JP2012038463A - リチウムイオン二次電池の状態判定方法 - Google Patents

リチウムイオン二次電池の状態判定方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2012038463A
JP2012038463A JP2010175535A JP2010175535A JP2012038463A JP 2012038463 A JP2012038463 A JP 2012038463A JP 2010175535 A JP2010175535 A JP 2010175535A JP 2010175535 A JP2010175535 A JP 2010175535A JP 2012038463 A JP2012038463 A JP 2012038463A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ion secondary
lithium ion
secondary battery
battery
capacity
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2010175535A
Other languages
English (en)
Inventor
Masanori Watanabe
正規 渡邉
Masaru Ishii
勝 石井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2010175535A priority Critical patent/JP2012038463A/ja
Publication of JP2012038463A publication Critical patent/JP2012038463A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Secondary Cells (AREA)

Abstract

【課題】負極活物質層の非対向部を有するリチウムイオン二次電池について、電池を破壊(分解)することなく、その負極板表面に金属リチウムが析出しているか否かを適切に判断することができる、リチウムイオン二次電池の状態判定方法を提供する。
【解決手段】リチウムイオン二次電池を、電池電圧値をSOC60%となる電池電圧値以下にした状態で、25℃以下の温度環境下で40日間以上放置する第1放置ステップと、第1容量測定ステップと、リチウムイオン二次電池を、電池電圧値を第1放置ステップにおける電池電圧値と等しい値にした状態で、40℃〜60℃の温度環境下で放置する第2放置ステップと、第2容量測定ステップと、第2容量測定ステップで測定された電池容量が第1容量測定ステップで測定された電池容量よりも大きい場合、リチウムイオン二次電池の負極板表面に金属リチウムが析出していると判定する判定ステップとを備える。
【選択図】図5

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池の状態判定方法に関する。
リチウムイオン二次電池は、携帯機器の電源として、また、電気自動車やハイブリッド自動車などの電源として注目されている。ところで、リチウムイオン二次電池では、例えば、低温環境下において充電(特に、ハイレート充電)を行うと、負極板表面に金属リチウムが析出してしまうことがある。負極板表面に析出した金属リチウムの多くは、電池の充放電反応に寄与できなくなるので、このような充電を繰り返すと、電池容量が低減してゆくという問題があった。近年、この問題を解決する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2001−52760号公報 特開2005−190913号公報
特許文献1では、充電開始時の電池温度に応じて充電電圧を設定し、この充電電圧で定電圧充電を行う充電方法が提案されている。具体的には、充電開始時の電池温度が低温であるほど、充電電圧を低く設定する。これにより、低温環境下での充電時に、電池温度の低下によって負極電位が低下することを防止できるので、負極電位がリチウム析出電位まで低下し難くなり、Liの析出が防止されると記載されている。
また、リチウムイオン二次電池として、負極板の活物質塗着部(負極活物質層)の幅を、正極板の活物質塗着部(正極活物質層)の幅よりも大きく設定した捲回型の極板群(電極体)を備えるリチウムイオン二次電池が知られている(例えば、特許文献2参照)。このリチウムイオン二次電池では、負極活物質層は、セパレータを介して正極活物質層と対向する対向部と、この負極活物質層の幅方向両端側に位置し、セパレータを介して対向する正極活物質層が存在しない非対向部とを有している。
このリチウムイオン二次電池では、充電を行うと、正極活物質層(正極活物質)から放出されたLi(リチウムイオン)が、負極活物質層の対向部(対向部の負極活物質)に挿入される。一方、放電を行うと、負極活物質層の対向部(対向部の負極活物質)から放出されたLiが、正極活物質層(正極活物質)に挿入される。
ところで、負極活物質層の非対向部を有するリチウムイオン二次電池では、充電時(特に、ハイレート充電時)に正極活物質層から放出されたLi(リチウムイオン)の一部が、非対向部に挿入されることがあった。また、負極活物質層の対向部(対向部の負極活物質)に挿入されたLi(リチウム)の一部が、非対向部(非対向部の負極活物質)に移動(拡散)することもあった。
ところが、負極活物質層の非対向部は、対向する正極活物質層が存在しないので、放電の際、この非対向部からその内部にあるLiを放出させ難い。つまり、この非対向部は、負極活物質層でありながら、放電に関与し難い。このため、非対向部に挿入されたLiの分だけ、放電の際に負極活物質層から放出しうるLi量が減少してしまう、即ち、電池容量が低下してしまうことがあった。
ところで、近年、リチウムイオン二次電池について、電池を破壊(分解)することなく、その負極板表面に金属リチウムが析出しているか否かを判断する技術が求められている。
しかしながら、特許文献1の手法では、リチウムイオン二次電池について、その負極板表面に金属リチウムが析出しているか否かを判定(リチウムイオン二次電池の状態判定)することはできなかった。
これに対し、本願発明者は、所定条件下でリチウムイオン二次電池を放置することで、リチウムイオン二次電池の負極板表面に析出した金属リチウムの一部をリチウムイオンに戻すことができ、これにより、電池容量が増加(回復)することを見出した。従って、所定条件下でリチウムイオン二次電池を放置することで、電池容量が増加した場合には、そのリチウムイオン二次電池の負極板表面には、金属リチウムが析出している可能性があるといえる。
ところが、負極活物質層の非対向部を有するリチウムイオン二次電池では、負極板表面に金属リチウムが析出していなくても、非対向部にLiが挿入されて電池容量が低下していることがある。また、負極板表面に金属リチウムが析出し、且つ、非対向部にLiが挿入されて電池容量が低下していることもある。本願発明者の調査により、非対向部にLiが挿入されて電池容量が低下している電池でも、所定条件下でリチウムイオン二次電池を放置すると、電池容量が増加(回復)することが判明した。
このため、負極活物質層の非対向部を有するリチウムイオン二次電池について、所定条件下でリチウムイオン二次電池を放置し、放置により電池容量が増加(増加)した場合に、直ちに、そのリチウムイオン二次電池の負極板表面に、金属リチウムが析出していると判断することができなかった。その容量増加(回復)が、負極板表面の析出Liの回復に起因するものなのか、非対向部に挿入されたLiの回復に起因するものなのか、判断することができないからである。
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであって、負極活物質層の非対向部を有するリチウムイオン二次電池について、電池を破壊(分解)することなく、その負極板表面に金属リチウムが析出しているか否かを適切に判断することができる、リチウムイオン二次電池の状態判定方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、正極集電板、及び、正極活物質を含み上記正極集電板上に配置された正極活物質層、を有する正極板と、負極集電板、及び、負極活物質を含み上記負極集電板上に配置された負極活物質層、を有する負極板と、上記正極板と上記負極板との間に介在するセパレータと、を備え、上記セパレータを介して、上記正極活物質層と上記負極活物質層とが対向するリチウムイオン二次電池であって、上記負極活物質層は、上記セパレータを介して、上記正極活物質層と対向する対向部と、上記セパレータを介して対向する上記正極活物質層が存在しない非対向部と、からなるリチウムイオン二次電池の状態判定方法であって、上記リチウムイオン二次電池の電池電圧値を、上記リチウムイオン二次電池がSOC60%となる電池電圧値以下にした状態で、上記リチウムイオン二次電池を、25℃以下の温度環境下で、40日間以上放置する第1放置ステップと、上記第1放置ステップを行った後の上記リチウムイオン二次電池の電池容量を測定する第1容量測定ステップと、上記第1容量測定ステップを行った後の上記リチウムイオン二次電池について、その電池電圧値を前記第1放置ステップにおける電池電圧値と等しい値にした状態で、40℃〜60℃の温度環境下で放置する第2放置ステップと、上記第2放置ステップを行った後の上記リチウムイオン二次電池の電池容量を測定する第2容量測定ステップと、上記第2容量測定ステップで測定された電池容量が、上記第1容量測定ステップで測定された電池容量よりも大きい場合、上記リチウムイオン二次電池の上記負極板表面に金属リチウムが析出していると判定する判定ステップと、を備えるリチウムイオン二次電池の状態判定方法である。
上述のリチウムイオン二次電池の状態判定方法では、まず、第1放置ステップにおいて、負極活物質層の非対向部を有するリチウムイオン二次電池について、その電池電圧値を、リチウムイオン二次電池がSOC60%となる電池電圧値以下にした状態で、25℃以下の温度環境下で、40日間以上放置する。その後、第1容量測定ステップにおいて、第1放置ステップ後のリチウムイオン二次電池の電池容量を測定する。次いで、第2放置ステップにおいて、そのリチウムイオン二次電池について、その電池電圧値を、第1放置ステップにおける電池電圧値と等しい値)にした状態で、40℃〜60℃の温度環境下で放置する。その後、第2容量測定ステップにおいて、第2放置ステップ後のリチウムイオン二次電池の電池容量を測定する。
なお、SOCは、State Of Charge(充電状態、充電率)の略である。
ところで、リチウムイオン二次電池を放置することによる電池容量の回復量には、限界値(上限値)があり、その限界値は、放置温度(環境温度)によって異なる。詳細には、25℃以下の放置温度(環境温度)で放置した場合よりも、40〜60℃の放置温度(環境温度)で放置した場合のほうが、電池容量の回復量の限界値(上限値)は高くなる。
