JP2013091405A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】スパイクタイヤの氷雪路面における走行性能、特に制動性能を向上した空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】スパイク61〜68の打ち込みが可能な穴51〜58が、タイヤのトレッドの踏面1設けられた空気入りタイヤであって、タイヤ赤道からトレッド接地半幅の60%〜90%の範囲内にあるショルダー領域Rsに位置する穴の配設方向が、穴の位置における踏面に立てた法線方向に対して、タイヤ回転方向とは逆側に傾斜し、ショルダー領域に位置する穴の配設方向と、穴の位置における踏面に立てた法線方向V1〜V8とのなす角度のうち小さい方の角度を、タイヤ回転方向側に向けた角度を正の角度としてαとしたときに、タイヤ幅方向に隣接する穴間において、タイヤ赤道側に位置する穴におけるαの方が、タイヤ幅方向外側に位置する穴におけるαと比較して、大きいことを特徴とする、空気入りタイヤ。
【選択図】図1

Description

本発明は、空気入りタイヤに関し、特に、トレッド踏面にスパイクの打ち込みが可能な穴を有する空気入りタイヤに関する。
氷雪路面上での走行性能を向上させた空気入りタイヤとして、トレッドの踏面に設けられた穴にスパイクを打ち込んだスパイクタイヤ(以下、「スパイクタイヤ」と称する。)が知られている。そして、スパイクタイヤでは、スパイクの打ち込みが可能な穴に打ち込まれたスパイクが備えるピン(「チップ」と称されることもある。)が氷雪を引っ掻くことにより、空気入りタイヤの氷雪路面上における制動性能や駆動性能などの走行性能を確保している。
ここで、スパイクの打ち込みが可能な穴(以下、単に「穴」とも称する。)は、該穴の位置における踏面に立てた法線方向に沿って設けられることが一般的である。図3に示す従来のスパイクタイヤのトレッドの踏面1’に設けられた穴54’に着目すると、穴54’の配設方向は、その中心点O’におけるトレッドの踏面に立てた法線V’に沿う方向となる。
しかし、スパイクタイヤの走行性能を向上させるため、穴を法線方向に対して傾斜させて設ける手法がある。例えば、特許文献1では、タイヤ幅方向断面において、タイヤ幅方向外側のショルダー領域(トレッド接地幅の65%〜95%)に位置する穴の配設方向を、その穴の位置における踏面に立てた法線方向に対してタイヤ幅方向外側に傾斜させている。この空気入りタイヤによれば、該タイヤの穴にスパイクを打ち込んだスパイクタイヤについて、旋回時の操縦安定性を向上させることができる。
特開2008−284922号明細書
しかしながら、上記従来の空気入りタイヤにスパイクを打ち込んだスパイクタイヤでは、制動性能が良好ではなかった。
そこで、本発明は、スパイクタイヤの氷雪路面における走行性能、特に制動性能を向上させることを目的とする。また、このスパイクタイヤの作製に用いる、タイヤのトレッドの踏面にスパイクの打ち込みが可能な穴が、該穴の配設方向がその位置における踏面に立てた法線方向に対して傾斜するように設けられた空気入りタイヤを提供することを目的とする。
発明者らは、上記従来のスパイクタイヤについて、走行性能、特に制動性能を向上させる方途を鋭意研究した。そして、トレッドの踏面に設けられるスパイクの打ち込みが可能な穴の配設角度をタイヤ幅方向の位置に従って、タイヤ幅方向とは異なり、トレッド周方向に差異を設けることに想到し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
本発明の空気入りタイヤは、タイヤのトレッドの踏面の少なくとも一部に、タイヤ幅方向に分布を有するスパイクの打ち込みが可能な穴が、タイヤ径方向外方から内方に向けて設けられた空気入りタイヤであって、タイヤ回転軸と直交する方向の断面において、タイヤ赤道からトレッド接地半幅の60%〜90%の範囲内にあるショルダー領域に位置する前記穴の配設方向が、前記穴の位置における前記踏面に立てた法線方向に対して、タイヤ回転方向とは逆側に傾斜し、前記ショルダー領域に位置する前記穴の配設方向と、前記穴の位置における前記踏面に立てた法線方向とのなす角度のうち小さい方の角度を、タイヤ回転方向側に向けた角度を正の角度としてαとしたときに、タイヤ幅方向に隣接する前記穴間において、タイヤ赤道側に位置する前記穴におけるαの方が、タイヤ幅方向外側に位置する前記穴におけるαと比較して、大きいことを特徴とする。
このように、ショルダー領域において、タイヤ幅方向断面とは異なり、タイヤ回転軸と直交する方向の断面において、穴の配設方向をその穴の位置における踏面に立てた法線方向に対して傾斜させることを特徴とする。
ショルダー領域では、径差により、タイヤを装着した車両の進行方向とは逆向きの摩擦力が生じる。従って、タイヤを上記構成とすることにより、該タイヤが有する穴にスパイクを打ち込んでスパイクタイヤとし、適切な回転方向で用いたときに、この摩擦力を更に高めることができる。また、この領域に設けられるスパイクの打ち込みが可能な穴の配設方向をタイヤ回転方向とは逆側(トレッド周方向他方側)に傾斜させることによって、ピンの引っ掻き効果を得ることができるため、スパイクタイヤの氷雪路面における制動性能を向上させることができる。また、装着方向外側となるショルダー領域において、タイヤ赤道側部分は、制動時でなくとも接地する可能性が高く、また、タイヤ幅方向外側部分は、制動時でなければ接地する可能性が小さい。そのため、上記構成とすれば、タイヤ赤道側部分に位置する穴では角度αを大きくする(α<0であるため、その絶対値は小さくなる)ことによって、スパイクタイヤの氷雪路面における駆動性能の低下を抑制する効果を得つつ、タイヤ幅方向外側部分に位置する穴では角度αを小さく(α<0であるため、その絶対値は大きくなる)することによって、スパイクタイヤの氷雪路面における制動性能を更に向上させる効果を得ることができる。
