JP2012005231A - 単相交流同期モータおよびその制御方法 - Google Patents

単相交流同期モータおよびその制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】単相交流同期モータの同期運転時に、脱調しづらく、且つ、高出力トルクを得ること。
【解決手段】単相交流同期モータ1において、モータコイル30と単相交流電源2との間に直列接続されたトライアックtr1,tr2を有し、制御部19は、単相交流電源2の電圧周期の半周期毎に、単相交流電源2の電圧のゼロクロス点より電気角としてθ1遅らせてトライアックtr1,tr2のゲートトリガー信号をONし、ゼロクロス点より電気角としてθ2(>θ1)度遅らせてゲートトリガー信号をOFFする。
【選択図】図1

Description

本発明は、単相交流同期モータおよびその制御方法に関する。
特許文献1には、起動運転における逆回転トルクの発生を抑えて安定した同期引き込みを行うことができる単相交流同期モータが開示されている。特許文献1の単相交流同期モータは、永久磁石ロータの磁極位置を検出する検出センサからの検出信号により起動用スイッチング手段をスイッチングしてモータ電流の向きを切換えて通電する起動運転回路を有する。これにより、単相交流同期モータを直流ブラシレスモータとして起動運転させることができる。
また、特許文献1の単相交流同期モータは、永久磁石ロータの回転速度が同期回転速度近傍の所定回転数に到達すると検出センサの出力波形より位相が遅れるモータ電流波形を少なくとも当該センサ出力波形のゼロクロス点で通電方向が切り替わるようにモータ電流の通電範囲を抑制しながら起動運転させる。これにより、単相交流同期モータの起動運転における逆回転トルクの発生を抑え安定した同期回転の引き込みを行うことができる。
他に、単相交流同期モータの起動運転時において、振動や騒音を抑える提案としては特許文献2の提案がある。この提案では、単相交流同期モータの起動運転時に、モータコイルに通電する電圧の位相を、交流電源の電圧のゼロクロス点より電気角にして0度以上90度未満遅らせて通電開始し、同ゼロクロス点より電気角にして90度を超え180度以下遅らせて通電終了するように制御している。
特許第4030571号 特許第4428939号
上述したように、単相交流同期モータの起動運転時における性能を向上させる提案は見受けられるが、単相交流同期モータの同期運転時における性能についても向上を図りたい。すなわち、単相交流同期モータの起動運転時において、振動や騒音の発生を低減させることができたとしてもその後の同期運転時において脱調し易く、且つ、低出力では起動運転時における性能の向上の有用性は低くなる。
本発明は、このような背景の下に行われたものであって、同期運転時に、脱調しづらく、且つ、高出力トルクを得ることができる単相交流同期モータおよび制御方法を提供することを目的とする。
本発明の1つの観点は、単相交流同期モータとしての観点である。すなわち、本発明の単相交流同期モータは、単相交流電源に接続されるモータコイルに、当該単相交流電源より通電される交流電圧を直流電圧に変換し、永久磁石ロータの磁極位置を検出するセンサからの検出信号により起動用スイッチング手段をスイッチングしてモータ電圧の通電の向きを切換えて通電することにより、直流ブラシレスモータとして起動運転する起動運転用回路と、交流電圧をモータコイルに通電して交流同期モータとして同期運転する同期運転用回路と、を有し、起動運転用回路から同期運転用回路へ切換えて同期運転に移行するよう制御する、単相交流同期モータにおいて、モータコイルと単相交流電源との間に直列接続されたトライアックを有し、同期運転用回路は、単相交流電源の電圧周期の半周期毎に、単相交流電源の電圧のゼロクロス点より電気角にしてθ1遅らせてトライアックのゲートトリガー信号をONし、ゼロクロス点より電気角にしてθ2(θ2>θ1)度遅らせてゲートトリガー信号をOFFするものである。
たとえば、θ1は、0度よりも大きく40度以下とし、θ2は、θ1より大きく(180度−θ1)以下とすることができる。あるいは、θ2は、θ1より大きく90度以下とすることができる。もしくは、θ2は、70度以上であり(180度−θ1)以下としてもよい。または、θ2は、70度以上であり90度以下としてもよい。
また、本発明の単相交流同期モータは、所定の負荷での同期駆動時には、モータ電流の立ち上がりおよび立ち下がりのゼロクロス点が単相交流電圧の位相の半周期分以内に収まるように調整されることができる。
本発明の他の観点は、制御方法としての観点である。すなわち、本発明の制御方法は、単相交流電源に接続されるモータコイルに、当該単相交流電源より通電される交流電圧を直流電圧に変換し、永久磁石ロータの磁極位置を検出するセンサからの検出信号により起動用スイッチング手段をスイッチングしてモータ電圧の通電の向きを切換えて通電することにより、直流ブラシレスモータとして起動運転する起動運転ステップと、起動運転ステップから移行し、交流電圧をモータコイルに通電して交流同期モータとして同期運転する同期運転ステップとする単相交流同期モータが行う制御方法において、同期運転ステップの処理は、単相交流電源の電圧周期の半周期毎に、モータコイルと単相交流電源との間に直列接続されたトライアックのゲートトリガー信号を、単相交流電源の電圧のゼロクロス点より電気角にしてθ1遅らせてONし、ゼロクロス点より電気角にしてθ2遅らせてOFFするものである。
たとえば、θ1は、0度よりも大きく40度以下とし、θ2は、θ1より大きく(180度−θ1)以下とすることができる。あるいは、θ2は、θ1より大きく90度以下とすることができる。もしくは、θ2は、70度以上であり(180度−θ1)以下としてもよい。または、θ2は、70度以上であり90度以下としてもよい。
また、本発明の制御方法は、所定の負荷での同期駆動時には、モータ電流の立ち上がりおよび立ち下がりのゼロクロス点が単相交流電圧の位相の半周期分以内に収まるように調整されることができる。
各発明によれば、単相交流同期モータの同期運転時に、脱調しづらく、且つ、高出力トルクを得ることができる。
本発明の実施の形態の単相交流同期モータのブロック構成図である。 図1に示す制御部が行う単相交流同期モータの制御手順を示すフローチャートである。 図2のフローチャートのステップS2の動作を説明するための図である。 図2のフローチャートのステップS3の動作を説明するための図である。 図2のフローチャートのステップS4の動作を説明するための図である。 図2のフローチャートのステップS4からステップS5へ遷移する際の動作を説明するための図である。 図2のフローチャートのステップS6の動作を説明するための図である。 図1の制御部がトライアックのゲートトリガー信号のONのタイミングをモータコイルの端子電圧(ACH1−ACL1)のゼロクロス点よりθ1遅らせる制御を行っていない場合の異なる負荷条件下でのモータコイルの端子電圧(ACH1−ACL1)、モータコイルの逆起電圧およびモータ電流の各位相を比較する図である。 図1の制御部がトライアックのゲートトリガー信号のONのタイミングをモータコイルの端子電圧(ACH1−ACL1)のゼロクロス点よりθ1遅らせる制御を行っている場合の異なる負荷条件下でのモータコイルの端子電圧(ACH1−ACL1)、モータコイルの逆起電圧およびモータ電流の各位相を比較する図である。 位相制御なしの実電圧およびモータ電流と位相制御した実電圧およびモータ電流とを互いに比較する図である。 定格負荷での位相制御を行ったときの逆起電圧、単相交流電圧、およびモータ電流の位相関係の実測結果を示す図である。 θ1の変化と単相交流同期モータの最大出力の変化との関係をシミュレーションした結果を示す図である。 定格負荷でのθ1の変化と単相交流同期モータの力率(実線)および効率(破線)の変化との関係をシミュレーションした結果を示す図である。 