JP2013051893A - 新規プロモーター及びその利用 - Google Patents
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Abstract
【課題】糸状菌等を宿主細胞とした際の所望の遺伝子の発現量を大幅に向上する。
【解決手段】本発明に係るプロモーターは、アスペルギルス・オリゼの染色体におけるカルバモイルリン酸合成酵素遺伝子の上流に位置し、当該カルバモイルリン酸合成酵素遺伝子の発現を制御している領域からなる。
【選択図】図11
【解決手段】本発明に係るプロモーターは、アスペルギルス・オリゼの染色体におけるカルバモイルリン酸合成酵素遺伝子の上流に位置し、当該カルバモイルリン酸合成酵素遺伝子の発現を制御している領域からなる。
【選択図】図11
Description
本発明は、糸状菌を宿主としたタンパク質生産に際して、所望の遺伝子の発現を正に調節するシス作用エレメント、当該シス作用エレメントを有する核酸構築物、発現ベクター並びに形質転換細胞、及び当該シス作用エレメントを利用した物質の製造方法に関する。
アスペルギルス属やトリコデルマ属等に属する糸状菌は、各種発酵食品の製造、医薬品等の物質生産(発酵工業)等に使用される微生物として知られている。糸状菌のなかでも、ペニシリウム属菌やセファロスポリウム属菌は抗生物質を生産する菌として知られている。また、糸状菌の中でもトリコデルマ属菌はセルラーゼを生産する菌として、アスペルギルス属菌はプロテアーゼ及びラクターゼを生産する菌として知られている。
糸状菌が生産する物質の中でも、セルラーゼやプロテアーゼ等の酵素は、遺伝子産物であるため、当該遺伝子の発現量を向上させることで直接的に生産性を向上させることができる。言い換えれば、上述したような酵素といったタンパク質の生産性を向上させるには、糸状菌内における所定の遺伝子の発現量を向上させる手段の開発が望まれる。
一方、遺伝子組換えによるタンパク質生産において、高発現に誘導するプロモーターを利用することでその生産性を向上する試みがある。例えば、特許文献1には麹菌アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)由来の高発現可能なプロモーターが開示されている。また、特許文献2は、麹菌アスペルギルス・オリゼにおけるptrA遺伝子及びおよびthiA遺伝子のプロモーターを高発現プロモーターとして開示している。さらに、特許文献3には、麹菌アスペルギルス・オリゼ由来のグルコース存在下で高発現可能なプロモーターが開示されている。
また、遺伝子組換えによるタンパク質生産においては、目的タンパク質をコードする遺伝子を宿主内に安定的に保持できれば、その生産性を向上することができる。特許文献4には、酵母に対して目的遺伝子を導入した後、選択圧を有する培地にて培養することで安定的なタンパク質生産が可能であることが記載されている。
そこで、本発明は、糸状菌等を宿主細胞とした際の所望の遺伝子の発現量を大幅に向上することができる新規なプロモーター、当該プロモーターを有する核酸構築物、発現ベクター並びに形質転換細胞、及び当該プロモーターを利用した物質の製造方法を提供することを目的としている。
上述した目的を達成するため本発明者らが鋭意検討した結果、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)由来の新規プロモーターが高発現型のプロモーターであり、特に硝酸塩の存在下でより高発現させるプロモーターであることを見いだし、本発明を完成するに至った。
本発明は以下を包含する。
(1)アスペルギルス・オリゼの染色体におけるカルバモイルリン酸合成酵素遺伝子の上流に位置し、当該カルバモイルリン酸合成酵素遺伝子の発現を制御している領域からなるプロモーター。
(1)アスペルギルス・オリゼの染色体におけるカルバモイルリン酸合成酵素遺伝子の上流に位置し、当該カルバモイルリン酸合成酵素遺伝子の発現を制御している領域からなるプロモーター。
(2)配列番号1に示す塩基配列の3'末端側の400塩基からなることを特徴とする(1)記載のプロモーター。
(3)配列番号1に示す塩基配列の3'末端側の600塩基からなることを特徴とする(1)記載のプロモーター。
(4)配列番号1に示す塩基配列からなることを特徴とする(1)記載のプロモーター。
(5)(1)乃至(4)いずれか一記載のプロモーターを含む核酸構築物。
(6)(1)乃至(4)いずれか一記載のプロモーターを含む発現ベクター。
(6)(1)乃至(4)いずれか一記載のプロモーターを含む発現ベクター。
(7)上記プロモーターの下流に位置する遺伝子を更に含むことを特徴とする(6)記載の発現ベクター。
(8)上記プロモーターの下流に位置する遺伝子と、硝酸還元酵素遺伝子とを更に含むことを特徴とする(6)記載の発現ベクター。
(9)(1)乃至(4)いずれか一記載のプロモーターを所望の遺伝子の上流に組み入れた形質転換体。
(10)上記所望の遺伝子が外来性の遺伝子であることを特徴とする(9)記載の形質転換体。
(11)糸状菌を宿主細胞とすることを特徴とする(9)記載の形質転換体。
(12)硝酸還元酵素遺伝子欠損株を宿主細胞とすることを特徴とする(9)記載の形質転換体。
