JP2012033676A - ポリマー避雷器 - Google Patents
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Abstract
【課題】過大責務で発生する内部アークの位置を制御することができるとともに、非直線抵抗体の責務がオーバーして完全に破壊される前に、意図的に放電させることによって、致命的な破損状態に至ることを防止することのできるポリマー避雷器を提供する。
【解決手段】円板状に形成され外周の一部を外側に向けて突出させた形状の突起部を有する導電性の板状部材が、当該板状部材の各突出部が絶縁ロッド間で非直線抵抗体の積層方向に一直線状をなすよう、少なくとも一部の非直線抵抗体の間に介挿されているポリマー避雷器。
【選択図】図1
【解決手段】円板状に形成され外周の一部を外側に向けて突出させた形状の突起部を有する導電性の板状部材が、当該板状部材の各突出部が絶縁ロッド間で非直線抵抗体の積層方向に一直線状をなすよう、少なくとも一部の非直線抵抗体の間に介挿されているポリマー避雷器。
【選択図】図1
Description
本発明の実施形態は、送電線、発電所、変電所等に設けられるポリマー避雷器に関する。
従来から、送電線、発電所、変電所等の電力系統においては、過電圧を除去し、電力系統や電気機器を保護するために避雷器が設置されている。このような避雷器のうち、ポリマー避雷器は、例えば、酸化亜鉛を主成分とする円板状の非直線抵抗体を1枚又は複数枚積層し、その上下端部に電極を配置した構成となっている。また、剛性を上げるために、非直線抵抗体締付け用の絶縁ロッドを複数本、非直線抵抗素子周囲に配置し、これらの絶縁ロッドは複数の金属板又は絶縁板で固定して位置ズレを防止するようになっている。そして、これらの内部要素の外側に、絶縁ポリマーの注形によって絶縁外皮が形成される(例えば、特許文献1参照。)。
また、ポリマー避雷器では、非直線抵抗体の一端、又は中央部にバネを入れ、非直線抵抗体に荷重を与えている。運用中に避雷器が過大な責務によって非直線抵抗体が破損した場合には、絶縁ロッド間の樹脂部分が裂け、内部アークによる高圧・高熱ガスを外部へ放出し、外部アークに移行させることで大きく飛散することを防いでいる。
従来のポリマー避雷器は、過大な責務で非直線抵抗体が破損した時において、周囲に配置した複数の絶縁ロッド間で樹脂が裂けるため、高圧・高熱ガスの噴出方向が制御できないという欠点があった。また、非直線抵抗体の破損状態によっては、絶縁ロッドと非直線抵抗体の隙間で内部アークが発生し、絶縁ロッド又は非直線抵抗体が大きな飛散を起こす可能性があった。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、過大責務で発生する内部アークの位置を制御することができるとともに、非直線抵抗体の責務がオーバーして完全に破壊される前に、意図的に放電させることによって、致命的な破損状態に至ることを防止することのできるポリマー避雷器を提供することを目的とする。
本発明のポリマー避雷器の一態様は、積層配置された複数の円板状の非直線抵抗体と、これらの非直線抵抗体の両端に配置された電極と、これらの電極を連結する前記非直線抵抗体の外周に沿って配置された複数本の絶縁ロッドとを具備した内部要素と、前記内部要素の外側に形成され絶縁ポリマーからなる絶縁外皮と、を有するポリマー避雷器において、円板状に形成されるとともに外周の一部に外側に向けた突起部を有する導電性の板状部材を有し、当該板状部材が少なくとも一部の前記非直線抵抗体の間に介挿される一方、当該板状部材の各突起部が前記絶縁ロッド間で前記非直線抵抗体の積層方向に一直線状をなすよう構成されていることを特徴とする。
本発明によれば、過大責務で発生する内部アークの位置を制御することができるとともに、非直線抵抗体の責務がオーバーして完全に破壊される前に、意図的に放電させることによって、致命的な破損状態に至ることを防止することのできるポリマー避雷器を提供することができる。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るポリマー避雷器100の縦断面概略構成を示す図であり、図2は、図1のポリマー避雷器100のA−A横断面概略構成を示す図である。これらの図に示すように、ポリマー避雷器100は、例えば酸化亜鉛を主成分とする材料からなり、積層するように配置された複数の円板状の非直線抵抗体1を具備している。また、これらの非直線抵抗体1の間には、円板状に形成された導電性部材からなる並列ギャップ材2が配置されている。
並列ギャップ材2は、図2に示すように、導電性材料(例えば、金属)からなり、その円周上の一部が外側に向けて突出するように突起部2aが設けられた形状とされている。この並列ギャップ材2の厚さは、例えば0.5mm〜1.5mm程度、突起部2aの突出長さは数mmから10mm程度とされている。
積層された非直線抵抗体1および並列ギャップ材2の積層方向両側端部には、金属電極3a、3bが配置されている。また、これらの金属電極3a、3b間を連結するように、複数本(本実施形態では4本)の絶縁ロッド4が設けられている。これらの絶縁ロッド4は、図2に示すように、非直線抵抗体1の周囲を囲むように配置されている。これらの絶縁ロッド4は、例えばFRP(Fiber Reinforced Plastics)等から形成することができる。
