JP2013150973A - セシウム吸着剤、その製造方法、およびセシウムの除去方法 - Google Patents

セシウム吸着剤、その製造方法、およびセシウムの除去方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 セシウムの選択的吸着性が高く、酸性溶液中での吸着性能が低下せず、また、簡便にセシウムを除去可能であり、さらに、連続処理が可能な、セシウム吸着剤、その製造方法、およびセシウムの除去方法を提供する。
【解決手段】 本発明のセシウム吸着剤は、下記の(a)及び(b)の少なくとも一方を含むことを特徴とする。
(a)フェロシアン化金属化合物を含む基材であって、前記基材が表面積を広げる処理(多孔質化処理)をされていない基材。
(b)フェロシアン化金属化合物を含む基材であって、前記フェロシアン化金属化合物がプルシアンブルーである基材。
【選択図】 なし

Description

本発明は、セシウム吸着剤、その製造方法、およびセシウムの除去方法に関する。
従来、セシウムの除去方法としては、例えば、ゼオライト吸着法が知られている(非特許文献1参照)。また、粉末状のプルシアンブルーを排水等に添加し、攪拌した後、セシウムを吸着したプルシアンブルー粉末を沈殿させ、沈殿物をろ過等により分離する処理方法が用いられている(非特許文献2参照)。
FUMIO KAWAMURA,KENJI MOTOJIMA,NUCLEAR TECHNOLOGY,VOL.58 AUG.1982 G.B.Barton,J.L.Hepworth,E.D.McClanahan,J.r.R.L.Moore,H.H.Van Tuyl,"Chemical processing wastes.Recovering fission products,"Ind.Eng.Chem.,50[2],212(1958)
しかし、前記ゼオライト吸着法は、セシウムの選択的吸着性が低く、また、酸性溶液中で吸着性能が低下するという問題がある。また、前記粉末状のプルシアンブルーを用いる方法は、沈殿したプルシアンブルーを回収するのに労力がかかり、沈殿物を全て回収するのは困難であるという問題がある。さらに、前記粉末状のプルシアンブルーを用いた場合、連続処理ができないという問題がある。
そこで、本発明は、セシウムの選択的吸着性が高く、酸性溶液中でも吸着性能が低下せず、また、簡便にセシウムを除去可能であり、さらに、連続処理が可能な、セシウム吸着剤、その製造方法、およびセシウムの除去方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明のセシウム吸着剤は、下記の(a)及び(b)の少なくとも一方を含むことを特徴とする。
(a)フェロシアン化金属化合物を含む基材であって、前記基材が表面積を広げる処理(多孔質化処理)をされていない基材。
(b)フェロシアン化金属化合物を含む基材であって、前記フェロシアン化金属化合物がプルシアンブルーである基材。
本発明のセシウム吸着剤の製造方法は、
前記セシウム吸着剤が、下記の(a)及び(b)の少なくとも一方を含み、
前記製造方法が、前記基材にフェロシアン化化合物水溶液を含浸させる(X)工程、及び、前記基材にフェロシアン化金属化合物を生成する金属塩水溶液を含浸させる(Y)工程を含み、
前記X工程及び前記Y工程において、前記(a)の基材の製造の場合は、前記基材が表面積を広げる処理(多孔質化処理)をされておらず、前記(b)の基材の製造の場合は、前記フェロシアン化金属化合物がプルシアンブルーであることを特徴とする。
(a)フェロシアン化金属化合物を含む基材であって、前記基材が表面積を広げる処理(多孔質化処理)をされていない基材。
(b)フェロシアン化金属化合物を含む基材であって、前記フェロシアン化金属化合物がプルシアンブルーである基材。
本発明によれば、セシウムの選択的吸着性が高く、酸性溶液中での吸着性能が低下せず、また、簡便にセシウムを除去可能であり、さらに、連続処理が可能な、セシウム吸着剤、その製造方法、およびセシウムの除去方法を提供することができる。このため、本発明は、例えば、排水等に含まれるセシウムの除去において、極めて有用である。
図1は、本発明の実施例2における、吸着前のセシウム濃度に対する、吸着後の溶液中のセシウム濃度の変化を示すグラフである。 図2は、本発明の実施例2における、吸着前のセシウム濃度に対する、セシウム吸着量の変化を示すグラフである。 図3は、本発明の実施例5における、吸着前のセシウム濃度に対する、吸着後の溶液中のセシウム濃度の変化を示すグラフである。 図4は、本発明の実施例5における、吸着前のセシウム濃度に対する、セシウム吸着量の変化を示すグラフである。 図5は、本発明の実施例8における、セシウム吸着量のpH依存性を示すグラフである。 図6は、本発明の実施例9〜11における、セシウム吸着率のpH依存性を示すグラフである。 図7は、本発明の実施例12〜13における、セシウム吸着率のpH依存性を示すグラフである。 図8(a)(b)(c)は、本発明の具体的な使用方法の例を示した図である。 図9は、本発明における木質基材の一例を示す図である。
本発明のセシウム吸着剤において、前記(a)のフェロシアン化金属化合物は、プルシアンブルーであることが好ましい。
本発明のセシウム吸着剤において、前記(a)及び前記(b)における前記基材は、植物由来基材であることが好ましい。
本発明のセシウム吸着剤において、前記植物由来基材が、木質基材であることが好ましい。木質基材の詳細については、後述する。
本発明のセシウム吸着剤において、マグネシウム塩を含むことが好ましい。
本発明のセシウム吸着剤の製造方法において、前記(X)工程及び前記(Y)工程が、一方の工程の後に他方の工程を実施するか、又は、前記両工程を同時に実施することが好ましい。
