(関連出願)
本発明は、2006年9月29日付の米国特許仮出願第60/827,588号の優先権の利益を主張し、この米国特許仮出願の内容の全体が、ここでの言及によってあたかも本明細書に明示されたかのように援用される。
本発明は、広くは、流体制御装置に関し、さらに詳しくは、流体制御装置のための位置決め装置に関する。
流体制御装置には、制御バルブおよびレギュレータを含むさまざまなカテゴリの装置が含まれる。そのような制御装置は、そこを通過する流体の流れを制御するために、化学処理システム、天然ガス供給システムなどといった流体プロセス制御システムに組み込まれるように使用される。それぞれの制御装置が、流体の流路を決定し、流路の大きさを調節するための制御部材を有している。例えば、図1は、バルブ・ボディ12およびアクチュエータ14を有している公知のレギュレータ・アセンブリ10を示している。前記バルブ・ボディ12は、流路16を決定し、そしてスロート18を備えている。図1において、レギュレータ・アセンブリ10は、上向き流(flow-up)となるように構成されている。前記アクチュエータ14は、上側アクチュエータ・ケーシング20と、下側アクチュエータ・ケーシング22と、ダイアフラム32を備えたダイアフラム・サブアセンブリ30と、制御部材24とを備えている。
前記制御部材24は、上側および下側アクチュエータ・ケーシング20、22の内部に配置され、前記ダイアフラム・サブアセンブリ30をまたぐ圧力の変化に応答して双方向に変位するように構成されている。このように構成されることで、この制御部材24は、前記スロート18を通過する流体の流れを制御する。さらに、図示するとおり、前記レギュレータ・アセンブリ10は、バルブ・ボディ12のスロート18に配置された座リング26を備えている。このバルブ・ボディ12の出口圧力が高いとき、前記制御部材24のシール面28が、座リング26に密着して前記スロート18を閉じることができる。同様に、アクチュエータ14に圧力が存在しない場合や、ダイアフラム32が不具合の際には、前記上側アクチュエータ・ケーシング20の環状の空洞部36に配置されたコイルスプリング34が、前記制御部材24を閉鎖位置へと付勢する。このようなレギュレータは、「故障時閉(fail close)」のレギュレータとして一般に知られている。
「故障時閉」のレギュレータは、アクチュエータ14から圧力が失われるようなシステムの漏れや、ダイアフラム32の破れなどの不具合が生じたときに、制御部材24が、レギュレータ10を通過する流体の流れを自動的に閉じるように構成されている。かかる状況のもとでは、所望の最終位置への流体の搬送は、レギュレータが修理されるまで停止される。
不良状態のもとでも流体の搬送を終了させなくてよいように、一部の流体プロセスまたは搬送システムは、「故障時開(fail open)」のレギュレータを採用している。「故障時開」のレギュレータは、「故障時閉」のレギュレータと同様に動作するが、ダイアフラムの不良の場合に、スプリングが制御部材を閉じるのではなく、開くように付勢する。その結果、ダイアフラムまたは他の制御部品が故障の場合でも、流体が、中断されることなく、しかしながら非制御の状態で、レギュレータを通過して流れ続ける。したがって、このような構成では、多くの場合に、「故障時開」のレギュレータが故障したときに流体の流れを制御する監視レギュレータを備えている。
従来からのレギュレータは、通常は「故障時開」または「故障時閉」のいずれかとして構成される。「故障時開」のレギュレータを「故障時閉」のレギュレータとして動作するように構成し直し、あるいは「故障時閉」のレギュレータを「故障時開」のレギュレータとして動作するように構成し直すために、多くの場合、制御アセンブリおよびレギュレータ・ケーシングの構成を変更しなければならず、あるいは制御アセンブリおよびレギュレータ・ケーシングを、別の制御アセンブリおよびレギュレータ・ケーシングと交換しなければならない。そのようなレギュレータ・ケーシングの構成変更および/または交換は、高価で、時間がかかる可能性がある。
本開示の一実施形態は、レギュレータの流路を通過する流体の流れを調節するための制御アセンブリを提供するもので、かかる位置決め装置アセンブリが、制御部材、中央ロッド、第1のスプリング・シート、第2のスプリング・シート、およびスプリングを備えている。前記中央ロッドは、レギュレータのケーシングを貫いて配置されるように構成されている。前記第1のスプリング・シートは、中央ロッドを受け入れる穴を有しており、中央ロッドに対して固定されている。前記第2のスプリング・シートが、中央ロッドを受け入れる穴を有しており、レギュレータのケーシングおよび制御部材の一方に対して固定されている。前記スプリングは、第1および第2のスプリング・シートの間に配置され、制御部材をレギュレータのケーシングに対する所定の位置へと付勢する。
本開示の別の実施形態では、流路を定めているバルブ・ボディ、該バルブ・ボディへと接続されたアクチュエータ・ケーシング、制御部材、中央ロッド、第1および第2のスプリング・シート、およびスプリングを備えたレギュレータを有している。前記制御部材は、前記アクチュエータ・ケーシングの内部に配置され、流路を通過する流体の流れを調節するためにバルブ・ボディに対して変位するように構成されている。前記中央ロッドは、前記アクチュエータ・ケーシングを貫いて配置されている。前記第1のスプリング・シートは、前記中央ロッドに対して固定され、前記第2のスプリング・シートは、前記アクチュエータ・ケーシングおよび制御部材の一方に対して固定されている。前記スプリングは、前記第1のスプリング・シートおよび第2のスプリング・シートの間に配置され、前記制御部材をレギュレータのケーシングの内部の所定の位置へと付勢する。
本開示のさらに別の実施形態は、バルブ・ボディ、アクチュエータ・ケーシング、制御部材、および位置決め装置アセンブリを備えるレギュレータを提供するもので、前記バルブ・ボディは、流体のための流路を有しており、前記アクチュエータ・ケーシングは、前記バルブ・ボディへと接続されている。前記制御部材は、前記アクチュエータ・ケーシングの内部に配置され、流路を通過する流体の流れを調節するためにバルブ・ボディに対して変位するように構成されている。前記位置決め装置アセンブリは、中央ロッドおよび中央ロッドの周囲に配置されたスプリングを備えている。中央ロッドの少なくとも一部分が制御部材の内側に配置され、スプリングが制御部材をバルブ・ボディに対して所定の位置へと付勢する。
従来の「故障時閉」のレギュレータの側断面図である。
本発明の原理に従って構成された「故障時開」のレギュレータの一実施形態を示す側断面図である。
図2に従って構成された「故障時開」のレギュレータのための制御アセンブリの代替実施形態の側断面図である。
本発明の原理に従って構成された「故障時開」のレギュレータの第2の実施形態を示す側断面図である。
図2を参照すると、本発明の原理に従って構成された本制御装置の第1の実施形態は、圧力レギュレータ100を有している。かかる圧力レギュレータ100は、概略、バルブ・ボディ102、座リング104、およびアクチュエータ106を有している。前記バルブ・ボディ102は、入り口110と出口112との間に延設されておりさらに後述されるとおりアクチュエータ106の中へと延びている流路108を有している。前記アクチュエータ106は、図2に示されているような開位置と、閉位置(図示せず)との間で、可動可能な制御アセンブリ114を備えており、該閉位置において、制御アセンブリ114は、座リング104に接合している。
前記制御アセンブリ114の移動は、前記入り口110および出口112の流体の圧力の変動に応答して生じる。したがって、前記座リング104に対する前記制御アセンブリ114の位置は、本圧力レギュレータ100の流量を左右することになる。
前記バルブ・ボディ102は、入り口110および出口112の間のスロート116をさらに有している。このスロート116は、前記座リング104を収容するよう支持する段差部118を備えている。一形態においては、この座リング104とスロート116の段差部118との間に、流体をシールするために、Oリングを配置することが可能である。
前記アクチュエータ106は、前述のように、前記制御アセンブリ114を備えており、さらに上側アクチュエータ・ケーシング122、下側アクチュエータ・ケーシング124、および複数のピン126を備えている。前記上側および下側アクチュエータ・ケーシング122、124は、少なくとも1つのねじ山付きの固定具119および対応するナット121によって一体に固定されている。前記上側アクチュエータ・ケーシング122が、中央穴123、第1の制御導入口125(想像線で示されている)、および移動チャンバ127を定めている。かかる移動チャンバ127は、アクチュエータ106内の制御アセンブリ114の位置を示す移動表示器131を収容している。前記下側アクチュエータ・ケーシング124は、第2の制御導入口129を有している。
前記上側および下側アクチュエータ・ケーシング122、124が合わさって、中空ネック128を備える空洞135を形成している。前記中空ネック128は、前記バルブ・ボディ102のアクチュエータ開口115内に形成されている。図2に視認できるとおり、複数のピン126は、中空ネック128に固定された第1の端部126aと、該中空ネック128に対して遠方に位置する第2の端部126bとを有している。図示する形態においては、前記第1の端部126aが、前記中空ネック128に形成された穴にねじ込まれている。前記第2の端部126bは、座リング104に当接している。したがって、ピン126およびスロート116の段差部118が、バルブ・ボディ102において座リング104を挟み、該座リング104を軸方向において位置決めして、固定している。本レギュレータ100を、座リング104をバルブ・ボディ102に対して位置決めする複数のピン126を備えるものとして説明したが、このレギュレータ100の別の形態としては、座リング104を位置決めすべくスロート116に配置されるケージを含むような形態でもよい。かかる別の形態においては、座リング104を、バルブ・ボディ102にねじ込むことができ、接着することができ、あるいは他の方法で固定することができる。
さらに図2を参照すると、前記制御アセンブリ114は、中空スリーブ130などの制御部材、取り付けサブアセンブリ132、ダイアフラム・サブアセンブリ133、および位置決め装置アセンブリ138を備えている。このスリーブ130は、概ね筒状であって、概ね円柱形の内表面143および概ね円柱形の外表面147を有している。前記内表面143は、スリーブ130を貫く中央穴を定めている。さらに、スリーブ130は、上端130aおよび下端130bを備えている。上端130aは、空洞135内に配置され、下端130bは、下側アクチュエータ・ケーシング124の中空ネック128内に配置されている。スリーブ130の上端130aは開いており、外表面147に形成された外周フランジ140を備えている。さらに、スリーブ130の上部130aは、内表面143にねじ部141を備えている。スリーブ130の下端130bは開いており、取り付けサブアセンブリ132を収容している。
前記取り付けサブアセンブリ132は、取り付け部材142、ディスク・リテーナ144、ディスク・ホルダ146、およびシール・ディスク148を備えている。ここに開示されている形態においては、取り付け部材142は、スリーブ130の開いた下端130bにねじ込まれる概ね円柱形の本体を備えており、この本体に貫通穴150が形成されている。前記貫通穴150の軸は、スリーブ130の軸に概ね整列している。前記ディスク・リテーナ144は、一対の固定具152によって取り付け部材142に固定される概ね円柱形の本体を備えている。図示されている形態においては、前記固定具152は、ねじ山付きの固定具を有している。取り付け部材142と同様に、ディスク・リテーナ144も、貫通穴154を形成している。このディスク・リテーナ144の貫通穴154は、取り付け部材142の貫通穴150の直径と実質的に同一の直径を有しており、その軸は、取り付け部材142の貫通穴150の軸に整列している。
図示するとおり、前記ディスク・リテーナ144が、前記ディスク・ホルダ146およびシール・ディスク148をリテーナ・アセンブリ132の取り付け部材142に固定している。前記ディスク・ホルダ146は、鋼などの剛な材料で構成された概ねリング状のプレートからなる。前記シール・ディスク148は、弾性材料で製作されていて、前記ディスク・ホルダ146に取り付けられる概ねリング状のディスクからなる。一形態においては、前記シール・ディスク148が、接着剤でディスク・ホルダ146に取り付けられる。ここに開示した形態によれば、前記ディスク・リテーナ144の構成が、制御アセンブリ114が閉位置にあってシール・ディスク148を座リング104へと押し付けているときの該シール・ディスク148の、半径方向の変形を制限する。
ここで、図2に示すレギュレータ100の上部を参照すると、ダイアフラム・サブアセンブリ133は、ダイアフラム134、上側ダイアフラム・プレート136a、および下側ダイアフラム・プレート136bを有している。前記上側および下側ダイアフラム・プレート136a、136bは、前記スリーブ130の外周フランジ140に締め付けられている。前記ダイアフラム・プレート136a、136bが、固定具156によって一体に固定されることで、スリーブ130およびダイアフラム・プレート136a、136bが、一体に固定される。さらに、前記ダイアフラム・プレート136a、136bは、前記ダイアフラム134の半径方向内側の部分を挟んでいる。ダイアフラム134の半径方向外側の部分は、前記上側および下側アクチュエータ・ケーシング122、124の間に固定されている。
