JP2011205191A - アナログ・デジタル変換器 - Google Patents

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Abstract

【課題】短い収束時間で高精度な校正を可能にするアナログ・デジタル変換器を実現する。
【解決手段】例えば、スプリット構成となる2個のAD変換ブロックADC_BKa,ADC_BKbと、その後段に設置され、デジタル自己校正を行う校正ブロックCLB_BKとを備える。ADC_BKa,ADC_BKbは、ランダム信号生成部RNGa,RNGbからの乱数信号に応じて所定のアナログ信号を生成する1ビットのDA変換回路DAC_1Ba,DAC_1Bbを備える。ステージ[1]STG1a,STG1bは、DAC_1Ba,DAC_1Bbからのアナログ信号に応じて残差信号をシフトさせる。3次非線形性校正部CLB_3RDは、当該残差信号におけるシフト前後の差分値を計測し、その差分値が一定となるように校正を行う。
【選択図】図1

Description

本発明は、アナログ・デジタル変換器(ADC:Analog Digital Converter)に関し、特に、パイプライン型AD変換器に適用して有効な技術に関する。
例えば、非特許文献1には、パイプライン型AD変換器の高精度化に関する技術が記載されている。すなわち、パイプライン型AD変換器の初段に低精度のオペアンプを使用すると低消費電力化、高速化が図れるが、オペアンプの非線形性の影響が大きくなり、AD変換器の精度劣化の要因となる。そこで、非特許文献1では、動作時にLMSアルゴリズムを用いたバックグランド自己校正を行って、オペアンプの非線形性の影響による変換誤差やPVT変動を補正して高精度なパイプライン型AD変換器を実現している。
また、非特許文献2には、スプリット構成のパイプライン型AD変換器が示されている。このパイプライン型AD変換器では、入力されたアナログ電圧を2系統のAD変換器で並列に処理し、この2系統のAD変換器から得られる出力の差分に基づいてバックグラウンド自己校正を行う。この自己校正アルゴリズムを用いることで、AD変換器内の含まれるスイッチトキャパシタ回路の容量ミスマッチ等を補正できる。
B.Murmann、B.E.Boser、"Digitally Assisted Pipeline ADCs Theory and Implementation"、Kluwer Academic Publishers、2004年 Ahmed.I、Johns.D.A、"An 11-Bit 45 MS/s Pipelined ADC With Rapid Calibration of DAC Errors in a Multibit Pipeline Stage"、IEEE Journal of Solid-State Circuits、Vol.43、No.7、2008年7月、p.1626−1637
例えば、携帯電話機やデジタルテレビ等での画像・通信処理用LSIを代表に、高分解能かつ中高速の変換処理を実現可能なパイプライン型AD変換器等が広く用いられている。このようなLSIでは、近年、微細化や低電圧化(低電力化)への要求が益々高まっている。しかしながら、パイプライン型AD変換器等では、微細化や低電圧化に伴い、アナログ素子(容量等)の製造ばらつきに伴う変換誤差や、オペアンプの特性ばらつきに伴う変換誤差等が無視できないものとなる。
このような誤差を補正するため、例えば、非特許文献1や非特許文献2の技術を用いることが考えられる。非特許文献1では、動作時にLMS(最小二乗法)アルゴリズムを用いたバックグランド自己校正により、オペアンプの非線形性の影響による変換誤差やPVT(プロセス、電圧、温度)変動の補正を行っている。ただし、当該補正方法は、要するに統計的手法を用いたものであるため、高精度な補正を行うためには多数のサンプルデータが必要となり、自己校正を行う際の収束時間が長いことが問題となる。一方、非特許文献2では、スプリット構成のパイプライン型AD変換器を用いることで、収束時間が速いバックグラウンド自己校正アルゴリズムを実現している。ただし、精度の面で、例えば、オペアンプの非線形性等の影響により、変換誤差が生じる恐れがある。
図30は、本発明の前提として検討したアナログ・デジタル変換器において、スプリット構成のパイプライン型AD変換器の概略構成例を示すブロック図である。図30に示すように、スプリット構成のパイプライン型AD変換器は、等しい2個のAD変換ブロックADC_BKa,ADC_BKbを備え、この2個のAD変換ブロックの出力を平均化(x=(x+x)/2)することで出力データを得るものとなっている。また、この2個のAD変換ブロックの出力の差分(Δx=x−x)を算出し、これが最小となるように校正ブロック(キャリブレーションブロック)CLB_BKを用いて補正係数を収束させ、AD変換ブロックの誤差を最小にするものとなっている。このような方式で校正を行うことで、原理上は、誤差を推定するために多数のサンプル点を取得する必要がなくなり、少ないサンプル点で高精度な校正が実現可能となる。
図31は、図30のアナログ・デジタル変換器において、その各AD変換ブロックの内部構成例を示すブロック図ならびにその問題点の一例を示す説明図である。図31に示すように、各AD変換ブロックADC_BKは、例えば、複数段(ここでは9段)のステージSTG1〜STG9と、STG9の後段に接続されたフラッシュAD変換回路FADCとを備えたパイプライン構成となっている。STG1は、最上位部分となる複数ビットのデジタル信号(ここではMSBと呼ぶ)を生成し、次いで、STG1の出力信号を受けてSTG2がMSBに続く下位ビットを生成し、以降同様にして、STG3〜STG9が順次下位ビットを生成する。そして、最後にFADCがSTG9の出力信号を受けて最下位部分の例えば3ビットを生成する。ここでは、STG2〜STG9およびFADCによって生成される下位ビットのデジタル信号をLSBと呼ぶ。STG1は、例えば、1ビットの冗長ビットを含んだ(3+1)ビットを生成し、STG2〜STG9は、例えば、それぞれ、0.5ビットの冗長ビットを含んだ1.5ビットを生成する。この場合、図31のAD変換ブロックは、FADCの3ビットを含めて全体として14ビットのデジタル信号を生成する。
STG1は、より詳細には、アナログ入力信号Vi1を複数ビット(ここでは3+1ビット)のデジタル信号に変換するAD変換回路ADC1と、このデジタル信号を入力としてアナログ信号Va1’に変換するDA変換回路DAC1と、(Vi1−Va1’)を演算する減算回路SUB1と、その出力電圧Va1を増幅するオペアンプ回路OP1を備えている。OP1は、ここでは(3+1)ビットに対応して8倍のゲインを持ち、その出力電圧(残差信号等と呼ばれる)Vo1をSTG2に伝送する。このような構成において、アナログ・デジタル変換器の精度に影響を及ぼす主要因として、DA変換回路DAC1の変換誤差や、オペアンプ回路OP1の非線形性(オペアンプ回路が差動構成の場合、具体的には奇数次の非線形性)が挙げられる。DAC1の変換誤差やオペアンプ回路OP1の非線形性は、後述するスイッチトキャパシタ回路の各種特性によって生じる。
図32は、図31のAD変換ブロックADC_BKにおいて、その初段のステージSTG1の詳細な構成例を示す回路図である。図33は、図32におけるアンプ回路AMP1の入出力特性の一例を示す説明図である。STG1は、図32に示すようなスイッチトキャパシタ回路を用いて実現できる。図32に示すスイッチトキャパシタ回路は、アンプ回路AMP1と、容量Cfおよびスイッチ回路SWfと、n個の容量C[1]〜C[n]およびスイッチ回路SW[1]〜SW[n]と、スイッチデコーダSDECから構成される。当該スイッチトキャパシタ回路は、図31におけるDA変換回路DAC1、減算回路SUB1、およびオペアンプ回路OP1に対応する。
CfおよびSWfは、AMP1の負帰還経路に並列に接続される。AMP1の正極(+)入力ノードは接地電源電圧GNDに接続される。C[1]〜C[n]の一端は、AMP1の負極(−)入力ノードに共通に接続され、C[1]〜C[n]の他端は、それぞれ、SW[1]〜SW[n]の一端に接続される。SW[1]〜SW[n]のそれぞれの他端には、アナログ入力信号Vi1か基準電圧(+Vref又は−Vref)か0V電圧のいずれかが選択的に印加される。SDECは、AD変換回路ADC1の出力に応じて前述したSW[1]〜SW[n]の他端に印加する電圧信号を選択する。
このスイッチトキャパシタ回路は、次のように動作する。まず、SWfがオンに制御され、SW[1]〜SW[n]の他端にVi1が印加される。次いで、SWfがオフに制御され、SW[1]〜SW[n]の他端に、+Vrefか−Vrefか0Vが印加される。ここで、C[1]〜C[n]のそれぞれが同一の容量値Csを持つと仮定すると、AMP1の出力電圧(残差信号)Vo1は、式(1)となる。
Vo1=(n・Cs/Cf)・Vi1±(m・Cs/Cf)・Vref (1)
式(1)において、(n・Cs/Cf)の値は、図31におけるOP1のゲインを定める。また、mの値は、SW[1]〜SW[n]の他端の中から+Vrefが印加される他端の個数と−Vrefが印加される他端の個数との差分値であり、図31におけるDAC1が差分値mの値を制御する。
このようなスイッチトキャパシタ回路では、C[1]〜C[n]に蓄えられる電荷をCfに再配分することで増幅ならびにDA変換を行っている。したがって、これらの容量値に相対的な製造ばらつき等(すなわち容量ミスマッチ)が生じると、図31におけるオペアンプ回路OP1のゲインならびにDA変換回路DAC1の変換値(すなわち式(1)における(n・Cs/Cf)や(m・Cs/Cf)の値)に誤差が生じる。
更に、OP1のゲインは、より厳密には、図32におけるアンプ回路AMP1の入出力特性にも影響される。AMP1の入出力特性は、図33に示すように、例えば負帰還回路(ここではボルテージフォロワ回路)を構成した場合、理想特性からずれた3次歪み特性を持つ。これに伴い、図31におけるオペアンプ回路OP1の入出力特性g(Va1)は、g(Va1)=α・Va1+α・Va1 で表される。αの値は、1次の非線形性を表し、前述した式(1)の(n・Cs/Cf)(すなわち容量ミスマッチ)に影響される。αの値は、3次の非線形性を表し、前述したようにAMP1の3次歪み特性に影響される。なお、アンプ回路自体は2次歪み特性も持つが、アンプ回路を差動構成とすることでこの特性は無視できる。
