JP2012522762A - ケラチノサイトの増殖および分化を調節する方法 - Google Patents

ケラチノサイトの増殖および分化を調節する方法 Download PDF

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Abstract

ケラチノサイトの増殖および分化を調節する方法であって、IGFBP7の活性または発現を調整することができる薬剤にケラチノサイトを供し、それにより、ケラチノサイトの増殖および分化を調節する方法が提供される。また、IGFBP7ポリペプチドまたはIGFBP7ポリペプチドをコードする核酸配列を対象に投与することによる、過増殖性ケラチノサイトによって特徴づけられる病状を処置する方法が提供される。
【選択図】なし

Description

本発明は、そのいくつかの実施形態において、過増殖性ケラチノサイトによって特徴づけられる病状を処置する方法および医薬組成物に関連する。
乾癬は、世界中で総人口のおよそ2%〜5%が冒される慢性的炎症性皮膚疾患である。乾癬の病因は多因子性であり、乾癬は、環境的要因と、遺伝的要因との相互作用から生じると考えられている。乾癬における典型的な組織病理学的特徴には、表皮異常(過錯角化)および免疫学的異常(好中球微小膿瘍ならびに皮膚の単球浸潤および血管増殖)の両方が含まれる。乾癬は、ケラチノサイトの増大した増殖、低下したアポトーシスおよび異常な分化によって特徴づけられ、多くの場合、他の疾患または状態(例えば、関節炎、心臓血管疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)および糖尿病など)に付随し得る。
乾癬の現在の処置には、コールタール、ビタミンD誘導体、レチノイドおよびカルシニューリン阻害剤の局所的投与;UVB、NB−UVBおよび/またはレーザーを使用する光線療法;組み合わされた全身的療法および光線療法(例えば、プソラレンの経口投与、それに続く、UVAへの暴露);シクロスポリン、メトトレキサートおよびレチノイドなどの全身的投与;ならびに、生物学的薬剤(例えば、Alefacept、インフリキシマブ、エタネルセプトおよびウステキヌマブなど)の投与が含まれる。
乾癬の病因は明らかではない。様々な候補遺伝子が、この疾患を発症させる遺伝的素因に関連することが見出された(GriffithsおよびBarker、2007;Lowes他、2007;Nair他、2009;Nair他、2006;Yang他、2008;Zenz他、2008;ZenzおよびWagner、2006;Zhang他、2009)。このことは、免疫学的機能不全および表皮欠陥の両方がこの疾患の病理発生に関与することを明らかにする。
様々な動物モデルが、乾癬の表現型を模倣するために使用されている。例えば、Junタンパク質の誘導可能な表皮欠失が、乾癬様皮膚疾患および関節炎を引き起こすことが見出された(Zenz他、2005)。加えて、ケラチノサイトにおける血清応答因子(SRF)の喪失が過増殖性皮膚疾患をマウスにおいて生じさせることが見出された(Koegel他、2009)。さらに、Shon他[Exp Dermatol、2008(Aug)、17(8):703〜12]はこの疾患の様々な動物モデルを検討し、これらのモデルが乾癬の二元的病因を反映することを見出した。
光線療法の前後での患者における乾癬皮膚のゲノム規模の分析では、インスリン様増殖因子結合タンパク質7(IGFBP7)をコードするIGFBP7の際立ったアップレギュレーションが明らかにされた(Hochberg M.、Zeligson S.他、2007)。
IGFBP7は、IGFBPスーパーファミリー、すなわち、共通するN末端のシステインリッチドメインを互いに有する分泌型タンパク質の大きな一群に属する。合計で16個のファミリーメンバーがこれまでに特定されており、そのうちの6つがIGFと大きい親和性で結合し(IGFBP1〜6)、他の10個のメンバーがインスリン増殖因子(IGF)と低い親和性で結合する。IGFBP7(これはIGFBP−rP1またはMAC25とも呼ばれる)はIGFと低い親和性で結合するが、インスリンを大きい親和性で認識し、それにより、その代謝、分布、および、インスリン受容体に結合する能力を調整する。IGFBP7は、IGF/インスリンに依存しない作用を有する。例えば、IGFBP7は、正常な乳房細胞機能、性腺機能および卵胞刺激ホルモン(FSH)放出を調節するアクチビン(増殖因子のTGF−βスーパーファミリーのメンバー)へのその結合を可能にする「フォリスタチンモジュール」を含有する。IGFBP7は、細胞増殖、細胞接着、細胞老化および血管形成を種々のガン細胞株において調節することが示されている(Akaogi他、1996;Burger他、2005;Ruan他、2007;Sato他、2007;Wilson他、2002)。より近年には、IGFBP7は、老化およびアポトーシスをメラノサイトにおいて媒介すること、また、メラノーマの成長をインビボで抑制することが示されている(Wajapeyee他、2008)。
IGFBP7は遍在的様式で発現し、その分泌型形態がすべてのヒト体液(例えば、精液、尿および羊水など)において見出され得る(Degeorges他、2000;Lopez−Bermejo他、2003)。IGFBP7はタンパク質分解プロセシングによって不活性化される;加えて、過剰メチル化が新生物組織におけるその発現にもまた影響することが報告されている。IGFBP7は、TGF−β、グルココルチコイドおよびレチノイン酸によって誘導される。IGFBP7は、ケラチノサイト以外の細胞タイプと比較して、ケラチノサイトにおいて示差的に発現されるいくつかのケラチノサイト特異的遺伝子の1つであることが見出されている(Gazel他、2003)。
米国特許出願公開第20090035312号は、ビメンチン、CD59、HMGB1およびIGFBP7の抗体標的化を使用するインビトロおよびインビボでの血管形成の抗血管形成的血管標的化アプローチおよび阻害を設計するための特異的標的分子を特定する方法を教示する。
さらなる背景技術には、Candille他、Science、2007;Lande他、Nature、2008;Chamorro他、J.Invest.Dermatolo.、2009;Duncan他、J.Invest.Dermatol.、1994;Kruger−Krasagakis他、Br.J.Dermatol.、2006;Wrone−Smith他、Am.J.Pathol.、1997;Komine他、J.Invest Dermatol.、2007;Rahmoun他、J.Invest Dermatol.、2009;KruegerおよびBowcock、2005;McKayおよびLeigh、1995;Bernerd他、1992;Bovenschen他、2005;Vissers他、2008;Haider他、2006;Bowen他、2004;Gunduz他、2006;Yang他、2009;Laporte他、2000;Raj他、2006;Yamanaka他、1997;Genua他、2009;Neely他、1991;Sadagurski他、2007;Wertheimer他、2001;Wertheimer他、2000;Nickoloff他、2006が含まれる。
本発明のいくつかの実施形態の1つの局面によれば、過増殖性ケラチノサイトによって特徴づけられる病状を処置する方法であって、その必要性のある対象にインスリン様増殖因子結合タンパク質7(IGFBP7)ポリペプチドまたはこのIGFBP7ポリペプチドをコードする核酸配列の治療効果的な量を投与し、それにより、過増殖性ケラチノサイトによって特徴づけられる病状を処置することを含む方法が提供される。
本発明のいくつかの実施形態の1つの局面によれば、インスリン様増殖因子結合タンパク質7(IGFBP7)ポリペプチドまたはこのIGFBP7ポリペプチドをコードする核酸配列と、医薬的に許容されるキャリアとを、局所的投与のために配合されて含む医薬組成物が提供される。
本発明のいくつかの実施形態の1つの局面によれば、インスリン様増殖因子結合タンパク質7(IGFBP7)ポリペプチドまたはこのIGFBP7ポリペプチドをコードする核酸配列の使用であって、過増殖性ケラチノサイトによって特徴づけられる病状を処置するための医薬品を製造するための使用が提供される。
本発明のいくつかの実施形態の1つの局面によれば、ケラチノサイトの増殖および分化を調節する方法であって、IGFBP7の活性または発現を調整することができる薬剤にケラチノサイトを供し、それにより、ケラチノサイトの増殖および分化を調節することを含む方法が提供される。
本発明のいくつかの実施形態によれば、上記医薬組成物は、過増殖性ケラチノサイトによって特徴づけられる病状の処置のために特定される。
本発明のいくつかの実施形態によれば、IGFBP7ポリペプチドはIGFBP7の機能的部分を少なくとも含む。
本発明のいくつかの実施形態によれば、過増殖性ケラチノサイトによって特徴づけられる病状は乾癬である。
本発明のいくつかの実施形態によれば、過増殖性ケラチノサイトによって特徴づけられる病状は、乾癬、扁平苔癬、毛孔性紅色ひこう疹(PRP)、丘疹鱗屑性疾患、皮膚炎および慢性単純性苔癬からなる群から選択される。
本発明のいくつかの実施形態によれば、皮膚炎は、アトピー性皮膚炎および接触性皮膚炎からなる群から選択される。
本発明のいくつかの実施形態によれば、上記方法はさらに、上記病状の症状を少なくとも部分的に軽減することができる薬剤を上記対象に投与することを含み、ただし、この場合、前記薬剤は、局所的投与または全身的投与のために、および/あるいは、上記対象を光線療法により処置するために好適である。
本発明のいくつかの実施形態によれば、局所的投与のために好適な薬剤は、コルチコステロイド、ビタミンDのアナログまたは誘導体、アントラリン、局所用レチノイド、カルシニューリン阻害剤、サリチル酸、コールタールおよび保湿剤からなる群から選択される。
本発明のいくつかの実施形態によれば、上記光線療法は、日光光線療法、UVB光線療法、狭帯域UVB光線療法、光化学療法、PUVAおよびエキシマレーザーからなる群から選択される。
本発明のいくつかの実施形態によれば、全身的投与のために好適な薬剤は、レチノイド、免疫抑制薬物、免疫標的化生物学的薬剤、イムノトキシンおよび腫瘍壊死因子(TNF)阻止剤からなる群から選択される。
本発明のいくつかの実施形態によれば、上記医薬組成物はさらに、コルチコステロイド、ビタミンDアナログ、アントラリン、局所用レチノイド、カルシニューリン阻害剤、サリチル酸、コールタール、レチノイド、免疫抑制薬物、免疫標的化生物学的薬剤、イムノトキシンおよびTNF阻止剤からなる群から選択される薬剤を含む。
本発明のいくつかの実施形態によれば、ケラチノサイトの増殖および分化を調節することは、ケラチノサイトの増殖をダウンレギュレーションし、ケラチノサイトの分化を促進させることを含む。
本発明のいくつかの実施形態によれば、IGFBP7の活性または発現を調整することができる薬剤は、IGFBP7の所定のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。
本発明のいくつかの実施形態によれば、IGFBP7の活性または発現を調整することができる薬剤は、IGFBP7の所定のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
本発明のいくつかの実施形態によれば、上記増殖をダウンレギュレーションし、上記分化を促進させることは、乾癬を処置するためである。
本発明のいくつかの実施形態によれば、ケラチノサイトの増殖および分化を調節することは、その増殖をアップレギュレーションすることを含む。
本発明のいくつかの実施形態によれば、IGFBP7の活性または発現を調整することができる薬剤は、IGFBP7発現をサイレンシングすることができるオリゴヌクレオチド、中和抗体、優性ネガティブなIGFまたはインスリンからなる群から選択される。
本発明のいくつかの実施形態の1つの局面によれば、乾癬をその必要性のある対象において処置する方法であって、IGFBP7の活性または発現をアップレギュレーションすることができる薬剤の治療効果的な量を前記対象に投与し、それにより、乾癬を処置することを含む方法が提供される。
本発明のいくつかの実施形態によれば、上記方法はさらに、局所的治療(コルチコステロイド、ビタミンDアナログ、アントラリン、局所用レチノイド、カルシニューリン阻害剤、サリチル酸、コールタールおよび保湿剤)、光治療(日光、UVB光線療法、狭帯域UVB光線療法、光化学療法、エキシマレーザー)、および、注射治療または経口治療(レチノイド)、免疫抑制薬物(メトトレキサート、シクロスポリン)、免疫標的化生物学的薬剤、イムノトキシン(デニロイキン)、ならびに、TNF阻止生物学的薬剤からなる群から選択される医薬品を上記対象に投与することを含む。
本発明のいくつかの実施形態の1つの局面によれば、皮膚再生を促進させる方法であって、前記皮膚を、IGFBP7の活性または発現をダウンレギュレーションすることができる薬剤と接触させ、それにより、皮膚再生を促進させることを含む方法が提供される。
本発明のいくつかの実施形態によれば、上記薬剤は局所的投与のために配合される。
本発明のいくつかの実施形態の1つの局面によれば、IGFBP7と、医薬的に許容されるキャリアとを、局所的投与のために配合されて含む医薬組成物が提供される。
本発明のいくつかの実施形態の1つの局面によれば、IGFBP7の活性または発現をダウンレギュレーションすることができる薬剤と、医薬的に許容されるキャリアとを、局所的投与のために配合されて含む医薬組成物が提供される。
別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術的用語および/または科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載される方法および材料と類似または同等である方法および材料を本発明の実施または試験において使用することができるが、例示的な方法および/または材料が下記に記載される。矛盾する場合には、定義を含めて、本特許明細書が優先する。加えて、材料、方法および実施例は例示にすぎず、限定であることは意図されない。
本明細書では本発明のいくつかの実施形態を単に例示し添付の図面を参照して説明する。特に詳細に図面を参照して、示されている詳細が例示として本発明の実施形態を例示考察することだけを目的としていることを強調するものである。この点について、図面について行う説明によって、本発明の実施形態を実施する方法は当業者には明らかになるであろう。
図1A−1Dは、乾癬におけるIGFBP7タンパク質の発現を示す免疫染色分析の代表的画像である。扁平苔癬に冒される患者(n=13)または健康なコントロール(n=13)から得られる組織切片を、マウス抗IGFBP7抗体またはマウス抗KRT14抗体(示されず)を使用する免疫染色分析に供し、ヘマトキシリンにより対比染色した。図1A−健康なコントロールから得られ、マウス抗IGFBP7抗体により染色された代表的な組織切片;図1B−健康なコントロールから得られ、非免疫血清により染色された組織切片(陰性コントロールのスライド);図1C−扁平苔癬に冒される患者から得られ、マウス抗IGFBP7抗体により染色された代表的な組織切片。図1D−乾癬患者およびコントロールにおける染色強度を示すヒストグラム。染色強度は、1〜4の評点が2名の独立した観察者によってつけられた。データが平均染色強度評点として示される。棒は群平均を示す(星印、p<0.01、平均±SD)。
図2A−2Bは、HaCat細胞および初代ヒトケラチノサイトにおけるIGFBP7発現のダウンレギュレーションを示す。図2A−HaCat細胞株および初代ヒトケラチノサイトを、siRNAによるトランスフェクション、または、IGFBP7特異的shRNAを発現するレンチウイルスベクターによる感染のどちらかに供した。非特異的なsiRNAまたはshRNAがコントロールとして役立った。RNAを48時間の培養の後で抽出した。mRNA発現をβ−アクチン(ACTB)またはグリセロアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)(示されず)に対して正規化した。結果がコントロールのパーセントとして表される。示されるデータは、二連で行われた3回の独立した実験の平均値±SDを表す。図2B−IGFBP7特異的shRNA(shIGFBP7)または非特異的shRNA(Co)を安定的に発現するHaCat細胞から得られる馴化培地からのタンパク質抽出物を免疫ブロッティングによって分析し、抗IGFBP7によりプローブ探査した。IGFBP7特異的shRNAを感染させた細胞でのIGFBP7発現における著しい低下に留意すること。
図3A−3Fは、ケラチノサイトの生存性アッセイおよび増殖アッセイを示す。図3A−細胞生存性を、siRNAを使用してIGFBP7についてダウンレギュレーションされ、24時間(h)および72時間(h)培養されたHaCat細胞において、同様にまた、IGFBP7特異的shRNAまたはコントロールshRNAを安定的に発現するHaCat細胞においてMTTアッセイを使用して評価した。データは3回の独立した実験の平均値±SDを表す。星印、p<0.01(コントロール細胞と比較した場合)。図3B−IGFBP7特異的shRNAまたはコントロールshRNAを安定的に発現するHaCat細胞を、BrDuアッセイを使用して評価した(安定的トランスフェクション)。データは3回の独立した実験の平均値±SDを表す。星印、p<0.01(コントロール細胞と比較した場合)。図3Cおよび図3D−KRT6aのmRNAレベルおよびタンパク質レベルを、IGFBP7特異的shRNAまたはコントロールshRNAを安定的に発現するHaCat細胞においてqRT−PCR(図3C)および免疫ブロッティング(図3D)によって評価した。図3Eおよび図3F−初代ケラチノサイトをIGFBP7特異的siRNA(IGFBP7)またはコントロールsiRNA(コントロール)により一過性にトランスフェクションし、MTTアッセイ(図3E;トランスフェクション後24時間および48時間)およびBrDuアッセイ(図3F;トランスフェクション後24時間)を使用して評価した。データは3回の独立した実験の平均値±SDを表す(星印、p<0.01、コントロール細胞と比較した場合)。IGFBP7がダウンレギュレーションされるとき、ケラチノサイトは、コントロール細胞と比較して、より生存性かつ増殖性であり、また、より大きいレベルのKrt6(表皮増殖のマーカー)を発現することに留意すること。これらの結果は、ケラチノサイトに対するIGFBP7の抗増殖効果を明らかにする。
図4A−4Cは、HaCat細胞または初代ケラチノサイト細胞におけるアポトーシスアッセイを示す。図4A〜図4B−IGFBP7特異的shRNA(IGFBP7)またはコントロールshRNA(Co)(スクランブル化コントロール)を安定的に発現するHaCat細胞を、トランスフェクション後24時間で、10ng/μlの組換え腫瘍壊死因子−アルファ(TNF−α)(+)またはビヒクル(−)にさらした。アポトーシスを、TUNELアッセイ(図4A)またはアネキシンVアッセイ(図4B)を使用して測定した。図4C−初代ケラチノサイトをIGFBP7特異的siRNA(IGFBP7)またはスクランブル化コントロールsiRNA(Co)により一過性にトランスフェクションし、10ng/μlのTNF−α(+)またはビヒクル(−)にさらした。アポトーシス活性を、TUNELアッセイを使用して評価した。すべての実験を3回繰り返した。結果が、平均値±SDとして提供される。結果は、p<0.01については有意であると見なした。アポトーシスレベルが、IGFBP7がダウンレギュレーションされるケラチノサイト細胞において有意に低いこと、および、アポトーシスが、IGFBP7がダウンレギュレーションされる細胞においてTNF−αによって誘導されないことに留意すること。これらの結果は、IGFBP7がTNF−α媒介によるアポトーシスのために要求されること、および、IGFBP7の低下した発現がヒトケラチノサイトにおける低下したアポトーシスを伴うことを明らかにする。
図5A−5Cは、HaCat細胞または初代ケラチノサイト細胞における分化関連事象を示す。図5Aおよび図5B−IGFBP7特異的shRNAまたはコントロールshRNAを安定的に発現するHaCat細胞(図5A)または初代ヒトケラチノサイト(図5B)を、細胞外カルシウム濃度を上げることによって分化するように誘導した。KRT10およびインボルクリン(INV)の遺伝子発現を初期および後期の分化関連事象の尺度としてそれぞれ評価した。データは、二連で行われた3回の独立した実験の平均値±SDを表す。これらの結果は、IGFBP7がカルシウム誘導のケラチノサイトの分化のために要求されることを明らかにする。図5C−大域的プロセスGO用語分析を、カルシウム誘導後のIGFBP7サイレンシングに対する最大の応答を初代ケラチノサイトおよびHaCat細胞で得られたデータセットにおいて示した上位100個の遺伝子を使用して行った。有意な用語(0.01未満のp値)は、細胞増殖および細胞分化と直接の関連性を有するプロセス、すなわち、酸素ラジカルに対する応答;ATPの加水分解と共役したプロトン輸送;精子運動能;水素イオン恒常性;解けたタンパク質に対する応答;mRNAプロセシング;RNAスプラシング;タンパク質修飾;アポトーシスの調節;ナトリウムイオン輸送;視知覚;細胞増殖の負の調節;カリウムイオン輸送を包含する。緑色棒は、それらの予想頻度(茶色棒)と比較して、特定されたGO用語の観測頻度に対応する。
図6A−6Cは、IGFBP7を外因的に発現する初代ケラチノサイトの細胞生存性アッセイおよび細胞増殖アッセイを示す。初代ケラチノサイトを1.8μg/μlのヒト組換えIGFBP7ポリペプチド(rIGFBP7;R&D systems Inc.、カタログ番号1334−B7−025)により72時間処理し、その後、rIGFBP7を含まない培地で12時間培養した。図6A〜図6B−細胞生存性および細胞増殖を、MTTアッセイ(図6A)およびBrDUアッセイ(図6B)を使用して評価した。図6C−アポトーシスをTUNELアッセイによって定量化した。すべての実験を3回繰り返した。結果が、平均値±SDとして提供される。結果は、p<0.01については有意であると見なした。IGFBP7ポリペプチドがケラチノサイト細胞におけるTNF−α媒介のアポトーシスを誘導し(図6C)、ケラチノサイト細胞の生存性の低下(図6A)および増殖の低下(図6B)をもたらすことに留意すること。
図7A−7Dは、IGFBP7がダウンレギュレーションされるHaCat細胞の免疫アッセイを示す。インスリン受容体を介するシグナル伝達に対するIGFBP7ダウンレギュレーションの影響を評価するために、タンパク質を、IGFBP7特異的shRNAまたはコントロールshRNAを安定的に発現するHaCat細胞から抽出した。タンパク質抽出物を、リン酸化IRS−1(pIRS、図7A、上段パネル)およびIRS−1(図7A、中断パネル)またはリン酸化ERK1/2(pERK、図7B、上段パネル)およびERK2(図7B、中央パネル)に対する抗体による免疫ブロッティングを使用して分析した。β−アクチンに対する抗体による免疫染色がコントロールとして役立った(図7A、下段パネル、および、図7B、下段パネル)。図7C〜図7D−バンド強度をデンシトメトリーによって評価した。実験を3回繰り返した。結果が、平均+SDを示すグラフで示される。図7C−リン酸化IRS−1(pIRS)およびIRS−1の発現レベルの比率。図7D−リン酸化ERK1/2(pERK)およびERK2の発現レベルの比率。結果は、IGFBP7のダウンレギュレーションが、IRS−1およびチロシンキナーゼERK1/2の増大したリン酸化によって明らかにされるように、インスリン受容体を介するシグナル伝達を増大させることを示す。対照的に、IGFBP7はSMAD2/3のリン酸化状態には影響を与えなかった(データは示されず)。このことは、IGFBP7がIGF/インスリンのシグナル伝達の調整を介してKC(ケラチノサイト細胞)に影響を及ぼすことを示唆する。
図8は、IGFBP3、IGFBP6およびIGFBP7のmRNA発現レベルを、IGFBP7がsiRNAによってダウンレギュレーションされるHaCat細胞において示すヒストグラムである。RNAを、IGFBP7特異的shRNA(IGFBP7 shRNA)または非特異的shRNA(Co)を安定的に発現するHaCat細胞から抽出した。IGFBP3、IGFBP6およびIGFBP7のmRNA発現を、qRT−PCRを使用して評価し、ACTBまたはGAPDHに対して正規化した。結果がコントロールのパーセントとして表される。示されるデータは平均値±SDを表す。IGFBP7のダウンレギュレーションが、IGFBP3またはIGFBP6のmRNAレベルではなく、IGFBP7のmRNAレベルを著しく低下させたことに留意すること。
図9A−9Dは、IGFBP7がカルシウム誘導分化の後でsiRNAによってダウンレギュレーションされるHaCat細胞における形態学的変化を示す位相差顕微鏡法画像である。IGFBP7特異的shRNA(図9Aおよび図9B)またはコントロールshRNA(図9Cおよび図9D)により安定的にトランスフェクションされたHaCat細胞を高密度(80%)で置床し、細胞外カルシウムの低濃度(図9Aおよび図9C)または高濃度(図9Bおよび図9D)の存在下で4日間培養し、位相差顕微鏡法によって調べた。コントロール細胞は典型的な丸いくり石様の外観を取った一方で、著しい変化が、IGFBP7についてダウンレギュレーションされた細胞では何ら見られなかった。
図10は、IGFBP7がshRNAによってダウンレギュレーションされる初代ケラチノサイトにおけるKRT6aの遺伝子発現を示すヒストグラムである。KRT6aのmRNAレベルを、一般的材料および実験方法において記載されるように、特異的shRNAを使用してIGFBP7について一過性にダウンレギュレーションされる初代ケラチノサイトにおいてqRT−PCRによって評価した。KRT6aのmRNAレベルが、IGFBP7がダウンレギュレーションされるケラチノサイトにおいてアップレギュレーションされることに留意すること。
図11は、HaCat細胞におけるロリクリンのカルシウム誘導発現を示すヒストグラムである。IGFBP7特異的shRNAまたはコントロールshRNAを安定的に発現するHaCat細胞を、細胞外カルシウム濃度を上げることによって分化するように誘導した。ロリクリン(LOR)の遺伝子発現を、qRT−PCRを使用して4日後に評価した。データは、二連で行われた3回の独立した実験の平均値±SDを表す。カルシウムが、コントロールshRNAを発現する細胞においてロリクリンのアップレギュレーションを誘導した一方で、ロリクリン発現のレベルが、IGFBP7−shRNAを発現する細胞において著しくより低かったことに留意すること。
