JP2012109231A - 高分子電解質膜、膜−電極接合体及び固体高分子形燃料電池 - Google Patents

高分子電解質膜、膜−電極接合体及び固体高分子形燃料電池 Download PDF

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光紀 野殿
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武史 川田
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大 岩原
Susumu Otsuka
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Abstract

【課題】外観及び保護フィルムからの剥離性に優れる高分子電解質膜を提供すること。
【解決手段】高分子電解質と、下記式(A)で表される構造単位を有する重量平均分子量Mwが3000以下である化合物(a)と、を含有し、化合物(a)の含有量X(質量ppm)が下記式(1)を満たす高分子電解質膜。
【化1】
Figure 2012109231

10≦X(質量ppm)≦3000 …(1)
【選択図】なし

Description

本発明は、高分子電解質膜、膜−電極接合体及び固体高分子形燃料電池に関する。
固体高分子形燃料電池(以下、場合により「燃料電池」という)は、燃料ガス(例えば、水素が挙げられる。)と酸素との化学的反応により発電させる発電装置であり、次世代エネルギーの一つとして電気機器産業や自動車産業等の分野において大きく期待されている。このような燃料電池に用いられる高分子電解質膜としては、例えば、炭化水素系高分子電解質膜がある(例えば特許文献1参照)。
特開2003−31232号公報
ところで、高分子電解質膜は、外観に優れることや保護フィルムからの剥離性に優れることが要求される。
そこで、本発明は、外観及び保護フィルムからの剥離性に優れる高分子電解質膜を提供することを目的とする。本発明は、また、上記高分子電解質膜を備える膜−電極接合体及び当該膜−電極接合体を備える、固体高分子形燃料電池を提供することを目的とする。
本発明は、高分子電解質と、下記式(A)で表される構造単位を有する重量平均分子量Mwが3000以下である化合物(a)と、を含有し、化合物(a)の含有量X質量ppmが下記式(1)を満たす高分子電解質膜を提供する。
Figure 2012109231

10≦X≦3000 …(1)
このような高分子電解質膜は、上記構成を有することにより外観及び保護フィルムからの剥離性に優れる。
本発明の高分子電解質膜においては、Xが下記式(1−1)を満たすことがより好ましい。
10≦X≦2000 …(1−1)
Xがこのような範囲であると、高分子電解質膜の外観がより優れたものとなる。
本発明の高分子電解質膜においては、Xが下記式(1−2)を満たすことがより好ましい。
10≦X≦1000 …(1−2)
Xがこのような範囲であると、高分子電解質膜の外観が更に優れたものとなる。
本発明は、上記高分子電解質膜を備える膜−電極接合体を提供する。
このような膜−電極接合体は、上述の高分子電解質膜を備えることにより、外観が優れ、ピンホールや皺が低減されることから耐久性に優れる。
本発明は上記膜−電極接合体を備える固体高分子形燃料電池を提供する。
このような固体高分子形燃料電池は、上記膜−電極接合体を備えることにより、外観が優れ、ピンホールや皺が低減されることから、燃料電池として使用した際の耐久性に優れる。
本発明によれば、外観及び保護フィルムからの剥離性に優れる高分子電解質膜を提供することができる。本発明によれば、また、上記高分子電解質膜を備える膜−電極接合体及び当該膜−電極接合体を備える、固体高分子形燃料電池を提供することができる。
本発明の好適な実施形態に係る固体高分子形燃料電池100の一部破断斜視図である。
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。
[高分子電解質膜]
本実施形態に係る高分子電解質膜は、高分子電解質と、下記式(A)で表される構造単位を有する重量平均分子量Mwが3000以下である化合物(a)と、を含有し、かつ、高分子電解質膜全体に対する化合物(a)の含有量X質量ppmが、下記式(1)を満たすものである。
Figure 2012109231

10≦X≦3000 …(1)
このような高分子電解質膜は、外観及び保護フィルムからの剥離性に優れる。このような効果が奏される理由は以下のように推測される。すなわち、高分子電解質膜が化合物(a)を含有することで、高分子電解質膜の疎水性が向上する。そこで、特定量の化合物(a)を含有させることで、高分子電解質膜に適度の疎水性を付与することができる。これにより、高分子電解質膜の外観及び保護フィルムからの剥離性が向上すると推定される。
なお、ここで、保護フィルムには特に限定はなく、例えば、イオン交換基を有しない高分子からなるシートや、それ以外の金属製、ガラス製シート等が挙げられる。中でもイオン交換基を有しない高分子からなるシートが好ましい。イオン交換基を有しない高分子からなるシートとしては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)に代表されるポリオレフィン系樹脂や、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート(PC)やポリエチレンテレフタレート(PET)からなるシート等が好適に用いられる。該保護フィルムには、必要に応じて、接着剤塗布、離型処理、鏡面処理、エンボス処理、或いは艶消し処理等が施されていてもよい。上記高分子電解質膜との剥離性をより向上させる観点からは、保護フィルムの主面のうち当該高分子電解質膜が接する面の材料は、アクリル系接着剤、シリコーン系接着剤が塗布された高分子からなるシートや、エチレン−酢酸ビニル系共重合樹脂(EVA)とすると好ましい。
ここで、上記Xは、下記式(1−1)を満たすことがより好ましく、下記式(1−2)
を満たすことが更に好ましい。
10≦X≦2000 …(1−1)
10≦X≦1000 …(1−2)
Xがこのような範囲であると、高分子電解質膜の外観が更に優れたものとなる。
以下、各成分について説明する。
(高分子電解質)
本実施形態の高分子電解質膜が含有する高分子電解質に特に制限はないが、例えば、イオン交換基を有する高分子電解質が挙げられる。このような高分子電解質としては、Nafion(デュポン社登録商標)、旭化成製のAciplex(旭化成登録商標)、旭硝子製のFlemion(旭硝子登録商標)などのイオン交換基を有するフッ素系高分子電解質や、脂肪族炭化水素や芳香族炭化水素にスルホ基(−SO3H)、カルボキシル基(−COOH)、ホスホン基(−PO32)、スルホニルイミド基(−SO2NHSO2−)、フェノール性水酸基等のイオン交換基を導入した炭化水素系高分子電解質などが用いられる。
上記のうち、炭化水素系高分子電解質は、ラジカル耐性が高い傾向にあるので、高分子電解質が炭化水素系高分子電解質である場合、優れたラジカル耐性を有する高分子電解質膜等が得られ易くなる。また、フッ素系高分子電解質に比して、耐熱性等の観点からも炭化水素系高分子電解質は有利である。
なお、高分子電解質は、フッ素系高分子電解質と炭化水素系高分子電解質を組み合わせて含有してもよいが、この場合、上記の効果を良好に得る観点から、高分子電解質の全量(100重量%)に対して、炭化水素系高分子電解質が、51重量%以上であると好ましく、70重量%以上であるとより好ましくは、85重量%以上であるとさらに好ましくは、90重量%以上であると特に好ましい。
ここで、炭化水素系高分子電解質とは、当該高分子電解質を構成する元素重量含有比で表してハロゲン原子が15重量%以下である高分子電解質を意味する。かかる炭化水素系高分子電解質は、前記のフッ素系高分子電解質と比較して安価であるという利点を有するため、より好ましい、特に好適な炭化水素系高分子電解質は、実質的にハロゲン原子を含有していないものであり、このような炭化水素系高分子電解質は燃料電池の作動時に、ハロゲン化水素を発生して、他の部材を腐食させたりする恐れがない。
一方、フッ素系高分子電解質とは、当該高分子電解質を構成する元素重量含有比で表してフッ素原子が15重量%を超える高分子電解質を意味する。具体例としては上記例示の市販のフッ素系高分子電解質などをあげることができる。
高分子電解質が有しているイオン交換基としては、例えば、陽イオン交換基(酸性のイオン交換基、以下、場合により「カチオン交換基」という)、陰イオン交換基(塩基性のイオン交換基、以下、場合により「アニオン交換基」という)が挙げられる。陽イオン交換基としては、例えば、−SOH(スルホ基)、−COOH(カルボキシル基)、−PO(OH)(ホスホン基)、−POH(OH)、−SONHSO−(スルホニルイミド基)、−Ph(OH)(フェノール性水酸基)が挙げられる。なお、ここで、Phはフェニル基を表す。また、陰イオン交換基としては、−NH、−NHR、−NRR’、−NRR’R’’、−NH 等が挙げられる。なお、ここで、R、R’及びR’’は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基等を表す。
イオン交換基としては、カチオン交換基が好ましく、中でも、酸解離定数pKaが2以下の強酸性基がより好ましく、スルホ基又はホスホン基がさらに好ましく、スルホ基(−SOH)が一層好ましい。
ここで、イオン交換基は、部分的に、あるいは全てが、金属イオンや4級アンモニウムイオン等で交換されて塩を形成していてもよい。例えば、上記カチオン交換基は、部分的に又は全てが金属イオン等でイオン交換されて塩を形成していてもよい。しかし、これらのイオン交換基は、実質的に全てが遊離酸の状態であることが好ましい。例えば、実質的に全てのカチオン交換基が遊離酸の状態である親水性ブロックを有するブロック共重合体型高分子電解質によれば、当該高分子電解質を溶媒と混合して高分子電解質組成物とする際の製造安定性に優れる。また、燃料電池用隔膜等として使用する観点からも、実質的に全てのカチオン交換基が遊離酸の状態であることが好ましい。なお、イオン交換基は、高分子電解質の主鎖、側鎖の何れか/又は両方に導入されていてもよいが、好ましくは主鎖へ導入されているものが挙げられる。
