JP2011184489A - インク組成物、その製造方法及び画像形成方法 - Google Patents

インク組成物、その製造方法及び画像形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】耐擦過性に優れ、かつ、定着ローラーオフセットの発生が抑制された画像の形成が可能なインク組成物、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】有機溶剤の存在下で12時間以上、40℃〜80℃で熱処理された樹脂粒子と、顔料と、水とを含有するインク組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、インク組成物、その製造方法及び画像形成方法に関する。
画像形成方法は、インクジェットヘッドに設けられた多数のノズルからインクを液滴状に吐出することによって記録を行なうものであり、多種多様な記録媒体に対して高品位の画像を記録し得ること等から広く利用されている。
例えば、インク材料の含有成分としての1つである着色剤には、顔料が広く用いられており、顔料は水等の媒質中に分散されて用いられる。顔料を分散させて用いる場合、分散させたときの分散粒径や分散後の安定性、サイズ均一性、吐出ヘッドからの吐出性、及び画像濃度などが重要であり、これらを向上させる技術の検討が種々行なわれている。
その一方で、普通紙などに記録を行なうにあたって、上記画像濃度以外にも、耐擦過性(定着性)、定着ローラー表面に画像が転写してしまう定着ローラーオフセット(熱定着転写)などにおいて、充分な性能が得られていない場合がある。特に、インクジェット記録を高速化する場合が挙げられ、シャトルスキャン方式ではなく、1回のヘッド操作で記録可能なシングルパス方式で高速記録する場合の記録適性が求められるようになってきている。
上記に関連する技術として、印字不良を起こすことがなく、良好な印字が可能であるとして、一般的な手法によってインク材料を混合し、精密濾過を行ってインクを調製した後、エージング処理を施した該インクを常温以下、好ましくは10℃以下の温度環境下で再び精密濾過することで、脂肪酸の不溶性塩を再びインク中に溶解させることなく、除去することにより、水性インクを得る方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、他のインク成分の変化を伴うことなく、保存安定性(特に粘度安定性)が向上したインク組成物を得る方法として、ポリエステル樹脂を60〜70℃の雰囲気下で3〜6日間、熱エージング処理し、これを顔料分散液に添加するインク組成物の製造方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
特許第3274788号公報 特許第4214514号公報
しかしながら、特許文献1には、インクにエージング処理を施す方法が開示されるものの、濾過操作を繰り返す等の煩雑な操作が伴い問題であった。また、特許文献2に記載の方法は、樹脂を熱エージング処理する方法であり、熱エージングしただけでは加熱定着による定着ローラーオフセットの改良は充分ではないことが分かった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、耐擦過性に優れ、かつ、定着ローラーオフセットの発生が抑制された画像の形成が可能なインク組成物、及びその製造方法を提供することを目的とし、該目的を達成することを課題とする。
また、本発明は、耐擦過性に優れ、かつ、定着ローラーオフセットの発生が抑制された画像の形成が可能な画像形成方法を提供することを目的とし、該目的を達成することを課題とする。
<1> 有機溶剤の存在下で12時間以上、40℃〜80℃で熱処理された樹脂粒子と、顔料と、水とを含有するインク組成物。
<2> 前記有機溶剤のSP値が27.5以下である<1>に記載のインク組成物。
<3> 前記樹脂粒子の熱処理は、前記有機溶剤及び尿素の存在下で行われる<1>又は<2>に記載のインク組成物。
<4> 前記樹脂粒子が自己分散性樹脂粒子である<1>〜<3>のいずれか1項に記載のインク組成物。
<5> 有機溶剤の存在下で12時間以上、40℃〜80℃で樹脂粒子を熱処理する熱処理工程と、前記熱処理された樹脂粒子と顔料とを混合する混合工程と、を有するインク組成物の製造方法。
<6> 前記熱処理工程は、前記有機溶剤及び尿素の存在下で熱処理を行う<5>に記載のインク組成物の製造方法。
<7> 前記樹脂粒子が自己分散性樹脂粒子である<5>または<6>に記載のインク組成物の製造方法。
<8> <1>〜<4>のいずれか1項に記載のインク組成物を用いて記録媒体上に画像を形成する画像形成工程を有する画像形成方法。
<9> 前記画像形成工程後に前記画像を乾燥する乾燥工程と、前記乾燥工程後に前記画像を加熱部材に接触させることにより前記画像を前記記録媒体に定着する熱定着工程と、を有する<8>に記載の画像形成方法。
<10> 前記画像形成工程は、前記記録媒体上に処理液を付与する処理液付与工程を含み、前記記録媒体に付与された処理液に接触させて前記インク組成物を付与することにより前記画像を形成する<8>または<9>に記載の画像形成方法。
本発明によれば、耐擦過性に優れ、かつ、定着ローラーオフセットの発生が抑制された画像を記録可能なインク組成物、及びその製造方法を提供することができる。
また、本発明によれば、耐擦過性に優れ、かつ、定着ローラーオフセットの発生が抑制された画像の形成が可能な画像形成方法を提供することができる。
[インク組成物]
本発明のインク組成物は、有機溶剤の存在下で、12時間以上、40℃〜80℃で熱処理された樹脂粒子と、顔料と、水とを含有して構成され、必要に応じて、更に分散剤や界面活性剤、その他の成分を用いて構成することができる。
<熱処理樹脂粒子>
本発明のインク組成物は、有機溶剤の存在下で、12時間以上、40℃〜80℃で熱処理された樹脂粒子(熱処理樹脂粒子)の少なくとも1種を含有して構成される。
樹脂粒子は、有機溶剤の存在下で、熱処理されることによりその成膜性は向上し、また、熱処理された樹脂粒子を含むインク組成物により形成された画像の耐擦過性は顕著に向上する。一方、樹脂粒子を分散した水溶液の熱処理では、樹脂粒子の成膜性向上の効果は発揮されず、また、これを含むインク組成物により形成された画像の耐擦過性は向上しない。
熱処理樹脂粒子を含むインク組成物により形成された画像の耐擦過性が向上するメカニズムについては定かではないが、樹脂粒子が有機溶剤の存在下で、12時間以上、40℃〜80℃の温度範囲で熱処理させることで、樹脂粒子中に有機溶剤が入り込み、熱処理された樹脂粒子の最低像膜温度(MFT)は下がり、その結果、熱処理樹脂粒子の成膜性が向上し、熱処理された樹脂粒子を含むインク組成物を用いて形成された画像の耐擦過性は優れたものとなると推測される。
前記熱処理温度が40℃未満であると、熱処理樹脂粒子の成膜性は向上せず、また、それを含むインク組成物により形成された画像の耐擦過性も向上しない。また、80℃を超えると耐定着ローラーオフセット性が悪化する。
前記熱処理温度は、樹脂粒子の成膜性、及び画像の耐擦過性の更なる向上の観点から、50℃〜80℃であることが好ましく、50℃〜70℃であることがより好ましく、50℃〜60℃であることが特に好ましい。
上記熱処理の時間(熱処理時間)は12時間以上であればよく、12時間未満であると熱処理が不十分となり樹脂粒子の成膜性が向上しないし、また、耐定着ローラーオフセット性も向上しない。
前記樹脂粒子の熱処理は、有機溶剤の存在下で行われるが、有機溶剤と尿素の存在下で行われることが好ましい態様である。
前記尿素を更に含んだ存在下で熱処理が行われることで、耐定着ローラーオフセット性が更に向上する。
前記熱処理される樹脂粒子と有機溶剤との質量比率(P:S)としては、前記熱処理樹脂粒子の成膜性及び画像の耐擦過性の向上の観点から、100:50〜100:400が好ましく、100:60〜100:300がより好ましく、100:80〜100:250が更に好ましい。
更に、前記尿素を用いた場合、前記熱処理樹脂粒子の成膜性及び画像の耐定着ローラーオフセット性の向上の観点から、樹脂粒子と尿素との質量比率(P:U)は、100:20〜100:300が好ましく、100:30〜100:250がより好ましく、100:50〜100:200が更に好ましい。
熱処理樹脂粒子(特に自己分散性樹脂粒子)のインク組成物中における含有量としては、画像の耐擦過性の向上の観点から、インク組成物の全質量に対して、1〜30質量%であることが好ましく、5〜15質量%であることがより好ましい。
熱処理樹脂粒子(特に自己分散性樹脂粒子)は、1種単独又は2種以上を混合して用いることができる。
(樹脂粒子)
本発明において、前記熱処理に用いられる樹脂粒子としては、例えば、熱可塑性、熱硬化性あるいは変性のアクリル系、エポキシ系、ポリウレタン系、ポリエーテル系、ポリアミド系、不飽和ポリエステル系、フェノール系、シリコーン系、又はフッ素系の樹脂、塩化ビニル、酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、又はポリビニルブチラール等のポリビニル系樹脂、アルキド樹脂、フタル酸樹脂等のポリエステル系樹脂、メラミン樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、アミノアルキド共縮合樹脂、ユリア樹脂、尿素樹脂等のアミノ系材料、あるいはそれらの共重合体又は混合物などのアニオン性基を有する樹脂の粒子が挙げられる。これらのうち、アニオン性のアクリル系樹脂は、例えば、アニオン性基を有するアクリルモノマー(アニオン性基含有アクリルモノマー)及び必要に応じて該アニオン性基含有アクリルモノマーと共重合可能な他のモノマーを溶媒中で重合して得られる。前記アニオン性基含有アクリルモノマーとしては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、及びホスホン基からなる群より選ばれる1以上を有するアクリルモノマーが挙げられ、中でもカルボキシル基を有するアクリルモノマー(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、エタアクリル酸、プロピルアクリル酸、イソプロピルアクリル酸、イタコン酸、フマル酸等)が好ましく、特にはアクリル酸又はメタクリル酸が好ましい。
樹脂粒子としては、吐出安定性及び顔料を用いた場合の液安定性(特に分散安定性)の観点から、自己分散性樹脂粒子が好ましく、カルボキシル基を有する自己分散性樹脂粒子がより好ましい。自己分散性樹脂粒子とは、他の界面活性剤の不存在下に、ポリマー自身が有する官能基(特に酸性基又はその塩)によって、水性媒体中で分散状態となり得る水不溶性ポリマーであって、遊離の乳化剤を含有しない水不溶性ポリマーの粒子を意味する。
ここで分散状態とは、水性媒体中に水不溶性ポリマーが液体状態で分散された乳化状態(エマルジョン)、及び、水性媒体中に水不溶性ポリマーが固体状態で分散された分散状態(サスペンジョン)の両方の状態を含むものである。
本発明における水不溶性ポリマーにおいては、液体組成物としたときの凝集速度と定着性の観点から、水不溶性ポリマーが固体状態で分散された分散状態となりうる水不溶性ポリマーであることが好ましい。
自己分散性樹脂粒子の分散状態とは、水不溶性ポリマー30gを70gの有機溶媒(例えば、メチルエチルケトン)に溶解した溶液、該水不溶性ポリマーの塩生成基を100%中和できる中和剤(塩生成基がアニオン性であれば水酸化ナトリウム、カチオン性であれば酢酸)、及び水200gを混合、攪拌(装置:攪拌羽根付き攪拌装置、回転数200rpm、30分間、25℃)した後、該混合液から該有機溶媒を除去した後でも、分散状態が25℃で少なくとも1週間安定に存在することを目視で確認することができる状態をいう。
また、水不溶性ポリマーとは、ポリマーを105℃で2時間乾燥させた後、25℃の水100g中に溶解させたときに、その溶解量が10g以下であるポリマーをいい、その溶解量が好ましくは5g以下、更に好ましくは1g以下である。前記溶解量は、水不溶性ポリマーの塩生成基の種類に応じて、水酸化ナトリウム又は酢酸で100%中和した時の溶解量である。
前記水性媒体は、水を含んで構成され、必要に応じて親水性の有機溶媒を含んでいてもよい。本発明においては、水と水に対して0.2質量%以下の親水性の有機溶媒から構成されることが好ましく、水から構成されることがより好ましい。親水性の有機溶媒は、特に限定されず、後述の自己分散性微粒子等に記載の有機溶媒等を用いることができる。
前記水不溶性ポリマーの主鎖骨格としては、特に制限は無く、例えば、ビニルポリマー、縮合系ポリマー(エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、セルロース、ポリエーテル、ポリウレア、ポリイミド、ポリカーボネート等)を用いることができる。その中で、特にビニルポリマーが好ましい。
ビニルポリマー及びビニルポリマーを構成するモノマーの好適な例としては、特開2001−181549号公報及び特開2002−88294号公報に記載されているものを挙げることができる。また、解離性基(あるいは解離性基に誘導できる置換基)を有する連鎖移動剤や重合開始剤、イニファーターを用いたビニルモノマーのラジカル重合や、開始剤或いは停止剤のどちらかに解離性基(あるいは解離性基に誘導できる置換基)を有する化合物を用いたイオン重合によって高分子鎖の末端に解離性基を導入したビニルポリマーも使用できる。
また、縮合系ポリマーと縮合系ポリマーを構成するモノマーの好適な例としては、特開2001−247787号公報に記載されているものを挙げることができる。
自己分散性樹脂粒子は、自己分散性の観点から、親水性の構成単位と芳香族基含有モノマーに由来する構成単位とを含む水不溶性ポリマーを含むことが好ましい。
前記親水性の構成単位は、親水性基含有モノマーに由来するものであれば特に制限はなく、1種の親水性基含有モノマーに由来するものであっても、2種以上の親水性基含有モノマーに由来するものであってもよい。前記親水性基としては、特に制限はなく、解離性基であってもノニオン性親水性基であってもよい。
本発明において前記親水性基は、自己分散促進の観点、形成された乳化又は分散状態の安定性の観点から、解離性基であることが好ましく、アニオン性の解離基であることがより好ましい。前記解離性基としては、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基などが挙げられ、中でも、インク組成物を構成した場合の定着性の観点から、カルボキシル基が好ましい。