(12)硝酸還元酵素遺伝子欠損株を宿主細胞とすることを特徴とする(9)記載の形質転換体。
(13)(9)乃至(12)いずれか一記載の形質転換体を培養し、培養後の培地及び/又は形質転換体内より目的物質を回収する、物質の製造方法。
(14)上記形質転換体を硝酸塩含有培地において培養することを特徴とする(13)記載の物質の製造方法。
(15)上記目的物質は、上記プロモーターにより発現亢進される遺伝子によりコードされるタンパク質であることを特徴とする(13)記載の物質の製造方法。
本発明に係るプロモーターによれば、下流に位置する遺伝子の発現量を大幅に向上させることができる。特に、本発明に係るプロモーターは、硝酸塩の存在下において遺伝子発現促進活性が顕著に向上する。したがって、本発明に係るプロモーターを利用すること、特に硝酸塩の存在下で利用することによって、当該プロモーターの制御下に遺伝子を高発現することができる。
また、本発明に係る物質の製造方法によれば、上記プロモーターを利用することで、所定の遺伝子の発現量が向上することにより、優れた生産性を達成することができる。すなわち、本発明に係る物質の製造方法は、上記プロモーターにより発現が促進される遺伝子によりコードされるタンパク質及び/又は当該タンパク質が関与する各種物質の生産性を大幅に向上することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係るプロモーターは、アスペルギルス・オリゼの染色体におけるカルバモイルリン酸合成酵素遺伝子の上流に位置し、当該カルバモイルリン酸合成酵素遺伝子の発現を制御している領域であり、下流に位置する任意遺伝子の転写を促進する機能を有する。アスペルギルス・オリゼの染色体におけるカルバモイルリン酸合成酵素遺伝子は、遺伝子名(Gene name)AO090011000630として公知の遺伝子である。アスペルギルス・オリゼのカルバモイルリン酸合成酵素遺伝子の塩基配列及び当該遺伝子によりコードされるタンパク質のアミノ酸配列は、KEGGなどのデータベースに格納されており、遺伝子名:AO090011000630に基づいて検索できる。
本発明に係るプロモーターは、アスペルギルス・オリゼの染色体におけるカルバモイルリン酸合成酵素遺伝子の上流に位置し、当該カルバモイルリン酸合成酵素遺伝子の発現を制御している領域であり、下流に位置する任意遺伝子の転写を促進する機能を有する。アスペルギルス・オリゼの染色体におけるカルバモイルリン酸合成酵素遺伝子は、遺伝子名(Gene name)AO090011000630として公知の遺伝子である。アスペルギルス・オリゼのカルバモイルリン酸合成酵素遺伝子の塩基配列及び当該遺伝子によりコードされるタンパク質のアミノ酸配列は、KEGGなどのデータベースに格納されており、遺伝子名:AO090011000630に基づいて検索できる。
本発明に係るプロモーターは、下流に位置する遺伝子の発現を制御できればよく、上述のように特定されるアスペルギルス・オリゼのカルバモイルリン酸合成酵素遺伝子の上流に存在する如何なる領域でもよい。アスペルギルス・オリゼのカルバモイルリン酸合成酵素遺伝子(AO090011000630)の上流1000塩基からなる領域の塩基配列を配列番号1に示す。なお、配列番号1の塩基配列は、5’末端から3’末端に向かって記載されている。よって、アスペルギルス・オリゼの染色体においてカルバモイルリン酸合成酵素遺伝子は、配列番号1の塩基配列の下流側、すなわち3’末端側に位置することとなる。
より具体的に、本発明に係るプロモーターは、アスペルギルス・オリゼのカルバモイルリン酸合成酵素遺伝子の上流400塩基の領域、好ましくは600塩基、より好ましくは1000塩基の領域とすることができる。すなわち、本発明に係るプロモーターは、配列番号1に示す塩基配列のうち3’末端側の400塩基の領域、好ましくは600塩基とすることができ、また、配列番号1に示す塩基配列からなる領域とすることができる。
また、本発明に係るプロモーターは、上述のように配列番号1に示した塩基配列を基準として規定できるが、基準となる塩基配列は配列番号1に限定されるものではない。例えば、配列番号1に示した塩基配列に対して80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上の一致度を有するポリヌクレオチドであって、プロモーター活性を有するポリヌクレオチドの塩基配列を基準としても良い。すなわち、本発明に係るプロモーターは、配列番号1に示した塩基配列に対して80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上の一致度を有する塩基配列、又は当該塩基配列のうち3’末端側の400塩基の領域、好ましくは600塩基とすることができる。
なお、一致度の値は、配列類似性を検索するプログラム(相同性検索プログラムと称される場合もある)を用いて、配列番号1の塩基配列と他の塩基配列とをアライメントした際に、当該他の塩基配列における、配列番号1の塩基配列に対して一致した塩基の割合として算出される値である。