θ1の変化と定格負荷での単相交流同期モータが安定に同期回転する電圧の変化との関係をシミュレーションした結果を示す図である。 θ1=18度の位相制御を行い、θ2=180度でトライアックをOFFするように制御した場合の異なる負荷条件下での印加電圧(ACH1−ACL1)、モータコイルの逆起電圧およびモータ電流の各位相を比較する図である。 θ1=18度で位相制御を行い、θ2=162度(すなわち、180度−θ1)でトライアックをOFFするように制御した場合の異なる負荷条件下での印加電圧(ACH1−ACL1)、逆起電圧、およびモータ電流の各位相を比較する図である。 単相交流同期モータが同期駆動中に、定格負荷から軽負荷に突発的に移行した際の印加電圧(ACH1−ACL1)、逆起電圧、およびモータ電流の各位相を、θ1=18度、θ2=130度の場合で比較する図である。 単相交流同期モータが同期駆動中に、定格負荷から軽負荷に突発的に移行した際の印加電圧(ACH1−ACL1)、逆起電圧、およびモータ電流の各位相を、θ1=18度、θ2=90度の場合で比較する図である。 図17の単相交流同期モータが同期駆動中に、定格負荷から軽負荷に突発的に移行した際のθ1=18度、θ2=130度の場合におけるトライアックのON/OFF状況とモータ電流との関係を示す図である。 図17の単相交流同期モータが同期駆動中に、定格負荷から軽負荷に突発的に移行した際のθ1=18度、θ2=90度の場合におけるトライアックのON/OFF状況とモータ電流との関係を示す図である。
(本発明の実施の形態の単相交流同期モー1の概要について)
単相交流同期モータ1は、単相交流電源2の端子ACH,ACLから電源が供給されると起動運転を開始し、やがて所定の回転速度に達すると同期運転に遷移する。単相交流同期モータ1の起動運転時には、スタート時の振動発生を低減させ、スムーズな同期回転への引き込みを行わせることができる。単相交流同期モータ1の同期運転時には、脱調しづらく、且つ、高出力トルクを得ることができる。
単相交流電源2は、たとえば100V/50Hz、100V/60Hz、110V/60Hz、230V/50Hzなどの商用電源である。ただし、単相交流同期モータ1に適用できる単相交流電源2の周波数としては、たとえば40Hz〜75Hzの範囲内のいずれでも適用可能である。なお、以下の説明では「ACH−ACL」は、端子ACHと端子ACLとの間の端子電圧を表す。
(本発明の実施の形態の単相交流同期モータ1の構成について)
本発明の実施の形態の単相交流同期モータ1の構成について図1を参照して説明する。
単相交流同期モータ1は、図1に示すように、整流ブリッジ回路10、平滑フィルタ回路11、Hブリッジ回路12、同期運転回路13、AC(交流)検出回路14、直流電源15、直流電源16、センサ電源スイッチ17、モータ部18、および制御部19を有して構成される。
起動運転用回路の一部となる整流ブリッジ回路10は、4つのダイオードd1,d2,d3,d4によって構成されている。整流ブリッジ回路10は、単相交流電源2より供給される交流電流を4つのダイオードd1,d2,d3,d4により全波整流する。
起動運転用回路の一部となる平滑フィルタ回路11は、1つの電解コンデンサによって構成され、整流ブリッジ回路10から出力される全波整流波形を平滑化した直流電圧を生成する。
起動運転用回路の一部となるHブリッジ回路12は、起動用スイッチング素子21〜24およびFTE駆動回路25を有する。起動用スイッチング素子21〜24のそれぞれは、FET(電界効果トランジスタ)とダイオードの組合せによって構成される。これら4つの起動用スイッチング素子21〜24を適宜にON/OFF制御することによって、モータ部18のモータコイル30に対して所望する方向に電圧を通電することができる。これにより、制御部19は、モータ部18の永久磁石ロータ31が所定の回転方向に回転を継続するようにモータコイル30の電圧通電方向を制御できる。
さらに、FET駆動回路25は、制御部19の制御にしたがって起動用スイッチング素子21〜24のスイッチングを制御し、モータ部18のモータコイル30に通電される電圧のデューティ比を変更する。これにより、制御部19は、モータ部18のモータコイル30に通電される電圧値を制御することができる。
同期運転用回路の一部となる同期運転回路13は、2つのトライアックtr1,tr2によって構成されている。この2つのトライアックtr1,tr2は、制御部19の制御によってON/OFFする。トライアックtr1,tr2は、単相交流電源2の端子ACH,ACLと、モータ部18の端子ACH1,ACH2との間にそれぞれ接続されている。また、トライアックtr1,tr2のゲート端子には、制御部19のトライアック制御出力が接続される。
なお制御部19は、モータ部18の起動時には、同期運転回路13が動作しないようにし、モータコイル30へはHブリッジ回路12から電圧が通電されるようにする。一方、同期運転時には、制御部19は、Hブリッジ回路12が動作しないようにする。このとき、モータコイル30は同期運転回路13を介して単相交流電源2から電圧が通電される。このため後述する動作説明においては、起動時の駆動方式を「Hブリッジ駆動」と呼び、同期運転時の駆動方式を「トライアック駆動」と呼ぶ。
AC検出回路14は、単相交流電源2の周波数を検出し、この検出結果を制御部19に伝達する。
直流電源15は、平滑フィルタ回路11の出力電圧を14.2Vに変換(たとえば降圧)する。そして、直流電源15は、14.2Vの直流電源を、Hブリッジ回路12のFET駆動回路25に供給する。FET駆動回路25は、直流電源15から直流電源を供給されて稼働する。
直流電源16は、直流電源15の14.2Vの出力電圧を5Vに降圧する。そして、直流電源16は、5Vの直流電源を制御部19に供給すると共に、センサ電源スイッチ17を構成するトランジスタを介して5Vの直流電源をモータ部18のセンサ32A,32Bに供給する。
センサ電源スイッチ17は、制御部19の制御によって直流電源16からのセンサ32A,32Bへの電源の供給をON/OFFする。
モータ部18は、出力軸と永久磁石を有する永久磁石ロータ31、この永久磁石ロータ31に磁界を与えて回転させるステータ(不図示)、およびセンサ32A,32Bなどを有する。図1では、モータ部18のステータが有するモータコイル30のみ図示し、他のステータの構成要素の図示は省略してある。
永久磁石ロータ31は、この実施の形態ではN極とS極を1つずつ有する2極のロータとなっている。モータコイル30は、この実施の形態では、2極の各ステータに巻回されており、2つの磁極が直列接続され、一方の極がN極に励磁されると、他方の極がS極に励磁される関係となるように接続され、巻回されている。
モータコイル30には、端子ACH1,ACL1から電源が供給される。なお、以下の説明では「ACH1−ACL1」は、端子ACH1と端子ACL1との間の端子電圧を表す。モータコイル30は、電圧が通電されることによって磁界を発生する。モータコイル30によって発生した交流磁界によって永久磁石ロータ31は所定方向に回転する。
また、2つのセンサ32A,32B(以下、個々に区別する必要がない場合、適宜、単にセンサ32と記す)は、たとえばホール素子であり、センサ電源スイッチ17を構成するトランジスタを介して直流電源16から電源(5V)が供給される。センサ32は、永久磁石ロータ31の磁極位置を検出する。これにより、制御部19は、センサ32の出力から永久磁石ロータ31の回転の状況を検出し、モータ部18を制御する。たとえば制御部19は、永久磁石ロータ31が正転時には、センサ32Aの出力(以下では出力PAと記す)を基準に制御を行ない、永久磁石ロータ31が逆転時には、センサ32Bの出力(以下では、出力PBと記す)を基準に制御を行う。
