JP2012509300A - 色素コンジュゲートイメージング剤 - Google Patents

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Abstract

本発明は、インビボ光学イメージングに適したイメージング剤であって、ジヒドロカルバゾリウム色素とペプチドのような生物学的ターゲティング部分とのコンジュゲートを含んでなるイメージング剤に関する。また、医薬組成物及びキット並びにインビボイメージング方法も開示される。ジヒドロカルバゾリウム色素は水溶化基で官能化されていると共に、生物学的ターゲティング部分へのコンジュゲーションを容易にする官能基を有している。
【選択図】なし

Description

本発明は、インビボ光学イメージングに適したイメージング剤であって、ジヒドロカルバゾリウム色素とペプチドのような生物学的ターゲティング部分とのコンジュゲートを含んでなるイメージング剤に関する。また、医薬組成物及びキット並びにインビボイメージング方法も開示される。
多くの光学イメージング剤では、近赤外(NIR)吸収シアニン色素がその蛍光性光学レポーターとして使用されている。光学シグナルの感度を最大にするため、色素の最適光物理的性質は、その大部分で組織が透明である電磁スペクトル部分(700〜850nm)において励起及び発光を可能にすべきである。この要件を満たすシアニン色素は、ヘプタメチンシアニン色素(次の式A)である。
ポリメチン鎖の長さのため、ヘプタメチンシアニン色素は短波長吸収性のペンタ及びトリメチンシアニンに比べて化学安定性及び光安定性の低下を示す。インビボ用途のためには、メチン鎖の中央に環を形成することでヘプタメチンシアニン色素の安定性を高めることが試みられた。
米国特許第6083485号及びその対応特許には、2.0以下のオクタノール−水分配係数を有するシアニン色素を用いるインビボ近赤外(NIR)光学イメージング方法が開示されている。また、前記色素と、特定の細胞集団に結合し、或いはレセプターと選択的に結合し、或いは組織又は腫瘍中に集積する30kDaまでの分子量の「生物学的検出単位」とのコンジュゲートも開示されている。米国特許第6083485号の色素は、ポリリシン、デキストラン又はポリエチレングリコールのような巨大分子にコンジュゲートすることもできる。特定の色素コンジュゲートは開示されていない。
米国特許第5892056号には、次の式Bの色素が開示されている。
式中、
1はC1-18アルキル、アリール、スルホアルキル、カルボキシアルキル、スルファトアルキル、アシルオキシアルキル、ジアルキルアミノアルキレン、シクロアミノアルキレン、アシル又はアルケニルであり、
2はC1-18アルキルであり、
3及びR4はH又はC1-18アルキルであり、
5はH、NO2、カルボキシル、スルホ、OH、Hal、C1-18アルコキシ、チオアルコキシ、オキシアルキル、アシル、アルキル、アリール又はアミノ基であり、
いずれか2つのR5基、又はR4及びR5、又はR1及びR4は、一緒になって置換又は非置換のアリール環、ヘテロアリール環、脂肪族環又は複素環を形成することができ、
Zは、カルボシアニン色素、アザカルボシアニン色素、ヘミシアニン色素、スチリル色素、ジアザカルボシアニン色素、トリアザカルボシアニン色素、ジアザヘミシアニン色素、ポリメチンシアニン色素、アザポリメチンシアニン色素、ホロポーラー色素、インドシアニン色素、メロシアニン色素、スクアリリウム色素及びジアザヘミシアニン色素からなる群から選択される色素を完成するために必要な原子を表す。
米国特許第5892056号には、色素と生物学的ターゲティング部分とのコンジュゲートについても、かかるコンジュゲートの製造に適した色素の官能化形態についても開示されていない。また、米国特許第5892056号には、インビボ光学イメージング用途についても開示されていない。
特開2005−220045号(コニカミノルタエムジー株式会社)には、特に癌のインビボ光学イメージングのための、マイクロキャリヤー(特にリポソーム)に内包された色素が開示されている。記載されている色素は、インドシアニングリーン(ICG)及び米国特許第5892056号に開示された色素(4以上のスルホン酸置換基を有するものを含む)を含むシアニン色素である。特開2005−220045号には、記載された色素のいずれかと生物学的ターゲティング分子とのコンジュゲートは開示されていない。
米国特許出願公開第2005/0136007号には、次の式Cのシアニン化合物を含む近赤外蛍光造影剤が開示されている。
式中、
RはH、低級アルキル基又は芳香族基であり、
1及びR2は各々が水溶化基を含む脂肪族基であり、
3及びR4は各々が低級アルキル基または芳香族基であるが、R3及びR4が互いに結合して炭素環を形成してもよく、
1〜L6は各々がメチン基であるが、nが1又は2である場合にはL6がR3又はR4と結合して炭素環を形成してもよく、nが0である場合にはL4がR3又はR4と結合して炭素環を形成してもよく、
1及びZ2は各々が五員環又は六員環を形成するのに必要な非金属原子群であり、
Xは分子の電荷を中和するのに必要な対イオンであり、
pは分子の電荷を中和するのに必要なXの数であり、
mは2〜4の整数であり、
nは0〜2の整数である。
米国特許出願公開第2005/0136007号には、色素と生物学的ターゲティング部分とのコンジュゲートについても、かかるコンジュゲートの製造に適した色素の官能化形態についても開示されていない。
特開2005−220045号公報
本発明は、インビボでの光学イメージングに適した光物理的性質を有するジヒドロカルバゾリウム色素を提供する。本発明の色素は、蛍光性であると共に、シアニン色素Cy7に匹敵する性質を有することが判明した。このような蛍光性は、先行技術におけるジヒドロカルバゾリウム色素に関しては報告されていない。
本発明のジヒドロカルバゾリウム色素では、複素環を結合するメチン鎖の2つの炭素原子が六員環の一部をなしている。米国特許出願公開第2005/0136007号の色素では、メチン鎖の1つの炭素原子のみが縮合環の一部をなしている。本発明の色素は、水溶化基及び生物学的ターゲティング部分へのコンジュゲーションを容易にする基で官能化されている。それにより、本発明の色素は各種の生物学的ターゲティング分子とのコンジュゲートとしてインビボでの光学イメージングのために有用である。本発明の色素はまた、対応するヘプタメチンシアニン色素より高い量子収量を有している。
図1は、色素Aの吸光度スペクトルを示す。 図2は、746nmでの励起及び分光光度計キュベット内で250nMの濃度を用いた色素Aの蛍光発光スペクトルを示す。 図3は、Cy7の吸光度スペクトルを示す。 図4は、748nmでの励起及び分光光度計キュベット内で250nMの濃度を用いたCy7の蛍光発光スペクトルを示す。 図5は、色素Aの光退色を示す。 図6は、Cy7の光退色を示す。
第1の態様では、本発明は、哺乳類の身体のインビボ光学イメージングに適したイメージング剤であって、次の式Iのコンジュゲートを含んでなるイメージング剤を提供する。
[BTM]−(L)n−CzD
(I)
式中、
BTMは生物学的ターゲティング部分であり、
CzDは次の式IIのジヒドロカルバゾリウム色素であり、
(式中、
1、R2及びR11〜R16は各々独立にRa基であり、
3〜R10は各々独立にH、−SO31、−CO21、C2-7カルボキシアルキル、C1-4ヒドロキシアルキル、又は1〜3のヒドロキシ基で任意に置換されたC2-7カルボキサミドアルキルであり、式中のM1は独立にH又はBcであり、Bcは生体適合性陽イオンであり、
17〜R20は各々独立にH又はRa基であり、
aはC1-4アルキル、C1-4スルホアルキル、C2-7カルボキシアルキル又はC1-4ヒドロキシアルキルである。)
Lは式−(A)m−(式中、各Aは独立に−CR2−、−CR=CR−、−C≡C−、−CR2CO2−、−CO2CR2−、−NRCO−、−CONR−、−NR(C=O)NR−、−NR(C=S)NR−、−SO2NR−、−NRSO2−、−CR2OCR2−、−CR2SCR2−、−CR2NRCR2−、C4-8シクロヘテロアルキレン基、C4-8シクロアルキレン基、C5-12アリーレン基又はC3-12ヘテロアリーレン基、或いはアミノ酸、糖又は単分散ポリエチレングリコール(PEG)構成単位であり、各Rは独立にH、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C1-4アルコキシアルキル及びC1-4ヒドロキシアルキルから選択され、mは1〜20の値を有する整数である。)の合成リンカー基であり、
nは0又は1の値を有する整数であり、
ジヒドロカルバゾリウム色素は2以上のスルホン酸置換基を含むことを条件とする。
「イメージング剤」という用語は、完全な(即ち、無傷の)哺乳類の身体の関心領域のインビボでの光学イメージングを行うために適した化合物を意味する。好ましくは、哺乳動物はヒト被験体である。イメージングは侵襲的(例えば、手術中検査又は内視鏡検査)であってもよいし、或いは非侵襲的であってもよい。イメージングは、任意には(例えば、内視鏡器具の生検チャネルを通しての)生検又は(例えば、腫瘍縁の同定による手術処置中の)腫瘍切除を容易にするために使用できる。
式Iのコンジュゲートはインビボイメージングのために適するが、それはインビトロ用途(例えば、生物学的試料中のBTMを定量するアッセイ又は組織試料中のBTMの可視化)も有し得る。好ましくは、イメージング剤はインビボイメージングのために使用される。
「生物学的ターゲティング部分」(BTM)という用語は、投与後、哺乳類の身体の特定部位に選択的に取り込まれるか又は特定部位に局在する化合物を意味する。かかる部位は、例えば、特定の疾患状態に関係するものであるか、或いは器官又は代謝過程がいかに機能しているかを表すものであり得る。生物学的ターゲティング部分は、好ましくは、線状ペプチド、環状ペプチド又はこれらの組合せであり得る3〜100量体ペプチド、ペプチド類似体、ペプトイド又はペプチド模倣体、単一のアミノ酸、酵素基質、酵素アンタゴニスト、酵素アゴニスト(部分アゴニストを含む)又は酵素阻害剤、レセプター結合化合物(レセプター基質、アンタゴニスト、アゴニスト又は基質を含む)、オリゴヌクレオチド、或いはオリゴDNAフラグメント又はオリゴRNAフラグメントからなる。
「ペプチド」という用語は、ペプチド結合(即ち、1つのアミノ酸のアミンを別のアミノ酸のカルボキシルに連結するアミド結合)によって連結された(下記に定義するような)2以上のアミノ酸を含む化合物を意味する。「ペプチド模倣体」又は「模倣体」という用語は、ペプチド又はタンパク質の生物学的活性を模倣するが、化学的性質がペプチド的でない(即ち、いかなるペプチド結合(つまり、アミノ酸間のアミド結合)も含まない)生物学的活性化合物をいう。ここでは、ペプチド模倣体という用語は広い意味で使用され、性質が完全にはペプチド的でない分子(例えば、プソイドペプチド、セミペプチド及びペプトイド)を包含する。「ペプチド類似体」という用語は、下記に記載するような1種以上のアミノ酸類似体を含むペプチドをいう。“Synthesis of Peptides and Peptidomimetics”,M.Goodman et al,Houben−Weyl E22c,Thiemeも参照されたい。
「アミノ酸」という用語は、L−又はD−アミノ酸、アミノ酸類似体(例えば、ナフチルアラニン)或いはアミノ酸模倣体を意味し、これらは天然のもの又は純粋に合成由来のものであってよく、光学的に純粋なもの(即ち、単一の鏡像異性体)、したがってキラルなものであるか、或いは鏡像異性体の混合物であってよい。本明細書中では、アミノ酸に関する通常の三文字略語又は一文字略語が使用される。好ましくは、本発明のアミノ酸は光学的に純粋なものである。「アミノ酸模倣体」という用語は、アイソスター(即ち、天然化合物の立体構造及び電子構造を模倣するように設計されたもの)である天然アミノ酸の合成類似体を意味する。かかるアイソスターは当業者にとって公知であり、特に限定されないが、デプシペプチド、レトロ−インベルソペプチド、チオアミド、シクロアルカン又は1,5−二置換テトラゾールを包含する[M.Goodman,Biopolymers,24,137(1985)を参照されたい]。
BTMが酵素基質、酵素アンタゴニスト、酵素アゴニスト、酵素阻害剤又はレセプター結合化合物である場合、それは好ましくは非ペプチドであり、さらに好ましくは合成品である。「非ペプチド」という用語は、いかなるペプチド結合(即ち、2つのアミノ酸残基間のアミド結合)も含まない化合物を意味する。好適な酵素の基質、アンタゴニスト、アゴニスト又は阻害剤には、グルコース及びグルコース類似体(例えば、フルオロデオキシグルコース)、脂肪酸、或いはエラスターゼ、アンギオテンシンII又はメタロプロテイナーゼ阻害剤がある。好ましい非ペプチドのアンギオテンシンIIアンタゴニストはロサルタンである。好適な合成レセプター結合化合物には、エストラジオール、エストロゲン、プロゲスチン、プロゲステロン及び他のステロイドホルモン、ドーパミンD−1又はD−2レセプター用リガンド及びトロパンのようなドーパミン輸送体用リガンド、並びにセロトニンレセプター用リガンドがある。
「スルホン酸置換基」という用語は、式−SO31(式中、M1はH又はBcであり、Bcは生体適合性陽イオンである。)の置換基を意味する。−SO31置換基は炭素原子に共有結合され、炭素原子はアリール(例えば、R3〜R10基)又はアルキル(即ち、スルホアルキル基)であり得る。「生体適合性陽イオン」(Bc)という用語は、イオン化して負に帯電した基(この場合にはスルホネート基)と共に塩を形成する正に帯電した対イオンを意味する。この場合、前記正に帯電した対イオンも無毒性であり、したがって哺乳類の身体(特に人体)への投与に適している。好適な生体適合性陽イオンの例には、アルカリ金属であるナトリウム及びカリウム、アルカリ土類金属であるカルシウム及びマグネシウム、並びにアンモニウムイオンがある。好ましい生体適合性陽イオンはナトリウム及びカリウムであり、最も好ましくはナトリウムである。
式IIのジヒドロカルバゾリウム色素(CzD)は、緑色ないし近赤外波長(500〜1200nm、好ましくは600〜1000nm)の光を用いる光学イメージング方法で直接又は間接に検出できる蛍光色素又は発色団である。好ましくは、CzDは蛍光性を有する。
式Iのリンカー基−(A)m−の役割の1つは、CzDをBTMの活性部位から遠ざけることにあると想定されている。これが特に重要であるのは、CzDが比較的バルキーであり、したがって不都合な立体相互作用が起こり得るからである。これは、CzDが活性部位から離れて位置する自由を与えるたわみ性(例えば、単純アルキル鎖)及び/又はCzDを活性部位から離すように定位させる剛性(例えば、シクロアルキル又はアリールスペーサー)を組み合わせることで達成できる。リンカー基の性質はまた、イメージング剤の生体分布を調整するためにも使用できる。即ち、例えばリンカー中にエーテル基を導入することは、血漿タンパク質結合を最小限に抑えるために役立つ。−(A)m−がポリエチレングリコール(PEG)構成単位又は1〜10のアミノ酸残基を有するペプチド鎖からなる場合、リンカー基はインビボでイメージング剤の薬物動態及び血中クリアランス速度を調整するために機能し得る。かかる「バイオモディファイアー」リンカー基は、バックグラウンド組織(例えば、筋肉又は肝臓)及び/又は血液からのイメージング剤のクリアランスを促進することで、バックグラウンド妨害を少なくして一層良好な診断画像を与えることができる。バイオモディファイアーリンカー基はまた、特定の排泄経路(例えば、肝臓経由ではなく腎臓経由の排泄)を有利にするためにも使用できる。
「糖」という用語は、単糖、二糖又は三糖を意味する。好適な糖には、グルコース、ガラクトース、マルトース、マンノース及びラクトースがある。任意には、アミノ酸への容易なカップリングを可能にするように糖を官能化することができる。即ち、例えばアミノ酸のグルコサミン誘導体は、ペプチド結合を介して他のアミノ酸にコンジュゲートすることができる。(NovaBiochem社から商業的に入手できる)アスパラギンのグルコサミン誘導体はこれの一例である。
式Iは、−(L)n[CzD]部分がBTMの任意適宜の位置に結合し得ることを示す。−(L)n[CzD]部分に対して好適なかかる位置は、インビボで活性部位への結合に係わるBTM部分から離れた位置にあるように選択される。式Iの[BTM]−(L)n−部分は、式IIのCzDの任意適宜の位置に結合し得る。[BTM]−(L)n−部分は、既存の置換基に取って代わるか、或いはCzDの既存の置換基に共有結合する。[BTM]−(L)n−部分は、好ましくは、第5の態様(下記)で説明されるようにCzDのカルボキシアルキル置換基を介して結合する。
好ましい特徴
イメージング剤の分子量は、好適には30000ダルトン以下である。好ましくは、分子量は1000〜20000ダルトンの範囲内にあり、最も好ましくは2000〜18000ダルトンの範囲内にあり、2500〜16000ダルトンが特に好ましい。
BTMは合成品又は天然品であり得るが、好ましくは合成品である。「合成品」という用語はそれの通常の意味を有し、即ち、天然の供給源(例えば、哺乳類の身体)から単離されるものではなく人造のものを意味する。かかる化合物は、それの製造及び不純物プロファイルを完全に制御できるという利点を有している。したがって、天然由来のモノクローナル抗体及びそのフラグメントは、本明細書中で使用する「合成品」という用語の範囲外にある。BTMは、好ましくは3〜100量体ペプチド、酵素基質、酵素アンタゴニスト及び酵素阻害剤から選択される。BTMは、最も好ましくは3〜100量体ペプチド又はペプチド類似体である。BTMがペプチドである場合、それは好ましくは4〜30量体ペプチドであり、最も好ましくは5〜28量体ペプチドである。
式II中、好ましくはR19及びR20の少なくとも一方がHであり、最も好ましくは両方がHである。
3〜R10のカルボキサミドアルキル置換基は、好ましくは次の式を有する。
−(CHR')xCONR'2
式中、xは1〜6の値を有する整数であり、各R'は独立にH、C1-3アルキル又はC1-3ヒドロキシアルキルである。好ましいかかる置換基は−(CH2xCONR'2(式中、x及びR'は上記に定義した通りである。)である。
ジヒドロカルバゾリウム色素(CzD)は、好ましくは、(R3〜R10の)−SO31基及び(RaがC1-4スルホアルキルであるように選択された場合には)スルホアルキル基から選択される全部で3又は4のスルホン酸置換基を有する。好ましくは、CzDは1〜3のスルホアルキル置換基を含み、最も好ましくは、CzDのスルホン酸置換基の少なくとも2つはスルホアルキル基であるように選択される。スルホアルキル基は、好ましくはR1、R2、R15又はR18の位置にある。式II中、スルホアルキル基は好ましくは式−(CH2kSO31(式中、M1はH又はBcであり、kは1〜4の値を有する整数であり、Bcは(上記に定義したような)生体適合性陽イオンである。)を有する。kは好ましくは3又は4である。
式II中のR11及びR12は、好ましくは、一方がRb基(式中、RbはC1-4スルホアルキル又はC2-7カルボキシアルキルである。)であり、他方がCH3であるように選択される。
式Iの[BTM]−(L)n−部分は、好ましくは式IIのCzDのR1、R2、R11又はR17の位置、さらに好ましくはR1、R11又はR17の位置、最も好ましくはR1又はR11の位置に結合している。
特に好ましいCzD色素は次の式IIaを有する。
式中、
1a及びR2aは各々独立にRb基であり、
11a及びR12aは各々独立にCH3又はRb基であり、
13a〜R15aは各々独立にCH3、CH2OH又はC2-5カルボキシアルキルであり、
17a及びR18aは各々独立にH又はRb基であり、
21及びR22は各々独立に−SO31又は−CO21であり、
b及びM1は上記に定義した通りであり、
各nは独立に0、1又は2である。
式IIa中、好ましくはR17a及びR18aの少なくとも一方がHである。最も好ましくは、R17a=R18a=Hである。式IIa中、好ましくはR1a及びR2aの少なくとも一方がC1-4スルホアルキルであり、最も好ましくは両方がC1-4スルホアルキルである。式IIa中、好ましくはR11a及びR12aの一方がRb基(式中、Rbは上記に定義した通りである。)であり、他方がCH3である。
BTMがペプチドである場合、好ましいかかるペプチドには以下のものがある。
−ソマトスタチン、オクトレオチド及び類似体。
−STレセプターに結合するペプチド(ここで、STとは大腸菌(E.coli)及び他の微生物によって産生される耐熱性毒素をいう。)。
−ラミニンフラグメント、例えば、YIGSR、PDSGR、IKVAV、LRE及びKCQAGTFALRGDPQG。
