JP2012016276A - モータ駆動制御装置及びこれを使用した電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】3以上の相数nの電動モータ12を駆動するモータ駆動制御装置であって、前記電動モータを駆動する電流指令値を演算する電流指令値演算部82と、前記電動モータのモータ角度を検出するモータ角度検出部13と、前記電動モータのモータ角速度を検出するモータ角速度検出部80と、前記モータ角速度で回転するd−q座標に沿って演算されたd軸電流及びq軸電流値の少なくとも一方と、前記モータ角速度及び前記モータ角度とに基づいて補償用誘起電圧を演算する補償誘起電圧演算部84とを備え、前記電動モータの誘起電圧を前記補償誘起電圧演算部で演算した補償用誘起電圧でフィードフォワード補償する。
【選択図】図28
Description
上記誘起電圧ed及びeqを用いて、下記(1)式で表されるトルク一定の条件式に準じ、q軸電流Iqを下記(2)式に従って算出した場合、q軸電流Iqは図20に示すように、6n次成分(n=1,2,3……)の高調波成分が含有される(d軸電流Idは“0”を含む直流値であり、図20では50Aとする)。
このときのモータ駆動電圧は、下記(3)式のモータの特性方程式から求めると、図21に示すようになる。
また、近年、電動パワーステアリング装置の需要増加、高推力、静音性要求が高まっている。特に、コラムタイプの電動パワーステアリング装置については運転者に近い位置に配置されることから、より高い静音性が要求される。高推力を実現するために、電動パワーステアリング装置に用いられる電動モータの高トルク化が必要であるが、高トルクモータはトルク定数が高いため、トルクリップルが増加し、その結果、振動・騒音の悪化に繋がる。このことから、良好なトルクリップル性能を維持しつつ、大型化することなく高出力なシステムを構築することが要望されている。
Iqref=(2/3Tref×ωm−ed×Idref)/eq …………(5)
ここで、ωmは機械角速度で電気角速度ωeをモータ極対数Pで除した値(=ωe/P)である。
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、高回転・高電流時に誘起電圧の歪みによる誘起電圧補償誤差が著しく大きくなる場合に、誘起電圧補償誤差を低減させるようにしたモータ駆動制御装置及びこれを使用した電動パワーステアリング装置を提供することを目的としている。
なおさらに、請求項2に係るモータ駆動制御装置は、請求項1に係る発明において、前記誘起電圧のフィードフォワード補償は、前記電動モータの各相で行うことを特徴としている。
また、請求項3に係るモータ駆動制御装置は、請求項1又は2に係る発明において、前記誘起電圧のフィードフォワード補償は、前記モータ角速度に相当する周波数で回転するd−q座標上で行うことを特徴としている。
この請求項3に係る発明では、誘起電圧のフィードフォワード補償をd−q座標上で行うので、電動モータの相数にかかわらず、正確に誘起電圧補償誤差を低減することができ、全体の構成を簡易化することができる。
この請求項4に係る発明では、電流指令値より算出されるd軸電流指令値及びq軸電流指令値の少なくとも一方、又は当該d軸電流指令値及びq軸電流指令値の少なくとも一方に相当する指令値情報を補償誘起電圧演算部に入力するので、電流指令値に応じて誘起電圧補償値を変化させることができる。
さらにまた、請求項5に係るモータ駆動制御装置は、請求項1乃至3の何れか1つに係る発明において、前記補償誘起電圧演算部に入力するd軸電流及びq軸電流の少なくとも一方は、前記電流検出部で検出された検出相電流を前記モータ角速度に相当する周波数で回転するd−q座標でn相/2相変換したd軸電流値及びq軸電流値の少なくとも一方であることを特徴としている。
なおさらに、請求項6に係るモータ駆動制御装置は、請求項1乃至20の何れか1つに係る発明において、前記電動モータの誘起電圧は矩形波誘起電圧及び正弦波に高調波成分を含む疑似矩形波誘起電圧の何れか一方であることを特徴としている。
この請求項6に係る発明では、誘起電圧波形を矩形波及び正弦波に高調波成分を含む疑似誘起電圧の何れか一方とすることにより、正弦波電流又は正弦波電圧で制御する場合と比較すると、電流ピーク値又は電圧ピーク値が同じであれば、矩形波電流又は矩形は電圧の方が実効値が大きくなるため大きな出力(パワー)を得ることができる。
さらに、請求項7に係る発明では、電圧合成ベクトルを一定とするd軸電流Id及びq軸電流Iqを求めようとした場合、計算が複雑で解を求めるのが困難であるので、d軸電圧Vd及びq軸電圧Vqの電圧波形を直流+ロータ電気角の6倍の振動項の形で近似する。この場合、q軸電流Iq及びq軸電圧Vqの値はモータ回転方向によって符号が逆転する。ここでは、q軸電流Iq及びq軸電圧Vqが正の場合を前提に説明すると、d軸電圧Vd及びq軸電圧Vqを逆位相とすると共に、振幅条件として両者の交流成分の比に対して直流成分の比を逆関係とすることにより、電圧合成ベクトルが一定となる円の接線上を移動するように設定することができ、このようなd軸電圧Vd及びq軸電圧Vqを設定するために、d軸電流Id及びq軸電流Iqを逆位相とすると共に、d軸電流Idの交流成分の振幅を求めることによりd軸電流Idを求め、このd軸電流Idと目標電流とロータ電気角と誘起電圧モデルとでトルク一定の条件式からq軸電流Iqを算出する。