親水性基含有モノマーは、自己分散性と凝集性の観点から、解離性基含有モノマーであることが好ましく、解離性基とエチレン性不飽和結合とを有する解離性基含有モノマーであることが好ましい。
解離性基含有モノマーとしては、例えば、不飽和カルボン酸モノマー、不飽和スルホン酸モノマー、不飽和リン酸モノマー等が挙げられる。
不飽和カルボン酸モノマーとして具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、2−メタクリロイルオキシメチルコハク酸等が挙げられる。不飽和スルホン酸モノマーとして具体的には、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリレート、ビス−(3−スルホプロピル)−イタコン酸エステル等が挙げられる。不飽和リン酸モノマーとして具体的には、ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、ビス(メタクリロキシエチル)ホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート等が挙げられる。
上記解離性基含有モノマーの中では、分散安定性、吐出安定性の観点から、不飽和カルボン酸モノマーが好ましく、アクリル系モノマーがより好ましく、特にはアクリル酸及びメタクリル酸がより好ましい。
自己分散性樹脂粒子は、自己分散性と処理液と接触したときの凝集速度の観点から、カルボキシル基を有するポリマーを含むことが好ましく、カルボキシル基を有し、酸価(mgKOH/g)が25〜100であるポリマーを含むことがより好ましい。更に、前記酸価は、自己分散性と処理液と接触したときの凝集速度の観点から、25〜80であることがより好ましく、30〜65であることが特に好ましい。
特に、酸価は、25以上であると自己分散性の安定性が良好になり、100以下であると凝集性が向上する。
前記芳香族基含有モノマーは、芳香族基と重合性基とを含む化合物であれば特に制限はない。前記芳香族基は芳香族炭化水素に由来する基であっても、芳香族複素環に由来する基であってもよい。本発明においては水性媒体中での粒子形状安定性の観点から、芳香族炭化水素に由来する芳香族基であることが好ましい。
また前記重合性基は、縮重合性の重合性基であっても、付加重合性の重合性基であってもよい。本発明においては水性媒体中での粒子形状安定性の観点から、付加重合性の重合性基であることが好ましく、エチレン性不飽和結合を含む基であることがより好ましい。
前記芳香族基含有モノマーは、(メタ)アクリレートモノマーに由来する構成単位を含むアクリル系樹脂が好ましく、芳香族基含有(メタ)アクリレートモノマーに由来する構成単位を含むアクリル系樹脂が好ましく、更には、芳香族炭化水素に由来する芳香族基とエチレン性不飽和結合とを有するモノマーであることが好ましい。芳香族基含有モノマーは、1種単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記芳香族基含有モノマーとしては、例えば、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、スチレン系モノマー等が挙げられる。中でも、ポリマー鎖の親水性と疎水性のバランスとインク定着性の観点から、芳香族基含有(メタ)アクリレートモノマーが好ましく、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、及びフェニル(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種がより好ましく、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートが更に好ましい。
なお、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
自己分散性樹脂粒子は、芳香族基含有(メタ)アクリレートモノマーに由来する構成単位を含み、その含有量が10質量%〜95質量%であることが好ましい。芳香族基含有(メタ)アクリレートモノマーの含有量が10質量%〜95質量%であることで、自己乳化又は分散状態の安定性が向上し、更にインク粘度の上昇を抑制することができる。
本発明においては、自己分散状態の安定性、芳香環同士の疎水性相互作用による水性媒体中での粒子形状の安定化、粒子の適度な疎水化による水溶性成分量の低下の観点から、15質量%〜90質量%であることがより好ましく、15質量%〜80質量%であることがより好ましく、25質量%〜70質量%であることが特に好ましい。
自己分散性樹脂粒子は、例えば、芳香族基含有モノマーに由来する構成単位と、解離性基含有モノマーに由来する構成単位とを用いて構成することができる。更に、必要に応じて、その他の構成単位を更に含んでもよい。
前記その他の構成単位を形成するモノマーとしては、前記芳香族基含有モノマーと解離性基含有モノマーと共重合可能なモノマーであれば特に制限はない。中でも、ポリマー骨格の柔軟性やガラス転移温度(Tg)制御の容易さの観点から、アルキル基含有モノマーであることが好ましい。
前記アルキル基含有モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、並びにヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等の水酸基を有するエチレン性不飽和モノマー、並びにジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、等の(メタ)アクリルエステル系モノマー;N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、Nーヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシブチル(メタ)アクリルアミド等のN−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド、並びにN−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−(n−,イソ)ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−(n−,イソ)ブトキシエチル(メタ)アクリルアミド等のN−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド等、等の(メタ)アクリルアミド系モノマーが挙げられる。
自己分散性樹脂粒子を構成する水不溶性ポリマーの分子量範囲は、重量平均分子量で、3000〜20万であることが好ましく、5000〜15万であることがより好ましく、10000〜10万であることが更に好ましい。重量平均分子量を3000以上とすることで水溶性成分量を効果的に抑制することができる。また、重量平均分子量を20万以下とすることで、自己分散安定性を高めることができる。
なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定した。GPCは、HLC−8220GPC(東ソー(株)製)を用い、カラムとして、TSKgeL SuperHZM−H、TSKgeL SuperHZ4000、TSKgel SuperHZ2000(いずれも東ソー(株)製の商品名)を用いて3本直列につなぎ、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いた。また、条件としては、試料濃度を0.35質量%、流速を0.35ml/min、サンプル注入量を10μl、測定温度を40℃とし、RI検出器を用いて行なった。また、検量線は、東ソー(株)製「標準試料TSK standard,polystyrene」:「F−40」、「F−20」、「F−4」、「F−1」、「A−5000」、「A−2500」、「A−1000」、「n−プロピルベンゼン」の8サンプルから作製した。
自己分散性樹脂粒子を構成する水不溶性ポリマーは、ポリマーの親疎水性制御の観点から、芳香族基含有(メタ)アクリレートモノマーに由来する構造単位(好ましくは、フェノキシエチル(メタ)アクリレートに由来する構造単位及び/又はベンジル(メタ)アクリレートに由来する構造単位)を共重合比率として自己分散性樹脂粒子の全質量の15〜80質量%を含むことが好ましい。
また、水不溶性ポリマーは、ポリマーの親疎水性制御の観点から、芳香族基含有(メタ)アクリレートモノマーに由来する構成単位を共重合比率として15〜80質量%と、カルボキシル基含有モノマーに由来する構成単位と、アルキル基含有モノマーに由来する構成単位(好ましくは、(メタ)アクリル酸のアルキルエステルに由来する構造単位)とを含むことが好ましく、フェノキシエチル(メタ)アクリレートに由来する構造単位及び/又はベンジル(メタ)アクリレートに由来する構造単位を共重合比率として15〜80質量%と、カルボキシル基含有モノマーに由来する構成単位と、アルキル基含有モノマーに由来する構成単位(好ましくは、(メタ)アクリル酸の炭素数1〜4のアルキルエステルに由来する構造単位)とを含むことがより好ましく、更には加えて、酸価が25〜100であって重量平均分子量が3000〜20万であることが好ましく、酸価が25〜95であって重量平均分子量が5000〜15万であることがより好ましい。
以下に、自己分散性樹脂粒子を構成する水不溶性ポリマーの具体例として、例示化合物B−01〜B−19を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、括弧内は共重合成分の質量比を表す。
B−01:フェノキシエチルアクリレート/メチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(50/45/5)
B−02:フェノキシエチルアクリレート/ベンジルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(30/35/29/6)
B−03:フェノキシエチルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(50/44/6)
B−04:フェノキシエチルアクリレート/メチルメタクリレート/エチルアクリレート/アクリル酸共重合体(30/55/10/5)
B−05:ベンジルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(35/59/6)
B−06:スチレン/フェノキシエチルアクリレート/メチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(10/50/35/5)
B−07:ベンジルアクリレート/メチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(55/40/5)
B−08:フェノキシエチルメタクリレート/ベンジルアクリレート/メタクリル酸共重合体(45/47/8)
B−09:スチレン/フェノキシエチルアクリレート/ブチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(5/48/40/7)
B−10:ベンジルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/シクロヘキシルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(35/30/30/5)
B−11:フェノキシエチルアクリレート/メチルメタクリレート/ブチルアクリレート/メタクリル酸共重合体(12/50/30/8)
B−12:ベンジルアクリレート/イソブチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(93/2/5)
B−13:スチレン/フェノキシエチルメタクリレート/ブチルアクリレート/アクリル酸共重合体(50/5/20/25)
B−14:スチレン/ブチルアクリレート/アクリル酸 共重合体(62/35/3)
B−15:メチルメタクリレート/フェノキシエチルアクリレート/アクリル酸共重合体(45/51/4)
B−16:メチルメタクリレート/フェノキシエチルアクリレート/アクリル酸共重合体(45/49/6)
B−17:メチルメタクリレート/フェノキシエチルアクリレート/アクリル酸共重合体(45/48/7)
B−18:メチルメタクリレート/フェノキシエチルアクリレート/アクリル酸共重合体(45/47/8)
B−19:メチルメタクリレート/フェノキシエチルアクリレート/アクリル酸共重合体(45/45/10)
自己分散性樹脂粒子を構成する水不溶性ポリマーの製造方法としては特に制限はなく、例えば、重合性界面活性剤の存在下に、乳化重合を行い、界面活性剤と水不溶性ポリマーとを共有結合させる方法、上記親水性基含有モノマーと芳香族基含有モノマーとを含むモノマー混合物を溶液重合法、塊状重合法等の公知の重合法により、共重合させる方法を挙げることができる。前記重合法の中でも、凝集速度とインク組成物としたときの打滴安定性の観点から、溶液重合法が好ましく、有機溶媒を用いた溶液重合法がより好ましい。
自己分散性樹脂粒子は、凝集速度の観点から、有機溶媒中で合成されたポリマーを含み、該ポリマーはカルボキシル基を有し、(好ましくは酸価が20〜100であって)該ポリマーのカルボキシル基の一部又は全部は中和され、水を連続相とするポリマー分散物として調製されたものであることが好ましい。すなわち、自己分散性樹脂粒子の製造は、有機溶媒中でポリマーを合成する工程と、前記ポリマーのカルボキシル基の少なくとも一部が中和された水性分散物とする分散工程とを設けて行なうことが好ましい。
前記分散工程は、次の工程(1)及び工程(2)を含むことが好ましい。
工程(1):ポリマー(水不溶性ポリマー)、有機溶媒、中和剤、及び水性媒体を含有する混合物を、攪拌する工程
工程(2):前記混合物から前記有機溶媒を除去する工程
前記工程(1)は、まずポリマー(水不溶性ポリマー)を有機溶媒に溶解させ、次に中和剤と水性媒体を徐々に加えて混合、攪拌して分散体を得る処理であることが好ましい。このように、有機溶媒中に溶解した水不溶性ポリマー溶液中に中和剤と水性媒体を添加することで、強いせん断力を必要とせずに、より保存安定性の高い粒径の自己分散性樹脂粒子を得ることができる。
該混合物の攪拌方法に特に制限はなく、一般に用いられる混合攪拌装置や、必要に応じて超音波分散機や高圧ホモジナイザー等の分散機を用いることができる。
有機溶媒としては、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒及びエーテル系溶媒が好ましく挙げられる。
