JP2012254909A - セメント組成物 - Google Patents

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修 久保田
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大亮 黒川
Chu Hirao
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Abstract

【課題】強度発現性が高く、高炉スラグの更なる有効利用を図ることができる、セメント組成物を提供する。
【解決手段】下記(a)、(b)および(c)に示す成分を、下記の比率で含む、セメント組成物。(a)水硬率(H.M.)が2.0〜2.4、ケイ酸率(S.M.)が1.3〜3.0、および、鉄率(I.M.)が1.5〜3.0であるセメントクリンカの粉砕物と、石膏とを含むセメント類:20〜50質量%。(b)ブレーン比表面積が5000cm/g以上の高炉スラグ粉末:30〜70質量%。(c)石灰石粉末:0質量%超〜40質量%。
【選択図】なし

Description

本発明は、普通ポルトランドセメントと比べ、製造時において二酸化炭素の排出量が少なく、かつ、普通ポルトランドセメントと同等の材料特性を有するセメント組成物に関する。
現在、地球温暖化抑制のため、セメント製造分野においても、二酸化炭素の排出削減が重要な課題になっている。
一般に、セメントは、石灰石などの原料を焼成して得られるセメントクリンカに、石膏を数%加えるなどして製造されている。この焼成工程において、石灰石の熱分解などにより、多量の二酸化炭素が発生する。例えば、普通ポルトランドセメントを1000kg製造すると、約800kgの二酸化炭素が発生するといわれている。また、普通ポルトランドセメントは、セメントの種類別の生産量では首位を占め、例えば、セメント協会の統計によれば、2009年度の普通ポルトランドセメントの生産量は3611万トンで、全セメント生産量の約62%を占めている。
したがって、セメント製造分野における二酸化炭素の排出削減手段としては、普通ポルトランドセメントから、セメントクリンカの含有率の低いセメントへの転換が考えられる。そして、セメントクリンカの含有率が低くても、初期強度発現性が、普通ポルトランドセメントと同等以上のセメント(組成物)ができれば、普通ポルトランドセメントから該セメントへの転換により、二酸化炭素の排出量を大幅に削減できる可能性がある。
かかるセメントの候補として、高炉スラグによりセメントクリンカの一部を代替した、高炉セメントが挙げられる。例えば、高炉セメントB種では、普通ポルトランドセメントに対し、約40%の二酸化炭素を削減することができる。また、その他、高炉セメントは、(i)長期にわたって強度発現が続き、(ii)水和発熱が小さく、(iii)化学抵抗性が高く耐久性に優れる、などの利点がある。
また、鐵鋼スラグ協会の統計によれば、2009年度の高炉スラグの生産量は、2168万トンである。したがって、高炉スラグは、量的にも、セメントクリンカの一部代替物として有望な材料といえる。
しかし、高炉スラグは、クリンカ鉱物の水和によって生じる水酸化カルシウムの刺激により、徐々に水和が進む性質(潜在水硬性)のため、初期の強度発現性がセメントクリンカと比べ劣っている。例えば、非特許文献1の93頁図2に示すように、普通ポルトランドセメントを高炉セメントで段階的に置換した組成物を用いた、JISモルタル(1997年改正前)の材令3日(初期)の圧縮強度は、高炉スラグの添加量が多いほど顕著に低下し、高炉スラグの添加量が70%ではプレーンの30〜35%程度の強度発現性しか得られていない(図1参照)。したがって、単純に高炉スラグの添加量を増加させることは、初期の強度発現性が低くなる点で難がある。
従来、高炉スラグを含むセメント組成物の強度発現性を改善する手段が提案されている。
例えば、特許文献1では、高炉スラグを含むセメント99.7〜90重量部と塩素バイパスダスト0.3〜10重量部とからなるセメント組成物が提案されている。しかし、塩素バイパスダストの含有率が5%を超えると、セメント組成物中のアルカリ量が多くなって、アルカリ骨材反応によりコンクリートのひび割れが発生するおそれがあるほか、該組成物中の塩素含有量が多くなり、該組成物を鉄筋コンクリートに用いることが困難となる。
以上のことから、高炉スラグの含有量が多い(セメントクリンカの含有率が低い)場合には、初期強度発現性が普通ポルトランドセメントと同等以上のセメント(組成物)を製造することは困難であると考えられていた(表2の比較例1を参照)。
