JP2013148137A - 摺動部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】Agを主成分とするオーバレイ層を用いる場合でも、耐焼付性の高い摺動部材を提供する。
【解決手段】本実施形態の摺動部材は、基材と、前記基材の摺動側に設けられ、Agを主成分としてAlを含むオーバレイ層と、を備える。Agを主成分とするオーバレイ層は、比較的柔らかい。そのため、Agを主成分とするオーバレイ層は、Pbの使用を回避しても、高い耐焼付性を確保することができる。また、Agを主成分とするオーバレイ層は、熱伝導性に優れている。そのため、摺動部で発生する摩擦熱は、速やかに基材側へ放熱される。
【選択図】図1
【解決手段】本実施形態の摺動部材は、基材と、前記基材の摺動側に設けられ、Agを主成分としてAlを含むオーバレイ層と、を備える。Agを主成分とするオーバレイ層は、比較的柔らかい。そのため、Agを主成分とするオーバレイ層は、Pbの使用を回避しても、高い耐焼付性を確保することができる。また、Agを主成分とするオーバレイ層は、熱伝導性に優れている。そのため、摺動部で発生する摩擦熱は、速やかに基材側へ放熱される。
【選択図】図1
Description
本発明は、摺動部材に関する。
従来、例えば内燃機関のすべり軸受などの摺動部材は、鋼裏金などの基材の摺動側にオーバレイ層を備えている。このオーバレイ層は、Pbの使用を回避しつつPbを含有する摺動部材と同程度の摺動特性を得るために、Agを主成分としてIn、Sn、Biなどを添加するものが提案されている(特許文献1)。
しかしながら、In、Sn、Biは、Agに比較して柔らかいものの、Agに比較して熱伝導率が極端に小さい。そのため、Agを主成分としてIn、Sn、Biを添加したオーバレイ層は、相手部材との摺動部で発生した熱を基材側に逃がしにくい。その結果、この種のオーバレイ層は、より厳しい条件下では温度が上昇しやすく、強度および硬度の低下を招き、焼付に至りやすいという問題がある。
そこで、本発明の目的は、Agを主成分とするオーバレイ層を用いる場合でも、耐焼付性の高い摺動部材を提供することにある。
請求項1記載の摺動部材は、基材と、前記基材の摺動側に設けられ、Agを主成分としてAlを含むオーバレイ層と、を備える。
また、請求項2記載の摺動部材は、基材と、前記基材の摺動側に設けられ、Agを主成分としてAlを含むとともに、SnおよびZnのうち少なくとも一種を含むオーバレイ層と、を備える。
また、請求項2記載の摺動部材は、基材と、前記基材の摺動側に設けられ、Agを主成分としてAlを含むとともに、SnおよびZnのうち少なくとも一種を含むオーバレイ層と、を備える。
Agを主成分とするオーバレイ層は、比較的柔らかい。そのため、Agを主成分とするオーバレイ層は、Pbの使用を回避しても、高い耐焼付性を確保することができる。また、Agからなるオーバレイ層は、熱伝導性に優れている。そのため、摺動部で発生する摩擦熱は、速やかに基材側へ放熱される。本発明者らは、Agを主成分とするオーバレイ層にAlを添加することにより、オーバレイ層における熱伝導率の著しい低下を招かないことを見出した。すなわち、従来技術として、Agを主成分とするオーバレイ層にIn、Sn、Biなどを添加することは知られていた。しかし、これら添加元素としてのIn、Sn、Biは、熱伝導率が小さく、相手部材との摺動部分で発生した熱の基材側への速やかな放熱を妨げるという問題がある。これに対し、本発明におけるAlは、熱伝導率が比較的大きく、Agを主成分とするオーバレイ層の機能、すなわち高い熱伝導率による基材側への速やかな放熱を促す。したがって、Agを主成分とするオーバレイ層を用いる場合でも高い耐焼付性を得ることができ、より厳しい条件における使用にも耐えることができる。
また、本発明のAgを主成分とするオーバレイ層は、添加元素としてAlだけでなく、SnおよびZnのうち少なくとも一種を含んでいてもよい。このように、本発明の本質は、Agを主成分としてAlを含むオーバレイ層を備えることにある。したがって、このオーバレイ層にAl以外の添加元素および不可避的不純物が含まれることを排除するものではない。
請求項3記載の摺動部材では、前記オーバレイ層は、Alを0.1質量%〜15質量%含む。Agを主成分とするオーバレイ層は、Agの割合が大きくなるほどAg本来の熱伝導率が発揮され、オーバレイ層から基材側への放熱が促される。一方、このオーバレイ層に含まれるAlの割合が大きくなると、オーバレイ層はAg本来の熱伝導率からAlの熱伝導率に近づいていく。そこで、本発明では、オーバレイ層にAlを添加する場合、その上限を15質量%としている。
