JP2013095762A - スチレン−アクリル樹脂の高分子量体の製造方法及びトナーの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】スチレン−アクリル樹脂の高分子量体の製造方法は、スチレン系モノマー、アクリル系モノマー、重合開始剤を混合して乳化重合し、樹脂粒子分散液を調製する工程と、スチレン系モノマー、アクリル系モノマーを、水系媒体中に分散させ、モノマー分散液を調製する工程と、前記樹脂粒子分散液と、前記モノマー分散液を混合し、この混合液を加熱して前記重合開始剤の10時間半減期温度に達したところで、0.2m/s以下の攪拌速度で少なくとも20分間攪拌し、スチレン−アクリル樹脂の高分子量体を生成する工程と、を含む。
【選択図】なし
Description
スチレン系モノマー、アクリル系モノマー、重合開始剤を混合して乳化重合し、樹脂粒子分散液を調製する工程と、
スチレン系モノマー、アクリル系モノマーを、水系媒体中に分散させ、モノマー分散液を調製する工程と、
前記樹脂粒子分散液と、前記モノマー分散液を混合し、この混合液を加熱して前記重合開始剤の10時間半減期温度に達したところで、0.2m/s以下の攪拌速度で少なくとも20分間攪拌し、スチレン−アクリル樹脂の高分子量体を生成する工程と、
を含むスチレン−アクリル樹脂の高分子量体の製造方法が提供される。
前記スチレン−アクリル樹脂の高分子量体は、分子量分布において1000000より大きく3000000より小さい範囲内にピークを有する請求項1に記載のスチレン−アクリル樹脂の高分子量体の製造方法が提供される。
前記スチレン−アクリル樹脂の高分子量体は、重量平均分子量が1000000以上3000000以下である請求項1又は2に記載のスチレン−アクリル樹脂の高分子量体の製造方法が提供される。
結着樹脂及び着色剤を含有するトナーの製造方法であって、
スチレン系モノマー、アクリル系モノマー、重合開始剤を混合して乳化重合し、スチレン−アクリル樹脂の樹脂粒子分散液を調製する工程と、
スチレン系モノマー、アクリル系モノマーを、水系媒体中に分散させ、モノマー分散液を調製する工程と、
前記樹脂粒子分散液と、前記モノマー分散液を混合し、この混合液を加熱して前記重合開始剤の10時間半減期温度に達したところで、0.2m/s以下の攪拌速度で少なくとも20分間攪拌し、スチレン−アクリル樹脂の高分子量体を生成する工程と、
を含むトナーの製造方法が提供される。
前記スチレン−アクリル樹脂の高分子量体は、分子量分布において1000000より大きく3000000より小さい範囲内にピークを有する請求項4に記載のトナーの製造方法が提供される。
前記スチレン−アクリル樹脂の高分子量体は、重量平均分子量が1000000以上3000000以下である請求項4又は5に記載のトナーの製造方法が提供される。
前記スチレン−アクリル樹脂の高分子量体は、結着樹脂の分子量分布における面積比(%)が、2〜25%の範囲内にある請求項4〜6の何れか一項に記載のトナーの製造方法が提供される。
なお、数値範囲a〜bの記載は、下限値a及び上限値bを、その数値範囲に含むことを示す。
本発明のスチレン−アクリル樹脂の高分子量体の製造方法は、スチレン系モノマー、アクリル系モノマー、重合開始剤を混合して乳化重合し、樹脂粒子分散液を調製する工程と、前記スチレン系モノマーと、前記アクリル系モノマーを、水系媒体中に分散させ、モノマー分散液を調製する工程と、前記樹脂粒子分散液と前記モノマー分散液を混合し、この混合液を加熱して前記重合開始剤の10時間半減期温度に達したところで、0.2m/s以下の攪拌速度で少なくとも20分間攪拌し、スチレン−アクリル樹脂の高分子量体を生成する工程と、を含む。
(1)第1段重合工程
界面活性剤溶液に重合開始剤を添加し、分散させる。この重合開始剤の分散液に、スチレン系モノマーとアクリル系モノマーを添加して、乳化重合を行う。乳化重合により、スチレン−アクリル樹脂の樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液を調製する。
第1段重合工程で得られたスチレン−アクリル樹脂の重量平均分子量Mwは、150000〜600000が好ましい。
