JP2012007016A - 感光性樹脂組成物、感光性樹脂ワニス、感光性樹脂フィルム、感光性樹脂硬化物、及び可視光導光路 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】特定量の(A)アクリル重合体、(B)重合性化合物、(C)光重合開始剤、及び(D)ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含み、かつ(B)重合性化合物が特定量のポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートを含み、該ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートは、少なくともプロピレングリコール鎖を有し、かつアルキレングリコール鎖の重合度が5〜15である感光性樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は上記問題を解決するためになされたもので、可視光波長領域380〜780nmにおける高い透明性、並びに高温高湿信頼性に優れた硬化物となり得る感光性樹脂組成物、感光性樹脂ワニス、感光性樹脂フィルム、及びこれらを光硬化して得られる感光性樹脂硬化物、並びにその感光性樹脂硬化物よりなる可視光導光路を提供することを目的とする。
(1)(A)アクリル重合体、(B)重合性化合物、(C)光重合開始剤、及び(D)ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む感光性樹脂組成物であって、(B)重合性化合物は、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートを含み、該ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートは、少なくともプロピレングリコール鎖を有し、かつアルキレングリコール鎖の重合度が5〜15であり、
(A)成分と(B)成分の総量に対して、
(A)成分の含有量が30〜70質量%、
(B)成分の含有量が30〜70質量%、
ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートの含有量が15〜70質量%であり、かつ
(A)成分と(B)成分の総量100質量部に対して、
(C)成分の含有量が0.03〜3.0質量部、及び
(D)成分の含有量が0.01〜1.0質量部、である感光性樹脂組成物。
(2)上記(1)の感光性樹脂組成物、及び有機溶媒を含有する感光性樹脂ワニス。
(3)上記(2)の感光性樹脂ワニスを基材フィルム上に塗布し、乾燥してなる感光性樹脂フィルム。
(4)上記(1)の感光性樹脂組成物、上記(2)の感光性樹脂ワニス、又は上記(3)の感光性樹脂フィルムに光を照射し、硬化してなる感光性樹脂硬化物。
(5)上記(4)の感光性樹脂硬化物よりなる可視光導光路。
本発明の感光性樹脂組成物に含まれる(B)重合性化合物には、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートを含む。該ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートは、少なくともプロピレングリコール鎖を有し、かつアルキレングリコール鎖の重合度が5〜15である。
ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートが有するアルキレングリコール鎖としては、プロピレングリコール鎖の他に、エチレングリコール鎖、ブチレングリコール鎖などが挙げられる。これらのアルキレングリコール鎖を有する重合体の中でも、下記一般式(1)にて示されるプロピレングリコール鎖のみからなる重合体、又は、プロピレングリコール鎖とエチレングリコール鎖とからなる共重合体が好ましい。
また、該ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートのアルキレングリコール鎖の重合度は、5〜15である。
当該重合度が5未満であると、後述する(A)アクリル重合体と(B)重合性化合物の混和が良好に起こらず、感光性樹脂組成物の硬化物の透明性が劣り、高温高湿信頼性が低下するため好ましくない。また、当該重合度が15を超えると、感光性樹脂組成物の硬化物の機械強度が低下するため好ましくない。(A)アクリル重合体との良好な混和、及び得られる硬化物の機械強度の観点から、上記アルキレングリコール鎖の重合度は、特に7〜12が好ましい。
(B)成分の含有量が30質量%未満であると、感光性樹脂組成物を光硬化させた硬化物の架橋密度が低く、また硬化反応が進行しにくいことから、未反応重合性化合物のブリードアウトが発生しやすく高温高湿試験における信頼性が低下するため好ましくない。また硬化反応を進めるには、後述する(C)光重合開始剤の添加量を増やすことよって解決できるが、この手法では残存する未反応(C)光重合開始剤やその分解物により熱劣化が発生し、高温高湿信頼性が劣るため好ましくない。一方、(B)成分の含有量が70質量%を超えると、感光性樹脂組成物をフィルムに加工することが困難であるため好ましくない。感光性樹脂組成物のフィルムへの加工性と、感光性樹脂組成物の硬化性、及び高温高湿信頼性の維持という点から、(B)成分の含有量は、好ましくは40〜60質量%であり、更に好ましくは45〜55質量%である。