−白血球集積部位をターゲティングするためのN−ホルミルペプチド。
−血小板第4因子(PF4)及びそれのフラグメント。
−例えば血管形成をターゲティングし得るRGD(Arg−Gly−Asp)含有ペプチド[R.Pasqualini et al.,Nat Biotechnol.1997 Jun;15(6):542−6]、[E.Ruoslahti,Kidney Int.1997 May;51(5):1413−7]。
−α2−抗プラスミン、フィブロネクチン、β−カゼイン、フィブリノーゲン又はトロンボスポンジンのペプチドフラグメント。α2−抗プラスミン、フィブロネクチン、β−カゼイン、フィブリノーゲン及びトロンボスポンジンのアミノ酸配列は、以下の参考文献中に見出すことができる。α2−抗プラスミン前駆体[M.Tone et al.,J.Biochem,102,1033(1987)]、β−カゼイン[L.Hansson et al,Gene,139,193(1994)]、フィブロネクチン[A.Gutman et al,FEBS Lett.,207,145(1996)]、トロンボスポンジン1前駆体[V.Dixit et al,Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,83,5449(1986)]、R.F.Doolittle,Ann.Rev.Biochem.,53,195(1984)。
−アンギオテンシンII:Asp−Arg−Val−Tyr−Ile−His−Pro−Phe(E.C.Jorgensen et al,J.Med.Chem.,1979,Vol 22,9,1038−1044)及び[Sar,Ile]アンギオテンシンII:Sar−Arg−Val−Tyr−Ile−His−Pro−Ile(R.K.Turker et al.,Science,1972,177,1203)のようなアンギオテンシンの基質又は阻害剤であるペプチド。
−アンギオテンシンI:Asp−Arg−Val−Tyr−Ile−His−Pro−Phe−His−Leu。
BTMがペプチドである場合、ペプチドの一方又は両方の末端(好ましくは両方の末端)に代謝抑制基(MIG)がコンジュゲートされる。このようにして両方のペプチド末端を保護することは、インビボイメージング用途のために重要である。さもないと、急速な代謝の結果としてBTMペプチドに対する選択的結合親和性が失われると予想されるからである。「代謝抑制基」(MIG)という用語は、アミノ末端又はカルボキシ末端におけるBTMペプチドの酵素(特にカルボキシペプチダーゼのようなペプチダーゼ)代謝を阻止又は抑制する生体適合性基を意味する。かかる基はインビボ用途のために特に重要であって、これらは当業者にとって公知であり、好適にはペプチドアミン末端に関してはN−アシル化基−NH(C=O)RG(式中、アシル基−(C=O)RGはC1-6アルキル基及びC3-10アリール基から選択されるRGを有するか、或いはポリエチレングリコール(PEG)構成単位を含む。)から選択される。好適なPEG基は、リンカー基(L)に関して下記に記載される。好ましいかかるPEG基は、式Bio1又はBio2(下記)のバイオモディファイアーである。好ましいかかるアミノ末端MIG基はアセチル、ベンジルオキシカルボニル又はトリフルオロアセチルであり、最も好ましくはアセチルである。
ペプチドカルボキシル末端に関して好適な代謝抑制基には、カルボキサミド、tert−ブチルエステル、ベンジルエステル、シクロヘキシルエステル、アミノアルコール及びポリエチレングリコール(PEG)構成単位がある。BTMペプチドのカルボキシ末端アミノ酸残基にとって好適なMIG基は、アミノ酸残基の末端アミンをC1-4アルキル基(好ましくはメチル基)でN−アルキル化したものである。好ましいかかるMIG基はカルボキサミド又はPEGであり、最も好ましいかかる基はカルボキサミドである。
いずれか一方又は両方のペプチド末端がMIG基で保護された場合、−(L)n[CzD]部分はMIG基に任意に結合できる。好ましくは、少なくとも一方のペプチド末端はMIG基を有しておらず、その位置に−(L)n[CzD]部分が結合することでそれぞれ次の式IVa又はIVbの化合物が得られる。
[CzD]−(L)n−[BTM]−Z2 (IVa)
1−[BTM]−(L)n−[CzD] (IVb)
式中、
1はBTMペプチドのN末端に結合していて、H又はMIGであり、
2はBTMペプチドのC末端に結合していて、OH、OBc(式中、Bcは(上記に定義したような)生体適合性陽イオンである。)又はMIGである。
式IVa及びIVb中、Z1及びZ2は好ましくは共に独立にMIGである。Z1及びZ2にとって好ましいかかるMIG基は、ペプチド末端に関して上記に記載した通りである。いずれかのペプチド末端におけるBTMペプチドの代謝抑制はこのように−(L)n[CzD]部分を結合することによっても達成できるが、−(L)n[CzD]自体は本発明のMIGの定義範囲外にある。
BTMペプチドは、任意には、CzDの容易なコンジュゲーションに適した側鎖を有しかつリンカー基(L)のA残基の一部をなす1以上の追加アミノ酸残基を含み得る。好適なかかるアミノ酸残基には、アミン官能化CzD色素とのコンジュゲーションのためのAsp又はGlu残基、或いはカルボキシ官能化又は活性エステル官能化CzD色素とのコンジュゲーションのためのLys残基がある。CzDのコンジュゲーションのための追加アミノ酸残基は、好適にはBTMペプチドの結合領域から離れて位置しており、好ましくはC末端又はN末端に位置している。好ましくは、コンジュゲーションのためのアミノ酸残基はLys残基である。
合成リンカー基(L)が存在する場合、それは好ましくは[BTM]及びCzDへのコンジュゲーションを容易にする末端官能基を含む。好適なかかる基(Qa)は第5の態様(下記)で記載する。Lが1〜10のアミノ酸残基を有するペプチド鎖からなる場合、アミノ酸残基は好ましくはグリシン、リシン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸及びセリンから選択される。LがPEG部分からなる場合、それは好ましくは次の式Bio1又はBio2の単分散PEG様構造のオリゴマー化で導かれる単位からなる。
かかるPEG様構造は、式Bio1(式中、pは1〜10の整数である。)の17−アミノ−5−オキソ−6−アザ−3,9,12,15−テトラオキサヘプタデカン酸であり得る。別法として、式Bio2のプロピオン酸誘導体に基づくPEG様構造も使用できる。
式中、pは式Bio1に関して定義した通りであり、qは3〜15の整数である。式Bio2中、pは好ましくは1又は2であり、qは好ましくは5〜12である。
リンカー基がPEG又はペプチド鎖からなっていない場合、好ましいL基は、2〜10の原子、最も好ましくは2〜5の原子、特に好ましくは2又は3の原子を含む−(A)m−部分を構成する結合原子の主鎖を有している。2つの原子を含む最小リンカー基主鎖は、いかなる望ましくない相互作用も最小限に抑えられるようにCzDを十分に引き離すという利点を与える。
商業的に入手できないBTMペプチドは、P.Lloyd−Williams,F.Albericio and E.Girald;Chemical Approaches to the Synthesis of Peptides and Proteins,CRC Press,1997に記載されているような固相ペプチド合成法によって合成できる。
イメージング剤は以下のようにして製造できる。
BTMに対するCzDのコンジュゲーションを容易にするため、CzDには好適には反応性官能基(Qa)が結合されている。Qa基は、BTMの相補的な官能基と反応することでCzDとBTMとの間に共有結合を形成するように設計されている。BTMの相補的な官能基は、BTMの固有部分であってもよいし、或いは当技術分野で公知のように二官能性基での誘導体化の使用によって導入してもよい。表1は、反応基及びその相補的な対応基の例を示す。
「活性化エステル」又は「活性エステル」という用語は、良好な脱離基であり、したがってアミンのような求核性化合物との一層容易な反応を可能にするように設計されたカルボン酸のエステル誘導体を意味する。好適な活性エステルの例は、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)、ペンタフルオロフェノール、ペンタフルオロチオフェノール、p−ニトロフェノール及びヒドロキシベンゾトリアゾールである。好ましい活性エステルは、N−ヒドロキシスクシンイミド又はペンタフルオロフェノールエステルである。
Qaがアジド又はアルキンである場合、コンジュゲーション反応はトリアゾール環を形成する「クリック化学」を含んでいる。コンジュゲート形成で使用されるクリック化学の詳細は、“ClickChemistry for Biotechnology and Materials Science”[J.Lahann(Ed),Wiley(2009)]中の“Synthesis and Functionalization of Biomolecules via Click Chemistry”,C.Schilling et al,Chapter 15,pages 355−378に記載されている。アルキン基又はアジド基による生物学的ターゲティング分子の官能化のためのさらなるアプローチは、Nwe et al[Cancer Biother.Radiopharm.,24(3),289−302(2009)]によって記載されている。Li et alは、N3−L1−CO2H型(式中、L1は−(CH24−である。)の化合物の合成法及びアミン含有BTMへのコンジュゲートのためのそれの使用を記載している[Bioconj.Chem.,18(6),1987−1994(2007)]。Hausner et alは、N3−L1−CO2H(式中、L1は−(CH24−である。)についての関連方法論を記載している[J.Med.Chem.,51(19),5901−5904(2008)]。De Graaf et al[Bioconj.Chem.,20(7),1281−1295(2009)]は、アジド側鎖を有する非天然アミノ酸及び続くクリックコンジュゲーションのためのペプチド又はタンパク質中への部位特異的組込みを記載している。
タンパク質、ペプチド、核酸、炭水化物などのBTM中に存在する官能基の例には、ヒドロキシ、アミノ、スルフヒドリル、カルボニル(アルデヒド及びケトンを含む)並びにチオホスフェートがある。好適なQa基は、カルボキシル、活性化エステル、イソチオシアネート、マレイミド、ハロアセトアミド、ヒドラジド、ビニルスルホン、ジクロロトリアジン及びホスホラミダイトから選択できる。好ましくは、Qaはカルボン酸の活性化エステル、イソチオシアネート、マレイミド又はハロアセトアミドである。
相補基がアミン又はヒドロキシルである場合、Qaは好ましくは活性化エステルであり、好ましいかかるエステルは上記に記載した通りである。CzD上の好ましいかかる置換基は、5−カルボキシペンチル基の活性化エステルである。相補基がチオールである場合、Qaは好ましくはマレイミド基又はヨードアセトアミド基である。
光学色素を生物学的分子にコンジュゲートするための一般的方法は、Licha et al[Topics Curr.Chem.,222,1−29(2002);Adv.Drug Deliv.Rev.,57,1087−1108(2005)]によって記載されている。本発明で使用するためのペプチド、タンパク質及びオリゴヌクレオチド基質は、末端位置で標識することができ、或いは別法として1以上の内部位置で標識することができる。蛍光色素標識試薬を用いるタンパク質標識の総説及び例に関しては、“Non−Radioactive Labelling,a Practical Introduction”,Garman,A.J.,Academic Press,1997、及び“Bioconjugation − Protein Coupling Techniques for the Biomedical Sciences”,Aslam,M.and Dent,A.,Macmillan Reference Ltd.(1998)を参照されたい。合成ペプチドにおいて部位特異的標識を達成するためのプロトコルが利用できる。例えば、Hermanson,G.T.,“Bioconjugate Techniques”,Academic Press(1996)を参照されたい。
好ましくは、イメージング剤の製造方法は、
(i)BTMのアミン官能基を式Y1−(L)n−[CzD]の化合物と反応させるか、
(ii)BTMのカルボン酸又は活性化エステル官能基を式Y2−(L)n−[CzD]の化合物と反応させるか、或いは
(iii)BTMのチオール基を式Y3−(L)n−[CzD]の化合物と反応させる
ことを含んでいる。式中、
BTM、MIG、L、n及びCzDは上記に定義した通りであり、
1はカルボン酸基、活性化エステル基、イソチオシアネート基又はチオシアネート基であり、
2はアミン基であり、
3はマレイミド基である。
2は、好ましくは第一又は第二アミン基であり、最も好ましくは第一アミン基である。段階(iii)では、BTMのチオール基は好ましくはシステイン残基に由来する。
段階(i)〜(iii)では、BTMはCzD誘導体と反応する可能性がある他の官能基を任意に有し得るが、これらは所望の部位のみで化学反応が選択的に起こるように適当な保護基で保護される。「保護基」という用語は、望ましくない化学反応を阻止又は抑制するが、分子の残部を変質させない程度に温和な条件下で問題の官能基から脱離させ得るのに十分な反応性を有するように設計された基を意味する。脱保護後には所望の生成物が得られる。アミン保護基は当業者にとって公知であり、好適にはBoc(ここでBocはtert−ブチルオキシカルボニルである。)、Fmoc(ここでFmocはフルオレニルメトキシカルボニルである。)、トリフルオロアセチル、アリルオキシカルボニル、Dde[即ち、1−(4,4−ジメチル−2,6−ジオキソシクロヘキシリデン)エチル]及びNpys(即ち、3−ニトロ−2−ピリジンスルフェニル)から適宜に選択される。好適なチオール保護基は、Trt(トリチル)、Acm(アセトアミドメチル)、t−Bu(tert−ブチル)、tert−ブチルチオ、メトキシベンジル、メチルベンジル及びNpys(3−ニトロ−2−ピリジンスルフェニル)である。さらに他の保護基の使用は、‘Protective Groups in Organic Synthesis’,Theodora W.Greene and Peter G.M.Wuts(John Wiley & Sons,1991)に記載されている。好ましいアミン保護基はBoc及びFmocであり、最も好ましくはBocである。好ましいアミン保護基はTrt及びAcmである。
本発明のCzD色素は、実施例に記載されるようにして製造できる。
光学レポーター色素をアミノ酸及びペプチドにコンジュゲートする方法は、Licha(上記参照)並びにFlanagan et al[Bioconj.Chem.,,751−756(1997)]、Lin et al[ibid,13,605−610(2002)]及びZaheer[Mol.Imaging,(4),354−364(2002)]によって記載されている。リンカー基(L)をBTMにコンジュゲートする方法は、色素のみをコンジュゲートする方法(上記参照)と類似の化学作用を使用し、当技術分野で公知である。
第2の態様では、本発明は、哺乳動物への投与に適した形態で第1の態様のイメージング剤を生体適合性キャリヤーと共に含んでなる医薬組成物を提供する。
「生体適合性キャリヤー」は、組成物が生理学的に認容され得るようにして(即ち、毒性又は過度の不快感なしに哺乳類の身体に投与できるようにして)イメージング剤を懸濁又は溶解できる流体(特に液体)である。生体適合性キャリヤーは、好適には、無菌のパイロジェンフリー注射用水、(有利には注射用の最終生成物が等張性になるように平衡させ得る)食塩水のような水溶液、或いは1種以上の張度調整物質(例えば、血漿陽イオンと生体適合性対イオンとの塩)、糖(例えば、グルコース又はスクロース)、糖アルコール(例えば、ソルビトール又はマンニトール)、グリコール(例えば、グリセロール)又は他の非イオン性ポリオール物質(例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールなど)の水溶液のような注射可能なキャリヤー液体である。好ましくは、生体適合性キャリヤーはパイロジェンフリー注射用水又は等張食塩水である。
イメージング剤及び生体適合性キャリヤーはそれぞれ、注射器又はカニューレによる溶液の追加及び抜取りを許しながら、無菌保全性及び/又は放射能安全性の維持、さらに任意には不活性ヘッドスペースガス(例えば、窒素又はアルゴン)の維持を可能にする密封容器からなる適当なバイアル又は容器に入れた状態で供給される。好ましいかかる容器は、気密クロージャーを(通例はアルミニウムからなる)オーバーシールと共にクリンプ加工した隔壁密封バイアルである。クロージャーは、無菌保全性を維持しながら皮下注射針による1回又は数回の穿刺に適したもの(例えば、クリンプ加工した隔壁シールクロージャー)である。かかる容器は、(例えば、ヘッドスペースガスの変更又は溶液のガス抜きのために)所望される場合にはクロージャーが真空に耐え得ると共に、酸素又は水蒸気のような外部大気ガスの侵入を許すことなしに減圧のような圧力変化にも耐え得るという追加の利点を有している。
好ましい複数用量容器は、複数の患者用量を含む(例えば、容積10〜30cm3の)単一のバルクバイアルからなり、したがって臨床的状況に合わせて製剤の実用寿命中に様々な時間間隔で1回分の患者用量を臨床グレードの注射器中に抜き取ることができる。予備充填注射器は1回分のヒト用量又は「単位用量」を含むように設計され、したがって好ましくは臨床用に適した使い捨て注射器又は他の注射器である。本発明の医薬組成物は、好ましくは1人の患者用に適した用量を有し、上述したような適当な注射器又は容器に入れて供給される。
かかる医薬組成物は、抗菌防腐剤、pH調整剤、フィラー、安定剤又は重量オスモル濃度調整剤のような追加賦形剤を任意に含むことができる。「抗菌防腐剤」という用語は、潜在的に有害な微生物(例えば、細菌、酵母又はかび)の増殖を阻止する薬剤を意味する。抗菌防腐剤はまた、使用する用量に応じて多少の殺菌性を示すこともある。本発明の抗菌防腐剤の主な役割は、医薬組成物中におけるこのような微生物の増殖を阻止することである。しかし、抗菌防腐剤は、任意には投与に先立って前記組成物を製造するために使用されるキットの1種以上の成分中における潜在的に有害な微生物の増殖を阻止するためにも使用できる。好適な抗菌防腐剤には、パラベン類(即ち、メチル、エチル、プロピル又はブチルパラベン或いはこれらの混合物)、ベンジルアルコール、フェノール、クレゾール、セトリミド及びチオメルサールがある。好ましい抗菌防腐剤はパラベン類である。
「pH調整剤」という用語は、組成物のpHがヒト又は哺乳動物への投与のために許容し得る範囲(およそpH4.0〜10.5)内にあることを保証するために有用な化合物又は化合物の混合物を意味する。好適なかかるpH調整剤には、トリシン、リン酸塩又はTRIS[即ち、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン]のような薬学的に許容し得る緩衝剤、及び炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム又はこれらの混合物のような薬学的に許容し得る塩基がある。組成物をキットの形態で使用する場合には、pH調整剤を任意には独立のバイアル又は容器に入れて供給することができ、その結果としてキットのユーザーは多段操作の一部としてpHを調整することができる。
「フィラー」という用語は、製造及び凍結乾燥中における材料の取扱いを容易にすることができる薬学的に許容し得る増量剤を意味する。好適なフィラーには、塩化ナトリウムのような無機塩、及びスクロース、マルトース、マンニトール又はトレハロースのような水溶性糖又は糖アルコールがある。
第2の態様の医薬組成物は、無菌製造条件下で(即ち、クリーンルーム内で)製造して所望の無菌で非発熱性の生成物を得ることができる。基本構成部分、特に関連する試薬並びにイメージング剤に接触する装置部品(例えば、バイアル)は無菌であることが好ましい。かかる構成部分及び試薬は、無菌濾過或いは(例えば、γ線照射、オートクレーブ処理、乾熱又は(例えば、エチレンオキシドによる)化学処理を用いる)終末滅菌をはじめとする、当技術分野で公知の方法によって滅菌できる。一部の構成部分を予め滅菌しておけば、最小数の操作を実施すれば済むので好ましい。しかし、予防策として、医薬組成物の製造における最終段階として少なくとも無菌濾過段階を含めることが好ましい。第2の態様の医薬組成物は、好ましくは第3の態様に関して下記に記載するようなキットから製造される。
