JP2013104046A - 難燃性エラストマー組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 良好な難燃性を有しつつ、ソフト感に優れるエラストマー組成物を提供する。
【解決手段】 本発明の難燃性エラストマー組成物は、スチレン系重合体ブロックと共役ジエン化合物重合体ブロックとからなる重量平均分子量が25万以上40万未満の水素添加されたブロック共重合体100質量部に対して、40℃における動粘度が80〜400cStである非芳香族系ゴム用軟化剤300〜650質量部と、リン酸塩系難燃剤450〜1000質量部と、環状有機リン化合物系難燃剤6〜150質量部と、フッ素系樹脂1.25〜25質量部と、が配合されていることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、難燃性エラストマー組成物に関する。
家電製品等の衝撃緩衝や防振のための材料としてエラストマー組成物が用いられている。このようなエラストマーとしては緩衝や防振の性能を十分に発揮できるように、高いソフト感(柔らかさ)を得ることができるスチレン系エラストマー組成物を使用する場合があり、使用箇所によっては難燃化が要求される場合もあるので、難燃効率の高さで優れるハロゲン系難燃剤が添加されていた。
しかしながら近年では環境調和の観点から、従来使用されてきたハロゲン系難燃剤を含まない組成物が望まれている。近年ではそのような難燃剤としてリン酸エステル化合物を添加するものが提案されている(特許文献1,2参照)。また、さらにフッ素樹脂であるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を添加したものが提案されている(特許文献3参照)。
特開2009−185214号公報 特開2010−180325号公報 特開2010−180326号公報
難燃性や緩衝・防振性能は、より高い性能を有するものが望まれる。特許文献1〜3に記載のエラストマー組成物は、一定の難燃性や緩衝・防振性能を有するものであるが、軟化剤の配合を増加させると難燃性が低下してしまうという問題があり、難燃性とソフト感とをさらに向上させることは困難であった。
例えば、特許文献1,2の構成では、タイプA硬度14(引用文献1)と十分なソフト感を得られるが、難燃性はUL94にてV-0を達成するためには3mmの厚さが必要となり、難燃性が十分ではなかった。
また特許文献3の構成では、厚さ1.5mmでV-0の難燃性を達成できるが、タイプA硬度が37であり、より柔らかなものが望まれている。
本発明の目的は、良好な難燃性を有しつつ、ソフト感に優れるエラストマー組成物を提供することである。
以下、本発明において採用した構成について説明する。
請求項1に記載の難燃性エラストマー組成物は、スチレン系重合体ブロックと共役ジエン化合物重合体ブロックとからなる重量平均分子量が25万以上40万未満の水素添加されたブロック共重合体100質量部に対して、40℃における動粘度が80〜400cStである非芳香族系ゴム用軟化剤300〜650質量部と、リン酸塩系難燃剤450〜1000質量部と、環状有機リン化合物系難燃剤6〜150質量部と、フッ素系樹脂1.25〜25質量部と、が配合されていることを特徴とする。
上記難燃性エラストマー組成物は、JIS K 6253に準拠する方法で測定されたタイプA硬度が35以下となるように構成してもよい。
難燃性エラストマー組成物にソフト感を与え柔らかくする(硬度を下げる)ためには、オイルなどの軟化剤を増量することが考えられる。しかしながらオイルを増量すれば難燃性は低下するためリン酸塩系難燃剤を多量に配合して難燃性を高めている。本発明では、さらに難燃性を高めるために環状有機リン化合物系難燃剤を配合している。このように構成された難燃性エラストマー組成物は、高い難燃性と優れたソフト感とを両立することができる。
また本発明の難燃性エラストマー組成物は、タイプA硬度を35以下とすることも可能である。
また本発明の難燃性エラストマー組成物は、環状有機リン化合物系難燃剤がエラストマー表面にブリードアウトして保護膜として機能することにより、べたつきを低減することもできる。
以下に本発明の実施形態について説明する。
<難燃性エラストマー組成物の構成>