そこで、上述の状態判定方法では、第1放置ステップにおいて、リチウムイオン二次電池の電池電圧値を、リチウムイオン二次電池がSOC60%となる電池電圧値以下にした状態で、そのリチウムイオン二次電池を、25℃以下の温度環境下で、40日間以上放置する。この放置により、電池容量の回復量は限界値(上限値、第1放置ステップの放置温度(25℃以下の所定温度)の限界値)に達する。
その後、上述の状態判定方法では、第2放置ステップにおいて、放置温度(環境温度)を40℃〜60℃の範囲内にして、リチウムイオン二次電池を放置する。これにより、第1放置ステップにおいて容量回復限界に達し、負極板表面に析出している金属リチウムがリチウムイオンに戻らなくなったリチウムイオン二次電池において、負極板表面に析出している(残存している)金属リチウムが、新たにリチウムイオンに戻り始める。特に、放置温度(環境温度)を40℃〜60℃とすることで、リチウムイオン二次電池の負極板表面に析出した金属リチウムが、リチウムイオンに戻り易くなる。従って、リチウムイオン二次電池の負極板表面に金属リチウムが析出したことにより低減した電池容量を、効果的に回復させることができる。
しかも、第2放置ステップでは、リチウムイオン二次電池の電池電圧値を、第1放置ステップにおける電池電圧値と等しい値にした状態で、リチウムイオン二次電池を放置する。これにより、第2放置ステップでは、負極活物質層の非対向部のLiが対向部に移動することによる容量増加(回復)を防止することができる。容量回復限界に達したリチウムイオン二次電池について、その電池電圧(従ってSOC)を変えなければ、負極活物質層の非対向部のLiが対向部に移動(拡散)することがないからである。
従って、上述の第2放置ステップでは、負極板表面に金属リチウムが析出している場合には、その析出している金属リチウムの一部がリチウムイオンに戻ることによって、電池容量が確実に増加(回復)する。このため、第2容量測定ステップで測定された電池容量が、第1容量測定ステップで測定された電池容量よりも大きい場合には、間違いなく、リチウムイオン二次電池の負極板表面に金属リチウムが析出しているといえる。従って、判定ステップにおいて、リチウムイオン二次電池の負極板表面に金属リチウムが析出していると適切に判断することができる。
以上より、上述のリチウムイオン二次電池の状態判定方法によれば、負極活物質層の非対向部を有するリチウムイオン二次電池について、電池を破壊(分解)することなく、その負極板表面に金属リチウムが析出しているか否かを適切に判断することができる。
さらに、上記のリチウムイオン二次電池の状態判定方法であって、前記第1放置ステップ及び前記第2放置ステップでは、前記リチウムイオン二次電池の電池電圧を、上記リチウムイオン二次電池がSOC0%となる電池電圧値よりも低い値にした状態で、上記リチウムイオン二次電池を放置するリチウムイオン二次電池の状態判定方法とすると良い。
上述のリチウムイオン二次電池の状態判定方法では、第2放置ステップにおいて、リチウムイオン二次電池の電池電圧を、リチウムイオン二次電池がSOC0%となる電池電圧値よりも低い値(但し、第1放置ステップと等しい値)にした状態で、リチウムイオン二次電池を放置する。
このように低い電池電圧値でリチウムイオン二次電池を放置することで、第2放置ステップにおいて、負極板表面に析出している金属リチウムが、リチウムイオンに戻り易くなる。従って、リチウムイオン二次電池の負極板表面に金属リチウムが析出したことにより低減した電池容量を、より効果的に回復させることができる。このため、負極板表面に金属リチウムが析出しているリチウムイオン二次電池では、第2容量測定ステップで測定された電池容量が、第1容量測定ステップで測定された電池容量よりも、確実に大きくなる。従って、上述のリチウムイオン二次電池の状態判定方法によれば、負極板表面に金属リチウムが析出しているか否かを、より適切に判断することができる。
本発明の他の態様は、正極集電板、及び、正極活物質を含み上記正極集電板上に配置された正極活物質層、を有する正極板と、負極集電板、及び、負極活物質を含み上記負極集電板上に配置された負極活物質層、を有する負極板と、上記正極板と上記負極板との間に介在するセパレータと、を備え、上記セパレータを介して、上記正極活物質層と上記負極活物質層とが対向するリチウムイオン二次電池であって、上記負極活物質層は、上記セパレータを介して、上記正極活物質層と対向する対向部と、上記セパレータを介して対向する上記正極活物質層が存在しない非対向部と、からなるリチウムイオン二次電池の状態判定方法であって、上記リチウムイオン二次電池の電池電圧値を、上記リチウムイオン二次電池がSOC0%となる電池電圧値以下にした状態で、上記リチウムイオン二次電池を8〜48時間放置する第1放置ステップと、上記第1放置ステップを行った後の上記リチウムイオン二次電池の電池容量を測定する第1容量測定ステップと、上記第1容量測定ステップを行った後の上記リチウムイオン二次電池について、その電池電圧値を、上記リチウムイオン二次電池がSOC30%となる電池電圧値以下にした状態で、上記リチウムイオン二次電池を放置する第2放置ステップと、上記第2放置ステップを行った後の上記リチウムイオン二次電池の電池容量を測定する第2容量測定ステップと、上記第2容量測定ステップで測定された電池容量が、上記第1容量測定ステップで測定された電池容量よりも大きい場合、上記リチウムイオン二次電池の上記負極板表面に金属リチウムが析出していると判定する判定ステップと、を備えるリチウムイオン二次電池の状態判定方法である。
上述のリチウムイオン二次電池の状態判定方法では、まず、第1放置ステップにおいて、リチウムイオン二次電池の電池電圧値を、リチウムイオン二次電池がSOC0%となる電池電圧値以下にした状態で、リチウムイオン二次電池を8〜48時間放置する。これにによって、負極活物質層の非対向部に挿入されたリチウムを、負極活物質層の対向部に移動させる(戻す)ことができる。従って、非対向部にLiが挿入されたことによって低下した電池容量を確実に回復させることができる。
ところで、リチウムイオン二次電池を放置したとき、負極活物質層の非対向部に挿入されているリチウムが負極活物質層の対向部に移動することによって電池容量が回復する速さは、負極板表面に析出している金属リチウムがリチウムイオンに戻ることによって電池容量が回復する速さに比べて、遙かに速い。このため、第1放置ステップにおいて、負極活物質層の非対向部に挿入されているリチウムが負極活物質層の対向部に移動することによって電池容量が回復している間、負極板表面に析出している金属リチウムの一部がリチウムイオンに戻るが、その量は少ない(析出Li全体の30%未満)。従って、負極板表面に金属リチウムが析出していたリチウムイオン二次電池では、第1放置ステップを終えた後も、負極板表面に析出していた金属リチウムの一部が残ることになる。
次いで、上述のリチウムイオン二次電池の状態判定方法では、第1容量測定ステップにおいて、第1放置ステップを行った後のリチウムイオン二次電池の電池容量を測定する。 その後、第2放置ステップにおいて、リチウムイオン二次電池の電池電圧値を、リチウムイオン二次電池がSOC30%となる電池電圧値以下にした状態で、リチウムイオン二次電池を放置する。この放置により、リチウムイオン二次電池の負極板表面に金属リチウムが析出したことにより低減した電池容量を、適切にに回復させることができる。
このため、負極板表面に金属リチウムが析出しているリチウムイオン二次電池では、第2容量測定ステップで測定された電池容量が、第1容量測定ステップで測定された電池容量よりも大きくなるので、判定ステップにおいて、リチウムイオン二次電池の負極板表面に金属リチウムが析出していると判断することができる。
以上より、上述のリチウムイオン二次電池の状態判定方法によれば、判定ステップにおいて、負極板表面に金属リチウムが析出しているか否かを適切に判断することができる。
さらに、上記のリチウムイオン二次電池の状態判定方法であって、前記第1放置ステップでは、前記リチウムイオン二次電池を、20℃〜30℃の温度環境下で放置し、前記第2放置ステップでは、前記リチウムイオン二次電池を、40℃〜60℃の温度環境下で放置するリチウムイオン二次電池の状態判定方法とすると良い。
上述のリチウムイオン二次電池の状態判定方法では、第1放置ステップにおいて、リチウムイオン二次電池を20℃〜30℃の温度環境下で放置する。その後、第2放置ステップにおいて、リチウムイオン二次電池を40℃〜60℃の温度環境下で放置する。このようにすることで、第2放置ステップにおいて、リチウムイオン二次電池の負極板表面に析出した金属リチウムを、効果的にリチウムイオンに戻すことができる。
特に、第2放置ステップにおける放置温度(環境温度)を40℃〜60℃とすることで、リチウムイオン二次電池の負極板表面に析出した金属リチウムが、リチウムイオンに戻り易くなる。従って、リチウムイオン二次電池の負極板表面に金属リチウムが析出したことにより低減した電池容量を、効果的に回復させることができる。
このため、負極板表面に金属リチウムが析出しているリチウムイオン二次電池では、第2容量測定ステップで測定された電池容量が、第1容量測定ステップで測定された電池容量よりも、確実に大きくなる。従って、上述のリチウムイオン二次電池の状態判定方法によれば、負極板表面に金属リチウムが析出しているか否かを、より適切に判断することができる。
さらに、上記いずれかのリチウムイオン二次電池の状態判定方法であって、前記第1放置ステップでは、前記リチウムイオン二次電池を、16〜24時間放置するリチウムイオン二次電池の状態判定方法とすると良い。
第1放置ステップにおいて、リチウムイオン二次電池の電池電圧値を、リチウムイオン二次電池がSOC0%となる電池電圧値以下にした状態で、そのリチウムイオン二次電池を16〜24時間放置することで、非対向部にLiが挿入されたことによって低下した電池容量を完全に回復させることができる。しかも、16〜24時間の放置では、負極板表面に析出している金属リチウムがリチウムイオンに戻る量は、僅か(析出Li全体の10%程度)である。従って、負極板表面に金属リチウムが析出していたリチウムイオン二次電池では、第1放置ステップを終えた後も、負極板表面に析出していた金属リチウムの多くが残ることになる。
このため、負極板表面に金属リチウムが析出しているリチウムイオン二次電池では、第2容量測定ステップで測定された電池容量が、第1容量測定ステップで測定された電池容量よりも確実に大きくなるので、判定ステップにおいて、リチウムイオン二次電池の負極板表面に金属リチウムが析出していることを、適切に判断することができる。
さらに、上記いずれかのリチウムイオン二次電池の状態判定方法であって、前記第2放置ステップでは、前記リチウムイオン二次電池の電池電圧値を、前記第1放置ステップにおける電池電圧値と等しい値にした状態で、上記リチウムイオン二次電池を放置するリチウムイオン二次電池の状態判定方法とすると良い。
第2放置ステップにおいて、リチウムイオン二次電池の電池電圧値を第1放置ステップにおける電池電圧値と等しい値にした状態で、リチウムイオン二次電池を放置することで、より確実に、リチウムイオン二次電池の負極板表面に析出している金属リチウムを、リチウムイオンに戻すことができる。従って、上述のリチウムイオン二次電池の状態判定方法によれば、負極板表面に金属リチウムが析出しているか否かを、より適切に判断することができる。