以上のようなことから、アナログ・デジタル変換器をより高精度化するためには、前述したDA変換回路DAC1ならびにオペアンプ回路OP1の1次の非線形性に影響を与える容量ミスマッチと共に、OP1の3次の非線形性を校正することが望ましい。本発明は、このようなことを鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、高精度なアナログ・デジタル変換器を提供することにある。また、他の目的の一つは、短い収束時間で高精度な校正を可能にするアナログ・デジタル変換器を提供することにある。本発明の前記並びにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
本願において開示される発明のうち、代表的な実施の形態の概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
本実施の形態によるアナログ・デジタル変換器は、アナログ入力信号を第1デジタル信号に変換する第1変換ブロックと当該アナログ入力信号を第2デジタル信号に変換する第2変換ブロックと、第1デジタル信号と第2デジタル信号を平均化してデジタル出力信号を生成すると共に、第1デジタル信号と第2デジタル信号の差分を用いてデジタル自己校正を行う校正ブロックとを備えている。第1および第2変換ブロックのそれぞれは、パイプライン構成を代表とする複数段のステージを備え、そのいずれかの段(例えば初段)には、第1論理値と第2論理値を持つ擬似乱数信号を順次生成する乱数生成回路と、擬似乱数信号の値が例えば第1論理値であった場合に当該段から出力される残差信号の大きさを第1の値だけシフトさせる第1手段とが備わっている。擬似乱数信号の値は、第1変換ブロック側と第2変換ブロック側とでそれぞれ別個独立に生成される。このような構成において、校正ブロックは、擬似乱数信号が第1論理値であった場合の第1デジタル信号と第2論理値であった場合の第1デジタル信号との間の差分値を第2デジタル信号を基準として計測し、当該差分値がアナログ入力信号の大きさに依らず一定となるように第1デジタル信号に対して補正値を加える。同様に、校正ブロックは、擬似乱数信号が第1論理値であった場合の第2デジタル信号と第2論理値であった場合の第2デジタル信号との間の差分値を第1デジタル信号を基準として計測し、当該差分値がアナログ入力信号の大きさに依らず一定となるように第2デジタル信号に対して補正値を加える。
このような構成を用いると、当該校正対象の段が備えるオペアンプ回路で生じた3次の非線形性を校正することが可能となり、アナログ・デジタル変換器の高精度化が実現可能となる。また、第1デジタル信号と第2デジタル信号の一方を基準として他方の校正を行うため、デジタル自己校正の収束時間を早めることが可能となる。
本願において開示される発明のうち、代表的な実施の形態によって得られる効果を簡単に説明すると、高精度なアナログ・デジタル変換器を実現可能になる。また、短い収束時間で高精度な校正を可能にするアナログ・デジタル変換器を実現可能になる。
本発明の一実施の形態によるアナログ・デジタル変換器において、その全体構成の一例を示すブロック図である。 図1のアナログ・デジタル変換器において、そのステージ[1]の伝達関数の一例を示す説明図である。 図1のアナログ・デジタル変換器において、その主要部の詳細な構成例を示すブロック図である。 図3の主要な動作例を説明する図であり、(a)は当該動作に関連する構成を簡略的に示したブロック図、(b)はステージ[1]から出力される残差信号の一方を表す伝達関数、(c)はステージ[1]から出力される残差信号の他方を表す伝達関数である。 (a)は、図4(a)におけるステージ[1]ならびに1ビットのDA変換回路の詳細な構成例を示す回路図であり、(b)は、図5(a)におけるAD変換回路の詳細な構成例を示す回路図である。 (a)、(b)は、図1のアナログ・デジタル変換器において、その3次非線形性校正部の動作概念を示す説明図である。 (a)、(b)は、図6の各差分値が図1における一方のステージ[1]に対応する場合の各差分値の計測方法の一例を示す説明図である。 (a)、(b)は、図6の各差分値が図1における他方のステージ[1]に対応する場合の各差分値の計測方法の一例を示す説明図である。 図7において、差分値を算出するための構成例を示す回路ブロック図である。 図1のアナログ・デジタル変換器において、その3次非線形性校正部の詳細な構成例を示すブロック図である。 図1のアナログ・デジタル変換器において、図10の3次非線形性校正部および図1のゲインミスマッチ校正部の動作例を示すフロー図である。 図1のアナログ・デジタル変換器において、そのゲインミスマッチ校正部の詳細な構成例を示すブロック図である。 図12のゲインミスマッチ校正部の動作例を示す説明図である。 図12のゲインミスマッチ校正部の動作例を示す説明図である。 図1のアナログ・デジタル変換器において、その1次非線形性校正部の詳細な構成例を示すブロック図である。 図15の動作例を説明するための補足図である。 図15の動作例を説明するための補足図である。 図15の動作例を説明するための補足図である。 図15の動作例を説明するための補足図である。 図1のデジタル・アナログ変換器において、そのシミュレーション条件を纏めた表である。 図1のデジタル・アナログ変換器において、その精度面でのシミュレーション結果を纏めた表である。 図21における実際の算出データを示した図である。 図21における実際の算出データを示した図である。 図21における実際の算出データを示した図である。 図21における実際の算出データを示した図である。 図21における実際の算出データを示した図である。 図21における実際の算出データを示した図である。 図1のデジタル・アナログ変換器において、その収束時間面でのシミュレーション結果を示す算出データである。 図18のIIRフィルタの収束時間面でのシミュレーション結果を示す算出データである。 本発明の前提として検討したアナログ・デジタル変換器において、スプリット構成のパイプライン型AD変換器の概略構成例を示すブロック図である。 図30のアナログ・デジタル変換器において、その各AD変換ブロックの内部構成例を示すブロック図ならびにその問題点の一例を示す説明図である。 図31のAD変換ブロックにおいて、その初段のステージの詳細な構成例を示す回路図である。 図32におけるアンプ回路の入出力特性の一例を示す説明図である。
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらは互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
また、実施の形態の各機能ブロックを構成する回路素子は、特に制限されないが、公知のCMOS(相補型MOSトランジスタ)等の集積回路技術によって、単結晶シリコンのような半導体基板上に形成される。以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
《アナログ・デジタル変換器の全体構成》
図1は、本発明の一実施の形態によるアナログ・デジタル変換器において、その全体構成の一例を示すブロック図である。図1に示すアナログ・デジタル変換器は、2個のAD変換ブロックADC_BKa,ADC_BKbと、校正ブロック(キャリブレーションブロック)CLB_BKによって構成される。ADC_BKaは、アナログ入力信号Viに対してパイプライン式にデジタル変換を行うステージ[1]STG1a及びバックエンドAD変換部ADC_BEaと、1ビットのDA変換回路DAC_1Baとを備えている。同様に、ADC_BKbは、アナログ入力信号Viに対してパイプライン式にデジタル変換を行うステージ[1]STG1b及びバックエンドAD変換部ADC_BEbと、1ビットのDA変換回路DAC_1Bbとを備えている。
STG1aは、アナログ入力信号Viを受けて、最上位部分となる複数ビット(ここでは1ビットの冗長ビットを含む(3+1)ビット)のデジタル信号MSBaを生成する。ADC_BEaは、STG1aからの出力信号を受けて、MSBaに続く下位ビットから最下位ビットまでのデジタル信号D1a(LSBa)を生成する。DAC_1Baは、詳細は後述するが、CLB_BKからのデジタル信号に応じてSTG1aに対してアナログ信号を供給する。同様に、STG1bは、Viを受けて、最上位部分となる複数ビット(ここでは1ビットの冗長ビットを含む(3+1)ビット)のデジタル信号MSBbを生成する。ADC_BEbは、STG1bからの出力信号を受けて、MSBbに続く下位ビットから最下位ビットまでのデジタル信号D1b(LSBb)を生成する。DAC_1Bbは、詳細は後述するが、CLB_BKからのデジタル信号に応じてSTG1bに対してアナログ信号を供給する。
校正ブロックCLB_BKは、AD変換ブロックADC_BKa,ADC_BKbからのデジタル信号D1a,D1bに対してデジタル信号処理により各種校正(補正)を行った後、校正後のデジタル信号Doを出力するものとなっている。デジタル信号D1a,D1bは、ADC_BKa,ADC_BKbのステージ[1]STG1a,STG1bから出力された残差信号を表しており、これを校正するということは、STG1a,STG1bの伝達関数(入力電圧(アナログ入力信号)に対する出力電圧(残差信号)の特性)を校正することに等しい。言い換えれば、バックエンドAD変換部ADC_BEa,ADC_BEbがSTG1a,STG1bの伝達関数を計測し、その計測結果に対してCLB_BKが校正を行う。通常、パイプライン型AD変換器は、より前段で生じた誤差ほど全体の変換精度に与える影響が大きいため、初段のステージ[1]を校正することで全体の変換精度の向上が図れる。また、見方を変えれば、初段のステージ[1]を校正することで、初段に低精度の回路を使用することができ、これにより、全体として高精度を維持しつつ、更なる高速化ならびに低消費電力化を図ることが可能となる。
校正ブロックCLB_BKは、ランダム信号生成部RNGa,RNGbと、3次非線形性校正部CLB_3RDと、ゲインミスマッチ校正部CLB_GMと、1次非線形性校正部CLB_1STと、デジタル加算部DADD1〜DADD3と、平均値演算部AVEを備えている。RNGaは、前述したDA変換回路DAC_1BaとCLB_GMに向けて、擬似ランダムデジタル信号を出力する。RNGbは、前述したDA変換回路DAC_1BbとCLB_GMに向けて、擬似ランダムデジタル信号を出力する。CLB_3RDは、詳細は後述するが、RNGa,RNGbからAD変換ブロックADC_BKa,ADC_BKbに向けた擬似ランダムデジタル信号の出力を利用し、当該出力が反映されているADC_BKa,ADC_BKbからのデジタル信号D1a,D1bを受け、これに対してSTG1a,STG1bの伝達関数に生じた3次の非線形性の校正を行う。そして、CLB_3RDは、この校正後のデジタル信号D2a,D2bを出力すると共に、校正の処理過程で生成したデジタル信号#H11a,#H11bを出力する。