本発明の難燃性エラストマー組成物は、以下の成分を含有する。
・スチレン系重合体ブロックと共役ジエン化合物重合体ブロックとからなる水素添加されたブロック共重合体(a)(以下、単に水添ブロック共重合体(a)という場合がある)
・非芳香族系ゴム用軟化剤(b)
・リン酸塩系難燃剤(c)
・環状有機リン化合物系難燃剤(d)
・フッ素系樹脂(e)
なお、上記成分(a)〜(e)以外にも、本発明の特徴を損なわない範囲で必要に応じて加工助剤や充填剤などの他の配合成分を配合することができる。以下、上記成分についてより詳細に説明する。
1.水添ブロック共重合体(a)
水添ブロック共重合体(a)としては、例えば、特開2010−180326号公報に記載された材料を用いることができるため、以下、上記公報の段落0008を引用して記載する。
本発明に使用する水添ブロック共重合体(a)とは、スチレン系重合体ブロック(S)と、共役ジエン化合物を含む重合体ブロック(B)とからなるものであって、前記共役ジエン化合物重合体ブロック(B)は、一部または全部が水素添加されている。
上記スチレン系重合体ブロック(S)としては、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t(ターシャリー)−ブチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン等のスチレン系単量体の重合体ブロックが例示される。これらスチレン系重合体ブロック(S)は単独で使用されてもよく、また2種以上が併用されてもよい。望ましいスチレン系重合体ブロック(S)としてはスチレンがある。
上記共役ジエン化合物としては、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等が例示され、これら共役ジエン化合物は単独で使用されてもよく、また2種以上が併用されてもよい。望ましい共役ジエン化合物としては、ブタジエン、イソプレンがある。(引用終わり)
上記水添ブロック共重合体(a)としては、重量平均分子量(Mw)が25万以上、40万未満であるものを用いることができる。重量平均分子量を大きくして25万以上とすると、高い難燃性を有するエラストマーが製造できる。また重量平均分子量が40万未満の場合、溶融混練を容易に行うことができ、生産性、成形性が向上する。特に、重量平均分子量が26万以上、35万以下であるものが良好である。
上記水添ブロック共重合体(a)の具体例としては、スチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEEPS)が挙げられる。本発明に用いられる水添ブロック共重合体(a)には、所望に応じて2種類以上を併用してもよい。このような水添ブロック共重合体(a)の例としては、株式会社クラレ製のセプトン4044,4055,4077(いずれも商品名)などが挙げられる。
2.非芳香族系ゴム用軟化剤(b)
非芳香族系ゴム用軟化剤(b)としては、例えば、特開2010−180326号公報に記載された材料を用いることができるため、以下、上記公報の段落0011を引用して記載する。
非芳香族系ゴム用軟化剤(b)は、難燃性エラストマー組成物の硬度調節のために添加される。従来から使用されている公知のゴム用軟化剤として、例えば、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル、アスファルト系オイル等の鉱物油系軟化剤、脂肪油系、松根油系、トールオイル、ファクチス等の植物油系軟化剤、タール類、クマロンインデン樹脂等のコールタール系軟化剤、フェノール樹脂低縮合物、低融点スチレン樹脂、ポリブテン、ターシャリィブチルフェノールアセチレン縮合物等の液状もしくは低分子量合成樹脂等が挙げられる。本発明ではこれらの中で非芳香族系のものが使用され、なかでもパラフィン系オイルは、上記水添ブロック共重合体(a)との相溶性が良好であるため、望ましい。(引用終わり)
上記非芳香族系ゴム用軟化剤(b)としては、JIS K2283に準拠した方法によって測定された40℃における動粘度が、80センチストークス(cSt)以上、400cSt以下のものを使用することができる。動粘度(40℃)が80cSt以上の場合、得られるエラストマー組成物が高い難燃性を示す。動粘度(40℃)が400cSt以下の場合、流動性が良好であり、得られるエラストマー組成物の成形性の悪化を抑制できる。
