JP2013116983A - 粘着剤組成物、粘着剤、およびそれを用いてなる粘着シート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 アクリル系樹脂(A)、エチレン性不飽和基を1個有するエチレン性不飽和化合物(B)、エチレン性不飽和基を2個以上有するエチレン性不飽和化合物(C)、および光重合開始剤(D)を含有してなる粘着剤組成物であり、
アクリル系樹脂(A)が、脂環式構造を含有するアクリル系樹脂であり、
エチレン性不飽和基を1個有するエチレン性不飽和化合物(B)が、脂環式構造含有エチレン性不飽和化合物(B1)、及び水酸基含有エチレン性不飽和化合物(B2)を含有することを特徴とする粘着剤組成物。
【選択図】なし
Description
従って、これら光学用途で使用する粘着剤には、酸を用いないタイプ(酸フリー)の粘着剤(例えば、特許文献2参照。)を使用することが必要となっていた。
そこで、近年では、優れた耐腐食性と粘着物性(粘着力、凝集力)を兼ね備えた粘着剤の開発が望まれていた。
また、電子ディスプレイ等の光学機器においては視認性が求められるものであるため、かかる光学用途に用いられる粘着剤には、透明性も要求されている。
更には、本発明は、粘着剤、それらを用いて得られる粘着シートに関するものである。
更には、粘着剤中に酸を含有させなくても粘着力と凝集力に優れたものとなるため、金属や金属酸化物等に対して耐腐食性が要求される電子ディスプレイ等の光学機器や、デジタル万能ディスク等の光学的記録ディスク(光学的記録媒体)を貼合わせるための光学用粘着シートとして特に有効である。
なお、本発明において、(メタ)アクリルとはアクリルあるいはメタクリルを、(メタ)アクリロイルとはアクリロイルあるいはメタクリロイルを、(メタ)アクリレートとはアクリレートあるいはメタクリレートをそれぞれ意味するものである。
本発明の粘着剤組成物は、アクリル系樹脂(A)、エチレン性不飽和基を1個有するエチレン性不飽和化合物(B)、エチレン性不飽和基を2個以上有するエチレン性不飽和化合物(C)、および光重合開始剤(D)を含有するものである。
これら(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマーの中でも、共重合性、粘着物性、取り扱いやすさ及び原料入手しやすさの点で、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレートが好ましく用いられ、更に好ましく耐久性に優れる点でn−ブチル(メタ)アクリレートが用いられる。
これらの中でも、高い凝集力が得られる点で、水酸基含有モノマーが好ましく用いられ、特に好ましくは、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートである。
Tg:共重合体のガラス転移温度(K)
Tga:モノマーAのホモポリマーのガラス転移温度(K) Wa:モノマーAの重量分率
Tgb:モノマーBのホモポリマーのガラス転移温度(K) Wb:モノマーBの重量分率
Tgn:モノマーNのホモポリマーのガラス転移温度(K) Wn:モノマーNの重量分率
(Wa+Wb+・・・+Wn=1)
アクリル系樹脂(A)の含有量が少なすぎると、粘度が低すぎて塗工しにくくなる傾向があり、多すぎると粘度が高く塗工しにくくなる傾向がある。
本発明においては、かかる(B1)および(B2)を必須成分として併用することにより、とりわけ脂環式構造含有エチレン性不飽和化合物(B1)に由来する粘着剤の離型抑制効果による高い粘着力と、とりわけ水酸基含有エチレン性不飽和化合物(B2)に由来する水素結合による高い凝集力がバランスよく発揮されるものである。
これらの中でも、1級水酸基含有エチレン性不飽和化合物が好ましく、粘度およびアクリル系樹脂との相溶性に優れ、入手が容易である点で、特に好ましくは4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートであり、更に好ましくは、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートである。
これら単官能性不飽和化合物(B3)の中から、1種を単独で、あるいは2種以上を併用して用いればよい。
単官能性不飽和化合物(B)の含有量が多すぎると、粘度が低すぎて塗工しにくくなる傾向があり、低すぎると粘度が高く塗工しにくくなる傾向がある。
多官能性不飽和化合物(C)の含有量が多すぎると、粘着力が低下しやすくなる傾向があり、少なすぎると凝集力が低下しやすくなる傾向がある。
これらは単独でもしくは2種以上を併せて用いられる。
光重合開始剤(D)の含有量が少なすぎると、紫外線等の活性エネルギー線照射による重合にばらつきができやすくなる傾向があり、多すぎると、一定以上の添加効果が得られず不経済となる傾向がある。