本発明のセシウム吸着剤の製造方法において、前記(a)のフェロシアン化金属化合物は、プルシアンブルーであることが好ましい。
本発明のセシウム吸着剤の製造方法において、前記(a)及び前記(b)における前記基材は、植物由来基材であることが好ましい。
本発明のセシウム吸着剤の製造方法において、前記植物由来基材が、木質基材であることが好ましい。
本発明のセシウム吸着剤の製造方法において、前記(Y)工程において、前記金属塩水溶液に可溶性マグネシウム塩を含むことが好ましい。
本発明のセシウムの除去方法は、セシウム吸着剤にセシウムを吸着させてセシウムを除去するセシウムの除去方法であって、前記セシウム吸着剤が、本発明のセシウム吸着剤であることを特徴とする。
本発明のセシウムの除去方法において、前記基材が植物由来基材、例えば、木質基材の場合、セシウムを吸着した前記セシウム吸着剤を焼却して減容化することが好ましい。
本発明のセシウムの除去方法において、除去するセシウムが、可溶性マグネシウム塩を含む水溶液中に含まれていることが好ましい。
本発明のセシウムの除去方法において、前記可溶性マグネシウム塩を含む水溶液が、海水であることが好ましい。
次に、本発明について、例をあげて詳細に説明する。但し、本発明は、以下の説明によって限定および制限されない。
前述のように、本発明のセシウム吸着剤は、下記の(a)及び(b)の少なくとも一方を含むことを特徴とする。
(a)フェロシアン化金属化合物を含む基材であって、前記基材が表面積を広げる処理(多孔質化処理)をされていない基材。
(b)フェロシアン化金属化合物を含む基材であって、前記フェロシアン化金属化合物がプルシアンブルーである基材。
本発明において、前記多孔質化処理とは、前述のとおり、表面積を広げる処理をいう。細孔とは、表面に形成される凹凸の深さが、凹部の直径よりも大きいものをいい、前記細孔をもつ物質を多孔体(多孔質材)という(例えば、「化学セミナー 16 吸着の化学 丸善 第10〜11頁 1991年発行」参照)。前記多孔質材の表面積は様々である。例えば、活性炭および木材は、いずれも多孔質材であるが、前者は、マイクロ孔(孔径 0.5〜2nm)を有して表面積が大きい(〜1000m/g)のに対し、後者は、マクロ孔(>50nm)を有して表面積が比較的小さい(<1m/g)。前記木材が、例えば、木材パルプ(比重0.4)である場合は、表面積が、0.49m/gであり、針葉樹材(比重0.4)である場合の表面積は、0.20m/gである(例えば、「改訂3版 木材工業ハンドブック 丸善 第100頁 1982年発行」参照)。前記多孔質化処理とは、例えば、前者である活性炭の表面積と同程度にまで表面積を広げる処理をいう。具体的には、酸素のない状態で熱分解する炭化法や水蒸気、二酸化炭素を含むガスや塩化亜鉛などの薬品を共存させ加熱する賦活法性などがある(例えば、「吉田弘之監修 多孔質吸着材ハンドブック フジ・テクノシステム 第19頁 2005年発行」参照)。本発明において、前記多孔質化処理されていない基材としては、例えば、多孔質化処理をされていない植物由来基材が挙げられ、前記多孔質化処理をされていない植物由来基材としては、後述する木質基材等が挙げられる。
本発明において、前記フェロシアン化金属化合物は、例えば、プルシアンブルー(フェロシアン化鉄)、フェロシアン化銅、フェロシアン化ニッケル、フェロシアン化亜鉛等があげられる。
プルシアンブルーとは、フェロシアン化鉄のことであり、Fe[Fe(CN)で表され、また、鉄以外の陽イオンをさらに含み、AyFe[Fe(CN)]x(xおよびyは任意の数、Aは陽イオン)で表されてもよい。Aとしては、例えば、カリウムイオン、アンモニウムイオン等があげられる。また、プルシアンブルーは、ヘキサシアノ鉄(II)酸鉄(III)ともいう。プルシアンブルーは、顔料の一種であり、セシウムに対して顕著な吸着効果を示すことが知られている。そのため、基材にプルシアンブルーを沈着させることにより、セシウムに対する高い選択的吸着性を持つ吸着剤を実現できる。本発明のセシウム吸着剤において、前述のように、前記(a)のフェロシアン化金属化合物がプルシアンブルーであることが好ましい。
本発明において、前記基材は、例えば、ゼオライト、シリカゲル等の無機質基材、植物由来基材等があげられるが、前述のように、植物由来基材が好ましい。前記植物由来基材は、特に制限されないが、例えば、炭質基材、木質基材、竹質基材、葉質基材、穀質基材、藻質基材などがあげられ、中でも、木質基材が好ましい。
本発明において、前記木質基材とは、木材を削って小片化したものをいう。前記木質基材の大きさは、特に制限されず、大きいものは、木質チップ、小さいものは、おがくず等の細かい屑状のものを含む。木材を小片化する際には、例えば、冨士鋼業株式会社製「フジ・キングチッパー」、フリッチュジャパン株式会社製「実験用カッティングミルP−15」等、小片化するための専門の機械を使用することができる。また、前記木質基材は、例えば、図9において20で示すような、木質シートであってもよい。
従来の技術常識では、例えばゼオライト、活性炭などの表面積の広い多孔質材の方が、すぐれた吸着性を示すと考えられる。しかし、本発明者らは、後述の実施例に記載しているように、前記多孔質材(〜1000m/g)よりも表面積の比較的小さい(<1m/g)木質基材の方が高いセシウム吸着性を示すことを見出した。木質基材は、前記多孔質材と比べ、入手しやすく、コストが低い点でも好ましい。
前記木質基材は、新しい木材を小片化したものでもよいし、廃材を小片化したものでもよい。廃材は、例えば、がれきの中から入手できるため、例えば、放射性物質で汚染された災害地域において、現地で調達して製造することができる。また、廃材を使用する場合、コストを低く押さえることができる。