本実施形態の高分子電解質においては、イオン交換基の導入量は、イオン交換容量で表して、0.5meq/g以上が好ましく、1.0meq/g以上がより好ましく、2.0meq/g以上が更に好ましく、2.7meq/g以上が特に好ましい。また、5.5meq/g以下が好ましく、5.0meq/g以下がより好ましい。イオン交換容量が好適な範囲であるほど、燃料電池用高分子電解質として、十分なプロトン伝導性が発現され、比較的耐水性も良好であるという利点が得られる。
好適な炭化水素系高分子電解質の具体例としては、例えば、下記の(A)〜(F)で表される高分子電解質が挙げられる。
(A)主鎖が脂肪族炭化水素からなる高分子に、イオン交換基が導入された高分子電解質;
(B)主鎖が脂肪族炭化水素からなり、主鎖の一部の水素原子がフッ素原子で置換された高分子に、イオン交換基が導入された高分子電解質;
(C)主鎖が芳香環を有する高分子に、イオン交換基が導入された高分子電解質;
(D)主鎖が、シロキサン基やフォスファゼン基等の無機の単位構造を有する高分子にイオン交換基が導入された高分子電解質;
(E)高分子電解質(A)〜(D)の調製に使用する高分子の主鎖を構成する構造単位から選ばれる2種以上の構造単位を組み合わせた共重合体に、イオン交換基が導入された高分子電解質;
(F)主鎖や側鎖に窒素原子を含む炭化水素系高分子に、硫酸やリン酸等の酸性化合物をイオン結合により導入した高分子電解質。
なお、以下においては、これらの炭化水素系高分子電解質として、イオン交換基がスルホ基である高分子電解質を主として例示するが、このスルホ基を別のイオン交換基に置き換えた高分子電解質でもよい。
(A)の高分子電解質としては、例えば、ポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリ(α−メチルスチレン)スルホン酸等が挙げられる。
(B)の高分子電解質としては、特開平9−102322号公報に記載された炭化フッ素系ビニルモノマーと炭化水素系ビニルモノマーとの共重合によって製造された高分子を主鎖とし、スルホ基を有する炭化水素鎖を側鎖とし、共重合様式がグラフト重合であるスルホン酸型ポリスチレン−グラフト−エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)が挙げられる。また、米国特許第4,012,303号公報又は米国特許第4,605,685号公報に記載された方法により得られる炭化フッ素系ビニルモノマーと炭化水素系ビニルモノマーとの共重合体に、α,β,β−トリフルオロスチレンをグラフト重合させ、これにスルホ基を導入して固体高分子電解質としたスルホン酸型ポリ(トリフルオロスチレン)−グラフト−ETFEも挙げることができる。
(C)の高分子電解質は、主鎖に酸素原子等のヘテロ原子を含むものであってもよい。このような高分子電解質としては、例えば、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルスルホン、ポリ(アリーレンエーテル)、ポリイミド、ポリ((4−フェノキシベンゾイル)−1,4−フェニレン)、ポリフェニルキノキサレン等の単独重合体のそれぞれに、スルホ基が導入されたものが挙げられる。具体的には、スルホアリール化ポリベンズイミダゾール、スルホアルキル化ポリベンズイミダゾール(例えば、特開平9−110982号公報参照)等が挙げられる。前記(C)の高分子電解質は、主鎖が酸素原子等のヘテロ原子で中断されている化合物であってもよく、例えば、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリ(アリーレンエーテル)、ポリイミド、ポリ((4−フェノキシベンゾイル)−1,4−フェニレン)、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニルキノキサレン、スルホアリール化ポリベンズイミダゾール、スルホアルキル化ポリベンズイミダゾール、ホスホアルキル化ポリベンズイミダゾール、ホスホン化ポリ(フェニレンエーテル)が挙げられる。このような高分子電解質は、特開平9−110982号公報、J.Appl.Polym.Sci.,18,1969(1974)にも記載されている。
(D)の高分子電解質としては、例えば、ポリフォスファゼンにスルホ基が導入されたもの等が挙げられる。これらは、Polymer Prep.,41,No.1,70(2000)に記載された方法に準じて容易に製造することができる。
(E)の高分子電解質は、スルホ基が導入されたランダム共重合体、スルホ基が導入された交互共重合体、スルホ基が導入されたブロック共重合体のいずれであってもよい。
(F)の高分子電解質としては、例えば、特表平11−503262号公報に記載されたようなリン酸を含有させたポリベンズイミダゾール等が挙げられる。
燃料電池用として良好な耐熱性を有する高分子電解質膜を得るためには、芳香族炭化水素系高分子電解質、特に主鎖に芳香環を有するもの(すなわち、上記(C))が好ましい。そのような高分子電解質は、より機械強度に優れ、高耐熱性であることからも好ましい。
また、上記(C)の中でも、さらには主鎖を構成する芳香環を有し、且つこの芳香環に直接結合または他の原子もしくは原子団を介して間接的に結合したイオン交換基を有する炭化水素系高分子電解質が好ましい。特に、主鎖を構成する芳香族を有し、さらに芳香環を有する側鎖を有してもよく、主鎖を構成する芳香環か側鎖の芳香環の、どちらかの芳香環に直接結合したイオン交換基を有する炭化水素系高分子電解質が好ましい。
上述したようなイオン交換基を有する高分子電解質としては、例えば、イオン交換基を有するブロック(以下、「セグメント」ともいう)及びイオン交換基を実質的に有しないブロック(以下、「セグメント」ともいう)を有するブロック共重合体型高分子電解質が挙げられる。このような高分子電解質からなる高分子電解質膜は、耐水性や機械強度に優れる傾向がある。ブロック共重合体型高分子電解質の共重合様式は、ランダム共重合、交互共重合、ブロック共重合、グラフト共重合の何れでもよい。好ましくは、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合であり、より好ましくは、ランダム共重合、ブロック共重合であり、特に好ましくはブロック共重合である。また、これらの共重合様式の組み合わせでもよい。
このようなブロック共重合体型高分子電解質としては、例えば、以下の第1のブロック共重合体型高分子電解質及び第2のブロック共重合体型高分子電解質が挙げられる。以下、各ブロック共重合体型高分子電解質について、それぞれ説明する。
<第1のブロック共重合体型高分子電解質>
第1のブロック共重合体型高分子電解質は、イオン交換基を有するブロックとして下記式(2a)で表されるブロックを有し、イオン交換基を実質的に有しないブロックとして、下記式(2b)、(3b)、又は(4b)で表されるブロックを有することが好ましい。当該高分子電解質がこのようなものであると、膜を形成する場合の安定性に優れ、且つ燃料電池として使用した際の耐久性が向上する。
Figure 2012109231

Figure 2012109231
式(2a)中、mは2以上の整数を表し、Arは2価の芳香族基を表す。ここで、2価の芳香族基とは、芳香族化合物から、2個の水素原子を取り去った残基である。以降、同様の意味で、「2価の芳香族基」と言う言葉を用いる。2価の芳香族基は、フッ素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリールオキシ基又は置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアシル基で置換されていてもよい。式(2a)中のArは、主鎖を構成する芳香環に直接又は主鎖を構成する芳香環に結合した側鎖に結合しているイオン交換基を、Ar1個あたり平均0.5個以上有する。なお、ここで、mは5以上の整数であるとより好ましい。
式(2b)、(3b)及び(4b)中、nは2以上の整数を表し、Ar、Ar、Ar、Ar、Ar、Ar、Ar及びArはそれぞれ独立に2価の芳香族基を表す。ここでこれらの2価の芳香族基は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数6〜18のアリールオキシ基又は炭素数2〜20のアシル基で置換されていてもよい。Z及びZ’は、それぞれ独立にカルボニル基(−CO−で示される基)又はスルホニル基(−SO2−で示される基)を表し、X、X’及びX’’は、それぞれ独立にO又はSを表す。Yは直接結合又は下記式(2c)で表される基を表す。p’は0、1又は2を表し、p’が2である場合、2つあるAr及びYは同一でも異なっていてもよい。q’、r’はそれぞれ独立に1、2又は3を表す。q’が2以上の場合、複数のArは同一でも異なっていてもよい。r’が2以上の場合、複数のArは同一でも異なっていてもよい。
Figure 2012109231
式(2c)中、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリールオキシ基又は置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアシル基を表す。また、RとRとが連結して、それらが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよい。RとRとが連結して形成される環を有する式(2C)の基としては、シクロヘキシリデン基などの炭素数5〜20の2価の環状炭化水素基が挙げられる。
