JP2012205615A - 気体処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】オゾンを発生させず、簡易な構造で、消費電力や発熱量が少ない気体処理装置を提供する。
【解決手段】中空構造のハウジング2と、ハウジング2内に気体を取り込む導入口3と、導入口3からハウジング2内に取り込まれる気体の進路を遮る位置に配置された高分子多孔体11と、高分子多孔体11の導入口側に配置されて該高分子多孔体11に向けて深紫外線を照射する紫外線発生部材20と、高分子多孔体11を通過した気体を排出する排出口4とを備える気体処理装置1であって、高分子多孔体11は深紫外線の照射下でOHラジカルを生成する高分子化合物からなるように構成して、上記課題を解決する。このとき、紫外線発生部材は200nm〜350nmの波長の深紫外線を発生する発光ダイオードであることが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、殺菌や気体改質を行う気体処理装置に関する。
食品の鮮度を維持するために、空気中に存在する菌の殺菌技術や特定の気体の改質技術を食品保存庫や冷蔵庫に適用した例が知られている。また、室内の空気を洗浄化する空気清浄器も提案されている。
特許文献1には、農産物から放出されるエチレンガス等の有機ガスを、大気圧下で火花放電(プラズマ放電)を行って、炭素と酸素又は水とに分解し、無害化するのと同時に細菌類の殺菌も行うことができる処理装置が提案されている。この処理装置は、保存中の生鮮農産物の鮮度を長期に保持できるとするものである。具体的には、導入口と排気口とを有する容器本体の内部に、絶縁基板を介して設けられた二つの電極と、その両電極間に設けられた多数の浮遊電極とを有し、その二つの電極間に高電圧を印加し、各浮遊電極間に火花放電を発生させて有機ガスを分解するものである。用いた電極は、トランス、インダクションコイル、抵抗及びインダクタンスからなる電源部にそれぞれ接続されている。
しかし、特許文献1で提案した処理装置は、火花放電を発生させる必要があるため、大きな消費電力が必要になること、発熱すること、及びオゾンが発生すること等の不都合な点が存在する。
こうした問題に対し、本発明者は紫外線を利用した処理装置を提案している(特許文献2)。この処理装置は、水が供給されて水滴で濡れた状態に維持される保水体と、この保水体から10mm以内の至近距離に設置され、波長が254nmの紫外線を保水体に照射させる水銀ランプとを具備し、10℃〜40℃の温度域に制御しつつ、照射した紫外線のエネルギーで保水体からOHラジカルを生成させる装置である。この処理装置では、生成したOHラジカルを有する保水体にエチレンガスを含む気体を通過させて、エチレンガスを分解してエタンと水に改質するものである。
特開2000−139198号公報 特開2005−261428号公報
特許文献2に記載の処理装置では、保水面を維持するための水滴供給手段が必要なこと、温度を制御するための手段が必要なこと、水銀ランプを用いること等、装置が複雑になって大型化する。さらに、装置を作動させるためのランニングコストが嵩むという問題がある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、オゾンを発生させず、簡易な構造で、殺菌や気体改質を行うことができる気体処理装置を提供することにある。
上記課題を解決するための本発明に係る気体処理装置は、中空構造のハウジングと、該ハウジング内に気体を取り込む導入口と、該導入口から前記ハウジング内に取り込まれる気体の進路を遮る位置に配置された高分子多孔体と、該高分子多孔体の前記導入口側に配置されて該高分子多孔体に向けて深紫外線を照射する紫外線発生部材と、前記高分子多孔体を通過した気体を排出する排出口とを備えることを特徴とする。
この発明によれば、ハウジング内部に送り込まれる気体の進路を遮る位置に高分子多孔体を配置し、その高分子多孔体は深紫外線の照射下でOHラジカルを生成するので、高分子多孔体の導入口側に紫外線発生部材を配置して高分子多孔体に向けて深紫外線を照射することにより、殺菌効果を奏するとともに、気体の改質にも有効に作用する。本発明に係る気体処理装置は、こうした作用効果を奏するので、オゾンを発生させず、また特許文献2の技術のような水分供給手段を設ける必要がなく、構造が簡易で小型化とコスト低減を図ることができる。