なお、トレッドの踏面とは、タイヤを適用リムに装着し、所定空気圧とし、静止した状態で平板に対し垂直に置き、所定の荷重に対応する負荷を加えたときの平板との接触面を指す。因みに、「適用リム」とは、タイヤが生産され、使用される地域に有効な産業規格であって、日本ではJATMA(日本自動車タイヤ協会) YEAR BOOK、欧州ではETRTO(European Tyreand Rim Technical Organisation) STANDARD MANUAL、米国ではTRA(THE TIRE and RIM ASSOCIATION INC.)YEAR BOOK等に規定されたリムを指し、「所定の荷重」とは、JATMA等の規格のタイヤ最大負荷を指し、「所定空気圧」とは、適用サイズのタイヤにおける所定の荷重に対応する空気圧(最高空気圧)を指す。
またなお、「タイヤ径方向外方から内方に向けて」とは、厳密にタイヤ径方向に沿う方向という限定的な意味ではなく、タイヤ径方向成分を有する方向をいう。
更になお、タイヤの回転方向とは、正転方向を指す。
更になお、トレッド接地半幅とは、トレッド接地幅の半分の値を指す。ここで、トレッド接地幅とは、トレッドの踏面のタイヤ軸方向最大直線距離を指す。
また、本発明の空気入りタイヤは、タイヤ回転軸と直交する方向の断面において、タイヤ赤道からトレッド接地半幅の30%〜60%の範囲内にあるセンター領域に位置する前記穴の配設方向が、前記穴の位置における前記踏面に立てた法線方向に対して、タイヤ回転方向側に傾斜し、タイヤ回転軸と直交する方向の断面において、前記センター領域に位置する前記穴の配設方向と、前記穴の位置における前記踏面に立てた法線方向とのなす角度のうち小さい方の角度を、タイヤ回転方向側に向けた角度を正の角度としてαとしたときに、タイヤ幅方向に隣接する前記穴間において、タイヤ赤道側に位置する前記穴におけるαの方が、タイヤ幅方向外側に位置する前記穴におけるαと比較して、大きいことが好ましい。
空気入りタイヤのトレッドの踏面では、空気入りタイヤのトレッドの踏面では、センター領域において、特に接地圧が高い。そして、タイヤを上記構成とすることにより、該タイヤが有する穴にスパイクを打ち込んでスパイクタイヤとし、適切な回転方向で用いたときに、スパイクの先端をタイヤ回転方向側に傾斜させることができる。従って、スパイクが備えるピンの引っ掻き効果を高めることができる。そのため、スパイクタイヤの氷雪路面における駆動性能を向上させることができる。
更に、本発明の空気入りタイヤは、タイヤ幅方向断面において、前記穴の配設方向が、前記穴の位置における前記踏面に立てた法線方向に対してタイヤ幅方向外側に傾斜することが好ましい。
上記構成とすれば、タイヤをネガティブキャンバーで用いた際、車両の装着方向内側部分となる踏面領域で、スパイクの先端が路面に対して直交する方向に近い向きとなる。従って、スパイクタイヤの制動性能を更に向上させることができる。また、旋回時に、装着方向外側部分となる踏面領域に荷重負荷がかかり、接地するようになった際、装着方向内側に向けた引っ掻き効果が生じるため、スパイクタイヤの旋回性能、すなわち操縦安定性能を向上させることができる。
更に、本発明の空気入りタイヤは、タイヤ幅方向断面において、前記穴の配設方向と、前記穴の位置における前記踏面に立てた法線方向とのなす角度のうち小さい方の角度をβとしたときに、タイヤ幅方向に隣接する前記穴間において、タイヤ赤道側に位置する前記穴におけるβの方が、タイヤ幅方向外側に位置する前記穴におけるβと比較して、小さいことが好ましい。
装着方向外側部分となる踏面領域では、旋回時のコーナリングフォースが大きくなるほど、接地領域がタイヤ幅方向外側まで及ぶ。そのため、上記構成とすれば、タイヤ幅方向外側部分に位置する穴ほどβを大きくすることによって、コーナリングフォースの大きさに従って、装着方向内側に向けた引っ掻き効果を得ることができる。そのため、スパイクタイヤの氷雪路面における旋回性能、すなわち操縦安定性能を更に向上させることができる。
更に、本発明の空気入りタイヤは、前記ショルダー領域に位置する前記穴において、前記αが−20°≦α≦−5°を満たすことが好ましい。上記構成とすれば、スパイクタイヤの氷雪路面における制動性能の向上という所望の効果を十分に得つつ、スパイク抜け性の高まりを抑制することができる。
更に、本発明の空気入りタイヤは、前記センター領域に位置する前記穴において、前記αが5°≦α≦20°を満たすことを特徴とすることが好ましい。上記構成とすれば、スパイクタイヤの氷雪路面における駆動性能の向上という所望の効果を十分に得つつ、スパイク抜け性の高まりを抑制することができる。