第3の態様では、本発明は、第2の態様の医薬組成物を製造するためのキットであって、当該キットは第1の態様のイメージング剤を無菌固体形態で含んでいて、生体適合性キャリヤーの無菌供給物で再構成すれば溶解が起こって所望の医薬組成物を与えるキットを提供する。
その場合、イメージング剤及び上述したような他の任意賦形剤は、凍結乾燥粉末として適当なバイアル又は容器に入れて供給できる。かかる薬剤は、次いで所望の生体適合性キャリヤーを用いて再構成することで、哺乳動物への投与が可能な無菌で非発熱性の形態の医薬組成物を与えるように設計される。
イメージング剤の好ましい無菌固体形態は凍結乾燥固体である。無菌固体形態は、好ましくは医薬組成物に関して(上記に)記載したような医薬品用容器に入れて供給される。キットを凍結乾燥する場合、配合物は糖類(好ましくはマンニトール、マルトース及びトリシン)から選択される凍結保護剤を任意に含むことができる。
第4の態様では、本発明は次の式Iのコンジュゲートを提供する。
[BTM’]−(L)n−CzD
(I)
式中、L、n、BTM及びCzD並びにこれらの好ましい態様は第1の態様で定義した通りである。
第4の態様のコンジュゲートは、式II及び式IIaのCzD色素を含む本発明のイメージング剤及び医薬組成物の製造に際して有用である。BTM、L、n並びに式II及び式IIaのCzD色素の好ましい態様は上述した通りである。かかるコンジュゲートは本発明の第1及び第5の態様に記載したようにして製造できる。
第5の態様では、本発明は、第4の態様のコンジュゲートの製造において有用な官能化ジヒドロカルバゾリウム色素(CzD)であって、CzDは第1の態様で定義された式II又は式IIaを有すると共に、前記CzDはさらにQa基(式中、QaはBTMへのコンジュゲーションに適した反応性官能基である。)を含む官能化色素を提供する。
「反応性官能基」(Qa)及びその好ましい実施形態は、第1の態様(上記)に記載した通りである。
第6の態様では、本発明は、哺乳類の身体のインビボ光学イメージング方法であって、第1の態様のイメージング剤又は第2の態様の医薬組成物を用いてインビボでBTMの局在部位の画像を得る段階を含んでなる方法を提供する。
「光学イメージング」という用語は、緑色ないし近赤外領域(波長500〜1200nm)の光との相互作用に基づいて、疾患の検出、ステージング又は診断、疾患進展の追跡或いは疾患治療の追跡のための画像を形成する任意の方法を意味する。光学イメージングはさらに、いかなる装置も使用しない直接可視化並びに各種スコープ、カテーテル及び光学イメージング装置(例えば、断層撮影表示用のコンピューター支援ハードウェア)のような装置の使用を伴う直接可視化のためのあらゆる方法を包含する。かかるモダリティ及び測定技法には、特に限定されないが、ルミネセンスイメージング、内視鏡検査、蛍光内視鏡検査、光学コヒーレンス断層撮影、透過率イメージング、時間分解透過率イメージング、共焦点イメージング、非線形顕微鏡検査、光音響イメージング、音響光学イメージング、スペクトル分析、反射スペクトル分析、干渉分析、コヒーレンス干渉分析、拡散光学断層撮影及び蛍光媒介拡散光学断層撮影(連続波、時間ドメイン及び周波数ドメインシステム)、並びに光の散乱、吸光、偏光、ルミネセンス、蛍光寿命、量子収量及び消光の測定がある。これらの技法のさらなる詳細は、Tuan Vo−Dinh(editor):“Biomedical Photonics Handbook”(2003),CRC Press LCC、Mycek & Pogue(editors):“Handbook of Biomedical Fluorescence”(2003),Marcel Dekker,Inc.、及びSplinter & Hopper:“An Introduction to Biomedical Optics”(2007),CRC Press LCCに示されている。
緑色ないし近赤外領域の光は、好適には500〜1200nm、好ましくは600〜1000nmの波長を有する。光学イメージング方法は、好ましくは蛍光内視鏡検査である。第6の態様の哺乳類の身体は、好ましくは人体である。イメージング剤の好ましい実施形態は、第1の態様に関して(上記に)記載した通りである。特に、使用するCzD色素は蛍光性であることが好ましい。
第6の態様の方法では、イメージング剤又は医薬組成物は好ましくは前記哺乳類の身体に予め投与されている。「予め投与されている」とは、臨床医の関与の下でイメージング剤を例えば静脈内注射によって患者に投与する段階がイメージングに先立って既に実施されていることを意味する。この実施形態は、BTMが関係している哺乳類の身体の疾患状態のインビボ診断イメージング用の診断剤を製造するために、第1の実施形態のイメージング剤を使用することを含んでいる。
第6の態様の好ましい光学イメージング方法は、蛍光反射イメージング(FRI)である。FRIでは、本発明のイメージング剤を診断すべき被験体に投与し、次いで被験体の組織表面を励起光(通常は連続波(CW)励起)で照明する。光はイメージング剤のCzD色素を励起する。励起光によって生じるイメージング剤からの蛍光を、蛍光検出器を用いて検出する。好ましくは、戻る光を濾光することで蛍光成分を(単独に又は部分的に)分離する。蛍光から画像を形成する。通常、最小限の処理が実施され(寿命、量子収量などの光学パラメーターを計算するためのプロセッサーは使用されない)、画像は蛍光強度をマップする。イメージング剤は、疾患領域に集中して高い蛍光強度を生み出すように設計されている。したがって、疾患領域は蛍光強度画像中に正のコントラストを生み出す。画像は好ましくはCCDカメラ又はチップを用いて取得される結果、リアルタイムイメージングが可能である。
励起用の波長は使用する特定のCzD色素に応じて変化するが、本発明の色素に関しては通例500〜1200nmの範囲内にある。励起光を発生するための装置は、レーザー(例えば、イオンレーザー、色素レーザー又は半導体レーザー)、ハロゲン光源或いはキセノン光源のような通常の励起光源であり得る。任意には、各種の光学フィルターを用いて最適の励起波長を得ることができる。
好ましいFRI方法は下記の段階を含んでいる。即ち、
(i)哺乳類の身体内の検査対象組織表面を励起光で照明する段階、
(ii)CzDの励起によって生じるイメージング剤からの蛍光を蛍光検出器を用いて検出する段階、
(iii)蛍光検出器によって検出された光を任意に濾光して蛍光成分を分離する段階、及び
(iv)段階(ii)又は(iii)の蛍光から前記検査対象組織表面の画像を形成する段階
を含んでいる。段階(i)では、励起光は好ましくは連続波(CW)の性質を有する。段階(iii)では、検出された光は好ましくは濾光される。特に好ましいFRI方法は蛍光内視鏡検査である。
第6の態様の別のイメージング方法は、FDPM(周波数ドメイン光子移動)を使用する。これは、組織内における色素の検出深度が大きいことが重要である場合、連続波(CW)方法に比べて利点を有する[Sevick−Muraca et al,Curr.Opin.Chem.Biol.,,642−650(2002)]。かかる周波数/時間ドメインイメージングのためには、CzDが、画像化すべき病変の組織深度及び使用する計装のタイプに応じて変調できる蛍光特性を有するならば有利である。
FDPM方法は下記のようなものである。即ち、
(a)不均質組成を有する前記哺乳類の身体の光散乱性生体組織を、所定の経時変動強度を有する光源からの光に暴露してイメージング剤を励起する段階であって、組織は励起光を多重散乱させる段階、
(b)前記暴露に応答した組織からの多重散乱発光を検出する段階、
(c)組織内の様々な位置における蛍光特性のレベルにそれぞれ対応する複数の値をプロセッサーで確定することにより、発光から組織全体の蛍光特性を定量化する段階であって、蛍光特性のレベルは組織の不均質組成に応じて変化する段階、及び
(d)段階(c)の値に従って組織の不均質組成のマッピングを行うことで組織の画像を生成する段階
を含んでいる。
段階(c)の蛍光特性は、好ましくはイメージング剤の取込みに対応し、好ましくはさらにイメージング剤の投与前における組織の吸着係数及び散乱係数に対応する複数の量のマッピングを含んでいる。段階(c)の蛍光特性は、好ましくは蛍光寿命、蛍光量子効率、蛍光収量及びイメージング剤取込みの1以上に対応する。蛍光特性は、好ましくは発光強度に無関係であり、またイメージング剤濃度に無関係である。
段階(c)の定量化は、好ましくは、(i)値の推定値を設定し、(ii)推定値の関数として計算発光を求め、(iii)計算発光を前記検出段階の発光と比較して誤差を求め、(iv)誤差の関数として蛍光特性の修正推定値を得ることを含んでいる。定量化は、好ましくは、組織の多重光散乱挙動をモデル化する数学的関係から値を求めることを含んでいる。第1のオプションの方法は、好ましくはさらに、前記蛍光特性の変動を検出することでインビボでの組織の代謝特性をモニターすることを含んでいる。
第6の態様の光学イメージングは、好ましくは哺乳類の身体の疾患状態の管理を支援するために使用される。「管理」という用語は、検出、ステージング、診断、疾患進行のモニタリング又は治療のモニタリングでの使用を意味する。疾患状態は、好適にはイメージング剤のBTMが関係するものである。イメージング用途には、好ましくは、カメラに基づく表面イメージング、内視鏡検査及び外科的誘導がある。好適な光学イメージング方法のさらなる詳細は、Sevick−Muraca et al[Curr.Opin.Chem.Biol.,,642−650(2002)]によって総説されている。
第7の態様では、本発明は、哺乳類の身体の疾患状態の検出、ステージング、診断、疾患進行のモニタリング又は治療のモニタリングを行う方法であって、第6の態様のインビボ光学イメージング方法を含んでなる方法を提供する。
以下に詳述する非限定的な実施例によって本発明を例証する。実施例1は、カルバゾリウム色素前駆体の合成法を示す。実施例2は、(水溶性を向上させるために)N−スルホアルキル基を有するカルバゾリウム色素前駆体の合成法を示す。実施例3は、(生物学的ターゲティング部分に対する色素のコンジュゲーションを容易にするために)カルボキシアルキル置換基を有するカルバゾリウム色素前駆体の合成法を示す。実施例4は、スルホアルキル置換基及びカルボキシアルキル置換基の両方を有するカルバゾリウム色素前駆体の合成法を示す。実施例5は、改良されたカルバゾリウム色素合成法に基づく予測例として本発明の3種の色素(色素1、色素2及び色素3)の合成法を示す。実施例6は、本発明のジヒドロカルバゾリウム色素がインビボ光学イメージングに適した光物理的性質を有するという証拠を示す。
略語
BP: 沸点
CV: カラム容積
DCM: ジクロロメタン
DMF: N,N’−ジメチルホルムアミド
DMSO: ジメチルスルホキシド
HPLC: 高速液体クロマトグラフィー
LC−MS: 液体クロマトグラフィー質量分析法
PBS: リン酸塩緩衝食塩水
RT: 室温
TFA: トリフルオロ酢酸
THF: テトラヒドロフラン
TLC: 薄層クロマトグラフィー
実施例1:カルバゾリウム前駆体(化合物1d)の合成
(i)1,3−ジメチルインドール(化合物1a)
1−メチル−1−フェニルヒドラジン(6g、49.2mmol)を酢酸(12ml)中のプロピオンアルデヒド(3.2g、9mmol)にゆっくりと添加した。添加中に熱が発生した。溶液をCEMマイクロ波反応器(200℃、300W、保持時間1分)内で加熱した。高真空回転蒸発器で酢酸を除去し、得られた黒色のガム質をDCM(20ml)に溶解し、シリカゲル(50g)を添加し、試料を濃縮乾固した。カラムクロマトグラフィー(A=ペトロール40〜60,B=DCM,1〜4CV 10%B,13CV 80%B,40gカラム)を行った。速く流出する大きいピークを集め、濃縮することで不純な黄色油状物を得た。生成物を高沸点画分から分離するように注意しながら、不純物質を分別蒸留(100Pa(1mBar)でBP=190℃)により精製することで、所望の物質(3.7g、44%)を得た。
1H NMR(300MHz,CDCl3):δ(ppm)2.33(3H,s,メチル)、3.73(3H,s,N−メチル)、6.82(1H,s,2−C)、7.1(1H,dd,インドール)、7.21(1H,dd,インドール)、7.28(1H,d,インドール)、7.57(1H,d,インドール)。
(ii)4,4,4a,9−テトラメチル−1,2,3,4,5,6−ヘキサヒドロカルバゾール−2−オン(化合物1b)
1,3−ジメチルインドール(化合物1a、200mg、1.38mmol)をアセトニトリル(2ml)に溶解し、氷水浴上で冷却した。硫酸(97%、0.2ml)を添加し、1分後にメシチルオキシド(405mg、4.14mmol)を添加した。熱が発生し、撹拌を1/2時間続けた後、1時間かけて温度をRTまで上昇させた。反応物を冷却及び撹拌しながら、水(10ml)中のNaHCO3(1.267g)懸濁液にゆっくりと添加し、ジエチルエーテル(3×20ml)で抽出し、MgSO4上で乾燥した。蒸発によって得られた淡黄色の油状物をジエチルエーテル(20ml)に溶解し、溶液をシリカゲル(約5g)上で乾燥した。カラムクロマトグラフィー(A=ペトロール40〜60,B=DCM,1〜4CV 5%B乃至10%B,10CV 100%B,13CV 100%B,120gカラム)によって1つの主要化学種を得たが、これを静置して結晶化することで所望の物質(302mg、90%)を得た。
1H NMR(CDCl3):δ(ppm)0.81(3H,s,C 3)、1.06(3H,s,C 3)、1.46(3H,s,C 3 )、2.20(1H,d,3−C)、2.32(1H,d,3−C)、2.62(3H,s,N−C 3)、2.72(2H,m,1−C 2)、3.55(1H,dd,9a−C)、6.54(1H,d,8−C)、6.76(1H,dd,6−C)、7.06(1H,d,5−C)、7.14(1H,dd,7−C)。
(iii)2−メチレン−4,4,4a,9−テトラメチル−1,2,3,4,5,6−テトラヒドロカルバゾール(化合物1c)
化合物1b(870mg、4.04mmol)を乾燥THF(2ml)に溶解し、−40℃に冷却した。ピリジン(10μl)を添加し、次いでテッベ(Tebbe)試薬の溶液(0.5Mトルエン溶液、2eq.、8.08mmol、16.16ml)を窒素下で約1分かけて添加した。混合物を−40℃で1/2時間撹拌し、2時間かけてRTに昇温させた。冷却した反応混合物に水酸化ナトリウム溶液(0.45mlの15%水溶液)を添加する(熱及びガスが発生した)ことで反応物を奪活した。暗緑色の混合物をジエチルエーテル(60ml)で希釈し、セライトパッドで濾過した。シリカゲル(約20g)を添加し、溶媒を蒸発させた。カラムクロマトグラフィー(A=ペトロール40〜60,B=DCM,1〜3CV 0〜5%B,3〜7CV 5%B乃至40%B,7〜9CV 40%B乃至100%B,120gカラム)により、所望の生成物を主要化学種(0.38g、39%)として得た。
1H NMR(CDCl3):δ(ppm)0.57(3H,s,メチル)、0.96(3H,s,メチル)、1.41(3H,s,メチル)、1.84(1H,d,CH 3)、2.28(1H,d,CH 3)、2.43(dd,1H,H 1)、2.62(1H,dd,H 1)、2.64(3H,s,N−メチル)、2.99(1H,dd,H 9a)、4.68(1H,d,エキソ−CH2)、4.81(1H,d,エキソ−CH2)、6.55(1H,d,H 8)、6.74(1H,dd,H 6)、7.05(1H,d,H 5)、7.12(1H,dd,H 7)。
(iv)2,4,4,4a,9−ペンタメチル−4,4a−ジヒドロ−3−H−カルバゾリウムヨージド(化合物1d)
無水メタノール中の化合物1c(300mg、1.24mmol)、ヨウ素(2eq.、631mg、2.49mmol)及びヨウ化ナトリウム(615mg、4.1mmol)を窒素下で2時間加熱還流した。冷却後、生じた沈殿を濾過によって集め、氷冷水で洗浄し、高真空下で乾燥して所望の生成物(110mg、23%)を得た。濾液をチオ硫酸ナトリウム溶液(0.2ml飽和溶液)で処理し、生成物を半分取HPLC(Phenomenex Luna C18(2)150x21.2mm,A=水,B=MeCN,15ml/分,λ=330nm,0〜5分 5%B,12分 70%B,12〜14分 95%B,14〜18分 5%B,tr=11分)によって精製した。凍結乾燥によってオフホワイトの固体(122mg、27%)を得た。総収率50%。
1H NMR(MeOH−d3):δ(ppm)0.59(3H,s,メチル)、1.50(3H,s,メチル)、1.54(3H,s,メチル)、2.31(3H,s,メチル)、2.45(1H,d,H 3)、3.03(1H,d,H 3)、3.99(3H,s,N−メチル)、7.03(1H,s,H 1)、7.61(1H,dd)、7.65(1H,dd)、7.75(2H,m)。
実施例2:N−スルホアルキルカルバゾリウム前駆体(化合物2e)の合成
(i)3−メチル−1−(4−スルホブチル)インドール(化合物2b)
3−メチルインドール(化合物2a、311mg、2.38mmol)を乾燥DMF(5ml)に溶解し、(乾燥ジエチルエーテルで洗浄した)水素化ナトリウム(97mg、4.04mmol、1.7eq.)をDMF(乾燥、2ml)中の懸濁液として一度に添加した。微細懸濁液をRTで30分間撹拌し、1,4−ブタンスルトン(324mg、2.38mmol)を添加した。反応物を1時間撹拌した。次いで、反応物をジエチルエーテル(100ml)に添加し、懸濁液を4℃で16時間貯蔵した。上澄み液をデカントによって除去し、固体をジエチルエーテルでトリチュレートした。オフホワイトの固体を高真空下で乾燥した(410mg、61%)。プロトンNMRは約17モル%のDMFの存在を示した。
1H NMR(300MHz,DMSO−d6):δ(ppm)1.54(2H,m,N−CH2CH2 2CH2−SO3 -)、1.74(2H,m,N−CH2 2CH2CH2−SO3 -)、2.24(3H,s,メチル)、2.40(2H,t,N−CH2CH2CH2 2−SO3 -)、4.10(2H,t,N−C 2CH2CH2CH2−SO3 -)、6.98(1H,dd,Ar)、7.11(1H,dd,Ar)、7.12(1H,s,2−H)、7.39(1H,d,ArH)、7.41(1H,d,ArH)。
(ii)9−(4−スルホブチル)−4,4,4a−トリメチル−1,2,3,4,5,6−ヘキサヒドロカルバゾール−2−オンテトラブチルアンモニウム塩(化合物2c)
化合物2b(2.0g、6.92mmol)をアセトニトリル(150ml)中に懸濁し、70℃に加温してから超音波処理し、次いで大部分の原料が溶解するまでさらに加温した。メシチルオキシド(2eq.,1.36g、13.84mmol)を添加し、次いで硫酸(97%、1ml)をゆっくりと添加した。反応物を窒素下においてRTで16時間撹拌した。メシチルオキシド(1ml)、次いで硫酸(97%、0.5ml)を添加し、撹拌を24時間続けた。
反応溶液を真空下で濃縮して油状物を得、次いで水(80ml)を添加した。水酸化テトラ−n−ブチルアンモニウム(固体)を、pHが約7になるまで少量ずつ添加し、溶液を酢酸エチル(4×50ml)で抽出した。洗液を乾燥せずに濃縮して黄色の油状物(3.5g)を得、これを高真空下で16時間乾燥した。油状物をDCM(80ml)に溶解し、シリカゲル(約50g)上で乾燥した。カラムクロマトグラフィー(A=DCM,B=10%メタノール/DCM,C=メタノール,0〜2CV 100%A,2〜10CV 0〜100%B,10〜12CV 100%B,12〜17CV 0〜20%C,17〜20CV 20%C,330gカラム)によって一連の画分を得た。12CV後に溶出する3つの主要画分は、所望の生成物及び若干の出発原料を様々な塩として含むことが示された。最も遅く流出する画分は、プロトンNMRにより、テトラブチルアンモニウム塩としての所望生成物を清浄な物質(0.87g、21%)として含むことが示された。
1H NMR(300MHz,CDCl3):δ(ppm)0.80(3H,s,メチル)、1.00(12H,t,NCH2CH2CH2 3)、1.06(3H,s,メチル)、1.45(8H,tt,NCH2CH2 2CH3)、1.46(3H,s,メチル)、1.55(2H,m,N−CH2CH2 CH 2CH2−SO3 -)、1.6(8H,m,NCH2 2CH2CH3)、1.82(2H,tt,N−CH2 2CH2CH2−SO3 -)、2.20(2H,2xd オーバーラッピング,H 3 a/b系)、2.67(2H,m,H 1 a/b系)、2.80(2H,2xd,N−C 2CH2CH2CH2−SO3 -)、3.0(2H,m,,N−CH2 2CH2CH2−SO3 -)、3.32(8H,t,NC 2CH2CH2CH3)、3.61(1H,dd,9a−H)、6.44(1H,d,8−H)、6.65(1H,dd,6−H)、7.00(1H,d,5−H)、7.06(1H,dd,7−H)。
