JP2012056338A - 能動型振動騒音制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】能動型振動騒音制御装置に使用されるエコーキャンセラに設定された模擬伝達特性の適否を簡易な構成で判定する。
【解決手段】オーディオ装置31の出力端bからマイクロホン22までの模擬第1伝達特性Cbcmに基づいてエコーキャンセラ38による処理を行うフィードバック制御の能動型振動騒音制御装置10において、オーディオ装置31の入力端aからマイクロホン22までの第2伝達特性Cacを同定した同定第2伝達特性Caciと、オーディオ装置31の入力端aからオーディオ装置31の出力端bまでの第3伝達特性Cabを同定した同定第3伝達特性Cabiとに基づいて、推定第1伝達特性Cbciを算出し(Cbci=Caci/Cabi)、算出した推定第1伝達特性Cbciと模擬第1伝達特性Cbcmとを比較することで、模擬第1伝達特性Cbcmの適否を判定する。
【選択図】図3

Description

この発明は、例えば、車両の走行により車室内に発生するロードノイズ等の振動騒音を、当該振動騒音とは逆位相で等振幅の相殺音を生成し、当該相殺音を前記振動騒音と干渉させることで当該振動騒音を低減する能動型振動騒音制御装置に関する。
道路(ロード)から受ける車輪の振動がサスペンションを介して車体に伝わり、特に、車室内のような閉空間の音響的な共鳴特性により励起され、40[Hz]程度にピークを有するロードノイズを、マイクロホンが配置される評価点(受音点、受聴点)において前記ロードノイズとは逆位相で等振幅の相殺音により打ち消す車両用能動型騒音制御装置が提案されている(特許文献1及び特許文献2)。
特許文献1の図1には、SAN(Single Frequency Adaptive Notch)フィルタである適応ノッチフィルタと減算器とを用い、ロードノイズの周波数を有する基準信号を適応ノッチフィルタに入力し、適応ノッチフィルタの出力信号を前記減算器の減数入力端に入力し、前記減算器の被減数入力端にマイクロホンから得られる受音信号を入力し、前記減算器の差出力端での誤差信号(マイクロホンから得られる受音信号から適応ノッチフィルタの出力信号を差し引いた信号)がゼロ値となるように前記適応ノッチフィルタのフィルタ係数を決定して得た前記適応ノッチフィルタの出力信号(前記受音信号中の、前記基準信号の周波数を有する信号)を、位相ゲイン調整器を介してスピーカに入力することで、前記マイクロホンの受音点での前記ロードノイズを低減するようにした能動型騒音制御装置が開示されている。
特許文献2の図9には、オーディオ増幅器の出力端からスピーカ(12)を介しマイクロホン(10)までの模擬第1伝達特性(H1)を有するエコーキャンセルフィルタ(40)含むエコーキャンセラによる処理を行いながら、フィードバック器(16)により前記マイクロホンの受音位置での振動騒音を相殺する車両騒音低減装置が開示されている。
なお、エコーキャンセラによる処理とは、前記オーディオ増幅器の出力端に生成されるオーディオ信号に前記模擬第1伝達特性を掛けた信号を前記マイクロホンの受音信号から減算する処理であり、減算処理後の差信号、すなわち振動騒音成分のみの信号(振動騒音信号)を前記フィードバック器に入力することで、前記フィードバック器により、相殺音を生成するスピーカに入力する制御信号が生成される。
特許文献3には、エンジンの回転数に同期した振動騒音を低減する能動型騒音低減装置が開示されており([0064]、[0013])、その図2には、適応ノッチフィルタと減算器(17)並びに補正値算出部(22)を用い、所定周波数の正弦波に対する増幅器(13)からスピーカ(14)を通じマイクロホン(15)に至るまでの模擬伝達特性を同定する同定器が開示されている([0038])。
この特許文献3では、同定した模擬伝達特性をメモリ部(23)に格納し、いわゆるfiltered−X LMSアルゴリズムを用いて参照信号を生成し、マイクロホン(15)から得られる誤差信号が最小となるように適応ノッチフィルタのフィルタ係数(W0)、(W1)を更新してエンジン振動騒音を低減するとされている([0064])。
特開2009−45954号公報 特開平7−311580号公報 特許第4289394号公報
ところで、特許文献2のように、フィードバック器を用いて振動騒音を低減する能動型振動騒音制御装置においては、マイクロホンにより車内の楽音(オーディオ信号再生音)と、振動騒音と相殺音との干渉音と、が併せて受音される。この場合、マイクロホンにより受音された楽音に係るオーディオ信号には、振動騒音低減対象周波数も含まれる。
したがって、マイクロホンの受音信号からエコーキャンセラにより振動騒音低減対象周波数を有する前記楽音に係るオーディオ信号を差し引くことで振動騒音成分(の干渉成分)のみを抽出することができる。
前記のフィードバック器では、抽出した振動騒音成分を打ち消す制御信号を生成する。
上述したように、前記エコーキャンセラでは、オーディオ信号源から出力されるオーディオ信号を増幅するオーディオ増幅器の出力信号に対し当該オーディオ増幅器の出力端からマイクロホンの出力端に至る伝達特性(第1伝達特性という。)である模擬第1伝達特性を掛けたエコーキャンセル信号を生成し、生成したエコーキャンセル信号を前記マイクロホンの受音信号から差し引くことで振動騒音成分(の干渉成分)のみを抽出する。
よって、前記エコーキャンセラで使用される模擬第1伝達特性が設定されるエコーキャンセルフィルタの当該模擬第1伝達特性が、前記オーディオ増幅器の出力端からマイクロホンの出力端に至る第1伝達特性に対して、常に適正であることが望まれる。
しかしながら、オーディオ増幅器からスピーカにオーディオ信号等を伝送する信号線の断線や短絡、あるいはスピーカやマイクロホンに特性異常が発生した場合には、前記オーディオ増幅器の出力端からマイクロホンの出力端に至る第1伝達特性が変化する結果、模擬第1伝達特性が不適となり、前記エコーキャンセラが正常に動作しなくなるので前記フィードバック器に入力される信号に振動騒音低減対象周波数範囲の前記楽音に係るオーディオ信号成分が残留し、結果として、適正な振動騒音制御を行うことができなくなる。上記の特許文献1〜3には、この課題についての記載がなく改良の余地がある。
この発明は、このような課題を考慮してなされたものであって、エコーキャンセラに設定されている模擬伝達特性(模擬第1伝達特性)の適否を判定することを可能とする能動型振動騒音制御装置を提供することを目的とする。
この項では、理解の便宜のために添付図面中の符号を付けて説明する。したがって、この項に記載した内容がその符号を付けたものに限定して解釈されるものではない。
この発明に係る能動型振動騒音制御装置は、例えば、図1〜図3に示すように、オーディオ装置(31)の出力端(b)に接続され前記オーディオ装置の出力端からスピーカ(26)を介しマイクロホン(22)までの第1伝達特性(Cbc)を模擬した模擬第1伝達特性(Cbcm)が設定されたエコーキャンセラ(38)に、オーディオ信号(Sa)と制御信号(Sc)との加算信号が入力された前記オーディオ装置から出力される増幅加算信号を入力し、前記エコーキャンセラの出力信号を、前記増幅加算信号が前記スピーカにより変換された音と振動騒音とを受音する前記マイクロホンの受音信号(Sr)から差し引いて残留振動騒音信号(Δe)を得、フィードバック器(40)に前記残留振動騒音信号を入力し、前記フィードバック器により前記残留振動騒音信号に基づいて前記マイクロホンの受音位置で前記振動騒音を相殺する相殺音を生成するための前記制御信号を生成して前記オーディオ装置に入力する能動型振動騒音制御装置において、前記オーディオ装置の入力端(a)から当該オーディオ装置を通じ当該オーディオ装置の出力端から前記スピーカを介し前記マイクロホンまでの第2伝達特性(Cab)を同定し、同定第2伝達特性(Cabi)を得る第2伝達特性同定器(52)と、前記オーディオ装置の入力端から当該オーディオ装置を通じ当該オーディオ装置の出力端までの第3伝達特性(Cab)を同定し、同定第3伝達特性(Cabi)を得る第3伝達特性同定器(53)と、前記同定第2伝達特性と前記同定第3伝達特性とに基づいて前記オーディオ装置の出力端から前記スピーカを介し前記マイクロホンまでの前記第1伝達特性を推定した推定第1伝達特性(Cbcs)を算出し、算出した前記推定第1伝達特性と前記模擬第1伝達特性とを比較することで、前記模擬第1伝達特性の適否を判定する判定器(60)と、を備えることを特徴とする。