ゲインミスマッチ校正部CLB_GMは、詳細は後述するが、CLB_3RDからのデジタル信号D2a,D2bならびにデジタル信号#H11a,#H11bを受け、STG1a,STG1bの伝達関数に生じたゲインの誤差を補正する。また、CLB_GMは、RNGa,RNGbからの擬似ランダムデジタル信号を受け、RNGa,RNGbの影響が反映されているデジタル信号D2a,D2bから、この影響を除外する。そして、CLB_GMは、これらの処理を経て生成されたデジタル信号D3a,D3bを出力する。
デジタル加算部DADD1は、CLB_GMからのデジタル信号D3aと、AD変換ブロックADC_BKaからのMSBaとを加算し、デジタル信号D4aを出力する。デジタル加算部DADD2は、CLB_GMからのデジタル信号D3bと、AD変換ブロックADC_BKbからのMSBbとを加算し、デジタル信号D4bを出力する。1次非線形性校正部CLB_1STは、デジタル信号D4a,D4bに対して、STG1a,STG1bの伝達関数に生じた1次の非線形性等の校正を行ったのち、デジタル信号D5a,D5bを出力する。なお、このCLB_1STは、例えば、前述した非特許文献2の技術を用いることで実現可能である。デジタル加算部DADD3は、D5aとD5bを加算し、平均値演算部AVEは、DADD3の加算結果を平均化することで最終的なデジタル信号Doを生成する。
図2は、図1のアナログ・デジタル変換器において、そのステージ[1]STGの伝達関数の一例を示す説明図である。各AD変換ブロックADC_BKa,ADC_BKb内のステージ[1]STG1a,STG1bでの入出力特性は、図2に示すように、横軸を入力電圧(アナログ入力信号Vi)、縦軸を出力電圧(残差信号)とする伝達関数によって表すことができる。この出力電圧(残差信号)は、バックエンドAD変換部ADC_BEa,ADC_BEbによってデジタル信号LSBa,LSBbに変換される。また、出力電圧の最大電圧値はVrefであり、最小電圧値は−Vrefである。伝達関数は、図2に示すような鋸歯状の波形となり、この歯の数は、ステージ[1]STG1a,STG1bでの変換ビット数や変換方式に応じて適宜定められる。例えば、1ビットの冗長ビットを含めた4ビット変換を行う場合、代表的には15個程度の歯が設けられる。ただし、本実施の形態では、この歯の数等は特に限定されないため、図2は、伝達関数の一部を概略的に示したものとなっている。
ADC_BKa内のSTG1aの伝達関数において、例えば、入力電圧がVth[j−1]〜Vth[j]の範囲にある場合、デジタル信号MSBaとして「i−1」が出力されると共に、入力電圧に応じた残差信号が出力される。また、入力電圧がVth[j]〜Vth[j+1]の範囲にある場合、MSBaとして「i」が出力されると共に、入力電圧に応じた残差信号が出力される。一方、ADC_BKb内のSTG1bの伝達関数においては、例えば、入力電圧がVth[k]〜Vth[k+1]の範囲にある場合、デジタル信号MSBbとして「i」が出力されると共に、入力電圧に応じた残差信号が出力される。また、入力電圧がVth[k+1]〜Vth[k+2]の範囲にある場合、MSBbとして「i+1」が出力されると共に、入力電圧に応じた残差信号が出力される。
ここで、STG1aの伝達関数とSTG1bの伝達関数を比較すると、一方の伝達関数は、他方の伝達関数と比較して、各MSBに対応する入力電圧範囲においてMSBの1ビット幅(ΔV)の1/2だけオフセットが加わったようなものとなっている。すなわち、例えば、MSB=「i」は、STG1aでは入力電圧がVth[j]〜Vth[j+1](=Vth[j]+ΔV)の範囲に対応し、STG1bでは入力電圧がVth[k](=Vth[j]−ΔV/2)〜Vth[k+1](=Vth[j]+ΔV/2)の範囲に対応する。
《アナログ・デジタル変換器の主要部の詳細》
図3は、図1のアナログ・デジタル変換器において、その主要部の詳細な構成例を示すブロック図である。ここでは、図を簡略化するためにシングルエンド回路の構成が示されているが、差動回路により構成することも可能である。図3には、図1におけるAD変換ブロックADC_BKa,ADC_BKbと、校正ブロックCLB_BK内のランダム信号生成部RNGa,RNGbが示されている。図3において、ステージ[1]STG1は、ここでは図1における2個のステージ[1]STG1a,STG1bを含んで構成される。このSTG1は、5ビットのAD変換回路ADC1abと、4ビットのDA変換回路DAC1a,DAC1bと、加減算回路AS1a,AS1bと、オペアンプ回路OP1a,OP1bを備えている。
AD変換回路ADC1abは、アナログ入力信号Vi(Vi1)を5ビットのデジタル信号に変換する。DAC1aは、ADC1abからの偶数番目のデジタル出力信号を受けて、それに応じたアナログ出力信号を生成し、DAC1bは、ADC1abからの奇数番目のデジタル出力信号を受けて、それに応じたアナログ出力信号を生成する。加減算回路AS1aは、Viに対してDAC1aからのアナログ出力信号を減算すると共に1ビットのDA変換回路DAC_1Baからのアナログ出力信号を減算(あるいは加算)してアナログ出力信号Va1を生成する。同様に、加減算回路AS1bは、Viに対してDAC1bからのアナログ出力信号を減算すると共に1ビットのDA変換回路DAC_1Bbからのアナログ出力信号を減算(あるいは加算)してアナログ出力信号Vb1を生成する。
オペアンプ回路OP1aは、加減算回路AS1aからのアナログ出力信号Va1を所定のゲイン(ここでは8倍)で増幅する。同様に、オペアンプ回路OP1bは、加減算回路AS1bからのアナログ出力信号Vb1を所定のゲイン(ここでは8倍)で増幅する。OP1aからの出力電圧(残差信号)は、バックエンドAD変換部ADC_BEaに入力され、OP1bからの出力電圧(残差信号)は、バックエンドAD変換部ADC_BEbに入力される。ADC_BEaは、図31で述べたようにパイプライン構成となっており、それぞれ1.5ビット等を順次生成するステージ[2]STG2a〜ステージ[9]STG9aと、その後段に設けられ3ビット等を生成するフラッシュAD変換回路FADCaを備えている。同様に、ADC_BEbも、それぞれ1.5ビット等を順次生成するステージ[2]STG2b〜ステージ[9]STG9bと、その後段に設けられ3ビット等を生成するフラッシュAD変換回路FADCbを備えている。
1ビットのDA変換回路DAC_1Baは、ランダム信号生成部RNGaからの擬似ランダムデジタル信号に応じて0Vか、あるいは(Vref/16)V等を加減算回路AS1aに向けて出力する。同様に、1ビットのDA変換回路DAC_1Bbは、ランダム信号生成部RNGbからの擬似ランダムデジタル信号に応じて0Vか、あるいは(Vref/16)V等を加減算回路AS1bに向けて出力する。ここでは、特に限定はされないが、擬似ランダムデジタル信号が‘1’の場合に(Vref/16)Vが出力され、‘0’の場合に0Vが出力されるものとする。RNGa,RNGbは、例えば、LFSR(Linear Feedback Shift Register)等によって構成され、それぞれ、異なる初期値に基づいて独立に擬似ランダムデジタル信号を生成する。
図4は、図3の主要な動作例を説明する図であり、(a)は当該動作に関連する構成を簡略的に示したブロック図、(b)はステージ[1]から出力される残差信号の一方を表す伝達関数、(c)はステージ[1]から出力される残差信号の他方を表す伝達関数である。図4(a)には、アナログ入力信号Vi1を受けるステージ[1]STG1と、1ビットのDA変換回路DAC_1Bと、ランダム信号生成部RNGと、バックエンドAD変換部ADC_BEと、3次非線形性校正部CLB_3RDが示されている。STG1は、図1におけるステージ[1]STG1a,STG1bのそれぞれか、あるいは図3のステージ[1]における2系統の経路の一方を表している。また、DAC_1Bは、図1および図3におけるDAC_1Ba,DAC_1Bbのそれぞれを表し、RNGは、図1および図3におけるRNGa,RNGbのそれぞれを表し、ADC_BEは、図1および図3におけるADC_BEa,ADC_BEbのそれぞれを表す。
このような構成において、図4のSTG1が図1のSTG1aであった場合、対応するバックエンドAD変換部ADC_BEaによって計測されるSTG1aの残差信号(デジタル信号D1aに該当)は、図4(b)に示すような伝達関数となる。すなわち、RNGaが‘0’を出力した場合には、図4(b)の特性TCaに示すような伝達関数となり、RNGaが‘1’を出力した場合には、図4(b)の特性TCa’に示すような伝達関数となる。同様に、図4のSTG1が図1のSTG1bであった場合、対応するバックエンドAD変換部ADC_BEbによって計測されるSTG1bの残差信号(デジタル信号D1bに該当)は、図4(c)に示すような伝達関数となる。すなわち、RNGbが‘0’を出力した場合には、図4(c)の特性TCbに示すような伝達関数となり、RNGbが‘1’を出力した場合には、図4(c)の特性TCb’に示すような伝達関数となる。
このように、ランダム信号生成部RNGa,RNGbが‘1’を出力した場合には、Vref/16がオペアンプ回路OP1a,OP1bによって8倍に増幅されるため、結果的に、伝達関数の縦軸方向においてVref/2のシフトが生じる。本実施の形態のアナログ・デジタル変換器では、このVref/2のシフトを利用して3次の非線形性の校正を行う。その詳細に関しては、図6以降で説明する。
《パイプラインステージ周りの詳細回路構成》
図5(a)は、図4(a)におけるステージ[1]STG1ならびに1ビットのDA変換回路DAC_1Bの詳細な構成例を示す回路図であり、図5(b)は、図5(a)におけるAD変換回路の詳細な構成例を示す回路図である。STG1ならびにDAC_1Bは、例えば図5(a)に示すようなスイッチトキャパシタ回路を用いて実現できる。図5(a)に示すスイッチトキャパシタ回路は、アンプ回路AMP1と、容量Cfおよびスイッチ回路SWfと、n個の容量C[1]〜C[n]およびスイッチ回路SW[1]〜SW[n]と、容量Crおよびスイッチ回路SWrと、スイッチデコーダSDECから構成される。当該スイッチトキャパシタ回路では、図4(a)における1ビットのDA変換回路DAC_1Bが、容量Crおよびスイッチ回路SWrによって実現されることが特徴となっている。