(iii)2−メチレン−9−(4−スルホブチル)−4,4,4a−トリメチル−1,2,3,4,5,6−ヘキサヒドロカルバゾールテトラブチルアンモニウム塩(化合物2d)
トルエン共沸蒸発(乾燥トルエン、3×20ml)を用いて化合物2c(200mg、0.33mmol)を乾燥し、THF(乾燥、20ml)に溶解した。カードアイス/アセトン浴を用いて溶液を−40℃に冷却した。テッベ試薬(トルエン中0.5M、1mmol、2ml、3eq.)を約2分かけてゆっくりと添加した。反応物を窒素下において−40℃で30分間撹拌し、さらに30分間撹拌しながらRTに昇温させた(全反応時間1.5時間)。水酸化テトラブチルアンモニウム(3eq.、1mmol)の水(3ml)溶液を冷却しながらゆっくりと添加し(激しい反応)、混合物を−15℃で一晩貯蔵した。RTの混合物にDCM(50ml)を添加し、混合物をガラスフリットで濾過した。相分離器カートリッジを用いて濾液から水を除去し、DCM溶液を濃縮乾固してオレンジ色の油状物を得た。粗生成物をDCM(15ml)に溶解し、水酸化テトラブチルアンモニウム溶液(1mlの1Mメタノール溶液)を添加した。溶液をシリカゲル(約5g)上で乾燥した。カラムクロマトグラフィー(A=DCM,B=10%メタノール/DCM,C=メタノール,0〜1CV 100%A,1〜8CV 0〜100%B,8〜10CV 100%B,10〜17CV 100%B乃至20%C,16〜17%C,20%C,40gカラム)によって様々なピークを得た。最も遅く流出するものが所望の生成物(140mg、70%)であることがわかったが、これは不純物として20〜30%のケトン出発原料も含んでいた。不純な物質を次の段階で使用した。
1H NMR(CDCl3):δ(ppm)0.55(3H,s,メチル)、0.90(3H,s,メチル)、1.00(12H,t,,NCH2CH2CH2 CH 3)、1.34(3H,s,メチル)、1.45(8H,tt,NCH2CH2 CH 2CH3)、1.55(2H,m,N−CH2CH2 CH 2CH2−SO3 -)、1.6(8H,m,NCH2 CH 2CH2CH3)、1.90(2H,m,N−CH2 CH 2CH2CH2−SO3 -)、2.20(2H,m,N−CH 2CH2CH2CH2−SO3 -)、2.35(1H,d,H 3)、2.55(1H,d,H 3)、2.80(3H,m,H 1及びH 9a)、3.0(2H,m,N−CH2 CH 2CH2CH2−SO3 -)、3.32(8H,t,NCH 2CH2CH2CH3)、4.63(1H,s,エキソ−メチレン)、4.76(1H,s,エキソ−メチレン)、6.42(1H,d)、6.62(1H,dd)、7.00(1H,d)、7.05(1H,dd)。
(iv)9−スルホブチル−2,4,4,4a−テトラメチル−4,4a−ジヒドロ−3−H−カルバゾリウムテトラブチルアンモニウム塩(化合物2e)
化合物2d(100mg、0.17mmol)をメタノール(乾燥、10ml)に溶解し、ヨウ素(1eq.、41mg、0.17mmol)を添加した。溶液を35分間加熱還流した。反応溶液を約1/2の体積に濃縮し、水をゆっくりと添加して全体積を約10mlにした。半分取HPLC(Phenomenex Luna C18(2)150x21.2mm,A=水,B=MeCN,15ml/分,λ=330nm,0〜2分 5%B,12分 70%B,12〜14分 95%B,14〜18分 5%B,tr=20.9分)によって精製を行った。集めた画分を濃縮し、次いで凍結乾燥した。質量収量=19mg。
1H NMR(MeOH−d4):δ(ppm)0.59(3H,s,メチル)、1.02(3H,t,メチル)、1.4(q)、1.5(m)、1.65(2H,m)、1.9(2H,m)、2.05(2H,m)、2.30(2H,m)、2.45(2H,2xd)、2.9(m)、3.05(2H,2xd)、3.25(2H,m)、4.45(m)、7.12(1H,s)、7.64−7.8(4H,m)。
実施例3:カルボキシプロピル官能化カルバゾリウム前駆体(化合物3e及び3f)の合成
(i)3−(3−メトキシカルボニルプロプ−1−イル)−1−メチルインドール(化合物3c)
1−メチル−1−フェニルヒドラジン(3a、845g、6.93mmol)を酢酸(10ml)に溶解し、アジピン酸セミアルデヒドメチルエステル(3b、997mg、6.93mmol)を滴下した(熱が発生した)。溶液を窒素下で3時間加熱還流した。高真空回転蒸発器で酢酸を除去し、得られた濃厚油状物をDCM(20ml)に溶解し、シリカゲル(約10g)を添加し、試料を濃縮乾固した。カラムクロマトグラフィー(A=ペトロール40〜60,B=DCM,1〜5CV 10%乃至30%B,5〜10CV 30%乃至100%B,10〜14CV 100%B,120gカラム)を行った。単一の大きいピークを集め、濃縮して油状物(1.1g、69%)を得た。
1H NMR(CDCl3):δ(ppm)2.06(2H,tt,COCH2 CH 2CH2)、2.39(2H,t,COCH 2CH2CH2)、2.79(2H,t,COCH2CH2 CH 2)、3.66(3H,s,OMe)、3.74(3H,s,N−メチル)、6.84(1H,s,H 2)、7.10(1H,dd,Ar)、7.26(1H,dd,Ar)、7.27(1H,d,Ar)、7.60(1H,d,Ar)。
(ii)4a−(3−カルボキシプロプ−1−イル)−4,4,9−トリメチル−1,2,3,4,5,6−テトラヒドロカルバゾール−2−オン(化合物3d)
化合物3c(250mg、1.08mmol)及びメシチルオキシド(106mg、1.08mmol)をアセトニトリル(5ml)に溶解し、0℃に冷却した。溶液を脱気し(真空/窒素ガスサイクル×3)、窒素下に置いた。硫酸(97%、0.5ml)を滴下し、反応物を0℃で撹拌した。反応物をRTに昇温させ、48時間撹拌した。10%K2CO3水溶液を用いて反応物のpHを約5に調整し、溶液をジエチルエーテル(3×20ml)で抽出し、抽出液をMgSO4上で乾燥し、濃縮してピンク色の油状物を得た。生成物をカラムクロマトグラフィー(A=DCM,B=10%MeOH/DCM,1〜8CV 0%乃至50%B,8〜12CV 50%乃至100%B,12〜18CV 100%B,40gカラム)によって精製した。所望の生成物と対応するカルボン酸との混合物であることを示す1つの画分が溶出された。カラムクロマトグラフィー操作を繰り返すことでこの混合物を分離した。2つの画分が得られた。速く流出する化学種は所望の生成物(0.25g、70%)であり、遅く流出する化学種は対応する遊離酸(0.1g、29%)であった。
1H NMR(CDCl3):δ(ppm)0.87(3H,s,メチル)、1.06(3H,s,メチル)、1.30(1H,m,COCH2 CH 2CH2)、1.46(1H,m,COCH2 CH 2CH2)、1.66(1H,m,COCH2CH2 CH 2)、2.0(1H,m,COCH2CH2 CH 2)、2.20(2H,2xdoverlapping,H3)、2.33(2H,t,COCH 2CH2CH2)、2.62(3H,s,N−メチル)、2.71(2H,2xd,H 1)、3.58(1H,dd,H 9a)、3.64(3H,s,OMe)、6.50(1H,d,H 8)、6.76(1H,dd,H 6)、6.95(1H,d,H 5)、7.12(1H,dd,H 7)。
(iii)4a−(3−カルボキシプロプ−1−イル)−2−メチリデン−4,4,9−トリメチル−1,2,3,4,5,6−テトラヒドロカルバゾール(化合物3e)
化合物2dに関するものと同じ手順により、化合物3dを用いてこの化合物を製造する。
(iv)4a−(3−カルボキシプロプ−1−イル)−2−メチリデン−2,4,4,9−テトラメチル−4,4a−ジヒドロ−3H−カルバゾリウムヨージド(化合物3f)
化合物2eに関するものと同じ手順により、化合物3eを用いてこの化合物を製造する。
実施例4:カルボキシアルキル官能化及びスルホアルキル官能化カルバゾリウム前駆体(化合物4f及び4g)の合成
(i)3−(3−メトキシカルボニルプロプ−1−イル)インドール(化合物4c)
フェニルヒドラジン(4a、4.04g、37.4mmol)の酢酸溶液にアジピン酸セミアルデヒドメチルエステル(4b、5.92g、41.1mmol)を滴下し、1時間加熱還流した。混合物を放冷し、次いで真空中で溶媒を除去して暗オレンジ色の固体を得た。フラッシュクロマトグラフィー(100%DCM溶離剤→5%MeOH)を用いて、この物質を精製した。粗化合物を注射液としてカラム上に装填した。物質は2つの画分
F3〜20(1H NMRによれば純粋)1.48g及びF21〜31(1H NMRによれば約95%で僅かに不純)0.978gとして得られた。化合物4cは31%の収率で得られた。
1H NMR(300MHz;CDCl3)δ2.00(2H,五重線,J=7.7Hz,CH2 2CH2)、2.35(2H,t,J=7.3Hz,CH2)、2.75(2H,t,J=7.02Hz,C 2CO2Me)、3.61(3H,s,OMe)、6.81(1H,d,J=2.1Hz,NHC)、7.07(1H,ddd,J=8.3Hz,7.3Hz及び1.5Hz,ArCH)、7.14(1H,ddd,J=8.2Hz,7.05Hz及び1.2Hz,ArCH)、7.23(1H,d,J=7.5Hz,ArCH)、7.57(1H,d,J=7.6Hz,ArCH)、10.77(1H,br s,NH)。
(ii)3−(3−メトキシカルボニルプロプ−1−イル)−1−(4−スルホブチル)インドール(化合物4d)
化合物4c(4.0g、20.7mmol)をDMF(5ml)に溶解し、水素化ナトリウム(0.81g、20.2mmol)をDMF(2ml)中の懸濁液として一度に添加した。暗紫色の懸濁液をRTで6時間撹拌した。0.5モル当量のNaH及びスルトンを添加し、反応物を室温でさらに6時間撹拌し続けた。反応混合物をジエチルエーテルに添加し、得られた懸濁液を室温で一晩撹拌した。混合物を濾過し、集めた固体は急速にガム質に変わった。ガム質をメタノールで洗浄/溶解し、蒸発乾固して脆いオレンジ色の泡状物(3.88g、56%)を得た。
1H NMR(DMSO;300MHz)、1.49−1.61(2H,m,CH2)、1.73−1.91(2H,m,CH2)、2.32(2H,t,JHH 7Hz,CH2)、2.43(2H,t,J=7Hz,CH2)、2.68(2H,t,J=7Hz,CH2)、4.09(2H,t,J=7Hz,CH2)、6.98(1H,dt,J=7Hz,J=0.6Hz,ArCH)、7.10(2H,dt,J=7及び0.6Hz,ArCH)、7.13(1H,s,ArCH)、7.41(1H,d,J=8Hz,ArCH)、7.50(1H,d,J=7Hz,ArCH)。
(iii)4a−(3−カルボキシプロプ−1−イル)−4,4−ジメチル−9−(4−スルホブチル)−1,2,3,4,5,6−テトラヒドロカルバゾール−2−オン(化合物4e)
化合物2cと同様にして、化合物4d及びメシチルオキシドを用いてこの化合物を製造する。
(iv)4a−(3−カルボキシプロプ−1−イル)−4,4−ジメチル−2−メチリデン−9−(4−スルホブチル)−1,2,3,4,5,6−テトラヒドロカルバゾール(化合物4f)
化合物2dと同様にして、化合物4eを用いてこの化合物を製造する。
(v)4a−(3−カルボキシプロプ−1−イル)−2,4,4−トリメチル−9−(4−スルホブチル)−4,4a−ジヒドロ−3H−カルバゾリウムヨージド(化合物4g)
化合物2eと同様にして、化合物4fを用いてこの化合物を製造する。
実施例5:カルバゾリウム色素(色素A及び色素1〜3)の合成
(i)4,4,4a,9−テトラメチル−2−(3−(1E−4,4,4a,9−テトラメチル−4,4a−ジヒドロ−3H−カルバゾール−2−イリデン)プロプ−1−エニル)−4,4a−ジヒドロ−3H−カルバゾリウムヨージド(色素A、先行技術)
これは、米国特許第5892056号の合成法に対する改良法である。
実施例1からの化合物1(110mg、0.30mmol)及びオルトギ酸トリエチル(3eq.、133mg、0.90mmol)を暗所で窒素下においてピリジン中で4時間加熱還流した。ピリジンを真空下で除去し、光への暴露を最小限に抑えながら粗生成物をメタノール(3ml)に溶解した。半分取HPLC(Phenomenex Luna C18(2)150x21.2mm,A=0.5%TFA/水,B=0.5%TFA/MeCN,15ml/分,λ=700nm,0〜1分 10%B,13分 95%B,13〜17分 95%B,17〜20分 10%B,tr=13.7分)を行った。複数回の実施にわたる生成物ピークを手作業でシンチレーションバイアル中に集め、これらを直ちに(やはり暗所で)フリーザーに入れた。画分を合わせ、溶媒を除去して濃青色/金色のフィルムを得た。生成物をトルエン(10ml)に溶解し、溶媒を真空下で除去した。最後に、生成物を高真空下で24時間乾燥した。プロトンNMR及びLCMSは、生成物が不純であることを示した。精製段階を上述したようにして2回繰り返した(3mg、2%)。
1H NMR(DMSO−d6):δ(ppm)0.67(6H,s,メチル)、1.40(6H,s,メチル)、1.56(6H,s,メチル)、2.80(2H,dd,H 3)、3.0(2H,dd,H 3)、3.52(6H,s,N−メチル)、6.29(2H,s,H 1)、6.40(2H,d,メチン)、7.23(2H,dd)、7.26(2H,d)、7.40(2H,dd)、7.55(2H,d,H 8)、7.88(1H,t,中央メチンH)。
LCMS:C35412に関するm/z計算値489.3、実測値489[M]+
色素Aと同様にして、各1モル当量の化合物1d及び化合物3fを用いて色素1を製造する。
色素Aと同様にして、各1モル当量の化合物2e及び化合物3fを用いて色素2を製造する。
色素Aと同様にして、各1モル当量の化合物2e及び化合物4gを用いて色素3を製造する。
実施例6:カルバゾリウム色素の光物理的性質
(a)シアニン色素Cy7と比較した色素Aの吸光度及び蛍光
0.1〜0.2mgバイアルの色素をまず100μlのDMSOに溶解し、次いでPBSで規定濃度に希釈する。HP 8452Aダイオードアレイ分光光度計により、2.5μM溶液に関して吸光度測定を実施した。また、Varian Cary Eclipse蛍光分光光度計を標準化計器設定値(600V PMT設定値)で使用することにより、2.5μM溶液に関して蛍光測定を実施した。
(746nmでの)測定吸光度は260000/M/cmに等しい。
(748nmでの)測定吸光度は250000/M/cmに等しい。
【書類名】 明細書
【発明の名称】 色素コンジュゲートイメージング剤
【技術分野】
【0001】
本発明は、インビボ光学イメージングに適したイメージング剤であって、ジヒドロカルバゾリウム色素とペプチドのような生物学的ターゲティング部分とのコンジュゲートを含んでなるイメージング剤に関する。また、医薬組成物及びキット並びにインビボイメージング方法も開示される。
【背景技術】
【0002】
多くの光学イメージング剤では、近赤外(NIR)吸収シアニン色素がその蛍光性光学レポーターとして使用されている。光学シグナルの感度を最大にするため、色素の最適光物理的性質は、その大部分で組織が透明である電磁スペクトル部分(700〜850nm)において励起及び発光を可能にすべきである。この要件を満たすシアニン色素は、ヘプタメチンシアニン色素(次の式A)である。
【0003】
【化1】
【0004】
ポリメチン鎖の長さのため、ヘプタメチンシアニン色素は短波長吸収性のペンタ及びトリメチンシアニンに比べて化学安定性及び光安定性の低下を示す。インビボ用途のためには、メチン鎖の中央に環を形成することでヘプタメチンシアニン色素の安定性を高めることが試みられた。
【0005】
米国特許第6083485号及びその対応特許には、2.0以下のオクタノール−水分配係数を有するシアニン色素を用いるインビボ近赤外(NIR)光学イメージング方法が開示されている。また、前記色素と、特定の細胞集団に結合し、或いはレセプターと選択的に結合し、或いは組織又は腫瘍中に集積する30kDaまでの分子量の「生物学的検出単位」とのコンジュゲートも開示されている。米国特許第6083485号の色素は、ポリリシン、デキストラン又はポリエチレングリコールのような巨大分子にコンジュゲートすることもできる。特定の色素コンジュゲートは開示されていない。
【0006】
米国特許第5892056号には、次の式Bの色素が開示されている。
【0007】
【化2】
【0008】
式中、
1はC1-18アルキル、アリール、スルホアルキル、カルボキシアルキル、スルファトアルキル、アシルオキシアルキル、ジアルキルアミノアルキレン、シクロアミノアルキレン、アシル又はアルケニルであり、
2はC1-18アルキルであり、
3及びR4はH又はC1-18アルキルであり、
5はH、NO2、カルボキシル、スルホ、OH、Hal、C1-18アルコキシ、チオアルコキシ、オキシアルキル、アシル、アルキル、アリール又はアミノ基であり、
いずれか2つのR5基、又はR4及びR5、又はR1及びR4は、一緒になって置換又は非置換のアリール環、ヘテロアリール環、脂肪族環又は複素環を形成することができ、
Zは、カルボシアニン色素、アザカルボシアニン色素、ヘミシアニン色素、スチリル色素、ジアザカルボシアニン色素、トリアザカルボシアニン色素、ジアザヘミシアニン色素、ポリメチンシアニン色素、アザポリメチンシアニン色素、ホロポーラー色素、インドシアニン色素、メロシアニン色素、スクアリリウム色素及びジアザヘミシアニン色素からなる群から選択される色素を完成するために必要な原子を表す。
【0009】
米国特許第5892056号には、色素と生物学的ターゲティング部分とのコンジュゲートについても、かかるコンジュゲートの製造に適した色素の官能化形態についても開示されていない。また、米国特許第5892056号には、インビボ光学イメージング用途についても開示されていない。
【0010】
特開2005−220045号(コニカミノルタエムジー株式会社)には、特に癌のインビボ光学イメージングのための、マイクロキャリヤー(特にリポソーム)に内包された色素が開示されている。記載されている色素は、インドシアニングリーン(ICG)及び米国特許第5892056号に開示された色素(4以上のスルホン酸置換基を有するものを含む)を含むシアニン色素である。特開2005−220045号には、記載された色素のいずれかと生物学的ターゲティング分子とのコンジュゲートは開示されていない。
【0011】
米国特許出願公開第2005/0136007号には、次の式Cのシアニン化合物を含む近赤外蛍光造影剤が開示されている。
【0012】
【化3】
【0013】
式中、
RはH、低級アルキル基又は芳香族基であり、
1及びR2は各々が水溶化基を含む脂肪族基であり、
3及びR4は各々が低級アルキル基または芳香族基であるが、R3及びR4が互いに結合して炭素環を形成してもよく、
1〜L6は各々がメチン基であるが、nが1又は2である場合にはL6がR3又はR4と結合して炭素環を形成してもよく、nが0である場合にはL4がR3又はR4と結合して炭素環を形成してもよく、
1及びZ2は各々が五員環又は六員環を形成するのに必要な非金属原子群であり、
Xは分子の電荷を中和するのに必要な対イオンであり、
pは分子の電荷を中和するのに必要なXの数であり、
mは2〜4の整数であり、
nは0〜2の整数である。
【0014】
米国特許出願公開第2005/0136007号には、色素と生物学的ターゲティング部分とのコンジュゲートについても、かかるコンジュゲートの製造に適した色素の官能化形態についても開示されていない。
【先行技術文献】
【0015】
【特許文献】特開2005−220045号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、インビボでの光学イメージングに適した光物理的性質を有するジヒドロカルバゾリウム色素を提供する。本発明の色素は、蛍光性であると共に、シアニン色素Cy7に匹敵する性質を有することが判明した。このような蛍光性は、先行技術におけるジヒドロカルバゾリウム色素に関しては報告されていない。
【0017】