以下、摺動部材の具体的な実施形態について説明する。
まず、本実施形態において試料とする摺動部材の作製手順について説明する。
図1に示すように、摺動部材10は、基材11およびオーバレイ層12を備えている。基材11は、裏金層13およびCu基またはAl基の軸受合金層14を有している。裏金層13は、鋼によって形成している。これにより、基材11は、鋼の裏金層13およびCu基またはAl基の軸受合金層14からなるいわゆるバイメタルである。裏金層13および軸受合金層14から形成した基材11は、半円筒状または円筒状に成形する。成形した基材11は、軸受合金層14側の表面に例えばボーリング加工などの表面加工を施す。表面加工が施された基材11は、電解脱脂および酸により表面を洗浄する。このように基材11は、表面が洗浄された後、スパッタなどによってAgを主成分とするAg−Al合金のオーバレイ層12が形成される。なお、オーバレイ層12は、スパッタに代えてAlで形成した層にAgめっきを施し、拡散を利用してAgを主成分とするAg−Al合金を生成させて、形成させることもできる。この場合、オーバレイ層12におけるAlの拡散量や分布は、温度および時間によって調整することができる。また、基材11とオーバレイ層12との間には、一層または二層以上の図示しない中間層を設けてもよい。
まず、本実施形態において試料とする摺動部材の作製手順について説明する。
図1に示すように、摺動部材10は、基材11およびオーバレイ層12を備えている。基材11は、裏金層13およびCu基またはAl基の軸受合金層14を有している。裏金層13は、鋼によって形成している。これにより、基材11は、鋼の裏金層13およびCu基またはAl基の軸受合金層14からなるいわゆるバイメタルである。裏金層13および軸受合金層14から形成した基材11は、半円筒状または円筒状に成形する。成形した基材11は、軸受合金層14側の表面に例えばボーリング加工などの表面加工を施す。表面加工が施された基材11は、電解脱脂および酸により表面を洗浄する。このように基材11は、表面が洗浄された後、スパッタなどによってAgを主成分とするAg−Al合金のオーバレイ層12が形成される。なお、オーバレイ層12は、スパッタに代えてAlで形成した層にAgめっきを施し、拡散を利用してAgを主成分とするAg−Al合金を生成させて、形成させることもできる。この場合、オーバレイ層12におけるAlの拡散量や分布は、温度および時間によって調整することができる。また、基材11とオーバレイ層12との間には、一層または二層以上の図示しない中間層を設けてもよい。
本実施形態では、オーバレイ層12は、図示しないマグネトロンスパッタリング装置を用いたスパッタにより形成している。オーバレイ層12を形成する具体的な例として、図2に示す実施例である試料1の摺動部材10を例に説明する。試料1の場合、バイメタルからなる洗浄後の基材11は、マグネトロンスパッタリング装置の基材装着部に装着される。また、オーバレイ層12の材料となるAgおよびAlは、ターゲットとしてマグネトロンスパッタリング装置のターゲット装着部に装着される。
基材11およびターゲットであるAgおよびAlが装着されると、マグネトロンスパッタリング装置のチャンバは、1.0×10−6Torrまで減圧されるとともに、Arガスの供給により2.0×10−3Torrに調整される。チャンバの圧力が調整されると、基材11の表面はArガスによってクリーニングされる。この場合、基材11は、表面に1000Vのバイアス電圧を印加する。これにより、基材11とターゲットとなるAgおよびAlとの間にArプラズマを生成させ、15分間の逆スパッタリングが実施される。Arプラズマによるクリーニングが施されると、ターゲットのAgには8A〜14Aの電流、Alには0.5A〜6Aの電流が流れるように各ターゲットに電圧を印加する。このとき、基材11とターゲットとの間のバイアス電圧は、100V〜200Vに設定される。この手順により、ターゲットとなるAgおよびAlは、Arイオンの衝突によってターゲットからスパッタリングされ、基材11の軸受合金層14側の表面に膜状に形成される。
生成した試料1に相当する試料をEPMA(Electron Probe Micro Analysis)を行ったところ、オーバレイ層12においてAgをマトリクスとしてAlが均一に分散していることが確認された。Agを主成分とするオーバレイ層12におけるAlの添加量は、スパッタリングのターゲットとしてターゲット装着部に装着するAgおよびAlの質量比、およびこれらターゲットとなるAgおよびAlに流す電流を調整することにより制御することができる。
