JP2011229736A - 脈波判定装置および血圧推定装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 この血圧推定装置1は、脈波センサ9から脈波信号を取得する(S1)。次に、脈波のピークから次の立ち上がり点までの脈波波形における前記立ち上がり点付近の変化の程度に関する脈波パラメータを取得する(S2)。次に、脈波パラメータが、予め定められた閾値未満であるか否かを判定し(S3)、脈波パラメータが閾値未満であれば(S3:YES)、即ち脈波が血圧推定(脈波解析)に適していると判定されれば、血圧推定を行う(S4)。一方、脈波パラメータが閾値以上であれば(S3:NO)、エラー判別処理を行い(S6)、エラー判別処理の結果に基づいてディスプレイ21にエラー表示をさせる(S7)。
【選択図】図9
Description
上記請求項1の発明は、外乱を受ける状態において、脈波のピークから次の立ち上がり点までの脈波波形における立ち上がり点付近の波形が変化するという知見に基づくものである。図5(A),(B)に外乱を受けている状態の脈波波形(図5(A))と、外乱を受けていない状態の脈波波形(図5(B))とを示す。外乱を受けている状態(図5(A))においては、脈波はピークを超えた後急激に立ち下がり、次の脈波の立ち上がり点付近では波形の変化の程度が小さくなる(以降、この状態を「フラットになる」ともいう)。従って、このフラットになった状態を検出することで、外乱の有無を判断でき、脈波解析に適しているか否かを判断できる。
ところで、請求項2の発明においてはパラメータとして時間を用いているが、請求項4に記載の発明のように、パラメータを、脈波がピークから立ち下がって所定の第1高さとなった時点から、第1高さよりも低い第2高さになるまでの時間を、脈拍間隔で除した値としてもよい。その場合には、上述した変化の程度が所定の閾値以上であると判断できる値である場合とは、上記パラメータが所定の時間閾値未満である場合とし、変化の程度が前記閾値未満であると判断できる値である場合とは、上記パラメータが時間閾値以上である場合とするとよい。
ところで、請求項3の発明においてはパラメータとして時間を用いているが、請求項5に記載の発明のように、パラメータを、脈波を1階微分した速度脈波が負に最大となった後に上昇して所定の第1速度となった時点から、第1速度よりも上昇した第2速度になるまでの時間を、脈拍間隔で除した値としてもよい。その場合には、上述した変化の程度が所定の閾値以上であると判断できる値である場合とは、上記パラメータが所定の時間閾値未満である場合とし、変化の程度が前記閾値未満であると判断できる値である場合とは、上記パラメータが時間閾値以上である場合とするとよい。
このように構成された脈波判定装置であれば、脈波解析に適していると判定された脈波を用いて血圧推定を行うことで、精度の高い血圧値を出力することができる。
なお、脈波解析に適していないと判定された場合、その脈波信号を用いた血圧推定を行わないように構成しても良いが、請求項12に記載の血圧推定装置のように、血圧推定手段が、脈波取得手段により取得された脈波信号が前記判定手段により脈波解析に適していないと判定された場合に、推定結果を補正することで精度を向上してもよい。また同様に脈波信号を補正して血圧推定を行うように構成してもよい。
[実施例1]
本実施例では、自動車に搭載されて運転者の血圧を測定する血圧推定装置について説明する。この血圧推定装置は、本発明の脈波判定装置の構成を包含するものである。
(1)血圧推定装置のシステム構成
本実施例の血圧推定装置1は、図1に示すように、運転者等に情報の報知を行う報知装置3と、手動にてデータの入力を行うマニュアル入力部5と、ハンドル7に取り付けられた脈波センサ9と、脈波センサ9の裏面に取り付けられた圧力センサ11と、脈波センサ9に併設してハンドル7に取り付けられた皮膚温センサ13と、室温センサ15と、ハンドル7に取り付けられた一対の電極17、19とを備えている。
前記マニュアル入力部5は、手動にて、体重、身長、年齢、性別等の個人別の身体特徴情報が入力可能な例えばキーボードやテンキーやリモコンなどの入力装置である。なお、ディスプレイ21の表示画面をタッチパネルとして、データを入力するようにしてもよい。