この位置決め装置アセンブリ138は、前記スリーブ130を図2に示す開位置へと付勢すべく、主にスリーブ130の内側に配置されている。かかる位置決め装置アセンブリ138は、概略、中央ロッド186、第1のスプリング・シート188、第2のスプリング・シート190、スプリング193、および保持プレート192を具備している。前記中央ロッド186は、第1のねじ端186aおよび第2のねじ端186bを備えている。前記第1のねじ端186aが、前記上側アクチュエータ・ケーシング122の中央穴123を貫いて延びている。外ナット194が、前記第1のねじ端186aにねじ込まれ、図2に示したアクチュエータ100の向きに関して、下方向の中央ロッド186の軸方向への変位を制限している。中間ナット196が、前記外ナット194よりもさらに中央ロッド186の第1のねじ端186aへ向けてねじ込まれ、図2に示したアクチュエータ100の向きに関して上方向の中央ロッド186の軸方向の変位を制限している。したがって、前記中央ロッド186の第1のねじ端186aが、上側アクチュエータ・ケーシング122に対する軸方向の変位に関して効果的に固定されて、第2のねじ端186bが、アクチュエータ106の中へと延びている。
このように、図示する如く、前記中央ロッド186の第2のねじ端186bは、前記スリーブ130の内部へと延び、該スリーブ130の第2の端部130bの付近に位置する。1組の保持ナット198a、198bが、前記中央ロッド186の第2のねじ端186bにねじ込まれている。前記保持ナット198a、198bが、第1のスプリング・シート188、スプリング193、および第2のスプリング・シート192を中央ロッド186上に支持している。前記第1のスプリング・シート188は、さらに詳しく後述されるように、前記スリーブ130内にスライド可能に配置されている。より具体的には、この第1のスプリング・シート188は、前記保持ナット198a、198bに当接した概ね円柱形の板を備えている。したがって、前記スプリング193が、第2のスプリング・シート192を保持プレート192に対して固定し、そして、前記スリーブ130に相対的に固定する。さらに、前記第1のスプリング・シート188は、前記中央ロッド186に対して固定され、前記中央穴188aおよび複数の開口188bを有する。前記中央穴188aが、前記保持ナット198a、198bの直近の中央ロッド186の第2の端部186bを受容している。
前記複数の開口188bは、取り付けサブアセンブリ132の貫通穴150、154、したがって流路108に、流体的に連通している。
同様に、前記第2のスプリング・シート190も、前記中央穴190aおよび前記複数の開口190bを有する概ね円柱形の板で構成されている。該第2のスプリング・シート190の中央穴190aは、前記第1のねじ端186aの付近で中央ロッド186を受容している。前記複数の開口190bは、第1のスプリング・シート188の複数の開口188b、したがって流路108に、流体的に連通している。したがって、図示のとおり、前記スプリング193は、第1のスプリング・シート188と第2のスプリング・シート190との間に軸方向に配置され、第1のスプリング・シート188および第2のスプリング・シート190に当接している。かかる第1のスプリング・シート188は、中央ロッド186に対して下方向に変位することがないように保持ナット198によって固定され、スプリング193を支持する。その結果、このスプリング193が、第2のスプリング・シート190を支持している。
さらに、前記保持プレート192が、中央穴192、複数の開口192b、およびねじ部195を有している、概ね円柱形の板で構成されている。この保持プレート192のねじ部195が、前記スリーブ130の内表面143のねじ部141との螺合によって、固定される。したがって、この保持プレート192およびスリーブ130は、単一の構造として機能する。
組み立ての際、上側アクチュエータ・ケーシング122は下側アクチュエータ・ケーシング124から取り外され、スリーブ130はダイアフラム・プレート136a、136bの間から取り除かれた状態で、前記保持プレート192が、前記スリーブ130のねじ部141にねじ込まれる。続いて、中間ナット196が、中央ロッド186の第1のねじ端186aにねじ込まれる。次いで、中央ロッド186の第2のねじ端186bが、保持プレート192の中央穴192aを貫いて配置される。次に、中央ロッド186をこの位置に置いた状態で、第2のスプリング・シート190、スプリング193、および第1のスプリング・シート188が、この順序で、スリーブ130の下部130bの開口を介して中央ロッド186へと滑り込ませる。次いで、図示のとおり、保持ナット198a、198bが中央ロッド186の第2のねじ端186bにねじ込まれる。
この時点で、技術者または技師は、保持プレート192に隣接して位置する中間ナット196または第1のスプリング・シート188に隣接して位置する保持ナット198a、198bを締め込むことによって、位置決め装置アセンブリ138を蓄勢することができる。例えば、中間ナット196を締め込むことによって、中央ロッド186が第2のスプリング・シート190および保持プレート192を通って引き込まれる。これにより、保持ナット198a、198bが第1のスプリング・シート188に軸方向の力を加え、第1のスプリング・シート188を第2のスプリング・シート190に向かって変位させる。中間ナット196をさらに締め込むことで、前記スプリング193が、第1および第2のスプリング・シート188、190の間で圧縮される。
あるいは、前記第1のスプリング・シート188に隣接して位置する保持ナット198a、198bを締め込むことで、第1のスプリング・シート188が第2のスプリング・シート190に向かって押されて、スプリング193を圧縮する。なお、図示する実施形態において、保持ナット198a、198bは、第1のスプリング・シート188に直接隣接して位置する第1の保持ナット198aと、第1のスプリング・シート188の反対側で第1の保持ナット198aに直接隣接して位置する第2の保持ナット198bを備えている。したがって、上述の蓄勢(蓄圧)作業において、技術者または技師は、第1のスプリング・シート188を変位させてスプリング193を圧縮するために、最初に第1の保持ナット198aを締め込む。続いて、技術者または技師が、第2の保持ナット198bを締め込んで第1の保持ナット198aに当接させることで、第1の保持ナット198aが中央ロッド186上で動かぬように効果的に固定される。
さらに、本明細書に開示の位置決め装置アセンブリ138の一実施形態において、上述の蓄勢作業のいずれかを実行する技術者または技師が、スプリング193を所定の量だけ蓄勢すべく、中間ナット196または保持ナット198a、198bを中央ロッド186上の所定の位置まで締め込むことができるよう、中央ロッド186が、ねじ部186a、186bの少なくとも一方の長さに沿ったマーキングを備えていてもよいことに、留意されたい。
位置決め装置アセンブリ138を適切に蓄勢した状態で、スリーブ130の外周フランジ40が、ダイアフラム・プレート136a、136bと組み合わせられ、スリーブ130の下部130bが、下側アクチュエータ・ケーシング124のネック128の中へと配置される。次いで、上側アクチュエータ・ケーシング122が、中央ロッド186の第1のねじ端186が中央穴123を貫いて位置するように、下側アクチュエータ・ケーシング124へと配置される。次いで、技術者または技師は、ねじ固定具119によって上側アクチュエータ・ケーシング122を下側アクチュエータ・ケーシング124と固定することができる。最後に、技術者または技師は、外ナット194を中央ロッド186の第1のねじ端186aに締め込む。このように外ナット194を締め込むことによって、中央ロッド186が引っ張られ、したがって中間ナット196および第1のスプリング・シート188が、図2に示したレギュレータ100の向きに関して上方へと引き寄せられる。外ナット194および中間ナット196が、図示のとおりに上側アクチュエータ・ケーシング122を挟み込む。このように構成されることで、外ナット194および中間ナット196が、上側アクチュエータ・ケーシング122に対して軸方向に変位することがないように中央ロッド186を固定する。さらに、保持ナット198a、198bが、図2に図示するように、レギュレータ100の向きに関して、軸方向下向きに変位することがないように第1のスプリング・シート188を固定する。
一般に、レギュレータ・アセンブリ100が、流体プロセス制御または流体搬送システム内に設置されるとき、制御アセンブリ114は、バルブ・ボディ102の入り口110および出口112の圧力に基づいて、アクチュエータ106の空洞135および中空ネック128の内部で往復移動することができる。具体的には、流体が、入り口110からスロート116を通過して流れる。ひとたび流体が前記スロート116を通過すると、流体の大部分が出口112へと流れる一方で、残りの部分は、取り付け部材142およびディスク・リテーナ144のそれぞれの貫通穴150、154を通って流れる。流体の前記残りの部分は、第1および第2のスプリング・シート188、190ならびに保持プレート192のそれぞれの開口188b、190b、192bを介し、スリーブ130を通って流れ続け、制御アセンブリ114を平衡させる。ここに開示した実施形態においては、第2のスプリング・シート190の開口190bが、保持プレート192の開口192bに実質的に整列している。これにより、レギュレータ100を通過して移動する加圧流体が、妨げられることなく開口190b、192bを通過して、制御アセンブリ114を平衡させることができる。一実施形態においては、第2のスプリング・シート190および保持プレート192の一方が、軸方向を向いた表面にくぼみを備えることができる。第2のスプリング・シート190および保持プレート192の他方が、くぼみを収容するための凹所を備えることができる。かかる凹所は、図示のとおり、開口190b、192bの間の流体的連通が可能になるように第2のスプリング・シート190および保持プレート192が適切に整列されている場合に限り、前記くぼみを収容することができる。あるいは、別の実施形態においては、第2のスプリング・シート190および保持プレート192が、特定の整列の必要を軽減すべく、単一の一体型部材から構成されてもよい。さらにまた、別の実施形態においては、開口190bおよび192bが、スプリング・シート190および保持プレート192を巡って少なくとも部分的に周状に延びる細長い開口で構成されていてもよい。そのように構成されることで、第2のスプリング・シート190および保持プレート192を複数の相対位置に配置でき、依然として開口190b、192bの間に必要な流体的連通をもたらすことができる。
流体のうち、バルブ・ボディ102を通って出口112へ流れる部分は、流体プロセス制御または流体搬送システムへと還流する。具体的には、一形態において、出口112の流体の圧力が、別の流体配管(図示せず)に取り出され、下側アクチュエータ・ケーシング124の第2の制御導入口129に導かれる。したがって、最終的に下側のダイアフラム・プレート136bに加えられる第2の制御導入口129の圧力が、バルブ・ボディ102の出口112の圧力に等しくなる。さらに、一形態においては、入り口110の圧力が、パイロット弁(図示せず)への別の流体配管へ取り出され、上側アクチュエータ・ケーシング122の第1の制御導入口125へと導かれる。
したがって、第1の制御導入口125の圧力が、第2の制御導入口129の圧力と位置決め装置アセンブリ138(さらに詳しくは、位置決め装置アセンブリ138のスプリング193)との組み合わせによってもたらされる力よりも大きな力を、上側のダイアフラム・プレート136aに加える場合、ダイアフラム・プレート136a、136bおよび制御スリーブ130は、スプリング138の付勢力に抗して下方に変位する。より具体的には、ダイアフラム・プレート136a、136bおよびスリーブ130、ならびに位置決め装置アセンブリ138の保持プレート192および第2のスプリング・シート190が、下方へ変位する。この下方への変位によって、スプリング193が、第1のスプリング・シート188に向かって圧縮される。したがって、スリーブ130が下方へとスライドして変位するとき、中央ロッド186および第1のスプリング・シート188が、図2に示されている位置のままである一方で、スリーブ130、保持プレート192、および第2のスプリング・シート190が、下方へ変位することに留意されたい。
一方、第2の制御導入口129の圧力とスプリング193との組み合わせが、第1の制御導入口125の圧力よりも大きな力を制御アセンブリ114に加える場合、制御アセンブリ114が、図2に示されている開位置に向かって上方に変位する。ダイアフラムに作用する上向きの力の合計が、制御圧力として機能する第1の制御導入口125の圧力によって対抗され、スリーブ130を含む制御アセンブリ114を、下流の需要を満たすために必要な流れに応じて位置させる。さらに、例えばダイアフラム素材が破れることによって該ダイアフラム134が不良となった場合には、スプリング193が第2のスプリング・シート190へ力を加え、制御アセンブリ114を図2に示されている開位置へと押し戻す。
以上の説明では、レギュレータ100を「故障時開」のレギュレータからなるものとして説明したが、レギュレータ100の代替の実施形態による位置決め装置アセンブリ138を、「故障時閉」のレギュレータとなるように構成することも可能である。例えば、そのような代替な実施形態においては、第1のスプリング・シート188をスリーブ130の内表面143へ固定でき、第2のスプリング・シート190を、昇降ロッド186へ取り付けることができる。このように構成された場合、第1および第2のスプリング・シート188、190の間に配置されたスプリング193が、第1のスプリング・シート188を、第2のスプリング・シート190から離れさせられるように付勢し、スリーブ130を図2に示したレギュレータ100の向きに関して下方向に付勢する。さらに、アクチュエータ106に圧力が存在しない場合や、ダイアフラム134が不良の際に、スプリング193が出口112への流体の流れを閉じるべくスリーブ130を押すように、スプリング193を、上述した蓄勢作業のいずれかに従って蓄勢することができる。