本発明において、前記炭質基材とは、例えば、活性炭をいう。また、前記竹質基材とは、例えば、竹を小片化したものをいう。前記葉質基材とは、例えば、落葉をいう。前記落葉は、そのまま基材として用いても良いし、例えば、粉砕して小片化してもよい。前記穀質基材とは、例えば、籾穀等をいう。前記藻質基材とは、例えば、海藻等をいう。これらの基材を小片化する際には、例えば、前述した木質基材を小片化する際に使用できる機械等、専門の機械を使用することができる。
本発明において、前記可溶性マグネシウム塩とは、例えば、塩化マグネシウム、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、およびそれらの水和物が挙げられる。
次に、本発明のセシウム吸着剤の製造方法について説明する。
前述のように、本発明のセシウム吸着剤の製造方法は、セシウム吸着剤の製造方法であって、前記セシウム吸着剤が、下記の(a)及び(b)の少なくとも一方を含み、
前記製造方法が、前記基材にフェロシアン化化合物水溶液を含浸させる(X)工程、及び、前記基材にフェロシアン化金属化合物を生成する金属塩水溶液を含浸させる(Y)工程を含み、
前記X工程及び前記Y工程において、前記(a)の基材の製造の場合は、前記基材が表面積を広げる処理(多孔質化処理)をされておらず、前記(b)の基材の製造の場合は、前記フェロシアン化金属化合物がプルシアンブルーである、ことを特徴とする。
(a)フェロシアン化金属化合物を含む基材であって、前記基材が表面積を広げる処理(多孔質化処理)をされていない基材。
(b)フェロシアン化金属化合物を含む基材であって、前記フェロシアン化金属化合物がプルシアンブルーである基材。
前述のように、本発明の製造方法において、前記(X)工程及び前記(Y)工程は、一方の工程の後に他方の工程を実施するか、又は、前記両工程を同時に実施する。なお、一方工程の終了を待たずに、他方の工程を行っても良い。
本発明の製造方法において、前記フェロシアン化化合物は、特に制限されないが、例えば、フェロシアン化カリウム(ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム)があげられる。また、前記金属塩は、例えば、鉄、銅、亜鉛、ニッケル等の可溶性塩、例えば、塩化物、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩等があげられる。
プルシアンブルーとは、前述のとおりである。プルシアンブルーは、ヘキサシアノ鉄(II)酸塩に、鉄(III)塩を添加することにより得られる。本発明の製造方法において、前述のように、前記(a)のフェロシアン化金属化合物がプルシアンブルーであることが好ましい。
前述のように、本発明の製造方法において、前記(a)及び前記(b)における前記基材が、植物由来基材であることが好ましい。また、前述のように、本発明の製造方法において、前記植物由来基材は、木質基材であることが好ましい。
本発明のセシウム吸着剤の製造方法は、具体的には、例えば、まず、木質基材等の基材に、ヘキサシアノ鉄(II)酸塩の水溶液を含浸させたのち(X工程)、乾燥させて水分を取り除く。これにより、ヘキサシアノ鉄(II)酸塩が、前記基材に沈着する。次に、前記基材に鉄(III)塩の水溶液を含浸させることにより(Y工程)、前記ヘキサシアノ鉄(II)酸塩と、鉄(III)塩とが反応して、前記基材にプルシアンブルー(ヘキサシアノ鉄(II)酸鉄(III))が沈殿する。その後、未反応の物質を除去するために、水洗いを行い、乾燥させて水分を除けば、前記基材にプルシアンブルーが沈着したセシウム吸着剤が製造される。
本発明の製造方法において、ヘキサシアノ鉄(II)酸塩の水溶液、鉄(III)塩の水溶液の順ではなく、鉄(III)塩の水溶液、ヘキサシアノ鉄(II)酸塩の水溶液の順で基材に含浸させてもよく、また、両工程を同時に行っても良い。なお、前記ヘキサシアノ鉄(II)酸塩の水溶液または前記鉄(III)塩の水溶液を含浸させた後、前記基材を乾燥させず、そのまま次の工程に移行してもよいが、乾燥させた方が、次の工程での処理がしやすくなるため、好ましい。
前記基材として、木質基材を使用する場合、木材にフェロシアン化金属化合物を沈着させた後、前記木材を小片化して木質基材に加工してもよいし、木材を木質基材に加工した後に、木質基材にフェロシアン化金属化合物を沈着させてもよい。木質基材に加工した後にフェロシアン化金属化合物を沈着させる方が、沈着させる際の作業が容易であるため、好ましい。
前記Y工程において、前記金属塩水溶液に可溶性マグネシウム塩を含めた方が、酸性、中性、およびアルカリ性溶液中においてより高いセシウム吸着性能を示し、さらに、高pH(pH≦10)でも高いセシウム吸着性能を示すため、好ましい。
次に、本発明のセシウムの除去方法について説明する。
前述のように、本発明のセシウムの除去方法は、セシウム吸着剤にセシウムを吸着させてセシウムを除去するセシウムの除去方法であって、前記セシウム吸着剤が、本発明のセシウム吸着剤であることを特徴とする。
本発明の具体的な実施例としては、例えば、原子力プラントの排水のセシウム除去に使用する方法があげられる。例えば、図8(a)に示すように、吸着剤10により形成された吸着塔11を設置し、例えばセシウム137を含む排水を流入して吸着塔11の中を通過させる。これにより、排水に含まれるセシウム137は、吸着塔11の中の吸着剤10に吸着する。使用済みの吸着剤10は、吸着塔11から取り出し、処分する。使用済みの吸着剤10は、可燃性である場合、焼却による減容化が可能である。そして、焼却後の灰は、最終処分のため、セメント固化を行うことができる。
また、本発明の実施方法として、例えば、セシウムによる汚染水域に本発明のセシウム吸着剤を沈設し、セシウムを吸着除去する方法があげられる。本発明において、前記汚染水域とは、例えば、海、湖、池、小川、溝などをいう。具体的には、例えば、図8(b)に示すように、複数の吸着剤10を、例えば布製の袋12に入れる。そして、前記袋12を、池13または溝14の中に沈めておき、一定期間後に取り出す。これにより、池13および溝14の中のセシウムが、吸着剤10に吸着する。なお、本発明の吸着剤は、例えば、小川、溝等の底に敷設してもよい。