皮膚温センサ13および室温センサ15は、温度に応じた信号を出力するセンサである。皮膚温センサ13はハンドル7を握る手の温度を検出し、室温センサ15は車両内部の温度を検出する。
図2に示すように、本実施例の血圧推定装置1には、心電信号取得部25と、脈波信号取得部27と、心電信号解析部31と、心電及び脈波信号解析部33と、脈波信号解析部35と、血圧演算部37とを備えている。
脈波信号取得部27は脈波センサ9を駆動して脈波信号を取得するものである。
心電及び脈波信号解析部33は、図3に示す様に、心電信号と脈波信号を用いて、心電信号に対する脈波信号の遅れ時間である脈波伝播時間(PTT)を求めるものである。
血圧演算部37は、脈波パラメータを用いて脈波の血圧推定への適否を判定すると共に、生体情報である脈波信号及び心電信号のうち少なくとも脈波信号から得られる特徴量、例えばPTT、HR、速度脈波や加速度脈波などの特徴量、容積AI等を用いた公知の手法による血圧推定(算出)を実行するものである。血圧推定の手法として、例えば特願2009−036789号公報に記載された手法を用いることができる。
(2)脈波の適否判定方法
次に、本実施例の脈波適否判定の方法について説明する。以下において、脈波の適否とは、血圧推定に適しているか否かを意味する。
(i)ピークから立ち下がった脈波の高さが第1高さ(例えば、脈波開始点を基準としてピークの高さの10%)となった時点から、第1高さよりも低い第2高さ(例えば、次の脈波の立ち上がり点、即ちピークの高さの0%)までの時間を測定する。この時間を脈波パラメータとする。
ところで、脈波パラメータは、測定した時間をそのまま用いてもよいが、測定した時間を脈拍間隔で除した値を用いてもよい。このようにして得られる脈波パラメータは脈拍間隔に対する測定時間の割合を示す値となる。従って、パラメータに対する脈拍間隔の影響を無くすことができ、脈拍間隔が極端に長かったり短かったりしても適切に判定を行うことができる。
(ii)ピークから立ち上がり点までの速度脈波において最小値(負の最大値)となった後に上昇して最小値よりも大きい第1速度(例えば負の最大値の20%)となった時点から、第1速度よりも上昇した(速度の絶対値が小さい)第2の速度(例えば速度0)となるまでの時間を脈波パラメータとして測定する。
通常、容積脈波の場合、図5(B)のようにピークからの立ち下りの傾斜が比較的一定であるため、図7(B)に示すように負の最大の速度(図中、負の最大傾き)から速度が急速に小さくなりにくく、また速度が小さい期間も短い。一方図7(A)に示すように、外乱を受けた状態では比較的早期に速度が小さくなり、さらにその速度が小さい状態が長時間継続することとなる。
また、上記(i)と同様に、脈波パラメータは測定した時間をそのまま用いてもよいが、測定した時間を脈拍間隔で除した値を用いてもよい。
(iii)ピークから立ち下がった脈波の高さが所定の第1高さ(例えばピークの高さの10%)となった時点から第1高さよりも低い第2高さ(例えばピークの高さの0%)になるまでの時間T1と、脈波が第1高さよりも低く第2高さよりも高い第3高さ(例えばピークの高さの5%)となった時点から第2高さになるまでの時間T2と、を測定し、T2/T1を算出する。
(3)血圧推定装置による処理
以下に、血圧推定装置1が備える制御装置により実行される血圧推定処理について、図9のフローチャートを参照して説明する。ここでは、上記(iii)の手法を用いる場合の処理を説明するが、(i)、(ii)の手法を用いる場合であっても、その推定方法以外は同様の処理となる。
次に、脈波パラメータを取得する(S2)。ここでは、S1にて取得した脈波信号に基づいて、脈波が5%となった時点から次の脈波の立ち上がり点までの時間(5%時間)と、脈波が10%となった時点から次の脈波の立ち上がり点までの時間(10%時間)と、を算出する。そして、5%時間を10%時間で除した値を脈波パラメータとして算出する。
エラー判別処理の詳細を図10に示すフローチャートに基づいて説明する。このエラー判別処理では、まず圧力センサ11から出力される信号に基づいて脈波センサ9に加えられる圧力を取得する(S11)。圧力が10g/cm2以上であれば(S12:YES)、即ち、脈波センサ9に設けられた圧力一定機構のバネが飽和するより強くハンドル7を握りすぎて血圧推定に適した脈波が測定できない場合には、圧力エラーと判定する(S13)。