更に、本発明の空気入りタイヤは、前記βが、5°≦β≦20°を満たすことが好ましい。上記構成とすれば、スパイクタイヤの氷雪路面における旋回性能、すなわち操縦安定性能の向上という所望の効果を十分に得つつ、スパイク抜け性の高まりを抑制することができる。
本発明のタイヤによれば、タイヤのトレッドの踏面にスパイクの打ち込みが可能な穴が、該穴の配設方向がその位置における踏面に立てた法線方向に対して傾斜するように設けられたタイヤにスパイクを打ち込んだ、本発明のスパイクタイヤを作製することができ、該スパイクタイヤによれば、スパイクタイヤの氷雪路面における走行性能、特に制動性能を向上させることができる。
(A)本発明に従う空気入りタイヤのショルダー領域について示す、タイヤ回転軸方向から見た図の一部である。(B)本発明に従う空気入りタイヤのセンター領域について示す、タイヤ回転軸方向から見た図の一部である。 本発明に従う空気入りタイヤをトレッド周方向に見た図の一部である。 本発明に従う空気入りタイヤのトレッドの踏面を示す部分展開図である。 従来の空気入りタイヤの、タイヤ回転軸方向から見た図の一部である。 従来の空気入りタイヤをトレッド周方向に見た図の一部である。
以下、図面を参照して、本発明の空気入りタイヤについて詳細に説明する。
図3に、本発明に従う空気入りタイヤのトレッドの踏面の一部を示す。本発明に従う空気入りタイヤは、両トレッド接地端TG間に位置するトレッドの踏面1に、スパイクの打ち込みが可能な穴5(図3では、51、52、53、54、55、56、57、58。以下、単に「穴」とも称する。)が設けられている。この穴5は、踏面1からトレッド内部に向かって、すなわち、タイヤ径方向外方から内方に向けて設けられている。
なお、トレッド接地端とは、トレッドの踏面のタイヤ幅方向端を指す。
なお、本発明のスパイクタイヤでは、踏面の少なくとも一部に、スパイクの打ち込みが可能な穴が設けられていればよい。
各スパイクの打ち込みが可能な穴51、52、53、54、55、56、57、58は、タイヤ赤道CLからのタイヤ幅方向距離がそれぞれw、w、w、w、w、w、w、wとなる位置に設けられる。すなわち、穴5は、そのタイヤ赤道CLからのタイヤ幅方向距離wが様々であり、言い換えれば、タイヤ幅方向に分布を有している。
因みに、図3では、w<w<w<w<w<w<w<wの関係を満たしている。
通常、スパイク6は、スパイクの打ち込みが可能な穴5が設けられている方向に沿って、穴5に打ち込まれる。そのため、穴に打ち込まれるスパイクの配設方向は、穴の配設方向に従う。そして、スパイクに設けられた小穴にピンが圧入される(図示せず)ことにより、ピンが引っ掻き効果を発揮し、スパイクタイヤの氷雪路面上における制動性能や駆動性能などの走行性能を向上させる。
本発明に従う空気入りタイヤは、タイヤ赤道からトレッド接地半幅TGVの60%〜90%の範囲内にある踏面のショルダー領域Rsにおいて、穴の配設角度が、その穴のタイヤ幅方向の位置に従って、トレッド周方向に傾斜を有することを特徴とする。
図1に、本発明に従う空気入りタイヤの、タイヤ回転軸方向から見た図を示し、特に、ショルダー領域Rsに位置する穴54の配設方向に着目する。ここで、この穴54のトレッドの踏面上の中心点Oにおけるトレッドの踏面に法線Vを立てると、穴54の配設方向は、法線Vに対してタイヤ回転方向とは逆側(トレッド周方向他方側)に傾斜する。言い換えれば、タイヤ回転軸に垂直な方向の断面において、穴54の配設方向と法線Vの方向とのなす角度のうち小さい方の角度を、タイヤ回転方向側(トレッド周方向一方側)に向けた角度を正の角度としてαs4で表したときに、αs4<0°となる。
同じくショルダー領域Rsに位置する穴51、55、58の配設方向についても同様であり、αs1、αs5、αs8<0°となる。
なお、スパイクの打ち込みが可能な穴の配設方向とは、該穴のトレッド内部に位置する端から該穴の踏面への開口端に向かう方向を指すものとする。
このように、ショルダー領域Rsに位置する穴51、54、55、58(以下、「ショルダー穴」とも称する。)では、タイヤ回転軸に垂直な方向の断面において、穴5(図1(A)では、51、54、55、58)の配設方向と法線V(図1(A)では、51、54、55、58についてそれぞれV、V、V、V)の方向とのなす角度のうち小さい方の角度を、回転方向に向けた角度を正の角度としてαで表し(特にショルダー領域Rsではαで表し、図1(A)では、51、54、55、58についてそれぞれαs1、αs4、αs5、αs8で表す)たときに、α<0°となることを必要とする。
図1(A)に示すように、本発明に従う空気入りタイヤは、トレッド周方向一方側をタイヤ回転方向(以下、「回転方向」とも称する。)側、同じく他方側をタイヤ回転方向とは逆側(以下、「回転方向逆側」とも称する。)側として用いることによって、下記の効果を得ることができる。
空気入りタイヤのトレッドの踏面では、ショルダー領域には、径差により路面から受ける、タイヤ回転方向、すなわち空気入りタイヤを装着した車両の進行方向とは逆向きの、摩擦力が生じる。従って、上記領域にスパイクを打ち込むことによって、この摩擦力を更に高めることができる。また、この領域に設けられるスパイクの打ち込みが可能な穴の配設方向を回転方向とは逆側に傾斜させることによって、ピンの引っ掻き効果を得ることができるため、スパイクタイヤの氷雪路面における制動性能を向上させることができる。