本発明に係る気体処理装置において、前記紫外線発生部材は、200nm〜350nmの波長の深紫外線を発生するように構成されている。
この発明によれば、紫外線発生部材が200nm〜350nmの波長の深紫外線を発生するので、その波長域で、オゾンを発生させることなく、殺菌効果を奏するとともに、気体の改質効果を奏することができる。
本発明に係る気体処理装置において、前記紫外線発生部材は、複数の深紫外線発光ダイオードを前記高分子多孔体に対向配置してなる。
この発明によれば、紫外線発生部材が複数の深紫外線発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を高分子多孔体に対向配置して構成するので、高分子多孔体に向けて深紫外線を照射した際の発熱が少なく、高分子多孔体を熱で損傷させることがない。また、深紫外線発光ダイオードは、出力電力が小さく、ランニングコストを下げることができ、さらに、雰囲気温度の影響を受けにくく、低温から高温の雰囲気中でも使用することができるので、長期間フリーメンテナンスで作動させることができる。また、複数の深紫外線発光ダイオードを高分子多孔体に対向して配置することにより、高分子多孔体の全域に満遍なく深紫外線を照射することができる。
本発明に係る気体処理装置において、前記紫外線発生部材と前記高分子多孔体との距離が1mm〜5mmである。
この発明によれば、紫外線発生部材と高分子多孔体との距離が1mm〜5mmであるので、高分子多孔体に対してデッドゾーンを生じさせることなく深紫外線を照射することができる。
本発明に係る気体処理装置において、前記高分子多孔体が着脱可能に設けられている。
この発明によれば、高分子多孔体が着脱可能に設けられているので、高分子多孔体の交換を容易に行うことができる。
本発明に係る気体処理装置によれば、高分子多孔体の導入口側に紫外線発生部材を配置して高分子多孔体に向けて深紫外線を照射することにより、殺菌効果を奏するとともに、気体の改質にも有効に作用する。本発明に係る気体処理装置は、こうした作用効果を奏するので、オゾンを発生させず、また特許文献2の技術のような水分供給手段を設ける必要がなく、構造が簡易で小型化とコスト低減を図ることができ、種々の産業分野に適用することができる。
また、本発明に係る気体処理装置によれば、高分子多孔体に向けて深紫外線を照射した際の発熱が少なく、高分子多孔体を熱で損傷させることがない。また、深紫外線発光ダイオードは、出力電力が小さく、ランニングコストを下げることができ、さらに、雰囲気温度の影響を受けにくく、低温から高温の雰囲気中(例えば−30℃〜55℃)でも使用することができるので、長期間フリーメンテナンスで作動させることができる。また、複数の深紫外線発光ダイオードを高分子多孔体に対向して配置することにより、高分子多孔体の全域に満遍なく深紫外線を照射することができる。
本発明に係る気体処理装置の内部構造の一例を示す断面図である。 高分子多孔体がハウジングに対して着脱可能であることを示す説明図である。 紫外線発生部材の一例を示す正面図である。 紫外線発生部材と高分子多孔体との位置関係を示す説明図である。 (A)は空気分子に付着した菌にOHラジカルが作用するモデル図であり、(B)は深紫外線がカビやウイルスに作用して殺菌するモデル図である。 紫外線照射時と非照射時のエチレンガスの分解状態を示すグラフである。 生鮮食品等の保存庫に気体処理装置を適用した一例を示す斜視図である。 保存庫に気体処理装置を適用した他の一例を示す一部切り欠き斜視図である。 保存庫に気体処理装置を適用したさらに他の一例を示す一部切り欠き斜視図である。
以下、本発明に係る気体処理装置を図面を参照しつつ説明する。本発明の技術的範囲は、下記の記載や図面のみに限定されるものではない。
[気体処理装置]
気体処理装置1は、図1に示すように、中空構造のハウジング2と、ハウジング2内に気体を取り込む導入口3と、導入口3からハウジング2内に取り込まれる気体の進路を遮る位置に配置された高分子多孔体11と、高分子多孔体11の導入口側に配置されて該高分子多孔体11に向けて深紫外線を照射する紫外線発生部材20と、高分子多孔体11を通過した気体を排出する排出口4とを備えている。
(ハウジング)
ハウジング2は、長手方向の両端が開放された中空構造からなるものであって、装置の外殻をなすものである。中空構造であれば、図1に示すような円形断面からなる円筒構造でも、多角形断面からなる角筒構造であってもよい。ハウジング2の長手方向の一方の端は、ハウジング内に気体を取り込む導入口3となり、他方の端は、処理後の気体を排出する排出口4となっている。