図12は、IGFBP7発現に対する血清の影響を示すグラフである。HaCat細胞をウシ胎児血清の増大する濃度の存在下で培養した。RNAを48時間後に抽出し、qRT−PCRを使用してIGFBP7発現について評価し、ACTBまたはGAPDHに対して正規化した。示されるデータは平均値±SDを表す。血清はIGFBP7発現レベルを低下させることに留意すること。
図13は、本発明のいくつかの実施形態によるモデルを示す:細胞増殖を誘導することが知られている増殖因子の増大する濃度が、低下したIGFBP7発現に関連したので、また、低下したIGFBP7発現が、増大した増殖活性に関連するので、乾癬は、IGFBP7の役割を考慮する限りは、2つの要素(IGFBP7およびケラチノサイト増殖)のそれぞれが他方の影響を強化する悪循環から生じていると考えることができる。
図14A−14Bは、ケラチノサイトにおけるTUNELアッセイを示す蛍光顕微鏡法画像である。特異的shRNA(図14B)またはコントロールshRNA(図14A)を使用してIGFBP7について一過性にダウンレギュレーションされた初代ケラチノサイトをTUNELアッセイに供した。IGFBP7特異的shRNAによるのではなく、コントロールshRNAにより処理されたケラチノサイト細胞が赤く染色されること(これはアポトーシス細胞に対応する)に留意すること。このことは、アポトーシスが、IGFBP7のshRNAにより処理される細胞において阻害されることを示している。
図15A−15Dは、野生型細胞およびIGFBP7サイレンシング細胞における高カルシウムに対する応答での遺伝子発現における変化を示す散布図分析である。図15A〜図15Bは、IGFBP7サイレンシング細胞(赤色ドット)に対して野生型細胞(青色ドット)において高カルシウム暴露後の発現における2倍を超える増大(図15A)または低下(図15B)を示すすべての遺伝子の発現レベルにおける変化を比較する散布図である。特定の遺伝子が、野生型細胞では、高カルシウムに対する応答における著しいアップレギュレーション(図15A)またはダウンレギュレーション(図15B)を受けた一方で、IGFBP7サイレンシング細胞では、これらの遺伝子は高カルシウムに対する応答において著しく変化しなかったことに留意すること。発現における変化の著しい減弱を、高カルシウム濃度にさらした後での示差的発現を野生型細胞において示した遺伝子の95%超でIGFBP7サイレンシング後に認めることができる(図15A〜図15B)。図15C〜図15Dは、IGFBP7サイレンシング細胞(赤色ドット)における同数のランダム選択された遺伝子に対する野生型細胞(青色ドット)での高カルシウム暴露後の発現における2倍を超える増大(図15C)または低下(図15D)を示す遺伝子の発現レベルにおける変化を比較する散布図である。図15A〜図15Bに見られる影響は、同じ比較が1組のランダム選択された遺伝子に対して行われるときには見られないので(図15C〜図15D)、カルシウムによって誘導または抑制される遺伝子に対して特異的である。
図16は、β−ガラクトシダーゼ(細胞老化についてのマーカー)の発現を示すヒストグラムである。IGFBP7はケラチノサイトの細胞老化に影響しないことに留意すること。
図17は、IGFBP7サイレンシング細胞およびコントロール細胞における初代ケラチノサイト増殖に対するERK阻害の影響を示すヒストグラムである。IGFBP7のsiRNAによりトランスフェクションされた初代ケラチノサイトを120μMのPD98059(ERK阻害剤)により72時間処理し、その間、培地を24時間毎に新しくした。ERKの阻害は、IGFBP7のダウンレギュレーションによって誘導される細胞増殖を弱めることに留意すること(p<0.01)。
図18は、三次元皮膚モデルの確立を記載する概略図である。簡単に記載すると、初代ケラチノサイトおよび真皮線維芽細胞を皮膚生検物から採取し、真皮線維芽細胞をI型コラーゲン含有マトリックスに埋め込み、ケラチノサイトを空気表面で成長させた。層化が2週間〜3週間の期間にわたって生じた。
図19は、細胞を図18に記載される三次元モデルの空気表面で成長させるために使用される特別な6ウエルプレートの写真である。
図20A−20Cは、7日間(図20A)、10日間(図20B)および12日間(図20C)成長させた(図18に記載されるように確立された)器官型皮膚同等物のH&E染色を示す顕微鏡法画像である。すべての表皮層の形成、正常な角化が10日目に生じること、および、落屑が12日目に始まることに留意すること。
図21は、インビトロでの3次元表皮の形成の期間中におけるIGFBP7のmRNA発現を示すヒストグラムである。「d」=日;皮膚形成期間中のIGFBP7のmRNA発現における増大に留意すること。
図22A−22Bは、コントロールsiRNA(図22A)またはIGFBP7特異的siRNA(図22B)によりトランスフェクションされた三次元モデルのH&E染色を示す顕微鏡法画像である。これは、乾癬表現型がsiRNA媒介のIGFBP7ダウンレギュレーションを使用して再現されることを明らかにする。
図23は、乾癬についてのインビボモデルを構築する概略的例示である。簡単に記載すると、乾癬が、乾癬患者から得られるNK/T細胞を、Bgマウスに移植された正常なヒト皮膚に注入することによって誘導される。
図24は、PBSが注入されたマウスに由来する組織切片のヘマトキシリン&エオシン(H&E)染色の顕微鏡法画像である。甚だしい皮膚浸潤、乳頭間隆起の伸張および典型的な好中球性膿瘍が表皮に存在することに留意すること(40倍の倍率)。
図25は、デキサメタゾンが注入されたマウスに由来する組織切片のヘマトキシリン&エオシン(H&E)染色の顕微鏡法画像である。図24と比較して、表現型の正常化に留意すること(40倍の倍率)。
図26は、IGFBP7が注入されたマウスに由来する組織切片のヘマトキシリン&エオシン(H&E)染色の顕微鏡画像である。図24と比較して、表現型の正常化に留意すること(40倍の倍率)。
本発明は、そのいくつかの実施形態において、ケラチノサイトの増殖および/または分化を調節する方法、ならびに、限定的ではないが、より具体的には、過増殖性ケラチノサイトによって特徴づけられる病状を処置する方法に関連する。
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その適用において、下記の説明に示される細部、または、実施例によって例示される細部に必ずしも限定されないことを理解しなければならない。本発明は他の実施形態が可能であり、あるいは、様々な方法で実施、または、実行される。
本発明者らは、IGFBP7がケラチノサイトの増殖および分化を調節することを発見している。
下記の実施例の節において示されるように、IGFBP7の発現レベルが、正常な非患部組織と比較して乾癬の組織サンプルでは低下する(図1A〜D;実施例1)。本発明者らは、血清がIGFBP7発現レベルのダウンレギュレーションを刺激すること(図12;実施例1)、そして、IGFBP7特異的な遺伝子サイレンシング(shRNAまたはsiRNAを使用した遺伝子サイレンシング;図2A〜B、図8;実施例2)がケラチノサイトの増殖および生存性を誘導し(図3A〜F;実施例2)、ケラチノサイトのアポトーシスを低下させ(図4A〜C、図14A〜B;実施例2)、しかし、ケラチノサイトの老化には影響を与えないこと(図16;実施例2)を発見している。そのうえ、本発明者らは、IGFBP7がカルシウム誘導によるケラチノサイトの分化のために要求されること(図5A〜C、図9A〜D、図11、表3および表4;実施例3)、IGFBP7サイレンシングがケラチノサイトにおいてIRS1およびERKのリン酸化を誘導すること(図7A〜D、実施例5)、そして、ERKの阻害が、IGFBP7のダウンレギュレーションによって誘導される細胞増殖を弱めること(図17;実施例5)を見出した。加えて、下記の実施例の節の実施例4において示されるように、本発明者らは、組換えIGFBP7がヒトケラチノサイトにおいて増殖を阻害し、アポトーシスを誘導すること(図6)を発見している。そのうえ、エクスビボモデルを使用して、本発明者らは、IGFBP7の低下が乾癬の表現型を生じさせること(実施例6;図22A〜B)、そして、組換えIGFBP7がヒト−マウスのキメラモデルにおいて乾癬を治癒させること(図23〜図26;実施例7)を示した。これらの結果は、IGFBP7ポリペプチドの投与、または、IGFBP7ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの投与がケラチノサイト細胞のアポトーシスを誘導し得ること、したがって、ケラチノサイトの過増殖を伴う病状を処置するために使用され得ることを明らかにする。
本発明の1つの局面によれば、ケラチノサイトの増殖および分化を調節する方法であって、IGFBP7の活性または発現を調整することができる薬剤にケラチノサイトを供し、それにより、ケラチノサイトの増殖および分化を調節することを含む方法が提供される。
本発明のいくつかの実施形態によれば、ケラチノサイトの増殖および分化を調節することは、ケラチノサイトの増殖をダウンレギュレーションし、ケラチノサイトの分化を促進させることを含む。
本発明のいくつかの実施形態によれば、ケラチノサイトの増殖をダウンレギュレーションし、ケラチノサイトの分化を促進させることが、IGFBP7の活性または発現をアップレギュレーションすることによって達成される。
本明細書中で使用される用語「IGFBP7」は、遺伝子記号IGFBP7(インスリン様増殖因子結合タンパク質7)に指定される合成された、組換えられた、および/または、天然に存在するポリヌクレオチド配列およびポリペプチド配列を示す。
本発明のいくつかの実施形態によれば、IGFBP7の発現をアップレギュレーションすることができる薬剤は、IGFBP7の機能的部分を少なくとも発現するために設計および構築される外因性ポリヌクレオチド配列である。それによれば、そのような外因性ポリヌクレオチド配列は、ケラチノサイトのアポトーシスを誘導することができる、IGFBP7分子をコードするDNA配列またはRNA配列であり得る。
IGFBP7ポリヌクレオチド配列の限定されない例には、GenBankアクセション番号NM_001553.1(配列番号1)、GenBankアクセション番号NC_000004.11のヌクレオチド57897244〜57976539(相補体)、GenBankアクセション番号NT_022853.15のヌクレオチド5237126〜5316421(相補体)、GenBankアクセション番号AC_000047.1(Celera)のヌクレオチド55402267〜55481286(相補体)、GenBankアクセション番号NW_922162.1(Celera)のヌクレオチド5227241〜5306260(相補体)、GenBankアクセション番号AC_000136.1(HuRef)のヌクレオチド53850817〜53930078(相補体)、GenBankアクセション番号NW_001838913.1(HuRef)のヌクレオチド5248335〜5327596(相補体)が含まれる。
IGFBP7が、ヒト、ラットおよびマウスの供給源からクローン化されている。表1は、本発明のいくつかの実施形態に従って使用することができるIGFBP7の核酸配列およびポリペプチド配列を提供する。
したがって、IGFBP7についてのコード配列情報が、ハイパーテキスト転送プロトコル://WorldWideWeb(ドット)ncbi(ドット)nlm(ドット)nih(ドット)gov/から入手可能なGenBankデータベースを含めて、いくつかのデータベースから入手可能である。
本発明のいくつかの実施形態によれば、IGFBP7の発現をアップレギュレーションすることができる薬剤は、IGFBP7の機能的部分を少なくとも含むポリペプチドである。
天然に存在するIGFBP7ポリペプチド配列の限定されない例には、GenBankアクセション番号NP_001544.1(配列番号12)、同CCDS3512.1(配列番号13)、同Q16270(配列番号14)、同EAX05521.1(配列番号15)、同EAX05520.1(配列番号16)、同AAX29723.1(配列番号17)、同AAX42962.1(配列番号18)、同AAX36927.1(配列番号19)および同AAX36528.1(配列番号20)が含まれる。
表現「機能的部分」は、本明細書中で使用される場合、分泌型ポリペプチドの機能的性質(例えば、ケラチノサイトにおけるアポトーシスの誘導および/またはケラチノサイト増殖の阻害など)を示すIGFBP7タンパク質(すなわち、ポリペプチド)の一部を示す。様々なアッセイ、例えば、本明細書中下記の実施例2〜7において記載されるようなアッセイを、IGFBP7タンパク質の所与部分が、本明細書中に記載されるような機能的部分であるかどうかを明らかにするために用いることができる。
IGFBP7の機能的部分を含むポリペプチドの適格性を求める方法には、インビトロアッセイ(例えば、初代ケラチノサイトまたはケラチノサイト細胞株を使用して行われるアポトーシスアッセイ、細胞生存性アッセイ、増殖アッセイ)、エクスビボアッセイ(例えば、実施例の節において記載されるように、過増殖性ケラチノサイトの生検物から得られる初代ケラチノサイト培養物で行われるか、または、三次元皮膚モデルで行われるアポトーシスアッセイ、細胞生存性アッセイ、増殖アッセイ)、および、インビボアッセイ(例えば、実施例の節において記載されるように、組織学的検出方法および免疫学的検出方法を使用する組織形態学に対するIGFBP7の影響をモニターすることによって、過増殖性ケラチノサイトによって特徴づけられる病状についての動物モデルを使用するもの)が含まれる。
述べられたように、IGFBP7は合成ポリペプチドであることが可能である。
本明細書中で使用される用語「ポリペプチド」は、天然のペプチド(分解産物または合成的に合成されたペプチドまたは組換えペプチドのいずれか)、およびペプチド模倣体(典型的には合成的に合成されたペプチド)、ならびにペプチドアナログであるペプトイドおよびセミペプトイドを包含し、これらは、例えば、ペプチドを体内でより安定化させる修飾、またはペプチドの細胞浸透能力を高める修飾を有しうる。そのような修飾には、限定されないが、N末端修飾、C末端修飾、ペプチド結合の修飾(CH−NH、CH−S、CH−S=O、O=C−NH、CH−O、CH−CH、S=C−NH、CH=CHまたはCF=CHを含むが、これらに限定されない)、骨格の修飾、および残基の修飾が含まれる。ペプチド模倣体化合物を調製するための方法はこの分野では十分に知られており、例えば、Quantitative Drug Design,C.A.Ramsden Gd.,Chapter 17.2,F.Choplin Pergamon Press(1992)に具体的に記載される(これは、全体が本明細書中に示されるように参考として組み込まれる)。これに関するさらなる詳細が本明細書の下記に示される。
ペプチド内のペプチド結合(−CO−NH−)は、例えば、N−メチル化結合(−N(CH)−CO−)、エステル結合(−C(R)H−C−O−O−C(R)−N−)、ケトメチレン結合(−CO−CH−)、α−アザ結合(−NH−N(R)−CO−)(式中、Rは任意のアルキル(例えば、メチル)である)、カルバ結合(−CH−NH−)、ヒドロキシエチレン結合(−CH(OH)−CH−)、チオアミド結合(−CS−NH−)、オレフィン二重結合(−CH=CH−)、レトロアミド結合(−NH−CO−)、ペプチド誘導体(−N(R)−CH−CO−)(式中、Rは、炭素原子において自然界で示される「通常」の側鎖である)によって置換することができる。
これらの修飾は、ペプチド鎖に沿った結合の任意のところに存在することができ、そして同時に数カ所(2カ所〜3カ所)においてさえ存在することができる。
天然の芳香族アミノ酸(Trp、TyrおよびPhe)は、TIC、ナフチレンアミン(Nol)、Pheの環メチル化誘導体、Pheのハロゲン化誘導体、またはo−メチル−Tyrなどの合成された非天然型の酸に置換されることができる。
上述のことに加えて、本発明のペプチドはまた、1個以上の修飾されたアミノ酸または1個以上の非アミノ酸モノマー(例えば脂肪酸、複合体炭水化物など)も含むことができる。
本明細書中および請求項の節で使用される用語「アミノ酸」には、20個の天然に存在するアミノ酸;生体内で多くの場合には翻訳後修飾されたそのようなアミノ酸(例えば、ヒドロキシプロリン、ホスホセリンおよびホスホトレオニンを含む);および他の非通常型アミノ酸(2−アミノアジピン酸、ヒドロキシリシン、イソデスモシン、ノルバリン、ノルロイシンおよびオルニチンを含むが、これらに限定されない)が含まれることが理解される。さらに、用語「アミノ酸」には、D−アミノ酸およびL−アミノ酸の両方が含まれる。
本発明のペプチドは、線状形態で利用されることが好ましい。しかし、環化がペプチドの特性をひどく妨害しない場合、ペプチドの環状形態もまた利用できることが理解される。
本発明のペプチドは好ましくは、ペプチドが可溶性形態であることを要求する治療剤または診断剤において利用されるので、本発明のペプチドは好ましくは、ペプチドの溶解性をそれらのヒドロキシル含有側鎖のために増大させことができるセリンおよびトレオニン(これらに限定されない)を含めて、1つまたは複数の非天然型または天然型の極性アミノ酸を含む。
本発明のペプチドは、ペプチド合成の分野における当業者に既知の任意の技術によって合成されることができる。固相ペプチド合成については、多くの技術の要約が、J.M.StewartおよびJ.D.Young「Solid Phase Peptide Synthesis」W.H.Freeman Co.(San Francisco),1963に、また、J.Meienhofer「Hormonal Proteins and Peptides」第2巻、46頁、Academic Press(New York),1973に見出されうる。古典的な溶液合成については、G.SchroderおよびK.Lupke「The Peptides」第1巻、Academic Press(New York),1965を参照のこと。
一般に、これらの方法は、1つ以上のアミノ酸または好適に保護されたアミノ酸を成長中のペプチド鎖に逐次付加することを含む。通常、最初のアミノ酸のアミノ基またはカルボキシル基のいずれかが、好適な保護基によって保護される。保護または誘導体化されたアミノ酸は、その後、好適に保護された相補的な(アミノまたはカルボキシル)基を有する配列内の次のアミノ酸を、アミド連結を形成するために好適な条件のもとで加えることによって、不活性な固体担体に結合されることできるか、または、溶液中で利用されることができる。その後、保護基が、この新しく付加されたアミノ酸残基から除かれ、その後、次のアミノ酸(好適に保護されたアミノ酸)が加えられ、以降、同様に繰り返される。所望されるアミノ酸のすべてが適切な配列で連結された後、いずれかの残留する保護基(および何らかの固体担体)が、最終的なペプチド化合物を得るために、逐次的または同時に除かれる。この一般的な手順の簡便な変性によって、2つ以上のアミノ酸を一度に、例えば、保護されたトリペプチドを適切に保護されたジペプチドに(キラル中心をラセミ化させない条件のもとで)カップリングして、脱保護後にペンタペプチドを形成することなどによって、成長中の鎖に付加することが可能である。ペプチド合成のさらなる記載が米国特許第6472505号に開示される。
本発明のペプチド化合物を調製する好ましい方法は、固相ペプチド合成を含む。
大規模なペプチド合成がAndersson Biopolymers、2000;55(3):227〜50によって記載される。
IGFBP7はまた、組換え技術を使用して調製することができる。
例えば、組換えヒトIGFBP7が様々な商業的供給源から入手可能であり、例えば、AbDSerotec(Kidlington、OXON、英国)、カタログ番号PHP178;Cell Sciences(登録商標)(Canton、MA、米国)、カタログ番号CR1511B;R&D systems Inc.(Minneapolis、MN);Abcam Inc.(Cambridge、MA、米国)、カタログ番号ab50195などから入手可能である。
外因性IGFBP7を哺乳動物細胞において発現させるために、IGFBP7をコードするポリヌクレオチド配列(例えば、上記で提供されるようなポリヌクレオチド配列)が好ましくは、哺乳動物細胞における発現のために好適な核酸構築物に連結される。そのような核酸構築物は、細胞におけるポリヌクレオチド配列の転写を、構成的様式、組織特異的様式または誘導的様式で導くためのプロモーター配列を含む。
本発明の核酸構築物ではまた、所望される活性(すなわち、ケラチノサイトアポトーシス活性の誘導)を示すIGFBP7ホモログをコードするポリヌクレオチドが利用され得ることが理解される。そのようなホモログは、例えば、SmithおよびWatermanのアルゴリズムを利用するWisconsin配列分析パッケージのBestFitソフトウエアを使用して求められるとき、ただし、ギャップ加重が50に等しく、長さ加重が3に等しく、平均マッチが10に等しく、平均ミスマッチが−9に等しい場合、IGFBP7ポリペプチドに対する同一性が、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%であり得る。
本発明と共に使用するのに好適な構成的プロモーターが、細胞のほとんどの環境条件およびほとんどのタイプのもとで活性であるプロモーター配列であり、例えば、サイトメガロウイルス(CMV)およびラウス肉腫ウイルス(RSV)などである。本発明と共に使用するのに好適な誘導可能プロモーターには、例えば、テトラサイクリン誘導可能プロモーター(Zabala M他、Cancer Res.、2004、64(8):2799〜804)が含まれる。
ケラチノサイト細胞内への本発明のポリヌクレオチドの発現を導くために使用することができる組織特異的プロモーターの限定されない例には、ケラチノサイト特異的プロモーター、例えば、K14プロモーター[例えば、GenBankアクセション番号U11076(配列番号21)、GenBankアクセション番号DQ343282(配列番号22)、GenBankアクセション番号AB091380(配列番号23)のヌクレオチド1〜2334、あるいは、GenBankアクセション番号U11076(配列番号21)のヌクレオチド1〜2258またはヌクレオチド1〜2281]、II型毛髪特異的ケラチンプロモーター[例えば、GenBankアクセション番号AY037552(配列番号24)]、ケラチン4(KRT4)プロモーター[例えば、GenBankアクセション番号AF066051(配列番号25)のヌクレオチド1〜1040またはヌクレオチド1〜1103;GenBankアクセション番号X97566(配列番号26)のヌクレオチド1〜925、ヌクレオチド1〜948、ヌクレオチド1〜1010]、ケラチンK17プロモーター[GenBankアクセション番号S81026(配列番号27)]、ケラチンK5プロモーター[GenBankアクセション番号S56203(配列番号28)]、II型毛髪ケラチン6プロモーター[GenBankアクセション番号Y19211(配列番号29)のヌクレオチド1〜642、ヌクレオチド1〜647またはヌクレオチド1〜700]、II型毛髪ケラチン1プロモーター[GenBankアクセション番号Y19206(配列番号30)のヌクレオチド1〜500、ヌクレオチド1〜505またはヌクレオチド1〜550]、65kDのII型ケラチンのプロモーター[GenBankアクセション番号X05418(配列番号31)のヌクレオチド1〜437またはヌクレオチド1〜540]が含まれる。
本発明の核酸構築物(これはまた、本明細書中では「発現ベクター」として示される)は、このベクターを、原核生物、真核生物、または、好ましくは両者における複製および組込みのために好適にするさらなる配列を含む(例えば、シャトルベクター)。加えて、典型的なクローニング用ベクターはまた、転写開始配列および翻訳開始配列、転写ターミネーターおよび翻訳ターミネーター、ならびに、ポリアデニル化シグナルを含有することができる。例として、そのような構築物は典型的には、5’LTR、tRNA結合部位、パッケージングシグナル、第2鎖DNA合成の起点、および、3’LTRまたはその一部分を含む。
本発明の核酸構築物は典型的には、核酸構築物が置かれる宿主細胞からペプチドを分泌させるためのシグナル配列を含む。好ましくは、この目的のためのシグナル配列は、哺乳動物のシグナル配列、または、本発明のポリペプチド変化体のシグナル配列である。
真核生物プロモーターは典型的には、2つのタイプの認識配列、すなわち、TATAボックスおよび上流プロモーターエレメントを含有する。TATAボックスは転写開始部位の上流側25塩基対〜30塩基対に位置しており、RNAポリメラーゼに、RNA合成を開始させることに関与すると考えられる。もう一方の上流プロモーターエレメントは、転写が開始される速度を決定する。
エンハンサーエレメントは、連結されている同種プロモーターまたは異種プロモーターからの、1000倍に至るまでの転写を刺激することができる。エンハンサーは、転写開始部位の下流側または上流側に置かれるとき、活性である。ウイルスに由来する多くのエンハンサーエレメントは幅広い宿主範囲を有しており、様々な組織において活性である。例えば、SV40の初期遺伝子プロモーターは多くの細胞タイプについて好適である。本発明のために好適である他のエンハンサー/プロモーター組合せには、ポリオーマウイルスに由来する組合せ、ヒトまたはマウスのサイトメガロウイルス(CMV)に由来する組合せ、様々なレトロウイルス(例えば、マウス白血病ウイルス、マウス肉腫ウイルスまたはRous肉腫ウイルス、および、HIVなど)から得られる長末端反復に由来する組合せが含まれる。Enhancers and Eukaryotic Expression、Cold Spring Harbor Press、Cold Spring Harbor、N.Y.、1983を参照のこと(これは参照によって本明細書中に組み込まれる)。
発現ベクターの構築において、プロモーターは好ましくは、異種の転写開始部位からの距離が、そのプロモーターがその天然の環境において転写開始部位から置かれるのとほぼ同じである。しかしながら、この技術分野では知られているように、この距離におけるいくらかの変動が、プロモーター機能を失うことなく受け入れられ得る。
