以下、本発明の実施例を図1乃至図8に基づいて説明する。
<第1実施例>本発明の実施の形態を、基板の一例として液晶表示器用のガラス基板の製造に用いられる基板検査装置を例に採って図面を参照して説明する。ただし、本発明は、ガラス基板の処理に限らず、非円形の各種の基板や円形の半導体ウェハ等の基板の処理にも適用することができる。また、本発明が適用できる基板検査は、同じ装置内で単一の処理を行うものや、薬液処理、洗浄処理、および乾燥処理を同じ装置内で連続して行うものなどにも適用可能である。
図1は、本発明の一実施形態としての基板検査装置が配置された基板処理システムの構成を示す概略平面図、図2は基板処理システムの概略正面図である。この基板処理システム1では、一方の端部にLCD用ガラス基板W(以下、単に基板Wという)を基板検査装置10に搬入出する移載装置11が配置される。この移載装置11の、一端に基板Wを収容するカセット12が載置可能に構成されたカセットステーション13が設けられており、カセットステーション13の載置部14は、基板Wを25枚収納したカセット12を載置できる構成になっている。このカセットステーション13の側方には、水平、昇降(X、Y、Z)方向に移動自在であると共に、かつ鉛直軸を中心に回転(θ方向)できるように構成され、搬送アーム15を備えた基板搬送装置16が備えられている。
上記の基板処理システム1では、基板搬送装置16がカセット12から処理工程前の基板Wを一枚ずつ取出し、基板搬入出口17より搬送アーム15を挿入することで基板検査装置10に基板Wを搬入する。それと共に、処理工程後の基板Wを搬送アーム15が基板搬入出口17より取り出し、カセット12内に1枚ずつ収容する。
基板検査装置10は、基板搬入出口17側より受け渡し部18と検査部19により構成される。そして、それらを収納するハウジング100を有し、ハウジング100の外壁に操作部101としてタッチパネル102とモニタ103が配置される。受け渡し部18は基板Wを一時的に保持する複数の支持ピン181と、支持ピン181が上面に装着された保持板182と、保持板182の下面に連結された保持板182を昇降する昇降軸183とより構成される。そして、搬送アーム15より支持ピン181に受け渡された基板Wを昇降軸183が下降することで検査部19のステージ21に載置する。即ち、ステージ21が基板Wの受け渡し位置にある時は、ステージ21を貫通して受け渡し部18の支持ピン181が突出しており、支持ピン181に基板Wが載置された後に昇降軸183が下降して支持ピン181がステージ21の下面から引き出されることで基板Wがステージ21に上面に載置される。
次に検査部19の構成について説明する。図3は本発明の一実施形態に係る基板検査装置10の検査部19の構成を示す図である。基板検査装置10は、液晶表示装置等の平面表示装置に用いられる矩形のガラス基板Wの基板上面Wfに形成されたパターン形成用のレジスト材料の膜9の画像を取得し、この画像に基づいて膜9の厚さのムラを検査する装置である。
検査部19は、基板Wを水平姿勢にて保持しモータにより回転駆動するステージ21、ステージ21上に載置された基板W上の膜9に所定の入射角にて照明光を照射する光照射部3、光照射部3から照射されて膜9にて反射した光を受光するラインセンサカメラ4、ステージ21を光照射部3およびラインセンサカメラ4に対して相対的に水平方向に(図1中の(+X)方向に)移動する移動機構22、基板検査装置10の全体制御を司る制御部51、並びに、制御部51に接続された操作部101を備える。
ステージ21の上面は、好ましくは黒色艶消しとされ、移動機構22は、ボールねじ機構にモータを接続してステージ21をガイドに沿って基板Wの基板上面Wfに沿う方向に移動する。このように、ステージ21および移動機構22により、基板9を水平方向に搬送する搬送機構2が構成される。
光照射部3は、白色光(すなわち、可視領域の全ての波長の光を含む光)を出射する光源であるハロゲンランプ31、ステージ21の移動方向に垂直かつ水平な図3中のY方向に伸びる円柱状の石英ロッド32、および、石英ロッド32に平行に伸びるシリンドリカルレンズ33を備える。