このような非芳香族系ゴム用軟化剤(b)の例としては、出光興産株式会社製のダイアナプロセスオイルPW−90,PW−150,PW−380(いずれも商品名)などが挙げられる。
3.リン酸塩系難燃剤(c)
リン酸塩系難燃剤(c)としては、例えば、特開2010−180326号公報に記載された材料を用いることができるため、以下、上記公報の段落0013〜0016を引用して記載する。なお、参照記号等、一部変更して記載した部分がある。
リン酸塩系難燃剤(c)は、エラストマー組成物に難燃性を付与するために添加される。本発明のリン酸塩系難燃剤(c)としては、リン酸アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム等のリン酸塩や、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート等のリン酸エステル、などが例示される。これらの中でもリン酸エステルは、得られる難燃性エラストマー組成物の高温時の変色が少ないため望ましく、またアンモニア性でない窒素を含有するリン酸塩系難燃剤は、高温時の変色が殆どなく、耐候性、耐水性に極めて優れているため望ましい。
上記アンモニア性でない窒素を有するリン酸塩系難燃剤としては、以下の難燃剤1から難燃剤3の3種類が例示される。
[難燃剤1]
下記一般式(1)で表される化合物と下記化学式(3)で表される化合物との混合物。
Figure 2013104046
(式中、X1は〔R12N(CH2mNR34〕、ピペラジンまたはピペラジン環を含むジアミンである。ここに、R1、R2、R3およびR4は、それぞれH原子、炭素数1〜5の直鎖または分岐アルキル基であり、互いに同一であっても、又異なっていてもよく、mは1〜10の整数である。Y1はNH3または下記一般式(2)で示されるトリアジン誘導体であり、nは1〜100の整数である。)
Figure 2013104046
(式中、Z1およびZ2は同一でも異なっていてもよく、−NR56で示される基、水酸基、メルカプト基、炭素数1〜10の直鎖もしくは分岐アルキル基、炭素数1〜10の直鎖もしくは分岐アルコキシル基、フェニル基およびビニル基からなる群より選ばれる基である。ここに、−NR56基のR5およびR6はH原子、炭素数1〜6の直鎖または分岐アルキル基、またはメチロール基であり、互いに同一であっても、又異なっていてもよい。)
Figure 2013104046
[難燃剤2]
下記一般式(4)で表される化合物または下記一般式(5)で表される化合物と、下記一般式(6)で表される化合物との組み合わせ。
Figure 2013104046
(式中、X1、Y1およびnは上記の一般式(1)で示すものと同様である。但し、0<p≦n+2、0<q≦n+2かつ0<p+q≦n+2)
Figure 2013104046
(式中、X1、pおよびnは上記一般式(4)で示すものと同様である。)
Figure 2013104046
(式中、Y1、qおよびnは上記一般式(4)で示すものと同様である。)
[難燃剤3]
上記一般式(5)で表される化合物と、上記一般式(6)で表される化合物と、下記一般式(7)または一般式(8)で表される化合物との配合物。
Figure 2013104046
Figure 2013104046
(式中、R7は炭素原子数6〜24の直鎖または分岐のアルキル基またはアルケニル基を示し、R8は炭素原子数2〜6の直鎖または分岐のアルキレン基を示し、rは0〜20の整数を示す)
上記リン酸塩系難燃剤(d)は特開2000−169731号公報、特開2003−26935号公報、特開2004−238568号公報に詳記されている。(引用終わり)
上記リン酸塩系難燃剤のpHは4以上であることが望ましい。pH4以上のものは難燃性エラストマー組成物を混練調合する場合や、押出成形または射出成形する場合、混練機や成形機を腐蝕するおそれが小さい。またリン含有量を15質量%以上、窒素含有量を15質量%以上とすることで、難燃性エラストマー組成物の難燃性を良好にすることができる。
このようなリン酸塩系難燃剤の例としては、株式会社ADEKA製のリン酸塩系難燃剤FP−2200(商品名)が挙げられる。
4.環状有機リン化合物系難燃剤(d)