アルコール系溶媒としては、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブタノール、エタノール等が挙げられる。ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。エーテル系溶媒としては、ジブチルエーテル、ジオキサン等が挙げられる。これらの溶媒の中では、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒とイソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒が好ましい。また、油系から水系への転相時への極性変化を穏和にする目的で、イソプロピルアルコールとメチルエチルケトンを併用することも好ましい。該溶剤を併用することで、凝集沈降や粒子同士の融着が無く、分散安定性の高い微粒径の自己分散性樹脂粒子を得ることができる。
中和剤は、解離性基の一部又は全部が中和され、自己分散性ポリマーが水中で安定した乳化又は分散状態を形成するために用いられる。本発明の自己分散性ポリマーが解離性基としてアニオン性の解離基(例えば、カルボキシル基)を有する場合、用いられる中和剤としては有機アミン化合物、アンモニア、アルカリ金属の水酸化物等の塩基性化合物が挙げられる。有機アミン化合物の例としては、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノプロピルアミン、ジプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチル−エタノールアミン、N,N−ジエチル−エタノールアミン、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアニン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等が挙げられる。アルカリ金属の水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。中でも、本発明の自己分散性樹脂粒子の水中への分散安定化の観点から、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエチルアミン、トリエタノールアミンが好ましい。
これら塩基性化合物は、解離性基100モル%に対して、5〜120モル%使用することが好ましく、10〜110モル%であることがより好ましく、15〜100モル%であることが更に好ましい。15モル%以上とすることで、水中での粒子の分散を安定化する効果が発現し、100モル%以下とすることで、水溶性成分を低下させる効果がある。
前記工程(2)においては、前記工程(1)で得られた分散体から、減圧蒸留等の常法により有機溶媒を留去して水系へと転相することで自己分散性樹脂粒子の水性分散物を得ることができる。得られた水性分散物中の有機溶媒は実質的に除去されており、有機溶媒の量は、好ましくは0.2質量%以下、更に好ましくは0.1質量%以下である。
樹脂粒子の平均粒子径は、体積平均粒子径で10〜400nmの範囲が好ましく、10〜200nmの範囲がより好ましく、10〜100nmの範囲が更に好ましく、特に好ましくは10〜50nmの範囲である。10nm以上の平均粒子径であることで製造適性が向上する。また、400nm以下の平均粒径とすることで保存安定性が向上する。また、樹脂粒子の粒径分布に関しては、特に制限はなく、広い粒径分布を持つもの又は単分散の粒径分布を持つもののいずれでもよい。また、水不溶性粒子を2種以上混合して使用してもよい。
なお、樹脂粒子の平均粒子径及び粒径分布は、ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150(日機装(株)製)を用いて、動的光散乱法により体積平均粒径を測定することにより求められるものである。
樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)は、インク組成物の保存安定性の観点から、20〜200℃が好ましく、30〜180℃がより好ましく、40〜170℃がさらに好ましい。
(有機溶剤)
本発明において、前記熱処理に用いられる有機溶剤は、特に限定されず用いることができるが、熱処理された樹脂粒子の成膜性向上及び環境負荷の観点から、水溶性有機溶剤が好ましく、SP値27.5以下の水溶性有機溶剤であることがより好ましい。
SP値27.5を超える水溶性有機溶剤の場合は、熱処理された樹脂粒子の成膜性向上の効果が小さいが、SP値27.5以下の水溶性有機溶剤を用いることにより、熱処理された樹脂粒子の成膜性は顕著に向上する傾向となる。樹脂粒子の最低像膜温度(MFT)を低めにすることができると考えられ、また、その結果、吐出性を良好に保つことができる傾向となる。本発明において、水溶性とは20℃の水に1質量%以上溶解することを意味する。
本発明における有機溶剤の溶解度パラメータ(SP値)は、分子凝集エネルギーの平方根で表される値で、単位は(MPa)1/2であり、25℃における値を指す。
SP値は、R.F.Fedors,Polymer Engineering Science,14,p147〜154(1974)に記載の方法で計算することができ、本発明においてはこの数値を採用する。
本発明におけるSP値が27.5以下の水溶性有機溶剤としては、SP値が27.5以下であれば特に制限はないが、前記成膜性及び耐擦過性の観点から、そのSP値が16〜27.5であることが好ましく、18〜26.5であることがより好ましい。
以下にSP値が27.5以下の水溶性有機溶剤の具体例を(SP値)とともに示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
・ジエチレングリコールモノエチルエーテル(DEGmEE)(SP値22.4)
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル(DEGmBE)(SP値21.5)
・トリエチレングリコールモノブチルエーテル(TEGmBE)(SP値21.1)
・プロピレングリコールモノエチルエーテール(PGmEE)(SP値22.3)
・ジプロピレングリコール(DPG)(SP値27.1/232)
・ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(DPGmME)(SP値21.3/沸点188℃)
・トリエチレングリコールモノエチルエーテル(TEGmEE)(SP値21.7/沸点255℃)
・トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(TPGmME)(SP値20.4/沸点243℃)
・トリエチレングリコールモノメチルエーテル(TEGmME)(SP値22.1/沸点245℃)
・トリプロピレングリコール(TPG)(SP値24.7/沸点273℃、例えばPP−200(三洋化成工業(株)製))
・ヘプタプロピレングリコール(SP値21.2、例えば、PP−400(三洋化成工業(株)製))、
・1,2−ヘキサンジオール(SP値24.1)
・POP(3)グリセリルエーテル(SP値26.4、例えばGP−250(三洋化成工業(株)製))
・POP(4)グリセリルエーテル(SP値24.9)
・POP(5)グリセリルエーテル(SP値23.9)
・POP(6)グリセリルエーテル(SP値23.2、例えばGP−400(三洋化成工業(株)製))
・POP(7)グリセリルエーテル(SP値22.6)
・POP(8)グリセリルエーテル(SP値22.1)
・POP(9)グリセリルエーテル(SP値21.7、例えばGP−600(三洋化成工業(株)製))
・POP(10)グリセリルエーテル(SP値21.4)
・POP(16)グリセリルエーテル(SP値20.2、例えばGP−1000(三洋化成工業(株)製))
・POP(4)ジグリセリルエーテル(SP値26.1、例えばSC−P400(阪本薬品工業(株)製))、
・POP(9)ジグリセリルエーテル(SP値22.7、例えばSC−P750(阪本薬品工業(株)製))、
・POE(20)ジグリセリルエーテル(SP値22.4、例えばSC−E1000(阪本薬品工業(株)製))、
・POE(40)ジグリセリルエーテル(SP値21.0、例えばSC−E2000(阪本薬品工業(株)製))。
・ジオキシエチレンジオキシプロピレンブチルエーテル(SP値20.1、例えば50HB−55(三洋化成工業(株)製))
・ペンタオキシエチレンペンタオキシプロピレンブチルエーテル(SP値18.8、例えば、50HB−100(三洋化成工業(株)製))、
・デカオキシエチレンヘプタオキシプロピレンブチルエーテル(SP値18.8、例えば、50HB−260(三洋化成工業(株)製))、
・ドデカオキシエチレンドデカオキシプロピレンブチルエーテル(SP値18.8、例えば、50HB−400(三洋化成工業(株)製))、
・デカオキシエチレントリアコンタオキシプロピレンブチルエーテル(SP値18.7、例えば、PE−62(三洋化成工業(株)製))、
・ペンタコサオキシエチレントリアコンタオキシプロピレンブチルエーテル(SP値18.8、例えば、PE−64(三洋化成工業(株)製))。
尚、POP(3)グリセリルエーテルは、グリセリンにプロピレンオキシドが3つ付加したグリセリンのエーテル誘導体を意味し、他も同様である。
また本発明におけるSP値が27.5以下の水溶性有機溶剤は下記一般式(2)で表される化合物であることもまた好ましい。
一般式(2)中、l、m、及びnは、それぞれ独立に、1以上の整数で、かつ、l+m+n=3〜15を表す。l+m+nが3以上であることで十分なカール抑制効果が得られる。また15以下であることで吐出性が良好になる。中でも、l+m+nが3〜12が好ましく、3〜10がより好ましい。
上記一般式(2)中、AOは、オキシエチレン基(EO)およびオキシプロピレン基(PO)の少なくとも一方を表すが、中でも、オキシプロピレン基が好ましい。また前記(AO)、(AO)、及び(AO)の各AOはそれぞれ同一でも異なってもよい。
以下、その他として、SP値が27.5以下に該当する水溶性有機溶剤及び前記構造式(2)で表される化合物の例を示す。なお、括弧内の値はSP値である。但し、本発明においては、これらに限定されるものではない。

・nCO(AO)−H
(AO=EO又はPO(EO:PO=1:1)、SP値=20.1)
・nCO(AO)10−H
(AO=EO又はPO(EO:PO=1:1)、SP値=18.8)
・HO(A'O)40−H
(A'O=EO又はPO(EO:PO=1:3)、SP値=18.7)
・HO(A''O)55−H
(A''O=EO又はPO(EO:PO=5:6)、SP値=18.8)
・HO(PO)−H(SP値=24.7)
・HO(PO)−H(SP値=21.2)
・1,2−ヘキサンジオール(SP値=27.4)
また、上記の有機溶剤に加え、必要に応じて、乾燥防止、浸透促進、粘度調整などを図る目的で、他の有機溶剤を含有してもよい。
乾燥防止のためには、水より蒸気圧の低い水溶性有機溶剤が好ましい。乾燥防止に好適な水溶性有機溶剤の具体的な例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、アセチレングリコール誘導体、グリセリン、トリメチロールプロパン等に代表される多価アルコール類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−エチルモルホリン等の複素環類、スルホラン、ジメチルスルホキシド、3−スルホレン等の含硫黄化合物、ジアセトンアルコール、ジエタノールアミン等の多官能化合物、尿素誘導体等が挙げられる。中でも、グリセリン、ジエチレングリコール等の多価アルコールが好ましい。
また、浸透促進に好適な有機溶剤の具体例として、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、1,2−ヘキサンジオール等のアルコール類やラウリル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウムやノニオン性界面活性剤等が挙げられる。
また、他の有機溶剤は、上記以外にも粘度の調整に用いることができる。粘度の調整に用いることができる他の有機溶剤の具体的な例としては、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノールなど)、アミン(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミンなど)及びその他の極性溶媒(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、2−ピロリドン、アセトニトリル、アセトンなど)が挙げられる。
<水>
インク組成物は、水を含有するものであるが、水の量には特に制限はない。中でも、水の好ましい含有量は、10〜99質量%であり、より好ましくは30〜80質量%であり、更に好ましくは50〜70質量%である。
<顔料>
本発明のインク組成物は、色材として顔料の少なくとも1種を含有し、顔料は分散剤により分散された顔料分散物として含有することができる。前記顔料は、水系溶媒(例えば、水、水溶性有機溶剤)に分散されていることが好ましい。該顔料としては公知の顔料を用いることができる。水溶性有機溶剤としては、インク組成物に記載されるものを用いることができる。
〜顔料〜
本発明における顔料としては、その種類に特に制限はなく、従来公知の有機及び無機顔料を用いることができる。例えば、アゾレーキ、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、ジケトピロロピロール顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロニ顔料等の多環式顔料や、塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ等の染料レーキや、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料等の有機顔料、酸化チタン、酸化鉄系、カーボンブラック系等の無機顔料が挙げられる。また、カラーインデックスに記載されていない顔料であっても水相に分散可能であれば、いずれも使用できる。更に、前記顔料を界面活性剤や高分子分散剤等で表面処理したものや、グラフトカーボン等も勿論使用可能である。前記顔料のうち、特に、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、カーボンブラック系顔料を用いることが好ましい。
〜分散剤〜