すなわち2つのセンサ32A,32Bを有することにより、永久磁石ロータ31が正転(時計回り)方向に回転しているか、逆転(反時計回り)方向に回転しているかを検出することができる。単相交流同期モータ1は、Hブリッジ回路12がモータコイル30に電圧を通電する方向を制御することによって、正転方向の運転と逆転方向の運転とを自在に切替えることができる。このときに、2つのセンサ32A,32Bを有することによって、正転運転または逆転運転のいずれの運転方向にも対応することができる。
制御部19は、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、入出力ポートなどを有して構成されている。なお、CPUの代わりにASIC(Application Specific Integrated Circuit)、マイクロプロセッサ(マイクロコンピュータ)、DSP(Digital Signal Processor)などを用いてもよい。この制御部19は、起動運転用回路の一部ともなり、また同期運転用回路の一部ともなる。また、この制御部19は、起動運転から同期運転への切換えの制御も行う。
制御部19は、Hブリッジ回路12のFET駆動回路25を介して起動用スイッチング素子21〜24を制御することによって、モータ部18のモータコイル30に対して所望の通電方向の電圧を通電すると共にそのデューティ比を変更する。たとえば、制御部19は、FET駆動回路25を介して起動用スイッチング素子21〜24を制御することによって、モータコイル30に通電される電圧を適宜遮断し、モータコイル30に通電される電圧のデューティ比を変え、電圧値を可変する。制御部19が行うデューティ制御は、PWM(Pulse Width Modulation)のデューティ比を変えるもので、スタート時のデューティ比は25%で最大で96%まで制御可能となっている。また、デューティ比の切換え時の増減は、0.2%単位で実行可能となっている。
また、制御部19は、AC検出回路14が検出した単相交流電源2の周波数にほぼ同期した制御部19の内部クロック(以下、内部同期信号)を利用して起動運転を行う。なお詳細は後述するが、内部同期信号は、単相交流電源2の周波数よりも若干低い周波数とする。これにより、単相交流電源2の周波数の位相が内部同期信号の周波数の位相と一致するタイミングを作り出し、その一致した時に同期運転へ移行させることができる。また起動運転は、同期運転へ移行する直前の運転方法を意味する。
また、制御部19は、Hブリッジ回路12をオフし、同期運転回路13をオンさせることで同期運転を可能とする。たとえば、制御部19は、所定の回転数まで回転数が上がったモータ部18に対し、単相交流電源2の周波数による同期運転を実施する。
また、制御部19は、運転指令入力、異常出力、外部リセット入力、手動設定入力を入出力し、その入力によって単相交流同期モータ1を起動する。すなわちユーザは、単相交流電源2を単相交流同期モータ1に接続した後、制御部19に対して運転指令信号を入力することにより、単相交流同期モータ1を起動させることができる。
また、制御部19は、異常発生を異常出力として外部に出力することができる。すなわちユーザは、制御部19が出力する異常出力を所定の端末装置などによって受け取ることにより単相交流同期モータ1の異常発生を認識することができる。
また、制御部19は、外部リセット入力を受け付けると制御状態を初期状態に復帰させる。また、制御部19は、手動設定入力を受け付けることにより、ユーザが設定する数値または状態を制御部19内に設定することもできる。
(単相交流同期モータ1の動作について)
次に、単相交流同期モータ1の動作について図2から図7を参照して説明する。図2は、モータ部18の起動運転の処理を示すフローチャートである。
START:単相交流電源2に単相交流同期モータ1が接続され、電源の供給が開始されると、単相交流同期モータ1の制御部19は、ステップS1の処理へ移行する。
ステップS1:制御部19は、AC検出回路14を制御して単相交流電源2の周波数(AC周期)の検出を開始させ、検出された単相交流電源2の周波数に基づいて、モータ部18の同期速度を設定する。この同期速度は、単相交流電源2の電源周波数に相当する速度である。制御部19は、モータ部18の同期速度の設定を完了するとステップS2の処理へ移行する。
ステップS2:制御部19は、モータ部18の低速駆動を開始する。この低速駆動は、第1の起動運転の前半に相当する。具体的には、制御部19は、同期運転回路13をオフすると共に、Hブリッジ回路12とモータ部18のモータコイル30とを接続させる。制御部19は、Hブリッジ回路12とモータ部18のモータコイル30とを接続させたまま、Hブリッジ回路12の起動用スイッチ素子21〜24をFET駆動回路25を介して制御して、永久磁石ロータ31を正転回転させるための電圧をモータコイル30に通電させ、そのデューティ比を徐々に上げる。
このステップS2でのモータ部18の低速駆動時の出力PA(センサ32Aの出力)、Hブリッジ回路12の動作期間とデューティ比、およびモータコイル30の端子電圧(ACH1−ACL1)を図3に示す。
図3の上段は、センサ32Aの出力PAの変化を表している。図3の中段は、Hブリッジ回路12の動作期間を極性と共に表し、モータ部18に通電される電圧のデューティ比の数値が示されている。ここでデューティ比とは、電圧のオンオフの期間に対応する値であり、全動作期間がオンのときは100%、期間の中で半分がオンのときは50%となる値である。このためデューティ比は、Hブリッジ回路12がモータ部18に通電可能な最大の電圧値に対して何%をモータ部18へ通電しているかを示すものとなる。また、図3の下段は、モータコイル30の端子電圧(ACH1−ACL1)の極性および変化を四角形の向きとその高さの変化で表している。すなわち、図3の下段では、四角形の高さが高いほどモータコイル30の端子電圧(ACH1−ACL1)も高くなる。
制御部19は、図3の中段に示すように、起動の初期段階から徐々にモータコイル30に通電する電圧のデューティ比を大きくして行くソフトスタートを実施する。図3の例では、デューティ比は、25%から始まり41%まで2%ずつ上昇している。この例では、制御部19は、出力PAのエッジを検出する場合にデューティ比を2%増加させる制御を行っている。デューティ比の増加に伴い、図3の下段に示すように、端子電圧が上がる。その結果回転速度が上がっている。なお、このステップS2では、全波整流波形の半周期に相当する180度全てを使用している。すなわち、モータコイル30には、180度周期で交互に通電する方向が逆転する矩形波形状となる電圧が通電されていることとなる。
図3の例では、エッジであればタイミングが捉え易いため、デューティ比は、出力PAのエッジ毎に切換わるようにした。だたし、デューティ比の切換えタイミングについては、出力PAのエッジに限定するものではなく、タイミングが特定できるのであれば出力PAの任意のタイミングであってもよい。
制御部19は、時計方向回転時には、図3に示すように、センサ32Aの出力PAに同期するようにモータコイル30に電圧を通電する。一方、回転方向が反時計方向の場合、制御部19は、センサ32Bの出力PBに同期させるように電圧を通電する。
制御部19は、ステップS2において、モータ部18の出力軸の回転速度がステップS1において設定したモータ同期速度の80%以上になるとステップS3の処理へ移行する。このステップS3では、第1の起動運転の後半が行われる。
ステップS3:制御部19は、モータ部18の高速駆動を開始する。図4は、高速駆動時の出力PA、Hブリッジ回路12の動作期間とデューティ比、無効化信号、およびモータコイル30の端子電圧(ACH1−ACL1)を示す。
図4の上段は、センサ32Aの出力PAの変化を表している。図4の第2段目は、Hブリッジ回路12の動作期間を極性と共に表し、モータコイル30に通電される電圧のデューティ比の数値が示されている。図4の第3段目は、制御部19からHブリッジ回路12へ送出される信号で、Hブリッジ回路12を動作させないようにする無効化信号を表している。図4の最下段は、モータコイル30の端子電圧(ACH1−ACL1)の変化を表している。この端子電圧(ACH1−ACL1)の状態は、理想的なもので、実際は出力PAからわずかに遅れた状態になる。なお、図4には、図3に示した波形の続きを示しており、図3においてa,bが付されている波形と図4においてa,bが付されている波形は同じものである。すなわち、図3と図4とでは縦横の縮尺が異なる。また、図4のc,dが付されている波形との関係では、a>c,b<dの関係となる。