環状有機リン化合物系難燃剤(d)は上記リン酸塩系難燃剤(c)の難燃効果を相乗効果によって高める目的で添加される。本発明の環状有機リン化合物系難燃剤(d)としては、例えば、特開2004−292495号公報に記載されているリン含有フェノール化合物を用いることができる。具体的には上記公報に記載されているように、
(i)10−メチル−9−ヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキシド、10−フェニル−9−ヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキシド、および、10−ベンジル−9−ヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキシドからなる群から選択される少なくとも一種、あるいは、
(ii)下記一般式(9)中のR9が下記一般式(10)で表される化合物が該当する。
Figure 2013104046
Figure 2013104046
(式中、R10は、炭素数が1〜10のアルキル基、または、置換もしくは未置換のアリール基を表す。)
このような環状有機リン化合物系難燃剤(d)の例としては、下記化学式(11)に示される、三光株式会社製のSANKO−HCA(9,10−Dihydro−9−Oxa−10−Phosphaphenantrene−10−Oxide)(商品名)が挙げられる。
Figure 2013104046
5.フッ素系樹脂(e)
フッ素系樹脂(e)は、上記リン酸塩系難燃剤(c)および環状有機リン化合物系難燃剤(d)による難燃性を向上させるために添加される。また、ドリップ防止剤としての役割も有する。本発明において使用するフッ素系樹脂(e)としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリテトラフルオロエチレン−ヘキシルフルオロプロピレン共重合体(FEP)等が例示される。
望ましいフッ素系樹脂(e)としては、アクリル変性PTFEが挙げられる。アクリル変性PTFEは、PTFE(A)と炭素数5〜30のアルキル(メタ)アクリレート系重合体(B)とからなるPTFE変性物(特許第2942888号)、あるいは、PTFE(A)の含有量が40〜70質量部、炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルと、炭素数1〜4のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステルとを有しており、これら構成単位を合計量で70質量%以上含む(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体(B)の含有量が30〜60質量部であるPTFE変性物(特許第3909020号)である。
上記アクリル変性PTFEは、難燃性エラストマー組成物の難燃性を向上せしめるばかりでなく、本発明の難燃性エラストマー組成物の溶融物の表面張力を向上せしめ、押出成形の際に押出機のダイスから該熱可塑性樹脂配合物の溶融物が垂れ下がるドローダウン現象や、ダイスに該熱可塑性樹脂配合物の溶融物の凝固物が固着してしまう目やに現象の発生を抑制する、という効果を有する。
このようなフッ素系樹脂の例としては、三菱レイヨン株式会社製のメタブレンA−3000(商品名)が挙げられる。
<難燃性エラストマー組成物の製造例および評価>
本発明の難燃性エラストマー組成物の実施例および比較例と、その評価について説明する。
1.製造に用いた材料
以下に、難燃性エラストマー組成物の実施例および比較例の製造に用いた材料を示す。なお各実施例および比較例の詳細な配合量については下記表1〜4に示す。
ベース樹脂である水添ブロック共重合体(a)としては以下のいずれかを用いた。
・株式会社クラレ製、セプトン4044(重量平均分子量約17.3万)
・株式会社クラレ製、セプトン4055(重量平均分子量約26万)
・株式会社クラレ製、セプトン4077(重量平均分子量約35万)
・株式会社クラレ製、セプトン4099(重量平均分子量約40万)
可塑剤である非芳香族系ゴム用軟化剤(b)としては、以下のいずれかを用いた。なお動粘度は40℃の値である。
・出光興産株式会社製、ダイアナプロセスオイルPW−32(動粘度30cSt)