依田彰彦ほか「微粉末化した高炉スラグを混和材として用いたモルタル・コンクリートの強度」、セメント技術年報、Vol.42、pp.92-95、昭和63年
特開平10−218657号公報
したがって、本発明は、普通ポルトランドセメントと比べ、製造時において二酸化炭素の排出量が少なく、かつ、普通ポルトランドセメントと同等の材料特性を有するセメント組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、前記目的を達成するために鋭意検討した結果、特定のセメント類と特定の高炉スラグ粉末等を、特定の比率で含むセメント組成物は、前記目的を達成できることを見い出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[5]を提供する。
[1]少なくとも下記(a)、(b)および(c)に示す成分を、下記の比率で含む、セメント組成物。
(a)水硬率(H.M.)が2.0〜2.4、ケイ酸率(S.M.)が1.3〜3.0、および、鉄率(I.M.)が1.5〜3.0であるセメントクリンカの粉砕物と、石膏とを含むセメント類:20〜50質量%
(b)ブレーン比表面積が5000cm/g以上の高炉スラグ粉末:30〜70質量%
(c)石灰石粉末:0質量%超〜40質量%
[2]さらに、(d)クリンカダストを0質量%超〜5質量%含む、前記[1]に記載のセメント組成物。
[3]前記セメントクリンカが、少なくとも、3CaO・SiOを50〜70質量%、および、3CaO・Alを7〜15質量%含む、前記[1]または[2]に記載のセメント組成物。
[4]前記石灰石粉末のブレーン比表面積が、4000cm/g以上である、前記[1]〜[3]のいずれか1項に記載のセメント組成物。
[5]前記クリンカダストの塩素含有率が、30質量%以下である、前記[2]〜[4]のいずれか1項に記載のセメント組成物。
本発明のセメント組成物は、製造時における二酸化炭素の排出量が、普通ポルトランドセメントと比べて少なく、また、圧縮強さや流動性等の材料特性が、普通ポルトランドセメントと同等以上である。
非特許文献1の93頁に掲載された、JIS R 5201によるモルタルの圧縮強度を示す図である。
本発明は、前記のとおり、(a)特定の水硬率等を有するセメントクリンカの粉砕物と、石膏とを含むセメント類と、(b)特定のブレーン比表面積を有する高炉スラグ粉末と、(c)石灰石粉末とを、それぞれ特定比率で含むセメント組成物である。
以下に、本発明について詳細に説明する。なお、%は特に示さない限り、質量%である。
(a)セメント類
(I)セメントクリンカ
前記セメント類に含まれるセメントクリンカは、通常、水硬率が2.0〜2.4、ケイ酸率が1.3〜3.0、および、鉄率が1.5〜3.0であり、好ましくは、水硬率が2.3を超え2.4以下、ケイ酸率が1.5〜2.8、および、鉄率が1.8〜3.0であり、より好ましくは、水硬率が2.3を超え2.4以下、ケイ酸率が1.7〜2.6、および、鉄率が2.8を超え3.0以下である。
前記水硬率が2.0未満では初期強度発現性が低く、2.4を超えるとセメントクリンカの易焼成性が低下して、フリーライムが残存し易くなる。また、前記ケイ酸率が1.3未満では長期強度発現性が低く、3.0を超えると焼成温度が高くなり、二酸化炭素の排出量が増加する傾向にある。さらに、前記鉄率が1.5未満では初期強度発現性が低く、3.0を超えると化学抵抗性は低下する傾向にある。
なお、水硬率、ケイ酸率、および、鉄率は、それぞれ下記(1)式、(2)式、および、(3)式を用いて、算出することができる。
水硬率=CaO/(SiO+Al+Fe) …(1)
ケイ酸率==SiO/(Al+Fe) …(2)
鉄率=Al/Fe …(3)
(式中の化学式は、セメント原料中またはセメントクリンカ中の、該化学式が表す化合物の含有率(%)を表す。)
また、前記セメントクリンカは、少なくとも、3CaO・SiOを50〜70%と、3CaO・Alを7〜15%含むものが好ましく、3CaO・SiOを50〜65%と、3CaO・Alを9〜13%含むものが、より好ましい。3CaO・SiOと3CaO・Alの含有率が、前記範囲を外れると、セメント組成物の初期または長期の強度発現性が低下する場合がある。なお、3CaO・SiOや3CaO・Al以外の残余の成分には、2CaO・SiO、4CaO・Al・Fe、フリーライムなどが含まれる。
なお、CSやCAは、それぞれ下記(4)式、および、(5)式を用いて、算出することができる。
S=4.07×CaO−7.60×SiO−6.72×Al−1.43×Fe−2.85×SO …(4)
