JP2013119647A - 表面処理鋼板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】Tiを含有する水溶液中で陰極電解処理を行って、鋼板表面にTiを含む密着性皮膜を形成するに際し、長時間連続して陰極電解処理を行っても、密着性皮膜中のTi付着量が減少することのない表面処理鋼板の製造方法を提供する。
【解決手段】Tiを含む水溶液中で陰極電解処理を行って、鋼板面にTiを含む密着性皮膜を形成することを特徴とする表面処理鋼板の製造方法であって、該陰極電解処理に用いる水溶液中に金属Tiを浸漬したことを特徴とする表面処理鋼板の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、表面にプラスチックフィルムなどの樹脂が被覆(ラミネート)された後、主に缶などの容器に用いられる表面処理鋼板の製造方法に関する。
飲料缶、食品缶、ペール缶や18リットル缶などの各種金属缶には、錫めっき鋼板やティンフリー鋼板と呼ばれる電解クロム酸処理鋼板などが用いられている。なかでも、ティンフリー鋼板は、6価Crを含むめっき浴中で鋼板に電解処理を行うことにより製造され、塗料など樹脂に対して優れた湿潤樹脂密着性を有していることに特長がある。
近年、環境に対する意識の高まりから、世界的に6価Crの使用が規制される方向に向かっており、6価Crのめっき浴を用いて製造されるティンフリー鋼板に対してもその代替材が求められている。
一方、各種金属缶は、従来より、ティンフリー鋼板などに塗装を施した後に、缶体に加工して製造されていたが、近年、製造に伴う廃棄物の減量のために、塗装に代わってプラスチックフィルムなどの樹脂をラミネートしたラミネート鋼板を缶体に加工する方法が多用されるようになっている。このラミネート鋼板には、樹脂が鋼板に強く密着していることが必要であり、特に飲料缶や食品缶として用いられるラミネート鋼板には、内容物の充填後にレトルト殺菌工程を経る場合があるため、高温の湿潤環境下でも樹脂が剥離することのない強い湿潤樹脂密着性が要求されている。
また、引っ掻きなどで部分的に樹脂が欠落した場合でも、缶の内容物などに侵されて穴開きが生ずることのない優れた耐食性も望まれている。
このような要請に応じて、例えば、本発明者等は、特許文献1において、鋼板の少なくとも片面に、Ni層、Sn層、Fe-Ni合金層、Fe-Sn合金層およびFe-Ni-Sn合金層のうちから選ばれた少なくとも1層からなる耐食性皮膜を形成後、Tiを含むイオンを含有し、さらにCo、Fe、Ni、V、Cu、MnおよびZnのうちから選ばれた少なくとも1種の金属を含むイオンを含有する水溶液中で陰極電解処理を行って、密着性皮膜を形成することにより、Crを用いず、極めて優れた湿潤樹脂密着性と優れた耐食性を有する表面処理鋼板を製造できることを提示した。
特開2009-155665号公報
しかしながら、特許文献1に記載された製造方法をはじめ、Tiを含む水溶液中で陰極電解処理を行い密着性皮膜を形成した場合、長時間連続して陰極電解処理を行うと、密着性皮膜のTi付着量が減少する場合があることを、本発明者らは知見した。
本発明は、Tiを含有する水溶液中で陰極電解処理を行って、鋼板表面にTiを含む密着性皮膜を形成するに際し、長時間連続して陰極電解処理を行っても、密着性皮膜中のTi付着量が減少することのない表面処理鋼板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、Tiを含む水溶液中で陰極電解処理を行い密着性皮膜を形成する表面処理鋼板の製造方法について鋭意検討を行った結果、Tiを含む水溶液中に金属Tiを浸漬しながら陰極電解処理を行うことが効果的であることを見出した。
本発明は、このような知見に基づきなされたもので、Tiを含む水溶液中で陰極電解処理を行って、鋼板面にTiを含む密着性皮膜を形成することを特徴とする表面処理鋼板の製造方法であって、該陰極電解処理に用いる水溶液中に金属Tiを浸漬したことを特徴とする表面処理鋼板の製造方法を提供する。
本発明である表面処理鋼板の製造方法では、金属Tiとして、Ti板、Ti粒、Ti粉末のうちから選ばれた少なくとも一種を用いることができる。