分散剤としては、ポリマー分散剤でも低分子の界面活性剤型分散剤でもよい。また、ポリマー分散剤としては水溶性の分散剤でも非水溶性の分散剤の何れでもよい。ここで、非水溶性とは分散剤を105℃で2時間乾燥させた後、25℃の水100g中に溶解させたときに、その溶解量が10g以下である分散剤をいう。
前記低分子の界面活性剤型分散剤(以下、「低分子分散剤」ということがある)は、インクを低粘度に保ちつつ、有機顔料を水溶媒に安定に分散させる目的で添加することができる。ここでいう低分子分散剤は、分子量2000以下の低分子分散剤である。また、低分子分散剤の分子量は、100〜2000が好ましく、200〜2000がより好ましい。
前記低分子分散剤は、親水性基と疎水性基とを含む構造を有している。また、親水性基と疎水性基は、それぞれ独立に1分子に1以上含まれていればよく、また、複数種類の親水性基、疎水性基を有していてもよい。また、親水性基と疎水性基を連結するための連結基も適宜有することができる。
親水性基としては、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、あるいはこれらを組み合わせたベタイン型等を挙げることができる。
アニオン性基は、マイナスの電荷を有するものであれば特に制限はないが、リン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、硫酸基、スルホン酸基、スルフィン酸基またはカルボン酸基であることが好ましく、リン酸基またはカルボン酸基であることがより好ましく、カルボン酸基であることがさらに好ましい。
カチオン性基は、プラスの電荷を有するものであれば特に制限はないが、有機のカチオン性置換基であることが好ましく、窒素またはリンを含むカチオン性基であることがより好ましく、窒素を含むカチオン性基であることが更に好ましい。中でも、ピリジニウムカチオン又はアンモニウムカチオンであることが特に好ましい。
ノニオン性基は、マイナスまたはプラスの電荷を有しないものであれば特に制限はない。例えば、ポリアルキレンオキシド、ポリグリセリン、糖ユニットの一部等が挙げられる。
本発明においては、顔料の分散安定性と凝集性の観点から、親水性基がアニオン性基であることが好ましい。
また、低分子分散剤がアニオン性の親水性基を有する場合、酸性の反応液と接触させて凝集反応を促進させる観点から、そのpKaは3以上であることが好ましい。低分子分散剤のpKaはテトラヒドロフラン−水=3:2(V/V)溶液に低分子分散剤1mmol/Lの濃度で溶解した液を酸あるいはアルカリ水溶液で滴定し、滴定曲線より実験的に求めた値のことである。
理論上、低分子分散剤のpKaが3以上であれば、pH3程度の反応液と接したときに、アニオン性基の50%以上が非解離状態になる。したがって、低分子分散剤の水溶性が著しく低下し、凝集反応が起こる。すなわち、凝集反応性が向上する。この観点から、低分子分散剤が、アニオン性基としてカルボン酸基を有していることが好ましい。
一方、疎水性基は、炭化水素系、フッ化炭素系、シリコーン系等のいずれの構造を有するものであってもよいが、特に、炭化水素系であることが好ましい。また、これらの疎水性基は、直鎖状構造又は分岐状構造のいずれであってもよい。また疎水性基は、1本鎖状構造、又は2本以上の鎖状構造でもよく、2本鎖状以上の構造である場合は、複数種類の疎水性基を有していてもよい。
また、疎水性基は、炭素数2〜24の炭化水素基が好ましく、炭素数4〜24の炭化水素基がより好ましく、炭素数6〜20の炭化水素基がさらに好ましい。
ポリマー分散剤のうち水溶性分散剤としては、親水性高分子化合物を用いることができる。例えば、天然の親水性高分子化合物では、アラビアガム、トラガンガム、グーアガム、カラヤガム、ローカストビーンガム、アラビノガラクトン、ペクチン、クインスシードデンプン等の植物性高分子、アルギン酸、カラギーナン、寒天等の海藻系高分子、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、コラーゲン等の動物系高分子、キサンテンガム、デキストラン等の微生物系高分子などが挙げられる。
また、天然物を原料として化学修飾した親水性高分子化合物としては、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の繊維素系高分子、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプンリン酸エステルナトリウム等のデンプン系高分子、アルギン酸プロピレングリコールエステル等の海藻系高分子などが挙げられる。
また、合成系の水溶性高分子化合物としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル等のビニル系高分子、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸又はそのアルカリ金属塩、水溶性スチレンアクリル樹脂等のアクリル系樹脂、水溶性スチレンマレイン酸樹脂、水溶性ビニルナフタレンアクリル樹脂、水溶性ビニルナフタレンマレイン酸樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のアルカリ金属塩、四級アンモニウムやアミノ基等のカチオン性官能基の塩を側鎖に有する高分子化合物等が挙げられる。
これらの中でも、顔料の分散安定性と凝集性の観点から、カルボキシル基を含む高分子化合物が好ましく、例えば、水溶性スチレンアクリル樹脂等のアクリル系樹脂、水溶性スチレンマレイン酸樹脂、水溶性ビニルナフタレンアクリル樹脂、水溶性ビニルナフタレンマレイン酸樹脂等のようなカルボキシル基を含む高分子化合物が特に好ましい。
ポリマー分散剤のうち非水溶性分散剤としては、疎水性部と親水性部の両方を有するポリマーを用いることができる。例えば、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体等が挙げられる。
ポリマー分散剤の重量平均分子量としては、3,000〜200,000が好ましく、より好ましくは5,000〜100,000、更に好ましくは5,000〜80,000、特に好ましくは10,000〜60,000である。
また、顔料と分散剤との混合質量比(顔料:分散剤)としては、1:0.06〜1:3の範囲が好ましく、1:0.125〜1:2の範囲がより好ましく、更に好ましくは1:0.125〜1:1.5である。
本発明において、本発明の効果を損なわない範囲で、色材として染料を用いることができるが、その場合には、染料を水不溶性の担体に保持したものを水不溶性着色粒子として用いることができる。染料としては公知の染料を特に制限なく用いることができ、例えば、特開2001−115066号公報、特開2001−335714号公報、特開2002−249677号公報等に記載の染料を用いることができる。また、担体としては、水に不溶または水に難溶であれば特に制限なく、無機材料、有機材料及びこれらの複合材料を用いることができる。具体的には、特開2001−181549号公報、特開2007−169418号公報等に記載の担体を本発明においても好適に用いることができる。
染料を保持した担体(水不溶性着色粒子)は、分散剤を用いて水系分散物として用いることができる。分散剤としては上述した分散剤を好適に用いることができる。
本発明における顔料分散剤は、耐擦過性、凝集性の観点から、顔料と分散剤と含むが、有機顔料とポリマー分散剤とを含むことが好ましく、有機顔料とカルボキシル基を含むポリマー分散剤とを含むことが特に好ましい。
また、顔料は、凝集性の観点から、カルボキシル基を有するポリマー分散剤に被覆された水不溶性の樹脂被覆顔料であることが好ましい。
更に、本発明においては、凝集性の観点から、後述の樹脂粒子(自己分散性樹脂粒子)の酸価が、前記ポリマー分散剤の酸価よりも小さいことが好ましい。
顔料の平均粒子径としては、10〜200nmが好ましく、10〜150nmがより好ましく、10〜100nmがさらに好ましい。平均粒子径は、200nm以下であると色再現性が良好になり、インクジェット法で打滴する際の打滴特性が良好になり、10nm以上であると耐光性が良好になる。また、顔料の粒径分布に関しては、特に制限はなく、広い粒径分布又は単分散性の粒径分布のいずれであってもよい。また、単分散性の粒径分布を持つ顔料を2種以上混合して使用してもよい。
なお、ポリマー粒子の平均粒子径及び粒径分布は、ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150(日機装(株)製)を用いて、動的光散乱法により体積平均粒径を測定することにより求められるものである。
顔料は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
顔料のインク組成物中における含有量としては、画像濃度の観点から、インク組成物に対して、1〜25質量%であることが好ましく、2〜20質量%がより好ましい。
<その他の添加剤>
インク組成物は、上記の成分に加え、必要に応じて、その他の添加剤を含むことができる。その他の添加剤としては、例えば、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられる。これらの各種添加剤は、インク組成物を調製後に直接添加してもよく、インク組成物の調製時に添加してもよい。
表面張力調整剤としては、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、ベタイン系界面活性剤等が挙げられる。
また、表面張力調整剤の添加量は、インクジェット法による吐出を良好に行なうため、インク組成物の表面張力を20〜60mN/mに調整する添加量が好ましく、20〜45mN/mに調整する添加量がより好ましく、25〜40mN/mに調整する添加量がさらに好ましい。一方、インクの付与をインクジェット法以外の方法で行なう場合には、20〜60mN/mの範囲が好ましく、30〜50mN/mの範囲がより好ましい。
インク組成物の表面張力は、Automatic Surface Tensiometer CBVP−Z(協和界面科学株式会社製)を用い、プレート法により25℃の条件下で測定されるものである。
界面活性剤の具体例としては、炭化水素系では脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等のアニオン系界面活性剤や、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー等のノニオン系界面活性剤が好ましい。また、アセチレン系ポリオキシエチレンオキシド界面活性剤であるSURFYNOLS(AirProducts&ChemicaLs社)も好ましく用いられる。また、N,N−ジメチル−N−アルキルアミンオキシドのようなアミンオキシド型の両性界面活性剤等も好ましい。
更に、特開昭59−157636号公報の第(37)〜(38)頁、リサーチディスクロージャーNo.308119(1989年)記載の界面活性剤として挙げたものも用いることができる。
また、特開2003−322926号、特開2004−325707号、特開2004−309806号の各公報に記載されているようなフッ素(フッ化アルキル系)系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤等を用いることにより、耐擦過性を良化することもできる。
また、表面張力調整剤は消泡剤としても使用することができ、フッ素系化合物、シリコーン系化合物、及びEDTAに代表されるキレート剤等も使用することができる。
[インク組成物の製造方法]
本発明のインク組成物の製造方法は、有機溶剤の存在下で、12時間以上、40℃〜80℃で樹脂粒子を熱処理する工程(熱処理工程)と、前記熱処理された樹脂粒子と顔料とを混合する工程(混合工程)と、を備えて構成され、必要に応じて、他の工程を有していてもよい。
本発明は、上記構成とすることにより、耐擦過性に優れ、かつ、定着ローラーオフセットの発生が抑制された画像の形成が可能なインク組成物を製造することができる。
インク組成物の製造方法において用いられる有機溶剤、樹脂粒子、顔料等の構成成分、熱処理等の詳細及び好ましい態様等は上記インク組成物の項において記載したとおりである。
−熱処理工程−
熱処理工程は、有機溶剤の存在下で、12時間以上、40℃〜80℃で樹脂粒子を熱処理する工程(熱処理工程)である。
熱処理された樹脂粒子(熱処理樹脂粒子)を含むインク組成物は成膜性に優れ、インク組成物を用いて得られた画像の耐擦過性は優れたものとなる。
更に、前記有機溶剤及び尿素の存在下で行うことにより、更に、得られたインク組成物の前記効果はさらに向上する点で好ましい。
前記熱処理樹脂粒子に用いられる樹脂粒子は自己分散性樹脂粒子であることがインク吐出性の点で好ましい。
また、前記熱処理の間は、有機溶剤と樹脂粒子との混合液をそのまま静置しても、攪拌機等を用いて混合しても何れであってもよい。
−混合工程−
混合工程は、前記熱処理された樹脂粒子と顔料とを混合する工程(混合工程)である。
顔料はインク組成物の項に記載の通りであり、顔料分散物(以下、「顔料分散液」ともいう。)として添加されることが好ましい。
顔料分散液は、中でも、水系媒体中に少なくとも水不溶性樹脂によって被覆された顔料(樹脂被覆顔料)を分散して構成されることが好ましい。顔料分散液は、必要に応じて、その他中和剤、界面活性剤などの成分を用いて構成することができる。
ここで、前記水系媒体とは、水を少なくとも含有し、さらに公知の有機溶媒を含んでもよい溶媒をいう。
前記分散は、所望の成分を混合した後に、攪拌、分散等が行なえる公知の方法や混合攪拌装置、分散装置などを利用して行なうことができる。分散は、例えば、ボールミル、ロールミル、ビーズミル、高圧ホモジナイザー、高速攪拌型分散機、超音波ホモジナイザーなどを用いて行なうことが可能である。
顔料分散液は、水不溶性樹脂によって被覆された顔料を水性媒体中に分散して構成されるが、これにより、顔料粒子を微粒径にして存在させることができ、分散後には高い分散安定性が得られる。この場合、顔料は必ずしも粒子表面の全体が被覆されている必要はなく、場合により粒子表面の少なくとも一部が被覆された状態であってもよい。
前記水不溶性樹脂によって被覆された顔料については、インク組成物の項に記載されたものと同義であり、好ましい例も同様である。
[画像形成方法]
本発明の画像形成方法は、本発明のインク組成物を用いて記録媒体上に画像を形成する画像形成工程を備えて構成される。
また、本発明の画像形成方法は、前記画像形成工程後に前記画像を乾燥する乾燥工程と、前記乾燥工程後に前記画像を加熱部材に接触させることにより前記画像を前記記録媒体に定着する熱定着工程と、を含むことが好ましい態様である。