ここで、「イオン交換基を有するブロック(以下、場合により「親水性ブロック」という)」とは、当該ブロックを構成する構造単位1個に対して平均0.5個以上のイオン交換基を有するブロックを意味する。発電性能の観点からは、イオン交換基を有するブロックは、構造単位1個に対して平均1.0個以上のイオン交換基を有することが好ましい。
一方、「イオン交換基を実質的に有しないブロック(以下、場合により「疎水性ブロック」という)」とは、当該ブロックを構成する構造単位1個に対して平均0.1個未満のイオン交換基を有するブロックを意味する。耐水性や吸水寸法安定性の観点からは、イオン交換基を実質的に有しないブロックは、イオン交換基が構造単位1個に対して平均0.05個以下であるブロックであることが好ましく、イオン交換基を全く有しないブロックであることがより好ましい。
なお、本明細書において「ブロック共重合体」とは、イオン交換基を有するブロックとイオン交換基を実質的に有しないブロックとが主鎖構造を形成しているような共重合様式のものに加え、一方のブロックが主鎖構造を形成し、他方のブロックが側鎖構造を形成しているような、グラフト重合の共重合様式の共重合体も含む概念である。また、本実施形態において、ブロック共重合体は、ジブロック型であっても、トリブロック型であっても、それ以上連結されたものであってもよい。
上述のとおり、式(2a)におけるArは2価の芳香族基を表す。当該2価の芳香族基としては、例えば、1,3−フェニレン、1,4−フェニレン等の2価の単環式芳香族基、1,3−ナフタレンジイル、1,4−ナフタレンジイル、1,5−ナフタレンジイル、1,6−ナフタレンジイル、1,7−ナフタレンジイル、2,6−ナフタレンジイル、2,7−ナフタレンジイル等の2価の縮合環式芳香族基、ピリジンジイル、キノキサリンジイル、チオフェンジイル等の複素環式芳香族基が挙げられる。好ましくは2価の単環式芳香族基である。また、上述のとおり、当該2価の芳香族基は、フッ素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリールオキシ基又は置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアシル基で置換されていてもよい。
該アルキル基としては、メチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基、デシル基等が例示される。これらのアルキル基は、直鎖でも、分岐していても、環状であってもよい。また、該アルキル基に、水酸基、シアノ基、ハロゲン原子等が結合して、その総炭素数が1〜10のアルキル基であってもよい。
該アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基等が例示される。これらのアルコキシ基は、直鎖でも、分岐していても、環状であってもよい。また、該アルコキシ基に、水酸基、シアノ基、ハロゲン原子等が結合して、その総炭素数が1〜10のアルコキシ基も含む概念である。
該アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が例示される。また、これらのアリール基に、炭素数1〜4のアルキル基、シアノ基、ハロゲン原子等が結合して、その総炭素数が6〜18のアリール基であってもよい。
該アリールオキシ基としては、フェノキシ基、ナフトキシ基等が例示される。また、これらのアリールオキシ基に、炭素数1〜4のアルキル基、シアノ基、ハロゲン原子等が結合して、その総炭素数が6〜18のアリールオキシ基であってもよい。
該アシル基としては、アセチル基、ブチリル基、デシルカルボキシル基、ベンゾイル基等が例示される。また、該アシル基に、シアノ基、ハロゲン原子等が結合して、その総炭素数が2〜20のアシル基であってもよい。
式(2a)で表されるブロックにおけるArは、当該ブロックに[0.5×m]個以上のイオン交換基を有するものであり、式(1a)で表されるブロックにある全ての構造単位のArがイオン交換基を有することが好ましい。そして、Arには、当該ブロックの主鎖を構成する芳香環に少なくとも一つのイオン交換基を有していることがより好ましい。
上述のとおり、式(2b)、(3b)及び(4b)におけるAr、Ar、Ar、Ar、Ar、Ar、Ar及びArは、それぞれ独立に2価の芳香族基を表す。当該2価の芳香族基としては、例えば、1,3−フェニレン、1,4−フェニレン等の2価の単環性芳香族基、1,3−ナフタレンジイル、1,4−ナフタレンジイル、1,5−ナフタレンジイル、1,6−ナフタレンジイル、1,7−ナフタレンジイル、2,6−ナフタレンジイル、2,7−ナフタレンジイル等の2価の縮環系芳香族基、ピリジンジイル、キノキサリンジイル、チオフェンジイル等のヘテロ芳香族基等が挙げられる。中でも、2価の単環性芳香族基が好ましい。
また、上述のとおり、これらの2価の芳香族基は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数6〜18のアリールオキシ基又は炭素数2〜20のアシル基で置換されていてもよい。なお、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アシル基としては、例えば、上述のものを用いることができる。
また、上述のとおり、式(2c)におけるR及びRは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリールオキシ基又は置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアシル基を表し、RとRが連結して、それらが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよい。ここで、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アシル基としては、例えば、上述のものを用いることができる。
本実施形態においては、上記ブロック共重合体型高分子電解質が、イオン交換基を有するブロックとして、式(2a)で表されるブロックを有し、かつ、このブロックのArが、主鎖を構成している芳香環にイオン交換基が直接結合している2価の芳香族基であることがより好ましい。このようなブロック共重合体型高分子電解質は、後述する溶媒への溶解性が優れ、プロトン伝導度等の特性に優れる。
また、後述する溶媒への溶解性が優れ、燃料電池として使用した際の耐久性や、プロトン伝導度等の発電特性がより向上する観点からは、イオン交換基を有するブロックが、下記式(5a)、なかでも下記式(5aa)で表される構造を有することが好ましい。
Figure 2012109231
式(5a)及び(5aa)中、mは上記と同義である、Rは、フッ素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基または置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアシル基から選ばれる置換基を表す。pは0以上3以下の整数であり、qは1〜4の整数であり、p+qは1〜4の整数である。Rが複数存在する場合、それぞれ互いに同一でも異なってもよい。なおここで、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アシル基としては、例えば、上述のものを用いることができる。
なお、ここで、式(2a)、(5a)、(5aa)中のm及び式(2b)、(3b)及び(4b)中のnは、それぞれ5〜1000の範囲であることが好ましく、10〜500の範囲であることがより好ましい。n及びmがこの範囲であるブロック共重合体型高分子電解質は、イオン伝導性と機械強度とのバランスに優れ、各々のブロックの製造自体も容易である。また、n及びmの比は、m/nで表して、10/90〜90/10の範囲であることが好ましい。さらに、式(5a)中のqは、1又は2が好ましい。
また、本実施形態においては、ブロック共重合体型高分子電解質が、ハロゲン原子を実質的に有しないことが好ましい。このようなブロック共重合体型高分子電解質は燃料電池の作動時に、ハロゲン化水素を発生して、他の部材を腐食させたりするおそれがないという利点がある。なお、ここでいう「実質的にハロゲン原子を有しない」とは、元素重量含有比で、ハロゲン原子が1重量%以下のものをいう。
上記ブロック共重合体型高分子電解質の中では、式(2a)で表される親水性ブロックと、式(2b)で表される疎水性ブロックと、からなるブロック共重合体型高分子電解質、又は式(2a)で表される親水性ブロックと一般式(3b)で表される疎水性ブロックとからなるブロック共重合体型高分子電解質が好ましい。
第1のブロック共重合体型高分子電解質としては、より具体的には、例えば、疎水性ブロックとして下記式(101a)〜(113a)のいずれかを有し、親水性ブロックとして下記式(201)を有するものが好適である。なお、これらの式中のn及びmは、いずれも上記と同義である。
Figure 2012109231
このような第1のブロック共重合体型高分子電解質において、好適な疎水性ブロックと親水性ブロックとの組み合わせとしては、以下の表1の<a1>〜<m1>に示す組み合わせが挙げられる。
Figure 2012109231
上記の組み合わせの条件を満たす第1のブロック共重合体型高分子電解質としては、下記式(1)〜(13)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2012109231
Figure 2012109231
Figure 2012109231
なお、上記式(1)〜(13)は、括弧内の構造単位からなるブロックを有し、その共重合様式がブロック共重合であり、Gは2つのブロックを連結する結合、原子又は2価の原子団を表す。具体的に、Gを例示すると、直接結合、スルホニル基、カルボニル基、酸素原子、硫黄原子、2価の芳香族基又はこれらの組み合わせによる2価の基が挙げられる。また、式(1)〜(13)のn及びmは上記と同義である。