乳化重合に用いられるスチレン系モノマー、アクリル系モノマーは、特に限定されず、従来公知のモノマーを用いることができる。
ビニル系モノマーとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等のビニルエステル系モノマー、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニルフェニルエーテル等のビニルエーテル系モノマーが挙げられる。
本発明に用いられる重合開始剤は、ラジカル重合開始剤であれば特に限定されず、例えば過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、4,4′−アゾビス4−シアノ吉草酸及びその塩、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩等のアゾ系化合物、パーオキシド化合物等が挙げられる。
さらに、上記重合開始剤は、必要に応じて還元剤と組み合わせレドックス系開始剤とすることが可能である。レドックス系開始剤を用いることにより、重合活性が上昇し、乳化重合時の温度を低下させることができ、重合時間も短縮できることから好ましい。
界面活性剤としては、特に限定されないが、好適な界面活性剤の例として下記のイオン性界面活性剤を挙げることができる。
水系媒体中に、界面活性剤を添加して界面活性剤溶液を調製する。界面活性剤は上記(1)工程で挙げられた界面活性剤を用いることができる。この界面活性剤溶液中に、スチレン系モノマー、アクリル系モノマーを添加し、分散処理を行って、第2段重合に用いられるモノマー分散液を調製する。
上記(1)工程で調製された樹脂粒子分散と、上記(2)工程で調製されたモノマー分散液とを混合する。このとき、(1)工程で乳化重合に用いられた重合開始剤を添加してもよい。次に、混合液を加熱し、(1)工程で乳化重合に用いられた重合開始剤の10時間半減期温度に達したところで、その温度を維持しながら、0.2m/s以下の攪拌速度(周速)で攪拌する。10時間半減期温度とは、重合開始剤がラジカル重合反応によって、溶液中の重合開始剤の濃度が半分になるまでの時間、つまり半減期が10時間となるときの溶液の温度をいう。攪拌は通常用いられるような回転式の攪拌装置を用いることができる。
上記製造方法によって生成されたスチレン−アクリル樹脂の高分子量体は、その分子量分布において、1000000より大きく3000000より小さい範囲内にピークを有することが好ましい。1000000以下の範囲にピークがある場合、弾性成分が減少し、弾性体としての機能が低下する。そのため、トナーの結着樹脂としてスチレン-アクリル樹脂の高分子量体を用いたとき、定着時にトナー粒子が破断しやすくなり、ホットオフセットが生じやすい。また、3000000以上の範囲にピークがある場合、弾性成分が増加する。そのため、トナーの結着樹脂としてスチレン-アクリル樹脂を用いたとき、結着樹脂の粘弾性が上昇し、トナーの形状制御が難しくなって、所望のトナー粒子の円形度を達成することができない。
装置:HLC−8220(東ソー社製)
カラム:TSKguardcolumn+TSKgelSuperHZM−M3連(東ソー社製)
カラム温度:40℃
溶媒:テトラヒドロフラン
流速:0.2ml/min
検出器:屈折率検出器(RI検出器)
試料の分子量分布は、単分散の標準ポリスチレン(分子量7500000〜5800000)について測定された較正曲線を用いて算出される。較正曲線測定用の標準ポリスチレンとしては10点用いる。
上記スチレン−アクリル樹脂の高分子量体の製造方法は、スチレン−アクリル樹脂及び着色剤を含有するトナーの製造方法に好適に用いられ得る。
(結着樹脂)
結着樹脂としては、上述のスチレン−アクリル樹脂の高分子量体の製造方法によって生成されるスチレン−アクリル樹脂が挙げられる。このスチレン−アクリル樹脂に、上述したスチレン系モノマー、アクリル系モノマー、ビニル系モノマー、オレフィン系モノマー等との重合によって得られる樹脂を併用してもよい。
なお、上記面積比は、結着樹脂の分子量分布において、全面積に対しスチレン−アクリル樹脂の高分子量体のピークが占める面積の割合をいう。
