JP2013023589A - 電子材料用重合体の製造方法、レジスト組成物の製造方法、およびパターンが形成された基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】重合溶媒の存在下に、重合開始剤を使用して、単量体をラジカル重合させて重合反応溶液を得る工程と、得られた重合反応溶液を減圧濃縮して、未反応の単量体を除去する工程を有する、電子材料用重合体の製造方法。
【選択図】なし
Description
例えば、ArFエキシマレーザーリソグラフィーにおいて用いられる化学増幅型レジスト用重合体として、波長193nmの光に対して透明なアクリル系重合体が注目されている。該アクリル系重合体としては、例えば、エステル部にアダマンタン骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルとエステル部にラクトン骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルとの重合体が提案されている(特許文献1等)。
また、露光時に基板からの反射を防ぐ役割を果たすため、露光光に対する光線透過率が低い反射防止膜の開発が進められており、アクリル系重合体を用いた反射防止膜が提案されている(特許文献2、3等)。
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、大量の貧溶媒を使用しなくても、重合体に含まれる残存単量体を効率良く低減できるようにした、電子材料用重合体の製造方法、該製造方法で得られる電子材料用重合体を含むレジスト組成物、および該レジスト組成物を用いて、パターンが形成された基板を製造する方法を提供することを目的とする。
前記減圧濃縮の後に、ろ過をする工程を有することが好ましい。
本発明のレジスト組成物の製造方法によれば、本発明の製造方法で製造した電子材料用重合体を含み、感度に優れたレジスト組成物が得られる。
本発明の基板の製造方法によれば、感度に優れたレジスト組成物を用いて、高精度の微細レジストパターンを安定して形成できる。
本発明の電子材料用重合体(以下、単に重合体ということもある。)は、極性基を有する構成単位を有することが好ましい。
[極性基を有する構成単位]
「極性基」とは、極性を持つ官能基または極性を持つ原子団を有する基であり、具体例としては、ヒドロキシ基、シアノ基、アルコキシ基、カルボキシ基、アミノ基、カルボニル基、フッ素原子を含む基、硫黄原子を含む基、ラクトン骨格を含む基、アセタール構造を含む基、エーテル結合を含む基などが挙げられる。
これらのうちで、波長250nm以下の光で露光するパターン形成方法に適用されるレジスト用重合体は、極性基を有する構成単位として、ラクトン骨格を有する構成単位を有することが好ましく、さらに後述の親水性基を有する構成単位を有することが好ましい。
ラクトン骨格としては、例えば、4〜20員環程度のラクトン骨格が挙げられる。ラクトン骨格は、ラクトン環のみの単環であってもよく、ラクトン環に脂肪族または芳香族の炭素環または複素環が縮合していてもよい。
重合体がラクトン骨格を有する構成単位を含む場合、その含有量は、基板等への密着性の点から、全構成単位(100モル%)のうち、20モル%以上が好ましく、25モル%以上がより好ましい。また、感度および解像度の点から、60モル%以下が好ましく、55モル%以下がより好ましく、50モル%以下がさらに好ましい。
本明細書において、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸またはメタクリル酸を意味し、「(メタ)アクリロイルオキシ」は、アクリロイルオキシまたはメタクリロイルオキシを意味する。
ラクトン骨格を有する単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本明細書における「親水性基」とは、−C(CF3)2−OH、ヒドロキシ基、シアノ基、メトキシ基、カルボキシ基およびアミノ基の少なくとも1種である。
これらのうちで、波長250nm以下の光で露光するパターン形成方法に適用されるレジスト用重合体は、親水性基としてヒドロキシ基またはシアノ基を有することが好ましい。
重合体における親水性基を有する構成単位の含有量は、レジストパターン矩形性の点から、全構成単位(100モル%)のうち、5〜30モル%が好ましく、10〜25モル%がより好ましい。