図2に示した制御アセンブリ114は、上述した2つの蓄勢作業のいずれかに従って蓄勢することが可能であるが、制御アセンブリの代替実施形態は、アセンブリの蓄勢状態を定めるために、段部を例えば中央ロッド186の両端に配置して備えることができる。中央ロッド186に形成される段部の具体的位置を、所望の用途に必要とされる所定の量の蓄勢に基づいて、あらかじめ定めることができる。
図3が、そのような1つの代替の制御アセンブリ314を示している。図2に開示した制御アセンブリ114と同様に、制御アセンブリ314は、中空スリーブ330などの制御部材、取り付けサブアセンブリ332、ダイアフラム・サブアセンブリ333(一部分のみが図示されているが、図2に開示したダイアフラム・サブアセンブリ133と概ね同一である)、および位置決め装置アセンブリ338を備えている。前記スリーブ330は、概ね筒状であって、概ね円柱形の内表面343および概ね円柱形の外表面347を有している。前記内表面343が、スリーブ330を貫く中央穴を定めている。さらに、スリーブ330は、上端330aおよび下端330bを備えている。スリーブ330は、アクチュエータ306の内部にスライド可能に配置されるが、アクチュエータ306は、上側および下側アクチュエータ・ケーシング322、324(一部分のみが示されている)を備えており、図2に開示したアクチュエータ106と概ね同一である。スリーブ330の上端330aは開いており、外表面347に形成された外周フランジ340を備えている。さらに、スリーブ330の上部330aは、内表面343のねじ部341を備えている。スリーブ330の下端330bは開いており、取り付けサブアセンブリ332を収容している。取り付けサブアセンブリ332の詳細は、図2に開示した取り付けサブアセンブリ132と同一であるため、再度の説明は省略する。
上述した位置決め装置アセンブリ138と同様に、位置決め装置アセンブリ338は、主としてスリーブ330の内部に配置され、スリーブ330をアクチュエータ・ケーシング322、324に対して上方に付勢する。位置決め装置アセンブリ338は、大まかには、中央ロッド386、第1のスプリング・シート388、第2のスプリング・シート390、およびスプリング393を備えている。中央ロッド386は、第1のねじ端386a、第2のねじ端386b、ならびに第1および第2のねじ端386a、386bの間に配置された大径部386cを備えている。大径部386cが、第1のねじ端386aに隣接する上側段部396および第2のねじ端386bに隣接する下側段部399を定めている。第1のねじ端386aが、上側アクチュエータ・ケーシング322の中央穴323を貫いて延びている。外ナット394が、第1のねじ端386aへとねじ込まれて上側アクチュエータ・ケーシング322に当接し、図3に示したアクチュエータ306の向きに関して下方向の中央ロッド386の軸方向の変位を制限している。中央ロッド386の上側段部396が、外ナット394の反対側において上側アクチュエータ・ケーシング322に当接し、図3に示したアクチュエータ306の向きに関して上方向の中央ロッド386の軸方向の変位を制限している。ここに開示した実施形態においては、上側段部396が、上側アクチュエータ・ケーシング322と協働して流体を漏らさないシールをもたらし、流体が中央穴323から漏れ出すことがないようにするOリング397を収容している。したがって、中央ロッド386の第1のねじ端386aが、上側アクチュエータ・ケーシング322に効果的に固定され、第2のねじ端386bが、アクチュエータ306内へ延びている。
図示のとおり、中央ロッド386の第2のねじ端386bは、スリーブ330内部へ延び、スリーブ330の第2の端部330bの付近に配置されている。保持ナット398が、中央ロッド386の第2のねじ端386bへとねじ込まれている。第1のスプリング・シート388が、スリーブ330の内側にスライド可能に配置されている。より具体的には、第1のスプリング・シート388は、中央穴388aと、複数の開口388bと、段差部388cと、案内リング389を収容する環状の凹所388dとを備えた概ね円柱形の板を有している。中央穴388aが、中央ロッド386の第2のねじ端386bを受け入れ、保持ナット398が、第1のスプリング・シート388を中央ロッド386の下側段部399に対して固定している。複数の開口188bは、図2に開示の第1のスプリング・シート188に関して上述したように、レギュレータを通過する流路に、流体的連通している。
第2のスプリング・シート390は、中央穴390a、複数の開口390b、段差部388c、およびねじ部388dを備えた概ね円柱形の板を有している。第2のスプリング・シート390の中央穴390aは、中央ロッド386の第1のねじ端386aの付近の大径部286cを受け入れている。前記ねじ部388dが、スリーブ330のねじ部341に螺合し、第2のスプリング・シート390をスリーブ330に固定している。複数の開口390bは、第1のスプリング・シート388の複数の開口388b、したがってレギュレータを貫く流路に、流体的に連通している。
したがって、図示のとおり、前記スプリング393は、第1のスプリング・シート388と第2のスプリング・シート390との間に、軸方向に配置され、該第1のスプリング・シート388および第2のスプリング・シート390に当接している。より具体的には、ここに開示した実施形態においては、前記スプリング393が、第1および第2のスプリング・シート388、390の段差部388c、390cの間に支持され、これが、このスプリング393を他の部品に対して整列した状態に保つうえで役立っている。
組み立ての際、上側アクチュエータ・ケーシング322が下側アクチュエータ・ケーシング324から外され、スリーブ330がアクチュエータ306から外された状態で、技術者が、第2のスプリング・シート390をスリーブ330の上端330aのねじ部341に螺合させる。一実施形態においては、2つの部品を螺合させる前に、ロックタイト(Loctite)などの接着剤242を、スリーブのねじ部341および/または第2のスプリング・シート390のねじ部388dに塗布することができる。次に、Oリング397に潤滑が施され、図3に示されているように中央ロッド386の段部396に配置される。次いで、中央ロッド386が、大径部386cが図示のとおりスリーブ300の内側に位置するように、上側のスプリング・シート390の中央穴390aを貫いて配置される。次いで、前記スプリング393が、スリーブ330の下端330bを通って挿入され、第2のスプリング・シート390の段差部390cの周囲に配置される。前記スプリング393をこの位置に位置させた状態で、第1のスプリング・シート388が、中央ロッド386の第2のねじ端386bへと挿入される。しかしながら、技術者は、第1のスプリング・シート388を配置する前に、第1のスプリング・シート388の環状の凹所388dに案内リング389を配置しなければならないかもしれない。いずれにせよ、第1のスプリング・シート388を中央ロッド386の第2のねじ端386bに位置させた状態で、保持ナット398が第2のねじ端386bへとねじ込まれ、図示のとおり、第1のスプリング・シート388の段差部388cが中央ロッド386の下部の段部399に当接してスプリング393を受け入れるように、第1のスプリング・シート388に向かって締め付けられる。一実施形態においては、スプリング・シート388が段部399に当接するまでに、スプリング393が約1インチ(1”)ほど圧縮され、すなわち蓄勢される。このように組み立てられた位置決め装置アセンブリ338が、取り外されている上側アクチュエータ・ケーシング322に、中央ロッド386の第1のねじ端386aが中央穴323を貫いて位置するように挿入される。このように構成された状態で、外ナット394が第1のねじ端386aにねじ込まれることで、中央ロッド386が上側アクチュエータ・ケーシング322に固定される。最後に、制御アセンブリ314が、下側アクチュエータ・ケーシング324に挿入され、上側アクチュエータ・ケーシング322が、ボルトまたは他の何らかの従来の手段によって下側アクチュエータ・ケーシング324に取り付けられる。
なお、図3に開示した制御アセンブリ314は、図2を参照して開示した制御アセンブリ114と実質的に同様に動作することが好ましい。したがって、そのような動作の詳細について、繰り返しの説明は省略する。
図3に開示した制御アセンブリ314は、単一の中央ロッド386を有しているが、本発明に従って構成される制御アセンブリ314の代替の実施形態としては、それぞれが段部396、399を異なる位置に配置した複数の中央ロッド386を備えることができ、技術者または技師が、スプリング393 を特定の用途に合わせて特定の量だけ蓄勢するために適切な中央ロッド386を、あらかじめ選択することができる。
図4は、本発明の原理に従って構成されたレギュレータ200の代替の実施形態を示している。図4に示されているレギュレータ200は、該レギュレータ200が概ねバルブ・ボディ202およびアクチュエータ206から構成されている点で、図2を参照して上述したレギュレータ100に実質的に類似している。バルブ・ボディ202が、入り口210と出口212との間を延び、さらにアクチュエータ206の中へと延びている流路208を有している。アクチュエータ206は、図4に示されているような開位置と閉位置(図示せず)との間で可動な制御アセンブリ214を備えている。この制御アセンブリ214の移動が、バルブ・ボディ202の入り口210および出口212の流体の圧力の変動に応答して生じる。したがって、座リング204に対する制御アセンブリ214の位置が、圧力レギュレータ200の流量を左右する。バルブ・ボディ202およびアクチュエータ206は、概ね、図2に関して上述したバルブ・ボディ102およびアクチュエータ106と同一であり、したがって相違点のみを詳しく説明する。
例えば、制御アセンブリ214は、スリーブ230、取り付けサブアセンブリ232、ダイアフラム・サブアセンブリ233、および位置決め装置アセンブリ238を備えている。前記スリーブ230、取り付けサブアセンブリ232、およびダイアフラム・サブアセンブリ233は、上述したものと同一である。しかしながら、位置決め装置アセンブリ238は、上述した位置決め装置アセンブリ138とは異なっている。
図4に示されている位置決め装置アセンブリ238は、大部分がスリーブ230およびアクチュエータ206の外側に配置され、上側アクチュエータ・ケーシング222に隣接して配置されている。位置決め装置アセンブリ238は、大まかには、中央ロッド286、第1のスプリング・シート288、第2のスプリング・シート290、スプリング293、保持プレート292、シール・アセンブリ296、およびケース297を備えている。
第2のスプリング・シート290は、中央穴290a、円筒形のフランジ部291、および雄ねじ部293を具備した概ね円柱形の板から構成されている。第1のスプリング・シート288は、中央穴288aおよび円筒形のフランジ部289を具備した概ね円柱形の板から構成されている。図示されている形態においては、スプリング293は、中央ロッド286の周囲に同芯状に配置され、かつ第1および第2のスプリング・シート288、290の間に軸方向に配置される、コイルスプリングの形態のもので構成されている。前記第1および第2のスプリング・シート288、290のそれぞれの円筒形のフランジ部289、291が、このスプリング293をスプリング・シート288、290の間に保持している。
前記第2のスプリング・シート290は、中央穴290aの軸が上側アクチュエータ・ケーシング222の穴223の軸に概ね整列するように、該上側アクチュエータ・ケーシング222の外表面に当接するように、該上側アクチュエータ・ケーシング222に固定されている。前記スプリング293は、第2のスプリング・シート290上に軸方向に配置されている。前記第1のスプリング・シート288が、前記第2のスプリング・シート290の反対側で前記スプリング293上に、軸方向に配置されている。第1の保持ナット294が、第1のスプリング・シート288に隣接して中央ロッド286の第1のねじ端286aにねじ込まれている。第1の保持ナット294が、前記スプリング293、第1のスプリング・シート288、および第2のスプリング・シート290の相対的な軸方向の配置を保持している。このように構成されて、第1のスプリング・シート288が、中央ロッド286に対して固定される。ケース297が、雌ねじ部297aを有する概ね細長い筒状の構造を備えている。このケース297のねじ部297aが、第2のスプリング・シート290のねじ部293に螺合している。
図2に示すレギュレータ100に関して上述した、保持プレートの場合と同様に、この保持プレート292は、中央穴292a、複数の開口292b、および雄ねじ部295を備えた概ね円柱形の板から構成されている。前記ねじ部295が、スリーブ230の内表面243のねじ部241に螺合し、保持プレート292をスリーブ230に固定する。前記開口292bは、取り付けサブアセンブリ232の貫通穴250、254であり、したがって流路208に、流体的に連通している。中央穴292aが、中央ロッド286の第2のねじ端286bを受け入れる。第2の保持ナット298が、保持プレート292に隣接して中央ロッド286の第2のねじ端286bに螺合する。したがって、第2の保持ナット298が、図4に示したレギュレータ200の向きに、保持プレート292を、中央ロッド286に対して下方向に変位することがないように固定する。