さらに、本発明に係るプロモーターは、上述のように配列番号1に示した塩基配列を基準として規定できるが、基準となる塩基配列は配列番号1に限定されるものではない。例えば、配列番号1に示した塩基配列における1又は複数個の塩基が置換、欠失、付加又は挿入された塩基配列からなるポリヌクレオチドであって、プロモーター活性を有するポリヌクレオチドの塩基配列を基準としても良い。ここで、複数個の塩基とは、例えば2〜200個の塩基を意味し、好ましくは2〜100個、より好ましくは2〜50個、最も好ましくは2〜25個のアミノ酸を意味する。
さらにまた、本発明に係るプロモーターは、上述のように配列番号1に示した塩基配列を基準として規定できるが、基準となる塩基配列は配列番号1に限定されるものではない。例えば、配列番号1に示した塩基配列に対して相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチドの一部又は全部に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドであって、プロモーター活性を有するポリヌクレオチドの塩基配列を基準としても良い。ここで、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするとは、60℃で2×SSC洗浄条件下で結合を維持することを意味する。ハイブリダイゼーションは、J. Sambrook et al. Molecular Cloning, A Laboratory Manual,2nd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory(1989)に記載されている方法等、従来公知の方法で行うことができる。
なお、所定の塩基配列を有するポリヌクレオチドがプロモーター活性を有するか否かは、適当な宿主を用いたレポーターアッセイにより検証することができる。ここで、適当な宿主としては、アスペルギルス・オリゼ等の糸状菌を挙げることができ、特にアスペルギルス・オリゼを使用することが好ましい。レポーターアッセイに使用するレポーター遺伝子としては、何ら限定されず、例えば、ルシフェラーゼ(LUC)遺伝子やβ-グルクロニダーゼ(GUS)遺伝子を使用することができる。これらレポーター遺伝子を用いたアッセイも、従来公知のプロトコルを適宜改変して使用することができる。
以上のように、本発明に係るプロモーターは、下流に配置された遺伝子の発現を制御する機能を有する。なお、下流とは、転写方向、すなわちセンス鎖における5'側から3'側に向かう方向を意味する。本発明に係るプロモーターを利用することによって、転写活性に優れた発現制御領域を有する核酸構築物を提供することができる。なお、核酸構築物には、上述したプロモーターの他に、当該プロモーターの転写活性を向上させるようなシス作用エレメントが含まれていても良い。この核酸構築物は、例えば、両末端に制限酵素認識配列を有するように構築することもできる。また、この核酸構築物は、例えば、従来公知の発現ベクターに組み込むこともできる。すなわち、上述した本発明に係るプロモーターを、所望の遺伝子の発現を可能とする発現ベクターに組み込むことで、当該遺伝子の発現を転写レベルで向上させることができる発現ベクターを提供できる。
この発現ベクターは、主として宿主細胞の形質転換に使用する従来公知のあらゆる発現ベクターに対して、上述したプロモーターを組み込むことで作製することができる。また、上述したプロモーターを有する発現ベクターは、宿主細胞の染色体に導入する形態や染色体外に保持する形態のいずれであっても良い。また、発現ベクターとしては、プラスミドベクター、コスミドベクター、ファージベクター等のいずれであっても良い。なお、発現ベクターには、上述したプロモーターの他に、エンハンサー、選択マーカー、複製開始点、マルチプルクローニングサイト等を備えることができる。
また、この発現ベクターを糸状菌に対する形質転換に使用する場合、当該発現ベクターに所望の遺伝子を組み込むことで、組換えベクターを作製することができる。この組換えベクターを用いて宿主細胞を形質転換することで、宿主細胞内において当該遺伝子が高レベルで転写されることとなる。ここで宿主細胞としては、特に限定されないが、糸状菌等の真菌であることが好ましく、特に糸状菌とすることがより好ましい。
ここで、選択マーカーとは、発現ベクターの導入の目印として導入する遺伝子であり、通常、蛍光タンパク質や呈色反応を示す酵素をコードする遺伝子及び薬剤耐性遺伝子が使用されている。本発明においても、これら通常の選択マーカー遺伝子を使用して発現ベクターを構築しても良いが、特に、選択マーカー遺伝子としては、硝酸還元酵素遺伝子を使用することが好ましい。硝酸還元酵素とは、硝酸塩(NO3)を亜硝酸塩(NO2)とアンモニア(NH4)とに還元する反応を触媒する酵素である。
硝酸還元酵素遺伝子を選択マーカーとして使用する場合、詳細を後述する宿主としては硝酸資化性を欠損した変異株(亜硝酸要求性変異株とも呼ぶ)となる。この変異株は、培地に含まれる窒素源が硝酸である場合には生育できず、窒素源が亜硝酸である場合のみ生育できることとなる。このような変異株を宿主として使用する場合、形質転換細胞を唯一の窒素源を硝酸塩とする培地にて培養する。硝酸還元酵素遺伝子を選択マーカー遺伝子として有する発現ベクターを保持する形質転換体は、唯一の窒素源を硝酸塩とする培地にて生育することとなる。言い換えると、培地に含まれる硝酸塩が形質転換体に対する選択圧として作用し、発現ベクターを安定的に保持する形質転換体を選択することができる。なお、硝酸塩としては、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸マグネシウム等を挙げることができる。