ハウジング2の材質は、深紫外線に対して耐久性のある材質であれば特に限定されないが、ステンレス鋼や炭素鋼等の鋼管が好ましく用いられる。このハウジング2は、その内部に紫外線発生部材20を備えるので、その紫外線発生部材20から照射された深紫外線の外部への漏れを遮断する構造であることが好ましい。なお、円筒状のハウジング2の場合に、その内径は、例えば30mm〜100mm、好ましくは50mm〜80mm程度であることが好ましい。
(導入口と排出口)
導入口2と排出口4は、図1に示すように、ハウジング2の長手方向の両端の開口部のことである。導入口2は、ハウジング2内に気体を取り込む開口部であり、排出口4は、後述する高分子多孔体11を通過した気体を排出する開口部である。この導入口2と排出口4は、図1に示すように、ハウジング2の内径と同じ内径からなるように構成されていてもよいし、小さい内径からなるように絞り加工された形態で構成されていてもよいし、大きい内径からなるように拡管加工された形態で構成されていてもよい。また、導入口2と排出口4には、後述する図8や図9に示すように、他の配管や部材が接続されていてもよい。
(送風手段)
送風手段は、任意に設けられるものであって、導入口3から取り込んだ気体をハウジング内部に送り込む。送風手段としては、図1に示すように、ハウジング内部に設けられた送風機5を挙げることができる。こうした送風機5をハウジング内の導入口近傍に配置することにより、気体を導入口3に引き込むことができ、さらに、導入口3に引き込んだ気体をハウジング内部の下流側に強制的に送り込むことができる。
図1に示す送風機5は、回転可能な羽根6と、羽根6を回転させる電動モータ7とを備えている。電動モータ7は、ハウジング内部に取り付けられる保持フレーム8によってハウジング2の中心に配されるように保持されている。送風機5には、送風機5を作動させる電源部9が接続されている。なお、電源部9には、送風機5の作動をON−OFFさせるスイッチを設けるだけでなく、例えば、ハウジング2内に送り込む気体量を調節する制御部を設ける等してもよい。
なお、図1の例では、送風機5が導入口2側に設けられているが、導入口2から気体をハウジング内部に取り込むことができるものであれば、必ずしも上流側の導入口近傍に設けられていなくてもよい。例えば、導入口2のさらに上流側の装置外に送風機が設けられていてもよいし、高分子多孔体11よりも下流側(排出口側)に吸引機として設けられて導入口3から気体を取り込むものであってもよいし、排出口4のさらに下流側の装置外に吸引機が設けられて導入口3から気体を取り込むものであってもよい。したがって、図1に示す送風機5や、その送風機5と同様、回転可能な羽根6と、その羽根6を回転させる電動モータ7とからなる吸引機を、任意の箇所に設けて、導入口2から気体をハウジング内部に取り込むことができる。
(高分子多孔体)
高分子多孔体11は、図1に示すように、ハウジング内部に送り込まれた気体の進路を遮る位置に配置されている。詳しくは、排出口4よりも上流側に設けられ、中空構造のハウジング内部を塞ぐような形態で配置されている。高分子多孔体11の具体的な態様としては、図2に示すように、ハウジング2から取り外して交換できる着脱可能型のカートリッジ構造であることが好ましい。詳しくは、所定の厚さからなる板状(円板又は矩形板)の高分子多孔体11と、その高分子多孔体11の周囲を保持してハウジング内面との隙間を塞ぐリング状ホルダ12とからなることが好ましい。高分子多孔体11を着脱可能型のカートリッジ構造として交換可能とすることにより、深紫外線の照射によって高分子多孔体11からOHラジカルが生じた結果、その高分子多孔体11自体が減容化するのに対処できる。
高分子多孔体11は、高分子化合物からなる多孔体である。高分子化合物としては、例えば、セルロース、ポリウレタン、木綿等の高分子化合物を挙げることができる。高分子多孔体11は、気体を通過させる程度の微細孔を有する高分子化合物構造体であり、具体的には、繊維状セルロースの積層体、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン等の連続気泡を有する高分子発泡体、木綿の圧縮体等を挙げることができる。この高分子多孔体11は、深紫外線の照射によりOHラジカルを生成し、殺菌効果及び気体の改質効果を奏すると推測される。
