JP2012068958A - プロセス制御装置、プロセス制御方法およびプロセス制御プログラム - Google Patents

プロセス制御装置、プロセス制御方法およびプロセス制御プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】むだ時間を有する制御対象に対して、オーバーシュートが小さく、整定時間が短く、さらに外乱抑制特性および設定変更特性が良好なプロセス制御装置を提供することを目的とする。
【解決手段】制御対象2について検出される制御量PVが入力され、制御量に基づき、制御量を調整するための操作量MVを出力して制御量を所定の目標値に制御するプロセス制御装置1であって、目標値から制御量を減算する第1減算部3と、第1減算部からの出力値を積算する積算部4と、積算部の出力値を定数倍する第1乗算部5と、制御開始時における制御量である初期制御量を保存する初期制御量記憶部7と、初期制御量記憶部に保存された初期制御量から現時点の制御量を減算する第2減算部8と、第2減算部からの出力値を定数倍する第2乗算部9と、第1乗算部の出力値と第2乗算部の出力値とを加算して操作量として出力する加算部10とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、石油化学、鉄鋼等の一般産業用プラントにおいて制御量となる温度、流量、圧力等の値を所定の目標値に制御するプロセス制御装置、プロセス制御方法およびプロセス制御プログラムに関するものである。
石油化学、鉄鋼等の一般産業用プラントにおいて、反応炉や溶鉱炉などの制御対象における温度、流量、圧力等の制御量を所定の目標値に制御するために、従来から、比例演算(P)、積分演算(I)、および微分演算(D)を実行するPID(Poportional-Itegral-Derivative)プロセス制御装置が使用されている。
図5は、従来のPID制御によるプロセス制御装置の構成を示すブロック線図である。図5に示すように、従来のプロセス制御装置101は、加算器103と調節計104とを備え、制御対象102を制御する。加算器103は、制御対象102の制御目標値SVから制御対象102の制御量PVを減算した偏差eを出力する。調節計104は、偏差eに対して比例演算(P)と積分演算(I)と微分演算(D)とを実行し、演算結果を操作量MVとして出力する。制御対象102は、操作量MVにより操作され、制御量PVを出力する。
一般産業用プラントにおける制御対象の多くは、操作量MVを変化させた場合、変化させた時点からむだ時間が経過した後、制御量PVが変化するという特性を有している。また、制御対象の特性によって、操作量MVを変化させてから制御量PVが安定するまでの時定数Tも様々である。
多くのプロセス制御では、以下の2点が要求される。第1は、制御目標値SVが変化したとき、制御量PVが制御目標値SVに到達するまでの整定時間を短くすること(設定変更特性)である。第2は、制御対象に外乱が加わって制御量PVが制御目標値SVから変動した場合に、速やかに外乱の影響を除去して制御目標値SVに制御量PVを戻す(外乱抑制特性)ことである。
しかしながら、むだ時間Lが大きく、時定数Tも極めて大きい制御対象においては、制御量PVの変化が極めて緩やかであり微分演算出力が殆ど出力されず、本来の微分としての働きである先行補正の作用を発揮することは出来ない。よって、大幅なオーバーシュートが引き起こされ、良好な制御を行うことができない。
また、むだ時間Lが大きい場合、積分動作は、操作量MVの変化が検出された制御値に反映されていない時期から演算を行う為、誤った補正がなされ、かつ、その誤りが遅れて反映され、操作量MVと制御量PVが同位相となり制御は振動的になりやすい。
このむだ時間による問題を解決するために、例えば、特許文献1には、むだ時間を有する制御対象における制御を行うプロセス制御装置が開示されている。図6は、むだ時間を有する制御対象におけるプロセス制御を行うプロセス制御装置の構成を示すブロック図である。このプロセス制御装置は、流体Aと流体Bとを混合して所望の成分の流体Cを作成する制御を行うものである。この制御対象は、流体Aと流体Bを混合した後流体Cの成分を検出するまでにむだ時間が生じる。
流量検出器111により検出された流体Aの流量を示す流量検出信号は、乗算部112で操作信号の比率修正に用いられる。流量調節計113は、流量検出器114で検出した流体Bの流量を示す流量検出信号と乗算部112により修正された操作信号とを比較演算し、その結果に基いて調整弁115の開度を調節する。調整弁115により流量が調整された流体Bは、混合タンク116で流体Aと混合され、流体Cとなる。