この発明によれば、第2伝達特性同定器により得た、オーディオ装置の入力端から当該オーディオ装置を通じ当該オーディオ装置の出力端からスピーカを介してマイクロホンまでに至る第2伝達特性を同定した同定第2伝達特性と、第3伝達特性同定器により得た、前記オーディオ装置の伝達特性を同定した同定第3伝達特性とに基づいて、前記オーディオ装置の出力端からスピーカを介しマイクロホンまでの第1伝達特性を推定した推定第1伝達特性を算出し、算出した前記推定第1伝達特性と、前記エコーキャンセラに設定されている前記模擬第1伝達特性と、を比較することで、前記模擬第1伝達特性の適否を判定するようにしているので、特別な伝達特性測定システムを準備し、準備した前記伝達特性測定システムを当該能動型振動騒音制御装置に外部から接続して第1伝達特性を測定する必要がなく、前記エコーキャンセラに設定されている前記模擬第1伝達特性の適否を判定することができる。すなわち、簡易な構成で前記エコーキャンセラに設定されている前記模擬第1伝達特性の適否を判定することができる。
なお、前記第2伝達特性同定器は、減算器と、振動騒音信号の周波数を有する基準信号が入力される適応ノッチフィルタと、から構成され、前記減算器の被減数入力端には前記マイクロホンの前記受音信号が入力され、前記減算器の減数入力端には前記適応ノッチフィルタの出力信号が入力される接続とし、前記第3伝達特性同定器は、他の減算器と、前記基準信号が入力される他の適応ノッチフィルタと、から構成され、前記他の減算器の被減数入力端には前記オーディオ装置の出力端からの信号が入力され、前記他の減算器の減数入力端には前記他の適応ノッチフィルタの出力信号が入力される接続とすることで、第2及び第3伝達特性同定器の構成を簡易に実現することができる。
また、前記同定第1伝達特性及び前記同定第2伝達特性を得る際に、前記フィードバック器を非動作状態とし、前記オーディオ装置の入力端に前記基準信号が入力されるように接続することで、前記推定第1伝達特性を確実に推定することができる。
この発明に係る能動型振動騒音制御装置は、例えば、図8及び図9に示すように、振動騒音を打ち消すための制御信号(Sc)と高音側のオーディオ信号(Sah)とを加算し加算信号を出力する加算器(203)と、前記加算信号を増幅した増幅加算信号を出力する高音側オーディオ装置(33)と、基準信号(cos2πft)又は低音側のオーディオ信号(Sal)を増幅し、増幅基準信号又は増幅低音側オーディオ信号を出力する低音側オーディオ装置(28A)と、前記増幅加算信号に基づく相殺音と高音側楽音とを出力する高音側スピーカ(26)と、前記増幅基準信号に基づく供試音、又は前記増幅低音側オーディオ信号に基づく低音側楽音を出力する低音側スピーカ(27)と、前記相殺音と、前記高音側楽音と、前記低音側楽音と、前記振動騒音とを受音した合成受音信号(Sr)、又は前記供試音を受音した供試音受音信号を出力するマイクロホン(22)と、前記低音側オーディオ装置の出力端(b)から前記低音側スピーカ通じ前記マイクロホンまでの第1伝達特性(Cbc´)を模擬した模擬第1伝達特性(Cbcm´)に基づいて、補正信号を出力するエコーキャンセラ(38A)と、前記合成受音信号から前記補正信号を減算し、差信号を出力する減算器(214)と、前記差信号から前記振動騒音周波数の成分を抽出し抽出した残留振動騒音成分に基づいて前記制御信号を生成するフィードバック器(40)と、前記低音側オーディオ装置の入力端(a)から当該低音側オーディオ装置を通じ、当該オーディオ装置の出力端から前記低音側スピーカを介して前記マイクロホンまでの第2伝達特性(Cac´)を同定し、同定第2伝達特性(Caci´)を得る第2伝達特性同定器と、前記低音側オーディオ装置の入力端から当該低音側オーディオ装置を通じ、当該低音側オーディオ装置の出力端までの第3伝達特性(Cab´)を同定して同定第3伝達特性(Cabi´)を得る第3伝達特性同定器(53)と、前記同定第2伝達特性と前記同定第3伝達特性とに基づいて前記低音側オーディオ装置の出力端から前記低音側スピーカ通じ前記マイクロホンまでの伝達特性を推定した推定第1伝達特性(Cbcs´)を算出し、算出した前記推定第1伝達特性と前記模擬第1伝達特性とを比較することで、前記模擬第1伝達特性の適否を判定する判定器(60)と、を備えることを特徴とする。
この発明によれば、エコーキャンセラに設定されている模擬伝達特性(第1模擬伝達特性)の適否を簡易な構成で判定することができるという効果が達成される。
この発明に係る能動型振動騒音制御装置の第1実施形態が適用された車両用の能動型振動騒音制御装置の未動作時の接続構成を示すブロック図である。 第1実施形態に係る能動型振動騒音制御装置の振動騒音制御動作時の接続構成を示すブロック図である。 第1実施形態に係る能動型振動騒音制御装置の伝達特性の同定乃至推定動作時の接続構成を示すブロック図である。 フィードバック器の構成例を示すブロック図である。 模擬第1伝達特性テーブルに格納されている模擬第1伝達特性の具体例を示す表図である。 実施形態に係る能動型振動騒音制御装置の全体動作手順を示すフローチャートである。 図6の全体フローチャート中、同定乃至推定処理ステップ(同定器動作処理)の詳細な手順を示すフローチャートである。 第2実施形態に係る能動型振動騒音制御装置の伝達特性の同定乃至推定動作時の接続構成を示すブロック図である。 第2実施形態に係る能動型振動騒音制御装置の伝達特性の同定乃至推定動作時の接続構成を示すブロック図である。
以下、図面を参照して、この発明の実施形態を説明する。
[第1実施形態]
図1は、この発明に係る能動型振動騒音制御装置の第1実施形態が適用された車両用の能動型振動騒音制御装置10の未動作時の接続構成を示すブロック図である。
車両12に搭載される能動型振動騒音制御装置10は、基本的には、楽音を楽しむためのオーディオ信号Saを出力するチューナ、コンパクトディスク、ハードディスク等種々のオーディオソース(オーディオ信号源)14を含み、スピーカ入力信号Siを出力するオーディオユニット16と、ロードノイズ等の振動騒音を打ち消す等のための能動型振動騒音制御ユニット(ANCユニット)18と、後述する外部試験器21(図2)に接続されるカプラ20(コネクタ)と、を備える。
オーディオユニット16及びANCユニット18は、それぞれコンピュータを含んで構成され、CPUが各種入力に基づきROM等のメモリに記憶されているプログラムを実行することで各種機能を実現する機能実現器(機能実現部、機能実現手段)として動作する。
なお、能動型振動騒音制御装置10は、外部試験器21を通じて、図1接続構成の未動作時の他、図2接続構成の振動騒音制御動作時、又は図3接続構成の伝達特性の同定乃至推定動作時の各動作時に切り替えられる。なお、外部試験器21は、車載の能動型振動騒音制御装置10に対し、伝達特性の同定乃至推定動作試験等に係る試験の開始信号や終了信号を送信したり、能動型振動騒音制御装置10から試験結果を受けて外部試験器21のディスプレイ上に試験結果を表示したりするいわゆる入出力機能を主とする簡易な装置である。
未動作時には、図1に示すように、スイッチ101〜104が全てオフ状態(開状態)になっている。
また、振動騒音制御動作時には、図2に示すように、外部試験器21を通じてスイッチ101〜103がオン状態(閉状態)にされ、スイッチ104がオフ状態(開状態)にされる。
さらに、伝達特性の同定乃至推定動作時には、図3に示すように、外部試験器21を通じてスイッチ101〜103がオフ状態にされ、スイッチ104がオン状態にされる。
なお、スイッチ101のオンオフ状態は、外部試験器21からカプラ20及びネットワーク106を通じて接続されているオーディオユニット16内の通信器108を介して切り替えられ、残りのスイッチ102〜104のオンオフ状態は、外部試験器21からカプラ20及びネットワーク106を通じて接続されているANCユニット18内の通信器110及び動作切替器112を通じて切り替えられる。