さらに、上述したように、本発明に係るプロモーターは、選択圧として作用する硝酸塩の存在下において、転写促進活性が更に向上するといった特徴を有している。すなわち、本発明に係るプロモーターを利用し、且つ、硝酸還元酵素遺伝子を選択マーカーとして利用した場合、硝酸塩の存在により選択圧により発現ベクターを安定的に保持するとともに優れたプロモーター活性を維持することができる。
宿主に使用できる糸状菌としては、特に限定されないが、Aspergillus nidulans、Aspergillus niger、Aspergillus oryzae、Aspergillus sojae、Aspergillus glaucus等のAspergillus属糸状菌、Trichoderma reesei、Trichoderma viride等のTrichoderma属糸状菌、Rhizomucor pusillus、Rhizomucor miehei等のRhizomucor属糸状菌、Penicillium notatum、Penicillium chrysogenum等のPenicillium属糸状菌、Rhizopus oryzae等のRhizopus属糸状菌、Acremonium cellulolyticus、Humicola grisea、Thermoaseus aurantiacusを挙げることができる。特に、宿主としては、Aspergillus属糸状菌、中でもAspergillus oryzaeが好ましい。
さらに、上述したように、選択マーカー遺伝子として硝酸還元酵素遺伝子を利用する場合、これら例示列挙した糸状菌における亜硝酸要求性変異株(niaD変異株ともいう)を使用することが好ましい。亜硝酸要求性変異株については、従来公知の手法により容易に作製できるし、市販のものを購入して使用しても良い。より具体的には、Aspergillus oryzae niaD300株、Aspergillus oryzae NS4株といったniaD変異株を使用することができる。
組換えベクターを宿主に導入する方法としては、従来公知の各種方法、例えば、トランスフォーメーション法や、トランスフェクション法、接合法、プロトプラスト法、エレクトロポレーション法、リポフェクション法、酢酸リチウム法等を用いることができる。
また、組換えベクターを用いて宿主に導入する遺伝子としては、特に限定されず、各種タンパク質をコードする遺伝子を挙げることができる。例えば、アルカリプロテアーゼ遺伝子、α−アミラーゼ遺伝子、アスコルビン酸オキシダーゼ遺伝子、アスパルチックプロテアーゼ遺伝子、セロビオヒドロラーゼ遺伝子、セルラーゼ遺伝子、クチナーゼ遺伝子、エンドグルカナーゼ遺伝子、グルコアミラーゼ、β−グルコシダーゼ遺伝子、グリオキサールオキシダーゼ遺伝子、ラッカーゼ遺伝子、リグニンオキシダーゼ遺伝子、リグニンペルオキシダーゼ遺伝子、リパーゼ遺伝子、マンガンペルオキシダーゼ遺伝子、1,2-α-マンノシダーゼ遺伝子、ヌクレアーゼ遺伝子、ペクチンリアーゼ遺伝子、ペクチンメチルエステラーゼ遺伝子、酸性ホスファターゼ遺伝子、ポリガラクチュロナーゼ遺伝子、キシラナーゼ遺伝子、β-キシロシダーゼ遺伝子等を挙げることができる。
本発明に係るプロモーターを有する形質転換体は、特に硝酸塩を含有する培地にて培養することが好ましい。この形質転換体を硝酸塩含有培地にて培養すると、当該プロモーターの転写活性がより向上することとなり、当該プロモーターの下流に配置された遺伝子の発現量を向上させることができる。なお、本プロモーターは、硝酸塩を含有しない培地においても下流の遺伝子を転写する活性を有するものであり、恒常的な発現誘導に使用することもできる。したがって、例えば、この形質転換体を硝酸塩非含有培地にて培養することで本プロモーター下流の遺伝子を恒常的に発現させ、培地に硝酸塩を添加することで当該遺伝子の発現量を恒常的な発現レベルから更に向上させるといった、特徴的な遺伝子発現量の調節を行うことができる。
また、本発明に係るプロモーターと、選択マーカー遺伝子としての硝酸還元酵素遺伝子を亜硝酸要求性変異株に導入した形質転換体は、硝酸塩含有培地にて培養することで、硝酸塩による選択圧を負荷しながら、硝酸塩によるプロモーター活性の向上効果を達成できる。これにより、当該プロモーターの下流に配置された遺伝子を安定的、且つ、高レベルに発現することができる。
ここで硝酸塩含有培地とは、検出限界以上の硝酸塩を含む培地を意味する。培地に含まれる硝酸塩の濃度としては、特に限定されないが、例えば0.01〜10 W/V%とすることができ、0.05〜2W/V%とすることが好ましく、0.1〜0.5 W/V%とすることがより好ましい。硝酸塩の濃度が上記範囲を下回ると、上記プロモーターの活性を向上する効果が十分でなく、所望の遺伝子発現量を達成できない虞がある。硝酸塩の濃度が上記範囲を上回ると、生育不良といった問題を生じる虞がある。