CfおよびSWfは、AMP1の負帰還経路に並列に接続される。AMP1の正極(+)入力ノードは接地電源電圧GNDに接続される。C[1]〜C[n]の一端は、AMP1の負極(−)入力ノードに共通に接続され、C[1]〜C[n]の他端は、それぞれ、SW[1]〜SW[n]の一端に接続される。SW[1]〜SW[n]のそれぞれの他端には、アナログ入力信号Vi1か基準電圧(+Vref又は−Vref)か0V電圧のいずれかが選択的に印加される。SDECは、AD変換回路ADC1の出力に応じて前述したSW[1]〜SW[n]の他端に印加する電圧信号を選択する。
また、Crの一端は、AMP1の負極(−)入力ノードに接続され、Crの他端は、SWrの一端に接続される。SWrの他端には、基準電圧(+Vref)か0V電圧のいずれかが選択的に印加される。SWrは、ランダム信号生成部RNGが‘1’を出力した際には他端を+Vrefに接続し、RNGが‘0’を出力した際には他端を0V電圧に接続する。ここで、C[1]〜C[n]は、それぞれ容量値Csを備え、Crは容量値Cs/2を備える。
このスイッチトキャパシタ回路は、次のように動作する。まず、SWfがオンに制御され、SW[1]〜SW[n]の他端にVi1が印加される。次いで、SWfがオフに制御され、SW[1]〜SW[n]の他端に、+Vrefか−Vrefか0Vが印加され、更に、SWrの他端に+Vrefか0Vが印加される。そうすると、AMP1の出力電圧(残差信号)Vo1は、式(2)となる。
Vo1=(n・Cs/Cf)・Vi1±(m・Cs/Cf)・Vref−{r・(Cs/2)/Cf}・Vref (2)
式(2)において、(n・Cs/Cf)の値は、図4(a)におけるOP1のゲインを定める。mの値は、SW[1]〜SW[n]の他端の中から+Vrefが印加される他端の個数と−Vrefが印加される他端の個数との差分値であり、図4(b)におけるDAC1が差分値mの値を制御する。また、rの値は、RNGが‘1’を出力した場合には「1」であり、‘0’を出力した場合には「0」である。なお、Cfの容量値もCsとした場合、式(2)は式(3)となる。
Vo1=n・Vi1±m・Vref−r・(1/2)・Vref (3)
また、図5(a)におけるAD変換回路ADC1は、例えば、図5(b)に示すようなフラッシュ型AD変換回路で実現できる。図5(b)に示すADC1は、m個のコンパレータ回路CMP[1]〜CMP[m]と、エンコーダ回路ENCを備えている。CMP[1]は、判定電圧Vth[1]を基準にアナログ入力信号Vi1を比較判定し、CMP[2]は、判定電圧Vth[2]を基準にVi1を比較判定し、以降同様にして、CMP[m]は、判定電圧Vth[m]を基準にVi1を比較判定する。ENCは、CMP[1]〜CMP[m]からの比較判定結果を受けてMSBを生成する。ここで、図4(a)のSTG1がSTG1aの場合とSTG1bの場合とでは、Vth[1]〜Vth[m]のそれぞれの値が異なっている。例えば、STG1aのVth[j]をVjとし、Vth[j+1]をVj+ΔVとすると、STG2aのVth[j],Vth[j+1]は、それぞれVj−ΔV/2,Vj+ΔV/2となっている。これによって、図2に示したような伝達関数が実現可能となる。
《3次非線形性校正部の詳細》
図6(a)、(b)は、図1のアナログ・デジタル変換器において、その3次非線形性校正部CLB_3RDの動作概念を示す説明図である。図6(a)には、3次非線形性の校正を行わない場合において、STG1a(又はSTG1b)の伝達関数の一例が示されている。図6(a)において、伝達関数上の特性TCおよび特性TC’は、STG1a(又はSTG1b)から出力される残差信号に該当し、図1におけるデジタル信号D1a(又はD1b)に該当するものである。特性TC’は、図4で説明したように、ランダム信号生成部RNGの‘1’出力に伴い特性TCが縦軸方向にVref/2だけシフトしたものである。
図6(a)における特性TCおよびTC’は、それぞれ、図33等で述べたように、3次の非線形性を持っている。ここで、TCとTC’は、それぞれ縦軸方向のレンジがVref/2だけ異なるため、横軸方向の推移に応じてその3次の歪みの量も異なる。すなわち、TCおよびTC’は、図33に示すように、縦軸の原点(0)近辺では、3次の歪みの影響が小さく、原点から遠ざかるにつれて3次の歪みの影響が大きくなる。その結果、図6(a)に示すように、原点近辺におけるTCとTC’の差分値H12は、3次の歪みの影響が小さく、原点から離れた位置におけるTCとTC’の差分値H11は、3次の歪みの影響が大きくなる。また、特性TC,TC’は鋸歯であるため、この3次の歪みの影響が小さい領域と3次の歪みの影響が大きい領域が、横軸方向のおよそMSB/2単位の推移に応じて、交互に生じることになる。そこで、図6(b)に示すように、このH11とH12の大きさを逐次計測して、「H11の平均値=H12の平均値」となるように補正を行えば、3次の非線形性を校正することが可能となる。
次に、図7〜図10を用いて、3次非線形性校正部CLB_3RDの詳細な処理内容について説明する。図7(a)、(b)は、図6の各差分値H11,H12が図1における一方のステージ[1]STG1aに対応する場合の各差分値の計測方法の一例を示す説明図である。図6で述べたような各差分値H11,H12を計測する際、ある時刻において特性TCとTC’が同時に出力されている訳ではないため、何らかの工夫が必要となる。例えば、ランダム信号生成部RNGの出力が‘0’の場合の残差信号と、‘1’の場合の残差信号を長期間に亘って観測し、それぞれの特性TCおよびTC’の曲がり方を認識すると共に統計的な処理によって校正を行う方法が考えられる。しかしながら、このような方法では、収束時間が長くなる恐れがある。そこで、ここでは、ある時刻において同時に出力されている他方のステージ[1]STG1bからの残差信号を利用し、これを基準として各差分値H11,H12を計測する。これによって、短い収束時間で高精度な校正を行うことが可能となる。
図7(a)には、RNGbが‘0’を出力した際にSTG1bから出力される残差信号の特性TCbを基準として、RNGaが‘0’を出力した際にSTG1aから出力される残差信号の特性TCaと、RNGaが‘1’を出力した際にSTG1aから出力される残差信号の特性TCa’との差分値を計測する例が示されている。まず、図6の差分値H11に対応する差分値H11aは、図7(a)に示すように、TCbを基準として、TCa’との差分値(Da011)を逐次計測ならびに平均化し、また、TCaとの差分値(Da001)を逐次計測ならびに平均化することで、「H11a=Da011の平均値−Da001の平均値」によって算出できる。
同様に、図6の差分値H12に対応する差分値H12aは、図7(a)に示すように、TCbを基準として、TCaとの差分値(Da002)を逐次計測ならびに平均化し、また、TCa’との差分値(Da012)を逐次計測ならびに平均化することで、「H12a=Da002の平均値−Da012の平均値」によって算出できる。ここで、H11a側の領域とH12a側の領域は、その境界において、TCbに応じて出力されたMSBbが1ビットシフトするか、あるいはTCa(TCa’)に応じて出力されたMSBaが1ビットシフトすることになるため、この各MSBの違いによって区別することができる。具体的には、例えば、図7(a)に示すように、MSBa=MSBbの領域をH11a側の領域とし、MSBa≠MSBbの領域をH12a側の領域とすることができる。
また、差分値H11a,H12aは、図7(b)に基づいて算出することも可能である。図7(b)には、図7(a)と異なりRNGbが‘1’を出力した際にSTG1bから出力される残差信号の特性TCb’を基準として、前述した特性TCaと特性TCa’の差分値を計測する例が示されている。まず、差分値H11aは、図7(b)に示すように、TCb’を基準として、TCa’との差分値(Da111)を逐次計測ならびに平均化し、また、TCaとの差分値(Da101)を逐次計測ならびに平均化することで、「H11a=Da111の平均値−Da101の平均値」によって算出できる。
同様に、差分値H12aは、図7(b)に示すように、TCb’を基準として、TCaとの差分値(Da102)を逐次計測ならびに平均化し、また、TCa’との差分値(Da112)を逐次計測ならびに平均化することで、「H12a=Da102の平均値−Da112の平均値」によって算出できる。ここで、H11a側の領域とH12a側の領域は、その境界において、TCb’に応じて出力されたMSBbが1ビットシフトするか、あるいはTCa(TCa’)に応じて出力されたMSBaが1ビットシフトすることになるため、この各MSBの違いによって区別することができる。
図8(a)、(b)は、図6の各差分値H11,H12が図1における他方のステージ[1]STG1bに対応する場合の各差分値の計測方法の一例を示す説明図である。この場合は、図7(a),(b)の場合と逆に、ある時刻において同時に出力されている一方のステージ[1]STG1aからの残差信号を利用し、これを基準として各差分値H11,H12を計測する。
図8(a)には、RNGaが‘0’を出力した際にSTG1aから出力される残差信号の特性TCaを基準として、RNGbが‘0’を出力した際にSTG1bから出力される残差信号の特性TCbと、RNGbが‘1’を出力した際にSTG1bから出力される残差信号の特性TCb’との差分値を計測する例が示されている。まず、図6の差分値H11に対応する差分値H11bは、図8(a)に示すように、TCaを基準として、TCbとの差分値(Db001)を逐次計測ならびに平均化し、また、TCb’との差分値(Db011)を逐次計測ならびに平均化することで、「H11b=Db001の平均値−Db011の平均値」によって算出できる。
同様に、図6の差分値H12に対応する差分値H12bは、図8(a)に示すように、TCaを基準として、TCb’との差分値(Db012)を逐次計測ならびに平均化し、また、TCbとの差分値(Db002)を逐次計測ならびに平均化することで、「H12b=Db012の平均値−Db002の平均値」によって算出できる。ここで、H11b側の領域とH12b側の領域は、その境界において、TCaに応じて出力されたMSBaが1ビットシフトするか、あるいはTCb(TCb’)に応じて出力されたMSBbが1ビットシフトすることになるため、この各MSBの違いによって区別することができる。