図4に示すように、制御部19は、センサ32Aの出力PAに同期するようにモータコイル30に電圧を通電する。この例でも出力PAのエッジを検出する毎にデューティ比を2%増加させている。このときに、制御部19は、半周期毎に通電方向が切り替わるタイミングの所定時間前のタイミングからモータコイル30に通電される電圧を遮断する。その結果、図4の最下段に示すように、モータコイル30の端子電圧(ACH1−ACL1)の波形の終端部がカットされている。なお、図中のハッチング部分がカットされている部分である。この第1の起動運転の後半において、制御部19がモータコイル30に通電する電圧の終端部をカットする割合は、出力PAの前回のエッジ間における速度により今回分の速度を推定し、その速度に応じて変更する。たとえば同期回転時の速度の75%の速度と推定されたら25%がカットされる。推定速度が上がるとカットする割合も増加し最大33.3%(=全体1/3)がカットされるものとする。
このように制御することにより出力PAのゼロクロス点付近でモータコイル30に通電される電圧の方向が確実に切り替わることとなる。これにより、永久磁石ロータ31に逆転トルクを発生させる要因となるモータ電流をカットすることができる。
制御部19は、ステップS3において、永久磁石ロータ31の回転速度がステップS1において設定したモータ同期速度の99%以上になると、ステップS4の処理へ移行する。このステップS4は、第2の起動運転となる。
ステップS4:制御部19は、モータ部18の内部同期信号に基づく駆動を開始する。図5は、このステップS4における内部同期信号、Hブリッジ回路12の動作期間とデューティ比、無効化信号、およびモータコイル30の端子電圧(ACH1−ACL1)を示す。
図5の最上段は、制御部19がステップS1においてAC検出回路14から取得した単相交流電源2の周波数に基づく内部同期信号の変化を表している。
この例では、内部同期信号の周波数は、単相交流電源2の周波数の90%に固定されている。たとえば単相交流電源2の周波数が60Hzの場合、内部同期信号は54Hzとされる。図5の第2段目は、Hブリッジ回路12の動作期間を極性と共に表し、モータコイル30に通電される電圧のデューティ比の数値を表している。この例では、デューティ比は96%に固定されている。
図5の第3段目は、制御部19からHブリッジ回路12へ送出される信号で、Hブリッジ回路12を動作させないようにする無効化信号を表している。図5の最下段は、モータコイル30の理想的な状態の端子電圧(ACH1−ACL1)の変化を表している。なお、図5には、図4に示した波形の続きを示しており、図4においてc,dが付されている波形と図5においてc,dが付されている波形は同じものである。すなわち、図4と図5とでは縦横の縮尺が異なる。
図5に示すように、制御部19は、内部同期信号に同期するようにモータコイル30に電圧を通電する。このときに、制御部19は、ステップS3と同様に、半周期毎に通電方向が切り替わるタイミングの所定時間前のタイミングからモータコイル30に通電される電圧を遮断して起動運転する。その結果、図5の最下段に示すように、モータコイル30の端子電圧(ACH1−ACL1)の波形の終端部がカットされている。これにより、永久磁石ロータ31に逆転トルクを発生させる要因となるモータ電圧をカットすることができる。なお、図中のハッチング部分がカットされている部分である。
なお、ステップS4の内部同期信号に基づく駆動では、制御部19は、AC検出回路14により取得した単相交流電源2の周波数よりも若干低い周波数、この例では10%小さい周波数で制御する。そのようにすることにより、AC検出回路14から出力される単相交流電源2の周波数の方が内部同期信号の周波数に比べ大きくなり、単相交流電源2の周波数の周期がより早くなる。
この結果、単相交流電源2の周波数の位相は、必ず内部同期信号の周波数の位相に追い付くタイミングを有する。制御部19は、内部同期信号の周波数の位相とAC検出回路14から出力される単相交流電源2の周波数の位相とを比較し、双方の位相差が電気角で12度〜15度以内に収まる場合、ステップS5の処理へ移行する。各位相の検出は、内部同期信号の立ち下がり、立ち上がりや単相交流電源2の周波数のゼロクロス点で行われる。
ステップS5:制御部19は、後述する位相制御によるモータ部18のAC同期駆動を開始する。具体的には、制御部19は、Hブリッジ回路12とモータコイル30との接続を解除すると共に、単相交流電源2とモータコイル30とを直接接続する。この結果、モータ部18はAC同期駆動状態に入る。なお、ここでのAC同期駆動についての詳細は後述する。
ここでAC同期駆動への切り換えのタイミングについて説明する。図6は、内部同期信号、モータコイル30の端子電圧(ACH1−ACL1)、および単相交流電源2の周波数を示している。
図6の最上段は、制御部19がステップS1においてAC検出回路14から取得した単相交流電源2の周波数に基づく内部同期信号の状態を表している。図6の第2段目には、モータコイル30の端子電圧(ACH1−ACL1)および極性の変化を表している。なお、図6の第2段目のAC同期駆動における波形が正弦波ではないのは後述する位相制御が行われているためである。
図6の第3段目には、内部同期信号の変化のタイミング(立ち上がり点、立ち下がり点)が示され、第4段目には(最下段)には、単相交流電源2の周波数の変化のタイミング(立ち上がり点、立ち下がり点)が示されている。 図6の第3段目と第4段目に示すように、内部同期信号の変化のタイミングと単相交流電源2の周波数の変化のタイミングとがほぼ一致(電気角で12度〜15度以内)したときに、制御部19は、図6の第1段目と第2段目に示すように、同期運転回路13をオンに制御すると共に、Hブリッジ回路12をオフに制御する。具体的には、内部同期信号の立ち下がりと単相交流電源2の周波数の立ち下がりのゼロクロス点との差が1ms以内に入った場合にAC同期駆動に切換えている。
このように、内部同期信号の変化のタイミングと単相交流電源2の周波数の変化のタイミングとがほぼ一致したときに、AC同期駆動に切換えられる。なお図6の例では、立ち下がりのタイミングが一致する場合を例として説明したが、立ち上がりのタイミングが一致したときに、AC同期駆動に切り換えられるようにすることもできる。
なおHブリッジ駆動であるステップS2からステップS5の間は、10秒以下となるように制御部19は制御する。この秒数は4〜20秒が好ましく、6〜10秒が振動対策やモータ効率の面でさらに好ましい。
制御部19は、モータ部18がAC同期駆動状態に入り、5秒以上経過するとステップS6の処理へ移行する。10秒、または3秒以上経過したとき、ステップS6の処理へ移行するようにもできる。
ステップS6:制御部19は、モータ部18のAC同期駆動における省電力駆動を開始する。制御部19は、モータ部18の省電力駆動を開始すると、センサ32を所定の周期でON/OFF制御する。この省電力駆動における単相交流電源2の周波数、モータコイル30の端子電圧(ACH1−ACL1)、およびセンサ電源の様子を図7に示す。
図7に示すように、AC同期駆動(S5)においては継続しているセンサ電源が、省電力駆動(S6)においてはセンサ32の電源が間欠的に供給される。この周期は、たとえばセンサ32が0.12秒間ON、1秒間OFFとなるように設定する。0.12秒間のONの期間は、後述する逆転検出、ロック検出、低速検出および高速検出が可能となり、1秒間のOFFの期間は、それらのいずれも動作しないこととなる。図7は、単相交流電源の周波数が50Hzの例である。