上記式(1)〜(13)で表されるブロック共重合体型高分子電解質の中では、式(3)、(5)、(9)〜(13)で表されるブロック共重合体型高分子電解質が好ましく、(3)、(5)、(9)、(10)、(11)、(12)で表されるブロック共重合体型高分子電解質がより好ましい。
ブロック共重合体型高分子電解質の分子量は、ポリスチレン換算の数平均分子量で、5000〜1000000であることが好ましく、15000〜400000であることがより好ましい。分子量がこの範囲であるブロック共重合体型高分子電解質を用いると、溶液キャスト法に使用するような溶液組成物(高分子電解質溶液)を得たとき、実用的な粘度の溶液組成物を得ることができる。
このようなブロック共重合体型高分子電解質は、例えば国際公開番号WO2007/043274や特開2011−190237号公報に開示されたようなブロック共重合体の製造方法により製造できる。
なお、高分子電解質がブロック共重合体型高分子電解質である場合、ブロック共重合体型高分子電解質以外の他の高分子電解質を含むこともできる。
<第2のブロック共重合体型高分子電解質>
第2のブロック共重合体型高分子電解質としては、下記式(11a)、(12a)、(13a)又は(14a)[以下、「式(11a)〜(14a)」と呼ぶことがある]で表されるイオン交換基を有する構造単位と、下記式(11b)、(12b)、(13b)又は(14b)[以下、「式(11b)〜(14b)」と呼ぶことがある。]で表されるイオン交換基を有しない構造単位とを有し、その共重合様式がランダム共重合、ブロック共重合、ブロック共重合又はグラフト共重合のいずれか、もしくはこれらの共重合様式を組合わせた高分子電解質が例示される。
Figure 2012109231
Figure 2012109231
式(11a)〜(14a)中、Ar11〜Ar19は、それぞれ独立に、主鎖に芳香環を有し、さらに芳香環を有する側鎖を有してもよい2価の芳香族基を表す。この主鎖の芳香環か側鎖の芳香環の少なくとも1つが、それらの芳香環に直接結合したイオン交換基を有する。Z、Z’はそれぞれ独立にカルボニル基(−CO−で示される基)又はスルホニル基(−SO−で示される基)を表し、X、X’、X”は、それぞれ独立に、O又はSを表す。Y11は直接結合もしくは下記式(15)で表される基を表す。pは0、1又は2を表し、q、rは、それぞれ独立に1、2又は3を表す。)
また、式(11b)〜(14b)中、Ar21〜Ar29は、それぞれ独立に、側鎖としての置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表す。Z、Z’は、それぞれ独立にカルボニル基(−CO−で示される基)又はスルホニル基(−SO−で示される基)を表し、X、X’、X”は、それぞれ独立に、O又はSを表す。Y11は直接結合もしくは下記式(15)で表される基を表す。p’は0、1又は2を表し、q’、r’はそれぞれ独立に1、2又は3を表す。)
Figure 2012109231
式(15)中、Raa及びRbbは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基又は置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基を表す。また、RaaとRbbとが連結して環を形成していてもよい。RaaとRbbとが連結して形成される環を有する式(15)の基としては、シクロヘキシリデン基などの炭素数5〜20の2価の環状炭化水素基が挙げられる。
式(11a)〜(14a)におけるAr11〜Ar19は、2価の芳香族基を表す。2価の芳香族基としては、例えば、1,3−フェニレン、1,4−フェニレン等の2価の単環性芳香族基、1,3−ナフタレンジイル、1,4−ナフタレンジイル、1,5−ナフタレンジイル、1,6−ナフタレンジイル、1,7−ナフタレンジイル、2,6−ナフタレンジイル、2,7−ナフタレンジイル等の2価の縮環系芳香族基、ピリジンジイル、キノキサリンジイル、チオフェンジイル、ピロール、2H−ピロール、イミダゾール、ピラゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、3H−インドール、インドール、1H−インダゾール、プリン、4H−キノリジン、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、ペリミジン、フェナントロリン、フェナジン、フラザン、フェノキサジン、ピロリジン、ピロリン、イミダゾリン、イミダゾリジン、ピラゾリジン、ピラゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドリン、イソインドリン、キヌクリジン、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、1,3,5−トリアジン、ブリン、テトラゾール、テトラジン、トリアゾール、フェナルサジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾールからなる群より選ばれる少なくとも1種から芳香環上の水素原子を2個取り去って得られるヘテロ芳香族基や、下記式(N−01)〜(N−07)で表される構造からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を含むヘテロ芳香族基等が挙げられる。なかでも、好ましくは2価の単環性芳香族基又は2価の縮環系芳香族基であり、より好ましくは2価の単環性芳香族基である。
Figure 2012109231
また、式(11a)〜(14a)におけるAr11〜Ar19で表される芳香族基の芳香環上の水素原子は、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基又は置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基で置換されていてもよい。
式(11a)〜(14a)におけるAr11〜Ar19で表される芳香族基は、芳香環に少なくとも一つのイオン交換基を有する。これらのイオン交換基は、高分子電解質の主鎖、側鎖の何れか/又は両方に導入されていてもよい。なかでも、主鎖を構成する芳香環に少なくとも一つのイオン交換基が結合していると好ましい。イオン交換基としては、上述のような酸性のイオン交換基(カチオン交換基)が好ましく、酸性のイオン交換基の中でも、スルホ基又はホスホン基がより好ましく、スルホ基が特に好ましい。
ここで、式(14a)で表されるイオン交換基を有する構造単位の例の一つとして、下記式(14a−1)で表される構造単位を挙げることができる。
Figure 2012109231
式(14a−1)中、Ar110、Ar120、Ar130は、それぞれ独立に、2価の芳香族基を示し、それらの芳香族基中の芳香環の水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。Y000は、−CO−、−SO−、−SO−、−CONH−、−COO−、−(CFU000−(U000は1〜10の整数である)、−C(CF−、又は直接結合を示す。Z000は、−O−、−S−、直接結合、−CO−、−SO−、−SO−、−(CHL000−(L000は1〜10の整数である)、又は−C(CH−を示す。R110は、直接結合、−O(CHP000−、−O(CFP000−、−(CHP000−、又は−(CFP000−を示す(P000は、1〜12の整数を示す)。R120及びR130は、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属原子又は炭化水素基を示す。ただし、上記式中に含まれる全てのR120及びR130のうち少なくとも1個は水素原子である。x100は、0〜4の整数を示し、x200は、1〜5の整数を示し、a000は、0〜1の整数を示し、b000は、0〜3の整数を示す。)
式(14a−1)におけるAr110、Ar120及びAr130は、2価の芳香族基を表す。このような2価の芳香族基としては、式(11a)〜(14a)におけるAr11〜Ar19と同様の2価の芳香族基があげられる。
120、R130は、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属原子または炭化水素基を示す。アルカリ金属原子としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ルビジウムが挙げられる。炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、tert−ブチル基、iso−ブチル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、アダマンチル基、アダマンタンメチル基、2−エチルヘキシル基、ビシクロ[2.2.1]へプチル基、ビシクロ[2.2.1]へプチルメチル基、テトラヒドロフルフリル基、2−メチルブチル基、3,3−ジメチル−2,4−ジオキソランメチル基、シクロヘキシルメチル基、アダマンチルメチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチルメチル基などの直鎖状炭化水素基、分岐状炭化水素基、脂環式炭化水素基、複素環を有する炭化水素基などが挙げられる。これらのなかでも、n−ブチル基、ネオペンチル基、テトラヒドロフルフリル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、アダマンチルメチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチルメチル基が好ましく、ネオペンチル基がより好ましい。なお、R120、R130は、水素原子であることが好ましい。
上記式(14a−1)で表される構造単位は、さらに下記式(14a−2)で表される構造単位であることが好ましい。