前記シール・アセンブリ296が、上側アクチュエータ・ケーシング222の中央穴223内に配置されている。このシール・アセンブリ296は、中央ロッド286と上側アクチュエータ・ケーシング222との間で流体を漏らさないようなシール作用をもたらす。図4に示す実施形態においては、前記シール・アセンブリは、ブシュ296a、1体のグロメット296b、およびOリング296cを備えている。前記ブシュ296aは、中央穴223に取り付けられ、グロメット296bおよびOリング296cを位置決めする。このグロメット296bは、前記中央ロッド286が上側アクチュエータ・ケーシング222に対して双方向に変位しても、スリーブ230内の圧力が漏れないように、摺動シールを提供している。Oリング296cは、ブシュ296a、上側アクチュエータ・ケーシング222、および第2のスプリング・シート290の間に配置されている。このOリング296cは、ブシュ296aと上側アクチュエータ・ケーシング222との間で流体を漏らさないように、シールを形成する。一実施形態においては、前記ブシュ296aが、半剛体または剛体ポリマーで構成される一方において、前記グロメット296bおよびOリング296cは、エラストマーまたはゴムなどの弾性材料で構成されている。なお、図4に示す前記上側アクチュエータ・ケーシング222の中央穴223は、図2に示すレギュレータ100の上側アクチュエータ・ケーシング122の中央穴123の直径よりもわずかに大きいが、このような図示はあくまでも略図であり、代替の実施形態が、同じ直径の中央穴を備えていてもよい。例えば、一実施形態においては、図4の中央ロッド286の直径を小さくすることで、中央ロッド286およびシール・アセンブリ296の両者を収容できる、より小さな中央穴223を可能にする。
組み立ての際、前記上側アクチュエータ・ケーシング222は下側アクチュエータ・ケーシング224から取り外され、前記スリーブ230はダイアフラム・プレート236a、236bの間から取り外された状態で、前記保持プレート292が、スリーブ230のねじ部241にねじ込まれる。続いて、第2の保持ナット298が、中央ロッド286の第2のねじ端286bにねじ込まれる。次いで、中央ロッド286の第1のねじ端286aが、スリーブ230の下端230bを介して保持プレート292の中央穴292aを貫いて配置される。次に、前記シール・アセンブリ296が、上側アクチュエータ・ケーシング222の中央穴223に固定される。次いで、前記中央ロッド286の第1のねじ端286aは、図4に示されているように、前記保持プレート292が上側アクチュエータ・ケーシング222に当接するように、シール・アセンブリ296を貫いて配置される。前記中央ロッド286を上側アクチュエータ・ケーシング222に対して配置した状態で、第2のスプリング・シート290、スプリング293、および第1のスプリング・シート288は、この順にしたがって中央ロッド286の第1のねじ端286aに滑り込まされる。次いで、前記第1の保持ナット294が、中央ロッド286の第1のねじ端286aにねじ込まれ、スプリング・シート288、290およびスプリング293を中央ロッド286上に固定する。次いで、スリーブ230をダイアフラム・プレート236a、236bの間に固定し、上側アクチュエータ・ケーシング222を下側アクチュエータ・ケーシング224に固定することができる。
この時点で、技術者または技師は、前記中央ロッド286の第1のねじ端286aの第1のスプリング・シート288に隣接して位置している保持ナット294を締め込むことによって、前記位置決め装置アセンブリ238を蓄勢することができる。例えば、保持ナット294を締め込むことによって、第1のスプリング・シート288が、図4に示したレギュレータ200の向きに、下方向に押される。これにより、第1のスプリング・シート288が、スプリング293を第2のスプリング・シート290に向かって圧縮し、制御アセンブリ214を蓄勢する。
あるいは、スリーブ230をダイアフラム・プレート236a、236bの間に固定する前に、技術者または技師は、スリーブ230内部で保持プレート292に隣接して位置している第2の保持ナット298を締め込むことによって、前記スプリング293を付勢してもよい。しかしながら、そのようにするためには、前記スリーブ230の下端230bからスリーブ230の上端230aまで到達および/または延伸できる細長いソケットなどの工具が必要になると考えられる。いずれにせよ、位置決め装置アセンブリ238の上述した蓄勢作業のいずれかにおいて、スプリング293を所定の量だけ圧縮することで、スリーブ230を図4に示されている開位置へ付勢すべく保持プレート292に作用する所定の量の蓄勢がもたらされる。
さらに、位置決め装置アセンブリ238の一実施形態において、蓄勢作業を実行する技術者または技師が、適切な保持ナット294、298を前記中央ロッド286上の所定の位置まで締め込むことができるよう、前記第1および第2のねじ端286a、286bの一方または両方への長手方向に沿ったマーキングを備えてもよいことに留意されたい。別の実施形態においては、中央ロッド286の第1および/または第2のねじ端286a、286bは、ねじ端286a、286bのねじ山が終了する段部を備えていてもよい。中央ロッド286に形成される段部の具体的位置を、レギュレータ200の所望の用途に必要とされる所定の量の蓄勢に基づいて、あらかじめ定めることができる。したがって、蓄勢作業の際に、技術者または技師は、保持ナット294、298のいずれかまたは両方を、該当する段部に当接するまで締め込むことができる。レギュレータ200および/または位置決め装置アセンブリ238の一実施形態として、技術者または技師が、特定の用途に合わせて特定の量だけ蓄勢するように特定的に位置した段部を有している適切な中央ロッド286をあらかじめ選択できるよう、前記スプリング293が、複数の中央ロッド286を備えていてもよい。
図4に示した実施形態にかかる位置決め装置アセンブリ238を、適切に蓄勢した状態で、ケース297のねじ部297aが、第2のスプリング・シート290のねじ部293に螺合させられる。その結果、このケース297は、スプリング・シート288、290、中央ロッド286、スプリング293、およびシール・アセンブリ296を、汚れ、ほこり、破片、水分、または他の任意の物質を集めることがないように、保護するとともに、生じうる衝突によって引き起こされる損傷から保護する。
一般に、前記レギュレータ・アセンブリ200が流体プロセス制御または流体搬送システムに設置されるとき、前記制御アセンブリ214は、バルブ・ボディ202の入り口210および出口212の圧力に応じて、アクチュエータ206の空洞235および中空ネック228の内部で往復移動することができる。具体的には、流体が、前記バルブ・ボディ202の入り口210からスロート216を通過して流れる。ひとたび流体がスロート216を通過すると、流体の大部分は前記出口212へと流れる一方で、残りの部分は、図2に示したレギュレータ100に関して上述した様相と同様の様相で、スリーブ230へ流れる。流体のこの部分が、前記スリーブ230を通り、前記保持プレート292の開口292bを通って流れて、制御アセンブリ214を平衡させる。したがって、圧力が、アクチュエータ206の空洞235へと曝露されているシール・アセンブリ296の部位に作用することに、留意されたい。しかしながら、上述のように、ブシュ296aは、前記グロメット296bおよびOリング296cとの組み合わさって、中央穴223と中央ロッド286との間で生じうる圧力のロスを防止している。
流体のうち、前記バルブ・ボディ202を通って出口212へと流れる流体は、流体プロセス制御システムに流れて戻る。具体的には、一形態において、前記出口212の流体の圧力が、別の流体配管(図示せず)へ取り出され、下側アクチュエータ・ケーシング224の第2の制御導入口229へと導かれる。したがって、最終的に下側のダイアフラム・プレート236bへ加えられる第2の制御導入口229の圧力は、バルブ・ボディ202の出口212の圧力に等しい。さらに、一形態においては、入り口210の圧力が、パイロット弁(図示せず)の別の流体配管へ取り出され、上側アクチュエータ・ケーシング222の第1の制御導入口225へとさらに導かれる。
したがって、第1の制御導入口225の圧力が、第2の制御導入口229の圧力と位置決め装置アセンブリ238(さらに詳しくは、位置決め装置アセンブリ238のスプリング293)と組み合わさってもたらされる力よりも大きな力を、上側のダイアフラム・プレート236aへ加える場合、ダイアフラム・プレート236a、236bおよびスリーブ230が、スプリング238の付勢に抗して下方へと変位する。より具体的には、ダイアフラム・プレート236a、236bおよびスリーブ230、ならびに位置決め装置アセンブリ238の保持プレート292、中央ロッド286、および第1のスプリング・シート288が、下方へと変位する。この下方への変位によって、スプリング293が、蓄勢の量を超えて第2のスプリング・シート290へ向かって圧縮される。したがって、スリーブ230が空洞235内を下方へとスライドして変位するとき、中央ロッド286が、上側アクチュエータ・ケーシング222の中央穴223に配置されたシール・アセンブリ296を通ってシールを保ちつつスライドして変位する一方で、第2のスプリング・シート290は、図4に示されている位置に固定されたままであることを、理解すべきである。
一方、第2の制御導入口229の圧力とスプリング293の組み合わさった力が、第1の制御導入口225の圧力よりも大きな力として制御アセンブリ214へ作用した場合、制御アセンブリ214が、図4に示されている開位置へ向かって上方に変位する。より具体的には、制御アセンブリ214のスリーブ230、ダイアフラム・プレート236a、236b、および保持プレート292、ならびに位置決め装置アセンブリ238の中央ロッド286および第1のスプリング・シート288が、図4に示されている位置へと変位する。ダイアフラム・サブアセンブリ233に作用する上向きの力の積算された値は、制御圧力として機能する第1の制御導入口225の圧力の値によって対抗され、下流の需要を満たすために必要な流れに応じて、スリーブ230を含む制御アセンブリ214を位置させる。加えて、例えばダイアフラム素材の破れによってダイアフラム234が不良となった場合には、位置決め装置アセンブリ238のスプリング293が第1のスプリング・シート288に力を加え、第1のスプリング・シート288が中央ロッド286および保持プレート292に力を加えて、制御アセンブリ214のスリーブ130を図4に示されている開位置へと押し戻す。
以上では、レギュレータ200を「故障時開」のレギュレータによって構成されているものとして説明したが、レギュレータ200の代替の実施形態による位置決め装置アセンブリ238を、「故障時閉」のレギュレータで構成することも可能である。例えば、そのような代替の実施形態においては、第1のスプリング・シート288をケース297に固定したものとすることができる。さらに、中央ロッド286、第2のスプリング・シート290、保持プレート292、およびスリーブ230のすべてを、剛に結合させるものとすることができる。また、第2のスプリング・シート290は、ケース297に螺合するのではなく、ケース297の内側で軸方向に自由に変位可能なものであってよい。
そのように構成されると、第1および第2のスプリング・シート288、290の間に配置されたスプリング293が、第2のスプリング・シート290を第1のスプリング・シート288から離れるように付勢し、それによって、中央ロッド286、保持プレート292、およびスリーブ230を、図4に示すレギュレータ200の向きに対して相対的に下方向に付勢する。さらに、アクチュエータ206に圧力が存在しない場合や、ダイアフラム234が不良の場合に、スプリング293が出口212への流体の流れを閉じるべくスリーブ230を押すように、スプリング293を、上述した蓄勢作業のいずれかに従って蓄勢させることができる。この「故障時閉」の構成の一実施形態においては、保持プレート292は、スリーブ230の下端230bの付近に固定されるであろう。したがって、中央ロッド286は、図4に示されている中央ロッド286に比べて、その大部分がスリーブ230内に位置するように直線的に移動させられるであろう。より具体的には、一実施形態においては、ねじロッド286の第1のねじ端286aを、第2のスプリング・シート290の中央穴290aに螺合させることができる。同様に、中央ロッド286の第1のねじ端286aを、保持プレート292の中央穴292aに螺合させることができる。
したがって、以上に照らして、本発明が「故障時開」または「故障時閉」の構成において動作することができる流体レギュレータを提供することに留意されたい。さらに具体的には、本発明は、従来のレギュレータ10の既存の部品の構造変更または再設計を必要とすることなく、図1に関して図示および説明したレギュレータなどの従来の「故障時閉」のレギュレータに適用できる制御アセンブリ114、214、314を提供する。さらに、本発明は、レギュレータ10、100、200のスリーブ130、230、330などの制御部材を、制御アセンブリ114、214、314が組み合わせられたアクチュエータ106、206、306および/またはバルブ・ボディ102、202、302の内部の所定の位置に付勢するように動作することができる位置決め装置アセンブリ138、238、338を提供する。かかる所定の位置として、本明細書において説明した「故障時開」または「故障時閉」の位置を挙げることができ、あるいは特定の用途のために所望されうる「故障時開」および「故障時閉」の位置の間に位置する他の任意の位置を挙げることができる。
最後に、本発明を圧力レギュレータとして説明したが、本発明を、制御弁、アクチュエータ、および想定可能な他の任意の装置など、他の流体プロセス制御装置へとうまく作用するように適用することができることに留意されたい。
以上に照らし、本明細書の説明は、あくまでも本発明の1例を説明したに過ぎないと理解すべきであり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲での変形は、本発明の技術的範囲に含まれるべきものである。