更に、前記画像形成工程は、前記記録媒体上に処理液を付与する処理液付与工程と、前記記録媒体に付与された処理液に接触させて前記インク組成物を付与するインク付与工程ことにより前記画像を形成することがより好ましい態様である。
本発明の画像形成方法は、上記の工程以外に、必要に応じて、更に他の工程を設けて構成することができる。
本発明の画像形成方法は、特に、熱処理樹脂粒子、有機溶剤、顔料及び水を含む本発明のインク組成物と処理液を有するインクジェット記録用インクセットとして用いる構成とすることで、更に本発明は耐擦過性に優れた画像を形成することが可能な画像形成方法とすることができる。
以下、本発明の画像形成方法を構成する各工程を説明する。
−画像形成工程−
本発明における画像形成工程は、本発明のインク組成物を用いて記録媒体上に画像を形成する工程であり、更に、前記記録媒体上に処理液を付与する処理液付与工程を含み、前記記録媒体に付与された前記処理液に接触させて上記インク組成物を付与することにより前記画像を形成することが好ましい態様である。
−処理液付与工程−
処理液付与工程は、インク組成物と接触することで凝集体を形成可能な処理液を記録媒体に付与し、処理液をインク組成物と接触させて画像化する。この場合、インク組成物中の樹脂粒子や色材(例えば顔料)などの分散粒子が凝集し、記録媒体上に画像が固定化される。なお、処理液における各成分の詳細及び好ましい態様については、既述した通りである。
熱処理樹脂粒子を含有するインク組成物と処理液に含有される凝集成分との接触によりインク組成物の凝集体が形成されると、インク組成物により形成された画像の耐擦過性が凝集成分を含まない系に対して悪化する傾向となる。
これは凝集によりインク組成物が紙上で広がらないため、インク組成物の盛り上がり嵩高さが高くなるために、擦れに対してより大きな力が掛かる為と考えられる。このとき熱処理した樹脂粒子を用いることにより樹脂粒子の成膜性が向上し、インク組成物により形成された画像の耐擦過性は向上する。
処理液の付与は、塗布法、インクジェット法、浸漬法などの公知の方法を適用して行なうことができる。塗布法としては、バーコーター、エクストルージョンダイコーター、エアードクターコーター、ブレッドコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、バーコーター等を用いた公知の塗布方法によって行なうことができる。インクジェット法の詳細については、既述の通りである。
処理液付与工程は、インク組成物を用いた凝集体形成工程の前又は後のいずれに設けてもよい。
本発明においては、処理液付与工程で処理液を付与した後にインク組成物を付与する態様が好ましい。すなわち、記録媒体上に、インク組成物を付与する前に、予めインク組成物中の成分(例えば、熱処理樹脂粒子や顔料)を凝集させるための処理液を付与しておき、記録媒体上に付与された処理液に接触するようにインク組成物を付与して画像化する態様が好ましい。これにより、インクジェット記録を高速化でき、高速記録しても濃度、解像度の高い画像が得られる。
処理液の付与量としては、インク組成物を凝集可能であれば特に制限はないが、好ましくは、凝集成分(例えば、2価以上のカルボン酸又はカチオン性有機化合物)の付与量が0.1g/m以上となる量とすることができる。中でも、凝集成分の付与量が0.1〜1.0g/mとなる量が好ましく、より好ましくは0.2〜0.8g/mである。凝集成分の付与量は、0.1g/m以上であると凝集反応が良好に進行し、1.0g/m以下であると光沢度が高くなり過ぎず好ましい。
また、本発明においては、処理液付与工程後にインク付与工程を設け、処理液を記録媒体上に付与した後、インク組成物が付与されるまでの間に、記録媒体上の処理液を加熱乾燥する加熱乾燥工程を更に設けることが好ましい。凝集体を形成するインク付与工程前に予め処理液を加熱乾燥させることにより、滲み防止などのインク着色性が良好になり、色濃度及び色相の良好な可視画像を記録できる。
加熱乾燥は、ヒータ等の公知の加熱手段やドライヤ等の送風を利用した送風手段、あるいはこれらを組み合わせた手段により行なえる。加熱方法としては、例えば、記録媒体の処理液の付与面と反対側からヒータ等で熱を与える方法や、記録媒体の処理液の付与面に温風又は熱風をあてる方法、赤外線ヒータを用いた加熱法などが挙げられ、これらの複数を組み合わせて加熱してもよい。
(処理液)
本発明における処理液は、既述のインク組成物と接触することで凝集体を形成可能なように構成されたものである。具体的には、処理液は、インク組成物中の色材粒子(顔料等)などの分散粒子を凝集させて凝集体を形成可能な凝集成分を少なくとも含むことが好ましく、必要に応じて、他の成分を用いて構成することができる。インク組成物と共に処理液を用いることで、インクジェット記録を高速化でき、高速記録しても濃度、解像度の高い描画性(例えば細線や微細部分の再現性)に優れた画像が得られる。
〜凝集成分〜
処理液は、インク組成物と接触して凝集体を形成可能な凝集成分の少なくとも1種を含有することができる。インクジェット法で吐出された前記インク組成物に処理液が混合することにより、インク組成物中で安定的に分散している顔料等の凝集が促進される。
処理液の例としては、インク組成物のpHを変化させることにより凝集物を生じさせることができる液体が挙げられる。このとき、処理液のpH(25℃±1℃)は、インク組成物の凝集速度の観点から、1〜6であることが好ましく、1.2〜5であることがより好ましく、1.5〜4であることが更に好ましい。この場合、吐出工程で用いる前記インク組成物のpH(25±1℃)は、7.5〜9.5(より好ましくは8.0〜9.0)であることが好ましい。
中でも、本発明においては、画像濃度、解像度、及びインクジェット記録の高速化の観点から、前記インク組成物のpH(25℃)が7.5以上であって、処理液のpH(25℃)が1.5〜3である場合が好ましい。
前記凝集成分は、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
処理液は、凝集成分として、酸性化合物の少なくとも1種を用いて構成することができる。酸性化合物としては、リン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、硫酸基、スルホン酸基、スルフィン酸基、又はカルボキシル基を有する化合物、あるいはその塩(例えば多価金属塩)を使用することができる。中でも、インク組成物の凝集速度の観点から、リン酸基又はカルボキシル基を有する化合物がより好ましく、カルボキシル基を有する化合物であることが更に好ましい。
カルボキシル基を有する化合物としては、ポリアクリル酸、酢酸、グリコール酸、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、アスコルビン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、スルホン酸、オルトリン酸、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ピリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、若しくはこれらの化合物の誘導体、又はこれらの塩(例えば多価金属塩)等の中から選ばれることが好ましい。これらの化合物は、1種単独で用いるほか2種以上併用してもよい。
本発明における処理液は、上記酸性化合物等に加えて、水系溶媒(例えば、水)を更に含んで構成することができる。
酸性化合物の処理液中における含有量としては、凝集効果の観点から、処理液の全質量に対して、5〜95質量%であることが好ましく、10〜80質量%であることがより好ましく、更に好ましくは15〜50質量%であり、特に好ましくは18〜30%である。
また、多価金属塩あるいはポリアリルアミンを添加した処理液が挙げられ、高速凝集性を向上させることができる。多価金属塩としては、周期表の第2属のアルカリ土類金属(例えば、マグネシウム、カルシウム)、周期表の第3属の遷移金属(例えば、ランタン)、周期表の第13属からのカチオン(例えば、アルミニウム)、ランタニド類(例えば、ネオジム)の塩、及びポリアリルアミン、ポリアリルアミン誘導体を挙げることができる。金属の塩としては、カルボン酸塩(蟻酸、酢酸、安息香酸塩など)、硝酸塩、塩化物、及びチオシアン酸塩が好適である。中でも、好ましくは、カルボン酸(蟻酸、酢酸、安息香酸塩など)のカルシウム塩又はマグネシウム塩、硝酸のカルシウム塩又はマグネシウム塩、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、及びチオシアン酸のカルシウム塩又はマグネシウム塩である。
金属の塩の処理液中における含有量としては、凝集効果の観点から、1〜10質量%が好ましく、より好ましくは1.5〜7質量%であり、更に好ましくは2〜6質量%の範囲である。
また、処理液は、凝集成分として、カチオン性有機化合物の少なくとも1種を用いて構成することができる。カチオン性有機化合物としては、例えば、ポリ(ビニルピリジン)塩、ポリアルキルアミノエチルアクリレート、ポリアルキルアミノエチルメタクリレート、ポリ(ビニルイミダゾール)、ポリエチレンイミン、ポリビグアニド、ポリグアニド、又はポリアリルアミン及びその誘導体などのカチオン性ポリマーを挙げることができる。
前記カチオン性ポリマーの重量平均分子量としては、処理液の粘度の観点では分子量が小さい方が好ましい。処理液をインクジェット方式で記録媒体に付与する場合には、1,000〜500,000の範囲が好ましく、1,500〜200,000の範囲がより好ましく、更に好ましくは2,000〜100,000の範囲である。重量平均分子量は、1000以上であると凝集速度の観点で有利であり、500,000以下であると吐出信頼性の点で有利である。但し、処理液をインクジェット以外の方法で記録媒体に付与する場合には、この限りではない。
カチオン性有機化合物の処理液中における含有量としては、凝集効果の観点から、1〜50質量%が好ましく、より好ましくは2〜30質量%である。
上記のうち、凝集成分としては、凝集性及び画像の耐擦過性の点で、2価以上のカルボン酸、又は2価以上のカチオン性有機化合物が好ましい。
処理液の粘度としては、インク組成物の凝集速度の観点から、1〜30mPa・sの範囲が好ましく、1〜20mPa・sの範囲がより好ましく、2〜15mPa・sの範囲がさらに好ましく、2〜10mPa・sの範囲が特に好ましい。なお、粘度は、VISCOMETER TV−22(TOKI SANGYO CO.LTD製)を用いて20℃の条件下で測定されるものである。
また、処理液の表面張力としては、インク組成物の凝集速度の観点から、20〜60mN/mであることが好ましく、20〜45mN/mであることがより好ましく、25〜40mN/mであることがさらに好ましい。なお、表面張力は、Automatic Surface Tensiometer CBVP−Z(協和界面科学(株)製)を用いて25℃の条件下で測定されるものである。
〜その他成分〜
本発明における処理液は、凝集成分に加え、一般には水溶性有機溶剤を含むことができ、本発明の効果を損なわない範囲内で、更にその他の各種添加剤を用いて構成することができる。水溶性有機溶剤の詳細については、既述のインク組成物におけるものと同様である。
前記その他の添加剤としては、例えば、乾燥防止剤(湿潤剤)、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられ、既述のインク組成物に含まれるその他の添加剤の具体的な例に挙げたものが適用できる。
−インク付与工程−
インク付与工程は、記録媒体に付与された処理液に接触させて本発明のインク組成物を付与するインク付与工程である。
本工程では、記録媒体上に選択的にインク組成物を付与でき、所望の可視画像を形成できる。本発明のインク組成物における各成分の詳細及び好ましい態様などの詳細については、既述した通りである。
インクジェット法を利用した画像の形成は、具体的には、エネルギーを供与することにより、所望の被記録媒体、すなわち普通紙、樹脂コート紙、例えば特開平8−169172号公報、同8−27693号公報、同2−276670号公報、同7−276789号公報、同9−323475号公報、特開昭62−238783号公報、特開平10−153989号公報、同10−217473号公報、同10−235995号公報、同10−337947号公報、同10−217597号公報、同10−337947号公報等に記載のインクジェット専用紙、フィルム、電子写真共用紙、布帛、ガラス、金属、陶磁器等にインク組成物を吐出することにより行なえる。なお、本発明の好ましい画像形成方法として、特開2003−306623号公報の段落番号0093〜0105に記載の方法が適用できる。
インクジェット法は、特に制限はなく、公知の方式、例えば、静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、及びインクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット(バブルジェット(登録商標))方式等のいずれであってもよい。インクジェット法としては、特に、特開昭54−59936号公報に記載の方法で、熱エネルギーの作用を受けたインクが急激な体積変化を生じ、この状態変化による作用力によって、インクをノズルから吐出させるインクジェット法を有効に利用することができる。
尚、前記インクジェット法には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
また、インクジェット法で用いるインクジェットヘッドは、オンデマンド方式でもコンティニュアス方式でも構わない。また、吐出方式としては、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット(登録商標)型等)、静電吸引方式(例えば、電界制御型、スリットジェット型等)及び放電方式(例えば、スパークジェット型等)などを具体的な例として挙げることができるが、いずれの吐出方式を用いても構わない。
尚、前記インクジェット法により記録を行う際に使用するインクノズル等については特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができる。
画像形成方法の具体例を以下に示す。