ここで、図1(A)において、本発明の空気入りタイヤでは、タイヤ幅方向に隣接する穴同士の間において、タイヤ赤道側部分に位置する穴における角度αの方が、タイヤ幅方向外側部分に位置する穴における角度αと比較して大きいことを必要とする。具体的には、本発明に従う空気入りタイヤでは、ショルダー領域Rsに、タイヤ赤道CL側からタイヤ幅方向外側に向かって順に位置する、スパイクの打ち込みが可能な穴51、55、58、54の、それぞれの角度αs1、αs4、αs5、αs8が、αs4≦αs8<0°、αs8≦αs5<0°、αs5≦αs1<0°(但し、αs4≠αs1)という関係式が成り立つことを必要とする。
特に、装着方向外側となるショルダー領域Rsにおいて、タイヤ赤道側部分は、制動時でなくとも接地する可能性が高く、また、タイヤ幅方向外側部分は、制動時でなければ接地する可能性が小さい。そのため、タイヤ赤道側部分に位置する穴では角度αを大きくする(α<0であるため、その絶対値は小さくなる)ことによって、氷雪路面における駆動性能の低下を抑制する効果を得つつ、タイヤ幅方向外側部分に位置する穴では角度αを小さく(α<0であるため、その絶対値は大きくなる)することによって、氷雪路面における制動性能を更に向上させる効果を得ることができる。
ここで、上記角度αは、−20°≦α≦−5°を満たすことが好ましい。
−5°<α(<0°)とすれば、0°とする場合と比較して差異がないため、スパイクタイヤの氷雪路面における制動性能の向上という所望の効果を十分に得ることができない。また、α<−20°とすれば、スパイク配設角度が大き過ぎて、スパイクが脱落しやすくなる、すなわちスパイク抜け性が高まる。
本発明に従う空気入りタイヤは、タイヤ赤道からトレッド接地半幅TGVの30%〜60%の範囲内にある踏面のセンター領域Rcにおいて、穴の配設角度が、その穴のタイヤ幅方向の位置に従って、トレッド周方向に傾斜を有することが好ましい。
図1(B)に、本発明に従う空気入りタイヤの、タイヤ回転軸方向から見た図を示し、センター領域Rcに位置する穴54の配設方向に着目する。ここで、この穴52のトレッドの踏面上の中心点Oにおけるトレッドの踏面に法線Vを立てると、穴52の配設方向は、法線Vに対してタイヤ回転方向側(トレッド周方向一方側)に傾斜する。言い換えれば、タイヤ回転軸に垂直な方向の断面において、穴52の配設方向と法線Vの方向とのなす角度のうち小さい方の角度を、タイヤ回転方向側(トレッド周方向一方側)に向けた角度を正の角度としてαc2で表したときに、αc2>0°となる。
同じくセンター領域Rcに位置する穴52、53、56、57の配設方向についても同様であり、αc2、αc3、αc6、αc7<0°となる。
なお、スパイクの打ち込みが可能な穴の配設方向とは、該穴のトレッド内部に位置する端から該穴の踏面への開口端に向かう方向を指すものとする。
このように、センター領域Rcに位置する穴52、53、56、57(以下、「センター穴」とも称する。)では、タイヤ回転軸に垂直な方向の断面において、穴5(図2では、52、53、56、57)の配設方向と法線V(図1(B)では、52、53、56、57についてそれぞれV、V、V、V)の方向とのなす角度のうち小さい方の角度を、回転方向に向けた角度を正の角度としてαで表し(特にセンター領域Rcではαで表し、図1(B)では、52、53、56、57についてそれぞれαc2、αc3、αc6、αc7で表す)たときに、α>0°となることが好ましい。
図1(B)に示すように、本発明に従う空気入りタイヤは、トレッド周方向一方側をタイヤ回転方向(以下、「回転方向」とも称する。)側、同じく他方側をタイヤ回転方向とは逆側(以下、「回転方向逆側」とも称する。)側として用いることによって、下記の効果を得ることができる。
空気入りタイヤのトレッドの踏面では、空気入りタイヤのトレッドの踏面では、センター領域において、特に接地圧が高い。そして、上記構成とすれば、スパイクの先端をタイヤ回転方向側に傾斜させることができる。従って、スパイクが備えるピンの引っ掻き効果を高めることができる。そのため、スパイクタイヤの氷雪路面における駆動性能を向上させることができる。
ここで、図1(B)において、本発明の空気入りタイヤでは、タイヤ幅方向に隣接する穴同士の間において、タイヤ赤道側部分に位置する穴における角度αの方が、タイヤ幅方向外側部分に位置する穴における角度αと比較して大きいことが好ましい。具体的には、本発明に従う空気入りタイヤでは、センター領域Rcに、タイヤ赤道CL側からタイヤ幅方向外側に向かって順に位置する、スパイクの打ち込みが可能な穴53、56、52、57の、それぞれの角度αc3、αc6、αc2、αc7が、0°<αc3≦αc6、0°<αc6≦αc2、0°<αc2≦αc7(但し、αc3≠αc7)、という関係式が成り立つことが好ましい。
センター領域では、タイヤ赤道側部分において、タイヤ幅方向外側部分と比較して、特に接地圧が高く、また、タイヤ幅方向外側部分において、タイヤ赤道側部分と比較して、特に制動時に特に接地圧が高まる。従って、タイヤ赤道側部分に位置する穴において、αを大きくする(α>0であるため、その絶対値は大きくなる)ことによって、氷雪路面における駆動性能を更に向上させる効果を得つつ、また、タイヤ幅方向外側部分に位置する穴において、αを小さくする(α>0であるため、その絶対値は小さくなる)ことによって、氷雪路面における制動性能の低下を抑制する効果を得ることができる。