親水性基を有する単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の電子材料用重合体がレジスト用途に用いられる場合、上述した極性基を有する構成単位の他に、酸脱離性基を有する構成単位を有することが好ましく、その他に、必要に応じて公知の構成単位をさらに有していてもよい。
「酸脱離性基」とは、酸により開裂する結合を有する基であり、該結合の開裂により酸脱離性基の一部または全部が重合体の主鎖から脱離する基である。
レジスト用組成物において、酸脱離性基を有する構成単位を有する重合体は、酸成分と反応してアルカリ性溶液に可溶となり、レジストパターン形成を可能とする作用を奏する。
酸脱離性基を有する構成単位の割合は、感度および解像度の点から、重合体を構成する全構成単位(100モル%)のうち、20モル%以上が好ましく、25モル%以上がより好ましい。また、基板等への密着性の点から、60モル%以下が好ましく、55モル%以下がより好ましく、50モル%以下がさらに好ましい。
酸脱離性基を有する単量体の具体例として、炭素数6〜20の脂環式炭化水素基を有し、かつ酸脱離性基を有している(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。該脂環式炭化水素基は、(メタ)アクリル酸エステルのエステル結合を構成する酸素原子と直接結合していてもよく、アルキレン基等の連結基を介して結合していてもよい。
該(メタ)アクリル酸エステルには、炭素数6〜20の脂環式炭化水素基を有するとともに、(メタ)アクリル酸エステルのエステル結合を構成する酸素原子との結合部位に第3級炭素原子を有する(メタ)アクリル酸エステル、または、炭素数6〜20の脂環式炭化水素基を有するとともに、該脂環式炭化水素基に−COOR基(Rは置換基を有していてもよい第3級炭化水素基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、またはオキセパニル基を表す。)が直接または連結基を介して結合している(メタ)アクリル酸エステルが含まれる。
酸脱離性基を有する単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
その他の構成単位に対応する単量体は、上記極性基を有する単量体および上記酸脱離性基を有する単量体と共重合可能な公知の単量体を使用することができる。例えば、以下のものが挙げられる。
酸脱離性基および極性基を有しない、脂環式骨格(非極性脂環式骨格)を有する単量体;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ノルボルニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸トリシクロデカニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタジエニル、これらの化合物の脂環式骨格上に炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐のアルキル基を有する誘導体等。
直鎖もしくは分岐構造を有する(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸メトキシメチル、(メタ)アクリル酸n−プロポキシエチル、(メタ)アクリル酸イソプロポキシエチル、(メタ)アクリル酸n−ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸イソブトキシエチル、(メタ)アクリル酸tert−ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシ−n−プロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシ−n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸1−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル、(メタ)アクリル酸2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル、α−(トリ)フルオロメチルアクリル酸メチル、α−(トリ)フルオロメチルアクリル酸エチル、α−(トリ)フルオロメチルアクリル酸2−エチルヘキシル、α−(トリ)フルオロメチルアクリル酸n−プロピル、α−(トリ)フルオロメチルアクリル酸イソプロピル、α−(トリ)フルオロメチルアクリル酸n−ブチル、α−(トリ)フルオロメチルアクリル酸イソブチル、α−(トリ)フルオロメチルアクリル酸tert−ブチル、α−(トリ)フルオロメチルアクリル酸メトキシメチル、α−(トリ)フルオロメチルアクリル酸エトキシエチル、α−(トリ)フルオロメチルアクリル酸n−プロポキシエチル、α−(トリ)フルオロメチルアクリル酸イソプロポキシエチル、α−(トリ)フルオロメチルアクリル酸n−ブトキシエチル、α−(トリ)フルオロメチルアクリル酸イソブトキシエチル、α−(トリ)フルオロメチルアクリル酸tert−ブトキシエチル等。