高分子多孔体11の厚さは特に限定されないが、5mm〜20mm、好ましくは10mm〜20mm程度である。また、高分子多孔体11が有する微細孔の大きさは、気体が通過できる程度の極めて微細な孔であればよい。その孔径としては、10μm〜50μm、好ましくは10μm〜30μm程度である。
なお、高分子多孔体11を保持するリング状ホルダ12は、照射される深紫外線に対して耐久性のある材質であれば特に限定されないが、ステンレス鋼や炭素鋼等の鋼管が好ましく用いられる。リング状ホルダ12で高分子多孔体11を保持してなる高分子多孔体11は、ハウジング2の所定部位に設けられた半円状の切欠部に、着脱可能に挿入され、脱落がないように固定されている。
(紫外線発生部材)
紫外線発生部材20は、図1に示すように、高分子多孔体11の導入口側(上流側)に所定の距離だけ離れて配置され、その高分子多孔体11に向けて深紫外線を照射する。具体的には、図1及び図3に示すように、複数の深紫外線発光ダイオード21を高分子多孔体11に対向配置するように構成している。
図3に示す紫外線発生部材20は、円板構造の紫外線発生部材であって、面内に複数配置された深紫外線発光ダイオード21と、その深紫外線発光ダイオード21を保持する保持フレーム22とから構成されている。保持フレーム22は、複数の深紫外線発光ダイオード21を個々に保持する構造を呈しており、図3に示すように、紫外線発生部材20の外枠をなしてハウジングの内面形状と同一又は略同一のリング状装着部23と、その装着部23の内方に所定の間隔で深紫外線発光ダイオード21を並設するための取付部24とで構成されている。保持フレーム22は、深紫外線発光ダイオード以外はできるだけ開口している方がよいが、全体強度はある程度確保しなければならない。そのため、図3に示すように、保持フレーム22には、補強材25が任意に設けられていてもよい。なお、こうした装着部23、取付部24、補強材25等からなる保持フレーム22は、剛性と強度のある金属材料で形成されていることが好ましく、通常は、ステンレス鋼や炭素鋼等の鋼材で形成されていることが好ましい。
深紫外線発光ダイオード21は、深紫外線を発生する発光ダイオードであり、図3に示すように、保持フレーム22に所定の間隔で複数取り付けられている。紫外線発生部材20には、ハウジング2の外部に設けられた電源部26から電力が供給されている。
ここで、深紫外線について説明する。一般に、紫外線とは、可視光線よりも波長が短く、X線よりも波長の長い電磁波であって、波長が10nm〜400nmの不可視光線をいう。さらに、波長が300nm〜400nmのものを近紫外線といい、波長が200nm〜300nmのものを遠紫外線という、波長が200nm未満を真空紫外線という。本願でいう「深紫外線」は、波長200nm〜350nmの紫外線をいうものとする。後述する実施例では、254nmの紫外線を発生する深紫外線発光ダイオード21を使用している。また、深紫外線発光ダイオードとして、波長250nmのAlGaN発光ダイオード、波長200nm〜350nmのInAlGaN発光ダイオード、波長240nmのダイヤモンド発光ダイオード等を挙げることができる。
深紫外線を発生する深紫外線発光ダイオード21を使用することにより、直接殺菌と、高分子多孔体11から生成したOHラジカルによる酸化殺菌とを重畳的に行うことができ、殺菌をより効率的に行うことができる。深紫外線発光ダイオード21は、出力電力が30mW〜50mWと小さいので、ランニングコストを抑えることができるとともに、発熱がほとんどなく、高分子多孔体11が熱によって損傷することもない。また、使用温度範囲も広い(−30℃〜55℃)という利点もある。一方、波長200nm未満の真空紫外線ではオゾンが発生するおそれがあるとともに、発光体が高価であるという難点がある。また、波長が254nmの水銀ランプでも同様の効果を奏するが、水銀ランプは使用温度範囲(20℃〜40℃)が狭いこと、ランプ寿命、出力電力、発熱、大きさ等の観点からも発光ダイオードよりも劣る。
図4は、紫外線発生部材20と高分子多孔体11との位置関係を示す説明図である。本発明では、紫外線発生部材20を構成する深紫外線発光ダイオード21の数及びその配置形態と、紫外線発生部材20と高分子多孔体11との距離Lとが重要な要素となる。