画像形成方法として、(1)静電吸引方式とよばれる方法がある。静電吸引方式は、ノズルとノズルの前方に配置された加速電極との間に強電界を印加し、ノズルから液滴状のインクを連続的に噴射させ、そのインク滴が偏向電極間を通過する間に印刷情報信号を偏向電極に与えることによって、インク滴を記録媒体上に向けて飛ばしてインクを記録媒体上に定着させて画像を記録する方法、又はインク滴を偏向させずに、印刷情報信号に従ってインク滴をノズルから記録媒体上にむけて噴射させることにより画像を記録媒体上に定着させて記録する方法である。また、(2)小型ポンプによってインク液に圧力を加えるとともに、インクジェットノズルを水晶振動子等によって機械的に振動させることによって、強制的にノズルからインク滴を噴射させる方法がある。ノズルから噴射されたインク滴は、噴射されると同時に帯電され、このインク滴が偏向電極間を通過する間に印刷情報信号を偏向電極に与えてインク滴を記録媒体に向かって飛ばすことにより、記録媒体上に画像を記録する方法である。次に、(3)インク液に圧電素子によって圧力と印刷情報信号を同時に加え、ノズルからインク滴を記録媒体に向けて噴射させ、記録媒体上に画像を記録する方法(ピエゾ)、(4)印刷信号情報にしたがって微小電極を用いてインク液を加熱して発泡させ、この泡を膨張させることによってインク液をノズルから記録媒体に向けて噴射し、記録媒体上に画像を記録する方法(バブルジェット(登録商標))がある。
インクジェットヘッドとしては、短尺のシリアルヘッドを用い、ヘッドを記録媒体の幅方向に走査させながら記録を行なうシャトル方式と、記録媒体の1辺の全域に対応して記録素子が配列されているラインヘッドを用いたライン方式とがある。ライン方式では、記録素子の配列方向と直交する方向に記録媒体を走査させることで記録媒体の全面に画像記録を行なうことができ、短尺ヘッドを走査するキャリッジ等の搬送系が不要となる。また、キャリッジの移動と記録媒体との複雑な走査制御が不要になり、記録媒体だけが移動するので、シャトル方式に比べて記録速度の高速化が実現できる。本発明の画像形成方法は、これらのいずれにも適用可能であるが、一般にダミージェットを行なわないライン方式に適用した場合に、吐出精度、画像の耐擦過性、定着ローラーオフセットの向上効果が大きい。
更には、本発明におけるインク付与工程では、ライン方式による場合に、インク組成物を1種のみ用いるのみならず2種以上のインク組成物を用い、先に吐出するインク組成物(第n色目(n≧1)、例えば第2色目)とそれに続いて吐出するインク組成物(第n+1色目、例えば第3色目)との間の吐出(打滴)間隔を1秒以下にして好適に記録を行なうことができる。本発明においては、ライン方式で1秒以下の吐出間隔として、インク滴間の干渉で生じる滲みや色間混色を防止しつつ、従来以上の高速記録下で耐擦過性に優れ、ブロッキングの発生が抑えられた画像を得ることができる。また、色相及び描画性(画像中の細線や微細部分の再現性)に優れた画像を得ることができる。
インクジェットヘッドから吐出されるインクの液滴量としては、高精細な画像を得る観点で、0.5〜6pl(ピコリットル)が好ましく、1〜5plがより好ましく、更に好ましくは2〜4plである。
−乾燥工程/熱定着工程−
本発明の画像形成方法は、画像形成工程後にインク組成物の付与により形成されたインク画像を乾燥する乾燥工程と、前記乾燥工程後に前記画像を加熱部材に直接接触させることにより画像を定着する熱定着工程を有することが好ましい。
乾燥・熱定着処理を施すことにより、記録媒体上の画像の定着が施され、画像の耐擦過性をより向上させることができる。
加熱は、インク組成物中に含有される有機溶剤を造膜助剤として機能したときに画像中の熱処理樹脂粒子の最低造膜温度(MFT)以上の温度で行なうことが好ましい。最低造膜温度(MFT)以上に加熱されるので、皮膜化して画像が強化される。加熱温度は、好ましくはMFT+10℃以上の温度域が好ましい。具体的には、加熱温度は、40〜150℃の範囲が好ましく、より好ましくは50℃〜100℃の範囲であり、更に好ましくは60℃〜90℃の範囲である。
加熱と共に加圧する際の圧力としては、表面平滑化の点で、0.1〜3.0MPaの範囲が好ましく、より好ましくは0.1〜1.0MPaの範囲であり、更に好ましくは0.1〜0.5MPaの範囲である。
乾燥の方法は、特に制限されないが、ニクロム線ヒーター等の発熱体で加熱する方法、温風又は熱風を供給する方法、ハロゲンランプ、赤外線ランプなどで加熱する方法など、非接触で乾燥させる方法を好適に挙げることができる。
また、前記画像面を加熱部材に接触させる画像を定着する方法は、特に制限はないが、例えば、熱板を記録媒体の画像形成面に押圧する方法や、一対の加熱加圧ローラ、一対の加熱加圧ベルト、あるいは記録媒体の画像記録面側に配された加熱加圧ベルトとその反対側に配された保持ローラとを備えた加熱加圧装置を用い、対をなすローラ等を通過させる方法など、接触させて加熱定着を行なう方法が好適に挙げられる。
画像を定着(加熱加圧)する場合、好ましいニップ時間は、1ミリ秒〜10秒であり、より好ましくは2ミリ秒〜1秒であり、更に好ましくは4ミリ秒〜100ミリ秒である。また、好ましいニップ幅は、0.1mm〜100mmであり、より好ましくは0.5mm〜50mmであり、更に好ましくは1〜10mmである。
前記加熱加圧のローラとしては、金属製の金属ローラでも、あるいは金属製の芯金の周囲に弾性体からなる被覆層及び必要に応じて表面層(離型層ともいう)が設けられたものでもよい。後者の芯金は、例えば、鉄製、アルミニウム製、SUS製等の円筒体で構成することができ、芯金の表面は被覆層で少なくとも一部が覆われているものが好ましい。被覆層は、特に、離型性を有するシリコーン樹脂あるいはフッ素樹脂で形成されるのが好ましい。また、加熱加圧ローラの一方の芯金内部には、発熱体が内蔵されていることが好ましく、ローラ間に記録媒体を通すことによって、加熱処理と加圧処理とを同時に施したり、あるいは必要に応じて、2つの加熱ローラを用いて記録媒体を挟んで加熱してもよい。発熱体としては、例えば、ハロゲンランプヒーター、セラミックヒーター、ニクロム線等が好ましい。
加熱加圧装置に用いられる加熱加圧ベルトを構成するベルト基材としては、シームレスのニッケル電鍮が好ましく、基材の厚さは10〜100μmが好ましい。また、ベルト基材の材質としては、ニッケル以外にもアルミニウム、鉄、ポリエチレン等を用いることができる。シリコーン樹脂あるいはフッ素樹脂を設ける場合は、これらの樹脂を用いて形成される層の厚みは、1〜50μmが好ましく、更に好ましくは10〜30μmである。
また、前記圧力(ニップ圧)を実現するには、例えば、加熱加圧ローラ等のローラ両端に、ニップ間隙を考慮して所望のニップ圧が得られるように、張力を有するバネ等の弾性部材を選択して設置すればよい。
加熱加圧ローラ、あるいは加熱加圧ベルトを用いる場合の記録媒体の搬送速度は、200〜700mm/秒の範囲が好ましく、より好ましくは300〜650mm/秒であり、更に好ましくは400〜600mm/秒である。
(記録媒体)
本発明の画像形成方法は、記録媒体上に画像を記録するものである。
記録媒体には、特に制限はないが、一般のオフセット印刷などに用いられる、いわゆる上質紙、コート紙、アート紙などのセルロースを主体とする一般印刷用紙を用いることができる。セルロースを主体とする一般印刷用紙は、水性インクを用いた一般のインクジェット法による画像形成においては比較的インクの吸収、乾燥が遅く、打滴後に色材移動が起こりやすく、画像品質が低下しやすいが、本発明の画像形成方法によると、色材移動を抑制して色濃度、色相に優れた高品位の画像の記録が可能である。
記録媒体としては、一般に市販されているものを使用することができ、例えば、王子製紙(株)製の「OKプリンス上質」、日本製紙(株)製の「しおらい」、及び日本製紙(株)製の「ニューNPI上質」等の上質紙(A)、王子製紙(株)製の「OKエバーライトコート」及び日本製紙(株)製の「オーロラS」等の微塗工紙、王子製紙(株)製の「OKコートL」及び日本製紙(株)製の「オーロラL」等の軽量コート紙(A3)、王子製紙(株)製の「OKトップコート+」及び日本製紙(株)製の「オーロラコート」等のコート紙(A2、B2)、王子製紙(株)製の「OK金藤+」及び三菱製紙(株)製の「特菱アート」等のアート紙(A1)等が挙げられる。また、インクジェット記録用の各種写真専用紙を用いることも可能である。
上記の中でも、色材移動の抑制効果が大きく、従来以上に色濃度及び色相の良好な高品位な画像を得る観点からは、好ましくは、水の吸収係数Kaが0.05〜0.5でmL/m・ms1/2の記録媒体であり、より好ましくは0.1〜0.4mL/m・ms1/2の記録媒体であり、更に好ましくは0.2〜0.3mL/m・ms1/2の記録媒体である。
水の吸収係数Kaは、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No51:2000(発行:紙パルプ技術協会)に記載されているものと同義であり、具体的には、吸収係数Kaは、自動走査吸液計KM500Win(熊谷理機(株)製)を用いて接触時間100msと接触時間900msの水の手転移量の差から算出されるものである。
記録媒体の中でも、一般のオフセット印刷などに用いられるいわゆる塗工紙が好ましい。塗工紙は、セルロースを主体とした一般に表面処理されていない上質紙や中性紙等の表面にコート材を塗布してコート層を設けたものである。塗工紙は、通常の水性インクによる画像形成においては、画像の光沢や耐擦過性など、品質上の問題を生じやすいが、本発明の画像形成方法では、光沢ムラが抑制されて光沢性、耐擦過性、定着ローラーオフセットに優れた画像を得ることができる。特に、原紙とカオリン及び/又は重炭酸カルシウムを含むコート層とを有する塗工紙を用いるのが好ましい。より具体的には、アート紙、コート紙、軽量コート紙、又は微塗工紙がより好ましい。
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、特に断りの無い限り、「部」及び「%」は質量基準である。
[実施例1〜10、比較例1〜5]
<インク組成物の調製>
(ポリマー分散剤P−1の合成)
下記スキームにしたがって、以下に示すようにしてポリマー分散剤P−1を合成した。
攪拌機、冷却管を備えた1000mlの三口フラスコにメチルエチルケトン88gを加えて窒素雰囲気下で72℃に加熱し、ここにメチルエチルケトン50gにジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート0.85g、ベンジルメタクリレート60g、メタクリル酸10g、及びメチルメタクリレート30gを溶解した溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに1時間反応した後、メチルエチルケトン2gにジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート0.42gを溶解した溶液を加え、78℃に昇温して4時間加熱した。得られた反応溶液は大過剰量のヘキサンに2回再沈殿し、析出した樹脂を乾燥し、ポリマー分散剤P−1を96g得た。
得られたポリマー分散剤P−1の組成は、H−NMRで確認し、GPCより求めた重量平均分子量(Mw)は44,600であった。さらに、JIS規格(JIS K0070:1992)に記載の方法により酸価を求めたところ、65.2mgKOH/gであった。
(樹脂被覆顔料粒子の分散物Cの調製)
ピグメント・ブルー15:3(フタロシアニンブル−A220、大日精化株式会社製;シアン顔料)10部と、前記ポリマー分散剤P−1を5部と、メチルエチルケトン42部と、1規定 NaOH水溶液5.5部と、イオン交換水87.2部とを混合し、ビーズミルにより0.1mmφジルコニアビーズを用いて2〜6時間分散した。
得られた分散物を減圧下、55℃でメチルエチルケトンを除去し、更に一部の水を除去した後、更に、高速遠心冷却機7550((株)久保田製作所製)を用いて、50mL遠心管を使用し、8000rpmで30分間遠心処理を行ない、沈殿物以外の上澄み液を回収した。その後、吸光度スペクトルから顔料濃度を求め、顔料濃度が10.2質量%の樹脂被覆顔料粒子(ポリマー分散剤P−1で被覆された顔料)の分散物C(シアンの分散物C)を得た。
(樹脂被覆顔料粒子の分散物Mの調製)
樹脂被覆顔料粒子の分散物Cの調製において、ピグメント・ブルー15:3(シアン顔料)の代わりに、ピグメント・レッド122(CROMOPHTAL Jet Magenta DMQ、チバ・ジャパン(株)製;マゼンタ顔料)を用いた以外は、樹脂被覆顔料粒子の分散物Cの調製と同様にして、樹脂被覆顔料粒子(ポリマー分散剤P−1で被覆された顔料)の分散物M(マゼンタの分散物M)を調製した。
(樹脂被覆顔料粒子の分散物Yの調製)
樹脂被覆顔料粒子の分散物Cの調製において、ピグメント・ブルー15:3(シアン顔料)の代わりに、ピグメント・イエロー74(Irgalite Yellow GS、チバ・ジャパン(株)製;イエロー顔料)を用いたこと以外は、樹脂被覆顔料粒子の分散物Cの調製と同様にして、樹脂被覆顔料粒子(ポリマー分散剤P−1で被覆された顔料)の分散物Y(イエローの分散物Y)を調製した。
(樹脂被覆顔料粒子の分散物Kの調製)
樹脂被覆顔料粒子の分散物Cの調製において、ピグメント・ブルー15:3(シアン顔料)の代わりに、カーボンブラック(NIPEX160−IQ、デグッサ社製;黒色顔料)を用いたこと以外は、樹脂被覆顔料粒子の分散物Cの調製と同様にして、樹脂被覆顔料粒子(ポリマー分散剤P−1で被覆された顔料)の分散物K(ブラックの分散物K)を調製した。
(自己分散性樹脂粒子の調製)
−合成例1−
攪拌機、温度計、還流冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた2リットル三口フラスコに、メチルエチルケトン360.0gを仕込んで、75℃まで昇温した。これにメチルメタクリレート180g、メトキシエチルアクリレート32.4g、ベンジルメタクリレート126.0g、メタクリル酸21.6g、メチルエチルケトン72g、及び「V−601」(和光純薬工業(株)製)1.44gからなる混合溶液を、2時間で滴下が完了するように等速で滴下した。滴下完了後、「V−601」0.72g及びメチルエチルケトン36.0gからなる溶液を加え、75℃で2時間攪拌した後、さらに「V−601」0.72g及びメチルエチルケトン36.0gからなる溶液を加え、75℃で2時間攪拌した。その後、85℃に昇温してさらに2時間攪拌を続け、メチルメタクリレート/メトキシエチルアクリレート/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸(=50/9/35/6[質量比])共重合体の樹脂溶液を得た。
得られた共重合体の重量平均分子量(Mw)は、66,000(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレン換算で算出)であった。