芳香族アルケニル化合物;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−ヒドロキシスチレン、p−tert−ブトキシカルボニルヒドロキシスチレン、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシスチレン、3,5−ジメチル−4−ヒドロキシスチレン、p−tert−ペルフルオロブチルスチレン、p−(2−ヒドロキシ−イソプロピル)スチレン等。
レジスト用重合体の例としては、前記酸脱離性基を有する構成単位の1種以上と、前記極性基を有する構成単位の1種以上とを含む共重合体が挙げられる。
上記任意の置換基としては、フェノール性水酸基、アルコール性水酸基、カルボキシ基、カルボニル基、エステル基、アミノ基、又はアミド基等が挙げられる。これらのうち、吸光性基として、保護された又は保護されていないフェノール性水酸基を有するものが、良好な現像性・高解像性の観点から好ましい。上記吸光性基を有する構成単位・単量体として、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、p−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
液浸リソグラフィーに用いられるトップコート膜用重合体の例としては、カルボキシ基を有する構成単位を含む共重合体、水酸基が置換したフッ素含有基を有する構成単位を含む共重合体等が挙げられる。
焼成工程に用いられる焼成バインダー用共重合体としては高温で解重合反応を起こす(メタ)アクリル系重合体等が挙げられる。
本発明の電子材料用重合体の製造方法は、重合溶媒の存在下に、重合開始剤を使用して、単量体をラジカル重合させて重合反応溶液を得る工程(重合工程)と、得られた重合反応溶液を減圧濃縮して、未反応の単量体を除去する工程(減圧濃縮工程)を有する。
[重合工程]
重合方法としては溶液重合法を用いる。すなわち、重合溶媒の存在下に重合開始剤を使用して単量体をラジカル重合させて重合反応溶液を得る。
溶液重合法において、単量体および重合開始剤の重合容器への供給は、連続供給であってもよく、滴下供給であってもよい。溶液重合法としては、製造ロットの違いによる平均分子量、分子量分布等のばらつきが小さく、再現性のある重合体が簡便に得られる点から、単量体および重合開始剤を重合容器内に滴下する滴下重合法が好ましい。
単量体は、単量体のみで滴下してもよく、単量体を重合溶媒に溶解させた単量体溶液として滴下してもよい。
重合溶媒及び/又は単量体をあらかじめ重合容器に仕込んでもよい。
重合開始剤は、単量体に直接に溶解させてもよく、単量体溶液に溶解させてもよく、重合溶媒のみに溶解させてもよい。
単量体および重合開始剤は、同じ貯槽内で混合した後、重合容器中に滴下してもよく;それぞれ独立した貯槽から重合容器中に滴下してもよく;それぞれ独立した貯槽から重合容器に供給する直前で混合し、重合容器中に滴下してもよい。
単量体および重合開始剤は、一方を先に滴下した後、遅れて他方を滴下してもよく、両方を同じタイミングで滴下してもよい。
滴下速度は、滴下終了まで一定であってもよく、単量体または重合開始剤の消費速度に応じて、多段階に変化させてもよい。
滴下は、連続的に行ってもよく、間欠的に行ってもよい。
重合温度は、50〜150℃が好ましい。
所定の重合温度で所定時間、重合反応させた後、重合反応を停止させ、重合反応溶液を得る。重合反応を停止させる手法は反応液を冷却させる工程が一般的に用いられるが、ラジカル捕捉剤を投入することによって停止させることもできる。
エーテル類:鎖状エーテル(ジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等。)、環状エーテル(テトラヒドロフラン(以下、「THF」と記す。)、1,4−ジオキサン等。)等。
エステル類:酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、「PGMEA」と記す。)、γ−ブチロラクトン等。
