JP2012096225A - 加飾方法、加飾物品および美爪料 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】金属コロイド粒子(a1)と溶剤(a2)とを含有してなる金属光沢剤(A)を基材に塗布して金属光沢層を形成する工程と、次に、金属コロイド粒子(a1)を非相溶または不溶な溶剤(b2)と該溶剤(b2)に溶解する透明樹脂(b1)とを含有してなる光沢安定化剤(B)を該金属光沢層の上に塗布して光沢安定化層を形成する工程とを、含むことを特徴とする加飾方法など。
【選択図】図1
Description
そして、従来の金属光沢を付与できる加飾方法では、例えば、基材にメタリック塗料を塗布する方法や、スパッタ(蒸着)を施す方法、金属メッキなどの方法がなされている。しかし、メタリック塗料を用いる方法では、含まれるメタリック粒子が粗く、光沢感に乏しく、本物に近い金属光沢の発現は困難であった。また、スパッタ(蒸着)を施す方法や金属めっきは、本物に近い金属光沢を付与することができるが、大掛かりな設備が必要であり、さらに、前者は、減圧下でのバッチ処理が必要であること、また、後者は、重金属のめっき浴の取り扱いや管理が困難であることから、手軽に加飾できる方法ではなく、少量他品種の加飾にも、不向きで、特に、人体の一部、例えば、爪への加飾には、適用できなかった。
金属コロイドは、金属ナノ粒子を保護コロイド剤等で処理したもので、溶媒や樹脂等に分散された状態においては、金属ナノ粒子の表面プラズモン共鳴に基づくとされる独特の発色を呈する。この金属コロイドを塗布して溶媒を揮発、乾燥させると、金属コロイドが密に集合して、きめ細かい金属光沢塗膜が形成されることが知られている。これは、金属コロイド間の距離が近接するために、表面プラズモン共鳴による発色よりも、反射光による金属光沢が支配的になるためと、されている。
ところが、基材が人の爪や耐熱性に乏しい樹脂の場合には、加熱処理での固定化処理は、適用できない。そこで、室温での固定化処理が望まれているが、例えば、室温での密着性向上の方法として、美爪剤の場合には、特定のベースコート層を介して金属コロイド膜を形成する方法などが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
しかし、この方法でも、表出している金属コロイド膜への擦れによる表面の損傷は避けられなく、耐擦過性が乏しい。
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、さらに、透明加飾剤(D)を前記光沢安定化層の表面上に塗布して透明加飾層を形成する工程を有することを特徴とする加飾方法が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明において、前記金属コロイド粒子(a1)は、平均粒子径が1〜100nmであることを特徴とする加飾方法が提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第1〜6のいずれかの発明において、前記透明樹脂(b1)は、スチレン系ゴム、アクリル系樹脂及びセルロース系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする加飾方法が提供される。
また、本発明の第8の発明によれば、第1〜7のいずれかの発明において、前記光沢安定化剤(B)に、さらにシリコーン系添加剤が配合されていることを特徴とする加飾方法が提供される。
さらに、本発明の第9の発明によれば、第2の発明において、前記ベースコート剤(C)は、前記溶剤(a2)に非相溶または不溶な皮膜形成剤(c1)と、溶剤(c2)とを含有することを特徴とする加飾方法が提供される。
さらに、本発明の加飾方法では、所望により、前記金属光沢層を形成する工程の前に、予め、ベースコート剤(C)を基材に塗布してベースコート層を形成する工程、及び/又は、透明加飾剤(D)を前記光沢安定化層の表面上に塗布して透明加飾層を形成する工程を有することを特徴とする(図2〜4参照。)。
以下、本発明を項目毎に、説明する。
本発明に係る金属光沢剤(A)は、金属コロイド粒子(a1)と溶剤(a2)とを含有してなり、基材に塗布、乾燥(常温による自然乾燥を含む)して、金属光沢層を形成する機能を有するものである。
上記基材としては、特に限定されないが、本発明の加飾方法が用いられる用途を考慮すると、例えば、マニキュアに代表されるネイルアートの美爪料に用いられる場合には、人間の爪であり、蒔絵、プラモデルなどの場合は、それらを形成する素材、例えば、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂などのプラスチックである。さらに、通常の紙やプラスチック、繊維、ガラス等任意の基材も、用いることができる。
本発明の加飾方法に用いられる金属コロイド粒子(a1)は、好ましくは、平均粒子径が1〜100nm、より好ましくは1〜50nmである貴金属のコロイド粒子であり、金属光沢剤(A)全量中の濃度が5〜50質量%の範囲で含有する。さらに、金属コロイド粒子(a1)は、分散媒中に分散した貴金属コロイド液として、配合するほうが好ましい。これにより、例えば、美爪料として塗布する際に、筆等での塗布が容易になる。