着色剤としては、特に限定されず、各種の無機顔料、有機顔料、染料を挙げることができる。着色剤の添加量は、トナーに対して2〜20質量%の範囲内が好ましく、より好ましくは3〜15質量%の範囲内である。
以上の着色剤は、単独で又は複数を選択して併用することが可能である。
これらの表面改質剤の添加量は、着色剤に対して0.01〜20質量%の範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.1〜5質量%の範囲内である。
チタンカップリング剤としては、例えば、商品名プレンアクト(味の素社製)で市販されているTTS、9S、38S、41B、46B、55、138S、238S等、日本曹達社製の市販品A−1、B−1、TOT、TST、TAA、TAT、TLA、TOG、TBSTA、A−10、TBT、B−2、B−4、B−7、B−10、TBSTA−400、TTS、TOA−30、TSDMA、TTAB、TTOP等が挙げられる。
アルミニウムカップリング剤としては、例えば市販品のプレンアクトAL−M(味の素社製)等が挙げられる。
表面改質された着色剤は、濾過により採取され、同一の溶媒による洗浄処理と濾過処理が繰り返された後、乾燥処理される。
トナーは、定着部材との離型性を向上させるため、離型剤を含有してもよい。離型剤により、トナー画像に光沢を付与することもできる。
離型剤としては、炭化水素系ワックス類、エステル系ワックス類、天然物系ワックス類、アミド系ワックス類等が挙げられる。
エステル系ワックス類としては、ベヘン酸ベヘニル、エチレングリコールステアリン酸エステル、エチレングリコールベヘン酸エステル、ネオペンチルグリコールステアリン酸エステル、ネオペンチルグリコールベヘン酸エステル、1,6-ヘキサンジオールステアリン酸エステル、1,6-ヘキサンジオールベヘン酸エステル、グリセリンステアリン酸エステル、グリセリンベヘン酸エステル、ペンタエリスリトールステアリン酸エステル、ペンタエリスリトールベヘン酸エステル、クエン酸ステアリル、クエン酸ベヘニル、リング酸ステアリル、リング酸ベヘニル等の高級脂肪酸と高級アルコール類とのエステル等が挙げられる。
トナーは、荷電制御剤を含有してもよい。
荷電制御剤は、従来公知の荷電制御剤を使用することができる。具体的には、ニグロシン系染料、ナフテン酸又は高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩化合物、アゾ系金属錯体、サリチル酸金属塩又はその金属錯体等が挙げられる。
トナーは、外添剤によって外添処理されてもよい。外添剤は、外添処理によってトナー粒子の表面に付着し、トナーの流動性や、定着部材のクリーニング性能を向上させることができる。
外添剤としては、無機粒子、有機微粒子、滑剤等が挙げられる。
外添剤の添加量としては、トナーに対して0.1〜5質量%程度であることが好ましい。
チタン微粒子としては、例えば日本アエロジル社製の市販品T−805、T−604、テイカ社製の市販品MT−100S、MT−100B、MT−500BS、MT−600、MT−600SS、JA−1、富士チタン社製の市販品TA−300SI、TA−500、TAF−130、TAF−510、TAF−510T、出光興産社製の市販品IT−S、IT−OA、IT−OB、IT−OC等が挙げられる。
アルミナ微粒子としては、例えば日本アエロジル社製の市販品RFY−C、C−604、石原産業社製の市販品TTO−55等が挙げられる。
本発明に係るトナーの製造方法は、スチレン−アクリル樹脂及び着色剤を含有するトナーの製造方法であって、スチレン系モノマー、アクリル系モノマー、重合開始剤を混合して乳化重合し、スチレン−アクリル樹脂の樹脂粒子分散液を調製する工程と、前記スチレン系モノマー、前記アクリル系モノマーを、水系媒体中に分散させ、モノマー分散液を調製する工程と、前記樹脂粒子分散液と、前記モノマー分散液を混合し、この混合液を加熱して前記重合開始剤の10時間半減期温度に達したところで、0.2m/s以下の攪拌速度で少なくとも20分間攪拌し、スチレン−アクリル樹脂の高分子量体を生成する工程と、を含む。
(a)スチレン−アクリル樹脂の高分子量体を含有する樹脂粒子の分散液の調製
上述のスチレン−アクリル樹脂の高分子量体の製造方法によって、スチレン−アクリル樹脂の高分子量体を生成する。