以上の処理によりモータ部18が起動された後、同期運転へと移行する。
(同期運転時の動作について)
ステップS5で開始されるAC同期運転を詳細に説明する。
(比較例)
はじめに、比較例として、ステップS5で開始される位相制御によるAC同期運転ではなく、単相交流電源2の単相交流電圧(正弦波)をそのまま用いてモータ部18を駆動した場合について説明する。位相制御が行われない場合、印加電圧(ACH1−ACL1)は、単相交流電源2の単相交流電圧となる。
図8には、位相制御を行わないAC同期運転における印可電圧の波形並びにモータ部18の負荷が無負荷、定格負荷、および高負荷のときの逆起電圧とモータ電流の波形がそれぞれ示されている。なお印加電圧(ACH1−ACL1)は、位相制御を行わない場合、負荷に係わらず単相交流電圧と同じである。単相交流電圧(すなわち印加電圧(ACH1−ACL1))の位相と逆起電圧の位相とを比較する。なお、図8および後述する図9、図10、図11、図15〜図18は、各位相を比較するための図であり、電圧値、電流値などの尺度を正確に表したものではない。
無負荷時には、逆起電圧の位相は、印加電圧(ACH1−ACL1)の位相よりも15度進んでいる(+15°)。これを逆起電圧の位相を基準にして印加電圧(ACH1−ACL1)(すなわち単相交流電圧)の位相をみた場合、逆起電圧の位相に対し、単相交流電圧の位相は15度遅れていることになる。
定格負荷時には、逆起電圧の位相は、印加電圧(ACH1−ACL1)の位相よりも6度遅れている(−6°)。これを逆起電圧の位相を基準にして印加電圧(ACH1−ACL1)(すなわち単相交流電圧)の位相をみた場合、逆起電圧の位相に対し、単相交流電圧の位相は6度進んでいることになる。
高負荷時には、逆起電圧の位相は、印加電圧(ACH1−ACL1)の位相よりもさらに遅れ、15度遅れている(−15°)。これを逆起電圧の位相を基準にして印加電圧(ACH1−ACL1)(すなわち単相交流電圧)の位相をみた場合、逆起電圧の位相に対し、単相交流電圧の位相は15度進んでいることになる。負荷が高いほど、逆起電圧の位相は単相交流電圧の位相よりもより遅れる傾向がある。言い換えると、負荷が高いほど、逆起電圧の位相に対し、単相交流電圧の位相が進む傾向がある。
なお、図8の黒塗部分は、逆起電圧の極性とモータ電流の極性とが一致しない部分であり逆トルク発生電流となる。この逆トルク発生電流により、永久磁石ロータ31の順方向の回転を妨げるようなトルクを発生する。モータ部18では、一定の回転速度を保つために、負荷の大小に応じてモータ電流における逆トルク発生電流の量が適切に自動調整される。すなわちモータ部18では、軽負荷時には小さなトルクが出力されればよいので、逆トルク発生電流の量が多くなり、定格負荷時には大きなトルクが出力される必要があるので、逆トルク発生電流の量が少なくなるように、逆起電圧の位相とモータ電流の位相が変動する。
(制御部19および同期運転回路13の動作について)
次に、ステップS5で開始される位相制御によるAC同期運転について、図9および図10を参照して説明する。
図9には、位相制御によるAC同期運転において、モータ部18の負荷が無負荷、定格負荷、または高負荷のときの印加電圧、逆起電圧、およびモータ電流の波形がそれぞれ示されている。
位相制御によるAC同期運転では、図9の最上段に示すように、制御部19は、同期運転回路13の2つのトライアックtr1,tr2のゲートトリガー信号を、単相交流電源2の電圧周期の半周期毎に、単相交流電圧のゼロクロス点から所定の角度θ1遅れてONする。このθ1は電気角である。図9は、θ1を18度に設定した例である。
続いて、制御部19は、単相交流電圧のゼロクロス点から所定の電気角θ2遅れてトライアックtr1,tr2のゲートトリガー信号をOFFにする。これにより、電気角としてθ2からθ1の範囲((θ2−θ1)の範囲)がゲートトリガー信号がONになる範囲となる。図9は、θ2を90度に設定した例である。よって、図9では(θ2−θ1)は、72度になる。
このように、同期運転回路13の2つのトライアックtr1,tr2のゲートトリガー信号を、単相交流電圧のゼロクロス点からθ1だけ遅れてONし、また単相交流電圧のゼロクロス点から電気角でθ2遅れてOFFする制御を、位相制御と称する。
なお、トライアックtr1,tr2は、ゲートトリガー信号がOFFになってもトライアックtr1,tr2の通電電流が零A(アンペア)になるまで通電が継続される。すなわち図9において、“ON”が付された矩形は、トライアックtr1,tr2のゲートトリガー信号がONである期間を示し、トライアックtr1,tr2の通電電流が零A(アンペア)になるまで通電が行われている期間を示していない。
位相制御では、トライアックtr1,tr2のゲートトリガー信号が、単相交流電圧のゼロクロス点からθ1だけ遅れてONし、また単相交流電圧のゼロクロス点から電気角でθ2遅れてOFFするので、定格負荷時および高負荷時における印加電圧(ACH1−ACL1)は、その分、単相交流電圧の先端部分と終端部分が欠落した電圧となる。なお、定格負荷時および高負荷時における印加電圧(ACH1−ACL1)の位相は、単相交流電圧の位相と同じである。図中、定格負荷時および高負荷時における印加電圧(ACH1−ACL1)に示されている点線は、単相交流電圧を重ね合わせて示したものである。
無負荷時は、位相制御を行ってもゲートトリガー信号のON範囲内にトライアックtr1,tr2の電流が零Aとなる点(これを消弧点という)が含まれるため印加電圧(ACH1−ACL1)(換言すれば、ゲートトリガー信号のOFF範囲内にトライアックtr1,tr2の電流が零Aとならないため)、通電が途切ない。その結果、単相交流電圧(サイン波)がそのまま印加電圧となる。
(位相制御による効果について)
位相制御を行う結果、逆起電圧の位相を基準にして単相交流電圧の位相が、位相制御を行わない場合に比べ進む。
図9の例において、無負荷時、定格負荷時、および高負荷時における逆起電圧の位相と単相交流電圧の位相とを比較する。
定格負荷の場合、逆起電圧の位相は、単相交流電圧の位相に対して22度遅れる。これは、逆起電圧の位相を基準にした場合、逆起電圧の位相に対し、単相交流電圧の位相は、22度進んでいることになる。図8の例では、逆起電圧の位相に対し、単相交流電圧の位相は、6度しか進んでいない。
また、高負荷時の場合、逆起電圧の位相は、単相交流電圧の位相に対して37度遅れる。これは、高負荷時の逆起電圧の位相を基準にした場合、逆起電圧の位相に対し、単相交流電圧の位相は、37度進んでいることになる。図8の例では、逆起電圧の位相に対し、単相交流電圧の位相は、15度しか進んでいない。
モータ電流は、印加電圧の供給に合わせて流れ始める。ここで印加電圧の供給をθ1遅らせることにより、その分、モータ電流の位相が遅れる。一方、逆起電圧の位相は、モータ電流の位相に依存して決定されるので、位相制御によってモータ電流の位相が遅れることにより、逆起電圧の位相もまた遅れる。このとき印加電圧は、単相交流電圧に比べ先端部分等が欠落しているものの位相は同じである。すなわち位相制御によってモータ電流の位相が遅れるのに伴って逆起電圧の位相が遅れることは、位相制御によって、逆起電圧の位相に対し、印加電圧の位相(すなわち単相交流電圧の位相)が進むことになる。このように位相制御により、逆起電圧の位相に対し、印加電圧の位相(単相交流電圧の位相)がより進む。
なお、無負荷時には、上述したように、位相制御が実質行われないので、図8と同じく逆起電圧の位相は、印加電圧(ACH1−ACL1)(単相交流電圧)の位相よりも15度進んでいる。
(逆起電圧位相に対し、印加電圧位相を進めることによる効果)
モータコイル30に通電される電圧(以下、実電圧と称する)は、印加電圧(ACH1−ACL1)から逆起電圧を差し引いた電圧になる。
