるしか、手段はない。他に、気相成長単結晶などがあるが、その結晶性については必ずしも高い品質のものが手に入るとは限らず、現状、水熱合成ZnO単結晶のみが機能する基板材料である。そのため、それに特徴的なLi不純物への対策が必要となる。仮に、高品質、高純度の単結晶基板の入手が容易になった場合、LPE成長膜の水熱合成基板側(−c面側)を好ましくは10μm、更に好ましくは20μm以上研磨する工程を省略することは可能であるが、Mgの基板への拡散によって、基板と膜との間の中間層に、Mg濃度が一定ではない領域が生じることがあるため、同様に、LPE成長膜の水熱合成基板側(−c面側)を好ましくは10μm、更に好ましくは20μm以上研磨することが好適である。上述したように、水熱合成基板を用いて液相エピタキシャル成長を行うと、水熱合成基板からのLi拡散が起こり、デバイス動作を不安定にしていた。液相エピタキシャル成長では、原料中にLiをほとんど含まないため、成長膜中にLiが混入しにくいが、基板や基板表面のLi濃縮層から熱拡散する懸念があった。本発明者らが鋭意研究した結果、LPE成長膜の水熱合成基板側の成長裏面側(−c面)を好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上研磨すれば、液相エピタキシャル成長膜中のLi濃度を1×1015個/cm3以下にすることを見出した。また、それによって得られるMg含有ZnO混晶単結晶ウエファーに用いれば、Liに基づくデバイス特性の不安定化を抑制することが可能となる。
本発明の第2の実施形態は、溶質であるZnOおよびMgOと、溶媒とを混合して融解させた後、得られた融液に、種結晶基板を直接接触させる工程と、前記種結晶基板を連続的あるいは間欠的に引上げることによってMg含有ZnO系混晶単結晶を前記種結晶基板上に成長させる工程と、を有することを特徴とする液相エピタキシャル成長法によるMg含有ZnO系混晶単結晶の製造方法である。
自立Mg含有ZnO系混晶単結晶を製造するためには、Mg含有ZnO系混晶単結晶の厚膜成長が必要となる。研磨後で50μm厚の自立Mg含有ZnO混晶単結晶とするためには、表裏面の研磨しろを考慮して100μm程度以上の成長膜厚が必要となる。本発明者らは、これまでに溶質であるZnOおよびMgOと、溶媒であるPbOおよびBi2O3とを混合して融解させた後、得られた融液に、種結晶または基板を直接接触させ、成長時間や成長中の温度降下速度を適宜調整するにより、あるいは、溶質であるZnOおよびMgOと、溶媒であるPbF2およびPbOとを混合して融解させた後、得られた融液に、種結晶または基板を直接接触させ、成長時間や成長中の温度降下速度を適宜調整するにより、液相エピタキシャル成長法により100μm以上の膜厚を有するMg含有ZnO系混晶単結晶を成長させることができることを見出した。この方法では、Pt治工具を用いて水熱合成基板を保持し、基板表面を融液表面に接液することでエピタキシャル成長させる。しかし、Pt治工具は熱伝導性が高いため、Pt冶工具近傍でフラックス析出がしやすいことが判明した。フラックスが析出するとフラックス成分が成長膜中に取り込まれ、これを基点としたクラックが成長し、冷却および研磨/エッチング中に発生し歩留が低下することが分かった。
この問題点を解決するため、本発明者らが鋭意研究したところ、成長中に基板を保持したPt冶工具を連続的あるいは間欠的に引上げることで融液にPt治工具が接触する時間を減らしたところ膜中へのフラックス混入を低減でき、その結果、成長中および研磨/エッチング中のクラック発生を抑制することが可能となることを見出した。軸の引上げ手法としては、連続的あるいは間欠的何れも採用可能であるが、連続的軸引上げの方が安定成長の面で優れている。尚、本明細書において、「連続的」とは、種結晶基板を引上げる工程においてその引上げ速度が一定であることを意味し、「間欠的」とは、種結晶基板を引上げる工程において引上げ速度が変化することを意味する。
連続的に種結晶基板を引上げる速度Vは、2μm/hr以上50μm/hr以下が好適である。より好ましくは、4μm/hr以上20μm/hr以下、更に好ましくは、6μm/hr以上10μm/hr以下である。2μm/hr未満では、軸引上げによるフラックス巻き込み低減効果が少なく、50μm/hrを超えると基板が融液表面より離れる可能性がある。間欠的に種結晶基板を引上げる際は、その平均速度が上記の範囲となることが好ましい。すなわち、間欠的に種結晶基板を引上げる平均速度vは、2μm/hr以上50μm/hr以下が好適であり、より好ましくは、4μm/hr以上20μm/hr以下、更に好ましくは、6μm/hr以上10μm/hr以下である。
使用できる溶媒は、溶質であるZnOおよびMgOを融解させることができるものであれば特に制限されないが、PbOおよびBi2O3の組み合わせであるか、PbF2およびPbOの組み合わせであることが好ましい。上記溶質と、溶媒との混合比は、ZnOのみに換算した溶質:溶媒=5〜30mol%:95〜70mol%が好ましく、より好ましくは、溶質濃度が、5mol%以上10mol%以下である。溶質濃度が、5mol%未満では成長速度が遅く、10mol%を超えると成長温度が高くなり、溶媒蒸発量が多くなることがある。
本発明の好ましい態様では、上記溶質と、溶媒であるPbOおよびBi2O3との混合比が、ZnOのみに換算した溶質:溶媒=5〜30mol%:95〜70mol%であり、溶媒であるPbOとBi2O3の混合比がPbO:Bi2O3=0.1〜95mol%:99.9〜5mol%である。溶媒組成としては、より好ましくは、PbO:Bi2O3=30〜90mol%:70〜10mol%であり、特に好ましくは、PbO:Bi2O3=60〜80mol%:40〜20mol%である。PbOもしくはBi2O3単独の溶媒では、液相成長温度が高くなるので、上記のような混合比を有するPbOおよびBi2O3混合溶媒が好適である。ZnOのみに換算した溶質と、溶媒であるPbOおよびBi2O3との混合比は、より好ましくは、溶質濃度が、5mol%以上10mol%以下である。溶質濃度が、5mol%未満では成長速度が遅く、10mol%を超えると成長温度が高くなり、溶媒蒸発量が多くなることがある。