さらに、上記いずれかのリチウムイオン二次電池の状態判定方法であって、前記第2放置ステップでは、前記リチウムイオン二次電池を、84時間以上放置するリチウムイオン二次電池の状態判定方法とすると良い。
上述のリチウムイオン二次電池の状態判定方法では、第2放置ステップにおいて、リチウムイオン二次電池を、84時間以上放置する。これにより、リチウムイオン二次電池の負極板表面に析出した金属リチウムを、効果的にリチウムイオンに戻すことができる。従って、リチウムイオン二次電池の負極板表面に金属リチウムが析出したことにより低下した電池容量を効果的に回復させることができる。このため、負極板表面に金属リチウムが析出しているリチウムイオン二次電池では、第2容量測定ステップで測定された電池容量が、第1容量測定ステップで測定された電池容量よりも、確実に大きくなる。従って、上述のリチウムイオン二次電池の状態判定方法によれば、負極板表面に金属リチウムが析出しているか否かを、より適切に判断することができる。
実施形態にかかるリチウムイオン二次電池の斜視図である。 同リチウムイオン二次電池の正極板の斜視図である。 同リチウムイオン二次電池の負極板の斜視図である。 同負極板の拡大断面図であり、図3のA−A断面図に相当する。 リチウムイオン二次電池の状態判定方法を示すフローチャートである。 放置温度と容量回復率(負極板表面に金属リチウムが析出したことにより低減した電池容量の回復率)との関係を示すグラフである。 放置時間と容量回復率(負極板表面に金属リチウムが析出したことにより低減した電池容量の回復率)との関係を示すグラフである。 SOC及び電池電圧と容量回復率(負極板表面に金属リチウムが析出したことにより低減した電池容量の回復率)との関係を示すグラフである。 放置時間と容量回復率(非対向部にLiが挿入されたことによって低下した電池容量の回復率)との関係を示すグラフである。 放置温度の違いによる電池容量の回復限界の違いを示すグラフである。 リチウムイオン二次電池を放置したときに、負極活物質層の非対向部に挿入されているリチウムが対向部に移動することによって電池容量が回復する速さと、負極板表面に析出している金属リチウムがリチウムイオンに戻ることによって電池容量が回復する速さとの違いを示すグラフである。
まず、本実施形態で用いたリチウムイオン二次電池100について説明する。
リチウムイオン二次電池100は、図1に示すように、電極体110と、これを収容する電池ケース180とを備える。電極体110は、正極板130、負極板120、及びセパレータ150を備えている。セパレータ150は、ポリエチレンからなり、正極板130と負極板120との間に介在して、これらを離間させている。このセパレータ150には、リチウムイオンを有する電解液160を含浸させている。
電池ケース180は、アルミニウムからなり、電池ケース本体181及び封口蓋182を有する。このうち、電池ケース本体181は、有底矩形箱形状をなしている。なお、電池ケース本体181と電極体110との間には、樹脂からなり、箱状に折り曲げた絶縁フィルム(図示しない)が介在させてある。
また、封口蓋182は、矩形板状であり、電池ケース本体181の開口を閉塞して、この電池ケース本体181に溶接されている。この封口蓋182には、矩形板状の安全弁197が封着されている。
また、電極体110の正極板130には、クランク状に屈曲した板状の正極集電部材191が溶接されている(図1参照)。さらに、負極板120には、クランク状に屈曲した板状の負極集電部材192が溶接されている。正極集電部材191及び負極集電部材192のうち、それぞれの先端に位置する正極端子部191A及び負極端子部192Aは、封口蓋182を貫通して蓋表面182Aから突出している。なお、正極端子部191Aと封口蓋182との間、及び、負極端子部192Aと封口蓋182との間には、それぞれ、電気絶縁性の樹脂からなる絶縁部材195を介在させている。
また、電解液160は、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)とを、体積比でEC:EMC=3:7に調整した混合有機溶媒に、溶質として六フッ化リン酸リチウムを添加し、リチウムイオン濃度を1mol/lとした非水電解液である。
電極体110は、帯状の正極板130及び負極板120が、帯状のセパレータ150を介して扁平形状に捲回されてなる捲回型である(図1参照)。詳細には、長手方向DAに延びる帯状の正極板130、負極板120、及びセパレータ150を、長手方向DAに捲回して、捲回型の電極体110を形成している(図1〜図4参照)。なお、この電極体110では、セパレータ150を介して、正極板130の正極活物質層131と負極板120の負極活物質層121とが対向している(図4参照)。
正極板130は、図2に示すように、長手方向DAに延びる帯状で、アルミニウム箔からなる正極集電板138と、この正極集電板138の両主面上に、それぞれ長手方向DAに延びる帯状に配置された2つの正極活物質層131,131とを有している。正極活物質層131は、ニッケル酸リチウムからなる正極活物質137と、アセチレンブラックからなる導電材(図示しない)と、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)からなる結着材(図示しない)とを含んでいる。
また、負極板120は、図3に示すように、長手方向DAに延びる帯状で銅箔からなる負極集電板128と、この負極集電板128の両主面128F,128F上に、それぞれ長手方向DAに延びる帯状に配置された2つの負極活物質層121,121とを有している。負極活物質層121は、黒鉛(グラファイト)からなる負極活物質127、及び、PVDFからなる結着材(図示しない)を含んでいる。
この負極活物質層121は、図3及び図4(図3のA−A断面図)に示すように、セパレータ150を介して正極活物質層131と対向する対向部122と、セパレータ150を介して対向する正極活物質層131が存在しない非対向部123(次述する第1非対向部124及び第2非対向部125)とからなる。具体的には、負極活物質層121は、正極活物質層131に比べて大きな面積を有しており、非対向部123が対向部122の周囲に位置する形態となっている。
非対向部123は、負極活物質層121の長手方向DAの両端側に位置する2つの第2非対向部125,125と、負極活物質層121の幅方向DBの両端側にそれぞれ位置する2つの第1非対向部124,124とからなる。なお、負極活物質層121における非対向部123(第1非対向部124及び第2非対向部125)と対向部122との境界の位置は、負極板120、セパレータ150及び正極板130を捲回して電極体110を形成したときに決まる。また、図4では、参考として、電極体110を形成したときの正極板130及びセパレータ150の位置を、二点鎖線で示している。
(実施例1)
次に、本発明の実施例1にかかるリチウムイオン二次電池の状態判定方法について、図面を参照して説明する。
図5に示すように、まず、ステップS1(第1放置ステップ)において、所定条件下で、リチウムイオン二次電池100を放置する。具体的には、リチウムイオン二次電池100の電池電圧値を、リチウムイオン二次電池100がSOC60%となる電池電圧値以下にした状態で、そのリチウムイオン二次電池100を、25℃以下の温度環境下で、40日間以上放置する。
詳細には、まず、リチウムイオン二次電池100について、電池電圧値の調整を行う。例えば、公知の充放電装置(図示なし)を用いて、リチウムイオン二次電池100を放電させて(または充電して)、リチウムイオン二次電池100の電池電圧値(端子間電圧値)を、リチウムイオン二次電池100がSOC60%となる電池電圧値(本実施例1では、3.73V)以下の値(この電池電圧値を第1電圧規定値とする)にする。なお、ここでは、特に、第1電圧規定値を、リチウムイオン二次電池100がSOC0%となる電池電圧値(本実施形態では3.0V)よりも低い値(例えば、2.5V)にするのが好ましい。その理由については、後のステップS3において説明する。
なお、公知の充放電装置では、リチウムイオン二次電池100の電池電圧値(正極端子部191Aと負極端子部192Aとの端子間電圧値)を検出することができる。従って、公知の充放電装置により、リチウムイオン二次電池100の電池電圧値を把握することができる。また、リチウムイオン二次電池100のSOC(%)は、リチウムイオン二次電池100の電池電圧値によって決定される。具体的には、リチウムイオン二次電池100では、例えば、電池電圧値が4.1VであるときにSOC100%、電池電圧値が3.54VであるときにSOC30%、電池電圧値が3.0VであるときにSOC0%となる。
その後、このリチウムイオン二次電池100を、25℃以下の温度環境下で、40日間以上放置する。例えば、図示しない公知の冷却装置(または加熱装置)を用いて、リチウムイオン二次電池100の温度を25℃以下の所定温度(この温度を第1温度規定値とする)に保持しつつ、リチウムイオン二次電池100を40日間以上放置する。あるいは、槽内の温度を第1温度規定値(例えば、25℃あるいは10℃など)に保持した公知の恒温槽(図示なし)内に、リチウムイオン二次電池100を40日間以上放置する。
なお、ステップS1(第1放置ステップ)では、例えば、公知の充放電装置を用いて、一定時間毎に、リチウムイオン二次電池100の電池電圧値を第1電圧規定値(例えば、2.5V)に調整して、リチウムイオン二次電池100を放置するようにしても良い。また、リチウムイオン二次電池100の電池電圧値を第1電圧規定値(例えば、2.5V)に保持しつつ、リチウムイオン二次電池100を放置するようにしても良い。なお、ステップS1が、第1放置ステップに相当する。
次に、ステップS2(第1容量測定ステップ)に進み、第1放置ステップ(ステップS1)を行った後のリチウムイオン二次電池100の電池容量(この電池容量を第1容量C1とする)を測定する。具体的には、まず、SOC100%(電池電圧値が4.1V)になるまで、1Cの定電流で、リチウムイオン二次電池100を充電する。その後、SOC0%(電池電圧値が3.0V)になるまで、1Cの定電流で、リチウムイオン二次電池100を放電する。このときの放電電気量を、第1容量C1として測定した。
なお、1Cは、定格容量値(公称容量値)の容量を有する電池を定電流放電して、1時間で放電終了となる電流値である。リチウムイオン二次電池100の定格容量(公称容量)は5.0Ahであるので、1C=5.0Aとなる。
また、SOCは、State Of Charge(充電状態、充電率)の略である。
その後、ステップS3(第2放置ステップ)に進み、リチウムイオン二次電池100の電池電圧値を第1放置ステップ(ステップS1)における電池電圧値(第1電圧規定値)と等しい値にした状態で、リチウムイオン二次電池100を40℃〜60℃の温度環境下で放置する。
具体的には、まず、第1容量C1を測定したリチウムイオン二次電池100について、ステップS1と同様にして電池電圧値の調整を行い、リチウムイオン二次電池100の電池電圧値を第1電圧規定値(例えば、2.5V)にする。