Figure 2012109231
式(14a−2)中、Y001は、−CO−、−SO−、−SO−、−CONH−、−COO−、−(CF−(ここでのLは1〜10の整数である)、及び−C(CF−からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を示し、Z001は、直接結合又は−(CH−(ここでのLは1〜10の整数である)、−C(CH−、−O−、−S−、−CO−、−SO−からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を示し、Ar001は、−SOH、−O(CHSOH、又は−O(CFSOHで表される置換基を有する芳香族基を示す(ここでのPは、1〜12の整数である)。m001は0〜10の整数を示し、n001は0〜10の整数を示し、k001は1〜4の整数を示す。
式(14a−2)で表されるイオン交換基を有する構造単位の具体例としては、後述の式(4a−13)〜(4a−20)で表される構造単位を挙げることができる
一方、式(11b)〜(14b)におけるAr21〜Ar29は、それぞれ独立に、2価の芳香族基を表す。このような2価の芳香族基としては、例えば、1,3−フェニレン、1,4−フェニレン等の2価の単環性芳香族基、1,3−ナフタレンジイル、1,4−ナフタレンジイル、1,5−ナフタレンジイル、1,6−ナフタレンジイル、1,7−ナフタレンジイル、2,6−ナフタレンジイル、2,7−ナフタレンジイル等の2価の縮環系芳香族基、ピリジンジイル、キノキサリンジイル、チオフェンジイル、ピロール、2H−ピロール、イミダゾール、ピラゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、3H−インドール、インドール、1H−インダゾール、プリン、4H−キノリジン、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、ペリミジン、フェナントロリン、フェナジン、フラザン、フェノキサジン、ピロリジン、ピロリン、イミダゾリン、イミダゾリジン、ピラゾリジン、ピラゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドリン、イソインドリン、キヌクリジン、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、1,3,5−トリアジン、ブリン、テトラゾール、テトラジン、トリアゾール、フェナルサジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾールからなる群より選ばれる少なくとも1種の芳香環上の水素原子を2個取り去って得られるヘテロ芳香族基、及び下記式(N−01)〜(N−07)で表される構造からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を含むヘテロ芳香族基等が挙げられる。なかでも、好ましくは2価の単環性芳香族基又は2価の縮環系芳香族基であり、より好ましくは2価の単環性芳香族基である。
Figure 2012109231
また、Ar21〜Ar29で表される芳香族基の芳香環上の水素原子は、フッ素原子、ホルミル基、シアノ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基又は置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基で置換されていてもよい。なお、ここでいう「置換基を有していてもよい」の置換基は、イオン交換基を包含するものではない。
ここで、式(11a)〜(14a)におけるAr11〜Ar19で表される芳香族基及び式(11b)〜(14b)におけるAr21〜Ar29で表される芳香族基が有することができる置換基について、以下に例示する。
置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、ブチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ペンチル基、2,2−ジメチルプロピル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、2−メチルペンチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、イコシル基等の炭素数1〜20のアルキル基、及び、これらの基にフッ素原子、ヒドロキシル基、ニトリル基、アミノ基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、フェニル基、ナフチル基、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等が置換され、その総炭素数が20以下であるアルキル基が挙げられる。
置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ペントキシ基、2,2−ジメチルプロポキシ基、シクロペントキシ基、n−ヘキソキシ基、シクロヘキソキシ基、2−メチルペントキシ基、2−エチルヘキソキシ基、ドデシロキシ基、ヘキサデシロキシ基、イコシロキシ基等の炭素数1〜20のアルコキシ基、及び、これらの基にフッ素原子、ヒドロキシル基、ニトリル基、アミノ基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、フェニル基、ナフチル基、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等が置換され、その総炭素数が20以下であるアルコキシ基が挙げられる。
置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、フェナントレニル基、アントラセニル基等のアリール基、及びこれらの基にフッ素原子、ヒドロキシル基、ニトリル基、アミノ基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、フェニル基、ナフチル基、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等が置換され、その総炭素数が20以下であるアリール基が挙げられる。
置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基、フェナントレニルオキシ基、アントラセニルオキシ基等のアリールオキシ基、及びこれらの基にフッ素原子、ヒドロキシル基、ニトリル基、アミノ基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、フェニル基、ナフチル基、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等が置換され、その総炭素数が20以下であるアリールオキシ基が挙げられる。
置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、1−ナフトイル基、2−ナフトイル基等の炭素数2〜20のアシル基、及びこれらの基にフッ素原子、ヒドロキシル基、ニトリル基、アミノ基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、フェニル基、ナフチル基、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等が置換され、その総炭素数が21以下であるアシル基が挙げられる。
上述したなかでも、Ar11〜Ar19及びAr21〜Ar29で表される芳香族基が有している置換基が、フェニル基、ナフチル基、フェナントレニル基、アントラセニル基等のアリール基や、フェノキシ基、ナフチルオキシ基、フェナントレニルオキシ基、アントラセニルオキシ基等のアリールオキシ基、又は、ベンゾイル基、1−ナフトイル基、2−ナフトイル基等の芳香環を有するアシル基であると好ましい。これらの置換基を有する場合、ポリマーの耐熱性が良好となる傾向があり、より実用的な燃料電池用部材が得られる傾向にある。
Ar11〜Ar19やAr21〜Ar29で表される芳香族基が置換基として芳香環を有するアシル基を有する芳香環を有するアシル基を芳香環置換基として有する第2のブロック共重合体型高分子電解質においては、アシル基を有する2つの構造単位が隣接し、それらの2つの構造単位にあるアシル基同士が結合したり、また、アシル基同士が結合した後、転位反応を生じたりする場合がある。このように置換基同士が結合したり、結合後に転位反応を生じたりするような反応が生じたか否かは、例えば13C−核磁気共鳴スペクトルの測定により確認することができる。
上述した構造単位により構成される第2のブロック共重合体型高分子電解質は、炭化水素系高分子電解質であり、イオン交換基を有する構造単位と、イオン交換基を有しない構造単位とを有するが、特に、イオン交換基を有する構造単位による密な相が、膜厚方向に連続相を形成することができれば、よりプロトン伝導性に優れる高分子電解質膜が得られるといった利点があるので好ましい。
第2のブロック共重合体型高分子電解質は、式(11a)〜(14a)で表される構造単位からなるイオン交換基を有する構造単位と、式(11b)〜(14b)で表される構造単位からなるイオン交換基を有しない構造単位とを有するものである。好適なイオン交換基を有する構造単位とイオン交換基を有しない構造単位の組み合わせとしては、下記の表2の<a2>〜<m2>に示す構造単位の組み合わせが挙げられる。
Figure 2012109231
これらのなかでも、<b2>、<c2>、<d2>、<g2>、<h2>、<i2>、<j2>、<l2>、又は<m2>の組み合わせが好ましく、<g2>、<h2>、<l2>、又は<m2>の組み合わせがより好ましく、<g2>、<h2>、又は<l2>の組み合わせが更に好ましい。