粘着シートの製造方法としては、[I]粘着剤組成物を基材上に塗布し、活性エネルギー線を照射して粘着剤層とした後、離型シートを貼合する方法、[II]粘着剤組成物を基材上に塗布し、離型シートを貼合した後、活性エネルギー線照射を行ない粘着剤層を形成する方法、[III]粘着剤組成物を離型シート上に塗布し、活性エネルギー線を照射して粘着剤層とした後、基材もしくは離型シートを貼合する方法、[IV]粘着剤組成物を離型シート上に塗布し、基材もしくは離型シートを貼合した後、活性エネルギー線照射を行ない粘着剤層を形成する方法等が挙げられる。
撹拌機を備えたガラス製の4ッ口丸底フラスコに水300部を入れ、分散安定剤としてポリビニルアルコール0.7部を溶解し、撹拌翼により300rpmで撹拌しつつ、イソボルニルアクリレート(a1)42部、n−ブチルアクリレート(a2)53部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(a3)5部からなる単量体混合物と、重合開始剤としてN,N′−アゾビスイソブチロニトリル0.9部を一括投入し、懸濁液を作製した。
撹拌機を備えたガラス製の4ッ口丸底フラスコに水300部を入れ、分散安定剤としてポリビニルアルコール0.7部を溶解し、撹拌翼により300rpmで撹拌しつつ、シクロヘキシルアクリレート(a1)40部、n−ブチルアクリレート(a2)55部、、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(a3)5部からなる単量体混合物と、重合開始剤としてN,N′−アゾビスイソブチロニトリル0.9部を一括投入し、懸濁液を作製した。
撹拌機を備えたガラス製の4ッ口丸底フラスコに水300部を入れ、分散安定剤としてポリビニルアルコール0.7部を溶解し、撹拌翼により300rpmで撹拌しつつ、n−ブチルアクリレート(a2)87.8部、アクリロニトリル(a4)7.2部、2−ヒドロキシエチルメタリレート(a3)5部からなる単量体混合物と、重合開始剤としてN,N′−アゾビスイソブチロニトリル0.9部を一括投入し、懸濁液を作製した。
撹拌機を備えたガラス製の4ッ口丸底フラスコに水300部を入れ、分散安定剤としてポリビニルアルコール2.3部を溶解し、撹拌翼により300rpmで撹拌しつつ、n−ブチルアクリレート(a2)83.3部、アクリロニトリル(a4)6.7部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(a3)10部からなる単量体混合物と、重合開始剤としてN,N′−アゾビスイソブチロニトリル0.9部を一括投入し、懸濁液を作製した。
アクリル系樹脂(A)として、アクリル系樹脂(A−1)12部、単官能性不飽和化合物(B)として、シクロヘキシルアクリレート(CHA:(B1))20部、4−ヒドロキシブチルアクリレート(HBA:(B2))18部、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA:(B3))50部、多官能性不飽和化合物(C)として、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)0.3部を撹拌機のついた容器に入れ、24時間撹拌混合し溶解した。この溶液に、光重合開始剤(D)として2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(商品名:「ダロキュア1173」;チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)社製)(HMPP)1部を混合することにより粘着剤組成物を得た。
<紫外線照射装置>
アイグランデージECS−301G1型(アイグラフィックス社)
<照射条件>
80W/cm(高圧水銀ランプ)×18cmH、照射強度200mW/cm2
実施例1において、アクリル系樹脂(A−1)をアクリル系樹脂(A−2)に変更した以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物および粘着シートを得た。
実施例1において、アクリル系樹脂(A−1)をアクリル系樹脂(A’−1)に変更し、単官能性不飽和化合物(B)の配合割合を下記表1の割合に変更した以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物および粘着シートを得た。
実施例1において、アクリル系樹脂(A−1)をアクリル系樹脂(A’−2)に変更し、単官能性不飽和化合物(B)の種類および配合割合を下記表1の割合に変更した以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物および粘着シートを得た。
得られた粘着シートを50mm×50mmに切断した後、この粘着シートの粘着剤層側を、60×100mmのSUSメッシュシート(200メッシュ)の長手方向の中央部を避けてメッシュシートに貼り合わせ、ついで、メッシュシートを中央部から折り返して粘着シートを包み込み、試験片を作製した。その試験片を、トルエン180gの入った密封容器中に、23℃×24時間浸漬し、メッシュシート中に残存した不溶解の粘着剤成分の重量%をゲル分率とする。この際、基材の重量は差し引いておく。