光照射部3では、2個のハロゲンランプ31が石英ロッド32の(+Y)側の両端部に取り付けられており、石英ロッド32のシリンドリカルレンズ33とは反対側の表面には反射面が形成されており、ハロゲンランプ31から石英ロッド32に入射した光は、石英ロッド32の外周面からシリンドリカルレンズ33に向けて出射され、シリンドリカルレンズ33によりY方向に伸びる線状光(すなわち、光束断面がY方向に長い線状となる光)に変換されて基板Wへと導かれる。換言すれば、石英ロッド32およびシリンドリカルレンズ33は、ハロゲンランプ31からの光をステージ21の移動方向に垂直な線状光に変換して基板Wへと導く光学系となっている。なお、ハロゲンランプ31は石英ロッド32の一方端に1個だけ設けられてもよい。
石英ロッド32およびシリンドリカルレンズ33はケーシング34に収納されており、ケーシング34は傾き調整部601および水平位置調整部602を介して検査部19のフレーム603に取り付けられる。傾き調整部601は、調整ネジを利用して図3中に二点鎖線にて示す光軸をおよそ中心として光照射部3を僅かに回動させることにより、光照射部3の搬送機構2に対する傾きを調整する。水平位置調整部602はフレーム603にボルトにて固定されており、ボルトを緩めることにより光照射部3をスライドさせて光照射部3の搬送機構2に対する前後位置(X方向の位置)が調整可能とされる。この光照射部3は、受け渡し部18と検査部19との間で受け渡し部18側方の近傍に配置される。
光照射部3から出射された光の一部は、基板Wの基板上面Wfの膜9の上側(図3中の(+Z)側)の面にて反射される。一方、膜9は光照射部3からの光に対して透過性を有しており、光照射部3からの光のうち膜9の上面にて反射されなかった光は、膜9を透過して基板Wの基板上面Wf(すなわち、膜9の下面)にてその一部が反射される。基板検査装置10では、基板Wにおける膜9の上面にて反射された光と基板Wの基板上面Wfにて反射された光との干渉光がラインセンサカメラ4に入射する。
ラインセンサカメラ4は、ラインセンサを有する撮像部41、ラインセンサ上に基板Wの像を形成するレンズ42、および、レンズ42の前面に配置されて所定の波長の光のみを透過するフィルタ43を備え、ラインセンサカメラ4に入射する光はフィルタ43およびレンズ42を介して撮像部41へと導かれる。なお、フィルタ43は、複数のフィルタを保持し交換可能に構成してもよい。
図4は、撮像部41の受光面を示す図である。撮像部41のラインセンサ410は、複数の受光素子、例えば、CCD(Charge Coupled Device)411をY方向に直線状に配列して有し、ラインセンサカメラ4の撮像位置(合焦位置)を基板W上に合わせた際に基板W上の線状の撮像領域(以下、「撮像ライン」という。)が撮像される。受光素子411のピッチは、例えば、基板W上において100μmに対応する。
また、照明光の基板W上における照射領域は撮像ラインを含む線状とされ、撮像部41では、基板Wからの干渉光がラインセンサ410にて受光されることにより、干渉光の強度分布(すなわち、各受光素子411からの出力値のY方向における分布)が取得される。実際には、後述するように、基板Wの搬送方向であるX方向への移動に伴って撮像部41のラインセンサ410にて干渉光の強度分布が繰り返し取得されることにより撮像ラインが連続して基板W上の膜9の2次元画像が取得される。
次に、本発明に係るシェーディング補正機能を有した画像読取装置について、図4乃至図8を参照しながら以下詳細に説明する。基板検査装置10の検査部19には、さらに、シェーディング補正を行うためのシェーディング補正部512が制御部51内に設けられている。