ここで、製造目的の物質とは、上記プロモーターにより高レベルに転写される遺伝子がコードするタンパク質、当該タンパク質が関与する物質のいずれも意味する。タンパク質が関与する物資とは、例えば、当該タンパク質が酵素として代謝経路に関与している場合の代謝産物を意味する。タンパク質が関与する物資の一例として、上記タンパク質がセルラーゼである場合、培地に含まれるセルロースを基質とした糖化反応による糖分が挙げられる。
ここで、生産対象のタンパク質としては、何ら限定されず、如何なる分子量、如何なる生物種由来、如何なる等電点、如何なるアミノ酸配列のタンパク質であっても良い。すなわち外来遺伝子としては、例えば、アルカリプロテアーゼ遺伝子、α−アミラーゼ遺伝子、アスコルビン酸オキシダーゼ遺伝子、アスパルチックプロテアーゼ遺伝子、セロビオヒドロラーゼ遺伝子、セルラーゼ遺伝子、クチナーゼ遺伝子、エンドグルカナーゼ遺伝子、グルコアミラーゼ、β−グルコシダーゼ遺伝子、グリオキサールオキシダーゼ遺伝子、ラッカーゼ遺伝子、リグニンオキシダーゼ遺伝子、リグニンペルオキシダーゼ遺伝子、リパーゼ遺伝子、マンガンペルオキシダーゼ遺伝子、1,2-α-マンノシダーゼ遺伝子、ヌクレアーゼ遺伝子、ペクチンリアーゼ遺伝子、ペクチンメチルエステラーゼ遺伝子、酸性ホスファターゼ遺伝子、ポリガラクチュロナーゼ遺伝子、キシラナーゼ遺伝子、β-キシロシダーゼ遺伝子等を挙げることができる。特に、生産対象のタンパク質としては、リゾチーム、キモシン、レクチン、インターロイキン、ラクトフェリン、味覚修飾タンパク質であるミラクリン、抗Fas抗体などの抗体医薬、ダニアレルゲン、花粉アレルゲン、木質バイオマス分解のためのセルロース分解酵素、サイトカイン等が高等生物由来の遺伝子によりコードされるタンパク質として例示できる。
また、外来遺伝子によりコードされるタンパク質が菌体外に分泌生産される場合には、菌体の破壊処理を行わず、定法に従って当該タンパク質を回収できる。また、また、外来遺伝子によりコードされるタンパク質が菌体内に生産される場合には、菌体を破壊処理した後、定法に従って当該タンパク質を回収できる。なお、当該タンパク質は、培地の上清サンプルや菌体破壊処理後の上清サンプルを直接、当該技術分野で知られているドデシルナトリウム硫酸ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)で解析することにより測定できる。細胞培養中に生産された目的タンパク質は培地の中に分泌され、そして、例えば細胞培地から不要な成分を取り除くことにより、精製、又は、単離される。目的タンパク質の精製には、例えば、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、エタノール沈殿、逆相HPLC、シリカ上またはDEAEなどの陽イオン交換樹脂によるクロマトグラフィー、クロマトフォーカシング、 SDS-PAGE、硫酸アンモニュウム沈殿法、ゲルろ過等の手法を単独で又は組み合わせて使用できる。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
1.遺伝子発現頻度解析結果から候補プロモーターの選定
EST発現頻度解析結果(DNA Research 14,47-57,2007)及びマイクロアレイを用いた遺伝子発現頻度解析結果に基づいて解析対象のプロモーターを選定した。なお、マイクロアレイを用いた遺伝子発現頻度解析結果については、詳細を記載しないが、東京大学大学院農学生命科学研究科応用生命工学専攻微生物学研究室より提供された。なお、選定の基準は、各培養条件下における発現量を比較し、高発現している遺伝子を数十個選定した。次に、その中から予備実験を行い、以下の6個の候補プロモーターを選定した。すなわち、選定したプロモーターは、クローン名:12-4(AO090011000630)のプロモーター領域(配列番号1)、クローン名:20-1(AO090120000112)のプロモーター領域(配列番号2)、クローン名:48-3(AoEST03011)のプロモーター領域(配列番号3)、クローン名:49-1(AoEST02973)のプロモーター領域(配列番号4)、クローン名:55-4(AO090005000840)のプロモーター領域(配列番号5)及びクローン名:56-2(AO090124000074)のプロモーター領域(配列番号6)の6種類である。
1.遺伝子発現頻度解析結果から候補プロモーターの選定
EST発現頻度解析結果(DNA Research 14,47-57,2007)及びマイクロアレイを用いた遺伝子発現頻度解析結果に基づいて解析対象のプロモーターを選定した。なお、マイクロアレイを用いた遺伝子発現頻度解析結果については、詳細を記載しないが、東京大学大学院農学生命科学研究科応用生命工学専攻微生物学研究室より提供された。なお、選定の基準は、各培養条件下における発現量を比較し、高発現している遺伝子を数十個選定した。次に、その中から予備実験を行い、以下の6個の候補プロモーターを選定した。すなわち、選定したプロモーターは、クローン名:12-4(AO090011000630)のプロモーター領域(配列番号1)、クローン名:20-1(AO090120000112)のプロモーター領域(配列番号2)、クローン名:48-3(AoEST03011)のプロモーター領域(配列番号3)、クローン名:49-1(AoEST02973)のプロモーター領域(配列番号4)、クローン名:55-4(AO090005000840)のプロモーター領域(配列番号5)及びクローン名:56-2(AO090124000074)のプロモーター領域(配列番号6)の6種類である。