このとき、臨界ミセル濃度以下の界面活性剤を溶解させた水系媒体中に、離型剤とモノマー分散液を、機械的エネルギーを利用して油滴として分散させ、その分散液に水溶性の重合開始剤を添加することにより、油滴内で重合反応させることが好ましい。この方法によれば、油相に溶解させた離型剤の脱離が少なく、生成される高分子量体の樹脂粒子内に十分量の離型剤を導入することができる。
上記高分子量体を生成した後、さらに重合開始剤とスチレン系モノマー、アクリル系モノマーを添加し、重合反応を行ってもよい。これにより、高分子量体の樹脂粒子の表面に、スチレン−アクリル樹脂の層を形成することができ、多層構造を有する樹脂粒子を得ることができる。例えば、第3段重合で重合するスチレン−アクリル樹脂の分子量を低分子量とすることにより、トナー粒子の定着可能下限温度を調整することができる。
第3段重合工程において添加するスチレン系モノマー、アクリル系モノマーとしては、第1段重合工程で挙げたモノマーと同様のモノマーが挙げられる。第1段重合工程又は第2段重合工程で用いられたモノマーと同じモノマーを選択して用いてもよいし、異なるモノマーを選択して用いてもよい。
上述の着色剤を、水系媒体中に分散させ、着色剤粒子の分散液を調製する。
(a)工程で得られた高分子量体を含有する樹脂粒子の分散液に、(b)工程で得られた着色剤粒子の分散液と凝集剤を添加して加熱し、凝集、融着させてコア粒子を形成する。凝集と融着の一連の工程は、会合と呼ばれることがある。
なお、離型剤を(a)工程ではなく、(c)工程において添加し、樹脂粒子、着色剤粒子、離型剤粒子を凝集、融着させてコア粒子を形成してもよい。
本発明で用いられる凝集剤は、金属塩の中から選択されることが好ましい。
金属塩としては、一価〜三価の金属塩等が挙げられる。一価の金属塩としては、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム等のアルカリ金属塩が挙げられる。二価の金属塩としては、例えば塩化カルシウム、硫酸マグネシウム等のアルカリ土類金属塩、塩化亜鉛、硫酸銅、硫酸マンガン等の金属塩が挙げられる。三価の金属塩としては、塩化アルミニウム、塩化鉄等の金属塩が挙げられる。
これらは、目的に応じて適宜選択することができる。一般的には、一価の金属塩より二価の金属塩の方が、臨界凝集濃度(凝析値又は凝析点とも呼ばれる)が小さく、さらに三価の金属塩の臨界凝集濃度は小さい。
具体的には、凝集、融着工程で加熱温度を低めにして粒子間の融着の進行を抑制し、コア粒子の均一化を図る。その後、熟成工程において、所望の円形度になるまで加熱温度を低めに、かつ時間を長く調整して、コア粒子の表面が均一形状となるよう制御する。
上記(1)工程で得られたコア粒子の分散液中に、スチレン系モノマーとアクリル系モノマーの分散液と重合開始剤を添加し、乳化重合させる。添加するスチレン系モノマー及びアクリル系モノマーは、コア粒子の形成、つまり高分子量体の生成に用いられたスチレン系モノマー、アクリル系モノマーと同種でもよいし、異種でもよい。
シェル化工程では、乳化重合によって生成されたスチレン−アクリル樹脂の樹脂粒子が、コア粒子の表面に凝集、融着し、コア粒子の表面にシェル層が形成されたトナー粒子の分散液が得られる。
上記(2)工程で得られたコア・シェル構造のトナー粒子の分散液を、例えば1〜20℃/minの冷却速度で冷却する。所定温度まで冷却すると、冷却されたトナー粒子の分散液からトナー粒子を固液分離する。固液分離は遠心分離の他、ヌッチェ等を用いた減圧濾過、フィルタープレス等を用いた濾過等、何れの方法でもよい。次いで、固液分離によって得られたトナーケーキ(ウェット状のトナー粒子をケーキのような円筒形状に整形した状態)を洗浄し、界面活性剤や凝集剤等の付着物を除去する。
洗浄されたトナーケーキを乾燥処理する。乾燥処理には、スプレードライヤー、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機等を用いることができる。乾燥されたトナー粒子の水分は、5%質量以下であることが好ましく、より好ましくは2質量%以下である。
必要に応じて外添剤を添加してもよい。乾燥によって得られたトナー粒子に外添剤を混合する。混合には、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル等の機械式の装置を用いることができる。