図1を参照して、能動型振動騒音制御装置10の構成をさらに説明する。
マイクロホン22は、前席24の図示しない乗員の頭上の内部ルーフ近傍に配置されている。
スピーカ26は、ダッシュボードの中央下部に配置されている。
オーディオソース14が、例えば、5.1chサラウンド対応であれば、サラウンド効果を高めるために、ダッシュボード中央下部のスピーカ26の他、車両前席側の左右キックパネル部、車両後席側のCピラー下部の左右ボディ部等にそれぞれスピーカが配置される。なお、0.1ch分のウーハは方向性をほとんど持たないので任意の位置、例えば、後席25の後側のリアトレイ等に配置される。
オーディオユニット16は、オーディオソース14、スイッチ101、及び通信器108の他、さらに、加算器202(ミキサ)と、オーディオ増幅器28と、D/A変換器30とを備える。加算器202とオーディオ増幅器28とによりオーディオ装置31が形成される。オーディオ装置31は、その入力端a(加算器202の入力端)と出力端b(オーディオ増幅器28の出力端)との間の伝達特性(第3伝達特性)Cab有する。図1〜図3では、理解の便宜のために、オーディオ増幅器28のブロック内に第3伝達特性Cabを記入して説明している。
マイクロホン22の実際の受音点は、上述した前席24の乗員の頭上の内部ルーフ近傍であるが、能動型振動騒音制御の正確性を考慮し、ANCユニット18に配置されるA/D変換器32の出力点を制御処理上の受音点cとする。
ANCユニット18は、基本的には、消音制御器36の他、同定器ユニット34を備える。
[能動型振動騒音制御装置10の消音制御器36による振動騒音制御動作及びエコーキャンセラ38、42の動作の説明]
消音制御器36は、オーディオ装置31の出力端bからD/A変換器30、スピーカ26、車室内空間である経路301、マイクロホン22、及びA/D変換器32の出力端である受音点cまでの伝達特性(第1伝達特性)Cbcを模擬した模擬第1伝達特性Cbcmが設定されるエコーキャンセラ(エコーキャンセルフィルタ、エコーキャンセル用フィルタ)38と、減算器214と、フィードバック器40と、スイッチ103とから構成される。
エコーキャンセラ38は、FIR(Finite Impulse Response)フィルタにより構成される。
図4に示すように、フィードバック器40は、特定周波数、より具体的には、例えば、42[Hz]のドラミング周波数の成分を通過させる帯域通過フィルタ(Band Pass Filter:BPF)40aと、BPF40aを通過したドラミング周波数の成分を所定移相する移相器(遅延器、位相器)40bと、移相(遅延)されたドラミング周波数の成分を所定増幅する利得調整器40cとの直列回路により構成される。移相器(遅延器、位相器)40bと利得調整器40cとは、接続順序を入れ替えることができる。
減算器214の減算入力端はエコーキャンセラ38の出力端に接続され、減算器214の被減算入力端は受音点cに接続されている。減算器214の差出力端がフィードバック器40の入力端に接続され、フィードバック器40の出力端が、スイッチ103、及び加算器204を通じてオーディオ装置31の入力端aである加算器202の入力端aに接続されている。
オーディオ装置31の出力端bであるオーディオ増幅器28の出力端bは、減算器212の被減数入力端に接続され、減算器212の出力端(差出力端)が、エコーキャンセラ38の入力端に接続される。
減算器212の減数入力端と加算器204の出力端(和出力端)との間には、スイッチ102と、加算器202(ミキサ)の伝達特性を含むオーディオ装置31の入力端aから出力端bまでの伝達特性(第3伝達特性)Cabを模擬した模擬第3伝達特性Cabmが設定されるエコーキャンセラ(エコーキャンセルフィルタ、エコーキャンセル用フィルタ)42と、が直列に接続されている。このエコーキャンセラ42も、FIRフィルタにより構成される。なお、上記しているように、加算器202(ミキサ)とオーディオ増幅器28とを含めてオーディオ装置31といい、模擬第3伝達特性Cabmは、このオーディオ装置31の伝達特性を模擬した伝達特性である点に留意する。
エコーキャンセラ42と減算器212とにより、フィードバック器40の出力信号である制御信号Scがスイッチ103、加算器204、及びオーディオ装置31(加算器202とオーディオ増幅器28)を通じ、消音制御器36の入力端(エコーキャンセラ38の入力端と減算器214の被減算入力端のうち、エコーキャンセラ38の入力端)に回り込もうとする信号を差し引く(キャンセルする)処理を行う。
したがって、図2に示す接続状態の振動騒音制御動作時には、減算器212の差出力端には、制御信号Scとオーディオ信号Saの加算信号(加算器202の出力信号)をオーディオ増幅器28で増幅した信号{(Sc+Sa)×Cab}から、制御信号Scにエコーキャンセラ42により模擬第3伝達特性Cabmを掛けた信号(Sc×Cabm)を差し引いた差信号{(Sc+Sa)×Cab−(Sc×Cabm)≒Sa×Cab}が現れる。
一方、エコーキャンセラ38と減算器214により、受音点cでの受音信号Sr{振動騒音と相殺音との干渉音に対応する振動騒音信号(残留振動騒音信号)Δeと、オーディオ信号Saがスイッチ101、加算器202、オーディオ増幅器28、D/A変換器30、スピーカ26、スピーカ26からマイクロホン22までの車室内空間の経路201及びマイクロホン22を通じ、A/D変換器32の出力端である受音点cで得られる楽音に対応するオーディオ信号Sa×Cab×Cbcと、が含まれる。Sr=(Δe+Sa×Cab×Cbc)}から、減算器212の差出力端に現れる増幅オーディオ信号Sa×Cabにエコーキャンセラ38に設定されている模擬第1伝達特性Cbcmが掛けられた信号Sa×Cab×Cbcmを差し引く(キャンセル)処理を行う。
数式で表せば、Sr−Sa×Cab×Cbcm=(Δe+Sa×Cab×Cbc)−Sa×Cab×Cbcm≒Δeとなる。
このため、減算器214の差出力端には、残った振動騒音信号(残留振動騒音信号)Δeが表れる。なお、この残留振動騒音信号(残留振動騒音成分)Δeに、ドラミング周波数の成分以外の成分、例えばエンジン周波数の調波成分等が含まれていても、当該エンジン周波数の調波成分等は、フィードバック器40の入力に配置されている前記のBPF40aにより除去される。
以上の説明が、[能動型振動騒音制御装置10の消音制御器36による振動騒音制御動作及びエコーキャンセラ38、42の動作の説明]である。
次に、同定器ユニット34の詳しい構成について説明する。
同定器ユニット34は、第2伝達特性同定器52、第3伝達特性同定器53、基準信号生成器54、及び周波数設定器56を備える。
基準信号生成器54は、周波数設定器56により設定される制御周波数f[Hz]を有する余弦波信号cos2πftを生成する余弦波信号生成器54aと、正弦波信号sin2πftを生成する正弦波信号生成器54bとを備える。
一方の基準信号(余弦波信号生成器54aにより生成された余弦波信号cos2πft)がスイッチ104を通じて加算器204に入力されるように接続されている。
第2伝達特性同定器52は、基準信号生成器54から出力された基準信号(余弦波信号cos2πftと正弦波信号sin2πft)が入力される適応ノッチフィルタ44と、この適応ノッチフィルタ44の出力信号が減数入力端に入力され誤差信号e2を出力する減算器218とから構成される。
適応ノッチフィルタ44は、いわゆるSANフィルタ(Single frequency Adaptive Notch filter)であり、フィルタ係数wacre、wacimが更新される適応フィルタ221、222と、入力される誤差信号e2が最小となる適応制御アルゴリズム、例えば最急降下法の一種であるLMS(Least Mean Square)アルゴリズムに基づいて前記適応フィルタ221、222のフィルタ係数wacre、wacimを更新するフィルタ係数更新器(アルゴリズム演算器)241、242と、適応フィルタ221、222の出力信号を加算し、加算信号を減算器218の減数入力端に入力する加算器208と、から構成される。