ポリアデニル化配列もまた、IGFBP7のmRNA翻訳の効率を増大させるために発現ベクターに加えることができる。2つの明確な配列エレメントが、正確かつ効率的なポリアデニル化のために要求される。すなわち、ポリアデニル化部位の下流側に位置するGUリッチ配列またはUリッチ配列と、11ヌクレオチド〜30ヌクレオチド上流側に位置する6ヌクレオチド(AAUAAA)の高度に保存された配列とが要求される。本発明のために好適である終結シグナルおよびポリアデニル化シグナルには、SV40に由来するシグナルが含まれる。
既に記載されたエレメントに加えて、本発明の発現ベクターは典型的には、クローン化された核酸の発現レベルを増大させるために、または、組換えDNAを保有する細胞の特定を容易にするために意図される他の特殊化されたエレメントを含有することができる。例えば、いくつかの動物ウイルスは、許容細胞タイプにおけるウイルスゲノムの染色体外複製を促進するDNA配列を含有する。これらのウイルスレプリコンを有するプラスミドは、適切な因子が、プラスミドにおいて運ばれる遺伝子によって、または、宿主細胞のゲノムにより提供される限り、エピソームとして複製する。
ベクターは真核生物レプリコンを含んでもよく、または、含まなくてもよい。真核生物レプリコンが存在するならば、ベクターは、適切な選択マーカーを使用して真核生物細胞において増幅可能である。ベクターが真核生物レプリコンを含まないならば、エピソーム増幅を行うことができない。代わりに、組換えDNAが、操作された細胞のゲノムに一体化し、その細胞において、プロモーターが、所望される核酸の発現を行わせる。
本発明の発現ベクターはさらに、例えば、ただ1つのmRNAからの数個のタンパク質の翻訳を可能にするさらなるポリヌクレオチド配列、例えば、内部リボソーム進入部位(IRES)など、および、プロモーター−キメラポリペプチドのゲノム組込みのための配列を含むことができる。
哺乳動物発現ベクターについての例には、pcDNA3、pcDNA3.1(+/−)、pGL3、pZeoSV2(+/−)、pSecTag2、pDisplay、pEF/myc/cyto、pCMV/myc/cyto、pCR3.1、pSinRep5、DH26S、DHBB、pNMT1、pNMT41、pNMT81(これらはInvitrogenから入手可能である)、pCI(これはPromegaから入手可能である)、pMbac、pPbac、pBK−RSVおよびpBK−CMV(これらはStrategeneから入手可能である)、ならびに、pTRES(これはClontechから入手可能である)、そして、それらの誘導体が含まれるが、これらに限定されない。
真核生物ウイルス(例えば、レトロウイルスなど)に由来する調節エレメントを含有する発現ベクターもまた使用することができる。SV40ベクターには、pSVT7およびpMT2が含まれる。ウシパピローマウイルスに由来するベクターには、pBV−1MTHAが含まれ、エプスタインバールウイルスに由来するベクターには、pHEBOおよびp2O5が含まれる。他の例示的ベクターには、真核生物細胞における発現のために効果的であることが示されるSV−40初期プロモーター、SV−40後期プロモーター、メタロチオネインプロモーター、マウス乳腫瘍ウイルスプロモーター、Rous肉腫ウイルスプロモーター、ポリヘドリンプロモーターまたは他のプロモーターの指揮下でのタンパク質の発現を可能にするpMSG、pAV009/A、pMTO10/A、pMANneo−5、バキュロウイルスpDSVEおよび任意の他のベクターが含まれる。
上記で記載されたように、ウイルスは、多くの場合には宿主の防御機構を回避するために進化してきた非常に特殊化された感染性媒介因子である。典型的には、ウイルスは特定の細胞タイプにおいて感染し、増殖する。ウイルスベクターの標的化特異性では、その天然の特異性が、所定の細胞タイプを特異的に標的とし、それにより、組換え遺伝子を感染細胞に導入するために利用される。したがって、本発明によって使用されるベクターのタイプは、形質転換される細胞タイプに依存する。好適なベクターを形質転換される細胞タイプに従って選択することができることは、十分に当業者の能力の範囲内であり、そのようなものとして、選択を検討する一般的記載は本明細書中では提供されない。例えば、ケラチノサイト細胞を、Friend由来レトロウイルスベクター(FOCH29−NeoR)を使用して標的化することができる[Arango M.他、2005、Dermatology Online Journal、11(2):2;これはその全体が参照によって本明細書中に組み込まれる]。
組換えウイルスベクターは、様々な利点、例えば、横方向の感染および標的化特異性などを提供するので、IGFBP7のインビボ発現のために有用である。横方向の感染は、例えば、レトロウイルスの生活環において固有的であり、1個の感染細胞が、出芽して回りの細胞に感染する多くの子孫ビリオンを産生するプロセスである。その結果は、広い面積が、そのほとんどは最初のウイルス粒子によって最初に感染しなかったが、急速に感染することである。これは、感染性媒介因子が娘子孫を介してのみ広がる垂直型の感染とは対照的である。横方向に広がることができないウイルスベクターもまた作製することができる。所望される目的が、指定の遺伝子を局在化された数の標的化された細胞だけに導入することであるならば、この特徴は有用であり得る。
様々な方法を、本発明の発現ベクターを幹細胞に導入するために使用することができる。そのような方法が、Sambrook他、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、Cold Springs Harbor Laboratory、New York(1989、1992);Ausubel他、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley&Sons、Baltimore、Md.(1989);Chang他、Somatic Gene Therapy、CRC Press、Ann Arbor、Mich.(1995);Vega他、Gene Targeting、CRC Press、Ann Arbor、Mich.(1995);Vectors:A Survey of Molecular Cloning Vectors and Their Uses、Butterworths、Boston、Mass.(1988);およびGilboa他、Biotechniques、4(6):504〜512(1986)に大まかに記載され、これらには、例えば、組換えウイルスベクターを用いた安定的または一過性のトランスフェクション、リポフェクション、エレクトロポレーションおよび感染が含まれる。加えて、正負選択法については、米国特許第5464764号および同第5487992号を参照のこと。
ウイルス感染による核酸の導入は、より大きいトランスフェクション効率をウイルスの感染性のために得ることができるので、他の方法(例えば、リポフェクションおよびエレクトロポレーションなど)を上回るいくつかの利点を提供する。
現在好ましいインビボ核酸移入技術には、ウイルス構築物または非ウイルス構築物によるトランスフェクション、例えば、アデノウイルス、レンチウイルス、I型単純ヘルペスウイルスまたはアデノ関連ウイルス(AAV)および脂質に基づくシステムなどによるトランスフェクションが含まれる。遺伝子の脂質媒介移入のための有用な脂質が、例えば、DOTMA、DOPEおよびDC−Cholである[Tonkinson他、Cancer Investigation、14(1):54〜65(1996)]。遺伝子治療において使用される最も好まれる構築物がウイルスであり、最も好ましくは、アデノウイルス、AAV、レンチウイルスまたはレトロウイルスである。ウイルス構築物(例えば、レトロウイルス構築物など)は、少なくとも1つの転写プロモーター/エンハンサーまたは遺伝子座規定エレメント、あるいは、遺伝子発現を他の手段(例えば、メッセンジャーの選択的スプライシング、核RNA輸出または翻訳後修飾など)によって制御する他のエレメントを含む。そのようなベクター構築物はまた、ウイルス構築物に既に存在する場合を除いて、使用されるウイルスに適切であるパッケージングシグナル、長末端反復(LTR)またはその一部分、ならびに、プラス鎖およびマイナス鎖のプライマー結合部位を含む。加えて、そのような構築物は典型的には、構築物が置かれる宿主細胞からペプチドを分泌させるためのシグナル配列を含む。好ましくは、この目的のためのシグナル配列は、哺乳動物のシグナル配列、または、本発明のポリペプチド変化体のシグナル配列である。必要な場合には、構築物はまた、ポリアデニル化を導くシグナルを、1つまたは複数の制限部位、および、翻訳終結配列と同様に含むことができる。例として、そのような構築物は典型的には、5’LTR、tRNA結合部位、パッケージングシグナル、第2鎖DNA合成の起点、および、3’LTRまたはその一部分を含む。非ウイルス性である他のベクターを使用することができ、例えば、カチオン性脂質、ポリリシンおよびデンドリマーなどを使用することができる。
挿入されたコード配列の転写および翻訳のための必要なエレメントを含有すること以外に、本発明の発現構築物はまた、発現ペプチドの安定性、産生、精製または収量を高めるために操作される配列を含むことができる。例えば、本発明のいくつかの実施形態のIGFBP7タンパク質と、異種タンパク質とを含む融合タンパク質または切断可能な融合タンパク質の発現を操作することができる。そのような融合タンパク質は、融合タンパク質が、アフィニティークロマトグラフィーによって、例えば、異種タンパク質について特異的なカラムでの固定化によって容易に単離できるように設計することができる。切断部位が、IGFBP7タンパク質と、異種タンパク質との間で操作される場合、IGFBP7タンパク質を、切断部位を分断する適切な酵素または薬剤による処理によってクロマトグラフィーカラムから遊離させることができる[例えば、Booth他(1988)、Immunol.Lett.、19:65〜70;およびGardella他(1990)、J.Biol.Chem.、265:15854〜15859を参照のこと]。
本明細書中上記で述べられるように、様々な原核生物細胞または真核生物細胞を、本発明のIGFBP7ポリペプチドを発現させるための宿主−発現システムとして使用することができる。これらには、微生物、例えば、コード配列を含有する組換えバクテリオファージDNA発現ベクター、プラスミドDNA発現ベクターまたはコスミドDNA発現ベクターにより形質転換される細菌;コード配列を含有する組換え酵母発現ベクターにより形質転換される酵母;コード配列を含有する組換えウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)、タバコモザイクウイルス(TMV))が感染させられるか、または、コード配列を含有する組換えプラスミド発現ベクター(例えば、Tiプラスミドなど)により形質転換される植物細胞システムが含まれるが、これらに限定されない。哺乳動物発現システムもまた、本発明のポリペプチドを発現させるために使用することができる。
細菌用構築物の例には、E.coli発現ベクターのpETシリーズが含まれる[Studier他(1990)、Methods in Enzymol.、185:60〜89]。
酵母では、米国特許第5932447号に開示されるように、構成的または誘導可能なプロモーターを含有する数多くのベクターを使用することができる。代替において、酵母染色体への外来DNA配列の組込みを促進するベクターを使用することができる。
植物発現ベクターが使用される場合、コード配列の発現を数多くのプロモーターによって行わせることができる。例えば、ウイルスプロモーター、例えば、CaMVの35S RNAプロモーターおよび19S RNAプロモーター[Brisson他(1984)、Nature、310:511〜514]、あるいは、TMVのコートタンパク質プロモーター[Takamatsu他(1987)、EMBO J.、6:307〜311]などを使用することができる。代替において、植物プロモーター、例えば、RUBISCOの小サブユニット[Coruzzi他(1984)、EMBO J.、3:1671〜1680、および、Brogli他(1984)、Science、224:838〜843]、または、熱ショックプロモーター(例えば、ダイズのhsp17.5−Eまたはhsp17.3−B[Gurley他(1986)、Mol.Cell.Biol.、6:559〜565])などを使用することができる。これらの構築物は、当業者には広く知られているTiプラスミド、Riプラスミド、植物ウイルスベクター、直接的なDNA形質転換、マイクロインジェクション、エレクトロポレーションおよび他の技術を使用して植物細胞に導入することができる。例えば、Weissbach&Weissbach、1988、Methods for Plant Molecular Biology(Academic Press、NY)、第VIII節、421頁〜463頁を参照のこと。
他の発現システム、例えば、この技術分野では広く知られており、また、本明細書中下記においてさらに記載される昆虫および哺乳動物宿主細胞システムもまた、本発明によって使用することができる。
組換えポリペプチドの回収が培養での適切な時間の後で達成される。表現「組換えポリペプチドを回収する」は、ポリペプチドを含有する発酵培地全体を集めることを示し、分離または精製のさらなる工程を伴う必要はない。上記にもかかわらず、本発明のポリペプチドは、様々な標準的なタンパク質精製技術を使用して、例えば、限定されないが、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ろ過、電気泳動、疎水性相互作用クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、コンカナバリンAクロマトグラフィー、クロマトフォーカシングおよび示差的可溶化などを使用して精製することができる。
本発明のいくつかの実施形態によれば、増殖をダウンレギュレーションし、分化を促進させることは、ケラチノサイトの過増殖(過増殖性ケラチノサイト)によって特徴づけられる病状(例えば、乾癬などにおいて生じる表皮の過形成)を処置するためである。
したがって、本発明のいくつかの実施形態の1つの局面によれば、過増殖性ケラチノサイトによって特徴づけられる病状を処置する方法であって、その必要性のある対象にIGFBP7ポリペプチドまたはこのIGFBP7ポリペプチドをコードする核酸の治療効果的な量を投与し、それにより、過増殖性ケラチノサイトによって特徴づけられる病状を処置することを含む方法が提供される。
用語「処置する(treating)」は、病状(疾患、障害、または状態)の進行を阻害すること、防止すること、または抑えること、および/または、病状を低減、軽減、または退縮させることを示す。当業者は、病状の進行を評価するために使用されることができる種々の方法論およびアッセイを理解し、同様に、病状の低減、軽減、または退縮を評価するために使用されることができる種々の方法論およびアッセイを理解するだろう。
本明細書中で使用される用語「対象」は哺乳動物を包含し、好ましくは、上記病状に罹患する任意の年齢のヒトを包含する。
本明細書中で使用される表現「過増殖性ケラチノサイト」は、組織(例えば、皮膚)におけるケラチノサイトの密度を増大させる程度に増殖し、および/または、冒されていない(例えば、健康な)組織(例えば、健康な対象の組織)のケラチノサイトと比較して、組織におけるより大きい増殖速度を有するケラチノサイトを示す。
本明細書中で使用される用語「ケラチノサイト」は、ケラチンを産生し、かつ、表皮の主要構成成分を形成する細胞(表皮細胞集団の約95%を構成する)を示す。
ケラチノサイト含有組織の限定されない例には、皮膚、頭皮、上部消化管および気道の粘膜内張り、ならびに、下部尿生殖路および胃腸管の粘膜内張りが含まれる。
本発明のいくつかの実施形態によれば、表現「過増殖性ケラチノサイト」は、腫瘍形成を除く「表皮の過形成」、すなわち、表皮細胞における異常な増大(過度なケラチノサイト増殖)を示す。
表皮の過形成は、表皮の伸張をもたらす一方で、表皮の落屑を伴って、乾癬の主要な症状発現である。表皮の過形成は生理学的条件下(例えば、創傷治癒の期間中)でもまた生じ、all−trans−レチノイン酸(RA)またはその前駆体(all−trans−レチノール)による局所的処置の、多くの個体における結果である。
本明細書中で使用される表現「過増殖性ケラチノサイトによって特徴づけられる病状」は、過増殖性ケラチノサイトによって特徴づけられるか、または、過増殖性ケラチノサイトから生じる何らかの疾患、障害または状態を示す。
過増殖性ケラチノサイトによって特徴づけられる病状の限定されない例には、乾癬、扁平苔癬、毛孔性紅色ひこう疹(PRP)、丘疹鱗屑性疾患、皮膚炎および慢性単純性苔癬が含まれる。
本発明のいくつかの実施形態によれば、過増殖性ケラチノサイトによって特徴づけられる病状は乾癬である。
本明細書中で使用される用語「乾癬」は、成人および小児の乾癬を示す。
本明細書中で使用される用語「扁平苔癬」は、皮膚および口腔粘膜を冒し、丘疹、病巣および発疹の形で現れる慢性的皮膚粘膜疾患を示す。本発明のいくつかの実施形態によれば、用語「扁平苔癬」は、環状扁平苔癬、線状扁平苔癬、肥厚性扁平苔癬、萎縮性扁平苔癬、小胞水疱性扁平苔癬、潰瘍性扁平苔癬、毛孔性扁平苔癬、光線性扁平苔癬、色素性扁平苔癬、併発部位、手掌および足裏の扁平苔癬(手掌足底扁平苔癬)、粘膜扁平苔癬、爪の扁平苔癬、頭皮の扁平苔癬、インバース扁平苔癬、薬物誘発扁平苔癬、紅斑性狼瘡・扁平苔癬重複症候群、類天疱瘡性扁平苔癬、慢性苔癬様角化症、移植片対宿主病の苔癬様反応、苔癬様角化症ならびに/または苔癬様皮膚炎を包含する。
本明細書中で使用される用語「毛孔性紅色ひこう疹(PRP)」は、赤みを帯びたオレンジ色の鱗屑性プラークおよび角化性毛包性丘疹によって特徴づけられる一群の慢性的障害を示す。
本明細書中で使用される用語「丘疹鱗屑性の」疾患または障害は、丘疹および鱗屑の両方、または、鱗状丘疹およびプラークの両方を呈する状態を示す。
本明細書中で使用される用語「皮膚炎」は、特定の作用因またはアレルゲンに対するアレルギー性反応または刺激性反応を共通して通常的には有する種々のタイプの皮膚の炎症(例えば、発疹)を包含する。この用語は、湿疹性皮膚炎としてもまた知られている湿疹を示すために使用されることがある。本発明のいくつかの実施形態によれば、皮膚炎の用語はアトピー性皮膚炎および接触性皮膚炎を示す。
本明細書中で使用される用語「慢性単純性苔癬」は、厚い皮革様の褐色皮膚を通常の場合には引き起こす慢性的な痒みおよび引掻きによって特徴づけられる皮膚障害を示す。
本明細書中で使用される用語「投与する」は、活性な薬剤を対象に投与する任意の手段を示し、全身的投与(例えば、静脈内、経口)および/または局部的投与(例えば、皮膚への局部的投与、例えば、局所的投与)を包含する。
本明細書中において、用語「有効成分」は、生物学的効果(例えば、ケラチノサイトのアポトーシスを誘導すること、および/または、ケラチノサイトの増殖を阻害すること)を引き起こし得るIGFBP7ポリペプチドまたはその機能的部分、および/あるいは、IGFBP7ポリペプチドをコードするか、または、その機能的部分をコードするポリヌクレオチドを示す。
活性な薬剤は、それ自体で、または、生理学的に許容され得るキャリアもまた含む医薬組成物の一部として個体に投与することができる。医薬組成物の目的は、生物への有効成分の投与を容易にすることである。
本明細書中で使用される「医薬組成物」は、本明細書中に記載される有効成分の1つまたは複数と、他の化学的成分(例えば、生理学的に好適なキャリアおよび賦形剤など)との調製物を示す。
本明細書中以降、表現「生理学的に許容されるキャリア」および表現「医薬的に許容されるキャリア」は、交換可能に使用され得るが、生物に対する著しい刺激を生じさせず、かつ、投与された化合物の生物学的な活性および性質を妨げないキャリアまたは希釈剤を示す。アジュバントはこれらの表現に包含される。
本明細書中において、用語「賦形剤」は、有効成分の投与をさらに容易にするために医薬組成物に添加される不活性な物質を示す。賦形剤の非限定的な例としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖およびデンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油およびポリエチレングリコールが挙げられる。
薬物の配合および投与のための技術が「Remington’s Pharmaceutical Sciences」(Mack Publishing Co.、Easton、PA、最新版)に見出されることができ、これは参考として本明細書中に組み込まれる。
好適な投与経路には、例えば、局所的投与[例えば、(活性な薬剤を含み、かつ、皮膚の外側表面に適用される)ゲル、液体スプレーおよびパッチを使用する局所的投与]、皮下投与、皮内投与(例えば、皮内注射による皮内投与)、病巣内投与(例えば、パッチ、ゲル、ニードルを使用する病巣内投与)、全身的投与(例えば、経口送達、直腸送達、経粘膜送達(とりわけ、経鼻送達)、腸管送達または腸管外送達(筋肉内注射および髄内注射、同様にまた、クモ膜下注射、直接の脳室内注射、心臓内注射(例えば、右心室腔内もしくは左心室腔内、総冠状動脈内)、静脈内注射、腹腔内注射、鼻腔内注射または眼内注射を含む)などによる投与)が含まれ得る。
本発明の医薬組成物は、この分野で十分に知られているプロセスによって、例えば、従来の混合、溶解、造粒、糖衣錠作製、研和、乳化、カプセル化、包括化または凍結乾燥のプロセスによって製造されることができる。
本発明に従って使用される医薬組成物は、医薬品として使用されることができる調製物への有効成分の加工を容易にする賦形剤および補助剤を含む1つまたは複数の生理学的に許容されるキャリアを使用して従来の様式で配合されることできる。適正な配合は、選ばれた投与経路に依存する。
特定の実施形態によれば、投与は局所的に達成される。
本発明のいくつかの実施形態によれば、活性な薬剤を対象の皮膚内に投与することが、非浸襲的に、例えば、対象の皮膚に塗布される、活性な薬剤を含むローション、軟膏、クリーム、ゲル、液体スプレーまたはパッチを使用して行われる。
本発明の組成物において利用されるキャリアは多種多様な形態であり得る。これらには、エマルションキャリア(水中油型、油中水型、水中油中水型およびシリコーン中水中油型エマルションが含まれるが、これらに限定されない)、クリーム、軟膏、水溶液、ローションまたはエアロゾルが含まれるが、これらに限定されない。当業者によって理解されるように、所与の成分は、組成物における成分の水溶性/分散性に依存して、水相または油/シリコーン相のどちらかに主として分布する。
本発明によるエマルションは一般に、医薬的に有効な量の本明細書に開示される薬剤と、脂質または油とを含有する。脂質および油は、動物、植物または石油に由来することができ、天然または合成(すなわち、人工)であり得る。好ましいエマルションは、グリセリンのような湿潤剤も含む。エマルションは、好ましくは、キャリアの重量に基づいて約1%〜約10%、より好ましくは約2%〜約5%の乳化剤をさらに含む。乳化剤は、非イオン性、アニオン性またはカチオン性のものであることができる。好適な乳化剤の例が、例えば、米国特許第3755560号(Dickert他に対して発行、1973年8月28日)、米国特許第4421769号(Dixon他に対して発行、1983年12月20日)、および、McCutcheon’s Detergents and Emulsifiers(北アメリカ版、317頁〜324頁(1986年))に記載される。
エマルションはまた、角質性組織に適用したとき、泡立ちを最小限に抑えるための消泡剤を含有することができる。消泡剤には、そのような使用について当該技術分野で知られている高分子量シリコーンおよび他の物質が含まれる。
好適なエマルションは、所望される生成物形態に依存して、多種多様な粘度を有することができる。好ましい例示的な低粘度エマルションは、約50センチストークス以下の粘度、より好ましくは約10センチストークス以下の粘度、最も好ましくは約5センチストークス以下の粘度を有する。エマルションはまた、ケラチン性組織に適用したときの泡立ちを最小限に抑えるための消泡剤を含有することができる。消泡剤には、そのような使用についてこの技術分野において広く知られている高分子量シリコーンおよび他の物質が含まれる。
1つのタイプのエマルションがシリコーン中水型エマルションである。シリコーン中水型エマルションは、連続するシリコーン相と、分散された水性相とを含有する。本発明の好ましいシリコーン中水型エマルションは重量比で約1%〜約60%(好ましくは約5%〜約40%、より好ましくは約10%〜約20%)の連続するシリコーン相を含む。連続するシリコーン相は、本明細書中下記で記載される不連続な水性相を含有する、すなわち、取り囲む外側相として存在する。
連続するシリコーン相はポリ有機シロキサンオイルを含有することができる。好ましいシリコーン中水型エマルションシステムが、医薬効果的な量の本明細書中に開示される薬剤を送達するための酸化安定性ビヒクルを提供するために配合される。これらの好ましいエマルションの連続するシリコーン相は、約50重量%〜約99.9重量%の間の有機ポリシロキサンオイルと、約50重量%未満の非シリコーン系オイルとを含む。特に好ましい実施形態において、連続するシリコーン相は、連続するシリコーン相の重量比で少なくとも約50%(好ましくは約60%〜約99.9%、より好ましくは約70%〜約99.9%、一層より好ましくは約80%〜約99.9%)のポリ有機シロキサンオイルと、連続するシリコーン相の重量比で約50%までの非シリコーン系オイル(好ましくは約40%未満、より好ましくは約30%未満、一層より好ましくは約10%未満、最も好ましくは約2%未満)とを含む。これらの有用なエマルションシステムは、より低い濃度の当該ポリ有機シロキサンオイルを含有する比較可能な油中水型エマルションよりも大きい酸化安定性を長期間にわたって提供することができる。連続するシリコーン相における非シリコーン系オイルの濃度は、組成物における本発明の活性な化合物の酸化安定性をもしかするとさらに高めるように最小限に抑えられるか、または、完全に避けられる。このタイプのシリコーン中水型エマルションが米国特許第5691380号(Mason他、1997年11月25日発行)に記載される。