本発明のジヒドロカルバゾリウム色素では、複素環を結合するメチン鎖の2つの炭素原子が六員環の一部をなしている。米国特許出願公開第2005/0136007号の色素では、メチン鎖の1つの炭素原子のみが縮合環の一部をなしている。本発明の色素は、水溶化基及び生物学的ターゲティング部分へのコンジュゲーションを容易にする基で官能化されている。それにより、本発明の色素は各種の生物学的ターゲティング分子とのコンジュゲートとしてインビボでの光学イメージングのために有用である。本発明の色素はまた、対応するヘプタメチンシアニン色素より高い量子収量を有している。
【発明を実施するための形態】
【0018】
第1の態様では、本発明は、哺乳類の身体のインビボ光学イメージングに適したイメージング剤であって、次の式Iのコンジュゲートを含んでなるイメージング剤を提供する。
[BTM]−(L)n−CzD
(I)
式中、
BTMは生物学的ターゲティング部分であり、
CzDは次の式IIのジヒドロカルバゾリウム色素であり、
【0019】
【化4】
【0020】
(式中、
1、R2及びR11〜R16は各々独立にRa基であり、
3〜R10は各々独立にH、−SO31、−CO21、C2-7カルボキシアルキル、C1-4ヒドロキシアルキル、又は1〜3のヒドロキシ基で任意に置換されたC2-7カルボキサミドアルキルであり、式中のM1は独立にH又はBcであり、Bcは生体適合性陽イオンであり、
17〜R20は各々独立にH又はRa基であり、
aはC1-4アルキル、C1-4スルホアルキル、C2-7カルボキシアルキル又はC1-4ヒドロキシアルキルである。)
Lは式−(A)m−(式中、各Aは独立に−CR2−、−CR=CR−、−C≡C−、−CR2CO2−、−CO2CR2−、−NRCO−、−CONR−、−NR(C=O)NR−、−NR(C=S)NR−、−SO2NR−、−NRSO2−、−CR2OCR2−、−CR2SCR2−、−CR2NRCR2−、C4-8シクロヘテロアルキレン基、C4-8シクロアルキレン基、C5-12アリーレン基又はC3-12ヘテロアリーレン基、或いはアミノ酸、糖又は単分散ポリエチレングリコール(PEG)構成単位であり、各Rは独立にH、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C1-4アルコキシアルキル及びC1-4ヒドロキシアルキルから選択され、mは1〜20の値を有する整数である。)の合成リンカー基であり、
nは0又は1の値を有する整数であり、
ジヒドロカルバゾリウム色素は2以上のスルホン酸置換基を含むことを条件とする。
【0021】
「イメージング剤」という用語は、完全な(即ち、無傷の)哺乳類の身体の関心領域のインビボでの光学イメージングを行うために適した化合物を意味する。好ましくは、哺乳動物はヒト被験体である。イメージングは侵襲的(例えば、手術中検査又は内視鏡検査)であってもよいし、或いは非侵襲的であってもよい。イメージングは、任意には(例えば、内視鏡器具の生検チャネルを通しての)生検又は(例えば、腫瘍縁の同定による手術処置中の)腫瘍切除を容易にするために使用できる。
【0022】
式Iのコンジュゲートはインビボイメージングのために適するが、それはインビトロ用途(例えば、生物学的試料中のBTMを定量するアッセイ又は組織試料中のBTMの可視化)も有し得る。好ましくは、イメージング剤はインビボイメージングのために使用される。
【0023】
「生物学的ターゲティング部分」(BTM)という用語は、投与後、哺乳類の身体の特定部位に選択的に取り込まれるか又は特定部位に局在する化合物を意味する。かかる部位は、例えば、特定の疾患状態に関係するものであるか、或いは器官又は代謝過程がいかに機能しているかを表すものであり得る。生物学的ターゲティング部分は、好ましくは、線状ペプチド、環状ペプチド又はこれらの組合せであり得る3〜100量体ペプチド、ペプチド類似体、ペプトイド又はペプチド模倣体、単一のアミノ酸、酵素基質、酵素アンタゴニスト、酵素アゴニスト(部分アゴニストを含む)又は酵素阻害剤、レセプター結合化合物(レセプター基質、アンタゴニスト、アゴニスト又は基質を含む)、オリゴヌクレオチド、或いはオリゴDNAフラグメント又はオリゴRNAフラグメントからなる。
【0024】
「ペプチド」という用語は、ペプチド結合(即ち、1つのアミノ酸のアミンを別のアミノ酸のカルボキシルに連結するアミド結合)によって連結された(下記に定義するような)2以上のアミノ酸を含む化合物を意味する。「ペプチド模倣体」又は「模倣体」という用語は、ペプチド又はタンパク質の生物学的活性を模倣するが、化学的性質がペプチド的でない(即ち、いかなるペプチド結合(つまり、アミノ酸間のアミド結合)も含まない)生物学的活性化合物をいう。ここでは、ペプチド模倣体という用語は広い意味で使用され、性質が完全にはペプチド的でない分子(例えば、プソイドペプチド、セミペプチド及びペプトイド)を包含する。「ペプチド類似体」という用語は、下記に記載するような1種以上のアミノ酸類似体を含むペプチドをいう。“Synthesis of Peptides and Peptidomimetics”,M.Goodman et al,Houben−Weyl E22c,Thiemeも参照されたい。
【0025】
「アミノ酸」という用語は、L−又はD−アミノ酸、アミノ酸類似体(例えば、ナフチルアラニン)或いはアミノ酸模倣体を意味し、これらは天然のもの又は純粋に合成由来のものであってよく、光学的に純粋なもの(即ち、単一の鏡像異性体)、したがってキラルなものであるか、或いは鏡像異性体の混合物であってよい。本明細書中では、アミノ酸に関する通常の三文字略語又は一文字略語が使用される。好ましくは、本発明のアミノ酸は光学的に純粋なものである。「アミノ酸模倣体」という用語は、アイソスター(即ち、天然化合物の立体構造及び電子構造を模倣するように設計されたもの)である天然アミノ酸の合成類似体を意味する。かかるアイソスターは当業者にとって公知であり、特に限定されないが、デプシペプチド、レトロ−インベルソペプチド、チオアミド、シクロアルカン又は1,5−二置換テトラゾールを包含する[M.Goodman,Biopolymers,24,137(1985)を参照されたい]。
【0026】
BTMが酵素基質、酵素アンタゴニスト、酵素アゴニスト、酵素阻害剤又はレセプター結合化合物である場合、それは好ましくは非ペプチドであり、さらに好ましくは合成品である。「非ペプチド」という用語は、いかなるペプチド結合(即ち、2つのアミノ酸残基間のアミド結合)も含まない化合物を意味する。好適な酵素の基質、アンタゴニスト、アゴニスト又は阻害剤には、グルコース及びグルコース類似体(例えば、フルオロデオキシグルコース)、脂肪酸、或いはエラスターゼ、アンギオテンシンII又はメタロプロテイナーゼ阻害剤がある。好ましい非ペプチドのアンギオテンシンIIアンタゴニストはロサルタンである。好適な合成レセプター結合化合物には、エストラジオール、エストロゲン、プロゲスチン、プロゲステロン及び他のステロイドホルモン、ドーパミンD−1又はD−2レセプター用リガンド及びトロパンのようなドーパミン輸送体用リガンド、並びにセロトニンレセプター用リガンドがある。
【0027】
「スルホン酸置換基」という用語は、式−SO31(式中、M1はH又はBcであり、Bcは生体適合性陽イオンである。)の置換基を意味する。−SO31置換基は炭素原子に共有結合され、炭素原子はアリール(例えば、R3〜R10基)又はアルキル(即ち、スルホアルキル基)であり得る。「生体適合性陽イオン」(Bc)という用語は、イオン化して負に帯電した基(この場合にはスルホネート基)と共に塩を形成する正に帯電した対イオンを意味する。この場合、前記正に帯電した対イオンも無毒性であり、したがって哺乳類の身体(特に人体)への投与に適している。好適な生体適合性陽イオンの例には、アルカリ金属であるナトリウム及びカリウム、アルカリ土類金属であるカルシウム及びマグネシウム、並びにアンモニウムイオンがある。好ましい生体適合性陽イオンはナトリウム及びカリウムであり、最も好ましくはナトリウムである。
【0028】
式IIのジヒドロカルバゾリウム色素(CzD)は、緑色ないし近赤外波長(500〜1200nm、好ましくは600〜1000nm)の光を用いる光学イメージング方法で直接又は間接に検出できる蛍光色素又は発色団である。好ましくは、CzDは蛍光性を有する。
【0029】
式Iのリンカー基−(A)m−の役割の1つは、CzDをBTMの活性部位から遠ざけることにあると想定されている。これが特に重要であるのは、CzDが比較的バルキーであり、したがって不都合な立体相互作用が起こり得るからである。これは、CzDが活性部位から離れて位置する自由を与えるたわみ性(例えば、単純アルキル鎖)及び/又はCzDを活性部位から離すように定位させる剛性(例えば、シクロアルキル又はアリールスペーサー)を組み合わせることで達成できる。リンカー基の性質はまた、イメージング剤の生体分布を調整するためにも使用できる。即ち、例えばリンカー中にエーテル基を導入することは、血漿タンパク質結合を最小限に抑えるために役立つ。−(A)m−がポリエチレングリコール(PEG)構成単位又は1〜10のアミノ酸残基を有するペプチド鎖からなる場合、リンカー基はインビボでイメージング剤の薬物動態及び血中クリアランス速度を調整するために機能し得る。かかる「バイオモディファイアー」リンカー基は、バックグラウンド組織(例えば、筋肉又は肝臓)及び/又は血液からのイメージング剤のクリアランスを促進することで、バックグラウンド妨害を少なくして一層良好な診断画像を与えることができる。バイオモディファイアーリンカー基はまた、特定の排泄経路(例えば、肝臓経由ではなく腎臓経由の排泄)を有利にするためにも使用できる。
【0030】
「糖」という用語は、単糖、二糖又は三糖を意味する。好適な糖には、グルコース、ガラクトース、マルトース、マンノース及びラクトースがある。任意には、アミノ酸への容易なカップリングを可能にするように糖を官能化することができる。即ち、例えばアミノ酸のグルコサミン誘導体は、ペプチド結合を介して他のアミノ酸にコンジュゲートすることができる。(NovaBiochem社から商業的に入手できる)アスパラギンのグルコサミン誘導体はこれの一例である。
【0031】
【化5】
【0032】
式Iは、−(L)n[CzD]部分がBTMの任意適宜の位置に結合し得ることを示す。−(L)n[CzD]部分に対して好適なかかる位置は、インビボで活性部位への結合に係わるBTM部分から離れた位置にあるように選択される。式Iの[BTM]−(L)n−部分は、式IIのCzDの任意適宜の位置に結合し得る。[BTM]−(L)n−部分は、既存の置換基に取って代わるか、或いはCzDの既存の置換基に共有結合する。[BTM]−(L)n−部分は、好ましくは、第5の態様(下記)で説明されるようにCzDのカルボキシアルキル置換基を介して結合する。
【0033】
好ましい特徴
イメージング剤の分子量は、好適には30000ダルトン以下である。好ましくは、分子量は1000〜20000ダルトンの範囲内にあり、最も好ましくは2000〜18000ダルトンの範囲内にあり、2500〜16000ダルトンが特に好ましい。
【0034】
BTMは合成品又は天然品であり得るが、好ましくは合成品である。「合成品」という用語はそれの通常の意味を有し、即ち、天然の供給源(例えば、哺乳類の身体)から単離されるものではなく人造のものを意味する。かかる化合物は、それの製造及び不純物プロファイルを完全に制御できるという利点を有している。したがって、天然由来のモノクローナル抗体及びそのフラグメントは、本明細書中で使用する「合成品」という用語の範囲外にある。BTMは、好ましくは3〜100量体ペプチド、酵素基質、酵素アンタゴニスト及び酵素阻害剤から選択される。BTMは、最も好ましくは3〜100量体ペプチド又はペプチド類似体である。BTMがペプチドである場合、それは好ましくは4〜30量体ペプチドであり、最も好ましくは5〜28量体ペプチドである。
【0035】
式II中、好ましくはR19及びR20の少なくとも一方がHであり、最も好ましくは両方がHである。
【0036】
3〜R10のカルボキサミドアルキル置換基は、好ましくは次の式を有する。
−(CHR')xCONR'2
式中、xは1〜6の値を有する整数であり、各R'は独立にH、C1-3アルキル又はC1-3ヒドロキシアルキルである。好ましいかかる置換基は−(CH2xCONR'2(式中、x及びR'は上記に定義した通りである。)である。
【0037】
ジヒドロカルバゾリウム色素(CzD)は、好ましくは、(R3〜R10の)−SO31基及び(RaがC1-4スルホアルキルであるように選択された場合には)スルホアルキル基から選択される全部で3又は4のスルホン酸置換基を有する。好ましくは、CzDは1〜3のスルホアルキル置換基を含み、最も好ましくは、CzDのスルホン酸置換基の少なくとも2つはスルホアルキル基であるように選択される。スルホアルキル基は、好ましくはR1、R2、R15又はR18の位置にある。式II中、スルホアルキル基は好ましくは式−(CH2kSO31(式中、M1はH又はBcであり、kは1〜4の値を有する整数であり、Bcは(上記に定義したような)生体適合性陽イオンである。)を有する。kは好ましくは3又は4である。
【0038】
式II中のR11及びR12は、好ましくは、一方がRb基(式中、RbはC1-4スルホアルキル又はC2-7カルボキシアルキルである。)であり、他方がCH3であるように選択される。
【0039】
式Iの[BTM]−(L)n−部分は、好ましくは式IIのCzDのR1、R2、R11又はR17の位置、さらに好ましくはR1、R11又はR17の位置、最も好ましくはR1又はR11の位置に結合している。
【0040】
特に好ましいCzD色素は次の式IIaを有する。
【0041】
【化6】
【0042】
式中、
1a及びR2aは各々独立にRb基であり、
11a及びR12aは各々独立にCH3又はRb基であり、
13a〜R15aは各々独立にCH3、CH2OH又はC2-5カルボキシアルキルであり、
17a及びR18aは各々独立にH又はRb基であり、
21及びR22は各々独立に−SO31又は−CO21であり、
b及びM1は上記に定義した通りであり、
各nは独立に0、1又は2である。
【0043】
式IIa中、好ましくはR17a及びR18aの少なくとも一方がHである。最も好ましくは、R17a=R18a=Hである。式IIa中、好ましくはR1a及びR2aの少なくとも一方がC1-4スルホアルキルであり、最も好ましくは両方がC1-4スルホアルキルである。式IIa中、好ましくはR11a及びR12aの一方がRb基(式中、Rbは上記に定義した通りである。)であり、他方がCH3である。
【0044】
BTMがペプチドである場合、好ましいかかるペプチドには以下のものがある。
−ソマトスタチン、オクトレオチド及び類似体。
−STレセプターに結合するペプチド(ここで、STとは大腸菌(E.coli)及び他の微生物によって産生される耐熱性毒素をいう。)。
−ラミニンフラグメント、例えば、YIGSR、PDSGR、IKVAV、LRE及びKCQAGTFALRGDPQG。
−白血球集積部位をターゲティングするためのN−ホルミルペプチド。
−血小板第4因子(PF4)及びそれのフラグメント。
−例えば血管形成をターゲティングし得るRGD(Arg−Gly−Asp)含有ペプチド[R.Pasqualini et al.,Nat Biotechnol.1997 Jun;15(6):542−6]、[E.Ruoslahti,Kidney Int.1997 May;51(5):1413−7]。
−α2−抗プラスミン、フィブロネクチン、β−カゼイン、フィブリノーゲン又はトロンボスポンジンのペプチドフラグメント。α2−抗プラスミン、フィブロネクチン、β−カゼイン、フィブリノーゲン及びトロンボスポンジンのアミノ酸配列は、以下の参考文献中に見出すことができる。α2−抗プラスミン前駆体[M.Tone et al.,J.Biochem,102,1033(1987)]、β−カゼイン[L.Hansson et al,Gene,139,193(1994)]、フィブロネクチン[A.Gutman et al,FEBS Lett.,207,145(1996)]、トロンボスポンジン1前駆体[V.Dixit et al,Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,83,5449(1986)]、R.F.Doolittle,Ann.Rev.Biochem.,53,195(1984)。
−アンギオテンシンII:Asp−Arg−Val−Tyr−Ile−His−Pro−Phe(E.C.Jorgensen et al,J.Med.Chem.,1979,Vol 22,9,1038−1044)及び[Sar,Ile]アンギオテンシンII:Sar−Arg−Val−Tyr−Ile−His−Pro−Ile(R.K.Turker et al.,Science,1972,177,1203)のようなアンギオテンシンの基質又は阻害剤であるペプチド。
−アンギオテンシンI:Asp−Arg−Val−Tyr−Ile−His−Pro−Phe−His−Leu。
【0045】
BTMがペプチドである場合、ペプチドの一方又は両方の末端(好ましくは両方の末端)に代謝抑制基(MIG)がコンジュゲートされる。このようにして両方のペプチド末端を保護することは、インビボイメージング用途のために重要である。さもないと、急速な代謝の結果としてBTMペプチドに対する選択的結合親和性が失われると予想されるからである。「代謝抑制基」(MIG)という用語は、アミノ末端又はカルボキシ末端におけるBTMペプチドの酵素(特にカルボキシペプチダーゼのようなペプチダーゼ)代謝を阻止又は抑制する生体適合性基を意味する。かかる基はインビボ用途のために特に重要であって、これらは当業者にとって公知であり、好適にはペプチドアミン末端に関してはN−アシル化基−NH(C=O)RG(式中、アシル基−(C=O)RGはC1-6アルキル基及びC3-10アリール基から選択されるRGを有するか、或いはポリエチレングリコール(PEG)構成単位を含む。)から選択される。好適なPEG基は、リンカー基(L)に関して下記に記載される。好ましいかかるPEG基は、式Bio1又はBio2(下記)のバイオモディファイアーである。好ましいかかるアミノ末端MIG基はアセチル、ベンジルオキシカルボニル又はトリフルオロアセチルであり、最も好ましくはアセチルである。
【0046】
ペプチドカルボキシル末端に関して好適な代謝抑制基には、カルボキサミド、tert−ブチルエステル、ベンジルエステル、シクロヘキシルエステル、アミノアルコール及びポリエチレングリコール(PEG)構成単位がある。BTMペプチドのカルボキシ末端アミノ酸残基にとって好適なMIG基は、アミノ酸残基の末端アミンをC1-4アルキル基(好ましくはメチル基)でN−アルキル化したものである。好ましいかかるMIG基はカルボキサミド又はPEGであり、最も好ましいかかる基はカルボキサミドである。
【0047】
いずれか一方又は両方のペプチド末端がMIG基で保護された場合、−(L)n[CzD]部分はMIG基に任意に結合できる。好ましくは、少なくとも一方のペプチド末端はMIG基を有しておらず、その位置に−(L)n[CzD]部分が結合することでそれぞれ次の式IVa又はIVbの化合物が得られる。
[CzD]−(L)n−[BTM]−Z2 (IVa)
1−[BTM]−(L)n−[CzD] (IVb)
式中、
1はBTMペプチドのN末端に結合していて、H又はMIGであり、
2はBTMペプチドのC末端に結合していて、OH、OBc(式中、Bcは(上記に定義したような)生体適合性陽イオンである。)又はMIGである。
【0048】
式IVa及びIVb中、Z1及びZ2は好ましくは共に独立にMIGである。Z1及びZ2にとって好ましいかかるMIG基は、ペプチド末端に関して上記に記載した通りである。いずれかのペプチド末端におけるBTMペプチドの代謝抑制はこのように−(L)n[CzD]部分を結合することによっても達成できるが、−(L)n[CzD]自体は本発明のMIGの定義範囲外にある。
【0049】
BTMペプチドは、任意には、CzDの容易なコンジュゲーションに適した側鎖を有しかつリンカー基(L)のA残基の一部をなす1以上の追加アミノ酸残基を含み得る。好適なかかるアミノ酸残基には、アミン官能化CzD色素とのコンジュゲーションのためのAsp又はGlu残基、或いはカルボキシ官能化又は活性エステル官能化CzD色素とのコンジュゲーションのためのLys残基がある。CzDのコンジュゲーションのための追加アミノ酸残基は、好適にはBTMペプチドの結合領域から離れて位置しており、好ましくはC末端又はN末端に位置している。好ましくは、コンジュゲーションのためのアミノ酸残基はLys残基である。
【0050】
