JP2013033124A - 光学素子、それを用いた光学系および光学機器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】この光学素子1は、基材2上に反射防止膜が形成されている。この反射防止膜は、内部が空孔である中空微粒子4をバインダー5で相互に結合させることによって形成される低屈折率層3を含み、低屈折率層3は、最表層としての第1層3aと、該第1層3aに隣接して基材2の側に位置する第2層3bとからなる。ここで、第1層3aでのバインダー5の充填率は、第2層3bでのバインダー5の充填率よりも低い。
【選択図】図1
Description
まず、本発明の第1実施形態に係る光学素子について説明する。図1は、本実施形態に係る光学素子1の構成を示す概略断面図である。この光学素子1は、光透過性を有する基材2と、この基材2の表面上(基材上)に形成された反射防止膜である低屈折率層3とを含む。ここで、「反射防止膜」とは、例えば、ビデオカメラなどの光学機器に用いられる撮影レンズにて、その結像光学系に採用される光学素子の両面または片面に形成され、透過光量を上げて、不要光によるゴーストやフレアを回避するための膜を示す。まず、基材2は、例えば、石英などのガラスや、樹脂などからなる透明部材である。また、基材2の形状は、図1では説明の簡単化のために平板(平面)としているが、例えば曲板やフィルム状板でもよく、また、低屈折率層3が形成される表面も、曲面、凹面、または凸面であってもよい。
次に、本発明の第2実施形態に係る光学素子について説明する。第1実施形態の光学素子1は、基材2上に低屈折率層3のみを有するが、例えば、基材2と低屈折率層3との間に、高屈折率層や中屈折率層などを単層または複数層として有する構成もあり得る。この高屈折率層または中屈折率層としては、例えば、酸化ジルコニウム酸化チタン、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化ハフニウム、アルミナ、シリカ、またはフッ化マグネシウムなどの少なくともいずれかの材料を含む層が適用される。さらに、低屈折率層3における外部環境と接する表面に、撥水や撥油などの機能性を有する層を形成してもよい。この機能層の材料としては、例えば、フッ素を含有した塗料や、シリコーン塗料などが採用可能である。なお、このような屈折率層や機能層は、真空蒸着法、スパッタ法、CVD法、ディップコート法、スピンコート法、スプレーコート法などを用いて形成できる。
次に、参考として、第1実施形態に係る光学素子1に対する、第1比較例としての光学素子について説明する。図5は、第1実施形態に対する第1比較例に係る光学素子20の構成を示す概略断面図である。この図5において、第1実施形態に係る光学素子1の構成と同一のものには同一の符号を付し、説明を省略する。この光学素子20では、第1実施形態に係る低屈折率層3とは異なり、低屈折率層21は、中空微粒子4間の空隙がバインダー5で充填された1種類の膜からなる。まず、基材2は、第1実施形態と同一である。次に、低屈折率層21の屈折率が1.30になるように、中空SiO2含有溶液に対するバインダー溶液の重量比率を1:0.71として混合液を生成する。このとき、低屈折率層21では、上記のとおり中空微粒子4間の空隙がバインダー5で充填されるように、バインダー溶液の濃度が調整される。次に、第1実施形態と同様に、塗工処理および乾燥処理が実施され、基材2上に低屈折率層21を有する光学素子20が形成される。ここで、第1実施形態と同様に評価、観察した結果、図6に示すように、光学素子20によれば、第1実施形態に比べて反射率が高くなり、反射防止性能が劣ることが確認できる。これにより、第1実施形態に係る光学素子1の有用性が示される。なお、(表3)は、この光学素子20の構成に対する屈折率および膜厚を、基材2側から順に示す表である。
さらに、参考として、第2実施形態に係る光学素子10に対する、第2比較例としての光学素子について説明する。図7は、第2実施形態に対する第2比較例に係る光学素子30の構成を示す概略断面図である。この図7において、第2実施形態に係る光学素子10の構成と同一のものには同一の符号を付し、説明を省略する。この光学素子30も、第2実施形態に係る光学素子10と同様に、多層反射防止膜31を含むものである。一方、多層反射防止膜31を構成する本比較例に係る低屈折率層32は、低屈折率層14とは異なり、中空微粒子4間の空隙がバインダー15で充填された1種類の膜からなる。まず、基材11は、第2実施形態と同一である。また、本比較例においても、多層反射防止膜31は、第2実施形態と同様に、5つの層で構成される多層膜33を含む。次に、低屈折率層32の屈折率が1.35になるように、中空SiO2含有溶液に対するバインダー溶液の重量比率を1:0.71として混合液を生成する。このとき、低屈折率層32では、上記のとおり中空微粒子4間の空隙がバインダー5で充填されるように、バインダー溶液の濃度が調整される。次に、第2実施形態と同様に、塗工処理および乾燥処理が実施され、基材11上に低屈折率層32を有する光学素子30が形成される。ここで、第2実施形態と同様に評価、観察した結果、図8に示すように、光学素子30によれば、第2実施形態に比べて反射率が高くなり、反射防止性能が劣ることが確認できる。これにより、第2実施形態に係る光学素子10の有用性が示される。なお、(表4)は、この光学素子30の構成に対する屈折率および膜厚を、基材11側から順に示す表である。
次に、本発明の一実施形態の光学系および光学機器について説明する。本実施形態の光学系は、例えば、ビデオカメラ、写真カメラ、またはテレビカメラなどの光学機器が備えるレンズ(光学素子)部、またはレンズ鏡筒の内部に構成される結像光学系である。この結像光学系は、光軸方向に並ぶ、少なくとも2つ以上のレンズを有し、例えば、光入射側から順に、接合レンズである第1レンズ、反射防止膜を有する第2レンズなどを含む。この第2レンズとして、上記実施形態にて説明した光学素子が採用可能である。本実施形態の光学系および光学機器によれば、従来よりも少なくとも結像性能の面で有利となる。
2 基材
3 低屈折率層
3a 第1層
3b 第2層
4 中空微粒子
5 バインダー
Claims (9)
- 基材上に反射防止膜が形成された光学素子であって、
前記反射防止膜は、内部が空孔である中空微粒子をバインダーで相互に結合させることによって形成される低屈折率層を含み、
前記低屈折率層は、最表層としての第1層と、該第1層に隣接して前記基材の側に位置する第2層とからなり、
前記第1層での前記バインダーの充填率は、前記第2層での前記バインダーの充填率よりも低いことを特徴とする光学素子。 - 前記第1層に含まれる前記中空微粒子と、前記第2層に含まれる前記中空微粒子とは、同一であることを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
- 前記低屈折率層の膜厚は、90nm以上150nm以下であり、
前記第1層の膜厚は、20nm以上70nm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の光学素子。 - 前記第1層の屈折率は、1.1以上1.25以下であり、
前記第2層の屈折率は、1.26以上1.35以下であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の光学素子。 - 前記中空微粒子の平均粒径は、20nm以上70nm以下であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の光学素子。
- 前記中空微粒子の材質は、シリカであることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の光学素子。
- 前記低屈折率層は、スピンコート法で形成することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の光学素子。
- 少なくとも2つ以上の光学素子を有する光学系であって、
前記光学素子のうち少なくとも1つは、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の光学素子であることを特徴とする光学系。 - 光学系を有する光学機器であって、
前記光学系は、請求項8に記載の光学系であることを特徴とする光学機器。
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