図10は、モータコイル30に通電される実電圧および当該実電圧によって発生するモータ電流を説明する図である。最上段の波形は、位相制御を行っていない場合の実電圧の波形を示し、第2段目の波形は、そのときのモータ電流の波形を示す。第3段目の波形は、位相制御を行った場合の実電圧を示し、第4段目の波形は、そのときのモータ電流の波形を示す。図中、ハッチが付された領域の面積(印加電圧から逆起電圧を差し引いた部分)が実電圧に相当する。
第3段目の印加電圧の位相(単相交流電圧の位相)は、逆起電圧の位相より、位相制御を行っていない場合に比べより進んでいる。位相制御を行っていない場合の実電圧(最上段)と位相制御を行った場合の実電圧(第3段目)とを比較すると、位相制御を行った場合の実電圧(3段目)がより高く(面積がより広く)なっている。すなわち位相制御を行い、逆起電圧位相に対し、印加圧位相を進めることにより、実電圧が増加する。
ここでモータコイル30のモータ電流の実効値をImとし、モータコイル30のインピーダンスをZとし、モータコイル30に通電される電圧をEmとすると、下記の式が成立する。
Im=Em/Z
この式によれば、モータコイル30のインピーダンスZの値は一定であるとすると、モータコイル30に通電される電圧(実電圧)Emが増加すれば、モータコイル30のモータ電流の実効値Imもこれに比例して増加する。このようにモータ電流の実効値Imが増加すると、単相交流同期モータ1のトルクを増加させることができる。
すなわち位相制御を行い、逆起電圧位相に対し印加圧位相を進めることにより、実電圧が増加するとともに、実効値Imが増加する結果、トルクを増加させることができる。その結果、脱調しづらく、且つ、高出力トルクを得ることができる単相交流同期モータ1を実現できる。
なお、無負荷時は位相制御を行ってもゲートトリガー信号のON範囲内にトライアックtr1,tr2の電流が零Aとなる点(これを消弧点という)が含まれるため印加電圧(ACH1−ACL1)は単相交流電圧(サイン波)のままになる。このように無負荷時には位相制御は成立しないが、位相制御は定格負荷時および高負荷時のトルク増加のために必要な制御であるため、無負荷時において位相制御が不成立となっても問題はない。
(モータ電流について)
図10において、位相制御を行った場合のモータ電流において、モータ電流の立ち上がりのゼロクロス点は、位相制御した「実電圧の供給開始点」と同じであり、位相制御した「実電圧の供給終了点」から、インダクタンス成分により少し遅れてモータ電流は、立ち下がりのゼロクロス点を迎える。すなわち位相制御したモータ電流は、その立ち下がりのゼロクロス点が単相交流電圧周期の立ち下がりのゼロクロス点(180度)より小さい角度になっている。
このようにモータ電流が単相交流電圧の立ち下がりのゼロクロス点(180度)より前に零Aとなることにより、次周期の単相交流電圧の立ち上がりのゼロクロス点よりθ1遅れた位相制御を確実に行うことができる。すなわちゼロクロス点が180度より大きな角度になると、次周期のθ1の範囲でも通電されるため、位相制御を正確に実行できなくなる。
図11は、位相制御を行った場合における、定格負荷時の逆起電圧、端子電圧(ACH1−ACL1)、およびモータ電流の実測波形を比較できるように示した図である。測定条件は、電源電圧100V/60Hz、逆起電圧80V、巻線インダクタンス270mH、巻線抵抗120Ωとし、単相交流同期モータ1を定格近傍(10W(1800rpm/53mNm))の負荷で同期運転させている状態である。また、θ1は18度とした。
このように実測結果においても、モータ電流は、単相交流電圧の立ち下がりのゼロクロス点より前に零Aとなっている。すなわち裾が狭くなっている(a度)。また、モータ電流波形の前端部(紙面に対して左側)の零Aの範囲とモータ電流波形の後端部(紙面に対して右側)の零Aの範囲とはほぼ等しいことがわかる。すなわち、単相交流同期モータ1が定格負荷で同期運転しているときに、θ1の位相制御を行った結果、モータ電流波形の前端部にθ1相当の零Aの範囲が生じたが、これに伴って、モータ電流波形の後端部にもほぼθ1相当の零Aの範囲が生じていることがわかる。
なお、以上においては、たとえば、θ1を18度とし、θ2を90度としたが、それに限定するものではない。ただし、以下のように、θ1およびθ2を所定の範囲のものとすることができる。
(θ1のとり得る範囲について)
図12〜図14は、図1に示す単相交流同期モータ1を用いて様々なシミュレーションを行った結果を示す図である。シミュレーション条件は、電源電圧100V/60Hz、逆起電圧80V、巻線インダクタンス270mH、巻線抵抗120Ωとする。図12は、θ1の変化とモータ部18の最大出力の変化との関係をシミュレーションした結果を示す図である。図12は、横軸にθ1をとり、縦軸にモータ部18の出力をとる。
図12に示すように、θ1が0度から10度付近まで変化するとモータ部18の出力は11W付近から16Wを少し超える付近まで変化する。その後、θ1が10度から40度付近まで変化するとモータ部18の出力は徐々に低下する。θ1が40度を超えるとモータ部18の出力の低下率が大きくなることがわかる。
また、図13は、定格負荷時において、θ1の変化とモータ部18の力率(実線)および効率(破線)の変化との関係をシミュレーションした結果を示す図である。図13は、横軸にθ1をとり、右の縦軸にモータ部18の効率をとり左の縦軸に力率をとる。
図13に示すように、モータ部18の効率(破線)は、θ1が0度から35度付近まで変化してもほぼ一定(70.0を少し超えた付近)であるが、θ1が35度付近を超えると低下を始めることがわる。また、モータ部18の力率(実線)は、θ1が0度から10度付近まで変化すると0.97付近から0.98を少し超える付近まで上昇するが、その後、θ1が10度を超えると低下を始め、θ1が40度を超えると低下率が大きくなることがわかる。
また、図14は、定格負荷時において、θ1の変化とモータ部18が安定に同期回転する電圧の変化との関係をシミュレーションした結果を示す図である。図14は、横軸にθ1をとり、縦軸に電圧をとる。
図14に示すように、θ1が0度から少しでも大きくなるとモータ部18が安定して同期回転する電圧は急に低くなり、電圧の低下による脱調が発生し難くなることがわかる。特に、θ1が18度付近では電圧が77V付近まで低下してもモータ部18は脱調しないことがわかる。また、θ1が40度を超えると40度以下の場合と比較してより高い電圧でモータ部18が脱調してしまうことがわかる。
図12〜図14の結果から、θ1は、この例の場合、0度<θ1≦40度の範囲とすることができる。
(θ2のとり得る範囲について)
次に、同期運転回路13の2つのトライアックtr1,tr2のゲートトリガー信号をOFFにするタイミングであるθ2について図15〜図19を参照して説明する。
[θ1<θ2≦(180度−θ1)である場合について]
図15は、θ1は図9と同様に18度であるが、θ2を180度とした場合の例である。すなわち図15の例では、トライアックtr1,tr2のゲートトリガー信号のON範囲が図9の例と比べて広がっている。これにより、定格負荷時および高負荷時においてもゲートトリガー信号のON範囲内にトライアックtr1,tr2の電流が零Aとなる消弧点が含まれる。このため定格負荷時および高負荷時においても無負荷時と同様に、継続的に通電されるので単相交流電圧(サイン波)がそのまま印加電圧(ACH1−ACL1)になる。このため位相制御が有用である定格負荷時および高負荷時において位相制御が成立しないことになる。図15では、定格負荷および高負荷において最初の半周期だけ位相制御が行われているが、その後は、位相制御が行われない。
このことからθ2を180度よりも小さな角度とするべきである。
図16は、θ1=18度、θ2=(180度−θ1)=162度とした場合の例である。図16からわかるように、θ2=162度とすることにより、図9に示したように、定格負荷および高負荷において、位相制御が成立していることがわかる。