本発明の好ましい態様では、上記溶質と、溶媒であるPbF2およびPbOとの混合比が、ZnOのみに換算した溶質:溶媒=2〜20mol%:98〜80mol%であり、溶媒であるPbF2とPbOの混合比がPbF2:PbO=80〜20mol%:20〜80mol%である。溶媒の混合比が、PbF2:PbO=80〜20mol%:20〜80mol%であると、溶媒であるPbF2およびPbOの蒸発量を抑制でき、その結果、溶質濃度の変動が少なくなるので、安定的にZnO系混晶単結晶を成長させることができる。溶媒であるPbF2とPbOの混合比は、より好ましくはPbF2:PbO=60〜40mol%:40〜60mol%である。溶質であるZnOおよびMgOと、溶媒であるPbF2およびPbOとの混合比は、ZnOのみに換算した溶質が5〜10mol%のときより好ましい。溶質濃度が5mol%未満では、成長速度が遅く、10mol%を超えると、溶質成分を溶解させる温度が高くなり、溶媒蒸発量が多くなることがある。本発明では、液相成長法を用いる。同法は、気相成長法と異なり、真空系を必要とせず、そのため、低コストでZnO系混晶単結晶を製造することができる上、熱平衡成長であるため、高い結晶性を有するZnO系混晶単結晶を成長させることができる。また、過飽和度を制御することにより、成長速度を制御でき、比較的高い成長速度を実現できる。
本発明の好ましい態様では、上記Mg含有ZnO系混晶単結晶が、少量の異種元素を含む。ZnOは、異種元素をドーピングすることでその特性を発現・変化させることができる。本発明の好ましい態様では、Li、Na、K、Cs、Rb、Be、Ca、Sr、Ba、Cu、Ag、N、P、As、Sb、Bi、B、Tl、Cl、Br、I、Mn、Fe、Co、Ni、Cd、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、Wおよびランタノイド元素等からなる群より選択される1以上を添加する。添加量は、溶質として使用されるZnOに対して20mol%以下、好ましくは10mol%以下、より好ましくは1mol%以下である。異種元素を添加することにより、p型半導体、n型半導体、磁性半導体、導電率の制御、バリスタ応用、圧電体応用、電界発光素子および透明TFTへの応用等がある。
本発明の好ましい態様では、成長用基板である種結晶基板としてZnO単結晶を用いる。ZnO系混晶成長用基板としては、ZnOと同類の結晶構造を持ち、成長薄膜と基板とが反応しないものであれば使用可能である。例えば、サファイヤ、LiGaO2、LiAlO2、LiNbO3、LiTaO3、ScAlMgO4、GaN、ZnOなどが挙げられる。中でも、本発明における目的単結晶がZnO系混晶単結晶であることを考慮すると、基板と成長結晶の格子整合度が高いZnO基板を用いたホモエピタキシャル成長が結晶性、歪みの低減、成長膜の反りの低減および基板からの不純物拡散量低減の面で好ましい。
本発明の好ましい態様では、Mg含有ZnO系混晶単結晶の成長方位は+c面である。
本発明の好ましい態様では、種結晶基板上にMg含有ZnO系混晶単結晶を成長させた後、成長に用いた基板を研磨あるいはエッチングで除去することで自立化させることができる。その際、成長基板に近い−c面側を少なくとも10μm、好ましくは20μm以上除去することでZnとMgの不均一層および基板側からのLi拡散層を除去することが可能となる。基板除去方法としては、研磨あるいはエッチング何れの方法も採用可能であるが、膜厚管理しやすい研削+研磨が好適である。水熱合成基板上にMg含有ZnO系混晶単結晶を成長させてもよい。研磨またはエッチング後で50μm程度の膜厚とするためには、成長段階で100μm程度の膜厚が必要となる。成長後、基板側をセラミックスプレートにWAX固定を行い、研削器にて液相エピタキシャル成長面を平坦化することができる。LPE面側(+c面)セラミックスプレートに張替え、研削器にて基板厚相当を研削除去することで液相エピタキシャル成長膜だけとし、表裏面のうち少なくとも1面をラップおよびポリッシュすることで研磨することができる。このとき、LPE成長膜の水熱合成基板側は好ましくは10μm、より好ましくは20μm以上研磨することで水熱合成基板からのLi拡散層を除去することが可能となる。
本発明の好ましい態様では、種結晶基板上にMg含有ZnO系混晶単結晶を成長させた後、成長に用いた基板を研磨あるいはエッチングで除去することで自立化させることができる。その際、成長基板に近い−c面側を少なくとも10μm、好ましくは20μm以上除去することでZnとMgの不均一層および基板側からのLi拡散層を除去することが可能となる。基板除去方法としては、研磨あるいはエッチング何れの方法も採用可能であるが、膜厚管理しやすい研削+研磨が好適である。水熱合成基板上にMg含有ZnO系混晶単結晶を成長させてもよい。研磨またはエッチング後で50μm程度の膜厚とするためには、成長段階で100μm程度の膜厚が必要となる。成長後、基板側をセラミックスプレートにWAX固定を行い、研削器にて液相エピタキシャル成長面を平坦化することができる。LPE面側(+c面)セラミックスプレートに張替え、研削器にて基板厚相当を研削除去することで液相エピタキシャル成長膜だけとし、表裏面のうち少なくとも1面をラップおよびポリッシュすることで研磨することができる。このとき、LPE成長膜の水熱合成基板側は好ましくは10μm、より好ましくは20μm以上研磨することで水熱合成基板からのLi拡散層を除去することが可能となる。
本発明の別の実施形態は、上記Mg含有ZnO系混晶単結晶の製造方法によってMg含有ZnO系混晶単結晶を成長させ、これを基板として用い、この基板上に更にZnO単結晶あるいはMg含有ZnO系混晶単結晶を成長させることを特徴とするMg含有ZnO系混晶単結晶積層体の製造方法である。第一成長層と第二成長層のバンドギャップは任意に設定可能であるが、電子素子応用および光学素子応用を考慮すると、第一成長層のバンドギャップ<第二の成長層のバンドギャップが好ましい。積層体を成長させる方法としては、LPE成長を2回行ってもよく、例えば、成長炉内に組成の異なる融液を複数用意し、成長軸を移動させることで積層体を成長させてもよい。あるいは、スライディングボート法を用いて積層体を成長させることもできる。
本発明における自立Mg含有ZnO系混晶単結晶成長法としては、液相エピタキシャル法(LPE法)用いる。液相エピタキシャル法によれば、機能別層構造を形成しやすいため、特に、電子素子や光学素子等への応用に有利である。
本発明の第2の実施形態においては、ZnOおよびMgO溶解度や溶媒蒸発量、好ましくはPbOおよびBi2O3蒸発量あるいはPbF2およびPbO蒸発量が大きく変化しない範囲で、液相成長温度の制御、溶媒粘性の調整および異種元素ドーピングを目的として、溶媒に第三成分を1種または2種以上添加することができる。例えば、B2O3、P2O5、V2O5、MoO3、WO3、SiO2、BaOなどが挙げられる。また、PbOおよびPbF2溶媒に、第三成分としてBi2O3を添加してもよい。
また、本発明の好ましい態様においては、Al、Ga、In、HおよびFからなる群より選択される1以上を含有させることで、電気伝導性を持つMg含有ZnO系混晶単結晶を液相エピタキシャル成長法で製造できる。
