以下、本発明の一例としての実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
(第1の実施の形態)
図1は本発明の一実施の形態に係る画像形成装置の一例の概念図である。
本実施の形態の画像形成装置1は、例えばタンデム型のカラープリンタであり、複数の作像ユニット20と、中間転写ベルト(像保持体の一例)30と、バックアップロール41および二次転写ロール(転写手段の一例)42の対と、用紙供給トレイ50a,50bと、用紙搬送系60と、定着装置70とを備えている。
作像ユニット20は、例えば、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの各色のトナー像を形成する4つのカラー用の作像ユニット20Y,20M,20C,20Kと、例えば、透明色のトナー像を転写する透明色用の作像ユニット20CL,20CLとを備えており、各色の画像情報に応じて形成したトナー像を中間転写ベルト30に一次転写するようになっている。
これら6基の作像ユニット20CL,20Y、20M、20C、20Kは中間転写ベルト30の回転方向に沿って透明色、透明色、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの各色の順に配置されている。なお、透明色に代えて、例えばライトイエロー、ライトマゼンタ、ライトシアンまたはライトブラックのような淡色のトナー像を転写する淡色用の作像ユニットを設けても良い。また、透明色用の作像ユニット20CLと淡色用の作像ユニットとの両方を並べて設けても良い。
各作像ユニット20は、感光体ドラム21と、感光体ドラム21の表面を規定の電位に帯電させる帯電装置22と、帯電された感光体ドラム21上にレーザ光Lを照射して静電潜像を形成する露光装置23と、露光装置23により感光体ドラム21上に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像装置24と、感光体ドラム21上のトナー像を一次転写部において中間転写ベルト30に転写する一次転写ロール25と、トナー像を転写した後の感光体ドラム21の表面から残留トナーや紙粉を除去するドラムクリーナ26とを備えている。なお、各作像ユニット20の上方には、現像装置24に現像剤を供給するトナーカートリッジ27が設置されている。
各作像ユニット20の一次転写ロール25は、中間転写ベルト30を挟むようにして配置されている。そして、各一次転写ロール25にトナーの帯電電極に対して逆極性の転写バイアス電圧が印加されることにより、感光体ドラム21と一次転写ロール25との間に電界が形成され、感光体ドラム21上で電荷を帯びているトナー像がクーロン力により中間転写ベルト30に転写されるようになっている。なお、感光体ドラム21は一次転写に際して時計回りの方向に回転する。
上記中間転写ベルト30は、各作像ユニット20により形成された各色成分のトナー像が順次転写(一次転写)され保持される部材である。この中間転写ベルト30は、複数の支持ロール31a〜31fおよびバックアップロール41に掛け渡された状態で無端状に形成されており、反時計回りの周方向に回転しながら各色の作像ユニット20CL,20Y,20M,20C,20Kで形成されたトナー像の一次転写を受けるようになっている。
上記バックアップロール41および二次転写ロール42の対は、中間転写ベルト30上に多重転写されたトナー像を用紙(記録媒体の一例)等に一括転写(二次転写)してフルカラー画像を形成するための機構部であり、中間転写ベルト30を挟んで互いに対向した状態で配置されている。バックアップロール41と、二次転写ロール42との対向部が二次転写部となっている。
バックアップロール41は、中間転写ベルト30の裏面側に回転自在に設置され、二次転写ロール42は、中間転写ベルト30のトナー像転写面に対向した状態で回転自在に設置されている。バックアップロール41と二次転写ロール42とは、その各々の回転軸方向(図1の紙面に垂直な方向)が互いに沿うように配置されている。