・出光興産株式会社製、ダイアナプロセスオイルPW−90(動粘度92cSt)
・出光興産株式会社製、ダイアナプロセスオイルPW−150(動粘度145cSt)
・出光興産株式会社製、ダイアナプロセスオイルPW−380(動粘度380cSt)
リン酸塩系難燃剤(c)としては、株式会社ADEKA製のリン酸塩系難燃剤FP−2200を用いた。
環状有機リン化合物系難燃剤(d)としては、三光株式会社製のSANKO−HCAを用いた。
フッ素系樹脂(e)としては、三菱レイヨン株式会社製のメタブレンA−3000を用いた。
また上記成分(a)〜(e)以外に、滑剤(加工助剤)として用いる花王株式会社製のレオドールSP−S10V(商品名)、酸化防止剤として用いるチバ・スペシャリティー・ケミカルズ株式会社製のIRGANOX#1010(商品名)を配合した。
また比較例においては、環状有機リン化合物系難燃剤(d)に変えて、日本軽金属株式会社製の水酸化アルミニウムBF083(商品名)、または株式会社三和ケミカル製のリン酸グアニル系難燃剤アピノン405(商品名)を配合した場合がある。
2.難燃性エラストマー組成物の製造方法
上記各材料を計量し混合した後、混練機(株式会社東洋精機製作所製 ラボプラストミル4C150)を使用して溶融混練した。なお混練温度は190℃、スクリュー回転数は50rpm、混練時間は7分とした。
混練後、加熱プレス機(テスター産業株式会社製 SA−302)と以下の金型を使用して難燃性エラストマー組成物をシート状に成型した。加熱温度は180℃とした。金型は、厚さ3mm、幅160mm、長さ160mmと厚さ1.5mm、幅160mm、長さ160mmの2種類(いずれも成型される難燃性エラストマー組成物のサイズ)を用意し、前者で作成したものを後述する硬度測定に用い、後者で作成したものを後述する難燃試験に用いた。
3.評価方法
3−1.硬度測定
製造した厚さ3mm、幅160mm、長さ160mmの難燃性エラストマー組成物シートを4等分し、4枚を重ねて12mmとした。この試験片を用い、JIS K6253に準拠して測定した。
硬度計はタイプAデュロメータとタイプEデュロメータを用いた。加圧面に加わる質量は1.0Kgとし、加圧面が密着してから30秒後の値を読んだ。なお目的とする値はタイプA硬度が35以下である。
3−2.難燃試験(UL規格)
厚さ1.5mmサンプルをUL94規格に準拠して行った。下記表1〜4においては、厚さ1.5mmで難燃性がV-0を達成したものを「○」とし、達成できなかったものを「×」とした。
3−3.べたつきの有無の評価
シート成形後、常温で三日間放置した後のシート表面を手で触り、官能評価によりべたつきの有無を判断した。下記表1〜4においては、全くべたつきのないものを「○」とし、僅かでもべたつきのあるものを「×」とした。
Figure 2013104046
Figure 2013104046
Figure 2013104046
Figure 2013104046
各材料の配合量は、水添ブロック共重合体(a)を100質量部としたときの配合量である。
実施例1,2は、環状有機リン化合物系難燃剤(d)の配合量をそれぞれ6質量部、150質量部としている。他の実施例では7.5質量部配合している。これらの値から、環状有機リン化合物系難燃剤(d)の配合量が6〜150質量部である場合に、良好な難燃性および硬度を達成でき、さらにべたつきを抑制できることがわかる。
一方比較例1では環状有機リン化合物系難燃剤(d)を配合しておらず、その結果、難燃性およびべたつきの評価が「×」となる。比較例2のように環状有機リン化合物系難燃剤(d)を配合していても、その配合量が5質量部であると難燃性の評価が「×」となる。比較例3,4のように環状有機リン化合物系難燃剤(d)以外の難燃剤を添加しても、難燃性およびべたつきの評価が「×」となる。
なお、環状有機リン化合物系難燃剤(d)を添加すると難燃性エラストマー組成物は硬くなる。そこで、環状有機リン化合物系難燃剤(d)の配合量を150質量部以下とすることで、タイプA硬度が35を超えてしまうことを抑制できる。
実施例3,4は、リン酸塩系難燃剤(c)の配合量をそれぞれ450質量部、1000質量部としている。他の実施例では500〜833質量部配合している。これらの値から、リン酸塩系難燃剤(c)の配合量が450〜1000質量部である場合に、良好な難燃性および硬度を達成できることがわかる。