また、Tiを0.008〜0.07モル/l(リットル)含む水溶液、あるいはさらに、Co、Fe、Ni、V、Cu、MnおよびZnのうちから選ばれた少なくとも一種の金属を、その合計でTiに対するモル比で0.01〜10含む水溶液を用いることが好ましい。
さらに、鋼板面と密着性皮膜の間に、Ni層、Sn層、Fe-Ni合金層、Fe-Sn合金層およびFe-Ni-Sn合金層のうちから選ばれた少なくとも一層からなる耐食性皮膜を形成することが好ましい。
本発明により、Tiを含有する水溶液中で陰極電解処理を行って、Tiを含む密着性皮膜を形成するに際し、長時間連続して陰極電解処理を行っても、密着性皮膜のTi含有量が減少することのない表面処理鋼板を製造できるようになった。本発明の製造方法で製造された表面処理鋼板は、ラミネート鋼板とし、缶や缶蓋に加工してレトルト雰囲気に暴露しても、樹脂の剥離が生ぜず、湿潤樹脂密着性に極めて優れている。また、ティンフリー鋼板の代替材として問題がなく、油、有機溶剤、塗料などを内容物とする容器に樹脂をラミネートすることなく使用できる。
本発明である表面処理鋼板の製造方法を実施可能な陰極電解処理装置の一例を示す図である。 実施例で行った180°ピール試験を説明する図である。
上述したように、Tiを含む水溶液中で長時間連続して陰極電解処理を行うと、密着性皮膜のTi付着量が減少する場合があるが、このようなTi付着量の減少に対しては、陰極電解処理を行うTiを含む水溶液中に金属Tiを浸漬し、この水溶液を用いながら陰極電解処理を行い、金属Tiから水溶液中へのTiの溶出を図ることが効果的であることがわかった。詳細は不明であるが、密着性皮膜中のTi付着量の減少の原因としては、水溶液の組成の変動など不安定な現象により、陰極電解反応が停滞することが考えられる。なお、本発明における密着性皮膜とは、その上に樹脂をラミネートしてラミネート鋼板とし、缶や缶蓋に加工してレトルト雰囲気に暴露しても、樹脂の剥離が生じないような密着性に優れた皮膜のことを意味する。
図1に、本発明である表面処理鋼板の製造方法を実施可能な陰極電解処理装置の一例を示す。Tiを含む水溶液で満たされた電解処理槽1に循環タンク2を連結させ、循環タンク2に、例えば金属TiとしてTi粒10の浸漬されたTiを含む水溶液を満たし、ポンプ3により電解処理槽1と循環タンク2の間でTiを含む水溶液を循環させながら、コンダクターロール4とシンクロール5によって電解処理槽1内に導かれる缶用の鋼板20を陰極として、陽極6との間で陰極電解処理を行えば、長時間連続して電解処理を行っても、水溶液中のTi濃度を一定にできるので、密着性皮膜のTi付着量が減少することはない。
電流密度5〜20A/dm2、電解時間2〜10secの条件で行うことが好ましい。
なお、図1では、循環タンク2に金属Tiを浸漬したが、他の態様、例えば直接電解処理槽1内に金属Tiを浸漬してもよい。
ここで、金属Tiとしては、Ti粒以外に、Ti板やTi粉末を用いることができる。また、電極(陽極)としては、白金、イリジウムオキサイドなどを用いることができる。
陰極電解処理は、上記したように、陽極として白金あるいはイリジウムオキサイドなどを用い、電流密度5〜20A/dm2、電解時間2〜10secの条件で行うことが好ましい。
Tiを含む水溶液としては、好ましくは金属Tiを浸漬する前のTiが0.008〜0.07モル/l、より好ましくは0.02〜0.05モル/lである水溶液を用い、該Tiを含む水溶液中に金属Tiを浸漬しながら陰極電解処理を行うことが好ましい。また、さらに、Co、Fe、Ni、V、Cu、MnおよびZnのうちから選ばれた少なくとも1種の金属が、Tiに対してモル比で0.01〜10、好ましくは0.1〜2.5含まれる水溶液を用いることが、より緻密で、表面の凹凸がより均一に分布した密着性皮膜を形成し、より優れた湿潤樹脂密着性を得る上で好ましい。
Tiを含む水溶液種としては、フルオロチタン酸イオンを含む水溶液、またはフルオロチタン酸イオンおよびフッ素塩を含む水溶液が好適である。フルオロチタン酸イオンを与える化合物としては、フッ化チタン酸、フッ化チタン酸アンモニウム、フッ化チタン酸カリウムなどを用いることができる。フッ素塩としては、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化銀、フッ化錫などを用いることができる。特に、フッ化チタン酸カリウムを含む水溶液中で、あるいはフッ化チタン酸カリウムおよびフッ化ナトリウムを含む水溶液中で、鋼板を陰極電解処理する方法は、効率良く均質な皮膜を形成することが可能であり好適である。