ケトン類:アセトン、メチルエチルケトン(以下、「MEK」と記す。)、メチルイソブチルケトン(以下、「MIBK」と記す。)、シクロヘキサノン等。
アミド類:N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等。
スルホキシド類:ジメチルスルホキシド等。
芳香族炭化水素:ベンゼン、トルエン、キシレン等。
脂肪族炭化水素:ヘキサン等。
脂環式炭化水素:シクロヘキサン等。
重合溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
次に、重合工程で得られた重合反応溶液を減圧濃縮する。これにより、重合反応溶液中に残存する未反応の単量体、重合開始剤等の不純物を除去することができる。未反応単量体は、そのまま残存しているとレジスト組成物として用いた場合に感度が低下するため、できるだけ取り除くことが好ましい。
減圧度としては50kPa以下が好ましく、40kPa以下がより好ましく、30kPa以下がさらに好ましい。減圧度が上記範囲の上限値以下であると不要物を効率良く除去することができる。該減圧度の下限値は特に限定されないが、現実的には0.01kPa以上である。
また、濃縮中に加熱すると短い時間で濃縮できる点で好ましい。加熱温度としては20℃以上が好ましく、30℃以上がより好ましく、40℃以上がさらに好ましい。また、重合体の熱劣化を防ぐ点で加熱温度は100℃以下が好ましく、90℃以下がより好ましく、80℃以下がさらに好ましい。
濃縮の程度は、重合反応溶液中の不純物が所望の程度に除去されるように、設定することができる。例えば、減圧濃縮後の濃縮液における重合体の固形分濃度は5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましい。該固形分濃度の上限は特に限定されないが、重合反応溶液の粘度上昇が抑えられ取扱性に優れる点で60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましい。
濃縮中は突沸を防ぐ点で攪拌しながら行うのが好ましい。また、圧力制御ができ、熱伝導性に優れ反応温度制御が容易になる点で、耐圧製金属反応容器で重合反応を行い、同一の反応容器で濃縮することが好ましい。金属としては耐食性が高く重合体への金属不純物の混入が低減できる点でステンレス鋼(以下SUSとも言う)が好ましい。
濃縮後、必要に応じて、希釈溶媒(例えば1,4−ジオキサン、アセトン、THF、MEK、MIBK、γ−ブチロラクトン、PGMEA、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等)で適当な固形分濃度に希釈した後、再度濃縮することもできる。
また、同様の観点から使用される単量体は常圧での沸点が250℃以下が好ましく、200℃以下がより好ましく、150℃以下がさらに好ましい。このような単量体としては公知のものを使用することが出来るが、例えば(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル等を挙げることが出来る。
なお、常圧とは1013hPaである。
重合反応溶液を減圧濃縮して得られた濃縮液を、必要に応じて、希釈溶媒(例えば1,4−ジオキサン、アセトン、THF、MEK、MIBK、γ−ブチロラクトン、PGMEA、PGME、乳酸エチル等)で適当な溶液粘度に希釈した後、重合体に対する貧溶媒(例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、水、ヘキサン、ヘプタン、ジイソプロピルエーテル、またはそれらの混合溶媒等)中に滴下し、重合体を析出させる方法で精製を行ってもよい。この工程は再沈殿工程と呼ばれ、濃縮液中に残存する未反応の単量体、重合開始剤等を取り除くことができる。
貧溶媒の使用量は残存する未反応単量体をより低減できる点で、貧溶媒に滴下する重合体を含む溶液と同質量以上用いることができ、3倍以上が好ましく、4倍以上がより好ましく、5倍以上がさらに好ましく、6倍以上が特に好ましい。上限は生産効率を低下させない点で、質量基準で10倍以下が好ましい。
また、該湿粉を再び、重合体に対する貧溶媒に分散させて重合体分散液を得た後、重合体をろ別する操作を繰り返すこともできる。この工程は、リスラリ工程と呼ばれ、重合体湿粉中に残存する未反応の単量体等の不純物をより低減させることができる。
得られた湿粉を十分に乾燥すると、目的の重合体が粉体状で得られる。