図2に示すように、並列ギャップ材2の突起部2aは、絶縁ロッド4と絶縁ロッド4との間に位置するよう配置されている。そして、図1に示すように、各並列ギャップ材2の突起部2aが同一方向に向き、これらの突起部2aが非直線抵抗体1の積層方向において一直線上に位置するように配置されている。
絶縁ロッド4の長さ方向の両側端部には、ネジ部4a,4bが形成されており、その一方のねじ部4a(図1中下側のネジ部)は、金属電極3bに設けられたネジ穴に螺合して固定され、他方のねじ部4b(図1中上側のネジ部)は、金属電極3aに設けられた透孔を貫通させてナット9を螺合させることによって、金属電極3a、金属電極3bを連結するように固定されている。
非直線抵抗体1及び並列ギャップ材2を積み重ねた積層体の中央部には、凸形のガイド5と、このガイド5の外側に位置するように設けられたバネ6とが配置され、バネ6の上部には、金属スペーサ7が配置されている。そして、このバネ6の弾性力により、非直線抵抗体1と並列ギャップ材2の積層体に、上下方向に向けて荷重が加わるように構成されている。
このようにして構成された内部要素の外側に、絶縁ポリマー(本実施形態ではシリコーン樹脂)を注形することによって絶縁外皮8が形成され、内部要素と絶縁外皮8が一体化されている。ここで、図2に示すように、並列ギャップ材2には、突起部2aが形成されているので、この突起部2aの部分では、他の部分に比べて絶縁外皮8の厚さが薄くなっている。この部分の絶縁外皮8の厚さは、例えば、2mm〜5mm程度とすることが好ましい。このように、絶縁外皮8の厚さが突起部2aの部分で薄くなっているので、この部分において絶縁外皮8が裂けやすいようになっている。
以上のように構成されたポリマー避雷器100において、過大な電流が通電された場合、非直線抵抗体1が過責務で完全に破壊される前に、非直線抵抗体1自身で発生する電圧によって並列ギャップ材2の突起部2a同士の間で放電が発生する。その結果、絶縁ロッド4間の隙間の絶縁外皮8が裂け、非直線抵抗体1と絶縁ロッド4との隙間で生じるアークが発生する可能性が少なくなり、このアークに起因してポリマー避雷器100の過大な飛散が発生する可能性を低減することができる。
また、並列ギャップ材2の突起部2aを縦方向に一直線上に配置することで、絶縁外皮8の避ける方向を一方向に限定することができる。さらに、絶縁外皮8の厚さが、他の部分に比べて突起部2aの部分で薄くなっているので、突起部2aの間で放電が発生した際に当該部分の絶縁ポリマーが裂けやすくなっており、内部アークから外部アークへ移行しやすくなっている。これによって、過大な飛散が発生する可能性をさらに低減することができる。さらにまた、非直線抵抗体1とともに並列ギャップ材2も絶縁ポリマーで一体成形しているため、並列ギャップ材2の突起部2aに起因する部分放電の可能性は少ない。
次に、図3、図4を参照して他の実施形態について説明する。図3、図4は、他の実施形態に係るポリマー避雷器の要部断面構成を模式的に示すものである。これらの図に示す実施形態では、並列ギャップ材2の突起部2aの先端部分に曲げ加工が施されており、その先端部分が上又は下に向けて曲げられた形状となっている。なお、図3に示すように、本実施形態においても、突起部2aの部分の絶縁外皮8の厚さは、例えば、2mm〜5mm程度とされている。
そして、このように突起部2aに曲げ加工を施した並列ギャップ材2を、曲げ方向が外側を向くように2枚ずつ重ね合わせて非直線抵抗体1の間に配置した構成となっている。これによって、非直線抵抗体1を隔てて対向する突起部2aの先端間の距離が短くなり、かつ先端の少ない面積の部分で対向した状態となっているので、並列ギャップ材2間の放電の発生をより促進することができる。これによって、更なる過大な飛散の防止効果の向上を図ることができる。なお、図3,4では、同様な形状の突起部2aを有する並列ギャップ材2を、曲げ方向が外側を向くように背合わせの状態で2枚ずつ重ねて配置した場合を示しているが、突起部2aを2つに分割してその先端を夫々上下方向に曲げ加工した1枚の並列ギャップ材2を1枚ずつ配置するようにしてもよい。
なお、図4は、夫々の非直線抵抗体1の間に全て突起部2aを有する並列ギャップ材2を配置した場合を示しており、図3は、数個おき(図3では3個おき)の非直線抵抗体1の間に突起部2aを有する並列ギャップ材2を配置した場合を示している。このように、夫々の非直線抵抗体1の間に全て突起部2aを有する並列ギャップ材2を配置するか、数個おきに配置するかは、非直線抵抗体1の特性によって適宜選択する必要がある。
ところで、非直線抵抗体1が破壊に至るのは、過大な電流が通電されるためである。このため、非直線抵抗体1が致命的な破壊に至る温度より低い融点の金属でかつ融点が低すぎない金属、例えば融点が200℃以上300℃以下程度の金属(例えばSn等)で並列ギャップ材2を構成すれば、非直線抵抗体1に通電された過大な電流によって発生するジュール熱で並列ギャップ材2が融け、並列ギャップ材2同士の放電をより促進することができる。これによって、さらに過大な飛散の防止効果の向上を図ることができる。