上記S13,S18,S19,S20の後、本エラー判別処理を終了し、血圧推定処理に戻る。
(4)発明の効果
このように構成された血圧推定装置1であれば、取得した脈波信号が血圧推定(脈波解析)に適しているか否かを判定することができる。これにより、血圧推定に適した脈波信号を用いて精度の高い血圧推定を行うことができる。また脈波信号が血圧推定に適していない場合にはそのことをユーザに報知して知らせることができる。
[実施例2]
実施例2における血圧推定装置は、基本的に実施例1と同じ構成であるが、実行される処理内容が一部変更されている。よって、実施例1と同様である部分の説明は割愛し、変更された処理を以下に説明する。
(1)血圧推定装置による処理
本実施例の血圧推定装置1が実行する血圧推定処理について、図11のフローチャートを用いて説明する。
S6の後、S6にて判定されたエラーが皮膚温エラーか否かを判定する(S21)。皮膚温エラーでなければ(S21:NO)、エラー表示処理を行う(S22)。この処理は、皮膚温エラーに関する表示を行わない点以外は図9のS7と同様の処理である。
(2)発明の効果
このように構成された血圧推定装置1であれば、上記実施例1の血圧推定装置1と同様の作用・効果を奏するうえ、脈波信号が血圧推定に適していない場合には推定された血圧値をS23により決定された補正値で補正することで、精度の高い血圧推定を行うことができる。
[実施例3]
実施例3における血圧推定装置は、基本的に実施例1と同じ構成であるが、図12に示すように脈波センサ9がハンドル7において複数(本実施例においては2点)配置されている点と、実行される処理内容が一部変更されている点が異なる。よって、実施例1と同様である部分の説明は割愛し、変更された処理を以下に説明する。
(1)血圧推定装置による処理
本実施例の血圧推定装置1が実行する血圧推定処理について、図13のフローチャートを用いて説明する。
次に、全ての脈波信号に基づいて脈波パラメータを取得する(S32)。なお、ここで取得する脈波パラメータは上述した(i)〜(iii)のいずれの手法により算出されるものであってもよい。
(2)発明の効果
このように構成された血圧推定装置1であれば、複数の脈波を取得し、その中から適切な値を抽出できる。よって、その適切な脈波を用いて精度の高い血圧推定を行うことができる。また、複数の脈波を取得することで、その中から適切な脈波を取得できる可能性を高めることができるため、脈波の検出し直しの手間や、適切な脈波が取得できずに精度の高い血圧推定が行えないといった不具合が少なくなる。
[その他の実施形態]
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明は、上記実施例に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態をとり得ることはいうまでもない。
Claims (12)
- 生体から検出された脈波信号を取得する脈波取得手段と、
前記脈波取得手段が取得した前記脈波信号に基づいて、脈波のピークから次の立ち上がり点までの脈波波形における前記立ち上がり点付近の変化の程度に関するパラメータを算出する算出手段と、
前記算出手段により算出されたパラメータが、前記変化の程度が所定の閾値以上であると判断できる値である場合に、前記脈波信号が脈波解析に適していると判定する一方、前記パラメータが、前記変化の程度が前記閾値未満であると判断できる値である場合に、前記脈波信号が脈波解析に適していないと判定する判定手段と、を備える
ことを特徴とする脈波判定装置。 - 前記パラメータは、前記脈波が前記ピークから立ち下がって所定の第1高さとなった時点から、前記第1高さよりも低い第2高さになるまでの時間であり、
前記変化の程度が所定の閾値以上であると判断できる値である場合とは、前記パラメータが所定の時間閾値未満である場合であり、前記変化の程度が前記閾値未満であると判断できる値である場合とは、前記パラメータが前記時間閾値以上である場合である
ことを特徴とする請求項1に記載の脈波判定装置。 - 前記パラメータは、前記脈波を1階微分した速度脈波が負に最大となった後に上昇して所定の第1速度となった時点から、前記第1速度よりも上昇した第2速度になるまでの時間であり、
