JP2012013557A - X線源システム及びx線位相イメージングシステム - Google Patents

X線源システム及びx線位相イメージングシステム Download PDF

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Abstract

【課題】X線における特定の波長領域を取り出すに当たり、効率よく狭い波長幅のものを取り出すことができ、フィルタリング性能の向上を図ることが可能となるX線源システム及びX線位相イメージングシステムを提供する。
【解決手段】X線源と、位相格子と、吸収格子と、を有するX線源システムであって、
位相格子は、X線源と一定の距離をおいて設置され、
位相格子の構造が、X線源より照射されたX線による位相波面を所定の形状に変形させる屈折レンズを、X線の照射される方向と直交する方向に並べた屈折レンズ群で構成されると共に、
吸収格子は、屈折レンズ群による干渉で特定の周波数領域のX線による干渉縞のコントラストが高くなる位置に設置され、
X線の透過率を高くした特定の領域が、屈折レンズ群による特定の周波数領域における干渉縞のX線強度が高くなる箇所に対応させて配設されている。
【選択図】 図4

Description

本発明は、X線源システム及びX線位相イメージングシステムに関し、特に一定の周波数領域を有する入射X線から特定の周波数領域を切り出すための技術に関する。
X線を用いた画像撮影手法の一つとして、X線位相イメージング手法が知られている。
この手法は入射X線を被写体に透過させた際に、被写体の屈折率の違いによる位相差をモアレ縞などのパターンを利用して取得する技術である。
被写体内の構成物質はそれぞれ異なる屈折率を有するため、特にその境界面が強調されるのが特徴である。
これらX線位相イメージング手法としては、回折強調法(DEI)、結晶性X線干渉法、伝播法、タルボ干渉法などがある。
これらの位相イメージングに共通して要求される事項として、入射光がなるべく単色化されていることが望ましいという点がある。
多くの位相イメージング手法では、特定の周波数あるいは特定の周波数領域のみの入射光に対して装置が構成される。
そのため、特に基礎研究の段階では単色のX線が容易に得られる巨大な放射光施設が用いられることが多い。
X線位相イメージングを一般の実験室、あるいは機器などの装置レベルで行なう場合、例えばX線源のターゲットに特有なスペクトル、即ち特性X線を用いる方法が用いられる。
例えば、X線源としてX線管を用い、そのターゲットとしてモリブデンを用いた場合には、そのスペクトルの17.5keVの位置に鋭いエネルギー強度ピークが観察される。
この特性X線を利用して位相イメージングを行なう方法が考えられる。
しかし、これらの方法においては、つぎのような点に問題点を有している。
その一つは、得られるX線の周波数帯が特性X線の範囲のみに制限されてしまう点である。
イメージングの要求として特定の周波数を用いたい場合には、それにあわせてターゲットの選定を行なう必要がある。
他の一つは、制動X線に対して特性X線の相対的強度が小さくなる点である。
制動X線は、特性X線と一緒に得られるブロードな周波数領域にわたるX線強度分布である。
イメージングで取得されるX線強度は全ての周波数領域に対するX線フォトン数の合計になる。
そのため、たとえ特性X線が強いピークをもっていたとしても、積算した強度からは有効なイメージのコントラストが得られない場合もある。
このようなことから、入射光の単色化についても様々な方法が提案されてきた。
その一つが結晶による単色化である。この手法は蛍光X線分析装置などでも用いられている手法であるが、この手法では特定の周波数を効率よく得られるものの、その強度はきわめて小さい。
そのために、この手法は固定した小型の実験サンプル等の解析に向いているが、X線を用いた画像取得には時間がかかり、X線位相イメージング等には不向きである。
一方、X線位相イメージング等に用いることのできる手法として、非特許文献1に挙げるような、位相格子と吸収格子の組み合わせによる手法が提案されている。
この手法はタルボ干渉と呼ばれる位相イメージングの手法を応用したもので、タルボ干渉で生じる干渉縞を利用し、干渉縞の位置にスリットを設置することで特定の周波数のみを透過させるものである。
A.Momose,W.Yashiro,M.Moritake,Y.Takeda,K.Uesugi,A.Takeuchi,Y.Suzuki,M.Tanaka and T.Hattori,¨Biomedical Imaging by Talbot−Type X−ray Phase Tomography,¨Proc.Of SPIE Vol.6318,63180T,(2006).