組成物において使用される有機ポリシロキサンオイルは、揮発性シリコーン、不揮発性シリコーン、または、揮発性シリコーンおよび不揮発性シリコーンの混合物であり得る。用語「不揮発性」は、これに関連して使用される場合、周囲条件のもとで液体であり、かつ、約100℃以上の(1気圧下での)引火点を有するそのようなシリコーンを示す。用語「揮発性」は、これに関連して使用される場合、すべての他のシリコーンオイルを示す。好適な有機ポリシロキサンを、広い範囲の揮発性および粘度に及ぶ広範囲の様々なシリコーンから選択することができる。好適な有機ポリシロキサンオイルの例には、ポリアルキルシロキサン、環状ポリアルキルシロキサンおよびポリアルキルアリールシロキサンが含まれ、これらは当業者には知られており、また、市販されている。
連続するシリコーン相は1つまたは複数の非シリコーン系オイルを含有することができる。連続するシリコーン相における非シリコーン系オイルの濃度は好ましくは、組成物における医薬効果的薬剤の酸化安定性をさらに高めるように最小限に抑えられるか、または、完全に避けられる。好適な非シリコーン系オイルは約1気圧の圧力のもとで約25℃以下の融点を有する。連続するシリコーン相における使用のために好適な非シリコーン系オイルの例が、油中水型エマルションの形態での局所用パーソナルケア製品で化学技術分野において広く知られているものであり、例えば、鉱油、植物油、合成油、半合成油などである。
本発明の有用な局所用組成物は約30%〜約90%(より好ましくは約50%〜約85%、最も好ましくは約70%〜約80%)の分散された水性相を含む。用語「分散された水性相」は当業者には広く知られており、この相が、連続相に懸濁される、すなわち、連続相によって取り囲まれる小さい粒子または液滴として存在することを暗示する。分散相はまた、内部相または不連続相として知られている。分散された水性相は、本明細書中前記で記載される連続するシリコーン相に懸濁される、すなわち、連続するシリコーン相によって取り囲まれる小さい水性の粒子または液滴の分散物である。水性相は、水、あるいは、水と、1つまたは複数の水溶性成分または水分散性成分との組合せが可能である。そのような随意的成分の限定されない例には、増粘剤、酸、塩基、塩、キレート剤、ゴム、水溶性または水分散性のアルコールおよびポリオール、緩衝剤、保存剤、日焼け止め剤、ならびに、着色剤などが含まれる。
本発明の局所用組成物は典型的には、組成物の重量比で約25%〜約90%(好ましくは約40%〜約80%、より好ましくは約60%〜約80%)の水を分散された水性相に含む。
本発明のシリコーン中水型エマルションは好ましくは乳化剤を含む。好ましい実施形態において、組成物は、組成物の重量比で約0.1%〜約10%の乳化剤、より好ましくは約0.5%〜約7.5%の乳化剤、最も好ましくは約1%〜約5%の乳化剤を含有する。乳化剤は、連続するシリコーン相の内部に水性相を分散および懸濁することを助ける。
広範囲の様々な乳化用薬剤を、好ましいシリコーン中水型エマルションを形成するためにこの場合には用いることができる。知られているか、または、従来からの乳化用薬剤を、選択された乳化用薬剤が組成物の必須成分と化学的および物理的に適合可能であり、かつ、所望される分散特性を提供するならば、組成物において使用することができる。好適な乳化剤には、シリコーン系乳化剤、例えば、局所用パーソナルケア製品における使用について当業者によって知られている有機修飾された有機ポリシロキサン(これはまた、シリコーン系界面活性剤として当業者には知られている)、ケイ素非含有乳化剤、および、それらの混合物が含まれる。
有用な乳化剤には、広範囲の様々なシリコーン系乳化剤が含まれる。これらのシリコーン系乳化剤は典型的には、有機修飾された有機ポリシロキサンである(これはまた、シリコーン系界面活性剤として当業者には知られている)。好適な乳化剤が、例えば、McCutcheon’s Detergents and Emulsifiers(北米版(1986)、Allured Publishing Corporationによって発行)、米国特許第5011681号(Ciotti他、1991年4月30日発行)、米国特許第4421769号(Dixon他、1983年12月20日発行)および米国特許第3755560号(Dickert他、1973年8月28日発行)に記載される。
他の好ましい局所用キャリアには、連続する水性相と、それに分散される疎水性の水不溶性相(「油相」)とを有する水中油型エマルションが含まれる。水中油型エマルションを構成する好適なキャリアの例が、米国特許第5073371号(Turner,D.J.他、1991年12月17日発行)および米国特許第5073372号(Turner,D.J.他、1991年12月17日発行)に記載される。構造化剤、親水性界面活性剤および水を含有する特に好ましい水中油型エマルションが本明細書中下記で詳しく記載される。
好ましい水中油型エマルションは、液晶性のゲルネットワーク構造の形成を助けるための構造化剤を含む。理論によって限定されることはないが、構造化剤は、組成物の安定性に寄与するレオロジー特性を組成物に与えることを助けると考えられる。構造化剤はまた、乳化剤または界面活性剤として機能することができる。本発明の好ましい組成物は組成物の重量比で約0.5%〜約20%(より好ましくは約1%〜約10%、最も好ましくは約1%〜約5%)の構造化剤を含む。本発明の好ましい構造化剤が、ステアリン酸、パルミチン酸、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ベヘニルアルコール、ステアリン酸、パルミチン酸、平均して約1個〜約21個のエチレンオキシドユニットを有するステアリルアルコールのポリエチレングリコールエーテル、平均して約1個〜約5個のエチレンオキシドユニットを有するセチルアルコールのポリエチレングリコールエーテル、および、それらの混合物からなる群から選択される。
多種多様なアニオン性界面活性剤もまた本明細書において有用である。例えば、米国特許第3929678号(Laughlin他、1975年12月30日発行)を参照のこと。加えて、両性界面活性剤および双性イオン性界面活性剤もまた本明細書において有用である。
好ましい水中油型エマルションは、疎水性物を水相に分散させることができる約0.05%〜約10%(好ましくは約1%〜約6%、より好ましくは約1%〜約3%)の少なくとも1つの親水性界面活性剤を含む(局所用キャリアの重量比での百分率)。界面活性剤は、最低でも、水に分散するために十分に親水性でなければならない。好適な界面活性剤には、多種多様の知られているカチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤および両性界面活性剤のどれもが含まれる。McCutcheon’s Detergents and Emulsifiers(北米版(1986)、Allured Publishing Corporationによって発行)、米国特許第5011681号(Ciotti他、1991年4月30日発行);米国特許第4421769号(Dixon他、1983年12月20日発行)および米国特許第3755560号を参照のこと。選ばれる的確な界面活性剤は、組成物のpH、および、存在する他の成分に依存する。好ましいものがカチオン性界面活性剤であり、とりわけ、ジアルキル第四級アンモニウム化合物であり、その例が、米国特許第5151209号(McCall他、1992年9月29日発行)、米国特許第5151210号(Steuri他、1992年9月29日発行)、米国特許第5120532号、米国特許第4387090号、米国特許第3155591号、米国特許第3929678号、米国特許第3959461号、McCutcheon’s Detergents&Emulsifiers(北米版、1979)(M.C.Publishing Co.)、および、Schwartz他、Surface Active Agents,Their chemistry and Technology(New York:Interscience Publishers、1949)に開示される。
代替では、他の有用なカチオン性乳化剤には、アミノ−アミドが含まれる。これらのカチオン性乳化剤の限定されない例には、ステアルアミドプロピルPGジモニウムクロリドホスファート、ベヘンアミドプロピルPGジモニウムクロリド、ステアルアミドプロピルエチルジモニウムエトスルファート、ステアルアミドプロピルジメチル(ミリスチルアセタート)アンモニウムクロリド、ステアルアミドプロピルジメチルセテアリルアンモニウムトシラート、ステアルアミドプロピルジメチルアンモニウムクロリド、ステアルアミドプロピルジメチルアンモニウムラクタートおよびそれらの混合物が含まれる。
好ましい水中油型エマルションは局所用キャリアの重量比で約25%〜約98%(好ましくは約65%〜約95%、より好ましくは約70%〜約90%)の水を含む。
本発明の医薬組成物または化粧用組成物は、下記で記載されるように、溶液、ローション、スプレー、クリーム、軟膏、膏薬、ゲルなどを含めて、皮膚適用のために製薬業界または化粧品業界によって利用される様々な形態のいずれかで配合することができる。
好ましくは、本発明の医薬組成物または化粧用組成物は、処置された皮膚区域に留まるために十分に粘性に配合され、かつ、容易に蒸発せず、および/または、水ですすぐことによって容易に除去されず、むしろ、石けん、清浄剤および/またはシャンプーの助けをかりて除去可能である。
そのような性質を有する組成物を調製するための方法が当業者には広く知られており、Remington’s Pharmaceutical Sciences(1990、上掲)、および、Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems(第6版、Williams&Wilkins、1995)に詳しく記載される。
本発明の局所用組成物(ローションおよびクリームが含まれるが、これらに限定されない)は、皮膚科学的に許容される皮膚軟化剤を含むことができる。かかる組成物は、約2%〜約50%の皮膚軟化剤を含むことが好ましい。本明細書で使用される「皮膚軟化剤」は、皮膚の保護のためだけではなく、乾燥状態の防止または軽減のために有用な物質を示す。多種多様な好適な皮膚軟化剤が知られており、本明細書において使用することができる。例えば、Sagarin、Cosmetics,Science and Technology(第2版、第1巻、3243頁(1972))を参照のこと。これは、皮膚軟化剤として好適な物質の数多くの例を含有する。好ましい皮膚軟化剤はグリセリンである。グリセリンは好ましくは、0.001%または約0.001%〜20%または約20%(より好ましくは0.01%または約0.01%〜10%または約10%、最も好ましくは0.1%または約0.1%〜5%または約5%、例えば、3%)の量で使用される。
本発明によるローションおよびクリームは一般に、溶液キャリアシステムと、1つまたは複数の皮膚軟化剤とを含む。ローションは典型的には、約1%〜約20%(好ましくは約5%〜約10%)の皮膚軟化剤、約50%〜約90%(好ましくは約60%〜約80%)の水、および、医薬効果的な量の本明細書中に記載される薬剤を含む。クリームは典型的には、約5%〜約50%(好ましくは約10%〜約20%)の皮膚軟化剤、約45%〜約85%(好ましくは約50%〜約75%)の水、および、医薬効果的な量の本明細書中に記載される薬剤を含む。
本発明の局所適用される医薬または化粧組成物はまた、例えば、化粧組成物の価値を芳香および皮膚栄養因子により高めるために添加されるさらなる成分を含むことができる。
そのような成分は、妥当な医学的判断の範囲内で、毒性、不適合性、不安定性およびアレルギー性応答などの誘導を伴わないヒトの角質性組織での使用のために好適に選択される。加えて、必要に応じて使用されるそのような成分は、本発明の活性な化合物の利益を許容できないほどに変化させないならば、有用である。
CTFA Cosmetic Ingredient Handbook(第2版)(1992)は、本発明の組成物における使用のために好適である、スキンケア産業で一般に使用される多種多様な限定されない化粧品成分を記載する。これらの成分クラスの例には、研磨剤、吸収剤、審美的成分(例えば、香料、顔料、着色剤/染料、精油、皮膚感覚剤、収斂剤、その他(例えば、チョウジ油、メントール、ショウノウ、ユーカリ油、オイゲノール、乳酸メンチル、ウイッチヘーゼル油))、抗ざ瘡剤、凝固防止剤、消泡剤、抗菌剤(例えば、ヨードプロピルブチルカルバメート)、抗酸化剤、結合剤、生物学的添加物、緩衝化剤、増量剤、キレート化剤、化学的添加物、染料、化粧品用収斂剤、化粧品用殺生物剤、変性剤、薬物収斂剤、外用鎮痛剤、組成物の薄膜形成特性および持続性を助けるための薄膜形成剤または材料(例えば、ポリマー)(例えば、エイコセンおよびビニルピロリドンのコポリマー)、不透明化剤、pH調節剤、噴射剤、還元剤、金属イオン封鎖剤、スキンコンディショニング剤(例えば、湿潤剤、これには、種々のものおよび閉塞性が含まれる)、皮膚緩和剤および/または皮膚治癒剤(例えば、パンテノールおよび誘導体(例えば、エチルパンテノール)、アロエベラ、パントテン酸およびその誘導体、アラントイン、ビサボロール、ならびに、グリチルリチン酸二カリウム)、皮膚処置剤、増粘剤、ならびに、ビタミンおよびその誘導体が含まれる。
本発明の医薬または化粧組成物は皮膚に対して直接に適用することができる。代替では、本発明の組成物は、この技術分野で知られている様々な経皮薬物送達システムによって、例えば、組成物を徐放性様式で皮膚内に放出する経皮パッチなどによって通常の皮膚適用により送達することができる。この技術分野で知られている他の薬物送達システムには、加圧エアロゾルボトル、イオントフォレーシスまたはソノフォレーシスが含まれる。イオントフォレーシスが、皮膚透過性を増大させ、かつ、経皮送達を容易にするために用いられる。米国特許第5667487号および同第5658247号が、皮膚を横断する治療剤の超音波−イオントフォレーシス媒介輸送に好適なイオンソニック装置を開示する。代替として、または、加えて、リポソームまたはミセルもまた、送達ビヒクルとして用いることができる。
活性な薬剤を対象の皮膚内に投与するために使用することができる2つの主要なタイプの皮膚パッチが存在する。これらはリザーバー型パッチおよびマトリックス型パッチである。リザーバーパッチは通常、固体薬物(活性な薬剤)および希釈剤溶液、または、非常に高濃度の薬物溶液がポリマーマトリックスの内部に満たされる構造を含有し、速度制御物質のフィルムまたはメンブランによって取り囲まれる。マトリックスパッチは、薬物が拡散によって外部環境に放出される均一なシステムを形成する薬物およびポリマーを含有する。放出が続くにつれて、マトリックス型パッチにおけるその速度は通常、低下することに留意しなければならない。これは、活性な薬剤は放出までの次第により長くなる距離を有し、したがって、放出までのより長い拡散時間を必要とするからである。経皮薬物送達のさらなる詳細および例については、Prausnitz MR.他、2004、Nature Reviews、3:115〜124;Scheindlin S.、2004、経皮薬物送達:過去、現在、未来、Molecular Interventions、第4巻:308〜312;Prausnitz MRおよびLanger R.、2008、Nature Biotechnology、26:1261〜1268;Tanner TおよびMarks R、2008、経皮経路による薬物送達:総説およびコメント、Skin Research and Technology、14:249〜260を参照のこと(これらのそれぞれが本明細書によりその全体において参照によって組み込まれる)。
活性な薬剤を本発明の教示に従って皮膚内に投与するために使用することができる皮膚薬物送達パッチの限定されない一例が、Senti G.他、2009、J Allergy Clin Immunol、9月4日[印刷に先立つEpub]に記載される(これは本明細書によりその全体において参照によって組み込まれる)。
本発明のいくつかの実施形態によれば、活性な薬剤を皮膚に投与することが、リザーバー型パッチを使用して行われる。
無傷の皮膚の中に投与することを、半固体リザーバーと、可塑性の裏打ちする接着性輪郭物と、保護用の取り除き可能なカバーとを有する閉鎖性パッチを使用して行うことができる。
半固体リザーバーは、様々な賦形剤、例えば、脂肪、オイル(例えば、鉱油、ワセリン、植物油またはシリコン油)、ポリマー、ゲル化剤、懸濁化剤、安定剤、親水性溶媒、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、安定化用界面活性剤、コロイドなどおよびそれらの組合せなどを使用する任意のゲル、クリーム、軟膏、エマルション、懸濁物、マイクロ粒子が可能である。
活性な薬剤の皮膚内への送達を大きくするために、活性な薬剤は、表皮層または真皮層への送達を大きくするために意図される様々なビヒクルとともに配合され得ることに留意しなければならない。そのようなビヒクルには、リポソーム、デンドリマー、ニオソーム、トランスファーソーム(transfersome)、マイクロエマルションおよび固体脂質ナノ粒子が含まれるが、これらに限定されない(さらなる詳細については、Cevc,G.、皮膚におけるトランスファーソーム、リポソームおよび他の脂質懸濁物:透過強化、小胞浸透および経皮薬物送達、Crit.Rev.Ther.Drug Carrier Syst.、13、257〜388(1996)(これは本明細書によりその全体が参照によって組み込まれる);Kogan A、Garti N、経皮薬物送達ビヒクルとしてのマイクロエマルション、Adv Colloid Interface Sci、2006、123−126:369〜385(これは本明細書によりその全体が参照によって組み込まれる)を参照のこと。加えて、活性な薬剤は、活性な薬剤の皮膚内への送達を高める化学的強化剤(例えば、スルホキシド、アゾン、グリコール、アルカノールおよびテルペンなど)と混合することができる(さらなる詳細については、Karande P、Jain A、Ergun K、Kispersky V、Mitragotri S、経皮薬物送達のための化学的浸透強化剤の設計原理、Proc Natl Acad Sci USA、2005、102:4688〜4693;Williams AC、Barry BW、浸透強化剤、Adv Drug Deliv Rev、2004、56:603〜618;およびSmith,EW、Maibach,HI.(編者)、Boca Raton、FL:Taylor and Francis Group、2006、Percutaneous Penetration Enhancersを参照のこと。これらのそれぞれが本明細書によりその全体において参照によって組み込まれる)。
パッチは、表皮または真皮に対する薬物の透過性化を容易にするために設計されるエマルションに配合される活性な薬剤を含むことができる。例えば、パッチは、活性な薬剤を、活性な薬剤が角質層を通って真皮内に透過性化することを容易にするために設計されるグリセリン中オイル型エマルションの内部に含むことができる。真皮内への角質層を介した送達のために好適なグリセリン中オイル型エマルションの限定されない一例が米国特許出願公開第20040067244号に記載される(これは本明細書によりその全体が参照によって組み込まれる)。そのようなグリセリン中オイル型エマルションは1ミクロン未満の平均液滴サイズを示し、連続するグリセリン相と、内部相を構成する少なくとも1つの植物油と、少なくとも1つの乳化用安定剤と、少なくとも1つの疎水性成分をその構造内に含む少なくとも1つの生物活性化合物とを含み、この場合、組成物は、生物活性化合物が角質層を通って真皮内に透過性化することを容易にする。
本発明のいくつかの実施形態によれば、活性な薬剤を皮膚に投与することが、ブリーチ(breach)された皮膚[例えば、外部の物体などにより透過性化されている(例えば、裂けている)皮膚、または、損傷性皮膚(損傷部を含む皮膚)]に対して達成される。
本発明のいくつかの実施形態によれば、皮膚のブリーチングが一時的に達成され(例えば、所定の短期間にわたって行われ)、皮膚内への有効成分のより良好な透過性化を可能にするために設計される。
皮膚のブリーチングを、例えば、微小孔(例えば、微小経路)を皮膚の外側層に導入することによって行うことができる。そのような微小経路を、例えば、Radio−Frequency(RF)−Microchannel(商標)(TransPharma Medical(商標)Ltd.)技術を使用して形成することができる[ハイパーテキスト転送プロトコル://WorldWideWeb(ドット)transpharma−medical(ドット)com/technology_rf(ドット)html]。
加えて、または、代替において、パッチから皮膚の表皮層への活性な薬剤(例えば、IGFBP7ポリペプチドまたはIGFBP7ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド)の送達を、この技術分野において知られている物理的強化剤を使用して、例えば、超音波、イオン泳動、エレクトロポレーション、マグネトフォレシス、マイクロニードルおよび連続混合などを使用して高めることができる[例えば、Rizwan M、Aqil M、Talegaonkar S、Azeem A、Sultana Y、Ali A、強化された経皮薬物送達技術:特許の幅広い検討、Recent Pat Drug Deliv Formul、2009、3(2):105〜24を参照のこと。これは本明細書によりその全体が参照によって組み込まれる)]。
本発明のいくつかの実施形態によれば、医薬組成物が皮内注射のために配合される。
活性な薬剤を、Mantoux C(1908)試験について記載されるような皮内注射によって対象の皮膚の真皮内に投与することができる。簡単に記載すると、活性な薬剤を(例えば、26ゲージまたは27ゲージのニードルを介して0.5mlまたは1.0mlのツベルクリンシリンジを使用して)皮内注射することができる。シリンジを皮膚に対して45度の角度で置くことができ、ニードルの斜端が下向きに動かされ、これにより、皮膚に向い、そして、皮膚の表在層よりも深くないが、皮膚を完全に突き抜ける。およそ0.01ml〜0.05ml(例えば、約0.02ml)の体積が、小さい表在性ブレベを生じさせるために静かに注入される(Middleton’s Allergy principles&practice、第6版、2003)。
本発明のいくつかの実施形態によれば、医薬組成物は液体スプレー(例えば、活性な薬剤を所定の濃度および投薬量で含むスプレー)のために配合される。
本発明のいくつかの実施形態によれば、医薬組成物はゲル(例えば、活性な薬剤を所定の濃度および投薬量で含むゲル)のために配合される。
例えば、ゲルまたはスプレーを使用する投与については、活性な薬剤を投与するための事前に定められた区域が選択され、必要な場合には、補助機器を使用して固定される(例えば、ハイパーテキスト転送プロトコル://WorldWideWeb(ドット)truetest(ドット)comを参照のこと]。
過増殖性ケラチノサイトによって特徴づけられる病状(例えば、乾癬病変部など)は頭皮の皮膚を冒すことが多いので、本発明の医薬組成物または化粧用組成物はさらに、頭皮皮膚および頭髪における使用のために好適である皮膚軟化剤、界面活性剤および/またはコンディショナーを含む。
そのような皮膚軟化剤には、炭化水素系の油およびワックス(例えば、鉱油およびワセリン)、植物系および動物系の油脂(例えば、オリーブ油、パーム油、ひまし油、トウモロコシ油およびダイズ油など)、ならびに、ラノリンおよびその誘導体(例えば、ラノリン、ラノリン油、ラノリンワックスおよびラノリンアルコールなど)が含まれるが、これらに限定されない。他の皮膚軟化剤には、10〜20個の炭素原子を有する脂肪酸(これには、例えば、ミリスチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸およびパルミチン酸などが含まれる)のエステルが含まれ、例えば、ミリスチン酸メチル、ミリスチン酸プロピル、ミリスチン酸ブチル、ステアリン酸プロピル、イソステアリン酸プロピルおよびパルミチン酸プロピルなどが含まれる。他の皮膚軟化剤には、10〜20個の炭素原子を有する脂肪酸が含まれ、そのような脂肪酸には、ステアリン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、イソステアリン酸およびパルミチン酸などが含まれる。皮膚軟化剤にはまた、セチルアルコール、ミリスチルアルコール、ラウリルアルコール、イソステアリルアルコールおよびステアリルアルコールなどの10〜20個の炭素原子を有する脂肪アルコールが含まれる。
いくつかは水溶性であるが、多価アルコールおよびポリエーテル誘導体が皮膚軟化剤として含まれ、これらには、グリコール、グリセロール、ソルビトールおよびポリアルキレングリコールなど、例えば、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールおよびポリエチレングリコール200〜500などが含まれる。水溶性の例が好ましい。
本発明の医薬または化粧組成物を毛髪での使用のために配合するとき、乳化剤/界面活性剤が好ましくは利用される。
界面活性剤の例には、親水性のアルキレンオキシド、ポリエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、ポリエチレンオキシドまたはポリエチレングリコールとの縮合に利用可能なフリーの反応性水素を有する疎水性のアルキル官能基、アルケン官能基またはアルキル芳香族官能基のポリオキシアルキレンオキシド縮合生成物が含まれるが、これらに限定されない。特に効果的なものが、Rohm&Haas Companyによって商品名TRITON100(登録商標)シリーズの製品で販売される、約7〜約13モルのエチレンオキシドとのオクチルフェノールの縮合生成物である。
他の成分、例えば、香料、安定化剤、色素、抗微生物剤、抗細菌剤、抗凝集剤および紫外線吸収剤などもまた、毛髪での使用のために配合される本発明の組成物に含められる。
酸加水分解に対して安定なコンディショナー剤、例えば、少なくとも1つの第四級アンモニウム成分をエトキシ化モノコートと一緒に有するシリコーン化合物などもまた好ましくは、毛髪での使用のために配合される本発明の組成物を安定化し、かつ、場合によりその粘性を高めるために利用される。