前記シェーディング補正部512は、鏡面反射面が形成されている図示しない基準対象物を予めラインセンサカメラ4にて読み取った図5に示すラインセンサ410の出力信号である基準電気信号E1を記憶する記憶部513を備える。そして、記憶部513の基準電気信号E1を受光素子411の1個に相当する画素の光強度の拡散度を変更するように正規分布関数との畳み込み積分(合成積分)で変更した補正信号データを生成するデータ生成部514より構成される。本実施例に係る画像読取装置は、基本的には以上のように構成されるものであり、光照射部3とラインセンサカメラ4と制御部51が本発明の画像読取装置に相当し、基板検査装置10の検査部19において主要部を構成する。
次に、基準電気信号E1の作成について説明する。先ず、図3に示すように、ハロゲンランプ31からの照明光の光路中に事前に作業者によって配置された鏡面反射面を備える基準対象物に照明光が集光された後、正反射した正反射光がラインセンサカメラ4に導入される。この場合、前記基準対象物を反射する照明光は、受光素子411によって読み取られて電気信号に変換される。そして、この電気信号は予め記憶部513に書き込まれる。
基準対象物を用いてラインセンサカメラ4で撮像した読み取られた基準電気信号E1は、基板Wと同一の屈折率、厚み、透過率および同一の表面の拡散度を有する対象物に基づいて得られている必要は無い。そして、シェーディング補正部512は、基準電気信号E1から全画素が同じ光強度の画像信号となるような補正係数を各画素毎に算出して、シェーディング補正条件として設定する。そして、検査部19により検査工程において読み取った検査対象物の画像信号をこの補正係数で補正し、補正後の2次元画像データより基板Wの塗布ムラを検出する。
この時、検査対象物と基準対象物のラインセンサ4による読取光が大きく異なると、前述のシェーディング補正係数で補正しても検査対象物の画像データの適正補正は達成されない。そこで、検査対象物が異なる時、特に検査対象物の表面の光反射特性が異なる時に、シェーディング補正係数を変更する必要がある。検査対象物が変わったとしても検査部19の光学系は同じであるため、基準対象物によって得た基準電気信号E1の全体的な傾向は大きく変わらない。検査対象物が変わり屈折率、厚み、透過率および表面の拡散性が変わると、基準電気信号E1の画素単位の拡散性、言い換えると画素単位の受光素子411の読取光の光強度が変わることに着目される。そこで、基板電気信号E1の画素単位の電気信号を変更処理した補正信号データを生成し、この補正信号データをもとにシェーディング補正係数を算出する。こうすることで、基準対象物を取り換えることなく、複数のシェーディング補正係数を得ることができる。
次に、補正信号データを生成する動作について図6と図7を用いて説明する。受光素子411の1個に相当する画素の読取光の光強度を示す関数データに一実施例として正規分布を示す関数データを拡散性データとして合成積分を求める。言い換えると、基準電気信号E1の関数f(t)に正規分布の関数g(t)を式1でもって公知の畳み込み(Convolution)演算処理をすることで、図6に示す畳み込み後の補正信号データE2を得る。
ここで、図7に示すように1画素412の読取光L10の光強度は中央から周辺に向かい弱くなるので左右に傾斜を有する山形の形状を形成して表わされる。この読取光L10の各点上では基準対象物W2の1点からの反射光L20のみが読取光として受光されているのではなく、1画素412に対応する所定の領域のから複数の反射光L20がそれぞれ影響していると考えられる。一方、1画素412に対応する所定の領域の各点における反射光L20がそれぞれ個別に山形の光強度を形成しているとして、これを正規分布の関数g(t)と設定する。即ち、1画素412の領域による読取光L10の光強度が基準対象物W2の対応する領域の各点の反射光L20の光強度の相互影響による結果として生成されるとする。よって、逆に各点の反射光L20の光強度が全て変わることでその集合体である1画素の読取光L10の光強度も変わることとなる。これは同時に基準対象物W2の表面状態の変更によって基準対象物W2からの読取光L10の光強度が変わる。よって、正規分布の関数g(t)を基準電気信号E1の関数f(t)に合成積分することで、基準電気信号E1に対応する関数f(t)に畳み込む正規分布の関数g(t)の値によって1画素412に対応する各点の信号の強弱が変更され、結果、基準電気信号E1から異なる波形データを演算部511で生成する。その生成された波形データである補正信号データE2をデータ生成部514に備える。