より好適な第2のブロック共重合体型高分子電解質の例として、以下に示すイオン交換基を有する構造単位の群から選ばれる1種又は2種以上の構造単位と、以下に示すイオン交換基を有しない構造単位の群から選ばれる1種又は2種以上の構造単位と、から構成される共重合体を挙げることができる。第2のブロック共重合体型高分子電解質において、これらの構造単位同士は、直接結合で結合されているか、適当な原子又は原子団で結合されていてもよい。構造単位同士を結合する原子又は原子団の典型的な例としては、2価の芳香族基、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はこれらを組み合わせてなる2価の基を挙げることができる。
イオン交換基を有する構造単位の好適例としては、下記式(4a−1)〜(4a−20)、(4a−121)、(4a−122)で表される構造単位からなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
Figure 2012109231
Figure 2012109231
イオン交換基を有しない構造単位の好適例としては、下記式(4b−1)〜(4b−32)で表される構造単位からなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
Figure 2012109231
Figure 2012109231
Figure 2012109231
式(4b−15)〜(4b−32)中、r000は、0又は1以上の整数を示す。r000は、好ましくは100以下であり、より好ましくは1以上80以下である。
上述した好適例の中でも、イオン交換基を有する構造単位としては、(4a−1)、(4a−2)、(4a−3)、(4a−4)、(4a−5)、(4a−6)、(4a−7)、(4a−8)、(4a−9)、(4a−10)、(4a−11)及び(4a−12)のうちの少なくとも1種が好ましく、(4a−10)、(4a−11)及び(4a−12)のうちの少なくとも1種がより好ましく、(4a−11)及び/又は(4a−12)が更に好ましい。
また、イオン交換基を有しない構造単位としては、(4b−1)、(4b−2)、(4b−3)、(4b−4)、(4b−5)、(4b−6)、(4b−7)、(4b−8)、(4b−9)、(4b−10)、(4b−11)、(4b−12)、(4b−13)及び(4b−14)のうちの少なくとも1種が好ましく、(4b−2)、(4b−3)、(4b−9)、(4b−10)、(4b−13)及び(4b−14)のうちの少なくとも1種がより好ましく、(4b−2)、(4b−3)、(4b−13)及び(4b−14)のうちの少なくとも1種がさらに好ましく、(4b−2)、(4b−3)及び(4b−14)のうちの少なくとも1種が特に好ましい。
好適な第2のブロック共重合体型高分子電解質は、上記式(11a)〜(14a)で表される構造単位からなる、イオン交換基を有するセグメント(ブロック)と、上記式(11b)〜(14b)で表される構造単位からなる、イオン交換基を実質的に有しないセグメント(ブロック)とを有するものである。そして、好適なイオン交換基を有するセグメントを構成する構造単位と、イオン交換基を実質的に有しないセグメントを構成する構造単位との組み合わせとしては、下記の表3の<a3>〜<m3>に示すセグメントの組み合わせを挙げることができる。
Figure 2012109231
上述したイオン交換基を有するセグメント及びイオン交換基を実質的に有しないセグメントの組み合わせのなかでも、<b3>、<c3>、<d3>、<g3>、<h3>、<i3>、<j3>、<l3>、又は<m3>の組み合わせが好ましく、<g3>、<h3>、<l3>、又は<m3>の組み合わせがより好ましく、<g3>、<h3>又は<l3>の組み合わせが更に好ましい。
第2のブロック共重合体型高分子電解質の好ましい形態の一つとして、イオン交換基を有するセグメントの主鎖が、複数の芳香環が直接連結してなるポリアリーレン構造を有する形態があげられる。そのようなセグメントを構成するための構造単位として、好ましくは前述の(4a−10)、(4a−11)、(4a−12)、(4a−13)、(4a−14)、(4a−15)、(4a−16)、(4a−17)、(4a−18)、(4a−19)及び(4a−20)のうちの少なくとも1種が挙げられ、より好ましくは(4a−10)、(4a−11)及び(4a−12)のうちの少なくとも1種が挙げられ、更に好ましくは(4a−11)及び/又は(4a−12)が挙げられる。
このような構造単位を繰り返し単位を含むセグメント(すなわち、イオン交換基を有するセグメント)を有する高分子電解質、特に、このような繰り返し単位からなるセグメントを有する高分子電解質は、優れたイオン伝導性を発現できるものであり、また、当該セグメントがポリアリーレン構造となるため、化学的安定性も比較的良好となる傾向がある。
ここで「ポリアリーレン構造」とは、主鎖を構成している芳香環同士が直接結合で結合されている形態である。具体的には、芳香環同士の結合の総数を100%としたとき、直接結合の割合が80%以上の構造であると好ましく、90%以上の構造であるとより好ましく、95%以上の構造であるとさらに好ましい。なお、直接結合で結合されている形態以外の形態とは、芳香環同士が2価の原子又は2価の原子団で結合している形態である。
また、イオン交換基を有するセグメントとイオン交換基を実質的に有しないセグメントとは、直接結合している形態でもよく、適当な原子又は原子団で連結している形態でもよい。ここでいうセグメント同士を結合する原子又は原子団の典型的な例としては、2価の芳香族基、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はこれらを組み合わせてなる2価の基をあげることができる。
上述の如く、好適な第2のブロック共重合体型高分子電解質は、上記のイオン交換基を有する構造単位の群から選ばれる1種又は2種以上の構造単位を含むセグメント(すなわち、イオン交換基を有するセグメント)と、上記のイオン交換基を有しない構造単位の群から選ばれる1種又は2種以上の構造単位を含むセグメント(すなわち、イオン交換基を実質的に有しないセグメント)とから構成される。この場合のブロック共重合体は、イオン交換基を有するセグメントとイオン交換基を実質的に有しないセグメントとが直接結合で結合されているか、適当な原子又は原子団で結合された形態を有する。イオン交換基を有するセグメント及びイオン交換基を実質的に有しないセグメントの定義は、上述した親水性ブロック及び疎水性ブロックとそれぞれ同様である。
上記式(11a)〜(14a)で表される構造単位から選ばれる1種以上の構造単位からなるセグメントの重合度は2以上であると好ましく、3以上であるとより好ましく、5以上であると更に好ましく、10以上であると一層好ましい。また、かかるセグメントの重合度は1000以下が好ましく、500以下がより好ましい。この重合度が2以上、好ましくは5以上であると、第2のブロック共重合体型高分子電解質は、燃料電池用の高分子電解質として、十分なプロトン伝導度を発現し易くなる傾向にあり、この重合度が1000以下であると、第2のブロック共重合体型高分子電解質の製造がより容易となる傾向にある。
また、式(11b)〜(14b)で表される構造単位から選ばれる構造単位からなるセグメントの重合度は1以上であると好ましく、2以上であるとより好ましく、3以上であると更に好ましい。また、このセグメントの重合度は100以下が好ましく、90以下がより好ましく、80以下が更に好ましい。このような範囲内であれば、第2のブロック共重合体型高分子電解質は、燃料電池用の高分子電解質として、十分な機械強度を有し易く、また製造が容易となり易い傾向にある。
また、第2のブロック共重合体型高分子電解質の分子量は、ポリスチレン換算の数平均分子量で表して、5000〜1000000であることが好ましく、10000〜800000であることがより好ましく、10000〜600000であることが更に好ましく、15000〜400000であることが特に好ましい。このような範囲の分子量を有する第2のブロック共重合体型高分子電解質を用いることにより、高分子電解質膜は、その膜の形状を安定的に維持できる傾向がある。この数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される。
(化合物(a))
上述のとおり、化合物(a)は、上記式(A)で表される構造単位を有し重量平均分子量Mwが3000以下である化合物である。
ここで、化合物(a)の重量平均分子量Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)のポリスチレン換算により測定されるものである。ただし、GPCでの測定が困難な化合物(a)については、LC−MSの分析で分子量を同定する方法で測定する。なお、GPCを用いる場合における、GPCの測定条件を以下に示す。
<条件>
GPC測定装置:島津製作所社製 Prominence GPCシステム;
カラム :東ソー社製 TSKgel G2500HHR
検出器 :RI;
カラム温度 :40℃;
移動相溶媒 :DMF(LiBrを10mmol/dmになるように添加);
溶媒流量 :0.5mL/min。
溶媒への溶解性、分散性の観点からは、化合物(a)の重量平均分子量Mwは、250〜3000であることが好ましく、250〜2000であることがより好ましく、250〜1000であることが更に好ましい。
入手のしやすさや合成のしやすさ等の観点からは、化合物(a)中の式(A)で表される構造単位の数は5個以下であることが好ましい。例えば、化合物(a)としては、式(A)で表される構造単位が1個または2〜5個連結されてなり、その両末端が水素原子、水酸基、カルボキシル基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数6〜18のアリール基を有するアリールオキシ基、又は、炭素数2〜20のアシル基である化合物が挙げられる。