紫外線発生部材20を構成する深紫外線発光ダイオード21は任意の照射角を有するが、深紫外線発光ダイオード21と高分子多孔体11との間の距離Lが短すぎると、図4(A)に示すように、深紫外線が照射されないデッドゾーンDが生じてしまうことがある。
また、図4(B)に示すように、紫外線発生部材20と高分子多孔体11との間の距離Lが長すぎると、高分子多孔体11に照射される深紫外線が弱くなる。その結果、高分子多孔体11で生成するOHラジカルが少なくなってしまう。
高分子多孔体11への深紫外線の照射態様が図4(C)に示す態様になるように、紫外線発生部材20と高分子多孔体11の距離Lを調製することにより、高分子多孔体11の前面11aに深紫外線が照射されないデッドゾーンDを無くすことができる。また、その距離は、OHラジカルの生成力が弱まることがない距離Lであることも必要である。そうした距離Lは、深紫外線発光ダイオード21の数や配置態様にも影響するが、好ましくは1mm〜5mmの範囲とすることができ、特に好ましくは1mm〜3mmである。
[殺菌作用及び気体改質作用]
本発明に係る気体処理装置1の殺菌作用と気体改質作用について詳しく説明する。
導入口3から取り込まれた気体は、任意に設けられる送風機5によりハウジング2の内部に送り込まれる。送り込まれた気体は、ハウジング2内での進路を遮る位置に配置された高分子多孔体11に到達する。このとき、高分子多孔体11には、紫外線発生部材20から深紫外線が照射され、その高分子多孔体11は、深紫外線が照射されてOHラジカルを生成する。
高分子多孔体11に深紫外線が照射されてOHラジカルが生成している状況下で、その高分子多孔体11に気体が到達すると、生成しているOHラジカルは、その酸化作用によって気体中の菌を殺菌する。なお、高分子多孔体11から生成したOHラジカルの寿命は約1/10秒と極めて短時間であるが、高分子多孔体11には深紫外線が照射し続けるので、高分子多孔体11からOHラジカルが生成し続ける。そのため、気体中の菌の殺菌が継続的に行われる。なお、深紫外線自体も殺菌作用があるため、気体中の菌は深紫外線によっても併せて殺菌される。
また、送り込まれた気体がエチレンガス等の有機ガスである場合は、OHラジカルの酸化反応によってエチレンガス等は分解し、無害な有機ラジカル(・C)と水(HO)とに改質される。殺菌処理と改質処理された後の気体は、高分子多孔体11の微細孔を通過し、排出口4からハウジング2の外に排出する。
殺菌作用についてさらに詳しく説明する。図5(A)は、空気分子30に付着した菌40にOHラジカルが作用するモデル図である。導入口3から送り込まれた空気分子30には、カビやウイルス等の菌40が付着していることがある。空気分子30に付着した菌40にOHラジカルが作用すると、空気分子30に付着したカビやウイルス等の菌40はOHラジカルの酸化作用によって殺菌される。
図5(B)は、深紫外線がカビ41やウイルス42等に直接作用して殺菌するモデル図である。深紫外線をカビ41やウイルス42に照射すると、深紫外線がカビ41やウイルス42の細胞内のDNAに作用して、水和現象、ダイマー形成又は分解等の光化学反応をひき引き起こし、その結果、カビ41やウイルス42等が死滅するものと考えられる。この作用を利用して深紫外線の直接照射により空気中のカビ41やウイルス42等を殺菌できる。
次に、気体改質作用について具体的に説明する。
高分子多孔体11として連続気泡を有するポリウレタンフォームを使用し、紫外線発生部材20として波長254nmの深紫外線発光ダイオードを使用した例について詳しく説明する。
化学式1で表されるポリウレタンフォームに深紫外線(ここでは「UV」で表す。)を照射すると、ポリウレタンフォームから水素原子と酸素原子が切れ、その水素原子と酸素原子から、化学式2に示すOHラジカル(・OH)が生成する。なお、波長254nmの紫外線を発生する深紫外線発光ダイオードのエネルギーは約472kJ/molであり、N−Hの結合エネルギーは約391kJ/molであり、C−Oの結合エネルギーは約352kJ/molであるので、深紫外線の照射により、水素原子と酸素原子はポリウレタンフォームから解離してOHラジカルを生成する。
Figure 2012205615
Figure 2012205615
次に、高分子多孔体11としてセルロースを使用し、紫外線発生部材20として波長254nmの深紫外線発光ダイオードを使用した例について詳しく説明する。