また、Co、Fe、Ni、V、Cu、MnおよびZnを含むイオンを与える化合物としては、硫酸コバルト、塩化コバルト、硫酸鉄、塩化鉄、硫酸ニッケル、硫酸銅、酸化硫酸バナジウム、硫酸亜鉛、硫酸マンガンなどを用いることができる。
さらに、Tiが0.008〜0.07モル/l、好ましくは0.02〜0.05モル/lとし、Co、Fe、Ni、V、Cu、MnおよびZnのうちから選ばれた少なくとも1種の金属の量を合計でTiに対してモル比で0.01〜10、好ましくは0.1〜2.5とするには、水溶液中のTiと金属の質量比を調整すればよい。
Tiを含む密着性皮膜にも耐食性の機能はあるが、ラミネート鋼板として缶に用いられたとき、引っ掻きなどで部分的に樹脂が欠落した場合でも、缶の内容物などに侵されて穴開きが生ずることのないより優れた耐食性を付与するために、鋼板面と密着性皮膜の間に、Ni層、Sn層、Fe-Ni合金層、Fe-Sn合金層およびFe-Ni-Sn合金層のうちから選ばれた少なくとも一層からなる耐食性皮膜を形成することが好ましい。この耐食性皮膜は、含有される金属元素に応じた公知の方法で形成できる。なお、本発明における耐食性皮膜とは、上記のような耐食性のより優れた皮膜のことを意味する。
形成される密着性皮膜のTi付着量は、鋼板の片面あたり3〜200mg/m2とすることが好ましい。これは、Ti付着量が3mg/m2以上200mg/m2以下であれば、湿潤樹脂密着性改善の効果が十分に得られ、200mg/m2を超えるとさらなる湿潤樹脂密着性の向上が望めず、コスト高となるためである。
また、密着性皮膜には、Oを含有させることが好ましい。Oを含有させることによりTiの酸化物を主体とする皮膜となり湿潤樹脂密着性に寄与するためである。
なお、密着性皮膜のTi付着量の測定は、蛍光X線による表面分析により行うことができる。また、O量については、特に規定しないが、XPS(X線光電子分光分析装置)による表面分析でその存在を確認することができる。
本発明である表面処理鋼板の製造方法で製造された表面処理鋼板上に、樹脂フィルムをラミネートしてラミネート鋼板とすることができる。樹脂フィルムとしては、特に限定はなく、各種熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂からなるフィルムを挙げることができる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリルエステル共重合体、アイオノマー等のオレフィン系樹脂フィルム、またはポリブチレンテレフタラート等のポリエステルフィルム、もしくはナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン11、ナイロン12等のポリアミドフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム等の熱可塑性樹脂フィルムの未延伸または二軸延伸したものを用いることができる。積層の際に接着剤を用いる場合は、ウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤、酸変性オレフィン樹脂系接着剤、コポリアミド系接着剤、コポリエステル系接着剤等が好ましい。
さらに、フェノールエポキシ、アミノ-エポキシ等の変性エポキシ塗料、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体けん化物、塩化ビニル-酢酸ビニル-無水マレイン酸共重合体、エポキシ変性-、エポキシアミノ変性-、エポキシフェノール変性-ビニル塗料または変性ビニル塗料、アクリル塗料、スチレン-ブタジェン系共重合体等の合成ゴム系塗料等の熱可塑性または熱硬化性塗料の単独または2種以上の組み合わせて用いることもできる。
樹脂被覆層の厚みは3〜50μm、特に5〜40μmの範囲にすることが望ましい。厚みが上記範囲を下回ると耐食性が不十分となり、厚みが上記範囲を上回ると加工性の点で問題が生じやすいためである。
表面処理鋼板へのラミネート層の形成は任意の手段で行うことができる。例えば、押出コート法、キャストフィルム熱接着法、二軸延伸フィルム熱接着法等により行うことができる。