また、本発明の具体的な実施方法として、例えば、本発明のセシウム吸着剤を土壌に敷設し、セシウムを含有する雨水からセシウムを吸着除去する方法があげられる。具体的には、例えば、図8(c)に示すように、雨樋15から雨水16が落ちる位置に吸着剤10を配置し、雨水16が土壌17に浸透する前に吸着剤10を通過するようにする。これにより、セシウムを含む雨水が土壌17に浸透するのを防ぎ、セシウムによる土壌汚染を防ぐことができる。
本発明のセシウム除去方法において、前述のように、植物由来基材、例えば、木質基材の場合、セシウムを吸着した前記セシウム吸着剤を焼却して減容化することが好ましい。本発明において、セシウム吸着後の吸着剤は、可燃性である場合、焼却による減容化が可能である。そして、焼却後の灰は、最終処分のため、セメント固化を行うことができる。
本発明のセシウム除去方法において、前述のように、除去するセシウムが、可溶性マグネシウム塩を含む水溶液中に含まれている方が、酸性、中性およびアルカリ性溶液中において、より高いセシウム吸着性能を示し、さらに高pH(pH≦10)でも高いセシウム吸着性能を示すため、好ましい。また、前記可溶性マグネシウム塩を含む水溶液が海水である方が、さらに高い吸着性能を発揮できるため、好ましい。また、海水はマグネシウムを含むため、海水中のセシウムは、本発明によって、好ましく除去できる。
次に、本発明の実施例について説明する。なお、本発明は、下記の実施例により限定および制限されない。
[実施例1]
活性炭10gに、フェロシアン化カリウム[K(Fe(CN))]の水溶液5mLを含浸後、ロータリーエバポレーター(株式会社イワキ製、REN−1000型)を用いて脱水した。その後、塩化第二鉄(FeCl・6HO)の水溶液5mLを含浸させ、ロータリーエバポレーターを用いて脱水し、プルシアンブルー担持活性炭(以下、吸着剤ともいう。)を得た。前記フェロシアン化カリウムの水溶液において、フェロシアン化カリウムの添加量は、0.5g、1.0g、1.5gおよび2.0gとした。また、前記塩化第二鉄の水溶液において、塩化第二鉄の添加量は、0.5g、1.0g、1.5g、2.0g、3.0gおよび4.0gとした。このようにして得たプルシアンブルー担持活性炭0.5gを、セシウム濃度約10mg/Lの海水50mL中に浸漬し、25℃で24時間攪拌した。その後、前記プルシアンブルー担持活性炭を、メンブレンフィルター(アドバンテック社製、DISMIC−25AS[0.45μm])にてろ別し、得られたろ液中のセシウム濃度をICP−質量分析計(日立製作所製、P−5000型)にて測定した。
その結果を表1に示す。表1に示すように、フェロシアン化カリウム0.5〜2.0g、塩化第二鉄0.5〜4.0gを使用して作成した吸着剤では、0.8〜1.0mg−Cs/g−吸着剤程度の吸着性能が得られた。また、吸着前のセシウム濃度が、10mg/Lであったのに対し、吸着後のセシウム濃度は、0.85〜2.69mg/Lであった。
Figure 2013150973
[実施例2]
フェロシアン化カリウム2.0g水溶液、塩化第二鉄2.0g水溶液を、それぞれ5mL調製した以外は、実施例1と同様にして、吸着剤を得た。セシウム濃度1mg/L、2mg/L、5mg/L、10mg/Lおよび20mg/Lの海水50mLに前記吸着剤0.5gを添加し、25℃で24時間攪拌した。その後、前記吸着剤を、メンブレンフィルター(アドバンテック社製、DISMIC−25AS[0.45μm])を用いてろ別し、得られたろ液の中のセシウム濃度をICP−質量分析計(日立製作所製、P−5000型)にて測定した。
その結果を図1および図2に示す。図1は、吸着前のセシウム濃度に対する、吸着後の溶液中のセシウム濃度の変化を示すグラフである。図1に示すように、吸着前セシウム濃度が5mg/Lまでは、吸着後の溶液中のセシウム濃度は、ごく低濃度を示した。一方、吸着前セシウム濃度が5mg/L以上では、濃度が上昇するに伴い、吸着後のセシウム濃度も増加する傾向を示したが、吸着前濃度が最も高い20mg/Lにおいても、吸着前に存在していたセシウムの約2/3は、吸着剤に吸着、除去された。また、図2は、吸着前のセシウム濃度に対する、セシウム吸着量の変化を示すグラフである。図2に示すように、セシウム吸着量は、吸着前セシウム濃度の増加にほぼ比例して、上昇した。吸着前セシウム濃度20mg/Lでは、最大、1.4mg−Cs/g−吸着剤程度の吸着性能が得られた。
[実施例3]
木質チップ(粒径:5〜20mm)10gに、フェロシアン化カリウム[K(Fe(CN))]の水溶液5mLを含浸後、ロータリーエバポレーター(株式会社イワキ製、REN−1000型)を用いて脱水した。その後、塩化第二鉄(FeCl・6HO)の水溶液5mLを含浸させ、ロータリーエバポレーターを用いて脱水し、プルシアンブルー担持木質チップ(以下、吸着剤ともいう。)を得た。前記フェロシアン化カリウムの水溶液において、フェロシアン化カリウムの添加量は、0.0g、1.0g、1.5g、2.0g、2.5g、および3.0gとした。また、前記塩化第二鉄の水溶液において、塩化第二鉄の添加量は、0.0g、1.0g、1.5g、2.0g、2.5g、および3.0gとした。このようにして得たプルシアンブルー担持木質チップ0.5gを、セシウム濃度約10mg/Lの海水50mL中に浸漬し、25℃で24時間攪拌した。その後、前記プルシアンブルー担持木質チップを、メンブレンフィルター(アドバンテック社製、DISMIC−25AS[0.45μm])にてろ別し、得られたろ液中のセシウム濃度をICP−質量分析計(日立製作所製、P−5000型)にて測定した。