また、差分値H11b,H12bは、図8(b)に基づいて算出することも可能である。図8(b)には、図8(a)と異なりRNGaが‘1’を出力した際にSTG1aから出力される残差信号の特性TCa’を基準として、前述した特性TCbと特性TCb’の差分値を計測する例が示されている。まず、差分値H11bは、図8(b)に示すように、TCa’を基準として、TCbとの差分値(Db101)を逐次計測ならびに平均化し、また、TCb’との差分値(Db111)を逐次計測ならびに平均化することで、「H11b=Db101の平均値−Db111の平均値」によって算出できる。
同様に、差分値H12bは、図8(b)に示すように、TCa’を基準として、TCb’との差分値(Db112)を逐次計測ならびに平均化し、また、TCbとの差分値(Db102)を逐次計測ならびに平均化することで、「H12b=Db112の平均値−Db102の平均値」によって算出できる。ここで、H11b側の領域とH12b側の領域は、その境界において、TCa’に応じて出力されたMSBaが1ビットシフトするか、あるいはTCb(TCb’)に応じて出力されたMSBbが1ビットシフトすることになるため、この各MSBの違いによって区別することができる。
図9は、図7において、差分値H11aを算出するための構成例を示す回路ブロック図である。ここでは、差分値H11aを例とするが、勿論、前述した差分値H12a,H11b,H12bも同様な構成で算出可能である。図9に示す構成例は、所謂IIR(Infinite Impulse Response)フィルタであり、重み付け回路WT11,WT12,WT21,WT22と、デジタル加減算回路DAS1〜DAS3と、1サイクル遅延回路DLY1,DLY2を備えている。図9に示すように、図7(a)に示した差分値Da011は、WT11によってμ3aの重み付けがなされた後、DAS1に出力される。図7(a)に示した差分値Da001は、WT21によって同じくμ3aの重み付けがなされた後、DAS2に出力される。
DAS1の出力は、DLY1による1サイクルの遅延を経て、WT12により(μ3a−1)の重み付けがなされたのち、自身の入力に帰還される。DAS1は、WT11の出力からWT12の出力を減算したのち、新たな出力を生成する。ここで、定数μ3aを適切に設定することでDa011の移動平均が算出される。同様に、DAS2の出力は、DLY2による1サイクルの遅延を経て、WT22により(μ3a−1)の重み付けがなされたのち、自身の入力に帰還される。DAS2は、WT21の出力からWT22の出力を減算したのち、新たな出力を生成する。ここで、定数μ3aを適切に設定することで、Da001の移動平均が算出される。DAS3は、DAS1の出力からDAS2の出力を減算し、その結果を差分値H11aとして出力する。
図10は、図1のアナログ・デジタル変換器において、その3次非線形性校正部CLB_3RDの詳細な構成例を示すブロック図である。図10に示す3次非線形性校正部CLB_3RDは、演算回路CALC_A1,CALC_B1,CALC_Ea,CALC_Eb、計測回路MEAS1、デジタル加減算回路DAS10a,DAS10b,DAS11a,DAS11b,DAS12、アキュムレータ回路ACMa,ACMb、重み付け回路WT30a,WT30bを備えている。
図10のCLB_3RDは、図1に示したように、バックエンドAD変換部ADC_BEa,ADC_BEbから出力されたデジタル信号D1a,D1bを入力として、デジタル信号D2a,D2bおよびデジタル信号#H11a,#H11bを出力する。D1aは、DAS11aを介して3次の非線形性の補正が行われ、この補正後のデジタル信号がD2aとして出力されると共に、DAS12の一方に入力される。同様に、D1bは、DAS11bを介して3次の非線形性の補正が行われ、この補正後のデジタル信号がD2bとして出力されると共に、DAS12の他方に入力される。DAS12は、このD2aとD2bの差分を算出すると共に、その算出結果をMEAS1に出力する。この算出結果は、各サイクル毎に、図7(a)、(b)に示したDa001,Da002,Da011,Da012,Da101,Da102,Da111,Da112のいずれかに該当することになる。なお、図7(a)、(b)内には、(RNGa,RNGb)=(0,0),(0,1),(1,0),(1,1)の組み合わせが全て含まれており、図8(a)、(b)に示したDbxxxは、実際には、図7(a)、(b)に示したDaxxxのいずれかに該当することになる。
MEAS1は、例えば、図9に示したようなIIRフィルタを複数備え、ここでは、MSBa,MSBbおよびRNGa,RNGbの情報を用いて、前述した各Daxxx毎の平均値#Daxxxおよび各Dbxxx毎の平均値#Dbxxxを算出すると共に、前述したH11a,H12a,H11b,H12bを算出する。すなわち、RNGa,RNGbの組み合わせによって、図7(a)、(b)(および図8(a)、(b))のいずれの場合に該当するかを識別でき、MSBa,MSBbによって、3次の非線形性の影響が大きい領域(すなわちH11側)か3次の非線形性の影響が小さい領域(すなわちH12側)かを識別できる。MEAS1は、この識別結果に応じて選択されたIIRフィルタを用いてH11a,H12a,H11b,H12bを算出する。なお、非線形性の影響が大きい領域と非線形性の影響が小さい領域は、図6(a)等に示したようにそれぞれ交互に複数箇所存在することになるが、この複数箇所同士は特に区別する必要はなく、非線形性の影響が大きい領域であるか非線形性の影響が小さい領域であるかの2つを区別すればよい。
CALC_A1は、各サイクル毎にMEAS1から時系列的に出力されるH11a,H12aを受けて、その平均値#H11a,#H12aを算出する。同様に、CALC_B1は、各サイクル毎にMEAS1から時系列的に出力されるH11b,H12bを受けて、その平均値#H11b,#H12bを算出する。そして、CALC_A1は、#H11a,#H12aをDAS10aに出力すると共に、図1の1次非線形性校正部CLB_1STに向けて#H11a(又は#H12aでもよい)を出力する。同様に、CALC_B1は、#H11b,#H12bをDAS10bに出力すると共に、CLB_1STに向けて#H11b(又は#H12bでもよい)を出力する。なお、この平均値の算出は、場合によっては省略することも可能である。すなわち、MEAS1によって平均値#Daxxxおよび平均値#Dbxxxが算出されているため、これらの平均値に基づいて算出されたH11,H12も、ある程度平均化された値となる。
DAS10aは、#H11a−#H12aを演算し、その演算結果をWT30aに出力する。WT30aは、DAS10aからの演算結果に対してμの重み付けを加えてACMaに出力する。同様に、DAS10bは、#H11b−#H12bを演算し、その演算結果をWT30bに出力する。WT30bは、DAS10bからの演算結果に対してμの重み付けを加えてACMbに出力する。ACMaは、WT30aからの出力を累積加算し、その演算結果p3aをCALC_Eaに出力する。同様に、ACMbは、WT30bからの出力を累積加算し、その演算結果p3bをCALC_Ebに出力する。すなわち、p3a,p3bのそれぞれ(p)は、累積回数をNとして、式(4)で定められる。
(N)=p(N−1)+μ(#H11−#H12) (4)
CALC_Eaは、式(4)で与えられるp(p3a)と、デジタル信号D1aを用いて式(5)で定められる逆関数e(D1a,p3a)を演算する。同様に、CALC_Ebは、式(4)で与えられるp(p3b)と、デジタル信号D1bを用いて式(5)で定められる逆関数e(D1b,p3b)を演算する。
Figure 2011205191
DAS11aは、D1aからCALC_Eaの演算結果e(D1a,p3a)を減算し、その結果を新たな出力としてDAS12の一方に出力する。同様に、DAS11bは、D1bからCALC_Ebの演算結果e(D1b,p3b)を減算し、その結果を新たな出力としてDAS12の他方に出力する。式(5)の逆関数は、3次の非線形性を相殺するための関数であり、pの値が最適化された際に、デジタル信号D1の値に応じて3次の非線形誤差を相殺する最適な補正値を導出するものである。このpの値を最適化するため、#H11と#H12の誤差をWT30によって増幅し、ACMが、この誤差を反映してpの値を更新している。このようなアルゴリズムは、所謂最小二乗法(LMS)に基づくアルゴリズムとなっており、結果的には、「(#H11−#H12)=0」に向けて収束し、これに伴いpが最適値に収束する。
以上のような処理によって、デジタル信号D2a,D2bは、3次の非線形性が校正されたデジタル信号となる。なお、CALC_Ea,CALC_Ebは、プロセッサ等の演算回路で実現することも可能であるが、より高速化を図るためには、予め式(5)における入力と出力の具体的な数値を記憶したテーブルを設け、このテーブルに基づいて演算を行えばよい。
図11は、図1のアナログ・デジタル変換器において、図10の3次非線形性校正部CLB_3RDおよび図1のゲインミスマッチ校正部CLB_GMの動作例を示すフロー図である。図11において、S1101〜S1106は、図1および図10の3次非線形性校正部CLB_3RDの処理に該当し、S1107はゲインミスマッチ校正部CLB_GMの処理に該当する。まず、CLB_3RDは、ランダム信号生成部RNGa,RNGbの組み合わせに応じてデジタル信号D1aとD1bの差分を算出する(S1101)。例えば、(RNGa,RNGb)=(0,0)の際の差分をdab00とし、(RNGa,RNGb)=(0,1)の際の差分をdab01とし、(RNGa,RNGb)=(1,0)の際の差分をdab10とし、(RNGa,RNGb)=(1,1)の際の差分をdab11とする。
次いで、CLB_3RDは、3次の非線形性の影響が強い領域(例えばMSBa=MSBbとなる領域)で、例えば、「hanl=dab00−dab10」(すなわち図7(a)のH11aに該当)と「hbnl=dab00−dab01」(すなわち図8(a)のH11bに該当)を算出する(S1102)。また、3次の非線形性の影響が弱い領域(例えばMSBa≠MSBbとなる領域)で、例えば、「hal=dab00−dab10」(すなわち図7(a)のH12aに該当)と「hbl=dab00−dab01」(すなわち図8(a)のH12bに該当)を算出する(S1103)。これらS1101〜S1103の処理は、前述したように図10における計測回路MEAS1によって行われる。