一方比較例5ではリン酸塩系難燃剤(c)の配合量が400質量部であり、難燃性の評価が「×」となる。なお、リン酸塩系難燃剤(c)の配合量を1000質量部以下とすることで、材料混練物が粉状になりにくくコンパウンドを容易に行えるため、生産性の低下を抑制できる。
実施例5,6は、フッ素系樹脂(e)の配合量をそれぞれ1.25質量部、25質量部としている。他の実施例では1.5質量部配合している。これらの値から、フッ素系樹脂(e)の配合量が1.25〜25質量部である場合に、良好な難燃性および硬度を達成できることがわかる。
一方比較例6ではフッ素系樹脂(e)の配合量が1.0質量部であり、難燃性の評価が「×」となる。なお、フッ素系樹脂(e)の配合量を25質量部以下とすることで、フィブリル量の増加による流動性の悪化を抑制し、成形性を良好に保つことができる。
実施例7は、非芳香族系ゴム用軟化剤(b)として、動粘度が145cSt(40℃の場合の値、以下同様)のPW150を用いている。また実施例8は、水添ブロック共重合体(a)として重量平均分子量が26万のセプトン4055を用い、非芳香族系ゴム用軟化剤(b)として動粘度が380cStのPW380を用いている。他の実施例では、水添ブロック共重合体(a)として重量平均分子量が35万のセプトン4077を用い、非芳香族系ゴム用軟化剤(b)として動粘度が92cStのPW90を用いている。
これらの結果より、水添ブロック共重合体(a)は重量平均分子量が26万〜35万、非芳香族系ゴム用軟化剤(b)は92〜380cStの範囲において良好な難燃性および硬度を達成できることがわかる。なお別途行った試験により、水添ブロック共重合体(a)の重量平均分子量が25万以上40万未満、かつ、非芳香族系ゴム用軟化剤(b)の動粘度が80〜400cStの範囲において、t=1.5mmでV-0レベルの難燃性、タイプA硬度35以下を達成できることがわかった。
一方比較例7,8のように水添ブロック共重合体(a)として重量平均分子量が17.3万のものを用いると、難燃性の評価が「×」となる。なお重量平均分子量が40万未満のものを用いると、比較的低温(190℃)で溶融混練を行うことができる。
また比較例9のように非芳香族系ゴム用軟化剤(b)として動粘度が30cStのものを用いると、難燃性の評価が「×」となる。なお動粘度が400cSt以下のものを用いることで、粘度が高すぎることにより生産性が低下してしまうことを抑制できる。
また比較例10の配合では、セプトン4099の分子量が大きいため、HCAの分解温度(210℃)以下において良好に溶融混練できなかった。なお非芳香族系ゴム用軟化剤(b)として比較例10とは異なるPW90、PW150、PW380などを配合した場合には溶融混練が可能であった。
実施例9,10は、非芳香族系ゴム用軟化剤(b)の配合量をそれぞれ300質量部、650質量部としている。他の実施例では400質量部配合している。これらの値から、非芳香族系ゴム用軟化剤(b)の配合量が300〜650質量部である場合に、良好な難燃性および硬度を達成できることがわかる。
なお非芳香族系ゴム用軟化剤(b)の配合量を300質量部以上とすることで、コンパウンド時に溶融しやすくなり、生産性を向上できる。また配合量を650質量部以下とすることで、混練時にべたつきが大きくなることを抑制し、生産性を向上できる。

Claims (2)

  1. スチレン系重合体ブロックと共役ジエン化合物重合体ブロックとからなる重量平均分子量が25万以上40万未満の水素添加されたブロック共重合体100質量部に対して、
    40℃における動粘度が80〜400cStである非芳香族系ゴム用軟化剤300〜650質量部と、
    リン酸塩系難燃剤450〜1000質量部と、
    環状有機リン化合物系難燃剤6〜150質量部と、
    フッ素系樹脂1.25〜25質量部と、が配合されている
    ことを特徴とする難燃性エラストマー組成物。
  2. JIS K 6253に準拠する方法で測定されたタイプA硬度が35以下である
    ことを特徴とする請求項1に記載の難燃性エラストマー組成物。
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