そして、溶剤(a2)が揮発し、基材上、例えば、爪上に、形成された塗膜になった美爪料中に含まれる金属粒子の含有量は、90質量%以上が好ましく、さらには93質量%以上が好ましい。90質量%未満では、形成する塗膜に美しい鏡面光沢を得ることができない。
本発明において、上記高分子顔料分散剤としては、目的に応じて、極性または低極性のどちらでも適用でき、特に限定されないが、以下に説明するものを好適に使用することができる。すなわち;
(1)顔料親和性基を主鎖及び/又は複数の側鎖に有し、かつ、溶媒和部分を構成する複数の側鎖を有する櫛形構造の高分子
(2)主鎖中に顔料親和性基からなる複数の顔料親和部分を有する高分子
(3)主鎖の片末端に顔料親和性基からなる顔料親和部分を有する直鎖状の高分子
本発明において、上記顔料親和性基は、貴金属又は銅等に対して、強い親和力を示す。上記高分子顔料分散剤は、上記顔料親和性基を有することにより、金属の保護コロイドとして充分な性能を発揮することができる。
また、上記櫛形構造の高分子(1)は、顔料親和性基が1分子中に2〜3000個存在するものが好ましい。2個未満であると、分散安定性が充分ではなく、3000個を超えると、粘度が高すぎて取り扱いが困難となり、また、コロイド粒子の粒度分布が広くなり、彩度が低下する。より好ましくは、25〜1500個である。
上記共重合体(2)としては、例えば、ポリイソシアネートと、モノヒドロキシ化合物及びモノヒドロキシモノカルボン酸又はモノアミノモノカルボン酸化合物の混合物、並びに、少なくとも1つの塩基性環窒素とイソシアネート反応性基とを有する化合物との反応物;ポリウレタン/ポリウレアよりなる主鎖に複数の第3級アミノ基又は塩基性環式窒素原子を有する基がペンダントした高分子等を挙げることができる。
また、上記共重合体(2)は、顔料親和性基が1分子中に2〜3000個存在するものが好ましい。2個未満であると、分散安定性が充分ではなく、3000個を超えると、粘度が高すぎて取り扱いが困難となり、また、コロイド粒子の粒度分布が広くなり、彩度が低下する。より好ましくは、25〜1500個である。
上記直鎖状の高分子(3)としては、特に限定されず、例えば、一方が塩基性であるA−Bブロック型高分子;Aブロックに芳香族カルボン酸を導入したA−Bブロック型高分子;片末端が塩基性官能基であるA−Bブロック型高分子;片末端が酸性官能基であるA−Bブロック型高分子;Aブロックに芳香族カルボン酸を導入したA−Bブロック型高分子の耐候黄変性を改良したもの等を挙げることができる。
また、上記直鎖状の高分子(3)は、顔料親和性基が1分子中に2〜3000個存在するものが好ましい。2個未満であると、分散安定性が充分ではなく、3000個を超えると、粘度が高すぎて取り扱いが困難となり、また、コロイド粒子の粒度分布が広くなり、彩度が低下する。より好ましくは、5〜1500個である。
極性高分子顔料分散剤の市販されているものとして、ディスパービックR、ディスパービック154、ディスパービック180、ディスパービック187、ディスパービック184、ディスパービック183、ディスパービック185、ディスパービック190、ディスパービック191、ディスパービック192、ディスパービック193(以上ビックケミー社製)、ソルスパース20000、ソルスパース27000、ソルスパース12000、ソルスパース40000、ソルスパース41090、ソルスパース44000、ソルスパースHPA34(以上ルーブリゾール社製)、EFKA−4500、EFKA−4510、EFKA−4530、EFKA−4540、EFKA−4550、EFKA−4560、EFKA−4570、EFKA−4580、EFKA−1501、EFKA−1502(以上エフカ アディテブズ社製)等を挙げることができる。
また、低極性高分子顔料分散剤の市販されているものとして、ディスパービック110、ディスパービックLP−6347、ディスパービック170、ディスパービック171、ディスパービック174、ディスパービック160、ディスパービック162、ディスパービック163、ディスパービック164、ディスパービック161、ディスパービック166、ディスパービック168(以上ビックケミー社製)、ソルスパース24000、ソルスパース28000、ソルスパース32500、ソルスパース32550、ソルスパース32600、ソルスパース31845、ソルスパース26000、ソルスパース36600、ソルスパース37500、ソルスパース35100、ソルスパース38500(以上ルーブリゾール社製)、EFKA−1101、EFKA−1120、EFKA−1125、EFKA−4046、EFKA−4047、EFKA−4080、EFKA−4050、EFKA−4055、EFKA−4008、EFKA−4009、EFKA−4010、EFKA−4015、EFKA−4400、EFKA−4401、EFKA−4402、EFKA−4403、EFKA−4020(以上エフカ アディテブズ社製)等を挙げることができる。
なお、本発明における平均粒子径は、画像によるカウント法(所謂SEM法)により測定された数値であり、SEM又はTEM(透過型電子顕微鏡)で一次粒子が視認できる倍率の画像において、ランダムに選択した1000個の金属コロイド粒子画像のそれぞれ輪郭の最長径を測定し、相加平均(算術平均)して得られた数値である。