以上の手順によって、図2に示すように実施例に相当する試料1〜試料16の摺動部材10、および比較例に相当する試料17〜試料20の摺動部材10を形成した。
以上の手順によって、図2に示すように実施例に相当する試料1〜試料16の摺動部材10、および比較例に相当する試料17〜試料20の摺動部材10を形成した。
(耐焼付性試験)
得られた実施例である試料1〜試料16および比較例である試料17〜試料20の摺動部材10は、シム噛み試験によって耐焼付性について検証した。
シム噛み試験の試験条件は、図3に示している。シム噛み試験では、図4に示すように実施例である試料1〜試料16および比較例である試料17〜試料20の摺動部材10の外周面に2mm×2mm×tの金属製のシム15を取り付けて試験用試料としている。本試験では、シム15の厚さtは、10μmに設定している。シム15の厚さtは、試験の条件に応じて10μmから30μm程度に設定することができる。摺動部材10の試験用試料は、図示しない焼付試験機である回転荷重試験機に取り付けられる。摺動部材10の試験用試料は、シム15が取り付けられている。そのため、摺動部材10の試験用試料を焼付試験機に取り付けたとき、摺動部材10の試験用試料はシム15に対応する部分がシム15の厚さに応じて内周側へ突出する。この突出した部分は、焼付試験機の試験軸に接触することにより発熱する。そのため、試験軸に接触する摺動部材10の試験用試料に加える荷重を増すことにより、摺動部材10の試験用試料と試験軸との接触にともなう発熱量は増大する。その結果、摺動部材10の試験用試料におけるオーバレイ層12の熱伝導率が低いほど、オーバレイ層12は早期に焼付が生じやすい。本実施形態における試験の場合、摺動部材10の試験用試料に加える荷重は、10分ごとに5MPaずつ増加させている。そして、摺動部材10の試験用試料の背面温度が200℃を超え、または焼付試験機に加わるトルクの変動によって焼付試験機の軸駆動用ベルトに滑りが生じると、摺動部材10の試験用試料は焼付が生じたと判断している。
得られた実施例である試料1〜試料16および比較例である試料17〜試料20の摺動部材10は、シム噛み試験によって耐焼付性について検証した。
シム噛み試験の試験条件は、図3に示している。シム噛み試験では、図4に示すように実施例である試料1〜試料16および比較例である試料17〜試料20の摺動部材10の外周面に2mm×2mm×tの金属製のシム15を取り付けて試験用試料としている。本試験では、シム15の厚さtは、10μmに設定している。シム15の厚さtは、試験の条件に応じて10μmから30μm程度に設定することができる。摺動部材10の試験用試料は、図示しない焼付試験機である回転荷重試験機に取り付けられる。摺動部材10の試験用試料は、シム15が取り付けられている。そのため、摺動部材10の試験用試料を焼付試験機に取り付けたとき、摺動部材10の試験用試料はシム15に対応する部分がシム15の厚さに応じて内周側へ突出する。この突出した部分は、焼付試験機の試験軸に接触することにより発熱する。そのため、試験軸に接触する摺動部材10の試験用試料に加える荷重を増すことにより、摺動部材10の試験用試料と試験軸との接触にともなう発熱量は増大する。その結果、摺動部材10の試験用試料におけるオーバレイ層12の熱伝導率が低いほど、オーバレイ層12は早期に焼付が生じやすい。本実施形態における試験の場合、摺動部材10の試験用試料に加える荷重は、10分ごとに5MPaずつ増加させている。そして、摺動部材10の試験用試料の背面温度が200℃を超え、または焼付試験機に加わるトルクの変動によって焼付試験機の軸駆動用ベルトに滑りが生じると、摺動部材10の試験用試料は焼付が生じたと判断している。
以下、検証結果について図2に基づいて耐焼付性として焼き付かない最大面圧(MPa)の観点から考察する。
試料1から試料16は、Agを主成分とするオーバレイ層12にAlを添加した実施例である。これらの実施例は、比較例である試料17から試料20に比較して耐焼付性が向上している。すなわち、実施例である試料1から試料16は、Agを主成分とするオーバレイ層12にAlを添加することにより、オーバレイ層12がAgのみからなる試料17よりも耐焼付性が向上している。これは、Agよりも軟質なAlを添加することにより、なじみ性が向上し、耐焼付性が向上したためと考えられる。同様に、実施例である試料1から試料16は、Agを主成分とするオーバレイ層12にAlを添加せずにSnを添加した試料18、Inを添加した試料19、およびBiを添加した試料20よりも耐焼付性が向上している。試料1から試料16は、オーバレイ層の熱伝導率が試料18、試料19および試料20よりも大きいことから、耐焼付性が向上したと考えられる。