しかしながら、上記非特許文献1の手法においては、つぎのような課題を有している。
すなわち、非特許文献1の手法では、十分に特定の周波数領域をフィルタリングする上で、必ずしも満足の得られるものではない。
非特許文献1で開示されている結果によると(図8)、最頻値のX線波長に対する透過効率は60%程度であり、またフィルタリングによって最も強いピークの最頻値の波長に対してピークの半値全幅が1/2程度である。
位相イメージングではコントラストの向上のために、この半値全幅は更に狭いことが望まれる。
また、X線の透過効率においても、利用効率の向上を図る上で100%に近いことが望まれる。
本発明は、上記課題に鑑み、X線における特定の波長領域を取り出すに当たり、効率よく狭い波長幅のものを取り出すことができ、フィルタリング性能の向上を図ることが可能となるX線源システム及びX線位相イメージングシステムの提供を目的とする。
本発明のX線源システムは、一定の周波数領域を有するX線を照射するX線源と、
前記X線源より照射されたX線を干渉させるための位相格子と、
前記位相格子による干渉縞を生じたX線のうち、特定の周波数領域におけるX線の透過率が高くなるようにした吸収格子と、を有するX線源システムであって、
前記位相格子は、前記X線源と一定の距離をおいて設置され、
該位相格子の構造が、前記X線源より照射されたX線による位相波面を所定の形状に変形させる屈折レンズを、前記X線の照射される方向と直交する方向に並べた屈折レンズ群で構成されると共に、
前記吸収格子は、前記屈折レンズ群による干渉で特定の周波数領域のX線による干渉縞のコントラストが高くなる位置に設置され、
前記X線の透過率を高くした特定の領域が、前記屈折レンズ群による特定の周波数領域における干渉縞のX線強度が高くなる箇所に対応させて配設されていることを特徴とする。
本発明によれば、X線における特定の波長領域を取り出すに当たり、効率よく狭い波長幅のものを取り出すことができ、フィルタリング性能の向上を図ることが可能となるX線源システム及びX線位相イメージングシステムを実現することができる。
従来例及び本発明の基本構成を説明する概略図である。 タングステンターゲットを使用した場合の入射X線スペクトルの図である。 従来例である非特許文献1を説明する図である。 本発明の実施例1の構成を説明する図である。 本発明の実施例2の構成を説明する図である。 本発明の実施例3の構成を説明する図である。 本発明の実施例4の構成を説明する図である。 本発明の各実施例における透過スペクトルの従来例との比較図である。
以下本発明の実施の形態について説明する。
まず、本実施形態及び従来例に共通するX線源システムの基本構成を、図1を用いて説明する。
図1に示されるように、このX線源システムは大きく分けて、X線源11、位相格子12、吸収格子13の3つの部品により構成される。
X線源11より照射されたX線は位相格子12で位相波面が変化し干渉を起こして、13の吸収格子でスクリーニングされる。
X線源11は任意のX線源を用いることが出来、特に制限はされない。
但し、位相格子12で可干渉性を持つ、すなわち位相波面を変化させ干渉を起こすためには位相格子12に到達するまでにX線は一定のコヒーレンス長を持つ必要がある。
そのため、一般にはX線源11と位相格子12を一定以上の距離をおく必要がある。
その他に、光源の直後に更に吸収格子を設置して位相格子をある特定の距離に置く事によって干渉を生じさせる技術などもある。
いずれにせよ本質的には位相格子に入射するX線が可干渉性を持つような光源が要求される。これらは本実施形態及び従来例の全てに共通である。
つぎに、従来例として非特許文献1に上げられた構成を簡単に説明する。
図3(a)は非特許文献1における位相格子の構造である。
位相格子ではX線はほとんど透過するが、屈折率の高い材料が用いられる。例えば、シリコンなどが用いられる。