ティンフリー鋼板(TFS)の製造のために使用される冷間圧延ままの低炭素鋼の冷延鋼板(板厚0.2mm)を用いた。また、この冷延鋼板の一部(鋼板No.1〜16)について、両面に、表1に示すめっき浴a、bを用いて、次のA〜Dの方法により耐食性皮膜を形成した。
A:冷延鋼板を10 vol%H2+90 vol%N2雰囲気中で700℃程度で焼鈍して、伸び率1.5%の調質圧延を行った後、アルカリ電解脱脂し、硫酸酸洗を施した後、めっき浴aを用いてNiめっき処理を施しNi層からなる耐食性皮膜を形成。
B:冷延鋼板をアルカリ電解脱脂し、めっき浴aを用いてNiめっき処理を施した後、10 vol%H2+90 vol%N2雰囲気中で、700℃程度で焼鈍して、Niめっきを拡散浸透させた後、伸び率1.5%の調質圧延を行い、Fe-Ni合金層からなる耐食性皮膜を形成。
C:冷延鋼板をアルカリ電解脱脂し、めっき浴aを用いてNiめっきを施した後、10 vol%H2+90 vol%N2雰囲気中で、700℃程度で焼鈍して、Niめっきを拡散浸透させ、伸び率1.5%の調質圧延を行った後、脱脂、酸洗し、めっき浴bを用いてSnめっき処理を施し、錫の融点以上に加熱保持する加熱溶融処理を施し、Fe-Ni-Sn合金層とこの上層のSn層からなる耐食性皮膜を形成。
D:冷延鋼板をアルカリ電解脱脂し、条件Aと同様に焼鈍、調質圧延した後、めっき浴bを用いてSnめっきを施した後、錫の融点以上に加熱保持する加熱溶融処理を施し、Fe-Sn合金層とこの上層のSn層からなる耐食性皮膜を形成。
C、Dの処理においては、加熱溶融処理によりSnめっきの一部もしくは全てを合金化した。
次いで、上記冷延鋼板上あるいは鋼板両面に形成された耐食性皮膜上に、図1に示す陰極電解処理装置を用い、表2〜5に示す陰極電解処理の条件で連続陰極電解処理を行い、乾燥して密着性皮膜を形成し、表面処理鋼板(耐食性皮膜あり)No.1〜16、表面処理鋼板(耐食性皮膜なし)No.17〜32を作製した。なお、陽極には白金を用いた。このとき、表面処理鋼板No.2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32は、循環タンク2にTi粒10を浸漬せずに陰極電解処理されており、比較例である。また、表中の処理浴中のTi濃度は、陰極電解処理前の金属Tiを浸漬する前の処理浴(水溶液)中のTi濃度であり、処理浴中の金属MのTiに対するモル比も、陰極電解処理前のモル比である。
そして、耐食性皮膜のNiやSnの含有量を、蛍光X線分析法により、それぞれ予め含有量を化学分析して求めた検量板と比較して求めた。また、各表面処理鋼板における、連続陰極電解処理の初期段階と最終段階でサンプリングした鋼板について、密着性皮膜のTi、Co、Fe、NiおよびMnの付着量を求め、連続陰極電解処理中の経時変化を調査した。密着性皮膜のTi付着量は、蛍光X線分析法により、予め付着量を化学分析して求めた検量板と比較して求めた。密着性皮膜のCo、Fe、NiおよびMnの付着量は、蛍光X線分析法、ならびに化学分析、オージェ電子分光分析および二次イオン質量分析から適宜測定方法を選択して求め、密着性皮膜に含有されるTiに対するCo、Fe、NiおよびMnの質量比(M/Ti)を評価した。Oは、No.1〜32のすべてについてXPSによる表面分析でその存在を確認できた。
密着性皮膜中のTi量およびM/Tiを表2〜5に示す。表2〜5から明らかなように、発明例では陰極電解処理の初期段階および最終段階でTiの付着量に大きな変動はなかった。一方、比較例においては、初期段階は、発明例と同様の付着量を得るものの、最終段階ではTiの付着を得ることができなくなった。なお、最終段階での金属元素Mの付着は、初期段階と比べ同程度であった。
この結果から、Tiについては、添加する金属元素Mと異なり、陰極電解処理を連続して行うことで密着性皮膜中のTi量が大きく減少するという問題があること、金属Tiを浸漬した水溶液を用いることでこのような問題が解決できることがわかる。