本発明の加飾方法に用いられる溶剤(a2)は、上記の金属コロイド粒子(a1)を、分散させ、常温で塗膜を形成することが必要なため、常温で揮発性を有するものが好ましい。
具体的には、エタノールなどのアルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエンなどの有機溶剤類、水などを使用することができるが、エタノールを主成分とするエタノール系溶剤が好ましい。エタノール系溶剤には、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエンなどの他の有機溶剤は、含まない方が好ましい。
また、エタノールを用いる場合、金属光沢剤(A)中のエタノールの含有量は、20〜95質量%が好ましい。20質量%未満では、金属光沢剤(A)の塗工性の低下により、鏡面金属光沢性や耐摩耗性が劣り、一方、95質量%を超えると、貴金属含有量が減少するため、鏡面光沢が得られず好ましくない。
本発明に係る光沢安定化剤(B)は、前記の金属コロイド粒子(a1)を非相溶または不溶な溶剤(b2)と、該溶剤(b2)に溶解する透明樹脂(b1)とを含有してなり、前記の金属光沢剤(A)により形成された金属光沢層の上に塗布、乾燥および/または硬化させて、透明な光沢安定化層を形成し、前記金属光沢層を保護する機能を有するものである。
そして、前記の金属コロイド粒子(a1)を非相溶または不溶な溶剤(b2)を適用したことによって、金属光沢層上に塗布したときに、金属光沢層中の金属コロイドを再溶解しないので、金属光沢層の光沢を損なうことなく、透明な光沢安定化層を形成できる。
また、本発明に係る光沢安定化層は、一般的な塗料に対して、溶解、膨潤などの影響が少ないため、さらに、光沢安定化層の上に、一般的な塗料、例えば、後記する透明加飾剤(D)を塗布することにより、調色、強度の向上など、様々な加飾を行うことができるという利点もある。
本発明の加飾方法に用いられる透明樹脂(b1)は、塗布、乾燥および/または硬化後に光沢安定化層を形成する成分であり、溶剤(b2)に可溶であって、光沢安定化層形成時の光透過率が大きく、透明性が高いものである。前記光透過率としては、金属光沢層の光沢性を損なわない程度であって、例えば、波長が380〜780nm領域の可視光の全光線透過率(JIS K7105「プラスチックの光学的特性試験方法」準拠)は、80%以上であることが好ましく、より好ましくは85%以上、特に好ましくは90%以上である。
また、上記スチレン系ゴムは、スチレン系ゴム重合体ともいわれるものであり、例えば、室温でゴム弾性体である共重合体であり、部分的に又は完全に水素添加されたものが含まれる。
具体的には、スチレン系ゴムであって、例えば、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、スチレン−ブタジエン共重合体の水添物(ランダム共重合体や、ブロック共重合体、グラフト共重合体など含まれる。)、スチレン−ブタジエン熱可塑性ゴム(SBR)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、水添スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SEBS)、水添スチレン−イソプレン−ブタジエン−スチレン共重合体、水添イソプレン−スチレン共重合体(SEP)、水添スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SEPS)、水添スチレン−ブタジエンランダム共重合体(HSBR)などが挙げられる。
また、上記セルロース系樹脂としては、エチルセルロース、ニトロセルロース、酢酸酪酸セルロースなどが挙げられる。
さらに、上記アクリル系樹脂としては、アクリル酸メチルや各種のアクリル酸エステル系共重合体、アクリル酸アルキル系共重合体、メタクリル酸エステル系重合体など、公知のアクリル系クリア塗料に、使用されているものを適用できる。
また、低極性溶剤に溶解し易い(膨潤状態を含む)メタクリル酸エステルとしては、例えば、脂環族炭化水素系溶剤に対してはメタクリル酸シクロヘキシル(CHMA)、メタクリル酸シクロペンチル、メタクリル酸シクロヘプチルなどが好適である。
本発明の加飾方法に用いられる溶剤(b2)は、前記スチレン系ゴムやアクリル樹脂、セルロース系樹脂などの透明樹脂(b1)を溶解でき、かつ、前記の金属コロイド粒子(a1)を非相溶または不溶な溶剤である必要があり、前記高分子顔料分散剤が極性のポリマー(特にアミノ系)の場合には、低極性の溶剤を用いることが好ましい。
本発明の加飾方法では、溶剤(b2)は、脂肪族または脂環族炭化水素系溶剤が好ましく、乾燥性を考慮すると、沸点40〜150℃の溶剤が好ましい。具体的には、ノルマルペンタン(沸点36.0℃)、イソペンタン、ノルマルヘキサン(沸点68.7℃)、イソヘキサン(沸点62℃)、ノルマルヘプタン(沸点98.4℃)、ノルマルオクタンなどの脂肪族炭化水素系溶剤、シクロペンタン(沸点49.2℃)、メチルシクロペンタン(沸点71.8℃)、シクロヘキサン(沸点80.0℃)、メチルシクロヘキサン(沸点100.9℃)、エチルシクロヘキサン(沸点132℃)等の脂環族炭化水素系溶剤が挙げられ、中でも、メチルシクロヘキサン、ノルマルヘキサン及びシクロヘキサンからなる群から選ばれる少なくとも一つであることがより好ましい。これらは、単独もしくは混合して使用可能である。尚、金属光沢層(A)を溶解させない程度に、低極性溶剤以外の溶剤を含んでもよい。