更に、正規分布の関数g(t)は光の拡散現象を示すもので、拡散データとして機能する。即ち、正規分布の広がりである幅と高さを形状と幅のパラメータを変更することで、異なるデータを生成する。即ち、データ生成部514は、異なる関数g(t)を生成するよう、演算処理する働きをする。従って、この拡散性データの関数を変更することで対応して複数の補正設定データを生成することができる。
仮に、基板9がガラス基板であればガラス基板と同様な光拡散度を示すような補正信号データが得られる拡散性を有するように正規分布の関数g(t)を設定して基準電気信号E1に畳み込むことで図6に示すようは補正信号データE2が生成される。
よって、検査対象物がガラス基板であれば制御部51の操作部101よりガラス基板に対応する拡散性関数を選択することで補正信号データE2が作成されるので、この補正信号データE2を基にシェーディング補正係数を生成し、シェーディング補正を行うこととなる。
更に、具体的に説明する。図8は操作部101の正面図である。タッチパネル102は、拡散性関数の形状と幅のパラメータを任意に変更可能とする設定キーとしてスライダー121、122を備える。そして、モニタ103は、関数データを示す第一分割画面131と、基準電気信号E1を表示する第二分割画面132と、補正信号データE2を表示する第三分割画面133と、補正信号データE2が算出された時に制御部51によってその補正信号データE2に相当する検査対象物の表面イメージを生成して表示する第四分割画面134とを備える。
第四分割画面134の上部には第五分割画面135を備える。第五分割画面135は第四分割画面134に表示される表面イメージが検査対象物に対して操作者が適正と考えた場合に、評価点として1から100までの数字で100を最高として入力し設定した場合に表示する。即ち、後述するように補正信号データE2を生成してシェーディング補正を行い検査を実行した場合に、そのシェーディング補正が好ましいかどうかを別途、ムラのない検査対象物で検査処理を実行して生成された2次元画像データに検査対象物の表面状態と異なるデータが生成されるかどうかでシェーディング補正係数の良否を判定する。その判定結果を評価点として記憶部513に蓄積することで、同一の補正信号データE2が生成された場合に、この第五分割画面135にその評価点を表示するようにしてもよい。
また、設定キーとしてリストボックス123を備える。拡散性関数として上記実施例においては正規分布を一例としたが、異なる関数データを作成し予め記憶部513に書き込み、リストボックス123で選択可能に構成してもよい。そして、このリストボックス123の右手に選択された関数データの名称が表示される。
次に、第四分割画面134で表示される検査対象物の表面イメージの生成に関して説明する。基準対象物によって基準電気信号E1を生成すると同時にシェーディング補正後の基準対象物の表面イメージを2次元画像データとして読み取り電気信号に変換し制御部51に記憶する。そして、基準電気信号E1から補正信号データE2が生成されると、補正信号データE2にてシェーディング補正した基準対象物の表面イメージに変更する。その変更後の表面イメージを補正信号データE2に対応する対象物の表面イメージとして第三分割画面133に補正信号データE2を表示すると同時に、第四分割画面134に表面イメージを多階調の明暗で表示する。
第四分割画面134に表面イメージが表示されると同時に評価点が制御部51によって表示される。こうすることで、第四分割画面134の表示イメージを評価点の数字に対応して確認することが出来る。なお、評価点は、基準対象物の表面イメージを100と設定し、表示イメージの明暗に対して100を基準に白側を「0」、黒側を「200」として段階的に評価し、数字として示すようにしてもよい。