(関連出願)
本発明は、2006年9月29日付の米国特許仮出願第60/827,588号の優先権の利益を主張し、この米国特許仮出願の内容の全体が、ここでの言及によってあたかも本明細書に明示されたかのように援用される。
本発明は、広くは、流体制御装置に関し、さらに詳しくは、流体制御装置のための位置決め装置に関する。
流体制御装置には、制御バルブおよびレギュレータを含むさまざまなカテゴリの装置が含まれる。そのような制御装置は、そこを通過する流体の流れを制御するために、化学処理システム、天然ガス供給システムなどといった流体プロセス制御システムに組み込まれるように使用される。それぞれの制御装置が、流体の流路を決定し、流路の大きさを調節するための制御部材を有している。例えば、図1は、バルブ・ボディ12およびアクチュエータ14を有している公知のレギュレータ・アセンブリ10を示している。前記バルブ・ボディ12は、流路16を決定し、そしてスロート18を備えている。図1において、レギュレータ・アセンブリ10は、上向き流(flow-up)となるように構成されている。前記アクチュエータ14は、上側アクチュエータ・ケーシング20と、下側アクチュエータ・ケーシング22と、ダイアフラム32を備えたダイアフラム・サブアセンブリ30と、制御部材24とを備えている。
前記制御部材24は、上側および下側アクチュエータ・ケーシング20、22の内部に配置され、前記ダイアフラム・サブアセンブリ30をまたぐ圧力の変化に応答して双方向に変位するように構成されている。このように構成されることで、この制御部材24は、前記スロート18を通過する流体の流れを制御する。さらに、図示するとおり、前記レギュレータ・アセンブリ10は、バルブ・ボディ12のスロート18に配置された座リング26を備えている。このバルブ・ボディ12の出口圧力が高いとき、前記制御部材24のシール面28が、座リング26に密着して前記スロート18を閉じることができる。同様に、アクチュエータ14に圧力が存在しない場合や、ダイアフラム32が不具合の際には、前記上側アクチュエータ・ケーシング20の環状の空洞部36に配置されたコイルスプリング34が、前記制御部材24を閉鎖位置へと付勢する。このようなレギュレータは、「故障時閉(fail close)」のレギュレータとして一般に知られている。
「故障時閉」のレギュレータは、アクチュエータ14から圧力が失われるようなシステムの漏れや、ダイアフラム32の破れなどの不具合が生じたときに、制御部材24が、レギュレータ10を通過する流体の流れを自動的に閉じるように構成されている。かかる状況のもとでは、所望の最終位置への流体の搬送は、レギュレータが修理されるまで停止される。
不良状態のもとでも流体の搬送を終了させなくてよいように、一部の流体プロセスまたは搬送システムは、「故障時開(fail open)」のレギュレータを採用している。「故障時開」のレギュレータは、「故障時閉」のレギュレータと同様に動作するが、ダイアフラムの不良の場合に、スプリングが制御部材を閉じるのではなく、開くように付勢する。その結果、ダイアフラムまたは他の制御部品が故障の場合でも、流体が、中断されることなく、しかしながら非制御の状態で、レギュレータを通過して流れ続ける。したがって、このような構成では、多くの場合に、「故障時開」のレギュレータが故障したときに流体の流れを制御する監視レギュレータを備えている。
従来からのレギュレータは、通常は「故障時開」または「故障時閉」のいずれかとして構成される。「故障時開」のレギュレータを「故障時閉」のレギュレータとして動作するように構成し直し、あるいは「故障時閉」のレギュレータを「故障時開」のレギュレータとして動作するように構成し直すために、多くの場合、制御アセンブリおよびレギュレータ・ケーシングの構成を変更しなければならず、あるいは制御アセンブリおよびレギュレータ・ケーシングを、別の制御アセンブリおよびレギュレータ・ケーシングと交換しなければならない。そのようなレギュレータ・ケーシングの構成変更および/または交換は、高価で、時間がかかる可能性がある。
本開示の一実施形態は、レギュレータの流路を通過する流体の流れを調節するための制御アセンブリを提供するもので、かかる位置決め装置アセンブリが、制御部材、中央ロッド、第1のスプリング・シート、第2のスプリング・シート、およびスプリングを備えている。前記中央ロッドは、レギュレータのケーシングを貫いて配置されるように構成されている。前記第1のスプリング・シートは、中央ロッドを受け入れる穴を有しており、中央ロッドに対して固定されている。前記第2のスプリング・シートが、中央ロッドを受け入れる穴を有しており、レギュレータのケーシングおよび制御部材の一方に対して固定されている。前記スプリングは、第1および第2のスプリング・シートの間に配置され、制御部材をレギュレータのケーシングに対する所定の位置へと付勢する。
本開示の別の実施形態では、流路を定めているバルブ・ボディ、該バルブ・ボディへと接続されたアクチュエータ・ケーシング、制御部材、中央ロッド、第1および第2のスプリング・シート、およびスプリングを備えたレギュレータを有している。前記制御部材は、前記アクチュエータ・ケーシングの内部に配置され、流路を通過する流体の流れを調節するためにバルブ・ボディに対して変位するように構成されている。前記中央ロッドは、前記アクチュエータ・ケーシングを貫いて配置されている。前記第1のスプリング・シートは、前記中央ロッドに対して固定され、前記第2のスプリング・シートは、前記アクチュエータ・ケーシングおよび制御部材の一方に対して固定されている。前記スプリングは、前記第1のスプリング・シートおよび第2のスプリング・シートの間に配置され、前記制御部材をレギュレータのケーシングの内部の所定の位置へと付勢する。
本開示のさらに別の実施形態は、バルブ・ボディ、アクチュエータ・ケーシング、制御部材、および位置決め装置アセンブリを備えるレギュレータを提供するもので、前記バルブ・ボディは、流体のための流路を有しており、前記アクチュエータ・ケーシングは、前記バルブ・ボディへと接続されている。前記制御部材は、前記アクチュエータ・ケーシングの内部に配置され、流路を通過する流体の流れを調節するためにバルブ・ボディに対して変位するように構成されている。前記位置決め装置アセンブリは、中央ロッドおよび中央ロッドの周囲に配置されたスプリングを備えている。中央ロッドの少なくとも一部分が制御部材の内側に配置され、スプリングが制御部材をバルブ・ボディに対して所定の位置へと付勢する。
従来の「故障時閉」のレギュレータの側断面図である。
本発明の原理に従って構成された「故障時開」のレギュレータの一実施形態を示す側断面図である。
図2に従って構成された「故障時開」のレギュレータのための制御アセンブリの代替実施形態の側断面図である。
本発明の原理に従って構成された「故障時開」のレギュレータの第2の実施形態を示す側断面図である。
図2を参照すると、本発明の原理に従って構成された本制御装置の第1の実施形態は、圧力レギュレータ100を有している。かかる圧力レギュレータ100は、概略、バルブ・ボディ102、座リング104、およびアクチュエータ106を有している。前記バルブ・ボディ102は、入り口110と出口112との間に延設されておりさらに後述されるとおりアクチュエータ106の中へと延びている流路108を有している。前記アクチュエータ106は、図2に示されているような開位置と、閉位置(図示せず)との間で、可動可能な制御アセンブリ114を備えており、該閉位置において、制御アセンブリ114は、座リング104に接合している。
前記制御アセンブリ114の移動は、前記入り口110および出口112の流体の圧力の変動に応答して生じる。したがって、前記座リング104に対する前記制御アセンブリ114の位置は、本圧力レギュレータ100の流量を左右することになる。
前記バルブ・ボディ102は、入り口110および出口112の間のスロート116をさらに有している。このスロート116は、前記座リング104を収容するよう支持する段差部118を備えている。一形態においては、この座リング104とスロート116の段差部118との間に、流体をシールするために、Oリングを配置することが可能である。
前記アクチュエータ106は、前述のように、前記制御アセンブリ114を備えており、さらに上側アクチュエータ・ケーシング122、下側アクチュエータ・ケーシング124、および複数のピン126を備えている。前記上側および下側アクチュエータ・ケーシング122、124は、少なくとも1つのねじ山付きの固定具119および対応するナット121によって一体に固定されている。前記上側アクチュエータ・ケーシング122が、中央穴123、第1の制御導入口125(想像線で示されている)、および移動チャンバ127を定めている。かかる移動チャンバ127は、アクチュエータ106内の制御アセンブリ114の位置を示す移動表示器131を収容している。前記下側アクチュエータ・ケーシング124は、第2の制御導入口129を有している。
前記上側および下側アクチュエータ・ケーシング122、124が合わさって、中空ネック128を備える空洞135を形成している。前記中空ネック128は、前記バルブ・ボディ102のアクチュエータ開口115内に形成されている。図2に視認できるとおり、複数のピン126は、中空ネック128に固定された第1の端部126aと、該中空ネック128に対して遠方に位置する第2の端部126bとを有している。図示する形態においては、前記第1の端部126aが、前記中空ネック128に形成された穴にねじ込まれている。前記第2の端部126bは、座リング104に当接している。したがって、ピン126およびスロート116の段差部118が、バルブ・ボディ102において座リング104を挟み、該座リング104を軸方向において位置決めして、固定している。本レギュレータ100を、座リング104をバルブ・ボディ102に対して位置決めする複数のピン126を備えるものとして説明したが、このレギュレータ100の別の形態としては、座リング104を位置決めすべくスロート116に配置されるケージを含むような形態でもよい。かかる別の形態においては、座リング104を、バルブ・ボディ102にねじ込むことができ、接着することができ、あるいは他の方法で固定することができる。
さらに図2を参照すると、前記制御アセンブリ114は、中空スリーブ130などの制御部材、取り付けサブアセンブリ132、ダイアフラム・サブアセンブリ133、および位置決め装置アセンブリ138を備えている。このスリーブ130は、概ね筒状であって、概ね円柱形の内表面143および概ね円柱形の外表面147を有している。前記内表面143は、スリーブ130を貫く中央穴を定めている。さらに、スリーブ130は、上端130aおよび下端130bを備えている。上端130aは、空洞135内に配置され、下端130bは、下側アクチュエータ・ケーシング124の中空ネック128内に配置されている。スリーブ130の上端130aは開いており、外表面147に形成された外周フランジ140を備えている。さらに、スリーブ130の上部130aは、内表面143にねじ部141を備えている。スリーブ130の下端130bは開いており、取り付けサブアセンブリ132を収容している。
前記取り付けサブアセンブリ132は、取り付け部材142、ディスク・リテーナ144、ディスク・ホルダ146、およびシール・ディスク148を備えている。ここに開示されている形態においては、取り付け部材142は、スリーブ130の開いた下端130bにねじ込まれる概ね円柱形の本体を備えており、この本体に貫通穴150が形成されている。前記貫通穴150の軸は、スリーブ130の軸に概ね整列している。前記ディスク・リテーナ144は、一対の固定具152によって取り付け部材142に固定される概ね円柱形の本体を備えている。図示されている形態においては、前記固定具152は、ねじ山付きの固定具を有している。取り付け部材142と同様に、ディスク・リテーナ144も、貫通穴154を形成している。このディスク・リテーナ144の貫通穴154は、取り付け部材142の貫通穴150の直径と実質的に同一の直径を有しており、その軸は、取り付け部材142の貫通穴150の軸に整列している。
図示するとおり、前記ディスク・リテーナ144が、前記ディスク・ホルダ146およびシール・ディスク148をリテーナ・アセンブリ132の取り付け部材142に固定している。前記ディスク・ホルダ146は、鋼などの剛な材料で構成された概ねリング状のプレートからなる。前記シール・ディスク148は、弾性材料で製作されていて、前記ディスク・ホルダ146に取り付けられる概ねリング状のディスクからなる。一形態においては、前記シール・ディスク148が、接着剤でディスク・ホルダ146に取り付けられる。ここに開示した形態によれば、前記ディスク・リテーナ144の構成が、制御アセンブリ114が閉位置にあってシール・ディスク148を座リング104へと押し付けているときの該シール・ディスク148の、半径方向の変形を制限する。
ここで、図2に示すレギュレータ100の上部を参照すると、ダイアフラム・サブアセンブリ133は、ダイアフラム134、上側ダイアフラム・プレート136a、および下側ダイアフラム・プレート136bを有している。前記上側および下側ダイアフラム・プレート136a、136bは、前記スリーブ130の外周フランジ140に締め付けられている。前記ダイアフラム・プレート136a、136bが、固定具156によって一体に固定されることで、スリーブ130およびダイアフラム・プレート136a、136bが、一体に固定される。さらに、前記ダイアフラム・プレート136a、136bは、前記ダイアフラム134の半径方向内側の部分を挟んでいる。ダイアフラム134の半径方向外側の部分は、前記上側および下側アクチュエータ・ケーシング122、124の間に固定されている。
