JP2011226466A - 真空ポンプ用の振動減衰器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明に係る振動減衰器101;201;301;401;501において、真空気密機能および振動減衰機能はともに、同一の構成要素により、特に、弾性材料(好ましくはエラストマー)製の1つ以上の環状リング216、131;326;426;526、531、541により果たされる。弾性リングは、真空ポンプが作動しておらず減衰器が大気圧であるときの、静止した第1条件から、真空ポンプが作動し減衰器が真空状態にあるときの、圧縮された第2状態へと移行する。この圧縮された第2状態で、弾性リングは、さらされている圧縮力のために、真空ポンプと、本発明に係る減衰器を介して同ポンプが接続されている真空チャンバとの間の金属対金属の接触を回避するような仕方で変形される。
【選択図】図1B
Description
より詳しくは、本発明は、真空ポンプのロータの回転により発生する振動が、真空状態が確立されねばならないチャンバへと伝わるのを防ぐ振動減衰器に関する。
真空ポンプから真空チャンバへの機械的振動の伝達を低減するために、真空ポンプには一般に、ポンプ自体と真空チャンバとの間に介在された振動減衰器が設けられている。
減衰係数を改善し、いくつかの周波数で有効な振動減衰を得るために、上述した種類の2つの減衰器を、直列に配置し、例えば鋼製でかなりの重量の環状部材により接続して使用することができる。直列に配置された2つの減衰器の間にこのような重量を設けることで、二極伝達機能を設けることができ異なる周波数で有効な振動減衰を可能にする振動減衰システムが得られる。特に、ポンプロータの回転周波数、および、ポンプの回転軸が取り付けられるベアリングのケージの回転周波数の両方で、良好な振動減衰を得ることが可能である。ロータおよびケージは、システムが、より影響を受けやすい2つのポンプ振動源である。
しかし、これらのいわゆる二重の減衰器にも欠点はある。
第一に、単独および二重の減衰器のいずれにおいても、異なる部材を使用して、真空気密(蛇腹)を確保し、振動減衰を実現し、構造に対する剛性を確保する(ゴム部材)には、多数の構成要素が必要であり、その結果、かなりの製造費が必要であり、かつ、故障または不具合の危険が大きくなる。
上記目的は、本発明に係る振動減衰器により達成される。これは、真空気密機能および振動減衰機能がともに、単独の部材である弾性材料の環状リング、好ましくは、エラストマー製のOリングにより実現されているためである。
本発明の実施形態によれば、振動減衰器は少なくとも、真空ポンプに接続可能な、または真空ポンプと一体化された第1構成要素と、真空チャンバに接続可能な、または真空ポンプと一体化された第2構成要素とを含んでいる。
本発明の好ましい実施形態では、接続手段は、好ましくは第1および第2構成要素の周に沿って等間隔に配置された歯を備えている。第1および第2構成要素は互いに係合し、互いに当接する歯が設けられていることにより、単純な回転により互いに係止することができ、差し込み連結を形成する。
特に、上記手段は、ポンプ自体の急速な停止トルクにより引き起こされる回転に抵抗することにより、構造的な一体性を確保し、およびその結果、ポンプが故障した場合のポンプ/減衰器システムの安全性を確保する。
図1A〜図1Eを参照して、本発明の第1実施形態に係る振動減衰器101を示す。
減衰器101は、円筒形で中空の第1構成要素103(好ましくは金属製のもの)と、円筒形で中空の第2構成要素105(同様に好ましくは金属製のもの)とを備えており、これらは、対称軸Sに沿って軸方向に整列されている。
同様に、第2構成要素105は、一方の端部に、真空チャンバの接続フランジと接続するためのフランジ109を有し、他方の端部に、接続手段113を有している。より詳しくは、接続手段113は、径方向歯113aを備えている。径方向歯113aは、第2構成要素105の外壁から径方向外側に向かって延びており、外壁の周に沿って等間隔に配置されている。
図1A〜図1Eに示す好ましい実施形態によれば、振動減衰器101は、円筒中空中間構成要素119(同様に好ましくは金属で形成され対称軸Sに沿って整列されたもの)をさらに含んでいる。中間構成要素は、第1および第2構成要素と比較して、かなりの質量を有しており、鋼などで形成されているのが好ましい。
この目的のために、径方向の凹部133が、中間構成要素119の両端の端面119a、119bに形成されており、上記凹部に対応して、ピン135が第1および第2構成要素103、105に固定されている。これらのピンは、上記構成要素から突出して、上記凹部内へと延びている。例えば真空ポンプの急激な停止トルクのために、望ましくない回転が起きたとき、ピン135は凹部133の壁に当接して、さらなる回転を防止する。
このような条件では、第1構成要素103の歯111aは、中間構成要素119の歯121aと軸方向に当接し、第2構成要素105の歯113aは次いで、中間構成要素119の歯125aに当接し、このようにして、これらは、第1構成要素103、中間構成要素119および第2構成要素105を一緒に維持し、弾性構成要素126、131をわずかに予備圧縮する。