次に、補正信号データE2を検査対象物に対応して設定する動作について説明する。操作部101の第一分割画面131にはリストボックス123で選択された関数データが表示され、第二分割画面132には基準電気信号E1が表示される。第四分割画面134には基準対象物の表面イメージが表示される。第三分割画面133には何も表示されていない状態である。
検査対象物の光反射特性が基準対象物の光反射特性と近似する時は、後述する検査工程を実施する。一方、検査対象物の光反射特性が基準対象物と異なる時は、検査対象物の表面イメージと第四分割画面134に表示される表面イメージとを目視により比較し、検査対象物の表面イメージが例えばより黒い場合であれば、第四分割画面134の表面イメージが近似する黒になるようにスライダー121と122によって関数データを変更する。
設定キー121によって正規分布関数を変更すると、第一分割画面131の正規分布関数のグラフが変わるとともに、第三分割画面133に補正信号データE2が表示される。その後、補正信号データE2に対応して第四分割画面134の表示イメージも変更され、対応する評価点に評価点の表示も変更される。よって、検査対象物の表面イメージに近似する表面イメージが第四分割画面134に表示されるまで、評価点を参照して設定キー121を操作する。こうすることで、所望の表面イメージが第四分割画面134に表示されるとその状態で後述する検査工程を実施する。
具体的に、リストボックス123によって正規分布が設定されると式2が表示される。
スライダー121は式2の「A」を変更し、結果、第二分割画面132に示す関数データの形状を変更する。また、スライダー122は式2の「B」を変更し、結果、第二分割画面132に示す関数データの幅を変更する。例えば、式2において「A」を変更すると関数データの山形形状がとがった状態から台形に近い状態へと変更され、「B」を「0(ゼロ)」に近づけると幅が広くなり、大きくすると幅が無くなる。
即ち、設定キーであるスライダー121と122を操作することで、結果的に複数の補正信号データE2が生成することが可能となる。そのため、検査対象物が変わって基準対象物と異なるシェーディング補正を行う必要がある場合、検査対象物の表面イメージに対応する補正信号データE2を生成し設定することで、最適なシェーディング補正を行うことが可能となる。
次に、基板処理システム1の動作を説明する。基板検査装置10によりムラの検査が行われる際には、まず、操作部101でシェーディング補正係数の設定を行う。
次に、レジストの膜9が形成された基板Wが、基板搬送装置16によって受け渡し部18の支持ピン181に載置される。基板Wが支持ピン181からステージ21に受け渡されるとステージ21は中心軸の周りに90度回転され、基板Wの短辺が基板Wの搬送方向に垂直となる位置に向けられる。
基板Wが回転停止位置である検査開始位置にステージ21が位置された後、ステージ21の(+X)方向への移動が開始され、続いて、光照射部3から出射されて基板Wの基板上面Wfに対して所定の入射角にて入射する線状光が、基板上面Wf上の直線状の照射領域に照射され、照射領域が基板Wに対して相対的に移動する。光照射部3からの照明光は既述のように基板Wの基板上面Wfにて反射し、干渉光がラインセンサカメラ4へと導かれてラインセンサ410にて受光され、基板W上の撮像ラインにおける干渉光の光強度分布が取得される。ラインセンサ410の各受光素子411からの出力は、所定の変換式に基づいて例えば8bit(もちろん、8bit以外であってもよい。)の値(画素値)に変換されつつ制御部51へと送られる。
基板検査装置10では、ステージ21が(+X)方向に移動している間、ラインセンサカメラ4による干渉光の光強度分布の取得、および、画素値の制御部51への出力がステージ21の移動に同期して繰り返される。ステージ21が検査終了位置まで移動すると、移動機構22によるステージ21の移動が停止され、照明光の照射も停止される。