上述したように、適応ノッチフィルタ44と、減算器218とにより第2伝達特性同定器52が構成される。この第2伝達特性同定器52は、通過周波数fの帯域通過フィルタ(BPF)として動作する。
第2伝達特性同定器52と同様に構成される第3伝達特性同定器53は、基準信号生成器54からの基準信号(余弦波信号cos2πftと正弦波信号sin2πft)が入力される適応ノッチフィルタ46と、この適応ノッチフィルタ46の出力信号が減数入力端に入力され誤差信号e3を出力する減算器216とから構成される。
適応ノッチフィルタ46は、いわゆるSANフィルタであり、フィルタ係数wabre、wabimが更新される適応フィルタ231、232と、入力される誤差信号e3が最小となる適応制御アルゴリズム、例えば最急降下法の一種であるLMSアルゴリズムに基づいて前記適応フィルタ231、232のフィルタ係数wabre、wabimを更新するフィルタ係数更新器(アルゴリズム演算器)251、252と、適応フィルタ231、232の出力信号を加算し、加算信号を減算器216の減数入力端に入力する加算器206と、から構成される。
上述したように、適応ノッチフィルタ46と、減算器216とにより第3伝達特性同定器53が構成される。この第3伝達特性同定器53は、通過周波数fの帯域通過フィルタとして動作する。
ANCユニット18は、さらに、判定器60と、エコーキャンセラ38に設定された模擬第1伝達特性Cbcmを格納する模擬第1伝達特性テーブル(Cbcmテーブル)62と、エコーキャンセラ42に設定された模擬第3伝達特性Cabmを格納する模擬第3伝達特性テーブル(Cabmテーブル)64と、を有する。
図5は、模擬第1伝達特性テーブル62に格納されている模擬第1伝達特性Cbcmの具体例を示している。模擬第1伝達特性テーブル62には、周波数[Hz]に対応して振幅{振幅は、オーディオ増幅器28の出力端bで所定周波数(オーディオ増幅器28の周波数応答が平坦域中の周波数)の余弦波信号cos2πftの振幅を1に規格化している。}と位相θ[deg]が格納されている。図示はしないが、模擬第3伝達特性テーブル64にも図5に示したような周波数に対する振幅と位相からなる模擬第3伝達特性Cabmが格納されている。
判定器60には、設定周波数f毎に、適応ノッチフィルタ44により同定されたフィルタ係数wacre、wacimが入力されるとともに、適応ノッチフィルタ46により同定されたフィルタ係数wabre、wabimが入力される。
判定器60は、後述するように、エコーキャンセラ38に設定されている模擬第1伝達特性Cbcm及びエコーキャンセラ42に設定されている模擬第3伝達特性Cabmの適否を判定する。
基本的には以上のように構成され、かつ動作する能動型振動騒音制御装置10の特に同定器ユニット34に係る詳細な動作について、図6の全体フローチャート及び図7の同定処理フローチャートを参照しながら説明する。
車両12のカプラ20に対して外部診断器21が接続され、車両12のイグニッションスイッチがオン状態にされるとステップS1における制御開始の判定が成立し、ステップS2において、通信器108、110は外部診断器21から制御指令情報を受信する。
ステップS3において、通信器108、110は、受信した制御指令情報中に、エコーキャンセラ38、42に設定されている模擬第1伝達特性Cbcm及び(又は)模擬第3伝達特性Cabmの適否を判定するための同定指令の有無を確認する。
[振動騒音制御動作時動作:図2]
同定指令がない場合には、ステップS4にて、ANCユニット18は、消音制御器36を動作させる。このとき、図2に示すように、スイッチ101〜103がオン状態とされ、スイッチ104がオフ状態にされる。スイッチ104がオフ状態になっているので同定器ユニット34は非動作状態になっている。なお、消音制御器36の動作については既に詳述しているので、ここでは簡単に説明する。
この接続状態において、オーディオソース14から出力されたオーディオ信号Saとフィードバック器40で生成された制御信号Scが加算器202で加算され加算信号がオーディオ増幅器28、D/A変換器30、及びスピーカ26を通じて楽音(オーディオ信号再生音)及び相殺音に変換される。楽音及び相殺音は、経路301を通じて乗員に伝達されるとともに、マイクロホン22に伝達される。一方、振動騒音は、模式的に示す第2経路302を通じてマイクロホン22に入力される。
よって、相殺音と振動騒音の干渉音に係る残留振動騒音(残留振動騒音信号)と楽音(オーディオ信号再生音)との合成音に係る受音信号SrがA/D変換器32の出力端(受音端c)に表れる。
受音信号Srは、消音制御器36中の減算器214の被減数端に入力される。上述したように、エコーキャンセラ38の入力端には、オーディオ装置31を通じて増幅されたオーディオ信号Sa×Cabのみが入力されるので、エコーキャンセラ38の出力端には、その増幅オーディオ信号Sa×Cabに、オーディオ装置31の出力端bから受音点cに至る伝達特性である模擬第1伝達特性Cbcmが掛けられたオーディオ信号Sa×Cab×Cbcmが現れる。
このため、減算器214により受音信号Srからオーディオ信号Sa×Cab×Cbcmが差し引かれ、減算器214の差出力端には、残った振動騒音信号(残留振動騒音信号)Δeのみが表れる。
フィードバック器40は、この振動騒音信号Δeを信号処理し、マイクロホン22の受音位置で振動騒音を打ち消す位相差と振幅を有する制御信号Scを生成する。
上記のように制御すれば、マイクロホン22の配置位置において、振動騒音が相殺された楽音のみを聴取することができる。すなわち、受音点cには、振動騒音が相殺された楽音に対応するオーディオ信号のみが現れる。
[同定乃至推定動作時:図3]
一方、ステップS3の判定において、通信器108、110は、受信した制御指令情報中に、エコーキャンセラ38、42に設定されている模擬第1伝達特性Cbcm及び(又は)模擬第3伝達特性Cabmの適否を判定するための同定指令を受信した場合、ステップS5にて消音制御器36の動作を停止する一方、ステップS6にて、同定器ユニット34を動作させる。
このとき、図3に示すように、スイッチ101〜103がオフ状態とされ、スイッチ104がオン状態にされる。スイッチ101〜103がオフ状態になっているので、オーディオソース14、エコーキャンセラ38、42、及びフィードバック器40は、非動作状態になっている。
図7の同定処理フローチャートは、図6の全体フローチャート中、ステップS6の同定器動作処理の詳細手順を示している。
ここでは、エコーキャンセラ38に設定されている模擬第1伝達特性Cbcmの適否を判定するための同定乃至推定動作を例として説明する。
ステップS6aにおいて、外部試験器21からカプラ20、ネットワーク106、及び通信器110を通じて制御指令情報を受信した動作切替器112は、ステップS6bにおいて、周波数設定器56の設定周波数fを、図5の模擬第1伝達特性テーブル62を参照し、最も低い同定用の周波数f(f=30[Hz])に設定する。
次に、ステップS6cにおいて、基準信号生成器54(余弦波信号生成器54aと正弦波信号生成器54b)により基準信号(余弦波信号cos2πftと正弦波信号sin2πft)が生成されると、ステップS6dにおいて、同定出力信号としての余弦波信号cos2πftが適応フィルタ231、221及びフィルタ係数更新器251、241に入力されるとともに、同定出力信号としての正弦波信号sin2πftが適応フィルタ232、222及びフィルタ係数更新器252、242に入力される。
ステップ6dにおいては、また、同定出力信号としての余弦波信号cos2πftが、スイッチ104、加算器204、及びオーディオ装置31(加算器202とオーディオ増幅器28)を通じてスピーカ入力信号Siとされる。
このとき、第3伝達特性同定器53では、ステップS6eにおいて、フィルタ係数更新器251、252により、減算器216の差出力である誤差信号e3が最小となるように適応フィルタ231、232のフィルタ係数Wab(wabre、wabim)が更新される。