合成リンカー基(L)が存在する場合、それは好ましくは[BTM]及びCzDへのコンジュゲーションを容易にする末端官能基を含む。好適なかかる基(Qa)は第5の態様(下記)で記載する。Lが1〜10のアミノ酸残基を有するペプチド鎖からなる場合、アミノ酸残基は好ましくはグリシン、リシン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸及びセリンから選択される。LがPEG部分からなる場合、それは好ましくは次の式Bio1又はBio2の単分散PEG様構造のオリゴマー化で導かれる単位からなる。
【0051】
【化7】
【0052】
かかるPEG様構造は、式Bio1(式中、pは1〜10の整数である。)の17−アミノ−5−オキソ−6−アザ−3,9,12,15−テトラオキサヘプタデカン酸であり得る。別法として、式Bio2のプロピオン酸誘導体に基づくPEG様構造も使用できる。
【0053】
【化8】
【0054】
式中、pは式Bio1に関して定義した通りであり、qは3〜15の整数である。式Bio2中、pは好ましくは1又は2であり、qは好ましくは5〜12である。
【0055】
リンカー基がPEG又はペプチド鎖からなっていない場合、好ましいL基は、2〜10の原子、最も好ましくは2〜5の原子、特に好ましくは2又は3の原子を含む−(A)m−部分を構成する結合原子の主鎖を有している。2つの原子を含む最小リンカー基主鎖は、いかなる望ましくない相互作用も最小限に抑えられるようにCzDを十分に引き離すという利点を与える。
【0056】
商業的に入手できないBTMペプチドは、P.Lloyd−Williams,F.Albericio and E.Girald;Chemical Approaches to the Synthesis of Peptides and Proteins,CRC Press,1997に記載されているような固相ペプチド合成法によって合成できる。
【0057】
イメージング剤は以下のようにして製造できる。
【0058】
BTMに対するCzDのコンジュゲーションを容易にするため、CzDには好適には反応性官能基(Qa)が結合されている。Qa基は、BTMの相補的な官能基と反応することでCzDとBTMとの間に共有結合を形成するように設計されている。BTMの相補的な官能基は、BTMの固有部分であってもよいし、或いは当技術分野で公知のように二官能性基での誘導体化の使用によって導入してもよい。表1は、反応基及びその相補的な対応基の例を示す。
【0059】
【表1】
【0060】
「活性化エステル」又は「活性エステル」という用語は、良好な脱離基であり、したがってアミンのような求核性化合物との一層容易な反応を可能にするように設計されたカルボン酸のエステル誘導体を意味する。好適な活性エステルの例は、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)、ペンタフルオロフェノール、ペンタフルオロチオフェノール、p−ニトロフェノール及びヒドロキシベンゾトリアゾールである。好ましい活性エステルは、N−ヒドロキシスクシンイミド又はペンタフルオロフェノールエステルである。
【0061】
Qaがアジド又はアルキンである場合、コンジュゲーション反応はトリアゾール環を形成する「クリック化学」を含んでいる。コンジュゲート形成で使用されるクリック化学の詳細は、“ClickChemistry for Biotechnology and Materials Science”[J.Lahann(Ed),Wiley(2009)]中の“Synthesis and Functionalization of Biomolecules via Click Chemistry”,C.Schilling et al,Chapter 15,pages 355−378に記載されている。アルキン基又はアジド基による生物学的ターゲティング分子の官能化のためのさらなるアプローチは、Nwe et al[Cancer Biother.Radiopharm.,24(3),289−302(2009)]によって記載されている。Li et alは、N3−L1−CO2H型(式中、L1は−(CH24−である。)の化合物の合成法及びアミン含有BTMへのコンジュゲートのためのそれの使用を記載している[Bioconj.Chem.,18(6),1987−1994(2007)]。Hausner et alは、N3−L1−CO2H(式中、L1は−(CH24−である。)についての関連方法論を記載している[J.Med.Chem.,51(19),5901−5904(2008)]。De Graaf et al[Bioconj.Chem.,20(7),1281−1295(2009)]は、アジド側鎖を有する非天然アミノ酸及び続くクリックコンジュゲーションのためのペプチド又はタンパク質中への部位特異的組込みを記載している。
【0062】
タンパク質、ペプチド、核酸、炭水化物などのBTM中に存在する官能基の例には、ヒドロキシ、アミノ、スルフヒドリル、カルボニル(アルデヒド及びケトンを含む)並びにチオホスフェートがある。好適なQa基は、カルボキシル、活性化エステル、イソチオシアネート、マレイミド、ハロアセトアミド、ヒドラジド、ビニルスルホン、ジクロロトリアジン及びホスホラミダイトから選択できる。好ましくは、Qaはカルボン酸の活性化エステル、イソチオシアネート、マレイミド又はハロアセトアミドである。
【0063】
相補基がアミン又はヒドロキシルである場合、Qaは好ましくは活性化エステルであり、好ましいかかるエステルは上記に記載した通りである。CzD上の好ましいかかる置換基は、5−カルボキシペンチル基の活性化エステルである。相補基がチオールである場合、Qaは好ましくはマレイミド基又はヨードアセトアミド基である。
【0064】
光学色素を生物学的分子にコンジュゲートするための一般的方法は、Licha et al[Topics Curr.Chem.,222,1−29(2002);Adv.Drug Deliv.Rev.,57,1087−1108(2005)]によって記載されている。本発明で使用するためのペプチド、タンパク質及びオリゴヌクレオチド基質は、末端位置で標識することができ、或いは別法として1以上の内部位置で標識することができる。蛍光色素標識試薬を用いるタンパク質標識の総説及び例に関しては、“Non−Radioactive Labelling,a Practical Introduction”,Garman,A.J.,Academic Press,1997、及び“Bioconjugation − Protein Coupling Techniques for the Biomedical Sciences”,Aslam,M.and Dent,A.,Macmillan Reference Ltd.(1998)を参照されたい。合成ペプチドにおいて部位特異的標識を達成するためのプロトコルが利用できる。例えば、Hermanson,G.T.,“Bioconjugate Techniques”,Academic Press(1996)を参照されたい。
【0065】
好ましくは、イメージング剤の製造方法は、
(i)BTMのアミン官能基を式Y1−(L)n−[CzD]の化合物と反応させるか、
(ii)BTMのカルボン酸又は活性化エステル官能基を式Y2−(L)n−[CzD]の化合物と反応させるか、或いは
(iii)BTMのチオール基を式Y3−(L)n−[CzD]の化合物と反応させる
ことを含んでいる。式中、
BTM、MIG、L、n及びCzDは上記に定義した通りであり、
1はカルボン酸基、活性化エステル基、イソチオシアネート基又はチオシアネート基であり、
2はアミン基であり、
3はマレイミド基である。
【0066】
2は、好ましくは第一又は第二アミン基であり、最も好ましくは第一アミン基である。段階(iii)では、BTMのチオール基は好ましくはシステイン残基に由来する。
【0067】
段階(i)〜(iii)では、BTMはCzD誘導体と反応する可能性がある他の官能基を任意に有し得るが、これらは所望の部位のみで化学反応が選択的に起こるように適当な保護基で保護される。「保護基」という用語は、望ましくない化学反応を阻止又は抑制するが、分子の残部を変質させない程度に温和な条件下で問題の官能基から脱離させ得るのに十分な反応性を有するように設計された基を意味する。脱保護後には所望の生成物が得られる。アミン保護基は当業者にとって公知であり、好適にはBoc(ここでBocはtert−ブチルオキシカルボニルである。)、Fmoc(ここでFmocはフルオレニルメトキシカルボニルである。)、トリフルオロアセチル、アリルオキシカルボニル、Dde[即ち、1−(4,4−ジメチル−2,6−ジオキソシクロヘキシリデン)エチル]及びNpys(即ち、3−ニトロ−2−ピリジンスルフェニル)から適宜に選択される。好適なチオール保護基は、Trt(トリチル)、Acm(アセトアミドメチル)、t−Bu(tert−ブチル)、tert−ブチルチオ、メトキシベンジル、メチルベンジル及びNpys(3−ニトロ−2−ピリジンスルフェニル)である。さらに他の保護基の使用は、‘Protective Groups in Organic Synthesis’,Theodora W.Greene and Peter G.M.Wuts(John Wiley & Sons,1991)に記載されている。好ましいアミン保護基はBoc及びFmocであり、最も好ましくはBocである。好ましいアミン保護基はTrt及びAcmである。
【0068】
本発明のCzD色素は、実施例に記載されるようにして製造できる。
【0069】
光学レポーター色素をアミノ酸及びペプチドにコンジュゲートする方法は、Licha(上記参照)並びにFlanagan et al[Bioconj.Chem.,,751−756(1997)]、Lin et al[ibid,13,605−610(2002)]及びZaheer[Mol.Imaging,(4),354−364(2002)]によって記載されている。リンカー基(L)をBTMにコンジュゲートする方法は、色素のみをコンジュゲートする方法(上記参照)と類似の化学作用を使用し、当技術分野で公知である。
【0070】
第2の態様では、本発明は、哺乳動物への投与に適した形態で第1の態様のイメージング剤を生体適合性キャリヤーと共に含んでなる医薬組成物を提供する。
【0071】
「生体適合性キャリヤー」は、組成物が生理学的に認容され得るようにして(即ち、毒性又は過度の不快感なしに哺乳類の身体に投与できるようにして)イメージング剤を懸濁又は溶解できる流体(特に液体)である。生体適合性キャリヤーは、好適には、無菌のパイロジェンフリー注射用水、(有利には注射用の最終生成物が等張性になるように平衡させ得る)食塩水のような水溶液、或いは1種以上の張度調整物質(例えば、血漿陽イオンと生体適合性対イオンとの塩)、糖(例えば、グルコース又はスクロース)、糖アルコール(例えば、ソルビトール又はマンニトール)、グリコール(例えば、グリセロール)又は他の非イオン性ポリオール物質(例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールなど)の水溶液のような注射可能なキャリヤー液体である。好ましくは、生体適合性キャリヤーはパイロジェンフリー注射用水又は等張食塩水である。
【0072】
イメージング剤及び生体適合性キャリヤーはそれぞれ、注射器又はカニューレによる溶液の追加及び抜取りを許しながら、無菌保全性及び/又は放射能安全性の維持、さらに任意には不活性ヘッドスペースガス(例えば、窒素又はアルゴン)の維持を可能にする密封容器からなる適当なバイアル又は容器に入れた状態で供給される。好ましいかかる容器は、気密クロージャーを(通例はアルミニウムからなる)オーバーシールと共にクリンプ加工した隔壁密封バイアルである。クロージャーは、無菌保全性を維持しながら皮下注射針による1回又は数回の穿刺に適したもの(例えば、クリンプ加工した隔壁シールクロージャー)である。かかる容器は、(例えば、ヘッドスペースガスの変更又は溶液のガス抜きのために)所望される場合にはクロージャーが真空に耐え得ると共に、酸素又は水蒸気のような外部大気ガスの侵入を許すことなしに減圧のような圧力変化にも耐え得るという追加の利点を有している。
【0073】
好ましい複数用量容器は、複数の患者用量を含む(例えば、容積10〜30cm3の)単一のバルクバイアルからなり、したがって臨床的状況に合わせて製剤の実用寿命中に様々な時間間隔で1回分の患者用量を臨床グレードの注射器中に抜き取ることができる。予備充填注射器は1回分のヒト用量又は「単位用量」を含むように設計され、したがって好ましくは臨床用に適した使い捨て注射器又は他の注射器である。本発明の医薬組成物は、好ましくは1人の患者用に適した用量を有し、上述したような適当な注射器又は容器に入れて供給される。
【0074】
かかる医薬組成物は、抗菌防腐剤、pH調整剤、フィラー、安定剤又は重量オスモル濃度調整剤のような追加賦形剤を任意に含むことができる。「抗菌防腐剤」という用語は、潜在的に有害な微生物(例えば、細菌、酵母又はかび)の増殖を阻止する薬剤を意味する。抗菌防腐剤はまた、使用する用量に応じて多少の殺菌性を示すこともある。本発明の抗菌防腐剤の主な役割は、医薬組成物中におけるこのような微生物の増殖を阻止することである。しかし、抗菌防腐剤は、任意には投与に先立って前記組成物を製造するために使用されるキットの1種以上の成分中における潜在的に有害な微生物の増殖を阻止するためにも使用できる。好適な抗菌防腐剤には、パラベン類(即ち、メチル、エチル、プロピル又はブチルパラベン或いはこれらの混合物)、ベンジルアルコール、フェノール、クレゾール、セトリミド及びチオメルサールがある。好ましい抗菌防腐剤はパラベン類である。
【0075】
「pH調整剤」という用語は、組成物のpHがヒト又は哺乳動物への投与のために許容し得る範囲(およそpH4.0〜10.5)内にあることを保証するために有用な化合物又は化合物の混合物を意味する。好適なかかるpH調整剤には、トリシン、リン酸塩又はTRIS[即ち、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン]のような薬学的に許容し得る緩衝剤、及び炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム又はこれらの混合物のような薬学的に許容し得る塩基がある。組成物をキットの形態で使用する場合には、pH調整剤を任意には独立のバイアル又は容器に入れて供給することができ、その結果としてキットのユーザーは多段操作の一部としてpHを調整することができる。
【0076】
「フィラー」という用語は、製造及び凍結乾燥中における材料の取扱いを容易にすることができる薬学的に許容し得る増量剤を意味する。好適なフィラーには、塩化ナトリウムのような無機塩、及びスクロース、マルトース、マンニトール又はトレハロースのような水溶性糖又は糖アルコールがある。
【0077】
第2の態様の医薬組成物は、無菌製造条件下で(即ち、クリーンルーム内で)製造して所望の無菌で非発熱性の生成物を得ることができる。基本構成部分、特に関連する試薬並びにイメージング剤に接触する装置部品(例えば、バイアル)は無菌であることが好ましい。かかる構成部分及び試薬は、無菌濾過或いは(例えば、γ線照射、オートクレーブ処理、乾熱又は(例えば、エチレンオキシドによる)化学処理を用いる)終末滅菌をはじめとする、当技術分野で公知の方法によって滅菌できる。一部の構成部分を予め滅菌しておけば、最小数の操作を実施すれば済むので好ましい。しかし、予防策として、医薬組成物の製造における最終段階として少なくとも無菌濾過段階を含めることが好ましい。第2の態様の医薬組成物は、好ましくは第3の態様に関して下記に記載するようなキットから製造される。
【0078】
第3の態様では、本発明は、第2の態様の医薬組成物を製造するためのキットであって、当該キットは第1の態様のイメージング剤を無菌固体形態で含んでいて、生体適合性キャリヤーの無菌供給物で再構成すれば溶解が起こって所望の医薬組成物を与えるキットを提供する。
【0079】
その場合、イメージング剤及び上述したような他の任意賦形剤は、凍結乾燥粉末として適当なバイアル又は容器に入れて供給できる。かかる薬剤は、次いで所望の生体適合性キャリヤーを用いて再構成することで、哺乳動物への投与が可能な無菌で非発熱性の形態の医薬組成物を与えるように設計される。
【0080】
イメージング剤の好ましい無菌固体形態は凍結乾燥固体である。無菌固体形態は、好ましくは医薬組成物に関して(上記に)記載したような医薬品用容器に入れて供給される。キットを凍結乾燥する場合、配合物は糖類(好ましくはマンニトール、マルトース及びトリシン)から選択される凍結保護剤を任意に含むことができる。
【0081】
第4の態様では、本発明は次の式Iのコンジュゲートを提供する。
[BTM’]−(L)n−CzD
(I)
式中、L、n、BTM及びCzD並びにこれらの好ましい態様は第1の態様で定義した通りである。
【0082】
第4の態様のコンジュゲートは、式II及び式IIaのCzD色素を含む本発明のイメージング剤及び医薬組成物の製造に際して有用である。BTM、L、n並びに式II及び式IIaのCzD色素の好ましい態様は上述した通りである。かかるコンジュゲートは本発明の第1及び第5の態様に記載したようにして製造できる。
【0083】
第5の態様では、本発明は、第4の態様のコンジュゲートの製造において有用な官能化ジヒドロカルバゾリウム色素(CzD)であって、CzDは第1の態様で定義された式II又は式IIaを有すると共に、前記CzDはさらにQa基(式中、QaはBTMへのコンジュゲーションに適した反応性官能基である。)を含む官能化色素を提供する。
【0084】
「反応性官能基」(Qa)及びその好ましい実施形態は、第1の態様(上記)に記載した通りである。
【0085】
第6の態様では、本発明は、哺乳類の身体のインビボ光学イメージング方法であって、第1の態様のイメージング剤又は第2の態様の医薬組成物を用いてインビボでBTMの局在部位の画像を得る段階を含んでなる方法を提供する。
【0086】
「光学イメージング」という用語は、緑色ないし近赤外領域(波長500〜1200nm)の光との相互作用に基づいて、疾患の検出、ステージング又は診断、疾患進展の追跡或いは疾患治療の追跡のための画像を形成する任意の方法を意味する。光学イメージングはさらに、いかなる装置も使用しない直接可視化並びに各種スコープ、カテーテル及び光学イメージング装置(例えば、断層撮影表示用のコンピューター支援ハードウェア)のような装置の使用を伴う直接可視化のためのあらゆる方法を包含する。かかるモダリティ及び測定技法には、特に限定されないが、ルミネセンスイメージング、内視鏡検査、蛍光内視鏡検査、光学コヒーレンス断層撮影、透過率イメージング、時間分解透過率イメージング、共焦点イメージング、非線形顕微鏡検査、光音響イメージング、音響光学イメージング、スペクトル分析、反射スペクトル分析、干渉分析、コヒーレンス干渉分析、拡散光学断層撮影及び蛍光媒介拡散光学断層撮影(連続波、時間ドメイン及び周波数ドメインシステム)、並びに光の散乱、吸光、偏光、ルミネセンス、蛍光寿命、量子収量及び消光の測定がある。これらの技法のさらなる詳細は、Tuan Vo−Dinh(editor):“Biomedical Photonics Handbook”(2003),CRC Press LCC、Mycek & Pogue(editors):“Handbook of Biomedical Fluorescence”(2003),Marcel Dekker,Inc.、及びSplinter & Hopper:“An Introduction to Biomedical Optics”(2007),CRC Press LCCに示されている。
【0087】
緑色ないし近赤外領域の光は、好適には500〜1200nm、好ましくは600〜1000nmの波長を有する。光学イメージング方法は、好ましくは蛍光内視鏡検査である。第6の態様の哺乳類の身体は、好ましくは人体である。イメージング剤の好ましい実施形態は、第1の態様に関して(上記に)記載した通りである。特に、使用するCzD色素は蛍光性であることが好ましい。
【0088】
第6の態様の方法では、イメージング剤又は医薬組成物は好ましくは前記哺乳類の身体に予め投与されている。「予め投与されている」とは、臨床医の関与の下でイメージング剤を例えば静脈内注射によって患者に投与する段階がイメージングに先立って既に実施されていることを意味する。この実施形態は、BTMが関係している哺乳類の身体の疾患状態のインビボ診断イメージング用の診断剤を製造するために、第1の実施形態のイメージング剤を使用することを含んでいる。
【0089】