一方、高分子顔料分散剤が低極性ポリマーの場合には、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、アルコール系溶剤、水、アセトン、MEK等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤などが適用できる。
また、所望により、光の反射に変化をつけて、独特の意匠を発現させる目的で、再帰反射性や蓄光性を有するビーズやフィラーを添加してもよい。前記の再帰反射性や蓄光性を有するビーズやフィラーは、金属光沢層に塗布した際に、金属光沢層の金属光沢性を著しく低下させたり、金属光沢層を損傷させない範囲で、粒径や添加量を調整すればよい。例えば、0.5mmを超えるような大きい径のビーズの場合には、塗布したときにビーズ同士の間隔が比較的広くなるような添加量とすることによって、金属光沢層の高い光反射性とビーズの再帰反射性が融合した独特の煌めき感や、蓄光との相乗効果よる幻想的な煌めきを発現させることができる。また、光沢安定化層の厚みよりもビーズ径が大きい場合には、表面の凹凸感が加わり、再帰反射性ビーズ、蓄光性ビーズともに、より煌めき感を強調することができる。
本発明に係るベースコート剤(C)は、皮膜形成剤(c1)と溶剤(c2)とを含有してなり、前記金属光沢層を形成する工程の前に、予め、基材に塗布、乾燥および/または硬化してベースコート層を形成する機能を有するものである。ベースコート剤(C)は、皮膜形成剤(c1)を、水またはアルコールなどの溶剤(c2)に溶解もしくは分散したものであり、ベースコート層を形成することにより、仕上がりの鏡面光沢感が更に向上し、金属光沢層の耐久性を高めることができ、さらに、基材と金属光沢層との密着性を向上させることができる。ベースコート剤(C)として、通常の溶剤系のベースコートや、分散媒に主に水を使用した水系ベースコートを使用することができる。さらに、紫外線照射によって硬化するベースコート剤を適用することもできる。
本発明の加飾方法に用いられる皮膜形成剤(c1)としては、エチルセルロース、ニトロセルロース、酢酸酪酸セルロース等のセルロース系皮膜剤、アクリル系樹脂、スルホンアミド樹脂、ショ糖安息香酸エステル、ショ糖酢酸酪酸エステル、フタル酸系アルキッド樹脂、トリメリト酸系アルキッド樹脂等が使用可能である。特に、(i)ニトロセルロースと、(ii)ショ糖安息香酸エステル、トリメリト酸系アルキッド樹脂、トルエンスルホンアミド樹脂から選ばれる1種又は2種以上との組み合わせが好ましい。
また、水系ベースコートの皮膜形成剤(c1)には、アクリル系樹脂、アクリル系ポリマーエマルション、酢酸ビニルエマルション、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
また、ベースコート剤(C)には、皮膜形成剤(c1)の可塑剤を配合することがより好ましい。可塑剤の配合により、ベースコート上に塗布される鏡面光沢を有する金属光沢層の皮膜の耐摩耗性及び耐水性を向上させることができる。
可塑剤としては、カンファー、クエン酸エステル類、フタル酸エステル類、セバシン酸エステル類、アジピン酸エステル類等を使用することができる。可塑剤の配合量は、ベースコート剤(C)に配合される皮膜形成剤(c1)に対して、5〜60質量%であり、特に好ましくは10〜50質量%である。5質量%未満では、十分な耐摩耗性向上効果が得られず、一方、60質量%を超えると、ベースコート層の皮膜が柔軟となり、耐摩耗性がかえって低下する。
本発明の加飾方法に用いられる溶剤(c2)は、皮膜形成剤(c1)を、溶解もしくは分散することが可能で、かつ、光沢安定化層を溶解、膨潤、もしくは透過して、金属光沢層(A)を再溶解させないものなら、特に限定されず、通常、水またはアルコール、酢酸ブチル、酢酸エチルなどが用いられる。
本発明に係る透明加飾剤(D)は、皮膜剤(d1)と溶剤(d2)と着色剤(d3)とを含有してなり、前記光沢安定化層の表面上に塗布、乾燥および/または硬化して透明加飾層を形成する機能を有するものである。
本発明では、所望により、透明加飾剤(D)を塗布することにより、すなわち、透明加飾層を形成することにより、前記の金属光沢層や光沢安定化層の耐久性や耐摩耗性、耐擦過性を更に向上させることができ、また、金属光沢層から発現する金属光沢は、着色された透明加飾層を通過することにより、様々な色彩の金属光沢を表現することが可能となる。
着色剤(d3)は、透明性を損なわないものであれば、特に限定されない。また、着色剤(d3)として、透明加飾剤に分散可能とする高分子顔料分散剤で処理された金属コロイドを低濃度で分散させ、表面プラズモン共鳴による発色によって着色してもよく、例えば、金の粒子の場合、粒子径を10nmから40nm程度まで増大させることで、赤から紫まで発色を変化させることが可能になり、また、金属コロイドを複合粒子として、コア/シェル型の粒子を用いれば、コア/シェルの種類、比率により色調を変えることが可能で、コアとして金、シェルとして銀を選ぶと、赤〜橙〜黄の発色を示し、シェルに銅を選んだ場合は、赤〜紫〜青〜青緑まで色を変化させることが可能である。