A=1.61×CaO−3.00×SiO−2.65Fe …(5)
(式中の化学式は、セメント原料中またはセメントクリンカ中の、該化学式が表す化合物の含有率(%)を表す。)
(II)石膏
前記セメント類に含まれる石膏は、天然二水石膏、排煙脱硫石膏、リン酸石膏、チタン石膏、フッ酸石膏、精錬石膏、半水石膏、および、無水石膏から選ばれる、少なくとも1種以上が挙げられる。また、石膏の含有率は、普通ポルトランドセメントと同等程度でよく、一般的には、セメントクリンカの粉砕物100質量部に対し、SO換算で1〜5質量部が好ましく、1.5〜4質量部がより好ましい。
(III)セメント類の製造方法
前記セメント類の製造方法は、少なくとも、原料工程、セメントクリンカの焼成工程、および、仕上工程を含む。
(i)原料工程
該工程では、石灰石、粘土、珪石、酸化鉄原料などのセメント原料を、水硬率、ケイ酸率、および、鉄率が、前記範囲に含まれるように、上記(1)〜(3)式に従い調合する。また、好ましくは、3CaO・SiOと3CaO・Alの含有率も、前記範囲に同時に含まれるように、上記(1)〜(5)式に従い調合する。調合した原料は、たて型ミルなどの原料粉砕機で、所定の粉末度になるまで粉砕する。該工程において、焼却灰、石炭灰、汚泥、鋳物砂などの廃棄物を、天然原料の一部代替物として調合することができる。
(ii)セメントクリンカの焼成工程
粉砕した原料は、ロータリーキルンなどの焼成炉で焼成した後、エアークエンチングクーラーなどで冷却して、セメントクリンカを調製する。焼成温度は、1000〜1450℃が好ましく、1200〜1400℃がより好ましい。また、焼成時間は、30〜120分が好ましく、40〜60分がより好ましい。
(iii)仕上工程
セメントクリンカに石膏を添加し、ボールミルやロッドミル等の粉砕機により粉砕してセメント類を調製する。該セメント類の粉末度は、特に限定されないが、強度発現性、作業性およびコストなどの観点から、ブレーン比表面積で3000〜5000cm/gが好ましく、3100〜4600cm/gがより好ましい。なお、前記の混合粉砕の他に、セメントクリンカと石膏を別々に粉砕した後に、両者を混合してもよい。
また、前記の粉砕の操作において、セメントクリンカと石膏をそのまま粉砕してもよいが、好ましくは、粉砕効率を高めるために粉砕助剤を添加して粉砕する。該粉砕助剤として、ジエチレングリコール、トリエタノールアミン、および、トリイソプロパノールアミンなどが挙げられる。これらの中でも、トリイソプロパノールアミンは、セメント組成物の強度発現性が向上するため、より好ましい。これら粉砕助剤の添加比率は、セメントクリンカ100質量部に対し0.01〜1質量部が好ましい。
なお、前記セメント類には、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、および、超早強ポルトランドセメントが含まれる。
(b)高炉スラグ粉末
本発明のセメント組成物に含まれる高炉スラグ粉末は、高炉で銑鉄を製造する際に副生する溶融状態のスラグを、水で急冷・破砕して得られる水砕スラグや、徐冷・破砕して得られる徐冷スラグの粉砕物が挙げられる。これらの中でも、水砕スラグの粉砕物は、潜在水硬性に優れることから、好ましい。
また、該高炉スラグ粉末のガラス化率は、98%以上が好ましく、99%がより好ましい。該ガラス化率が98%未満では、セメント組成物の強度発現性の向上効果は小さい。ここで、ガラス化率は、例えば、以下の(i)と(ii)により求めることができる。
(i)62〜105μmの高炉スラグ粉末を篩分けした後、ここから400〜500個の粒子を無作為に抽出する。
(ii)次に、抽出した粒子をブロムナフタレン溶液に浸し、偏光顕微鏡を通してガラス粒子数を数え、全粒子数に対するガラス粒子数の比として、ガラス化率を求める。
該高炉スラグ粉末のブレーン比表面積は、通常、5000cm/g以上であり、6000cm/g以上が好ましく、8000cm/g以上がより好ましく、10000cm/g以上が更に好ましく、11000cm/g以上が特に好ましい。該ブレーン比表面積が5000cm/g未満では、本発明のセメント組成物の初期の強度発現性の向上効果は小さい。なお、高炉スラグ粉末は、高炉スラグを、ボールミルやジェットミルなどの粉砕機で粉砕して得ることができる。
また、該高炉スラグ粉末の塩基度は、1.7以上が好ましく、1.8以上がより好ましく、1.9以上が更に好ましい。該塩基度が1.7未満では、該組成物の強度発現性の向上効果は小さい。なお、塩基度は下記(2)式を用いて算出する。
塩基度=〔(CaO+MgO+Al)/SiO〕 …(6)