ここで、上記角度αは、5°≦α≦20°を満たすことが好ましい。
(0°<)α<5°とすれば、0°とする場合と比較して差異がないため、スパイクタイヤの氷雪路面における制動性能の向上という所望の効果を十分に得ることができない。また、α>20°とすれば、スパイク配設角度が大き過ぎて、スパイクが脱落しやすくなる、すなわちスパイク抜け性が高まる。
また、本発明に従う空気入りタイヤは、穴の配設角度が、その穴のタイヤ幅方向の位置に従って、タイヤ幅方向外側に傾斜を有することが好ましい。
図2に、本発明に従う空気入りタイヤをトレッド周方向に見た図を示し、穴54の配設方向に着目する。また、図2では、空気入りタイヤを、穴51を片側、すなわち装着方向内側として車両に装着して使用している。ここで、この穴54のトレッドの踏面上の中心点Oにおけるトレッドの踏面に法線Vを立てると、穴54の配設方向は、法線Vに対してタイヤ幅方向外側に傾斜する。言い換えれば、タイヤ幅方向断面において、穴54の配設方向と法線Vの方向とのなす角度のうち小さい方の角度を、タイヤ幅方向外側に向けた角度を正の角度としてβで表したときに、β>0°となる。
同じくトレッドの踏面に設けられた穴51、52、53、55、56、57、58の配設方向についても同様であり、β、β、β、β、β、β、β>0°となる。
なお、スパイクの打ち込みが可能な穴の配設方向とは、該穴のトレッド内部に位置する端から該穴の踏面への開口端に向かう方向を指すものとする。
このように、トレッドの踏面に設けられた穴5では、タイヤ幅方向断面において、穴5(図2では、51、52、53、54、55、56、57、58)の配設方向と法線Vの方向とのなす角度のうち小さい方の角度を、回転方向に向けた角度を正の角度としてβで表し(図2では、51、52、53、54、55、56、57、58について、それぞれβ、β、β、β、β、β、β、βで表す)たときに、β>0°となることが好ましい。
空気入りタイヤは、一般に、ネガティブキャンバーで用いられるため、装着方向内側となる踏面領域に位置するスパイク61、62、65、66の先端が、路面に対して直交する方向に近い向きとなる。そのため、スパイクタイヤの氷雪路面における制動性能を更に向上させることができる。
また、車両の旋回時には、空気入りタイヤのもう片側、すなわち装着方向外側となる踏面領域に荷重負荷がかかるため、この領域において、接地面積が増大し、又は接地圧が高まる。このとき、この領域に位置するスパイク63、64、67、68の先端が、旋回時には、装着方向内側に向けた引っ掻き効果を生じさせる。そのため、スパイクタイヤの氷雪路面における旋回性能、すなわち操縦安定性能を向上させることができる。
更に、上記の定義に従って、図1(B)において、トレッドの踏面に設けられたスパイクの打ち込みが可能な穴5(51、52、53、54、55、56、57、58)の配設方向と、この穴の位置における踏面に立てた法線V(V、V、V、V、V、V、V、V)とのなす角度のうち小さい方の角度をβ(それぞれ、β、β、β、β、β、β、β、β)と表す。本発明の空気入りタイヤでは、タイヤ幅方向に隣接する穴同士の間において、タイヤ赤道側部分に位置する穴における角度βの方が、タイヤ幅方向外側部分に位置する穴における角度βと比較して小さいことが好ましい。具体的には、本発明に従う空気入りタイヤでは、トレッドの踏面に、タイヤ赤道CL側からタイヤ幅方向外側に向かって順に位置する、スパイクの打ち込みが可能な穴53、56、52、54、51、55、58、54の、それぞれの角度β、β、β、β、β、β、β、βが、0°<β≦β≦β≦β≦β≦β≦β≦β(但し、β≠β)という関係式が成り立つことが好ましい。
特に、装着方向外側部分となる踏面領域では、旋回時のコーナリングフォースが大きくなるほど、接地領域がタイヤ幅方向外側まで及ぶ。そのため、タイヤ幅方向外側部分に位置する穴ほどβを大きくすることによって、コーナリングフォースの大きさに従って、装着方向内側に向けた引っ掻き効果を得ることができる。そのため、スパイクタイヤの氷雪路面における旋回性能を更に向上させることができる。
ここで、上記角度βは、5°≦β≦20°を満たすことが好ましい。
(0°<)β<5°とすれば、0°とする場合と比較して差異がないため、スパイクタイヤの氷雪路面における旋回性能の向上という所望の効果を十分に得ることができない。また、β>20°とすれば、スパイク配設角度が大き過ぎて、スパイクが脱落しやすくなる、すなわちスパイク抜け性が高まる。
なお、本発明の空気入りタイヤに用いられるスパイクとしては、これに限定されないが、一方の端面にピン打ち込み用の穴が形成された円柱状のボディ(「シャンク」と称されることもある。)と、ボディの穴に圧入された硬質のピン(「チップ」と称されることもある。)と、ボディの他方の端面側に該ボディと一体的に設けられた抜け防止用のフランジとを備える、一般的なスパイクを用いることができる。
そして、このスパイクは、フランジからボディの一方の端面までがトレッド内部に埋設され、タイヤ表面からピンが突出するように、トレッドの踏面に形成した穴に打ち込まれる。また、ピンは、通常、スパイクの他方の端面から一方の端面に向けた方向に沿って、スパイクに圧入される。