また、所望により、透明加飾層に散在させて、光の反射に変化をつけて、独特の意匠を発現させる目的で、再帰反射性や蓄光性を有するビーズやフィラーを添加してもよい。前記の再帰反射性や蓄光性を有するビーズやフィラーは、金属光沢層の金属光沢性を著しく低下させない範囲で、粒径や添加量を調整すればよい。例えば、0.5mmを超えるような大きい径のビーズの場合には、塗布したときにビーズ同士の間隔が比較的広くなるような添加量とすることによって、金属光沢層の高い光反射性とビーズの再帰反射性が融合した独特の煌めき感や、蓄光との相乗効果よる幻想的な煌めきを発現させることができる。また、光沢安定化層の厚みよりもビーズ径が大きい場合には、表面の凹凸感が加わり、再帰反射性ビーズ、蓄光性ビーズともに、より煌めき感を強調することができる。
また、光沢安定化層にも再帰反射性や蓄光性を有するビーズやフィラーを散在させた場合には、例えば、光沢安定化層に蓄光性ビーズを、透明加飾層には再帰反射性ビーズを添加することによって、厚み方向で複雑な反射がされて、独特の煌めき感を表現することができる。
また、より美しい鏡面光沢を持続するためには、透明加飾剤(D)の溶剤(d2)は、水やイソプロパノール、酢酸ブチルなどの酢酸エステルであることが好ましい。
さらに、塗布のしやすさ及び透明加飾剤(D)の耐久性を考慮した場合、使用される皮膜剤(d1)は、アクリル樹脂などのポリマーエマルジョンであることが好ましい。
さらに、透明加飾剤(D)は、溶剤乾燥によって透明加飾層を形成するものだけでなく、紫外線照射によって硬化して透明加飾層を形成するものを適用することもできる。
本発明の加飾方法では、上記金属光沢剤(A)、光沢安定化剤(B)、ベースコート(C)、透明加飾剤(D)には、本発明の効果を損なわない程度に、各剤の上記構成成分の他に必要に応じて、一般に、例えば美爪料に配合される原料を用いることができる。
本発明の加飾方法では、以下の工程(I)、(II)を必須の要件として含み、また、所望により、以下の工程(III)及び/又は工程(IV)を任意の要件として有することを特徴とする。
工程(II):上記の工程(I)で得られた金属光沢層の上に、スチレン系ゴムなど透明樹脂(b1)と、金属コロイド粒子(a1)を非相溶または不溶な溶剤(b2)とを含有してなる光沢安定化剤(B)を塗布、乾燥および/または硬化して光沢安定化層を形成する工程
工程(IV):上記の工程(II)で得られた光沢安定化層の上に、透明加飾剤(D)を塗布し、乾燥および/または硬化して透明加飾層を形成する工程
また、金属光沢剤(A)、ベースコート剤(C)、透明加飾剤(D)の塗布量は、適宜、選択することができ、用途に応じて、決定される。例えば、美爪料の場合、金属光沢剤(A)の塗布量は、前記の如く、爪上に形成された塗膜になった美爪料中に含まれる金属コロイド粒子の含有量は、90質量%以上になるように、塗布することが好ましい。
各工程の塗布方法は、特に限定されず、刷毛塗り、スプレー塗布、スクリーン印刷、スピンコートなどの公知の方法を適用できる。
(1)美爪料
本発明の加飾方法を適用して、2剤型美爪料、或いは3剤型/4剤型美爪料を提供できる。具体的には、2剤型美爪料では、例えば、前記の如く、平均粒子径が1〜100nm、より好ましくは1〜50nmである金属コロイド粒子(a1)を、金属光沢剤(A)全量中の濃度が5〜50質量%の範囲で含有してなる金属光沢剤(A)である第1剤と、スチレン系ゴムなどの透明樹脂(b1)と金属コロイド粒子(a1)を非相溶または不溶な溶剤(b2)とを含有してなる光沢安定化剤(B)である第2剤とからなる。また、前記第1剤において、金属コロイド粒子(a1)を分散する成分として、溶媒(a2)が含まれる。
また、3剤型/4剤型美爪料では、上記の第1剤、第2剤に加えて、第3剤/第4剤として、前記の如く、皮膜形成剤(c1)と溶剤(c2)とを含有してなるベースコート剤(C)、または皮膜剤(d1)と溶剤(d2)とを含有してなる透明加飾剤(D)を用いることができる。
また、本発明の加飾方法を適用して、金属調を維持しながら、耐擦過性に優れた加飾品を提供できる。加飾品としては、具体的には、プラモデルや釣り用ルアー等のホビー用品を挙げることができる。
各実施例及び比較例で採用した試験法、評価法、材料を説明する。
光沢安定化剤を塗布する前の金属光沢層の光沢状態を、目視で官能評価し、滑らかで曇りの無い金属光沢の場合を「優秀(○)」、光沢感が低いが、商品として許容の範囲である場合を「良好(△)」、金属光沢が極めて悪い場合を「不可(×)」と評価した。
金属光沢層に光沢安定化剤を塗布して、光沢安定化層を形成した状態と、塗布前の状態とを目視で比較し、金属光沢層が維持されている場合を「優秀(○)」、金属光沢層の変化(柄崩れ、光沢感の劣化)が僅かで、商品として許容される範囲の場合を「良好(△)」、金属光沢層の変化が著しい場合を「不可(×)」と、評価した。