非特許文献1では1:3の比率を持ったπ格子を使用している。波面の揃った入射光31が位相格子に入射すると位相の変化しない箇所32とπ位相が変化する箇所33の違いにより34のような波面に変化する。
図3(b)は非特許文献1における吸収格子の構造である。
吸収格子ではX線がほとんど透過しない箇所37と逆にほとんど透過する開口部36を周期的に有する。
X線が透過しない箇所では例えば金などX線を遮蔽する効果の高い材料を用いる。
非特許文献1では開口部と遮蔽部が1:3の比率を持った格子を使用している。入射光35は遮蔽部と開口部によってフィルタリングされ38のような強度分布を持つ。
格子の周期は基本的に位相格子の周期と同じになるが、前記のような微小光源を用いた場合、その配置によって位相格子の干渉像も拡大する。そのため吸収格子は拡大率に応じた格子周期の変化が必要となる。
図3(c)はこれらの組み合わせによって得られるフィルタリング効果を解析的にシミュレーションで計算した図である。
入射X線としてタングステンをターゲットに用いたX線光源を仮定している。
また、電子の加速電圧は50keVである。この制動X線のスペクトルは図2に示したものになる。ここで図2と図3(c)は共に横軸がフォトンエネルギーを示し、縦軸は相対的なフォトン数の違いを表す。
しかしながら、このような非特許文献1のものでは、十分に特定の周波数領域をフィルタリングする上で、必ずしも満足の得られるものではない。
そこで、本発明の実施形態においては、より効果的にフィルタリングを可能とするため、位相格子の構造を、X線源より照射されたX線による位相波面を所定の形状に変形させる屈折レンズを、X線の照射される方向と直交する方向に並べた屈折レンズ群で構成した。
より具体的には、上記屈折レンズ群は、位相波面を放物線の極点が最も位相の遅れた形の放物線状に変形させる屈折レンズ、または最も位相の進んだ形の放物線状に変形させる屈折レンズを、並列に配して構成される。
あるいは、上記屈折レンズ群は、位相波面を楔状の頂点が最も位相の遅れた形の楔状に変化させる屈折レンズ、または最も位相の進んだ形の楔状に変化させる屈折レンズを、並列に配して構成される。
このような構成により、非特許文献1の位相格子に比べて、光学的に特定の周波数が干渉を起こし易くなる。
また、単に屈折レンズを用いるだけでなく、同時にこれらを並列に配することで隣同士の屈折レンズによる相互作用が生じ、より効果的にフィルタリング可能となる。
また、吸収格子が、前記屈折レンズ群による干渉で特定の周波数領域のX線による干渉縞のコントラストが高くなる位置に設置される。
その際、吸収格子におけるX線の透過率を高くした特定の領域が、前記屈折レンズ群による特定の周波数領域における干渉縞のX線強度が高くなる箇所に対応させて配設される。
これらにより、特定の波長領域(特定の周波数領域)のX線がより多く吸収格子を透過する一方で、干渉の作用により特定の波長領域以外のX線は散漫になるか、あるいは吸収格子の開口部以外の場所に強度が集中するために透過するX線の強度が低下する。
そのため非特許文献1のものに比べ、同一の入射光量を仮定した場合において、吸収格子の開口部から透過するX線の強度を高くすることができる。
また、同時に透過するX線の波長領域が非特許文献1の場合に比べて狭くすることが可能となる。
また、本発明の実施形態のX線源システムは、X線による干渉パターンや回折を利用した位相コントラストによるX線位相イメージングシステムに好適に適用することができる。
以下に、本発明の実施例について説明する。
[実施例1]
実施例1として、本発明を適用したX線源システムの構成例について説明する。
図4(a)は本実施例における位相格子の構成を示す図である。
本実施例の位相格子は、X線源より照射されたX線を干渉させるため、入射したX線の位相波面41を周期的な放物線状43に変形させる構造を備える。
放物線状に変形したX線位相波面は干渉を起こし、さらに変形して干渉パターンを作り、吸収格子44の透過部からその一部が放出される。
このように、放物線状の位相の変化を起こす位相格子の構造としては、図4(b)に示すような放射線状の格子形状が挙げられる。