また、本発明の好ましい態様においては、Al、Ga、In、HおよびFからなる群より選択される1以上を含有させることで、電気伝導性を持つMg含有ZnO系混晶単結晶を液相エピタキシャル成長法で製造できる。
本発明の第3の実施形態は、上記第2に記載のMg含有ZnO系混晶単結晶の製造方法によって得られた自立Mg含有ZnO系混晶単結晶ウエファーであって、50μm以上の厚みを有し、膜厚方向、および、面内方向の何れに対しても均一なZnとMgの化学組成を有し、表裏面のうち少なくとも1面がエピタキシャル成長用基板として利用可能な平坦性を有することを特徴とする自立Mg含有ZnO系混晶単結晶ウエファーである。厚みが50μm未満では取り扱うのが困難となるため好ましくない。厚みの上限は規定されないが、500μmを超えると成長時間が長くなる。自立Mg含有ZnO系混晶単結晶ウエファーの膜厚方向、および、面内方向の組成均一性は、好ましくは±10%以内、更に好ましくは±5%以内である。組成均一性の評価方法は、前述したとおりである。組成均一性が±10%を超えると近紫外域での透過率が減少するので好ましくない。自立Mg含有ZnO混晶単結晶ウエファーの表裏面のうち少なくとも1面の平坦性は、エピタキシャル成長可能な程度であればよい。例えば、自立Mg含有ZnO系混晶単結晶ウエファー任意の位置の50μm四方のRaが0.5nm以下であることが好ましく、更に好ましくは0.3nmm以下である。0.5nmを超えるとLED成長膜が3次元成長したり、ピット不良が増える傾向があるので好ましくない。一方、表裏面の平坦性はできるだけ近い方が好ましい。表面と裏面とで平坦性が異なると、反りの発生要因となる。
本発明の好ましい実施形態は、バンドギャップ(Eg)値がウエファーの面内方向、および、厚み方向に対して均一であり、かつ、3.30eVを超える自立Mg含有ZnO系混晶単結晶ウエファーである。バンドギャップ(Eg)値の均一性は、前述のとおりPLおよびCL発光波長から求めることができる。ZnO系混晶単結晶のバンドギャップが3.30eVを下回るようではMgOの混晶化率が低くなる。
本発明の好ましい態様では、第2に記載のMg含有ZnO系混晶単結晶の製造方法によって得られた自立Mg含有ZnO系混晶単結晶ウエファーは、Al、Ga、In、HおよびFからなる群より選択される1以上を含有する。Al、Ga、In、HおよびFからなる群より選択される1以上を含有することにより、電気伝導性を発現することが可能となる。研磨やエッチング等により成長で用いた基板を除去すれば、電子素子や光学素子の表裏面に電極を形成することができる。従って、自立化した導電性があるMg含有ZnO系混晶単結晶を提供できることになる。このように導電性を有する自立Mg含有ZnO系混晶単結晶は、ZnO−LEDデバイスにおいてLED光に透明で、格子整合し、導電性を持つ基板とすることができる。
本発明の好ましい態様では、第2に記載のMg含有ZnO系混晶単結晶の製造方法によって得られた自立Mg含有ZnO系混晶単結晶ウエファーは、Li濃度が、ウエファーの面内方向、および、厚み方向に対し均一であり、かつ、好ましくは1×1015個/cm3以下、更に好ましくは1×1014個/cm3以下である。ここで、Li濃度が1×1015個/cm3以下で均一であるとは、デバイス動作を不安定化するLi濃度が自立化膜全体で1×1015個/cm3以下であることを意味する。Li濃度の均一性は、前述した方法で評価することができる。
以下、本発明の一実施形態に係わるMg含有ZnO系混晶単結晶の育成法として、ZnO基板単結晶上にMg含有ZnO系混晶単結晶を液相エピタキシャル成長法によって成長させる方法について説明する。本発明は、以下の実施例に何ら限定されるものではない。
ここで用いた炉の構成図を図4に示す。
単結晶製造炉内には、原料を溶融し融液として収容する白金るつぼ4が、るつぼ台9の上に設けられている。白金るつぼ4の外側にあって側方には、白金るつぼ4内の原料を加熱して溶融する3段の側部ヒーター(上段ヒーター1、中央部ヒーター2、下段ヒーター3)が設けられている。ヒーターは、それらの出力が独立に制御され、融液に対する加熱量が独立して調整される。ヒーターと製造炉の内壁との間には、炉心管11が設けられ、炉心管11の上部には炉内の開閉を行う炉蓋12が設けられている。白金るつぼ4の上方には引上げ機構が設けられている。引上げ機構には引上軸5が固定され、その先端には、基板ホルダー6とホルダーで固定された基板7が設けられている。引上軸5上部には、引上軸5を回転させる機構が設けられている。白金るつぼ4の下方には、るつぼの温度を管理するための熱電対10が設けられている。成長炉を構成する部材については、非Al系が好適である。非Al系炉材としては、ZnO炉材が最適であるが、市販されていないことを考慮すると、ZnO薄膜に混入してもキャリヤとして働かない材料としてMgOが好適である。また、アルミナ+シリカで構成されるムライト製炉材を使用してもLPE膜中のSi不純物濃度が増えないSIMS分析結果を考慮すると、石英炉材も好適である。その他には、カルシヤ、シリカ、ZrO2およびジルコン(ZrO2+SiO2)、SiC、Si3N4等も利用可能である。
単結晶製造炉内には、原料を溶融し融液として収容する白金るつぼ4が、るつぼ台9の上に設けられている。白金るつぼ4の外側にあって側方には、白金るつぼ4内の原料を加熱して溶融する3段の側部ヒーター(上段ヒーター1、中央部ヒーター2、下段ヒーター3)が設けられている。ヒーターは、それらの出力が独立に制御され、融液に対する加熱量が独立して調整される。ヒーターと製造炉の内壁との間には、炉心管11が設けられ、炉心管11の上部には炉内の開閉を行う炉蓋12が設けられている。白金るつぼ4の上方には引上げ機構が設けられている。引上げ機構には引上軸5が固定され、その先端には、基板ホルダー6とホルダーで固定された基板7が設けられている。引上軸5上部には、引上軸5を回転させる機構が設けられている。白金るつぼ4の下方には、るつぼの温度を管理するための熱電対10が設けられている。成長炉を構成する部材については、非Al系が好適である。非Al系炉材としては、ZnO炉材が最適であるが、市販されていないことを考慮すると、ZnO薄膜に混入してもキャリヤとして働かない材料としてMgOが好適である。また、アルミナ+シリカで構成されるムライト製炉材を使用してもLPE膜中のSi不純物濃度が増えないSIMS分析結果を考慮すると、石英炉材も好適である。その他には、カルシヤ、シリカ、ZrO2およびジルコン(ZrO2+SiO2)、SiC、Si3N4等も利用可能である。