その結果を表2に示す。表2に示すように、フェロシアン化カリウム1.0〜3.0g、塩化第二鉄1.0〜3.0gを使用して作成した吸着剤では、0.9〜1.0mg−Cs/g−吸着剤程度の吸着性能が得られた。なお、これらの吸着剤では、セシウム吸着後の溶液中のセシウム濃度は検出下限値以下となったことから、これらの吸着剤はこの表に示しカルシウム吸着量よりも高いセシウム量を吸着できることが推定される。
Figure 2013150973
[実施例4]
実施例3と同様にしてプルシアンブルー担持木質チップを得た。フェロシアン化カリウムの水溶液において、フェロシアン化カリウムの添加量は、1.0g、1.5g、2.0g、2.5g、および3.0gとした。また、塩化第二鉄の水溶液において、塩化第二鉄の添加量は、1.0g、1.5g、2.0g、2.5g、および3.0gとした。このようにして得たプルシアンブルー担持木質チップ0.5gを、セシウム濃度111mg/Lの海水50mL中に浸漬し、25℃で24時間攪拌した。その後、前記プルシアンブルー担持木質チップを、メンブレンフィルター(アドバンテック社製、DISMIC−25AS[0.45μm])にてろ別し、得られたろ液中のセシウム濃度をICP−質量分析計(日立製作所製、P−5000型)にて測定した。
その結果を表3に示す。表3に示すように、前記フェロシアン化カリウム1.0〜3.0g、前記塩化第二鉄1.0〜3.0gを使用して作成した吸着剤では、約10mg−Cs/g−吸着剤程度の吸着性能が得られた。フェロシアン化カリウムおよび塩化第二鉄の添加量にともない、セシウム吸着量はわずかに増加する傾向が得られた。
Figure 2013150973
[実施例5]
フェロシアン化カリウム1.0g水溶液、塩化第二鉄1.0g水溶液を、それぞれ5mL調製した以外は、実施例3と同様にして、吸着剤を得た。セシウム濃度49mg/L、111mg/L、206mg/L、および505mg/Lの海水50mLに前記吸着剤0.5gを添加し、25℃で24時間攪拌した。その後、前記吸着剤を、メンブレンフィルター(アドバンテック社製、DISMIC−25AS[0.45μm])を用いてろ別し、得られたろ液の中のセシウム濃度をICP−質量分析計(日立製作所製、P−5000型)にて測定した。
その結果を図3および図4に示す。図3は、初期セシウム濃度に対する、吸着後の溶液中のセシウム濃度の変化を示すグラフである。図3に示すように、初期セシウム濃度が100mg/L程度までは、吸着後の溶液中のセシウム濃度は、ごく低濃度を示した。一方、初期セシウム濃度が100mg/L以上では、濃度が上昇するに伴い、吸着後のセシウム濃度も増加する傾向を示した。
図4は、初期セシウム濃度に対する、セシウム吸着量の変化を示すグラフである。図4に示すように、セシウム吸着剤は、初期セシウム濃度50〜200mg/L程度の範囲では、初期セシウム濃度の増加にほぼ比例して増加したが、初期セシウム濃度が500mg/L付近では、飽和値に近い20.0mg−Cs/g−吸着剤程度の吸着性能が得られた。
[実施例6]
木質チップ(粒径:5〜20mm)10gに、フェロシアン化カリウム[K(Fe(CN))]1.0gの水溶液5mLを含浸後、ロータリーエバポレーター(株式会社イワキ製、REN−1000型)を用いて脱水した。その後、塩化銅(CuCl・2HO)1.0gの水溶液5mLを含浸させ、ロータリーエバポレーターを用いて脱水し、木質チップ粒子にCu型プルシアンブルーを担持させた。このようにして得たCu型プルシアンブルー担持木質チップ0.5gを、セシウム濃度約10mg/Lの海水50mL中に浸漬し、25℃で24時間攪拌した。その後、前記Cu型プルシアンブルー担持木質チップを、メンブレンフィルター(アドバンテック社製、DISMIC−25AS[0.45μm])にてろ別し、得られたろ液中のセシウム濃度をICP−質量分析計(日立製作所製、P−5000型)にて測定した。
[実施例7]
塩化銅(CuCl・2HO)1.0gの水溶液5mLの代わりに、塩化亜鉛(ZnCl)1.0gの水溶液5mlを用いた以外は、実施例6と同様にして、木質チップ粒子にZn型プルシアンブルーを担持させた。このようにして得たZn型プルシアンブルー担持木質チップ0.5gを、セシウム濃度約10mg/Lの海水50mL中に浸漬し、25℃で24時間攪拌した。その後、前記Zn型プルシアンブルー担持木質チップを、メンブレンフィルター(アドバンテック社製、DISMIC−25AS[0.45μm])にてろ別し、得られたろ液中のセシウム濃度をICP−質量分析計(日立製作所製、P−5000型)にて測定した。
これら実施例6および7の結果を表4に示す。表4に示すように、前記Cu型プルシアンブルー担持木質チップ(実施例6)および前記Zn型プルシアンブルー担持木質チップ(実施例7)は、海水中のセシウム吸着能を示した。前記Cu型プルシアンブルー担持木質チップでは、1.02mg−Cs/g−吸着剤程度の吸着性能が得られた。また、前記Zn型プルシアンブルー担持木質チップは、海水中では、0.95mg−Cs/g−吸着剤程度の吸着性能が得られた。
Figure 2013150973
[実施例8]
フェロシアン化カリウム[K(Fe(CN))]2.0gの水溶液、塩化第二鉄(FeCl・6HO)2.0gの水溶液を、それぞれ5mL調製した以外は、実施例1と同様にして、吸着剤を得た。海水に、1000mg/Lの塩化セシウム(CsCl)溶液、または1000mg/Lのセシウム標準溶液(HNO酸性)を、セシウム濃度が一定の9mg/Lとなるよう添加割合を変えて添加し、セシウム濃度は一定で、pHの異なる溶液を調製した。前記各溶液のpHは、2.9、3.0、3.3、3.7、4.4、5.1とした。前記各溶液に、前記吸着剤0.5gを添加し、25℃で24時間攪拌した。その後、前記吸着剤をメンブレンフィルター(アドバンテック社製、DISMIC−25AS[0.45μm])を用いてろ別し、得られたろ液中のセシウム濃度をICP−質量分析計(日立製作所製、P−5000型)にて測定した。