成分検出器117は、定期的に流体Cの成分を検出して、成分に応じた成分信号Xを出力する。成分信号Xは、流体Bが調整弁115から出力されて成分検出器117で検出されるまでの時間などにより可変サンプル周期発生部123で決められたタイミングで演算される。減算部118は、成分設定値(制御目標値)Xsから成分信号(制御量)Xを減算した偏差eを出力する。偏差eは、KI倍されて積分部119で積分演算される。また、偏差eは、メモリ120にもe0として保存される。減算部121は、現在の偏差eからメモリ120に保存された前回の検出タイミングで検出された偏差e0を減算したΔeを出力する。加算部122は、積分部119で積分演算された値とKP倍されたΔeとを加算し、操作信号として出力する。
以上のような構成により、前回検出した成分信号を用いて制御を行ってからむだ時間経過後に、成分信号を検出することにより、制御が反映された信号を検出することができるので、誤った補正を抑制することができる。
特開昭59−180702号公報
しかしながら、このプロセス制御装置では、成分信号(制御量)のオーバーシュートを小さくし、整定時間を短くすることについては十分ではない。
本発明は、上記従来の問題を解決し、むだ時間を有する制御対象に対して、オーバーシュートが小さく、整定時間が短く、さらに外乱抑制特性および設定変更特性が良好なプロセス制御装置、プロセス制御方法およびプロセス制御プログラムを提供することを目的とする。
本発明のプロセス制御装置は、上記課題を解決するために、制御対象について検出される制御量が入力され、前記制御量に基づき、前記制御量を調整するための操作量を出力して前記制御量を所定の目標値に制御するプロセス制御装置であって、前記目標値から前記制御量を減算する第1減算部と、前記第1減算部からの出力値を積算する積算部と、前記積算部の出力値を定数倍する第1乗算部と、制御開始時における制御量である初期制御量を保存する初期制御量記憶部と、前記初期制御量記憶部に保存された前記初期制御量から現時点の制御量を減算する第2減算部と、前記第2減算部からの出力値を定数倍する第2乗算部と、前記第1乗算部の出力値と前記第2乗算部の出力値とを加算して前記操作量として出力する加算部とを備えたことを特徴とする。
また、本発明のプロセス制御方法は、上記課題を解決するために、制御対象について検出される制御量が入力され、前記制御量に基づき、前記制御量を調整するための操作量を出力して前記制御量を所定の目標値に制御するプロセス制御方法であって、前記目標値から前記制御量を減算する第1減算工程と、第1減算工程により得られた値を積算する積算工程と、前記積算工程の出力値を定数倍する第1乗算工程と、制御開始時における制御量である初期制御量を保存する工程と、前記初期制御量から現時点の制御量を減算する第2減算工程と、前記第2減算工程からの出力値を定数倍する第2乗算工程と、前記第1乗算工程により得られた値と第2乗算工程により得られた値とを加算して前記操作量とする加算工程とを有することを特徴とする。
また、本発明のプロセス制御プログラムは、上記課題を解決するために、制御対象について検出される制御量が入力可能なコンピュータに処理を実行させて、前記制御量に基づき、前記制御量を調整するための操作量を出力させて前記制御量を所定の目標値に制御するプロセス制御プログラムであって、前記目標値から前記制御量を減算する第1減算処理と、第1減算処理により得られた値を積算する積算処理と、前記積算処理の出力値を定数倍する第1乗算処理と、制御開始時における制御量である初期制御量を保存する処理と、前記初期制御量から現時点の制御量を減算する第2減算処理と、前記第2減算処理からの出力値を定数倍する第2乗算処理と、前記第1乗算処理により得られた値と第2乗算処理により得られた値とを加算して前記操作量とする加算処理とを前記コンピュータに実行させることを特徴とする。
本発明は、制御開始時の初期制御量から現時点での制御量を減算した値と、制御目標値と制御量との偏差を積算した値とを加算した値を操作量とすることにより、むだ時間を有する制御対象に対して、オーバーシュートが小さく、整定時間が短く、さらに外乱抑制特性が良好なプロセス制御装置、プロセス制御方法およびプロセス制御プログラムを提供することができる。