また、析出物をろ別した後、乾燥せずに湿粉のまま適当な溶媒に溶解させて、製品としての重合体溶液としてもよく、さらに濃縮して低沸点化合物を除去してから製品としての重合体溶液としてもよい。その際、保存安定剤等の添加剤を適宜添加してもよい。
また、湿粉を乾燥させた後に適当な溶媒に溶解させ、さらに濃縮して低沸点化合物を除去してから製品としての重合体溶液としてもよい。その際も、保存安定剤等の添加剤を適宜添加してもよい。
これらの濃縮工程は公知の濃縮方法で行うことができ、重合反応後の上記減圧濃縮工程と同様の方法を用いることができる。
さらには、精製工程も行わず、減圧濃縮工程のみで未反応の単量体等の不純物を除去することがより好ましい。
本発明において、前記重合反応溶液を減圧濃縮した後、最終的な製品形態とする前に、ろ過を行うことが好ましい。これにより、重合体のゲル物や異物を除去することができる。このろ過工程は減圧濃縮工程の後に実施することができ、必要に応じて精製工程の途中で実施してもよい。
最終製品に混入する恐れのある重合体のゲル物や異物を効率的に低減できる点で最終製品の充填工程でろ過することが好ましい。
ろ過に供される液は、ろ過フィルター前後の圧力損失を低く抑えたまま、短時間でろ過するために、必要に応じて、例えば1,4−ジオキサン、アセトン、THF、MEK、MIBK、γ−ブチロラクトン、PGMEA、PGME、乳酸エチル等の希釈溶媒で適当な溶液粘度に希釈することが好ましい。
特に、本発明において、精製工程を行わず、減圧濃縮工程を行った後、得ようとする製品における重合体の固形分濃度にまで希釈した後、ろ過を行って、製品としての電子材料用重合体溶液を得ることが好ましい。該電子材料用重合体溶液に保存安定剤等の添加剤を含有させてもよい。
製品としての電子材料用重合体溶液における重合体の固形分濃度は、5〜60質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましい。該固形分濃度が上記範囲の下限値以上であると生産効率を低下させることなく製造ができ、上限値以下であると溶液の粘度上昇が抑えられ取扱性に優れる。
また、製品としての電子材料用重合体溶液における未反応の残存単量体の濃度は、重合体の固形分濃度を25質量%として換算したときに、1質量%以下であることが好ましく、0.9質量%以下がより好ましい。
なお、本発明において、溶液状の重合体(重合体を含有する溶液)における、重合体の固形分濃度の値は、重合反応に用いた単量体の合計質量を重合体の質量とみなして算出される値である。
本発明のレジスト組成物の製造方法は、本発明の製造方法により電子材料用重合体を製造する工程と、得られた電子材料用重合体と、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物とを混合する工程を有する。必要に応じて、さらにレジスト溶媒を加えて混合する。レジスト溶媒としては、上記に重合溶媒として挙げた溶媒を用いることができる。こうして得られるレジスト組成物は化学増幅型レジスト組成物である。
レジスト組成物の製造に用いる電子材料用重合体は、粉体状の重合体でもよく、重合体溶液でもよい。
レジスト溶媒としては、上記に重合溶媒として挙げた溶媒を用いることができる。
[活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物]
活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物は、化学増幅型レジスト組成物の光酸発生剤として使用可能なものの中から任意に選択できる。光酸発生剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
光酸発生剤としては、例えば、オニウム塩化合物、スルホンイミド化合物、スルホン化合物、スルホン酸エステル化合物、キノンジアジド化合物、ジアゾメタン化合物等が挙げられる。
光酸発生剤の使用量は、重合体100質量部に対して、0.1〜20質量部が好ましく、0.5〜10質量部がより好ましい。
化学増幅型レジスト組成物は、含窒素化合物を含んでいてもよい。含窒素化合物を含むことにより、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等がさらに向上する。つまり、レジストパターンの断面形状が矩形により近くなり、また、レジスト膜に光を照射し、ついでベーク(PEB)した後、次の現像処理までの間に数時間放置されることが半導体素子の量産ラインではあるが、そのような放置(経時)したときにレジストパターンの断面形状の劣化の発生がより抑制される。