その後、このリチウムイオン二次電池100を、40℃〜60℃の温度環境下で放置する。例えば、公知の加熱装置(図示なし)を用いて、リチウムイオン二次電池100の温度を40℃〜60℃の範囲内の所定温度(この温度を第2温度規定値とする)に保持しつつ、リチウムイオン二次電池100を所定時間放置する。あるいは、槽内の温度を第2温度規定値(例えば、60℃)に保持した公知の恒温槽(図示なし)内に、リチウムイオン二次電池100を所定時間放置する。
なお、ステップS3では、例えば、公知の充放電装置を用いて、一定時間毎に、リチウムイオン二次電池100の電池電圧値を第1電圧規定値(例えば、2.5V)に調整して、リチウムイオン二次電池100を放置するようにしても良い。また、リチウムイオン二次電池100の電池電圧値を第1電圧規定値(例えば、2.5V)に保持しつつ、リチウムイオン二次電池100を放置するようにしても良い。
また、ステップS3(第2放置ステップ)では、リチウムイオン二次電池100を、84時間以上放置するのが好ましい。後述するように、リチウムイオン二次電池100の負極板120の表面に析出した金属リチウムを、効果的にリチウムイオンに戻すことができるからである。これにより、リチウムイオン二次電池100の負極板120の表面に金属リチウムが析出したことにより低下した電池容量を、効果的に回復させることができる。このため、負極板120の表面に金属リチウムが析出しているリチウムイオン二次電池100では、後述するステップS4(第2容量測定ステップ)で測定された電池容量(第2容量C2とする)が、ステップS2(第1容量測定ステップ)で測定された電池容量(第1容量C1)よりも、確実に大きくなる。これにより、負極板120の表面に金属リチウムが析出しているか否かを適切に判断することができるようになる。
なお、ステップS3が、第2放置ステップに相当する。
次に、ステップS4(第2容量測定ステップ)に進み、ステップS2と同様にして、第2放置ステップ(ステップS3)を行った後のリチウムイオン二次電池100の電池容量(第2容量C2)を測定する。
その後、ステップS5(判定ステップ)に進み、第2容量C2が第1容量C1よりも大きいか否かを判定する。第2容量C2が第1容量C1よりも大きい(Yes)と判定した場合は、ステップS6に進み、リチウムイオン二次電池100の負極板120の表面に金属リチウムが析出していると判定する。一方、第2容量C2が第1容量C1よりも大きくない(No)と判定した場合は、ステップS7に進み、リチウムイオン二次電池100の負極板120の表面に金属リチウムが析出していないと判定する。
なお、ステップS5〜S7が、判定ステップに相当する。
ところで、放置によって、負極板120の表面に析出した金属リチウムをリチウムイオンに戻すことができる量(電池容量の回復量)には限界(上限)があり、その限界値(上限値)は、放置温度(環境温度)によって異なる。詳細には、25℃以下の放置温度(環境温度)で放置した場合よりも、40〜60℃の放置温度(環境温度)で放置した場合のほうが、電池容量の回復量の限界値(上限値)は高くなる。
そこで、本実施例1では、第1放置ステップ(ステップS1)において、リチウムイオン二次電池100の電池電圧値を、リチウムイオン二次電池100がSOC60%となる電池電圧値以下にした状態で、リチウムイオン二次電池100を、25℃以下の所定温度(第1温度規定値)環境下で、40日間以上放置するようにした。後述するように、この放置により、電池容量の回復量は限界値(第1温度規定値の限界値)に達する。
なお、後の実施例2で詳述するように、負極活物質層121の非対向部123のLiが対向部122に移動することによる容量増加(回復)の速さは、負極板120の表面に析出している金属リチウムがリチウムイオンに戻ることによって電池容量が回復する速さに比べて、遙かに速い。従って、負極活物質層121の非対向部123のLiが対向部122に移動することによる容量増加(回復)が限界に達したときは、既に、負極板120の表面に析出している金属リチウムがリチウムイオンに戻ることによる容量増加(回復)は限界に達していることになる。
その後、第2放置ステップ(ステップS3)において、放置温度(環境温度)を40℃〜60℃の範囲内にして、リチウムイオン二次電池100を放置する。これにより、第1放置ステップ(ステップS1)において容量回復限界に達し、負極板120の表面に析出している金属リチウムがリチウムイオンに戻らなくなったリチウムイオン二次電池100において、負極板120の表面に析出している(残存している)金属リチウムが、新たにリチウムイオンに戻り始める。
特に、放置温度(環境温度)を40℃〜60℃とすることで、リチウムイオン二次電池100の負極板120の表面に析出した金属リチウムが、リチウムイオンに戻り易くなる(図6参照)。従って、第2放置ステップ(ステップS3)において、リチウムイオン二次電池100の負極板120の表面に金属リチウムが析出したことにより低減した電池容量を、効果的に回復させることができる。
しかも、第2放置ステップ(ステップS3)では、リチウムイオン二次電池100の電池電圧値を、第1放置ステップ(ステップS1)における電池電圧値と等しい値(第1電圧規定値)にした状態で、リチウムイオン二次電池100を放置する。これにより、第2放置ステップ(ステップS3)では、負極活物質層121の非対向部123のLiが対向部122に移動することによる容量増加(回復)を防止することができる。容量回復限界に達したリチウムイオン二次電池100について、その電池電圧(従ってSOC)を変えなければ、負極活物質層121の非対向部123のLiが対向部122に移動することがないからである。
従って、本実施例1の第2放置ステップ(ステップS3)では、負極板120の表面に金属リチウムが析出している場合には、その析出している金属リチウムの一部がリチウムイオンに戻ることによって、電池容量が確実に増加(回復)する。このため、第2容量測定ステップ(ステップS4)で測定された電池容量(第2容量C2)が、第1容量測定ステップ(ステップS2)で測定された電池容量(第1容量C1)よりも大きい場合には、間違いなく、リチウムイオン二次電池100の負極板120の表面に金属リチウムが析出しているといえる。従って、判定ステップ(ステップS5〜S7)において、リチウムイオン二次電池100の負極板120の表面に金属リチウムが析出しているか否かを適切に判断することができる。
ここで、負極板120の表面に析出している金属リチウムをリチウムイオンに戻すことによって電池容量を回復させるための、好ましい条件について説明する。
まず、好ましい放置温度範囲を調査した。具体的には、まず、負極板120の表面に金属リチウムが析出したことにより、電池容量が初期容量(5.0Ah)から20%低下したリチウムイオン二次電池100(以下、サンプル電池ともいう)を用意する。このようなサンプル電池は、以下のようにして取得した。
まず、所定のSOC(例えば、SOC60%)に調整した初期状態のリチウムイオン二次電池100を複数用意する。そして、これらの電池について、低温環境下(例えば0℃)で、パルス充放電を繰り返し行う。但し、充電(1サイクル)は、充電電流値を高率電流値(例えば20C以上)として、電池電圧が4.1V以上の所定値(例えば、4.3V)に至るまで、所定時間(例えば10秒間)、リチウムイオン二次電池100を充電する。また、放電(1サイクル)は、放電電流値を低率電流値(例えば1C以下)として、充電電気量と同等の放電電気量だけリチウムイオン二次電池100を放電し、リチウムイオン二次電池100を所定のSOC(例えば、SOC60%)に戻す。このような条件で、リチウムイオン二次電池100の電池容量が初期値(5.0Ah)から20%低下するまで(電池容量が4.0Ahになるまで)、パルス充放電を繰り返し行う。
上述のパルス充放電によって、電池容量が初期値から20%低下したリチウムイオン二次電池100(サンプル電池)の一つを分解し、負極板120を調査(分析)したところ、負極板120の表面に、初期容量の20%相当量の金属リチウムが析出していることが確認できた。この結果より、上述のパルス充放電を行ったサンプル電池は、負極板120の表面に金属リチウムが析出したことにより、電池容量が初期容量から20%低下したといえる。
次に、上述のようにして作製したサンプル電池を6個(サンプル電池1〜6とする)用意し、これらのサンプル電池をSOC0%(電池電圧値が3.0V)とした。その後、これらのサンプル電池について、放置時の温度(恒温槽内の温度)を異ならせて、168時間、図示しない恒温槽内に放置した。具体的には、サンプル電池1は、恒温槽内の温度を−15℃として、168時間、恒温槽内に放置した。サンプル電池2は、恒温槽内の温度を0℃として、168時間、恒温槽内に放置した。サンプル電池3は、恒温槽内の温度を25℃として、168時間、恒温槽内に放置した。サンプル電池4は、恒温槽内の温度を45℃として、168時間、恒温槽内に放置した。サンプル電池5は、恒温槽内の温度を60℃として、168時間、恒温槽内に放置した。サンプル電池6は、恒温槽内の温度を70℃として、168時間、恒温槽内に放置した。
その後、サンプル電池1〜6について、電池容量(放置後の電池容量)を測定し、容量回復率(%)を算出した。なお、容量回復率は、前述のパルス充放電によって初期値から低減した電池容量の低減量(5.0−4.0=1.0Ah)に対する、放置により回復(増加)した電池容量の回復量(増加量)の割合(%)である。例えば、放置により電池容量が0.1Ah回復した(すなわち、電池容量が4.1Ahとなった)場合は、容量回復率=(0.1/1.0)×100=10%となる。
−15℃の温度環境下で168時間放置したサンプル電池1では、容量回復率が約22%となった。0℃の温度環境下で168時間放置したサンプル電池2では、容量回復率が約26%となった。25℃の温度環境下で168時間放置したサンプル電池3では、容量回復率が約32%となった。45℃の温度環境下で168時間放置したサンプル電池4では、容量回復率が約47%となった。60℃の温度環境下で168時間放置したサンプル電池5では、容量回復率が約45%となった。70℃の温度環境下で168時間放置したサンプル電池6では、容量回復率が約37%となった。これらの結果に基づいて、放置温度(電池温度)と容量回復率との関係を表すグラフを作成した。このグラフを図6に示す。
図6のグラフより、放置温度(電池温度)を40〜60℃の範囲内とすることで、容量回復率が高くなることがわかる。従って、放置温度(電池温度)を40〜60℃の範囲内とすることで、リチウムイオン二次電池100の負極板120の表面に金属リチウムが析出したことにより低下した電池容量を、放置によって効果的に回復させることができるといえる。従って、ステップS3(第2放置ステップ)において、放置温度(環境温度)を40℃〜60℃とすることで、リチウムイオン二次電池100の負極板120の表面に金属リチウムが析出したことにより低減した電池容量を、効果的に回復させることができる。