さらに、これらの表面処理鋼板No.1〜32の両面に、延伸倍率3.1×3.1、厚さ25μm、共重合比12モル%、融点224℃のイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタラートフィルムを用い、樹脂フィルムのBO値が150になるようなラミネート条件、すなわち鋼板の送り速度:40m/min、ゴムロールのニップ長:17mm、圧着後水冷までの時間:1secでラミネートして、ラミネート鋼板No.1〜32を作製した。ここで、樹脂フィルムのBO値とは、X線源としてCu管球を用いて測定した2θ=26°近傍に観察されるPET(100)面のX線回折強度のことである。また、ニップ長とは、ゴムロールと鋼板が接する部分の搬送方向の長さのことである。そして、連続陰極電解処理の初期段階と最終段階でサンプリングした表面処理鋼板を用いたラミネート鋼板No.1〜32について、下記の湿潤樹脂密着性および耐食性の評価を行った。
湿潤樹脂密着性:温度130℃、相対湿度100%のレトルト雰囲気における180°ピール試験により湿潤樹脂密着性の評価を行った。180°ピール試験とは、図2の(a)に示すようなフィルム32を残してラミネート鋼板31の一部33を切り取った試験片(サイズ:30mm×100mm、表裏の二面をそれぞれn=1とし、各ラミネート鋼板についてn=2となる)を用い、図2の(b)に示すように、試験片の一端に重り34(100g)を付けてフィルム32側に180°折り返して30min間放置して行うフィルム剥離試験のことである。そして、図2の(c)に示す剥離長35を測定して評価し、各ラミネート鋼板について表裏二面の剥離長(n=2)の平均を求めた。剥離長35は小さいほど、湿潤樹脂密着性が良好であるといえるが、剥離長35が10mm未満であれば、本発明の目的とする優れた湿潤樹脂密着性が得られていると評価した。
耐食性:ラミネート鋼板のラミネート面にカッターナイフを用い鋼板素地に達するカットを交差して施し、0.3質量%NaCl水溶液と0.3質量%クエン酸水溶液を同量ずつ混合した試験液80mlに浸漬し、55℃で9日間放置して、カット部の耐食性(表裏の二面をそれぞれn=1とし、各ラミネート鋼板についてn=5となる)を次のように評価し、○であれば耐食性が良好であるとする。
○:n=5とも腐食なし
△:n=5のうち2〜4が腐食した
×:n=5のうち4以上において腐食あり
結果を表6に示す。本発明例であるラミネート鋼板No.1、3、5、7、9、11、13、15およびNo.17、19、21、23、25、27、29、31は、いずれも優れた湿潤樹脂密着性と耐食性を示している。これに対し、比較例であるラミネート鋼板No. 2、4、6、8、10、12、14、16およびNo.18、20、22、24、26、28、30、32は、電解処理の初期段階では優れた湿潤樹脂密着性および耐食性が得られているが、最終段階ではTi付着量が減少し、湿潤樹脂密着性および耐食性が劣っている。
Figure 2013119647
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1 電解処理槽
2 循環タンク
3 ポンプ
4 コンダクターロール
5 シンクロール
6 陽極
10 Ti粒
20 鋼板
31 ラミネート鋼板
32 フィルム
33 鋼板の切り取った部位
34 重り
35 剥離長

Claims (5)

  1. Tiを含む水溶液中で陰極電解処理を行って、鋼板面にTiを含む密着性皮膜を形成することを特徴とする表面処理鋼板の製造方法であって、該陰極電解処理に用いる水溶液中に金属Tiを浸漬したことを特徴とする表面処理鋼板の製造方法。
  2. 金属Tiとして、Ti板、Ti粒、Ti粉末のうちから選ばれた少なくとも一種を用いることを特徴とする請求項1に記載の表面処理鋼板の製造方法。
  3. 金属Tiを浸漬させる前の水溶液がTiを0.008〜0.07モル/l(リットル)含む水溶液であることを特徴とする請求項1または2に記載の表面処理鋼板の製造方法。
  4. さらに、Co、Fe、Ni、V、Cu、MnおよびZnのうちから選ばれた少なくとも一種の金属を、その合計でTiに対するモル比で0.01〜10含む水溶液を用いることを特徴とする請求項3に記載の表面処理鋼板の製造方法。
  5. 鋼板面と密着性皮膜の間に、Ni層、Sn層、Fe-Ni合金層、Fe-Sn合金層およびFe-Ni-Sn合金層のうちから選ばれた少なくとも一層からなる耐食性皮膜を形成することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の表面処理鋼板の製造方法。
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