本発明の感光性樹脂組成物は、(A)アクリル重合体を含む。(A)アクリル重合体の含有量は、(A)成分と(B)成分の総量に対して、30〜70質量%の範囲である。
(A)成分の含有量が30質量%未満であると、感光性樹脂組成物をフィルムに加工することが困難であるため好ましくない。また、(A)成分の含有量が70質量%を超えると、高温高湿試験における信頼性が低下するため好ましくない。感光性樹脂組成物のフィルムへの加工性と高温高湿信頼性の維持という点から、(A)成分の含有量は、好ましくは40〜60質量%であり、更に好ましくは45〜55質量%である。
その中でも、(A)アクリル重合体としては、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ブチルアクリレート、2‐ヒドロキシエチルアクリレート、メタクリル酸からなる群から選ばれる少なくとも1種をモノマーとして重合した重合体であることが好ましく、特に上記モノマーの単独重合体又は上記モノマーから選択される2種以上のモノマー共重合体が好ましい。
メチルメタクリレートは、該アクリル重合体の高い透明性に寄与する。ブチルメタクリレート及びブチルアクリレートは、該アクリル重合体に任意のガラス転移温度を持たせることに寄与する。2‐ヒドロキシエチルアクリレート及びメタクリル酸は、該アクリル重合体と(B)重合性化合物との相溶性向上に寄与する。以上の観点から、適宜必要に応じて、各種モノマーを用いて特定の(A)アクリル重合体を得、これを用いることで、(B)ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートを必須成分として含有する重合性化合物との相溶性と、得られる硬化物の可視光波長領域における高い透明性、及び任意のガラス転移温度のすべてを満足した感光性樹脂組成物を提供することが可能である。
本発明の感光性樹脂組成物は、(C)光重合開始剤を含む。(C)光重合開始剤の含有量は、(A)成分と(B)成分の総量100質量部に対して、0.03〜3.0質量部の範囲である。
(C)成分の含有量が0.03質量部未満であると、光の照射によって十分に硬化反応が進行せず好ましくない。3.0質量部を超えると、(C)成分に由来する着色の影響が大きくなる結果、可視光波長領域における透明性が低下するため好ましくない。感光性樹脂組成物の光硬化性と可視光波長領域における透明性という点から、(C)成分の含有量は、(A)成分と(B)成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.1〜1.5質量部であり、更に好ましくは0.1〜1.0質量部である。
また、グリオキシエステル系光開始剤としては、オキシフェニル酢酸2−[2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステル、オキシフェニル酢酸2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルエステルやこれらの混合物等が挙げられる。これらのうち、着色が少なく、可視光波長領域において透明性が高いという点から、オキシフェニル酢酸2−[2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステル、オキシフェニル酢酸2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルエステル、及びこれらの混合物が特に好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物は、(D)ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む。(D)ヒンダードフェノール系酸化防止剤の含有量は、(A)成分と(B)成分の総量100質量部に対して、0.01〜1.0質量部の範囲である。(D)成分の含有量が0.01質量部未満であると、高温高湿信頼性が劣るため好ましくない。また、1.0質量部を超えると、光硬化の際に重合を阻害してしまうため好ましくない。感光性樹脂組成物の硬化性と高温高湿信頼性の観点から、(D)成分の含有量は、(A)成分と(B)成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.1〜1.0質量部であり、更に好ましくは0.2〜1.0質量部である。
本発明の感光性樹脂組成物には、上記(A)〜(D)成分に加えて、必要に応じて、本発明の感光性樹脂組成物中には、黄変防止剤、紫外線吸収剤、可視光吸収剤、レベリング剤、着色剤、可塑剤、安定剤、充填剤、蛍光増白剤等のいわゆる添加剤を本発明の効果に悪影響を与えない割合で添加してもよい。
これらの有機溶剤は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