その結果を、図5に示す。図5は、セシウム吸着量のpH依存性を示すグラフである。図5に示すように、pH3〜5の範囲では、ほぼ一定の0.8mg−Cs/g−吸着剤程度の吸着性能が得られた。
[実施例9]
木質チップ(粒径:5〜20mm)10gに、フェロシアン化カリウム[K(Fe(CN))]1.0gの水溶液5mLを含浸後、ロータリーエバポレーター(株式会社イワキ製、REN−1000型)を用いて脱水した。その後、塩化第二鉄(FeCl・6HO)1.0gの水溶液5mLを含浸させ、ロータリーエバポレーターを用いて脱水し、プルシアンブルー担持木質チップ(吸着剤)を得た。このようにして得たプルシアンブルー担持木質チップ0.5gを、セシウム濃度約100mg/Lの3%NaCl水溶液50mL中に浸漬した。
[実施例10]
セシウム濃度約100mg/Lの3%NaCl水溶液50mlに塩化マグネシウム(MgCl・6HO)水溶液をMg濃度が200mg/Lとなるように添加したもの50mLに、実施例9のプルシアンブルー担持木質チップ(吸着剤)0.5gを添加した。
[実施例11]
塩化第二鉄(FeCl・6HO)1.0gの水溶液5mLの代わりに塩化第二鉄(FeCl・6HO)1.0gおよび塩化マグネシウム(MgCl・6HO)0.3gの水溶液5mLを用いた以外は、実施例9と同様にしてプルシアンブルー担持木質チップ(吸着剤)を得た。このようにして得たプルシアンブルー担持木質チップ(吸着剤)0.5gを、セシウム濃度約100mg/Lの3%NaCl水溶液中に浸漬した。
(実施例9〜11の評価)
実施例9〜11により調製した吸着剤を使用してセシウム吸着率のpH依存性について評価した。また、これらの吸着剤の評価に加えて、実施例9のプルシアンブルー担持木質チップ(吸着剤)0.5gをセシウム濃度約100mg/Lの海水50mLに浸漬して使用した場合の評価も行った。
(実施例9〜11の評価方法)
これらの吸着剤に10%NaOH水溶液を少量、添加量を変えて添加し、溶液pHを変化させた。これを25℃で24時間攪拌した。その後、前記吸着剤をメンブレンフィルター(アドバンテック社製、DISMIC−25AS[0.45μm])を用いてろ別し、得られたろ液中のセシウム濃度をICP−質量分析計(日立製作所製、P−5000型)にて測定した。
これらの吸着剤について、前記吸着剤添加前後におけるセシウム濃度の差からセシウム吸着量を求め、初期添加セシウム量に対する割合をセシウム吸着率(%)として下記式1に示すようにして求めた。
[式1]
Figure 2013150973
図6は、これらの吸着剤の前記セシウム吸着率を吸着試験後の溶液のpHに対してプロットした図であり、セシウム吸着率のpH依存性を示す。
実施例9(図6、白抜き三角(△))では、pH3付近のセシウム吸着率は、70〜75%となったが、pHの上昇に伴い急激に低下し、pH12以上ではほとんどゼロになった。
実施例10(図6、白抜き四角(□))では、pH4付近でセシウム吸着率は、80%前後となり、pHの上昇に伴い増加し、pH5〜10の範囲では、ほぼ100%のセシウム吸着率を示した。さらにpHを10以上に上昇すると、セシウム吸着率は急激に低下し、pH11以上ではセシウム吸着率は、30%以下に低下した。
実施例11(図6、白抜き菱形(◇))では、pH3付近のセシウム吸着率は、60%前後であったが、pHの上昇に伴い、セシウム吸着率は上昇し、pH9付近でほぼ100%のセシウム吸着率となった。さらにpHを上昇すると、セシウム吸着率は急激に低下し、実施例10の結果と同様の挙動を示した。
実施例9のプルシアンブルー担持木質チップ0.5gをセシウム濃度約100mg/Lの海水50mlに浸漬して使用した場合(図6、黒丸(●))、セシウム吸着率のpH依存性は、実施例10のセシウム吸着率のpH依存性とほぼ同様となり、pH3付近でセシウム吸着率は80%前後、pH5〜10ではほぼ100%のセシウム吸着率、pH11以上ではpHの上昇に伴い低下し、pH13以上では10%以下のセシウム吸着率に低下した。
これらの結果は、以下のメカニズムによるものであることが推察される。
すなわち、実施例10(図6、白抜き四角(□))の場合、3%NaCl溶液中ではプルシアンブルー中のKイオンがNaイオンで置換されたものが一旦、生成し、NaイオンがCa2+イオンと置換し、吸着されると推定される。一方、3%NaClにMg2+イオンを共存させた溶液では、プルシアンブルー中のKイオンがMg2+イオンで置換後、Mg2+イオンがCa2+イオンと置換し、吸着されると考えられる。また、Na置換プルシアンブルーに比べ、Mg2+置換プルシアンブルーの方が高pH領域で分解しにくい性質を持っているため、Mg2+イオンを共存させた溶液中の方が高pH領域で高いセシウム吸着率を示したと考えられる。さらに、3%NaClにMg2+イオンを共存させた溶液で、pH12以上でセシウム吸着率が急激に低下するのは、このpH領域ではMg2+イオンが難溶性のMg(OH)を生成して、沈殿し、Mg2+置換プルシアンブルーが分解されるためと考えられる。
実施例11(図6、白抜き菱形(◇))の場合、プルシアンブルー担持木質チップ調製時にMg2+置換プルシアンブルーが生成し、高pH領域(pH=8〜10)で高いセシウム吸着率を示したものと考えられる。
実施例9のプルシアンブルー担持木質チップ0.5gをセシウム濃度約100mg/Lの海水50mlに浸漬して使用した場合(図6、黒丸(●))、pH5〜10の領域でセシウム吸着量が高くなるのは、海水中にMg2+イオンが存在するためと考えられる。表5に使用した海水の組成を示したが、Mg2+イオン濃度は770mg/Lであった。
Figure 2013150973
なお、本発明は、これらの推定されるメカニズムにより限定されるものでも制限されるものでもない。
[実施例12]