そして、ステップS6fにおいて、第3伝達特性同定器53の加算器206により同定器適応出力{wabre×cos2πft+wabim×sin2πft}が生成され、減算器216の減数入力端に入力される。
次いで、ステップS6gにおいて、スピーカ入力信号Siが取得され減算器216の被減数入力端に入力される。
次に、ステップS6hにおいて、減算器216により誤差信号e3{e3=Si−(wabre×cos2πft+wabim×sin2πft)}が生成される。ステップS6mの同定終了が判定されるまで、ステップS6g〜S6jの処理が繰り返されて誤差信号e3がゼロ値となるように第3伝達特性同定器53が動作することで、オーディオ装置31(加算器202とオーディオ増幅器28)の入力端aから当該オーディオ装置31を通じて、当該オーディオ装置31の出力端bまでの第3伝達特性Cab、すなわちオーディオ装置31の伝達特性が同定された同定第3伝達特性Cabi{後述する(2)式参照}が得られる。
同様に、第2伝達特性同定器52について、ステップS6iにおいて、フィルタ係数更新器241、242により、減算器218の差出力である誤差信号e2が最小となるように適応フィルタ221、222のフィルタ係数wacre、wacimが更新される。
そして、ステップS6jにおいて、第2伝達特性同定器52の加算器208により同定器適応出力{wacre×cos2πft+wacim×sin2πft}が生成され、減算器218の減数入力端に入力される。
次いで、ステップS6kにおいて、スピーカ入力信号SiがD/A変換器30、スピーカ26、経路301、マイクロホン22、及びA/D変換器32を通じて受音信号Srに変換されて取得され減算器218の被減数入力端に入力される。
次に、ステップS6lにおいて、減算器218により誤差信号e2{e2=Sr−(wacre×cos2πft+wacim×sin2πft)}が生成される。
ステップS6mの同定終了が判定されるまで、ステップS6i〜S6lの処理が繰り返されて誤差信号e2がゼロ値となるように第2伝達特性同定器52が動作することで、オーディオ装置31の入力端aから当該オーディオ装置31を通じ、D/A変換器30、スピーカ26、経路301、マイクロホン22、及びA/D変換器32の出力端である受音点cまでの第2伝達特性Cac、すなわちオーディオ装置31の入力端(この場合、加算器202の入力端中、制御信号Scが入力される側の入力端)aから受音点cまでの伝達特性が同定された同定第2伝達特性Cabi{後述する(1)式参照}が得られる。
ステップS6mにおいて、同定動作が終了したかどうかが判定される。同定動作の終了は、図5に示したCbcmテーブル62に規定されている各周波数fについて第2及び第3伝達特性同定器52、53による同定動作がなされたとき、換言すれば、フィルタ係数wacre、wacim、及びフィルタ係数wabre、wabimが得られたときに、終了とされる。
終了とされたとき、ステップS6nにおいて、判定器60によりエコーキャンセラ38に設定されている模擬第1伝達特性Cbcmの適否が判定される。
この場合、判定器60には、設定周波数f毎に、適応ノッチフィルタ44により同定されたフィルタ係数wacre、wacimが入力されるとともに、適応ノッチフィルタ46により同定されたフィルタ係数wabre、wabimが入力される。
判定器60は、エコーキャンセラ38に設定されている模擬第1伝達特性Cbcmの適否を判定する。
すなわち、判定器60は、フィルタ係数wacre、wacimを、次の(1)式に示す同定第2伝達特性Caciに変換するとともに、フィルタ係数wabre、wabimから次の(2)式に示す同定第3伝達特性Cabiに変換する。
同定第2伝達特性=実部+虚部・j(jは、虚数単位)
Caci=wacre+wacim・j …(1)
同定第3伝達特性=実部+虚部・j
Cabi=wabre+wabim・j …(2)
次に、判定器60は、オーディオ装置31の入力端aから受音点cまでの第2伝達特性Cacを同定した同定第2伝達特性Caciと、オーディオ装置31の入出力端a、b間の伝達特性を含む伝達特性、すなわちオーディオ装置31の伝達特性(第3伝達特性)Cabを同定した同定第3伝達特性Cabiと、に基づいて、オーディオ装置31の出力端bから受音点cまでの第1伝達特性Cbcを、次の(3)式により推定し(算出し)、推定第1伝達特性Cbcsを得る。
Cbcs=Caci/Cabi …(3)
=(wacre+wacim・j)/(wabre+wabim・j)
={(wacre+wacim・j)×(wabre−wabim・j)}/{(wabre+wabim・j)×(wabre−wabim・j)}
={(wacre×wabre−wacim×wabim)+
(wacim×wabre+wacre×wabim)}・j/
(wabre+wabim)=Cbcsre+Cbcsim・j
よって、推定第1伝達特性Cbcsの振幅Cbcsは次の(4)式により、位相Cbcsは次の(5)式により推定(算出)される。
振幅Cbcs=√(Cbcsre)+(Cbcsim) …(4)
位相Cbcs=tan−1(Cbcsim/Cbcsre)×180/π
…(5)
そして、判定器60は、設定周波数f毎に、推定第1伝達特性Cbcsの振幅Cbcs及び位相Cbcsと、Cbcmテーブル62から読み出した振幅Cbcm及び位相Cbcmとを比較する。
この場合「振幅の差が一定範囲内」かつ「位相の差が一定範囲内」のときは、正常とし、エコーキャンセラ38に設定されている模擬第1伝達特性Cbcbは適正であると判定して変更しない。
一方、「振幅の差が一定範囲外」かつ「位相の差が一定範囲内」のときは、模擬第1伝達特性Cbcbは正常範囲内(調整可能な正常範囲内)にあると判定するが、振幅の差が一定範囲内となるようにエコーキャンセラ38を構成するFIRフィルタの乗算器のゲインを調整する。
その一方、「位相の差が一定範囲外」のときは、模擬第1伝達特性Cbcbは不適になったと判定し、以降の振動騒音制御を停止し、通信器110、ネットワーク106及びカプラ20を通じて外部試験器21に知らせる。
この場合、外部試験器21は、ステップS7において、車両12のインストルメントパネル上の図示しない車両状態表示装置に異常発生の旨を表示する。
実際上、ステップS7における表示装置への通知処理は、エコーキャンセラ38に設定されている模擬第1伝達特性Cbcmが不適となって異常が有るときばかりでなく、模擬第1伝達特性Cbcmが適正となっている異常が無いときにも行われる。
次いで、ステップS8において、第2及び第3伝達特性同定器52、53による一連の処理が終了される。
同様にして、判定器60により、第3伝達特性同定器53で同定された同定第3伝達特性Cabiと、模擬第3伝達特性テーブル(Cabmテーブル)64に格納されている模擬第3伝達特性Cabmとを比較することで、エコーキャンセラ42に設定されている模擬第3伝達特性Cabmの適否を判定することができる。
以上説明したように、第1実施形態に係る能動型振動騒音制御装置10は、
車室内の振動騒音を打ち消すための制御信号Scを生成する振動騒音制御部(振動騒音制御手段)としてのフィードバック器40と、
伝達特性Cab(第3伝達特性)を有し、オーディオソース14から出力されるオーディオ信号Saと前記制御信号Scとの加算信号Sa+Sc(振動騒音制御動作時)を増幅した増幅加算信号(Sa+Sc)×Cab(車両12の走行時)、又は基準信号cos2πft(伝達特性の同定乃至推定動作時)を増幅した増幅基準信号cos2πft×Cab(車両12の停止時)のいずれかを出力するオーディオ装置31と、
前記増幅加算信号(Sa+Sc)×Cabに基づく楽音と振動騒音の相殺音の合成音、又は前記増幅基準信号cos(2πft)×Cabに基づく音(供試音)を出力するスピーカ26と、
前記増幅加算信号(Sa+Sc)×Cabに基づく楽音と振動騒音の相殺音の合成音が車室内空間である経路301を通じて伝達された合成音を受音した受音信号{Sr=(Sa+Sc)×Cab×Cbc}、又は前記増幅基準信号cos(2πft)×Cabに基づく音(供試音)が車室内空間である経路301を通じて伝達された供試音を受音した受音信号{Sr=cos(2πft)×Cab×Cbc}を出力するマイクロホン22と、