また、樹脂ワニス中の固形分濃度は、通常20〜80質量%であることが好ましい。
感光性樹脂ワニスを調合する際は、撹拌により混合することが好ましい。撹拌方法については特に制限はないが、撹拌効率の観点からプロペラを用いた撹拌が好ましい。撹拌する際のプロペラの回転速度には特に制限はないが、10〜1,000min-1であることが好ましい。10min-1以上であると、(A)〜(D)成分及び有機溶剤のそれぞれの成分が十分に混合されるため好ましく、1,000min-1以下であるとプロペラの回転による気泡の巻き込みが少なくなるため好ましい。以上の観点から50〜800min-1であることが更に好ましく、100〜500min-1であることが特に好ましい。
以下、本発明の感光性樹脂フィルムについて説明する。
本発明の感光性樹脂フィルムは、前記感光性樹脂組成物からなり、前記(A)〜(D)成分を含有する感光性樹脂ワニスを好適な基材フィルムに塗布し、乾燥等の方法を用いて溶媒を除去して、感光性樹脂層(以下単に「樹脂層」という場合がある)。を形成することにより容易に製造することができる。また感光性樹脂組成物をワニス化することなく、直接基材フィルムに塗布して製造してもよい。
本発明の感光性樹脂組成物は、素早く光硬化することができる。ここで厚み0.5mm、光照射量3000mJ/cm2にて得られる硬化物の反応率を100%として、100mJ/cm2照射時の反応率が80%以上であることが好ましい。このような材料を用いると成形品の生産性に優れた材料を得ることができる。
硬化に必要な照射量は、求める硬化物の厚みや屈折率等にも異なるが、一般的には照度1〜1000mW/cm2にて、10〜10000mJ/cm2照射することで硬化物を得ることができる。
(1)感光性樹脂組成物の調製
容量200mLの茶褐色ポリ瓶に、(A)アクリル重合体として、ヒタロイド HA3204EB−1E(樹脂分含有量45質量%、酢酸エチル/酢酸ブチル混合溶液、日立化成工業(株)製商品名)を90.9g、(B)重合性化合物として、NKエステル APG−400(ポリプロピレングリコールジアクリレート、平均PO鎖長=7、新中村化学工業(株)製商品名)を25.0g、ファンクリル FA−321M(EO変性ビスフェノールAジメタクリレート、平均EO鎖=10、日立化成工業(株)製商品名)を25.0g、(C)光重合開始剤としてイルガキュア754(オキシフェニル酢酸2−[2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステル、オキシフェニル酢酸2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルエステルの混合物、チバスペシャリティケミカルズ(株)製商品名)を0.3g、DAROCUR TPO(2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキシド、チバスペシャリティケミカルズ(株)製商品名)を0.3g、(D)フェノール系酸化防止剤としてアデカスタブAO−80(ヒンダートフェノール系酸化防止剤、ADEKA(株)製商品名)を0.2g、アセトン10gを配合し、ミックスローターを用いて室温で12時間撹拌した。得られた混合物を孔径2μmのメンブレンフィルターを用いて加圧ろ過し、10mmHgにて真空脱気して感光性樹脂組成物を調製した。
(1)で調製した感光性樹脂組成物を、PETフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製、商品名A53、厚み50μm)の離型処理面上に塗工機(株式会社ヒラノテクシード製、商品名マルチコーターTM−MC)を用いて塗布し、100℃で20分乾燥し、次いで保護フィルムとして離型PETフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製、商品名A31、厚み25μm)を貼付け、感光性樹脂組成物フィルムを得た。このとき樹脂層の厚みは、塗工機のギャップを調節することで任意に調製可能であるが、本実施例では硬化後の膜厚が200μmとなるように調製した。
(2)で得られたフィルムを用い、離型PETフィルム上から紫外線露光機(大日本スクリーン株式会社製、商品名MAP−1200−L)を用いて2000mJ/cm2UVを照射した。その後、基材フィルムと保護フィルムを剥がし、フィルム状光硬化物を得た。その後任意形状に試験片を切り出し、各種測定に用いた。
(3)で得られた硬化物を4cmx4cmサイズに切り出したサンプルを評価に用いた。(株)日立製作所社製分光光度計U−3310を用い、測定波長200〜800nmにて透過率を測定した。測定結果から、420nm、560nm、780nmの3点について評価した。得られた硬化物について評価したところ、透過率は92%(420nm)、92%(560nm)、92%(780nm)であり、透明性は良好であった。