この結果、トルク変動を抑制しつつ、電源電圧を有効活用した各相駆動電圧の合成ベクトルの絶対値変動が小さいモータ駆動電圧波形となるようにモータ相電流指令値を決定することができる。
さらに、請求項8に係る電動パワーステアリング装置は、舵系に対して操舵補助力を発生する電動モータを前記請求項1乃至7の何れか1項に記載のモータ駆動制御装置で駆動制御するようにしたことを特徴としている。
この請求項8に係る発明では、電流制御系の外乱である誘起電圧補償誤差を低減させて、実電流が電流指令値により追従し、期待のトルクが得られると共に、補償誤差による高調波振動が減るため、良好な操舵性能が得られる。
また、電動パワーステアリング装置の操舵補助力を発生する電動モータを上記モータ駆動制御装置で駆動制御することにより、良好な操舵性能を発揮することができるという効果が得られる。
図1は、本発明を電動パワーステアリング装置に適用した場合の第1の実施形態を示す全体構成図であって、図中、1は、ステアリングホイールであり、このステアリングホイール1に運転者から作用される操舵力が入力軸2aと出力軸2bとを有するステアリングシャフト2に伝達される。このステアリングシャフト2は、入力軸2aの一端がステアリングホイール1に連結され、他端は操舵トルク検出手段としての操舵トルクセンサ3を介して出力軸2bの一端に連結されている。
そして、出力軸2bに伝達された操舵力は、ユニバーサルジョイント4を介してロアシャフト5に伝達され、さらに、ユニバーサルジョイント6を介してピニオンシャフト7に伝達される。このピニオンシャフト7に伝達された操舵力はステアリングギヤ8を介してタイロッド9に伝達され、図示しない転舵輪を転舵させる。ここで、ステアリングギヤ8は、ピニオンシャフト7に連結されたピニオン8aとこのピニオン8aに噛合するラック8bとを有するラックアンドピニオン形式に構成され、ピニオン8aに伝達された回転運動をラック8bで直進運動に変換している。
操舵トルクセンサ3は、ステアリングホイール1に付与されて入力軸2aに伝達された操舵トルクを検出するもので、例えば、操舵トルクを入力軸2a及び出力軸2b間に介挿した図示しないトーションバーの捩れ角変位に変換し、この捩れ角変位を抵抗変化や磁気変化に変換して検出するように構成されている。
また、3相ブラシレスモータ12は、図2に示すように、U相コイルLu、V相コイルLv及びW相コイルLwの一端が互いに接続されてスター結線とされ、各コイルLu、Lv及びLwの他端が操舵補助制御装置20に接続されて個別にモータ駆動電流Iu、Iv及びIwが供給される。また、3相ブラシレスモータ12は、ロータの回転位置を検出するレゾルバ、ロータリエンコーダ等で構成されるロータ位置検出回路13を備えている。
この操舵補助制御装置20は、操舵トルクT及び車速Vとモータ電流検出値Iud、Ivd及びIwdとロータ回転角θとに基づいて操舵補助目標電流値を演算して、モータ電圧指令値Vu、Vv及びVwを出力する本発明の基礎となる第1の実施形態を表す制御演算装置23と、3相ブラシレスモータ12を駆動する電界効果トランジスタ(FET)で構成されるモータ駆動回路24と、制御演算装置23から出力される相電圧指令値Vu、Vv及びVwに基づいてモータ駆動回路24の電界効果トランジスタのゲート電流を制御するFETゲート駆動回路25とを備えている。
先ず、第1の条件であるトルク変動を起こさない条件は、前述した(1)式のエネルギーバランス方程式の左辺Tωmを一定とするように3相ブラシレスモータ12の各励磁コイルLu、Lv及びLwに供給するモータ電流iu、iv及びiwを決定することで実現される。このためには、前記(1)式のトルク一定条件から下記(5)式に従ってq軸電流iqを求めることに実現することができる。
電源電圧がVRで定義される場合、3相ブラシレスモータ12の各相U,V,W相に印加できる電圧は0〜VRであり、各相を電圧ベクトル表現した場合、ベクトルvu、vv、vwは図23に示すように、互いに120度シフトした3相ベクトル表現となる。これらのベクトルvu、vv、vwの合成ベクトルが取り得る電圧ベクトルの範囲は、図23でハッチング図示の範囲であり、このうち合成ベクトルの絶対値を一定とできる範囲は「電源電圧×√3/2倍まである。したがって、合成ベクトルの絶対値が略一定を満足しつつ、最大限電圧を有効利用するためには、その絶対値を電源電圧×√3/2倍に設定する。
すなわち、本発明の基礎となる第1の実施形態では、d軸電圧Vd及びq軸電圧Vqが直流成分+電気角θの6倍の振動項で表現されることに着目して、円条件に最も近い条件としてベクトル軌跡が円の接線上(d軸電圧Vd及びq軸電圧Vqの直流成分の法線上)を推移するように設定している。
図8において、矢印Y0で示すようにd軸電圧Vd及びq軸電圧Vqの直流成分が成す電圧合成ベクトル|V|を考えたときに、この電圧合成ベクトル|V|と円C0との交点での接線(ベクトル|V|の法線Ln)上を推移するようにd軸電流Id及びq軸電流iqを設定する。