本発明の実施の形態に係るプロセス制御装置の構成を示すブロック図 本実施の形態に係るプロセス制御装置の具体的構成を示すブロック図 本実施の形態に係るプロセス制御装置の制御量、積分対応操作量、維持対応操作量および操作量を示すグラフ 本実施の形態に係るプロセス制御装置の制御量、積分対応操作量、維持対応操作量および操作量を示す概念図 従来のプロセス制御装置の構成を示すブロック図 従来の別のプロセス制御装置の構成を示すブロック図
本発明のプロセス制御装置、プロセス制御方法およびプロセス制御プログラムは、上記構成を基本として以下のような種々の態様をとることができる。
すなわち、上記構成のプロセス制御装置において、前記初期制御量記憶部は、前記制御開始時にオン状態となり、その後オフ状態となるように制御されたスイッチと、前記スイッチを介して伝達された制御量を記憶する記憶部とを有することもできる。
また、上記構成のプロセス制御方法において、前記初期制御量保存工程は、前記制御開始時にオン状態となり、その後オフ状態となるようにスイッチング制御し、伝達された制御量を記憶することにより行われるようにしてもよい。
また、上記構成のプロセス制御プログラムにおいて、前記初期制御量保存処理は、前記制御開始時にオン状態となり、その後オフ状態となるようにスイッチング制御し、伝達された制御量を記憶する記憶することにより行われるようにしてもよい。
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態に係るプロセス制御装置1の構成を示すブロック図である。プロセス制御装置1は、むだ時間を有する制御対象2を制御するのに適した構成を有するものである。制御対象2には、操作量MVを受信して制御量を変化させるように作用する操作部と、現時点での制御量PVを検出して出力する検出部とを有する。
プロセス制御装置1は、積算演算部11と、維持演算部12とを有する。積算演算部11は、第1減算部3と、積算部4と、第1乗算部5とを有する。第1減算部3は、制御対象2の制御目標値SVから制御対象2の制御量PVを減算した偏差eを出力する。積算部4は、偏差eを積算した積算値を出力する。積算部4から出力された積算値は、第1乗算部5により定数E1倍されて積分対応操作量E1Iとして出力される。このように算出される積分対応操作量E1Iは、制御量PVを制御目標値SVに近づける作用に対応する操作量成分である。
維持演算部12は、スイッチ6と、初期制御量記憶部7と、第2減算部8と、第2乗算部9とを有する。スイッチ6は、図示しない制御部によりオン、オフ制御される。スイッチ6は、プロセス制御開始時にオン状態となり、初期状態の制御量PVを初期制御量記憶部7に伝達し、プロセス制御開始後はオフ状態となる。初期制御量記憶部7は、プロセス制御開始時にスイッチ6を介して伝達された初期状態の制御量PVを初期制御量PVSとして保存し、第2減算部8に出力する。第2減算部8は、初期制御量PVSから現在の制御量PVを減算した変化量ΔPVを出力する。第2乗算部9は、第2減算部8から出力された変化量ΔPVを定数E2倍した維持対応操作量E2ΔPVを出力する。このように算出される維持対応操作量E2ΔPVは、制御量PVを初期制御量PVSに維持する作用に対応する操作量成分である。
加算部10は、積算演算部11から出力された積分対応操作量E1Iと、維持演算部12から出力された維持対応操作量E2ΔPVとを加算した値を操作量MVとして出力する。操作量MVは制御対象2の操作部に入力され、操作量MVに基いて制御対象2の制御量PVが制御される。
なお、第1乗算部5、第2乗算部9における比例係数E1、E2は、操作量MVに対する積算操作量E1Iと、維持対応操作量E2ΔPVの重み付けを決める値である。E1、E2は、制御対象2のむだ時間や、時定数Tの設定条件に応じて決定することができる。
図2は、本実施の形態に係るプロセス制御装置および制御対象の具体例としてのプラント21の構成を示す概念図である。プロセス制御装置1は、プラント21の反応器22の温度を制御する。この例では、プラント21が制御対象に対応し、反応器22の温度が制御対象の制御量に対応する。
プラント21は、内部に配置された内温調節計23を有する反応器22と、反応器22の外側に配置されたジャケット24と、ジャケット24に接続された第1パイプ25、第2パイプ27と、第1パイプ25に設けられた第1バルブ26とを有する。また、反応器22には、第2バルブ29が設けられた第3パイプ28が接続されている。プロセス制御装置1は、内温調節計23と、第1バルブ26とに接続されている。