活性炭10gに、フェロシアン化カリウム[K(Fe(CN))]1.0gの水溶液5mLを含浸後、ロータリーエバポレーター(株式会社イワキ製、REN−1000型)を用いて脱水した。その後、塩化第二鉄(FeCl・6HO)1.0gの水溶液5mLを含浸させ、ロータリーエバポレーターを用いて脱水し、プルシアンブルー担持活性炭(吸着剤)を得た。このようにして得たプルシアンブルー担持活性炭(吸着剤)0.5gを、セシウム濃度約10mg/Lの3%NaCl水溶液中に浸漬した。
[実施例13]
塩化第二鉄(FeCl・6HO)1.0gの水溶液5mLの代わりに塩化第二鉄(FeCl・6HO)1.0gおよび塩化マグネシウム(MgCl・6HO)0.3gの水溶液5mLを用いた以外は、実施例12と同様にしてプルシアンブルー担持活性炭(吸着剤)を得た。このようにして得たプルシアンブルー担持活性炭(吸着剤)0.5gを、セシウム濃度約10mg/Lの3%NaCl水溶液中に浸漬した。
(実施例12および13の評価)
実施例12および13により調製した吸着剤を使用してセシウム吸着率のpH依存性について評価した。また、これらの吸着剤の評価に加えて、実施例12のプルシアンブルー担持活性炭(吸着剤)0.5gをセシウム濃度約10mg/Lの海水50mLに浸漬して使用した場合の評価を行った。
(実施例12および13の評価方法)
これらの吸着剤に10%NaOH水溶液を少量、添加量を変えて添加し、溶液pHを変化させた。これを25℃で24時間攪拌した。その後、前記吸着剤をメンブレンフィルター(アドバンテック社製、DISMIC−25AS[0.45μm])を用いてろ別し、得られたろ液中のセシウム濃度をICP−質量分析計(日立製作所製、P−5000型)にて測定した。
これらの吸着剤について、前記吸着剤添加前後におけるセシウム濃度の差からセシウム吸着量を求め、初期添加セシウム量に対する割合を前記式1によりセシウム吸着率として求めた。
図7は、これらの吸着剤の前記セシウム吸着率を吸着試験後の溶液のpHに対してプロットした図であり、セシウム吸着率のpH依存性を示す。
実施例12(図7、白抜き三角(△))では、セシウム吸着率はpH3〜5の範囲ではほぼ100%となったが、pHの上昇に伴い急激に低下し、pH12以上では10%以下に低下した。
実施例13(図7、白抜き四角(□))では、pH10付近では90%前後のセシウム吸着率を示したが、pHの上昇に伴いセシウム吸着率はいくらか上昇し、pH9付近でほぼ100%のセシウム吸着率となった。さらに、pHを上昇すると、セシウム吸着率は急激に低下し、pH12以上では20%%以下のセシウム吸着率に低下した。
実施例12のプルシアンブルー担持活性炭チップ0.5gをセシウム濃度約10mg/Lの海水に浸漬した吸着剤も調製し、前記プルシアンブルー担持木質チップ(吸着剤)を海水に使用した場合(図7、黒丸(●))では、セシウム吸着率はpH5〜10の範囲で90%程度となったが、pH10以上ではpHの上昇に伴い急激に低下し、pH13以上では10%程度のセシウム吸着率となった。
[実施例14および15]
木材チップ(木材を小片化してチップ状にしたもの、1〜10mm程度)およびおがくず(2mm以下)を、それぞれ10g用意し、それぞれについてフェロシアン化カリウムの水溶液50mLを含浸後、ロータリーエバポレーター(株式会社イワキ製、REN−1000型)を用いて脱水した。その後、塩化第二鉄の水溶液50mLを含浸させ、ロータリーエバポレーターを用いて脱水し、プルシアンブルー担持木材チップ(以下、担持チップともいう。)およびプルシアンブルー担持おがくず(以下、担持おがくずともいう。)を得た。前記フェロシアン化カリウムの水溶液において、フェロシアン化カリウムの添加量は、2.0gとした。また、前記塩化第二鉄の水溶液において、塩化第二鉄の添加量は、2.0gとした。このようにして得た担持チップ0.5gまたは担持おがくず0.5gを、セシウム濃度約10mg/Lの海水50mL中に添加し、25℃で24時間攪拌した。その後、前記担持チップまたは前記担持おがくずを、メンブレンフィルター(アドバンテック社製、DISMIC−25AS[0.45μm])にてろ過し、得られたろ液中のセシウム濃度をICP−質量分析計(日立製作所製、P−5000型)にて測定した。また、比較例として、プルシアンブルーを担持しない木材チップ(以下、担持無しチップともいう。)0.5g、またはプルシアンブルーを担持しないおがくず(以下、担持無しおがくずともいう。)0.5gを、前記海水中に添加し、前記と同様にして、セシウム濃度を測定した。
その結果を、表6に示す。表6に示すように、担持チップおよび担持おがくずは、海水中のセシウムをほぼ全て吸着し、吸着後の海水中のセシウム濃度は0.001mg/L未満であり、0.927mg−Cs/g−吸着剤の吸着性能を示した。これに対し、担持無しチップでは、吸着後の海水中のセシウム濃度は9.23mg/L、セシウム吸着量は0.004mg−Cs/g−であり、担持無しおがくずでは、セシウム濃度は8.97mg/L、セシウム吸着量は0.030mg−Cs/g−であり、担持チップおよび担持おがくずと比較してセシウム吸着効果が低かった。また、本実施例の結果と、実施例1の結果とを比べると、本実施例の結果の方が高いセシウム吸着量を示すため、基材として、活性炭よりも木材チップ、およびおがくず等の木質基材の方が好ましいことがわかった。
Figure 2013150973
[実施例16〜21]