続いて、CLB_3RDは、図10の演算回路CALC_Eを用いて、式(5)のe(D1,p)を演算し(S1104)、それをデジタル信号D1a,D1bに反映させた後、アキュムレータ回路ACMを用いてpを更新する(S1105)。そして、このS1104とS1105の処理を「hanl−hal」(および「hbnl−hbl」)が十分に小さくなるまで繰り返す(S1106)。「hanl−hal」(および「hbnl−hbl」)が十分に小さくなると、ゲインミスマッチ校正部CLB_GMは、必要に応じて、ゲイン補正およびオフセット補正を行う(S1107)。以下、このS1107での処理に関して詳細に説明する。
《ゲインミスマッチ校正部の詳細》
図12は、図1のアナログ・デジタル変換器において、そのゲインミスマッチ校正部CLB_GMの詳細な構成例を示すブロック図である。図13および図14は、それぞれ、図12のゲインミスマッチ校正部CLB_GMの動作例を示す説明図である。図12に示すゲインミスマッチ校正部CLB_GMは、デジタルスイッチ回路DSWa,DSWbと、デジタル加減算回路DAS20a,DAS20bと、乗算回路MUL1,MUL2a,MUL2bを備える。
前述したように、3次非線形性校正部CLB_3RDから出力されるデジタル信号D2a,D2bは、ランダム信号生成部RNGa,RNGbの出力が‘0’の場合を基準として、RNGa,RNGbの出力が‘1’の場合に所定のオフセットが加わることになる。そこで、CLB_GMは、図13に示すように、RNGa=‘1’の場合のデジタル信号D2a(特性TCa’)にCLB_3RDから出力された#Ha(#H11aあるいは#H12aでもよい)を加えることで、このオフセット分を元に戻す。また、RNGb=‘1’の場合のデジタル信号D2b(特性TCb’)にCLB_3RDから出力された#Hb(#H11bあるいは#H12bでもよい)を加えることで、このオフセット分を元に戻す。
また、3次非線形性校正部CLB_3RDから出力されるデジタル信号D2a,D2bは、場合によっては、伝達関数におけるD2aに対応する特性の傾きとD2bに対応する特性の傾きとに違いが生じることがある。そこで、CLB_GMは、図14に示すように、D2aに対応する特性TCaの傾きを基準として、D2bに対応する特性TCbの傾きが一致するように、TCbに対して補正を行う。これによって、TCaとTCbのゲインミスマッチを解消できる。なお、ここでは、特性TCaの傾きを基準として特性TCbの傾きを補正したが、勿論、逆に特性TCbの傾きを基準として特性TCaの傾きを補正してもよい。
図13および図14で述べたような処理を行うため、図12のゲインミスマッチ校正部CLB_GMは、次のように動作する。まず、DSWaは、RNGaの出力が‘1’であった場合に#H11aを選択して出力し、RNGaの出力が‘0’であった場合に「0」を選択して出力する。同様に、DSWbは、RNGbの出力が‘1’であった場合に#H11bを選択して出力し、RNGbの出力が‘0’であった場合に「0」を選択して出力する。DAS20aは、デジタル信号D2aにDSWaの出力を加算して出力し、DAS20bは、デジタル信号D2bにDSWbの出力を加算して出力する。これによって、前述した図13の処理が実現可能となる。
また、MUL1は、DAS20bの出力に対して#H11a/#H11bの係数を乗算して出力する。この係数#H11a/#H11bは、図14における特性TCaと特性TCbの傾きの違いを表すことになるため、これによって図14の処理が実現可能となる。このような処理を経て、DAS20aの出力は、MUL2aで2−3倍されることでビットの桁位置が調整されたのちデジタル信号D3aとして出力され、MUL1の出力も、MUL2bで2−3倍されることでビットの桁位置が調整されたのちデジタル信号D3bとして出力される。
《1次非線形性校正部の詳細》
図15は、図1のアナログ・デジタル変換器において、その1次非線形性校正部CLB_1STの詳細な構成例を示すブロック図である。図16〜図19は、それぞれ、図15の動作例を説明するための補足図である。図15に示す1次非線形性校正部CLB_1STは、デジタル加減算回路DAS30,DAS31a,DAS31bと、計測回路MEAS2と、演算回路CALC_A2,CALC_B2を備えている。CLB_1STは、図1等に示したように、3次の非線形性の校正とゲインミスマッチの校正が行われたのち、MSBとの結合が行われたデジタル信号D4a,D4bを対象とし、主に、図31で説明したDA変換回路DAC1の容量ミスマッチや、オペアンプ回路OP1の1次の非線形性の校正を行う。そして、校正が行われたデジタル信号D5a,D5bを出力する。図15の詳細な説明に先だって、まずは、その動作概念の説明を行う。
図16には、ステージ[1]STG1a,STG1bにおける伝達関数の一例と、これに対応して得られるアナログ入力信号とデジタル出力信号の関係が示されている。図16の伝達関数において、STG1aの特性TCaと、STG1bの特性TCbは、それぞれ、MSBが切り替わる毎にオフセットが生じている。これは、図31のDAC1に容量ミスマッチが存在し、これに伴いその変換後のアナログ電圧にばらつきが生じることや、図31のOP1に1次の非線形性等が存在することが主要因となっている。そうすると、アナログ入力信号とデジタル出力信号の関係で見た場合、図16に示すように、階段状の特性となり、各段の高さにもばらつきが生じることになる。この特性がより直線に近づくほど、アナログ・デジタル変換器の特性は理想的となるため、CLB_1STは、この各段の高さを測定して、それを「0」に近づけるような校正を行う。
図17には、図16で述べた各段の高さの測定方法の一例が示されている。図17に示すように、MSBaとLSBaを結合した特性と、MSBbとLSBbを結合した特性は、前述したDAC1の容量ミスマッチや、LSBa,LSBbの傾き誤差(1次の非線形性)に伴いMSBの切り替わりで段差が生じている。ここで、STG1aの特性TCaとSTG2aの特性TCbとでは、図2で述べたようにMSB/2分のオフセットを設けているため、TCa,TCbの一方を基準として他方の段差を計測することが可能となる。例えば、TCbを基準として、MSBaが「i−1」の時の高さをΔ(i−1)2として計測し、MSBaが「i」の時の高さをΔi1として計測する。この場合、(Δi1−Δ(i−1)2)がMSBaの「i」から「i−1」への切り替わりに伴うエラー成分となる。同様に、TCaを基準とすれば、MSBbの切り替わりに伴うエラー成分も算出できる。
図18には、所謂IIRフィルタの構成例が示されている。図17で述べたような各Δの値は、ノイズ等の影響を低減するため、図18に示すようなIIRフィルタに入力され、その結果、#Δとして平均化される。IIRフィルタの構成に関しては、前述した図9と同様であり、重み付けの係数μ1aを調整することで最適なフィルタリングが可能となる。そして、図19に示すように、この平均化された#Δを各MSB毎に累積加算し、入力されたデジタル信号毎に、当該デジタル信号のMSBに対応する累積加算値を減算することで、前述したような階段状の段差が校正できる。すなわち、例えば、デジタル信号D4bのMSBbが「2」であった場合、D4bから「#Δ1B+#Δ2B」の減算を行えばよい。
以上のような動作を実現するため、図15におけるDAS30は、デジタル信号D4aからデジタル信号D4bを減算し、その減算結果をMEAS2に出力する。MEAS2は、各減算結果(すなわちΔiA,ΔiB)をIIRフィルタを用いて平均化する。これによって、図17および図18の処理が実現可能となる。各ΔiAの各平均値#ΔiAは、CALC_A2によってMSBa毎に累積加算され、各ΔiBの各平均値#ΔiBは、CALC_B2によってMSBb毎に累積加算される。そして、DAS31aにD4aが入力された際、D4aのMSBaに応じた補正値がCALC_A2より出力され、DAS31aは、D4aから当該補正値を減算してデジタル信号D5aを生成する。同様に、DAS31bにD4bが入力された際、D4bのMSBbに応じた補正値がCALC_B2より出力され、DAS31bは、D4bから当該補正値を減算してデジタル信号D5bを生成する。これによって、図19の処理が実現可能となる。
《本実施の形態による代表的な効果》
以上、本発明の一実施の形態によるデジタル・アナログ変換器を用いることによる代表的な効果を述べると次のようになる。まず、容量ミスマッチや1次の非線形性に加えて3次の非線形性(オペアンプ回路が差動構成の場合、奇数次の非線形性)を校正できることから、高精度化が実現可能になる。また、スプリット構成を利用し、バックグラウンドデジタル自己校正により一方の出力結果を基準として他方の出力結果を校正することで、短い収束時間で高精度な校正が実現可能となる。更に、このような自己校正を、パイプライン構成の初段に適用することで、初段に低精度のオペアンプ回路を使用することができ、パイプライン型AD変換器の低消費電力化、高速化が実現可能となる。
《シミュレーション結果》
続いて、図1に示したデジタル・アナログ変換器を対象にシミュレーションを行った結果について説明する。図20は、図1のデジタル・アナログ変換器において、そのシミュレーション条件を纏めた表である。図20に示すように、まず、サブDAC(図3のDAC1a,DAC1b)の容量ミスマッチは、両方のステージ[1]STG1a,STG1b共に5%(σ)に設定されている。STG1aにおけるオペアンプ(図3のOP1a)の入出力特性(非線形性)は、「ga1(Va1)=7.6Va1+(−15.2)Va1 」に設定され、STG1bにおけるオペアンプ(図3のOP1b)の入出力特性は、「gb1(Vb1)=7.5Vb1+(−15)Vb1 」に設定されている。
また、3次の非線形性の補正に関し、STG1a,STG1bにおけるLMSループのステップサイズ(図10のWT30a,WT30b)は、μ=μ=1/8192に設定され、IIRフィルタのゲイン(図9)は、μ3a=μ3b=1/512に設定されている。1次の非線形性の補正に関し、STG1a,STG1bにおけるIIRフィルタのゲイン(図18)は、μ1a=μ1b=1/1024に設定されている。