以上より、非Al系の炉材としてMgOおよび/または石英から構成される成長炉を用いてMg含有ZnO系混晶単結晶(Zn1-xMgxOの組成で表される)を成長させることが好ましい。更に、成長炉が、るつぼを載置するためのるつぼ台、該るつぼ台の外周を取り囲むように設けられた炉心管、該炉心管の上部に設けられ、炉内の開閉を行う炉蓋、及び種結晶または基板を上下させるための引上軸が、それぞれ独立に、MgOまたは石英によって作製されているものが好ましく使用される。
白金るつぼ内の原料を溶融するため、原料が溶融するまで製造炉を昇温する。好ましくは800〜1100℃まで昇温し、2〜3時間静置して原料融液を安定化させる。Pt製攪拌羽根で攪拌することで、静置時間を短縮してもよい。このとき、3段ヒーターにオフセットを掛け、融液表面よりるつぼ底が数度高くなるよう調節する。好ましくは、−100℃≦H1オフセット≦0℃、0℃≦H3オフセット≦100℃、さらに好ましくは、−50℃≦H1オフセット≦0℃、0℃≦H3オフセット≦50℃である。るつぼ底温度が700〜950℃の種付け温度になるよう調節し、融液の温度が安定化した後、基板を5〜300rpmで回転させながら、引上軸を下降させることで基板を融液表面に接液する。基板を融液になじませた後、温度一定または、0.01〜3.0℃/hrで温度降下を開始し、基板面に目的とするMg含有ZnO系混晶単結晶を成長させる。成長時も基板は引上軸の回転によって5〜300rpmで回転しており、一定時間間隔ごとに逆回転させる。30分から200時間程度結晶成長させた後、基板を融液から切り離し、引上軸を50〜300rpm程度の高速で回転させることで、融液成分を分離させる。その後、室温まで1〜24時間かけて冷却して目的のZnO単結晶あるいはMg含有ZnO系混晶単結晶を得る。
(実施例1)
以下の工程により、Mg含有ZnO系混晶単結晶を液相エピタキシャル(Liquid phase epitaxial:LPE)成長法で作製した。内径75mmΦ、高さ75mmh、厚さ1mmの白金るつぼに、原料としてZnO、MgO、Al2O3、PbO、およびBi2O3をそれぞれ、32.94g、1.81g、0.002g、800.61gおよび834.39g仕込んだ。このときの溶質であるZnOの濃度は7mol%で、ZnとMgの比はMgO/(ZnO+MgO)=10mol%で、溶媒であるPbOおよびBi2O3の濃度は、PbO:Bi2O3=66.7mol%:33.3mol%となる。原料を仕込んだるつぼを図4に示す炉に設置し、るつぼ底温度約840℃で1時間保持しPt攪拌冶具で攪拌し溶解させた。その後、るつぼ底温度が約808℃になるまで降温してから、水熱合成法で育成した+c面方位でサイズが10mm×10mm×538μmtのZnO単結晶基板を種結晶として接液し、引上軸を30rpmで回転させながら同温度で80時間成長させた。また、H1、H2、H3の設定温度は、オフセット差を維持したまま、−0.1℃/hrの速度で降温させた。また、LPE成長の間、すなわち80時間かけて連続的に引上げ軸を500μm程度引上げた。このときの軸引上げ速度は約6.3μm/hrとなる。このとき、軸回転方向は2分おきに反転させた。その後、引上軸を上昇させることで、融液から切り離し、100rpmで軸を回転させることで、融液成分を振り切り、その後室温まで徐冷して無色透明のMg含有ZnO系混晶単結晶をクラックフリーで得た。LPE成長膜厚は397μmで、このときの成長速度は、約5.0μm/hrであった。続いて、以下に示す自立化処理を施した。裏面(水熱合成基板の−c面側)を、セラミックスプレートにWAXで固定した。横型平面研削盤で+c面のLPE面が平坦になるよう約50μm研削処理した。その後、表裏を張替え、水熱合成基板の厚みに相当する量を研削処理することで自立Mg含有ZnO系混晶単結晶を得た。厚みは約347μm程度であった。自立膜をセラミックスプレートに再度WAX固定し、ダイヤモンドスラリーでラップ処理を、コロイダルシリカでポリッシュ処理を施した。自立膜の表裏の研磨量は、+面で33μm、−面で28μmであった。自立膜中央部50μm四方について原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscopy:AFM)で平坦性を評価したところ、Ra=0.3nmであった。
以下の工程により、Mg含有ZnO系混晶単結晶を液相エピタキシャル(Liquid phase epitaxial:LPE)成長法で作製した。内径75mmΦ、高さ75mmh、厚さ1mmの白金るつぼに、原料としてZnO、MgO、Al2O3、PbO、およびBi2O3をそれぞれ、32.94g、1.81g、0.002g、800.61gおよび834.39g仕込んだ。このときの溶質であるZnOの濃度は7mol%で、ZnとMgの比はMgO/(ZnO+MgO)=10mol%で、溶媒であるPbOおよびBi2O3の濃度は、PbO:Bi2O3=66.7mol%:33.3mol%となる。原料を仕込んだるつぼを図4に示す炉に設置し、るつぼ底温度約840℃で1時間保持しPt攪拌冶具で攪拌し溶解させた。その後、るつぼ底温度が約808℃になるまで降温してから、水熱合成法で育成した+c面方位でサイズが10mm×10mm×538μmtのZnO単結晶基板を種結晶として接液し、引上軸を30rpmで回転させながら同温度で80時間成長させた。また、H1、H2、H3の設定温度は、オフセット差を維持したまま、−0.1℃/hrの速度で降温させた。また、LPE成長の間、すなわち80時間かけて連続的に引上げ軸を500μm程度引上げた。このときの軸引上げ速度は約6.3μm/hrとなる。このとき、軸回転方向は2分おきに反転させた。その後、引上軸を上昇させることで、融液から切り離し、100rpmで軸を回転させることで、融液成分を振り切り、その後室温まで徐冷して無色透明のMg含有ZnO系混晶単結晶をクラックフリーで得た。LPE成長膜厚は397μmで、このときの成長速度は、約5.0μm/hrであった。続いて、以下に示す自立化処理を施した。裏面(水熱合成基板の−c面側)を、セラミックスプレートにWAXで固定した。横型平面研削盤で+c面のLPE面が平坦になるよう約50μm研削処理した。その後、表裏を張替え、水熱合成基板の厚みに相当する量を研削処理することで自立Mg含有ZnO系混晶単結晶を得た。厚みは約347μm程度であった。自立膜をセラミックスプレートに再度WAX固定し、ダイヤモンドスラリーでラップ処理を、コロイダルシリカでポリッシュ処理を施した。自立膜の表裏の研磨量は、+面で33μm、−面で28μmであった。自立膜中央部50μm四方について原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscopy:AFM)で平坦性を評価したところ、Ra=0.3nmであった。