このような条件では、弾性環状リング126、131の変形により、第1構成要素103の歯111aは、中間構成要素119の歯121aと、もはや接触しておらず、隙間137がそれらの間に形成される。同様に、隙間139が、第2構成要素105の歯113aと中間構成要素119の歯125aとの間に形成される。
上記例では、環状半座部は実質的に半円の外形を有しているため、これらが連結されると、弾性環状リングのための実質的に円形の横断面を有する環状座部を形成する。弾性環状リングの適切な変形が保証されて上記結果が得られるのであれば、半座部用に異なる外形および形状を選択できることは、当業者にとって明らかであろう。例えば、図1Fを参照して、環状半座部を実質的にL字状の外形にし、それらを互いに対向する鏡像形状に配置することも可能である。
有利なことに、金属対金属の接触がないことは、振動減衰器101の電気絶縁にもつながり、その結果、真空ポンプからの真空チャンバの電気絶縁につながる。これは、多くの用途(例えば電子顕微鏡)で有利な場合がある。従来の減衰器で、この効果は得られないことを理解されたい。従来の減衰器では、蛇腹が、構造的な理由で金属製である必要があり、真空ポンプから真空チャンバを電気絶縁する機能を果たすことができない。
この特定の実施形態によれば、振動減衰器201の第1構成要素203は、真空ポンプへの接続用の手段が設けられる代わりに、ターボ分子真空ポンプ210に、その吸引ポート212に対応して、直接に統合されている。同様に、振動減衰器201の第2構成要素205は、真空チャンバへの接続用の手段が設けられる代わりに、真空チャンバ220に直接に統合されている。
このような第2実施形態に係る減衰器201は有利なことに、全体的な軸方向の寸法をさらに低減することができる。
この実施形態によれば、減衰器301の第1構成要素303は、一方の端部に、真空ポンプのフランジと接続するためのフランジ307を有し、他方の端部に、弾性材料の環状リング326用の第1環状半座部315と、減衰器301の第2構成要素305への接続用の接続手段311とを有している。接続手段は、径方向歯311aを備えている。径方向歯311aは、第1構成要素303の内面から径方向内側に向かって延びている。同様に、減衰器301の第2構成要素305は、一方の端部に、真空チャンバのフランジと接続するためのフランジ309を有し、他方の端部に、弾性材料の環状リング326用の第2環状半座部317と、減衰器301の第1構成要素303への接続用の接続手段313とを有している。接続手段313は、径方向歯313aを備えている。径方向歯313aは、第2構成要素305の外面から径方向外側に向かって延びている。
振動減衰器301の作動は、本発明の第1実施形態に関連して上述したものに非常に類似している。
図4は、本発明に係る第4実施形態の振動減衰器401を示している。
この特徴により、有利なことに、全体的な軸方向の寸法をさらに低減することができる。
図5は、本発明に係る第5実施形態の振動減衰器501を示している。
このため、減衰器501は、真空ポンプへの接続のためのフランジ507が設けられた第1構成要素503と、真空チャンバへの接続のためのフランジ509が設けられた第2構成要素505とを含んでいる。
第1中間構成要素519は、上述したものと類似した接続手段により、第2弾性環状リング541を介在して、第2中間構成要素543に接続されている。第2弾性環状リング541は、第1および第2中間構成要素内に形成された環状半座部の組み合わせによる環状ハウジング内に収容および規制されている。
無論、本発明に係る振動減衰器の第1および第2構成要素の間に配置する中間構成要素は、何個であってもよい。
上記説明から、本発明により上記目的が達成されることは明らかである。それは、単純で小型で、製造が容易かつ安価で、容易に103のオーダにすることができる減衰係数であって設計に特に注意することで最大104にすることができる減衰係数を確保することが可能な、真空ポンプ用の振動減衰器を、本発明が提供するからである。
Claims (15)
- 真空ポンプと真空チャンバとの間に配置するための振動減衰器(101;201;301;401;501)であって、少なくとも
円筒状で中空の第1構成要素(103;203;303;403;503)であって、その第1端部で前記真空ポンプと関連付けられるように配置された第一構成要素と、
対称軸(S)に沿って軸方向に前記第1要素と整列された円筒状で中空の第2構成要素(105;205;305;405;505)であって、その第1端部で前記真空チャンバと関連付けられるように配置された第二構成要素とを備え、
前記第1構成要素は、前記第1端部の反対側の端部に、環状半座部(115;115';315)、および、直接に、または、考え得る中間構成要素(119;419,431)の介在により間接に、前記第1構成要素を前記第2構成要素と軸方向に結合するのに適切な接続手段(111;113)を備え、
前記第2構成要素は、前記第1端部の反対側の端部に、環状半座部(117;117';317)、および、直接に、または、考え得る中間構成要素(119;419,431)の介在により間接に、前記第2構成要素を前記第1構成要素と軸方向に結合するのに適切な接続手段(113;313)を備え、