必要に応じて使用される増粘剤もまた、組成物の審美学を改善するために、また、毛髪への組成物の適用を容易にするために含めることができる。0%〜約3重量%の量の非イオン性増粘剤が好ましい。例示的な増粘剤が、メチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロースおよびヒドロキシエチルセルロース、ジ(水素化タロー)フタル酸アミド、架橋された無水マレイン酸−メチルビニルエーテルコポリマー、グアーガム、キサンタンガムおよびアラビアゴムである。
コンディショニング組成物のキャリアは主に水であるが、有機溶媒もまた、組成物の製造を容易にするために、または、審美的性質(例えば、粘度制御)を提供するために含めることができる。好適な溶媒には、低級アルコール、例えば、エチルアルコールおよびイソプロピルアルコール;グリコールエーテル、例えば、2−ブトキシエタノール、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールおよびジエチレングリコールのモノエチルエーテルまたはモノメチルエーテル;ならびにそれらの混合物が含まれる。非水性溶媒を、組成物におけるキャリアの総重量の重量比で約1%〜約50%の量で、特に約5%〜約25%の量で本発明のコンディショング組成物に存在させることができる。
不透明なコンディショナーにおいて使用することができる限定されないコンディショニング剤には、ステアリルトリメチルアンモニウム塩化物;ベヘントリメチルアンモニウム塩化物;セトリモニウム臭化物;ソイトリモニウム塩化物;タロートリモニウム塩化物;ジ水素化タロージメチルアンモニウム塩化物;ベヘントリメチルアンモニウムメトサルフェート;Peg−2オレアンモニウム塩化物;ジ水素化タロージメチルアンモニウム臭化物;ジ水素化タロージメチルアンモニウムメトサルフェート;パルミチルトリメチルアンモニウム塩化物;水素化タロートリメチルアンモニウム塩化物;水素化タロートリメチルアンモニウム臭化物;ジセチルジメチルアンモニウム塩化物;ジステアリルジメチルアンモニウム塩化物;ジパルミチルジメチルアンモニウム塩化物;水素化タロートリメチルアンモニウムメトサルフェート;セトリモニウムトシラート;エイコシルトリメチルアンモニウム塩化物およびジタロージメチルアンモニウム塩化物が含まれる。
本発明の組成物を不透明にするために使用することができる物質には、脂肪エステル、不透明化ポリマー(例えば、スチレンポリマー、例えば、Morton,International,Inc.から得られるOPACIFIER653(商標))、および、脂肪アルコールが含まれる。下記は脂肪アルコールの限定されない列挙である:セチルアルコール、ステアリルアルコール、セテアリルアルコール、ベヘニルアルコールおよびアラキジルアルコール。透明でない本発明のコンディショニング組成物はまた、Lexamine S−13、ジセチルアンモニウム塩化物およびceteareth−20を含むことができる。
シャンプー配合物は時には、頭皮の病変部(例えば、頭皮の乾癬)を処置するために好都合である。
本発明のヘアシャンプー組成物は、その清浄化成績を改善するために非イオン性界面活性剤または両性界面活性剤を含有することができる。
非イオン性界面活性剤の例には、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレン(水素化)ひまし油、スクロース脂肪酸エステル、ポリグリセリンアルキルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミドおよびアルキルグリコシドが含まれるが、これらに限定されない。これらのうち、アルキルグリコシド、ポリオキシアルキレン(C〜C22)脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン水素化ひまし油および脂肪酸アルカノールアミドが好ましい。脂肪酸アルカノールアミドとしては、アシル基が8個〜18個の炭素原子(より好ましくは10個〜16個の炭素原子)を有するものが好ましい。脂肪酸アルカノールアミドとして、モノアルカノールアミドまたはジアルカノールアミドのどちらも使用することができ、ヒドロキシアルキル基が2個〜3個の炭素原子を有するものが好ましい。例には、オレイン酸ジエタノールアミド、パーム核脂肪酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ラウリン酸イソプロパノールアミドおよびラウリン酸モノエタノールアミドが含まれる。
本発明のシャンプー組成物において使用することができる両性界面活性剤には、ベタイン系界面活性剤、例えば、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインおよび脂肪酸アミドプロピルベタインなどが含まれる。脂肪酸アミドプロピルベタインとしては、アシル基が8個〜18個の炭素原子(より好ましくは10個〜16個の炭素原子)を有するものが好ましく、ラウリルアミドプロピルベタイン、パーム核アミドプロピルベタインおよびココアミドプロピルベタインがとりわけ好ましい。
非イオン性界面活性剤および両性界面活性剤を、必要とされるように本発明のヘアシャンプー組成物において配合することができる。それらのうちの2つ以上を組合せで使用することができる。本発明のヘアシャンプー組成物が水性液体シャンプーの形態で提供されるとき、脂肪酸アミドプロピルベタインまたは脂肪酸アルカノールアミドの使用が、泡立ち力を改善するだけでなく、十分な流動性もまたシャンプーに提供するので好ましい。
ヘアシャンプー組成物における非イオン性界面活性剤の含有量はヘアシャンプー組成物において0wt.%〜15wt.%(より好ましくは0.5wt.%〜10wt.%、さらにより好ましくは1wt.%〜5wt.%)の範囲内に含まれ得る。一方、ヘアシャンプー組成物における両性界面活性剤の含有量は0wt.%〜10wt.%(より好ましくは0.5wt.%〜8wt.%、さらにより好ましくは1wt.%〜5wt.%)の範囲内に含まれ得る。
本発明のヘアシャンプー組成物はさらに、泡の肌理、泡の滑る感触、シャンプー時の毛髪間の摩擦における低下、および、乾燥後の滑らかさを考慮して、カチオン性ポリマーを含有することができる。カチオン性ポリマーの例には、カチオン性セルロース誘導体、カチオン性デンプン、カチオン性グアーガム誘導体、ジアリル第四級アンモニウム塩のホモポリマー、ジアリル第四級アンモニウム塩/アクリルアミドコポリマー、四級化ポリビニルピロリドン誘導体、ポリグリコール−ポリアミン縮合生成物、ビニルイミダゾリウムトリクロリド/ビニルピロリドンコポリマー、ヒドロキシエチルセルロース/ジメチルジアリルアンモニウムクロリドコポリマー、ビニルピロリドン/四級化ジメチルアミノエチルメタクリラートコポリマー、ポリビニルピロリドン/アルキルアミノアクリラートコポリマー、ポリビニルピロリドン/アルキルアミノアクリラート/ビニルカプロラクタムコポリマー、ビニルピロリドン/メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリドコポリマー、アルキルアクリルアミド/アクリラート/アルキルアミノアルキルアクリルアミド/ポリエチレングリコールメタクリラートコポリマー、アジピン酸/ジメチルアミノヒドロキシプロピルエチレントリアミンコポリマー(US Sandos Corp.によって製造されるCALTALETINE)、ならびに、特開昭53−139734および特開昭60−36407に記載されるカチオン性ポリマーが含まれる。これらのうち、カチオン性セルロース誘導体およびカチオン性グアーガム誘導体が好ましい。
これらのカチオン性ポリマーの2つ以上を組合せで使用することができる。本発明のヘアシャンプー組成物におけるその含有量は、シャンプー時の泡の性状、乾燥後における頭髪の扱いやすさ、および、感触における改善の観点から、好ましくは0.02wt.%〜5wt.%であり、より好ましくは0.05wt.%〜1wt.%であり、一層より好ましくは0.1wt.%〜0.3wt.%である。
本発明のヘアシャンプー組成物はさらに、乾燥後の仕上がりを改善するためにコンディショング成分(例えば、シリコーンなど)を含有することができる。シリコーンの例には、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、アミノ修飾シリコーン、ポリエーテル修飾シリコーン、エポキシ修飾シリコーン、フッ素修飾シリコーン、環状シリコーン、アルキル修飾シリコーンおよびオキサゾリン修飾シリコーンが含まれる。これらのうち、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、アミノ修飾シリコーン、ポリエーテル修飾シリコーン、オキサゾリン修飾シリコーンおよび環状シリコーンが好ましい。これらのシリコーンの2つ以上を組合せで使用することができる。その(それらの)含有量は好ましくは、本発明のヘアシャンプー組成物において0.01wt.%〜20wt.%(より好ましくは0.05wt.%〜10wt.%、さらにより好ましくは0.1wt.%〜5wt.%)の範囲である。
本発明のヘアシャンプー組成物は、上記成分に加えて、水溶性ポリマー(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシセルロース、ポリビニルアルコールおよびポリエチレングリコールなど)、多価アルコール(例えば、ソルビトールなど)、湿潤剤、キレート化剤(例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)など)、薬物(例えば、ビタミン調製物など)、アミノ酸およびその誘導体、ポリマー(例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ(メチルメタクリラート)、ナイロンまたはシリコーンおよびそれらの疎水性製造物など)の微細粒子、動物または植物に由来する抽出物、紫外線吸収剤、真珠箔、防腐剤、殺菌剤、pH調節剤、着色剤ならびに芳香剤を使用目的に従って含有することができる。
本発明のヘアシャンプー組成物は、必要に応じて、液体、粉末、ゲルおよび顆粒から選択される形態で提供することができる。水または低級アルコールを溶媒として使用する液体組成物が好ましく、水を使用する液体組成物がとりわけ好ましい。
上記で述べられたように、医薬組成物は例えば、注射によって、全身的または局部的に投与することができる。
注射の場合、医薬組成物の有効成分は、水溶液において、好ましくは生理学的に適合しうる緩衝液(例えば、ハンクス溶液、リンゲル溶液、または生理学的な食塩緩衝液など)において配合されることができる。経粘膜投与の場合、浸透されるバリヤーに対して適切な浸透剤が配合において使用される。そのような浸透剤はこの分野では一般に知られている。
経口投与の場合、医薬組成物は、活性化合物をこの分野でよく知られている医薬的に許容されるキャリアと組み合わせることによって容易に配合されることができる。そのようなキャリアは、医薬組成物が、患者によって経口摂取される錠剤、ピル、糖衣錠、カプセル、液剤、ゲル、シロップ、スラリー剤および懸濁物などとして配合されることを可能にする。経口使用される薬理学的調製物は、固体の賦形剤を使用し、得られた混合物を場合により粉砕し、錠剤または糖衣錠コアを得るために、望ましい好適な補助剤を添加した後、顆粒の混合物を加工して作製されることができる。好適な賦形剤は、特に、ラクトース、スクロース、マンニトールまたはソルビトールを含む糖などの充填剤;セルロース調製物、例えば、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ナトリウムカルボメチルセルロースなど;および/またはポリビニルピロリドン(PVP)などの生理学的に許容され得るポリマーである。もし望むなら、架橋されたポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸もしくはその塩(例えば、アルギン酸ナトリウムなど)などの崩壊剤が加えられることができる。
糖衣錠コアには、好適なコーティングが施される。この目的のために、高濃度の糖溶液を使用することができ、この場合、糖溶液は、場合により、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、二酸化チタン、ラッカー溶液、および好適な有機溶媒または溶媒混合物を含有しうる。色素または顔料は、活性化合物の量を明らかにするために、または活性化合物の量の種々の組合せを特徴づけるために、錠剤または糖衣錠コーティングに加えられることができる。
経口使用されうる医薬組成物としては、ゼラチンから作製されたプッシュ・フィット型カプセル、ならびに、ゼラチンおよび可塑剤(例えば、グリセロールまたはソルビトールなど)から作製された軟いシールされたカプセルが挙げられる。プッシュ・フィット型カプセルは、充填剤(例えば、ラクトースなど)、結合剤(例えば、デンプンなど)、滑剤(例えば、タルクまたはステアリン酸マグネシウムなど)、および場合により安定化剤との混合で有効成分を含有することができる。軟カプセルでは、有効成分は、好適な液体(例えば、脂肪油、流動パラフィンまたは液状のポリエチレングリコールなど)に溶解または懸濁されることができる。さらに、安定化剤が加えられることができる。経口投与される配合物はすべて、選ばれた投与経路について好適な投薬形態でなければならない。
口内投与の場合、組成物は、従来の方法で配合された錠剤またはトローチの形態を取ることができる。
鼻吸入による投与の場合、本発明による使用のための有効成分は、好適な噴射剤(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタンまたは二酸化炭素)の使用により加圧パックまたはネブライザーからのエアロゾルスプレー提示物の形態で都合よく送達される。加圧されたエアロゾルの場合、投与量は、計量された量を送達するためのバルブを備えることによって決定されることができる。ディスペンサーにおいて使用される、例えば、ゼラチン製のカプセルおよびカートリッジは、化合物および好適な粉末基剤(例えば、ラクトースまたはデンプンなど)の粉末混合物を含有して配合されることができる。
本明細書中に記載される医薬組成物は、例えば、ボーラス注射または連続注入による非経口投与のために配合されることができる。注射用配合物は、場合により保存剤が添加された、例えば、アンプルまたは多回用量容器における単位投薬形態で提供されることができる。組成物は、油性ビヒクルまたは水性ビヒクルにおける懸濁物または溶液剤またはエマルションにすることができ、懸濁化剤、安定化剤および/または分散化剤などの配合剤を含有することができる。
非経口投与される医薬組成物には、水溶性形態の活性調製物の水溶液が含まれる。さらに、有効成分の懸濁物は、適切な油性または水性の注射用懸濁物として調製されることができる。好適な親油性の溶媒またはビヒクルとしては、脂肪油(例えば、ゴマ油など)、または合成脂肪酸エステル(例えば、オレイン酸エチルなど)、トリグリセリドまたはリポソームが挙げられる。水性の注射用懸濁物は、懸濁物の粘度を増大させる物質、例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトールまたはデキストランなどを含有することができる。場合により、懸濁物はまた、高濃度溶液の調製を可能にするために、有効成分の溶解性を増大させる好適な安定化剤または薬剤を含有することができる。
あるいは、有効成分は、好適なビヒクル(例えば、無菌の、パイロジェン不含水溶液)を使用前に用いて構成される粉末形態であることができる。
本発明の医薬組成物はまた、例えば、カカオ脂または他のグリセリドなどの従来の座薬基剤を使用して、座薬または停留浣腸剤などの直腸用組成物に配合されることができる。
本発明に関連した使用のために好適な医薬組成物として、有効成分が、その意図された目的を達成するために有効な量で含有される組成物が含まれる。より具体的には、「治療有効量」は、過増殖性ケラチノサイトによって特徴づけられる病状(例えば乾癬)の症状を予防、緩和あるいは改善するために効果的であるか、または、処置されている対象の生存を延ばすために効果的である、有効成分(上述の薬剤)の量を意味する。
治療有効量の決定は、特に、本明細書中に与えられる詳細な開示に鑑みて、十分に当業者の能力の範囲内である。
本発明の方法において使用されるいかなる調製物についても、投与量または治療有効量は、生体外および細胞培養アッセイから最初に推定されることができる。例えば、投与量は、動物モデルにおいて決定されることができ、所望の濃度または力価を達成することができる。そのような情報は、ヒトにおける有用な投与量をより正確に決定するために使用されることができる。
本明細書中に記載される有効成分の毒性および治療効力は、生体外、細胞培養物、または実験動物における標準的な薬学的手法によって決定されることができる。これらの生体外、細胞培養アッセイおよび動物研究から得られたデータは、ヒトにおける使用のための投与量範囲を定めるために使用されることができる。投与量は、用いられる投薬形態および利用される投与経路に依存して変化しうる。正確な配合、投与経路および投与量は、患者の状態を考慮して個々の医師によって選択されることができる(例えば、Finglら、(1975)「The Pharmacological Basis of Therapeutics」,Ch.1 p.1を参照のこと)。
投薬量および投薬間隔を、生物学的効果を誘導または抑制するために十分である活性な成分の組織(皮膚組織)レベル(これは最小有効濃度(MEC)と呼ばれる)を提供するために個々に調節することができる。MECはそれぞれの調製物について変化するが、インビトロデータから推定することができる。MECを達成するために必要な投薬量は個々の特性および投与経路に依存する。検出アッセイを使用して、血漿中濃度を求めることができる。
処置される状態の重篤度および応答性に依存して、投薬は、単回または複数回投与で行われることができ、この場合、処置期間は、数日から数週間まで、または治療が達成されるまで、または疾患状態の軽減が達成されるまで続く。
投与される組成物の量は、当然のことではあるが、処置されている対象、苦痛の重篤度、投与様式、処方医の判断などに依存するだろう。
本発明の組成物は、所望されるならば、有効成分を含有する1つまたは複数の単位投薬形態物を含有し得るパックまたはディスペンサーデバイス(例えば、FDA(米国食品医薬品局)承認キットなど)で提供され得る。パックは、例えば、金属ホイルまたはプラスチックホイルを含むことができる(例えば、ブリスターパック)。パックまたはディスペンサーデバイスには、投与のための説明書が付随し得る。パックまたはディスペンサーデバイスはまた、医薬品の製造、使用または販売を規制する政府当局によって定められた形式で、容器に関連した通知によって適応させることがあり、この場合、そのような通知は、組成物の形態、あるいはヒトまたは動物への投与の当局による承認を反映する。そのような通知は、例えば、処方薬物について米国食品医薬品局によって承認されたラベル書きであり得るか、または、承認された製品添付文書であり得る。適合し得る医薬用キャリアに配合された本発明の調製物を含む組成物もまた、上でさらに詳述されたように、指示された症状を処置するために調製され、適切な容器に入れられ、かつ標識され得る。
本明細書中に記載される処置療法様式が、抗乾癬性の従来薬を使用して増強され得ることが理解される。
したがって、本発明のいくつかの実施形態によれば、上記方法さらに、病状の症状を少なくとも部分的に軽減することができる薬剤を対象に投与することを含み、ただし、この場合、そのような薬剤は、局所的投与または全身的投与(例えば、経口投与または注射投与)のために、および/あるいは、対象を光線療法により処置するために好適である。
病状の症状を少なくとも部分的に軽減することができる薬剤を投与することが、IGFBP7ポリペプチドまたはIGFBP7ポリヌクレオチドによる処置に先立って、あるいは、IGFBP7ポリペプチドまたはIGFBP7ポリヌクレオチドにより処置することと同時に、あるいは、IGFBP7ポリペプチドまたはIGFBP7ポリヌクレオチドによる処置の後で行われ得ることに留意しなければならない。
病状の症状を少なくとも部分的に軽減することができる薬剤は、上記で記載されるように、IGFBP7ポリペプチドまたはIGFBP7ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドとの組合せで医薬組成物の一部(例えば、有効成分の一部)を形成することができる。
局所的治療(医薬品の局所的投与)のために好適な薬剤は、クリーム、軟膏、ゲルまたはエマルションの形態でのいずれであれ、コルチコステロイド、ビタミンDのアナログまたは誘導体、アントラリン、局所用レチノイド、カルシニューリン阻害剤、サリチル酸、コールタールおよび保湿剤が可能である。
本発明のいくつかの実施形態によれば、光線療法は、日光光線療法、B型紫外線(UVB)光線療法、狭帯域UVB光線療法、光化学療法(例えば、PUVA[プソラレン類(P)、その後、皮膚をUVA(長波長紫外線)にさらすことからなる混合処置]およびエキシマレーザーが可能である。
全身的治療(医薬品の全身的投与)のために好適な薬剤は、レチノイド、免疫抑制薬物(例えば、メトトレキサート、シクロスポリン)、免疫標的化生物学的薬剤(例えば、Alefacept、インフリキシマブ、インフリキシマブ、エタネルセプト、ウステキヌマブ)、イムノトキシン(例えば、デニロイキン)およびTNF−α阻止生物学的薬剤(例えば、インフリキシマブ、アダリムマブ、エタネルセプトおよびゴリムマブなど)が可能である。
本発明のいくつかの実施形態によれば、ケラチノサイトの増殖および分化を調節することは、増殖を、IGFBP7の発現レベルおよび/または活性をダウンレギュレーションすることによってアップレギュレーションすることを含む。
本発明の実施形態によれば、増殖をアップレギュレーションすることは、一般には創傷、火傷、潰瘍および皮膚再生の処置のためである。
IGFBP7のダウンレギュレーションを、転写および/または翻訳を妨げる様々な分子(例えば、RNAサイレンシング剤、リボザイム、DNAザイムおよびアンチセンス)を使用してゲノムレベルおよび/または転写レベルで達成することができ、あるいは、例えば、アンタゴニスト、ポリペプチドを切断する酵素、IGFBP7活性を中和する抗体(ab51392 Abcam)などを使用してタンパク質レベルで達成することができる。
下記は、IGFBP7の発現レベルおよび/または活性をダウンレギュレーションすることができる薬剤の列挙である。
IGFBP7をダウンレギュレーションすることができる薬剤の一例が、IGFBP7と特異的に結合することができる抗体または抗体フラグメントである。好ましくは、抗体はIGFBP7の少なくとも1つのエピトープと特異的に結合する。本明細書中で使用される用語「エピトープ」は、抗体のパラトープが結合する抗原表面におけるいずれかの抗原決定基を示す。
エピトープ決定基は通常、分子(例えば、アミノ酸または炭水化物側鎖など)の化学的活性な表面群からなり、通常、特定の三次元構造特徴、同様にまた、特定の電荷特徴を有する。
本発明で使用される用語「抗体」は、完全な分子並びにその機能的なフラグメント、例えば、マクロファージに結合することができるFab、F(ab’)およびFvなどを含む。これらの機能的な抗体フラグメントは次のように定義される:(1)Fabは、抗体分子の一価の抗原結合性フラグメントを含有するフラグメントであり、完全な抗体を酵素パパインで消化して、無傷の軽鎖と、一方の重鎖の一部とを生じさせることによって作製することができる;(2)Fab’は、完全な抗体をペプシンで処理し、その後、還元して、無傷の軽鎖と、重鎖の一部とを生じさせることによって得ることができる抗体分子のフラグメントである;2つのFab’フラグメントが1つの抗体分子あたり得られる;(3)(Fab’)は、その後の還元を行うことなく、完全な抗体を酵素ペプシンで処理することによって得ることができる抗体のフラグメントである;F(ab’)は、2つのジスルフィド結合によって一緒にされた2つのFab’フラグメントのダイマーである;(4)Fvは、2つの鎖として発現された軽鎖の可変領域および重鎖の可変領域を含有する遺伝子操作されたフラグメントとして定義される;(5)単鎖抗体(「SCA」)は、遺伝子的に融合された単一鎖分子として好適なポリペプチドリンカーによって連結されて、軽鎖の可変領域および重鎖の可変領域を含有する遺伝子操作された分子である。
ポリクローナルおよびモノクローナル抗体並びにそのフラグメントを作製する方法が当技術分野では周知である(例えば、本明細書中に参考として組み込まれる、HarlowおよびLane,Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,New York,1988を参照のこと)。
例えば、本発明による抗体フラグメントを抗体のタンパク質分解的加水分解によって調製することができ、あるいは、フラグメントをコードするDNAの大腸菌または哺乳動物細胞(例えば、チャイニーズハムスター卵巣細胞培養または他のタンパク質発現システム)における発現によって調製することができる。抗体フラグメントは、従来の方法による完全な抗体のペプシン消化またはパパイン消化によって得ることができる。例えば、抗体フラグメントを、抗体をペプシンで酵素切断して、F(ab’)として示される5Sフラグメントを得ることによって製造することができる。このフラグメントは、3.5SのFab’一価フラグメントを製造するために、チオール還元剤、および場合により、ジスルフィド連結の切断から生じるスルフヒドリル基に対する保護基を使用してさらに切断することができる。あるいは、ペプシンを使用する酵素切断により、2つの一価Fab’フラグメントおよびFcフラグメントが直接的に得られる。これらの方法は、例えば、Goldenbergの米国特許第4036945号および同第4331647号、ならびにそれらに含まれる参考文献に記載されている(それらの特許は本明細書によりその全体が参照により組み込まれる)。また、Porter,R.R.、Biochem.J.、73:119〜126、1956も参照のこと。抗体を切断する他の方法、例えば、一価の軽鎖−重鎖フラグメントを形成させるための重鎖の分離、フラグメントのさらなる切断、または他の酵素的、化学的もしくは遺伝学的な技術などもまた、フラグメントが、無傷の抗体によって認識される抗原に結合する限り、使用することができる。