また、上記高分子電解質膜は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、上記以外の成分を含むことができる。このような成分としては、例えば、通常の高分子に使用される可塑剤、安定剤、離型剤等や、保水剤として添加される無機又は有機の微粒子が挙げられる。これらの成分を使用する際には、得られる高分子電解質膜の特性が著しく低下しない範囲で、その種類及び使用量を選択することが好ましい。なお、このような成分を含有する場合、その含有量は、高分子電解質100質量部に対して、20質量部以下であることが好ましく、0.1〜10質量部であることがより好ましく、0.5〜5質量部であることが更に好ましい。
本実施形態の高分子電解質膜は、例えば、上記高分子電解質、化合物(a)及び必要に応じその他の成分と、溶媒とを混合して得られた高分子電解質組成物を用いて形成することができる。
上記溶媒としては、高分子電解質を溶解可能であり、その後に除去し得るものであれば特に制限はなく、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の塩素系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテルなどが好適に用いられる。これらは単独で用いることもできるが、必要に応じて2種以上の溶媒を混合して用いることもできる。中でも、ジメチルアセトアミド、ジクロロメタン、メタノール混合溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドは、溶解性が高く好ましい。
具体的には、高分子電解質膜は、例えば、上述のようにして得られた高分子電解質組成物をキャストする溶液キャスト法や、上記高分子電解質組成物を多孔質基材に含浸させ複合化させる含浸法などによって形成することができる。以下、各方法及びこれらの方法によって得られる高分子電解質膜について説明する。
<溶液キャスト法>
まず、高分子電解質組成物から溶液キャスト法を用いて、燃料電池用隔膜(高分子電解質膜)を製造する方法について説明する。
溶液キャスト法とは、高分子電解質組成物を、ガラス基板、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム等の支持基材上に流延塗布(キャスト製膜)して塗膜を形成せしめ、該塗膜から溶媒等の揮発成分を除去することにより支持基材上に高分子電解質膜を製膜する方法である。そして、高分子電解質膜が形成された支持基材を、高分子電解質膜から剥離等によって除去することで、高分子電解質膜を得ることができる。
高分子電解質膜は、上記高分子電解質組成物を支持基材上に塗布して塗膜を製造し、溶媒が塗膜中に残存するようにして該塗膜を乾燥させる乾燥工程と、該乾燥工程の後の塗膜から、残存している溶媒を、洗浄溶媒によって洗浄除去する洗浄工程と、を有する製造方法により製造されることが好ましい。
ここで、乾燥工程後に残存している溶媒の重量が、塗膜中にあるブロック共重合体型高分子電解質の重量に対して1重量%以上であると好ましく、5重量%以上であるとより好ましい。乾燥工程後に残存している溶媒の重量が、ブロック共重合体型高分子電解質の重量に対してこの範囲であるとき、乾燥工程後に得られる塗膜で良好な相分離構造が発現するので、極めて高度のイオン伝導度を有する高分子電解質膜が得られると推定される。
また、該乾燥工程の後に残存している溶媒の重量が、塗膜中にあるブロック共重合体型高分子電解質の重量に対して150%以下であると好ましく、100%以下であるとより好ましい。乾燥工程後に残存している溶媒の重量が、ブロック共重合体型高分子電解質の重量に対してこの範囲であるとき、乾燥工程後に得られる塗膜を支持基材から剥離しても、高分子電解質膜が破断したりしない程度の十分な強度を示すという利点がある。
なお、乾燥工程を経て得られた塗膜に溶媒を残存させるために、温度等の乾燥条件を調整することが好ましい。
このようにして得られる高分子電解質膜の厚みは、特に制限はないが、燃料電池用隔膜として実用的である点で5〜300μmが好ましく、7〜100μmであればより好ましい。膜厚が5μm以上であると、実用的な強度の高分子電解質膜が得られるため好ましく、300μm以下であると、膜抵抗自体が小さくなる高分子電解質膜が得られやすいので好ましい。膜厚は、高分子電解質組成物におけるブロック共重合体型高分子電解質の重量濃度及び支持基材上の塗膜の塗布厚により制御できる。
<含浸法>
次に、含浸法により高分子電解質膜を形成する方法について説明する。
高分子電解質膜は、例えば、高分子電解質組成物を多孔質基材に含浸させ複合化することにより、複合膜として形成することができる。このような方法によれば、膜の強度や柔軟性、耐久性を更に向上することができる。
多孔質基材としては、上述の使用目的を満たすものであれば特に制限は無く、例えば多孔質膜、織布、不織布、フィブリル等が挙げられ、その形状や材質によらず用いることができる。多孔質基材の材質としては、耐熱性の観点や、物理的強度の補強効果を考慮すると、脂肪族系高分子、芳香族系高分子、または含フッ素高分子が好ましい。
この場合、多孔質基材の膜厚は、1〜100μmが好ましく、3〜30μmがより好ましく、5〜20μmが更に好ましい。また、多孔質基材の孔径は、0.01〜100μmが好ましく、0.02〜10μmがより好ましい。さらに、多孔質基材の空隙率は、20〜98%が好ましく、40〜95%がより好ましい。
多孔質基材の膜厚が1μm以上であると、複合化後の強度補強の効果あるいは、柔軟性や耐久性を付与するといった補強効果がより優れ、ガス漏れ(クロスリーク)が発生しにくくなる。また、該膜厚が100μm以下であると、電気抵抗がより低くなり、得られた複合膜が固体高分子型燃料電池のイオン伝導膜として、より優れたものとなる。該孔径が0.01μm以上であると、本発明の共重合体の充填がより容易となり、100μm以下であると、共重合体への補強効果がより大きくなる。空隙率が20%以上であると、イオン伝導性の抵抗がより小さくなり、98%以下であると、多孔質基材自体の強度がより大きくなり補強効果がより向上するので好ましい。
上述のようにして形成した高分子電解質膜は、例えば、固体高分子形燃料電池用の高分子電解質膜として用いることができる。
(膜−電極接合体及び固体高分子形燃料電池)
上記高分子電解質膜を備える膜−電極接合体及び当該膜−電極接合体を備える固体高分子形燃料電池について説明する。このような膜−電極接合体は、上述の高分子電解質膜を備えることにより、外観が優れ、ピンホールや皺が低減されることから耐久性に優れる。また、このような固体高分子形燃料電池は、外観が優れ、ピンホールや皺が低減されることから、燃料電池として使用した際の耐久性に優れる。
図1は、本発明の好適な実施形態に係る固体高分子形燃料電池(燃料電池単セル)100の一部破断斜視図である。図1に示す固体高分子形燃料電池100は、膜−電極接合体(MEA)10、一対のガスケット4及び一対のセパレータ5を備える。膜−電極接合体10は、高分子電解質膜1、高分子電解質膜1の両面においてその面の一部に形成された触媒層2、及び触媒層2の面のうち高分子電解質膜1とは反対の面に形成された一対のガス拡散層3を備える。そして、膜−電極接合体10は、一対のセパレータ5で挟持されており、ガスケット4は、高分子電解質膜1とセパレータ5の間に配されている。なお、膜−電極接合体10において、ガス拡散層3は必ずしも必要ではない。ここで、高分子電解質膜1は、本発明に係る高分子電解質膜である。
膜−電極接合体10は、例えば、本発明に係る高分子電解質膜の両面に、触媒及び導電性物質を含む触媒層を接合することにより製造することができる。
ここで触媒としては、水素又は酸素との酸化還元反応を活性化できるものであれば特に制限はなく、公知のものを用いることができるが、白金又は白金系合金の微粒子を触媒として用いることが好ましい。なお、この白金又は白金系合金の微粒子はしばしば活性炭や黒鉛などの粒子状又は繊維状のカーボンに担持されて用いられることもある。
触媒層2は、例えば、上記触媒を、高分子電解質としてのパーフルオロアルキルスルホン酸樹脂のアルコール溶液と共に混合してペースト化した触媒インクを調製し、ガス拡散層及び/又は高分子電解質膜に塗布・乾燥することにより形成できる。具体的な方法としては例えば、J. Electrochem. Soc.:Electrochemical Science and Technology,1988,135(9),2209 に記載されている方法等の公知の方法を用いることができる。
なお、膜−電極接合体10の製造において、ガス拡散層3となる基材上に触媒層2を形成した後、高分子電解質膜1の両面にガス拡散層3及び触媒層2を接合させることにより、高分子電解質膜1の両面にガス拡散層3と触媒層2とをともに備えた膜−電極接合体10を製造することができる。当該膜−電極接合体10は、触媒インクを高分子電解質膜1に塗布して高分子電解質膜1上に触媒層2を形成させた後、触媒層2上に更にガス拡散層3を形成させる方法により製造してもよい。
ここで、触媒層2の製造用に使用される触媒インクとして、高分子電解質及び溶媒を含有する高分子電解質組成物に上記カーボン担持触媒を混合してなる触媒組成物を用いることもできる。
ガス拡散層には公知の材料を用いることができるが、多孔質性のカーボン織布、カーボン不織布またはカーボンペーパーが、原料ガスを触媒へ効率的に輸送するために好ましい。
そして、固体高分子形燃料電池100は、例えば、上述のようにして得られた膜−電極接合体10をセパレータ5で挟持し、高分子電解質膜1とセパレータ5の間をガスケット4でシールすることにより製造できる。
固体高分子形燃料電池100は、燃料として水素ガス又は改質水素ガスを使用する形式はもとより、メタノールを用いる各種の形式で使用可能である。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。