この位置決め装置アセンブリ138は、前記スリーブ130を図2に示す開位置へと付勢すべく、主にスリーブ130の内側に配置されている。かかる位置決め装置アセンブリ138は、概略、中央ロッド186、第1のスプリング・シート188、第2のスプリング・シート190、スプリング193、および保持プレート192を具備している。前記中央ロッド186は、第1のねじ端186aおよび第2のねじ端186bを備えている。前記第1のねじ端186aが、前記上側アクチュエータ・ケーシング122の中央穴123を貫いて延びている。外ナット194が、前記第1のねじ端186aにねじ込まれ、図2に示したアクチュエータ100の向きに関して、下方向の中央ロッド186の軸方向への変位を制限している。中間ナット196が、前記外ナット194よりもさらに中央ロッド186の第1のねじ端186aへ向けてねじ込まれ、図2に示したアクチュエータ100の向きに関して上方向の中央ロッド186の軸方向の変位を制限している。したがって、前記中央ロッド186の第1のねじ端186aが、上側アクチュエータ・ケーシング122に対する軸方向の変位に関して効果的に固定されて、第2のねじ端186bが、アクチュエータ106の中へと延びている。
このように、図示する如く、前記中央ロッド186の第2のねじ端186bは、前記スリーブ130の内部へと延び、該スリーブ130の第2の端部130bの付近に位置する。1組の保持ナット198a、198bが、前記中央ロッド186の第2のねじ端186bにねじ込まれている。前記保持ナット198a、198bが、第1のスプリング・シート188、スプリング193、および第2のスプリング・シート190を中央ロッド186上に支持している。前記第1のスプリング・シート188は、さらに詳しく後述されるように、前記スリーブ130内にスライド可能に配置されている。より具体的には、この第1のスプリング・シート188は、前記保持ナット198a、198bに当接した概ね円柱形の板を備えている。したがって、前記スプリング193が、第2のスプリング・シート190を保持プレート192に対して固定し、そして、前記スリーブ130に相対的に固定する。さらに、前記第1のスプリング・シート188は、前記中央ロッド186に対して固定され、前記中央穴188aおよび複数の開口188bを有する。前記中央穴188aが、前記保持ナット198a、198bの直近の中央ロッド186の第2の端部186bを受容している。
前記複数の開口188bは、取り付けサブアセンブリ132の貫通穴150、154、したがって流路108に、流体的に連通している。
同様に、前記第2のスプリング・シート190も、前記中央穴190aおよび前記複数の開口190bを有する概ね円柱形の板で構成されている。該第2のスプリング・シート190の中央穴190aは、前記第1のねじ端186aの付近で中央ロッド186を受容している。前記複数の開口190bは、第1のスプリング・シート188の複数の開口188b、したがって流路108に、流体的に連通している。したがって、図示のとおり、前記スプリング193は、第1のスプリング・シート188と第2のスプリング・シート190との間に軸方向に配置され、第1のスプリング・シート188および第2のスプリング・シート190に当接している。かかる第1のスプリング・シート188は、中央ロッド186に対して下方向に変位することがないように保持ナット198によって固定され、スプリング193を支持する。その結果、このスプリング193が、第2のスプリング・シート190を支持している。
さらに、前記保持プレート192が、中央穴192、複数の開口192b、およびねじ部195を有している、概ね円柱形の板で構成されている。この保持プレート192のねじ部195が、前記スリーブ130の内表面143のねじ部141との螺合によって、固定される。したがって、この保持プレート192およびスリーブ130は、単一の構造として機能する。
組み立ての際、上側アクチュエータ・ケーシング122は下側アクチュエータ・ケーシング124から取り外され、スリーブ130はダイアフラム・プレート136a、136bの間から取り除かれた状態で、前記保持プレート192が、前記スリーブ130のねじ部141にねじ込まれる。続いて、中間ナット196が、中央ロッド186の第1のねじ端186aにねじ込まれる。次いで、中央ロッド186の第2のねじ端186bが、保持プレート192の中央穴192aを貫いて配置される。次に、中央ロッド186をこの位置に置いた状態で、第2のスプリング・シート190、スプリング193、および第1のスプリング・シート188が、この順序で、スリーブ130の下部130bの開口を介して中央ロッド186へと滑り込ませる。次いで、図示のとおり、保持ナット198a、198bが中央ロッド186の第2のねじ端186bにねじ込まれる。
この時点で、技術者または技師は、保持プレート192に隣接して位置する中間ナット196または第1のスプリング・シート188に隣接して位置する保持ナット198a、198bを締め込むことによって、位置決め装置アセンブリ138を蓄勢することができる。例えば、中間ナット196を締め込むことによって、中央ロッド186が第2のスプリング・シート190および保持プレート192を通って引き込まれる。これにより、保持ナット198a、198bが第1のスプリング・シート188に軸方向の力を加え、第1のスプリング・シート188を第2のスプリング・シート190に向かって変位させる。中間ナット196をさらに締め込むことで、前記スプリング193が、第1および第2のスプリング・シート188、190の間で圧縮される。
あるいは、前記第1のスプリング・シート188に隣接して位置する保持ナット198a、198bを締め込むことで、第1のスプリング・シート188が第2のスプリング・シート190に向かって押されて、スプリング193を圧縮する。なお、図示する実施形態において、保持ナット198a、198bは、第1のスプリング・シート188に直接隣接して位置する第1の保持ナット198aと、第1のスプリング・シート188の反対側で第1の保持ナット198aに直接隣接して位置する第2の保持ナット198bを備えている。したがって、上述の蓄勢(蓄圧)作業において、技術者または技師は、第1のスプリング・シート188を変位させてスプリング193を圧縮するために、最初に第1の保持ナット198aを締め込む。続いて、技術者または技師が、第2の保持ナット198bを締め込んで第1の保持ナット198aに当接させることで、第1の保持ナット198aが中央ロッド186上で動かぬように効果的に固定される。
さらに、本明細書に開示の位置決め装置アセンブリ138の一実施形態において、上述の蓄勢作業のいずれかを実行する技術者または技師が、スプリング193を所定の量だけ蓄勢すべく、中間ナット196または保持ナット198a、198bを中央ロッド186上の所定の位置まで締め込むことができるよう、中央ロッド186が、ねじ部186a、186bの少なくとも一方の長さに沿ったマーキングを備えていてもよいことに、留意されたい。
位置決め装置アセンブリ138を適切に蓄勢した状態で、スリーブ130の外周フランジ40が、ダイアフラム・プレート136a、136bと組み合わせられ、スリーブ130の下部130bが、下側アクチュエータ・ケーシング124のネック128の中へと配置される。次いで、上側アクチュエータ・ケーシング122が、中央ロッド186の第1のねじ端186aが中央穴123を貫いて位置するように、下側アクチュエータ・ケーシング124へと配置される。次いで、技術者または技師は、ねじ固定具119によって上側アクチュエータ・ケーシング122を下側アクチュエータ・ケーシング124と固定することができる。最後に、技術者または技師は、外ナット194を中央ロッド186の第1のねじ端186aに締め込む。このように外ナット194を締め込むことによって、中央ロッド186が引っ張られ、したがって中間ナット196および第1のスプリング・シート188が、図2に示したレギュレータ100の向きに関して上方へと引き寄せられる。外ナット194および中間ナット196が、図示のとおりに上側アクチュエータ・ケーシング122を挟み込む。このように構成されることで、外ナット194および中間ナット196が、上側アクチュエータ・ケーシング122に対して軸方向に変位することがないように中央ロッド186を固定する。さらに、保持ナット198a、198bが、図2に図示するように、レギュレータ100の向きに関して、軸方向下向きに変位することがないように第1のスプリング・シート188を固定する。
一般に、レギュレータ・アセンブリ100が、流体プロセス制御または流体搬送システム内に設置されるとき、制御アセンブリ114は、バルブ・ボディ102の入り口110および出口112の圧力に基づいて、アクチュエータ106の空洞135および中空ネック128の内部で往復移動することができる。具体的には、流体が、入り口110からスロート116を通過して流れる。ひとたび流体が前記スロート116を通過すると、流体の大部分が出口112へと流れる一方で、残りの部分は、取り付け部材142およびディスク・リテーナ144のそれぞれの貫通穴150、154を通って流れる。流体の前記残りの部分は、第1および第2のスプリング・シート188、190ならびに保持プレート192のそれぞれの開口188b、190b、192bを介し、スリーブ130を通って流れ続け、制御アセンブリ114を平衡させる。ここに開示した実施形態においては、第2のスプリング・シート190の開口190bが、保持プレート192の開口192bに実質的に整列している。これにより、レギュレータ100を通過して移動する加圧流体が、妨げられることなく開口190b、192bを通過して、制御アセンブリ114を平衡させることができる。一実施形態においては、第2のスプリング・シート190および保持プレート192の一方が、軸方向を向いた表面にくぼみを備えることができる。第2のスプリング・シート190および保持プレート192の他方が、くぼみを収容するための凹所を備えることができる。かかる凹所は、図示のとおり、開口190b、192bの間の流体的連通が可能になるように第2のスプリング・シート190および保持プレート192が適切に整列されている場合に限り、前記くぼみを収容することができる。あるいは、別の実施形態においては、第2のスプリング・シート190および保持プレート192が、特定の整列の必要を軽減すべく、単一の一体型部材から構成されてもよい。さらにまた、別の実施形態においては、開口190bおよび192bが、スプリング・シート190および保持プレート192を巡って少なくとも部分的に周状に延びる細長い開口で構成されていてもよい。そのように構成されることで、第2のスプリング・シート190および保持プレート192を複数の相対位置に配置でき、依然として開口190b、192bの間に必要な流体的連通をもたらすことができる。
流体のうち、バルブ・ボディ102を通って出口112へ流れる部分は、流体プロセス制御または流体搬送システムへと還流する。具体的には、一形態において、出口112の流体の圧力が、別の流体配管(図示せず)に取り出され、下側アクチュエータ・ケーシング124の第2の制御導入口129に導かれる。したがって、最終的に下側のダイアフラム・プレート136bに加えられる第2の制御導入口129の圧力が、バルブ・ボディ102の出口112の圧力に等しくなる。さらに、一形態においては、入り口110の圧力が、パイロット弁(図示せず)への別の流体配管へ取り出され、上側アクチュエータ・ケーシング122の第1の制御導入口125へと導かれる。
したがって、第1の制御導入口125の圧力が、第2の制御導入口129の圧力と位置決め装置アセンブリ138(さらに詳しくは、位置決め装置アセンブリ138のスプリング193)との組み合わせによってもたらされる力よりも大きな力を、上側のダイアフラム・プレート136aに加える場合、ダイアフラム・プレート136a、136bおよび制御スリーブ130は、スプリング138の付勢力に抗して下方に変位する。より具体的には、ダイアフラム・プレート136a、136bおよびスリーブ130、ならびに位置決め装置アセンブリ138の保持プレート192および第2のスプリング・シート190が、下方へ変位する。この下方への変位によって、スプリング193が、第1のスプリング・シート188に向かって圧縮される。したがって、スリーブ130が下方へとスライドして変位するとき、中央ロッド186および第1のスプリング・シート188が、図2に示されている位置のままである一方で、スリーブ130、保持プレート192、および第2のスプリング・シート190が、下方へ変位することに留意されたい。
一方、第2の制御導入口129の圧力とスプリング193との組み合わせが、第1の制御導入口125の圧力よりも大きな力を制御アセンブリ114に加える場合、制御アセンブリ114が、図2に示されている開位置に向かって上方に変位する。ダイアフラムに作用する上向きの力の合計が、制御圧力として機能する第1の制御導入口125の圧力によって対抗され、スリーブ130を含む制御アセンブリ114を、下流の需要を満たすために必要な流れに応じて位置させる。さらに、例えばダイアフラム素材が破れることによって該ダイアフラム134が不良となった場合には、スプリング193が第2のスプリング・シート190へ力を加え、制御アセンブリ114を図2に示されている開位置へと押し戻す。
以上の説明では、レギュレータ100を「故障時開」のレギュレータからなるものとして説明したが、レギュレータ100の代替の実施形態による位置決め装置アセンブリ138を、「故障時閉」のレギュレータとなるように構成することも可能である。例えば、そのような代替な実施形態においては、第1のスプリング・シート188をスリーブ130の内表面143へ固定でき、第2のスプリング・シート190を、昇降ロッド186へ取り付けることができる。このように構成された場合、第1および第2のスプリング・シート188、190の間に配置されたスプリング193が、第1のスプリング・シート188を、第2のスプリング・シート190から離れさせられるように付勢し、スリーブ130を図2に示したレギュレータ100の向きに関して下方向に付勢する。さらに、アクチュエータ106に圧力が存在しない場合や、ダイアフラム134が不良の際に、スプリング193が出口112への流体の流れを閉じるべくスリーブ130を押すように、スプリング193を、上述した蓄勢作業のいずれかに従って蓄勢することができる。