次に、得られた自立膜の表裏面についてPL発光波長の分布測定を行ったところ、表裏面とも357.5nm±0.2nmの分布となった。これをバンドギャップに換算すると、Eg=3.468eV±0.002eVとなる。Mg含有ZnO系混晶単結晶では、Mg/(Zn+Mg)組成が10%±1%(組成変化では±10%に相当)変動するとPL発光波長が357.5nm±2.1nm程度、バンドギャップが3.468eV±0.20eV程度変化するので、実施例1における自立化膜のMg/(Zn+Mg)均一性は約±1%となり、同様にバンドギャップ均一性は約±0.6%となる。また、得られた自立化膜をc面に垂直に切断した面のCL発光波長分布を測定したところ、PL発光波長と同じEg=3.468eV±0.2nmとなった。以上の結果から、実施例1における自立化膜のMg/(Zn+Mg)均一性は±1%以内となり、面内方向および膜厚方向何れの方向においても組成均一性は±10%以内であることを示している。
続いて、自立化膜表裏面とc面に垂直に切断した面についてダイナミックSIMSを用いてLi濃度を測定したところ、何れの面においてもLi濃度は、検出下限である5×1013個/cm3以下であった。
実施例1におけるLPE成長条件、研削および研磨膜厚、物性を表1に示す。尚、「キャリヤ濃度」および「キャリヤ移動度」は、東陽テクニカ製ホール効果・比抵抗測定装置を用い、Van Der Pauw法により室温で測定した。
続いて、自立化膜表裏面とc面に垂直に切断した面についてダイナミックSIMSを用いてLi濃度を測定したところ、何れの面においてもLi濃度は、検出下限である5×1013個/cm3以下であった。
実施例1におけるLPE成長条件、研削および研磨膜厚、物性を表1に示す。尚、「キャリヤ濃度」および「キャリヤ移動度」は、東陽テクニカ製ホール効果・比抵抗測定装置を用い、Van Der Pauw法により室温で測定した。
(実施例2−6)
実施例1のMgO仕込み組成と軸引上げ方式を変えて表2の方法で自立化膜を得た。何れの膜においてもPL発光波長から求めたバンドギャップは3.32から3.54eVで、水熱合成基板よりバンドギャップがワイド化された自立Mg含有ZnO系混晶単結晶ウエファーとなっていることを示している。また、何れの膜においても(002)面ロッキングカーブ半値幅は27−45arcsecで高い結晶性を有している。また、自立化処理後の表裏面のLi濃度は全て検出下限以下の5×1013個/cm3以下であった。
一方、実施例6では、軸引上げ方法を連続的から間欠的に変更した。軸を停止させて16時間経過したら軸を100μm引上げる工程を5回繰り返し、80時間で軸を合計500μm引上げた。引上げ平均速度は6.3μm/hrで実施例5の引上げ速度と同じである。結晶性を示す(002)面のロッキングカーブ半値幅では、実施例6の方が結晶性が低下している。間欠的引上げを行うと、軸を引上げたときの結晶成長の不安定性を反映した結果と思われる。
実施例1のMgO仕込み組成と軸引上げ方式を変えて表2の方法で自立化膜を得た。何れの膜においてもPL発光波長から求めたバンドギャップは3.32から3.54eVで、水熱合成基板よりバンドギャップがワイド化された自立Mg含有ZnO系混晶単結晶ウエファーとなっていることを示している。また、何れの膜においても(002)面ロッキングカーブ半値幅は27−45arcsecで高い結晶性を有している。また、自立化処理後の表裏面のLi濃度は全て検出下限以下の5×1013個/cm3以下であった。
一方、実施例6では、軸引上げ方法を連続的から間欠的に変更した。軸を停止させて16時間経過したら軸を100μm引上げる工程を5回繰り返し、80時間で軸を合計500μm引上げた。引上げ平均速度は6.3μm/hrで実施例5の引上げ速度と同じである。結晶性を示す(002)面のロッキングカーブ半値幅では、実施例6の方が結晶性が低下している。間欠的引上げを行うと、軸を引上げたときの結晶成長の不安定性を反映した結果と思われる。
(比較例2−6)
軸引上げを行わなかったこと以外は、実施例2−6と同じ方法で自立Mg含有ZnO系混晶単結晶ウエファー膜を製造した(それぞれ、実施例番号に対応して比較例2−6とする)。何れの成長膜においてもPt治工具を基点としたフラックス析出が見られ、成長中、冷却中、研削/研磨の何れかの工程でクラックが発生した。以上の結果より、自立Mg含有ZnO系混晶単結晶ウエファーを得るための厚膜成長を行う場合、軸引上げ成長を行うことで、Pt治工具を基点としたフラックス析出を抑制することが可能となることがわかる。フラックス析出が抑制されると、成長、冷却および研削/研磨の各工程でのクラック発生を低減することが可能となる。
軸引上げを行わなかったこと以外は、実施例2−6と同じ方法で自立Mg含有ZnO系混晶単結晶ウエファー膜を製造した(それぞれ、実施例番号に対応して比較例2−6とする)。何れの成長膜においてもPt治工具を基点としたフラックス析出が見られ、成長中、冷却中、研削/研磨の何れかの工程でクラックが発生した。以上の結果より、自立Mg含有ZnO系混晶単結晶ウエファーを得るための厚膜成長を行う場合、軸引上げ成長を行うことで、Pt治工具を基点としたフラックス析出を抑制することが可能となることがわかる。フラックス析出が抑制されると、成長、冷却および研削/研磨の各工程でのクラック発生を低減することが可能となる。
(実施例7−8)
実施例6において、間欠的な軸引上げを連続的な軸引上げに変更し、連続的な軸引上げ速度を2.0μm/hrに変更した以外は、実施例6と同様に実施例7を行った。実施例6において、間欠的な軸引上げを連続的な軸引上げに変更し、連続的な軸引上げ速度を50.0μm/hrとし、成長時間を80時間から40時間に変更した以外、実施例6と同様に実施例8を行った。実施例7及び8では、クラック発生なしに自立膜を製造することができた。実施例7および8で得た自立化膜の物性面では、格子定数やバンドギャップは実施例6とほとんど同じであったが、成長速度が低い実施例7では、(002)面のロッキングカーブ半値幅が狭まり、結晶性の良化が見られた。一方、成長速度が速い実施例8では(002)面のロッキングカーブ半値幅が拡がり、結晶性の低下が見られた。
本発明は、以下の態様を含むものである。
<1> 厚み50μm以上の板状形状を有し、板の厚み方向、および、面内方向の何れに対しても均一なZnとMgとの化学組成を有し、かつ、表裏面のうち少なくとも1面がエピタキシャル成長可能な平坦性を有することを特徴とする自立Mg含有ZnO系混晶単結晶ウエファー。
<2> バンドギャップ(Eg)値が、ウエファーの面内方向、および、厚み方向に対して均一であり、かつ、3.30eVを超える上記<1>に記載の自立Mg含有ZnO系混晶単結晶ウエファー。