FvフラグメントはV鎖およびV鎖の会合を含む。この会合は、Inbar他、Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA、69:2659〜62、1972に記載されているように非共有結合性であり得る。あるいは、可変鎖を、分子間ジスルフィド結合によって連結することができ、または、グルタルアルデヒドなどの化学剤によって架橋することができる。好ましくは、Fvフラグメントは、ペプチドリンカーによってつながれたV鎖およびV鎖を含む。これらの単鎖抗原結合タンパク質(sFv)は、オリゴヌクレオチドによりつながれたVドメインおよびVドメインをコードするDNA配列を含む構造遺伝子を構築することによって調製される。この構造遺伝子は発現ベクターに導入され、続いて、発現ベクターは大腸菌などの宿主細胞に導入される。組換え宿主細胞により、2つのVドメインを架橋するリンカーペプチドを有する単一ポリペプチド鎖が合成される。sFvを製造するための様々な方法が、例えば、WhitlowおよびFilpula、Methods、2:97〜105、1991;Bird他、Science、242:423〜426、1988;Pack他、Bio/Technology、11:1271〜77、1993;Ladner他、米国特許第4946778号(これは本明細書によりその全体が参照により組み込まれる)によって記載されている。
抗体フラグメントの他の形態は、単一の相補性決定領域(CDR)をコードするペプチドである。CDRペプチド(「最小認識ユニット」)は、目的とする抗体のCDRをコードする遺伝子を構築することによって得ることができる。そのような遺伝子は、例えば、抗体産生細胞のRNAから可変領域を合成するためにポリメラーゼ連鎖反応を使用することによって調製される。例えば、LarrickおよびFry、Methods、2:106〜10、1991を参照のこと。
非ヒト(例えば、ネズミ)抗体のヒト化形態は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含有する、免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖またはそのフラグメント(例えば、Fv、Fab、Fab’、F(ab’).sub.、または抗体の他の抗原結合性の部分配列など)のキメラ分子である。ヒト化抗体には、レシピエントの相補性決定領域(CDR)に由来する残基が、所望する特異性、親和性および能力を有する、マウス、ラットまたはウサギなどの非ヒト種(ドナー抗体)のCDRに由来する残基によって置換されているヒト免疫グロブリンレシピエント抗体が含まれる。場合により、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク残基が、対応する非ヒト残基によって置換される。ヒト化抗体はまた、レシピエント抗体においても、あるいは取り込まれたCDR配列またはフレームワーク配列においても、そのいずれにも見出されない残基を含むことができる。一般に、ヒト化抗体は、実質的にはすべての可変ドメインまたは1つ以上の(典型的には2つ)可変ドメインを含み、この場合、CDR領域のすべてまたは実質的にすべてが非ヒト免疫グロブリンのCDR領域に対応し、FR領域のすべてまたは実質的にすべてがヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のFR領域である。ヒト化抗体はまた、最適には、免疫グロブリン定常領域(Fc)の一部を、典型的には、ヒト免疫グロブリンの定常領域の一部を少なくとも含む[Jones他、Nature、321:522〜525(1986);Riechmann他、Nature、332:323〜329(1988);Presta、Curr.Op.Struct.Biol.、2:593〜596(1992)]。
非ヒト抗体をヒト化するための様々な方法がこの技術においては広く知られている。一般に、ヒト化抗体は、非ヒトである供給源から導入された1つ以上のアミノ酸残基を有する。これらの非ヒトアミノ酸残基は、多くの場合、輸入残基と呼ばれており、この輸入残基は、典型的には、輸入可変ドメインに由来する。ヒト化は、齧歯類のCDRまたはCDR配列をヒト抗体の対応する配列の代わりに使用することによって、Winterおよび共同研究者の方法に従って本質的には行うことができる[Jones他、Nature、321:522〜525(1986);Riechmann他、Nature、332:323〜327(1988);Verhoeyen他、Science、239:1534〜1536(1988)]。従って、そのようなヒト化抗体は、実質的に完全でないヒト可変ドメインが非ヒト種由来の対応する配列によって置換されているキメラ抗体である(米国特許第4816567号)。実際、ヒト化抗体は典型的にはヒト抗体であり、この場合、一部のCDR残基およびおそらくは一部のFR残基が、齧歯類抗体における類似部位に由来する残基によって置換される。
ヒト抗体はまた、ファージディスプレーライブラリー[HoogenboomおよびWinter、J.Mol.Biol.、227:381(1991);Marks他、J.Mol.Biol.、222:581(1991)]を含む、この分野で知られている様々な技術を使用して製造することができる。Cole他およびBoerner他の技術もまた、ヒトモノクローナル抗体を調製するために利用することができる[Cole他、Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy、Alan R.Liss、77頁(1985);Boerner他、J.Immunol.、147(1):86〜95(1991)]。同様に、ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン遺伝子座を、内因性免疫グロブリン遺伝子が部分的または完全に不活性化されている遺伝子組換え動物(例えば、マウス)に導入することによって作製することができる。抗原投与したとき、ヒト抗体の産生が認められ、この場合、その産生は、遺伝子再配置、組み立ておよび抗体レパートリーを含むすべての点に関してヒトにおいて見られる産生と非常に似ている。この方法は、例えば、米国特許第5545807号、同第5545806号、同第5569825号、同第5625126号、同第5633425号、同第5661016号、および下記の科学的刊行物:Marks他、Bio/Technology、10、779〜783(1992);Lonberg他、Nature、368:856〜859(1994);Morrison、Nature、368:812〜13(1994);Fishwild他、Nature Biotechnology、14:845〜51(1996);Neuberger、Nature Biotechnology、14:826(1996);およびLonbergおよびHuszar、Intern.Rev.Immunol.、13:65〜93(1995)に記載されている。
IGFBP7のダウンレギュレーションはまた、RNAサイレンシングによって達成することができる。本明細書中で使用される表現「RNAサイレンシング」は、対応するタンパク質コード遺伝子の発現の阻害または「サイレンシング」をもたらすRNA分子によって媒介される一群の調節機構[例えば、RNA干渉(RNAi)、転写遺伝子サイレンシング(TGS)、転写後遺伝子サイレンシング(PTGS)、クエリング(quelling)、共抑制および翻訳抑制]を示す。RNAサイレンシングが、植物、動物および菌類を含めて、多くのタイプの生物において認められている。
本明細書中で使用される用語「RNAサイレンシング剤」は、標的遺伝子の発現を阻害または「サイレンシング」することができるRNAを示す。特定の実施形態において、RNAサイレンシング剤は転写後サイレンシング機構を介してmRNA分子の完全なプロセシング(例えば、完全な翻訳および/または発現)を妨げることができる。RNAサイレンシング剤には、非コードRNA分子(例えば、対形成した鎖を含むRNA二重鎖)、同様にまた、そのような小さい非コードRNAが生じ得る前駆体RNAが含まれる。例示的なRNAサイレンシング剤には、dsRNA、例えば、siRNA、miRNAおよびshRNAなどが含まれる。1つの実施形態において、RNAサイレンシング剤はRNA干渉を誘導することができる。別の実施形態において、RNAサイレンシング剤は翻訳抑制を媒介することができる。
RNA干渉は、短い干渉性RNA(siRNA)によって媒介される動物における配列特異的な転写後遺伝子サイレンシングのプロセスを示す。植物における対応プロセスが転写後遺伝子サイレンシングまたはRNAサイレンシングと一般に呼ばれ、これはまた、菌類ではクエリングと呼ばれる。転写後遺伝子サイレンシングのプロセスは、外来遺伝子の発現を防止するために使用される進化的に保存された細胞防御機構であると考えられ、多様なフローラおよび門によって一般に共有される。外来遺伝子の発現からのそのような防御は、相同的な一本鎖RNAまたはウイルスゲノムRNAを特異的に破壊する細胞応答を介した、ウイルス感染に由来するか、または、トランスポゾンエレメントの宿主ゲノム内へのランダムな組み込みに由来する二本鎖RNA(dsRNA)の産生に対する応答において進化してきたかもしれない。
細胞における長いdsRNAの存在は、ダイサーと呼ばれるリボヌクレアーゼIII酵素の活性を刺激する。ダイサーは、短い干渉性RNA(siRNA)として知られるdsRNAの短い小片へのdsRNAのプロセシングに関与する。ダイサー活性に由来する短い干渉性RNAは、長さが典型的には約21ヌクレオチド〜約23ヌクレオチドであり、約19塩基対の二重鎖を含む。RNAi応答はまた、siRNA二重鎖のアンチセンス鎖に対して相補的な配列を有する一本鎖RNAの切断を媒介するエンドヌクレアーゼ複合体(これは一般にはRNA誘導サイレンシング複合体(RISC)と呼ばれる)を特徴とする。標的RNAの切断が、siRNA二重鎖のアンチセンス鎖に対して相補的な領域の中央で生じる。
したがって、本発明では、mRNAからのタンパク質発現をダウンレギュレーションするためのdsRNAの使用が意図される。
1つの実施形態によれば、dsRNAは30bpを超える。長いdsRNA(すなわち、30bpを超えるdsRNA)の使用は、二本鎖RNAのこれらのより長い領域がインターフェロンおよびPKR応答の誘導をもたらすと考えられるために非常に限定されている。しかしながら、長いdsRNAの使用は、細胞が最適なサイレンシング配列を選択でき、これにより、数多くのsiRNAを試験する必要性を緩和するという点で、また、長いdsRNAは、サイレンシングライブラリーが、siRNAのために必要であると思われるよりも少ない複雑性を有することを可能にするという点で、そして、おそらく最も重要であるかもしれないが、長いdsRNAは、これが治療剤として使用されるときにはウイルスの逃避変異を妨げ得るという点で、数多くの利点を提供することができる。
様々な研究により、長いdsRNAが、ストレス応答を誘導することなく、また、著しい標的外の影響を引き起こすことなく、遺伝子発現のサイレンシングを行うために使用され得ることが明らかにされる。例えば、Strat他、Nucleic Acids Research、2006、第34巻、第13号、3803〜3810;Bhargava A他、Brain Res.Protoc.、2004、13:115〜125;Diallo M.他、Oligonucleotides、2003、13:381〜392;Paddison P.J.他、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、2002、99:1443〜1448;Tran N.他、FEBS Lett.、2004、573:127〜134を参照のこと。
特に、本発明ではまた、インターフェロン経路が活性化されない細胞(例えば、胚細胞および卵母細胞)における遺伝子サイレンシングのために、長いdsRNA(30塩基を超える転写物)の導入が意図される。例えば、Billy他、PNAS、2001、第98巻、14428頁〜14433頁、および、Diallo他、Oligonucleotides、2003年10月1日、13(5):381〜392を参照のこと。doi:10.1089/154545703322617069。
本発明ではまた、遺伝子発現をダウンレギュレーションするために、インターフェロン経路およびPKR経路を誘導しないように特別に設計される長いdsRNAの導入が意図される。例えば、ShinagwaおよびIshii[Genes&Dev.、17(11):1340〜1345、2003]は、長い二本鎖RNAをRNAポリメラーゼII(Pol II)プロモーターから発現するための、pDECAPと名づけられたベクターを開発している。pDECAPからの転写物は、細胞質へのdsRNA輸出を容易にする5’−キャップ構造および3’−ポリ(A)テールの両方を欠いているので、pDECAPからの長いdsRNAはインターフェロン応答を誘導しない。
哺乳動物システムにおけるインターフェロン経路およびPKR経路を回避する別の方法が、トランスフェクションまたは内因性発現のどちらかを介する小さい阻害RNA(siRNA)の導入による方法である。
用語「siRNA」は、RNA干渉(RNAi)経路を誘導する小さい阻害RNA二重鎖(一般には18塩基対〜30塩基対の間)を示す。典型的には、siRNAは、中央の19bpの二重鎖領域と、末端における対称的な2塩基の3’−突出とを有する21mer体として化学合成される。だが、近年には、25塩基〜30塩基の長さの化学合成されたRNA二重鎖が、同じ場所において21mer体と比較して、効力において100倍もの大きい増大を有し得ることが明らかにされている。RNAiを誘発することにおいて、より長いRNAを使用して得られた観測されている増大した効力は理論によれば、生成物(21mer)の代わりに基質(27mer)をダイサーに与えることから生じると考えられ、このことにより、siRNA二重鎖がRISCに進入する速度または効率が改善される。
3’−突出の位置はsiRNAの効力に影響を与え、3’−突出をアンチセンス鎖に有する非対称な二重鎖は、3’−突出をセンス鎖に有するものよりも一般に強力であることが見出されている(Rose他、2005)。これは、非対称な鎖がRISCに入ってくることに起因すると考えられ得る。逆の効力パターンが、アンチセンス転写物を標的とするときに認められるからである。
二本鎖の干渉性RNA(例えば、siRNA)の鎖は、ヘアピン構造またはステム−ループ構造(例えば、shRNA)を形成するためにつなぐことができる。したがって、述べられたように、本発明のRNAサイレンシング剤はまた、短いヘアピンRNA(shRNA)であり得る。
用語「shRNA」は、本明細書中で使用される場合、相補的配列の第1の領域および第2の領域を含み、これらの領域の相補性の程度および向きが、塩基対形成がこれらの領域の間で生じように十分であり、第1の領域および第2の領域がループ領域によって連結され、ループがループ領域内のヌクレオチド(またはヌクレオチドアナログ)の間における塩基対形成の欠落から生じるステム−ループ構造を有するRNA剤を示す。ループにおけるヌクレオチドの数は、3〜23の数(3および23を含む)、または、5〜15の数(5および15を含む)、または、7〜13の数(7および13を含む)、または、4〜9の数(4および9を含む)、または、9〜11の数(9および11を含む)である。ループにおけるヌクレオチドのいくつかは、ループにおける他のヌクレオチドとの塩基対相互作用に関与することができる。ループを形成するために使用することができるオリゴヌクレオチド配列の例には、5’−UUCAAGAGA−3’(Brummelkamp,T.R.他(2002)、Science、296:550)および5’−UUUGUGUAG−3’(Castanotto,D.他(2002)、RNA、8:1454)が含まれる。得られる単鎖オリゴヌクレオチドは、RNAi装置と相互作用することができる二本鎖領域を含むステム−ループ構造またはヘアピン構造を形成することが当業者によって認識される。
別の実施形態によれば、RNAサイレンシング剤はmiRNAであり得る。miRNAは、様々なサイズの一次転写物をコードする遺伝子から作製される小さいRNAである。miRNAが動物および植物の両方で特定されている。一次転写物(これは「プリmiRNA」と称される)が、様々な核酸分解工程を介して、より短い前駆体miRNA、すなわち、「プレmiRNA」にプロセシングされる。プレmiRNAは、折り畳まれた形態で存在し、その結果、最終的な(成熟)miRNAが二重鎖で存在する(これら2つの鎖がmiRNA(最終的には標的と塩基対形成する鎖)と呼ばれる)。プレmiRNAは、miRNA二重鎖を前駆体から除くダイサーの一形態に対する基質であり、その後、siRNAと同様に、二重鎖はRISC複合体に取り込まれ得る。miRNAを遺伝子導入により発現させることができ、また、miRNAは、完全な一次形態ではなく、むしろ、前駆体形態の発現により効果的であり得ることが明らかにされている(Parizotto他(2004)、Genes&Development、18:2237〜2242、および、Guo他(2005)、Plant Cell、17:1376〜1386)。
siRNAとは異なり、miRNAは、ほんの部分的にすぎない相補性を有する転写物配列に結合し(Zeng他、2002、Molec.Cell、9:1327〜1333)、定常状態のRNAレベルに影響を及ぼすことなく、翻訳を抑制する(Lee他、1993、Cell、75:843〜854;Wightman他、1993、Cell、75:855〜862)。miRNAおよびsiRNAはともにダイサーによってプロセシングされ、RNA誘導サイレンシング複合体の成分と会合する(Hutvagner他、2001、Science、293:834〜838;Grishok他、2001、Cell、106:23〜34;Ketting他、2001、Genes Dev.、15:2654〜2659;Williams他、2002、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、99:6889〜6894;Hammond他、2001、Science、293:1146〜1150;Mourlatos他、2002、Genes Dev.、16:720〜728)。近年の報告(Hutvagner他、2002、Sciencexpress、297:2056〜2060)は、siRNA経路に対してmiRNA経路を介する遺伝子調節が、単に標的転写物に対する相補性の程度によって決定されると仮定する。mRNA標的に対するほんの部分的にすぎない同一性を有するsiRNAが、RNAの分解を誘発するのではなく、miRNAと同様な翻訳抑制において機能することが推測される。
本発明とともに使用するために好適なRNAサイレンシング剤の合成を下記のように達成することができる。最初に、IGFBP7のmRNA配列がAAジヌクレオチド配列についてAUG開始コドンから下流側に走査される。それぞれのAAおよび3’側の隣接19ヌクレオチドの存在が、可能性のあるsiRNA標的部位として記録される。好ましくは、siRNA標的部位はオープンリーディングフレームから選択される。これは、非翻訳領域(UTR)には、調節タンパク質結合部位がより多く存在するからである。UTR結合タンパク質および/または翻訳開始複合体はsiRNAエンドヌクレアーゼ複合体の結合を妨害するかもしれない[Tuschl、ChemBiochem、2:239〜245]。だが、GAPDHについて明らかにされるように(この場合、5’UTRに向けられたsiRNAが細胞のGAPDHのmRNAにおける約90%の低下を媒介し、タンパク質レベルを完全に消滅させた[WorldWideWeb(ドット)ambion(ドット)com/techlib/tn/91/912(ドット)html])、非翻訳領域に向けられるsiRNAもまた効果的であり得ることが理解される。
次に、可能性のある標的部位が、何らかの配列アラインメントソフトウエア(例えば、NCBIサーバー[WorldWideWeb(ドット)ncbi(ドット)nlm(ドット)nih(ドット)gov/BLAST/]から入手可能なBLASTソフトウエアなど)を使用して、適切なゲノムデータベース(例えば、ヒト、マウス、ラットなど)に対して比較される。他のコード配列に対する有意な相同性を示す推定される標的部位が取り出される。
適格な標的配列が、siRNA合成のためのテンプレートとして選択される。好ましい配列が、低いG/C含有量を含むものである。これらは、G/C含有量が55%を超えるものと比較して、遺伝子サイレンシングを媒介することにおいてより効果的であることが判明しているからである。いくつかの標的部位が好ましくは、評価のために標的遺伝子の長さに沿って選択される。選択されたsiRNAのより良好な評価のために、陰性コントロールが好ましくは、併せて使用される。陰性コントロールsiRNAは好ましくは、siRNAと同じヌクレオチド組成を含むが、ゲノムに対する有意な相同性を有しない。したがって、siRNAのスクランブル化ヌクレオチド配列が、どのような他の遺伝子に対しても何らかの有意な相同性を示さないならば、好ましく使用される。
例えば、IGFBP7の好適なsiRNAをSigma−Aldrichから入手可能である。
本発明のRNAサイレンシング剤は、RNAのみを含有するそのような分子に限定される必要はなく、化学修飾されたヌクレオチドおよび非ヌクレオチドをさらに包含することが理解される。
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供されるRNAサイレンシング剤は細胞浸透ペプチドと機能的に関連し得る。本明細書中で使用される「細胞浸透ペプチド」は、細胞の形質膜および/または核膜を横切る膜透過性複合体の輸送に関連するエネルギー非依存的(すなわち、非エンドサイトーシス的)転位置特性を与える短い(約12残基〜30残基の)アミノ酸配列または機能的モチーフを含むペプチドである。本発明の膜透過性複合体において使用される細胞浸透ペプチドは好ましくは、少なくとも1つの非機能的システイン残基を含んでおり、この場合、この非機能的システイン残基はフリーであるか、または、そのような連結のために修飾されている二本鎖リボ核酸とのジスルフィド連結を形成するために誘導体化される。そのような特性を与える代表的なアミノ酸モチーフが米国特許第6348185号に列挙される(その内容が特に、参照によって本明細書中に組み込まれる)。本発明の細胞浸透ペプチドには好ましくは、ペネトラチン、トランスポルタン(transportan)、pIsl、TAT(48−60)、pVEC、MTSおよびMAPが含まれるが、これらに限定されない。
RNAサイレンシング剤を使用して標的化されるためのmRNAには、その発現が、望まれない表現型形質と相関するmRNAが含まれるが、これらに限定されない。標的化され得る例示的なmRNAが、短縮型タンパク質をコードするmRNA、すなわち、欠失を含むmRNAである。したがって、本発明のRNAサイレンシング剤は、欠失のどちらの側でも橋渡し領域に対して標的化することができる。そのようなRNAサイレンシング剤の細胞への導入は、成熟型タンパク質のダウンレギュレーションを引き起こし、一方で、非成熟型タンパク質には影響を与えないままにすると思われる。
IGFBP7をダウンレギュレーションすることができる別の薬剤が、IGFBP7のmRNA転写物またはDNA配列を特異的に切断することができるDNAザイム分子である。DNAザイムは、一本鎖および二本鎖の両方の標的配列を切断することができる一本鎖ポリヌクレオチドである(Breaker,R.R.およびJoyce,G.、Chemistry and Biology、1995、2:655;Santoro,S.W.&Joyce,G.F.、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、1997、943:4262)。DNAザイムについての一般的モデル(「10−23」モデル)が提案されている。「10−23」DNAザイムは、それぞれが7個〜9個のデオキシリボヌクレオチドの2つの基質認識ドメインが両側に位置する15デオキシリボヌクレオチドの触媒作用ドメインを有する。このタイプのDNAザイムはその基質RNAをプリン:ピリミジン接合部において効果的に切断することができる(Santoro,S.W.&Joyce,G.F.、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、199;DNAザイムの総説については、Khachigian,LM[Curr Opin Mol Ther、4:119〜21(2002)]を参照のこと)。
一本鎖および二本鎖の標的切断部位を認識する合成された改変DNAザイムの構築および増幅の様々な例が、米国特許第6326174号(Joyce他)に開示されている。ヒトウロキナーゼ受容体に向けられた類似する設計のDNAザイムが最近、ウロキナーゼ受容体の発現を阻害すること、また、結腸ガン細胞の転移をインビボで首尾よく阻害することが認められた(Itoh他、2002、アブストラク409、Ann Meeting Am Soc Gen Ther、WorldWideWeb(ドット)asgt(ドット)org)。別の適用において、bcr−ab1ガン遺伝子に対して相補的なDNAザイムが白血病細胞におけるガン遺伝子発現を阻害することに成功し、また、CMLおよびALLの場合には自家骨髄移植における再発率を小さくすることに成功した。
IGFBP7のダウンレギュレーションはまた、IGFBP7をコードするmRNA転写物と特異的にハイブリダイゼーションすることができるアンチセンスポリヌクレオチドを使用して達成することができる。
IGFBP7を効率的にダウンレギュレーションするために使用することができるアンチセンス分子の設計は、アンチセンス法にとって重要である2つの側面を考慮しながら行われなければならない。第1の側面が、適切な細胞の細胞質内へのオリゴヌクレオチドの送達であり、一方、第2の側面が、その翻訳を阻害する様式で細胞内において指定のmRNAと特異的に結合するオリゴヌクレオチドの設計である。
先行技術は、様々なオリゴヌクレオチドを幅広い様々な細胞タイプに効率的に送達するために使用することができるいくつかの送達方策を教示する[例えば、Luft、J Mol Med、76:75〜6(1998);Kronenwett他、Blood、91:852〜62(1998);Rajur他、Bioconjug Chem、8:935〜40(1997);Lavigne他、Biochem Biophys Res Commun、237:566〜71(1997);およびAoki他(1997)、Biochem Biophys Res Commun、231:540〜5(1997)を参照のこと]。