加飾後、室温で30分経過後の加飾物の表面を、4.9Nの加重で綿布を押し付けながら20mmのストロークで10往復させて擦った後、加飾物の表面を目視観察し、加飾物の表面が擦過前とほぼ同様の状態で、耐擦過性が特に優れている場合を「特に優秀(◎)」、光沢安定化層もしくは透明加飾層に剥離や、それに伴う金属光沢層の損傷が無い場合を「優秀(○)」、光沢安定化層もしくは透明加飾層の表面に傷はあるが金属光沢層に損傷が無い場合を「良好(△)」、光沢安定化層もしくは透明加飾層の剥離や金属光沢層の損傷が発生した場合を「不合格(×)」と、評価した。
なお、金属光沢層の安定化評価で不合格(×)のものは、耐擦過性評価の対象外とした。
また、透明加飾層を形成した場合には、透明加飾層形成前の光沢安定化層と、透明加飾層の両方について、耐擦過性評価した。
(1)金属光沢剤
(i)金属光沢剤A(金):日本ペイント社製ファインスフェアシリーズ(平均粒径30nm、金配合量10%、エタノール89%、アミン系高分子顔料分散剤1%)
(ii)金属光沢剤B(銀):日本ペイント社製ファインスフェアシリーズ(平均粒径30nm、銀配合量30%、エタノール68%、アミン系高分子顔料分散剤2%)
(iii)金属光沢剤C(銀):後述の手順で調整したもの(銀配合量32%、有機溶剤(アントラニル酸メチル+N−メチルアントラニル酸+トルエン)66%、高分子顔料分散剤2%)
(iv)金属光沢剤D(金):日本ペイント社製ファインスフェアシリーズ(平均粒径20nm、金配合量10%、エタノール89%、アミン系高分子顔料分散剤1%)
(v)金属光沢剤E(銀):日本ペイント社製ファインスフェアシリーズ(平均粒径50nm、銀配合量30%、エタノール68%、アミン系高分子顔料分散剤2%)
(vi)金属光沢剤F(金):日本ペイント社製ファインスフェアシリーズ(平均粒径2nm、金配合量10%、エタノール89%、アミン系高分子顔料分散剤1%)
(vii)金属光沢剤G(金):日本ペイント社製ファインスフェアシリーズ(平均粒径60nm、金配合量10%、エタノール89%、アミン系高分子顔料分散剤1%)
(viii)金属光沢剤H(銀):田中貴金属工業社製AY6080(平均粒径200〜1000nm、銀25%、エタノール75%の混合液)
300mlの反応容器にアントラニル酸メチル20.0g、N−メチルアントラニル酸メチル10.0gとイソプロパノール25.0gを混合し、次いでルーブリゾール社製のソルスパース32550を4.2g加えて溶解した。更に、2−ジメチルアミノエタノールを加えてよく攪拌し、湯浴中で75℃の混合溶液を調整した。他方、別箇の容器に硝酸銀30.0gと脱イオン水50gを採り、50℃の水浴中で硝酸銀を溶解させて硝酸銀水溶液80.0gを調製した。この硝酸銀水溶液を、75℃の混合溶液中に、攪拌しながら瞬時に加え、液温度を75℃に保持しながら3時間攪拌を続けたのちに、攪拌を止めて静置し、混合液中にタール状の緑褐色油状物を得た。
次に、緑褐色油状物と無色透明の上澄みとからなる生成物のうち、上澄み液をデカンテーションによって取り除き、残留した緑褐色油状物に脱イオン水150gを加え攪拌した後に静置して緑褐色油状物と上澄み液とを2層に分離させた後に、この上澄みの水をデカンテーションにより取り除く洗浄操作を、上澄み液の伝導度が30μS/cm以下になるまで繰返し行った。続いて、上澄みを取り去った緑褐色油状物に、トルエンを80g加えて緑褐色油状物を溶解して銀ナノ粒子溶液とし、これを風乾し、銀ナノ粒子溶液が55g以下となったら、更にトルエン30gを加えて風乾する操作を繰り返し続け、さらに、残存する水が液面に認められなくなったことを確認した後、更にこの操作を2回繰り返して、残存メタノール及び水を除去し、平均粒径20nmで、銀コロイド32%、有機溶剤(アントラニル酸メチル+N−メチルアントラニル酸+トルエン)66%、高分子顔料分散安定剤(ソルスパース325502)2%からなる銀ナノ粒子のトルエン溶液120gを得た。
各成分の比率は、銀コロイド溶液を示差熱天秤「TG−DTA」(セイコーインスツルメンツ社)で測定して求め、平均粒径は、透過型電子顕微鏡(TEM)観察による画像カウント法で求めた。
以下の組成のベースコート剤Aを用いた。
メタクリル酸アクリルコポリマー;45.0(質量%)、1−ブタノール;25.0(質量%)、トルエン;29.0(質量%)、メタクリル酸メチル;1.0(質量%)の合計100質量%のベースコート剤A
以下の組成の光沢安定化剤A、B、C、Dを用いた。
(i)光沢安定化剤A:スチレンブタジエンゴム;35.0(質量%)、シクロヘキサン;65.0(質量%)の合計100質量%
(ii)光沢安定化剤B:スチレンブタジエンゴム;35.0(質量%)、n−ヘキサン;65.0(質量%)の合計100質量%
(iii)光沢安定化剤C:スチレンブタジエンゴム;35.0(質量%)、メチルシクロヘキサン;65.0(質量%)の合計100質量%
(iv)光沢安定化剤D:
樹脂成分としてアクリル樹脂とニトロセルロース、溶剤として酢酸エチル、酢酸ブチルを主成分とする市販の透明コート剤(ノエビア社 NAIL TOP COAT)
(v)光沢安定化剤E:ポリメタクリル酸シクロヘキシル;20.0(質量%)、メチルシクロヘキサン;80.0(質量%)の合計100質量%
(vi)光沢安定化剤F:光沢安定化剤E100質量部に対して、ポリジメチルシロキサン(信越化学工業社製:KF−96−30)を0.2質量部添加。