2.プロモーターの下流へuidA遺伝子を繋いだベクター作製
遺伝子導入用プラスミドの作製はMultiSite Gateway(インビトロジェン社) を利用し各エントリークローンの作製を次のように行った。上述した6種類の候補プロモーター及び比較のためのamyBプロモーターを増幅するため、A. oryzae RIB40株のゲノムをテンプレートにしてPCRを行った。増幅したプロモーターの5'側末端にはattB4を付与し、3'末端側にはattB1配列を付与するようにプライマーを設計した。12-4(AO090011000630)についてはプライマーA1とA2を使用し、20-1(AO090120000112)についてはプライマーB1とB2を使用し、48-3(AoEST03011)についてはプライマーC1とC2を使用し、49-1(AoEST02973)についてはプライマーD1とD2を使用し、55-4(AO090005000840)についてはプライマーE1とE2を使用し、56-2(AO090124000074)についてはプライマーF1とF2を使用し、amyBプロモーターについてはプライマーG1とG2を使用した。
遺伝子導入用プラスミドの作製はMultiSite Gateway(インビトロジェン社) を利用し各エントリークローンの作製を次のように行った。上述した6種類の候補プロモーター及び比較のためのamyBプロモーターを増幅するため、A. oryzae RIB40株のゲノムをテンプレートにしてPCRを行った。増幅したプロモーターの5'側末端にはattB4を付与し、3'末端側にはattB1配列を付与するようにプライマーを設計した。12-4(AO090011000630)についてはプライマーA1とA2を使用し、20-1(AO090120000112)についてはプライマーB1とB2を使用し、48-3(AoEST03011)についてはプライマーC1とC2を使用し、49-1(AoEST02973)についてはプライマーD1とD2を使用し、55-4(AO090005000840)についてはプライマーE1とE2を使用し、56-2(AO090124000074)についてはプライマーF1とF2を使用し、amyBプロモーターについてはプライマーG1とG2を使用した。
PCRにより増幅された断片をpDONRP4-P1RとBP反応を行うことで、図1に模式的に示すように、7種類のエントリークローンを作製した(pENTR-P12-4、pENTR-P20-1、pENTR-P48-3、pENTR-P49-1、pENTR-P 55-4、pENTR-P 56-2及びpENTR-PamyB)。一方、大腸菌由来uidA(GUS)を含む部位は、pBI221より翻訳部位を、プライマーH1とH2を用いたPCRにより増幅させ、図2に模式的に示すように、インビトロジェン社のpENTR Directional TOPO Cloning Kitsを用いてエントリークローンを作製した(pENTR-GUS)。また、A. oryzae由来amyBターミネータとniaDマーカー遺伝子とを含む部位を、Aspergillus oryzae amyBターミネータと硝酸還元酵素遺伝子(niaD)を含むプラスミドpUNAを鋳型とし、プライマーI1とI2を用いたPCRにより増幅した。なお、プライマーI1とI2は、増幅した部位の5'側末端にはattB2を付与し、3'末端側にはattB3配列を付与するように設計した。増幅した部位をpDONRP2R-P3とBP反応させることで、図3に模式的に示すように、当該部位を含むエントリークローン(pENTR-niaD)を作製した。
下記の表に使用したプライマーの一覧を示す。
下記の表に使用したプライマーの一覧を示す。
そして、各エントリークローンとディスティネーションベクターとをLR反応させ、遺伝子導入用ベクターを作製した。詳細には、図4に模式的に示すように、エントリークローン:pENTR-P12-4、 pENTR-GUS及びpENTR-niaDとディスティネーションベクター:pEST R4-R3とをLR反応させ、pDEST-P12-4を作製した。同様に、図5に模式的に示すように、エントリークローン:pENTR-P20-1、pENTR-GUS及びpENTR-niaDとディスティネーションベクター:pEST R4-R3をLR反応させ、pDEST-P20-1を作製した。同様に、図6に模式的に示すように、エントリークローン:pENTR-P48-3、pENTR-GUS及びpENTR-niaDとディスティネーションベクター:pEST R4-R3とをLR反応させ、pDEST-P48-3を作製した。同様に、図7に模式的に示すように、エントリークローン:pENTR-P49-1、pENTR-GUS及びpENTR-niaDとディスティネーションベクター:pEST R4-R3をLR反応させ、pDEST-P49-1を作製した。同様に、図8に模式的に示すように、エントリークローン:pENTR-P55-4、pENTR-GUS及びpENTR-niaDとディスティネーションベクター:pEST R4-R3とをLR反応させ、pDEST-P55-4を作製した。同様に、図9に模式的に示すように。エントリークローンpENTR-P56-2、pENTR-GUS及びpENTR-niaDとディスティネーションベクター:pEST R4-R3とをLR反応させ、pDEST-P56-2を作製した。同様に、図10に模式的に示すように、エントリークローンpENTR-PamyB、pENTR-GUS及びpENTR-niaDとディスティネーションベクター:pEST R4-R3とをLR反応させ、pDEST-PamyBを作製した。