(1)コア粒子の形成
(スチレン−アクリル樹脂の高分子量体を含有する樹脂粒子の作製)
(第1段重合)
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、界面活性剤溶液を仕込み、窒素気流下1.42m/sの周速で攪拌しながら加熱し、液温を80℃に昇温させた。界面活性剤溶液として、約2900質量部のイオン交換水に、アニオン系界面活性剤であるドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウムを2.0質量部溶解させた溶液を用いた。
(モノマー溶液1)
n−ブチルアクリレート 198質量部
メタクリル酸メチル 942質量部
アニオン系界面活性剤(ポリオキシ(2)ドデシルエーテル硫酸エステルナトリウム塩)2質量部をイオン交換水1100質量部に溶解させ、界面活性剤溶液を調製した。また、撹拌装置を取り付けたフラスコ内において、85℃に加温した下記モノマー溶液2を調製した。
(モノマー溶液2)
スチレン 202質量部
n−ブチルアクリレート 105質量部
メタクリル酸 22質量部
n−オクチルメルカプタン 5質量部
第2段重合で得られた樹脂粒子分散液a1に、重合開始剤(過硫酸カリウム)2.5質量部をイオン交換水110質量部に溶解させた重合開始剤水溶液を添加した。次いで、80℃の温度条件下で、下記モノマー溶液3を1時間かけて滴下した。
(モノマー溶液3)
スチレン 231質量部
n−ブチルアクリレート 99質量部
n−オクチルメルカプタン 4.4質量部
n−ドデシル硫酸ナトリウム90質量部をイオン交換水1600質量部に投入し、溶解、撹拌して界面活性剤水溶液を調製した。次いで、撹拌を行いながら当該界面活性剤水溶液中にカーボンブラック(リーガル330R、キャボット社製)420質量部を徐々に添加した。次いで、クレアミックスWモーションCLM−0.8(エム・テクニック社製)を用いて、分散処理を行い、着色剤粒子分散液を調製した。
この着色剤粒子分散液中の着色剤粒子の粒径を、電気泳動光散乱光度計ELS−800(大塚電子社製)を用いて測定した結果、質量平均粒径で110nmであった。
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、下記組成物を投入し、攪拌した。
樹脂粒子分散液A1 421質量部(固形分換算)
イオン交換水 900質量部
着色剤粒子分散液 200質量部(固形分換算)
(シェル用樹脂粒子分散液の調製)
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、アニオン系界面活性剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)2.0質量部をイオン交換水2900質量部に溶解させた界面活性剤溶液を投入し、窒素気流下、1.42m/sの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。
(モノマー溶液3)
スチレン 543質量部
n−ブチルアクリレート 228質量部
メタクリル酸 105質量部
n−オクチルメルカプタン 24質量部
得られたトナー粒子に、下記外添剤を添加して、ヘンシェルミキサー(三井三池鉱業社製)にて混合する外添処理を行い、外添処理されたトナー粒子からなるトナー1を作製した。なお、ヘンシェルミキサーによる外添処理は、撹拌羽根の周速35m/s、処理温度35℃、処理時間15分の条件の下で行った。
(外添剤)
ヘキサメチルシラザン処理されたシリカ(平均一次粒径12nm) 0.6質量部
n−オクチルシラン処理された二酸化チタン(平均一次粒径24nm) 0.8質量部
以上の手順により、トナー1を作製した。
上記高分子量体のスチレン−アクリル樹脂を生成する第2段重合において、71℃にて60分攪拌したところを、71℃にて30分の攪拌に変えた以外は、同様にして樹脂粒子分散液A2を調整し、それ以降はトナー1の作製と同様にしてトナー2を作製した。
上記高分子量体のスチレン−アクリル樹脂を生成する第2段重合において、71℃にて60分攪拌するときの攪拌速度0.05m/sを、0.20m/sの攪拌速度に変えた以外は、トナー1と同様にして樹脂粒子分散液A3を調整した。それ以降はトナー1の作製と同様にして、トナー3を作製した。