以上のように、上記の各実施形態によれば、ポリマー避雷器の責務を超える過大な電流が通電した場合でも、非直線抵抗体1が致命的な破損に至る前に、絶縁ロッド4間に一直線上に配置された並列ギャップ材2の突起部2a間で放電することにより、ポリマー避雷器の放圧動作を促進することができ、且つ、絶縁ロッド4と非直線抵抗体1の間で発生するアークの発生可能性を低減して、非直線抵抗体1および絶縁ロッド4の飛散の可能性を低減することができる。
また、放圧時には、一直線上に配置された並列ギャップ材2の突起部2aの方向の絶縁外皮8(絶縁ポリマー)が裂けるため、放圧する方向を一方向に限定することができる。これによって、放圧する方向を、より他機器への影響が少ない方向に設定することができ、万一ポリマー避雷器が放圧した場合においても、周囲の他機器への影響を比較的少なくすることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが,これらの実施形態は,例として提示したものであり,発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は,その他の様々な形態で実施されることが可能であり,発明の要旨を逸脱しない範囲で,種々の省略,置き換え,変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は,発明の範囲や要旨に含まれるとともに,特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1……非直線抵抗体、2……並列ギャップ材、2a……突起部、3a、3b……電極、4……絶縁ロッド、5……ガイド、6……バネ、7……金属スペーサ、8……絶縁外皮(絶縁ポリマー)、100……ポリマー避雷器。
Claims (5)
- 積層配置された複数の円板状の非直線抵抗体と、
これらの非直線抵抗体の両端に配置された電極と、
これらの電極を連結する前記非直線抵抗体の外周に沿って配置された複数本の絶縁ロッドとを具備した内部要素と、
前記内部要素の外側に形成され絶縁ポリマーからなる絶縁外皮と、
を有するポリマー避雷器において、
円板状に形成されるとともに外周の一部に外側に向けた突起部を有する導電性の板状部材を有し、当該板状部材が少なくとも一部の前記非直線抵抗体の間に介挿される一方、当該板状部材の各突起部が前記絶縁ロッド間で前記非直線抵抗体の積層方向に一直線状をなすよう構成されていることを特徴とするポリマー避雷器。 - 請求項1記載のポリマー避雷器であって、
前記突起部の外側の前記絶縁外皮の厚さが、2mm〜5mmとされていることを特徴とするポリマー避雷器。 - 請求項1又は2記載のポリマー避雷器であって、
対向する前記突起部の間の距離が近接するように、前記突起部が前記非直線抵抗体の積層方向に折曲された形状とされていることを特徴とするポリマー避雷器。 - 請求項3記載のポリマー避雷器であって、
前記突起部を一方向に曲げられた前記板状部材が、曲げ方向が外側を向くように2枚重ね合わせて前記非直線抵抗体の間に配置されていることを特徴とするポリマー避雷器。 - 請求項1〜4いずれか1項記載のポリマー避雷器であって、
前記板状部材が、融点が200℃以上300℃以下の材料から構成されていることを特徴とするポリマー避雷器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2010171485A JP2012033676A (ja) | 2010-07-30 | 2010-07-30 | ポリマー避雷器 |
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JP2012033676A true JP2012033676A (ja) | 2012-02-16 |
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Family Applications (1)
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JP2010171485A Withdrawn JP2012033676A (ja) | 2010-07-30 | 2010-07-30 | ポリマー避雷器 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2012033676A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103377783A (zh) * | 2012-04-24 | 2013-10-30 | 株式会社东芝 | 聚合物避雷器 |
CN104599799A (zh) * | 2014-12-27 | 2015-05-06 | 中国西电电气股份有限公司 | 一种大容量过电压限制器芯体 |
CN108053961A (zh) * | 2017-12-20 | 2018-05-18 | 南方电网科学研究院有限责任公司 | 一种避雷器 |
CN113393990A (zh) * | 2021-06-03 | 2021-09-14 | 中国电力科学研究院有限公司 | 芯柱、具有该芯柱的芯体及具有该芯体的避雷器 |
-
2010
- 2010-07-30 JP JP2010171485A patent/JP2012033676A/ja not_active Withdrawn
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