前記オーディオ装置31の伝達特性Cabを模擬した模擬第3伝達特性Cabmに基づいて前記制御信号Scを補正し、補正信号Sc×Cabmを出力するエコーキャンセラ42と、
前記増幅加算信号(Sa+Sc)×Cabから前記補正信号Sc×Cabmを減算し差信号{(Sa+Sc)×Cab−(Sc×Cabm)≒Sa×Cab}を出力する減算器212と、
前記オーディオ装置31の出力端bから前記スピーカ26通じ前記マイクロホン22までの伝達特性(第1伝達特性)Cbcを模擬した模擬第1伝達特性Cbcmに基づいて前記減算器212の出力である前記差信号Sa×Cabを補正し、補正信号Sa×Cab×Cbcmを出力するエコーキャンセラ38と、
前記受音信号{Sr=(Sa+Sc)×Cab×Cbc}から前記補正信号Sa×Cab×Cbcmを減算し、差信号{(Sa+Sc)×Cab×Cbc−Sa×Cab×Cbcm≒Sc×Cab×Cbc=Δe}を前記フィードバック器40に入力する減算器214と、
を備える能動型振動騒音制御装置10において、
前記オーディオ装置31の入力端a(加算器202の入力端)から加算器202、オーディオ増幅器28を通じ、前記スピーカ26を介して前記マイクロホン22までの第2伝達特性Cacを同定し、同定第2伝達特性Caciを得る第2伝達特性同定器52と、
前記オーディオ装置31の入力端(加算器202の入力端)から加算器202、オーディオ増幅器28を通じ、当該オーディオ増幅器28の出力端bまでの第3伝達特性Cabを同定して同定第3伝達特性Cabiを得る第3伝達特性同定器53と、
前記同定第2伝達特性Caciと前記同定第3伝達特性Cabiとに基づいてオーディオ装置31の出力端bから前記スピーカ26を介し前記マイクロホン22までの第1伝達特性Cbcを推定した推定第1伝達特性Cbcsを算出し、算出した前記推定第1伝達特性Cbcsと前記模擬第1伝達特性Cbcmとを比較することで、前記模擬第1伝達特性Cbcmの適否を判定する判定器60と、を備える。
この場合、前記第2伝達特性同定器52は、減算器218と、基準信号(余弦波信号cos2πftと正弦波信号sin2πft)が入力される適応ノッチフィルタ44と、から構成され、前記減算器218の被減数入力端には前記マイクロホン22で受音された受音信号{Sr=cos(2πft)×Cab×Cbc}が入力され、前記減算器218の減数入力端には前記適応ノッチフィルタ44の出力信号が入力され、
前記第3伝達特性同定器53は、他の減算器216と、前記基準信号(余弦波信号cos2πftと正弦波信号sin2πft)が入力される他の適応ノッチフィルタ46と、から構成され、前記他の減算器216の被減数入力端には前記オーディオ装置31の出力端bから増幅基準信号cos2πft×Cabが入力され、前記他の減算器216の減数入力端には前記他の適応ノッチフィルタ46の出力信号が入力されるように構成される。
なお、前記同定第2伝達特性Caci及び前記同定第3伝達特性Cabiを得る際に、前記フィードバック器40は非動作状態とされ、前記オーディオ装置31の入力端aに前記基準信号cos2πftが入力されるように構成される。
上記した第1実施形態によれば、オーディオ装置31の出力端bからマイクロホン22までの模擬第1伝達特性Cbcmに基づいてエコーキャンセラ38による処理を行うフィードバック制御の能動型振動騒音制御装置10において、オーディオ装置31の入力端a(加算器202の制御信号Scの入力端)からマイクロホン22までの第2伝達特性Cacを同定した同定第2伝達特性Caciと、オーディオ装置31の入力端aからオーディオ増幅器28の出力端b、すなわちオーディオ装置31の出力端bまでの第3伝達特性Cabを同定した同定第3伝達特性Cabiとに基づいて、推定第1伝達特性Cbciを算出し(Cbci=Caci/Cabi)、算出した推定第1伝達特性Cbciと模擬第1伝達特性Cbcmとを比較することで、模擬第1伝達特性Cbcmの適否(適否)を判定することができる。
同定処理を、同定器ユニット34で行うことができ、エコーキャンセラ38に設定された模擬第1伝達特性Cbcmの適否を判定するようにしたので、ベクトル電圧計やネットワークアナライザ等の特別な伝達特性測定システムを準備し、準備した伝達特性測定システムを当該能動型振動騒音制御装置10にケーブルを通じて外部接続して第1伝達特性Cbcを測定するという煩雑な作業が必要なく、エコーキャンセラ38に関する伝達特性に異常があるか否かを、簡易な構成で判定することができる。
[第2実施形態]
図8は、この発明に係る能動型振動騒音制御装置の第2実施形態が適用された車両用の能動型振動騒音制御装置10Aの伝達特性の同定乃至推定動作時の接続構成を示すブロック図である。図9は、能動型振動騒音制御装置10Aの振動騒音制御動作時の接続構成を示すブロック図である。なお、図8、図9において、上記した図1〜図3に示したものと同一のものには同一の符号を付けてその詳細な説明は省略する。
図8に示すように、伝達特性の同定乃至推定動作時には、スイッチ101、103、104A、及び105中、スイッチ104Aのみがオン状態にされる。
図9に示すように、振動騒音制御動作時には、スイッチ101、103、及び105がオン状態とされ、スイッチ104Aのみがオフ状態にされる。
図示はしないが、未動作時には、全てのスイッチ101、103、104A、105がオフ状態にされる。
この第2実施形態に係る能動型振動騒音制御装置10Aでは、リアトレイ近傍に30〜200[Hz]程度の低音を再生可能なウーハとしてのスピーカ27が設けられ、このスピーカ27に対して、オーディオソース14Aから出力される低音側のオーディオ信号Salがスイッチ101を介し、伝達特性Cab´を有するオーディオ増幅器28A(オーディオ装置)、及びD/A変換器30を通じて低音側の増幅オーディオ信号Sal×Cab´として入力される。マイクロホン22の位置は、図1例と同じ前席24の乗員の上方の内部ルーフ近傍である。
この第2実施形態において、リアトレイ近傍に配置されたスピーカ27からマイクロホン22に至る車室内空間の経路401の伝達特性が第1伝達特性Cbc´とされる。したがって、エコーキャンセラ38Aには、この第1伝達特性Cbc´を模擬した模擬第1伝達特性Cbcm´が設定される。
ダッシュボード中央下部に設けられたスピーカ26に対しては、オーディオソース14Aから出力される200[Hz]程度以上の周波数成分を有する高音側のオーディオ信号Sahとフィードバック器40から出力される42[Hz]の周波数成分(ドラミング周波数成分)の制御信号Scとの加算器203による加算信号Sah+Scが、伝達特性Cdeを有するオーディオ増幅器29、及びD/A変換器31を通じて増幅加算信号(Sah+Sc)×Cdeとして入力される。
この第2実施形態に係る能動型振動騒音制御装置10Aでは、フィードバック器40の出力信号である制御信号Scは、エコーキャンセラ38Aを通じてフィードバック器40の入力端に回り込む接続にはなっていないので、図1等に示したエコーキャンセラ42は不要とされる。
外部試験器21により、カプラ20及びネットワーク106を介しオーディオユニット16Aに配置された通信器108Aを通じて、基準信号としての余弦波信号cos(2πft)の周波数設定器56Aの周波数fが設定(可変)されるとともに、スイッチ101、104A、105のオンオフ状態が切り替えられる。
伝達特性の同定乃至推定動作時に、基準信号生成器としての余弦波信号生成器54aaは、周波数設定器56Aにより設定された周波数fの余弦波信号cos2πftを生成し、スイッチ104A、接続ポートa{オーディオ増幅器28A(オーディオ装置)の入力端a}、伝達特性Cdeを有するオーディオ増幅器28、及びD/A変換器30を通じてスピーカ27に増幅余弦波信号cos2πft×Cdeとして入力させる。
次に、この第2実施形態に係る能動型振動騒音制御装置10Aの振動騒音制御動作及び同定乃至推定動作について説明する。なお、フローチャートは、図6、図7と同様であるので省略する。
[振動騒音制御動作時:図9]
同定指令がない場合には、消音器制御器36Aを動作させる。このとき、スイッチ101、103、及び105がオン状態とされ、スイッチ104Aのみがオフ状態にされる。同定器ユニット34は、外部試験器21により通信器110を通じ動作切替器112を介して非動作状態になっている。