当該減衰器の前記第1および第2構成要素の間に配置された、弾性材料製の少なくとも1つの環状リング(126;326;426;526)であって、前記対称軸に沿う方向に向けられ事前に設定された閾値よりも大きい圧縮力にさらされた場合の、静止した第1構成から、前記対称軸に沿う方向に向けられ前記事前に設定された閾値よりも低い圧縮力にさらされた場合の、圧縮された第2の構成へと、移行する環状リングをさらに備え、
前記弾性環状リングが前記静止した第1構成にあるときに、前記接続手段は、前記第1および第2構成要素の間の軸方向の接続を保証し、
前記弾性環状リングが前記圧縮された第2構成にあるときに、弾性材料製の前記環状リング(126;326;426;526)は変形されて、前記第1および第2構成要素の間の真空気密の軸方向の接続を保証するとともに、前記第1および第2構成要素の前記接続手段の間の接触を防止する、振動減衰器。 - 前記弾性環状リング(326;426)のみが、前記第1および第2構成要素の間に配置されており、前記第1構成要素の前記環状半座部(315)および前記第2構成要素の前記環状半座部(317)は、弾性材料製の前記環状リング(326;426)を受け入れて規制する環状座部を区画するために協働する、請求項1に記載の振動減衰器(301;401)。
- 前記第1構成要素は、前記第2構成要素との接続のための接続手段(311)を備え、前記接続手段は、前記第1構成要素の表面に沿って等間隔に配置された径方向歯(311a)を備え、前記第2構成要素は、前記第1構成要素との接続のための接続手段(313)を備え、前記接続手段は、前記第2構成要素の表面に沿って等間隔に配置され前記第1構成要素の前記径方向歯と係合するのに適した径方向歯(313a)を備えた、請求項2に記載の振動減衰器(301;401)。
- 前記第2構成要素に対する前記第1構成要素の不慮の回転を防止するための手段をさらに備えた、請求項2または3に記載の振動減衰器(301;401)。
- 1つ以上の中間構成要素(119;419,431)が、当該中間構成要素のそれぞれについて弾性材料製の追加の環状リング(131;531,541)とともに、前記第1および第2構成要素の間にさらに配置されている、請求項1に記載の振動減衰器(101;201;501)。
- 前記中間構成要素のそれぞれが、前記中間要素の第1端部に向けられた第1環状半座部(123;123’)と、前記中間要素の第2端部に向けられた第2環状半座部(129;129’)とを備え、弾性材料製の前記環状リングの1つを受け入れて規制するために配置された環状座部を区画するために、前記第1および第2環状半座部はぞれぞれ、前記第1構成要素の前記環状半座部または前記第2構成要素の前記環状半座部または別の中間構成要素の環状半座部と協働するのに適している、請求項5に記載の振動減衰器(101;201;501)。
- 前記第1構成要素は、前記中間構成要素の1つとの接続のための接続手段(111)を備え、前記接続手段は、前記第1構成要素の表面に沿って等間隔に配置された径方向歯(111a)を備え、前記第2構成要素は、前記中間構成要素の1つとの接続のための接続手段(113)を備え、前記接続手段は、前記第2構成要素の表面に沿って等間隔に配置された径方向歯(113a)を備え、
前記中間構成要素は、当該中間構成要素の表面に沿って等間隔に配置され前記第1構成要素または別の中間構成要素の前記径方向歯と係合するのに適した径方向歯(121a)を備えた第1接続手段(121)を、前記第1端部に備え、当該中間構成要素の表面に沿って等間隔に配置され前記第2構成要素または別の中間構成要素の前記径方向歯と係合するのに適した径方向歯(125a)を備えた第2接続手段(125)を、前記第2端部に備えた、請求項5に記載の振動減衰器(101;201;501)。 - 前記第1構成要素、前記第2構成要素および前記1つ以上の中間構成要素の互いに対する不慮の相互の回転を防ぐための手段をさらに備えた、請求項5〜7のいずれか1項に記載の振動減衰器(101;201;501)。
- 前記第1構成要素は、前記真空ポンプとの接続用のフランジ(107)を備えた、請求項1〜8のいずれか1項に記載の振動減衰器(101;301;501)。
- 前記第1構成要素は、前記真空ポンプと一体にされている、請求項1〜8のいずれか1項に記載の振動減衰器(201;401)。
- 前記第2構成要素は、前記真空チャンバとの接続用のフランジ(107)を備えた、請求項1〜10のいずれか1項に記載の振動減衰器(101;301;401;501)。
- 前記第2構成要素は、前記真空チャンバと一体にされている、請求項1〜10のいずれか1項に記載の振動減衰器(201)。
- 前記環状半座部(115;117;123;129)は、実質的に半円の外形を有している、請求項1〜12のいずれか1項に記載の振動減衰器(101;201;301;401;501)。
- 前記環状半座部(115’;117’;123’;129’) は、実質的にL字状の外形を有している、請求項1〜12のいずれか1項に記載の振動減衰器(101;201;301;401;501)。
- 当該減衰器が真空状態にあるときに、前記事前に設定された閾値が超えられ、前記弾性環状リングが前記第2圧縮構成にある、請求項1〜14のいずれか1項に記載の振動減衰器(101;201;301;401;501)。
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