次に、得られた樹脂溶液668.3gを秤量し、これにイソプロパノール388.3g及び1モル/LのNaOH水溶液145.7mlを加え、反応容器内温度を80℃に昇温した。次に、蒸留水720.1gを20ml/minの速度で滴下し、水分散化した。その後、大気圧下にて反応容器内温度80℃で2時間、85℃で2時間、90℃で2時間保った後、反応容器内を減圧にし、イソプロパノール、メチルエチルケトン、及び蒸留水を合計で913.7g留去し、固形分濃度28.0%の自己分散性樹脂微粒子(B−01)の水分散物B−01Lxを得た。
−熱処理した樹脂微粒子分散物HLx−01の調整
上記で得られた自己分散性樹脂微粒子B−01の水分散物B−01Lx40.0gにトリプロピレングリコールモノエチルエーテル(TPGmME SP値:20.43)60.0gを混合し、60℃24時間熱処理し、熱処理した樹脂微粒子分散物HLx−01を得た。
−インク組成物の調製−
上記で得られた樹脂被覆顔料粒子の分散物(シアンの分散物C、マゼンタの分散物M、イエローの分散物Y、ブラックの分散物K)、上記熱処理した樹脂微粒子分散物HLx−01を用いて、下記のインク組成となるように各成分を混合し、インク組成物を調液した。得られたインク組成物は、プラスチック製のディスポーザブルシリンジに詰め、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)製の孔径5μmフィルタ(ミリポア社製のMillex−SV、直径25mm)にて濾過して完成インクとした。
(シアンインクC1の組成)
・シアン顔料(ピグメント・ブルー15:3) : 4%
・前記ポリマー分散剤P−1(固形分) : 2%
・前記熱処理した樹脂微粒子分散物HLx−01 :10%
・サンニックスGP250 :10%
(三洋化成工業社製、有機溶剤)
・オルフィンE1010(日信化学工業(株)製、界面活性剤) : 1%
・尿素 : 5%
上記成分にイオン交換水を加えて100%となるように調整した。
(マゼンタインクM1の組成)
前記シアンインクC1の組成中のシアン顔料を、顔料の量が同量になるようにマゼンタ顔料(ピグメント・レッド122)に変更したこと以外は、シアンインクC1と同様の組成とした。
(イエローインクY1の組成)
前記シアンインクC1の組成中のシアン顔料を、顔料の量が同量になるようにイエロー顔料(ピグメント・イエロー74)に変更したこと以外は、シアンインクC1と同様の組成とした。
(ブラックインクK1の組成)
前記シアンインクC1の組成中のシアン顔料を、顔料の量が同量になるようにブラック顔料(カーボンブラック)に変更したこと以外は、シアンインクC1と同様の組成とした。
−熱処理した樹脂微粒子分散物HLx−02の調製
上記で得られた自己分散性樹脂微粒子B−01の水分散物B−01Lx40.0gにトリプロピレングリコールモノエチルエーテル(TPGmME SP値:20.43)60.0gおよび尿素10.0gを混合し、60℃24時間熱処理し、熱処理した樹脂微粒子分散物HLx−02を得た。
−熱処理した樹脂微粒子分散物HLx−03の調製
上記で得られた自己分散性樹脂微粒子B−01の水分散物B−01Lx40.0gにサンニックスGP250(SP値:26.38)100.0gを混合し、60℃24時間熱処理し、熱処理した樹脂微粒子分散物HLx−03を得た。
−熱処理した樹脂微粒子分散物HLx−04の調製
上記で得られた自己分散性樹脂微粒子B−01の水分散物B−01Lx40.0gにサンニックスGP250(SP値:26.38)100.0gおよびジプロピレングリコールモノメチルエーテル(SP値:21.31)60.0gを混合し、60℃24時間熱処理し、熱処理した樹脂微粒子分散物HLx−04を得た。
−熱処理した樹脂微粒子分散物HLx−05の調製
上記で得られた自己分散性樹脂微粒子B−01の水分散物B−01Lx40.0gにジプロピレングリコールモノメチルエーテル(SP値:21.31)100.0gを混合し、40℃24時間熱処理し、熱処理した樹脂微粒子分散物HLx−05を得た。
−熱処理した樹脂微粒子分散物HLx−06の調製
上記で得られた自己分散性樹脂微粒子B−01の水分散物B−01Lx40.0gにグリセリン(SP値:40.97)100.0gを混合し、60℃24時間熱処理し、熱処理した樹脂微粒子分散物HLx−06を得た。
−熱処理した樹脂微粒子分散物HLx−07の調製
上記で得られた自己分散性樹脂微粒子B−01の水分散物B−01Lx40.0gを60℃24時間熱処理し、熱処理した樹脂微粒子分散物HLx−07を得た。
−熱処理した樹脂微粒子分散物HLx−08の調製
上記で得られた自己分散性樹脂微粒子B−01の水分散物B−01Lx40.0gにトリエチレングリコール(SP値:27.79)60.0gを混合し、60℃24時間熱処理し、熱処理した樹脂微粒子分散物HLx−08を得た。
−熱処理した樹脂微粒子分散物HLx−09の調製
上記で得られた自己分散性樹脂微粒子B−01の水分散物B−01Lx40.0gにトリプロピレングリコールモノエチルエーテル(TPGmME SP値:20.43)60.0gを混合し、40℃12時間熱処理し、熱処理した樹脂微粒子分散物HLx−09を得た。
−熱処理した樹脂微粒子分散物HLx−10の調製
上記で得られた自己分散性樹脂微粒子B−01の水分散物B−01Lx40.0gにトリプロピレングリコールモノエチルエーテル(TPGmME SP値:20.43)60.0gを混合し、60℃100時間熱処理し、熱処理した樹脂微粒子分散物HLx−10を得た。
−熱処理した樹脂微粒子分散物HLx−11の調製
上記で得られた自己分散性樹脂微粒子B−01の水分散物B−01Lx40.0gにトリプロピレングリコールモノエチルエーテル(TPGmME SP値:20.43)60.0gを混合し、80℃12時間熱処理し、熱処理した樹脂微粒子分散物HLx−11を得た。
−熱処理した樹脂微粒子分散物HLx−12の調製
上記で得られた自己分散性樹脂微粒子B−01の水分散物B−01Lx40.0gにトリプロピレングリコールモノエチルエーテル(TPGmME SP値:20.43)60.0gを混合し、90℃24時間熱処理し、熱処理した樹脂微粒子分散物HLx−12を得た。
−熱処理した樹脂微粒子分散物HLx−13の調製
上記で得られた自己分散性樹脂微粒子B−01の水分散物B−01Lx40.0gにトリプロピレングリコールモノエチルエーテル(TPGmME SP値:20.43)60.0gを混合し、27℃24時間熱処理し、熱処理した樹脂微粒子分散物HLx−13を得た。
−熱処理した樹脂微粒子分散物HLx−14の調製
上記で得られた自己分散性樹脂微粒子B−01の水分散物B−01Lx40.0gにトリプロピレングリコールモノエチルエーテル(TPGmME SP値:20.43)60.0gを混合し、40℃8時間熱処理し、熱処理した樹脂微粒子分散物HLx−14を得た。
(シアンインクC2の組成)
・シアン顔料(ピグメント・ブルー15:3) : 4%
・前記ポリマー分散剤P−1(固形分) : 2%
・前記熱処理した樹脂微粒子分散物HLx−02 :11%
・サンニックスGP250 :10%
(三洋化成工業(株)製)
・オルフィンE1010(日信化学工業(株)製、界面活性剤) : 1%
上記成分にイオン交換水を加えて100%となるように調整した。
(マゼンタインクM2の組成)
前記シアンインクC2の組成中のシアン顔料を、顔料の量が同量になるようにマゼンタ顔料(ピグメント・レッド122)に変更したこと以外は、シアンインクC2と同様の組成とした。
(イエローインクY2の組成)
前記シアンインクC2の組成中のシアン顔料を、顔料の量が同量になるようにイエロー顔料(ピグメント・イエロー74)に変更したこと以外は、シアンインクC2と同様の組成とした。
(ブラックインクK2の組成)
前記シアンインクC2の組成中のシアン顔料を、顔料の量が同量になるようにブラック顔料(カーボンブラック)に変更したこと以外は、シアンインクC2と同様の組成とした。
(シアンインクC3の組成)
・シアン顔料(ピグメント・ブルー15:3) : 4%
・前記ポリマー分散剤P−1(固形分) : 2%
・前記熱処理した樹脂微粒子分散物HLx−03 :14%
・トリプロピレングリコールモノエチルエーテル(TPGmME) : 6%
(和光純薬工業(株)製)
・オルフィンE1010(日信化学工業(株)製、界面活性剤) : 1%
・尿素 : 5%
上記成分にイオン交換水を加えて100%となるように調整した。
(マゼンタインクM3の組成)
前記シアンインクC3の組成中のシアン顔料を、顔料の量が同量になるようにマゼンタ顔料(ピグメント・レッド122)に変更したこと以外は、シアンインクC3と同様の組成とした。
(イエローインクY3の組成)
前記シアンインクC3の組成中のシアン顔料を、顔料の量が同量になるようにイエロー顔料(ピグメント・イエロー74)に変更したこと以外は、シアンインクC3と同様の組成とした。
(ブラックインクK3の組成)
前記シアンインクC3の組成中のシアン顔料を、顔料の量が同量になるようにブラック顔料(カーボンブラック)に変更したこと以外は、シアンインクC3と同様の組成とした。
(シアンインクC4の組成)
・シアン顔料(ピグメント・ブルー15:3) : 4%
・前記ポリマー分散剤P−1(固形分) : 2%
・前記熱処理した樹脂微粒子分散物HLx−04 :20%
・オルフィンE1010(日信化学工業(株)製、界面活性剤) : 1%
・尿素 : 5%
上記成分にイオン交換水を加えて100%となるように調整した。
(マゼンタインクM4の組成)
前記シアンインクC4の組成中のシアン顔料を、顔料の量が同量になるようにマゼンタ顔料(ピグメント・レッド122)に変更したこと以外は、シアンインクC4と同様の組成とした。
(イエローインクY4の組成)
前記シアンインクC4の組成中のシアン顔料を、顔料の量が同量になるようにイエロー顔料(ピグメント・イエロー74)に変更したこと以外は、シアンインクC4と同様の組成とした。
(ブラックインクK4の組成)
前記シアンインクC4の組成中のシアン顔料を、顔料の量が同量になるようにブラック顔料(カーボンブラック)に変更したこと以外は、シアンインクC4と同様の組成とした。
(シアンインクC5の組成)
・シアン顔料(ピグメント・ブルー15:3) : 4%
・前記ポリマー分散剤P−1(固形分) : 2%
・前記熱処理した樹脂微粒子分散物HLx−05 :14%
・サンニックスGP250 :10%
(三洋化成工業社製)
・オルフィンE1010(日信化学工業(株)製、界面活性剤) : 1%
・尿素 : 5%
上記成分にイオン交換水を加えて100%となるように調整した。
(マゼンタインクM5の組成)
前記シアンインクC5の組成中のシアン顔料を、顔料の量が同量になるようにマゼンタ顔料(ピグメント・レッド122)に変更したこと以外は、シアンインクC5と同様の組成とした。
(イエローインクY5の組成)
前記シアンインクC5の組成中のシアン顔料を、顔料の量が同量になるようにイエロー顔料(ピグメント・イエロー74)に変更したこと以外は、シアンインクC5と同様の組成とした。
(ブラックインクK5の組成)
前記シアンインクC5の組成中のシアン顔料を、顔料の量が同量になるようにブラック顔料(カーボンブラック)に変更したこと以外は、シアンインクC5と同様の組成とした。
(シアンインクC6の組成)
・シアン顔料(ピグメント・ブルー15:3) : 4%
・前記ポリマー分散剤P−1(固形分) : 2%
・前記熱処理した樹脂微粒子分散物HLx−06 :14%
・トリプロピレングリコールモノエチルエーテル(TPGmME) : 6%
(和光純薬工業(株)製)
・オルフィンE1010(日信化学工業(株)製、界面活性剤) : 1%
・尿素 : 5%
上記成分にイオン交換水を加えて100%となるように調整した。
(マゼンタインクM6の組成)
前記シアンインクC6の組成中のシアン顔料を、顔料の量が同量になるようにマゼンタ顔料(ピグメント・レッド122)に変更したこと以外は、シアンインクC6と同様の組成とした。
(イエローインクY6の組成)
前記シアンインクC6の組成中のシアン顔料を、顔料の量が同量になるようにイエロー顔料(ピグメント・イエロー74)に変更したこと以外は、シアンインクC6と同様の組成とした。
(ブラックインクK6の組成)
前記シアンインクC6の組成中のシアン顔料を、顔料の量が同量になるようにブラック顔料(カーボンブラック)に変更したこと以外は、シアンインクC6と同様の組成とした。
(シアンインクC7の組成)
・シアン顔料(ピグメント・ブルー15:3) : 4%
・前記ポリマー分散剤P−1(固形分) : 2%
・前記自己分散性樹脂粒子B−01の水分散物B−01Lx : 4%
・サンニックスGP250 :10%
(三洋化成工業社製)
・トリプロピレングリコールモノエチルエーテル(TPGmME) : 6%
(和光純薬工業(株)製)
・オルフィンE1010(日信化学工業(株)製、界面活性剤) : 1%
・尿素 : 5%
上記成分にイオン交換水を加えて100%となるように調整した。
(マゼンタインクM7の組成)
前記シアンインクC7の組成中のシアン顔料を、顔料の量が同量になるようにマゼンタ顔料(ピグメント・レッド122)に変更したこと以外は、シアンインクC7と同様の組成とした。
(イエローインクY7の組成)
前記シアンインクC7の組成中のシアン顔料を、顔料の量が同量になるようにイエロー顔料(ピグメント・イエロー74)に変更したこと以外は、シアンインクC7と同様の組成とした。
(ブラックインクK7の組成)
前記シアンインクC7の組成中のシアン顔料を、顔料の量が同量になるようにブラック顔料(カーボンブラック)に変更したこと以外は、シアンインクC7と同様の組成とした。
(シアンインクC8の組成)
・シアン顔料(ピグメント・ブルー15:3) : 4%
・前記ポリマー分散剤P−1(固形分) : 2%
・前記熱処理した樹脂微粒子分散物HLx−07 : 4%
・サンニックスGP250 :10%
(三洋化成工業社製)
・トリプロピレングリコールモノエチルエーテル(TPGmME) : 6%
(和光純薬工業(株)製)
・オルフィンE1010(日信化学工業(株)製、界面活性剤) : 1%
・尿素 : 5%
上記成分にイオン交換水を加えて100%となるように調整した。
(マゼンタインクM8の組成)
前記シアンインクC8の組成中のシアン顔料を、顔料の量が同量になるようにマゼンタ顔料(ピグメント・レッド122)に変更したこと以外は、シアンインクC8と同様の組成とした。
(イエローインクY8の組成)
前記シアンインクC8の組成中のシアン顔料を、顔料の量が同量になるようにイエロー顔料(ピグメント・イエロー74)に変更したこと以外は、シアンインクC8と同様の組成とした。