ところで、d軸電圧Vd及びq軸電圧Vqは、前述した(3)式でd軸電流id及びq軸電流iqとモータ諸元である電気角速度ωe、モータ抵抗R、モータインダクタンスLに基づいて算出することができるが、前記(5)式を前記(3)式に代入してd軸電圧Vd及びq軸電圧Vqを求めても前記(5)式に微分項が含まれていると共に前記(5)式の分母にeqがあるため、q軸電流iqには無限の高調波成分が含まれてしまい単純な形式では計算することができない。
このため、d軸電圧Vd及びq軸電圧Vqを求めるために、q軸電流iq(θ)の振動成分の中で、6次の高調波成分が支配的であることを利用すると、d軸電流id(θ)及びq軸電流id(θ)は下記(8)及び(9)式で近似することができる。
そして、d軸電流id(θ)に対して、前述した逆位相の条件を満足するために、前記(8)式で定義されるd軸電流モデルの逆位相とする。すなわち、d軸電流id(θ)は、前記(8)式を用いて、下記(10)式の形で定義すれば、q軸電流iq(θ)の逆位相成分を持つd軸電流id(θ)として表現できる。
また、d軸EMF成分ed0及びq軸EMF成分eq0も下記(11)式及び(12)式に示すように直流+電気角の6倍の振動項で近似することができる。
上述した本発明による弱め界磁制御を実現するために、目標電流設定部30は、図3に示すように構成されている。すなわち、目標電流設定部30は、操舵トルクセンサ3で検出した操舵トルクTと車速センサ21で検出した車速Vsとが入力され、これらに基づいて操舵補助電流指令値Irefを算出する操舵補助電流指令値演算部31と、ロータ回転角検出回路13で検出したロータ回転角θを電気角θeに変換する電気角変換部32と、この電気角変換部32から出力される電気角θeを微分して電気角速度ωeを算出する微分回路33と、操舵補助電流指令値Irefと電気角速度ωeとに基づいてd軸目標電流Id*を算出するd軸目標電流算出部34と、電気角θe及び電気角速度ωeに基づいてd−q軸誘起電圧モデルEMF(Electro Motion Force)のd軸EMF成分ed0(=ed/ωe=edAC0sin(θ))及びq軸EMF成分eq0(=eq/ωe=EqDC0−eqAC0cos(6θ))を算出する誘起電圧モデル算出部35と、この誘起電圧モデル算出部35から出力されるd軸EMF成分ed0及びq軸EMF成分eq0とd軸目標電流算出部34から出力されるd軸目標電流id(θ)と操舵補助電流指令値演算部31から出力される操舵補助電流指令値Irefとに基づいてq軸目標電流iq(θ)を算出するq軸目標電流算出部36と、d軸目標電流算出部34から出力されるd軸目標電流id(θ)とq軸目標電流算出部36から出力されるq軸目標電流iq(θ)とを3相電流指令値Iu*、Iv*及びIw*に変換する2相/3相変換部37とを備えている。
また、d軸目標電流算出部34には、図5に示すように、操舵補助電流指令値演算部31から出力される操舵補助電流指令値Irefと、電気角変換部32から出力されるロータ電気角θeと、後述する誘起電圧算出部35から入力される誘起電圧モデルで表されるq軸EMFの直流成分EqDC0(ωeEqDC0=EqDC)、q軸EMFの振幅成分eqAC0(ωeeqAC0=eqAC)、d軸EMFの振幅成分edAC0(ωeedAC0=edAC)とが入力されている。
また、d軸振幅係数算出部34bで参照するd軸振幅係数算出マップは、図7に示すように、特性線が設定されている。このd軸振幅係数算出マップは、前述した(14)式における各変数を基本とし、各回転数においてモータ出力が最大となるようにシミュレーションしたときの操舵補助電流指令値Irefと振幅係数IdAmpとの関係を特性線図としたものである。
iq(θ)′=|IqDC+iqccos(6θ)−iqssin(6θ)| ……(15)
さらに、d軸電流位相成分算出部34dは、上記(15)式における右辺第1項のq軸直流分IqDCを除く交流成分の符号を反転させて下記(16)式に基づいて振幅成分の逆位相出力id(θ)′を算出する。
id(θ)′=−(iqccos(6θ)−iqssin(6θ)) …………(16)
また、q軸目標電流算出部36は、d軸電流指令値id(θ)と、ロータの電気角速度ωe、d軸EMF成分ed0(θ)、q軸EMF成分eq0(θ)に基づいて前記(6)式に示すトルク一定の条件式に基づいてq軸電流指令値iq(θ)を算出する。
電圧制御部40は、目標電流設定部30から供給される電流指令値Iu*,Iv*,Iw*から電流検出回路22で検出した各相コイルLu、Lv、Lwに流れるモータ相電流検出値Iud、Ivd、Iwdを減算して各相電流誤差ΔIu、ΔIv、ΔIwを求める減算器41u、41v及び41wと、求めた各相電流誤差ΔIu、ΔIv、ΔIwに対して比例積分制御を行って指令電圧Vu、Vv、Vwを算出するPI制御部42とを備えている。