図2に示した制御アセンブリ114は、上述した2つの蓄勢作業のいずれかに従って蓄勢することが可能であるが、制御アセンブリの代替実施形態は、アセンブリの蓄勢状態を定めるために、段部を例えば中央ロッド186の両端に配置して備えることができる。中央ロッド186に形成される段部の具体的位置を、所望の用途に必要とされる所定の量の蓄勢に基づいて、あらかじめ定めることができる。
図3が、そのような1つの代替の制御アセンブリ314を示している。図2に開示した制御アセンブリ114と同様に、制御アセンブリ314は、中空スリーブ330などの制御部材、取り付けサブアセンブリ332、ダイアフラム・サブアセンブリ333(一部分のみが図示されているが、図2に開示したダイアフラム・サブアセンブリ133と概ね同一である)、および位置決め装置アセンブリ338を備えている。前記スリーブ330は、概ね筒状であって、概ね円柱形の内表面343および概ね円柱形の外表面347を有している。前記内表面343が、スリーブ330を貫く中央穴を定めている。さらに、スリーブ330は、上端330aおよび下端330bを備えている。スリーブ330は、アクチュエータ306の内部にスライド可能に配置されるが、アクチュエータ306は、上側および下側アクチュエータ・ケーシング322、324(一部分のみが示されている)を備えており、図2に開示したアクチュエータ106と概ね同一である。スリーブ330の上端330aは開いており、外表面347に形成された外周フランジ340を備えている。さらに、スリーブ330の上部330aは、内表面343のねじ部341を備えている。スリーブ330の下端330bは開いており、取り付けサブアセンブリ332を収容している。取り付けサブアセンブリ332の詳細は、図2に開示した取り付けサブアセンブリ132と同一であるため、再度の説明は省略する。
上述した位置決め装置アセンブリ138と同様に、位置決め装置アセンブリ338は、主としてスリーブ330の内部に配置され、スリーブ330をアクチュエータ・ケーシング322、324に対して上方に付勢する。位置決め装置アセンブリ338は、大まかには、中央ロッド386、第1のスプリング・シート388、第2のスプリング・シート390、およびスプリング393を備えている。中央ロッド386は、第1のねじ端386a、第2のねじ端386b、ならびに第1および第2のねじ端386a、386bの間に配置された大径部386cを備えている。大径部386cが、第1のねじ端386aに隣接する上側段部396および第2のねじ端386bに隣接する下側段部399を定めている。第1のねじ端386aが、上側アクチュエータ・ケーシング322の中央穴323を貫いて延びている。外ナット394が、第1のねじ端386aへとねじ込まれて上側アクチュエータ・ケーシング322に当接し、図3に示したアクチュエータ306の向きに関して下方向の中央ロッド386の軸方向の変位を制限している。中央ロッド386の上側段部396が、外ナット394の反対側において上側アクチュエータ・ケーシング322に当接し、図3に示したアクチュエータ306の向きに関して上方向の中央ロッド386の軸方向の変位を制限している。ここに開示した実施形態においては、上側段部396が、上側アクチュエータ・ケーシング322と協働して流体を漏らさないシールをもたらし、流体が中央穴323から漏れ出すことがないようにするOリング397を収容している。したがって、中央ロッド386の第1のねじ端386aが、上側アクチュエータ・ケーシング322に効果的に固定され、第2のねじ端386bが、アクチュエータ306内へ延びている。
図示のとおり、中央ロッド386の第2のねじ端386bは、スリーブ330内部へ延び、スリーブ330の第2の端部330bの付近に配置されている。保持ナット398が、中央ロッド386の第2のねじ端386bへとねじ込まれている。第1のスプリング・シート388が、スリーブ330の内側にスライド可能に配置されている。より具体的には、第1のスプリング・シート388は、中央穴388aと、複数の開口388bと、段差部388cと、案内リング389を収容する環状の凹所388dとを備えた概ね円柱形の板を有している。中央穴388aが、中央ロッド386の第2のねじ端386bを受け入れ、保持ナット398が、第1のスプリング・シート388を中央ロッド386の下側段部399に対して固定している。複数の開口188bは、図2に開示の第1のスプリング・シート188に関して上述したように、レギュレータを通過する流路に、流体的連通している。
第2のスプリング・シート390は、中央穴390a、複数の開口390b、段差部388c、およびねじ部388dを備えた概ね円柱形の板を有している。第2のスプリング・シート390の中央穴390aは、中央ロッド386の第1のねじ端386aの付近の大径部286cを受け入れている。前記ねじ部388dが、スリーブ330のねじ部341に螺合し、第2のスプリング・シート390をスリーブ330に固定している。複数の開口390bは、第1のスプリング・シート388の複数の開口388b、したがってレギュレータを貫く流路に、流体的に連通している。
したがって、図示のとおり、前記スプリング393は、第1のスプリング・シート388と第2のスプリング・シート390との間に、軸方向に配置され、該第1のスプリング・シート388および第2のスプリング・シート390に当接している。より具体的には、ここに開示した実施形態においては、前記スプリング393が、第1および第2のスプリング・シート388、390の段差部388c、390cの間に支持され、これが、このスプリング393を他の部品に対して整列した状態に保つうえで役立っている。
組み立ての際、上側アクチュエータ・ケーシング322が下側アクチュエータ・ケーシング324から外され、スリーブ330がアクチュエータ306から外された状態で、技術者が、第2のスプリング・シート390をスリーブ330の上端330aのねじ部341に螺合させる。一実施形態においては、2つの部品を螺合させる前に、ロックタイト(Loctite)などの接着剤242を、スリーブのねじ部341および/または第2のスプリング・シート390のねじ部388dに塗布することができる。次に、Oリング397に潤滑が施され、図3に示されているように中央ロッド386の段部396に配置される。次いで、中央ロッド386が、大径部386cが図示のとおりスリーブ300の内側に位置するように、上側のスプリング・シート390の中央穴390aを貫いて配置される。次いで、前記スプリング393が、スリーブ330の下端330bを通って挿入され、第2のスプリング・シート390の段差部390cの周囲に配置される。前記スプリング393をこの位置に位置させた状態で、第1のスプリング・シート388が、中央ロッド386の第2のねじ端386bへと挿入される。しかしながら、技術者は、第1のスプリング・シート388を配置する前に、第1のスプリング・シート388の環状の凹所388dに案内リング389を配置しなければならないかもしれない。いずれにせよ、第1のスプリング・シート388を中央ロッド386の第2のねじ端386bに位置させた状態で、保持ナット398が第2のねじ端386bへとねじ込まれ、図示のとおり、第1のスプリング・シート388の段差部388cが中央ロッド386の下部の段部399に当接してスプリング393を受け入れるように、第1のスプリング・シート388に向かって締め付けられる。一実施形態においては、スプリング・シート388が段部399に当接するまでに、スプリング393が約1インチ(1”)ほど圧縮され、すなわち蓄勢される。このように組み立てられた位置決め装置アセンブリ338が、取り外されている上側アクチュエータ・ケーシング322に、中央ロッド386の第1のねじ端386aが中央穴323を貫いて位置するように挿入される。このように構成された状態で、外ナット394が第1のねじ端386aにねじ込まれることで、中央ロッド386が上側アクチュエータ・ケーシング322に固定される。最後に、制御アセンブリ314が、下側アクチュエータ・ケーシング324に挿入され、上側アクチュエータ・ケーシング322が、ボルトまたは他の何らかの従来の手段によって下側アクチュエータ・ケーシング324に取り付けられる。
なお、図3に開示した制御アセンブリ314は、図2を参照して開示した制御アセンブリ114と実質的に同様に動作することが好ましい。したがって、そのような動作の詳細について、繰り返しの説明は省略する。
図3に開示した制御アセンブリ314は、単一の中央ロッド386を有しているが、本発明に従って構成される制御アセンブリ314の代替の実施形態としては、それぞれが段部396、399を異なる位置に配置した複数の中央ロッド386を備えることができ、技術者または技師が、スプリング393 を特定の用途に合わせて特定の量だけ蓄勢するために適切な中央ロッド386を、あらかじめ選択することができる。
図4は、本発明の原理に従って構成されたレギュレータ200の代替の実施形態を示している。図4に示されているレギュレータ200は、該レギュレータ200が概ねバルブ・ボディ202およびアクチュエータ206から構成されている点で、図2を参照して上述したレギュレータ100に実質的に類似している。バルブ・ボディ202が、入り口210と出口212との間を延び、さらにアクチュエータ206の中へと延びている流路208を有している。アクチュエータ206は、図4に示されているような開位置と閉位置(図示せず)との間で可動な制御アセンブリ214を備えている。この制御アセンブリ214の移動が、バルブ・ボディ202の入り口210および出口212の流体の圧力の変動に応答して生じる。したがって、座リング204に対する制御アセンブリ214の位置が、圧力レギュレータ200の流量を左右する。バルブ・ボディ202およびアクチュエータ206は、概ね、図2に関して上述したバルブ・ボディ102およびアクチュエータ106と同一であり、したがって相違点のみを詳しく説明する。
例えば、制御アセンブリ214は、スリーブ230、取り付けサブアセンブリ232、ダイアフラム・サブアセンブリ233、および位置決め装置アセンブリ238を備えている。前記スリーブ230、取り付けサブアセンブリ232、およびダイアフラム・サブアセンブリ233は、上述したものと同一である。しかしながら、位置決め装置アセンブリ238は、上述した位置決め装置アセンブリ138とは異なっている。
図4に示されている位置決め装置アセンブリ238は、大部分がスリーブ230およびアクチュエータ206の外側に配置され、上側アクチュエータ・ケーシング222に隣接して配置されている。位置決め装置アセンブリ238は、大まかには、中央ロッド286、第1のスプリング・シート288、第2のスプリング・シート290、スプリング293、保持プレート292、シール・アセンブリ296、およびケース297を備えている。
第2のスプリング・シート290は、中央穴290a、円筒形のフランジ部291、および雄ねじ部293を具備した概ね円柱形の板から構成されている。第1のスプリング・シート288は、中央穴288aおよび円筒形のフランジ部289を具備した概ね円柱形の板から構成されている。図示されている形態においては、スプリング293は、中央ロッド286の周囲に同芯状に配置され、かつ第1および第2のスプリング・シート288、290の間に軸方向に配置される、コイルスプリングの形態のもので構成されている。前記第1および第2のスプリング・シート288、290のそれぞれの円筒形のフランジ部289、291が、このスプリング293をスプリング・シート288、290の間に保持している。
前記第2のスプリング・シート290は、中央穴290aの軸が上側アクチュエータ・ケーシング222の穴223の軸に概ね整列するように、該上側アクチュエータ・ケーシング222の外表面に当接するように、該上側アクチュエータ・ケーシング222に固定されている。前記スプリング293は、第2のスプリング・シート290上に軸方向に配置されている。前記第1のスプリング・シート288が、前記第2のスプリング・シート290の反対側で前記スプリング293上に、軸方向に配置されている。第1の保持ナット294が、第1のスプリング・シート288に隣接して中央ロッド286の第1のねじ端286aにねじ込まれている。第1の保持ナット294が、前記スプリング293、第1のスプリング・シート288、および第2のスプリング・シート290の相対的な軸方向の配置を保持している。このように構成されて、第1のスプリング・シート288が、中央ロッド286に対して固定される。ケース297が、雌ねじ部297aを有する概ね細長い筒状の構造を備えている。このケース297のねじ部297aが、第2のスプリング・シート290のねじ部293に螺合している。
図2に示すレギュレータ100に関して上述した、保持プレートの場合と同様に、この保持プレート292は、中央穴292a、複数の開口292b、および雄ねじ部295を備えた概ね円柱形の板から構成されている。前記ねじ部295が、スリーブ230の内表面243のねじ部241に螺合し、保持プレート292をスリーブ230に固定する。前記開口292bは、取り付けサブアセンブリ232の貫通穴250、254であり、したがって流路208に、流体的に連通している。中央穴292aが、中央ロッド286の第2のねじ端286bを受け入れる。第2の保持ナット298が、保持プレート292に隣接して中央ロッド286の第2のねじ端286bに螺合する。したがって、第2の保持ナット298が、図4に示したレギュレータ200の向きに、保持プレート292を、中央ロッド286に対して下方向に変位することがないように固定する。