すなわち、図11で説明したように、θ1の位相制御を実施した場合、モータ電流波形の前端部にθ1相当の零Aの範囲が生じたが、これに伴って、モータ電流波形の後端部にもほぼθ1相当の零Aの範囲が生じている。よって、θ1<θ2≦(180度−θ1)とすることにより、少なくとも定格負荷時あるいは高負荷時におけるモータ電流の立ち下がりのゼロクロス点よりも進んだ角度(すなわちゼロクロス点よりも手前)にθ2を設定することができる。
上述したようにθ2を(180度−θ1)以下の角度とすることができるが、モータの使用状況によっては、以下に示す範囲とすることができる。
[θ1<θ2≦90度である場合について]
図17は、θ1は図9の場合と同様に18度であるが、θ2を130度とした場合の所定の状況下における逆起電圧の位相とモータ電流の位相を示している。また、図18は、θ1は図9と同様に18度であるが、θ2を90度とした場合の所定の状況下における逆起電圧の位相とモータ電流の位相を示している。なお、図17、図18の例における「所定の状況下」とは、単相交流同期モータ1が定格負荷で同期駆動中に、突発的に、軽負荷状態に陥った場合を想定している。単相交流同期モータ1が定格負荷で同期駆動中に、突発的に、軽負荷状態に陥る具体的な状況としては、たとえば負荷がファンである場合、ファンの送風方向の風道が異物により突然遮られた場合、またはファンの回転の順方向と同じ方向に異物が衝突した場合などが考えられる。
単相交流同期モータ1では、定格負荷の状態から軽負荷の状態へ移行するのにしたがって単相交流電圧の位相に対し、モータ電流の位相が遅れることがある。図17に示す状況は、このような逆起電圧の位相とモータ電流の位相との関係が所定の状況下において呈する1つの事例である。
単相交流同期モータ1が定格負荷の状態から軽負荷の状態へ移行する状況下において、図17に示すθ2=130度の場合と、図18に示すθ2=90度の場合とを比較すると、θ2=90度の方は、逆トルク発生電流の正側が無くなっているため、θ2=130度の場合と比べて逆トルク発生電流の発生量が小さい。また、図19は、図17の場合のトライアックtr1,tr2のゲートトリガー信号のON/OFF状態とモータ電流との関係を示している(ON期間112度、OFF期間68度)。図20は、図18の場合のトライアックtr1,tr2のゲートトリガー信号のON/OFF状態とモータ電流との関係を示している(ON期間72度、OFF期間108度)。図18、図20に示すように、θ2は90度以下にした方が適切である。
単相交流同期モータ1が定格負荷から軽負荷へ突発的に移行するような状況下では、乱調を来す場合が多く、このような乱調状況下では、なるべく単相交流同期モータ1を停止させないようにするために、図18、図20に示すように、逆トルク発生電流を抑えることが有用である。
つまり、単相交流同期モータ1が定格負荷から軽負荷へ突発的に移行するような状況下では、θ1<θ2≦90度とするべきである。
[70度≦θ2である場合について]
ここで図9に戻り、無負荷時におけるモータ電流の位相をみると、無負荷時には、単相交流電圧の位相に対し、モータ電流の位相が70度ほど遅れている。このとき仮に、θ2<70度とした場合、無負荷時のモータ電流のゼロクロス点より前(紙面に対して方向)でゲートトリガー信号がOFFになってしまう。その場合、無負荷時には、モータ電流のゼロクロス点でトライアックtr1,tr2がOFFになる。その結果、無負荷時には、単相交流電圧の周期の半ば以前において、モータコイル30に対して電圧が通電されなくなり、正トルクと逆トルクのバランスが崩れ、単相交流同期モータ1は停止してしまう。
したがって、θ2は、少なくとも無負荷時のモータ電流の立ち下がりのゼロクロス点よりも後ろ(紙面に対して右方向)に設定する必要がある。よって、たとえば、70度≦θ2とすることができる。
[θ2の設定範囲のまとめ]
以上説明したように、θ2の設定範囲は、
θ1<θ2≦(180度−θ1)
とすることができる
一方、図17〜図20で説明したように、単相交流同期モータ1が定格負荷から軽負荷へ突発的に移行するような所定の状況を想定した場合、θ2の設定範囲は、
θ1<θ2≦90度
とすることが適当である。
さらに、図9で説明したように、単相交流同期モータ1が無負荷時には、モータ電流の位相が単相交流電圧の位相に対し、70度遅れている。したがって、θ2の設定範囲は、
70度≦θ2≦(180度−θ1)
もしくは、
70度≦θ2≦90度
とすることが適当である。
(効果)
以上説明したように、制御部19は、単相交流電源2の電圧のゼロクロス点よりθ1(ただし、0度<θ1≦40度である)遅らせてトライアックtr1,tr2のゲートトリガー信号をONし、ゼロクロス点よりθ2(>θ1)度遅らせてゲートトリガー信号をOFFすることにより、脱調しづらく、且つ、高出力トルクを得ることができる単相交流同期モータ1を実現できる。
このとき、θ2を、
θ1<θ2≦90度
とすることによって、単相交流同期モータ1が定格負荷から軽負荷に突発的に移行したような所定の状況下においても脱調しづらく、且つ、高出力トルクを得ることができる単相交流同期モータ1を実現できる。
また、θ2を70度以上とすれば、単相交流同期モータ1が無負荷時においても脱調しづらい単相交流同期モータ1を実現できる。
また、図11に示すように、単相交流同期モータ1が定格負荷で同期駆動しているときには、モータ電流波形の先端がカットされたことによりモータ電流の後端もほぼ同じようにカットされる。これによれば、モータ電流の位相が単相交流電圧の位相の半周期以内に収まるため、単相交流電圧の位相制御が確実に行えるようになる。
(プログラムを用いた実施の形態について)
また、単相交流同期モータ1の制御部19は、所定のプログラムにより動作する汎用の情報処理装置によって構成されてもよい。例えば、汎用の情報処理装置は、メモリ、CPU、入出力ポートなどを有する。汎用の情報処理装置のCPUは、メモリなどから所定のプログラムとして制御プログラムを読み込んで実行する。これにより、汎用の情報処理装置には、制御部19の機能が実現される。また、その他の機能についてもソフトウェアにより実現可能な機能については汎用の情報処理装置とプログラムとによって実現することができる。なお、上述したCPUの代わりにASIC、マイクロプロセッサ(マイクロコンピュータ)、DSPなどを用いてもよい。
なお、汎用の情報処理装置が実行する制御プログラムは、単相交流同期モータ1の出荷前に、汎用の情報処理装置のメモリなどに記憶されたものであっても、単相交流同期モータ1の出荷後に、汎用の情報処理装置のメモリなどに記憶されたものであってもよい。また、制御プログラムの一部が、単相交流同期モータ1の出荷後に、汎用の情報処理装置のメモリなどに記憶されたものであってもよい。単相交流同期モータ1,1Aの出荷後に、汎用の情報処理装置のメモリなどに記憶される制御プログラムは、例えば、CD−ROMなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に記憶されているものをインストールしたものであっても、インターネットなどの伝送媒体を介してダウンロードしたものをインストールしたものであってもよい。
また、制御プログラムは、汎用の情報処理装置によって直接実行可能なものだけでなく、ハードディスクなどにインストールすることによって実行可能となるものも含む。また、圧縮されたり、暗号化されたりしたものも含む。
このように、汎用の情報処理装置とプログラムによって単相交流同期モータ1の制御部19の機能を実現することにより、大量生産や仕様変更(または設計変更)に対して柔軟に対応可能となる。
(その他の実施の形態)
本発明の実施の形態は、その要旨を逸脱しない限り、様々に変更が可能である。
(1つのセンサを用いる変形例)
たとえばセンサ32は、2つのセンサ32A,32Bを備えるとして説明した。これは永久磁石ロータ31の正転、逆転をセンサ32A,32Bにて検出するためであると説明した。一方、1個のセンサ32Aのみでもモータ部18に加える電圧の位相とセンサ32Aの出力PAの位相とが正転と逆転とでは180度ずれるので、このことを利用して逆転検出は可能であり、1個のセンサとしてもよい。