モータ駆動回路24は、図2に示すように、各相コイルLu、Lv及びLwに対応して直列に接続されたNチャンネルMOSFETで構成されるスイッチング素子Qua,Qub、Qva,Qvb及びQwa,Qwbを並列に接続したインバータ構成を有し、スイッチング素子Qua,Qubの接続点、Qva,Qvbの接続点及びQwa,Qwbの接続点が夫々相コイルLu、Lv及びLwの中性点Pnとは反対側に接続されている。
そして、モータ駆動回路24を構成する各スイッチング素子Qua,Qub、Qva,Qvb及びQwa,QwbのゲートにFETゲート駆動回路25から出力されるPWM(パルス幅変調)信号が供給されている。
今、ステアリングホイール1を操舵すると、そのときの操舵トルクTが操舵トルクセンサ3で検出されると共に、車速Vが車速センサ21で検出される。そして、検出された操舵トルクT及び車速Vが制御演算装置23の目標電流設定部30における操舵補助電流指令値演算部31に入力されることにより、この操舵補助電流指令値演算部31で、図4の操舵補助電流指令値算出マップを参照して操舵補助電流指令値Irefを算出する。
そして、算出された操舵補助電流指令値Irefがd軸目標電流算出部34及びq軸目標電流算出部36に供給される。
一方、ロータ位置検出回路13で検出されたロータ位置信号が電気角変換部32に供給されて電気角θeに変換されると共に、この電気角θeが微分回路33で微分されて電気角速度ωeが算出され、これら電気角θe及び電気角速度ωeが誘起電圧モデル算出部35に供給されてd軸EMF成分ed0(θ)、q軸EMF成分eq0(θ)を算出し、これらをd軸電流算出部34の疑似q軸電流算出部34c及びq軸電流算出部36に供給する。
さらに、疑似q軸電流算出部34cで前記(15)式に基づいて疑似q軸電流iq(θ)′を算出し、次いでd軸電流位相成分算出部34dで、前記(16)式に基づいてd軸の逆位相成分id(θ)′を算出する。
そして、d軸目標電流算出部34eで、前記(10)式の演算を行ってd軸目標電流id(θ)を算出し、算出したd軸目標電流id(θ)をq軸電流算出部36に供給すると共に2相−3相変換部37に供給する。
このため、q軸電流算出部36では、前記(6)式の演算を行ってトルク変動を生じないq軸目標電流iq(θ)を算出し、このq軸目標電流iq(θ)を2相/3相変換部37に供給する。
このとき、d軸電流算出部34で、振幅係数算出部34bで、d軸電圧Vd及びq軸電圧Vqの直流成分比及び振動成分比が前記(7)式を満足するように振幅係数IdAmpを算出するので、前述した図8に示すように、電圧合成ベクトルの絶対値|V|(=√(Vd2+Vq2)の移動軌跡がd−q軸の原点を中心する円C0と電圧合成ベクトルの絶対値|V|との接点における接線方向即ちd軸電圧Vd及びq軸電圧Vqの直流成分の法線上を推移することになる。
また、3相ブラシレスモータ12の各励磁コイルLu、Lv及びLwに印加するモータ駆動電圧の端子電圧波形は、前述した(10)式における右辺第1項のd軸電流の直流成分IdDCを“0”に設定した進角制御無しの場合には、図13に示すように、電源電圧近傍でピークが発生することを防止して略平坦な特性となり、電圧利用率を向上させてモータ回転性能を向上させることができ、3相ブラシレスモータ12で操舵トルクに応じた最適な操舵補助力を発生して、ステアリングホイール1を良好に操舵することができる。このとき、3相ブラシレスモータ12で発生するトルクが一定に制御されるので、ステアリングホイール1に振動等を与えることがなく、良好な操舵感覚を得ることができる。
因みに、従来例の場合には、d軸電流及びq軸電流が図15(a)に示すようになり、これに応じてd軸電圧Vd及びq軸電圧Vqが図15(b)に示すようになる。このため、端子電圧波形が進角制御を行わない場合は図16(a)に、進角制御を行う場合には図16(b)に夫々示すように、何れも電源電圧近傍の電圧波形が2つのピークを有することから各相の端子電圧の実効値が低下し、モータ回転性能が低下することになる。
また、上記本発明の基礎となる第1の実施形態のように、d軸目標電流id(θ)を算出する際に使用する振幅係数IdAmpを振幅係数算出マップを参照して算出することにより、前述した(14)式の複雑な演算を行うことなく、容易に振幅係数IdAmpを算出することができる。
また、上記本発明の基礎となる第1の実施形態においては、本発明を電動パワーステアリング装置に適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、電動ブレーキ装置などの車載電動機器や他の電動機器等の3相ブラシレスモータを適用した機器に本発明を適用することができる。
この本発明の基礎となる第2の実施形態では、前述した第1の実施形態における操舵補助制御装置20が、操舵トルクセンサ3で検出された操舵トルクT及び車速センサ21で検出された車速Vが入力されると共に、モータ位置検出回路13で検出された角度検出信号θmが入力され、この角度検出信号θmに基づいて電気角θeを演算する電気角演算部50から出力される電気角θeが入力され、さらに3相ブラシレスモータ12の相コイルLa及びLcに供給されるモータ駆動電流Ia及びIcを後述するインバータ回路56内で検出するモータ電流検出部57から出力されるモータ駆動電流検出値Iadet、Icdet及び前記モータ駆動電流Ia及びIcより推定されたIbdetが入力されている。