次に、好ましい放置時間を調査した。具体的には、SOC0%(電池電圧値が3.0V)としたサンプル電池(Li析出により電池容量を4.0Ahにまで低減させたリチウムイオン二次電池100)を7個(サンプル電池7〜13とする)用意し、これらのサンプル電池を、放置時間(恒温槽内における放置時間)を異ならせて、槽内温度を25℃とした恒温槽内に放置した。
具体的には、サンプル電池7は、槽内温度を25℃とした恒温槽内に、7時間放置した。サンプル電池8は、槽内温度を25℃とした恒温槽内に、28時間放置した。サンプル電池9は、槽内温度を25℃とした恒温槽内に、49時間放置した。サンプル電池10は、槽内温度を25℃とした恒温槽内に、84時間放置した。サンプル電池11は、槽内温度を25℃とした恒温槽内に、112時間放置した。サンプル電池12は、槽内温度を25℃とした恒温槽内に、140時間放置した。サンプル電池13は、槽内温度を25℃とした恒温槽内に、168時間放置した。
その後、サンプル電池7〜13について、電池容量(放置後の電池容量)を測定し、前述のようにして、容量回復率(%)を算出した。放置時間を7時間としたサンプル電池7では、容量回復率が約12%となった。放置時間を28時間としたサンプル電池8では、容量回復率が約18%となった。放置時間を49時間としたサンプル電池9では、容量回復率が約28%となった。放置時間を84時間としたサンプル電池10では、容量回復率が約37%となった。放置時間を112時間としたサンプル電池11では、容量回復率が約40%となった。放置時間を140時間としたサンプル電池12では、容量回復率が約42%となった。放置時間を168時間としたサンプル電池13では、容量回復率が約44%となった。これらの結果に基づいて、放置時間と容量回復率との関係を表すグラフを作成した。このグラフを図7に示す。
図7のグラフより、放置時間を84時間以上とすることで、容量回復率が高くなることがわかる。従って、ステップS3(第2放置ステップ)において、放置時間を84時間以上とすることで、リチウムイオン二次電池100の負極板120の表面に金属リチウムが析出したことにより低下した電池容量を、効果的に回復させることができる。これにより、負極板120の表面に金属リチウムが析出しているリチウムイオン二次電池100では、ステップS4(第2容量測定ステップ)で測定された電池容量(第2容量C2)が、ステップS2(第1容量測定ステップ)で測定された電池容量(第1容量C1)よりも、確実に大きくなる。このため、ステップS5〜S7(判定ステップ)において、負極板120の表面に金属リチウムが析出しているか否かを適切に判断することができるようになる。
次に、放置するときの好ましい電池電圧値を調査した。具体的には、サンプル電池(Li析出により電池容量を4.0Ahにまで低減させたリチウムイオン二次電池100)を6個(サンプル電池14〜19とする)用意し、これらのサンプル電池を、電池電圧値を異ならせて、槽内温度を25℃とした恒温槽内に168時間放置した。
具体的には、サンプル電池14は、電池電圧値を3.89V(SOCを80%)にした状態で、槽内温度を25℃とした恒温槽内に168時間放置した。サンプル電池15は、電池電圧値を3.73V(SOCを60%)にした状態で、槽内温度を25℃とした恒温槽内に168時間放置した。サンプル電池16は、電池電圧値を3.52V(SOCを30%)にした状態で、槽内温度を25℃とした恒温槽内に168時間放置した。サンプル電池17は、電池電圧値を3.0V(SOCを0%)にした状態で、槽内温度を25℃とした恒温槽内に168時間放置した。サンプル電池18は、電池電圧値を2.8Vにした状態で、槽内温度を25℃とした恒温槽内に168時間放置した。サンプル電池19は、電池電圧値を2.5Vにした状態で、槽内温度を25℃とした恒温槽内に168時間放置した。
その後、サンプル電池14〜19について、電池容量(放置後の電池容量)を測定し、前述のようにして、容量回復率(%)を算出した。電池電圧値を3.89V(SOCを80%)としたサンプル電池14では、容量回復率が約10%となった。電池電圧値を3.73V(SOCを60%)としたサンプル電池15では、容量回復率が約15%となった。電池電圧値を3.52V(SOCを30%)としたサンプル電池16では、容量回復率が約23%となった。電池電圧値を3.0V(SOCを0%)としたサンプル電池17では、容量回復率が約34%となった。
電池電圧値を、SOC0%となる電池電圧値(具体的には3.0V)よりも低い値にしたサンプル電池18,19では、SOCを0%(電池電圧値を3.0V)としたサンプル電池17よりも、さらに容量回復率が高くなった。具体的には、電池電圧値を2.8Vとしたサンプル電池18では、容量回復率が約45%となった。電池電圧値を2.5Vとしたサンプル電池19では、容量回復率が約50%となった。これらの結果に基づいて、SOC及び電池電圧値と容量回復率との関係を表すグラフを作成した。このグラフを図8に示す。
図8のグラフより、電池電圧値を3.52V以下(SOCを30%以下)とした状態でリチウムイオン二次電池100を放置することで、容量回復率を高めることができることがわかる。特に、電池電圧値を、SOC0%となる電池電圧値(具体的には3.0V)よりも低い値にした状態でリチウムイオン二次電池100を放置することで、容量回復率が大きく向上することがわかる。
従って、リチウムイオン二次電池100の電池電圧を、リチウムイオン二次電池100がSOC30%となる電池電圧値(具体的には3.52V)以下の値にした状態で、リチウムイオン二次電池100を放置することで、リチウムイオン二次電池100の負極板120の表面に金属リチウムが析出したことにより低下した電池容量を、効果的に回復させることができるといえる。
特に、電池電圧値を、SOC0%となる電池電圧値(具体的には3.0V)よりも低い値にした状態でリチウムイオン二次電池100を放置することで、リチウムイオン二次電池100の負極板120の表面に金属リチウムが析出したことにより低下した電池容量を、より効果的に回復させることができるといえる。
従って、第2放置ステップ(ステップS3)において、リチウムイオン二次電池100の電池電圧を、リチウムイオン二次電池100がSOC0%となる電池電圧値よりも低い値(但し、第1放置ステップと等しい値)にした状態で、リチウムイオン二次電池を放置することで、リチウムイオン二次電池100の負極板120の表面に金属リチウムが析出したことにより低下した電池容量を、より効果的に回復させることができる。これにより、負極板120の表面に金属リチウムが析出しているリチウムイオン二次電池100では、ステップS4(第2容量測定ステップ)で測定された電池容量(第2容量C2)が、ステップS2(第1容量測定ステップ)で測定された電池容量(第1容量C1)よりも、確実に大きくなる。このため、ステップS5〜S7(判定ステップ)において、負極板120の表面に金属リチウムが析出しているか否かを、より適切に判断することができるようになる。
次に、放置温度の違いによる電池容量の回復限界(回復量の限界値)の違いについて説明する。
前述のサンプル電池(Li析出により電池容量を4.0Ahにまで低減させたリチウムイオン二次電池100)を2個(サンプル電池20,21とする)用意し、これらを用いて、下記のような放置試験を行った。
サンプル電池20については、その電池電圧値を、SOC60%となる電池電圧値(具体的には3.73V)にした状態で、まず、槽内温度を25℃とした恒温槽内に配置した。その後、2日毎に(2日に1回ずつ)、サンプル電池20の電池容量を測定しつつ、電池容量が回復(増加)しなくなる(回復限界に達する)のを確認できるまで、槽内温度を25℃とした恒温槽内にサンプル電池20を放置した。このときに得られた、放置日数と電池容量の回復量との関係を、図10に◇(白菱形)で示す。
電池容量の回復(増加)が数日間ないことを確認した後、放置温度(恒温槽内の温度)のみを60℃に変更し、電池電圧値は変更しない(SOC60%となる電池電圧値(3.73V)に維持したまま)で、引き続き、サンプル電池20を恒温槽内に放置した。その間も、2日毎に(2日に1回ずつ)、サンプル電池20の電池容量を測定した。このときに得られた、放置日数と電池容量の回復量との関係を、図10に◆(黒菱形)で示す。
なお、図10では、放置温度の違いを示す境界を一点鎖線で示しており、境界線(一点鎖線)の左側の領域では放置温度が25℃、右側の領域では放置温度が60℃である。
また、サンプル電池21については、その電池電圧値を、SOC0%となる電池電圧値より低い値(具体的には2.5V)にした状態で、まず、槽内温度を25℃とした恒温槽内に配置した。次いで、2日毎に(2日に1回ずつ)、サンプル電池21の電池容量を測定しつつ、電池容量が回復(増加)しなくなる(回復限界に達する)のを確認できるまで、槽内温度を25℃とした恒温槽内にサンプル電池21を放置した。このときに得られた、放置日数と電池容量の回復量との関係を、図10に○(白丸)で示す。
電池容量の回復(増加)が数日間ないことを確認した後、放置温度(恒温槽内の温度)のみを60℃に変更し、電池電圧値は変更しない(2.5Vに維持したまま)で、引き続き、サンプル電池21を恒温槽内に放置した。その間も、2日毎に(2日に1回ずつ)、サンプル電池21の電池容量を測定した。このときに得られた、放置日数と電池容量の回復量との関係を、図10に●(黒丸)で示す。
図10に◇で示すように、リチウムイオン二次電池100の電池電圧値を、リチウムイオン二次電池100がSOC60%となる電池電圧値(3.73V)にした状態で、そのリチウムイオン二次電池100を、25℃の温度環境下で放置すると、40日以内で、電池容量の回復量が限界値(放置温度25℃の限界値)に達することがわかる。さらに、図10に○で示すように、リチウムイオン二次電池100の電池電圧値を、リチウムイオン二次電池100の電池電圧値をSOC0%となる電池電圧値より低い値(具体的には2.5V)にした状態で、そのリチウムイオン二次電池100を、25℃の温度環境下で放置すると、40日以内で、電池容量の回復量が限界値(放置温度25℃の限界値)に達することがわかる。
これらの結果より、第1放置ステップ(ステップS1)において、リチウムイオン二次電池100について、その電池電圧値を、リチウムイオン二次電池100がSOC60%となる電池電圧値以下にした状態で、25℃以下の温度環境下で、40日間以上放置することで、電池容量の回復量は限界値(第1放置ステップの放置温度(25℃以下の所定温度)の限界値)に達するといえる。
また、図10に◆及び●で示すように、放置温度(恒温槽内の温度)のみを25℃から60℃に変更すると、再び、電池容量が回復(増加)してゆくことがわかる。これは、放置温度の違いによる電池容量の回復限界の違いによるものであり、25℃以下の放置温度(環境温度)よりも、40〜60℃の放置温度(環境温度)のほうが、電池容量の回復量の限界値が高いからである。このため、25℃の温度環境下の放置で、一旦、容量回復限界に達し、負極板表面に析出している金属リチウムがリチウムイオンに戻らなくなったリチウムイオン二次電池において、放置温度(環境温度)を60℃に変更しただけで、負極板表面に析出している金属リチウムが新たにリチウムイオンに戻り始め、電池容量がさらに回復したといえる。