第6の態様の好ましい光学イメージング方法は、蛍光反射イメージング(FRI)である。FRIでは、本発明のイメージング剤を診断すべき被験体に投与し、次いで被験体の組織表面を励起光(通常は連続波(CW)励起)で照明する。光はイメージング剤のCzD色素を励起する。励起光によって生じるイメージング剤からの蛍光を、蛍光検出器を用いて検出する。好ましくは、戻る光を濾光することで蛍光成分を(単独に又は部分的に)分離する。蛍光から画像を形成する。通常、最小限の処理が実施され(寿命、量子収量などの光学パラメーターを計算するためのプロセッサーは使用されない)、画像は蛍光強度をマップする。イメージング剤は、疾患領域に集中して高い蛍光強度を生み出すように設計されている。したがって、疾患領域は蛍光強度画像中に正のコントラストを生み出す。画像は好ましくはCCDカメラ又はチップを用いて取得される結果、リアルタイムイメージングが可能である。
【0090】
励起用の波長は使用する特定のCzD色素に応じて変化するが、本発明の色素に関しては通例500〜1200nmの範囲内にある。励起光を発生するための装置は、レーザー(例えば、イオンレーザー、色素レーザー又は半導体レーザー)、ハロゲン光源或いはキセノン光源のような通常の励起光源であり得る。任意には、各種の光学フィルターを用いて最適の励起波長を得ることができる。
【0091】
好ましいFRI方法は下記の段階を含んでいる。即ち、
(i)哺乳類の身体内の検査対象組織表面を励起光で照明する段階、
(ii)CzDの励起によって生じるイメージング剤からの蛍光を蛍光検出器を用いて検出する段階、
(iii)蛍光検出器によって検出された光を任意に濾光して蛍光成分を分離する段階、及び
(iv)段階(ii)又は(iii)の蛍光から前記検査対象組織表面の画像を形成する段階
を含んでいる。段階(i)では、励起光は好ましくは連続波(CW)の性質を有する。段階(iii)では、検出された光は好ましくは濾光される。特に好ましいFRI方法は蛍光内視鏡検査である。
【0092】
第6の態様の別のイメージング方法は、FDPM(周波数ドメイン光子移動)を使用する。これは、組織内における色素の検出深度が大きいことが重要である場合、連続波(CW)方法に比べて利点を有する[Sevick−Muraca et al,Curr.Opin.Chem.Biol.,,642−650(2002)]。かかる周波数/時間ドメインイメージングのためには、CzDが、画像化すべき病変の組織深度及び使用する計装のタイプに応じて変調できる蛍光特性を有するならば有利である。
【0093】
FDPM方法は下記のようなものである。即ち、
(a)不均質組成を有する前記哺乳類の身体の光散乱性生体組織を、所定の経時変動強度を有する光源からの光に暴露してイメージング剤を励起する段階であって、組織は励起光を多重散乱させる段階、
(b)前記暴露に応答した組織からの多重散乱発光を検出する段階、
(c)組織内の様々な位置における蛍光特性のレベルにそれぞれ対応する複数の値をプロセッサーで確定することにより、発光から組織全体の蛍光特性を定量化する段階であって、蛍光特性のレベルは組織の不均質組成に応じて変化する段階、及び
(d)段階(c)の値に従って組織の不均質組成のマッピングを行うことで組織の画像を生成する段階
を含んでいる。
【0094】
段階(c)の蛍光特性は、好ましくはイメージング剤の取込みに対応し、好ましくはさらにイメージング剤の投与前における組織の吸着係数及び散乱係数に対応する複数の量のマッピングを含んでいる。段階(c)の蛍光特性は、好ましくは蛍光寿命、蛍光量子効率、蛍光収量及びイメージング剤取込みの1以上に対応する。蛍光特性は、好ましくは発光強度に無関係であり、またイメージング剤濃度に無関係である。
【0095】
段階(c)の定量化は、好ましくは、(i)値の推定値を設定し、(ii)推定値の関数として計算発光を求め、(iii)計算発光を前記検出段階の発光と比較して誤差を求め、(iv)誤差の関数として蛍光特性の修正推定値を得ることを含んでいる。定量化は、好ましくは、組織の多重光散乱挙動をモデル化する数学的関係から値を求めることを含んでいる。第1のオプションの方法は、好ましくはさらに、前記蛍光特性の変動を検出することでインビボでの組織の代謝特性をモニターすることを含んでいる。
【0096】
第6の態様の光学イメージングは、好ましくは哺乳類の身体の疾患状態の管理を支援するために使用される。「管理」という用語は、検出、ステージング、診断、疾患進行のモニタリング又は治療のモニタリングでの使用を意味する。疾患状態は、好適にはイメージング剤のBTMが関係するものである。イメージング用途には、好ましくは、カメラに基づく表面イメージング、内視鏡検査及び外科的誘導がある。好適な光学イメージング方法のさらなる詳細は、Sevick−Muraca et al[Curr.Opin.Chem.Biol.,,642−650(2002)]によって総説されている。
【0097】
第7の態様では、本発明は、哺乳類の身体の疾患状態の検出、ステージング、診断、疾患進行のモニタリング又は治療のモニタリングを行う方法であって、第6の態様のインビボ光学イメージング方法を含んでなる方法を提供する。
【実施例】
【0098】
以下に詳述する非限定的な実施例によって本発明を例証する。実施例1は、カルバゾリウム色素前駆体の合成法を示す。実施例2は、(水溶性を向上させるために)N−スルホアルキル基を有するカルバゾリウム色素前駆体の合成法を示す。実施例3は、(生物学的ターゲティング部分に対する色素のコンジュゲーションを容易にするために)カルボキシアルキル置換基を有するカルバゾリウム色素前駆体の合成法を示す。実施例4は、スルホアルキル置換基及びカルボキシアルキル置換基の両方を有するカルバゾリウム色素前駆体の合成法を示す。実施例5は、改良されたカルバゾリウム色素合成法に基づく予測例として本発明の3種の色素(色素1、色素2及び色素3)の合成法を示す。実施例6は、本発明のジヒドロカルバゾリウム色素がインビボ光学イメージングに適した光物理的性質を有するという証拠を示す。
【0099】
略語
BP: 沸点
CV: カラム容積
DCM: ジクロロメタン
DMF: N,N’−ジメチルホルムアミド
DMSO: ジメチルスルホキシド
HPLC: 高速液体クロマトグラフィー
LC−MS: 液体クロマトグラフィー質量分析法
PBS: リン酸塩緩衝食塩水
RT: 室温
TFA: トリフルオロ酢酸
THF: テトラヒドロフラン
TLC: 薄層クロマトグラフィー
実施例1:カルバゾリウム前駆体(化合物1d)の合成
【0100】
【化9】
【0101】
(i)1,3−ジメチルインドール(化合物1a)
1−メチル−1−フェニルヒドラジン(6g、49.2mmol)を酢酸(12ml)中のプロピオンアルデヒド(3.2g、9mmol)にゆっくりと添加した。添加中に熱が発生した。溶液をCEMマイクロ波反応器(200℃、300W、保持時間1分)内で加熱した。高真空回転蒸発器で酢酸を除去し、得られた黒色のガム質をDCM(20ml)に溶解し、シリカゲル(50g)を添加し、試料を濃縮乾固した。カラムクロマトグラフィー(A=ペトロール40〜60,B=DCM,1〜4CV 10%B,13CV 80%B,40gカラム)を行った。速く流出する大きいピークを集め、濃縮することで不純な黄色油状物を得た。生成物を高沸点画分から分離するように注意しながら、不純物質を分別蒸留(100Pa(1mBar)でBP=190℃)により精製することで、所望の物質(3.7g、44%)を得た。
【0102】
1H NMR(300MHz,CDCl3):δ(ppm)2.33(3H,s,メチル)、3.73(3H,s,N−メチル)、6.82(1H,s,2−C)、7.1(1H,dd,インドール)、7.21(1H,dd,インドール)、7.28(1H,d,インドール)、7.57(1H,d,インドール)。
【0103】
(ii)4,4,4a,9−テトラメチル−1,2,3,4,5,6−ヘキサヒドロカルバゾール−2−オン(化合物1b)
1,3−ジメチルインドール(化合物1a、200mg、1.38mmol)をアセトニトリル(2ml)に溶解し、氷水浴上で冷却した。硫酸(97%、0.2ml)を添加し、1分後にメシチルオキシド(405mg、4.14mmol)を添加した。熱が発生し、撹拌を1/2時間続けた後、1時間かけて温度をRTまで上昇させた。反応物を冷却及び撹拌しながら、水(10ml)中のNaHCO3(1.267g)懸濁液にゆっくりと添加し、ジエチルエーテル(3×20ml)で抽出し、MgSO4上で乾燥した。蒸発によって得られた淡黄色の油状物をジエチルエーテル(20ml)に溶解し、溶液をシリカゲル(約5g)上で乾燥した。カラムクロマトグラフィー(A=ペトロール40〜60,B=DCM,1〜4CV 5%B乃至10%B,10CV 100%B,13CV 100%B,120gカラム)によって1つの主要化学種を得たが、これを静置して結晶化することで所望の物質(302mg、90%)を得た。
【0104】
1H NMR(CDCl3):δ(ppm)0.81(3H,s,C 3)、1.06(3H,s,C 3)、1.46(3H,s,C 3 )、2.20(1H,d,3−C)、2.32(1H,d,3−C)、2.62(3H,s,N−C 3)、2.72(2H,m,1−C 2)、3.55(1H,dd,9a−C)、6.54(1H,d,8−C)、6.76(1H,dd,6−C)、7.06(1H,d,5−C)、7.14(1H,dd,7−C)。
【0105】
(iii)2−メチレン−4,4,4a,9−テトラメチル−1,2,3,4,5,6−テトラヒドロカルバゾール(化合物1c)
化合物1b(870mg、4.04mmol)を乾燥THF(2ml)に溶解し、−40℃に冷却した。ピリジン(10μl)を添加し、次いでテッベ(Tebbe)試薬の溶液(0.5Mトルエン溶液、2eq.、8.08mmol、16.16ml)を窒素下で約1分かけて添加した。混合物を−40℃で1/2時間撹拌し、2時間かけてRTに昇温させた。冷却した反応混合物に水酸化ナトリウム溶液(0.45mlの15%水溶液)を添加する(熱及びガスが発生した)ことで反応物を奪活した。暗緑色の混合物をジエチルエーテル(60ml)で希釈し、セライトパッドで濾過した。シリカゲル(約20g)を添加し、溶媒を蒸発させた。カラムクロマトグラフィー(A=ペトロール40〜60,B=DCM,1〜3CV 0〜5%B,3〜7CV 5%B乃至40%B,7〜9CV 40%B乃至100%B,120gカラム)により、所望の生成物を主要化学種(0.38g、39%)として得た。
【0106】
1H NMR(CDCl3):δ(ppm)0.57(3H,s,メチル)、0.96(3H,s,メチル)、1.41(3H,s,メチル)、1.84(1H,d,CH 3)、2.28(1H,d,CH 3)、2.43(dd,1H,H 1)、2.62(1H,dd,H 1)、2.64(3H,s,N−メチル)、2.99(1H,dd,H 9a)、4.68(1H,d,エキソ−CH2)、4.81(1H,d,エキソ−CH2)、6.55(1H,d,H 8)、6.74(1H,dd,H 6)、7.05(1H,d,H 5)、7.12(1H,dd,H 7)。
【0107】
(iv)2,4,4,4a,9−ペンタメチル−4,4a−ジヒドロ−3−H−カルバゾリウムヨージド(化合物1d)
無水メタノール中の化合物1c(300mg、1.24mmol)、ヨウ素(2eq.、631mg、2.49mmol)及びヨウ化ナトリウム(615mg、4.1mmol)を窒素下で2時間加熱還流した。冷却後、生じた沈殿を濾過によって集め、氷冷水で洗浄し、高真空下で乾燥して所望の生成物(110mg、23%)を得た。濾液をチオ硫酸ナトリウム溶液(0.2ml飽和溶液)で処理し、生成物を半分取HPLC(Phenomenex Luna C18(2)150x21.2mm,A=水,B=MeCN,15ml/分,λ=330nm,0〜5分 5%B,12分 70%B,12〜14分 95%B,14〜18分 5%B,tr=11分)によって精製した。凍結乾燥によってオフホワイトの固体(122mg、27%)を得た。総収率50%。
【0108】
1H NMR(MeOH−d3):δ(ppm)0.59(3H,s,メチル)、1.50(3H,s,メチル)、1.54(3H,s,メチル)、2.31(3H,s,メチル)、2.45(1H,d,H 3)、3.03(1H,d,H 3)、3.99(3H,s,N−メチル)、7.03(1H,s,H 1)、7.61(1H,dd)、7.65(1H,dd)、7.75(2H,m)。
【0109】
実施例2:N−スルホアルキルカルバゾリウム前駆体(化合物2e)の合成
【0110】
【化10】
【0111】
(i)3−メチル−1−(4−スルホブチル)インドール(化合物2b)
3−メチルインドール(化合物2a、311mg、2.38mmol)を乾燥DMF(5ml)に溶解し、(乾燥ジエチルエーテルで洗浄した)水素化ナトリウム(97mg、4.04mmol、1.7eq.)をDMF(乾燥、2ml)中の懸濁液として一度に添加した。微細懸濁液をRTで30分間撹拌し、1,4−ブタンスルトン(324mg、2.38mmol)を添加した。反応物を1時間撹拌した。次いで、反応物をジエチルエーテル(100ml)に添加し、懸濁液を4℃で16時間貯蔵した。上澄み液をデカントによって除去し、固体をジエチルエーテルでトリチュレートした。オフホワイトの固体を高真空下で乾燥した(410mg、61%)。プロトンNMRは約17モル%のDMFの存在を示した。
【0112】
1H NMR(300MHz,DMSO−d6):δ(ppm)1.54(2H,m,N−CH2CH2 2CH2−SO3 -)、1.74(2H,m,N−CH2 2CH2CH2−SO3 -)、2.24(3H,s,メチル)、2.40(2H,t,N−CH2CH2CH2 2−SO3 -)、4.10(2H,t,N−C 2CH2CH2CH2−SO3 -)、6.98(1H,dd,Ar)、7.11(1H,dd,Ar)、7.12(1H,s,2−H)、7.39(1H,d,ArH)、7.41(1H,d,ArH)。
【0113】
(ii)9−(4−スルホブチル)−4,4,4a−トリメチル−1,2,3,4,5,6−ヘキサヒドロカルバゾール−2−オンテトラブチルアンモニウム塩(化合物2c)
化合物2b(2.0g、6.92mmol)をアセトニトリル(150ml)中に懸濁し、70℃に加温してから超音波処理し、次いで大部分の原料が溶解するまでさらに加温した。メシチルオキシド(2eq.,1.36g、13.84mmol)を添加し、次いで硫酸(97%、1ml)をゆっくりと添加した。反応物を窒素下においてRTで16時間撹拌した。メシチルオキシド(1ml)、次いで硫酸(97%、0.5ml)を添加し、撹拌を24時間続けた。
【0114】
反応溶液を真空下で濃縮して油状物を得、次いで水(80ml)を添加した。水酸化テトラ−n−ブチルアンモニウム(固体)を、pHが約7になるまで少量ずつ添加し、溶液を酢酸エチル(4×50ml)で抽出した。洗液を乾燥せずに濃縮して黄色の油状物(3.5g)を得、これを高真空下で16時間乾燥した。油状物をDCM(80ml)に溶解し、シリカゲル(約50g)上で乾燥した。カラムクロマトグラフィー(A=DCM,B=10%メタノール/DCM,C=メタノール,0〜2CV 100%A,2〜10CV 0〜100%B,10〜12CV 100%B,12〜17CV 0〜20%C,17〜20CV 20%C,330gカラム)によって一連の画分を得た。12CV後に溶出する3つの主要画分は、所望の生成物及び若干の出発原料を様々な塩として含むことが示された。最も遅く流出する画分は、プロトンNMRにより、テトラブチルアンモニウム塩としての所望生成物を清浄な物質(0.87g、21%)として含むことが示された。
【0115】
1H NMR(300MHz,CDCl3):δ(ppm)0.80(3H,s,メチル)、1.00(12H,t,NCH2CH2CH2 3)、1.06(3H,s,メチル)、1.45(8H,tt,NCH2CH2 2CH3)、1.46(3H,s,メチル)、1.55(2H,m,N−CH2CH2 CH 2CH2−SO3 -)、1.6(8H,m,NCH2 2CH2CH3)、1.82(2H,tt,N−CH2 2CH2CH2−SO3 -)、2.20(2H,2xd オーバーラッピング,H 3 a/b系)、2.67(2H,m,H 1 a/b系)、2.80(2H,2xd,N−C 2CH2CH2CH2−SO3 -)、3.0(2H,m,,N−CH2 2CH2CH2−SO3 -)、3.32(8H,t,NC 2CH2CH2CH3)、3.61(1H,dd,9a−H)、6.44(1H,d,8−H)、6.65(1H,dd,6−H)、7.00(1H,d,5−H)、7.06(1H,dd,7−H)。
【0116】
(iii)2−メチレン−9−(4−スルホブチル)−4,4,4a−トリメチル−1,2,3,4,5,6−ヘキサヒドロカルバゾールテトラブチルアンモニウム塩(化合物2d)
トルエン共沸蒸発(乾燥トルエン、3×20ml)を用いて化合物2c(200mg、0.33mmol)を乾燥し、THF(乾燥、20ml)に溶解した。カードアイス/アセトン浴を用いて溶液を−40℃に冷却した。テッベ試薬(トルエン中0.5M、1mmol、2ml、3eq.)を約2分かけてゆっくりと添加した。反応物を窒素下において−40℃で30分間撹拌し、さらに30分間撹拌しながらRTに昇温させた(全反応時間1.5時間)。水酸化テトラブチルアンモニウム(3eq.、1mmol)の水(3ml)溶液を冷却しながらゆっくりと添加し(激しい反応)、混合物を−15℃で一晩貯蔵した。RTの混合物にDCM(50ml)を添加し、混合物をガラスフリットで濾過した。相分離器カートリッジを用いて濾液から水を除去し、DCM溶液を濃縮乾固してオレンジ色の油状物を得た。粗生成物をDCM(15ml)に溶解し、水酸化テトラブチルアンモニウム溶液(1mlの1Mメタノール溶液)を添加した。溶液をシリカゲル(約5g)上で乾燥した。カラムクロマトグラフィー(A=DCM,B=10%メタノール/DCM,C=メタノール,0〜1CV 100%A,1〜8CV 0〜100%B,8〜10CV 100%B,10〜17CV 100%B乃至20%C,16〜17%C,20%C,40gカラム)によって様々なピークを得た。最も遅く流出するものが所望の生成物(140mg、70%)であることがわかったが、これは不純物として20〜30%のケトン出発原料も含んでいた。不純な物質を次の段階で使用した。
【0117】
1H NMR(CDCl3):δ(ppm)0.55(3H,s,メチル)、0.90(3H,s,メチル)、1.00(12H,t,,NCH2CH2CH2 CH 3)、1.34(3H,s,メチル)、1.45(8H,tt,NCH2CH2 CH 2CH3)、1.55(2H,m,N−CH2CH2 CH 2CH2−SO3 -)、1.6(8H,m,NCH2 CH 2CH2CH3)、1.90(2H,m,N−CH2 CH 2CH2CH2−SO3 -)、2.20(2H,m,N−CH 2CH2CH2CH2−SO3 -)、2.35(1H,d,H 3)、2.55(1H,d,H 3)、2.80(3H,m,H 1及びH 9a)、3.0(2H,m,N−CH2 CH 2CH2CH2−SO3 -)、3.32(8H,t,NCH 2CH2CH2CH3)、4.63(1H,s,エキソ−メチレン)、4.76(1H,s,エキソ−メチレン)、6.42(1H,d)、6.62(1H,dd)、7.00(1H,d)、7.05(1H,dd)。
【0118】
(iv)9−スルホブチル−2,4,4,4a−テトラメチル−4,4a−ジヒドロ−3−H−カルバゾリウムテトラブチルアンモニウム塩(化合物2e)
化合物2d(100mg、0.17mmol)をメタノール(乾燥、10ml)に溶解し、ヨウ素(1eq.、41mg、0.17mmol)を添加した。溶液を35分間加熱還流した。反応溶液を約1/2の体積に濃縮し、水をゆっくりと添加して全体積を約10mlにした。半分取HPLC(Phenomenex Luna C18(2)150x21.2mm,A=水,B=MeCN,15ml/分,λ=330nm,0〜2分 5%B,12分 70%B,12〜14分 95%B,14〜18分 5%B,tr=20.9分)によって精製を行った。集めた画分を濃縮し、次いで凍結乾燥した。質量収量=19mg。
【0119】
1H NMR(MeOH−d4):δ(ppm)0.59(3H,s,メチル)、1.02(3H,t,メチル)、1.4(q)、1.5(m)、1.65(2H,m)、1.9(2H,m)、2.05(2H,m)、2.30(2H,m)、2.45(2H,2xd)、2.9(m)、3.05(2H,2xd)、3.25(2H,m)、4.45(m)、7.12(1H,s)、7.64−7.8(4H,m)。
【0120】
実施例3:カルボキシプロピル官能化カルバゾリウム前駆体(化合物3e及び3f)の合成
【0121】
【化11】
【0122】
(i)3−(3−メトキシカルボニルプロプ−1−イル)−1−メチルインドール(化合物3c)