中間転写ベルト30のトナー像の転写においては、バックアップロール41にトナーの帯電極性と同極性の電圧を印加するか、または、二次転写ロール42にトナーの帯電極性と逆極性の電圧を印加することにより、バックアップロール41と、それに対向する二次転写ロール42との間に形成される転写電界により、中間転写ベルト30上に保持された未定着トナー像が用紙上に転写される。
上記用紙供給トレイ50a,50bには、各種サイズの用紙等が収容されている。用紙供給トレイ50a,50b内の用紙は、用紙搬送系60のピックアップロール(図示せず)により引き出された後、用紙搬送系60のレジストロール62によりタイミングが制御されて二次転写部に導入されてトナー像が転写され、さらにその後、用紙搬送系60の搬送ベルト63,64を通じて定着装置70へと搬送される。
定着装置70は、二次転写部において用紙に転写された未定着のトナー像を熱圧着により用紙に定着させる装置であり、定着パッド(加熱手段の一例、第1の加熱手段の一例)71と、これに対向するように設けられた加圧ロール(加圧手段の一例)72と、それらの間の定着ニップ部Nを通過するように設けられた加熱ベルト(加熱部材の一例)73とを備えている。二次転写後の用紙は、定着パッド71と加圧ロール72との対向間の定着ニップ部Nに搬送され、加熱ベルト73と加圧ロール72とに挟まれた状態で送り出される。この時、用紙が定着パッド71および加熱ベルト73により加熱されるとともに、加圧ロール72により加圧されることにより、トナー像が用紙に定着されるようになっている。この定着装置70を通過した用紙は、搬送ベルト65を通じて排出ロール(図示せず)に送られ、画像形成装置1の外部に排出されるようになっている。
次に、上記した定着装置70について図2を参照して説明する。なお、図2は図1の定着装置70の一例の概念図を示している。
定着装置70は、上記した定着パッド71、加圧ロール72および加熱ベルト73の他に、内部加熱ロール(加熱手段の一例)74と、外部加熱ロール(加熱手段の一例)75と、支持ロール76a,76bと、冷却ファン77とを備えている。
定着パッド71は、用紙Pおよび加熱ベルト73を加熱する加熱手段であり、内部加熱ロール74および外部加熱ロール75よりも熱容量が大きく昇温速度が遅い部材である。
この定着パッド71は、中空状の芯金(図示せず)と、その外周を覆う離型層(図示せず)と、芯金の中空内に設けられたハロゲンランプ71Lとを備えている。芯金は、例えばアルミニウム、鉄またはステンレス等のような金属からなり、離型層は、例えばフッ素系の樹脂からなる。
ハロゲンランプ71Lは、定着パッド71の加熱源であり、本実施の形態では、例えば3本のハロゲンランプ71Lが定着パッド71に設置されている。ただし、ハロゲンランプ71Lの本数は、これに限定されるものではなく、2本以下または4本以上でも良い。また、用紙Pのサイズに応じて最適な温度分布が形成されるように発熱量が異なるハロゲンランプを複数本配置し、それらのハロゲンランプを用紙Pのサイズに応じて使い分けるようにしても良い。また、用紙Pの幅方向(図2の紙面に垂直な方向)の中央と端部とで温度差が生じる場合には、用紙Pの面内温度が均一になるように用紙Pの幅方向の中央と端部との各々に対応するようにハロゲンランプを配置しても良い。
このような定着パッド71において加熱ベルト73が接触しない側には、例えばサーミスタのような温度検出センサ(温度検出手段の一例)71Sが定着パッド71に接触した状態で設置されている。温度検出センサ71Sは、定着パッド71の長手方向(図2の紙面に対して垂直な方向)の中央に配置されているが、これに限定されるものではなく、定着パッド71の長手方向の両端(非通紙領域)に配置しても良い。
上記加圧ロール72は、中空円筒状の芯金72Aと、その外周を覆う弾性層72Bと、その弾性層72Bの外周を覆う離型層72Cとを備えている。芯金72Aは、例えばアルミニウム、鉄またはステンレス等のような金属からなり、弾性層72Bは、例えばシリコーンゴムのような耐熱性を有する絶縁材料からなり、離型層72Cは、例えばフッ素系の樹脂からなる。
この加圧ロール72は、定着パッド71に近づく方向および定着パッド71から離れる方向に移動自在の状態で設置されており、定着処理に際しては弾性部材(バネ)により定着パッド71に押しつけられるようになっている。これにより、定着パッド71と加圧ロール72との対向間に定着ニップ部Nが形成される。