含窒素化合物としては、アミンが好ましく、第2級低級脂肪族アミン、第3級低級脂肪族アミンがより好ましい。
含窒素化合物の量は、重合体100質量部に対して、0.01〜2質量部が好ましい。
化学増幅型レジスト組成物は、有機カルボン酸、リンのオキソ酸またはその誘導体(以下、これらをまとめて酸化合物と記す。)を含んでいてもよい。酸化合物を含むことにより、含窒素化合物の配合による感度劣化を抑えることができ、また、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等がさらに向上する。
有機カルボン酸としては、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸等が挙げられる。
リンのオキソ酸またはその誘導体としては、リン酸またはその誘導体、ホスホン酸またはその誘導体、ホスフィン酸またはその誘導体等が挙げられる。
酸化合物の量は、重合体100質量部に対して、0.01〜5質量部が好ましい。
本発明のレジスト組成物は、必要に応じて、界面活性剤、その他のクエンチャー、増感剤、ハレーション防止剤、保存安定剤、消泡剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。該添加剤は、当該分野で公知のものであればいずれも使用可能である。また、これら添加剤の量は、特に限定されず、適宜決めればよい。
本発明の、微細パターンが形成された基板の製造方法の一例について説明する。
まず、所望の微細パターンを形成しようとするシリコンウエハー等の被加工基板の表面に、本発明の製造方法で得られるレジスト組成物をスピンコート等により塗布する。そして、該レジスト組成物が塗布された被加工基板を、ベーキング処理(プリベーク)等で乾燥することにより、基板上にレジスト膜を形成する。
また、該レジスト膜と露光装置の最終レンズとの間に、純水、パーフルオロ−2−ブチルテトラヒドロフラン、パーフルオロトリアルキルアミン等の高屈折率液体を介在させた状態で光を照射する液浸露光を行ってもよい。
現像後、基板を純水等で適宜リンス処理する。このようにして被加工基板上にレジストパターンが形成される。
エッチング後、レジストを剥離剤によって除去することによって、微細パターンが形成された基板が得られる。
重合体の重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)は、下記の条件(GPC条件)でゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーにより、ポリスチレン換算で求めた。
[GPC条件]
装置:東ソー社製、東ソー高速GPC装置 HLC−8220GPC(商品名)、
分離カラム:昭和電工社製、Shodex GPC K−805L(商品名)を3本直列に連結したもの、
測定温度:40℃、
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)、
試料:重合体の約20mgを5mLのTHFに溶解し、0.5μmメンブレンフィルターで濾過した溶液、
流量:1mL/分、
注入量:0.1mL、
検出器:示差屈折計。
F−80(Mw=706,000)、
F−20(Mw=190,000)、
F−4(Mw=37,900)、
F−1(Mw=10,200)、
A−2500(Mw=2,630)、
A−500(Mw=682、578、474、370、260の混合物)。
[重合体が溶液状態の場合]
重合体の溶液を0.5g採取し、これをアセトニトリルで希釈し、メスフラスコを用いて全量を50mLとした。この希釈液を0.2μmのメンブレンフィルターで濾過し、東ソー社製、高速液体クロマトグラフHPLC−8020(製品名)を用いて、該希釈液中の未反応の単量体含有量を、単量体ごとに求める。これらの合計単量体量の重合体溶液中における質量割合(質量%)を残存単量体量とする。
[重合体が粉体状態の場合]
粉体状の重合体0.1gと、アセトニトリル4.0gを1時間攪拌混合し、得られた混合液を0.2μmのメンブレンフィルターで濾過し、東ソー社製、高速液体クロマトグラフHPLC−8020(製品名)を用いて、該重合体中の未反応の残存単量体含有量を、単量体ごとに求める。これらの合計単量体量の粉体状重合体における質量割合(質量%)を残存単量体量とする。
測定時間3〜24分:A液/B液=90体積%/10体積%から、50体積%/50体積%まで。
測定時間24〜36.5分:A液/B液=50体積%/50体積%から、0体積%/100体積%まで。
測定時間36.5〜44分:A液/B液=0体積%/100体積%。