反応器22は、内部で物質を攪拌し、あるいは物質を化学反応させるための容器である。ジャケット24は、第1パイプ25から流入した冷却媒体を保持する。ジャケット24が冷却媒体を保持することにより、反応器22の内部の温度を下げることができる。冷却媒体は、第1パイプ25からジャケット24に流入され、反応器22の熱を吸収した後に、第2パイプ27から排出される。
工業的に大量の物質を攪拌する場合には、物質の発熱反応や、攪拌時の摩擦により反応器内の温度が上昇する。これに対して、攪拌物質の温度を適切な温度に保つ必要があり、そのために反応器22をジャケット24により冷却する。しかし、反応器22内には大量の物質が投入されているので、熱容量が大きく、冷却したときの温度の低下には遅れが生じる。すなわち、反応器22は、温度変化に対してむだ時間を有する。
内温調節計23は、反応器22内部の温度を測定し、測定した温度を外部に出力する。内温調節計23が制御対象2の制御量を検出する検出部に対応する。
プロセス制御装置1は、内温調節計23の温度に基いて第1バルブ26の開度を操作してジャケット24に供給する冷却媒体の量を制御する。この第1バルブ26の開度の操作により、反応器22を冷却して温度を適切に制御する。この第1バルブ26の開度が図1の操作量MVに対応する。すなわち、このシステムは、操作量MV(開度)が増大すると、制御対象2の制御量(温度)を低下させる向きに作用する。
図3は、図2に示すプラント21をプロセス制御装置1により制御した場合の反応器22の内部温度(制御量PV)と、第1バルブ26の開度(操作量MV)と、図1の積算演算部11から出力される積分対応操作量E1Iと、維持演算部12から出力される維持対応操作量E2ΔPVとを示すトレンドグラフである。
制御目標値SVである目標温度は、50℃に設定されている。また、制御開始時の内部温度は、65℃である。したがって、制御目標値SVが現在の制御量PVからずれた値に設定された状態から制御が開始される。すなわち、偏差eが大きい状態で制御が開始される。
操作量MVの変化について、各時間領域に分けて説明する。図3の時刻t1は操作量MVの傾きが最初に0となった時刻であり、時刻t2は制御量PVが制御目標値SVに最初に一致した時刻である。時刻t3は、制御終了時刻である。
まず、制御開始時から時刻t1までの時間においては、制御量PVの制御目標値SVからのずれが大きいので、積分対応操作量E1Iの傾きが大きい。一方、制御対象2のむだ時間が長いので、制御量PVの初期制御量PVSからの減少は緩やかであり、維持対応操作量E2ΔPVの傾きは小さい。したがって、積分対応操作量E1Iの傾きが維持対応操作量E2ΔPVの傾きを上回って、操作量MVは増加傾向となる。すなわち、操作量MVは、制御量PVを減少させるように強く作用する。
制御値PVが制御目標値SVに近づくにつれて、積分対応操作量E1Iの傾きが減少する一方、維持対応操作量E2ΔPVの傾きが増加する。したがって、時刻t1には、積分対応操作量E1Iの傾きと維持対応操作量E2ΔPVの傾きが等しくなり、操作量MVの傾きは0となる。
時刻t1から時刻t2の間においては、維持対応操作量E2ΔPVの傾きが積分対応操作量E1Iの傾きより大きくなり、操作量MVが減少傾向となる。すなわち、制御量PVが制御目標値SVよりも高い状態にも関わらず、操作量MVは制御値PVを上昇させるように作用する。この動作によって、むだ時間が大きく、極めて緩やかな応答の制御対象に対しても大幅なオーバーシュートを引き起こさず、整定時間を短くすることができる。
時刻t2から時刻t3までの時間は、制御量PVを上昇させる積分対応操作量E1Iと下降させる維持対応操作量E2ΔPVとが釣り合って制御量PVが制御目標値SV付近で安定する。
以上のように行われる制御の要点について、図4を参照して、さらに説明する。図4(a)は図3に示す内部温度を示す制御量PV、(b)は積分対応操作量E1I、(c)は維持対応操作量E2ΔPV、(d)は操作量MVの時間変化を示す概念図である。図4において、見易さを考慮して偏差eを測定時より左にずらして表示しているが、維持対応操作量E2ΔPVと同じ時刻の値である。なお、図示しやすくするために、第1乗算部5のE1と第2減算部8のE2が共に1の場合が示されている。
図4(b)における積分対応操作量E1Iから下向きの矢印は、前回算出された積分対応操作量E1Iに偏差eが加算されたものであり、制御対象の制御量PVを下降させるように作用する大きさを示している。図4(c)における維持対応操作量E2ΔPVから上向きの矢印は、制御対象の制御量PVを上昇させるように作用する大きさを示している。図4(d)の操作量MVから下向きの矢印は、操作量MVが制御量PVを下降させるように作用する大きさを示している。操作量MVにより反応器22の温度を下げるような作用と反応器22における攪拌、発熱反応による温度上昇が均衡して反応器22の温度が目標設定値SVに近づけられる。