上記高分子量体のスチレン−アクリル樹脂を生成する第2段重合において、モノマー溶液2を、下記組成のモノマー溶液4に変え、第1段重合で得られた樹脂粒子分散液a1の添加量を56質量部に変えた以外は、トナー1と同様にして樹脂粒子分散液A4を調製した。また、それ以降もトナー1の作製と同様にして、トナー4を作製した。
(モノマー溶液4)
スチレン 188質量部
n−ブチルアクリレート 91質量部
メタクリル酸 22質量部
N−オクチルメルカプタン 5質量部
上記高分子量体のスチレン−アクリル樹脂を生成する第2段重合において、モノマー溶液2を、下記組成のモノマー溶液5に変え、第1段重合で得られた樹脂粒子分散液a1の添加量を84質量部に変えた。また、71℃にて60分攪拌したところを、85℃にて30分の攪拌に変えた。これら以外は、トナー1と同様にして樹脂粒子分散液A5を調製した。また、それ以降もトナー1の作製と同様にしてトナー5を作製した。
(モノマー溶液5)
スチレン 174質量部
n−ブチルアクリレート 77質量部
メタクリル酸 22質量部
N−オクチルメルカプタン 5質量部
上記高分子量体のスチレン−アクリル樹脂を生成する第2段重合において、71℃にて60分攪拌したところを、85℃にて20分間の攪拌に変えた以外は、トナー1と同様にして樹脂粒子分散液A6を調整した。それ以降はトナー1の作製と同様にして、トナー6を作製した。
上記高分子量体のスチレン−アクリル樹脂を生成する第2段重合において、71℃にて60分間、攪拌速度0.05m/sで攪拌したところを、85℃にて60分間、攪拌速度1.42m/sの攪拌に変えた以外は、トナー1と同様にして樹脂粒子分散液A7を調整した。それ以降はトナー1の作製と同様にして、トナー7を作製した。
超高分子量スチレン系樹脂(1)(樹脂粒子A)の調製において、第2段重合においてモノマー分散液を仕込んだ後、71℃で保持せず、すぐに1.42m/sの撹拌速度で攪拌して、樹脂粒子分散液A8を調整した。それ以降はトナー1の作製と同様にしてトナー8を作製した。
作製された各トナー1〜8について、下記の評価を行った。表1は、評価結果を示す。
・スチレン−アクリル樹脂の高分子量体の分子量の測定
各トナー1〜8の作製において、第2段重合を経て得られた樹脂粒子分散液a1から試料を採り、樹脂粒子分散液a1中のスチレン−アクリル樹脂の分子量をGPCにより測定し、重量平均分子量Mwを得た。また、分子量分布において、分子量300000以上の領域に現れるピークのピークトップMpと、500000〜3000000の分子量の範囲内にあるピークの全面積に対し、スチレン−アクリル樹脂の高分子量体のピークが占める割合を示す面積比(%)を求めた。
装置 :HLC−8220(東ソー社製)
カラム:TSKguardcolumn+TSKgelSuperHZM−M3連(東ソー社製)
カラム温度:40℃
溶媒 :テトラヒドロフラン
流速 :0.2ml/min
検出器:屈折率検出器(RI検出器)
較正曲線:単分散のポリスチレン標準粒子(分子量7500000〜5800000)を10点
また、下記表1において、GPCチャートから求められたピークトップMp、重量平均分子量Mw、面積比(%)を示した。
なお、トナー7、8については、300000以上の高分子量域にピークが見られなかった。
作製されたトナー1〜8の現像剤を作製し、当該現像剤を用いて定着テストを行い、ホットオフセットの発生状況を確認した。
(現像剤の作製)
粒径45μmのフェライトコアに対して質量比で0.8質量%のシリコーン樹脂SR2411(東レダウコーニングシリコーン社製)を添加し、流動床コーティング装置を用いてコーティングキャリアを得た。作製された各トナー1〜8を6質量部採り、このコーティングキャリア94質量部とV型ブレンダにて混合処理し、各トナー1〜8の現像剤を作製した。