[感度、現像コントラスト測定]
レジスト組成物を、6インチシリコンウエハー上に回転塗布し、ホットプレート上で120℃、60秒間プリベーク(PAB)して、厚さ300nmの薄膜を形成した。ArFエキシマレーザー露光装置(リソテックジャパン製、商品名:VUVES−4500)を用い、露光量を変えて10mm×10mm2の18ショットを露光した。次いで110℃、60秒間のポストベーク(PEB)を行った後、レジスト現像アナライザー(リソテックジャパン製。商品名:RDA−800)を用い、23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で65秒間現像し、各露光量における現像中のレジスト膜厚の経時変化を測定した。
得られたデータを基に、露光量(mJ/cm2)の対数と、初期膜厚に対する60秒間現像した時点での残存膜厚率(以下、残膜率という)(%)をプロットした曲線(以下、露光量−残膜率曲線という)を作成し、Eth感度(残膜率0%とするための必要露光量であり、感度を表す。)とγ値(露光量−残膜率曲線の接線の傾きであり、現像コントラストを表す。)を以下の通り求めた。Eth感度の値が小さいほどレジスト組成物の感度が高く、γ値の値が大きいほど現像コントラストが良好であることを示す。
Eth感度:露光量−残膜率曲線が残膜率0%と交わる露光量(mJ/cm2)。
γ値:露光量−残膜率曲線の残膜率50%における露光量をE50(mJ/cm2)、露光量−残膜率曲線のE50における接線が、残膜率100%の直線及び残膜率0%の直線と交わる露光量をそれぞれE100及びE0として、以下の計算式で求めた。
γ=1/{log(E0/E100)}
窒素導入口、攪拌機、コンデンサー、滴下漏斗1個、及び温度計を備えた容量1LのSUS製のフラスコに、PGMEA(常圧での沸点146℃)222.3gを入れた。フラスコ内を窒素で置換し、窒素雰囲気を保ったままフラスコを湯浴に入れ、フラスコ内を攪拌しながら湯浴の温度を80℃に上げた。
その後、下記混合物1を滴下漏斗より、4時間かけてフラスコ内に滴下し、さらに80℃の温度を3時間保持した。
その後、25℃までフラスコ内の反応液を冷却して重合反応を停止させ、重合反応溶液を得た。得られた重合反応溶液について、残存単量体量(重合反応後)を測定した。
[混合物1]
下記式(m1)の単量体(常圧での沸点101℃)を63.0g、
下記式(m2)の単量体(常圧での沸点132℃)を149.1g、
下記式(m3)の単量体(常圧での沸点205℃)を54.6g、
PGMEAを400.1g、
ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート(和光純薬工業社製、V601(商品名))を24.15g。
各単量体の仕込み割合(モル%)を表1に示す。
得られた濃縮液を重合体の固形分濃度が25質量%となるまでPGMEAで希釈した。得られた希釈液(溶液状態の重合体)について、残存単量体を測定した。残存単量体は、該希釈液中の単量体含有量を単量体ごとに求め、該単量体含有量の合計量を、該希釈液における残存単量体量(ろ過前)とした。
さらに、ナイロン製の孔径0.1μmのカートリッジフィルターでろ過を行った。得られたろ液を、製品としての重合体溶液(重合体の固形分濃度が25質量%)とした。
得られた重合体溶液について、重合体の重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)、および残存単量体量(ろ過後)を測定した。
これらの結果を表1に示す。
本例では、実施例1における式(m1)の単量体に代えて、下記式(m4)の単量体を用いた。
すなわち、実施例1と同じフラスコに、PGMEA259.0gを入れた。フラスコ内を窒素で置換し、窒素雰囲気下で保ったままフラスコを湯浴に入れ、フラスコ内を攪拌しながら湯浴の温度を80℃に上げた。
その後、下記混合物2を滴下漏斗より、4時間かけてフラスコ内に滴下し、さらに80℃の温度を3時間保持した。
その後、25℃までフラスコ内の反応液を冷却して重合反応を停止させ、重合反応溶液を得た。得られた重合反応溶液について、実施例1と同様にして残存単量体量(重合反応後)を測定した。
[混合物2]
下記式(m2)の単量体を149.1g、
下記式(m3)の単量体を54.6g、
下記式(m4)の単量体を107.1g、
PGMEAを466.2g、
ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート(前記V601(商品名))を24.15g。