加えて、その標的mRNAに対する最も大きい予測された結合親和性を有するそれらの配列を、標的mRNAおよびオリゴヌクレオチドの両方における構造的変化のエネルギー論を説明する熱力学的サイクルに基づいて特定するためのアルゴリズムもまた入手可能である[例えば、Walton他、Biotechnol Bioeng、65:1〜9(1999)を参照のこと]。
そのようなアルゴリズムが、アンチセンス法を細胞において実行するために首尾よく使用されている。例えば、Walton他によって開発されたアルゴリズムは、科学者がウサギβ−グロビン(RBG)およびマウス腫瘍壊死因子−α(TNFα)の転写物のためのアンチセンスオリゴヌクレオチドを首尾よく設計することを可能にした。同じ研究グループがより近年には、3つのモデル標的mRNA(ヒト乳酸デヒドロゲナーゼAおよび同Bならびにラットgp130)に対する合理的に選択されたオリゴヌクレオチドの細胞培養におけるアンチセンス活性が、速度論的PCR技術によって評価される場合、ホスホジエステルオリゴヌクレオチド化学およびホスホロチオアートオリゴヌクレオチド化学による2つの細胞タイプにおける3つの異なる標的に対する試験を含めて、ほとんどすべての場合において効果的であることが判明したことを報告している。
加えて、特異的オリゴヌクレオチドを設計し、それらの効率を、インビトロシステムを使用して予測するためのいくつかの取り組みもまた発表された[Matveeva他、Nature Biotechnology、16:1374〜1375(1998)]。
いくつかの臨床試験により、アンチセンスオリゴヌクレオチドの安全性、実現可能性および活性が明らかにされている。例えば、ガンの処置のために好適なアンチセンスオリゴヌクレオチドが首尾よく使用されており[Holmund他、Curr Opin Mol Ther、1:372〜85(1999)]、一方で、c−myb遺伝子、p53およびBcl−2を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドによる血液学的悪性腫瘍の処置が臨床試験に入っており、患者によって許容されることが示されていた[Gerwitz、Curr Opin Mol Ther、1:297〜306(1999)]。
より近年には、ヒトヘパラナーゼ遺伝子発現のアンチセンス媒介抑制は、ヒトガン細胞の胸膜播種をマウスモデルにおいて阻害することが示されている[Uno他、Cancer Res、61:7855〜60(2001)]。
したがって、現在の一致した意見は、上記で記載されるように、非常に正確なアンチセンス設計アルゴリズムおよび広範囲の様々なオリゴヌクレオチド送達システムをもたらしているアンチセンス技術分野における近年の発達は、当業者が、過度な試行錯誤実験に頼ることを必要とすることなく、既知配列の発現をダウンレギュレーションするために好適なアンチセンス法を設計し、実行することを可能にするということである。
IGFBP7をダウンレギュレーションすることができる別の薬剤が、IGFBP7をコードするmRNA転写物を特異的に切断することができるリボザイム分子である。様々なリボザイムが、目的とするタンパク質をコードするmRNAの切断による遺伝子発現の配列特異的な阻害のためにますます使用されつつある[Welch他、Curr Opin Biotechnol、9:486〜96(1998)]。リボザイムを、どのような特定の標的RNAでも切断するために設計することができることにより、リボザイムは基礎研究および治療適用の両方において貴重なツールになっている。治療領域では、リボザイムが、感染性疾患におけるウイルスRNA、ガンにおける支配的なガン遺伝子、および、遺伝的障害における特定の体細胞変異を標的とするために開発されている[Welch他、Clin Diagn Virol、10:163〜71(1998)]。中でも特筆すべきことは、HIV患者のためのいくつかのリボザイム遺伝子治療プロトコルが既に第I相試験中である。より近年には、リボザイムが、トランスジェニック動物研究、遺伝子標的検証および経路解明のために使用されている。いくつかのリボザイムが臨床試験の様々な段階にある。ANGIOZYMEが、ヒト臨床研究で研究されることになった最初の化学合成リボザイムであった。ANGIOZYMEは、血管形成経路における重要な成分であるVEGF−r(血管内皮増殖因子受容体)の形成を特異的に阻害する。Ribozyme Pharmaceuticals,Inc.、同様にまた、他の企業が、抗血管形成治療剤の重要性を動物モデルにおいて明らかにしている。HEPTAZYME、すなわち、C型肝炎ウイルス(HCV)のRNAを選択的に破壊するために設計されたリボザイムは、C型肝炎ウイルスのRNAを細胞培養アッセイで低下させることにおいて効果的であることが見出された(Ribozyme Pharmaceuticals,Incorporated−WEBホームページ)。
IGFBP7活性をダウンレギュレーションすることができるさらに別の薬剤が、IGFBP7エフェクタータンパク質の非機能的変化体である(これはまた、優性ネガティブとも呼ばれる)。そのような優性ネガティブ変化体は、IGFBP7と結合するが、その下流側のシグナル伝達を発揮することができないエフェクタータンパク質である。そのようなものの例には、優性ネガティブIGFおよび優性ネガティブインスリンが含まれる。そのような薬剤はインスリンと結合することができるが、例えば、IRS1/2とは結合することができない。
本明細書中に記載されるダウンレギュレーション薬剤のどれもが、上記で記載されるような医薬的に許容されるキャリアと一緒に医薬組成物において含まれ得る。
本明細書中で使用される用語「約」は、±10%を示す。
用語「含む/備える(comprises、comprising、includes、including)」、「有する(having)」、およびそれらの同根語は、「含むが、それらに限定されない(including but not limited to)」ことを意味する。この用語は、「からなる(consisting of)」および「から本質的になる(consisting essentially of)」を包含する。
表現「から本質的になる」は、さらなる成分および/または工程が、特許請求される組成物または方法の基本的かつ新規な特徴を実質的に変化させない場合にだけ、組成物または方法がさらなる成分および/または工程を含み得ることを意味する。
本明細書中で使用される場合、単数形態(「a」、「an」および「the」)は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、複数の参照物を包含する。例えば、用語「化合物(a compound)」または用語「少なくとも1つの化合物」は、その混合物を含めて、複数の化合物を包含し得る。
本開示を通して、本発明の様々な態様が範囲形式で提示され得る。範囲形式での記載は単に便宜上および簡潔化のためであり、本発明の範囲に対する柔軟性のない限定として解釈すべきでないことを理解しなければならない。従って、範囲の記載は、具体的に開示された可能なすべての部分範囲、ならびに、その範囲に含まれる個々の数値を有すると見なさなければならない。例えば、1〜6などの範囲の記載は、具体的に開示された部分範囲(例えば、1〜3、1〜4、1〜5、2〜4、2〜6、3〜6など)、ならびに、その範囲に含まれる個々の数値(例えば、1、2、3、4、5および6)を有すると見なさなければならない。このことは、範囲の広さにかかわらず、適用される。
数値範囲が本明細書中で示される場合には常に、示された範囲に含まれる任意の言及された数字(分数または整数)を含むことが意味される。第1の示された数字および第2の示された数字「の範囲である/の間の範囲」という表現、および、第1の示された数字「から」第2の示された数「まで及ぶ/までの範囲」という表現は、交換可能に使用され、第1の示された数字と、第2の示された数字と、その間のすべての分数および整数とを含むことが意味される。
本明細書中で使用される用語「方法(method)」は、所与の課題を達成するための様式、手段、技術および手順を示し、これには、化学、薬理学、生物学、生化学および医学の技術分野の実施者に知られているそのような様式、手段、技術および手順、または、知られている様式、手段、技術および手順から、化学、薬理学、生物学、生化学および医学の技術分野の実施者によって容易に開発されるそのような様式、手段、技術および手順が含まれるが、それらに限定されない。
用語「例示的」は、本明細書では「例(example,instance又はillustration)として作用する」ことを意味するために使用される。「例示的」として記載されたいかなる実施形態も必ずしも他の実施形態に対して好ましいもしくは有利なものとして解釈されたりかつ/または他の実施形態からの特徴の組み入れを除外するものではない。
用語「任意選択的」は、本明細書では、「一部の実施形態に与えられるが、他の実施形態には与えられない」ことを意味するために使用される。本発明のいかなる特定の実施形態も対立しない限り複数の「任意選択的」な特徴を含むことができる。
明確にするため別個の実施形態の文脈で説明されている本発明の特定の特徴が、単一の実施形態に組み合わせて提供されることもできることは分かるであろう。逆に、簡潔にするため単一の実施形態で説明されている本発明の各種の特徴は別個にまたは適切なサブコンビネーションで、あるいは本発明の他の記載される実施形態において好適なように提供することもできる。種々の実施形態の文脈において記載される特定の特徴は、その実施形態がそれらの要素なしに動作不能である場合を除いては、それらの実施形態の不可欠な特徴であると見なされるべきではない。
本明細書中上記に描かれるような、および、下記の請求項の節において特許請求されるような本発明の様々な実施形態および態様のそれぞれは、実験的裏付けが下記の実施例において見出される。
次に下記の実施例が参照されるが、下記の実施例は、上記の説明と一緒に、本発明を非限定様式で例示する。
本願で使用される用語と、本発明で利用される実験方法には、分子生化学、微生物学および組み換えDNAの技法が広く含まれている。これらの技術は文献に詳細に説明されている。例えば以下の諸文献を参照されたい:「Molecular Cloning:A laboratory Manual」Sambrookら、(1989);「Current Protocols in Molecular Biology」I〜III巻、Ausubel,R.M.編(1994);Ausubelら、「Current Protocols in Molecular Biology」、John Wiley and Sons、米国メリーランド州バルチモア(1989);Perbal「A Practical Guide to Molecular Cloning」、John Wiley & Sons、米国ニューヨーク(1988);Watsonら、「Recombinant DNA」Scientific American Books、米国ニューヨーク;Birrenら編「Genome Analysis:A Laboratory Manual Series」1〜4巻、Cold Spring Harbor Laboratory Press、米国ニューヨーク(1998);米国特許の第4666828号、同第4683202号、同第4801531号、同第5192659号および同第5272057号に記載される方法;「Cell Biology:A Laboratory Handbook」I〜III巻、Cellis,J.E.編(1994);「Current Protocols in Immunology」I〜III巻、Coligan,J.E.編(1994);Stitesら編「Basic and Clinical Immunology」(第8版)、Appleton & Lange、米国コネティカット州ノーウォーク(1994);MishellとShiigi編「Selected Methods in Cellular Immunology」、W.H. Freeman and Co.、米国ニューヨーク(1980);利用可能な免疫アッセイ法は、特許と科学文献に広範囲にわたって記載されており、例えば:米国特許の第3791932号、同第3839153号、同第3850752号、同第3850578号、同第3853987号、同第3867517号、同第3879262号、同第3901654号、同第3935074号、同第3984533号、同第3996345号、同第4034074号、同第4098876号、同第4879219号、同第5011771号および同第5281521号;「Oligonucleotide Synthesis」Gait,M.J.編(1984);「Nucleic Acid Hybridization」Hames,B.D.およびHiggins S.J.編(1985);「Transcription and Translation」Hames,B.D.およびHiggins S.J.編(1984);「Animal Cell Culture」Freshney,R.I.編(1986);「Immobilized Cells and Enzymes」IRL Press(1986);「A Practical Guide to Molecular Cloning」Perbal,B.(1984)および「Methods in Enzymology」1〜317巻、Academic Press;「PCR Protocols:A Guide To Methods And Applications」、Academic Press、米国カリフォルニア州サンディエゴ(1990);Marshakら、「Strategies for Protein Purification and Characterization−A Laboratory Course Manual」CSHL Press(1996);これらの文献の全ては、あたかも本願に完全に記載されているように援用するものである。その他の一般的な文献は、本明細書を通じて提供される。それらの文献に記載の方法は当業技術界で周知であると考えられ、読者の便宜のために提供される。それらの文献に含まれるすべての情報は本願に援用するものである。
一般的材料および実験方法
細胞培養−HaCat細胞(自発的不死化ヒトケラチノサイト株)が、Dina Ron博士(Technion、Haifa、イスラエル)によって譲渡された。細胞を、10%のウシ胎児血清、1%のL−グルタミンおよび1%のペニシリン/ストレプトマイシンが補充される、0.075mMまたは1.4mMのCaClを含有する高グルコースDMEM培地(Biological Industries、Beit−Ha−Emek、イスラエル)において維持した。
初代ヒトケラチノサイトを、CELLnTEC Advanced Cell Systems(Bern、スイス)から購入した。細胞を、増殖因子の弾丸状キット(Lonza、MD、米国)が補充される、0.15mMのCaClを含有するKC成長培地(KGM)において成長させた。培地を2日毎〜3日毎に交換した。細胞を3回の継代で使用した。分化のために、細胞をKGM培地および1.4mMのCaClにおいて培養した。
免疫組織化学−ホルムアルデヒド固定された5μmのパラフィン包埋切片を、室温で5分間、メタノールにおける3%Hにより処理し、クエン酸塩緩衝液において90℃で15分間、電子レンジで暖め、マウスモノクローナル抗IGFBP7抗体(R&D Systems、Minneapolis、MN、米国)、抗ケラチン14抗体(BioGenex、San Ramon、CA)または免疫前ウサギ抗血清により室温で1時間染色した。リン酸塩緩衝化生理的食塩水における徹底的な洗浄の後、抗体を、ABC技術(Zymed Laboratories、South San Francisco、CA、米国)を使用して明らかにし、スライドをヘマトキシリンにより対比染色した。
siRNAのトランスフェクション−初代KC細胞を、Lipofectamine 2000(Invitrogen、Carlsbad、CA、米国)を使用する66nmoll−1の、IGFBP7に対するsiRNA二重鎖、または、陰性コントロールsiRNA(Invitrogen、Carlsbad、CA、米国)によるトランスフェクションの前に8×10細胞/ウエルの密度で6ウエルプレートにおいて培養した。5つの異なるsiRNA種をIGFBP7のダウンレギュレーションについて試験した。本研究におけるさらなる使用のために選択されたsiRNA IGFBP7二重鎖は、5’−rGrCUrGrGUrAUrCUrCrCUrCUrArArGUTT−3’(配列番号32)および5’−rArCUUrArGrArGrGrArGrAUrArCrCrArGrCTT−3’(配列番号33)(Sigma−Proligo、TX、米国)からなった。陰性コントロールとして、InVitrogenから購入した標準的なスクランブル化siRNAを使用した(カタログ番号12935200)。
shRNAのレンチウイルス形質導入−安定した遺伝子ダウンレギュレーションを達成するために、DNAのshRNA発現レンチウイルスベクターを使用した(5’−CCGGCAATCCACTAACACTTTAGTTCTCGAGAACTAAAGTGTTAGTGGATTGTTTTTG−3’;配列番号34;hIGFBP7 NM_001553レンチウイルス粒子、Sigma、カタログ番号TRCN0000077943)。非標的のsh−コントロールレンチウイルス粒子をSigmaから購入した(カタログ番号SHC002V)。shRNA発現レンチウイルスベクターは、shRNA配列を感染性ビリオンにパッケージングするために、ウイルスのパッケージングシグナル、調節エレメントおよびピューロマイシン耐性遺伝子を含有する(Sigma−Aldrich、St.Louis、MO、米国)。HaCat細胞を製造者の勧めに従ってshRNAレンチウイルス粒子により形質導入した。簡単に記載すると、形質導入の24時間前に、細胞を1.6×10細胞/ウエルに6ウエルプレートにおいて成長させた。1μl〜5μlのウイルスストックおよび2μlの4mg/ml Polybreneを細胞に加え、5%COの加湿インキュベーターにおいて37℃で18時間〜20時間インキュベーションした。ウイルスストックの量を、所望のMOI(MOI=5)、および、Sigmaによって供給される総形質導入ユニット/mlに従って決定した。計算式は下記の通りである:(ウエルあたりの細胞総数)(所望のMOI)=必要総形質導入ユニット(TU);必要TU/(供給TU/ml)=各ウエルについてのレンチウイルス粒子の総ml。形質導入後24時間で、細胞をPBS(×1)で2回洗浄し、完全成長培地において維持した。培養での拡大を48時間行った後、細胞を、ピューロマイシンが4μg/mlの最終濃度で補充される成長培地において維持した。選抜を、ピューロマイシンの存在下、1週間行った。選抜されたクローンをさらなる使用の前に液体窒素で凍結した。
初代ケラチノサイトを、わずかな改変を伴う、HaCat細胞について記載されるのと同じプロトコルに従って形質導入した。形質導入後24時間で、細胞をPBS(×1)で2回洗浄し、0.15mMまたは1.4mMのCaClを含有するKGM培地において維持した。培養での拡大を72時間行った後、細胞をインビトロアッセイのために使用した。
定量的逆転写PCR−RNAを、RNA抽出キット(Roche、Mannheim、ドイツ)を使用して培養細胞から抽出した。cDNAを、Reverse−iT第1鎖合成キット(ABgene、Epson、英国)およびランダムヘキサマーを使用して500ngの総RNAから合成した。cDNAのPCR増幅を、SYBR Green JumpStart Taq ReadyMix(Sigma−Aldrich、St.Louis、MO、米国)を、Mx3000p/5pマルチフィルターシステム(Stratagene、Cedar Creek、TX、米国)において、下記の表2に列記される遺伝子特異的な、イントロンをまたぐオリゴヌクレオチド対とともに使用して行った。反応条件の特異性を保証するために、個々の操作が終わったとき、増幅生成物の融解温度(Tm)を測定して、その均質性を確認した。サイクル処理条件は下記の通りであった:合計で40サイクルについては95℃で10分間、95℃で10秒間、62℃で15秒間および72℃で25秒間。それぞれのサンプルを三連で分析した。定量化のために、標準曲線を、同じリアルタイムPCR操作で増幅される連続希釈cDNAを使用して得た。結果をACTBおよびGAPDHのmRNAレベルに対して正規化した。定量化手順の後、生成物を、反応により、予想サイズのDNAフラグメントが増幅されていたことを確認するために2.5%アガロースゲル電気泳動によって分離した。
マイクロアレイハイブリダイゼーションおよびデータ分析−総RNA(200ng)を逆転写し、cRNA(相補的RNA)を、TotalPrep RNA Amplification Kit(Applied Biosystems/Ambion、Austin、米国)を製造者のプロトコルに従って使用して調製した。1.5μgのビオチン化cRNAを、Sentrix Human WG−6 v2アレイ(48701個の転写物標的を包含する)に対してハイブリダイゼーションし、洗浄し、BeadArray Reader(Illumina、San Diego、CA)で走査した。走査データをMatLabソフトウエアにエクスポートし、四分位正規化し、検出p値が0.01を超える転写物を分析から除いた(13000個を超える転写物が0.01未満のp値を有した)。大域的GO用語分析において、遺伝子セットにおいて2回以上存在したすべてのGO用語を調べた。遺伝子セットは、そのカルシウム誘導のアップレギュレーションまたはダウンレギュレーションがIGFBP7サイレンシングによって最も著しく影響された上位100個の遺伝子から構成された。それぞれの用語について、遺伝子セットにおけるのと同じ数の遺伝子を無作為に選択し、その用語がこのセットにおいて現れた回数を計算した。このプロセスを100回繰り返し、このGO用語頻度のヒストグラムを組み立てた。結果を、本発明者らの実験遺伝子セットにおける相対的集積を評価するために、一サンプル・ウィルコクスン符号付順位検定を使用して分析した。
ウエスタンブロッティング−細胞を、Cellytic MT溶解/抽出試薬(Sigma−Aldrich、St.Louis、MO、米国)およびプロテアーゼ阻害剤ミックス(1mMのPMSF、1mg ml−1のアプロチニンおよびロイペプチン(Sigma−Aldrich、St.Louis、MO、米国)を含む)においてホモジネートした。遠心分離を4℃において10000×gで10分間行った後、タンパク質を10%SDS−PAGEにより電気泳動し、ニトロセルロースメンブラン(Trans−Blot Bio−Rad、Hercules、CA、米国)に転写した。3%のBSAおよび0.01%のTween20を含む1×Tris緩衝化生理的食塩水(20mM Tris、150mM NaCl)による1時間のブロッキング処理の後、ブロットを一次抗体とインキュベーションした。一次抗体には、p−IRS−1、IRS−1、p−ERK1/2、ERK2、SMAD2/3、p−SMAD2/3に対する抗体(Santa Cruz Biotechnology、Santa Cruz、CA、米国)、IGFBP7に対する抗体(R&D Systems、Minneapolis、MN、米国)、サイトケラチン6に対する抗体(ABCAM、Cambridge、MA、米国)が含まれた。ブロットをTris緩衝化生理的食塩水−Tween20(20mM TrisHCl、4mM Tris塩基、140mM NaCl、1mM EDTA、0.1%Tween20)により3回洗浄した。西洋ワサビペルオキシダーゼとコンジュゲート化された二次の抗マウス抗体または抗ウサギ抗体(Sigma−Aldrich、St.Louis、MO、米国)とのインキュベーション、および、続く洗浄の後、タンパク質を、EZ−ECLケミルミネセンス検出キット(Biological Industries、Beit Haemek、イスラエル)を使用して検出した。異なるサンプルにおけるタンパク質の量を比較するために、ブロットを、β−アクチンに対するマウスモノクローナル抗体(Abcam、Cambridge、英国)および二次の西洋ワサビペルオキシダーゼコンジュゲート化抗マウス抗体(Sigma−Aldrich、St.Louis、MO、米国)により再プローブした。
MTTアッセイ−MTT試験は、黄色塩のMTT(3−(4,5−ジメチルチアゾリル−2)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド)(Sigma−Aldrich、St.Louis、MO、米国)を青紫色の不溶性ホルマザン沈殿物に還元する生細胞の選択能力に基づく。MTTをリン酸塩緩衝化生理的食塩水(PBS)に5mg/mlで溶解し、それぞれのウエルに加え(総体積の10%)、37℃で30分間インキュベーションした。インキュベーション後、培地を除き、紫色のホルマザン生成物をジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解した。上清を集め、その後、ELISAリーダーZenyth200(Anthos Labtec、Cambridge、英国)により560nmにおいて走査した。
BrDuアッセイ−BrdUの取り込み速度を、製造者のプロトコルに従って、Cell Proliferation ELISA BrdU比色キット(Roche、Mannheim、ドイツ)によって求めた。450nmにおける吸光度を、ELISAリーダーを使用して測定した。簡単に記載すると、細胞を6ウエルプレートにおいて培養し、BrdUと37℃で6時間インキュベーションした。その後、細胞を固定処理し、DNAを、FixDenat溶液を加えることによって変性した。抗BrdU POD抗体をRTで90分間加え、細胞をすすいだ。免疫複合体を、基質溶液を加えることによって、ELISAリーダーZenyth200(Anthos Labtec、Cambridge、英国)を使用して450nmにおいて検出した。