時刻t3のように、制御量PVが制御目標値SVより高い場合で、制御量PVと制御目標値SVとの差が大きく、制御量PVが緩やかに下降している場合には、積分対応操作量E1Iが制御量PVを引き下げようとする作用の増加が、維持対応操作量E2ΔPVが制御量PVを引き上げようとする作用の増加よりも勝る。したがって、操作量MVは増加して、制御量を下げるように作用する。
時刻t4のように、制御量PVが制御目標値SVより高い場合で、制御量PVと制御目標値SVとの差が小さく、制御量PVが緩やかに下降している場合には、維持対応操作量E2ΔPVが制御量PVを引き上げようとする作用の増加が、積分対応操作量E1Iが制御量PVを引き下げようとする作用の増加より勝る。したがって、制御量PVが制御目標値SVより高い状態であるにも関わらず、操作量MVが減少して制御量PVを上げるように作用する。
外乱などが生じた場合には、制御量PVが制御目標値SVより低い場合で、制御量PVと制御目標値SVとの差が小さく、制御量PVが急激に下降して制御目標値SVから離れていく状態となることがある。この場合には、時刻t5のように、制御量PVを引き下げるように作用する積分対応操作量E1Iが減少し、制御量PVを引き上げるように作用すると維持対応操作量E2ΔPVが増加するように作用する。このため、速やかに外乱の影響を除去して、制御量PVを制御目標値SVに速やかに引き戻すことができる。すなわち、外乱抑制特性も良好である。
以上のように、本実施の形態に係るプロセス制御装置では、維持対応操作量E2ΔPVにより、長いむだ時間を有する制御対象に対し積分対応操作量E1Iによる積算の過補正や誤補正が抑制される。すなわち、制御量PVを下げて制御目標値SVに近づける途中において、制御値PVが制御目標値SVのより高い段階で、操作量MVを制御量PVが上昇するように制御を行うので、オーバーシュートが小さく、整定時間が短い(目標値追従特性が良好)という効果が生じる。さらに、外乱抑制特性および設定変更特性が良好となる。
また、積分対応操作量E1Iと維持対応操作量E2ΔPVにおけるE1とE2との補正比率を適正に調整すれば、具体的な制御モデル、複雑な伝達関数を必要とせずに従来のPID制御で良く用いられてきた過渡応答法、限界感度法の延長として、制御対象を簡潔に制御することができる。
さらに、上記の構成では、四則演算、積算計算といった従来の分散型制御システム(DCS)で備えられている構成要素で計算することができるので、プロセス制御装置を従来から広く使用されている分散型制御システム(DCS)に容易に組み込むことができる。
本実施の形態では、プロセス制御装置の制御対象として、化学反応を伴う反応器の内部温度を例としてあげたが、これに限定されるものではなく、流量、圧力等の制御にも用いることが可能である。
なお、プロセス制御装置1の各要素は、CPU(Central Processing Unit)を用いたソフトウェアによって実現してもよいし、電子回路などのハードウェアロジックによって構成してもよい。ソフトウェアによって実現する場合は、プロセス制御装置1は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU、上記プログラムを格納したROM(Read Only Memory)、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアであるプロセス制御装置1の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、プロセス制御装置1に供給し、プロセス制御装置1内のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによって達成可能である。
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
また、プロセス制御装置1を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(Virtual Private Network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394ケーブル、USBケーブル、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。
なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明のプロセス制御装置は、むだ時間を有する制御対象に対して、オーバーシュートが小さく、整定時間が短く、外乱抑制特性および設定変更特性を良好にすることができ、特に、一般産業用プラントの制御装置として有用である。
1 プロセス制御装置
2 制御対象
3 第1減算部
4 積算部
5 第1乗算部
6 タイミングパルス発生器
7 初期制御量記憶部
8 第2減算部
9 第2乗算部
10 加算部
11 積算演算部
12 維持演算部
21 プラント
22 反応器
23 内温調節計
24 ジャケット
25 第1パイプ
26 第1バルブ
27 第2パイプ
28 第3パイプ
29 第2バルブ

Claims (6)

  1. 制御対象について検出される制御量が入力され、前記制御量に基づき、前記制御量を調整するための操作量を出力して前記制御量を所定の目標値に制御するプロセス制御装置であって、
    前記目標値から前記制御量を減算する第1減算部と、
    前記第1減算部からの出力値を積算する積算部と、
    前記積算部の出力値を定数倍する第1乗算部と、
    制御開始時における制御量である初期制御量を保存する初期制御量記憶部と、
    前記初期制御量記憶部に保存された前記初期制御量から現時点の制御量を減算する第2減算部と、
    前記第2減算部からの出力値を定数倍する第2乗算部と、
    前記第1乗算部の出力値と前記第2乗算部の出力値とを加算して前記操作量として出力する加算部とを備えたことを特徴とするプロセス制御装置。
  2. 前記初期制御量記憶部は、
    前記制御開始時にオン状態となり、その後オフ状態となるように制御されたスイッチと、
    前記スイッチを介して伝達された制御量を記憶する記憶部とを有する請求項1記載のプロセス制御装置。
  3. 制御対象について検出される制御量が入力され、前記制御量に基づき、前記制御量を調整するための操作量を出力して前記制御量を所定の目標値に制御するプロセス制御方法であって、
    前記目標値から前記制御量を減算する第1減算工程と、
    第1減算工程により得られた値を積算する積算工程と、
    前記積算工程の出力値を定数倍する第1乗算工程と、
    制御開始時における制御量である初期制御量を保存する工程と、
    前記初期制御量から現時点の制御量を減算する第2減算工程と、
    前記第2減算工程からの出力値を定数倍する第2乗算工程と、
    前記第1乗算工程により得られた値と第2乗算工程により得られた値とを加算して前記操作量とする加算工程とを有することを特徴とするプロセス制御方法。
  4. 前記初期制御量保存工程は、前記制御開始時にオン状態となり、その後オフ状態となるようにスイッチング制御し、伝達された制御量を記憶することにより行われる請求項3記載のプロセス制御方法。
  5. 制御対象について検出される制御量が入力可能なコンピュータに処理を実行させて、前記制御量に基づき、前記制御量を調整するための操作量を出力させて前記制御量を所定の目標値に制御するプロセス制御プログラムであって、
    前記目標値から前記制御量を減算する第1減算処理と、
    第1減算処理により得られた値を積算する積算処理と、
    前記積算処理の出力値を定数倍する第1乗算処理と、
    制御開始時における制御量である初期制御量を保存する処理と、
    前記初期制御量から現時点の制御量を減算する第2減算処理と、
    前記第2減算処理からの出力値を定数倍する第2乗算処理と、
    前記第1乗算処理により得られた値と第2乗算処理により得られた値とを加算して前記操作量とする加算処理とを前記コンピュータに実行させることを特徴とするプロセス制御プログラム。
  6. 前記初期制御量保存処理は、前記制御開始時にオン状態となり、その後オフ状態となるようにスイッチング制御し、伝達された制御量を記憶する記憶することにより行われる請求項5記載のプロセス制御プログラム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN112182478A (zh) * 2020-09-09 2021-01-05 北京国电智深控制技术有限公司 一种过程累计量的dcs高精度自补偿计算方法

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