従って、第2放置ステップ(ステップS3)において、負極板120の表面に金属リチウムが析出しているリチウムイオン二次電池100について、その電池電圧値を第1放置ステップにおける電池電圧値と等しい値にした状態で、40℃〜60℃の温度環境下で放置した場合には、析出している金属リチウムの一部がリチウムイオンに戻ることによって、電池容量が確実に増加(回復)することになる。このため、第2容量測定ステップ(ステップS4)で測定された電池容量が、第1容量測定ステップ(ステップS2)で測定された電池容量よりも大きい場合には、間違いなく、リチウムイオン二次電池100の負極板120の表面に金属リチウムが析出しているといえる。従って、判定ステップ(ステップS5〜S7)において、リチウムイオン二次電池100の負極板120の表面に金属リチウムが析出していると適切に判断することができる。
(実施例2)
次に、本発明の実施例2にかかるリチウムイオン二次電池の状態判定方法について、図面を参照して説明する。なお、ここでは、実施例1と異なる点を中心に説明し、同様な点については説明を省略または簡略化する。
まず、図5に示すように、ステップS1(第1放置ステップ)において、所定の条件下で、リチウムイオン二次電池100を放置する。具体的には、リチウムイオン二次電池100の電池電圧値を、リチウムイオン二次電池100がSOC0%となる電池電圧値(具体的には、3.0V)以下の値(第1電圧規定値とする)にした状態で、リチウムイオン二次電池100を、8〜48時間の範囲内で放置する。詳細には、例えば、実施例1と同様に、公知の充放電装置により、リチウムイオン二次電池100の電池電圧値の調整(3.0V以下の所定値にする)を行う。その後、このリチウムイオン二次電池100を、所定の温度環境下(例えば25℃)で、8〜48時間放置する。
これにより、リチウムイオン二次電池100の負極活物質層121の非対向部123に挿入されたリチウムを、負極活物質層121の対向部122に移動させる(戻す)ことができる。これにより、リチウムイオン二次電池100について、非対向部123にLiが挿入されたことによって低下した電池容量を確実に回復させることができる。
なお、本実施例2では、第1放置ステップにおいて、リチウムイオン二次電池を20℃〜30℃の温度環境下で放置するのが好ましい。
また、本実施例2のステップS1(第1放置ステップ)では、例えば、公知の充放電装置を用いて、一定時間毎に、リチウムイオン二次電池100の電池電圧値を第1電圧規定値(例えば、2.5V)に調整して、リチウムイオン二次電池100を放置するようにしても良い。また、リチウムイオン二次電池100の電池電圧値を第1電圧規定値(例えば、2.5V)に保持しつつ、リチウムイオン二次電池100を放置するようにしても良い。
ここで、ステップS1(第1放置ステップ)において、非対向部123にLiが挿入されたことによって低下した電池容量を確実に回復させるための放置時間について説明する。以下、放置時間の調査について説明する。
具体的には、まず、負極活物質層121の非対向部123にLiが挿入されたことにより、初期状態(新品状態)のリチウムイオン二次電池100と比較して、電池容量(放電容量)が5%低下したリチウムイオン二次電池100(以下、サンプル電池ともいう)を用意する。このようなサンプル電池は、例えば、以下のようにして作製することができる。
まず、初期状態(電池容量が5.0Ah)のリチウムイオン二次電池100を複数用意する。そして、これらの電池について、25℃の温度環境下において、1Cの定電流で上限電池電圧値を4.1Vとして、CCCV(Constant Current/Constant Voltage)充電を行って、SOC100%とする。その後、これらの電池を、1週間放置する。これにより、負極活物質層121の非対向部123にLiが挿入されたことにより、初期状態(新品状態)のリチウムイオン二次電池100と比較して、電池容量(放電容量)が5%低下したリチウムイオン二次電池100(サンプル電池)を得ることができる。
上述のようにして作製したサンプル電池について、電池容量(放電容量)が初期状態(初期容量)から5%低下した要因が、負極活物質層121の非対向部123にLiが挿入されたことであることを確認した。具体的には、上述のようにして作製したサンプル電池を分解し、公知の分析手法により、非対向部のLi量を測定した。そして、サンプル電池における非対向部のLi量と、初期状態のリチウムイオン二次電池100における非対向部のLi量(予め、公知の分析手法により測定)とを比較した。その結果、サンプル電池では、初期状態のリチウムイオン二次電池100に比べて、非対向部において、初期容量(初期状態のリチウムイオン二次電池100の電池容量)の5%分のLiが増加していた。
上述のようにして作製したサンプル電池(電池容量が初期容量から5%低下した電池)を5個(サンプル電池A〜Eとする)用意し、これらを用いて好ましい放置時間を調査した。具体的には、これらのサンプル電池を、それぞれ異なる電池電圧値にした状態で、25℃の温度環境下で、20時間放置した。
詳細には、サンプル電池Aは、電池電圧値を3.73V(SOC60%)にした状態で、25℃の温度環境下で20時間放置した。また、サンプル電池Bは、電池電圧値を3.54V(SOC30%)にした状態で、25℃の温度環境下で20時間放置した。また、サンプル電池Cは、電池電圧値を3.0V(SOC0%)にした状態で、25℃の温度環境下で20時間放置した。また、サンプル電池Dは、電池電圧値を2.79Vにした状態で、25℃の温度環境下で20時間放置した。また、サンプル電池Eは、電池電圧値を1.5Vにした状態で、25℃の温度環境下で20時間放置した。なお、サンプル電池A〜Eを放置している期間中、サンプル電池A〜Eについて、例えば、公知の充放電装置によりCV放電(電池電圧値を一定に保つ放電)を行って、サンプル電池A〜Eの電池電圧値を、それぞれ上記値に保持した。
また、放置開始後、4時間毎に、サンプル電池A〜Eについて、それぞれ電池容量を測定し、前述のようにして、容量回復率(%)を算出した。これらの結果を図9に示す。なお、図9では、サンプル電池Aの結果を*印、サンプル電池Bの結果を×印、サンプル電池Cの結果を△印、サンプル電池Dの結果を□印、サンプル電池Eの結果を◇印で示している。
*印で示すように、電池電圧値を3.73V(SOC60%)にした状態で放置したサンプル電池Aでは、放置時間が経過するにしたがって容量回復率が増大してゆき、約12時間放置することで、容量回復率が約30%になった。しかし、それ以降は、放置を継続しても容量回復率が変わらなかった(すなわち、それ以上電池容量が回復しなかった)。
また、×印で示すように、電池電圧値を3.54V(SOC30%)にした状態で放置したサンプル電池Bでは、放置時間が経過するにしたがって容量回復率が増大してゆき、20時間放置することで、容量回復率を約80%にまで高めることができた。しかしながら、容量回復率を100%にすることはできなかった(すなわち、負極活物質層121の非対向部123にLiが挿入されたことにより低下した電池容量を、完全に回復させることはできなかった)。
一方、△印で示すように、電池電圧値を3.0V(SOC0%)にした状態で放置したサンプル電池Cでは、放置時間が経過するにしたがって容量回復率が増大してゆき、16時間放置することで、容量回復率を100%にすることができた(すなわち、負極活物質層121の非対向部123にLiが挿入されたことにより低下した電池容量を、完全に回復させることができた)。
さらに、□印で示すように、電池電圧値を2.79Vにした状態で放置したサンプル電池Dでは、4時間の放置で容量回復率が約50%となり、8時間の放置で容量回復率を100%にすることができた(すなわち、負極活物質層121の非対向部123にLiが挿入されたことにより低下した電池容量を、完全に回復させることができた)。
さらに、◇印で示すように、電池電圧値を2.79Vにした状態で放置したサンプル電池Dでは、4時間の放置で容量回復率が約70%となり、8時間の放置で容量回復率を100%にすることができた(すなわち、負極活物質層121の非対向部123にLiが挿入されたことにより低下した電池容量を、完全に回復させることができた)。
以上の結果より、ステップS1(第1放置ステップ)において、リチウムイオン二次電池100の電池電圧値を、リチウムイオン二次電池100がSOC0%となる電池電圧値(3.0V)以下にした状態で、そのリチウムイオン二次電池100を8〜48時間放置することで、非対向部123にLiが挿入されたことによって低下した電池容量を確実に回復させることができるといえる。
特に、ステップS1(第1放置ステップ)における放置時間は、16〜24時間とするのが好ましいといえる。リチウムイオン二次電池100の電池電圧値を、リチウムイオン二次電池100がSOC0%となる電池電圧値(3.0V)以下にした状態で、そのリチウムイオン二次電池100を16〜24時間放置することで、非対向部123にLiが挿入されたことによって低下した電池容量を、完全に且つ時間効率良く回復させることができるといえる。
しかも、16〜24時間の放置では、負極板120の表面に析出している金属リチウムがリチウムイオンに戻る量は、僅か(析出Li全体の10%程度、図7参照)である。従って、負極板120の表面に金属リチウムが析出しているリチウムイオン二次電池100では、ステップS1(第1放置ステップ)を終えた後も、負極板120の表面に析出していた金属リチウムの多くが残ることになる。
また、リチウムイオン二次電池100を放置したとき、負極活物質層121の非対向部123に挿入されているリチウムが対向部122に移動することによって電池容量が回復する速さは、負極板120の表面に析出している金属リチウムがリチウムイオンに戻ることによって電池容量が回復する速さに比べて、遙かに速い。図11は、リチウムイオン二次電池100を放置したときに、負極活物質層121の非対向部123に挿入されているリチウムが対向部122に移動することによって電池容量が回復する速さと、負極板120の表面に析出している金属リチウムがリチウムイオンに戻ることによって電池容量が回復する速さとの違いを示すグラフである。
図11のグラフは、次のような試験を行って得た。
まず、実施例1のサンプル電池(Li析出により電池容量を4.0Ahにまで低減させたリチウムイオン二次電池100)を複数用意し、これらを、SOC100%となる電池電圧値(具体的には4.1V)にした状態で、25℃の温度環境下で、約40日間放置した。これにより、負極板120の表面に析出している金属リチウムの一部をリチウムイオンに戻すと共に、負極活物質層121の対向部122に挿入されているLiの一部を非対向部123に移動(拡散)させた。
このようにして、負極板120の表面に金属リチウムが析出し、且つ、負極活物質層121の非対向部123にLiが挿入されたことで、電池容量が低下したリチウムイオン二次電池100(試験電池とする)を複数作製した。なお、試験電池の1つを分解して、負極板120の表面に金属リチウムが析出していること、及び、負極活物質層121の非対向部123にLi(初期容量の約4%相当量のLi)が挿入されていることを確認している。