図21は、図1のデジタル・アナログ変換器において、その精度面でのシミュレーション結果を纏めた表である。図22〜図27のそれぞれは、図21における実際の算出データを示した図である。図21には、INL(Integral Non Linearity)、DNL(Differential Non Linearity)、SNDR(Signal to Noise and Distortion Ratio)、ENOB(Effective Number Of Bits)を指標として、補正なし、補正有り(一部)、補正有り(全て)の場合でシミュレーションを行った結果が示されている。補正有り(一部)は、図1の校正ブロックCLB_BKにおいて1次非線形性校正部CLB_1STのみを備えた場合であり、補正有り(全て)は、これに加えて、3次非線形性校正部CLB_3RDとゲインミスマッチ校正部CLB_GMを備えた場合である。図21に示すように、補正なし、補正有り(一部)、補正有り(全て)と進むに従い、全ての指標において改善効果が得られている。例えば、ENOB(有効ビット数)では、補正なし、補正有り(一部)、補正有り(全て)の場合で、それぞれ、7.5ビット程度、11ビット程度、12ビット程度と改善されている。
図28は、図1のデジタル・アナログ変換器において、その収束時間面でのシミュレーション結果を示す算出データである。図29は、図18のIIRフィルタの収束時間面でのシミュレーション結果を示す算出データである。図28に示すように、図10で説明した3次の非線形性の校正に伴うLMSループは、6×10程度のサンプル数で収束している。これは、例えばサンプリングレートを10MS/sとした場合、約0.06秒に該当する。一方、非特許文献1に記載されているような統計的手法に基づく校正を行った場合、通常、5×10程度のサンプル数が必要とされる。これは、サンプリングレートを10MS/sとした場合、約5秒に該当する。したがって、本実施の形態のデジタル・アナログ変換器を用いることで、非特許文献1等と比較して、収束時間を1/100程度に短縮できる。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
例えば、これまでの実施の形態では、パイプライン構成の初段を対象にバックグラウンドデジタル自己校正を行ったが、必ずしも初段である必要はなく、場合によっては、2段目以降のいずれかの段に適用することも可能である。ただし、各段の内でも最も精度が要求される段(デジタル・アナログ変換器の精度全体に与える影響が最も大きい段)に適用することが望ましく、多くのパイプライン型デジタル・アナログ変換器では、通常、それが初段に該当する。
また、これまでの実施の形態では、スプリット構成のパイプライン型デジタル・アナログ変換器を用いたが、これに限らずスプリット構成のサイクリック型デジタル・アナログ変換器等に適用することも可能である。スプリット構成のサイクリック型デジタル・アナログ変換器では、例えば、図1においてステージ[1]STG1a,STG1bの後段となるバックエンドAD変換部ADC_BEa,ADC_BEbがそれぞれ1個のステージで構成され、当該ステージの出力を入力に複数回ループさせることでパイプライン型と同様な動作が行われる。この場合においても、例えばSTG1a,STG1bに対して前述したバックグラウンドデジタル自己校正を適用することで、高精度化や、加えて収束時間の短縮が図れる。
本実施の形態によるデジタル・アナログ変換器は、例えば、デジタルテレビ用LSI、携帯電話用LSI、ミリ波用カスタムマイコン等において画像処理用、通信処理用として用いられるパイプライン型デジタル・アナログ変換器に適用して特に有益なものであり、これに限らず、様々な製品で用いられる各種デジタル・アナログ変換器に対して広く適用可能である。
ACM アキュムレータ回路
ADC AD変換回路
ADC_BE バックエンドAD変換部
ADC_BK AD変換ブロック
AMP アンプ回路
AS 加減算回路
AVE 平均値演算部
C,Cr、Cf 容量
CALC 演算回路
CLB_1ST 1次非線形性校正部
CLB_3RD 3次非線形性校正部
CLB_BK 校正ブロック
CLB_GM ゲインミスマッチ校正部
CMP コンパレータ回路
D デジタル信号
DAC DA変換回路
DAC_1B 1ビットのDA変換回路
DADD デジタル加算部
DAS デジタル加減算回路
DLY 遅延回路
DSW デジタルスイッチ回路
Do デジタル出力信号
ENC エンコーダ回路
FADC フラッシュAD変換回路
MEAS 計測回路
MUL 乗算回路
OP オペアンプ回路
RNG ランダム信号生成部
SDEC スイッチデコーダ回路
STG ステージ
SUB 減算回路
SW スイッチ回路
Vi アナログ入力信号
WT 重み付け回路

Claims (11)

  1. アナログ入力信号を第1デジタル信号に変換し、入力された第1アナログ信号の大きさに応じて前記第1デジタル信号の一部となる第1Aビット群と共に第1A残差信号を出力する第1Aステージと、入力された前記第1A残差信号の大きさに応じて前記第1デジタル信号の他の一部となる第1Bビット群と共に第1B残差信号を出力する第1Bステージとを含んだ第1変換ブロックと、
    前記アナログ入力信号を第2デジタル信号に変換し、入力された第2アナログ信号の大きさに応じて前記第2デジタル信号の一部となる第2Aビット群と共に第2A残差信号を出力する第2Aステージと、入力された前記第2A残差信号の大きさに応じて前記第2デジタル信号の他の一部となる第2Bビット群と共に第2B残差信号を出力する第2Bステージとを含んだ第2変換ブロックと、
    3次非線形性校正部を含み、前記第1および前記第2デジタル信号を補正すると共に、それぞれの補正後の値を平均化することでデジタル出力信号を生成する校正ブロックとを備え、
    前記第1Aステージは、
    第1論理値と第2論理値を持つ第1擬似乱数信号を順次生成する第1乱数生成回路と、
    前記第1擬似乱数信号の値が予め定めた前記第1論理値か前記第2論理値のいずれか一方であった場合に前記第1A残差信号の大きさを第1の値だけシフトする第1手段とを備え、
    前記第2Aステージは、
    前記第1論理値と前記第2論理値を持つ第2擬似乱数信号を順次生成する第2乱数生成回路と、
    前記第2擬似乱数信号の値が予め定めた前記第1論理値か前記第2論理値のいずれか一方であった場合に前記第2A残差信号の大きさを前記第1の値だけシフトする第2手段とを備え、
    前記3次非線形性校正部は、
    前記第1擬似乱数信号が前記第1論理値であった場合の前記第1デジタル信号と前記第2論理値であった場合の前記第1デジタル信号との間の第1差分値を前記第2デジタル信号を基準として計測し、前記第1差分値が前記第1アナログ信号の大きさに依らず一定となるように前記第1デジタル信号に対して補正値を加えることで第3デジタル信号を出力し、
    前記第2擬似乱数信号が前記第1論理値であった場合の前記第2デジタル信号と前記第2論理値であった場合の前記第2デジタル信号との間の第2差分値を前記第1デジタル信号を基準として計測し、前記第2差分値が前記第2アナログ信号の大きさに依らず一定となるように前記第2デジタル信号に対して補正値を加えることで第4デジタル信号を出力することを特徴とするアナログ・デジタル変換器。
  2. 請求項1記載のアナログ・デジタル変換器において、
    前記第1Aステージは、前記第1アナログ信号を横軸とし前記第1A残差信号を縦軸として、1個の鋸歯が前記第1Aビット群の1ビット分に該当する鋸歯状の第1伝達関数を持ち、
    前記第2Aステージは、前記第2アナログ信号を横軸とし前記第2A残差信号を縦軸として、1個の鋸歯が前記第2Aビット群の1ビット分に該当する鋸歯状の第2伝達関数を持ち、
    前記第2伝達関数は、前記第1伝達関数と比較して、前記第1Aビット群または前記第2Aビット群の0.5ビット分だけ横軸方向にシフトするように設定され、
    前記3次非線形性校正部は、
    前記第1Aビット群の値が「i」で前記第2Aビット群の値も前記「i」である場合に計測した前記第1差分値を逐次平均化して第11平均差分値を算出し、前記第1Aビット群の値が前記「i」で前記第2Aビット群の値が「i+1」である場合に計測した前記第1差分値を逐次平均化して第12平均差分値を算出し、前記第11平均差分値と前記第12平均差分値が等しくなるように前記第1デジタル信号に対して第1補正値を加え、
    前記第2Aビット群の値が前記「i」で前記第1Aビット群の値が「i−1」である場合に計測した前記第2差分値を逐次平均化して第21平均差分値を算出し、前記第2Aビット群の値が前記「i」で前記第1Aビット群の値も前記「i」である場合に計測した前記第2差分値を逐次平均化して第22平均差分値を算出し、前記第21平均差分値と前記第22平均差分値が等しくなるように前記第2デジタル信号に対して第2補正値を加えることを特徴とするアナログ・デジタル変換器。
  3. 請求項2記載のアナログ・デジタル変換器において、
    前記3次非線形性校正部は、前記第1補正値を算出する第1逆関数と、前記第2補正値を算出し、前記第1逆関数と同一の式である第2逆関数とを備え、最小二乗法によって前記第11平均差分値と前記第12平均差分値が等しくなるように前記第1逆関数のパラメータを更新し、最小二乗法によって前記第21平均差分値と前記第22平均差分値が等しくなるように前記第2逆関数のパラメータを更新することを特徴とするアナログ・デジタル変換器。
  4. 請求項2記載のアナログ・デジタル変換器において、
    前記校正ブロックは、更に、前記3次非線形性校正部から前記第3および第4デジタル信号と、前記第11平均差分値または前記第12平均差分値と、前記第21平均差分値または前記第22平均差分値とが入力されるミスマッチ校正部を備え、
    前記ミスマッチ校正部は、
    前記第1擬似乱数信号に応じて前記第1A残差信号の大きさが前記第1の値だけシフトした場合には、前記第3デジタル信号に対して前記第11平均差分値または前記第12平均差分値を加算または減算することで当該シフト分を元に戻した第5デジタル信号を出力し、シフトしない場合には、前記第3デジタル信号をそのまま前記第5デジタル信号として出力する第3手段と、
    前記第2擬似乱数信号に応じて前記第2A残差信号の大きさが前記第1の値だけシフトした場合には、前記第4デジタル信号に対して前記第21平均差分値または前記第22平均差分値を加算または減算することで当該シフト分を元に戻した第6デジタル信号を出力し、シフトしない場合には、前記第4デジタル信号をそのまま前記第6デジタル信号として出力する第4手段とを有することを特徴とするアナログ・デジタル変換器。
  5. 請求項4記載のアナログ・デジタル変換器において、