<3> Li濃度が、ウエファーの面内方向、および、厚み方向に対し均一であり、かつ、1×1015個/cm3以下である上記<1>または<2>に記載の自立Mg含有ZnO系混晶単結晶ウエファー。
<4> Al、Ga、In、H、およびFからなる群より選択される1以上を含有する上記<1>から<3>のいずれかに記載の自立Mg含有ZnO系混晶単結晶ウエファー。
<5> ZnOおよびMgOと溶媒とを混合して融解させた後、得られた融液に、種結晶基板を直接接触させる工程と、前記種結晶基板を連続的あるいは間欠的に引上げることによってMg含有ZnO系混晶単結晶を前記種結晶基板上に成長させる工程と、を有することを特徴とする液相エピタキシャル成長法によるMg含有ZnO系混晶単結晶の製造方法。
<6> 溶質であるZnOおよびMgOと、溶媒であるPbOおよびBi2O3とを混合して融解させた後、得られた融液に、種結晶基板を直接接触させる工程と、前記種結晶基板を連続的あるいは間欠的に引上げることによってMg含有ZnO系混晶単結晶を前記種結晶基板上に成長させる工程と、を有することを特徴とする上記<5>に記載の液相エピタキシャル成長法によるMg含有ZnO系混晶単結晶の製造方法。
<7> 前記溶質と溶媒との混合比が、ZnOのみに換算した溶質:溶媒=5〜30mol%:95〜70mol%であり、溶媒であるPbOとBi2O3との混合比が、PbO:Bi2O3=0.1〜95mol%:99.9〜5mol%である上記<6>に記載のMg含有ZnO系混晶単結晶の製造方法。
<8> 溶質であるZnOおよびMgOと、溶媒であるPbF2およびPbOとを混合して融解させた後、得られた融液に、種結晶基板を直接接触させる工程と、前記種結晶基板を連続的あるいは間欠的に引上げることによってMg含有ZnO系混晶単結晶を前記種結晶基板上に成長させる工程と、を有することを特徴とする上記<5>に記載の液相エピタキシャル成長法によるMg含有ZnO系混晶単結晶の製造方法。
<9> 前記溶質と溶媒との混合比が、ZnOのみに換算した溶質:溶媒=2〜20mol%:98〜80mol%であり、溶媒であるPbF2とPbOとの混合比が、PbF2:PbO=80〜20mol%:20〜80mol%である上記<8>に記載のMg含有ZnO系混晶単結晶の製造方法。
<10> 連続的に種結晶基板を引上げる速度Vが、2μm/hr≦V≦50μm/hrである上記<5>から<9>のいずれかに記載のMg含有ZnO系混晶単結晶の製造方法。
<11> 間欠的に種結晶基板を引上げる平均速度vが、2μm/hr≦v≦50μm/hrである上記<5>から<9>のいずれかに記載のMg含有ZnO系混晶単結晶の製造方法。
<12> 前記Mg含有ZnO系混晶単結晶の膜厚が100μm以上である上記<5>から<11>のいずれかに記載のMg含有ZnO系混晶単結晶の製造方法。
<13> 前記Mg含有ZnO系混晶単結晶の成長方位が+c面である上記<5>から<12>のいずれかに記載のMg含有ZnO系混晶単結晶の製造方法。
<14> 前記Mg含有ZnO系混晶単結晶を成長させた後、前記種結晶基板を研磨またはエッチングで除去し、前記単結晶の液相エピタキシャル成長した−c面側を少なくとも10μm以上研磨またはエッチングする工程を有する、上記<5>から<13>のいずれかに記載のMg含有ZnO系混晶単結晶の製造方法。
<15> 上記<14>に記載のMg含有ZnO系混晶単結晶の製造方法によって自立Mg含有ZnO系混晶単結晶を製造した後、これを種結晶基板として用い、この基板上に更にZnOあるいはMg含有ZnO系混晶単結晶を成長させることを特徴とするMg含有ZnO系混晶単結晶積層体の製造方法。
<16> 上記<14>に記載のMg含有ZnO系混晶単結晶の製造方法によって得られた自立Mg含有ZnO系混晶単結晶ウエファーであって、50μm以上の板状形状を有し、板の厚み方向、および、面内方向の何れに対しても均一なZnとMgとの化学組成を有し、かつ、表裏面のうち少なくとも1面がエピタキシャル成長可能な平坦性を有することを特徴とする自立Mg含有ZnO系混晶単結晶ウエファー。
<17> バンドギャップ(Eg)値が、ウエファーの面内方向、および、厚み方向に対して均一であり、かつ、3.30eVを超える上記<16>に記載の自立Mg含有ZnO系混晶単結晶ウエファー。
<18> Li濃度が、ウエファーの面内方向、および、厚み方向に対し均一であり、かつ、1×1015個/cm3以下である上記<16>または<17>に記載の自立Mg含有ZnO系混晶単結晶ウエファー。
<19> Al、Ga、In、H、およびFからなる群より選択される1以上を含有する上記<16>から<18>のいずれかに記載の自立Mg含有ZnO系混晶単結晶ウエファー。
<1> 厚み50μm以上の板状形状を有し、板の厚み方向、および、面内方向の何れに対しても均一なZnとMgとの化学組成を有し、かつ、表裏面のうち少なくとも1面がエピタキシャル成長可能な平坦性を有することを特徴とする自立Mg含有ZnO系混晶単結晶ウエファー。
<2> バンドギャップ(Eg)値が、ウエファーの面内方向、および、厚み方向に対して均一であり、かつ、3.30eVを超える上記<1>に記載の自立Mg含有ZnO系混晶単結晶ウエファー。
<3> Li濃度が、ウエファーの面内方向、および、厚み方向に対し均一であり、かつ、1×1015個/cm3以下である上記<1>または<2>に記載の自立Mg含有ZnO系混晶単結晶ウエファー。
<4> Al、Ga、In、H、およびFからなる群より選択される1以上を含有する上記<1>から<3>のいずれかに記載の自立Mg含有ZnO系混晶単結晶ウエファー。
<5> ZnOおよびMgOと溶媒とを混合して融解させた後、得られた融液に、種結晶基板を直接接触させる工程と、前記種結晶基板を連続的あるいは間欠的に引上げることによってMg含有ZnO系混晶単結晶を前記種結晶基板上に成長させる工程と、を有することを特徴とする液相エピタキシャル成長法によるMg含有ZnO系混晶単結晶の製造方法。
<6> 溶質であるZnOおよびMgOと、溶媒であるPbOおよびBi2O3とを混合して融解させた後、得られた融液に、種結晶基板を直接接触させる工程と、前記種結晶基板を連続的あるいは間欠的に引上げることによってMg含有ZnO系混晶単結晶を前記種結晶基板上に成長させる工程と、を有することを特徴とする上記<5>に記載の液相エピタキシャル成長法によるMg含有ZnO系混晶単結晶の製造方法。
<7> 前記溶質と溶媒との混合比が、ZnOのみに換算した溶質:溶媒=5〜30mol%:95〜70mol%であり、溶媒であるPbOとBi2O3との混合比が、PbO:Bi2O3=0.1〜95mol%:99.9〜5mol%である上記<6>に記載のMg含有ZnO系混晶単結晶の製造方法。