ここで、操舵補助電流指令値演算部51は、操舵トルクT及び車速Vをもとに前述した図4に示す操舵補助電流指令値算出マップを参照して操舵補助電流指令値Irefを算出すると共に、算出した操舵補助電流指令値Irefに基づいて前述した図6及び図7に示すd軸直流電流指令値算出マップ及びd軸電流振幅指令値算出マップを参照してd軸直流電流指令値IdDC及びd軸電流振幅指令値idAMPを算出する。
ed0E=edE/ωm=K1E1sin(η1)+K5E5sin(6θ+η5) …………(17)
eq0E=eqE/ωm=K1E1cos(η1)+K5E5cos(6θ+η5) …………(18)
∵Ek:角速度1[rad/s]におけるk次高調波の無通電時の誘起電圧波高値(k=1,5)
Kk:k次高調波波高値歪みゲイン(k=1,5)
ηk:k次高調波歪み位相角(k=1,5)
eaE=K1E1ωmsin(θ+η1)+K5E5ωmsin(5θ+η5)
ebE=K1E1ωmsin(θ−(2/3)π+η1)+K5E5ωmsin(5(θ−(2/3)π)+η5)
ecE=K1E1ωmsin(θ+(2/3)π+η1)+K5E5ωmsin(5(θ+(2/3)π)+η5)
edE=(2/3){eaEcosθ+ebEcos(θ−(2/3)π)+ecEcos(θ+(2/3)π)}
eqE=(2/3){eaEsinθ+ebEsin(θ−(2/3)π)+ecEsin(θ+(2/3)π)}
このパラメータ設定部71にはモータ電流検出部57にて検出、及び推定算出した電動モータ12の各電流検出値Iaref、Ibref及びIcrefを、3相/2相変換処理してd軸電流値Id及びq軸電流値Iqを算出する3相/2相変換部72からのd軸電流値Id及びq軸電流値Iqが入力され、後述するパラメータ設定処理を行ってパラメータK1、K5、η1、η5を設定する。
また、q軸電流指令値演算部62では、トルク一定式をもとにq軸電流指令値Iqrefを算出する。このトルク一定式とはモータのエネルギー方程式より算出された下記(19)式及び(20)式で表される関係式である。
Iqref={(2/3)KtIrefωm−edEIdref}/eqE
={(2/3)KtIref−ed0EIdref}/eq0E …………(20)
ここで、Tmはモータトルク、ωmはモータ機械角速度、Ktはモータトルク定数、Ia、Ib、Icは3相の各相電流値、eaE、ebE、ecEは各相誘起電圧、Id、Iqはd軸、q軸電流、edE、eqE、ed0E、eq0Eは下記(21)式及び(22)式で算出される歪みを考慮したd軸、q軸誘起電圧である。
eq0E=eqE/ωm …………(22)
また、d軸電流指令値演算部63では、前述した本発明の基礎となる第1の実施形態におけるd軸目標電流算出部34eと同様にd−q軸誘起電圧演算部61から出力されるd軸誘起電圧ed0E及びq軸誘起電圧eq0Eと操舵補助電流指令値演算部51から出力されるd軸直流電流指令値IdDC及びd軸電流振幅指令値idAMPに基づいて下記(23)式の演算を行ってd軸電流指令値Idrefを算出する。
この(23)式のIdDCは任意に決定できるパラメータであり、idAMP、iqc、iqsはモータ印加電圧の有効利用率を向上させるために決定されるパラメータであり、iqc及びiqsは前述した「数7」に定義され、idAMPは前述した(14)式で定義されている。
また、d−q軸誘起電圧演算部61では、d−q軸誘起電圧算出式に基づいて誘起電圧を算出する。ここで、誘起電圧の歪みを考慮しない場合には、d軸誘起電圧ed0及びq軸誘起電圧eq0を算出するd−q軸誘起電圧算出式は、下記(24)式及び(25)式で表される。
eq0=eq/ωm=E1−E5cos(6θ) ………(25)
∵Ek:角速度1[rad/s]におけるk次高調波の無通電時の誘起電圧波高値 (k=1,5)
ea=E1ωmsinθ+E5ωmsin5θ
eb=E1ωmsin(θ−(2/3)π)+E5ωmsin5(θ−(2/3)π)
ec=E1ωmsin(θ+(2/3)π)+E5ωmsin5(θ+(2/3)π)
ed=(2/3){eacosθ+ebcos(θ−(2/3)π)+eccos(θ+(2/3)π)}
eq=(2/3){easinθ+ebsin(θ−(2/3)π)+ecsin(θ+(2/3)π)}
ところで、誘起電圧に歪みが発生するとトルクリップルを生じることになる。
このトルクリップルを発生させる要因を説明すると、一般的に電動モータを駆動するためには、各相に電圧を印加して各相コイルに電流による電気子起磁力を発生させ、回転子に取り付けられている永久磁石との引力・斥力を利用し回転子を回転させ駆動を行うが、電機子電流により発生する起磁力により、永久磁石より発生しているギャップ磁束が歪み、その結果誘起電圧が歪む現象が発生する。これを電機子反作用と言う。電機子反作用には直軸電機子反作用と横軸電機子反作用がある。