オーディオソース14Aから出力された相対的に低音側のオーディオ信号Salが、スイッチ101、オーディオ増幅器28A、D/A変換器30、及びスピーカ27を通じて楽音(オーディオ信号再生音)に変換される。この低音側の楽音は、経路401を通じて乗員に伝達されるとともに、マイクロホン22に伝達される。また、オーディオソース14Aから出力された相対的に高音側のオーディオ信号Sahと制御信号Scの加算器203による加算信号(Sah+Sc)が、オーディオ増幅器29、及びスピーカ26を通じて楽音(オーディオ信号再生音)及び相殺音に変換される。この相殺音及び高音側の楽音は、経路301を通じて乗員に伝達されるとともに、マイクロホン22に伝達される。
一方、振動騒音は、模式的に示す第2経路302を通じてマイクロホン22に入力される。
受音点cでの受音信号Srは、振動騒音と相殺音との干渉音に対応する残留振動騒音と、低音側楽音と、高音側楽音との合成音に係る信号となる。
すなわち、残留振動騒音信号Δe´と、低音側楽音に対応するオーディオ信号Sal×Cab´×Cbc´と、高音側楽音に対応するオーディオ信号Sah×Cde×Cecとの加算信号(Δe´+Sal×Cab´×Cbc´+Sah×Cde×Cec)がA/D変換器32の出力端である受音点cに受音信号Srとして表れる。
この受音信号Srは、消音制御器36A中の減算器214の被減数端に入力される。
この場合、減算器214の減数入力端には、オーディオ増幅器28Aにより増幅された低音側の増幅オーディオ信号Sal×Cab´に対し、エコーキャンセラ38Aにより、オーディオ増幅器28Aの出力端bからD/A変換器30、スピーカ27、経路401、マイクロホン22、及びA/D変換器32の出力端である受音点cに至る伝達特性を模擬した模擬第1伝達特性Cbcm´が掛けられた低音側の補正オーディオ信号Sal×Cab´×Cbcm´が入力される。
よって、減算器214の差出力端には、受音信号Sr{Δe´+Sal×Cab´×Cbc´+Sah×Cde×Cec}から低音側の補正オーディオ信号Sal×Cab´×Cbcm´を差し引いた差信号(Δe´+Sal×Cab´×Cbc´+Sah×Cde×Cec−Sal×Cab´×Cbcm´≒Δe´+Sah×Cde×Cec)が現れる。
この差信号(Δe´+Sah×Cde×Cec)中、Sah×Cde×Cecは、高音側のオーディオ信号Sahの受音信号Srの成分であり、この成分は、フィードバック器40の入力に配置されている通過周波数42[Hz]のBPF40aを通過しないので、当該BPF40aにより除去(遮断)され、実質的に、フィードバック器40には、残留振動騒音信号(誤差信号)Δe´のみが入力される。
フィードバック器40は、残留振動騒音信号Δe´をマイクロホン22の受音位置で打ち消すための、残留振動騒音信号Δe´の位相差と振幅を調整した制御信号Scを生成する。
生成された制御信号Scは、スイッチ103、加算器203、オーディオ増幅器29、D/A変換器31及びスピーカ26を通じて相殺音に変換され、経路301を通じてマイクロホン22の受音点に伝達される。
よって、この第2実施形態に係る能動型振動騒音制御装置10Aにおいても、マイクロホン22の受音点において、42[Hz]の周波数のドラミング周波数を有する振動騒音が相殺された楽音のみを聴取することができる。
[伝達特性の同定乃至推定動作時:図8]
エコーキャンセラ38Aに設定される経路401の伝達特性(第1伝達特性)Cbc´に対応する模擬第1伝達特性Cbcm´の同定時においては、余弦波信号生成器54a及び余弦波信号生成器54aaから出力される余弦波信号cos2πftを同期させて出力させるようにすることにより、その他の動作は、第1実施形態と同一であるので簡単に説明する。
第2伝達特性同定器52により、オーディオ増幅器28Aの入力端aからオーディオ増幅器28Aを通じ、その出力端b、D/A変換器30、スピーカ27、経路401、マイクロホン22、及びA/D変換器32の出力端である受音点cまでの第2伝達特性Cac´が同定された同定第2伝達特性Caci´が得られる。
第3伝達特性同定器53により、オーディオ増幅器28Aの第3伝達特性Cab´が同定された同定第3伝達特性Cabi´が得られる。
エコーキャンセラ38Aに設定される、オーディオ増幅器28Aの出力点bからD/A変換器30、スピーカ27、車室内空間の経路401、マイクロホン22、及びA/D変換器32の出力端である受音点cまでの模擬第1伝達特性Cbcm´を推定する推定第1伝達特性Cbcs´は、判定器60により上記(3)式と同様な次の(6)式により推定される。
Cbcs´=Caci´/Cabi´ …(6)
判定器60により推定された推定第1伝達特性Cbcs´と、Cbcm´テーブル62Aから読み出された模擬第1伝達特性Cbcm´とが、当該判定器60により比較され、エコーキャンセラ38Aに設定されている模擬第1伝達特性Cbcm´の適否が判定される。
このように上述した第2実施形態に係る能動型振動騒音制御装置10Aは、
伝達特性Cde(第4伝達特性)を有し、オーディオソース14Aから出力される高音側のオーディオ信号Sahと前記制御信号Scとを加算した加算信号(Sah+Sc)を増幅した増幅加算信号(Sah+Sc)×Cdeを出力するオーディオ装置33と、
オーディオソース14Aから出力される低音側のオーディオ信号Sal又は基準信号cos2πftを増幅し増幅オーディオ信号Sal×Cab´又は増幅基準信号cos2πft×Cab´を出力するオーディオ増幅器28A(オーディオ装置)と、
前記増幅加算信号(Sah+Sc)Cdeに基づく楽音と相殺音を出力するスピーカ26と、
増幅オーディオ信号Sal×Cab´に基づく楽音、又は増幅基準信号cos(2πft)×Cab´に基づく音(供試音)を出力するスピーカ27と、
前記増幅加算信号(Sah+Sc)×Cdeに基づく楽音と振動騒音の相殺音の合成音が車室内空間である経路301を通じて伝達された合成音と、増幅オーディオ信号Sal×Cab´に基づく楽音との合成音を受音した受音信号Sr=(Sah+Sc)×Cde×Cec+Sal×Cab´×Cbc´、又は前記増幅基準信号cos(2πft)×Cab´に基づく音(供試音)が車室内空間である経路301を通じて伝達された供試音を受音した受音信号{Sr=cos(2πft)×Cab´×Cbc´}を出力するマイクロホン22と、
前記オーディオ増幅器28の出力端bから前記スピーカ26通じ前記マイクロホン22までの伝達特性(第1伝達特性)Cbc´を模擬した模擬第1伝達特性Cbcm´に基づいて、補正信号Sal×Cab´×Cbcm´を出力するエコーキャンセラ38Aと、
前記受音信号{Sr=(Sah+Sc)×Cde×Cec+Sal×Cab´×Cbc´}から前記補正信号Sal×Cab´×Cbcm´を減算し、差信号{(Sah+Sc)×Cde×Cec+Sal×Cab´×Cbc´−Sal×Cab´×Cbcm´≒(Sah+Sc)×Cde×Cec}を生成する減算器214と、
前記差信号(Sah+Sc)×Cde×Cecから振動騒音周波数の成分(残留振動騒音成分)(Δe´=Sc×Cde×Cec)を抽出し、車両12A内の振動騒音を打ち消すための制御信号Scを生成する振動騒音制御部(振動騒音制御手段)としてのフィードバック器40と、
を備える能動型振動騒音制御装置10Aにおいて、
前記オーディオ増幅器28Aの入力端aから当該オーディオ増幅器28を通じ、前記スピーカ26を介して前記マイクロホン22までの第2伝達特性Cacを同定し、同定第2伝達特性Caciを得る第2伝達特性同定器52と、
前記オーディオ増幅器28Aの入力端aから当該オーディオ増幅器28Aを通じ、当該オーディオ増幅器28Aの出力端bまでの第3伝達特性Cabを同定して同定第3伝達特性Cabiを得る第3伝達特性同定器53と、
前記同定第2伝達特性Caciと前記同定第3伝達特性Cabiとに基づいて前記オーディオ増幅器28Aの出力端bから前記スピーカ26を介し前記マイクロホン22までの第1伝達特性Cbc´を推定した推定第1伝達特性Cbcs´を算出し、算出した前記推定第1伝達特性Cbcs´と前記模擬第1伝達特性Cbcm´とを比較することで、前記模擬第1伝達特性Cbcm´の適否を判定する判定器60と、を備える。