このような加圧ロール72の外周には、例えばサーミスタのような温度検出センサ72Sが接触した状態で設置されている。温度検出センサ72Sの配置の仕方は定着パッド71の温度検出センサ71Sと同様に、加圧ロール72の長手方向(図2の紙面に対して垂直な方向)の中央または長手方向の両端(非通紙領域)に配置されている。
また、加圧ロール72は、時計回りの方向に回転自在に設けられている。この加圧ロール72の回転により、用紙Pが下流に搬送されるとともに、加熱ベルト73が周方向(反時計回りの方向)に回転(従動)するようになっている。
上記加熱ベルト73は、例えばポリイミド樹脂のような耐熱性絶縁基材上に、例えば、例えばシリコーンゴムからなる弾性層を介して、例えばフッ素系の樹脂からなる離型層が積層された無端ベルトからなり、定着パッド71と、内部加熱ロール74と、支持ロール76a,76bに掛け渡された状態で周方向(反時計回りの方向)に回転自在に設けられている。
この加熱ベルト73は、定着パッド71と加圧ロール72との対向間の定着ニップ部Nを通過するように掛け渡されている。定着ニップ部Nに搬送された用紙Pは、加熱ベルト73と加圧ロール72に挟まれた状態で定着パッド71および加熱ベルト73により加熱されるとともに加圧ロール72により加圧される。これにより、用紙Pの未定着のトナー像は、用紙Pに定着される。
このような加熱ベルト73を用いた場合、加熱ベルト73を使用せず定着ロールのみで用紙Pを加熱する場合に比べて、定着温度の低下が抑制される。このため、画像形成装置1の処理速度が高速であっても定着に充分な熱量が確保される。また、加熱ベルト73は用紙のサイズよりも長くとれるので、用紙Pの全体がほぼ均一に加熱される。このため、光沢段差の発生も抑制または防止される。
また、加熱ベルト73と定着パッド71との間には、オイルが介在されている。これにより、定着パッド71と加熱ベルト73との接触抵抗が低減されるので、加熱ベルト73の回転移動が滑らかになる。また、そのため、定着パッド71と加熱ベルト73との接触に起因する加熱ベルト73の損傷が抑制または防止される。
上記内部加熱ロール74は、加熱ベルト73をその内周面側から加熱する加熱手段である。この内部加熱ロール74は、例えばアルミニウム、鉄またはステンレス等のような金属からなり、外部加熱ロール75よりも熱容量が大きく昇温速度が遅い部材である(すなわち、加熱ベルト73を加熱する手段の中で2番目に昇温速度が遅い)。
この内部加熱ロール74は、定着パッド71および外部加熱ロール75よりも加圧ロール72から離れた位置に配置されており、加熱ベルト73の回転に従動するように回転自在の状態で設置されている。
また、この内部加熱ロール74の内部には、ハロゲンランプ74が設置されている。このハロゲンランプ74Lは、内部加熱ロール74の加熱源であり、本実施の形態では、例えば4本のハロゲンランプ74Lが内部加熱ロール74に設置されている。ただし、ハロゲンランプ74Lの本数は、これに限定されるものではなく、3本以下または5本以上でも良い。また、ハロゲンランプ74Lの配置の仕方は、定着パッド71のハロゲンランプ71Lと同様に、発熱量が異なるハロゲンランプを複数本配置し、用紙のサイズに応じてハロゲンランプを使い分けても良いし、用紙の中央と端部との各々に対応するようにハロゲンランプを配置しても良い。
この内部加熱ロール74において加熱ベルト73が接触しない側には、例えばサーミスタのような温度検出センサ(温度検出手段の一例)74Sが内部加熱ロール74の外周に接触した状態で設置されている。この温度検出センサ74Sの配置の仕方は、定着パッド71の温度検出センサ71Sと同様に、内部加熱ロール74の長手方向(図2の紙面に対して垂直な方向)の中央に配置しても良いし、内部加熱ロール74の長手方向の両端(非通紙領域)に配置しても良い。
上記外部加熱ロール75は、加熱ベルト73をその外周面側から加熱する加熱手段である。この外部加熱ロール75は、例えばアルミニウム、鉄またはステンレス等のような金属からなり、加熱ベルト73を加熱する加熱手段の中で最も熱容量が最も小さく昇温速度が速い部材である。