各単量体の仕込み割合(モル%)を表1に示す。
得られた濃縮液を重合体の固形分濃度が25質量%となるまでPGMEAで希釈した。得られた希釈液(溶液状態の重合体)について、実施例1と同様にして残存単量体量(ろ過前)を測定した。
さらに、ナイロン製の孔径0.1μmのカートリッジフィルターでろ過を行った。得られたろ液を、製品としての重合体溶液(重合体の固形分濃度が25質量%)とした。
得られた重合体溶液について、実施例1と同様にして、重合体の重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)、および残存単量体量(ろ過後)を測定した。
これらの結果を表1に示す。
本例では、実施例1における式(m1)、(m3)の単量体に代えて、下記式(m4)、(m5)の単量体を用いた。
すなわち、実施例1と同じフラスコに、PGMEA243.6gを入れた。フラスコ内を窒素で置換し、窒素雰囲気下で保ったままフラスコを湯浴に入れ、フラスコ内を攪拌しながら湯浴の温度を80℃に上げた。
その後、下記混合物3を滴下漏斗より、4時間かけてフラスコ内に滴下し、さらに80℃の温度を3時間保持した。
その後、25℃までフラスコ内の反応液を冷却して重合反応を停止させ、重合反応溶液を得た。得られた重合反応溶液について、実施例1と同様にして残存単量体量(重合反応後)を測定した。
[混合物3]
下記式(m2)の単量体を149.1g、
下記式(m4)の単量体を107.1g、
下記式(m5)の単量体(常圧での沸点161℃)を36.1g、
PGMEAを438.5g、
ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート(前記V601(商品名))を24.15g。
各単量体の仕込み割合(モル%)を表1に示す。
得られた濃縮液を重合体の固形分濃度が25質量%となるまでPGMEAで希釈した。得られた希釈液(溶液状態の重合体)について、実施例1と同様にして残存単量体量(ろ過前)を測定した。
さらに、ナイロン製の孔径0.1μmのカートリッジフィルターでろ過を行った。得られたろ液を、製品としての重合体溶液(重合体の固形分濃度が25質量%)とした。
得られた重合体溶液について、実施例1と同様にして、重合体の重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)、および残存単量体量(ろ過後)を測定した。
これらの結果を表1に示す。
実施例1〜3とそれぞれ同様にして重合反応溶液(重合体の固形分濃度30質量%)を得た。該重合反応溶液を減圧濃縮せずに、重合体の固形分濃度が25質量%となるまでPGMEAで希釈した。得られた希釈液(溶液状態の重合体)について、実施例1と同様にして残存単量体量(ろ過前)を測定した。
また該希釈液について、実施例1と同様にして重合体の重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)を測定した。
結果を表1および2に示す。
実施例1〜3のそれぞれで得られた重合体溶液の400部、または比較例1〜3のそれぞれで得られた希釈液の400部と、光酸発生剤であるトリフェニルスルホニウムトリフレートの2部と、溶媒であるPGMEAとを、重合体の固形分濃度が12.5質量%になるように混合して均一溶液とした後、孔径0.1μmのメンブレンフィルターで濾過し、レジスト組成物を得た。得られたレジスト組成物についてEth感度およびγ値を測定した。結果を表1に示す。
Claims (4)
- 重合溶媒の存在下に、重合開始剤を使用して、単量体をラジカル重合させて重合反応溶液を得る工程と、
得られた重合反応溶液を減圧濃縮して、未反応の単量体を除去する工程を有する、電子材料用重合体の製造方法。 - 前記減圧濃縮の後に、ろ過をする工程を有する、請求項1記載の電子材料用重合体の製造方法。
- 請求項1に記載の製造方法により電子材料用重合体を製造する工程と、得られた電子材料用重合体と、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物とを混合する工程を有する、レジスト組成物の製造方法。
- 請求項3に記載の製造方法によりレジスト組成物を製造する工程と、得られたレジスト組成物を基板の被加工面上に塗布してレジスト膜を形成する工程と、該レジスト膜に対して、露光する工程と、露光されたレジスト膜を現像液を用いて現像する工程とを含む、パターンが形成された基板の製造方法。
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