これに対し、横軸電機子反作用(交さ磁化作用)は、図26(c)に示すように、モータの回転子磁束ベクトルに対し電機子起磁力ベクトルが直軸方向に配置される場合に発生し、特に力率=1の時には強く発生する。電機子電流により発生する電機子起磁力により永久磁石より発生する回転子磁束との合成磁束がq軸方向に歪むため、誘起電圧上で回転方向へ磁石が進角するように見える。誘起電圧及び相電流が正弦波である場合には位相ずれによるトルクリップルは発生しにくいが、誘起電圧及び相電流が矩形波または擬似矩形波(正弦波+高調波成分)である場合には、誘起電圧の位相ずれにより高調波成分にて発生するトルクリップルを抑制することができず、トルクリップルが発生する要因となる(これを要因Aとする)。
上記2つの要因A及びBは、発生メカニズムは異なるがモータ相電流に関連する誘起電圧の歪みとして捉えることが可能である。
このように、誘起電圧は電機子起磁力により歪みが発生してしまうため、上述した(24)式及び(25)式の誘起電圧ed0及びeq0を基に後述するようにq軸電流指令値演算部63で、トルク一定式より算出されたq軸電流指令値Iqrefを使用しても効果的にトルクリップルを抑制できない場合がある。
上記(17)式及び(18)式で高調波波高値歪みゲインK1、K5及び高調波歪み位相角η1、η5は相電流値により決定する歪みパラメータであり、このパラメータをパラメータ設定部71で相電流毎に決定することで歪みを考慮したd軸誘起電圧ed0E及びq軸誘起電圧eq0Eを生成することが可能となる。
以下に本発明の基礎となる第2の実施形態でのパラメータ設定部71で行う歪みパラメータの推定原理と推定方法とを説明する。
電動モータ12の通電状態での誘起電圧を直接測定することは非常に困難であるため、無通電状態の誘起電圧より上記歪みパラメータの推定を行う。
トルクリップルは電気角θeの6次成分6θが支配的であることが知見されていることにより、ある相電流時におけるモータトルクは下記(26)式のような近似式で表すことができる。
Tm=T0+T6ccos(6θ)+T6ssin(6θ) …………(26)
この(26)式において、右辺第一項T0は平均トルクで、右辺第二項のT6c及び第三項のT6sは、トルクリップル6次成分をcosとsinに分解した時の各振幅値である。上記3つのパラメータはトルクリップル測定の結果を高速フーリエ変換(FFT)することで求めることができる。
Tm=(2/3)(eq0EIq+ed0EId)=T0+T6ccos(6θ)+T6ssin(6θ)……(27)
ここで、q軸電流値Iqはトルク一定式によって算出されたq軸電流値Iqrefであるが、トルクを一定とするためのq軸電流算出式である前記(20)式の分母にq軸誘起電圧eq0が含まれIqの次数成分が無限となるため、このままでは歪みパラメータの解を求めることができない。
Iq=IqDC+iqccos(6θ)−iqssin(6θ) …………(28)
∵ IqDC=2KtIref/3E1
iqc=(E5/E1)IqDC
iqs=(E5/E1)IdDC
また、d軸電流Idは、前記(23)式で定義されている。
T0=(2/3)E1(IqDCK1C+IdDCK1S) …………(29)
T6C=(2/3)E5(IqDC(K1C−K5C−idAMPK1S)+IdDCK5S)……(30)
T6S=(2/3)E5(−IdDC(K1C−K5C−idAMPK1S)+IqDCK5S)…(31)
∵ K1S=K1sin(η1)
K1C=K1cos(η1)
K5S=K5sin(η5)
K5C=K5cos(η5)
上式では、求める4つの歪みパラメータ(K1、K5、η1、η5)を新たな4つのパラメータ(K1S、K1C、K5S、K5C)に変換しており、この新たな4つのパラメータが推定できれば、求める歪みパラメータ全てを算出可能である。上記新たな4つのパラメータはq軸電流値Iq及びd軸電流値Idを各々変化させてトルクリップル測定を繰り返し行い、求められたデータよりq軸電流値及びd軸電流値と歪みパラメータとの関係として決定する。
iqs=(K5E5/K1CE1)IdDC ……(33)
そして、決定した歪みパラメータK1、K5、η1及びη5をパラメータ設定部71に設定する。
先ず、前述した決定手法にて決定した歪みパラメータをパラメータ設定部71に設定する。
この状態で、ステアリングホイール1を操舵すると、そのときの操舵トルクTが操舵トルクセンサ3で検出されると共に、車速Vが車速センサ21で検出される。そして、検出された操舵トルクT及び車速Vが操舵補助電流指令値演算部51に入力されることにより、この操舵補助電流指令値演算部51で、図4の操舵補助電流指令値算出マップを参照して操舵補助電流指令値Irefを算出すると共に、算出した操舵補助電流指令値Irefに基づきマップを参照してd軸直流電流指令値IdDC及びd軸電流振幅指令値IdAMPを算出する。
一方、ロータ位置検出回路13で検出されたモータ角度検出信号θmが電気角演算部50に供給されて電気角θeに変換される。
そして、操舵補助電流指令値演算部51で算出された操舵補助電流指令値Iref、d軸直流電流指令値IdDC、d軸電流振幅指令値IdAMP及び電気角θeがベクトル制御電流指令値演算部52に供給される。