市販のフルカラープリンターbizhub PRO 950(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)を改造し、定着装置の定着温度を、120〜210℃の範囲内で変更できるようにした。この改造されたフルカラープリンターbizhub PRO 950に、各トナー1〜8の現像剤をセットして用紙上にトナー画像を形成し、温度20℃、相対湿度55%の常温常湿の環境下で、定着テストを行った。トナー画像は、用紙の幅方向(用紙の搬送方向に垂直な方向)に長い5mm幅の帯状の画像であり、最大値の濃度が設定されたベタ画像である。定着テストでは、定着温度を120℃から210℃まで、5℃毎に上昇させ、各定着温度で用紙上に形成されたトナー画像を定着処理した。
定着率(%)=(擦った後のトナー濃度)/(擦る前のトナー濃度)×100
定着率が70%以上に達するときの定着温度(定着可能下限温度)以上で、ホットオフセットによる画像汚れが目視により観察されたときの定着温度を求めた。
画像汚れが観察され、ホットオフセットが発生したトナーについては、表1において、ホットオフセットが発生したときの定着温度を示した。定着温度が210℃に達してもホットオフセットが発生しない場合、表1において、未発生と表した。
上記各トナー1〜8の現像剤がセットされたフルカラープリンターbizhub PRO 950によって、最大値の濃度が設定されたベタ画像の画像形成を行い、定着温度を190℃として定着テストを行った。定着処理後、用紙上のトナー画像の光沢度を測定し、評価した。具体的には、光沢度計(村上色材研究所製、製品名GM-26D)を用いて、JIS Z8741:97に従い、角度75℃の光沢度を測定した。トナー画像の中央部と四隅の合計5点について測定し、5点の測定値の平均値を光沢度として得た。
表1における光沢度の評価基準は、以下の通りである。
◎:光沢度が27以上
○:光沢度が17以上27未満
×:光沢度が17未満
○又は◎の評価が、トナーとして使用可能なレベルである。
実施例に係るトナー1については、スチレン−アクリル樹脂の高分子量体の分子量のピークが1000000より大きく3000000より小さい範囲内にあることが、図1からも把握できる。
Claims (7)
- スチレン系モノマー、アクリル系モノマー、重合開始剤を混合して乳化重合し、樹脂粒子分散液を調製する工程と、
スチレン系モノマー、アクリル系モノマーを、水系媒体中に分散させ、モノマー分散液を調製する工程と、
前記樹脂粒子分散液と、前記モノマー分散液を混合し、この混合液を加熱して前記重合開始剤の10時間半減期温度に達したところで、0.2m/s以下の攪拌速度で少なくとも20分間攪拌し、スチレン−アクリル樹脂の高分子量体を生成する工程と、
を含むスチレン−アクリル樹脂の高分子量体の製造方法。 - 前記スチレン−アクリル樹脂の高分子量体は、分子量分布において1000000より大きく3000000より小さい範囲内にピークを有する請求項1に記載のスチレン−アクリル樹脂の高分子量体の製造方法。
- 前記スチレン−アクリル樹脂の高分子量体は、重量平均分子量が1000000以上3000000以下である請求項1又は2に記載のスチレン−アクリル樹脂の高分子量体の製造方法。
- 結着樹脂及び着色剤を含有するトナーの製造方法であって、
スチレン系モノマー、アクリル系モノマー、重合開始剤を混合して乳化重合し、スチレン−アクリル樹脂の樹脂粒子分散液を調製する工程と、
スチレン系モノマー、アクリル系モノマーを、水系媒体中に分散させ、モノマー分散液を調製する工程と、
前記樹脂粒子分散液と、前記モノマー分散液を混合し、この混合液を加熱して前記重合開始剤の10時間半減期温度に達したところで、0.2m/s以下の攪拌速度で少なくとも20分間攪拌し、スチレン−アクリル樹脂の高分子量体を生成する工程と、
を含むトナーの製造方法。 - 前記スチレン−アクリル樹脂の高分子量体は、分子量分布において1000000より大きく3000000より小さい範囲内にピークを有する請求項4に記載のトナーの製造方法。
- 前記スチレン−アクリル樹脂の高分子量体は、重量平均分子量が1000000以上3000000以下である請求項4又は5に記載のトナーの製造方法。
- 前記スチレン−アクリル樹脂の高分子量体は、結着樹脂の分子量分布における面積比(%)が、2〜25%の範囲内にある請求項4〜6の何れか一項に記載のトナーの製造方法。
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