特に、X線領域においては物質の屈折率は1よりも小さくなる。そのため光などの可視光の場合と違い、取得したい波面の形状と同じ加工を行なうことが基本となる。
また、材料は従来例と同じものが使用可能である。
即ち、シリコンなどのX線に対して吸収量が少なく、かつ屈折率が大きいものが望ましい。X線は直進性が強いため、位相格子平面のある点における位相の変化は単純にX線照射方向にある位相変化物質の積分によって決定されると考えてよい。
図4(b)の左の図に示すような形状は、周期構造の縦横比が縦に長く大きくなるために加工が非常に困難となる。
そのため、図4(b)の右の図にあるような積層構造も考えられる。これらの放物線形状は周期p0で並んでいる構造とする。
吸収格子は、位相格子による干渉縞を生じたX線のうち、特定の周波数領域におけるX線の透過率が高くなるように構成されており、上記した図3(b)に示されるものと同じものが使用され、吸収格子の開口部と非開口部の比率が1:3とされている。
つまり、格子周期がp1で、開口部の幅がaのとき、a:(p1−a)=1:3となる。
吸収格子の格子周期p1は位相格子の格子周期p0に応じて決定される。例えば、光源に微小な点光源を用いた場合、拡大効果により像が拡大される。そのため、拡大率をMとした場合にはp1=M×p0となる。
距離dは一般的にフィルタリングするX線の周波数と位相格子によるX線の干渉の形状によって最終的に決定される。また、吸収格子の開口部の位置も同様である。
本実施例では、つぎのような条件でシミュレーションを行なった。
入射X線は先行例と同様にタングステンをターゲットに用いたX線光源を仮定した。
電子の加速電圧は50keVを仮定し、制動X線のスペクトルとして図2に示されたスペクトルデータを使用した。
光源の位置と大きさは計算の簡単化のため、格子群からは十分離れた点光源を仮定した。
図2より30keV付近のエネルギーをフィルタリングすることとした。
位相格子はシリコンで作成されているとして、格子周期を4μmとした。格子の構造の深さh、すなわちX線が位相格子において透過長の最大の違いは55.26μmとした。また、位相格子と吸収格子の距離dは83cmに設定した。
シミュレーションでは簡単のために、入射波面が入射方向に対して垂直な平面となっている平行光を仮定した。
この場合、前記の拡大率は1となるので、吸収格子の格子周期p1は位相格子の周期と同じ4μmとなる。
開口部は1μmの幅を持ち、その中心部は図4(a)に示す通り、変形した位相の最も位相が遅れている点とX線の進行方向に対して直線(一点鎖線で表示)上に位置するよう設置してあると仮定した。
図8(a)は本実施例の透過スペクトルデータを示した図である。
横軸はフォトンエネルギー、縦軸は透過するフォトン数を任意単位で表したものである。
点線は比較のために従来例を同じ入射X線スペクトルで計算し重ねたものである。この図より2つの特徴が伺える。
一つは透過するフォトンのメインスペクトル幅が従来例よりも細くなっている。これは特定の周波数に対する選択性が向上していることを示している。
他の一つは、最頻値で比較した場合、透過するフォトンの数が従来例よりも多くなっている。これはフィルタの透過性能が向上していることを示している。
以上二つの特徴により本実施例の有効性を判断することができる。
[実施例2]
実施例2として、位相格子による波面形状の変化を実施例1の場合と逆にした構成例について、図5を用いて説明する。
本実施例の位相格子は、図5(a)に示すように、位相格子52を通る初期位相波面51は波面53のように変形される。
このような位相の変化を起こす位相格子の形状としては、図5(b)に示すような形状を挙げることができる。
吸収格子54は、図3(b)で説明したものと同じものを使用することができる。
図8(b)に実施例2のシミュレーションによる結果を示す。
実施例2では、つぎのような条件でシミュレーションを行なった。