1−メチル−1−フェニルヒドラジン(3a、845g、6.93mmol)を酢酸(10ml)に溶解し、アジピン酸セミアルデヒドメチルエステル(3b、997mg、6.93mmol)を滴下した(熱が発生した)。溶液を窒素下で3時間加熱還流した。高真空回転蒸発器で酢酸を除去し、得られた濃厚油状物をDCM(20ml)に溶解し、シリカゲル(約10g)を添加し、試料を濃縮乾固した。カラムクロマトグラフィー(A=ペトロール40〜60,B=DCM,1〜5CV 10%乃至30%B,5〜10CV 30%乃至100%B,10〜14CV 100%B,120gカラム)を行った。単一の大きいピークを集め、濃縮して油状物(1.1g、69%)を得た。
【0123】
1H NMR(CDCl3):δ(ppm)2.06(2H,tt,COCH2 CH 2CH2)、2.39(2H,t,COCH 2CH2CH2)、2.79(2H,t,COCH2CH2 CH 2)、3.66(3H,s,OMe)、3.74(3H,s,N−メチル)、6.84(1H,s,H 2)、7.10(1H,dd,Ar)、7.26(1H,dd,Ar)、7.27(1H,d,Ar)、7.60(1H,d,Ar)。
【0124】
(ii)4a−(3−カルボキシプロプ−1−イル)−4,4,9−トリメチル−1,2,3,4,5,6−テトラヒドロカルバゾール−2−オン(化合物3d)
化合物3c(250mg、1.08mmol)及びメシチルオキシド(106mg、1.08mmol)をアセトニトリル(5ml)に溶解し、0℃に冷却した。溶液を脱気し(真空/窒素ガスサイクル×3)、窒素下に置いた。硫酸(97%、0.5ml)を滴下し、反応物を0℃で撹拌した。反応物をRTに昇温させ、48時間撹拌した。10%K2CO3水溶液を用いて反応物のpHを約5に調整し、溶液をジエチルエーテル(3×20ml)で抽出し、抽出液をMgSO4上で乾燥し、濃縮してピンク色の油状物を得た。生成物をカラムクロマトグラフィー(A=DCM,B=10%MeOH/DCM,1〜8CV 0%乃至50%B,8〜12CV 50%乃至100%B,12〜18CV 100%B,40gカラム)によって精製した。所望の生成物と対応するカルボン酸との混合物であることを示す1つの画分が溶出された。カラムクロマトグラフィー操作を繰り返すことでこの混合物を分離した。2つの画分が得られた。速く流出する化学種は所望の生成物(0.25g、70%)であり、遅く流出する化学種は対応する遊離酸(0.1g、29%)であった。
【0125】
1H NMR(CDCl3):δ(ppm)0.87(3H,s,メチル)、1.06(3H,s,メチル)、1.30(1H,m,COCH2 CH 2CH2)、1.46(1H,m,COCH2 CH 2CH2)、1.66(1H,m,COCH2CH2 CH 2)、2.0(1H,m,COCH2CH2 CH 2)、2.20(2H,2xdoverlapping,H3)、2.33(2H,t,COCH 2CH2CH2)、2.62(3H,s,N−メチル)、2.71(2H,2xd,H 1)、3.58(1H,dd,H 9a)、3.64(3H,s,OMe)、6.50(1H,d,H 8)、6.76(1H,dd,H 6)、6.95(1H,d,H 5)、7.12(1H,dd,H 7)。
【0126】
(iii)4a−(3−カルボキシプロプ−1−イル)−2−メチリデン−4,4,9−トリメチル−1,2,3,4,5,6−テトラヒドロカルバゾール(化合物3e)
化合物2dに関するものと同じ手順により、化合物3dを用いてこの化合物を製造する。
【0127】
(iv)4a−(3−カルボキシプロプ−1−イル)−2−メチリデン−2,4,4,9−テトラメチル−4,4a−ジヒドロ−3H−カルバゾリウムヨージド(化合物3f)
化合物2eに関するものと同じ手順により、化合物3eを用いてこの化合物を製造する。
【0128】
実施例4:カルボキシアルキル官能化及びスルホアルキル官能化カルバゾリウム前駆体(化合物4f及び4g)の合成
【0129】
【化12】
【0130】
(i)3−(3−メトキシカルボニルプロプ−1−イル)インドール(化合物4c)
フェニルヒドラジン(4a、4.04g、37.4mmol)の酢酸溶液にアジピン酸セミアルデヒドメチルエステル(4b、5.92g、41.1mmol)を滴下し、1時間加熱還流した。混合物を放冷し、次いで真空中で溶媒を除去して暗オレンジ色の固体を得た。フラッシュクロマトグラフィー(100%DCM溶離剤→5%MeOH)を用いて、この物質を精製した。粗化合物を注射液としてカラム上に装填した。物質は2つの画分F3〜20(1H NMRによれば純粋)1.48g及びF21〜31(1H NMRによれば約95%で僅かに不純)0.978gとして得られた。化合物4cは31%の収率で得られた。
【0131】
1H NMR(300MHz;CDCl3)δ2.00(2H,五重線,J=7.7Hz,CH2 2CH2)、2.35(2H,t,J=7.3Hz,CH2)、2.75(2H,t,J=7.02Hz,C 2CO2Me)、3.61(3H,s,OMe)、6.81(1H,d,J=2.1Hz,NHC)、7.07(1H,ddd,J=8.3Hz,7.3Hz及び1.5Hz,ArCH)、7.14(1H,ddd,J=8.2Hz,7.05Hz及び1.2Hz,ArCH)、7.23(1H,d,J=7.5Hz,ArCH)、7.57(1H,d,J=7.6Hz,ArCH)、10.77(1H,br s,NH)。
【0132】
(ii)3−(3−メトキシカルボニルプロプ−1−イル)−1−(4−スルホブチル)インドール(化合物4d)
化合物4c(4.0g、20.7mmol)をDMF(5ml)に溶解し、水素化ナトリウム(0.81g、20.2mmol)をDMF(2ml)中の懸濁液として一度に添加した。暗紫色の懸濁液をRTで6時間撹拌した。0.5モル当量のNaH及びスルトンを添加し、反応物を室温でさらに6時間撹拌し続けた。反応混合物をジエチルエーテルに添加し、得られた懸濁液を室温で一晩撹拌した。混合物を濾過し、集めた固体は急速にガム質に変わった。ガム質をメタノールで洗浄/溶解し、蒸発乾固して脆いオレンジ色の泡状物(3.88g、56%)を得た。
【0133】
1H NMR(DMSO;300MHz)、1.49−1.61(2H,m,CH2)、1.73−1.91(2H,m,CH2)、2.32(2H,t,JHH 7Hz,CH2)、2.43(2H,t,J=7Hz,CH2)、2.68(2H,t,J=7Hz,CH2)、4.09(2H,t,J=7Hz,CH2)、6.98(1H,dt,J=7Hz,J=0.6Hz,ArCH)、7.10(2H,dt,J=7及び0.6Hz,ArCH)、7.13(1H,s,ArCH)、7.41(1H,d,J=8Hz,ArCH)、7.50(1H,d,J=7Hz,ArCH)。
【0134】
(iii)4a−(3−カルボキシプロプ−1−イル)−4,4−ジメチル−9−(4−スルホブチル)−1,2,3,4,5,6−テトラヒドロカルバゾール−2−オン(化合物4e)
化合物2cと同様にして、化合物4d及びメシチルオキシドを用いてこの化合物を製造する。
【0135】
(iv)4a−(3−カルボキシプロプ−1−イル)−4,4−ジメチル−2−メチリデン−9−(4−スルホブチル)−1,2,3,4,5,6−テトラヒドロカルバゾール(化合物4f)
化合物2dと同様にして、化合物4eを用いてこの化合物を製造する。
【0136】
(v)4a−(3−カルボキシプロプ−1−イル)−2,4,4−トリメチル−9−(4−スルホブチル)−4,4a−ジヒドロ−3H−カルバゾリウムヨージド(化合物4g)
化合物2eと同様にして、化合物4fを用いてこの化合物を製造する。
【0137】
実施例5:カルバゾリウム色素(色素A及び色素1〜3)の合成
【0138】
【化13】
【0139】
(i)4,4,4a,9−テトラメチル−2−(3−(1E−4,4,4a,9−テトラメチル−4,4a−ジヒドロ−3H−カルバゾール−2−イリデン)プロプ−1−エニル)−4,4a−ジヒドロ−3H−カルバゾリウムヨージド(色素A、先行技術)
これは、米国特許第5892056号の合成法に対する改良法である。
【0140】
実施例1からの化合物1(110mg、0.30mmol)及びオルトギ酸トリエチル(3eq.、133mg、0.90mmol)を暗所で窒素下においてピリジン中で4時間加熱還流した。ピリジンを真空下で除去し、光への暴露を最小限に抑えながら粗生成物をメタノール(3ml)に溶解した。半分取HPLC(Phenomenex Luna C18(2)150x21.2mm,A=0.5%TFA/水,B=0.5%TFA/MeCN,15ml/分,λ=700nm,0〜1分 10%B,13分 95%B,13〜17分 95%B,17〜20分 10%B,tr=13.7分)を行った。複数回の実施にわたる生成物ピークを手作業でシンチレーションバイアル中に集め、これらを直ちに(やはり暗所で)フリーザーに入れた。画分を合わせ、溶媒を除去して濃青色/金色のフィルムを得た。生成物をトルエン(10ml)に溶解し、溶媒を真空下で除去した。最後に、生成物を高真空下で24時間乾燥した。プロトンNMR及びLCMSは、生成物が不純であることを示した。精製段階を上述したようにして2回繰り返した(3mg、2%)。
【0141】
1H NMR(DMSO−d6):δ(ppm)0.67(6H,s,メチル)、1.40(6H,s,メチル)、1.56(6H,s,メチル)、2.80(2H,dd,H 3)、3.0(2H,dd,H 3)、3.52(6H,s,N−メチル)、6.29(2H,s,H 1)、6.40(2H,d,メチン)、7.23(2H,dd)、7.26(2H,d)、7.40(2H,dd)、7.55(2H,d,H 8)、7.88(1H,t,中央メチンH)。
【0142】
LCMS:C35412に関するm/z計算値489.3、実測値489[M]+
【0143】
色素Aと同様にして、各1モル当量の化合物1d及び化合物3fを用いて色素1を製造する。
【0144】
色素Aと同様にして、各1モル当量の化合物2e及び化合物3fを用いて色素2を製造する。
【0145】
色素Aと同様にして、各1モル当量の化合物2e及び化合物4gを用いて色素3を製造する。
【0146】
実施例6:カルバゾリウム色素の光物理的性質
(a)シアニン色素Cy7と比較した色素Aの吸光度及び蛍光
0.1〜0.2mgバイアルの色素をまず100μlのDMSOに溶解し、次いでPBSで規定濃度に希釈する。HP 8452Aダイオードアレイ分光光度計により、2.5μM溶液に関して吸光度測定を実施した。また、Varian Cary Eclipse蛍光分光光度計を標準化計器設定値(600V PMT設定値)で使用することにより、2.5μM溶液に関して蛍光測定を実施した。
【0147】
【図1】
(746nmでの)測定吸光度は260000/M/cmに等しい。
【0148】
【図2】
【0149】
【図3】
(748nmでの)測定吸光度は250000/M/cmに等しい。
【0150】
【図4】
【0151】
図2及び図4の蛍光スペクトルは、両試料が同じバイアル濃度、希釈媒質(PBS)及び計器設定値を用いて得られたので、直接に比較可能である。
【0152】
(b)光退色
2mlの希釈溶液を同一の照明条件下でキセノン光源(Karl Stortz Xenon 175 Model 20 1321 20)に露光した。露光中、試料の加熱を回避するため、試料キュベットを室温の水浴中に保った。0分、1分、2分、3分、5分及び10分の露光時に試料からの蛍光スペクトルを記録した。スペクトルを図5及び図6に示す。
【0153】
【図5】
【0154】
【図6】

Claims (29)

  1. 哺乳類の身体のインビボ光学イメージングに適したイメージング剤であって、次の式Iのコンジュゲートを含んでなるイメージング剤。
    [BTM]−(L)n−CzD
    (I)
    式中、
    BTMは生物学的ターゲティング部分であり、
    CzDは次の式IIのジヒドロカルバゾリウム色素であり、
    (式中、
    1、R2及びR11〜R16は各々独立にRa基であり、
    3〜R10は各々独立にH、−SO31、−CO21、C2-7カルボキシアルキル、C1-4ヒドロキシアルキル、又は1〜3のヒドロキシ基で任意に置換されたC2-7カルボキサミドアルキルであり、式中のM1は独立にH又はBcであり、Bcは生体適合性陽イオンであり、
    17〜R20は各々独立にH又はRa基であり、
    aはC1-4アルキル、C1-4スルホアルキル、C2-7カルボキシアルキル又はC1-4ヒドロキシアルキルである。)
    Lは式−(A)m−(式中、各Aは独立に−CR2−、−CR=CR−、−C≡C−、−CR2CO2−、−CO2CR2−、−NRCO−、−CONR−、−NR(C=O)NR−、−NR(C=S)NR−、−SO2NR−、−NRSO2−、−CR2OCR2−、−CR2SCR2−、−CR2NRCR2−、C4-8シクロヘテロアルキレン基、C4-8シクロアルキレン基、C5-12アリーレン基又はC3-12ヘテロアリーレン基、或いはアミノ酸、糖又は単分散ポリエチレングリコール(PEG)構成単位であり、各Rは独立にH、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C1-4アルコキシアルキル及びC1-4ヒドロキシアルキルから選択され、mは1〜20の値を有する整数である。)の合成リンカー基であり、
    nは0又は1の値を有する整数であり、
    ジヒドロカルバゾリウム色素は2以上のスルホン酸置換基を含むことを条件とする。)
  2. 19=R20=Hである、請求項1記載のイメージング剤。
  3. CzDが全部で3又は4のスルホン酸置換基を有する、請求項1又は請求項2記載のイメージング剤。
  4. スルホン酸置換基が1〜3のスルホアルキル基からなる、請求項3記載のイメージング剤。
  5. スルホアルキル基が独立に式−(CH2k−SO31(式中、M1は請求項1に定義した通りであり、kは1〜4の値を有する整数である。)を有する、請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載のイメージング剤。
  6. 11及びR12の一方がRb基(式中、RbはC1-4スルホアルキル又はC2-7カルボキシアルキルである。)であり、他方がCH3である、請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載のイメージング剤。
  7. CzDが次の式IIaを有する、請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載のイメージング剤。
    (式中、
    1a及びR2aは各々独立にRb基であり、
    11a及びR12aは各々独立にCH3又はRb基であり、
    13a〜R15aは各々独立にCH3、CH2OH又はC2-5カルボキシアルキルであり、
    17a及びR18aは各々独立にH又はRb基であり、
    21及びR22は各々独立に−SO31又は−CO21であり、
    bは請求項6に定義した通りであり、
    各nは独立に0、1又は2である。)
  8. 17a及びR18aの少なくとも一方がHである、請求項6記載のイメージング剤。
  9. 1a=R2a=C1-4スルホアルキルである、請求項7又は請求項8記載のイメージング剤。
  10. 11a及びR12aの一方がRb基(式中、RbはC1-4スルホアルキル又はC2-7カルボキシアルキルである。)であり、他方がCH3である、請求項7乃至請求項9のいずれか1項記載のイメージング剤。
  11. BTMが
    (i)単一のアミノ酸、
    (ii)3〜100量体ペプチド、
    (iii)酵素基質、酵素アンタゴニスト、酵素アゴニスト又は酵素阻害剤、
    (iv)レセプター結合化合物、
    (v)オリゴヌクレオチド、及び
    (vi)オリゴDNAフラグメント又はオリゴRNAフラグメント
    から選択される、請求項1乃至請求項10のいずれか1項記載のイメージング剤。
  12. BTMが3〜100量体ペプチドである、請求項11記載のイメージング剤。
  13. 次の式IVa又はIVbを有する、請求項12記載のイメージング剤。
    [CzD]−(L)n−[BTM]−Z2 (IVa)
    1−[BTM]−(L)n−[CzD] (IVb)
    (式中、
    1はBTMペプチドのN末端に結合していて、H又はMIGであり、
    2はBTMペプチドのC末端に結合していて、OH、OBc(式中、Bcは請求項1に定義した通りである。)又はMIGであり、
    IGは、生体適合性基である代謝抑制基であって、BTMペプチドの酵素代謝を阻止又は抑制する基である。)
  14. 1=Z2=MIGである、請求項13記載のイメージング剤。
  15. 哺乳動物への投与に適した形態で、請求項1乃至請求項14のいずれか1項記載のイメージング剤を生体適合性キャリヤーと共に含んでなる医薬組成物。
  16. 1人の患者用に適した用量を有し、適当な注射器又は容器に入れて供給される、請求項15記載の医薬組成物。
  17. 請求項15又は請求項16記載の医薬組成物を製造するためのキットであって、当該キットは請求項1乃至請求項14のいずれか1項記載のイメージング剤を無菌固体形態で含んでいて、生体適合性キャリヤーの無菌供給物で再構成すれば溶解が起こって所望の医薬組成物を与える、キット。
  18. 無菌固体形態が凍結乾燥固体である、請求項17記載のキット。
  19. 次の式Iのコンジュゲート。
    [BTM]−(L)n−CzD
    (I)
    (式中、L及びnは請求項1に定義した通りであり、BTMは請求項1、請求項11及び請求項12のいずれか1項に定義した通りであり、CzDは請求項1乃至請求項10のいずれか1項に定義した通りである。)
  20. 請求項19記載のコンジュゲートの製造において有用な官能化ジヒドロカルバゾリウム色素(CzD)であって、CzDは請求項1乃至請求項10のいずれか1項に定義された式II又は式IIaを有すると共に、前記CzDはさらにQa基(式中、QaはBTMへのコンジュゲーションに適した反応性官能基である。)を含む、官能化色素。
  21. aがC2-7カルボキシアルキル又は活性化エステル基からなる、請求項20記載の官能化色素。
  22. 哺乳類の身体のインビボ光学イメージング方法であって、請求項1乃至請求項14記載のイメージング剤或いは請求項15又は請求項16記載の医薬組成物を用いてインビボでBTMの局在部位の画像を得る段階を含んでなる方法。
  23. 請求項1乃至請求項14記載のイメージング剤或いは請求項15又は請求項16記載の医薬組成物が前記哺乳類の身体に予め投与されている、請求項22記載の方法。
  24. 請求項23記載の方法であって、
    (i)哺乳類の身体内の検査対象組織表面を励起光で照明する段階、
    (ii)CzDの励起によって生じるイメージング剤からの蛍光を蛍光検出器を用いて検出する段階、
    (iii)蛍光検出器によって検出された光を任意に濾光して蛍光成分を分離する段階、及び
    (iv)段階(ii)又は(iii)の蛍光から前記検査対象組織表面の画像を形成する段階
    を含んでなる方法。
  25. 段階(i)の励起光が連続波(CW)の性質を有する、請求項24記載の方法。
  26. 請求項23記載の方法であって、
    (a)不均質組成を有する前記哺乳類の身体の光散乱性生体組織を、所定の経時変動強度を有する光源からの光に暴露してイメージング剤を励起する段階であって、組織が励起光を多重散乱させる段階、
    (b)前記暴露に応答した組織からの多重散乱発光を検出する段階、
    (c)組織内の様々な位置における蛍光特性のレベルにそれぞれ対応する複数の値をプロセッサーで確定することにより、発光から組織全体の蛍光特性を定量化する段階であって、蛍光特性のレベルが組織の不均質組成に応じて変化する段階、及び
    (d)段階(c)の値に従って組織の不均質組成のマッピングを行うことで組織の画像を生成する段階
    を含んでなる方法。
  27. 光学イメージング方法が蛍光内視鏡検査からなる、請求項22乃至請求項26のいずれか1項記載の方法。
  28. インビボ光学イメージングが、哺乳類の身体の疾患状態の検出、ステージング、診断、疾患進行のモニタリング又は治療のモニタリングを支援するために使用される、請求項22乃至請求項27のいずれか1項記載の方法。
  29. 哺乳類の身体の疾患状態の検出、ステージング、診断、疾患進行のモニタリング又は治療のモニタリングを行う方法であって、請求項22乃至請求項28のいずれか1項記載のインビボ光学イメージング方法を含んでなる方法。
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