<8> 溶質であるZnOおよびMgOと、溶媒であるPbF2およびPbOとを混合して融解させた後、得られた融液に、種結晶基板を直接接触させる工程と、前記種結晶基板を連続的あるいは間欠的に引上げることによってMg含有ZnO系混晶単結晶を前記種結晶基板上に成長させる工程と、を有することを特徴とする上記<5>に記載の液相エピタキシャル成長法によるMg含有ZnO系混晶単結晶の製造方法。
<9> 前記溶質と溶媒との混合比が、ZnOのみに換算した溶質:溶媒=2〜20mol%:98〜80mol%であり、溶媒であるPbF2とPbOとの混合比が、PbF2:PbO=80〜20mol%:20〜80mol%である上記<8>に記載のMg含有ZnO系混晶単結晶の製造方法。
<10> 連続的に種結晶基板を引上げる速度Vが、2μm/hr≦V≦50μm/hrである上記<5>から<9>のいずれかに記載のMg含有ZnO系混晶単結晶の製造方法。
<11> 間欠的に種結晶基板を引上げる平均速度vが、2μm/hr≦v≦50μm/hrである上記<5>から<9>のいずれかに記載のMg含有ZnO系混晶単結晶の製造方法。
<12> 前記Mg含有ZnO系混晶単結晶の膜厚が100μm以上である上記<5>から<11>のいずれかに記載のMg含有ZnO系混晶単結晶の製造方法。
<13> 前記Mg含有ZnO系混晶単結晶の成長方位が+c面である上記<5>から<12>のいずれかに記載のMg含有ZnO系混晶単結晶の製造方法。
<14> 前記Mg含有ZnO系混晶単結晶を成長させた後、前記種結晶基板を研磨またはエッチングで除去し、前記単結晶の液相エピタキシャル成長した−c面側を少なくとも10μm以上研磨またはエッチングする工程を有する、上記<5>から<13>のいずれかに記載のMg含有ZnO系混晶単結晶の製造方法。
<15> 上記<14>に記載のMg含有ZnO系混晶単結晶の製造方法によって自立Mg含有ZnO系混晶単結晶を製造した後、これを種結晶基板として用い、この基板上に更にZnOあるいはMg含有ZnO系混晶単結晶を成長させることを特徴とするMg含有ZnO系混晶単結晶積層体の製造方法。
<16> 上記<14>に記載のMg含有ZnO系混晶単結晶の製造方法によって得られた自立Mg含有ZnO系混晶単結晶ウエファーであって、50μm以上の板状形状を有し、板の厚み方向、および、面内方向の何れに対しても均一なZnとMgとの化学組成を有し、かつ、表裏面のうち少なくとも1面がエピタキシャル成長可能な平坦性を有することを特徴とする自立Mg含有ZnO系混晶単結晶ウエファー。
<17> バンドギャップ(Eg)値が、ウエファーの面内方向、および、厚み方向に対して均一であり、かつ、3.30eVを超える上記<16>に記載の自立Mg含有ZnO系混晶単結晶ウエファー。
<18> Li濃度が、ウエファーの面内方向、および、厚み方向に対し均一であり、かつ、1×1015個/cm3以下である上記<16>または<17>に記載の自立Mg含有ZnO系混晶単結晶ウエファー。
<19> Al、Ga、In、H、およびFからなる群より選択される1以上を含有する上記<16>から<18>のいずれかに記載の自立Mg含有ZnO系混晶単結晶ウエファー。
1:上段ヒーター
2:中断ヒーター
3:下段ヒーター
4:Ptるつぼ
5:引上軸
6:基板ホルダー
7:基板
8:融液
9:るつぼ台
10:熱電対
11:炉心管
12:炉蓋
2:中断ヒーター
3:下段ヒーター
4:Ptるつぼ
5:引上軸
6:基板ホルダー
7:基板
8:融液
9:るつぼ台
10:熱電対
11:炉心管
12:炉蓋
Claims (15)
- ZnOおよびMgOと溶媒とを混合して融解させた後、得られた融液に、種結晶基板を直接接触させる工程と、前記種結晶基板を連続的あるいは間欠的に引上げることによってMg含有ZnO系混晶単結晶を前記種結晶基板上に成長させる工程と、を有することを特徴とする液相エピタキシャル成長法によるMg含有ZnO系混晶単結晶の製造方法。
- 溶質であるZnOおよびMgOと、溶媒であるPbOおよびBi2O3とを混合して融解させた後、得られた融液に、種結晶基板を直接接触させる工程と、前記種結晶基板を連続的あるいは間欠的に引上げることによってMg含有ZnO系混晶単結晶を前記種結晶基板上に成長させる工程と、を有することを特徴とする請求項1に記載の液相エピタキシャル成長法によるMg含有ZnO系混晶単結晶の製造方法。
- 前記溶質と溶媒との混合比が、ZnOのみに換算した溶質:溶媒=5〜30mol%:95〜70mol%であり、溶媒であるPbOとBi2O3との混合比が、PbO:Bi2O3=0.1〜95mol%:99.9〜5mol%である請求項2に記載のMg含有ZnO系混晶単結晶の製造方法。
- 溶質であるZnOおよびMgOと、溶媒であるPbF2およびPbOとを混合して融解させた後、得られた融液に、種結晶基板を直接接触させる工程と、前記種結晶基板を連続的あるいは間欠的に引上げることによってMg含有ZnO系混晶単結晶を前記種結晶基板上に成長させる工程と、を有することを特徴とする請求項1に記載の液相エピタキシャル成長法によるMg含有ZnO系混晶単結晶の製造方法。
- 前記溶質と溶媒との混合比が、ZnOのみに換算した溶質:溶媒=2〜20mol%:98〜80mol%であり、溶媒であるPbF2とPbOとの混合比が、PbF2:PbO=80〜20mol%:20〜80mol%である請求項4に記載のMg含有ZnO系混晶単結晶の製造方法。
- 連続的に種結晶基板を引上げる速度Vが、2μm/hr≦V≦50μm/hrである請求項1から5のいずれかに記載のMg含有ZnO系混晶単結晶の製造方法。
- 間欠的に種結晶基板を引上げる平均速度vが、2μm/hr≦v≦50μm/hrである請求項1から5のいずれかに記載のMg含有ZnO系混晶単結晶の製造方法。
- 前記Mg含有ZnO系混晶単結晶の膜厚が100μm以上である請求項1から7のいずれかに記載のMg含有ZnO系混晶単結晶の製造方法。
- 前記Mg含有ZnO系混晶単結晶の成長方位が+c面である請求項1から8のいずれかに記載のMg含有ZnO系混晶単結晶の製造方法。
- 前記Mg含有ZnO系混晶単結晶を成長させた後、前記種結晶基板を研磨またはエッチングで除去し、前記単結晶の液相エピタキシャル成長した−c面側を少なくとも10μm以上研磨またはエッチングする工程を有する、請求項1から9のいずれかに記載のMg含有ZnO系混晶単結晶の製造方法。
- 請求項10に記載のMg含有ZnO系混晶単結晶の製造方法によって自立Mg含有ZnO系混晶単結晶を製造した後、これを種結晶基板として用い、この基板上に更にZnOあるいはMg含有ZnO系混晶単結晶を成長させることを特徴とするMg含有ZnO系混晶単結晶積層体の製造方法。