尚、上記各光沢安定化剤に使用したシクロヘキサン(純度99.0%以上)とメチルシクロヘキサン(純度99.5%以上)は、三協化学社製であり、n−ヘキサン(純度96%)は、和光純薬工業社製のものである。また、光沢安定化剤A〜Cのスチレンブタジエンゴムは、旭化成社製アサフレックス805(アサフレックス:登録商標)である。
市販のクリアオレンジ系コート剤(エッシー社製 essie356アプリコット・フィズ)を用いた。
爪にベースコート剤Aを刷毛塗りしたのち、乾燥させてベースコート層形成した。
次いで、前記ベースコート層上に、金属光沢剤Aをエタノールで希釈して金属コロイドが5質量%に調整したものを刷毛塗り・室温で1分程度乾燥させて、金属光沢層を形成した。
次いで、金属光沢層上に、光沢安定化剤Aを刷毛で塗布したのち、室温で乾燥させて、光沢安定化層を形成して、爪に加飾した。なお、乾燥は、樹脂性のヘラで塗工面に触れて表面にべとつきがなくなる程度まで、室温乾燥した。
実施例1において、金属光沢剤Aのエタノールを揮発させて、金属コロイドが15質量%とした以外は、実施例1と同様にして、爪に加飾した。
実施例1において、金属光沢剤Aのエタノールを揮発させて、金属コロイドが50質量%とした以外は、実施例1と同様にして、爪に加飾した。
実施例2において、光沢安定化剤Aの成分をシクロヘキサンに代えて、n−ヘキサンとした光沢安定化剤Bを用いた以外は、実施例2と同様にして、爪に加飾した。
実施例2において、光沢安定化剤Aの成分をシクロヘキサンに代えて、メチルシクロヘキサンとした光沢安定化剤Cを以外は、実施例2と同様にして、爪に加飾した。
実施例2において、金属光沢剤Aに代えて、金属光沢剤Bを用いた以外は、実施例2と同様にして、爪に加飾した。
実施例1において、金属光沢剤Aに代えて、金属光沢剤Cを濃度調整しないで用い、また、光沢安定化剤Aに代えて、光沢安定化剤Dを用いた以外は、実施例1と同様にして、爪に加飾した。
実施例2において、加飾する基材を爪に代えて、PETフィルム(東レ社製、ルミラーS10、厚さ250μm)とし、ベースコート無しで加飾した以外は、実施例2と同様にして、加飾品を得た。
実施例2で乾燥し形成した光沢安定化層に、さらに、透明加飾剤を刷毛で塗布して透明加飾層を形成した以外は、実施例2と同様にして、爪に加飾した。
実施例2において、金属光沢剤Aに代えて金属光沢剤Dを使用した以外は、実施例2と同様にして、爪に加飾した。
実施例9において、金属光沢剤Aに代えて金属光沢剤Eを使用し、エタノールで希釈して金属コロイドが15質量%とした以外は、実施例9と同様にして、爪に加飾した。
実施例1において、金属光沢剤Aをエタノールで希釈して金属コロイドが2質量%に調整した以外は、実施例1と同様にして、爪に加飾した。
実施例1において、金属光沢剤Aのエタノールを揮発させて、金属コロイドが60質量%とした以外は、実施例1と同様にして、爪に加飾した。
実施例1において、金属光沢剤Aに代えて金属光沢剤Fを濃度調整しないで使用した以外は、実施例1と同様にして、爪に加飾した。
実施例1において、金属光沢剤Aに代えて金属光沢剤Gを濃度調整しないで使用した以外は、実施例1と同様にして、爪に加飾した。
実施例1〜3において、光沢安定化剤A代えて、光沢安定化剤Eを用いた以外は、実施例1〜3と同様にして、爪に加飾し、実施例1〜3に対応して、実施例16〜18とした。
実施例17で乾燥し形成した光沢安定化層に、さらに、透明加飾剤を刷毛で塗布して透明加飾層を形成した以外は、実施例17と同様にして、爪に加飾した。
実施例17において、金属光沢剤Aに代えて金属光沢剤Dを使用した以外は、実施例17と同様にして、爪に加飾した。
実施例19において、金属光沢剤Aに代えて金属光沢剤Eを使用し、エタノールで希釈して金属コロイドが15質量%とした以外は、実施例19と同様にして、爪に加飾した。
実施例2において、光沢安定化剤A代えて、光沢安定化剤Fを用いた以外は、実施例2と同様にして、爪に加飾した。
実施例1において、光沢安定化剤として、市販の溶剤系クリア塗料(DIC製、アクリディックDL967、アクリル樹脂、溶剤が酢酸ブチルのもの。)を用いた以外は、実施例1と同様にして、爪に加飾した。
実施例1において、光沢安定化剤として、市販の溶剤系クリア塗料(DIC製、アクリディックWZL−163、アクリル樹脂、溶剤が酢酸ブチルのもの。)を用いた以外は、実施例1と同様にして、爪に加飾した。
実施例1において、光沢安定化剤として、市販のUV硬化型の溶剤系クリア塗料(DIC製、ユニディックRS24−241、溶剤:MEK)を用いた以外は、実施例1と同様にして、爪に加飾した。
金属光沢剤Cと光沢安定化剤Dを用いた実施例7において、光沢安定化剤Dに代えて、光沢安定化剤Aを使用した以外は、実施例7と同様にして、爪に加飾した。
実施例1において、金属光沢剤Aに代えて、金属光沢剤Hを濃度調整しないで用いた以外は、実施例1と同様にして、爪に加飾した。
尚、表2及び表3中の透明加飾層を形成する実施例9、11、19、21の耐擦過性評価は、光沢安定化層と透明加飾層の両方行い、「光沢安定化層/透明加飾層」として、記載した。