(式中の化学式は、高炉スラグ粉末中の、該化学式が表す化合物の含有率(%)を表す。)
(c)石灰石粉末
本発明のセメント組成物は、石灰石粉末を含む。
該石灰石粉末は、炭酸カルシウムを90%以上含むものが好ましく、95%以上含むものがより好ましい。炭酸カルシウムの含有率が90%未満では、該組成物の強度発現性の向上効果が小さい。
該石灰石粉末のブレーン比表面積は、4000cm/g以上が好ましく、5000〜12000cm/gがより好ましく、6000〜11000cm/gが更に好ましく、8000〜11000cm/gが特に好ましい。該ブレーン比表面積が4000cm/g未満では、該組成物の強度発現性の向上効果が十分でない。
石灰石粉末は、石灰石を単独で粉砕して調製してもよいが、前記高炉スラグと混合して同時に粉砕してもよい。粉砕時には、粉砕効率を高めるために、前記の粉砕助剤を用いることができる。これら粉砕助剤の添加比率は、前記と同様、セメントクリンカ100質量部に対し0.01〜1質量部が好ましい。
本発明のセメント組成物は、好ましくは、さらに、クリンカダストを含む。
クリンカダストは、セメントキルンのキルン尻からボトムサイクロンに至るまでの、キルン排ガス流路から、燃焼ガスの一部を抽気し、この抽気した燃焼ガスを冷却して生成したダストである。
該クリンカダストのブレーン比表面積は、1000〜20000cm/gが好ましく、2500〜15000cm/gがより好ましい。該比表面積が1000cm/g未満では、セメント組成物の強度発現性の向上効果が小さく、20000cm/gを超えると、該強度発現性の向上効果は飽和する傾向にある。
また、該クリンカダスト中の塩素含有率は、30%以下が好ましく、1〜25%がより好ましい。該含有率が30%を超えると、該組成物中の塩素含有量が多くなって、鉄筋が腐食する危険性が高まるため、該セメント組成物を鉄筋コンクリートに用いることが難しくなる。
セメント組成物
該組成物の主成分は、前記のとおり、必須成分である(a)セメント類、(b)高炉スラグ粉末、および、(c)石灰石粉末と、任意成分である(d)クリンカダストとに大別される。そして、
(a)該組成物中のセメント類の含有率は、通常、20〜50%であり、25〜45%が好ましく、30〜40%がより好ましい。該含有率が20%未満では、該組成物の強度発現性が十分でなく、50%を超えると、該組成物中に占めるセメントクリンカの割合が高くなり、二酸化炭素の排出削減効果が十分でない。
(b)該組成物中の高炉スラグ粉末の含有率は、通常、30〜70%であり、35〜65%が好ましい。該含有率が30%未満では、該組成物の長期強度発現性が低くなり、70%を超えると、該組成物の初期強度発現性が低くなる傾向がある。
(c)該組成物中の石灰石粉末の含有率は、通常、0%超〜40%であり、0%超〜30%が好ましい。該含有率が40%を超えると、該組成物の強度発現性が低下する場合がある。
(d)クリンカダストの含有率は、5%以下が好ましく、3%以下がより好ましく、2%以下がさらに好ましい。該含有率が5%を超えると、該組成物中のアルカリ量が多くなって、アルカリ骨材反応によりコンクリートのひび割れが発生するおそれがあるほか、該組成物中の塩素含有量が多くなり、該組成物を鉄筋コンクリートに用いることが困難となる。
そして、本発明のセメント組成物は、例えば、セメント類、高炉スラグ粉末、および、石灰石粉末と、必要に応じてクリンカダストとを、前記含有率(比率)で調合した後、ヘンシェルミキサーなどを用いて混合して製造する。
なお、該組成物は、前記(a)〜(d)の成分のほかに、さらに、石炭灰、シリカ粉末、シリカフュームなどの付加的成分を、本発明の効果を奏することができる範囲で含んでもよい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
1.使用材料
(1)セメント類
セメント類は、普通ポルトランドセメント(OPC)、早強ポルトランドセメント(HPC)、および、特殊普通セメント(NPC)を用いた。早強ポルトランドセメントと普通ポルトランドセメントは太平洋セメント社製であり、特殊普通セメントは、ポルトランドセメントクリンカの粉砕物と二水石膏を混合して調製した。これらの成分組成等を表1に示す。
Figure 2012254909
(2)高炉スラグ粉末(BF)
塩基度が1.81でガラス化率が約100%の高炉スラグを、ボールミルで粉砕してブレーン比表面積が6000cm/gの高炉スラグ粉末(BF1)とブレーン比表面積が8000cm/gの高炉スラグ粉末(BF2)を、また、ジェットミルで粉砕してブレーン比表面積が11000cm/gの高炉スラグ粉末(BF3)を、それぞれ調製して用いた。