30keV付近のエネルギーをフィルタリングするとし、用いる位相格子は格子周期が4μmであり、かつシリコンで作成されているとする。
また、格子の深さhは70.72μmと仮定する。位相格子と吸収格子の距離dは70.10cmに設定した。
その中心部は図5(a)に示すように、変形した位相の最も位相が進んでいる点とX線の進行方向に対して直線上(一点鎖線で表示)に位置するよう設置してあると仮定した。
図8(b)の結果により、実施例1の場合と同様の効果が伺える。
すなわち、透過するフォトンのスペクトルの幅が狭くなりかつ、最頻値である30keV付近でのメインスペクトルが強くなっている。
X線などの電磁波を集光させる形状としては、光が集まるように屈折させる実施例1のような形状のものが挙げられる。
しかし、屈折も利用している本発明では、実施例1と実施例2の比較により、位相格子によって形成される放物線状の波面は進行方向に対して凸状でも凹状でもよいことがわかる。
いずれの場合も適切な位置に吸収格子を配置することによってフィルタリング効果を生み出すことが分かる。
さらに、本実施例の構成によれば、装置長が実施例1の場合に比べて短くて済むため装置のコンパクト化が可能となる。
[実施例3]
実施例3として、位相格子によって変形される波面の形状が実施例1及び実施例2のような曲面を描く放物線形状ではなく、直線で構成された楔状の波面に変形する構成例について、図6を用いて説明する。
本実施例の位相格子は、図6(a)に示すように、入射光の波面61は位相格子によって波面63のように変形する。
これを実現する構造の例を図6(b)に示す。
シリコンなど透過率の高い物質で屈折を生じさせるためには実施例1および実施例2の場合と同様に、波面と同じ形に格子を加工する。
X線の場合、一般に屈折率が1より僅かに小さいため大きな屈折差を生じさせるためには縦横比が縦に大きな加工しにくい構造が必要となるため、図6(b)のような積層構造をもたせるなどしても良い。
図8(c)に実施例3のシミュレーションによる結果を示す。
実施例3では、つぎのような条件でシミュレーションを行なった。
フィルタリングするX線のエネルギーは30keVとし、位相格子は格子周期が4μmであり、かつシリコンで作成されているとする。
また、格子の深さhは35.38μmと仮定する。また、楔状の底辺にあたる箇所の幅は2.6μmである。位相格子と吸収格子の距離dは106cmに設定した。
その中心部は図6(a)に示す通り、変形した位相の最も位相が進んでいる点である楔構造の頭頂部とX線の進行方向に対して直線(一点鎖線で表示)上に位置するよう設置してあると仮定した。
図8(c)の結果より、本実施例においても実施例1および実施例2に類似した結果が得られることが分かる。
実施例1と実施例3の比較により、格子による位相変化は必ずしも厳密に放物線状の曲率を持ったものでなくても良いことが分かる。
図6(b)に示すような構造は、図4(b)に示されたような構造に比べると作成が容易である。
[実施例4]
実施例4として、実施例3における波面の形状をX線の進行方向に対して逆の形状とした構成例について、図7を用いて説明する。これは実施例1における実施例2の対応と同様である。
本実施例の位相格子は、図7(a)に示すように、入射光の波面71は位相格子によって波面73のように変形する。これを実現する構造の例を図7(b)に示す。
図8(d)に実施例4のシミュレーションによる結果を示す。
実施例4では、つぎのような条件でシミュレーションを行なった。
フィルタリングするX線のエネルギーは30keVとし、位相格子は格子周期が4μmであり、かつシリコンで作成されているとする。
また、格子の深さhは41.8μmと仮定する。
位相格子と吸収格子の距離dは83.87cmに設定した。その中心部は図7(a)に示す通り、変形した位相の最も位相が進んでいる点である台形構造の上辺にあたる部分の中央とX線の進行方向に対して直線上(一点鎖線で表示)に位置するよう設置してあると仮定した。