次に、各試験電池を、その電池電圧値を2.5Vにした状態で、槽内温度を25℃とした恒温槽内で放置した。放置開始後、2日毎に、試験電池の電池容量を測定した。その結果を図11に■印で示している。図11に示すように、放置開始から2日以内で、電池容量が急速に回復し、その後、ゆっくりと電池容量が回復している。放置開始から2日経過した試験電池の1つを分解して調査したところ、負極活物質層121の非対向部123に挿入されていたLiが対向部122に移動して、負極活物質層121の非対向部123は初期状態に戻っていた。すなわち、非対向部123にLiが挿入されたことによって低下した電池容量が、完全に回復していた。
一方、負極板120の表面に析出していた金属リチウムは、その量が僅かに減少していたものの、依然として負極板120の表面に残存していた。また、放置開始から2日以内で、非対向部123にLiが挿入されたことによって低下した電池容量が完全に回復したことから、それ以降は、負極板120の表面に析出している金属リチウムの一部がリチウムイオンに戻ることにより、ゆっくりと電池容量が回復していること判断できる。
このため、第1ステップ(第1放置ステップ)において、負極活物質層121の非対向部123に挿入されているリチウムが対向部122に移動することによって電池容量が回復している間(8〜48時間の放置期間)、負極板120の表面に析出している金属リチウムの一部がリチウムイオンに戻るが、その量は少ないといえる(析出Li全体の30%未満、図7参照)。従って、負極板120の表面に金属リチウムが析出していたリチウムイオン二次電池100では、第1ステップ(第1放置ステップ)を終えた後も、負極板120の表面に析出していた金属リチウムの一部が確実に残ることになる。
このため、負極板120の表面に金属リチウムが析出しているリチウムイオン二次電池100では、後のステップS4(第2容量測定ステップ)で測定された電池容量が、ステップS2(第1容量測定ステップ)で測定された電池容量よりも確実に大きくなるので、ステップS5〜S7(判定ステップ)において、リチウムイオン二次電池100の負極板120の表面に金属リチウムが析出していることを、適切に判断することができる。
次に、ステップS2(第1容量測定ステップ)に進み、実施例1のステップS2と同様にして、第1放置ステップ(ステップS1)を行った後のリチウムイオン二次電池100の電池容量(第1容量C1)を測定する。
その後、ステップS3(第2放置ステップ)に進み、リチウムイオン二次電池100の電池電圧値を、リチウムイオン二次電池100がSOC30%となる電池電圧値以下にした状態で、リチウムイオン二次電池100を放置する。実施例1で述べたように、リチウムイオン二次電池100の電池電圧を、リチウムイオン二次電池100がSOC30%となる電池電圧値(具体的には3.52V)以下の値にした状態で、リチウムイオン二次電池100を放置することで、リチウムイオン二次電池100の負極板120の表面に金属リチウムが析出したことにより低下した電池容量を、効果的に回復させることができる(図8参照)。
なお、本実施例2のステップS3では、例えば、公知の充放電装置を用いて、一定時間毎に、リチウムイオン二次電池100の電池電圧値を所定値(第2電圧規定値とする、例えば2.5V)に調整して、リチウムイオン二次電池100を放置するようにしても良い。また、リチウムイオン二次電池100の電池電圧値を第2電圧規定値(例えば、2.5V)に保持しつつ、リチウムイオン二次電池100を放置するようにしても良い。
また、ステップS3(第2放置ステップ)では、リチウムイオン二次電池100の電池電圧値を第1放置ステップ(ステップS1)における電池電圧値(第1電圧規定値)と等しい値にした状態で、リチウムイオン二次電池100を放置するのが好ましい。リチウムイオン二次電池100の負極板120の表面に析出している金属リチウムを、より確実にリチウムイオンに戻すことができるからである。
前述のように、図11に示すデータは、放置期間中、電池電圧値を2.5Vにした状態で、2日毎に、試験電池の電池容量を測定した結果である。図11において、最初の2日間の放置を第1放置ステップとし、それ以降の放置を第2放置ステップとして捉えると、第2放置ステップにおいて、第1放置ステップの電池電圧値と等しい値にした状態でリチウムイオン二次電池100を放置することで、リチウムイオン二次電池100の負極板120の表面に析出している金属リチウムを、確実にリチウムイオンに戻すことができることがわかる。
また、本実施例2では、ステップS1(第1放置ステップ)において、リチウムイオン二次電池を20℃〜30℃の温度環境下で放置し、ステップS3(第2放置ステップ)において、リチウムイオン二次電池を40℃〜60℃の温度環境下で放置するのが好ましい。このように放置温度を変更することで、ステップS3(第2放置ステップ)において、リチウムイオン二次電池100の負極板120の表面に析出した金属リチウムを、効果的にリチウムイオンに戻すことができるからである(図6、図10参照)。
特に、ステップS3(第2放置ステップ)における放置温度(環境温度)を40℃〜60℃とすることで、リチウムイオン二次電池100の負極板120の表面に析出した金属リチウムが、リチウムイオンに戻り易くなる(図6参照)。従って、リチウムイオン二次電池100の負極板120の表面に金属リチウムが析出したことにより低減した電池容量を、効果的に回復させることができる。
このため、負極板120の表面に金属リチウムが析出しているリチウムイオン二次電池100では、後のステップS4(第2容量測定ステップ)で測定された電池容量(第2容量C2)が、ステップS2(第1容量測定ステップ)で測定された電池容量(第1容量C1)よりも、確実に大きくなる。従って、後のステップS5〜S7(判定ステップ)において、負極板120の表面に金属リチウムが析出しているか否かを、より適切に判断することができる。
また、ステップS3(第2放置ステップ)では、実施例1と同様に、リチウムイオン二次電池100を、84時間以上放置するのが好ましい。リチウムイオン二次電池100の負極板120の表面に析出した金属リチウムを、効果的にリチウムイオンに戻すことができるからである。
次に、ステップS4(第2容量測定ステップ)に進み、ステップS2と同様にして、第2放置ステップ(ステップS3)を行った後のリチウムイオン二次電池100の電池容量(第2容量C2)を測定する。
その後、ステップS5(判定ステップ)に進み、第2容量C2が第1容量C1よりも大きいか否かを判定する。第2容量C2が第1容量C1よりも大きい(Yes)と判定した場合は、ステップS6に進み、リチウムイオン二次電池100の負極板120の表面に金属リチウムが析出していると判定する。一方、第2容量C2が第1容量C1よりも大きくない(No)と判定した場合は、ステップS7に進み、リチウムイオン二次電池100の負極板120の表面に金属リチウムが析出していないと判定する。
以上説明した本実施形態(実施例1,2)のリチウムイオン二次電池の状態判定方法は、例えば、ハイブリッド自動車等の車両の電源として使用されていた(使用済み)リチウムイオン二次電池100に適用することができる。ステップS7において、リチウムイオン二次電池100の負極板120の表面に金属リチウムが析出していないと判定した場合、そのリチウムイオン二次電池100を再利用することができる。一方、ステップS6において、リチウムイオン二次電池100の負極板120の表面に金属リチウムが析出していると判定した場合は、廃棄処分等する。
また、本実施形態(実施例1,2)のリチウムイオン二次電池の状態判定方法は、例えば、ハイブリッド自動車等の車両の電源として使用しているリチウムイオン二次電池100にも適用することができる。具体的には、使用開始後、定期的(例えば、6ヶ月毎、所定の走行距離毎)に、ステップS1〜S7の処理を行うようにすると良い。ステップS7において、リチウムイオン二次電池100の負極板120の表面に金属リチウムが析出していないと判定した場合、そのリチウムイオン二次電池100は継続して使用することができる。一方、ステップS6において、リチウムイオン二次電池100の負極板120の表面に金属リチウムが析出していると判定した場合は、その電池を新品(初期状態の電池)に交換するのが好ましい。
以上において、本発明を実施形態に即して説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることはいうまでもない。
100 リチウムイオン二次電池
120 負極板
121 負極活物質層
122 対向部
123 非対向部
127 負極活物質
128 負極集電板
130 正極板
131 正極活物質層
137 正極活物質
138 正極集電板
150 セパレータ

Claims (7)

  1. 正極集電板、及び、正極活物質を含み上記正極集電板上に配置された正極活物質層、を有する正極板と、
    負極集電板、及び、負極活物質を含み上記負極集電板上に配置された負極活物質層、を有する負極板と、
    上記正極板と上記負極板との間に介在するセパレータと、を備え、
    上記セパレータを介して、上記正極活物質層と上記負極活物質層とが対向する
    リチウムイオン二次電池であって、
    上記負極活物質層は、
    上記セパレータを介して、上記正極活物質層と対向する対向部と、
    上記セパレータを介して対向する上記正極活物質層が存在しない非対向部と、からなる
    リチウムイオン二次電池の状態判定方法であって、
    上記リチウムイオン二次電池の電池電圧値を、上記リチウムイオン二次電池がSOC60%となる電池電圧値以下にした状態で、上記リチウムイオン二次電池を、25℃以下の温度環境下で、40日間以上放置する第1放置ステップと、
    上記第1放置ステップを行った後の上記リチウムイオン二次電池の電池容量を測定する第1容量測定ステップと、
    上記第1容量測定ステップを行った後の上記リチウムイオン二次電池について、その電池電圧値を前記第1放置ステップにおける電池電圧値と等しい値にした状態で、40℃〜60℃の温度環境下で放置する第2放置ステップと、
    上記第2放置ステップを行った後の上記リチウムイオン二次電池の電池容量を測定する第2容量測定ステップと、
    上記第2容量測定ステップで測定された電池容量が、上記第1容量測定ステップで測定された電池容量よりも大きい場合、上記リチウムイオン二次電池の上記負極板表面に金属リチウムが析出していると判定する判定ステップと、を備える
    リチウムイオン二次電池の状態判定方法。
  2. 請求項1に記載のリチウムイオン二次電池の状態判定方法であって、
    前記第1放置ステップ及び前記第2放置ステップでは、前記リチウムイオン二次電池の電池電圧を、上記リチウムイオン二次電池がSOC0%となる電池電圧値よりも低い値にした状態で、上記リチウムイオン二次電池を放置する
    リチウムイオン二次電池の状態判定方法。
  3. 正極集電板、及び、正極活物質を含み上記正極集電板上に配置された正極活物質層、を有する正極板と、
    負極集電板、及び、負極活物質を含み上記負極集電板上に配置された負極活物質層、を有する負極板と、
    上記正極板と上記負極板との間に介在するセパレータと、を備え、