以上のようにして、ラインセンサカメラ4では基板W上に形成された膜9の全体を撮像して多階調の2次元画像が取得され、取得された画像は制御部51の演算部511に入力される。その後、演算部511において画像が演算処理されることにより、局所的な膜厚のムラや基板Wに対して比較的大きなムラの存在が検査される。この検査結果は、操作部101のモニタ103に例えば、ムラの有無が表示される。
ここで、制御部51へと送られた受光素子411の信号は、電気信号に変換し、画像データとして画像読取装置のシェーディング補正部512に転送する。この場合、前記ラインセンサ410で読み取られた画像データは、前記補正信号データE2が設定されている場合は、補正信号データE2に基づいてシェーディング補正が行われる。前記補正信号データE2は、基板Wと同一の屈折率、厚み、透過率、同一の拡散度を有する拡散性関数データに基づいて得られるため、シェーディング補正を適切に行うことができる。
一方、補正信号データE2が対応する検査対象物にも係わらず、基準電気信号E1を使用した場合には、読取光をラインセンサ410で読み取った信号をシェーディング補正した画像データと、検査対象物の実際の表面のイメージの光強度レベルが一致していない。これは、基板Wが所定の拡散特性を有するためである。このため、図5に示す信号を基にシェーディング補正を行っても好適に補正されない。
これに対して、基板Wの光拡散特性と略同一の拡散特性を有する拡散性関数により生成した図6に示す補正信号データE2を使用した場合には、適正なシェーディング補正を行うことができる。このように、補正された画像データは、基板Wの拡散特性と同一の拡散面を形成した場合と略同様の効果を有している。しかも、基準対象物が変更された場合にも、従来であれば改めてシェーディング補正係数を得る作業を行う必要があったが、近似する光拡散性を有する関数データを選択し設定すれば、高精度なシェーディング補正を行うことができる。その結果、検査対象物の画像データが補正され好適なムラ検査の結果を得ることができる。最後に、シェーディング補正係数は、補正データとして記憶部513に格納される。
検査が終了すると、基板検査装置10ではステージ21が(−X)方向に移動し、基板搬送装置16によって基板検査装置10から搬出される。そして、基板Wをカセット12内の空いた部位に収容する。
なお、本実施例において、基準対象物はエッチングによって凹凸面を形成したガラス板を用いて予め求めたもので説明しているが、これに限定されるものではなく、例えば、プラスチック等の合成樹脂からなる透過板に所定の拡散特性を有する凹凸面を形成したものであってもよく、また、透過板にリフトオフ法で凹凸のパターンを形成して所定の拡散特性となるように設定することも可能である。さらに、クロムによって形成される基板であってもよい。
以上のように画像読取装置は反射型の基板検査装置10のみならず、透過型のムラ検査装置にも利用することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
上記実施の形態に係るムラ検査装置は、塗布装置により基板上に塗布されたレジスト膜の膜厚ムラの検査のみならず、フォトリソ工程中に行われる他の様々なムラ検査に利用することができ、例えば、現像処理後のレジスト膜中の潜像パターンムラ、エッチング処理後の表面ムラ(残存レジストを含む。)、レジスト膜の剥離処理後の剥離ムラ、剥離後の配線パターン等のムラ等の検査に利用することができる。
さらには、プリント基板の外観検査における配線パターンのムラの検査、液晶表示器用のカラーフィルタやCRT用のシャドウマスク等の周期性パターン(透孔の周期配列)のムラの検査等に利用することも可能である。
このようにムラ検査装置のラインセンサカメラ4にて取得される画像は、基板上に存在する様々なムラの検査に利用可能である。複数のラインセンサカメラ4を有するムラ検査装置は、高解像度にて基板の画像を取得することができることから、プリント配線基板、電子部品実装済み基板、TFT基板等の基板の外観検査に適している。