TUNELアッセイ−アポトーシスを、TUNELキット(Roche、Mannheim、ドイツ)を製造者のプロトコルに従って使用して評価した。簡単に記載すると、細胞を10ng/mlのTNF−α(PeproTech、Rocky Hill、NJ、米国)の添加の有無とともにカバースリップに12時間置き、風乾し、新しく調製された固定処理溶液(リン酸塩緩衝化生理的食塩水における4%パラホルムアルデヒド)により固定処理し、その後、リン酸塩緩衝化生理的食塩水により2回すすいだ。細胞を0.1%のクエン酸ナトリウムにおける0.1%のTriton X−100により透過性処理した。細胞サンプルを、暗所において37℃で1時間、TUNEL反応混合物の存在下、加湿雰囲気でインキュベーションし、DAPIにより対比染色した。1000個を超える細胞をそれぞれのスライドについて計数し、蛍光顕微鏡Zeiss Axioscope 2(Carl Zeiss MicroImaging,Inc.、Thornwood、NY)で調べた。画像分析を、Image−Pro Plus 5ソフトウエアを用いて行った。アポトーシス活性における差は、標準的なスチューデントt検定を使用して計算される0.01未満のp値で有意であると見なした。
アネキシンVアッセイ−アネキシンVアッセイを、ApoAlert(登録商標)Annexin V Apoptosis Kit(Clontech Laboratories,Inc.、CA、米国)を製造者のプロトコルに従って使用して行った。簡単に記載すると、細胞を10ng/mlのTNF−α(PeproTech、Rocky Hill、NJ、米国)の添加の有無とともにカバースリップに12時間置き、供給された結合緩衝液によりすすぎ、室温で15分間、暗所においてアネキシンVおよびヨウ化プロピジウムとインキュベーションした。Hoechst染色を使用して、細胞を対比染色した。1000個を超える細胞をそれぞれのスライドについて計数し、蛍光顕微鏡(Carl Zeiss MicroImaging,Inc.、Thornwood、NY)で調べた。画像分析を、Image−Pro Plus 5ソフトウエアを用いて行った。アポトーシス活性における差は、標準的なスチューデントt検定を使用して計算される0.01未満のp値で有意であると見なした。
老化関連β−ガラクトシダーゼアッセイ−細胞を、染色の48時間前に、6ウエルプレートにおいて2〜4×10細胞/ウエルで接種した。この細胞密度は、培養物がコンフルエンシーに達する前に、染色が行われることを保証する。SA−β−Gal染色を、わずかな改変とともに記載の通りに行った(Dimri GP、Lee X他、1995、老化ヒト細胞を培養およびインビボでの加齢皮膚において特定するバイオマーカー、Proc Natl Acad Sci USA、92:9363〜9367)。簡単に記載すると、細胞を冷PBSにより洗浄し、冷PBSにより希釈された0.5%グルタルアルデヒドにより5分間固定処理した。固定処理後、細胞をPBSで洗浄し、1mg/mlの5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシド(X−Gal)(Roche、Mannheim、ドイツ)と、以前に記載されるような成分の残り(Dimri他、1995、上掲)とを含有する染色溶液において37℃で8時間インキュベーションした。異なるpH値での染色のために、0.1Mのクエン酸溶液および0.2MのNaHPO溶液を適切な割合で混合した。37℃でのインキュベーション期間の後、細胞を冷PBSにより3回洗浄し、画像を集めるまでPBS中で4℃で保存した。
画像の定量的分析を、Matlabアプリケーションを細胞マーキング(SegmentGui)および色分析のために使用して行った[ハイパーテキスト転送プロトコル://md(ドット)technion(ドット)ac(ドット)il/pictures/storage/45/47(ドット)zip]。それぞれの測定のために、少なくとも250個の無作為に選ばれた細胞を手でマーキングした。コルモゴロフ−スミルノフ検定を統計学的分析のために使用した。p値が0.05未満である差を有意であると見なした。
実施例1
IGFBP7の発現が、正常な皮膚と比較して、乾癬皮膚では低下する
実験結果
IGFBP7の発現が、正常な皮膚と比較して、乾癬皮膚では低下する−以前のデータは、乾癬がIGFBP7の低下した発現を伴うことを示した(Hochberg他、2007)。これらのデータを患者の独立した集団において確認するために、本発明者らは、一連の乾癬生検物(n=13)およびコントロール生検物(n=13)におけるIGFBP7タンパク質の発現を免疫組織化学によって調べている(図1D)。IGFBP7が、正常な表皮の全体に強く発現することが見出され(図1A)、これに対して、その発現が乾癬の表皮では存在しないか、または、非常に弱いかのどちらかであった(図1C)。これらの結果は、乾癬患者の皮膚では、IGFBP7の低下した発現が認められることを明らかにする。
血清刺激はIGFBP7発現をダウンレギュレーションする−IGFBP7発現レベルに対する血清の影響を調べるために、HaCat細胞をウシ胎児血清の増大する濃度の存在下で培養し、IGFBP7のmRNAのレベルを48時間後に求めた。図12に示されるように、血清刺激はIGFBP7発現をダウンレギュレーションすることが見出された。このことは、IGFBP7発現の調節におけるEGFRシグナル伝達についての起こり得る役割を示唆する。対照的に、IGFBP7に対するカルシウムの影響は何ら認められなかった(データは示されず)。
実施例2
IGFBP7のダウンレギュレーションは、ケラチノサイトの増殖、生存性およびアポトーシスを増大させる
IGFBP7が乾癬(表皮ケラチノサイトの異常な増殖および分化によって特徴づけられる障害)の病理発生に関与するかどうかを調べるために、本発明者らは、下記のようにケラチノサイトにおけるIGFBP7のダウンレギュレーションを誘導した。
実験結果
IGFBP7のsiRNAは、IGFBPファミリーにおける他の遺伝子ではなく、IGFBP7の特異的なダウンレギュレーションをもたらす−本発明者らは、表皮ケラチノサイト増殖の調節におけるIGFBP7発現についての役割を評価した。siRNAおよびshRNAを、IGFBP7発現をHaCat細胞において一過性および安定的にそれぞれ低下させるために使用し、shRNAを、IGFBP7発現をヒト初代ケラチノサイトにおいて一過性に低下させるために使用した。IGFBP7のダウンレギュレーションがqRT−PCR(図2A)および馴化培地の免疫ブロッティング(図2B)によって確認された。使用されたsiRNAおよびshRNAの標的外影響を除外するために、本発明者らは、IGFBPファミリーの他のメンバーの発現レベルに対するIGFBP7ダウンレギュレーションの影響を調べたが、それらのmRNAレベルにおける著しい変化は何ら見出されなかった(図8)。このことは、使用されたsiRNAおよびshRNAがIGFBP7を特異的に標的としたことを示唆する。
IGFBP7のダウンレギュレーションはケラチノサイトの細胞生存性および細胞増殖を増大させる−HaCat細胞におけるIGFBP7のダウンレギュレーションは、MTTアッセイによって評価されるように細胞生存性を増大させ(図3A)、また、BrDU取り込みによって求められるように細胞増殖速度を増大させた(図3B)。細胞増殖における増大に随伴して、KRT6(表皮増殖のマーカー)の発現が、IGFBP7についてダウンレギュレーションされたHaCat細胞(図3Cおよび図3D)および初代ケラチノサイト(図10)においてアップレギュレーションされた。これらのデータが、MTTアッセイ(図3E)およびBrDU取り込みアッセイ(図3F)の両方を使用して初代ケラチノサイトにおいて確認された。
低下したIGFBP7発現はケラチノサイトにおける低下したアポトーシスを伴う−IGFBP7は、いくつかのガン細胞株において細胞のアポトーシスおよび老化を誘導することが示されている(Akaogi他、1996;Burger他、2005;Ruan他、2007;Sato他、2007;Wajapeyee他、2008;Wilson他、2002)。本発明者らは、ケラチノサイトにおけるアポトーシス活性に対するIGFBP7ダウンレギュレーションの影響を評価した。HaCat細胞をIGFBP7特異的またはコントロールのshRNAまたはsiRNAのどちらかにより安定的または一過性にトランスフェクションし、アポトーシスを、TUNELアッセイおよびアネキシンVアッセイを使用して推定した。本発明者らは、HaCat細胞における低下したIGFBP7発現が、10μg/μlの組換えTNF−αの存在下でさえ、アポトーシス活性における随伴した低下を引き起こしたことを発見した(図4A〜B)。同様に、初代ケラチノサイトにおけるIGFBP7特異的siRNAによるIGFBP7のダウンレギュレーションは、TNF−α誘導の細胞アポトーシスを妨げた(図4C)。同様に、アポトーシスが、TUNELアッセイを使用して示されるように、IGFBP7−shRNAにより一過性にダウンレギュレーションされる初代ケラチノサイトにおいて著しく阻害された(図14A〜B)。
低下したIGFBP7はケラチノサイトの老化には影響しない−ヒトケラチノサイトにおける老化速度に対するIGFBP7ダウンレギュレーションの影響は、β−ガラクトシダーゼ(細胞老化についてのマーカー)の発現によって明らかにされるように何ら認められなかった(図16)。
実施例3
IGFBP7はケラチノサイトのカルシウム誘導による分化に関与する
実験結果
IGFBP7はケラチノサイトの分化に関連する遺伝子のカルシウム誘導発現のために要求される−表皮の恒常性におけるIGFBP7の役割を調べるために、本発明者らは、以前の記載(Boukamp P、Petrussevska RT他、1988、自発的不死化した異数性ヒトケラチノサイト細胞株における正常な角質化、J Cell Biol、106:761〜771)のように、1.4mMのCa2+の培地の存在下でIGFBP7特異的shRNAまたはコントロールshRNAのどちらかを発現するHaCat細胞の分化を誘導した。IGFBP7のダウンレギュレーションは、ケラチノサイト分化の3つのマーカー、すなわち、KRT10、インボルクリン(図5A)およびロリクリン(図11)の誘導を阻止することが見出された。加えて、IGFBP7についてダウンレギュレーションされる細胞は、カルシウム誘導の分化に特徴的な形態学的変化を明らかにすることができなかった(図9A〜D)。同様な結果が初代ケラチノサイトに関して得られた(図5B)。このことは、IGFBP7がケラチノサイトの分化の調節にもまた関与しているかもしれないことを示唆する。
IGFBP7はカルシウム誘導のケラチノサイトの分化に関連する遺伝子の発現を調節する−この可能性をより広いレベルでさらに調べるために、本発明者らは、低い細胞外カルシウム濃度および高い細胞外カルシウム濃度のもとで培養されるHaCat細胞において示差的に発現される遺伝子の発現に対するIGFBP7ダウンレギュレーションの影響を評価するために大域的遺伝子発現分析を行った。IGFBP7のダウンレギュレーションは、細胞外カルシウム濃度における増大に対する応答での発現における2.5倍を超える変化を示す遺伝子の99.6%および76.2%の発現をHaCat細胞および初代ケラチノサイトにおいてそれぞれ著しく減弱したことが本発明者らによって見出された。2つのデータセットの大域的経路GO(遺伝子オントロジー)分析(0.01未満のp値)により、分析において有意に集積することが見出されたプロセス用語のいくつかは、増殖および分化の調節との関連性があることが示された(図5C)。まとめると、これらのデータは、IGFBP7が、カルシウム誘導のケラチノサイトの分化に関連する遺伝子の発現を調節することを示唆する。
低い細胞外カルシウム濃度および高い細胞外カルシウム濃度のもとで培養されるHaCat細胞において示差的に発現される遺伝子の発現に対するIGFBP7ダウンレギュレーションの影響を評価するために、本発明者らは、細胞外カルシウムの増大した濃度に対する応答でのアレイ上に表されるすべての遺伝子(約48000個の転写物)の倍数変化をIGFBP7ダウンレギュレーション細胞およびコントロール細胞において計算した(下記の表3および表4、ならびに、図15A〜D)。その後、遺伝子を2つのデータセットの倍数変化の間における差(倍数変化の倍数変化)に従って分類した。上位100個の遺伝子(増大した100個、低下した100個)が下記の表3および表4に示される。
実施例4
IGFBP7はケラチノサイトの増殖を阻害し、ケラチノサイトのアポトーシスを誘導する
実験結果
組換えIGFBP7はヒトケラチノサイトの増殖を阻害し、ヒトケラチノサイトのアポトーシスを誘導する−ケラチノサイトの増殖および分化の調節におけるIGFBP7の関与を確認するために、本発明者らは、初代ケラチノサイト細胞に対する組換えヒトIGFBP7ポリペプチド(rIGFBP7)の影響を調べた。rIGFBP7の添加は、MTTアッセイ(図6A)によって明らかにされるように、生細胞数における低下を初代ヒトケラチノサイト培養物においてもたらした。この観察結果は、最も可能性が高いこととして、BrDUアッセイ(図6B)によって明らかにされるように細胞増殖における低下によって、同様にまた、図6Cに示されるようにケラチノサイトのアポトーシスにおける増大によって引き起こされた。rIGFBP7は、細胞分化に対する著しい影響を有していなかった(データは示されず)。
実施例5
IGFBP7サイレンシングはケラチノサイトにおけるIRS1およびERKのリン酸化を誘導する
実験結果
TGF−βおよびインスリンのシグナル伝達に対するIGFBP7ダウンレギュレーションの影響−IGFBP7のダウンレギュレーションによって影響されるシグナル伝達経路を調べるために、本発明者らは、IGFBP7について安定的にダウンレギュレーションされるHaCat細胞を使用した。IGFBP7のダウンレギュレーションは、インスリン受容体会合インスリン受容体基質1(IRS1)およびチロシンキナーゼERK1/2のリン酸化を誘導することが見出された。このことは、インスリン受容体を介するシグナル伝達の妨害を示唆する(図7A〜D)。対照的に、IGFBP7はSMAD2/3のリン酸化状態には影響を与えなかった(データは示されず)。
ERKの阻害はIGFBP7ダウンレギュレーションによって誘導される細胞増殖を弱める−IGFBP7媒介の細胞増殖におけるERKの関与をさらに調べるために、IGFBP7のsiRNAによりトランスフェクションされた初代ケラチノサイトをERK阻害剤PD98059により処理した(120μMで72時間、その間、培地を24時間毎に新しくした)。図17に示されるように、ERKの阻害は、IGFBPサイレンシングを受けた細胞において観測されるケラチノサイト増殖の誘導を妨げた。
実施例6
生理学的に関連したモデルにおけるIGFBP7のダウンレギュレーションは免疫学的要素の非存在下で乾癬様表現型を誘導する
本発明者らは、乾癬の病理発生における低下したIGFBP7発現の役割をモデル化するために三次元器官型細胞培養システムを使用した(図18および図19)。このモデルシステムでは、ケラチノサイトが、2週間までの間、コラーゲンおよび線維芽細胞からなる担体における気液界面で成長させられる。この期間中に、ケラチノサイトは完全に分化し、これにより、正常な表皮の生物学のほとんどの生理学的側面を忠実に再現する多層の角化した表皮を形成する。本発明者らは、そのような三次元皮膚同等物を成長させるために必要な条件を確立した。組織学的分析および免疫組織化学的分析により、正規の分化プログラムがこれらの培養物には存在することが確認された。7日目および10日目に、皮膚同等物は、損なわれていない表皮分化の特徴、ならびに、表皮の主要層(基層、有棘層、顆粒層および角化層)および真皮の存在を示した。12日目に、角質層が厚くなり、落屑、すなわち、角化したケラチノサイトの剥離が生じた(図20)。IGFBP7の発現がこの人工的表皮の層化の進行とともに増大することが見出された(図21)。
ケラチノサイト単層におけるこれらの発見の生理学的関連性を確認するために、本発明者らはIGFBP7の発現を皮膚器官型培養物におけるRNA干渉によって抑制した。増殖中のケラチノサイトをエレクトロポレーションによってIGFBP7特異的な小さい干渉性RNAまたはコントロールの小さい干渉性RNAによりトランスフェクションした。続いて、トランスフェクション細胞を、コラーゲンおよび線維芽細胞の担体において、気液境界で、インビトロ皮膚同等モデルの表皮成分として培養した。パンチ生検物を培養14日目に採取し、ホルマリン固定し、H&E染色のために処理した。パンチ生検物をまた、RNA抽出のために7日目に採取し、cDNAに転写し、IGFBP7のmRNA発現についてqRT−PCRによって分析した。IGFBP7特異的siRNAは、IGFBP7の発現を、7日目に測定されるとき、皮膚同等物において、正常なレベルの60%未満に抑制した(データは示されず)。siRNAの影響が器官型皮膚モデルにおいて少なくとも7日間持続した(データは示されず)。IGFBP7についてダウンレギュレーションされる皮膚同等物のH&E染色は、異常な層化、顆粒層の非存在、錯角化および著しい過角化を含めて、驚くべき変化を14日目に明らかにした(図22AおよびB)。
実施例7
組換えIGFBP7は乾癬をヒト化マウスモデルにおいて治癒させる
乾癬に対するIGFBP7の影響を評価するために、本発明者らは、キメラなマウスモデル(図23)を使用した。このモデルは、beige−SCIDマウスに移植される、健康なコントロールに由来する正常な皮膚の使用に基づく。その後、移植片には、乾癬患者から単離されるNK/T細胞が注入される(Gilhar他、2002)。乾癬患者から単離される末梢血単核細胞は、NK完全培地[RPMI 1640、10%ヒトAB血清(Sigma−Aldrich、St.Louis、MO、米国)、1%グルタミンおよび1%抗生物質(ペニシリン/ストレプトマイシン)(Biological Industries、Beit Haemek、イスラエル)、ならびに、100U/mlのIL−2(Pepro Tech Inc.、Rocky Hill、NJ、米国)]において3週間培養される。そのような細胞株は異種NK細胞マーカーを発現し、NK細胞毒性を示す。皮膚生着後4週間で、NK細胞が、T細胞、B細胞およびNK細胞を欠くbeige−SCIDマウスにおけるヒト皮膚外植片に注入され、次の4週間以内に、真のヒト乾癬と区別できない皮膚表現型が現れる(Gilhar他、2002)。
本実施例で使用される実験系では、NK注入後2週間(生着後6週間)において、3つのマウス群が、病巣内PBS、局所用デキサメタゾンおよび病巣内IGFBP7により処置された。処置の影響を処置後2週間(生着後8週間)で組織学分析によってモニターした。
予想されるように、PBSにより処置された5匹すべてのマウスが、表皮肥厚(表皮有棘層の肥厚)、乳頭間隆起の伸長、錯角化(角質層の細胞における核の保持)および過角化(角質層の肥厚)、ならびに、真皮における密集した単核浸潤を始めとする組織学での典型的な乾癬の特徴を示した(図24)。すべてのこれらの特徴が、デキサメタゾンにより処置された5匹すべてのマウスには存在しなかった(図25)。デキサメタゾン(合成ステロイド)が抗炎症性免疫抑制剤として作用する。rIGFBP7により処置されたマウス群では、3匹のマウスが完全な回復を示し(図26)、1匹のマウスが部分的に回復し(50%)、1匹の動物が組織学での乾癬の特徴を示しただけであった。興味深いことに、rIGFBP7による処置は表皮における乾癬表現型を逆戻りさせた一方で、単核の浸潤する細胞が、より少ない数であるにもかかわらず、真皮において依然として認められ得る。このことは、IGFBP7は主として、疾患の病理発生の表皮成分を標的とすることを示唆する。
結果の分析
IGFBP7はケラチノサイトの増殖、分化およびアポトーシスを調節する−インスリン様増殖因子(IGF)結合タンパク質(IGFBP)7は、IGFシグナル伝達の調節に関与するIGFBPスーパーファミリーに属する。IGFBP7はいくつかのプロセス(例えば、性ホルモン放出の調整、細胞分裂促進シグナルの中和、老化の誘導、ガン細胞における接着および血管形成の調節など)に関わっている。加えて、IGFBP7は乾癬表皮においてダウンレギュレーションされ、UVB光線療法はその発現を正常に戻すことが見出された(Hochberg M.他、2007)。
本発明者らは、乾癬の主要な特徴との潜在的関連性がある4つのパラメーター、すなわち、細胞の増殖、分化、アポトーシスおよび老化に対するIGFBP7の影響を調べた。本発明者らは、低いIGFBP7発現がHaCat細胞および初代ヒトケラチノサイトの両方において細胞増殖を誘発し、分化を阻止し、アポトーシスを低下させ、老化速度に対しては何ら影響を有しないことを見出した。逆に、rIGFBP7は、細胞のアポトーシスを誘導し、細胞増殖を低下させることが見出された。
乾癬においては異常であるが、ケラチノサイトの増殖および分化の調節におけるIGFBP7の役割を、IGFBP7がダウンレギュレーションされるインビトロシステムで調べた。HaCat細胞および初代ヒトケラチノサイトを、IGFBP7特異的shRNAを発現するレンチウイルスベクターによりトランスフェクションした。IGFBP7のダウンレギュレーションはケラチノサイトの増殖を両方のシステムにおいて高めることが見出された。加えて、IGFBP7のダウンレギュレーションは、TNF−α誘導のアポトーシスに対するケラチノサイトの感受性における著しい低下を伴ったが、老化に対する影響は何ら有していなかった。IGFBP7のダウンレギュレーションはまた、ヒトケラチノサイトのカルシウム誘導による分化に関連する遺伝子の発現を阻止することが見出された。
加えて、組換えIGFBP7はケラチノサイトの増殖を著しく阻害し、ケラチノサイトのアポトーシスを高めることが見出された。これらのデータはIGFBP7をケラチノサイトの増殖および分化の主要な調節因子として位置づける。このことは、過増殖性障害(例えば、乾癬など)の病態生理学および処置におけるこのタンパク質についての潜在的役割を示唆する。
エクスビボモデルを使用して、本発明者らは、IGFBP7における低下が乾癬の表現型をもたらすことを示した(実施例6;図22A〜B)。加えて、インビボモデルを使用して、本発明者らは、組換えIGFBP7が乾癬をヒト−マウスのキメラモデルにおいて治癒させることを明らかにした(図23〜図26;実施例7)。
結論として、これらのデータはIGFBP7をケラチノサイトの分化および増殖の重要な調節因子として位置づけ、したがって、このタンパク質を、ケラチノサイトの異常な増殖および分化を伴う様々な病状を処置するための魅力のある標的として示唆する。
本発明はその特定の実施態様によって説明してきたが、多くの別法、変更および変形があることは当業者には明らかであることは明白である。従って、本発明は、本願の請求項の精神と広い範囲の中に入るこのような別法、変更および変形すべてを包含するものである。
本明細書で挙げた刊行物、特許および特許出願はすべて、個々の刊行物、特許および特許出願が各々あたかも具体的にかつ個々に引用提示されているのと同程度に、全体を本明細書に援用するものである。さらに、本願で引用または確認したことは本発明の先行技術として利用できるという自白とみなすべきではない。節の見出しが使用されている程度まで、それらは必ずしも限定であると解釈されるべきではない。
配列番号17〜20は、合成構築物の配列である。
配列番号32および33は、SiRNA標的化IGFBP7の配列である。
配列番号34は、ShRNA標的化IGFBP7の配列である。
配列番号35〜46は、一本鎖DNAオリゴヌクレオチドの配列である。

Claims (13)

  1. 過増殖性ケラチノサイトによって特徴づけられる病状を処置する方法であって、その必要性のある対象にインスリン様増殖因子結合タンパク質7(IGFBP7)ポリペプチドまたは前記IGFBP7ポリペプチドをコードする核酸配列の治療効果的な量を投与し、それにより、過増殖性ケラチノサイトによって特徴づけられる病状を処置することを含む方法。
  2. インスリン様増殖因子結合タンパク質7(IGFBP7)ポリペプチドまたは前記IGFBP7ポリペプチドをコードする核酸配列と、医薬的に許容されるキャリアとを、局所的投与のために配合されて含む医薬組成物。
  3. インスリン様増殖因子結合タンパク質7(IGFBP7)ポリペプチドまたは前記IGFBP7ポリペプチドをコードする核酸配列の使用であって、過増殖性ケラチノサイトによって特徴づけられる病状を処置するための医薬品を製造するための使用。
  4. 過増殖性ケラチノサイトによって特徴づけられる病状の処置のために特定される、請求項2に記載の医薬組成物。
  5. 前記IGFBP7ポリペプチドはIGFBP7の機能的部分を少なくとも含む、請求項1に記載の方法、請求項2または4に記載の医薬組成物、または請求項3に記載の使用。
  6. 前記過増殖性ケラチノサイトによって特徴づけられる前記病状は乾癬である、請求項1に記載の方法、請求項4に記載の医薬組成物、または請求項3に記載の使用。
  7. 前記過増殖性ケラチノサイトによって特徴づけられる前記病状は、乾癬、扁平苔癬、毛孔性紅色ひこう疹(PRP)、丘疹鱗屑性疾患、皮膚炎および慢性単純性苔癬からなる群から選択される、請求項1に記載の方法、請求項4に記載の医薬組成物、または請求項3に記載の使用。
  8. 前記皮膚炎は、アトピー性皮膚炎および接触性皮膚炎からなる群から選択される、請求項7に記載の方法、医薬組成物、または使用。
  9. 前記病状の症状を少なくとも部分的に軽減することができる薬剤を対象に投与することをさらに含み、ただし、この場合、前記薬剤は、局所的投与または全身的投与のために、および/あるいは、対象を光線療法により処置するために好適である、請求項1に記載の方法。
  10. 前記局所的投与のために好適な前記薬剤は、コルチコステロイド、ビタミンDのアナログまたは誘導体、アントラリン、局所用レチノイド、カルシニューリン阻害剤、サリチル酸、コールタールおよび保湿剤からなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
  11. 前記光線療法は、日光光線療法、UVB光線療法、狭帯域UVB光線療法、光化学療法、PUVAおよびエキシマレーザーからなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
  12. 前記全身的投与のために好適な前記薬剤は、レチノイド、免疫抑制薬物、免疫標的化生物学的薬剤、イムノトキシンおよび腫瘍壊死因子(TNF)阻止剤からなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
  13. コルチコステロイド、ビタミンDアナログ、アントラリン、局所用レチノイド、カルシニューリン阻害剤、サリチル酸、コールタール、レチノイド、免疫抑制薬物、免疫標的化生物学的薬剤、イムノトキシンおよびTNF阻止剤からなる群から選択される薬剤をさらに含む、請求項2または4に記載の医薬組成物。
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