3.麹菌Aspergillus oryzaeへの遺伝子導入と形質転換体の選抜
A.oryzaeへの遺伝子導入は、pDEST-P12-4、pDEST-P20-1、pDEST-P48-3、pDEST-P49-1、pDEST-P55-4、pDEST-P56-2、pDEST-PamyBを用いて、常法のプロトプラスト−PEG法により行った。宿主株は硝酸還元酵素変異株(niaD−)であるniaD300株を用いた。単一窒素源として硝酸を含むツァペック・ドックス培地(0.2% NaNO3、0.1%KH2PO4、0.05% KCl、0.05% MgSO4・7H2O、2% グルコース、pH5.5)で生育可能な形質転換体を選択した。得られた形質転換体より、導入遺伝子(uidA遺伝子)が1コピー導入されたものを、uidA遺伝子をプローブとしたゲノムサザン分析により選抜した。pDEST-P12-4、pDEST-P20-1、pDEST-P48-3、pDEST-P49-1、pDEST-P55-4、pDEST-P56-2、pDEST-PamyBプラスミドを1コピー導入した形質転換体をそれぞれ12-4、20-1、48-3、49-1、55-4、56-2、Pamyと命名した。
A.oryzaeへの遺伝子導入は、pDEST-P12-4、pDEST-P20-1、pDEST-P48-3、pDEST-P49-1、pDEST-P55-4、pDEST-P56-2、pDEST-PamyBを用いて、常法のプロトプラスト−PEG法により行った。宿主株は硝酸還元酵素変異株(niaD−)であるniaD300株を用いた。単一窒素源として硝酸を含むツァペック・ドックス培地(0.2% NaNO3、0.1%KH2PO4、0.05% KCl、0.05% MgSO4・7H2O、2% グルコース、pH5.5)で生育可能な形質転換体を選択した。得られた形質転換体より、導入遺伝子(uidA遺伝子)が1コピー導入されたものを、uidA遺伝子をプローブとしたゲノムサザン分析により選抜した。pDEST-P12-4、pDEST-P20-1、pDEST-P48-3、pDEST-P49-1、pDEST-P55-4、pDEST-P56-2、pDEST-PamyBプラスミドを1コピー導入した形質転換体をそれぞれ12-4、20-1、48-3、49-1、55-4、56-2、Pamyと命名した。
4.形質転換体の培養と評価方法
100mlフラスコを用いてシード培地(コーンスターチ5.6g、ポリペプトン1.8g、KH2PO4 0.1g、KCL 0.05g、MgSO4・7H2O 0.15g、CaCl2・2H2O 0.2g/100ml)の液量を20mlとし分生子を適量植菌し1日培養したシード培地3mlを、次の本培養用培地(以下CD培地と略す)へ植菌し、500mlバッフル付フラスコにて2〜3日、150rpm、30℃にて培養した。(CD培地成分:NaNO3 0.3g、KCl 0.2g、KH2PO4 0.1g、MgSO4・7H2O 0.05g、FeSO4・7H2O 0.002g、glucose 2g/100ml)。培養液を採取し、遠心後の培養上清を酵素液の原液とした。
100mlフラスコを用いてシード培地(コーンスターチ5.6g、ポリペプトン1.8g、KH2PO4 0.1g、KCL 0.05g、MgSO4・7H2O 0.15g、CaCl2・2H2O 0.2g/100ml)の液量を20mlとし分生子を適量植菌し1日培養したシード培地3mlを、次の本培養用培地(以下CD培地と略す)へ植菌し、500mlバッフル付フラスコにて2〜3日、150rpm、30℃にて培養した。(CD培地成分:NaNO3 0.3g、KCl 0.2g、KH2PO4 0.1g、MgSO4・7H2O 0.05g、FeSO4・7H2O 0.002g、glucose 2g/100ml)。培養液を採取し、遠心後の培養上清を酵素液の原液とした。
その他の培地成分は次のものを用いた(DPY;Dextrin 2g、Polypeptone 1g、Yeast extract 0.5g、KH2PO40.5g、MgSO4・7H2O 0.05g/100ml、フスマ;小麦フスマ 10g、硫安 0.5g、KH2PO40.5g、MgSO4・7H2O 0.05g/100ml)。
固体培養は次の方法で行った。100 mlフラスコを用いてシード培地の液量を20mlとし、分生子を適量植菌し1日培養した。その後、小麦フスマ5g入れた100mlフラスコへ、培養したシード培地3mlと1M硫安溶液 1mlを入れガラス棒で攪拌し、30℃で9日間、静置条件で培養した。培養後の酵素液の粗抽出条件は、滅菌水50mlを入れてガラス棒で混合し、4℃で6時間静置後、ミラクロスによりろ過した液を遠心し、その上清を酵素液の原液とした。