各種の植物資材(木質チップ、くぬぎ落葉、籾殻、竹チップ、稲わらおよびあらめ(海藻)を乾燥し、粒径:5〜20mmに篩い分けしたもの)10gにフェロシアン化カリウム1.0gの水溶液5mLと混合したのち、1昼夜、風乾した。その後、塩化第二鉄(FeCl・6HO)1.0gおよび塩化マグネシウム(MgCl・6HO)0.3gの水溶液5mLと混合したのち、1昼夜、風乾した。この風乾物を約500mLの脱イオン水中に懸濁することにより、水洗し、ろ過したのち、1昼夜、風乾した。このようにして調製したプルシアンブルー担持植物資材(吸着剤)0.5gをセシウム濃度約100mg/Lを含む3%NaCl水溶液50mLに添加した後、そのまま(pH=5.4)あるいは10%NaOH水溶液を少量、添加したpHを11.9に調整したのち、25℃で24h攪拌した。プルシアンブルー担持植物資材(吸着剤)をメンブレンフィルターにてろ別し、得られたろ液中のセシウム濃度をICP−質量分析計にて測定することにより、プルシアンブルー担持植物資材(吸着剤)添加前後におけるセシウム濃度の差からセシウム吸着量を求めた。
その結果を表7に示す。各プルシアンブルー担持植物資材(吸着剤)をセシウム濃度約100mg/Lを含む3%NaCl水溶液に浸漬した場合(pH調整せず)、植物資材自身よりも明らかに高いセシウム吸着量を示し、3.8〜6.3mg/gの範囲のセシウム吸着量を示し、植物資材にプルシアンブルーを担持することにより、セシウム吸着量が増加した。さらに、各プルシアンブルー担持植物資材(吸着剤)をセシウム約100mg/Lを含む3%NaCl水溶液に浸漬し、高pHに調整した場合には、上記のpH調整しなかった場合に比べ、いずれの植物資材の場合も、高いセシウム吸着量を示し、6.5〜12.2mg/gの範囲のセシウム吸着量を示した。
この結果について、各植物資材にフェロシアン化カリウムを担持後、塩化第二鉄以外に塩化マグネシウムを担持したことにより、より高いpH(6.5〜8.3)で高いセシウム吸着量を示すことが考えられる。なお、本発明は、このような推察に限定されるものでも制限されるものでもない。
表7に示すとおり、高pH(pH=11.9)条件下において、あらめ(海藻)が前記植物資材の中でも最も吸着性能が良く、次いでくぬぎ落葉、稲わらの順に吸着性能が良いという結果を得た。また、低pH(pH=5.4)条件下では、稲わらが最も吸着性能が良く、次いで竹チップ、あらめ(海藻)の順に吸着性能が良いという結果を得た。

Figure 2013150973
本発明は、セシウムの選択的吸着性が高く、酸性溶液中での吸着性能が低下せず、また、簡便にセシウムを除去可能であり、さらに、連続処理が可能な、セシウム吸着剤、その製造方法およびセシウムの除去方法を提供することができる。したがって、本発明は、セシウムの除去において、有効に利用することができるが、その用途は限定されず、広い分野で使用することができる。
10 吸着剤
11 吸着塔
12 袋
13 池
14 溝
15 雨樋
16 雨水
17 土壌
20 木質シート

Claims (15)

  1. 下記の(a)及び(b)の少なくとも一方を含むことを特徴とするセシウム吸着剤。
    (a)フェロシアン化金属化合物を含む基材であって、前記基材が表面積を広げる処理(多孔質化処理)をされていない基材。
    (b)フェロシアン化金属化合物を含む基材であって、前記フェロシアン化金属化合物がプルシアンブルーである基材。
  2. 前記(a)のフェロシアン化金属化合物がプルシアンブルーであることを特徴とする請求項1記載のセシウム吸着剤。
  3. 前記(a)及び前記(b)において、前記基材が、植物由来基材であることを特徴とする請求項1または2記載のセシウム吸着剤。
  4. 前記植物由来基材が、木質基材であることを特徴とする請求項3記載のセシウム吸着剤。
  5. 前記セシウム吸着剤が、マグネシウム塩を含む請求項1から4のいずれか一項に記載のセシウム吸着剤。
  6. セシウム吸着剤の製造方法であって、
    前記セシウム吸着剤が、下記の(a)及び(b)の少なくとも一方を含み、
    前記製造方法が、前記基材にフェロシアン化化合物水溶液を含浸させる(X)工程、及び、前記基材にフェロシアン化金属化合物を生成する金属塩水溶液を含浸させる(Y)工程を含み、
    前記X工程及び前記Y工程において、前記(a)の基材の製造の場合は、前記基材が表面積を広げる処理(多孔質化処理)をされておらず、前記(b)の基材の製造の場合は、前記フェロシアン化金属化合物がプルシアンブルーである、ことを特徴とする製造方法。
    (a)フェロシアン化金属化合物を含む基材であって、前記基材が表面積を広げる処理(多孔質化処理)をされていない基材。
    (b)フェロシアン化金属化合物を含む基材であって、前記フェロシアン化金属化合物がプルシアンブルーである基材。
  7. 前記(X)工程及び前記(Y)工程が、一方の工程の後に他方の工程を実施するか、又は、前記両工程を同時に実施することを特徴とする請求項6記載の製造方法。
  8. 前記(a)のフェロシアン化金属化合物がプルシアンブルーであることを特徴とする請求項6または7記載の製造方法。
  9. 前記(a)及び前記(b)において、前記基材が、植物由来基材であることを特徴とする請求項6から8のいずれか一項に記載の製造方法。
  10. 前記植物由来基材が、木質基材であることを特徴とする請求項9記載の製造方法。
  11. 前記(Y)工程において、前記金属塩水溶液が可溶性マグネシウム塩を含む請求項6から10のいずれか一項に記載の製造方法。
  12. セシウム吸着剤にセシウムを吸着させてセシウムを除去するセシウムの除去方法であって、前記セシウム吸着剤が、請求項1から4のいずれか一項に記載のセシウム吸着剤であることを特徴とするセシウムの除去方法。
  13. 前記セシウム吸着剤が請求項3または4記載のセシウム吸着剤であり、セシウムを吸着した前記セシウム吸着剤を焼却して減容化することを特徴とする請求項12記載のセシウムの除去方法。
  14. 除去するセシウムが、可溶性マグネシウム塩を含む水溶液中に含まれている請求項12または13に記載のセシウムの除去方法。
  15. 前記可溶性マグネシウム塩を含む水溶液が、海水である請求項14記載のセシウムの除去方法。
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