試料1から試料16は、Agを主成分とするオーバレイ層12にAlを添加した実施例である。これらの実施例は、比較例である試料17から試料20に比較して耐焼付性が向上している。すなわち、実施例である試料1から試料16は、Agを主成分とするオーバレイ層12にAlを添加することにより、オーバレイ層12がAgのみからなる試料17よりも耐焼付性が向上している。これは、Agよりも軟質なAlを添加することにより、なじみ性が向上し、耐焼付性が向上したためと考えられる。同様に、実施例である試料1から試料16は、Agを主成分とするオーバレイ層12にAlを添加せずにSnを添加した試料18、Inを添加した試料19、およびBiを添加した試料20よりも耐焼付性が向上している。試料1から試料16は、オーバレイ層の熱伝導率が試料18、試料19および試料20よりも大きいことから、耐焼付性が向上したと考えられる。
一方、実施例である試料15および試料16の耐焼付性は、比較例である試料17と比較して高いものの、実施例である試料14に比較して低い。これは、Agを主成分とするオーバレイ層12は、添加するAlが増加すると、耐焼付性が低下する傾向にあることを示している。すなわち、Agを主成分とするオーバレイ層12に添加するAlが過剰になると、オーバレイ層12の熱伝導率はAgよりもAlに近くなる。そのため、Alの添加量が多い試料15および試料16は、試料14に比較して耐焼付性が低下していると考えられる。したがって、オーバレイ層12へAlを添加することにより耐焼付性の向上が図られるとともに、所定量のAlの添加が優れた耐焼付性の発揮に寄与することがわかった。
また、実施例である試料5の耐焼付性は試料4に比較して向上し、試料8の耐焼付性は試料9に比較して向上している。同様に、試料11の耐焼付性は、試料12および試料13に比較して向上している。これは、Agを主成分としてAlを含むオーバレイ層12の場合、Al含有量が同程度であれば、Sn、Cu、Zn、Biを添加しない方が耐焼付性を向上させることができることを示している。すなわち、Agを主成分とするオーバレイ層12にAlよりも熱伝導率の小さな元素を添加すると、オーバレイ層12の熱伝導率はAlだけを添加する場合と比較して小さくなる。そのため、オーバレイ層12にAl以外の元素を添加した試料4、試料9、試料12および試料13は、オーバレイ層12におけるAlの含有率が近似する実質的にAlのみを添加した試料と比較して耐焼付性が低下していると考えられる。したがって、オーバレイ層12へAl以外の元素を添加しても耐焼付性が確保できるものの、Al以外の元素の添加は耐焼付性に対して有利ではないことがわかった。
また、実施例である試料1〜試料16に基づくと、中間層の有無、中間層の種類、および軸受合金層14の種類は耐焼付性に与える影響は小さいことがわかった。さらに、特に図示しないものの、Agを主成分とするオーバレイ層12にAlを添加し、これに加えて硬質粒子や実施例で示した以外の金属元素を添加しても、Agのみからなるオーバレイ層12に比較して高い耐焼付性を示すことがわかった。したがって、Agを主成分とするオーバレイ層12にAlが添加されていれば、その他の添加成分の有無や添加成分の種類に関わらず、過剰な添加量でない限り耐焼付性の向上を図ることができる。
また、摺動部材10は、Agを主成分とするオーバレイ層12の摺動側に、なじみ層などの他の層をさらに設けてもよい。なじみ層などのさらなる層は、例えばBiやBi合金からなるものが好ましい。特に図示しないものの、なじみ層を設けた実施形態の摺動部材も、耐焼付性に優れており、特に初期なじみ性に優れていた。このようになじみ層を設けた実施形態の摺動部材10は、このなじみ層が摩耗してAgを主成分とするオーバレイ層12が露出しても、当然、高い耐焼付性を発揮することができた。
以上説明した本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能である。
図面中、10は摺動部材、11は基材、12はオーバレイ層、13は裏金層、14は軸受合金層を示す。
Claims (3)
- 基材と、
前記基材の摺動側に設けられ、Agを主成分としてAlを含むオーバレイ層と、
を備える摺動部材。 - 基材と、
前記基材の摺動側に設けられ、Agを主成分としてAlを含むとともに、SnおよびZnのうち少なくとも一種を含むオーバレイ層と、
を備える摺動部材。 - 前記オーバレイ層は、Alを0.1質量%〜15質量%含む請求項1または2記載の摺動部材。
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