一方、低極性の高分子顔料分散剤で保護された金属コロイドを含む金属光沢剤Cから形成された金属光沢層に対しては、トルエンや酢酸エチルに代表される極性溶剤を含む光沢安定化剤を適用することにより、極めて本物に近い金属光沢加飾を実現できることがわかる。
このことから、金属コロイド粒子を含む金属光沢剤(A)から形成される金属光沢層の上に、金属光沢層を非相溶または不溶な特定の溶剤を含む光沢安定化剤(B)の光沢安定化層を使用すると、金属光沢層の初期光沢を損なうことなく、極めて本物に近い金属光沢加飾が実現できることがわかる。
また、耐擦過性評価の結果からわかるとおり、本発明の光沢安定化層および透明加飾層は、金属光沢層の保護効果に優れているので、極めて本物に近い金属光沢と耐擦過性とを兼ね備えた加飾方法であることがわかる。
また、表2には記載していないが、実施例9及び11においては、光沢安定化層と透明加飾層との剥離などの不具合もなく、良好な密着状態を有していた。
また、光学安定化剤の透明樹脂成分として、低極性溶剤に溶解し易いメタクリル酸エステルを適用した光沢安定化剤Eによる実施例16〜21は、光沢安定化剤A〜Dを適用した実施例1〜15に比較して、光沢安定化層の塗膜強度が著しく高く、光沢安定化層の耐擦過性に特に優れていた。
また、実施例19及び21においても、光沢安定化層と透明加飾層との剥離などの不具合もなく、良好な密着状態を有していた。
また、ジメチルポリシロキサンが添加された光沢安定化Fを適用した実施例22は、実施例16〜21より、乾燥後に形成された光沢安定化層の表面が、触指感覚での摩擦抵抗感が小さく、さらに耐擦過性に優れていた。
また、実施例1〜3と実施例12および13の結果から、金属光沢剤における金属コロイド濃度が5〜50質量%の範囲であると、金属光沢層の光沢性の観点から、特に好ましいことがわかる。
さらに、比較例5の結果のとおり、平均粒径が従来の200〜1000nmの微細な金属粉末の領域では、滑らかで本物に近い金属光沢を得ることはできず、平均粒径が100nm以下の金属コロイドを適用することによって、滑らかな金属光沢が実現され、特に平均粒径が2〜60nmの範囲であると、より金属光沢が優れることがわかる。
2 金属光沢剤(A)から形成される金属光沢層
3 光沢安定化剤(B)から形成される光沢安定化層
4 透明加飾剤(D)から形成される透明加飾層
5 ベースコート剤(C)から形成されるベースコート層
Claims (11)
- 金属コロイド粒子(a1)と溶剤(a2)とを含有してなる金属光沢剤(A)を基材に塗布して金属光沢層を形成する工程と、次に、金属コロイド粒子(a1)を非相溶または不溶な溶剤(b2)と該溶剤(b2)に溶解する透明樹脂(b1)とを含有してなる光沢安定化剤(B)を該金属光沢層の上に塗布して光沢安定化層を形成する工程とを、含むことを特徴とする加飾方法。
- 前記金属光沢層を形成する工程の前に、予め、ベースコート剤(C)を基材に塗布してベースコート層を形成する工程を有することを特徴とする請求項1に記載の加飾方法。
- さらに、透明加飾剤(D)を前記光沢安定化層の表面上に塗布して透明加飾層を形成する工程を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の加飾方法。
- 前記基材は、爪または合成樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の加飾方法。
- 前記金属コロイド粒子(a1)は、平均粒子径が1〜100nmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の加飾方法。
- 前記溶剤(b2)は、メチルシクロヘキサン、ノルマルヘキサン及びシクロヘキサンからなる群から選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の加飾方法。
- 前記透明樹脂(b1)は、スチレン系ゴム、アクリル系樹脂及びセルロース系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の加飾方法。
- 前記光沢安定化剤(B)に、さらにシリコーン系添加剤が配合されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の加飾方法。
- 前記ベースコート剤(C)は、前記溶剤(a2)に非相溶または不溶な皮膜形成剤(c1)と、溶剤(c2)とを含有することを特徴とする請求項2に記載の加飾方法。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の加飾方法で加飾されてなる物品。
- 平均粒子径が1〜100nmである金属コロイド粒子(a1)を、金属光沢剤(A)全量中の濃度が5〜50質量%の範囲で含有してなる金属光沢剤(A)である第1剤と、金属コロイド粒子(a1)を非相溶または不溶な溶剤(b2)と該溶剤(b2)に溶解する透明樹脂(b1)とを含有してなる光沢安定化剤(B)である第2剤とからなることを特徴とする2剤型美爪料。
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A02 | Decision of refusal |
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