    前記ミスマッチ校正部は、更に、前記第5デジタル信号または前記第6デジタル信号の一方に対して、前記第11平均差分値または前記第12平均差分値と、前記第21平均差分値または前記第22平均差分値との間の大きさの比率を乗算する第5手段を有することを特徴とするアナログ・デジタル変換器。
  6. 請求項4記載のアナログ・デジタル変換器において、
    前記校正ブロックは、更に、前記ミスマッチ校正部から前記第5および第6デジタル信号が入力される1次非線形性校正部を備え、
    前記1次非線形性校正部は、
    前記第1Aビット群の値が前記「i」で前記第2Aビット群の値も前記「i」の場合における前記第5デジタル信号と前記第6デジタル信号の間の第3差分値を平均化し、前記第1Aビット群の値が前記「i」で前記第2Aビット群の値が前記「i+1」の場合における前記第5デジタル信号と前記第6デジタル信号の間の第4差分値を平均化する第6手段と、
    前記第2Aビット群の値が前記「i」で前記第1Aビット群の値が前記「i−1」の場合における前記第5デジタル信号と前記第6デジタル信号の間の第5差分値を平均化し、前記第2Aビット群の値が前記「i」で前記第1Aビット群の値も前記「i」の場合における前記第5デジタル信号と前記第6デジタル信号の間の第6差分値を平均化する第7手段と、
    前記第3差分値の平均値と前記第4差分値の平均値を加算し、この加算結果を用いて前記第5デジタル信号を補正する第8手段と、
    前記第5差分値の平均値と前記第6差分値の平均値を加算し、この加算結果を用いて前記第6デジタル信号を補正する第9手段とを有することを特徴とするアナログ・デジタル変換器。
  7. アナログ入力信号を第1デジタル信号に変換し、入力された前記アナログ入力信号の大きさに応じて前記第1デジタル信号の最上位ビットを含む第1上位ビット群と共に第1残差信号を出力する第1初段ステージと、入力された前記第1残差信号の大きさに応じて前記第1デジタル信号における前記第1上位ビット群に続くビットから最下位ビットまでとなる第1下位ビット群を順次出力するパイプライン構成の第1後段ステージとを含んだ第1変換ブロックと、
    前記アナログ入力信号を第2デジタル信号に変換し、入力された前記アナログ入力信号の大きさに応じて前記第2デジタル信号の最上位ビットを含む第2上位ビット群と共に第2残差信号を出力する第2初段ステージと、入力された前記第2残差信号の大きさに応じて前記第2デジタル信号における前記第2上位ビット群に続くビットから最下位ビットまでとなる第2下位ビット群を順次出力するパイプライン構成の第2後段ステージとを含んだ第2変換ブロックと、
    3次非線形性校正部を含み、前記第1および前記第2デジタル信号を補正すると共に、それぞれの補正後の値を平均化することでデジタル出力信号を生成する校正ブロックとを備え、
    前記第1初段ステージは、
    前記アナログ入力信号の大きさに応じて前記第1上位ビット群を出力する第1サブアナログデジタル変換回路と、
    前記第1上位ビット群に応じた第1アナログ変換信号を生成する第1サブデジタルアナログ変換回路と、
    第1擬似乱数信号を生成する第1乱数生成回路と、
    前記第1擬似乱数信号の論理値に応じてゼロか第1の値を持つ第1アナログ乱数信号を生成する第1回路と、
    前記アナログ入力信号から前記第1アナログ変換信号を減算すると共に前記第1アナログ乱数信号を加算または減算する第1加減算回路と、
    前記第1加減算回路の出力を所定のゲインで増幅し、前記第1残差信号を出力する第1オペアンプ回路とを備え、
    前記第2初段ステージは、
    前記アナログ入力信号の大きさに応じて前記第2上位ビット群を出力する第2サブアナログデジタル変換回路と、
    前記第2上位ビット群に応じた第2アナログ変換信号を生成する第2サブデジタルアナログ変換回路と、
    第2擬似乱数信号を生成する第2乱数生成回路と、
    前記第2擬似乱数信号の論理値に応じて前記ゼロか前記第1の値を持つ第2アナログ乱数信号を生成する第2回路と、
    前記アナログ入力信号から前記第2アナログ変換信号を減算すると共に前記第2アナログ乱数信号を加算または減算する第2加減算回路と、
    前記第2加減算回路の出力を所定のゲインで増幅し、前記第2残差信号を出力する第2オペアンプ回路とを備え、
    前記3次非線形性校正部は、
    前記第1アナログ乱数信号が前記ゼロであった場合の前記第1下位ビット群と前記第1の値であった場合の前記第1下位ビット群との間の第1差分値を前記第2下位ビット群を基準として計測し、前記第1差分値が前記アナログ入力信号の大きさに依らず一定となるように前記第1下位ビット群に対して補正値を加えることで第3下位ビット群を出力し、
    前記第2アナログ乱数信号が前記ゼロであった場合の前記第2下位ビット群と前記第1の値であった場合の前記第2下位ビット群との間の第2差分値を前記第1下位ビット群を基準として計測し、前記第2差分値が前記アナログ入力信号の大きさに依らず一定となるように前記第2下位ビット群に対して補正値を加えることで第4下位ビット群を出力することを特徴とするアナログ・デジタル変換器。
  8. 請求項7記載のアナログ・デジタル変換器において、
    前記第1サブアナログデジタル変換回路は、複数の第1コンパレータ回路を含んだフラッシュ型のアナログ・デジタル変換回路であり、
    前記第2サブアナログデジタル変換回路は、複数の第2コンパレータ回路を含んだフラッシュ型のアナログ・デジタル変換回路であり、
    前記複数の第1コンパレータ回路の内のk番目の第1コンパレータ回路の判定電圧をV1とし、(k+1)番目の第1コンパレータ回路の判定電圧をV1+ΔVとすると、前記複数の第2コンパレータ回路の内の前記k番目の第2コンパレータ回路の判定電圧はV1−Δ/2であり、前記(k+1)番目の第2コンパレータ回路の判定電圧はV1+ΔV/2であり、
    前記3次非線形性校正部は、
    前記第1上位ビット群の値が「i」で前記第2上位ビット群の値も前記「i」である場合に計測した前記第1差分値を逐次平均化して第11平均差分値を算出し、前記第1上位ビット群の値が前記「i」で前記第2上位ビット群の値が「i+1」である場合に計測した前記第1差分値を逐次平均化して第12平均差分値を算出し、前記第11平均差分値と前記第12平均差分値が等しくなるように前記第1下位ビット群に対して第1補正値を加え、
    前記第2上位ビット群の値が前記「i」で前記第1上位ビット群の値が「i−1」である場合に計測した前記第2差分値を逐次平均化して第21平均差分値を算出し、前記第2上位ビット群の値が前記「i」で前記第1上位ビット群の値も前記「i」である場合に計測した前記第2差分値を逐次平均化して第22平均差分値を算出し、前記第21平均差分値と前記第22平均差分値が等しくなるように前記第2下位ビット群に対して第2補正値を加えることを特徴とするアナログ・デジタル変換器。
  9. 請求項7記載のアナログ・デジタル変換器において、
    前記第1サブデジタルアナログ変換回路、前記第1回路、前記第1加減算回路、および前記第1オペアンプ回路は、前記第1回路の前記第1の値に対応する第1容量を含んだ第1スイッチトキャパシタ回路によって実現され、
    前記第2サブデジタルアナログ変換回路、前記第2回路、前記第2加減算回路、および前記第2オペアンプ回路は、前記第2回路の前記第1の値に対応する第2容量を含んだ第2スイッチトキャパシタ回路によって実現されることを特徴とするアナログ・デジタル変換器。
  10. 請求項8記載のアナログ・デジタル変換器において、
    前記3次非線形性校正部は、
    前記第11平均差分値と前記第12平均差分値との間の差分値を算出する第3加減算回路と、
    前記第3加減算回路の出力に対して第1の重み付けを行う第1重み付け回路と、
    前回に出力に対して前記第1重み付け回路の出力を累積加算することで現在の出力を更新する第1アキュムレータ回路と、
    前記第1アキュムレータ回路の出力と、前記第1下位ビット群とをパラメータとする第1逆関数を演算する第1演算回路と、
    前記第1下位ビット群から前記第1演算回路の演算結果を減算する第4加減算回路と、
    前記第21平均差分値と前記第22平均差分値との間の差分値を算出する第5加減算回路と、
    前記第5加減算回路の出力に対して第2の重み付けを行う第2重み付け回路と、
    前回に出力に対して前記第2重み付け回路の出力を累積加算することで現在の出力を更新する第2アキュムレータ回路と、
    前記第2アキュムレータ回路の出力と、前記第2下位ビット群とをパラメータとし、前記第1逆関数と同一の式で与えられる第2逆関数を演算する第2演算回路と、
    前記第2下位ビット群から前記第2演算回路の演算結果を減算する第6加減算回路とを有することを特徴とするアナログ・デジタル変換器。
  11. 請求項8記載のアナログ・デジタル変換器において、
    前記校正ブロックは、更に、前記3次非線形性校正部から前記第3および第4下位ビット群と、前記第11平均差分値または前記第12平均差分値と、前記第21平均差分値または前記第22平均差分値とが入力されるミスマッチ校正部を備え、
    前記ミスマッチ校正部は、
    前記第1アナログ乱数信号が前記第1の値であった場合には、前記第3下位ビット群に対して前記第11平均差分値または前記第12平均差分値を加算または減算することで前記第1の値を相殺した第5下位ビット群を出力し、前記第1アナログ乱数信号が前記ゼロであった場合には、前記第3下位ビット群をそのまま前記第5下位ビット群として出力する第3回路と、
    前記第2アナログ乱数信号が前記第1の値であった場合には、前記第4下位ビット群に対して前記第21平均差分値または前記第22平均差分値を加算または減算することで前記第1の値を相殺した第6下位ビット群を出力し、前記第2アナログ乱数信号が前記ゼロであった場合には、前記第4下位ビット群をそのまま前記第6下位ビット群として出力する第4回路とを有することを特徴とするアナログ・デジタル変換器。
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CN114584140A (zh) * 2022-02-21 2022-06-03 中国科学院微电子研究所 一种级间增益误差校准方法、装置、设备及介质

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