JIS Z−0273に準じ粘着力を測定した。すなわち、得られた粘着シートを25mm×100mmに切断した後、これを、被着体としてのステンレス板(SUS304BA板)に、23℃、相対湿度50%の雰囲気下で2kgゴムローラーを用いて2往復させることにより圧着し、試験片を作製した。この試験片を、同雰囲気下で、30分放置した後、剥離速度0.3m/分により、180度剥離試験を行ない、粘着力(N/25mm)を測定した。
(評価基準)
○・・・10N/25mm以上
×・・・10N/25mm未満
得られた粘着シートをJIS Z−0273に準じ、SUS304を被着体とし、貼付面積25mm×25mmで貼り付けた後、(1)80℃で20分間放置したものについても1kgの荷重をかけて測定し、同様に評価した。
(評価基準)
○・・・24時間放置後でも落下しなかった
△・・・24時間放置後のズレが1mm以内
×・・・24時間放置後のズレが1mm以上又は落下
得られた粘着シートを銅箔(厚さ:130μm)に貼り合わせた後、60℃×90%RHの雰囲気下に250時間保存した。その後、目視で、ポリエチレンテレフタレート製フィルム側から銅箔の表面を観察して、粘着シートが貼り合わせられている銅箔の表面の腐食の有無を確認した。
(評価基準)
○・・・腐食無し
×・・・腐食有り
・ヘイズ測定用サンプルの製造
得られた粘着シートを3cm×4cmに切り抜き、離型シートを剥離して、粘着剤層側を無アルカリガラス板(コーニング社製、イーグルXG)に押圧した後、オートクレーブ(50℃、0.5MPa×20min)処理し、ヘイズ測定用サンプルを得た。
・ヘイズ値の測定
上記ヘイズ測定用サンプルのヘイズを下記の各条件で測定した。。
・初期ヘイズ :ヘイズ測定用サンプル作成後に測定。
・湿熱ヘイズ1:ヘイズ測定用サンプル作成後、60℃×90%RH条件下で100時間静置後に測定。
・湿熱ヘイズ2:ヘイズ測定用サンプル作成後、60℃×90%RH条件下で100時間静置後、さらに室温で3時間静置後に測定。
ヘイズは、拡散透過率及び全光線透過率を、HAZE MATER NDH2000(日本電色工業社製)を用いて測定した。なお、本機はJIS K7361−1に準拠している。
得られた拡散透過率と全光線透過率の値を下記式に代入して、ヘイズを算出した。
ヘイズ値(%)=(拡散透過率/全光線透過率)×100
4HBA:4−ヒドロキシブチルアクリレート
2EHA:2−エチルヘキシルアクリレート
BA:ブチルアクリレート
TMPTA:トリメチロールプロパントリアクリレート
HMPP:2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン
・表中(A)〜(D)の数字は重量部を、 「―― 」は、配合しなかったことを表す。
更に粘着剤中に酸を含有させなくても粘着物性を満足させることができるため、金属や金属酸化物等に対して耐腐食性が要求される電子ディスプレイ等の光学機器や、デジタル万能ディスク等の光学的記録ディスク(光学的記録媒体)を貼合わせるための光学用粘着シートとしても特に有用である。
Claims (8)
- アクリル系樹脂(A)、エチレン性不飽和基を1個有するエチレン性不飽和化合物(B)、エチレン性不飽和基を2個以上有するエチレン性不飽和化合物(C)、および光重合開始剤(D)を含有してなる粘着剤組成物であり、
アクリル系樹脂(A)が、脂環式構造を含有するアクリル系樹脂であり、
エチレン性不飽和基を1個有するエチレン性不飽和化合物(B)が、脂環式構造含有エチレン性不飽和化合物(B1)、及び水酸基含有エチレン性不飽和化合物(B2)を含有することを特徴とする粘着剤組成物。 - 脂環式構造を含有するアクリル系樹脂が、脂環式構造含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマーを共重合成分として、共重合成分全体に対して、10〜80重量%含有してなるものであることを特徴とする請求項1記載の粘着剤組成物。
- アクリル系樹脂(A)が、懸濁重合により得られたドライレジンであることを特徴とする請求項1または2記載の粘着剤組成物。
- エチレン性不飽和基を1個有するエチレン性不飽和化合物(B)中における脂環式構造含有エチレン性不飽和化合物(B1)及び水酸基含有エチレン性不飽和化合物(B2)の合計量の含有割合が、10〜75重量%であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の粘着剤組成物。
- 実質的に酸を含まないことを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の粘着剤組成物。
- 溶剤を含有しないことを特徴とする請求項1〜5いずれか記載の粘着剤組成物。
- 請求項1〜6いずれか記載の粘着剤組成物が、活性エネルギー線照射により硬化されてなることを特徴とする粘着剤。
- 基材と、請求項7記載の粘着剤からなる粘着剤層を含有することを特徴とする粘着シート。
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