更に、図3に示すように、本発明に従う空気入りタイヤは、踏面1に、タイヤ幅方向に延びる複数本(図3に示す部分では、2本)の横溝2を有し、この横溝2が区画形成する陸部4(図3に示す部分では、41、42、43、44、45、46、47、48からなる)に、上述の穴51、54を含む穴5(図3に示す部分では、51、52、53、54、55、56、57,58)が設けられてよい。
なお、図3では、横溝2の他に周方向溝3が設けられ(図3では、4本)、該周方向溝3は陸部4を、陸部41、42、43、44に更に区画するが、本発明に従う空気入りタイヤでは、周方向溝は設けられていなくてもよい。
またなお、図3では、陸部4の全て(図3では、陸部41、42、43、44、45、46、47、48の全て)に穴5(図3では、穴51、52、53、54、55、56、57,58)が設けられているが、本発明に従う空気入りタイヤでは、スパイクの打ち込みが可能な穴は、陸部の少なくとも一部に設けられていればよい。また、図3では、一つの陸部41、42、43、44、45、46、47、48にそれぞれ穴51、52、53、54、55、56、57,58が設けられているが、本発明に従う空気入りタイヤでは、一つの陸部に複数個のスパイクの打ち込みが可能な穴が設けられてもよい。
更になお、図3では、横溝2がトレッド接地端TG間に渡って設けられているが、本発明に従う空気入りタイヤでは、横溝2はトレッド接地端TG間を繋いでいなくてもよい。
更に、本発明に従う空気入りタイヤでは、スパイクの打ち込みが可能な穴5(図3では、穴51、52、53、54)の陸部4におけるトレッド周方向の位置が、各穴51、52、53、54、55、56、57,58のタイヤ赤道CLからのタイヤ幅方向距離、それぞれw、w、w、wに従って異なることが好ましい。
スパイクの打ち込みが可能な穴5の陸部4におけるトレッド周方向の位置を、特に穴52を例として具体的に説明する。ここで、穴52(スパイク一般について、5で表す。以下、この段落について同様とする。)の中心O(O)を通るトレッド周方向仮想線LL(LL)と、この穴52(5)が打ち込まれている陸部42(4)の回転方向側(踏み込み側)の端との交点をF(F)、同様に回転方向とは逆側(蹴り出し側)の端との交点をK(K)とし、線分F(FK)、すなわちトレッド周方向仮想線LL(LL)上で、陸部の両端F(F)、K(K)間にある線分のトレッド踏面に沿う長さをL(L)とする。そして、この線分F(FK)の中点M(M)を基準点として、トレッド周方向仮想線LL(LL)の一方側を正の方向、同じく他方側を負の方向としたときに、線分F(FK)の中点M(M)から穴52(5)の中心O(O)までのトレッド踏面に沿う長さをD(D)とする。そして、穴52(5)の陸部42(4)におけるトレッド周方向の位置(以下、単に「陸部内位置」という。)をD/L(D/L)の値で示す。
このとき、本発明に従う空気入りタイヤでは、少なくともまず、タイヤ赤道CLからトレッド接地半幅TGVの30%〜60%の範囲内にある踏面1のセンター領域Rcに位置する穴52、53(以下、「センター穴」とも称する。)について、D/L、D/L>0が満たされ、且つ、タイヤ赤道からトレッド接地半幅TGVの60%〜90%の範囲内にある踏面1のショルダー領域Rsに位置する穴51、54(以下、「ショルダー穴」とも称する。)について、D/L、D/L<0が満たされることが好ましい。
空気入りタイヤのトレッドの踏面に設けられた陸部の回転方向側(先に接地する踏み込み側)が接地しているときには、回転方向側の陸部部分が駆動力を生み出す。そして、回転方向側の陸部部分にスパイクが打ち込まれた場合、スパイクが備えるピンが引っ掻き効果を発揮するため、上記駆動力が高まる。そのため、スパイクの打ち込みが可能な穴を、D/L>0を満たす陸部内位置に設けることによって、スパイクタイヤの氷雪路面における駆動性能を向上させる効果を得ることができる。
また、空気入りタイヤのトレッドの踏面に設けられた陸部の回転方向とは逆側(最後に路面から離れる蹴り出し側)が接地しているときには、回転方向とは逆側の陸部部分が制動力を生み出しやすい。そして、回転方向とは逆側の陸部部分にスパイクが打ち込まれた場合、スパイクが備えるピンが引っ掻き効果を発揮するため、上記制動力が高まる。そのため、スパイクの打ち込みが可能な穴を、D/L<0を満たす陸部内位置に打ち込むことによって、スパイクタイヤの氷雪路面における制動性能を向上させる効果を得ることができる。
一方、空気入りタイヤのトレッドの踏面では、センター領域において、特に接地圧が高くなるため、この領域は、空気入りタイヤの制動性能及び駆動性能に対する影響が大きい。また、ショルダー領域には、径差により路面から受ける、タイヤ回転方向と同じ向き、すなわち、空気入りタイヤを装着した車両の進行方向とは逆向きの摩擦力が生じるため、この領域は空気入りタイヤの制動性能に対する影響が大きい。
従って、センター領域ではD/L>0を満たす陸部内位置に、スパイクの打ち込みが可能な穴を設け、且つ、ショルダー領域ではD/L<0を満たす陸部内位置に、スパイクの打ち込みが可能な穴を設けて、該穴にスパイクを打ち込むことによって、スパイクタイヤの氷雪路面における駆動性能及び制動性能を共に向上させることができる。
また、本発明に従う空気入りタイヤでは、センター穴の全て62、63、66、67が、0.05≦D/L、D/L、D/L、D/L≦0.2の関係式を満たし、且つ、ショルダー穴の全て61、64、65、68が、−0.2≦D/L、D/L、D/L、D/L≦−0.05の関係式を満たすことが好ましい。