前記変化の程度が所定の閾値以上であると判断できる値である場合とは、前記パラメータが所定の時間閾値未満である場合であり、前記変化の程度が前記閾値未満であると判断できる値である場合とは、前記パラメータが前記時間閾値以上である場合である
ことを特徴とする請求項1に記載の脈波判定装置。 - 前記パラメータは、前記脈波が前記ピークから立ち下がって所定の第1高さとなった時点から、前記第1高さよりも低い第2高さになるまでの時間を、脈拍間隔で除した値であり、
前記変化の程度が所定の閾値以上であると判断できる値である場合とは、前記パラメータが所定の時間閾値未満である場合であり、前記変化の程度が前記閾値未満であると判断できる値である場合とは、前記パラメータが前記時間閾値以上である場合である
ことを特徴とする請求項1に記載の脈波判定装置。 - 前記パラメータは、前記脈波を1階微分した速度脈波が負に最大となった後に上昇して所定の第1速度となった時点から、前記第1速度よりも上昇した第2速度になるまでの時間を、脈拍間隔で除した値であり、
前記変化の程度が所定の閾値以上であると判断できる値である場合とは、前記パラメータが所定の時間閾値未満である場合であり、前記変化の程度が前記閾値未満であると判断できる値である場合とは、前記パラメータが前記時間閾値以上である場合である
ことを特徴とする請求項1に記載の脈波判定装置。 - 前記パラメータは、前記脈波が前記ピークから立ち下がって所定の高さとなる第1高さとなった時点から前記第1高さよりも低い第2高さになるまでの時間T1、および、前記脈波が前記第1高さよりも低く前記第2高さよりも高い第3高さとなった時点から前記第2高さになるまでの時間T2から算出される、T2/T1であり、
前記判定手段は、前記パラメータが所定の閾値未満である場合に前記脈波信号が脈波解析に適していると判定し、前記パラメータが所定の閾値以上である場合に前記脈波信号が脈波解析に適していないと判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の脈波判定装置。 - 前記脈波取得手段は、複数の脈波センサから脈波信号を取得可能であって、
前記複数の脈波センサそれぞれにて検出された脈波信号に対する前記判定手段の判定結果に基づいて、脈波解析に適している前記脈波信号を抽出する抽出手段を備える
ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の脈波判定装置。 - 前記判定手段により判定された前記脈波信号が脈波解析に適しているか否かの判定結果を出力する判定結果出力手段を備える
ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の脈波判定装置。 - 車両に搭載されて用いられ、
前記脈波取得手段は、前記車両のハンドルに配置された脈波センサから脈波信号を取得可能であって、
前記判定手段により前記脈波信号が脈波解析に適していないと判定された場合には、前記ハンドルの握り方が不適切であることに対応する信号を出力する情報出力手段を備える
ことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の脈波判定装置。 - 前記脈波解析は血圧推定に用いるものである
ことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の脈波判定装置。 - 請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の脈波判定装置と、
前記脈波信号を用いて血圧を推定する血圧推定手段と、を備える血圧推定装置であって、
前記血圧推定手段は、前記脈波取得手段により取得された脈波信号が前記判定手段により脈波解析に適していると判定された場合に、前記脈波信号を用いて血圧推定を行う
ことを特徴とする血圧推定装置。 - 前記血圧推定手段は、前記脈波取得手段により取得された脈波信号が前記判定手段により脈波解析に適していないと判定された場合に、推定された血圧値を補正する、もしくは前記脈波信号を補正して血圧推定を行う
ことを特徴とする請求項11に記載の血圧推定装置。
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