外部加熱ロール75は、定着パッド71と内部加熱ロール74との間であって加熱ベルト73の枠外に加熱ベルト73を枠内側に押し込むように接触した状態で設置されているとともに、加熱ベルト73の回転に従動するように回転自在の状態で設置されている。
また、この外部加熱ロール75の内部には、ハロゲンランプ75Lが設置されている。このハロゲンランプ75Lは、外部加熱ロール75の加熱源であり、本実施の形態では、例えば3本のハロゲンランプ75Lが外部加熱ロール75に設置されている。ただし、ハロゲンランプ75Lの本数は、これに限定されるものではなく、2本以下または4本以上でも良い。また、ハロゲンランプ75Lの配置の仕方は、定着パッド71のハロゲンランプ71Lと同様に、発熱量が異なるハロゲンランプを複数本配置し、用紙のサイズに応じてハロゲンランプを使い分けても良いし、用紙の中央と端部との各々に対応するようにハロゲンランプを配置しても良い。
この外部加熱ロール75において加熱ベルト73が接触しない側には、例えばサーミスタのような温度検出センサ(温度検出手段の一例)75Sが外部加熱ロール75の外周に接触した状態で設置されている。この温度検出センサ75Sの配置の仕方は、定着パッド71の温度検出センサ71Sと同様に、外部加熱ロール75の長手方向(図2の紙面に対して垂直な方向)の中央に配置しても良いし、外部加熱ロール75の長手方向の両端(非通紙領域)に配置しても良い。
次に、上記した画像形成装置1の要部の回路ブロック図を図3に示す。
CPU(Central Processing Unite:制御手段)は、画像形成装置1の画像処理を制御する装置である。CPUには、メモリMEが電気的に接続されている他、上記した定着装置70のハロゲンランプ71L,74L,75Lに電力を供給する電力供給源71LG,74LG,75LGと、上記した温度検出センサ71S,74S,75Sと、上記した加圧ロール72を回転駆動するモータ等のような駆動体72Mとが電気的に接続されている。
ところで、加熱ベルト73は、その回転が停止した状態で長時間放置されていると型(曲がり癖)が付いてしまい回転開始時にスリップ等のような回転不良を発生させる場合がある。そこで、画像形成処理に先立つ定着装置70のウォームアップ段階において加熱ベルト73の回転を停止した状態で定着パッド71、内部加熱ロール74および外部加熱ロール75のハロゲンランプ71L,74L,75Lに電力を供給して加熱ベルト73を加熱し、加熱ベルト73を軟化してから回転させるようにしている。これにより、加熱ベルト73の曲がり癖に起因する回転不良が回避される。
しかし、上記のように定着パッド71、内部加熱ロール74および外部加熱ロール75は各々の熱容量が異なり昇温速度も異なるので、これら複数の加熱手段の加熱を同時に開始し、これらの検出温度が全てが予め設定された温度に到達するのを待つと、熱容量の小さい(昇温速度が最も速い)加熱手段(ここでは、例えば外部加熱ロール75)の温度が高くなり過ぎてしまい、加熱ベルト73が高温状態の外部加熱ロール75に長時間接触することになり、加熱ベルト73が溶融してしまう場合がある。
これは、加熱ベルト73の回転が停止している場合に、加熱ベルト73を加熱すると、外部加熱ロール75の円周方向で温度分布ムラが生じ、同じ外部加熱ロール75の外周であっても加熱ベルト73が接触している外周部分の温度の方が、温度検出センサ75Sが接触している外周部分の温度よりも高くなっている場合があることに起因している。
そこで、本実施の形態においてCPUは、画像形成処理に先立つ定着装置70のウォームアップ段階(加熱ベルト73の回転駆動の前段階)において、加熱ベルト73を加熱する定着パッド71、内部加熱ロール74および外部加熱ロール75の複数の加熱手段のうち、昇温速度の遅い加熱手段から順に発熱を開始する制御を行うようになっている。すなわち、定着パッド71、内部加熱ロール74および外部加熱ロール75の順にハロゲンランプ71L、74L,75Lに電力を供給して時間をずらして発熱を開始する。これにより、熱容量の小さい(昇温速度が最も速い)加熱手段(ここでは、例えば外部加熱ロール75)の温度が高くなり過ぎてしまうことが回避されるので、その加熱手段による加熱ベルト73の過剰な加熱が回避される。したがって、加熱ベルト73の溶融が防止される。