図8(d)の結果より、本実施例においても実施例1、実施例2および実施例3に類似した結果が得られることが分かる。
実施例2の場合と比較すると、図5(b)に示すような厳密な曲線構造は必要ないことが分かる。
また、実施例3の場合と比べると、装置長が短くなることが期待されるため装置のコンパクト化に有利となる。
表1は実施例1から実施例4までの優位性を、従来例との数値的な比較として示したものである。
この表1の第2列は、最もスペクトルの強い箇所におけるX線スペクトルの透過率を示したものである。
従来例の場合、最頻値のスペクトル透過率は0.6程度である。最頻値をフィルタリングによって取得したいX線のエネルギースペクトルとした場合でも、割合にして0.4ほどの光線はフィルタ中で遮蔽されて利用されていない。
一方で、本発明の上記各実施例においては、それぞれ、0.88、0.90、0.75、0.83となっており、いずれも透過率が向上していることが示されている。
この表1の第3列は、細さを示す指標として、30keVの値から±1.5keVの間にあるフォトン数の全体の透過フォトン数に対する割合を示したものである。
従来例、本発明の上記各実施例のようにフィルタリングしない場合は、この細さを示す指標はフィルタ無しに示されたとおり0.14程度である。
従来例ではこれが0.23程度まで向上していたが、本発明の上記各実施例ではそれぞれ0.31、0.28、0.27、0.30と、いずれも従来例に比べて上昇している。
以上により、本発明によって周波数フィルタリングの性能の向上が図られることが明らかである。
[表1]
Figure 2012013557
41……入射するX線の波面
42……周期p0の位相格子
43……位相格子によって屈折したX線の波面
44……吸収格子

Claims (6)

  1. 一定の周波数領域を有するX線を照射するX線源と、
    前記X線源より照射されたX線を干渉させるための位相格子と、
    前記位相格子による干渉縞を生じたX線のうち、特定の周波数領域におけるX線の透過率が高くなるようにした吸収格子と、を有するX線源システムであって、
    前記位相格子は、前記X線源と一定の距離をおいて設置され、
    該位相格子の構造が、前記X線源より照射されたX線による位相波面を所定の形状に変形させる屈折レンズを、前記X線の照射される方向と直交する方向に並べた屈折レンズ群で構成されると共に、
    前記吸収格子は、前記屈折レンズ群による干渉で特定の周波数領域のX線による干渉縞のコントラストが高くなる位置に設置され、
    前記X線の透過率を高くした特定の領域が、前記屈折レンズ群による特定の周波数領域における干渉縞のX線強度が高くなる箇所に対応させて配設されていることを特徴とするX線源システム。
  2. 前記屈折レンズ群は、前記位相波面を放物線の極点が最も位相の遅れた形の放物線状に変形させる屈折レンズを、並列に配して構成されていることを特徴とする請求項1に記載のX線源システム。
  3. 前記屈折レンズ群は、前記位相波面を放物線の極点が最も位相の進んだ形の放物線状に変形させる屈折レンズを、並列に配して構成されていることを特徴とする請求項1に記載のX線源システム。
  4. 前記屈折レンズ群は、前記位相波面を楔状の頂点が最も位相の遅れた形の楔状に変化させる屈折レンズを、並列に配して構成されていることを特徴とする請求項1に記載のX線源システム。
  5. 前記屈折レンズ群は、前記位相波面を楔状の頂点が最も位相の進んだ形の楔状に変化させる屈折レンズを、並列に配して構成されていることを特徴とする請求項1に記載のX線源システム。
  6. X線による位相コントラストを利用したX線位相イメージングシステムであって、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のX線源システムを備えていることを特徴とするX線位相イメージングシステム。
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