ここで、−0.05<D/L(<0)及び/又は0.05>D/L(>0)とすると、中点Mから穴の中心Oまでの距離が十分ではなく、センター領域における駆動性能の向上やショルダー領域における制動性能の向上という上記効果が得られない。
また、−0.2>D/L及び/又はD/L>0.2とすると、打ち込まれたスパイクの周囲に生まれる非接地の踏面領域と、横溝の存在により非接地となる踏面領域とが近接して位置するようになるため、両非接地領域が一体化する可能性が高くなる。従って、接地面積の減少を招き、スパイクタイヤの氷雪路面における駆動性能や制動性能を低下させる虞が高まる。
ここで、本発明に従う空気入りタイヤでは、打ち込まれたスパイクの周囲の陸部、ひいてはトレッドの剛性を確保する観点から、穴の中心から陸部端までの長さL/2−|D|は、10mm〜20mmとし、用いられるスパイクが備えるピンの高さ、すなわち踏面からピン先端までの長さは、1.0mm〜1.4mmとすることが好ましい。また、スパイクの端面の半径は、一般的に、3.0mm〜4.0mmである。
更に、本発明に従う空気入りタイヤでは、タイヤ赤道CLからのタイヤ幅方向距離wが小さい位置にある、すなわちタイヤ赤道側に位置する穴のD/Lの値が、この距離が大きい位置にある、すなわちタイヤ幅方向外側に位置する穴のD/Lの値よりも大きいことが好ましい。
この場合、センター領域Rcでは、タイヤ幅方向外側部分と比較して、タイヤ赤道側部分に位置する穴の方が、D/L>0を満たすD/Lの絶対値が大きく、また、ショルダー領域Rsでは、タイヤ赤道側部分と比較して、タイヤ幅方向外側部分に位置する穴の方が、D/L<0を満たすD/Lの絶対値が大きい。
ここで、一般に、トレッドの踏面の接地圧は、接地圧が特に高いセンター領域の中でも、タイヤ幅方向部分と比較して、タイヤ赤道側部分の方が大きい。
また、ショルダー領域において、径差により生じる進行方向とは逆向きの摩擦力は、ショルダー領域の中でもタイヤ赤道側部分と比較して、タイヤ幅方向外側部分の方が大きい。
従って、上記構成とすれば、接地圧がより高いタイヤ赤道側部分に位置する穴のD/Lの値がより大きくなり、すなわち、この穴の位置がより回転方向側に位置するようになる。そのため、センター領域において、制動性能の低下を抑制する効果を得つつ、駆動性能を向上させる効果を更に高めることができる。
また、径差による摩擦力が大きいタイヤ幅方向外側部分に位置するスパイクのD/Lの値がより小さくなり、すなわち、この穴の位置がより回転方向とは逆側に位置するようになる。そのため、ショルダー領域において、駆動性能の低下を抑制する効果を得つつ、制動性能を向上させる効果を更に高めることができる。
なお、本発明の空気入りタイヤは、例えば、トレッド部と、該トレッド部の両側部からタイヤ径方向内方に延びる一対のサイドウォール部と、各サイドウォール部からタイヤ径方向内方に延びるビード部とに渡ってトロイド状に延びるカーカスと、該カーカスのタイヤ径方向外方に配置されたベルトとを有する(図示せず)。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
表1に示す諸元のトレッドの踏面を有する空気入りタイヤを作製し、該空気入りタイヤを用いて、下記の走行性能評価を行った。
(比較例1)
表1に示す諸元のトレッドの踏面を有する空気入りタイヤを作製し、該空気入りタイヤを用いて、実施例1と同様に下記の走行性能評価を行った。
(走行性能評価)
空気入りタイヤ(195/65R15)を、JATMA規格に定める適用リム(6.5×15インチ)に装着して、空気入りタイヤを作製した。そして、上記空気入りタイヤを、内圧230kPa、荷重0.4tの条件下、車両に装着し、以下(1)〜(4)に示す試験を行い、空気入りタイヤの走行性能を評価した。
(1)制動性能試験
氷路面のコース上において、テストドライバーが、車両を初速度20km/時から急制動させた。そして、車両が静止状態になるまでの制動距離を測定し、該制動距離からスパイクタイヤの氷上制動性能を評価した。具体的には、従来例1の評価結果を100とした相対評価となる指数を算出した。指数が小さいほど氷路面における制動性能が高いことを示す。
(2)操縦安定性試験
氷路面のコース上において、テストドライバーが、様々な走行を行い、フィーリング評価を行った。複数のドライバーによるフィーリング評価の評点の平均値を算出することにより、スパイクタイヤの氷路面における操縦安定性を評価した。具体的には、従来例1の評価結果を100とした相対評価となる指数を算出した。指数が大きいほど氷路面における操縦安定性が高いことを示す。
(3)駆動性能試験
氷路面のコース上において、テストドライバーが、車両を停止状態から急発進させた。そして、車両の速度が20km/時に到達するまでの所要時間を計測し、該所要時間からスパイクタイヤの氷上駆動性能を評価した。具体的には、従来例1の評価結果を100とした相対評価となる指数を算出した。指数が小さいほど氷路面における駆動性能が高いことを示す。
(4)スパイク抜け性試験
氷路面主体のコース上において、テストドライバーが、車両を10,000km走行させた。そして、走行後に脱落したスパイクの本数を計測し、該脱落したスパイクの本数(A)の当初のスパイクの本数(B)に対する割合(A/B)を算出して、スパイクタイヤのスパイク抜け性を評価した。具体的には、従来例1の評価結果を100とした相対評価となる指数を算出した。指数が小さいほどスパイク抜け性が良好であることを示す。