化学式3で表されるセルロースに深紫外線(「UV」で表す。)を照射すると、セルロースの構造に含まれる−CHOH基からOH基が解離し、OHラジカル(・OH)が生成する。なお、波長254nmの紫外線を発生する深紫外線発光ダイオードのエネルギーは約472kJ/molであり、−CHOH基におけるC−Oの結合エネルギーは約352kJ/molであるので、深紫外線の照射により、OH基がセルロースから解離してOHラジカルを生成する。
Figure 2012205615
以上のように、高分子多孔体11として、ポリウレタンフォームやセルロース等のように、深紫外線を照射してOHラジカルを生成する連続気泡を有する高分子発泡体を用いることにより、所期の目的を達成できる。
高分子多孔体11から生成したOHラジカルは、後述の実験例で説明するように、エチレン(C)ガス等に作用して、エチレン等を改質除去することができる。
以上説明したように、本発明に係る気体処理装置1によれば、深紫外線の発生源として発光ダイオードを用いるので、長寿命で、小電力であり、熱の発生もほとんどないので、高分子多孔体11の燃焼や軟化を防ぐことができ、安全で長期間の使用も可能である。また、波長が200nm〜350nmの間の深紫外線を使用するので、オゾンの発生がないという利点がある。また、深紫外線による直接殺菌も可能なので、OHラジカルによる酸化殺菌との重畳効果により、効果的な空気殺菌を実現できる。また、OHラジカルを有機ガスに反応させることにより、有機ガスの改質処理を行うことができる。また、装置を簡単な構造とすることができるので、小型化、軽量化、低廉化を実現できる。また、深紫外線発光ダイオードは、−30℃〜55℃の温度範囲で使用でき、湿度に影響されないので、使用しやすいという利点もある。
次に、本発明に係る気体処理装置1によるエチレンガスの分解実験を行った。
容器内にエチレンガスを封入し、容器内に配置した気体処理装置1の紫外線発生部材20から高分子多孔体11に向けて深紫外線を照射した場合(UV−ON)と照射しなかった場合(UV−OFF)とを比較した。
実験の条件は次のとおりである。
・容器の容量:112L
・高分子多孔体:連続気泡を有するポリウレタンフォーム
・紫外線発生部材:波長254nmのUV管(深紫外線LEDの代替)を1本
・入力電力:0.9W
・紫外線発生部材と高分子多孔体との距離:2.5mm
図6は、紫外線照射時と非照射時のエチレンガスの分解状態を示すグラフである。図6に示すグラフの横軸は時間(分)を表し、縦軸はエチレンガスの濃度(ppm)を表している。図6に示すように、深紫外線の非照射時は、実験開始当初(グラフ中経過時間が0分の時点)で約300ppm存在したエチレンガスが、時間の経過に伴って漸次減少し、実験終了時(70分経過時)には約220ppmであった。一方、深紫外線の照射時は、実験開始当初で約300ppm存在したエチレンガスが、非照射時に比べて急激に減少し、実験終了時(70分経過時)には約160ppmとなった。
測定時間に対するエチレンガスの減少の程度を、下記式1を用いて定量的に算出した。
{(実験当初の濃度)−(実験終了時の濃度)}/測定時間 …(1)
深紫外線の照射時は約1.14[ppm/min]であったのに対し、深紫外線の非照射時は約2.00[ppm/min]となり、両者の差は約1.75倍であった。このように、エチレンガスの自然減衰の場合に比べ、気体処理装置1を作動させて高分子多孔体11からOHラジカルを生成させた場合は、エチレンガスをより減少させることができた。
[気体処理装置の使用例]
本発明に係る気体処理装置1の使用例を、図7〜図9を参照しつつ説明する。
図7は、生鮮食品55の保存庫50に気体処理装置1を適用した一例を示す斜視図である。図7に示すように、生鮮食品55が保存庫50の内部に収容されており、気体処理装置1が保存庫内の背面部51の上部に取り付けられている。収容された生鮮食品55からはエチレンガスが発生する。気体処理装置1は、高分子多孔体11から生成させたOHラジカルの作用によって、エチレンガスを無害なエタンと水に改質する。また、気体処理装置1は、保存庫内に存在する菌類を殺菌する。これにより、保存庫内に収容された生鮮食品55の鮮度は長期間維持される。
図8は、保存庫60に気体処理装置1を適用した他の一例を示す一部切り欠き斜視図である。図8に示すように、保存庫60の内部にはダクト65が配置され、そのダクト65の内部に気体処理装置1が設けられている。ダクト65は、吸気ダクト66と排気ダクト68とで構成されている。