ここで、定着パッド71の発熱を開始してから予め設定された時間毎に内部加熱ロール74および外部加熱ロール75の発熱を順に開始しても良い。しかし、画像処理装置1の外部の温度等のような環境に応じて、内部加熱ロール74および外部加熱ロール75において最適な発熱開始時間が変動する場合がある。
そこで、本実施の形態においてCPUは、温度検出センサ71Sにより測定された定着パッド71の検出温度値を基準にして、内部加熱ロール74および外部加熱ロール75の発熱を開始する制御を行うようになっている。
この場合、当該画像形成装置1において、画像形成装置1の外部の温度値と定着パッド71の検出温度値との関係情報をメモリMEに記憶しておく。この情報には、外部温度値に応じて内部加熱ロール74および外部加熱ロール75の加熱開始をするのに最適な定着パッド71の検出温度値が記録されている。
そして、定着装置70のウォームアップ段階においては、画像形成装置1の外部の温度を検出する温度検出センサ(図示せず)からの情報と、画像形成装置1の外部の温度値と定着パッド71の検出温度値との関係情報とに基づいて、定着パッド71の検出温度値が何度の時に内部加熱ロール74および外部加熱ロール75の発熱を開始するかを決めるようにしている。これにより、定着装置70の外部環境による外乱を考慮して内部加熱ロール74および外部加熱ロール75の加熱開始が制御される。
次に、このような定着装置70のウォームアップ段階の定着パッド71、内部加熱ロール74および外部加熱ロール75の温度制御例について図2、図4および図5を参照して説明する。
なお、図5は温度検出センサ71Sによる検出温度と定着パッド71、内部加熱ロール74および外部加熱ロール75の加熱開始時間との関係を示したグラフの図である。以下の説明では、温度検出センサ71Sの検出温度をTA、温度検出センサ74Sの検出温度をTB、温度検出センサ75Sの検出温度をTCとする。
まず、昇温速度が最も遅い定着パッド71のハロゲンランプ71Lに電力を供給して定着パッド71の発熱を開始する(図4のステップ100)。続いて、定着パッド71の検出温度TAが、予め設定された温度Te1以上か否かを判断する(図4のステップ101)。温度Te1は、特に限定されるものではないが、例えば110℃程度である。そして、定着パッド71の検出温度TAが、温度Te1以上になったら、次に昇温速度が遅い内部加熱ロール74のハロゲンランプ74Lに電力を供給して内部加熱ロール74の発熱を開始する(図4のステップ102、図5の時刻t1参照)。
続いて、定着パッド71の検出温度TAが、予め設定された温度Te2以上か否かを判断する(図4のステップ103)。温度Te2は、温度Te1よりも高く、特に限定されるものではないが、例えば120℃程度である。そして、定着パッド71の検出温度TAが、温度Te2以上になったら、次に昇温速度が遅い外部加熱ロール75のハロゲンランプ75Lに電力を供給して外部加熱ロール75の発熱を開始する(図4のステップ104、図5の時刻t2参照)。
その後、定着パッド71、内部加熱ロール74および外部加熱ロール75の検出温度TA,TB,TCが、予め設定された温度Te3以上か否かを判断する(図4のステップ105)。温度Te3は、例えば定着温度であり、150℃程度である。そして、定着パッド71、内部加熱ロール74および外部加熱ロール75の各々の検出温度TA,TB,TCが、温度Te3以上になったら(図5の時刻t3参照)、加圧ロール72を回転駆動することにより加熱ベルト73の回転駆動を開始する(図4のステップ106)。このようにして定着装置70のウォームアップを終了する。
このような温度制御により、熱容量の小さい(昇温速度が最も速い)加熱手段(ここでは、例えば外部加熱ロール75)の温度が高くなり過ぎてしまうことが回避されるので、その加熱手段による加熱ベルト73の過剰な加熱が回避される。したがって、加熱ベルト73の溶融が防止される。
また、温度検出センサ71Sにより測定された定着パッド71の検出温度値を基準にして、内部加熱ロール74および外部加熱ロール75の発熱を開始することにより、定着装置70の外部環境による外乱を考慮して内部加熱ロール74および外部加熱ロール75の加熱開始が制御される。