(起動運転の変形例)
また、起動運転となる3つのステップS2,S3,S4はその中のいずれか2つのステップのみで起動運転を行うようにしてもよい。また、省電力駆動は行わないようにしてもよい。
(AC−DC変換の変形例)
また、交流電圧を直流電圧に変換する際、整流ブリッジ回路10と平滑フィルタ回路11を利用して行っているが、AC−DCコンバータなど他の変換手段を採用してもよい。
(起動運転と同期運転の切換えの変形例)
また、起動運転と同期運転の切換えは、制御部19で行っているが特許第4030571号のような運転切換スイッチを採用してもよい。
(直流電源の変形例)
また、直流電源15は、14.2Vの電圧を出力するとして説明したが、たとえば10V〜20Vの範囲で適宜設定可能である。それ以外の電圧値であっても直流電源15の電圧値は、起動用スイッチ素子21〜24その他の構成部材の規格によって適宜設定可能である。同様に、直流電源16は、5Vの電圧を出力するとして説明したが、それ以外の電圧値であっても直流電源16の電圧値は、制御部19,19Aおよびセンサ電源スイッチ17の構成部材の規格によって適宜設定可能である。
(Hブリッジ回路の変形例)
また、Hブリッジ回路12は、起動用スイッチ素子21〜24は、FETおよびダイオードによって構成されていると説明したが、FETに代えてトランジスタまたはIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などの他の部材または他の素子を用いてもよい。
(同期運転回路の変形例)
また、同期運転回路13は、トライアックtr1,tr2によって構成されていると説明したが、トライアックtr1,tr2に代えてリレーまたはサイリスタなどの他の部材または他の素子を用いてもよい。
(同期運転中でもセンサ32A,32Bを利用する変形例)
また、単相交流同期モータ1では、同期運転中は、センサ32A,32Bは、基本的に用いず、異常停止した場合に備えて間欠動作させるのみと説明した。これは同期運転中は、永久磁石ロータ31が自分でモータコイル30が発生する回転磁界に追従するため、永久磁石ロータ31の磁極位置の検出が不要であるからである。
これに対し、同期運転中であってもセンサ32A,32Bによって永久磁石ロータ31の磁極位置を検出し、この検出結果にしたがってモータコイル30への通電電圧を制御してもよい。これによれば制御部19は、永久磁石ロータ31の磁極位置を正確に把握できるため、通電電圧の位相と永久磁石ロータ31の磁極位置との関係(進み、遅れなど)に合わせてθ1,θ2の値を可変するなど、容易に精度の高い制御を実施することが可能になる。
たとえば通電電圧の位相より永久磁石ロータ31の磁極位置の位相が遅れていればθ2を90度近傍とし、反対に、通電電圧の位相より永久磁石ロータ31の磁極位置の位相が進んでいればθ2をθ1に近づけるなどの制御が可能になる。
(直流同期モータへ適用する変形例)
また、上述した実施の形態における同期運転時の制御については、直流電源から単相交流を生成して運転する直流ブラシレスモータにおいても利用可能である。
(起動運転時の変形例)
また、上述した実施の形態では、先に出願(特願2010−009186)したHブリッジ回路12を用いる単相交流同期モータ1を前提に説明を行ったが、Hブリッジ回路12は、起動運転時に用いるものであり、Hブリッジ回路12を用いなくても同期運転に入れるならばHブリッジ回路12は無くてもよいし、起動時の回路構成についてはどのようなものであってもよい。
1…単相交流同期モータ、2…単相交流電源、12…Hブリッジ回路(起動運転用回路の一部)、13…同期運転回路(同期運転用回路の一部)、19…制御部(起動運転用回路の一部、同期運転用回路の一部、制御手段)、21〜24…起動用スイッチング素子(起動用スイッチング手段)、25…FET駆動回路(起動運転用回路の一部、制御手段の一部)、30…モータコイル、31…永久磁石ロータ、32A,32B…センサ

Claims (10)

  1. 単相交流電源に接続されるモータコイルに、当該単相交流電源より通電される交流電圧を直流電圧に変換し、永久磁石ロータの磁極位置を検出するセンサからの検出信号により起動用スイッチング手段をスイッチングしてモータ電圧の通電の向きを切換えて通電することにより、直流ブラシレスモータとして起動運転する起動運転用回路と、
    上記交流電圧を上記モータコイルに通電して交流同期モータとして同期運転する同期運転用回路と、
    を有し、
    上記起動運転用回路から上記同期運転用回路へ切換えて同期運転に移行するよう制御する、
    単相交流同期モータにおいて、
    上記モータコイルと上記単相交流電源との間に直列接続されたトライアックを有し、
    上記同期運転用回路は、上記単相交流電源の電圧周期の半周期毎に、上記単相交流電源の電圧のゼロクロス点より電気角にしてθ1遅らせて上記トライアックのゲートトリガー信号をONし、上記ゼロクロス点より電気角にしてθ2(θ2>θ1)度遅らせて上記ゲートトリガー信号をOFFする、
    ことを特徴とする単相交流同期モータ。
  2. 請求項1記載の単相交流同期モータであって、
    前記θ1は、0度よりも大きく40度以下とし、
    前記θ2は、θ1より大きく(180度−θ1)以下とする、
    ことを特徴とする単相交流同期モータ。
  3. 請求項2記載の単相交流同期モータであって、
    前記θ2は、90度以下とする、
    ことを特徴とする単相交流同期モータ。
  4. 請求項2または3記載の単相交流同期モータであって、
    前記θ2は、70度以上とする、
    ことを特徴とする単相交流同期モータ。
  5. 請求項1から4のいずれか1項記載の単相交流同期モータであって、
    所定の負荷での同期駆動時には、モータ電流の立ち上がりおよび立ち下がりのゼロクロス点が単相交流電圧の位相の半周期分以内に収まるように調整される、
    ことを特徴とする単相交流同期モータ。
  6. 単相交流電源に接続されるモータコイルに、当該単相交流電源より通電される交流電圧を直流電圧に変換し、永久磁石ロータの磁極位置を検出するセンサからの検出信号により起動用スイッチング手段をスイッチングしてモータ電圧の通電の向きを切換えて通電することにより、直流ブラシレスモータとして起動運転する起動運転ステップと、
    上記起動運転ステップから移行し、上記交流電圧を上記モータコイルに通電して交流同期モータとして同期運転する同期運転ステップとする単相交流同期モータが行う制御方法において、
    上記同期運転ステップの処理は、上記単相交流電源の電圧周期の半周期毎に、上記モータコイルと上記単相交流電源との間に直列接続されたトライアックのゲートトリガー信号を、上記単相交流電源の電圧のゼロクロス点より電気角にしてθ1遅らせてONし、上記ゼロクロス点より電気角にしてθ2遅らせてOFFする、
    ことを特徴とする制御方法。
  7. 請求項6記載の制御方法であって、
    前記θ1は、0度よりも大きく40度以下とし、
    前記θ2は、θ1より大きく(180度−θ1)以下である、
    ことを特徴とする制御方法。
  8. 請求項6記載の制御方法であって、
    前記θ2は、90度以下である、
    ことを特徴とする制御方法。
  9. 請求項7または8記載の制御方法であって、
    前記θ2は、70度以上である、
    ことを特徴とする制御方法。
  10. 請求項6から9のいずれか1項記載の制御方法であって、
    所定の負荷での同期駆動時には、モータ電流の立ち上がりおよび立ち下がりのゼロクロス点が単相交流電圧の位相の半周期分以内に収まるように調整される、
    ことを特徴とする制御方法。
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