吸気ダクト66は、保存庫内の気体をダクト65内に取り込むための配管であり、保存庫背面部61の中央の底部62から上部に向かって延びるように配置されている。吸気ダクト66の入口部67には、吸気ダクト66の内部に気体を送り込むための送風機5が設けられている。吸気ダクト66の下部には、気体処理装置1が接続されている。
排気ダクト68は、気体処理装置1で処理された後の気体を排出するための配管であり、保存庫内の底部62の周縁に沿って配置されている。したがって、気体処理装置1の下流側に接続された配管を、排気ダクト68ということができる。排気ダクト68の周面部には、複数の穴69が形成されている。穴69は、気体処理装置1によって殺菌及び改質された気体を保存庫60の内部に向けて送り出す排出口4である。
なお、図8に示すように、保存庫60内にダクト65を配置した場合に、吸気ダクト66の入口部67に設けた送風機5だけでダクト全体に気体を十分に循環させることができれば、気体処理装置1自体の導入口近傍の送風機5(図1参照)は設ける必要がない。
図9は、保存庫70に気体処理装置1を適用したさらに他の一例を示す一部切り欠き斜視図である。図9に示すように、ダクト80は保存庫70の外部に配置されていてもよい。詳しくは、ダクト80は、保存庫70の背面部71の外部に配置された吸気ダクト81と排気ダクト83とで構成されている。保存庫70の外部に設けられた吸気ダクト81は、背面部71の中央の底部73から上方に向かって延びるように配置されている。
保存庫70の背面部71の上部には、取込口82が形成されている。この取込口82は、吸気ダクト81と接続され、吸気ダクト81の内部に保存庫70の気体を取り込むための開口部である。取込口82には、保存庫内の気体を吸気ダクト81に向けて強制的に送り込む送風機5が設けられている。吸気ダクト81の下部には、気体処理装置1が設けられている。
排気ダクト83は、気体処理装置1で処理された後の気体を排出するための配管であり、側壁面72の外部の周囲を囲むように配置されている。排気ダクト83の末端は、保存庫70の側壁面72に形成された穴84に接続されている。気体処理装置1によって殺菌及び改質された気体は、排気ダクト83を通り、この穴84から再び保存庫70の内部に送り込まれる。
なお、図9に示すように、吸気ダクト81の取込口87に設けた送風機5だけでダクト全体に気体を十分に循環させることができれば、気体処理装置1自体の導入口近傍の送風機5(図1参照)は設ける必要がない。
以上、生鮮食品の保存庫に気体処理装置1を適用した場合の例を説明したが、本発明に係る気体処理装置1は、家庭用冷蔵庫、業務用冷蔵庫、家庭用空気清浄機、医療現場で使用される空気清浄機、又は工場に設置されるクリーンルーム等にも適用することができる。
1 気体処理装置
2 ハウジング
3 導入口
4 排出口
5 送風機(送風手段)
6 羽根
7 電動モータ
8 保持フレーム
9 電源部
11 高分子多孔体
11a 高分子多孔体表面
20 紫外線発生部材
21 深紫外線発光ダイオード
22 保持フレーム
23 装着部
24 取付部
25 補強部
26 電源部
D 深紫外線が照射されないデッドゾーン
L 距離

Claims (5)

  1. 中空構造のハウジングと、該ハウジング内に気体を取り込む導入口と、該導入口からハウジング内に取り込まれる気体の進路を遮る位置に配置された高分子多孔体と、該高分子多孔体の前記導入口側に配置されて該高分子多孔体に向けて深紫外線を照射する紫外線発生部材と、前記高分子多孔体を通過した気体を排出する排出口とを備えることを特徴とする気体処理装置。
  2. 前記紫外線発生部材は、200nm〜350nmの波長の深紫外線を発生する、請求項1に記載の気体処理装置。
  3. 前記紫外線発生部材は、複数の深紫外線発光ダイオードを前記高分子多孔体に対向配置してなる、請求項1又は2に記載の気体処理装置。
  4. 前記紫外線発生部材と前記高分子多孔体との距離が1mm〜5mmである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の気体処理装置。
  5. 前記高分子多孔体が着脱可能に設けられている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の気体処理装置。
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