一方、電流検出部57で検出されたIadet、Icdet及び同検出部内で推定されたIbdetが3相/2相変換部72にてd軸電流値Id及びq軸電流値Iqに変換されてd−q軸誘起電圧演算部41に含まれるパラメータ設定部71に入力され、入力されたd軸電流値Id及びq軸電流値Iqに従い歪みパラメータK1、K5、η1、η5を出力し、d−q軸誘起電圧演算部61は出力された歪みパラメータK1、K5、η1、η5及び電気角θeに基づき歪みを考慮した誘起電圧であるd軸誘起電圧ed0E及びq軸誘起電圧eq0Eを算出し、これらをd軸電流指令値演算部63及びq軸電流指令値演算部62に供給する。
一方、q軸電流指令値演算部62では、d軸電流指令値Idref、操舵補助電流指令値Iref及び誘起電圧ed0E,eq0Eに基づいて前記(18)式の演算を行ってトルク変動を生じないq軸電流指令値Iqrefを算出する。
また、パラメータ設定部71に供給するd軸電流値及びq軸電流値を、2相電流検出値から残りの1相電流検出値を推定し、3相/2相変換して算出するようにしているので、相電流検出部の数を減少させて製造コストを低減することができる。
本発明の基礎となる第2の実施形態の構成にて実機確認を行った結果を図27に示す。本手法の実施後ではトルクリップル6次成分が低減され全体的なトルクリップルも低減されており、本発明の基礎となる第2の実施形態の効果が確認された。また、高電流域での平均トルクが上昇することも確認され、ステータ磁化特性の非線形性によるトルクのへたりに対する改善効果も確認された。
しかも、上述したように、d軸電流指令値Idrefを前記(9)式の演算を行うことにより、算出するので、電源電圧を有効利用した高調波モータ制御を行うことができる。
なお、上記本発明の基礎となる第2の実施形態においては、実機でのトルクリップル測定の結果より誘起電圧の歪みパラメータの推定を行ったが、例えば、磁気解析により誘起電圧の歪みパラメータが予めわかる場合は、そのパラメータを用いてもよい。
ed0E=E1(K1S+K5S)+K5Ced0−K5Seq0
eq0E=E1(K1C−K5C)+K5Sed0+K5Ceq0
また、上記本発明の基礎となる第2の実施形態では演算負荷の増大、及び推定パラメータの多様化を避けるため、誘起電圧は5次までの考慮としたが、磁気解析等の結果により予めパラメータがわかり、高速演算が可能である場合にはこの限りではない。
さらにまた、上記本発明の基礎となる第2の実施形態においては、モータ駆動制御装置を電動パワーステアリング装置に適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、電動ブレーキ装置などの車載電動機器や他の電動機器等のn相ブラシレスモータを適用した機器に本発明を適用することができる。
この本発明の実施形態は、前述した本発明の基礎となる第1の実施形態で歪んだ誘起電圧に合わせてトルク一定になるように電流指令値を生成する場合に加えて、高回転・高電流時に誘起電圧の歪みによる誘起電圧補償誤差が著しく大きくなる場合に、誘起電圧補償誤差を低減させるようにしたものである。
すなわち、本発明の実施形態においては、制御装置20が、図28に示すように、角速度演算部80、電流指令値生成部81、d−q軸電流指令値演算部82、2相/3相変換部83、補償誘起電圧演算部84、電流制御部85、加算部86、PWM制御部87、インバータ回路88とで構成されている。
角速度演算部80は、インバータ回路88内でモータ電流を検出するロータ位置検出回路13で検出したモータ角度θmに基づいて電気角θe及びモータ角速度ωmを演算する。
d−q軸電流指令値演算部82は、前述した本発明の基礎となる第1の実施形態におけるd軸電流指令値算出部34、誘起電圧モデル算出部35及びq軸電流指令値算出部36で構成され、電流指令値生成部81で生成した電流指令値Irefに基づいて電動モータ12のd−q軸座標系のd軸電流指令値Idref及びq軸電流指令値Iqrefを演算し、これらd軸電流指令値Idref及びq軸電流指令値Iqrefを2相/3相変換部83に出力する。
補償誘起電圧演算部84は、d−q軸電流指令値演算部82から出力されるd軸電流指令値Idref及びq軸電流指令値Iqrefと角速度演算部80から出力される電気角θe及びモータ角速度ωmとが入力され、これらに基づいて下記(34)式の演算を行って、電動モータ12の各相の誘起電圧補償値e^a、e^b及びe^cを演算し、これら誘起電圧補償値e^a、e^b及びe^cをフィードフォワード補償値として加算部86に出力する。
e^b=K1E1ωmsin(θ−(2/3)π+η1)
+K5E5ωmsin(5(θ−(2/3)π)+η5)
e^c=K1E1ωmsin(θ+(2/3)π+η1)
+K5E5ωmsin(5(θ+(2/3)π)+η5)
…………(34)
PWM制御部87は、電流制御部85から出力される電圧指令値Varef、Vbref及びVcrefに基づいてパルス幅変調(PWM)信号を形成してインバータ回路88に出力する。
インバータ回路88では、2相/3相変換部83で変換された相電流指令値Iaref、Ibref及びIcrefに応じた相電流Ima、Imb及びImcを電動モータ12に供給する。