(ブラックインクK8の組成)
前記シアンインクC8の組成中のシアン顔料を、顔料の量が同量になるようにブラック顔料(カーボンブラック)に変更したこと以外は、シアンインクC8と同様の組成とした。
(シアンインクC9の組成)
・シアン顔料(ピグメント・ブルー15:3) : 4%
・前記ポリマー分散剤P−1(固形分) : 2%
・前記熱処理した樹脂微粒子分散物HLx−08 :10%
・サンニックスGP250 :10%
(三洋化成工業社製)
・オルフィンE1010(日信化学工業(株)製、界面活性剤) : 1%
・尿素 : 5%
上記成分にイオン交換水を加えて100%となるように調整した。
(マゼンタインクM9の組成)
前記シアンインクC9の組成中のシアン顔料を、顔料の量が同量になるようにマゼンタ顔料(ピグメント・レッド122)に変更したこと以外は、シアンインクC9と同様の組成とした。
(イエローインクY9の組成)
前記シアンインクC9の組成中のシアン顔料を、顔料の量が同量になるようにイエロー顔料(ピグメント・イエロー74)に変更したこと以外は、シアンインクC9と同様の組成とした。
(ブラックインクK9の組成)
前記シアンインクC9の組成中のシアン顔料を、顔料の量が同量になるようにブラック顔料(カーボンブラック)に変更したこと以外は、シアンインクC9と同様の組成とした。
(シアンインクC10の組成)
・シアン顔料(ピグメント・ブルー15:3) : 4%
・前記ポリマー分散剤P−1(固形分) : 2%
・前記熱処理した樹脂微粒子分散物HLx−09 :10%
・サンニックスGP250 :10%
(三洋化成工業社製)
・オルフィンE1010(日信化学工業(株)製、界面活性剤) : 1%
・尿素 : 5%
上記成分にイオン交換水を加えて100%となるように調整した。
(マゼンタインクM10の組成)
前記シアンインクC10の組成中のシアン顔料を、顔料の量が同量になるようにマゼンタ顔料(ピグメント・レッド122)に変更したこと以外は、シアンインクC10と同様の組成とした。
(イエローインクY10の組成)
前記シアンインクC10の組成中のシアン顔料を、顔料の量が同量になるようにイエロー顔料(ピグメント・イエロー74)に変更したこと以外は、シアンインクC10と同様の組成とした。
(ブラックインクK10の組成)
前記シアンインクC10の組成中のシアン顔料を、顔料の量が同量になるようにブラック顔料(カーボンブラック)に変更したこと以外は、シアンインクC10と同様の組成とした。
(シアンインクC11の組成)
・シアン顔料(ピグメント・ブルー15:3) : 4%
・前記ポリマー分散剤P−1(固形分) : 2%
・前記熱処理した樹脂微粒子分散物HLx−10 :10%
・サンニックスGP250 :10%
(三洋化成工業社製)
・オルフィンE1010(日信化学工業(株)製、界面活性剤) : 1%
・尿素 : 5%
上記成分にイオン交換水を加えて100%となるように調整した。
(マゼンタインクM11の組成)
前記シアンインクC11の組成中のシアン顔料を、顔料の量が同量になるようにマゼンタ顔料(ピグメント・レッド122)に変更したこと以外は、シアンインクC11と同様の組成とした。
(イエローインクY11の組成)
前記シアンインクC11の組成中のシアン顔料を、顔料の量が同量になるようにイエロー顔料(ピグメント・イエロー74)に変更したこと以外は、シアンインクC11と同様の組成とした。
(ブラックインクK11の組成)
前記シアンインクC11の組成中のシアン顔料を、顔料の量が同量になるようにブラック顔料(カーボンブラック)に変更したこと以外は、シアンインクC11と同様の組成とした。
(シアンインクC12の組成)
・シアン顔料(ピグメント・ブルー15:3) : 4%
・前記ポリマー分散剤P−1(固形分) : 2%
・前記熱処理した樹脂微粒子分散物HLx−11 :10%
・サンニックスGP250 :10%
(三洋化成工業社製)
・オルフィンE1010(日信化学工業(株)製、界面活性剤) : 1%
・尿素 : 5%
上記成分にイオン交換水を加えて100%となるように調整した。
(マゼンタインクM12の組成)
前記シアンインクC12の組成中のシアン顔料を、顔料の量が同量になるようにマゼンタ顔料(ピグメント・レッド122)に変更したこと以外は、シアンインクC12と同様の組成とした。
(イエローインクY12の組成)
前記シアンインクC12の組成中のシアン顔料を、顔料の量が同量になるようにイエロー顔料(ピグメント・イエロー74)に変更したこと以外は、シアンインクC12と同様の組成とした。
(ブラックインクK12の組成)
前記シアンインクC12の組成中のシアン顔料を、顔料の量が同量になるようにブラック顔料(カーボンブラック)に変更したこと以外は、シアンインクC12と同様の組成とした。
(シアンインクC13の組成)
・シアン顔料(ピグメント・ブルー15:3) : 4%
・前記ポリマー分散剤P−1(固形分) : 2%
・前記熱処理した樹脂微粒子分散物HLx−12 :10%
・サンニックスGP250 :10%
(三洋化成工業社製)
・オルフィンE1010(日信化学工業(株)製、界面活性剤) : 1%
・尿素 : 5%
上記成分にイオン交換水を加えて100%となるように調整した。
(マゼンタインクM13の組成)
前記シアンインクC13の組成中のシアン顔料を、顔料の量が同量になるようにマゼンタ顔料(ピグメント・レッド122)に変更したこと以外は、シアンインクC13と同様の組成とした。
(イエローインクY13の組成)
前記シアンインクC13の組成中のシアン顔料を、顔料の量が同量になるようにイエロー顔料(ピグメント・イエロー74)に変更したこと以外は、シアンインクC13と同様の組成とした。
(ブラックインクK13の組成)
前記シアンインクC13の組成中のシアン顔料を、顔料の量が同量になるようにブラック顔料(カーボンブラック)に変更したこと以外は、シアンインクC13と同様の組成とした。
(シアンインクC14の組成)
・シアン顔料(ピグメント・ブルー15:3) : 4%
・前記ポリマー分散剤P−1(固形分) : 2%
・前記熱処理した樹脂微粒子分散物HLx−13 :10%
・サンニックスGP250 :10%
(三洋化成工業社製)
・オルフィンE1010(日信化学工業(株)製、界面活性剤) : 1%
・尿素 : 5%
上記成分にイオン交換水を加えて100%となるように調整した。
(マゼンタインクM14の組成)
前記シアンインクC14の組成中のシアン顔料を、顔料の量が同量になるようにマゼンタ顔料(ピグメント・レッド122)に変更したこと以外は、シアンインクC14と同様の組成とした。
(イエローインクY14の組成)
前記シアンインクC14の組成中のシアン顔料を、顔料の量が同量になるようにイエロー顔料(ピグメント・イエロー74)に変更したこと以外は、シアンインクC14と同様の組成とした。
(ブラックインクK14の組成)
前記シアンインクC14の組成中のシアン顔料を、顔料の量が同量になるようにブラック顔料(カーボンブラック)に変更したこと以外は、シアンインクC14と同様の組成とした。
(シアンインクC15の組成)
・シアン顔料(ピグメント・ブルー15:3) : 4%
・前記ポリマー分散剤P−1(固形分) : 2%
・前記熱処理した樹脂微粒子分散物HLx−14 :10%
・サンニックスGP250 :10%
(三洋化成工業社製)
・オルフィンE1010(日信化学工業(株)製、界面活性剤) : 1%
・尿素 : 5%
上記成分にイオン交換水を加えて100%となるように調整した。
(マゼンタインクM15の組成)
前記シアンインクC15の組成中のシアン顔料を、顔料の量が同量になるようにマゼンタ顔料(ピグメント・レッド122)に変更したこと以外は、シアンインクC15と同様の組成とした。
(イエローインクY15の組成)
前記シアンインクC15の組成中のシアン顔料を、顔料の量が同量になるようにイエロー顔料(ピグメント・イエロー74)に変更したこと以外は、シアンインクC15と同様の組成とした。
(ブラックインクK15の組成)
前記シアンインクC15の組成中のシアン顔料を、顔料の量が同量になるようにブラック顔料(カーボンブラック)に変更したこと以外は、シアンインクC15と同様の組成とした。
<処理液の調製>
下記のようにして、処理液(1)を調製した。なお、表面張力、粘度、及びpHの測定は、下記の方法により測定した。
−処理液(1)の調製−
下記組成となるように各成分を混合し、処理液(1)を調製した。処理液(1)の物性値は、粘度2.6mPa・s、表面張力37.3mN/m、pH1.6であった。
<処理液(1)の組成>
・マロン酸(2価のカルボン酸、和光純薬工業(株)製) 15.0%
・ジエチレングリコールモノメチルエーテル(和光純薬工業(株)製) 20.0%
・N−オレオイル−N−メチルタウリンナトリウム(界面活性剤) 1.0%
・イオン交換水 64.0%
表面張力の測定は、Automatic Surface Tensiometer CBVP−Z(協和界面科学(株)製)を用いて、白金プレートを用いたウィルヘルミ法にて25℃の条件下で行なった。
粘度の測定は、VISCOMETER TV−22(TOKI SANGYO CO.LTD製)を用いて30℃の条件下で行なった。
pHは、東亜DKK(株)製のpHメータWM−50EGを用い、インク組成物を原液のまま25℃にて測定した。
<インクセットの調製>
(インクセット1の調製)
上記インク組成物(シアンインクC1、マゼンタインクM1、イエローインクY1、ブラックインクK1)と処理液(1)とを組合せてインクセット1を得た。
(インクセット2〜15の調製)
インクセット1の調製と同様に、シアンインクC1、マゼンタインクM1、イエローインクY1、ブラックインクK1の代わりに、シアンインクC2〜15、マゼンタインクM2〜15、イエローインクY2〜15、ブラックインクK2〜15を用いた以外は同様にしてインクセット2〜15を得た。
[評価]
−耐擦過性−
(a)GELJET GX5000プリンターヘッド(リコー社製のフルラインヘッド)を用意し、これに繋がる貯留タンクを上記で得たシアンインクC1〜C15、マゼンタインクM1〜M15、イエローインクY1〜Y15、ブラックインクK1〜K15に詰め替えた。記録媒体として特菱アート両面N(三菱製紙(株)製)を、500mm/秒で所定の直線方向に移動可能なステージ上に固定し、これに上記で得た処理液(1)をワイヤーバーコーターで約1.5μm(マロン酸0.34g/m相当)の厚みとなるように塗布し、塗布直後に50℃で2秒間乾燥させた。
(b)その後、GELJET GX5000プリンターヘッド(リコー社製のフルラインヘッド)を、前記ステージの移動方向(副走査方向)と直交する方向に対して、ノズルが並ぶラインヘッドの方向(主走査方向)が75.7°傾斜するように固定配置し、記録媒体を副走査方向に定速移動させながらインク液滴量3.5pL、吐出周波数24kHz、解像度1200dpi×600dpiの吐出条件にてライン方式で吐出し、ベタ画像を印字して評価サンプルを得た。印字直後、60℃で5秒間乾燥させた。
10mm×50mmに裁断した未印字の特菱アート両面Nを文鎮(重量470g、サイズ15mm×30mm×120mm)に巻きつけ(未印字の特菱アート両面Nと評価サンプルが接触する面積は150mm)、上記で作成した評価サンプルを3往復擦った(荷重260kg/mに相当)。擦った後の印字面を目視により観察し、下記の評価基準にしたがって評価した。
<評価基準>
A:印字面の画像の剥れは全く視認できなかった。
B:印字面の画像の剥れが、わずかに視認されたが、実用上問題ないレベル。
C:印字面の画像の剥れが視認でき、実用上問題があるレベル。
−熱定着転写性−
耐擦過性の評価において、下記の(c)熱定着工程を上記(b)の工程に加えた以外は同様に行って評価を行った。このあと、定着ローラを観察し、定着ローラの汚れを目視で観察した。
(c)更に60℃に加熱された一対の定着ローラ間を通過させ、ニップ圧0.25MPa、ニップ幅4mmにて定着処理を実施し、評価サンプルを得た。
なお、定着ローラは、内部にハロゲンランプが内装されたSUS製の円筒体の芯金の表面がシリコーン樹脂で被覆された加熱ロールと、該加熱ローラに圧接する対向ロールとで構成されたものである。
<評価基準>
AA:インク液滴量10.0pLで全ベタ出力しても定着ローラへの画像の転写が生じていない。
A:インク液滴量8.0pLで全ベタ出力しても定着ローラへの画像の転写が生じていない。
B:インク液滴量5.0pLで全ベタ出力しても定着ローラへの画像の転写が生じていない。
C:インク液滴量5.0pLで全ベタ出力しても定着ローラへの画像の転写が発生している。

以上の通り、本発明の構成を有する実施例は、いずれにおいても画像の転写が抑制された、耐擦過性に優れた画像の記録が可能である。

Claims (10)

  1. 有機溶剤の存在下で12時間以上、40℃〜80℃で熱処理された樹脂粒子と、顔料と、水とを含有するインク組成物。
  2. 前記有機溶剤のSP値が27.5以下である請求項1に記載のインク組成物。
  3. 前記樹脂粒子の熱処理は、前記有機溶剤及び尿素の存在下で行われる請求項1又は請求項2に記載のインク組成物。
  4. 前記樹脂粒子が自己分散性樹脂粒子である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のインク組成物。
  5. 有機溶剤の存在下で12時間以上、40℃〜80℃で樹脂粒子を熱処理する熱処理工程と、前記熱処理された樹脂粒子と顔料とを混合する混合工程と、を有するインク組成物の製造方法。
  6. 前記熱処理工程は、前記有機溶剤及び尿素の存在下で熱処理を行う請求項5に記載のインク組成物の製造方法。
  7. 前記樹脂粒子が自己分散性樹脂粒子である請求項5または請求項6に記載のインク組成物の製造方法。
  8. 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のインク組成物を用いて記録媒体上に画像を形成する画像形成工程を有する画像形成方法。
  9. 前記画像形成工程後に前記画像を乾燥する乾燥工程と、前記乾燥工程後に前記画像を加熱部材に接触させることにより前記画像を前記記録媒体に定着する熱定着工程と、を有する請求項8に記載の画像形成方法。
  10. 前記画像形成工程は、前記記録媒体上に処理液を付与する処理液付与工程を含み、前記記録媒体に付与された処理液に接触させて前記インク組成物を付与することにより前記画像を形成する請求項8または請求項9に記載の画像形成方法。
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