(実施例2〜12)
表1に示す諸元のトレッドの踏面を有する空気入りタイヤを作製し、該空気入りタイヤを用いた以外は、実施例1と同様に上記の走行性能評価を行った。
Figure 2013091405
Figure 2013091405
本発明のタイヤによれば、タイヤのトレッドの踏面にスパイクの打ち込みが可能な穴が、該穴の配設方向がその位置における踏面に立てた法線方向に対して傾斜するように設けられたタイヤにスパイクを打ち込んだ、本発明のスパイクタイヤを作製することができ、該スパイクタイヤによれば、スパイクタイヤの氷雪路面における走行性能、特に制動性能を向上させることができる。
1 トレッドの踏面
2 横溝
3 周方向溝
4、41、42、43、44、45、46、47、48 陸部
5、51、52、53、54、55、56、57、58 スパイクの打ち込みが可能な穴(穴)
6、61、62、63、64、65、66、67、68 スパイク
CL タイヤ赤道
D、D、D、D、D、D、D、D、D 陸部中心から穴の中心までの距離
F、F、F、F、F、F、F、F、F 回転方向側の端
K、K、K、K、K、K、K、K、K 回転方向とは逆側の端
L、L、L、L、L、L、L、L、L 陸部のトレッド周方向長さ
LL、LL トレッド周方向仮想線
M、M、M、M、M、M、M、M、M 陸部のトレッド周方向中心
O、O、O、O、O、O、O、O、O 穴の中心
Rc センター領域
Rs ショルダー領域
TG トレッド接地端
Gw トレッド接地幅
Gv トレッド接地半幅
V、V、V、V、V、V、V、V、V 法線
w、w、w、w、w、w、w、w、w 穴のタイヤ赤道からのタイヤ幅方向距離
α、α、α、αs1、αc2、αc3、αs4、αs5、αc6、αc7、αs8 タイヤ回転軸に垂直な方向の断面における穴の配設角度
β、β、β、β、β、β、β、β、β タイヤ幅方向断面における穴の配設角度

Claims (7)

  1. タイヤのトレッドの踏面の少なくとも一部に、タイヤ幅方向に分布を有するスパイクの打ち込みが可能な穴が、タイヤ径方向外方から内方に向けて設けられた空気入りタイヤであって、
    タイヤ回転軸と直交する方向の断面において、タイヤ赤道からトレッド接地半幅の60%〜90%の範囲内にあるショルダー領域に位置する前記穴の配設方向が、前記穴の位置における前記踏面に立てた法線方向に対して、タイヤ回転方向とは逆側に傾斜し、
    前記ショルダー領域に位置する前記穴の配設方向と、前記穴の位置における前記踏面に立てた法線方向とのなす角度のうち小さい方の角度を、タイヤ回転方向側に向けた角度を正の角度としてαとしたときに、タイヤ幅方向に隣接する前記穴間において、タイヤ赤道側に位置する前記穴におけるαの方が、タイヤ幅方向外側に位置する前記穴におけるαと比較して、大きいことを特徴とする、空気入りタイヤ。
  2. タイヤ回転軸と直交する方向の断面において、タイヤ赤道からトレッド接地半幅の30%〜60%の範囲内にあるセンター領域に位置する前記穴の配設方向が、前記穴の位置における前記踏面に立てた法線方向に対して、タイヤ回転方向側に傾斜し、
    タイヤ回転軸と直交する方向の断面において、前記センター領域に位置する前記穴の配設方向と、前記穴の位置における前記踏面に立てた法線方向とのなす角度のうち小さい方の角度を、タイヤ回転方向側に向けた角度を正の角度としてαとしたときに、タイヤ幅方向に隣接する前記穴間において、タイヤ赤道側に位置する前記穴におけるαの方が、タイヤ幅方向外側に位置する前記穴におけるαと比較して、大きいことを特徴とする、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. タイヤ幅方向断面において、前記穴の配設方向が、前記穴の位置における前記踏面に立てた法線方向に対してタイヤ幅方向外側に傾斜することを特徴とする、請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
  4. タイヤ幅方向断面において、前記穴の配設方向と、前記穴の位置における前記踏面に立てた法線方向とのなす角度のうち小さい方の角度をβとしたときに、タイヤ幅方向に隣接する前記穴間において、タイヤ赤道側に位置する前記穴におけるβの方が、タイヤ幅方向外側に位置する前記穴におけるβと比較して、小さいことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記ショルダー領域に位置する前記穴において、前記αが−20°≦α≦−5°を満たすことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記センター領域に位置する前記穴において、前記αが5°≦α≦20°を満たすことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
  7. 前記βが、5°≦β≦20°を満たすことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
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