この場合にも、前記第2伝達特性同定器52は、減算器218と、基準信号(余弦波信号cos2πftと正弦波信号sin2πft)が入力される適応ノッチフィルタ44と、から構成され、前記減算器218の被減数入力端には前記マイクロホン22で受音された受音信号Sr=cos(2πft)×Cab´×Cbc´が入力され、前記減算器218の減数入力端には前記適応ノッチフィルタ44の出力信号が入力され、
前記第3伝達特性同定器53は、他の減算器216と、前記基準信号(余弦波信号cos2πftと正弦波信号sin2πft)が入力される他の適応ノッチフィルタ46と、から構成され、前記他の減算器216の被減数入力端には前記オーディオ増幅器28の出力端bから増幅基準信号cos2πft×Cab´が入力され、前記他の減算器216の減数入力端には前記他の適応ノッチフィルタ46の出力信号が入力されるように構成される。
なお、前記同定第2伝達特性Caci及び前記同定第3伝達特性Cabiを得る際に、前記フィードバック器40は非動作状態とされ、前記オーディオ増幅器28の入力端aに前記基準信号基準信号cos2πftが入力されるように構成される。
上記した第2実施形態によれば、オーディオ増幅器28A(オーディオ装置)の出力端bからマイクロホン22までの模擬第1伝達特性Cbcm´に基づいてエコーキャンセラ38Aによる処理を行うフィードバック制御の能動型振動騒音制御装置10Aにおいて、オーディオ増幅器28A(オーディオ装置)の入力端aからマイクロホン22までの第2伝達特性Cac´を同定した同定第2伝達特性Caci´と、オーディオ増幅器28A(オーディオ装置)の入力端aからオーディオ増幅器28A(オーディオ装置)の出力端bまでの第3伝達特性Cab´を同定した同定第3伝達特性Cabi´とに基づいて、同定第1伝達特性Cbci´を算出し(Cbci´=Caci´/Cabi´)、模擬第1伝達特性Cbcm´と同定第1伝達特性Cbci´とを比較することで、模擬第1伝達特性Cbcm´の適否を判定するようにしたので、特別な伝達特性測定システムを準備し当該能動型振動騒音制御装置10Aに外部接続して第1伝達特性Cbc´を測定する必要がなく、エコーキャンセラ38Aに関する伝達特性に異常があるか否かを簡易な構成で判定することができる。
なお、この発明は、上述の実施形態に限らず、この明細書の記載内容に基づき、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
10、10A…能動型振動騒音制御装置 12…車両
14、14A…オーディオソース 16、16A…オーディオユニット
18、18A…能動型振動騒音制御ユニット
20、20A…カプラ 21…外部試験器
28、28´、29…オーディオ増幅器 31、33…オーディオ装置
38、38A…エコーキャンセラ 40…フィードバック器
44、46…適応ノッチフィルタ 52…第2伝達特性同定器
53…第3伝達特性同定器 54…基準信号生成器
60…判定器 62…模擬第1伝達特性テーブル
64…模擬第3伝達特性テーブル

Claims (4)

  1. オーディオ装置の出力端に接続され前記オーディオ装置の出力端からスピーカを介しマイクロホンまでの第1伝達特性を模擬した模擬第1伝達特性が設定されたエコーキャンセラに、オーディオ信号と制御信号との加算信号が入力された前記オーディオ装置から出力される増幅加算信号を入力し、前記エコーキャンセラの出力信号を、前記増幅加算信号が前記スピーカにより変換された音と振動騒音とを受音する前記マイクロホンの受音信号から差し引いて残留振動騒音信号を得、フィードバック器に前記残留振動騒音信号を入力し、前記フィードバック器により前記残留振動騒音信号に基づいて前記マイクロホンの受音位置で前記振動騒音を相殺する相殺音を生成するための前記制御信号を生成して前記オーディオ装置に入力する能動型振動騒音制御装置において、
    前記オーディオ装置の入力端から当該オーディオ装置を通じ当該オーディオ装置の出力端から前記スピーカを介し前記マイクロホンまでの第2伝達特性を同定し、同定第2伝達特性を得る第2伝達特性同定器と、
    前記オーディオ装置の入力端から当該オーディオ装置を通じ当該オーディオ装置の出力端までの第3伝達特性を同定し、同定第3伝達特性を得る第3伝達特性同定器と、
    前記同定第2伝達特性と前記同定第3伝達特性とに基づいて前記オーディオ装置の出力端から前記スピーカを介し前記マイクロホンまでの前記第1伝達特性を推定した推定第1伝達特性を算出し、算出した前記推定第1伝達特性と前記模擬第1伝達特性とを比較することで、前記模擬第1伝達特性の適否を判定する判定器と、
    を備えることを特徴とする能動型振動騒音制御装置。
  2. 請求項1記載の能動型振動騒音制御装置において、
    前記第2伝達特性同定器は、減算器と、振動騒音信号の周波数を有する基準信号が入力される適応ノッチフィルタと、から構成され、前記減算器の被減数入力端には前記マイクロホンの前記受音信号が入力され、前記減算器の減数入力端には前記適応ノッチフィルタの出力信号が入力される接続とし、
    前記第3伝達特性同定器は、他の減算器と、前記基準信号が入力される他の適応ノッチフィルタと、から構成され、前記他の減算器の被減数入力端には前記オーディオ装置の出力端からの信号が入力され、前記他の減算器の減数入力端には前記他の適応ノッチフィルタの出力信号が入力される接続とする
    ことを特徴とする能動型振動騒音制御装置。
  3. 請求項1又は2記載の能動型振動騒音制御装置において、
    前記同定第2伝達特性及び前記同定第3伝達特性を得る際に、前記フィードバック器は非動作状態とし、
    前記オーディオ装置の入力端に前記基準信号が入力されるように接続する
    ことを特徴とする能動型振動騒音制御装置。
  4. 振動騒音を打ち消すための制御信号と高音側のオーディオ信号とを加算し加算信号を出力する加算器と、
    前記加算信号を増幅した増幅加算信号を出力する高音側オーディオ装置と、
    基準信号又は低音側のオーディオ信号を増幅し、増幅基準信号又は増幅低音側オーディオ信号を出力する低音側オーディオ装置と、
    前記増幅加算信号に基づく相殺音と高音側楽音とを出力する高音側スピーカと、
    前記増幅基準信号に基づく供試音、又は前記増幅低音側オーディオ信号に基づく低音側楽音を出力する低音側スピーカと、
    前記相殺音と、前記高音側楽音と、前記低音側楽音と、前記振動騒音とを受音した合成受音信号、又は前記供試音を受音した供試音受音信号を出力するマイクロホンと、
    前記低音側オーディオ装置の出力端から前記低音側スピーカ通じ前記マイクロホンまでの伝達特性を模擬した模擬第1伝達特性に基づいて、補正信号を出力するエコーキャンセラと、
    前記合成受音信号から前記補正信号を減算し、差信号を出力する減算器と、
    前記差信号から前記振動騒音周波数の成分を抽出し抽出した残留振動騒音成分に基づいて前記制御信号を生成するフィードバック器と、
    前記低音側オーディオ装置の入力端から当該低音側オーディオ装置を通じ、当該オーディオ装置の出力端から前記低音側スピーカを介して前記マイクロホンまでの第2伝達特性を同定し、同定第2伝達特性を得る第2伝達特性同定器と、
    前記低音側オーディオ装置の入力端から当該低音側オーディオ装置を通じ、当該低音側オーディオ装置の出力端までの第3伝達特性を同定して同定第3伝達特性を得る第3伝達特性同定器と、
    前記同定第2伝達特性と前記同定第3伝達特性とに基づいて前記低音側オーディオ装置の出力端から前記低音側スピーカ通じ前記マイクロホンまでの伝達特性を推定した推定第1伝達特性を算出し、算出した前記推定第1伝達特性と前記模擬第1伝達特性とを比較することで、前記模擬第1伝達特性の適否を判定する判定器と、を備える
    ことを特徴とする能動型振動騒音制御装置。
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