以下に本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<評価方法>
ここで、高分子電解質膜の外観評価及び保護フィルムとの剥離性評価の方法は以下のとおりである。
(外観評価)
支持基材上に、高分子電解質溶液を流延塗布した後、乾燥機で有機溶媒を除去して、高分子電解質膜を得た。得られた高分子電解質膜を10cm×20cmのサイズにて切出し外観評価を実施した。外観評価は、ブツ状の欠陥が全く発生しない状態を「極めて良好」、1〜2個発生した場合を「良好」、3個以上発生した場合は「不良」と判断した。
(保護フィルムとの剥離性評価)
高分子電解質膜に、保護フィルムとしてPE/EVA積層フィルムのEVA面を高分子電解質膜に貼合させ、高分子電解質積層体を得た。得られた高分子電解質積層体を10cm×20cmのサイズにて切出し、この時の保護フィルムと高分子電解質膜との剥離性について評価した。剥離性については、剥離痕が全く発生しない状態を「極めて良好」、1〜2本発生した場合を「良好」、3本以上発生した場合は「不良」と判断した。
<合成例1>
共沸蒸留装置を備えたフラスコに、窒素雰囲気下、4,4’−ジヒドロキシ−1,1’−ビフェニル52.8g(284mmol)、炭酸カリウム43.1g(312mmol)、N−メチルピロリドン500g、トルエン250gを加えた。バス温160℃で3.5時間トルエンを加熱還流することで系内の水分を共沸脱水した。生成した水とトルエンを留去した後、120℃まで放冷し、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン114g(397mmol)を加えた。バス温を180℃に昇温し、7時間保温撹拌した。放冷後、反応液を、メタノール2503gと6mol/L塩酸501gとの混合溶液に加え、析出した沈殿を濾過した後、イオン交換水で中性になるまで洗浄し、乾燥した。得られた粗生成物148gをN−メチルピロリドン500gに溶解し、不溶物を濾過した後、メタノール2503gと6mol/L塩酸501gとの混合溶液に加え、析出した沈殿を濾過した後、イオン交換水で中性になるまで洗浄し、メタノールで洗浄し、乾燥し下記式(E)で表されるイオン交換基を実質的に有しないセグメントを誘導する前駆体144gを得た。
なお、当該前駆体の分子量をGPCにより測定したところ、Mnが1400であり、Mwが2800であった。
Figure 2012109231
ここで、式(E)中、nは繰り返し単位数を表す。
また、このときの、GPCの分析条件は下記の通りとした。
[条件]
GPC測定装置:島津製作所社製 Prominence GPCシステム;
カラム :東ソー社製 TSKgel GMHHR−M(300mm(カラムの長さ)×7.8mm(カラムの径)、5μm(充填剤の径));
カラム温度 :40℃;
移動相溶媒 :DMF(LiBrを10mmol/dmになるように添加);
溶媒流量 :0.5mL/min;
標準物質 :ポリスチレン;
検出器 :RI
次に、アルゴン雰囲気下、フラスコに無水臭化ニッケル7.07g(32.4mmol)、N−メチルピロリドン400gを加え、内温65℃で攪拌した。無水臭化ニッケルが溶解したのを確認した後、バス温を50℃に冷却し、2,2’−ビピリジル6.06g(38.8mmol)、イオン交換水0.47gを加え、ニッケル含有溶液を調製した。
アルゴン雰囲気下、フラスコに上記式(E)で表されるイオン交換基を実質的に有しないセグメントを誘導する前駆体13.4g、4,4’−ジクロロビフェニル−2,2’−ジスルホン酸ジ(2,2−ジメチルプロピル)80.0g(153mmol)、亜鉛粉末15.9g(243mmol)、N−メチルピロリドン1200gを加え50℃に調整した。得られた溶液に、メタンスルホン酸1重量部とN−メチルピロリドン9重量部との混合溶液3.51g、を加え、50℃で30分間撹拌した。これに、上記ニッケル含有溶液を注ぎ込み、50℃で6時間重合反応を行い、黒色の重合溶液を得た。
得られた重合溶液を、2mol/L塩酸水溶液6720gに投入し、室温で1時間間撹拌した。生じた沈殿を濾過した後、2mol/L塩酸水溶液3200gを加え、室温で30分間撹拌し、濾過し、イオン交換水で濾液のpHが4を越えるまで洗浄した。得られた粗ポリマーに、イオン交換水1600gと、メタノール1600gを加え、バス温90℃で1時間加熱撹拌した。粗ポリマーをろ過し、イオン交換水で洗浄、乾燥することで、スルホン酸前駆基(スルホン酸(2,2−ジメチルプロピル)基)を有するポリマー(F)81.6gを得た。
次に、以下のようにしてスルホン酸前駆基をスルホ基に変換した。
まず、上述のようにして得られたスルホン酸前駆基を有するポリマー(F)40.3g、イオン交換水99.2g、無水臭化リチウム26.6g(306mmol)及びN−メチルピロリドン826gをフラスコに入れ、バス温126℃で12時間加熱撹拌し、ポリマー溶液を得た。得られたポリマー溶液を6mol/L塩酸水溶液3970gに投入し、1時間攪拌した。析出した粗ポリマーを濾過し、メタノール50重量部と6mol/L塩酸水溶液50重量部との混合溶液1985gで洗浄する操作を3回繰り返した。その後、濾液のpHが4を越えるまでイオン交換水で洗浄した。続いて、得られたポリマーに大量のイオン交換水を加え、内温90℃以上に昇温し、約15分間加熱保温し濾過する洗浄操作を、7回繰り返した。得られたポリマーを乾燥することにより下記式(i)であらわされる繰り返し単位と、下記式(ii)で表されるセグメントとを含むポリマー(BCP−1)を得た。
Figure 2012109231

Figure 2012109231
ここで、式(ii)中、nは繰り返し単位数を表す。
なお、得られたポリマー(BCP−1)を上記条件のGPCで測定した結果、そのMwは837000であった。
(実施例1)
合成例1で得られたBCP−1を、N−メチルピロリドン(NMP)に、ガラス容器中で溶解させた。なお、BCP−1/NMPの比率は、重量比で、6.5/93.5とした。
これに化合物(a)として、東京化成工業株式会社製のテレフタル酸ビス(2−ヒドロキシエチル)(分子量:254.24)をBCP−1に対して500質量ppm添加した高分子電解質溶液を調製した。
Figure 2012109231
そして、得られた高分子電解質溶液を、支持基材としてガラス板上に、高分子電解質溶液を流延塗布した後、80℃に設定した乾燥機で有機溶媒を除去して、高分子電解質膜(高分子電解質膜:厚み10μm)を得た。得られた高分子電解質膜の外観評価の結果を表1に示す。得られた高分子電解質膜に、保護フィルムとして60μmのPE/EVA積層フィルムのEVA面を高分子電解質膜に貼合させ、高分子電解質積層体を得た。この時の保護フィルムと高分子電解質膜との剥離性の評価結果を表4に示す。
(実施例2)
化合物(a)としての東京化成工業株式会社製のテレフタル酸ビス(2−ヒドロキシエチル))の添加量をBCP−1に対して1500質量ppmとしたこと以外は、実施例1と同様の方法で高分子電解質膜、及び高分子電解質積層体を得た。その時の外観評価、剥離性評価結果については表4に示す。
(実施例3)
化合物(a)としての東京化成工業株式会社製のテレフタル酸ビス(2−ヒドロキシエチル))の添加量をBCP−1に対して2500質量ppmとしたこと以外は、実施例1と同様の方法で高分子電解質膜、及び高分子電解質積層体を得た。その時の外観評価、剥離性評価結果については表4に示す。
(比較例1)
化合物(a)を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様の方法で高分子電解質膜、及び高分子電解質積層体を得た。その時の外観評価、剥離性評価結果については表4に示す。
(比較例2)
化合物(a)としての東京化成工業株式会社製のテレフタル酸ビス(2−ヒドロキシエチル))の添加量をBCP−1に対して5000質量ppmとしたこと以外は、実施例1と同様の方法で高分子電解質膜、及び高分子電解質積層体を得た。その時の外観評価、剥離性評価結果については表4に示す。
Figure 2012109231
以上より、実施例1〜3の高分子電解質膜は、比較例1,2の高分子電解質と比較し、その外観及び保護フィルムからの剥離性に優れることを確認した。
1…高分子電解質膜、2…触媒層、3…ガス拡散層、4…ガスケット、5…セパレータ、10…膜−電極接合体(MEA)、100…固体高分子形燃料電池(燃料電池単セル)。

Claims (5)

  1. 高分子電解質と、
    下記式(A)で表される構造単位を有する重量平均分子量Mwが3000以下である化合物(a)と、を含有し、
    前記化合物(a)の含有量X質量ppmが下記式(1)を満たす高分子電解質膜。
    Figure 2012109231

    10≦X≦3000 …(1)
  2. 前記Xが下記式(1−1)を満たす、請求項1に記載の高分子電解質膜。
    10≦X≦2000 …(1−1)
  3. 前記Xが下記式(1−2)を満たす、請求項1又は2に記載の高分子電解質膜。
    10≦X≦1000 …(1−2)
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の高分子電解質膜を備える、膜−電極接合体。
  5. 請求項4に記載の膜−電極接合体を備える、固体高分子形燃料電池。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013539459A (ja) * 2010-08-04 2013-10-24 コンパニー ゼネラール デ エタブリッスマン ミシュラン イオウ含有のスルホン化芳香族ペルフルオロアルカンモノマー
JP2017199464A (ja) * 2016-04-25 2017-11-02 国立大学法人山梨大学 高分子電解質膜及びその利用

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