なお、上記本発明の実施形態においては、補償誘起電圧演算部84にd−q軸電流指令値演算部82で演算したd軸電流指令値Idref及びq軸電流指令値Iqrefを供給する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、d−q軸電流指令値演算部82で演算されるq軸電流指令値Iqrefは、電流指令値生成部61から入力される電流指令値Irefに基づいて算出されるので、図29に示すように、q軸電流指令値Iqrefに代えて電流指令値生成部81で算出される電流指令値Irefを補償誘起電圧演算部84に供給するようにしても上述した本発明の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
なおさらに、上記本発明の実施形態においては、本発明を電動パワーステアリング装置に適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、電動ブレーキ装置などの車載電動機器や他の電動機器等のn相ブラシレスモータを適用した機器に本発明を適用することができる。
Claims (8)
- 3以上の相数nの電動モータを駆動するモータ駆動制御装置であって、
前記電動モータを駆動する電流指令値を演算する電流指令値演算部と、前記電動モータのモータ角度を検出するモータ角度検出部と、前記電動モータのモータ角速度を検出するモータ角速度検出部と、前記モータ角速度で回転するd−q座標に沿って演算されたd軸電流及びq軸電流値の少なくとも一方と、前記モータ角速度及び前記モータ角度とに基づいて補償用誘起電圧を演算する補償誘起電圧演算部とを備え、前記電動モータの誘起電圧を前記補償誘起電圧演算部で演算した補償用誘起電圧でフィードフォワード補償することを特徴とするモータ駆動制御装置。 - 前記誘起電圧のフィードフォワード補償は、前記電動モータの各相で行うことを特徴とする請求項1に記載のモータ駆動制御装置。
- 前記誘起電圧のフィードフォワード補償は、前記モータ角速度に相当する周波数で回転するd−q座標上で行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のモータ駆動制御装置。
- 前記補償誘起電圧演算部に入力する前記d軸電流値及びq軸電流値の少なくとも一方は、前記電流指令値より算出されたd軸電流指令値及びq軸電流指令値の少なくとも一方、又は当該d軸電流指令値及びq軸電流指令値の少なくとも一方に相当する指令値情報であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のモータ駆動制御装置。
- 前記補償誘起電圧演算部に入力するd軸電流及びq軸電流の少なくとも一方は、前記電流検出部で検出された検出相電流を前記モータ角速度に相当する周波数で回転するd−q座標でn相/2相変換したd軸電流値及びq軸電流値の少なくとも一方であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のモータ駆動制御装置。
- 前記電動モータの誘起電圧は、矩形波誘起電圧及び正弦波に高調波成分を含む疑似矩形波誘起電圧の何れか一方であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載のモータ駆動制御装置。
- 前記電流指令値演算部は、前記電動モータの電流指令値を作成する電流指令値作成部と、該電流指令値作成部で作成した電流指令値に基づいて前記モータ角速度で回転するd−q座標に沿って演算されたd軸電流指令値及びq軸電流指令値を算出するd−q軸電流指令値演算部とを少なくとも備え、前記d−q軸電流指令値演算部は、誘起電圧モデルを算出する誘起電圧モデル算出部と、前記目標電流指令値に基づいてd軸直流成分を算出するd軸電流直流成分算出部と、前記電流指令値に基づいてd軸電流の振幅を決定する振幅係数を算出するd軸振幅係数算出部と、前記電流指令値、前記モータ角度に基づいて算出される電気角、誘起電圧モデル及び前記d軸直流成分に基づいてトルクを一定とする擬似q軸電流を算出する擬似q軸電流算出部と、該擬似q軸電流算出部で算出した擬似q軸電流に基づいて擬似q軸電流の振幅成分の逆位相又は正位相となるd軸位相電流成分を算出するd軸電流位相成分算出部と、前記d軸直流成分、前記d軸振幅係数、前記d軸位相成分に基づいてd軸目標電流を算出するd軸目標電流算出部と、該d軸目標電流算出部で算出したd軸目標電流と、前記目標電流指令値、前記電気角、当該電気角に基づいて算出される電気角速度及び誘起電圧モデルとに基づいてトルクを一定とするq軸電流指令値を算出するq軸目標電流算出部とを少なくとも備えていることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載のモータ駆動制御装置。
- 操舵系に対して操舵補助力を発生する電動モータを前記請求項1乃至7の何れか1項に記載のモータ駆動制御装置で駆動制御するようにしたことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
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