    上記セパレータを介して、上記正極活物質層と上記負極活物質層とが対向する
    リチウムイオン二次電池であって、
    上記負極活物質層は、
    上記セパレータを介して、上記正極活物質層と対向する対向部と、
    上記セパレータを介して対向する上記正極活物質層が存在しない非対向部と、からなる
    リチウムイオン二次電池の状態判定方法であって、
    上記リチウムイオン二次電池の電池電圧値を、上記リチウムイオン二次電池がSOC0%となる電池電圧値以下にした状態で、上記リチウムイオン二次電池を8〜48時間放置する第1放置ステップと、
    上記第1放置ステップを行った後の上記リチウムイオン二次電池の電池容量を測定する第1容量測定ステップと、
    上記第1容量測定ステップを行った後の上記リチウムイオン二次電池について、その電池電圧値を、上記リチウムイオン二次電池がSOC30%となる電池電圧値以下にした状態で、上記リチウムイオン二次電池を放置する第2放置ステップと、
    上記第2放置ステップを行った後の上記リチウムイオン二次電池の電池容量を測定する第2容量測定ステップと、
    上記第2容量測定ステップで測定された電池容量が、上記第1容量測定ステップで測定された電池容量よりも大きい場合、上記リチウムイオン二次電池の上記負極板表面に金属リチウムが析出していると判定する判定ステップと、を備える
    リチウムイオン二次電池の状態判定方法。
  4. 請求項3に記載のリチウムイオン二次電池の状態判定方法であって、
    前記第1放置ステップでは、前記リチウムイオン二次電池を、20℃〜30℃の温度環境下で放置し、
    前記第2放置ステップでは、前記リチウムイオン二次電池を、40℃〜60℃の温度環境下で放置する
    リチウムイオン二次電池の状態判定方法。
  5. 請求項3または請求項4に記載のリチウムイオン二次電池の状態判定方法であって、
    前記第1放置ステップでは、前記リチウムイオン二次電池を、16〜24時間放置する
    リチウムイオン二次電池の状態判定方法。
  6. 請求項3〜請求項5のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池の状態判定方法であって、
    前記第2放置ステップでは、前記リチウムイオン二次電池の電池電圧値を、前記第1放置ステップにおける電池電圧値と等しい値にした状態で、上記リチウムイオン二次電池を放置する
    リチウムイオン二次電池の状態判定方法。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池の状態判定方法であって、
    前記第2放置ステップでは、前記リチウムイオン二次電池を、84時間以上放置する
    リチウムイオン二次電池の状態判定方法。
JP2010175535A 2010-08-04 2010-08-04 リチウムイオン二次電池の状態判定方法 Withdrawn JP2012038463A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010175535A JP2012038463A (ja) 2010-08-04 2010-08-04 リチウムイオン二次電池の状態判定方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010175535A JP2012038463A (ja) 2010-08-04 2010-08-04 リチウムイオン二次電池の状態判定方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2012038463A true JP2012038463A (ja) 2012-02-23

Family

ID=45850283

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010175535A Withdrawn JP2012038463A (ja) 2010-08-04 2010-08-04 リチウムイオン二次電池の状態判定方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2012038463A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012195161A (ja) * 2011-03-16 2012-10-11 Toyota Motor Corp 電池システム、車両、及び、リチウムイオン二次電池の容量回復方法
JP2018041615A (ja) * 2016-09-07 2018-03-15 トヨタ自動車株式会社 二次電池の回復処理方法および再利用処理方法
JP2019106333A (ja) * 2017-12-14 2019-06-27 トヨタ自動車株式会社 電池システム及びリチウムイオン二次電池の容量回復方法
JP2019192426A (ja) * 2018-04-23 2019-10-31 トヨタ自動車株式会社 再利用可能な非水電解液二次電池の選別方法
JP2020085653A (ja) * 2018-11-26 2020-06-04 トヨタ自動車株式会社 電池情報処理システム
JP2021002442A (ja) * 2019-06-20 2021-01-07 トヨタ自動車株式会社 電池システム
KR20210060825A (ko) 2019-11-19 2021-05-27 주식회사 엘지에너지솔루션 이차전지의 활성화 방법

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012195161A (ja) * 2011-03-16 2012-10-11 Toyota Motor Corp 電池システム、車両、及び、リチウムイオン二次電池の容量回復方法
JP2018041615A (ja) * 2016-09-07 2018-03-15 トヨタ自動車株式会社 二次電池の回復処理方法および再利用処理方法
US10539627B2 (en) 2016-09-07 2020-01-21 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Method of restoring secondary battery and method of reusing secondary battery
JP2019106333A (ja) * 2017-12-14 2019-06-27 トヨタ自動車株式会社 電池システム及びリチウムイオン二次電池の容量回復方法
JP2019192426A (ja) * 2018-04-23 2019-10-31 トヨタ自動車株式会社 再利用可能な非水電解液二次電池の選別方法
JP2020085653A (ja) * 2018-11-26 2020-06-04 トヨタ自動車株式会社 電池情報処理システム
JP7056528B2 (ja) 2018-11-26 2022-04-19 トヨタ自動車株式会社 電池情報処理システム
JP2021002442A (ja) * 2019-06-20 2021-01-07 トヨタ自動車株式会社 電池システム
JP7070513B2 (ja) 2019-06-20 2022-05-18 トヨタ自動車株式会社 電池システム
KR20210060825A (ko) 2019-11-19 2021-05-27 주식회사 엘지에너지솔루션 이차전지의 활성화 방법

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Yang et al. State of charge estimation for pulse discharge of a LiFePO4 battery by a revised Ah counting
Sasaki et al. Memory effect in a lithium-ion battery
JP2012028024A (ja) リチウムイオン二次電池の容量回復方法
Ng et al. Non-destructive parameter extraction for a reduced order lumped electrochemical-thermal model for simulating Li-ion full-cells
Leng et al. Hierarchical degradation processes in lithium-ion batteries during ageing
JP2012038463A (ja) リチウムイオン二次電池の状態判定方法
TW201727990A (zh) 鋰鍍覆的偵測方法,用於充電二次電池組的方法與設備,以及利用彼等的二次電池組系統
Mao et al. Dynamics of a blended lithium-ion battery electrode during galvanostatic intermittent titration technique
Gao et al. The mechanism and characterization of accelerated capacity deterioration for lithium-ion battery with Li (NiMnCo) O2 cathode
JP6478121B2 (ja) 二次電池の回復処理方法および再利用処理方法
JP2012181976A (ja) リチウム二次電池の異常充電状態検出装置及び検査方法
JP5924314B2 (ja) 組電池
JP2012084346A (ja) リチウムイオン二次電池の製造方法
JP5673406B2 (ja) 劣化速度推定装置、劣化速度推定方法
Lee et al. Understanding the effects of diffusion coefficient and exchange current density on the electrochemical model of lithium-ion batteries
JP2012084322A (ja) リチウムイオン二次電池の製造方法
JP6898585B2 (ja) 二次電池の状態推定方法および状態推定システム
JP2011175935A (ja) リチウムイオン二次電池の容量回復方法、及び、リチウムイオン二次電池の状態判定方法
CN102771003A (zh) 电池控制系统
JP2020165859A (ja) 二次電池用インピーダンス測定装置および二次電池の状態推定装置、並びに二次電池システムおよび二次電池用充電装置
JP4179528B2 (ja) 二次電池の検査方法
JP7131568B2 (ja) 推定装置、推定方法及びコンピュータプログラム
JP6493762B2 (ja) 電池システム
JP2014127283A (ja) リチウムイオン二次電池の容量回復方法
JP2014082121A (ja) 非水電解液二次電池の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20131105