図1を用いて説明する。図1は、白色LED透過光強度比を測定する装置の平面図(上)及び正面図(下)である。(3)で得られた硬化物を1cmx10cmサイズに切り出したサンプル3を評価に用いた。光源2として、サイド発光型白色LEDを用い、入力電流15mAにて発光させた。サンプル3を基板1上に載置し、端面より白色LED光(光源の透過強度比=4.2)を入光した。反対側の端面から出てきた光を、大塚電子(株)社製「マルチ測光システムMCPD−3000」を用いて透過光のスペクトルを測定し、出てくる光のピーク強度から、透過強度比を以下式に従って算出した。
(Int460:460nm付近に見られる主にB帯に起因するピークの強度
Int560:560nm付近に見られる主にG帯、R帯の混合光に起因するピークの強度。)
透過強度比は1.5以上が好ましく、2.0以上がより好ましい。そこで、透過強度比が1.5未満のものは×、1.5以上2.0未満のものは○、2.0以上のものは◎とした。
得られた硬化物について評価したところ、透過強度比は3.1であり、透過光は、白色LED光源と同様の白い光であったため、判定を◎とした。
(5)で評価した試験片を85℃/85%RHに調製されたオーブンに入れた。250時間後に取り出し、(5)と同様に白色LED透過強度を測定した。透過強度比は2.0であり、透過光は、白色LED光源と同様の白い光であった。
表1及び表2の配合組成に従い、実施例1と同様の操作を行い、感光性樹脂組成物を得た。実施例1と同様に光硬化物を作成し、評価を行った。結果を、表1及び表2に示す。
A−1:アクリル重合体(ヒタロイドHA3204EB−1E、樹脂分含有量45質量%、酢酸エチル/酢酸ブチル混合溶液、日立化成工業(株)製)
A−2:アクリル重合体(ヒタロイドHA3204EB−1、樹脂分含有量42質量%、酢酸エチル/酢酸ブチル混合溶液、日立化成工業(株)製)
B−1:ポリプロピレングリコールジアクリレート(平均PO鎖長=7)新中村化学工業(株)製、APG−400
B−2:EO変性ビスフェノールAジメタクリレート(平均EO鎖長=10)日立化成工業(株)製、FA−321M
B−3:EO変性ビスフェノールAジアクリレート(平均EO鎖長=10)日立化成工業(株)製、FA−321A
B−4:ポリプロピレングリコールジアクリレート(平均PO鎖長=12)日立化成工業(株)製、FA−P270A
C−1:グリオキシエステル系光開始剤。オキシフェニル酢酸2−[2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステル、オキシフェニル酢酸2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルエステルの混合物、チバスペシャリティケミカルズ(株)製、イルガキュア754
C−2:フォスフィンオキシド系光開始剤。2,4,6−トリメチルベンゾイル−フェニルフォスフィンオキシド、チバスペシャリティケミカルズ(株)製、DAROCUR TPO
D−1:3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、ADEKA(株)製、アデカスタブAO−80
2 光源
3 サンプル
Claims (6)
- (A)アクリル重合体、(B)重合性化合物、(C)光重合開始剤、及び(D)ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む感光性樹脂組成物であって、
(B)重合性化合物は、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートを含み、該ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートは、少なくともプロピレングリコール鎖を有し、かつアルキレングリコール鎖の重合度が5〜15であり、
(A)成分と(B)成分の総量に対して、
(A)成分の含有量が30〜70質量%、
(B)成分の含有量が30〜70質量%、
ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートの含有量が15〜70質量%であり、かつ
(A)成分と(B)成分の総量100質量部に対して、
(C)成分の含有量が0.03〜3.0質量部、及び
(D)成分の含有量が0.01〜1.0質量部、
であることを特徴とする感光性樹脂組成物。 - (B)重合性化合物は1分子中に重合性基を2つ以上有する請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
- 請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物、及び有機溶媒を含有する感光性樹脂ワニス。
- 請求項3に記載の感光性樹脂ワニスを基材フィルム上に塗布し、乾燥してなる感光性樹脂フィルム。
- 請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物、請求項3に記載の感光性樹脂ワニス、又は請求項4に記載の感光性樹脂フィルムに光を照射し、硬化してなる感光性樹脂硬化物。
- 請求項5に記載の感光性樹脂硬化物よりなる可視光導光路。
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