- 請求項10に記載のMg含有ZnO系混晶単結晶の製造方法によって得られた自立Mg含有ZnO系混晶単結晶ウエファーであって、50μm以上の板状形状を有し、板の厚み方向、および、面内方向の何れに対しても均一なZnとMgとの化学組成を有し、かつ、表裏面のうち少なくとも1面がエピタキシャル成長可能な平坦性を有することを特徴とする自立Mg含有ZnO系混晶単結晶ウエファー。
- バンドギャップ(Eg)値が、ウエファーの面内方向、および、厚み方向に対して均一であり、かつ、3.30eVを超える請求項12に記載の自立Mg含有ZnO系混晶単結晶ウエファー。
- Li濃度が、ウエファーの面内方向、および、厚み方向に対し均一であり、かつ、1×1015個/cm3以下である請求項12または13に記載の自立Mg含有ZnO系混晶単結晶ウエファー。
- Al、Ga、In、H、およびFからなる群より選択される1以上を含有する請求項12から14のいずれかに記載の自立Mg含有ZnO系混晶単結晶ウエファー。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013086893A JP2013173673A (ja) | 2013-04-17 | 2013-04-17 | 自立Mg含有ZnO系混晶単結晶ウエファーおよびそれに用いるMg含有ZnO系混晶単結晶の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013086893A JP2013173673A (ja) | 2013-04-17 | 2013-04-17 | 自立Mg含有ZnO系混晶単結晶ウエファーおよびそれに用いるMg含有ZnO系混晶単結晶の製造方法 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2008080629A Division JP2009234824A (ja) | 2008-03-26 | 2008-03-26 | 自立Mg含有ZnO系混晶単結晶ウエファーおよびそれに用いるMg含有ZnO系混晶単結晶の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2013173673A true JP2013173673A (ja) | 2013-09-05 |
Family
ID=49266965
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2013086893A Withdrawn JP2013173673A (ja) | 2013-04-17 | 2013-04-17 | 自立Mg含有ZnO系混晶単結晶ウエファーおよびそれに用いるMg含有ZnO系混晶単結晶の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2013173673A (ja) |
-
2013
- 2013-04-17 JP JP2013086893A patent/JP2013173673A/ja not_active Withdrawn
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5146310B2 (ja) | 液相成長法によるZnO単結晶の製造方法 | |
JP4647525B2 (ja) | Iii族窒化物結晶の製造方法 | |
US5530267A (en) | Article comprising heteroepitaxial III-V nitride semiconductor material on a substrate | |
JP5260881B2 (ja) | Mg含有ZnO系混晶単結晶、その積層体およびそれらの製造方法 | |
JP5068423B2 (ja) | 炭化珪素単結晶インゴット、炭化珪素単結晶ウェハ及びその製造方法 | |
JP4757029B2 (ja) | Iii族窒化物結晶の製造方法 | |
JP4593099B2 (ja) | 単結晶炭化ケイ素の液相エピタキシャル成長法及びそれに用いられる熱処理装置 | |
KR102296061B1 (ko) | β-Ga2O3계 단결정 기판 | |
KR102372706B1 (ko) | β-Ga₂O₃계 단결정 기판 | |
JP5031651B2 (ja) | 炭化珪素単結晶インゴットの製造方法 | |
WO2009119411A1 (ja) | ZnO単結晶の製造方法、それによって得られた自立ZnO単結晶ウエファー、並びに自立Mg含有ZnO系混晶単結晶ウエファーおよびそれに用いるMg含有ZnO系混晶単結晶の製造方法 | |
JP2009234824A (ja) | 自立Mg含有ZnO系混晶単結晶ウエファーおよびそれに用いるMg含有ZnO系混晶単結晶の製造方法 | |
JP2013067524A (ja) | 酸化ガリウム基板とその製造方法 | |
JP4157326B2 (ja) | 4h型炭化珪素単結晶インゴット及びウエハ | |
JP2009234825A (ja) | ZnO単結晶の製造方法およびそれによって得られた自立ZnO単結晶ウエファー | |
CN107002283A (zh) | 13族元素氮化物结晶基板及功能元件 | |
JP2013173673A (ja) | 自立Mg含有ZnO系混晶単結晶ウエファーおよびそれに用いるMg含有ZnO系混晶単結晶の製造方法 | |
RU2369669C2 (ru) | Подложка для выращивания эпитаксиальных слоев нитрида галлия | |
JP5218960B2 (ja) | 二ホウ化ジルコニウム(ZrB2)単結晶の育成法及び半導体形成用基板 | |
JP5424476B2 (ja) | 単結晶基板、その製造方法、当該単結晶基板上に形成してなる半導体薄膜、および半導体構造 | |
JP2017014029A (ja) | 窒化ガリウム結晶の製造方法、窒化ガリウム結晶、及び窒化ガリウム結晶基板 | |
JP2007031252A (ja) | ホウ化物単結晶及びその製造方法並びにそれを用いた半導体成長用基板 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A761 | Written withdrawal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20131216 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20140110 |