(3)石灰石粉末(LS)
炭酸カルシウムの含有率が92%の石灰石を、ボールミルで粉砕してブレーン比表面積が4500cm/gの石灰石粉末(LS1)を、また、ジェットミルで粉砕してブレーン比表面積が11000cm/gの石灰石粉末(LS2)を、それぞれ調整して用いた。
(4)クリンカダスト(CD)
塩素を15.3%含み、ブレーン比表面積が11000cm/gであるクリンカダストを用いた。
2.モルタルの圧縮強さ試験
表2に示す配合に従いセメント組成物を調製し、JIS R 5201に準拠して、該組成物を用いたJISモルタルの圧縮強さを測定した。また、参考例として、普通ポルトランドセメントを用いたJISモルタルの圧縮強さも合わせて測定した。これらの結果を表2に示す。
Figure 2012254909
本発明のセメント組成物(実施例1〜10)の圧縮強さは、普通ポルトランドセメントの場合と比べ、材齢3日で72%(実施例4)〜141%(実施例8)、材齢7日で90%(実施例6)〜126%(実施例5)、材齢28日で80%(実施例6)〜113%(実施例5)と、初期材齢を含むすべての材齢において、普通ポルトランドセメントとほぼ同等以上の強度発現性を有する。これに対し、石灰石粉末を含まない比較例1〜3は、普通ポルトランドセメントの場合と比べ、材齢3日の強度発現性が38〜60%と低い。
また、セメントダストを更に含む実施例8および実施例10は、セメントダスト無添加以外は同一である実施例7および実施例9と比べ、材齢3日の強度発現性が13〜17%程度増加している。
3.凝結試験、モルタルフロー試験、水和熱試験
表2に示す実施例7と実施例8のセメント組成物、および、参考例の普通ポルトランドセメントを用い、凝結試験およびモルタルフロー試験をJIS R 5201に準拠して、また、水和熱試験をJIS R 5203に準拠して行った。その結果を表3に示す。
Figure 2012254909
表3に示すように、本発明のセメント組成物を普通ポルトランドセメントと比較すると、本発明のセメント組成物は、(i)凝結時間については、始発、終結ともに、実用上同等とみなすことができ、(ii)モルタルフローについては、同等以上で、ロス率が格段に低く、(iii)水和熱については低い。したがって、本発明のセメント組成物は、普通ポルトランドセメントと同等以上の材料特性を有するから、普通ポルトランドセメントの代替物として実用性が高いといえる。
4.二酸化炭素の排出削減効果
普通ポルトランドセメントと比べ、本発明のセメント組成物が二酸化炭素の排出量を削減する効果(削減率)は、概略、セメントクリンカを、高炉スラグ粉末、石灰石粉末、および、クリンカダストにより置き換えた割合(置換率)で評価できると考えられる。そうすると、表2に記載の実施例1〜10のセメント組成物において、該置換率は70%であるから、該削減率は70%となる。したがって、本発明のセメント組成物は、二酸化炭素の排出削減効果が極めて高いといえる。
以上のことから、本発明のセメント組成物によれば、製造時における二酸化炭素の排出量を、普通ポルトランドセメントと比べて、格段に少なくすることができる。また、本発明のセメント組成物は、圧縮強さや流動性等の材料特性が、普通ポルトランドセメントと同等以上である。

Claims (5)

  1. 少なくとも下記(a)、(b)および(c)に示す成分を、下記の比率で含む、セメント組成物。
    (a)水硬率(H.M.)が2.0〜2.4、ケイ酸率(S.M.)が1.3〜3.0、および、鉄率(I.M.)が1.5〜3.0であるセメントクリンカの粉砕物と、石膏とを含むセメント類:20〜50質量%
    (b)ブレーン比表面積が5000cm/g以上の高炉スラグ粉末:30〜70質量%
    (c)石灰石粉末:0質量%超〜40質量%
  2. さらに、(d)クリンカダストを0質量%超〜5質量%含む、請求項1に記載のセメント組成物。
  3. 前記セメントクリンカが、少なくとも、3CaO・SiOを50〜70質量%、および、3CaO・Alを7〜15質量%含む、請求項1または2に記載のセメント組成物。
  4. 前記石灰石粉末のブレーン比表面積が、4000cm/g以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のセメント組成物。
  5. 前記クリンカダストの塩素含有率が、30質量%以下である、請求項2〜4のいずれか1項に記載のセメント組成物。
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