(第2の実施の形態)
図6は本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置の定着装置70の概念図を示している。
本実施の形態においては、定着パッド71に代えて定着ロール78が回転自在の状態で設置されている。定着ロール78は、用紙Pおよび加熱ベルト73を加熱する加熱源であり、熱容量が最も大きく昇温速度が最も遅い部材である。
また、この定着ロール78は、例えばアルミニウム、鉄またはステンレス等のような金属からなり、その内部には、ハロゲンランプ78Lが設置されている。このハロゲンランプ78Lは、定着ロール78の加熱源であり、本実施の形態では、例えば3本のハロゲンランプ78Lが定着ロール78に設置されている。ただし、ハロゲンランプ78Lの本数は、これに限定されるものではなく、2本以下または4本以上でも良い。また、ハロゲンランプ78Lの配置の仕方は、上記した定着パッド71のハロゲンランプ71Lと同様に、発熱量が異なるハロゲンランプを複数本配置し、用紙Pのサイズに応じてハロゲンランプを使い分けても良いし、用紙の中央と端部との各々に対応するようにハロゲンランプを配置しても良い。
この定着ロール78において加熱ベルト73が接触しない側には、例えばサーミスタのような温度検出センサ(温度検出手段の一例)78Sが定着ロール78の外周に接触した状態で設置されている。この温度検出センサ78Sの配置の仕方は、上記した定着パッド71の温度検出センサ71Sと同様に、定着ロール78の長手方向(図2の紙面に対して垂直な方向)の中央に配置しても良いし、定着ロール78の長手方向の両端(非通紙領域)に配置しても良い。
また、定着ロール78は、加熱ベルト73および加圧ロール72の回転駆動源となっており、定着ロール78の回転により用紙Pが搬送されるとともに、加熱ベルト73および加圧ロール72が回転(従動)するようになっている。
この定着ロール78の横(用紙Pの搬送下流側)には剥離パッド79が定着ロール78の軸方向全域に隣接した状態で設置されている。剥離パッド79は、剥離パッドニップ部を形成するとともに、定着処理後の用紙Pを加熱ベルト73から剥離する機能を備えている。定着ロール78および剥離パッド79と加熱ベルト73との間には、オイルが介在されている。これにより、定着ロール78および剥離パッド79と加熱ベルト73との接触抵抗が低減されるので、加熱ベルト73の回転移動が滑らかになる。また、そのため、定着ロール78および剥離パッド79と加熱ベルト73との接触に起因する加熱ベルト73の損傷が抑制または防止される。
これ以外の構成は前記第1の実施の形態と同じである。また、温度制御についても定着パッド71が定着ロール78および剥離パッド79に代わるだけで他は同じなので説明を省略する。
以上本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって、開示された技術に限定されるものではないと考えるべきである。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈されるべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲の要旨を逸脱しない限りにおけるすべての変更が含まれる。
例えば、前記実施の形態においては、中間転写ベルトに転写されたトナー像を用紙に転写する中間転写方式の画像形成装置に適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、感光体ドラム(像保持体の一例)のトナー像を用紙等に直接転写する直接転写方式の画像形成装置に適用しても良い。
また、前記実施の形態においては、カラー画像を形成する場合について説明したが、例えばモノクロ画像を形成する場合に適用しても良い。
また、前記実施の形態においては、記録媒体として用紙に適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、フィルム、はがき等、画像が形成される様々なものに適用しても良い。