GUS活性測定方法は、10mM p-nitrophenyl-β-glucuronide溶液0.1mlを0.8mlの活性測定用緩衝液(50mM リン酸ナトリウム緩衝液pH7、10mM 2-メルカプトエタノール、0.1%TritonX-100)と混合し、粗酵素液0.1mlを加え37℃で反応させた。10分間反応後、0.4mlの2.5M 2-アミノ-2-メチルプロパンジオールを加え反応を停止し、遊離するp-nitorophenolを400nmの吸光度で測定した。1分間に1nmolのp-nitorophenolを遊離する酵素量を1単位とした。
また、タンパク質の定量はLowry法を用いて測定した。
また、タンパク質の定量はLowry法を用いて測定した。
5.形質転換体の評価
上記3.で作製した形質転換体Pamy、12-4、20-1、48-3、49-1、55-4及び56-2を、固体フスマ、液体フスマ、液体DPY、液体CD培地の各々の培養条件下でGUS生産能を測定した。測定した結果を図11に示す。図11に示すように、Pamyは固体フスマ、液体フスマ、液体DPY培養条件下で活性が高かったが、液体CD培養条件下でGUS活性が低くなった。一方、12-4株は、固体フスマ、液体フスマ、液体DPY培養条件下でamyBプロモーターと同程度の活性値であり、加えて液体CD培地では最も活性値が高くなった(約12,000U/ml)。その他に選抜した系統株は際立った特徴ある活性値を示さなかった。
上記3.で作製した形質転換体Pamy、12-4、20-1、48-3、49-1、55-4及び56-2を、固体フスマ、液体フスマ、液体DPY、液体CD培地の各々の培養条件下でGUS生産能を測定した。測定した結果を図11に示す。図11に示すように、Pamyは固体フスマ、液体フスマ、液体DPY培養条件下で活性が高かったが、液体CD培養条件下でGUS活性が低くなった。一方、12-4株は、固体フスマ、液体フスマ、液体DPY培養条件下でamyBプロモーターと同程度の活性値であり、加えて液体CD培地では最も活性値が高くなった(約12,000U/ml)。その他に選抜した系統株は際立った特徴ある活性値を示さなかった。
以上の結果から、AO090011000630のプロモーター領域(配列番号1)は、恒常発現型プロモーターとして知られているamyBプロモーターと比較して同等の恒常的発現を可能とするプロモーターであり、且つ、硝酸塩の存在下に発現誘導活性がより向上するといった特徴的な性質をもつプロモーターであることが判った。
Claims (15)
- アスペルギルス・オリゼの染色体におけるカルバモイルリン酸合成酵素遺伝子の上流に位置し、当該カルバモイルリン酸合成酵素遺伝子の発現を制御している領域からなるプロモーター。
- 配列番号1に示す塩基配列の3'末端側の400塩基からなることを特徴とする請求項1記載のプロモーター。
- 配列番号1に示す塩基配列の3'末端側の600塩基からなることを特徴とする請求項1記載のプロモーター。
- 配列番号1に示す塩基配列からなることを特徴とする請求項1記載のプロモーター。
- 請求項1乃至4いずれか一項記載のプロモーターを含む核酸構築物。
- 請求項1乃至4いずれか一項記載のプロモーターを含む発現ベクター。
- 上記プロモーターの下流に位置する遺伝子を更に含むことを特徴とする請求項6記載の発現ベクター。
- 上記プロモーターの下流に位置する遺伝子と、硝酸還元酵素遺伝子とを更に含むことを特徴とする請求項6記載の発現ベクター。
- 請求項1乃至4いずれか一項記載のプロモーターを所望の遺伝子の上流に組み入れた形質転換体。
- 上記所望の遺伝子が外来性の遺伝子であることを特徴とする請求項9記載の形質転換体。
- 糸状菌を宿主細胞とすることを特徴とする請求項9記載の形質転換体。
- 硝酸還元酵素遺伝子欠損株を宿主細胞とすることを特徴とする請求項9記載の形質転換体。
- 請求項9乃至12いずれか一項記載の形質転換体を培養し、培養後の培地及び/又は形質転換体内より目的物質を回収する、物質の製造方法。
- 上記形質転換体を硝酸塩含有培地において培養することを特徴とする請求項13記載の物質の製造方法。
- 上記目的物質は、上記プロモーターにより発現亢進される遺伝子によりコードされるタンパク質であることを特徴とする請求項13記載の物質の製造方法。
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---|---|---|---|
JP2011190558A JP2013051893A (ja) | 2011-09-01 | 2011-09-01 | 新規プロモーター及びその利用 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN110343672A (zh) * | 2018-12-27 | 2019-10-18 | 华东理工大学 | 一种抗尿苷酸反馈抑制的氨甲酰磷酸合成酶突变体及其应用 |
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2011
- 2011-09-01 JP JP2011190558A patent/JP2013051893A/ja not_active Withdrawn
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