前記シール・アセンブリ296が、上側アクチュエータ・ケーシング222の中央穴223内に配置されている。このシール・アセンブリ296は、中央ロッド286と上側アクチュエータ・ケーシング222との間で流体を漏らさないようなシール作用をもたらす。図4に示す実施形態においては、前記シール・アセンブリは、ブシュ296a、1体のグロメット296b、およびOリング296cを備えている。前記ブシュ296aは、中央穴223に取り付けられ、グロメット296bおよびOリング296cを位置決めする。このグロメット296bは、前記中央ロッド286が上側アクチュエータ・ケーシング222に対して双方向に変位しても、スリーブ230内の圧力が漏れないように、摺動シールを提供している。Oリング296cは、ブシュ296a、上側アクチュエータ・ケーシング222、および第2のスプリング・シート290の間に配置されている。このOリング296cは、ブシュ296aと上側アクチュエータ・ケーシング222との間で流体を漏らさないように、シールを形成する。一実施形態においては、前記ブシュ296aが、半剛体または剛体ポリマーで構成される一方において、前記グロメット296bおよびOリング296cは、エラストマーまたはゴムなどの弾性材料で構成されている。なお、図4に示す前記上側アクチュエータ・ケーシング222の中央穴223は、図2に示すレギュレータ100の上側アクチュエータ・ケーシング122の中央穴123の直径よりもわずかに大きいが、このような図示はあくまでも略図であり、代替の実施形態が、同じ直径の中央穴を備えていてもよい。例えば、一実施形態においては、図4の中央ロッド286の直径を小さくすることで、中央ロッド286およびシール・アセンブリ296の両者を収容できる、より小さな中央穴223を可能にする。
組み立ての際、前記上側アクチュエータ・ケーシング222は下側アクチュエータ・ケーシング224から取り外され、前記スリーブ230はダイアフラム・プレート236a、236bの間から取り外された状態で、前記保持プレート292が、スリーブ230のねじ部241にねじ込まれる。続いて、第2の保持ナット298が、中央ロッド286の第2のねじ端286bにねじ込まれる。次いで、中央ロッド286の第1のねじ端286aが、スリーブ230の下端230bを介して保持プレート292の中央穴292aを貫いて配置される。次に、前記シール・アセンブリ296が、上側アクチュエータ・ケーシング222の中央穴223に固定される。次いで、前記中央ロッド286の第1のねじ端286aは、図4に示されているように、前記保持プレート292が上側アクチュエータ・ケーシング222に当接するように、シール・アセンブリ296を貫いて配置される。前記中央ロッド286を上側アクチュエータ・ケーシング222に対して配置した状態で、第2のスプリング・シート290、スプリング293、および第1のスプリング・シート288は、この順にしたがって中央ロッド286の第1のねじ端286aに滑り込まされる。次いで、前記第1の保持ナット294が、中央ロッド286の第1のねじ端286aにねじ込まれ、スプリング・シート288、290およびスプリング293を中央ロッド286上に固定する。次いで、スリーブ230をダイアフラム・プレート236a、236bの間に固定し、上側アクチュエータ・ケーシング222を下側アクチュエータ・ケーシング224に固定することができる。
この時点で、技術者または技師は、前記中央ロッド286の第1のねじ端286aの第1のスプリング・シート288に隣接して位置している保持ナット294を締め込むことによって、前記位置決め装置アセンブリ238を蓄勢することができる。例えば、保持ナット294を締め込むことによって、第1のスプリング・シート288が、図4に示したレギュレータ200の向きに、下方向に押される。これにより、第1のスプリング・シート288が、スプリング293を第2のスプリング・シート290に向かって圧縮し、制御アセンブリ214を蓄勢する。
あるいは、スリーブ230をダイアフラム・プレート236a、236bの間に固定する前に、技術者または技師は、スリーブ230内部で保持プレート292に隣接して位置している第2の保持ナット298を締め込むことによって、前記スプリング293を付勢してもよい。しかしながら、そのようにするためには、前記スリーブ230の下端230bからスリーブ230の上端230aまで到達および/または延伸できる細長いソケットなどの工具が必要になると考えられる。いずれにせよ、位置決め装置アセンブリ238の上述した蓄勢作業のいずれかにおいて、スプリング293を所定の量だけ圧縮することで、スリーブ230を図4に示されている開位置へ付勢すべく保持プレート292に作用する所定の量の蓄勢がもたらされる。
さらに、位置決め装置アセンブリ238の一実施形態において、蓄勢作業を実行する技術者または技師が、適切な保持ナット294、298を前記中央ロッド286上の所定の位置まで締め込むことができるよう、前記第1および第2のねじ端286a、286bの一方または両方への長手方向に沿ったマーキングを備えてもよいことに留意されたい。別の実施形態においては、中央ロッド286の第1および/または第2のねじ端286a、286bは、ねじ端286a、286bのねじ山が終了する段部を備えていてもよい。中央ロッド286に形成される段部の具体的位置を、レギュレータ200の所望の用途に必要とされる所定の量の蓄勢に基づいて、あらかじめ定めることができる。したがって、蓄勢作業の際に、技術者または技師は、保持ナット294、298のいずれかまたは両方を、該当する段部に当接するまで締め込むことができる。レギュレータ200および/または位置決め装置アセンブリ238の一実施形態として、技術者または技師が、特定の用途に合わせて特定の量だけ蓄勢するように特定的に位置した段部を有している適切な中央ロッド286をあらかじめ選択できるよう、前記スプリング293が、複数の中央ロッド286を備えていてもよい。
図4に示した実施形態にかかる位置決め装置アセンブリ238を、適切に蓄勢した状態で、ケース297のねじ部297aが、第2のスプリング・シート290のねじ部293に螺合させられる。その結果、このケース297は、スプリング・シート288、290、中央ロッド286、スプリング293、およびシール・アセンブリ296を、汚れ、ほこり、破片、水分、または他の任意の物質を集めることがないように、保護するとともに、生じうる衝突によって引き起こされる損傷から保護する。
一般に、前記レギュレータ・アセンブリ200が流体プロセス制御または流体搬送システムに設置されるとき、前記制御アセンブリ214は、バルブ・ボディ202の入り口210および出口212の圧力に応じて、アクチュエータ206の空洞235および中空ネック228の内部で往復移動することができる。具体的には、流体が、前記バルブ・ボディ202の入り口210からスロート216を通過して流れる。ひとたび流体がスロート216を通過すると、流体の大部分は前記出口212へと流れる一方で、残りの部分は、図2に示したレギュレータ100に関して上述した様相と同様の様相で、スリーブ230へ流れる。流体のこの部分が、前記スリーブ230を通り、前記保持プレート292の開口292bを通って流れて、制御アセンブリ214を平衡させる。したがって、圧力が、アクチュエータ206の空洞235へと曝露されているシール・アセンブリ296の部位に作用することに、留意されたい。しかしながら、上述のように、ブシュ296aは、前記グロメット296bおよびOリング296cとの組み合わさって、中央穴223と中央ロッド286との間で生じうる圧力のロスを防止している。
流体のうち、前記バルブ・ボディ202を通って出口212へと流れる流体は、流体プロセス制御システムに流れて戻る。具体的には、一形態において、前記出口212の流体の圧力が、別の流体配管(図示せず)へ取り出され、下側アクチュエータ・ケーシング224の第2の制御導入口229へと導かれる。したがって、最終的に下側のダイアフラム・プレート236bへ加えられる第2の制御導入口229の圧力は、バルブ・ボディ202の出口212の圧力に等しい。さらに、一形態においては、入り口210の圧力が、パイロット弁(図示せず)の別の流体配管へ取り出され、上側アクチュエータ・ケーシング222の第1の制御導入口225へとさらに導かれる。
したがって、第1の制御導入口225の圧力が、第2の制御導入口229の圧力と位置決め装置アセンブリ238(さらに詳しくは、位置決め装置アセンブリ238のスプリング293)と組み合わさってもたらされる力よりも大きな力を、上側のダイアフラム・プレート236aへ加える場合、ダイアフラム・プレート236a、236bおよびスリーブ230が、スプリング238の付勢に抗して下方へと変位する。より具体的には、ダイアフラム・プレート236a、236bおよびスリーブ230、ならびに位置決め装置アセンブリ238の保持プレート292、中央ロッド286、および第1のスプリング・シート288が、下方へと変位する。この下方への変位によって、スプリング293が、蓄勢の量を超えて第2のスプリング・シート290へ向かって圧縮される。したがって、スリーブ230が空洞235内を下方へとスライドして変位するとき、中央ロッド286が、上側アクチュエータ・ケーシング222の中央穴223に配置されたシール・アセンブリ296を通ってシールを保ちつつスライドして変位する一方で、第2のスプリング・シート290は、図4に示されている位置に固定されたままであることを、理解すべきである。
一方、第2の制御導入口229の圧力とスプリング293の組み合わさった力が、第1の制御導入口225の圧力よりも大きな力として制御アセンブリ214へ作用した場合、制御アセンブリ214が、図4に示されている開位置へ向かって上方に変位する。より具体的には、制御アセンブリ214のスリーブ230、ダイアフラム・プレート236a、236b、および保持プレート292、ならびに位置決め装置アセンブリ238の中央ロッド286および第1のスプリング・シート288が、図4に示されている位置へと変位する。ダイアフラム・サブアセンブリ233に作用する上向きの力の積算された値は、制御圧力として機能する第1の制御導入口225の圧力の値によって対抗され、下流の需要を満たすために必要な流れに応じて、スリーブ230を含む制御アセンブリ214を位置させる。加えて、例えばダイアフラム素材の破れによってダイアフラム234が不良となった場合には、位置決め装置アセンブリ238のスプリング293が第1のスプリング・シート288に力を加え、第1のスプリング・シート288が中央ロッド286および保持プレート292に力を加えて、制御アセンブリ214のスリーブ230を図4に示されている開位置へと押し戻す。
以上では、レギュレータ200を「故障時開」のレギュレータによって構成されているものとして説明したが、レギュレータ200の代替の実施形態による位置決め装置アセンブリ238を、「故障時閉」のレギュレータで構成することも可能である。例えば、そのような代替の実施形態においては、第1のスプリング・シート288をケース297に固定したものとすることができる。さらに、中央ロッド286、第2のスプリング・シート290、保持プレート292、およびスリーブ230のすべてを、剛に結合させるものとすることができる。また、第2のスプリング・シート290は、ケース297に螺合するのではなく、ケース297の内側で軸方向に自由に変位可能なものであってよい。
そのように構成されると、第1および第2のスプリング・シート288、290の間に配置されたスプリング293が、第2のスプリング・シート290を第1のスプリング・シート288から離れるように付勢し、それによって、中央ロッド286、保持プレート292、およびスリーブ230を、図4に示すレギュレータ200の向きに対して相対的に下方向に付勢する。さらに、アクチュエータ206に圧力が存在しない場合や、ダイアフラム234が不良の場合に、スプリング293が出口212への流体の流れを閉じるべくスリーブ230を押すように、スプリング293を、上述した蓄勢作業のいずれかに従って蓄勢させることができる。この「故障時閉」の構成の一実施形態においては、保持プレート292は、スリーブ230の下端230bの付近に固定されるであろう。したがって、中央ロッド286は、図4に示されている中央ロッド286に比べて、その大部分がスリーブ230内に位置するように直線的に移動させられるであろう。より具体的には、一実施形態においては、ねじロッド286の第1のねじ端286aを、第2のスプリング・シート290の中央穴290aに螺合させることができる。同様に、中央ロッド286の第1のねじ端286aを、保持プレート292の中央穴292aに螺合させることができる。
したがって、以上に照らして、本発明が「故障時開」または「故障時閉」の構成において動作することができる流体レギュレータを提供することに留意されたい。さらに具体的には、本発明は、従来のレギュレータ10の既存の部品の構造変更または再設計を必要とすることなく、図1に関して図示および説明したレギュレータなどの従来の「故障時閉」のレギュレータに適用できる制御アセンブリ114、214、314を提供する。さらに、本発明は、レギュレータ10、100、200のスリーブ130、230、330などの制御部材を、制御アセンブリ114、214、314が組み合わせられたアクチュエータ106、206、306および/またはバルブ・ボディ102、202、302の内部の所定の位置に付勢するように動作することができる位置決め装置アセンブリ138、238、338を提供する。かかる所定の位置として、本明細書において説明した「故障時開」または「故障時閉」の位置を挙げることができ、あるいは特定の用途のために所望されうる「故障時開」および「故障時閉」の位置の間に位置する他の任意の位置を挙げることができる。
最後に、本発明を圧力レギュレータとして説明したが、本発明を、制御弁、アクチュエータ、および想定可能な他の任意の装置など、他の流体プロセス制御装置へとうまく作用するように適用することができることに留意されたい。
以上に照らし、本明細書の説明は、あくまでも本発明の1例を説明したに過ぎないと理解すべきであり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲での変形は、本発明の技術的範囲に含まれるべきものである。